(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】通信システム、および、導通確認方法
(51)【国際特許分類】
H04L 45/0377 20220101AFI20221206BHJP
H04L 43/10 20220101ALI20221206BHJP
【FI】
H04L45/0377
H04L43/10
(21)【出願番号】P 2019020597
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】工藤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】大澤 浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕志
(72)【発明者】
【氏名】西岡 孟朗
(72)【発明者】
【氏名】林 裕平
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0037713(US,A1)
【文献】特開2016-225877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0131590(US,A1)
【文献】特開2016-146555(JP,A)
【文献】特開2016-149692(JP,A)
【文献】特開2015-154252(JP,A)
【文献】J. Halpern, Ericsson et al.,Service Function Chaining (SFC) Architecture,Request for Comments: 7665,Internet Engineering Task Force (IETF),2015年10月31日,P.1-32
【文献】Y. Jiang et al.,Fault Management in Service Function Chaining,draft-jxc-sfc-fm-02.txt,2015年07月06日,P.1-13
【文献】P. Quinn et al.,Network Service Header (NSH),Request for Comments: 8300,2018年01月,P.1-40
【文献】三好 勇樹 Yuki MIYOSHI,BGPFlowspecおよびVRFを用いたサービスチェイニング実現方式における,導通確認試験方式,電子情報通信学会2019年総合大会講演論文集 通信2 PROCEEDINGS OF THE 2019 IEICE GENERAL CONFEREN,2019年03月05日,P.12,B-6-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-45/851
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスチェインを構成する1以上のサービス装置と、前記サービスチェインを構成するサービス装置の導通確認を行う導通確認装置とを備える通信システムであって、
前記導通確認装置は、
所定のフラグと導通確認の対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性情報とを付与した導通確認パケットを生成し、生成した導通確認パケットを、
前記導通確認パケットのTTL(Time to live)値を1から前記サービスチェインを構成するサービス装置の数まで増やしながら、前記サービスチェインの入口となるサービス装置に接続されるエッジルータへ送信するパケット生成部と、
前記サービスチェインを構成するサービス装置それぞれから
SNMP(Simple Network Management Protocol)により当該サービス装置における前記導通確認パケットの受信
数を示す情報を取得するメッセージ受信部と、
前記サービス装置それぞれから送信された、前記導通確認パケットの受信
数を示す情報に基づき、前記導通確認パケットがどのサービス装置を経由したかを示す経路を特定し、前記特定した経路が、前記導通確認の対象となるサービスチェインの経路と同じか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記サービス装置は、
前記所定のフラグが付与された導通確認パケットの受信数をカウントするカウント部と、
SNMPにより前記導通確認パケットの受信数を示す情報の取得要求を受け付けると、当該取得要求に応じて、前記導通確認パケットの受信
数を示す情報を前記導通確認装置へ送信するメッセージ送信部と、
受信した前記導通確認パケットのTTL値を1減算し、減算の結果、TTL値が1以上である前記導通確認パケットを、当該導通確認パケットに付与されたユーザ属性情報に基づき、前記サービスチェインの次のサービス装置へ転送する転送部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記所定のフラグは、
前記導通確認パケットのIPヘッダ領域に付与される
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
サービスチェインを構成する1以上のサービス装置と、前記サービスチェインの導通確認を行う導通確認装置とを備える通信システムにおいて実行される導通確認方法であって、
前記導通確認装置が、
所定のフラグと導通確認の対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性情報とを付与した導通確認パケットを生成し、生成した導通確認パケットを、
