IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電信電話株式会社の特許一覧

特許7188603局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム
<>
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図1
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図2
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図3
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図4
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図5
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図6
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図7
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図8
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図9
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図10
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図11
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図12
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図13
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図14
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図15
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図16
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図17
  • 特許-局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04J 14/02 20060101AFI20221206BHJP
   H04B 10/27 20130101ALI20221206BHJP
【FI】
H04J14/02
H04B10/27
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021539744
(86)(22)【出願日】2019-08-13
(86)【国際出願番号】 JP2019031851
(87)【国際公開番号】W WO2021029013
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】越地 弘順
(72)【発明者】
【氏名】金子 康晴
(72)【発明者】
【氏名】石塚 美加
(72)【発明者】
【氏名】安川 正祥
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/005414(WO,A1)
【文献】特開2016-1835(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157801(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0208559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 14/02
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送ネットワークにおいて対象リンクを通る1以上の波長パスに対して波長デフラグを行う局所的波長デフラグ装置であって、
前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、現在から廃止時期までの残余時間を算出し、当該残余時間に基づいて、前記1以上の波長パスに対する波長の再割当の順位を決定する再割当順位決定部と、
前記順位に従って、前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、再割当可能な1以上の波長番号それぞれの利用度合を算出し、当該利用度合の最も高い波長番号の波長を再割当する波長として決定する再割当番号決定部と
を備える局所的波長デフラグ装置。
【請求項2】
前記再割当順位決定部は、残余時間算出対象の波長パスと同じ属性を有する複数の波長パスの履歴情報に基づいて、残余時間算出対象の波長パスが設定されてから廃止されるまでの廃止時間を推定し、当該波長パスの設定時期、現在時刻、及び廃止時間に基づいて前記残余時間を算出する
請求項1に記載の局所的波長デフラグ装置。
【請求項3】
前記再割当順位決定部は、前記残余時間と波長パスの長さとの乗算結果に基づいて前記順位を決定する
請求項1又は2に記載の局所的波長デフラグ装置。
【請求項4】
前記再割当番号決定部は、再割当可能な波長番号が各リンクで使用されているか否か、当該波長番号が割り当てられている波長パスの重要度、及び、各リンクと波長デフラグ対象の波長パスとの距離に基づいて、当該波長番号の利用度合を算出する
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の局所的波長デフラグ装置。
【請求項5】
前記再割当番号決定部は、
波長デフラグ対象の波長パスを除く各リンクについて、再割当可能な波長番号が使用されているか否かを示す評価値と、当該波長番号が割り当てられている波長パスの重要度と、当該波長番号が割り当てられている波長パスの残余時間と波長デフラグ対象の波長パスの残余時間との差分値と、リンクと波長デフラグ対象の波長パスとの距離を算出し、
前記評価値と前記重要度と前記差分値の逆数とを乗算し、前記距離で除算した結果を、波長デフラグ対象の波長パスを除くリンクについて合計した値を前記利用度合として算出する
請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の局所的波長デフラグ装置。
【請求項6】
光伝送ネットワークにおいて対象リンクを通る1以上の波長パスに対して波長デフラグを行う局所的波長デフラグ装置が実行する局所的波長デフラグ方法であって、
前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、現在から廃止時期までの残余時間を算出し、当該残余時間に基づいて、前記1以上の波長パスに対する波長の再割当の順位を決定する再割当順位決定ステップと、
前記順位に従って、前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、再割当可能な1以上の波長番号それぞれの利用度合を算出し、当該利用度合の最も高い波長番号の波長を再割当する波長として決定する再割当番号決定ステップと
を備える局所的波長デフラグ方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の局所的波長デフラグ装置における各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送ネットワークにおける波長デフラグ技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送ネットワークにおいては、波長パスは始点ノードから終点ノードまで同一波長を割り当てる波長連続制約が存在する。近年、光伝送ネットワークにおいて、波長割当の波長連続制約条件を満たすことの必要性が高まっている。
【0003】
そこで、波長連続制約条件を満たすために、波長番号の小さい順番(若番)に波長パスに割り当てるFirst Fit法(FF法)や、フラグメンテーションの最小化を目的とした隣接リンクの波長番号の利用状況を考慮したLeast Fragmentation法(LF法)等の様々なヒューリスティックな波長割当手法が提案されている(非特許文献1)。
【0004】
しかしながら、波長需要の発生パターンは時期やパス等の要因によって様々であるため、全ての波長需要に対して連続した空き波長を確保することが困難である。そのため、光伝送ネットワーク全体の波長割当の最適化する波長デフラグ手法が提案されている(非特許文献2)。
【0005】
従来技術(波長デフラグ手法)は、光伝送ネットワーク全体を対象として、各波長番号の割当度合が高くなるように、割当度合の低い番号の波長を割当度合の高い番号に再割当する技術である。詳細は非特許文献2に記載のとおりである。これにより、光伝送ネットワーク全体の波長割当のフラグメンテーションを抑制することが期待できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】門畑他, "マルチレイヤネットワークを高信頼かつシンプルに設計するパス収容設計エンジン," NTT技術ジャーナル, 2016.5.
