(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】乾燥装置、印刷装置、加熱ローラユニット
(51)【国際特許分類】
F26B 25/20 20060101AFI20221206BHJP
F26B 13/08 20060101ALI20221206BHJP
F26B 3/20 20060101ALI20221206BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F26B25/20
F26B13/08 A
F26B3/20
B41J2/01 125
B41J2/01 301
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2018245608
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 泰久
(72)【発明者】
【氏名】高山 守
(72)【発明者】
【氏名】澤畑 昌
(72)【発明者】
【氏名】高梨 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉沼 利浩
(72)【発明者】
【氏名】西村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】頼本 衛
(72)【発明者】
【氏名】桑原 章友
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-162093(JP,A)
【文献】特開2018-016128(JP,A)
【文献】特開2015-168306(JP,A)
【文献】特開2017-083088(JP,A)
【文献】特開昭59-086888(JP,A)
【文献】米国特許第4493123(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/20
F26B 13/08
F26B 3/20
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板と、
前記側板に一端部が保持された加熱ローラユニットと、を備え、
前記側板には、前記加熱ローラユニットの一端部を保持する筒状保持部が設けられ、
前記加熱ローラユニットは、
加熱ローラと、
前記ローラを回転可能に保持している保持板部材と、前記保持板部材より前記側板側に備える、前記加熱ローラユニットの一端部と、を備え、
前記一端部には、
前記筒状保持部と嵌め合う嵌め合い部と、
前記嵌め合い部よりローラ軸方向外側に配置され、前記筒状保持部内に入り込む先細り形状部と、を有している
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記加熱ローラユニットの前記嵌め合い部は、
前記筒状保持部の内周面又は外周面に嵌め込む嵌め込み部と、
前記筒状保持部の軸方向端面と突き当てる突き当て部と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記加熱ローラユニットの前記嵌め合い部には、前記筒状保持部の内周面に当接する複数の突起部が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記加熱ローラユニットの一端部には、内部への空気取り入れ穴が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記加熱ローラユニットは、
前記嵌め合い部を形成する部材と、
前記先細り形状部を形成する部材と、を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記側板と対向配置された他方の側板を備え、
前記他方の側板には、前記加熱ローラユニットと異なるユニットを挿入する挿入口が設けられ、
前記加熱ローラユニットは、前記挿入口を通過した後で、前記筒状保持部材に前記先細り形状部が入り込んでから、前記嵌め合い部が前記筒状保持部に嵌まり合う
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記側板と対向配置された他方の側板を備え、
前記2つの側板間には、エアーを吹出すエアー吹き出しユニットが保持され、
前記他方の側板には、前記エアー吹き出しユニットを挿入する挿入口が設けられ、
前記加熱ローラユニットは前記挿入口を通過可能である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記加熱ローラユニットで液体が付与された乾燥対象を加熱する
ことを特徴とする請求項1ないし
7のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項9】
