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特許7188123シート折り装置、画像形成装置、画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】シート折り装置、画像形成装置、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/20 20060101AFI20221206BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65H45/20
B65H37/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019009381
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2020117349
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】星 勝博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和行
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 寛央
(72)【発明者】
【氏名】重本 昌洋
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 孝之
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-021680(JP,A)
【文献】特開2006-082921(JP,A)
【文献】特開2006-290618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/20
B65H 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートを折る折り手段とを有するシート折り装置であって、
前記折り手段は、シートに折り目をそれぞれ形成する第1折りローラと第2折りローラを交互に用いてシートに折り目を順次形成し、
前記搬送手段は、
複数のローラと、
前記複数のローラにより張架されており、面上に複数の通気孔が形成された無端ベルトと、
前記無端ベルトの内側に設けられ、前記無端ベルトの表面に位置するシートを前記無端ベルトに吸着させる方向に、前記通気孔を介してエアーを取り込む吸排気装置としてのシート吸着手段であり、上流の搬送路からのシートを前記第1折りローラまで搬送する第1シート吸着手段と、前記上流の搬送路からのシートを前記第2折りローラまで搬送する第2シート吸着手段と、を有し、
前記搬送手段は、
前記第1折りローラの方向にシートを搬送する場合、前記第1シート吸着手段は、自らの無端ベルトにシートが吸着するようにエアーを取り込み、前記第2シート吸着手段は、前記第1シート吸着手段に向けてエアーを送風し、
前記第2折りローラの方向にシートを搬送する場合、前記第2シート吸着手段は、自らの無端ベルトにシートが吸着するようにエアーを取り込み、前記第1シート吸着手段は、前記第2シート吸着手段に向けてエアーを送風する、を有し、
前記エアーを用いて前記シートを自らの搬送面上に吸着させながら、前記折り手段まで前記シートを搬送する、
ことを特徴とするシート折り装置。
【請求項2】
請求項に記載のシート折り装置において、
前記折り手段は、自らのローラと、前記搬送手段の中の1つのローラである第1のローラとで、前記無端ベルトにより搬送されるシートを挟んで折る、
ことを特徴とするシート折り装置。
【請求項3】
請求項に記載のシート折り装置において、
前記搬送手段の前記第1のローラの表面には、スリットが設けられていることを特徴とするシート折り装置。
【請求項4】
請求項に記載のシート折り装置において、
さらに、前記第1折りローラと前記第2折りローラとの間の搬送路の面にシートを吸着させる吸着手段を有する、
ことを特徴とするシート折り装置。
【請求項5】
請求項に記載のシート折り装置において、
前記吸着手段は、前記第1折りローラと前記第2折りローラとの間の搬送路の面を帯電させる帯電器であることを特徴とするシート折り装置。
【請求項6】
請求項に記載のシート折り装置において、
前記吸着手段は、前記第1折りローラと前記第2折りローラとの間の搬送路の面に形成されている複数の通気孔を介して吸気する吸気装置であることを特徴とするシート折り装置。