【文献】門畑他, "波長パスリソース管理に基づいた波長デフラグ方式," PN2013-17, pp.53-58, 信学技法, 2013.8.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術は、光伝送ネットワーク全体で、波長番号がどれくらいの割合で割り当てられているか(波長番号の割当度合)のみを考慮しているため、波長デフラグを実行した瞬間だけ波長番号の割当が最適化される技術となっている。そのため、波長パスの利用サービス等の属性情報に基づく波長パスの重要度や、将来的に波長パスが廃止される可能性は考慮されていない。
【0008】
従って、最適化の効果を向上させるためには、利用サービス等の属性情報を考慮した波長番号の割当状況や、廃止によって将来的に確保される空き波長を考慮した波長の再割当が必要である。
【0009】
さらに、従来技術では、一部の波長パスのみを対象として波長の再割当を実行している。そのため、実行後、連続した波長番号で空き波長が確保されるわけではない。複数の波長番号を割り当てて大容量通信させるフレックスグリッド技術等を適用した運用の実現を目指す場合、連続した波長番号で空き波長を確保するように波長の再割当をすることが望ましい。
【0010】
また、実際の光伝送ネットワークの運用では、信頼性を優先するケースが多いため、従来技術を適用することが難しい。その理由は、技術的には無瞬断での波長デフラグが可能であるが、人為的なミス等が原因で波長デフラグに失敗した際の社会的影響が大きくなることを鑑みて、リスクを取らない運用方法を採択しているからである。
【0011】
一方、信頼性の観点では、光伝送ネットワークを構成する設備の経年劣化等による障害を抑制するために、予め光伝送ネットワークを切断する計画を立てて、定期工事を行っている。定期工事は、光伝送ネットワーク全体を対象に局所的に順番で実行される。従って、波長デフラグを実行するのであれば、光伝送ネットワークが切断されることが予め判明している定期工事等のタイミングに合わせることが望ましい。
【0012】
本発明は上記の点を考慮してなされたものであり、定期工事等により波長デフラグ対象となるリンクにおいて、当該リンクを通る波長パスに対し、波長パスの残余時間、及び波長番号の利用度合に応じた波長再割当を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示の技術によれば、光伝送ネットワークにおいて対象リンクを通る1以上の波長パスに対して波長デフラグを行う局所的波長デフラグ装置であって、
前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、現在から廃止時期までの残余時間を算出し、当該残余時間に基づいて、前記1以上の波長パスに対する波長の再割当の順位を決定する再割当順位決定部と、
前記順位に従って、前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、再割当可能な1以上の波長番号それぞれの利用度合を算出し、当該利用度合の最も高い波長番号の波長を再割当する波長として決定する再割当番号決定部と
を備える局所的波長デフラグ装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
開示の技術によれば、定期工事等により波長デフラグ対象となるリンクにおいて、当該リンクを通る波長パスに対し、波長パスの残余時間、及び波長番号の利用度合に応じた波長再割当を可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態におけるシステムの全体構成図である。
図2】局所的波長デフラグ装置の構成図である。
図3】装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4】光伝送ネットワークの全体構成を示す図である。
図5】4方路ノードの波長割当を示す図である。
図6】リンクL12を通る波長の割当を示す図である。
図7】リンクL12に関する波長属性情報DBの記憶情報の例を示す図である。
図8】波長の割当管理DBの記憶情報の例を示す図である。
図9】波長利用履歴DBの記憶情報の例を示す図である。