前記導通確認パケットのTTL(Time to live)値を1から前記サービスチェインを構成するサービス装置の数まで増やしながら、前記サービスチェインの入口となるサービス装置に接続されるエッジルータへ送信するステップと、
前記サービス装置が、
前記所定のフラグが付与された導通確認パケットの受信数をカウントするステップと、
SNMP(Simple Network Management Protocol)により前記導通確認パケットの受信数を示す情報の取得要求を受け付けると、当該取得要求に応じて、前記導通確認パケットの受信
数を示す情報を前記導通確認装置へ送信するステップと、
受信した前記導通確認パケットのTTL値を1減算し、減算の結果、TTL値が1以上である前記導通確認パケットを、当該導通確認パケットに付与されたユーザ属性情報に基づき、前記サービスチェインの次のサービス装置へ転送するステップと、
前記導通確認装置が、
前記サービスチェインを構成するサービス装置それぞれから
SNMPにより当該サービス装置における前記導通確認パケットの受信
数を示す情報を取得するステップと、
前記サービス装置それぞれから送信された、前記導通確認パケットの受信
数を示す情報に基づき、前記導通確認パケットがどのサービス装置を経由したかを示す経路を特定し、前記特定した経路が、前記導通確認の対象となるサービスチェインの経路と同じか否かを判定するステップと、
を含むことを特徴とする導通確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、および、導通確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想化されたコンピュータネットワークを利用するために必要な機能(サービス)を柔軟に選択して設定できるサービスチェイニングが提案されている。
【0003】
IPルーティングによりサービスチェイニングを行う場合、サービスチェイニングの対象となるサービス群に接続されるエッジルータが、受信したトラフィックからユーザ属性を判断し、判断したユーザ属性に応じて、使用されるサービス群とそれらを連結するネットワーク経路とを決定する。これにより、トラフィックのユーザ属性に応じたサービス提供を実現できる。
【0004】
このサービスチェイニングにおいて、各サービスが運用者の意図する通りにチェイニングされているかを導通試験等により確認する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】RFC7665(サービスチェイニング)、[平成31年1月25日検索]、インターネット<URL:https://tools.ietf.org/html/rfc7665>
【文献】RFC8300(Network Service Header (NSH))、[平成31年1月25日検索]、インターネット<URL:https://tools.ietf.org/html/rfc8300>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、動的に形成されたサービスチェインにおいて、各サービスが運用者の意図する通りにチェイニングされているかを従来の導通試験等により確認することが困難であるという問題がある。
【0007】
例えば、サービスチェインの導通試験のため、pingを実施する場合を考える。この場合、エッジルータからサービスチェインの最後のサービス宛に導通確認パケットを送信することで、最後のサービスにパケットが到達したことは確認できるが、どのサービスを経由して最後のサービスまで到達したかを確認することはできない(問題1)。
【0008】
また、サービスチェインにおける各サービスはNFV(Network Functions Virtualization)技術により動的に生成・削除される。そのため、サービス情報(各サービスのIPアドレス等)も動的に変更されるので、導通試験を行うためには、変更される都度、サービス情報の確認が必要になる(問題2)。
【0009】
さらに、問題1,2を解決するため、導通確認パケットに専用のヘッダ(Network Service Header (NSH))を実装した専用プロトコルが提案されているが、サービスチェインの作成に上記の専用プロトコルが実装された装置を使う必要がある(問題3)。
【0010】
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、動的に形成されたサービスチェインにおいて、各サービスが運用者の意図する通りにチェイニングされているかを容易に確認できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した課題を解決するため、本発明は、サービスチェインを構成する1以上のサービス装置と、前記サービスチェインを構成するサービス装置の導通確認を行う導通確認装置とを備える通信システムであって、前記導通確認装置は、所定のフラグと導通確認の対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性情報とを付与した導通確認パケットを生成し、生成した導通確認パケットを、前記サービスチェインの入口となるサービス装置に接続されるエッジルータへ送信するパケット生成部と、前記サービスチェインを構成するサービス装置それぞれから前記導通確認パケットの受信を示す情報を受信するメッセージ受信部と、前記サービス装置それぞれから送信された、前記導通確認パケットの受信を示す情報に基づき、前記導通確認パケットがどのサービス