【請求項7】
シート上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成されたシートを折る請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート折り装置とを有する画像形成装置。
【請求項8】
シート上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成されたシートを折る請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート折り装置と、前記シート折り装置により折られたシートに対して後処理を行う後処理装置とを有する画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート折り装置、シート処理装置、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられる画像処理装置は、欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、シートを読み取る読取機能、シート上に画像を形成する画像形成機能、および通信機能等を備えることにより、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ、複写機として利用可能な構成となっていることが多い。
【0003】
画像形成装置のうち、シートに画像形成を行った後、その画像形成済みのシートに対して折り処理を行うシート折り装置が搭載された画像形成装置が知られている。シート折り装置は、一般的にはシートの搬送方向(以下、「副走査方向」ともいう)に対する直交方向(以下、「主走査方向」ともいう)に折り目を形成する。
【0004】
このようなシート折り装置として、シートを折り曲げる2つの折りローラ対と、そのローラ対にシートを給送する搬送ローラ対を有し、2つの折りローラ対によってシートを折り曲げる方向を切り替える偏向手段として、折りナイフを左右折りローラ対に交互に当接させて、シートを折り込む技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
山折りと谷折りの繰り返しにより構成されるジャバラ折りを行う場合、例えば特許文献1のような折りナイフによりシートを偏向させる構成の場合、折りナイフの駆動機構などが装置構成に加わるため、装置が大型化する傾向になる。
【0006】
本発明は、折り手段までのシートの搬送をコンパクトな構成とすることができ、シート折り装置の省スペース化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートを折る折り手段とを有するシート折り装置であって、前記折り手段は、シートに折り目をそれぞれ形成する第1折りローラと第2折りローラを交互に用いてシートに折り目を順次形成し、前記搬送手段は、複数のローラと、前記複数のローラにより張架されており、面上に複数の通気孔が形成された無端ベルトと、前記無端ベルトの内側に設けられ、前記無端ベルトの表面に位置するシートを前記無端ベルトに吸着させる方向に、前記通気孔を介してエアーを取り込む吸排気装置としてのシート吸着手段であり、上流の搬送路からのシートを前記第1折りローラまで搬送する第1シート吸着手段と、前記上流の搬送路からのシートを前記第2折りローラまで搬送する第2シート吸着手段と、を有し、前記搬送手段は、前記第1折りローラの方向にシートを搬送する場合、前記第1シート吸着手段は、自らの無端ベルトにシートが吸着するようにエアーを取り込み、前記第2シート吸着手段は、前記第1シート吸着手段に向けてエアーを送風し、前記第2折りローラの方向にシートを搬送する場合、前記第2シート吸着手段は、自らの無端ベルトにシートが吸着するようにエアーを取り込み、前記第1シート吸着手段は、前記第2シート吸着手段に向けてエアーを送風する、を有し、前記エアーを用いて前記シートを自らの搬送面上に吸着させながら、前記折り手段まで前記シートを搬送する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、折り手段までのシートの搬送をコンパクトな構成とすることができ、シート折り装置の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の画像形成システムの構成例を示す模式図である。