乾燥対象に液体を付与する液体付与手段と、
請求項
8に記載の乾燥装置と、を備えている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
装置の側板に一端部が保持される加熱ローラユニットであって、
加熱ローラと、
前記ローラを回転可能に保持している保持板部材と、前記保持板部材より前記側板側に備える、前記加熱ローラユニットの一端部と、を備え、
前記一端部には、
前記側板の筒状保持部と嵌め合う嵌め合い部と、
前記嵌め合い部よりローラ軸方向外側に配置され、前記筒状保持部内に入り込む先細り形状部と、を有している
ことを特徴とする加熱ローラユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥装置、印刷装置、加熱ローラユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙、連帳紙、帯状連続体(ウェブ)などの印刷対象に液体を付与して印刷を行う印刷装置として、乾燥装置を備えて、付与された液体の乾燥を促進するものがある。
【0003】
従来、例えば、連帳紙に接触する複数の加熱ローラと、加熱ローラよりも大径の加熱ドラムとを備える乾燥装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、装置本体の側板に加熱ローラを含む加熱ローラユニットを組み付ける場合、組み付け作業の作業性が悪いという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、加熱ローラユニットの組み付け作業の作業性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る乾燥装置は、
側板と、
前記側板に一端部が保持された加熱ローラユニットと、を備え、
前記側板には、前記加熱ローラユニットの一端部を保持する筒状保持部が設けられ、
前記加熱ローラユニットは、
加熱ローラと、
前記ローラを回転可能に保持している保持板部材と、前記保持板部材より前記側板側に備える、前記加熱ローラユニットの一端部と、を備え、
前記一端部には、
前記筒状保持部と嵌め合う嵌め合い部と、
前記嵌め合い部よりローラ軸方向外側に配置され、前記筒状保持部内に入り込む先細り形状部と、を有している
構成とした。
【0008】
本発明によれば、加熱ローラユニットの組み付け作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る印刷装置の一例の概略説明図である。
【
図3】加熱ローラユニットを取り付けた一対の側板の斜視説明図である。
【
図4】加熱ドラムと加熱ローラユニットの斜視説明図である。
【
図5】加熱ローラユニットと加熱ドラムの配置を説明する正面説明図である。
【
図6】両側板と加熱ローラユニットの関係を説明する側面説明図である。
【
図7】加熱ローラユニットの第1端部を側板に保持した状態の要部斜視説明図である。
【
図8】同じく側板の第1筒状保持部の斜視説明図である。
【
図9】同じく加熱ローラユニットの正面説明図である。
【
図10】同加熱ローラユニットの第1端部の斜視説明図である。
【
図11】同じく第1端部の内部部分の斜視説明図である。
【
図13】同じく第1端部と側板の第1筒状保持部との嵌め合い状態の断面説明図である。
【
図14】加熱ローラユニットの第1端部の他の例における第1端部と側板の第1筒状保持部との嵌め合い状態の断面説明図である。
【
図15】加熱ローラユニットの第2端部を側板に保持した状態の斜視説明図である。
【
図16】側板の第2筒状保持部の斜視説明図である。
【
図17】加熱ローラユニットの第2端部と第2筒状保持部とを嵌め合った状態の斜視説明図である。
【
図18】加熱ローラユニットの第2端部と第2筒状保持部との分解斜視説明図である。
【
図19】加熱ローラユニットの第2端部と第2筒状保持部とを嵌め合った状態の正面説明図である。
【
図20】他方の側板側のカバー部材の説明に供する要部側面説明図である。
【
図21】本発明に係る乾燥装置を備える層形成装置としての電極印刷装置の一例の説明図である。
【
図22】電極印刷装置における層形成プロセスの説明に供する説明図である。
【
図23】
図22に続く層形成プロセスの説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る印刷装置の一例について
図1を参照して説明する。
図1は同装置の概略説明図である。
【0011】
この印刷装置は、インクジェット記録装置であり、乾燥対象となるシート材である連帳紙110に対して所要の色の液体であるインクを吐出付与する液体付与手段である液体吐出ヘッドを含む液体付与部101を有している。