図10】局所的波長デフラグ装置の動作の全体フローを示す図である。
図11】現波長の再割当順位の決定フローを示す図である。
図12】具体例における波長デフラグ対象のリンクを示す図である。
図13】具体例における波長パスの属性情報を示す図である。
図14】デフラグ対象と同等の属性を持つ波長パスの履歴情報の具体例を示す図である。
図15】現波長の再割当番号の決定フローを示す図である。
図16】光伝送ネットワーク全体における各リンクの波長利用状況の具体例を示す図である。
図17】各リンクにおける波長パスの重要度の具体例を示す図である。
図18】波長番号4の波長パスに対する距離の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0017】
本実施の形態では、光伝送ネットワークの空き波長や波長パスの管理において、光伝送ネットワークの切断が予め計画されている定期工事等のタイミングで、定期工事の対象になっている区間を通過する波長パスに対して、波長パスが廃止されるまでの残余時間や利用サービスの属性を考慮した波長デフラグを実行する。以下、この技術について詳細に説明する。なお、本実施の形態において、「波長パス」とは、始点ノードから終点ノードまでの経路をある波長の光で接続する伝送路である。
【0018】
(システム構成)
図1は、本実施の形態におけるシステムの全体構成図である。図1に示すように、本システムは、局所的波長デフラグ装置100、及び光伝送ネットワーク200を有する。
【0019】
光伝送ネットワーク200は、光信号による通信を実現するIP通信ネットワーク等の基幹ネットワークである。局所的波長デフラグ装置100は、本発明の技術に基づく機能を備える装置である。
【0020】
図2は、局所的波長デフラグ装置100の機能構成図である。図2に示すように、局所的波長デフラグ装置100は、波長デフラグ部110、記憶部120、及び入出力部130を有する。
【0021】
波長デフラグ部110は、再割当順位決定部111、再割当番号決定部112、及び波長再割当実行部113を有する。記憶部120は、波長割当管理DB121、波長属性情報DB122、及び波長利用履歴DB123を有する。入出力部130は、入力部131、及び出力部132を有する。
【0022】
なお、図2に示す機能構成は一例に過ぎない。本発明を実施できる機能構成であればどのような機能構成を採用してもよい。また、局所的波長デフラグ装置100は、物理的に1つの装置として実装されてもよいし、複数の物理的に離れた装置がネットワーク接続されて構成された装置であってもよい。局所的波長デフラグ装置100が、クラウド上の仮想マシンで実現されてもよい。また、局所的波長デフラグ装置100を局所的波長デフラグシステム100と呼んでもよい。
【0023】
各部の機能は下記のとおりである。なお、以下ではまず概要を説明し、その次の実施例のところで具体例を用いてより詳細に説明する。
【0024】
(波長デフラグ部110の各機能について)
再割当順位決定部111は、後述の波長属性情報DB122の情報に基づいて、波長デフラグ対象のリンクを通る波長パスの各波長を再割当する際に、再割当先の波長番号をどの波長パスの順番で決定するか、という優先順位を決定する。
【0025】
再割当番号決定部112は、前述の再割当順位と、後述の波長属性情報DB122や波長割当管理DB121の情報に基づいて、波長パスに現在割り当てられている各波長をどの波長番号の波長に再割当するかを決定する。波長再割当実行部113は、定期工事等の計画に基づいて、波長再割当を実行する。
【0026】
(記憶部120について)
波長割当管理DB121は、光伝送ネットワーク200を構成する各リンクの波長の割当状況を記憶する。波長属性情報DB122は、波長パスの設定時期や経路情報、利用サービス、波長パスに割り当てられている波長番号等の属性情報を記憶する。波長利用履歴DB123は、波長パスの設定時期や廃止時期、経路情報、利用サービス、波長パスに割り当てられていた波長番号等の履歴情報を記憶する。
【0027】
(入出力部130)