図2】従来のジャバラ折り装置のシート偏向機構を示す図である。
図3】従来のジャバラ折り装置の動作を説明する図である。
図4】第1実施形態のジャバラ折り装置のシート偏向機構を例示する図である。
図5】第1実施形態のジャバラ折り装置の動作例を説明する図である。
図6】第1実施形態のジャバラ折り装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態のジャバラ折り装置の構成例を示す図である。
図8】第2実施形態のジャバラ折り装置の動作例を説明する図である。
図9】第2実施形態のジャバラ折り装置の動作例を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態のジャバラ折り装置の構成例を示す図である。
図11】第3実施形態の構成の利点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本実施形態に係るシート折り装置、画像形成装置、画像形成システムについて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の画像形成システムを示す右側面図である。画像形成システム100は、広幅複写機である画像形成装置本体200(画像形成部)、シート折り装置300、後処理装置400を有する。画像形成装置は、画像形成装置本体200とシート折り装置300とにより構成される。またシート折り装置300は、破線枠で示されるジャバラ折り装置1を有している。
【0012】
画像形成装置本体200では、給紙部209または手差し給紙部208より給紙されたシートPが給紙搬送手段210により搬送され、作像手段220により画像形成が行なわれる。画像形成が行われた後、シートPは、排紙搬送手段230により画像形成装置本体200の外部へ排出される。
【0013】
画像形成装置本体200の外部へ排出されたシートPは、画像形成装置本体200のシート排出路に配置されたシート受入手段21によりシート折り装置300へ進入する。
【0014】
シート折り装置300内に配置される制御部150は、例えば中央演算装置、主記憶装置、補助記憶装置などを含むコントローラであり、プログラムを実行して各ユニットを制御する。制御部150は、進入センサ2、第1センサ8、第2センサ9、排出センサ11Bなどの各種センサで検出される、当該位置でのシートの有無を示す検出信号を入力する。そして制御部150は、入力した検出信号に基づきシート折り装置300内でのシート搬送制御や偏向制御を行い、折り処理を行うローラの駆動制御を行う。尚、画像形成装置本体200内に備えられる制御部や後処理装置400内に備えられる制御部が、統括的にシート折り装置300内の各ユニットの制御を行ってもよい。
【0015】
シート受入手段21よりシート折り装置300へ進入したシートPは、給送手段20によりジャバラ折り装置1へ搬送される。
【0016】
ジャバラ折り装置1は、画像形成装置本体200から排出されるシートPに折り処理を行う。ジャバラ折り装置1は、シートPを2つのローラ間で複数回繰り返し搬送することで、山折り、谷折りの折り目を形成するジャバラ折りを行うが、例えば1回のみの折り処理を行ってもよい。ジャバラ折り装置1の具体的な動作については後述する。
【0017】
複数回数折り込まれて形成されたシートPは、ジャバラ折り装置1から排紙装置11に搬送され、排紙ローラ対11Aの回転駆動により後処理装置400へ排出される。
【0018】
後処理装置400は、シート折り装置300から排出されるジャバラ折り状態のシートPに対し、後処理を行う。後処理の一例として、後処理装置400は、シートPの搬送方向を90度変え、さらに反転、回転を行い、最後にシートPに対してスタンプの捺印を行って排出する。
【0019】
<従来のジャバラ折り装置の構成>
ここで、本実施形態の態様と比較するため、従来のジャバラ折り装置におけるシート偏向機構について説明する。図2は、従来のジャバラ折り装置の一部構成を示した図であり、図3は、ジャバラ折り装置の動作を説明するための図である。尚、ここでは、図1に示す符号をそのまま流用する。
【0020】
