(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】トナー、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/09 20060101AFI20221206BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20221206BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20221206BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G03G9/09
G03G9/08
G03G9/08 391
G03G9/087 331
G03G9/097 365
G03G9/097 368
(21)【出願番号】P 2021208359
(22)【出願日】2021-12-22
(62)【分割の表示】P 2017078710の分割
【原出願日】2017-04-12
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】澤田 豊志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一己
(72)【発明者】
【氏名】松下 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】内藤 雄
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-015171(JP,A)
【文献】特開平01-241566(JP,A)
【文献】特開平07-020653(JP,A)
【文献】特開2010-204568(JP,A)
【文献】特開2015-161887(JP,A)
【文献】特開2015-101723(JP,A)
【文献】特表2002-504616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリエステルを含有する結着樹脂、及び着色剤を含有するトナーであって、
前記着色剤が、ソルベントレッド49を含有し、前記ソルベントレッド49に加えて、さらにピグメントイエロー101を含有し、
前記トナーの酸価が9.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記結着樹脂が、クロロホルム不溶分を有する樹脂を含有し、前記クロロホルム不溶分を有する樹脂の酸価が20mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーが、内添用無機微粒子を含有する請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
【請求項4】
前記トナーが、離型剤を含有し、
前記トナー中の前記結着樹脂と前記離型剤とを合わせた含有量に対する、前記ソルベントレッド49の含有量が、0.5質量%~2.0質量%である請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
【請求項5】
前記トナーが、離型剤を含有し、
前記トナー中の前記結着樹脂と前記離型剤とを合わせた含有量に対する、前記ピグメントイエロー101の含有量が、0.1質量%~0.5質量%である請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のトナーを収容した、トナー収容ユニット。
【請求項7】
静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含み、
前記トナーが、請求項1から5のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含み、
前記トナーが、請求項1から5のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によりフルカラー画像を形成するには、3色プロセスカラー(単にプロセスカラーと称する場合もある)である、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーにブラックトナーを組み合わせたトナーセットを用いることが一般的である。
【0003】
フルカラー画像を形成するに際してのトナーの現像順序に限定はないが、例えば、原稿からの光を色分解フィルターを通して感光体上に露光するか、あるいはスキャナーで読み取った像をレーザーで感光体上に書き込み露光して、該感光体上にイエロー画像部の静電潜像を形成する。この静電潜像をイエロートナーで現像して得られたイエロートナー画像を紙等の記録媒体に転写する。次いで、同様の工程によりマゼンタトナー、シアントナー及びブラックトナーを用いて得られたマゼンタトナー画像、シアントナー画像、及びブラックトナー画像を順次イエロートナー画像上に重ね合わせることにより、フルカラー画像が形成される。
【0004】
近年、電子写真式のカラー画像形成装置が広く普及するに従い、その用途も多種多様に広がり、その画像品質への要求も厳しくなってきている。特にデザイン、広告の分野などでは、従来のプロセスカラーの組み合わせでは再現できない色へのニーズが高まっており、具体的には蛍光ピンク色などの蛍光色へのニーズが高まっている。
【0005】
これに対して、二種の蛍光着色剤を併用することで蛍光発色性を高めた蛍光性水性インクが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のプロセスカラーでは再現できない高い蛍光性を有する蛍光ピンク色を再現できるトナーであって、耐高温高湿保存性にも優れたトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。 即ち、
本発明のトナーは、
少なくともポリエステルを含有する結着樹脂、及び着色剤を含有するトナーであって、前記着色剤が、ソルベントレッド49を含有し、前記ソルベントレッド49に加えて、さらにピグメントイエロー101を含有し、前記トナーの酸価が9.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来のプロセスカラーでは再現できない高い蛍光性を有する蛍光ピンク色を再現できるトナーであって、耐高温高湿保存性にも優れたトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の画KOH/g像形成装置の一例における要部構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の画像形成装置の一例における他の要部構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
蛍光着色剤の大部分は染料であるため、上記特許文献1のような水性インクの場合とは異なり、トナーの場合、蛍光色を発色させるためには、蛍光色を示す着色剤(染料)をトナーの結着樹脂(バインダー樹脂)に相溶させる必要がある。
【0011】
従来知られているトナーでは、市場要求に耐えうる十分な蛍光発色性のあるトナーは得られていなかった。
