(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、画像形成方法および印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20221206BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G03G9/097 375
G03G9/097 346
G03G9/087 331
(21)【出願番号】P 2019030686
(22)【出願日】2019-02-22
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】荻野 弘太郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅之
(72)【発明者】
【氏名】柿本 眞行
(72)【発明者】
【氏名】杉本 正一
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-130202(JP,A)
【文献】特開2017-102392(JP,A)
【文献】特開2005-250051(JP,A)
【文献】特開平06-095425(JP,A)
【文献】特表2005-501282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08-9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂
および帯電制御剤を含むトナー母体粒子と外添剤とを含有するトナーであって、
前記外添剤が無機微粒子を含み、
前記無機微粒子の一次粒子の
円相当径の個数基準の粒度分布において、5nm~50nmの間にピークを複数有し、
前記ピークの中で、最も高いピークをピークn1、二番目に高いピークをピークn2、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)をn1d、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)をn2d、前記ピークn1の頂点の高さをn1h、前記ピークn2の頂点の高さをn2hとしたときに、下記数式(1)~(3)をすべて満たす
とともに、
前記n1dは、15nm以上50nm以下であり、
前記n2dは、5nm以上50nm未満であり、
前記n1dと前記n2dの差は、10nm以上45nmであり、
前記結着樹脂がポリエステル樹脂を含み、
前記無機微粒子がシリカであり、
前記トナーの重量平均粒径が4μm以上10μm以下であることを特徴とするトナー。
n1d>n2d (1)
10<(n1d+n2d) (2)
30≦{(n2h/n1h)×100}<100 (3)
【請求項2】
前記シリカの含有量が、トナーに対して1質量%以上5質量%以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記外添剤が、平均粒径の異なる
シリカを2種以上含
み、これらシリカの一次粒子の円相当径の個数基準の粒度分布において、5nm~50nmの間にピークを複数有し、前記数式(1)~(3)をすべて満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載のトナーを収容することを特徴とするトナー収容ユニット。
【請求項6】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、
該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有し、
前記現像剤が、請求項1~3のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、
該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着工程とを有し、
前記現像剤が、請求項1~3のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
請求項6に記載の画像形成装置を用い、請求項1~3のいずれかに記載のトナーによるトナー画像を記録媒体上に形成する工程を有することを特徴とする印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、画像形成方法および印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真装置、静電記録装置等において、電気的潜像または磁気的潜像は、静電荷現像用トナー(本発明では「トナー」ともいう)によって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像潜像を形成し、次いで、該静電荷像潜像をトナーを用いて現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで、加熱等の方法で定着される。
近年、画像形成装置の使用目的が多様化しており画像形成装置の高速化、小型化がより一層求められている。それに伴い、画像形成装置内のトナーにかかるストレスが増加し、感光体への汚染の抑制や現像ローラ上に長期的に安定してトナー層を形成することが難しくなっている。
【0003】
トナーの耐ストレス性の向上を目的とし、小粒径の金属酸化物微粒子と大粒径の金属酸化物微粒子を併用しトナー母体粒子に外添し、大粒径の金属酸化物微粒子のスペーサー効果により小粒径の金属酸化物微粒子が画像形成装置内のストレスによりトナー表面に埋没するのを防ぐトナーが既に知られている。
しかし、近年要求されるさらに高い耐ストレス性を保有するトナー、つまり、現像ローラー上に搬送されるトナー量の安定性と感光体への汚染の抑制という観点からは十分満足のいくトナーは得られていないのが現状である。
【0004】
下記特許文献1には、優れた流動性、帯電性、耐久性をトナーに付与できる疎水性無機微粒子を提供する目的で、小粒径無機微粒子と大粒径無機微粒子の混合物を同一の処理槽内で攪拌しながら疎水化処理を行う疎水性無機微粒子の製造方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1に開示された技術では、画像形成装置の高速化および小型化に伴い要求されるレベルの高い耐ストレス性をトナーに付与することが今だ達成されていない。
【0006】
したがって本発明の目的は、現像ローラー上に搬送されるトナー量の安定性に優れ、かつ静電潜像担持体への汚染を十分に抑制できるトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、下記構成1)により解決される。
1)結着樹脂および帯電制御剤を含むトナー母体粒子と外添剤とを含有するトナーであって、
前記外添剤が無機微粒子を含み、
前記無機微粒子の一次粒子の円相当径の個数基準の粒度分布において、5nm~50nmの間にピークを複数有し、
前記ピークの中で、最も高いピークをピークn1、二番目に高いピークをピークn2、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)をn1d、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)をn2d、前記ピークn1の頂点の高さをn1h、前記ピークn2の頂点の高さをn2hとしたときに、下記数式(1)~(3)をすべて満たすとともに、
前記n1dは、15nm以上50nm以下であり、
前記n2dは、5nm以上50nm未満であり、
前記n1dと前記n2dの差は、10nm以上45nmであり、
前記結着樹脂がポリエステル樹脂を含み、