入力部131は、波長再割当対象のリンクを入力したり、波長再割当の実行可否等を入力するための機能部である。出力部132は、波長デフラグ部110の各部の実行結果や、記憶部120の各DBの情報を出力する。
【0028】
(ハードウェア構成例)
局所的波長デフラグ装置100は、例えば、コンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。
【0029】
すなわち、局所的波長デフラグ装置100は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、当該局所的波長デフラグ装置100で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0030】
図3は、本実施の形態における上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。図3のコンピュータは、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、及び入力装置1007等を有する。
【0031】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0032】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って、当該局所的波長デフラグ装置100に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0033】
(実施例)
以下、局所的波長デフラグ装置100の処理動作を、具体例を用いてより詳細に説明する。図4は、本実施例における光伝送ネットワークの全体構成を示す。
【0034】
本実施例では、図4に示す光伝送ネットワークにリンクL12が定期工事で切断されることを想定し、波長デフラグの対象はリンクL12とする。当該光伝送ネットワークにおける1ノードの方路数は最大4である。図4の構成の場合、ノードN5のみが4方路となる。図5に、4方路のノードにおける波長割当のイメージを示す。
【0035】
本実施例において、定期工事が実施されるまでの波長割当は、一例としてFF法で実施される。図6に、リンクL12を通る波長パスへの波長割当イメージを示す。
【0036】
図7に、波長属性情報DB121に格納される波長パスの属性情報の例を示す。図7の例では、波長番号、割当日時、利用サービス、始点ノード、終点ノード、通過リンク、通過ノードを記録しているが、項目や記憶形式はこれに限らない。図7の波長番号1の行は、リンクL12を通る複数の波長パスのうちの、波長番号1の波長が割り当てられた波長パスの属性情報を示している。
【0037】
図8は、波長割当管理DB121に格納される、光伝送ネットワークを構成する各リンクの波長割当状況の例を示す。図8の例では、波長番号毎に、各リンクへの割り当ての有無が1、0で表されている。なお、項目や記憶形式はこれに限らない。例えば、波長番号1の波長がリンクL1、リンクL2、リンクL12に割り当てられていることが示されている。
【0038】
図9は、波長利用履歴DB123に格納される、波長パスの設定時期と廃止時期に関する履歴情報の例を示す。なお、項目や記憶形式はこれに限らない。
【0039】
以下、局所的波長デフラグ装置100の処理手順について、フローと具体例を用いて説明する。
【0040】
<全体処理手順>
図10は、局所的波長デフラグ装置100の全体の動作の流れを示すフローである。図10に示すように、S10(ステップ10)において、局所的波長デフラグ装置100は、波長デフラグの対象となる対象リンクを決定する。前述したように、本実施例では、リンクL12が対象リンクとなる。
【0041】
S20において、再割当順位決定部111が、対象リンクを経由する1以上の現波長パスに対する再割当順位を決定する。S30において、再割当番号決定部112が、S20で決定した再割当順位の早い波長パスから順番に、どの波長番号を再割当するかを決定する。S40において、波長再割当実行部113が、S30での決定に従って、波長パスへの波長の再割当を実行する。S40での波長の再割当は一般的な技術で実現できる。
【0042】
以下、S20の現波長の再割当順位の決定、及び、S30の現波長の再割当番号の決定を詳細に説明する。