【0012】
そこで、本発明者らは、高い蛍光性を有するトナー、特に蛍光ピンク色を発現できるトナーについて鋭意検討した。その結果、ソルベントレッド49を含有する蛍光色を示す着色剤(染料)を酸価の値が特定の範囲にあるトナーに含有させたトナーが、ソルベントレッド49とトナーの結着樹脂が十分に相溶し、高い蛍光ピンク色を発色できるトナーとなることを見出した。
【0013】
(トナー)
本発明のトナーは、ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤を少なくとも含み、また離型剤や内添用無機微粒子を含んでもよく、更にまた必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
前記着色剤は、ソルベントレッド49を含有し、前記ソルベントレッド49に加えて、さらにピグメントイエロー101を含有する。
前記トナーの酸価は、9.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である。
【0014】
<トナーの酸価>
前記トナーの酸価は、9.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である。
【0015】
前記トナーの酸価が、9.0mgKOH/g以上27mgKOH/g以下であるとより好ましい。
【0016】
本発明者らが検討した結果、ソルベントレッド49と結着樹脂との相溶性は、結着樹脂の酸価によって大きく異なることがわかった。トナーの酸価が、上記した範囲内であれば、ソルベントレッド49と結着樹脂とが十分に相溶し、所望の蛍光性を得ることができることを確認した。
【0017】
トナーの酸価が9.0mgKOH/g未満であると、トナー結着樹脂とソルベントレッド49の相溶度合いが低いためにソルベントレッド49の蛍光発色が弱く画像の蛍光性が低くなる。30.0mgKOH/gより大きいと、高温高湿条件でトナー同士が凝集し、耐高温高湿保存性が悪くなる。
【0018】
トナーの酸価は、トナーの大部分を占める材料である結着樹脂の酸価とほぼ等しいため、結着樹脂の酸価を調整することによりトナーの酸価を調整するとよい。
【0019】
[トナーの酸価の測定]
トナーの酸価の測定は、JIS K0070-1992に記載の測定方法に準拠して以下の条件で測定することができる。尚、結着樹脂の酸価の測定も同様に行うことができる。
【0020】
試料調製:トナーまたは結着樹脂0.5g(酢酸エチル可溶成分では0.3g)をトルエン120mLに添加して室温(23℃)で約10時間攪拌して溶解する。更にエタノール30mLを添加して試料溶液とする。
【0021】
測定は前記装置にて計算することが出来るが、具体的には次のように行う。あらかじめ標定されたN/10苛性カリ~アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求める。
【0022】
酸価=KOH(mL数)×N×56.1/試料質量(ただしNはN/10KOHのファクター)
【0023】
<着色剤>
前記着色剤は、蛍光ピンク色を呈する着色剤としてソルベントレッド49を含有する。
【0024】
さらに、本発明においては、トナーの蛍光性を増すためにソルベントレッド49に加え、イエロー顔料を含有する。前記イエロー顔料としては、ピグメントイエロー101が挙げられる。
【0025】
ピグメントイエロー101は、蛍光性を有する唯一の顔料であり、結着樹脂と相溶しないことから、ピグメントレッド101を加えて蛍光性を得てもトナーの耐高温高湿保存性が低下することはない。一方、染料であるソルベントレッド49は、特定の酸価の値を示す結着樹脂と相溶することによって蛍光性を得ることができるが、その量が多すぎると耐高温高湿保存性の低下を招くことになる。
【0026】
そこで、ソルベントレッド49とピグメントイエロー101とを組み合わせて含有させると、両者の特徴が補い合い、高い蛍光性と耐高温高湿保存性を両立させることができる。
【0027】
ソルベントレッド49は、250nm~270nm、及び520nm~570nmの光を吸収して580nm~640nmの蛍光を発する。一方、ピグメントイエロー101は、230nm~240nm、及び470nm~500nmの光を吸収して400nm~450nm、及び500nm~600nmの蛍光を発する。
【0028】
したがって、ソルベントレッド49にピグメントイエロー101を組み合わせて用いた場合には、紫外領域においてそれぞれの蛍光着色剤が重複することなく励起光を吸収して蛍光を発する一方で、ピグメントイエロー101から発せられた500nm~600nmの蛍光は、さらにソルベントレッド49の励起光として利用される。この結果、ソルベントレッド49に起因する580nm~640nmの極めて蛍光強度の高い蛍光が観察されることとなる。
【0029】
本発明のトナーにおける前記着色剤の含有量としては、前記トナー中の前記結着樹脂と前記離型剤との合計量を100質量部としたときに(但し、離型剤を含有しない場合には、トナー中の結着樹脂を100質量部としたとき、と読み替える)、ソルベントレッド49の含有量が0.5質量部~2.0質量部であることが好ましい。
【0030】
0.5質量部以上であれば、蛍光ピンク色が薄いことにより、所望の色特性を得ようとトナー付着量を多くすることにより、粒状度や細線再現性などの画質が悪化するという問題を有効に防止することができる。2.0質量部以下であれば、トナーの帯電特性が不安定となったり、トナーの熱物性に影響を与え定着性が低下するという問題を有効に防止することができる。
【0031】
ソルベントレッド49の含有量は、1.0質量部~2.0質量部であることがより好ましい。
【0032】
また、ピグメントイエロー101の含有量は、前記トナー中の前記結着樹脂と前記離型剤との合計量を100質量部としたときに(但し、離型剤を含有しない場合には、トナー中の結着樹脂を100質量部としたとき、と読み替える)、0.1質量部~0.5質量部であることが好ましい。0.1質量部以上であれば、蛍光強度の増幅効果が得られず、充分な蛍光強度が得られないという問題を有効に防止することができる。また、0.5質量部以下であれば、画像の黄色色が強くなりすぎるという問題を有効に防止することができる。
【0033】
ピグメントイエロー101の含有量は、0.25質量部~0.5質量部であることがより好ましい。
【0034】
<結着樹脂>
本発明において、トナー材料として用いられる前記結着樹脂(定着用樹脂)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、従来公知の樹脂を使用することができる。
【0035】
例えば、スチレン、ポリ-α-スチルスチレン、スチレン-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-塩化ビニル共重合体、スチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン-エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられる。また、これら樹脂の製造方法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合いずれも使用できる。