前記無機微粒子がシリカであり、
前記トナーの重量平均粒径が4μm以上10μm以下であることを特徴とするトナー。
n1d>n2d (1)
10<(n1d+n2d) (2)
30≦{(n2h/n1h)×100}<100 (3)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像ローラー上に搬送されるトナー量の安定性に優れ、かつ静電潜像担持体への汚染を十分に抑制できるトナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】プロセスカートリッジの一実施形態を説明するための図である。
【
図2】本発明の画像形成装置の一実施形態を説明するための図である。
【
図3】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
【
図4】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
【
図5】画像形成ユニットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂を含むトナー母体粒子と外添剤とを含有し、
前記トナー母体粒子を被覆する外添剤は無機微粒子を含み、
前記無機微粒子は、その一次粒子の粒度分布において、5nm~50nmの間にピークを複数有し、
前記ピークの中で、最も高いピークをピークn1、二番目に高いピークをピークn2、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)をn1d、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)をn2d、前記ピークn1の頂点の高さをn1h、前記ピークn2の頂点の高さをn2hとしたときに、下記数式(1)~(3)をすべて満たすことを特徴とする。
n1d>n2d (1)
10<(n1d+n2d) (2)
30≦{(n2h/n1h)×100}<100 (3)
【0011】
前記数式(1)~(3)は、外添剤である無機微粒子が、小粒径と大粒径の2種を少なくとも含み、該外添剤において、大粒径の無機微粒子が小粒径の無機微粒子よりも多く含まれていることを意味している。
従来技術では、小粒径の無機微粒子に耐ストレス性付与の役割を担わせ、そこに大粒径の無機微粒子をスペーサーとして添加して小粒径の無機微粒子がトナー表面に埋没するのを防止していた。そのため、小粒径の無機微粒子は大粒径の無機微粒子よりも多く添加される。しかし小粒径の無機微粒子の埋没を十分に抑制するのは従来技術では困難であった。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、大粒径の無機微粒子であっても、その添加量を特定の範囲に設定すれば、トナーの耐ストレス性を向上でき、かつ静電潜像担持体への汚染を十分に抑制できることを知見し、該知見に基づいて本発明を完成するに至った。大粒径の無機微粒子は、トナー表面に埋没しにくく、当該効果を十分に発揮することが可能である。
【0012】
本発明で言う無機微粒子の粒度分布とは、その一次粒子を対象とする個数基準の粒度分布であって、以下の工程(1)~(3)を順次経ることにより測定することができる。
(1)トナー表面に無機微粒子が付着した状態で、走査型電子顕微鏡 SU8200シリーズ(株式会社日立ハイテクノロジーズ社)を用いてトナーの画像を得る。
(2)得られた画像を画像処理ソフトA像君(旭化成エンジニアリング株式会社)で二値化し、無機微粒子の円相当径を算出する。無機微粒子の円相当径は1000粒子分測定する。
(3)次に下記の式に従い階級の数を決定し、ヒストグラムを作成し粒度分布を得る。
階級の数=1+log2n(nは無機微粒子の円相当径のデータ数を示す)
【0013】
本発明に使用される無機微粒子としては、上述のように、その一次粒子の粒度分布において、5nm~50nmの間にピークを複数有し、前記数式(1)~(3)をすべて満たすものであるが、具体的には、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)であるn1dは、15nm~50nmが好ましく、20nm~40nmがさらに好ましい。また、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)であるn2dは、5nm~50nmが好ましく、10nm~20nmがさらに好ましい。
【0014】
また、n1dとn2dの差は、10nm~45nmが好ましく、13nm~30nmがさらに好ましい。
【0015】
また、本発明の効果向上の観点から、前記数式(2)および(3)のさらに好ましい形態は、下記数式(20)および(30)で表される。
20<(n1d+n2d) (20)
40<{(n2h/n1h)×100}<90 (30)
【0016】
本発明において、無機微粒子の一次粒子の粒度分布において、5nm~50nmの間にピークを複数有し、かつ前記数式(1)~(3)をすべて満たすようにするための手段としては、例えば、平均粒径の異なる2種以上の無機微粒子を用意し、当該条件を満たすようにその配合量を調整する等の手段が挙げられる。なお、無機微粒子は、同種であることが好ましい。
【0017】
本発明で使用される無機微粒子の種類としては、とくに制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。中でも耐ストレス性の向上の観点から、シリカ(疎水性シリカを含む)、アルミナおよびチタニアから選択された少なくとも1種が好ましい。
【0018】
無機微粒子は、疎水化処理することもできる。疎水化処理は、例えば、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。また無機微粒子をシリコーンオイルで熱処理し、疎水化処理することもできる。
【0019】
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0020】
無機微粒子は、市販されているものを利用することができる。例えばシリカとして、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル社製)などが挙げられる。また、チタニアとしては、例えばP-25(日本アエロジル社製)、STT-30、STT-65C-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-140(富士チタン工業株式会社製)、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。疎水化処理されたチタニア微粒子としては、例えば、T-805(日本アエロジル株式会社製)、STT-30A、STT-65S-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-500T、TAF-1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT-100S、MT-100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT-S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
【0021】
無機微粒子のBET法による比表面積は、耐ストレス性向上の観点から、20m2/g~500m2/gであることが好ましく、30m2/g~400m2/gであることがさらに好ましい。
【0022】
なお、外添剤としては前記無機微粒子以外にも、例えば脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、フルオロポリマー等を併用することもできる。