従来のジャバラ折り装置は、図2に示すように、第1シートガイド部材4、第2シートガイド部材5を有する。第1シートガイド部材4は、制御部150からの指示に基づき軸4Aを中心にして回動する。第2シートガイド部材5も同様に、制御部150からの指示に基づき軸5Aを中心にして回動する。またモータなどの駆動部がローラ4B、5Bを回転させることで、第1シートガイド部材4、第2シートガイド部材5が回動する。もしくは、モータなどの駆動部が軸4A、軸5Aを回転させることで、第1シートガイド部材4、第2シートガイド部材5が回動してもよい。この場合、ローラ4B、5Bは、それぞれ第1シートガイド部材4、第2シートガイド部材5を支える従動ローラとして機能する。
【0021】
図3を参照しながら、従来のジャバラ折り装置1の動作を説明する。まず制御部150は、進入センサ2からの検出信号に基づき、シートPの先端がジャバラ折り装置1まで搬送されたことを検出し、搬送ローラ対3および第1折りローラ対6を回転させる。そして制御部150は、図3(A)に示すとおり、第1シートガイド部材4を下方に回動移動させることで、第1折りローラ対6に向けた搬送路を形成する。これにより、搬送ローラ対3により搬送されてきたシートPの先端は、第1シートガイド部材4によりガイドされて第1折りローラ対6へ案内され、第1折りローラ対6へ進入し狭持搬送される。そしてシートPの先端は、第1折りローラ対6の回転動作により第1センサ8の検出位置まで進入する。
【0022】
第1センサ8のシートPの検出後、続いて図3(B)に示すように、制御部150は、第1折りローラ対6を逆回転させる。これにより、第1折りローラ対6で狭持されたシートPは、第2折りローラ対7に向けて進行する。また一方で制御部150は、搬送ローラ対3から継続して搬送されるシートPを第2折りローラ対7の側へ向けるため、第2シートガイド部材5を下方に回動移動させる。これに合わせて、第1シートガイド部材4は上方の定位置に戻る。この動作により、第2折りローラ対7へ向けた搬送路が形成される。そして制御部150は、第2折りローラ対7を回転させることで、第1折りローラ対6から搬送されるシート部分と、搬送ローラ対3から搬送されるシートとを第2折りローラ対7で挟み込み、折り処理を行う(図3(C)参照)。
【0023】
その後第2折りローラ対7は、シートPの折り端部が第2センサ9により検出されるまで回転し続ける。
【0024】
以降、第2センサ9のシート検出後、制御部150は、第2折りローラ対7を逆回転させる。また制御部150は、第2シートガイド部材5を上方の定位置に戻すとともに、第1シートガイド部材4を下方に移動して、第1折りローラ対6の側に向けた搬送路を形成する。これにより、第2折りローラ対7で折り処理が行われたシート部分と、搬送ローラ対3から搬送されるシート部分とが第1折りローラ対6に向けて搬送され、第1折りローラ対6で挟まれて折り処理が行われる。
【0025】
シートPは、これらの動作が連続して行われることで、シート下面ガイド10の上面を滑りながら第1折りローラ対6の側と第2折りローラ対7の側に繰り返し相互に搬送される。そして、第1折りローラ対6の側と第2折りローラ対7の側に繰り返しながらシートPが搬送され、これに合わせて第1折りローラ対6と第2折りローラ対7がシートPの搬送と連動して正転逆転動作を行うことで、シートPに対する所定回数の折り処理が行われる。したがって、第1折りローラ対6の側と第2折りローラ対7の側へ繰り返す相互搬送と、繰り返しの折り処理によって、山折り、谷折りのジャバラ折りが形成される。
【0026】
このような従来のジャバラ折り装置においては、第1シートガイド部材4、第2シートガイド部材5を回動させるための駆動モータが構成上必要になる。また、第1シートガイド部材4、第2シートガイド部材5を支えるローラ4B、5Bなどの部材も必要になる。よって、装置が大型化する傾向にある。これに対し以下の各実施形態では、第1シートガイド部材4、第2シートガイド部材5によるシート偏向制御に代えて、エアーの吸排気による偏向制御を行う。
【0027】
<第1実施形態>
図4は、第1実施形態のジャバラ折り装置の構成例を示す図である。第1実施形態のジャバラ折り装置1は、左右対称に、エアー搬送装置110、111と、その下部左右に配置されている第1折りローラ102、第2折りローラ103とを有する。またジャバラ折り装置1は、シートPの下面をガイドする搬送ガイド104、105、106を有する。ジャバラ折り装置1は、シートに折り目をそれぞれ形成する第1折りローラ102と第2折りローラ103を交互に用いて、シートに折り目を順次形成する折り手段を有している。
【0028】