【0012】
液体付与部101は、例えば、連帳紙110の搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッド111A、111B、111C、111Dが配置されている。各ヘッド111は、それぞれ、連帳紙110に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を付与する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0013】
連帳紙110は、元巻きローラ102から繰り出され、搬送部103の搬送ローラ112によって、液体付与部101に対向して配置された搬送ガイド部材113上に送り出され、搬送ガイド部材113で案内されて搬送(移動)される。
【0014】
液体付与部101によって液体が付与された連帳紙110は、本発明に係る乾燥装置としての乾燥装置104を経て、排出ローラ118によって送られて、巻取りローラ105に巻き取られる。
【0015】
なお、ここでは、連帳紙などの連続体を使用する印刷装置で説明しているが、カットシートなどのシート材を使用する印刷装置の乾燥装置にも本発明を適用することができる。
【0016】
次に、この印刷装置における乾燥装置について
図2も参照して説明する。
図2は同乾燥装置の拡大説明図である。
【0017】
乾燥装置104は、連帳紙110に接触して連帳紙110を加熱する曲面形状の接触面を有する複数の接触加熱手段である加熱ローラ11(11A~11J)と、同じく曲面形状の接触面を有する接触加熱手段である加熱ドラム12とを備えている。
【0018】
また、乾燥装置104は、加熱ドラム12の下流側で、連帳紙110を加熱ローラ11Jに案内する接触案内部材である案内ローラ13Aと、案内ローラ13Aで案内された連帳紙110を加熱ローラ11I~11Aに接触するように案内する接触案内部材である案内ローラ13B~13Kとを備えている。
【0019】
つまり、本実施形態では、上記のとおり、加熱ローラ11A~11Iに乾燥対象である連帳紙110を異なる方向から接触させて加熱する。
【0020】
ここで、複数の加熱ローラ11A~11Jは、加熱ドラム12の周囲に略円弧状に配置されている。なお、加熱ローラ11A~11Jの直径は、同じでも良く、また異なっても良い。また、案内ローラ13B~13Kは隣り合う加熱ローラ11、11の間に配置されている。
【0021】
これらの複数の加熱ローラ11、加熱ドラム12及び複数の案内ローラ13によって連帳紙110を加熱する加熱搬送経路(搬送パス)が構成される。連帳紙110は、加熱ドラム12よりも上流側で円弧状に配置された複数の加熱ローラ11の外周側に接触しながら搬送された後、加熱ドラム12を経て、案内ローラ13によって、再度、複数の加熱ローラ11の内周側に接触しながら搬送される。
【0022】
また、乾燥装置104には、複数の加熱ローラ11の並びの外周側に連帳紙110を液体付与面側から加熱する非接触加熱手段である複数のエアー吹き出しユニット16が配置され、加熱ドラム12の周囲にも複数のエアー吹き出しユニット16が配置されている。
【0023】
また、乾燥装置104内への連帳紙110の搬入を案内する案内ローラ17A、17B,案内ローラ13Kを通過した連帳紙110を乾燥装置104外に案内するための複数の案内ローラ17(17C~17H)を備えている。
【0024】
このように構成した乾燥装置104における乾燥の流れとしては、加熱ローラ11に連帳紙110の液体付与面と反対面を接触させながら加熱するとともに、エアー吹き出しユニット16によってエアーを液体付与面に吹き付けて液体付与面を加熱する。
【0025】
次いで、複数の加熱ローラ11の内側に配置された加熱ドラム12に連帳紙110の液体付与面と反対面を這わせながら加熱するとともに、エアー吹き出しユニット16によってエアーを液体付与面に吹き付けて液体付与面を加熱する。
【0026】
その後、案内ローラ13を連帳紙110の液付与面に接触させながら、再度、加熱ローラ11に連帳紙110の液体付与面と反対面を接触させて加熱することで、連帳紙110に付与された液体を乾燥させる。
【0027】
次に、乾燥装置の加熱ローラユニットの配置構成の概要について
図3ないし
図6を参照して説明する。
図3は加熱ローラユニットを取り付けた一対の側板の斜視説明図、
図4は加熱ドラムと加熱ローラユニットの斜視説明図、
図5は加熱ローラユニットと加熱ドラムの配置を説明する正面説明図、
図6は両側板と加熱ローラユニットの関係を説明する側面説明図である。
【0028】