【0023】
また本発明のトナーにおいて、無機微粒子の割合は、例えば1~5質量%であり、1.5~4質量%が好ましい。
【0024】
(トナー母体粒子)
本発明におけるトナー母体粒子は結着樹脂を含むものであり、トナー母体粒子の材料に関しては公知のものが使用可能である。
【0025】
[結着樹脂]
結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリp-クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、単独又は混合して使用することができる。
【0026】
[着色剤]
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物を使用することができる。その使用量は、一般に結着樹脂100質量部に対し、0.1~50質量部である。
【0027】
[帯電制御剤]
帯電制御剤としても公知のものが使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等を挙げることができる。
【0028】
本発明における荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一律に決定されるものではないが、好ましくは、結着樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部の範囲で用いられ、好ましくは、2~5質量部の範囲である。また、必要に応じて、複数の帯電制御剤と併用してもよい。
【0029】
[離型剤]
本発明では、トナーに離型性を付与するために離型剤を用いてもよい。用いられる離型剤の軟化点は70~100℃が好ましい。
【0030】
離型剤としては、低分子量のポリエチレンやポリプロピレン、それらの共重合体等の合成ワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバワックス等の植物ワックス、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう等の動物ワックス、モンタンワックスやオゾケライト等の鉱物ワックス、硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステル等の油脂ワックス等が挙げられる。
【0031】
ワックスを化学構造の点からみると、炭化水素系のワックス、エステル系のワックス、アミド系のワックス等が知られているが、エステル系のワックスが、保存性や画像品質、定着温度幅等から評価すると好適である。
【0032】
離型剤の量は、トナー全体に対して、1~6質量部が好適である。
【0033】
本発明におけるトナーの製造方法は、従来公知の方法でよく、トナー原材料の混合、混練、圧延冷却、粉砕、分級の各工程を経る製造方法が挙げられ、例えば、原材料混合後、これを2軸混練機で混練、ベルト式冷却機にて冷却、ジェットミルで粉砕し、分級してトナーが得られる。
トナーの重量平均粒径は、4μm~10μmが好ましく、5μm~8μmがさらに好ましい。
【0034】
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明のトナーを含有するものであり、例えば乾式一成分現像剤(一成分現像剤)及び乾式二成分現像剤(2成分現像剤)として使用できる。乾式二成分現像剤として使用する場合、キャリア並びに本発明のトナーの使用量としては、トナー粒子がキャリア粒子のキャリア表面に付着して、たとえば、その表面積の30~90%を占める程度に両粒子を混合するのが好ましい。
使用されるキャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ等の従来知られているものを用いることができる。なお、これらキャリアは樹脂により被覆したものであってもよい。この場合、使用される樹脂は、ポリ弗化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコーン樹脂等である。
いずれの場合でも、トナーとキャリアとの混合割合は、キャリア100質量部に対し、トナー0.5~6.0質量部程度が適当である。
【0035】
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、さらに帯電手段、露光手段及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えていてもよい。
【0036】
次に、前記プロセスカートリッジの一実施形態を
図1に示す。本実施形態のプロセスカートリッジは、
図1に示すように、静電潜像担持体101を内蔵し、帯電装置102、現像装置104、クリーニング部107を含み、さらに必要に応じてその他の手段を有する。
図1中、符号103は露光装置からの露光、符号105は記録紙をそれぞれ示す。
静電潜像担持体101としては、後述する画像形成装置と同様なものを用いることができる。また帯電装置102には、任意の帯電部材が用いられる。
図1に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて説明する。静電潜像担持体101は、時計回りに回転しながら、帯電装置102による帯電、露光手段(図示せず)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置104でトナー現像され、該トナー現像は転写ローラ108により、記録紙105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の潜像担持体表面は、クリーニング部107によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【0037】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明に用いられる画像形成方法は、現像剤によって画像を形成する工程を有し、静電潜像形成工程(帯電工程と露光工程)と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを有し、さらに必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段(帯電手段と露光手段)と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する。さらに必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。
本発明の前記方法および装置は、現像剤が本発明のトナーを含むことを特徴とする。
【0038】
-静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段-
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、等が挙げられる。これらの中でも、より高精細な画像が得られる点で、有機感光体(OPC)が好ましい。
【0039】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電手段(帯電器)と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光手段(露光器)とを少なくとも備える。
【0040】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