【0036】
本発明においては結着樹脂(定着用樹脂)としてポリエステル樹脂を含有することが好ましく、特にポリエステル樹脂を主成分とすることがより好ましい。ポリエステル樹脂は一般的に他の樹脂に比べ、耐高温高湿保存性を維持したまま低温定着が可能であるため本発明には適した結着樹脂である。
【0037】
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られる。
【0038】
使用されるアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1、4-ビス(ヒドロキシメタ)シクロヘキサン、およびビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。
【0039】
また、カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0040】
ここで、ポリエステル樹脂のTgは50℃~75℃が好ましい。
【0041】
尚、本発明のトナーは、前記結着樹脂のうち、クロロホルム不溶分を有する樹脂を含有することが好ましい。前記クロロホルム不溶分を有する樹脂が、クロロホルム不溶分を有するポリエステル樹脂であるとより好ましい。
【0042】
前記クロロホルム不溶分を有する樹脂の酸価としては、20mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0043】
クロロホルム不溶分を有する樹脂は、クロロホルム不溶分を有さない樹脂に比べてソルベントレッド49と相溶した際の耐高温高湿保存性の低下が生じにくく、高温高湿条件でトナー同士が凝集するという問題を生じにくい。
【0044】
クロロホルム不溶分を有する樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であれば、トナー結着樹脂とソルベントレッド49の相溶度合いが低いことによるソルベントレッド49の蛍光発色が弱く画像の蛍光性が低くなるという問題を有効に防止することができる。40mgKOH/g以下であれば、高温高湿条件でトナー同士が凝集するという問題を有効に防止することができる。
【0045】
ここで、クロロホルム不溶分とは、結着樹脂1.0gを秤量し、これにクロロホルムを約50g加える。十分に溶解させた溶液を遠心分離で分け、JIS規格(P3801)5種Cの定性濾紙を用いて常温で濾過する。このときの濾紙残渣が不溶分である。
【0046】
<トナーの特性>
<<トナーのガラス転移温度(Tg)及び軟化温度〔T(F1/2)〕>>
前記トナーのガラス転移温度(Tg)及び軟化温度〔T(F1/2)〕は、トナーの耐高温高湿保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましいが、例えば、Tgは、45℃~75℃が好ましく、50℃~60℃がより好ましい。T(F1/2)は、90℃~150℃が好ましく、90℃~130℃がより好ましい。Tg及びT(F1/2)が、前記上限値以下であり、前記値の範囲内であれば、トナーの定着下限温度が高くなることにより、トナーの低温定着性が悪化するという問題を有効に防止することができる。Tg及びT(F1/2)が、前記下限値以上であり、前記値の範囲内であれば、トナーの耐高温高湿保存性、耐ホットオフセット性が悪化するという問題を有効に防止することができる。
【0047】
[Tg、T(F1/2)の測定]
Tgの測定にあたっては、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミニウムパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をTgとする。
【0048】
T(F1/2)の測定にあたっては、フローテスター(島津製作所製、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度をT(F1/2)とする。
【0049】
<<トナー分子量>>
本発明のトナーは、重量平均分子量(Mw)が6,000~12,000であると好ましく、7,000~10,000であるとより好ましい。重量平均分子量が6,000以上であれば、トナーのガラス転移温度が低くなり、トナーとしての保存性が悪くなってしまい、保存環境でトナーが凝集してしまうという問題を有効に防止することができる。また、高温での粘弾性が低くなりすぎ、耐ホットオフセット性が損なわれてしまうという問題を有効に防止することができる。重量平均分子量が12,000以下であれば、粘弾性が高くなり、延展性が劣り、低温定着性と光沢性が損なわれるという問題を有効に防止することができる。
【0050】
本発明におけるトナーの重量平均分子量は、THF溶解分の分子量分布をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定装置GPC-150C(ウォーターズ社製)によって測定することで得られる。
【0051】
測定は、カラム(KF801~807:ショウデックス社製)を使用し、以下の方法で行う。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mLの流速で流す。次いで、試料0.05gをTHF5gに十分に溶かした後、前処理用フィルター(例えば、孔径0.45μmクロマトディスク(クラボウ製))で濾過し、最終的に試料濃度として0.05質量%~0.6質量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50μL~200μL注入して測定する。
【0052】
試料のTHF溶解分の重量平均分子量Mw、個数平均分子量Mnの測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
【0053】
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressureChemical Co.、あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0054】
<トナーの各成分分析>
<<GC-MSによる成分分析による蛍光着色剤の分析について>>
トナー中の蛍光着色剤の存在の確認、定量は以下の手順・装置・条件により行うことができる。
〔試料処理〕
約1mg程度の試料にメチル化剤〔テトラメチルアンモニウムヒドロキシド20%メタノール溶液:TMAH〕を約1μL滴下した物を試料とした。
〔測定〕
熱分解-ガスクロマトグラフ質量分析(Py-GCMS)計
分析装置 :島津製作所製QP2010
加熱炉 :フロンティア・ラボ製Py2020D
加熱温度 :320℃
カラム :Ultra ALLOY-5L=30m I.D=0.25mm
Film=0.25μm
カラム温度 :50℃(保持1分)~昇温(10℃/分)~340℃(保持7分)
スプリット比 :1:100
カラム流量 :1.0mL/min
イオン化法 :EI法(70eV)
測定モード :スキャンモード
検索用データ :NIST 20 MASS SPECTRAL LIB.