乾燥装置104の対向配置された2つの側板(フレーム)200(201A、201B)間には、前述した加熱ローラ11を含む加熱ローラユニット301が保持されている。本実施形態では、乾燥装置104の設置状態において、側板201Aを後ろ側の側板とし、側板201Bを前側の側板とする。
【0029】
加熱ローラユニット301は、2つの側板201の内の側板である一方の側板201Aに一端部である第1端部302Aが第1筒状部202Aで保持され、他方の側板201Bに他端部である第2端部302Bが第2筒状部202Bで保持されている。
【0030】
このとき、
図5に示すように、加熱ドラム12の周りに配置される複数の加熱ローラユニット301は、配置位置に応じて、異なる姿勢で2つの側板201間に保持されている。
【0031】
また、側板201A、201Bには、エアー吹き出しユニット16を挿入する挿入口210が設けられている。
【0032】
次に、加熱ローラユニットの第1端部を側板に保持する保持構造について
図7ないし
図13を参照して説明する。
図7は加熱ローラユニットの第1端部を側板に保持した状態の要部斜視説明図、
図8は同じく側板の第1筒状保持部の斜視説明図である。
図9は同じく加熱ローラユニットの正面説明図、
図10は同加熱ローラユニットの第1端部の斜視説明図、
図11は同じく第1端部の内部部分の斜視説明図、
図12は同じく第1端部の要部拡大説明図である。
図13は同じく第1端部と側板の第1筒状保持部との嵌め合い状態の断面説明図である。
【0033】
一方の側板201Aには、加熱ローラユニット301の第1端部302Aを保持する第1筒状保持部202Aが固定されて設けられている。
【0034】
加熱ローラユニット301は、加熱ローラ11と、加熱ローラ11の両端部をそれぞれ回転可能に保持しているベアリングを取り付けた保持板部材であるサイドプレート311A、311Bと、サイドプレート311A、311Bを繋ぐステー312とを備えている。
【0035】
サイドプレート311Aには、円形部材313Aが固定されている。円形部材313Aにランプ保持部材316Aが取付けられ、ランプ保持部材316Aで加熱ローラ11内に配置される2本のヒータランプ317を保持している。また、円形部材313Aには除電ブラシ319を保持している除電ブラシホルダ318が取付けられている。
【0036】
そして、加熱ローラユニット301の第1端部302Aには、第1筒状保持部202Aと嵌め合う嵌め合い部材321と、嵌め合い部材321の軸方向外側に配置され、第1筒状保持部202内に入り込む先細り形状部材331とを有している。
【0037】
嵌め合い部材321は、円形部材313Aにネジ329で固定されている。この嵌め合い部材321は、第1筒状保持部202Aの内周面214に当接する複数の突起部324が設けられた嵌め合い部322を形成している。また、嵌め合い部材321は、嵌め合い部322の円形部材313A側に、第1筒状保持部202Aの軸方向端面215に突き当てる段差部で形成した突き当て部325を有している。
【0038】
ここで、嵌め合い部322に突起部324を設けることで、嵌め合い部322を第1筒状保持部202A内への嵌め合いが容易になるととともに、加熱ローラ11のローラ軸心と直交する方向における位置を容易に決めることができる。
【0039】
また、第1筒状保持部202Aの端面215に突き当てる段差部で形成した突き当て部325を設けることで、ローラ軸心方向における加熱ローラ11の位置決めを正確に行うことができる。
【0040】
嵌め合い部材321の嵌め合い部322の突起部324の長さは、嵌め合い部材321を第1筒状保持部202Aに挿入する挿入作業の最後のタイミングで、突起部324が第1筒状保持202Aの内周面214に嵌合する長さにしている。また、嵌め合い部材321の嵌め合い部322の突起部324は、周方向の4カ所に配置して、嵌め合い部322と第1筒状保持202Aの内周面214との嵌め合いをスムーズに行えるようにしている。
【0041】
先細り形状部材331は嵌め合い部材321にネジ339などで固定されている。先細り形状部材331は、第1筒状保持部202A内に入り込む先細り形状部332を形成している。このとき、先細り形状部材331と嵌め合い部材321の位置関係から、先細り形状部332は嵌め合い部322の軸方向外側に配置され、第1筒状保持部202内に入り込む。
【0042】
先細り形状部材331は、先細り形状部332の嵌め合い部材321側に連続して円筒部333を設けている。この円筒部333は、第1筒状保持部202Aの内周面214に嵌め合い部322を嵌め込んだ状態では、第1筒状保持部202Aの内周面214に当接しない径としている。
【0043】
先細り形状部材331の先細り形状部332及び円筒部333の長さ(軸方向長さ)は、第1筒状保持部202Aに先細り形状部332入れ込むときに、ラフな状態でも入る形状としている。