装置を経由したかを示す経路を特定し、前記特定した経路が、前記導通確認の対象となるサービスチェインの経路と同じか否かを判定する判定部とを備え、前記サービス装置は、所定のフラグが付与された導通確認パケットを受信した場合、前記導通確認パケットの受信を示す情報を前記導通確認装置へ送信するメッセージ送信部と、受信した前記導通確認パケットに付与されたユーザ属性情報に基づき、前記導通確認パケットを前記サービスチェインの次のサービス装置へ転送する転送部と、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、動的に形成されたサービスチェインにおいて、各サービスが運用者の意図する通りにチェイニングされているかを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における通信システムの概要を説明する図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における通信システムの動作例を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における導通確認装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における導通確認装置の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の実施形態における通信システムの動作例を説明する図である。
【
図6】
図6は、導通確認プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)を第1の実施形態および第2の実施形態に分けて説明する。本発明は、以下に説明する各実施形態に限定されない。
【0015】
[第1の実施形態]
[概要]
まず、
図1および
図2を用いて、第1の実施形態の通信システムの概要を説明する。通信システムは、
図1に示すように、導通確認装置10と、チェイニングコントローラ20と、エッジルータ30と、サービスチェインを構成する1以上のサービス(サービス装置)40とを備える。例えば、通信システムは、N個のサービス40(サービス40-1~サービス40-N)を備え、これらのサービス40の組み合わせによりサービスチェインが構成される。サービスチェインを構成するサービス40は、例えば、認証サービスやファイアウォール機能を提供する装置であり、NFV技術により動的に生成・削除される。
【0016】
導通確認装置10は、所定のフラグと導通確認の対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性とを付与した導通確認パケットを用いて、サービスチェインの導通確認を行う。
【0017】
チェイニングコントローラ20は、サービスチェインに関する各種情報を記憶する。例えば、チェイニングコントローラ20は、トラフィックのユーザ属性を判断する方法、当該トラフィックに適用するサービス40に関する情報を記憶する。一例を挙げると、チェイニングコントローラ20は、サービスチェインごとに当該サービスチェインの対象となるトラフィックのユーザ属性(例えば、5tuple等のヘッダ情報)と、当該サービスチェインを構成するサービス40の識別情報(サービス情報)とを記憶する。
【0018】
サービス40は、サービスチェインにおいて仮想化されたコンピュータネットワークを利用するために必要な機能(サービス)を提供する装置(サービス装置)である。各サービス40は、メッセージ送信部および転送部(図示省略)を備える。メッセージ送信部は、所定のフラグが付与された導通確認パケットを受信した場合、当該導通確認パケットの受信を通知するメッセージを導通確認装置10へ送信する。転送部は受信した導通確認パケットをサービスチェインの次のサービス40へ転送する。各サービス40は、例えば、所定の監視ネットワーク(
図2参照)経由で導通確認装置10と接続される。
【0019】
エッジルータ30は、外部ネットワーク(
図2参照)とサービス40との境界に設置されるルータである。エッジルータ30は、チェイニングコントローラ20からユーザ属性とサービス情報とを取得する。その後、エッジルータ30は、外部ネットワークから受信したトラフィックのパケットのユーザ属性と、上記の取得したユーザ属性とサービス情報とに基づき、当該パケットが経由すべき後段のサービス40群を決定する。
【0020】
そして、エッジルータ30は、当該パケットが後段のサービス40群を経由するためのネットワーク経路を決定する。例えば、エッジルータ30は、パケットを受信すると、そのパケットのネットワーク経路を決定し、そのネットワーク経路の入口(つまり、当該サービスチェインの入口)となるサービス40に当該パケットを転送する。その後、当該パケットは、上記のネットワーク経路をたどりサービスチェインの最後のサービス40まで流れる。
【0021】
導通確認装置10は、チェイニングコントローラ20から、導通確認の対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性(ユーザ属性情報)、サービス情報(当該サービスチェインを構成するサービス40を示した情報)を取得する。そして、導通確認装置10は、ユーザの実ドラフィックと同様のユーザ属性を付与した導通確認パケットをエッジルータ30から流す。なお、この導通確認パケットには、実トラフィックと区別するためのフラグを挿入する。導通確認パケットはサービスチェイン設定により、経路上の各サービス40を意識することなく最終サービス(例えば、サービス40-N)まで流れる。例えば、導通確認装置10が、エッジルータ30へ送信した導通確認パケットは、エッジルータ30から、サービス40-1からサービス40-Nに到達する。