【0043】
<S20:現波長の再割当順位の決定の詳細>
本実施例では、再割当順位決定部111が、対象リンクにおける波長パス毎に、現在設定されている波長パスが使用されなくなる廃止時期までの残余時間の長さと、波長パスが始点ノードから終点ノードまでに通る経路の長さ(波長パスの長さ)をパラメータとして再割当の優先度を算出し、再割当順位を決定する。なお、これら優先度を決定するパラメータは例であり、これらに限定されない。例えば、残余時間のみで優先度を算出してもよい。
【0044】
より具体的には、再割当順位決定部111は、再割当の優先度を、残余時間と波長パスの長さの乗算で算出する。ただし、優先度の計算方法はこれに限定しない。本実施例では、廃止時期が不明な場合を想定しているため、廃止までの残余時間を推定するが、廃止時期が明らかな場合は推定は不要であり、その廃止時期を用いればよい。
【0045】
図11は、現波長の再割当順位の決定フローを示す。図11に示すように、S21において、再割当順位決定部111は、対象リンクにおける処理対象の現波長パスの長さを抽出する。S22において、再割当順位決定部111は、現波長パスの現在から廃止時期までの残余時間を算出する。
【0046】
S23において、再割当順位決定部111は、現波長パスの長さと残余時間に基づいて、再割当の優先度を算出する。対象リンクにおける全ての波長パスに対する再割当優先度の算出が完了すればS25に進み、完了していなければ次の現波長パスに対してS21からの処理を行う。
【0047】
S25において、再割当順位決定部111は、再割当の優先度に基づいて再割当順位を決定する。
【0048】
<S22:廃止時期までの残余時間の算出方法の詳細>
S22における廃止時期までの残余時間の算出方法を詳細に説明する。
【0049】
まず、再割当順位決定部111は、波長利用履歴DB123を参照して、波長パスの設定時期と廃止時期に関する履歴情報を利用サービス等の属性で分類し、波長パスが設定された時期から廃止時期までのn個の時間tを算出する。利用サービス等の属性で分類するとは、例えば、対象の波長パスの利用サービスと同じ利用サービスの属性情報を集めて、それらについての時間tを算出することである。
【0050】
再割当順位決定部111は、これらn個の時間tを統計解析し、当該波長パスが設定された時期から廃止時期までの推定時間(廃止時間)を算出する。統計解析に使用する時間tのサンプルサイズnは任意である。廃止時間の具体的推定方法は後述するが、これに限定するものではない。再割当順位決定部111は、廃止時間から、波長パスの設定時期から現在までの経過時間を減算し、波長パスが廃止されるまでの残余時間とする。
【0051】
廃止時間の推定方法として、例えば下記の方法a、方法b、方法cがある。
【0052】
方法a)方法aでは、下記の式に示すとおり、n個の時間tの平均値を廃止時間tとする。
【0053】
【数1】
方法b)方法bでは、下記に示すn個の時間tの経験分布関数F(t)に基づき、廃止時間tについて数値計算、又は、経験分布関数F(t)に対して近似関数を求め、廃止時間tを経験分布関数F(t)の逆関数として算出する。
【0054】
【数2】
廃止時間tが時間tとなる確率F(t)は、この局所的波長デフラグ装置100を利用したり運用したりするユーザが任意に決定する。
【0055】
方法c)方法cでは、n個の時間tが、ある確率分布に従うものと仮定し、その累積分布関数F(t)に基づき、廃止時間tを数値計算する。例として、正規分布に従う場合の確率分布関数F(t)を以下に示す。
【0056】
【数3】
上記の式において、μは廃止時間tの推定に使用する時間tの平均値であり、σは廃止時間tの推定に使用する時間tの標準偏差である。
【0057】
方法bと同様、廃止時間tが時間tとなる確率F(t)は、この局所的波長デフラグ装置100を利用したり運用したりするユーザが任意に決定する。
【0058】
<再割当順位決定の具体例>
図12に波長デフラグ対象であるリンクL12の波長収容状況の例を示す。図12に示すように、当該リンクL12に収容可能な波長数は6であり、波長番号2、3、6の波長が空き波長となっている。また、波長デフラグの実施日時を2019/7/3 15:20とする。