【0044】
嵌め合い部材321及び先細り形状部材331には、軸心部に、ヒータランプ317が通過し、空気取り入れ口となる貫通穴328、338がそれぞれ設けられている。これにより、加熱ローラユニット301に内蔵しているヒータランプ317、ベアリングなどの部品の過雰囲気温度を下げることができ、各部品の耐熱温度を確保することができる。
【0045】
次に、加熱ローラユニット301の組み付け手順の内の側板201Aへの組み付けについて説明する。
【0046】
加熱ローラユニット301を組み上がっている側板201A,201B間に保持するときには、側板201Bのエアー吹き出しユニット16の挿入口210が開放された状態にする。
【0047】
そして、加熱ローラユニット301を側板201Bの挿入口210から斜めに差し込んで、第1端部302Aの先細り形状部材331を第1筒状保持部202A内に挿入する。このとき、第1端部302Aは先端側が先細り形状部332となっているので、第1筒状保持部202A内に容易に入れ込むことができる。
【0048】
つまり、加熱ローラユニット301が第1筒状保持部202Aに対して斜めに挿入されたとしても、第1筒状保持部202Aの端面215に先細り形状部332が突き当り、第1端部302Aが第1筒状保持部202A内へガイドされる。
【0049】
そして、第1端部302Aの先細り形状部材331を第1筒状保持部202A内に入ったときには、そのまま、加熱ローラユニット301を挿入方向に押し込む。これにより、第1端部302Aの先細り形状部332、円筒部333の順に第1筒状保持部202Aに入り込み、嵌め合い部322が第1筒状保持部202A内に案内される。
【0050】
このとき、先細り形状部材331の先細り形状部332は、第1端部302Aの嵌め合い部323が第1筒状保持部202Aに嵌合するまでの間は、第1筒状保持部202Aの加熱ローラ11のローラ軸心が第1筒状保持部202Aの軸心に揃うように案内する軸揃えとしても作用する。
【0051】
そして、嵌め合い部322の突起部324が第1筒状保持部202Aの内周面214に接触し、突き当て部325が第1筒状保持部202Aの端面215に突き当たり、第1端部302Aが第1筒状保持部202Aに保持される。
【0052】
このように、加熱ローラユニット301を斜め方向から側板201A、201B間に挿入して第1筒状保持部202Aに第1端部302Aを保持させるとき、先細り形状部332を第1筒状保持部202A内に容易に入れ込むことができる。これにより、加熱ローラユニット301の組み付け作業の作業性を向上することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、エアー吹付けユニット16の挿入口210が加熱ローラユニット301を挿入する(取付ける)ときの挿入口を兼ねている。これは、側板201の剛性を保つために多くの開口を設けない構成とするためである。
【0054】
この結果、第1筒状保持部202Aの位置と挿入口210の位置とがずれるため、加熱ローラユニット301の第1端部302Aを斜め方向から第1筒状保持部202Aに挿入することになる。
【0055】
このとき、上述したように、先細り形状部332を有することで、第1端部302Aを容易に第1筒状保持部202A内に挿入することができ、第1端部302Aの嵌め合い部322を第1筒状保持部202Aに嵌め合うことができる。
【0056】
次に、加熱ローラユニットの第1端部の他の例について
図14を参照して説明する。
図14は同例における第1端部と側板の第1筒状保持部との嵌め合い状態の断面説明図である。
【0057】
本実施形態では、先細り形状部材331の先細り形状部332の先端部に、先細り形状部332の最小径と同じ径の円筒部334を設けている。
【0058】
このように、先細り形状部332自体が先端を形成していない構成でも、前記第1実施形態と同様に、第1端部302Aを第1筒状保持部202A内に入れ込むことがようになり、組み付け作業の作業性が向上する。
【0059】
次に、加熱ローラユニットの第2端部を側板に保持する保持構造について
図15ないし
図19も参照して説明する。
図15は加熱ローラユニットの第2端部を側板に保持した状態の斜視説明図、
図16は側板の第2筒状保持部の斜視説明図である。
図17は加熱ローラユニットの第2端部と第2筒状保持部とを嵌め合った状態の斜視説明図、
図18は加熱ローラユニットの第2端部と第2筒状保持部との分解斜視説明図、
図19は加熱ローラユニットの第2端部と第2筒状保持部とを嵌め合った状態の正面説明図である。
【0060】
他方の側板201Bには、加熱ローラユニット301の第2端部302Bを保持する第2筒状保持部202Bが取付け口251(