エアー搬送装置110は、上側ローラ112と、下側ローラ113(第1のローラ)との2つのローラを有し、これらのローラにより、無端ベルトであるエアーベルト114が張架されている。またエアー搬送装置110は、エアーベルト114の裏面側、すなわち上側ローラ112と下側ローラ113に接触する側のエアーベルト114の面と2つのローラで囲まれた空間に、吸排気装置115を備えている。このように吸排気装置115は、無端ベルトの内側に設けられている。エアーベルト114には、表面(搬送面)と裏面を連通する複数の通気孔が偏在するように形成されている(図10などを参照)。吸排気装置15は、内部のファンを備えている。このファンを駆動させると、エアーベルト114の表面と裏面が通気する。図4に例示するように、エアー搬送装置110、111のそれぞれは、一対のエアー搬送装置110、111および搬送ガイド105によって囲まれている内側の空間(以下、「内側空間」と称する)の空気を外側に流出させる動作と、外側の空気を内側空間に流入させる動作を独立して行う。ファンの動作によって、エアーベルト114に形成されている通気孔を介してベルト越しに通気を行うことができる。エアー搬送装置111も、エアー搬送装置110と同様の構成を有している。
【0029】
エアー搬送装置110の下側ローラ113と第1折りローラ102とは、エアーベルト114を挟んで一対のローラとして構成されており、ジャバラ折り装置1は、このローラ対を用いて、エアーベルト114上のシートを挟んで折る。また第1折りローラ102の正転逆転の動作に連動して、下側ローラ113と第1折りローラ102とに挟まれたエアーベルト114が従動して回転を行う。これにより、エアーベルト114のオモテ面に配置されたシートPは搬送される。
【0030】
エアー搬送装置111についても同様の構成となっており、エアー搬送装置111の下側ローラ113と第2折りローラ103とがエアーベルト114を挟んで一対のローラとして構成されている。すなわち、第2折りローラ103の正転逆転の動作に連動して、下側ローラ113と第2折りローラ103とに挟まれたエアーベルト114が従動して回転し、シートPの搬送が行われる。
【0031】
シートPは、上流の搬送路である給送手段20により搬送され、エアー搬送装置110またはエアー搬送装置111の吸排気のエアー搬送動作により、第1折りローラ102、または第2折りローラ103の方向に向けて選択的に案内される。また吸排気装置15の吸気動作により、シートPは、一方のエアーベルト14からの排気によって他方のエアーベルト14に近づき、この他方のエアーベルト14の吸気によって、当該他方のエアーベルト143の表面に吸着され、折り部(ニップ位置)まで搬送される。そして、所定回数折り込まれたのち、折り畳まれたシートPは、排紙装置11に搬送され排出される。
【0032】
図4においては、吸排気装置115の吸気方向、排気方向についても図示している。エアー搬送装置110における「吸気」とは、エアー搬送装置110の側にシートを寄せ、エアー搬送装置110自らのエアーベルト114にシートPを吸着させるためのエアーの流れ(エアーの取り込み)を意味する。エアー搬送装置110における「排気」とは、エアー搬送装置110からシートを離れさせるエアーの流れ(エアーの送風)を意味する。また一方で、エアー搬送装置111における「吸気」とは、エアー搬送装置111の側にシートを寄せ、エアー搬送装置111自らのエアーベルト114にシートPを吸着させるためのエアーの流れを意味する。エアー搬送装置111における「排気」とは、エアー搬送装置111からシートを離れさせるエアーの流れを意味する。言い換えると、エアー搬送装置110が内側空間(上記のとおり、図4においてエアー搬送装置110、111、搬送ガイド105で囲まれた空間)から空気を吸い出す吸気動作をするときには、エアー搬送装置111は当該内側空間に向けた排気動作をする。また、エアー搬送装置111が内側空間から空気を吸い出す吸気動作をするときには、エアー搬送装置110は内側空間に向けた排気動作をする。この吸気と排気をエアー搬送装置110、111で独立して行われ、エアー搬送装置110が吸気するときはエアー搬送装置111が排気し、エアー搬送装置111が吸気するときはエアー搬送装置111は排気する。
【0033】
以下、第1実施形態のジャバラ折り装置1の動作制御について説明する。尚、以降の説明では、図4に示す一点鎖線Cを中心線として、排紙装置11側(下流側)を右とし、その逆側を左とする。またジャバラ折り装置1内の各ユニットの名称も、「右」「左」を付した名称とする。例えば、第1折りローラ102を左折りローラ102と表記し、第2折りローラ103を右折りローラ103と表記する。