【0041】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0042】
-現像工程及び現像手段-
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナーを用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナーを用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適であり、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
【0043】
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するもの等が好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0044】
-転写工程及び転写手段-
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0045】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0046】
-定着工程及び定着手段-
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、等が挙げられる。
前記定着装置が、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する手段であることが好ましい。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃~200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0047】
-その他の工程及びその他の手段-
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0048】
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0049】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、各工程は制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0050】
図2に、本発明の画像形成装置の第一例を示す。画像形成装置100Aは、感光体ドラム10と、帯電ローラ20と、露光装置と、現像装置40と、中間転写ベルト50と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電ランプ70とを備える。
【0051】
中間転写ベルト50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。3個のローラ51の一部は、中間転写ベルト50に転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラとしても機能する。また、中間転写ベルト50の近傍に、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。さらに、転写紙95にトナー像を転写するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することが可能な転写ローラ80が中間転写ベルト50と対向して配置されている。また、中間転写ベルト50の周囲には、中間転写ベルト50に転写されたトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電装置58が、中間転写ベルト50の回転方向に対して、感光体ドラム10と中間転写ベルト50の接触部と、中間転写ベルト50と転写紙95の接触部との間に配置されている。
【0052】
現像装置40は、現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cから構成されている。なお、各色の現像ユニット45は、現像剤収容部42、現像剤供給ローラ43及び現像ローラ(現像剤担持体)44を備える。また、現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。さらに、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
【0053】
次に、画像形成装置100Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)を用いて、感光ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。さらに、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写ベルト50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ80から印加された転写バイアスにより、転写紙95上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写ベルト50に転写された感光体ドラム10は、表面に残留したトナーがクリーニング装置60により除去された後、除電ランプ70により除電される。
【0054】
図3に、本発明で用いられる画像形成装置の第二例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
【0055】
図4に、本発明で用いられる画像形成装置の第三例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
【0056】
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。
【0057】
また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。さらに、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と23の間で接触することができる。
【0058】
また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0059】
次に、画像形成装置100Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
【0060】
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、
図5に示すように、それぞれ、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ160と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、各色の静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置61と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ62と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置63と、除電ランプ64とを備える。
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
【0061】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0062】
次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