図16)から挿入されて設けられている。
【0061】
また、側板201Bには加熱ローラユニット301のローラ軸を中心とする回動方向の姿勢位置を決める位置決め用ピン部材401を挿入するピン挿入穴241が設けられている。ピン部材401は、ピン挿入穴241を通過不能な頭部401aを有している。
【0062】
加熱ローラユニット301は、前述した
図9で説明したように、加熱ローラ11と、加熱ローラ11の両端部をそれぞれ回転可能に保持しているベアリングを取り付けたサイドプレート311A、311Bと、サイドプレート311A、311Bを繋ぐステー312とを備えている。
【0063】
サイドプレート311Bには、第2筒状保持部202と嵌め合う嵌め合い部材である円形部材313Bが固定されている。円形部材313Bにランプ保持部材316Bが取付けられ、ランプ保持部材316Bで加熱ローラ11内に配置される2本のヒータランプ317を保持している。
【0064】
そして、円形部材313Bの内周面324内に第2筒状保持部202Bの嵌め合い部223を嵌め込んで、第2端部302Bを第2筒状保持部202Bで保持している。第2筒状保持部202Bの嵌め合い部223にも、円形部材3131Bの内周面354に接触する複数の複数の凸部224を設けている。
【0065】
また、サイドプレート311Bにはピン部材401の先端部401bを抜き差可能な差し込み穴341を設けた差し込み穴部材342が固定されている。
【0066】
次に、加熱ローラユニット301の第2端部302Bの側板201Bへの組み付け手順について
図20も参照して説明する。
図20は側板201B側のカバー部材の説明に供する要部側面説明図である。
【0067】
まず、前述したように、加熱ローラユニット301の第1端部302Aを側板201Aの第1筒状保持部202Aに嵌め込んだ状態とする。
【0068】
そして、加熱ローラユニット301から出ているヒータランプ給電線やセンサ信号ケーブルなどの配線(ケーブル)360を、側板201Bの取付け口350から手前側に引き出しておく。
【0069】
その後、加熱ローラユニット301の側板201Bの手前側から、側板201Bのピン挿入穴241に挿入し、更に、ピン部材401の先端部401bを加熱ローラユニット301の差し込み穴341に差し込む。
【0070】
この状態で、加熱ローラユニット301に差し込まれたピン部材401の頭部401a側は側板201Bと係合しているので、作業者が加熱ローラユニット301から手を離しても、加熱ローラユニット301は両方の側板201A、201Bにて支持ないし保持される。
【0071】
次いで、側板201Bに取付け口251から加熱ローラユニット301から出ているヒータランプ給電線やセンサ信号ケーブルなどの配線(ケーブル)360を第2筒状保持部220B内に通す。
【0072】
そして、ケーブル360を通した状態で第2筒状保持部202Bを側板201Bの取付け口251に差し込み、加熱ローラユニット301の第2端部302Bの円形部材313B内に嵌め合い部223を嵌め込む。
【0073】
これらの作業を行うとき、作業者は両手が空いているので、作業し易い。
【0074】
その後、第2筒状保持部202Bをネジ止めなどで側板201Bに固定し、
図20に示すように、第2筒状保持部202B及びピン部材401の頭部401aを覆うカバー部材420を側板202Bに取付ける。
【0075】
このように、加熱ローラユニット301の第2端部302Bを側板201Bに保持するとき、ピン部材401で第2端部302B側を支持することにより、加熱ローラユニット301は両方の側板201A、201Bに保持される。これにより、作業者は両手がフリーの状態で以後の組み付け作業を行うことができ、組み付け作業の作業性が向上する。
【0076】
そして、上記実施形態の第1端部及び第2端部の保持構造を実施することで、加熱ローラユニット301をユニット化された両側板201A、201Bの間に組み付けるときの組み付け作業の作業性が向上することで、加熱ローラユニット301を交換するときの交換作業性も向上する。
【0077】
次に、本発明に係る乾燥装置を備える層形成装置の一例について
図21を参照して説明する。
図21は同層形成装置としての電極印刷装置の一例の説明図である。
【0078】
「乾燥」は、一般的には目的のものから水分を除去することを指すが、本実施形態の「乾燥」は水分に限らず液体を気化させることを含む。
【0079】
電極印刷装置1001は、元巻きローラ1102、搬送ローラ1112、排出ローラ1114、及び巻取りローラ1105を備え、元巻きローラ1102から電極基体1210を繰り出す。
【0080】