【0055】
<<NMRによる成分分析による蛍光着色剤の分析について>>
トナー中の蛍光着色剤の存在の確認、定量は以下の手順・装置・条件により行うことができる。
[試料調製]
(1)1H-NMR用
試料約40mg~50mgをTMSを含む約0.7mL(d=1.48)のCDCl3に溶解させたものを用いる。
(2)13C-NMR用
試料約250mg~260mgをTMSを含む約0.7mL(d=1.48)のCDCl3に溶解させたものを用いる。
[分析装置・測定条件]
日本電子製 ECX-500 NMR 装置
(1)測定核=1H(500MHz)、測定パルスファイル=single pulse.ex2(1H)、45°パルス
積算 16回、Relaxation Delay 5 秒、データポイント32K、観測幅=15ppm
(2)測定核=13C(125MHz)、測定パルスファイル=single pulse dec.ex2 (1H), 30°パルス
積算 1000回(RNC-501のみ1039回)、Relaxation Delay 2秒、データポイント32K、
Offset 100ppm 、観測幅=250ppm
【0056】
<離型剤について>
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
トナー層上にさらに画像を作成する等の画像を重ねて作成する場合には、最表面に存在するトナー層(蛍光トナー層)には、特に高い耐ホットオフセット性が求められるが、トナー中に離型剤を含有させると、定着部材との離型性を大きくすることができる。
【0058】
使用できる離型剤としては、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリオレフィンワックス、及びこれらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物などの脂肪族炭化水素、牛脂、魚油などの動物油、やし油、大豆油、菜種油、米ぬかワックス、カルナウバワックスなどの植物油、モンタンワックスなど高級脂肪族アルコール・高級脂肪酸、脂肪酸アマイド、脂肪酸ビスアマイド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛などの金属石鹸、脂肪酸エステル、ポリフッ化ビニリデンなどが使用できるがこれらに限定されるものではない。
【0059】
<内添用の無機微粒子>
本発明のトナーでは、蛍光着色剤と結着樹脂とが相溶することにより、結着樹脂が可塑化し、トナーのガラス転移温度が低下し、その結果トナーがガラス転移温度付近で変形しブロッキングが生じるおそれがある。
【0060】
そこで、本発明のより好ましい態様としては、前記トナーに内添用の無機微粒子を含有させる。無機微粒子をトナーに内添させ、結着樹脂中に無機微粒子を分散させることで、フィラーによる強度向上により、トナーの変形を抑制することができる。これにより耐高温高湿保存性がより確保される。
【0061】
本発明において、内添用の無機微粒子は、他の結着樹脂等のトナー原材料とともに、トナー母体粒子の形成に供される。内添用の無機微粒子は、トナー母体粒子内部に分散されていることから、トナー母体粒子形成後にトナー母体粒子に添加される外添用の無機微粒子(外添剤)とは明確に区別できる。
【0062】
前記内添用の無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、けい砂、クレー、雲母、けい灰石、珪藻土、酸化クロム、酸化セリウム、べんがら、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、などを挙げることができる。中でも、シリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましい。
【0063】
また、無機微粒子は疎水化処理剤により表面処理されたものを使用してもよい。疎水化処理剤としては、たとえばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤などが挙げられる。また、シリコーンオイルを疎水化処理剤として用いても十分な効果が得られる。
【0064】
無機微粒子の一次平均粒子径は、5nm~500nmが好ましく、5nm~200nmがより好ましい。5nm以上であれば、無機微粒子の凝集が発生することにより、トナー中での無機微粒子の均一な分散が行われないという問題を有効に防止することができる。500nm以下であると、フィラー効果による耐高温高湿保存性の向上が期待できる。
【0065】
平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により得られる写真より直接測定することができる。少なくとも100個以上の粒子を観察しその長径の平均値を用いることが好ましい。
【0066】
本発明のトナーにおける前記内添用の無機微粒子の含有量としては、前記トナー中の前記結着樹脂と前記離型剤との合計量を100質量部としたときに(但し、離型剤を含有しない場合には、トナー中の結着樹脂を100質量部としたとき、と読み替える)、内添用の無機微粒子の含有量が0.1質量部~3.0質量部であることが好ましく、0.5質量部~3.0質量部であることがより好ましい。
【0067】
<その他の成分>
本発明のトナーは、例えば、帯電制御剤、外添用の無機微粒子(外添剤)などのその他の成分を含有することもできる。
【0068】
<<帯電制御剤>>
前記トナーは、帯電制御剤を含有することができる。
【0069】
前記帯電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、ホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類、有機金属錯体、キレート化合物、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体、第四級アンモニウム塩がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
【0070】
これらの単独或いは2種類以上を組み合せて用いることができる。
【0071】
これらの帯電制御剤を前記トナーの内部に添加する場合、結着樹脂に対して0.1質量部~10質量部添加することが好ましい。また、帯電制御剤により着色される場合もあるため、ブラックトナーを除いて、できるだけ透明色のものを選定する。
【0072】
<<外添用の無機微粒子>>
本発明に用いられる外添用の無機微粒子(外添剤)は、前記内添用の無機微粒子と同様のものを用いることができる。
【0073】
<トナーの製造方法>
トナーの製造方法は、本発明で規定する上記要件を満たすことができれば公知のものが適宜使用可能である。本発明のトナーの製造方法として、例えば、混練粉砕法や、水系媒体中にてトナー粒子を造粒する、いわゆるケミカル工法が挙げられる。
【0074】
例えば、本発明のトナーを作製するには、まず、結着樹脂、着色剤、必要に応じて離径剤、内添用無機微粒子、更に必要に応じて帯電制御剤などを組み合わせて、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーの如き混合機により十分混合する。次いで加熱ロール、ニーダ、エクストルーダーの如き熱溶融混練機を用いて溶融混練して素材類を十分に混合せしめた後、冷却固化後微粉砕及び分級を行ってトナーを得る。この時の粉砕方法としては高速気流中にトナーを包含させ、衝突板にトナーを衝突させそのエネルギーで粉砕するジェットミル方式やトナー粒子同士を気流中で衝突させる粒子間衝突方式、更には高速に回転したローターと狭いギャップ間にトナーを供給し粉砕する機械式粉砕法等が使用できる。
【0075】
また、本発明のトナーを作製するには、トナー材料を有機溶媒相に溶解または分散させた油相を、水系媒体相中に分散させ、樹脂の反応を行った後、脱溶剤し、濾過と洗浄、乾燥することにより、トナーの母体粒子を製造する溶解懸濁法でも可能である。
【0076】
(現像剤)
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含む。現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
【0077】
好ましい態様として、本発明のトナーをキャリアと混合して二成分現像剤とし、二成分現像方式の電子写真画像形成方法に用いる。