【0059】
また、波長属性情報DB122に格納される波長デフラグ対象リンクL12の波長パスの属性情報は図13のとおりである。図14に波長デフラグの対象リンクL12を通る波長パスと同等の属性を持つ波長パスの履歴情報(n=10)の具体例を示す。具体例では、廃止時間の単位を日としているが、時間や分等としても良い。同等の属性とは、例えば利用サービスが同じであることである。
【0060】
廃止時間tの推定方法に、前述の方法a(平均値)を採用した場合、廃止時間は、t=(t+t+・・・+t10)/10=349[日]となる。
【0061】
図13の割当日時と現在時刻(2019/7/3 15:20)に基づいて、割当日時からの経過時間を算出する。具体例では、波長番号1が割り当てられている波長パスの経過時間は345日、波長番号2が割り当てられている波長パスの経過時間は192日、波長番号5が割り当てられている波長パスの経過時間は130日となる。
【0062】
従って、それぞれの波長パスの残余時間は、波長番号1の波長パス:349-345=4日、波長番号4の波長パス:349-192=157日、波長番号5の波長パス:349-130=219日となる。
【0063】
また、波長パスの長さを通過リンク数とすると、波長番号1が割り当てられている波長パスの長さは1、波長番号4が割り当てられている波長パスの長さは3、波長番号5が割り当てられている波長パスの長さは2となる。
【0064】
以上より、各波長パスの再割当優先度は、波長番号1の波長パス:4×1=4、波長番号4の波長パス:157×3=471、波長番号5の波長パス:219×2=438となる。計算結果の数値が大きいほど、優先度が高い。つまり、残余時間が長いほど、また、波長パスが長いほど、再割当順位が高くなる(優先的に再割当する)。
【0065】
従って、現波長パスの再割当順位は、「波長番号4が割り当てられている波長パス→波長番号5が割り当てられている波長パス→波長番号1が割り当てられている波長パス」となる。
【0066】
<S30:現波長の再割当番号の決定の詳細>
次に、S30における現波長の再割当番号の決定についての処理内容を詳細に説明する。再割当番号決定部112は、S20で決定した再割当順位の早い波長パスから順番に、どの波長番号を再割当するかを決定する。再割当する波長番号の決定方法は後述するが、これに限定するものではない。
【0067】
図15は、現波長の再割当番号の決定フローを示す。図15に示すように、S31において、再割当番号決定部112は、現波長パスに再割当可能な波長番号を抽出する(既に再割当が決まっている波長番号は除く)。
【0068】
S32において、再割当番号決定部112は、現波長パスに再割当可能な波長番号の利用度合を算出する。S33において、再割当番号決定部112は、再割当可能な波長番号の利用度合に基づき、当該現波長パスに対する再割当番号を決定する。対象リンクにおける全ての現波長パスに対する再割当番号の決定が完了すればS40に進み、完了していなければ次の現波長パスに対してS31からの処理を行う。以下、各処理の詳細を説明する。
【0069】
<S31:再割当可能な波長番号の抽出の詳細>
再割当番号決定部112は、波長属性情報DB122に記憶されているデフラグ対象である現波長パスの経路情報と、波長割当管理DB121に記憶されている光伝送ネットワーク全体における各リンクの波長利用状況を比較し、再割当可能な波長番号を抽出する。
【0070】
ここで抽出する波長番号は、デフラグ対象の波長パスと同一パスに割り当てることができる波長番号に限定するものではない。実際の運用では、「パスが指定されている」、「最短経路が要求されている」等の様々な要求条件が存在するため、この要求条件を考慮して代替パスの採択可否を判断し、再割当可能な波長番号を抽出する。
【0071】
<S32、S33:利用度合の算出、再割当番号決定の詳細>
再割当番号決定部112は、対象の波長パスに対して再割当可能な波長番号毎に、波長デフラグ対象の波長パスを除外した光伝送ネットワーク全体の波長番号の利用度合を算出する。
【0072】