【0034】
図5はジャバラ折り装置1の折り動作を説明するための図であり、図6はフローチャートである。図5図6の各動作は、制御部150の制御に基づき行われる。
【0035】
また以降では、図6のフローチャートに沿って説明し、図5を必要に応じて参照する。また、給送手段20から搬送されるシートPを、ジャバラ折り装置1内に取り込む左折りローラ102の反時計回りの回転方向を「正回転」とする。右折りローラ103の「正回転」も、左折りローラ102の「正回転」と同じ回転方向とする。また、「正回転」の逆方向の時計回りの回転方向を「逆回転」と表記する。
【0036】
進入センサ2がシートPの先端を検出すると(S601:ON)、左折りローラ102は正回転し、左エアー搬送装置110のエアーベルト114も従動して回転する。また、同時に左エアー搬送装置110内の吸排気装置15は、吸気方向に動作し、右エアー搬送装置111内の吸排気装置15は、排気方向に動作する(S602)。この動作制御により、シートPは、左エアー搬送装置110のエアーベルト114に吸着するように、左折りローラ102に向けて搬送される。尚、S602においては、右折りローラ103は動作を停止しているものとする。図5(A)は、この状態を図示している。
【0037】
この搬送状態は、シートPが左センサ8に到達するまで維持される(S603:OFFのループ)。シートPが左折りローラ102のニップ位置を通過して左センサ8に到達すると(S603:ON)、今度は左折りローラ102は、逆回転し、左エアー搬送装置110のエアーベルト114もこれに従動して回転する(S604)。またS604においては、右折りローラ103、左エアー搬送装置110および右エアー搬送装置111の吸気/排気動作は停止状態となる。図5(B)は、この状態を図示している。
【0038】
S604の搬送状態が維持されると、シートPは右方向に搬送され、左センサ8はシートPを検出しなくなる。左センサ8が非検出となってから規定時間(T秒)経過すると(S605)、右折りローラ103が回転(逆回転)し、右エアー搬送装置111のエアーベルト114も従動して回転する(S606)。これと同時に、左エアー搬送装置110内の吸排気装置115は排気動作となり、右エアー搬送装置111内の吸排気装置115は吸気動作となる(S606)。この吸排気装置115の排気、吸気動作により、シートPは、左エアー搬送装置110のエアーベルト114から分離して、右エアー搬送装置111のエアーベルト114に吸着する。図5(C)、(D)は、この状態を図示している。
【0039】
S606の搬送状態が維持されると、シートPは、右折りローラ103と右エアー搬送装置111とにより挟まれて、折り処理が行われる。そしてシートPは、右折りローラ103と右エアー搬送装置111により挟持されたまま、右センサ9まで搬送される。
【0040】
右センサ9がシートPの先端(折り目)を検出すると(S607:ON)、制御部150は、引き続き折り処理を継続するかを判定する(S608)。この判定は、進入センサ2がシートPの検出をし続けているかに基づき行われる。
【0041】
引き続き折り処理が行われる場合(S608:Yes)、右折りローラ103は、反転して正回転し、右エアー搬送装置111のエアーベルト114もこれに従動して回転する(S609)。図5(E)は、この状態を図示している。またS609では、左折りローラ102も反転して正回転し、左エアー搬送装置110および右エアー搬送装置111の吸排気装置115は停止状態となる。
【0042】
S609の搬送状態が維持されると、シートPは、左側に向けて搬送されるようになり、右センサ9がシートPを検出しなくなる。右センサ9が非検出となってからT秒経過すると(S610)、左エアー搬送装置110の吸排気装置115が吸気動作となり、右エアー搬送装置111の吸排気装置115が排気動作となる(S611)。この吸気、排気動作により、シートPは、右エアー搬送装置111のエアーベルト114から分離して(図15(F)参照)、左エアー搬送装置110のエアーベルト114に吸着するようになる。
【0043】
S611の搬送状態が維持されると、シートPの先端は左折りローラ102のニップ位置に到達して折り処理が行われ、先端(折り目)が左センサ8に到達する(S612:ON)。
【0044】