【0078】
二成分現像剤方式を用いる場合、磁性キャリアに用いる磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Zn、Mg、Cu等)を一種又は二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を使用できる。
【0079】
その形状は粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合は鉄等の強磁性微粒子を用いることが好ましい。また、化学的な安定性を考慮するとマグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトを用いることが好ましい。
【0080】
具体的には、MFL-35S、MFL-35HS(パウダーテック社製)、DFC-400M、DFC-410M、SM-350NV(同和鉄粉工業社製)等が好適な例として挙げられる。
【0081】
強磁性微粒子の種類及び含有量を選択することにより所望の磁化を有する樹脂キャリアを使用することもできる。この時のキャリアの磁気特性は1,000エルステッドにおける磁化の強さが30emu/g~150emu/gであることが好ましい。このような樹脂キャリアは磁性体微粒子と絶縁性バインダー樹脂との溶融混練物をスプレードライヤーで噴霧して製造したり、磁性体微粒子の存在下に水性媒体中でモノマーないしプレポリマーを反応、硬化させ縮合型バインダー中に磁性体微粒子が分散された樹脂キャリアを製造できる。
【0082】
磁性キャリアの表面には正または負帯電性の微粒子または導電性微粒子を固着させたり、樹脂をコーティングしたりして帯電性を制御できる。
【0083】
表面のコート材(樹脂)としてはシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられ、さらに正または負帯電性の微粒子または導電性微粒子を含んでコーティングすることができるが、シリコーン樹脂及びアクリル樹脂が好ましい。
【0084】
本発明において、現像装置内に収容される現像剤中のキャリアの質量比率は、85質量%以上98質量%未満であることが好ましい。85質量%以上であると、現像装置からのトナーの飛散が発生しやすくなることによる不良画像の発生を抑制することができる。現像剤中のキャリアの質量比率が98質量%未満であれば、電子写真現像用トナーの帯電量が過度に上昇したり、電子写真現像用トナーの供給量が不足することを抑制でき、画像濃度の低下、不良画像の発生を有効に防止することができる。
【0085】
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。
【0086】
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
【0087】
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
【0088】
プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
【0089】
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、従来のプロセスカラーでは再現できない高い蛍光性を有する蛍光ピンク色を再現できる前記トナーの特徴を活かした画像形成を行うことができる。
【0090】
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
【0091】
本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0092】
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
【0093】
本発明の画像形成装置は、より好ましくは、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含む。
【0094】
また、本発明の画像形成方法は、より好ましくは、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含む。
【0095】
前記現像手段、及び前記現像工程において、前記トナーが使用される。好ましくは、前記トナーを含有し、更に必要に応じて、キャリアなどのその他の成分が含有された現像剤を用いることにより、前記トナー像を形成するとよい。
【0096】
本発明の画像形成装置は、前記現像手段が複数色のトナーの組み合わせからなることが好ましい。複数色のトナーのうち、1つは、前記本発明の蛍光ピンク色トナーが用いられるが、その他には、目的に応じて適宜各色トナーが選択される。
【0097】
例えば、前記現像手段が5つであり、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローのトナーと、前記本発明の蛍光ピンク色トナーの組み合わせからなる態様が好ましい。
【0098】
前記蛍光ピンク色の本発明のトナーに組み合わせて用いられる他の各色トナーとしては、下記に示す非蛍光着色剤含有トナーが挙げられる。
【0099】
例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのプロセスカラートナー、及び白色トナー、グリーントナー、ブルートナー、メタリックトナーなどの特色トナーが挙げられる。
【0100】
これらのトナーに用いられる着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される着色剤を適宜選択して使用することができる。
【0101】
ブラックトナーとしては、カーボンブラック単独もしくはカーボンブラックを主成分として銅フタロシアニンなどを混合し、色相を及び明度を調整したものが好ましい。
【0102】
シアントナーとしては、ピグメントブルー15:3である銅フタロシアニン、もしくは前記着色剤にアルミフタロシアニン混合したものが好ましい。
【0103】
マゼンタトナーとしては、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド81、ピグメントレッド122、ピグメントレッド269を単独、もしくは混合して用いられる。
【0104】
イエロートナーとしては、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185が単独もしくは混合で用いられるが、好ましくはピグメントイエロー185単独もしくはピグメントイエロー74との混合で用いることが彩度、保存性の面から好ましい。
【0105】
白色トナーとしては、二酸化チタンにケイ素、ジルコニア、アルミ、ポリオールなどの表面処理を施したもの等を用いることができる。
【0106】
グリーントナーとしては、ピグメントグリーン7等を用いることができるが、安全面に留意する必要がある。
【0107】
ブルートナーとしては、ピグメントブルー15:1やピグメントバイオレット23等が挙げられる。
【0108】
図1に本実施形態に係る画像形成装置の概略図を示す。
図1では蛍光ピンク色トナーの現像手段は省略されているが、蛍光ピンク色トナーの現像手段も、他のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラック色のトナーの現像手段と同様に設けられている(
図3参照)。
図1の画像形成装置は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、蛍光ピンクの5つのトナー像形成部20Y、C、M、K、Aが並列配置され、各トナー像形成部により形成されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、蛍光ピンク(A)の各色トナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する、いわゆるタンデム型画像形成装置である。なお、各色のトナー像形成部の並びに、特に制限はない。
【0109】
各トナー像形成部20Y、C、M、K、Aは、それぞれ像担持体として回転駆動される感光体ドラム4Y、C、M、K、Aを備えている。また、各感光体ドラム4Y、C、M、K、Aに各色の画像情報に基づいてレーザ光又はLED光により露光して潜像を形成する露光装置45が設けられている。