本実施例における利用度合の算出について、各リンクの波長番号を「使われている=1」「使われていない=0」の二値で評価し、この評価値の累積値とすることが、最も単純な方法であり、この方法を用いてもよい。この方法では、波長デフラグ対象の波長パスと各リンクの関係性が一様ということになる。
【0073】
しかしながら、関係性の強さは、物理的な距離やそのリンクを通過する波長パスの利用サービス等の属性によって変化する。本実施例では、このような関係性の強さを考慮し、以下のi~ivの手順で利用度合を算出する。ただし、利用度合の算出に使用するパラメータや算出方法はこれに限らない。
【0074】
i)波長デフラグ対象の波長パスが通るリンクを除く各リンクの波長番号を「使われている=1」「使われていない=0」の二値で評価する。
【0075】
ii)波長デフラグ対象の波長パスが通るリンクを除く各リンクにおける波長番号が割り当てられている波長パスの属性情報に基づいて手順iの評価値を重み付けする係数を決定する。本実施例では、利用サービスと残余時間で評価値を重み付けする。ただし、利用サービスのみあるいは残余時間のみで重み付けしてもよい。
【0076】
例えば、利用サービスがア・イ・ウの3種類あり、ア→ウの順番で重要度が高くなる場合、アの重要度を1、イの重要度を2、ウの重要度を3として、この重要度を重み付けの係数とする。
【0077】
残余時間の推定は、S20と同様の方法で、波長デフラグ対象の波長パスを除く各リンクの波長番号が割り当てられている波長パスに対して実行する。次に、この残余時間と波長デフラグ対象の波長パスの残余時間の差分値を算出する。この差分値の逆数を重み付けの係数とする。差分値の逆数を重み付けの係数とすることによって、残余時間の近い波長パス同士を同じ波長番号に割り当てやすくなる。
【0078】
iii)波長デフラグ対象の波長パスが通るリンクを除く各リンクと波長パスとの距離を最短経路で算出する。波長パスが複数のリンクにまたがっている場合は、当該複数のリンクのうち一番近いリンクとの距離を最短経路で算出する。
【0079】
iv)iの評価値とiiの重要度と差分値の逆数とを乗算し、iiiの距離で除算した結果を、各リンクについて合計する。その結果が、該当波長番号の利用度合である。
【0080】
再割当番号決定部112は、上記のようにして算出した利用度合が最も高い波長番号を、対象の現波長パスに対する再割当の波長番号として決定する。利用度合が同じ波長番号が複数存在する場合は若番を優先する。利用度合と波長番号が同じで、同一パスと代替パスが複数存在する場合は、同一パスを優先する。利用度合と波長番号が同じで、同一パスは存在せず、代替パスが複数存在する場合は、最短経路を優先する。
【0081】
<再割当番号決定具体例>
前述の図12図13の例を対象とした再割当番号の決定方法の具体例を説明する。ここでは、説明の便宜上、抽出する波長番号は、対象の波長パスと同一パスに割り当てる波長番号に限定する。本具体例における光伝送ネットワーク全体の各リンクの波長利用状況は図16のとおりである。
【0082】
前述したとおり、S20の具体例において、「波長番号4が割り当てられている波長パス→波長番号5が割り当てられている波長パス→波長番号1が割り当てられている波長パス」の順位で優先順位が決められたので、この順番で再割当番号を決定する。
【0083】
図16に示される波長利用状況により、波長番号4の波長が割り当てられている波長パスの再割当番号の候補は、波長番号1、2、4、5、6である。ここでは、当該波長パスが経由するリンク(L10、L11、L12)の全てにおいて、デフラグ対象ではない波長パスへの割り当てがない波長番号が候補として抽出される。波長番号3は、リンクL10・L11がデフラグ対象ではない波長パスに割り当てられているため、再割当先の波長番号の候補とならない。再割当番号が、現在の割当番号と同じになってもよい。
【0084】
本実施例では、利用サービスが3種類あるものとし、それぞれの重要度が1、2、3となる場合において、光伝送ネットワーク全体における各リンクの波長利用状況の値を「利用状況×重要度」に置き換えたものを図17に示す。なお、ここでは残余時間は考慮しないものとし、残余時間の重み付けの係数を1とする。
【0085】
また、デフラグ対象である波長番号4の波長パスに対する、それぞれのリンクの距離は図18のとおりとなる(自身を含めたリンク数をデフラグ対象の波長パスまでの距離としている)。