電極印刷装置1001は、搬送ローラ1112と排出ローラ1114の間に、搬送方向の上流側から下流側に沿って順に、液体付与部の一例である第1の液体吐出ヘッド1111E、第1の乾燥装置1104E、液体付与部の一例である第2の液体吐出ヘッド1111F、第2の乾燥装置1104F、液体付与部の一例である第3の液体吐出ヘッド1111G、光源1105、及び第3の乾燥装置1104Gを備える。
【0081】
第1の液体吐出ヘッド1111Eは、活物質を含有する活物質層作製用インクを、電極基体1210の表面に吐出して活物質層を形成する活物質層作製用の液体吐出ヘッドとして機能する。
【0082】
乾燥装置1104Eは、第1の液体吐出ヘッド1111Eによって活物質層作製用インクが付与された電極基体1210を乾燥対象として乾燥させる。
【0083】
第2の液体吐出ヘッド1111Fは、電極基体1210上に無機層作製用インクである液体インクを吐出してインク層を形成するインク層形成用の液体吐出ヘッドとして機能する。
【0084】
乾燥装置1104Fは、活物質層上に第2の液体吐出ヘッド1111Fによって無機層作製用インクが付与された電極基体1210を乾燥対象として乾燥させる。
【0085】
第3の液体吐出ヘッド1111Gは、電極基体1210上に樹脂層作製用インクである液体インクを吐出してインク層を形成するインク層形成用の液体吐出ヘッドとして機能する。
【0086】
光源1105は、電極基体1210上に形成されたインク層に紫外線等の光を照射して、インク層を樹脂層に硬化させる硬化機能を有する。
【0087】
乾燥装置1104Gは、活物質層及び無機層上に第3の液体吐出ヘッド1111Gによって樹脂層作製用インクが付与され、樹脂層作製用インクに対して光源1105により光を照射された電極基体1210を乾燥対象として乾燥させる。
【0088】
乾燥装置1104Gは、第3の液体吐出ヘッド111Fによって付与された樹脂層作製用インクによって形成されるインク層を加熱して、硬化を促進させる硬化促進機能も有する。
【0089】
乾燥装置1104E、乾燥装置1104F及び乾燥装置1104Gは、乾燥装置104と同様に構成をとるが、複数の層を形成する層形成装置に用いられるために、電極基体1210を搬送する搬送経路の曲率はなるべく小さい方が好ましい。
【0090】
次に、電極印刷装置1001における層形成プロセスについて
図22及び
図23を参照して説明する。
図22は同層形成プロセスの説明に供する説明図、
図23は
図22に続く層形成プロセスの説明に供する説明図である。
【0091】
第1の液体吐出ヘッド1111Eは、
図22(a)に示すように、活物質を含有する活物質層作製用インク1220Lを、電極基体1210の表面に吐出する。
【0092】
乾燥装置1104Eは、
図22(b)に示すように、活物質層作製用インク1220Lにより形成される活物質層1220を備える電極基体1210を乾燥対象として乾燥させる。
【0093】
第2の液体吐出ヘッド1111Fは、
図22(c)に示すように、無機層作製用インク1230Lを、電極基体1210上の活物質層1220の表面に吐出する。
【0094】
乾燥装置1104Eは、
図23(d)に示すように、無機層作製用インク1230Lにより形成される無機層1230及び活物質層1220を備える電極基体1210を乾燥対象として乾燥させる。
【0095】
第2の液体吐出ヘッド1111Gは、
図23(e)に示すように、樹脂層作製用インク1240Lを、電極基体1210及び活物質層1220上の無機層1230表面に吐出する。
【0096】
光源1105は、
図23(f)に示すように、樹脂層作製用インク1240Lにより形成される樹脂層1240に光を照射して硬化させる。
【0097】
乾燥装置1104Gは、
図23(f)に示すように、樹脂層作製用インク1240Lにより形成される樹脂層1240を加熱して、樹脂層1240の硬化を促進させる。
【0098】
また、乾燥装置1104Gは、
図23(f)に示すように、樹脂層作製用インク1240Lにより形成される樹脂層1240、無機層1230及び活物質層1220を備える電極基体1210を乾燥対象として乾燥させる。
【符号の説明】
【0099】
11、11A~11J 加熱ローラ
12 加熱ドラム
16 エアー吹付けユニット
101 液体付与部
103 搬送部
104 乾燥装置
110 連帳紙
201A、201B 側板
202A 第1筒状保持部
202B 第2筒状保持部
301 加熱ローラユニット
302A 第1端部(一端部)
302B 第2端部(他端部)
311A、211B サイドプレート
313A、313B 円形部材
321 嵌め合い部材
322 嵌め合い部
324 突起部
331 先細り形状部材
332 先細り部
333 円筒部
401 ピン部材
1001 電極印刷装置