【0110】
また、各トナー像形成部20Y、C、M、K、Aに対向するように、中間転写体としての中間転写ベルト60が表面移動可能に配設されている。中間転写ベルト60を介して感光体ドラム4Y、C、M、K、Aと相対する位置には、感光体ドラム4Y、C、M、K、A上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト60に転写する一次転写ローラ61Y、C、M、K、Aが配置されている。
【0111】
一次転写ローラ61Y、C、M、K、Aは、後述する各トナー像形成部20Y、C、M、K、Aにより形成された各色トナー像を、中間転写ベルト60上に順次転写し、重ね合わせることによりフルカラー画像を形成する。
【0112】
また、中間転写ベルト60の表面移動方向に関して1次転写ローラ61Y、C、M、K、Aの下流には、中間転写ベルト60上のトナー像を転写紙に一括転写する2次転写装置65が配置されている。さらに、2次転写装置65よりも下流には、中間転写ベルト60表面に残留するトナーを取り除くためのベルトクリーニング装置66が設けられている。
【0113】
画像形成装置の下部には、給紙カセット71、給紙ローラ72等からなる給紙部70が設けられており、レジストローラ73に向かって転写紙を送り出す。レジストローラ73は上記トナー像形成のタイミングに合わせて、中間転写ベルト60と2次転写装置65との対向部に向かって転写紙を送り出す。中間転写ベルト60上のフルカラートナー像は、2次転写装置65により転写紙上に転写され、定着装置90により定着された後に、機外に排出される。
【0114】
次に、各トナー像形成部20Y、C、M、K、Aについて説明する。各トナー像形成部20Y、C、M、K、Aは、収容されるトナーの色が異なる以外は、構成及び動作がほぼ同一であるので、以下の説明では色分け用の添え字Y、C、M、K、Aを省略して、トナー像形成部20構成及び動作について説明する。
図2は、画像形成装置の一実施形態における要部構成を説明するための概略図である。
【0115】
トナー像形成部20の感光体ドラム4の周囲には、帯電装置40、現像装置50、クリーニング装置30等の電子写真プロセスを実行する各手段が配置されており、公知の動作で感光体ドラム4上に各色トナー像を形成する。このようなトナー像形成部20は、一体的に形成され、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0116】
図3に現像手段を5つ備えた画像形成装置の一例における要部構成についての概略図を示す。なお、上記画像形成装置と同様の点についての説明は省略する。
【0117】
本実施形態の画像装置は、感光体5、11、17、23、29を備え、前記感光体の周りには、帯電器6、12、18、24、30と、現像手段8、14、20、26、32と、転写器10、16、22、28、34と、クリーニング装置9、15、21、27、33とを備えており、前記感光体には露光光7、13、19、25、31が照射される。
【0118】
各色の現像ユニットは、前記感光体、前記帯電器、前記現像手段、前記クリーニング装置等を備えている。現像ユニット35は蛍光ピンクトナー、現像ユニット36はブラックトナー、現像ユニット37はシアントナー、現像ユニット38はマゼンタトナー、現像ユニット39はイエロートナーにより、それぞれ作像を行い、中間転写ベルト40に転写し、作像を行う。中間転写ベルト40に作像された画像は、転写装置41により記録媒体に転写され、定着装置43により定着される。
【0119】
なお、本発明においては、前記転写材は、記録媒体、記録材、転写紙、記録用紙などとも称されるが、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
【実施例】
【0120】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。尚、「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
【0121】
(トナー1の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂RN-306(花王社製、酸価2mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.0質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.5質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
上記のトナー原材料を、へンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、一軸混練機(Buss製、コニーダ混練機)で100度~130度の温度で溶融、混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ロートプレックスにて200μm~300μmに粗粉砕した。次いで、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製、100AFG)を用いて、重量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した。その後、気流分級機(株式会社マツボー製、EJ-LABO)で、重量平均粒径が7.0±0.2μm、重量平均粒径/個数平均粒径の比が1.20以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を得た。
【0122】
次いで、トナー母体粒子100部に対し、添加剤(HDK-2000、クラリアント株式会社製)1.0部、及び(H05TD、クラリアント株式会社製)1.0部をヘンシェルミキサーで撹拌混合しトナー1を作製した。
【0123】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー1)の酸価は6.1mgKOH/g、Mwは11461、Tgは56.9℃、T(1/2)は107.6℃であった。
【0124】
(トナー2の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂RN-263(花王社製、酸価7mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.0質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.5質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000)3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー2を製造した。
【0125】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー2)の酸価は9.5mgKOH/g、Mwは7251、Tgは51.75℃、T(1/2)は106.2℃あった。
【0126】
(トナー3の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂RSE-825(三洋化成社製、酸価9mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.0質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.5質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000)3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー3を製造した。
【0127】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー3)の酸価は11.0mgKOH/g、Mwは11700、Tgは53.05℃、T(1/2)は116.4℃であった。
【0128】