【0022】
ここで、
図2を用いて、通信システムの動作例を詳細に説明する。例えば、導通確認装置10は、チェイニングコントローラ20から、導通確認の対象となるサービスチェインのユーザ属性、サービス情報を取得する(S1)。その後、導通確認装置10は、所定のフラグとS1で取得したユーザ属性とを付与した導通確認パケットを生成し、エッジルータ30へ送信する(S2)。また、エッジルータ30は、チェイニングコントローラ20からユーザ属性、サービス情報を取得する(S3)。その後、エッジルータ30が導通確認パケットを受信すると、S3で取得した情報と、当該導通確認パケットに付与されたユーザ属性により、後段のサービス群とネットワーク経路とを決定し(S4)、サービス群の最初のサービス40(例えば、サービス40-1)へ導通確認パケットを送信する(S5)。
【0023】
S5の後、各サービス40は、フラグが付与された導通確認パケットを後段の各サービス40へ転送するとともに、導通確認パケットが到着したことを示すメッセージを導通確認装置10へ送信する。
【0024】
例えば、サービス40-1が導通確認パケットを受信すると、サービス40-1に導通確認パケットが到着したことを示すメッセージを導通確認装置10へ送信する(S6)。また、サービス40-5が、サービス40-1から転送された導通確認パケットを受信すると、サービス40-5に導通確認パケットが到達したことを示すメッセージ(到達メッセージ)を導通確認装置10へ送信する(S7)。なお、フラグのある導通確認パケットは、サービスチェインの最後のサービス40(例えば、サービス40-5)において破棄される。
【0025】
そして、導通確認装置10は、各サービス40から送信された到達メッセージをもって試験良好か否かを判定する(S8)。例えば、導通確認装置10は、S1で取得したサービス情報から得られた、導通確認の対象となるサービスチェインの経路がサービス40-1→サービス40-5である場合を考える。この場合、導通確認装置10は、到達メッセージそれぞれの送信元のサービス40およびタイムスタンプの値に基づき特定した導通確認パケットの経路を特定し、特定した経路がサービス40-1→サービス40-5であれば、試験良好(各サービス40が運用者の意図する通りにチェイニングされている)と判定する。
【0026】
[構成]
次に、
図3を用いて、導通確認装置10の構成例を説明する。導通確認装置10は、例えば、
図3に示すように入出力部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0027】
入出力部11は、ネットワーク経由で各種データを入出力するためのインタフェースを司る。例えば、入出力部11は、インターネット等の外部ネットワーク経由で導通確認パケットを送信したり、監視ネットワーク経由で到達メッセージ等を受信したりするためのインタフェースを司る。
【0028】
記憶部12は、制御部13が各種処理を実行する際に参照する各種情報を記憶する。制御部13は、導通確認装置10全体の制御を行う。制御部13は、例えば、パケット生成部131と、メッセージ受信部132と、判定部133とを備える。
【0029】
パケット生成部131は、導通確認パケットであることを示す所定のフラグと確認対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性とを付与した導通確認パケットを生成し、エッジルータ30へ送信する。
【0030】
例えば、パケット生成部131は、チェイニングコントローラ20から、導通確認の対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性、サービス情報を取得する。そして、パケット生成部131は、取得したユーザ属性情報および所定のフラグを付与した導通確認パケットを生成し、エッジルータ30へ送信する。なお、上記の所定のフラグは、例えば、導通確認パケットのIPヘッダ領域に付与される。また、パケット生成部131は、チェイニングコントローラ20から取得した導通確認の対象となるサービスチェインのサービス情報(サービスチェインにおいて経由するサービス40を示した情報)を記憶部12に記憶する。
【0031】
メッセージ受信部132は、サービス40それぞれから当該サービス40における導通確認パケットの受信を通知する情報(例えば、到達メッセージ)を受信する。
【0032】
判定部133は、サービス40それぞれから送信された、導通確認パケットの受信を示す情報(例えば、到達メッセージ)に基づき、導通確認パケットがどのサービス40を経由したかを示す経路を特定する。そして、判定部133は、特定した経路が、導通確認の対象となるサービスチェインの経路と同じか否かを判定する。
【0033】
例えば、記憶部12に記憶されたサービス情報の示す、サービスチェインにおいて経由するサービス40が、サービス40-1→サービス40-5である場合を考える。
【0034】