先端(折り目)が左センサ8に到達すると、右エアー搬送装置111、左エアー搬送装置110の吸排気装置115は、吸気、排気動作を停止し、左折りローラ102、右折りローラ103は、いずれも反転して逆回転となる(S613)。S613の搬送状態が維持されると、シートPは右方向に搬送され、左センサ8はシートPを検出しなくなる。左センサ8が非検出となってから規定時間(T秒)経過すると(S614)、処理はS606に戻り、S606に示される回転方向、および吸排気状態となる。
【0045】
尚、S608で、折り処理が継続して行われない場合(S608:No)、右折りローラ103のみが逆回転し、その他は停止し(S615)、排紙装置11にシートPが引き渡される(S616)。
【0046】
例えば搬送路が分岐しており、択一的にいずれか一方の搬送路でシートの搬送を行う場合、第1実施形態の態様を適用してエアーを吸排気することで、いずれか一方の搬送路面にシートを吸着させることができる。すなわち、吸着した搬送路で進行するように、シートの搬送方向を偏向させることができる。このような偏向手段を用いることで、図2図3を用いて説明した偏向手段よりも、コンパクトな構成とすることができ、シート折り装置の省スペース化を図ることができる。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態では、左折りローラ102と右折りローラ103との間の搬送ガイドにシートPを吸着させる実装例について説明する。これにより、左折りローラ102と右折りローラ103との間での搬送中のシートのズレなどを抑制し、搬送精度を高めることができ、折り精度をさらに良好にすることができる。ここでは、エアー搬送による吸着と、静電気による吸着の2つの態様を説明する。
【0048】
図7(A)は、左折りローラ102と右折りローラ103を無端ベルトであるエアーベルト730でつなぎ、左折りローラ102と右折りローラ103との間に下部吸気装置731を設けた構成を図示している。エアーベルト730には、下部吸気装置731がエアーベルト730越しに吸気動作を行うことができるように、通気孔が偏在するように形成されている。下部吸気装置731は、エアーベルト730の裏面側(エアーベルト730の内側)に設けられており、下部吸気装置731の内部ファンは、エアーベルト730のオモテ面上で搬送されるシートPをエアーベルト730に吸着させるように、吸気回転を行う。
【0049】
図7(B)は、左折りローラ102と右折りローラ103とを無端ベルトであるベルトローラ740でつなぎ、当該ベルトローラ740のベルト面に静電気を付加する帯電ローラ741(帯電器)を設けた構成を図示している。この構成の場合、エアー搬送装置110、111のエアーベルト114が帯電すると、折り方向の切り替え時に排気を行ってもシートPがエアーベルト114から分離されないことが想定される。よって図7(B)の構成では、エアーベルト114は絶縁体であることが望ましい。また、除電装置または分離装置を設けておき、折り処理が完了して排紙装置11への搬送時には、シートPがベルトローラ740から分離できる構成としている。
【0050】
図8(A)~図8(C)は、第2実施形態の動作例を示した図であり、特に、図7(B)の静電気による吸着を示した図である。また図8(A)~図8(C)は、第1実施形態で説明した図5(A)~図5(C)にそれぞれ対応している。
【0051】
第1実施形態では、左折りローラ102、右折りローラ103のうちで使用しない側のローラは停止させていた(図5(A)、(B)などを参照)。これに対して第2実施形態では、左折りローラ102と右折りローラ103とを無端ベルトでつないでいることから、いずれか一方を停止させることができない。よって第2実施形態では、図8(A)~図8(C)に示すとおり、両ローラを常に同じ向きで回転させるものとする。これ以外は、第1実施形態の態様と同様である。
【0052】
図9は、第2実施形態の動作例を示すフローチャートである。ここでは、第1実施形態で説明した図6との差分について説明する。
【0053】
第2実施形態では、S603で左センサ8がシートPの先端を検出したあとに、帯電ローラ741もしくは下部吸気装置731がONとなる(S901)。そして、S608で繰り返し折り処理が行われない場合(S608:No)、帯電ローラ741もしくは下部吸気装置731がOFFとなる(S901)。また、第1実施形態のS602、S604、S605では、左折りローラ102または右折りローラ103を停止させているが、ローラ第2実施形態では、上記のとおりこれらを停止させない(S602A、S604A、S615A参照)。さらには、第1実施形態の図6に示すS611~S614は、図9におけるS602A、S603、S604A、S605と同一動作となるため、これを流用することができる。すなわち図9では、図6に示したS611~S614を行わず、S610の後はS602Aとなる。