(トナー4の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂EXL-101(三洋化成社製、酸価12mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.0質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.5質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー4を製造した。
【0129】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー4)の酸価は13.2mgKOH/g、Mwは7710、Tgは54.16℃、T(1/2)は112.7℃であった。
【0130】
(トナー5の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 31.5質量部
ポリエステル樹脂EXL-101(三洋化成社製、酸価12mgKOH/g) 63.2質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.5質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.25質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー5を製造した。
【0131】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー5)の酸価は15.6mgKOH/g、Mwは9920、Tgは55.19℃、T(1/2)は113.9℃であった。
【0132】
(トナー6の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂EXL-101(三洋化成社製、酸価12mgKOH/g) 52.6質量部
ポリエステル樹脂RN-306(花王社製、酸価2mgKOH/g) 26.3質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 2.0質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.25質量部
内添シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー6を製造した。
【0133】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー6)の酸価は10.2mgKOH/g、Mwは8563、Tgは58.44℃、T(1/2)は113.7℃であった。
【0134】
(トナー7の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 52.6質量部
ポリエステル樹脂EXL-101(三洋化成社製、酸価12mgKOH/g) 42.1質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.5質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.25質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー7を製造した。
【0135】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー7)の酸価は18.8mgKOH/g、Mwは11940、Tgは52.69℃、T(1/2)は113.6℃であった。
【0136】
(トナー8の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂EXL-101(三洋化成社製、酸価12mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.0質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.5質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー8を製造した。
【0137】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー8)の酸価は13.2mgKOH/g、Mwは7300、Tgは54.02℃、T(1/2)は112.3℃であった。
【0138】
(トナー9の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 94.7質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.5質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.25質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー9を製造した。
【0139】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー9)の酸価は25.2mgKOH/g、Mwは48606、Tgは52.16℃、T(1/2)は128.6℃であった。
【0140】
(トナー10の製造例)
ポリエステル樹脂RN-289(花王社製、酸価38mgKOH/g) 84.2質量部
ポリエステル樹脂RN-306(花王社製、酸価2mgKOH/g) 10.5質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.5質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.25質量部
内添シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー10を製造した。
【0141】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー10)の酸価は30.7mgKOH/g、Mwは9262、Tgは49.21℃、T(1/2)は100.1℃であった。
【0142】
(トナー11の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂RN-263(花王社製、酸価7mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
OIL PINK 312(オリエント社製) 1.0質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.5質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー11を製造した。
【0143】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー11)の酸価は9.5mgKOH/g、Mwは7251、Tgは56.75℃、T(1/2)は106.2℃あった。
【0144】
(トナー12の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂RN-263(花王社製、酸価7mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
Seika Light Rose R40(大日精化社製) 1.0質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.5質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー12を製造した。
【0145】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー12)の酸価は9.5mgKOH/g、Mwは7251、Tgは57.7℃、T(1/2)は106.2℃あった。
【0146】
(トナー13の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂RN-263(花王社製、酸価7mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.5質量部
内添シリカ(クラリアント社製、HDK-2000) 3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー13を製造した。