ここで、メッセージ受信部132がサービス40-1からの到達メッセージとサービス40-5からの到達メッセージとを受信したとき、判定部133は、到達メッセージそれぞれの送信元のサービス40およびタイムスタンプの値に基づき、導通確認パケットの経路がサービス40-1→サービス40-5であることを特定する。この経路は、上記の記憶部12に記憶された導通確認の対象となるサービスチェインの経路(サービス40-1→サービス40-5)と同じであるので、判定部133は、各サービス40が運用者の意図する通りにチェイニングされていると判定する。一方、判定部133が特定した経路が上記の記憶部12に記憶された導通確認の対象となるサービスチェインの経路(サービス40-1→サービス40-5)と同じではない場合、判定部133は、各サービスが運用者の意図する通りにチェイニングされていないと判定する。そして、判定部133は、上記の判定の結果を、例えば、入出力部11経由で外部に出力する。
【0035】
[処理手順]
次に、
図4を用いて導通確認装置10の処理手順の例を説明する。まず、導通確認装置10のパケット生成部131は、チェイニングコントローラ20から、導通確認の対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性、サービス情報を取得する(S21)。そして、パケット生成部131は、S21で取得したユーザ属性と、所定のフラグとを付与した導通確認パケットを生成し、エッジルータ30へ送信する(S22)。
【0036】
S22の後、メッセージ受信部132が、各サービス40から、導通確認パケットが到達したことを示すメッセージ(到達メッセージ)を受信すると(S23)、判定部133は、S23で受信した到達メッセージに基づき、導通確認パケットが経由したサービスの経路を特定する(S24)。
【0037】
そして、判定部133は、S24で特定した経路が、導通確認の対象のサービスチェインの経路と同じか否かを判定する(S25)。つまり、判定部133は、S24で特定した経路が、S21で取得したサービス情報の示すサービスチェインの経路と同じか否かを判定する。ここで、判定部133は、S24で特定した経路が、導通確認の対象のサービスチェインの経路と同じと判定した場合(S25でYes)、運用者の意図通りにチェイニングされていると判定する(S26)。一方、判定部133は、S24で特定した経路が、導通確認の対象のサービスチェインの経路と同じではない判定した場合(S25でNo)、判定部133は、運用者の意図通りにチェイニングされていないと判定する(S27)。
【0038】
このようにすることで、動的に形成されたサービスチェインについて、導通確認装置10は、各サービス40が運用者の意図する通りにチェイニングされているかを容易に確認できる。
【0039】
[第2の実施形態]
次に、
図5を用いて第2の実施形態の通信システムを説明する。第2の実施形態の通信システムの導通確認装置10は、異なるTTL値を設定した導通確認パケットを送信し、各サービス40において当該導通確認パケットをカウントするパケットカウンタの値を確認することにより、各サービス40が運用者の意図する通りにチェイニングされているか否かを以下のようにして確認する。
【0040】
例えば、導通確認装置10は、まず、導通確認パケットのTTL(Time to live)値を、1からN(サービスチェインを構成するサービス40の数)まで増やしながら、エッジルータ30へ送信する。エッジルータ30は、導通確認装置10から送信された導通確認パケット群をサービスチェインの入口となるサービス40へ転送する。そして、各サービス40は、導通確認パケットを受信すると、パケットカウンタの値をインクリメントする。
【0041】
その後、導通確認装置10は、各サービス40のパケットカウンタの値を取得し、取得した各サービス40のパケットカウンタの値から、導通確認パケットの経路を特定する。そして、導通確認装置10は、特定した経路が、当該ユーザ属性に対応するサービスチェインの経路と同じであれば、運用者の意図通りにチェイニングされていると判定する。
【0042】
図5を用いて、第2の実施形態の通信システムの例を具体的に説明する。ここでも、確認対象のサービスチェインの経路は、
図2と同様、サービス40-1→サービス40-5である場合を例に説明する。
【0043】
まず、導通確認装置10のパケット生成部131は、
図2のS1と同様に、チェイニングコントローラ20から、導通確認の対象となるサービスチェインのユーザのユーザ属性、サービス情報を取得する(S11)。
【0044】
そして、パケット生成部131は、S11で取得したユーザ属性と、所定のフラグとを付与した導通確認パケットを生成し、エッジルータ30へ送信する。ここで、パケット生成部131は、導通確認パケットのTTL値を1からサービスチェインを構成するサービス数であるNまで増やしながら、エッジルータ30へ送信する。例えば、導通確認の対象となるサービスチェイン上のサービス40が2個なので、パケット生成部131は、TTL値が1と2のパケット(導通確認パケット)を生成し、エッジルータ30へ送信する(S12)。
【0045】
図5のS13~S15は、
図2のS3~S5と同様なので説明を省略する。S15の後、各サービス40は、所定のフラグが挿入された導通確認パケットを受信すると、パケットカウンタの値を1増加させる。また、各サービス40は、受信した導通確認パケットのTTL値を1減少させる。そして、各サービス40は、減少させたTTL値が1以上である導通確認パケットをサービスチェインの次のサービス40へ転送する。
【0046】
例えば、
図5に示すサービス40-1が、TTL値=1の導通確認パケットと、TTL値=2の導通確認パケットとを受信した場合、パケットカウンタの値を+2にする。そして、サービス40-1は、それぞれの導通確認パケットのTTL値を1減少させる。すなわち、サービス40-1は、TTL値=1の導通確認パケットのTTL値を「0」にし、TTL値=2の導通確認パケットのTTL値を「1」にする。そして、サービス40-1は、TTL値が「0」となった導通確認パケットを廃棄し、TTL値が「1」となった導通確認パケットをサービスチェインの次のサービス40-5へ転送する。