【0063】
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
【0064】
本発明の印刷方法は、前記本発明の画像形成装置を用い、前記本発明のトナーによるトナー画像を記録媒体上に形成する工程を有する。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。なお、例中の記載において、特に断りのない限り単に「部」と表記されている場合は「質量部」を示すものとする。
【0066】
(無機微粒子1の製造)
-シリカ粒子の製造-
シリカ化合物であるオクタメチルシクロテトラシロキサンを加熱気化させて、酸素と窒素を混合した後、同心円三重管バーナの中心管に導入した。水素と窒素を混合し、これを中心管の外周に配置した第二環状管に導入した。さらに、空気を第二環状管の外周に配置した第三環状管に導入した。これらの燃焼によって得られたシリカ粒子を、金属フィルターを用いて捕集し、回収した。
-表面処理-
上記により得られたシリカ粒子を流動層反応器に入れ、窒素雰囲気下、ジメチルシリコーンオイルを8g/分の割合で250℃に加熱された流動層反応器中に40分間供給し、シリカ粒子表面に疎水化処理を施した。
【0067】
得られた無機微粒子1の体積平均粒径は26nm、BET比表面積は50m2/gであった。
【0068】
(無機微粒子2の製造)
無機微粒子1と同様の方法で、体積平均粒径12nm、BET比表面積300m2/gの無機微粒子2を得た。
【0069】
(実施例1)
-トナー母体粒子の作製-
ポリエステル樹脂 87部
ライスワックス(TOWAX-3F16、東亜化成社製) 3部
カーボンブラック(#44、三菱化成社製) 8部
アゾ鉄化合物(保土谷化学社製T-77) 2部
前記処方のトナー原材料を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM-30)を用いて120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物はローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm~300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS-I)により重量平均粒径が5.8±0.2μmとなるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を得た。
【0070】
-トナーの作成-
上記トナー母体粒子100部に対し、無機微粒子1を1.00部、無機微粒子2を0.03部を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌混合し、実施例1のトナーを作製した。
【0071】
-無機微粒子の粒度分布の測定-
以下の工程(1)~(3)を順次経ることにより、無機微粒子の一次粒子の個数基準の粒度分布を測定した。
(1)トナー表面に無機微粒子が付着した状態で、走査型電子顕微鏡 SU8200シリーズ(株式会社日立ハイテクノロジーズ社)を用いてトナーの画像を得る。
(2)得られた画像を画像処理ソフトA像君(旭化成エンジニアリング株式会社)で二値化し、無機微粒子の円相当径を算出する。無機微粒子の円相当径は1000粒子分測定する。
(3)次に下記の式に従い階級の数を決定し、ヒストグラムを作成し粒度分布を得る。
階級の数=1+log2n(nは無機微粒子の円相当径のデータ数を示す)
【0072】
得られた粒度分布から、5nm~50nmの間にピークが2個あることを確認した。
また、前記ピークの中で、最も高いピークをピークn1、二番目に高いピークをピークn2、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)をn1d、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)をn2d、前記ピークn1の頂点の高さをn1h、前記ピークn2の頂点の高さをn2hとしたときに、n1dは25nm、n2dは12nmであった。{(n2h/n1h)×100}は30であった。詳細を表1に示す。
【0073】
(実施例2~実施例7および比較例1~2)
実施例1において、無機微粒子2の添加量を下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返し、各種トナーを得た。
【0074】
【0075】
(現像ローラー上に搬送されるトナー量の安定性評価)
前記トナーを、株式会社リコー製のIPSiO SP C220に入れ、紙(株式会社リコー製 Type6200、A4版)にて2,000枚の白紙通紙試験を行い、500枚目と2000枚目の画像印刷時に現像ローラー上のトナーを真空ポンプで吸引し、フィルター(GEヘルスケア・ジャパン製定性濾紙(Whatmanグレード1))を用いて捕集する。この時、捕集したトナーの重量を吸引したトナーの面積で除すことで単位面積当たりのトナー重量を算出する。500枚目の印刷時の単位面積当たりのトナー重量をA、2000枚目の印刷時の単位面積当たりのトナー重量をBとしたときの|A-B|/A×100の数値を算出した。評価基準は下記のとおりである
-現像ローラー上に搬送されるトナー量の安定性評価基準-
3:90以上
2:80以上90未満
1:80未満
【0076】
(感光体への汚染評価)
前記トナーを、株式会社リコー製のIPSiO SP C220に入れ、紙(株式会社リコー製 Type6200、A4版)にて2,000枚の白紙通紙試験を行う。2000枚目の白紙印字中に停止させ、感光体露出部全面にスコッチテープを貼り、剥がしたスコッチテープをリコー社製タイプ6000T目紙に貼り保管した。そのテープ上をX-rite(ビデオジェット・エックスライト社製)によりL*を測定した。 評価基準は下記の通りである。
-感光体への汚染評価基準-
3:92以上
2:91.5以上92未満
1:91.5未満
【0077】
結果を表2に示す。
【0078】
【0079】
表2の結果から、実施例のトナーは、現像ローラー上に搬送されるトナー量の安定性に優れ、かつ感光体への汚染を十分に抑制できることが確認された。
【符号の説明】
【0080】
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 ローラ
15 ローラ
16 ローラ
17 クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック現像ユニット
45Y イエロー現像ユニット
45M マゼンタ現像ユニット
45C シアン現像ユニット
49 レジストローラ
50 中間転写ベルト
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電装置
60 クリーニング装置
61 現像装置
62 転写ローラ
63 感光体クリーニング装置
64 除電ランプ
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100A、100B、100C 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電装置
103 露光装置からの露光
104 現像装置
105 記録紙
107 クリーニング部
108 転写ローラ
120 画像形成ユニット
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電ローラ
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】