【0147】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー13)の酸価は9.5mgKOH/g、Mwは7251、Tgは50.95℃、T(1/2)は106.2℃あった。
【0148】
(トナー14の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 73.7質量部
ポリエステル樹脂RN-263(花王社製、酸価7mgKOH/g) 21.0質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.5質量部
C.I.ピグメントイエロー101(BASFジャパン製Lumogen Yellow S0795) 0.25質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000)3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー14を製造した。
【0149】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー14)の酸価は27.2mgKOH/g、Mwは35800、Tgは51.95℃、T(1/2)は123.2℃あった。
【0150】
(トナー15の製造例)
ポリエステル樹脂RN-290(花王社製、酸価28mgKOH/g) 15.8質量部
ポリエステル樹脂RN-263(花王社製、酸価7mgKOH/g) 78.9質量部
カルナウバワックスWA-05(セラリカ野田社製) 5.3質量部
ソルベントレッド49(オリエント社製ROB-B) 1.5質量部
OIL Yellow 106(オリエント社製) 0.5質量部
内添用シリカ(クラリアント社製、HDK-2000)3.0質量部
トナー1において、上記のトナー原材料を使う以外はトナー1と同様にして、トナー15を製造した。
【0151】
上記のようにして作製されたトナー粒子(トナー15)の酸価は9.5mgKOH/g、Mwは7251、Tgは50.05℃、T(1/2)は106.2℃あった。
【0152】
尚、上述したトナー1等のトナーを製造するにあたり使用したポリエステル樹脂RN-290は、確認したところクロロホルム不溶分を有する樹脂であった。
【0153】
(二成分現像剤の製造)
<キャリアの作製>
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコ-ン) 100部
トルエン 100部
γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5部
カーボンブラック 10部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、コート層形成液を調製した。このコート層形成液を、芯材として重量平均粒径が35μmのMnフェライト粒子を用いて、芯材表面において平均膜厚が0.20μmになるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を各70℃に制御して塗布・乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃/2時間焼成し、キャリアAを得た。
<二成分現像剤の作製>
作製したトナーと、キャリアA、ターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで5分間均一混合し帯電させ、二成分現像剤を作製した。なお、トナーとキャリアの混合比率は、評価機の初期現像剤のトナー濃度:4質量%に合わせて混合した。
【0154】
(評価)
上記トナー1~15から製造した二成分現像剤について、下記評価方法に基づいて評価した。結果を表1-1、表1-2、及び表1-3に示す。
<蛍光性>
トナー1~15から製造した二成分現像剤について、Imagio Neo C350(株式会社リコー製)の現像ユニットに投入し、好適な色特性が得られる付着量0.65mg/cm3になるよう調整し、PODグロスペーパー(王子製紙社製)へベタ画像を出力した。なお、付着量は、転写紙に対してトナーが付着する量である。
【0155】
この画像について、m1光源で測定したL*値、およびm2光源で測定したL*値を求め、(m2光源で測定したL*値)-(m1光源で測定したL*値)の値を蛍光性の指標値△L*とした。△L*が大きいほど蛍光性が高く、△L*が2.0未満のものを不合格とした。
【0156】
測定値は分光濃度計X-riteEXACT(X-rite社製)にて測色ステータスTの条件で測色し求めた。
【0157】
<高温高湿保存性>
遠心機用チューブにトナー0.5g計量し、温度40℃、相対湿度70%の条件下にて2週間保管し、その後、目開き106μmのメッシュを通して篩がけを行い、メッシュ上に残存した緩凝集体量を計測した。
【0158】
緩凝集体量の数値に基づいて耐高温高湿保存性を以下の基準で評価した。
【0159】
×のものを不合格とした。
[評価基準]
◎ :150mg/g以下
〇 :150mg/g超200mg/g以下
〇△:200mg/g超230mg/g以下
△ :230mg/g超250mg/g以下
× :250mg/g超
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
実施例のトナーは従来のプロセスカラーでは実現できない蛍光性と実用性を実現していることがわかる。これに対して、比較例のトナーは、蛍光性の不足(比較例1、3、4)、耐高温高湿保存性の不足(比較例2)がみられ、実施例のトナーに比べて性能が劣っていた。
【0164】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 少なくとも結着樹脂、及び着色剤を含有するトナーであって、
前記着色剤が、ソルベントレッド49を含有し、
前記トナーの酸価が9.0mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることを特徴とするトナーである。
<2> 前記着色剤が、前記ソルベントレッド49に加えて、さらにピグメントイエロー101を含有する前記<1>に記載のトナーである。
<3> 前記結着樹脂が、クロロホルム不溶分を有する樹脂を含有し、前記クロロホルム不溶分を有する樹脂の酸価が20mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 前記トナーが、内添用無機微粒子を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 前記トナーが、離型剤を含有し、
前記トナー中の前記結着樹脂と前記離型剤とを合わせた含有量に対する、前記ソルベントレッド49の含有量が、0.5質量%~2.0質量%である前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> 前記トナーが、離型剤を含有し、
前記トナー中の前記結着樹脂と前記離型剤とを合わせた含有量に対する、前記ピグメントイエロー101の含有量が、0.1質量%~0.5質量%である前記<2>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーを収容した、トナー収容ユニットである。
<8> 静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含み、
前記トナーが、前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
<9> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含み、
前記トナーが、前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法である。
【0165】
前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナー、前記<7>に記載のトナー収容ユニット、前記<8>に記載の画像形成装置、前記<9>に記載の画像形成方法によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明のトナーは、電子写真、静電記録、静電印刷等の画像形成に好ましく用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0167】