【0047】
その後、サービス40-5が、TTL値=1の導通確認パケットを受信すると、パケットカウンタの値を「+1」にする。また、サービス40-5は、TTL値=1の導通確認パケットのTTL値を「0」にする。そして、サービス40-5は、TTL値が「0」になった導通確認パケットを廃棄する。なお、サービス40-2,40-3,40-4には、導通確認パケットが到達しないので、パケットカウンタの値は「±0」である。
【0048】
その後、導通確認装置10は、SNMP(Simple Network Management Protocol)等で、パケットカウンタの値を各サービス40から取得する(S15)。例えば、導通確認装置10のメッセージ受信部132は、SNMPで、サービス40-1~40-5からパケットカウンタの値を取得する。その結果、メッセージ受信部132は、サービス40-1は「+2」、サービス40-2,40-3,40-4は「±0」、サービス40-5は「+1」という情報を得る。これにより、導通確認装置10の判定部133は、導通確認パケットが、エッジルータ30→サービス40-1(パケットカウンタの値「+2」)→サービス40-5(パケットカウンタの値「+1」)と流れていることを確認することができる(S16)。
【0049】
つまり、サービス40-1→サービス40-5という経路は、記憶部12に記憶された導通確認の対象となるサービスチェインの経路(サービス40-1→サービス40-5)と同じであるので、判定部133は、各サービス40が運用者の意図する通りにチェイニングされていると判定する。一方、判定部133が、サービス40-1~40-5から取得したパケットカウンタの値に基づき特定した経路が、記憶部12に記憶された導通確認の対象となるサービスチェインの経路(サービス40-1→サービス40-5)と同じではない場合、各サービス40が運用者の意図する通りにチェイニングされていないと判定する。
【0050】
以上説明した導通確認装置10は、SNMPを用いて導通確認パケットの経路を確認するので、各サービス40に、導通確認パケットの到達メッセージを送信するよう設定する必要がなくなる。よって、導通確認装置10は、各サービス40が運用者の意図する通りにチェイニングされているかをより容易に確認することができる。
【0051】
[プログラム]
また、上記の実施形態で述べた導通確認装置10の機能を実現するプログラムを所望の情報処理装置(コンピュータ)にインストールすることによって実装できる。例えば、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして提供される上記のプログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置を導通確認装置10として機能させることができる。ここで言う情報処理装置には、デスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータ、ラック搭載型のサーバコンピュータ等が含まれる。また、その他にも、情報処理装置にはスマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)等がその範疇に含まれる。また、導通確認装置10を、クラウドサーバに実装してもよい。
【0052】
図6を用いて、上記の導通確認プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
図6に示すように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0053】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011およびRAM(Random Access Memory)1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。ディスクドライブ1100には、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース1050には、例えば、マウス1110およびキーボード1120が接続される。ビデオアダプタ1060には、例えば、ディスプレイ1130が接続される。
【0054】
ここで、
図6に示すように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093およびプログラムデータ1094を記憶する。前記した実施形態で説明した各種データや情報は、例えばハードディスクドライブ1090やメモリ1010に記憶される。
【0055】
そして、CPU1020が、ハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した各手順を実行する。
【0056】
なお、上記のプログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、上記のプログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、LANやWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 導通確認装置
11 入出力部
12 記憶部
13 制御部
131 パケット生成部
132 メッセージ受信部
133 判定部