【0054】
第2実施形態により、左折りローラ102と右折りローラ103との間での搬送精度を高めることができ、折り精度をさらに良好にすることができる。
【0055】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態の態様を説明する図である。第3実施形態では、右エアー搬送装置111、左エアー搬送装置110のそれぞれの下側ローラ113の外周面に、スリット1101を設ける。スリット1101は、特に吸排気装置115が設けられる位置の下側のローラ外周面に設けられている。
【0056】
スリット1101が設けられることで、吸排気装置115が吸気動作を行うと、右折りローラ103と下側ローラ113との間のニップの隙間1102にも、エアーが流入するようになる。この利点について、図11を参照にして説明する。図11(A)は下側ローラ113にスリット1101を設けない例であり、図11(B)は下側ローラ113にスリット1101を設けた例である。
【0057】
下側ローラ113の外周面にスリット1101を設けない場合、図11(A)に示すように、吸気動作によるエアーの流入は、吸排気装置115と下側ローラ113との境目付近、すなわち図中の矢印A1までが限度となる。この場合、右折りローラ103と下側ローラ113とにより形成されるニップ位置(図中のNP)の付近では、吸気の影響を受けることができずに、当該位置でのエアーベルト114に対するシートPの吸着状態は、好適なものとはならない。
【0058】
下側ローラ113の外周面にスリット1101を設けると、図11(B)の矢印A2に示すように、吸気によるエアーの流れがニップ位置NPの付近まで発生するため、シートPは、ニップ位置NPの付近においてエアーベルト114に吸着する。よって、折り動作の直前までエアーベルト114に吸着されたまま搬送することが可能になる。このことは、左エアー搬送装置110および左折りローラ102についても適用可能である。
【0059】
以上、第3実施形態により、シートの折り精度をさらに良好にすることができる。
【0060】
上記の第1~第3実施形態の態様を、それぞれ組み合わせることも可能である。また、搬送手段は、制御部150、左エアー搬送装置110、右エアー搬送装置111を含む構成に相当する。折り手段は、左折りローラ102、右折りローラ103を含む構成に相当する。シート吸着手段は、左エアー搬送装置110、右エアー搬送装置111を含む構成に相当する。第1シート吸着手段は左エアー搬送装置110に相当し、第2シート吸着手段は、右エアー搬送装置111に相当する。
【0061】
以上、本実施形態のように、吸排気の動作によりシートを搬送路に吸着させ、またシートを搬送路から離間させることで、シートの搬送方向を偏向させることができる。本実施形態の偏向手段を用いることで、例えば図2図3を用いて説明した偏向手段よりも、コンパクトな構成とすることができ、シート折り装置の省スペース化を図ることができる。
【符号の説明】
【0062】
1:ジャバラ折り装置
2:進入センサ
8:第1センサ(左センサ)
9:第2センサ(右センサ)
11:排紙装置
15:吸排気装置
20:給送手段
21:シート受入手段
100:画像形成システム
102:左折りローラ
103:右折りローラ
104:搬送ガイド
110:左エアー搬送装置
111:右エアー搬送装置
112:上側ローラ
113:下側ローラ
114:エアーベルト
115:吸排気装置
150:制御部
200:画像形成装置本体
208:手差し給紙部
209:給紙部
210:給紙搬送手段
220:作像手段
230:排紙搬送手段
300:シート折り装置
400:後処理装置
730:エアーベルト
731:下部吸気装置
740:ベルトローラ
741:帯電ローラ
1101:スリット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【文献】特開2006-290618号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11