【0086】
光伝送ネットワーク全体の波長番号の利用度合は、「各リンクの利用状況×重要度÷デフラグ対象パスまでの距離」の、デフラグ対象波長パスが経由するリンクを除いたリンクの合計値となる。よって、波長番号1の場合、図17図18から、利用度合は、2/3+1+1/2+2+1/2=4.67になる。同様の計算で、波長番号2は4、波長番号4は4、波長番号5は3.33、波長番号6は3.5となる。
【0087】
従って、波長番号4が割り当てられている波長パスの再割当番号は、波長番号1が最有力となる。しかしながら、現在、波長番号1は他のデフラグ対象波長パスに割り当てられている。この波長パスに波長番号を再割当できなくなることを避けるために、波長番号4と交換するような手順とする。
【0088】
図16に示すとおり、波長番号1が割り当てられているデフラグ対象波長パスが通るリンクに、波長番号4が割り当てられているデフラグ対象波長パスが通るリンク以外のリンクは含まれていない(含まれていたとしても、利用されていない空き波長であれば交換可能となる)。従って、波長番号1が割り当てられているデフラグ対象波長パスは波長番号4と交換可能である。
【0089】
以上により、波長番号4が割り当てられている波長パスの再割当番号は、波長番号1に決定する。以降は、現在、波長番号5が割り当てられている波長パスの再割当番号を決定し、最後に、波長番号1が割り当てられている波長パスの再割当番号を決定する。ただし、再割当を決定した波長番号(ここでは、波長番号1)は再割当先の候補から除外する。決定方法は、波長番号4が割り当てられている波長パスの再割当番号の決定方法と同じある。
【0090】
(実施の形態の効果等)
以上説明したとおり、本実施の形態では、光伝送ネットワークにおけるリンクの切断が予め計画されている定期工事等のタイミングで、定期工事の対象になっている区間を通過する波長パスのデフラグ(局所的なデフラグ)を行うことができる。これにより、サービス提供中に光伝送ネットワークが切断されるリスクを回避する等の実運用の要件を満たすことができる。
【0091】
また、本実施の形態では、現在設定されている波長パスが廃止されるまでの残余時間を考慮して再割当の順番を決定する。これにより、廃止によって確保できる空き波長を考慮した空き波長や波長パスの管理が可能になる。また、本実施の形態では、波長デフラグ対象の区間を通過する全ての波長パスを、残余時間と波長番号の大小を考慮して再割当を行う。これにより、連続した波長番号の確保ができるようになり、フレックスグリッド技術等の適用効果の向上が期待できる。連続した波長番号の確保ができる理由は下記のとおりである。
【0092】
本実施の形態においてパラメータとして使用している残余時間に関して、残余時間が長い波長パスの方が若番に割り当てやすく、残余時間が短い波長パスの方が老番に再割り当てされやすくなる。従って、デフラグ後、時間経過によって老番の方から波長パスが廃止され、空きが出るようになる。
【0093】
一方で、新たな波長パスに波長番号を割り当てるときに、FF法で割り当てることが一般的であり、本実施の形態でも定期工事が実施されるまでの波長割当はFF法で行うこととしている。従って、若番の方から波長番号が使用され、老番が使用されるのは最後の方になり、老番のほうが空いている傾向にある。
【0094】
よって、もともと老番のほうが使用されるのが最後の方で、かつ、デフラグ後の時間経過によって老番の波長番号が割り当てられている波長パスから廃止されていくようになれば、老番の方で連続した波長番号の空きが出やすくなり、そのため、連続した波長番号の確保ができるようになる。
【0095】
すなわち、本実施の形態では、定期工事等によりデフラグ対象となるリンクにおいて、そのリンクを通る波長パスに対し、過去の履歴を元に、サービス属性等が同様な波長パスの履歴から廃止されるまでの残余時間を求め、残余時間が長く、波長パスが長いものを優先度を高く再割り当てを行うと共に、再割り当て可能な波長番号において、利用度合の最も大きい波長番号に再割り当てを行う。利用度合は、光伝送ネットワーク全体のリンクで、サービスの重要度、残余時間、波長パスが大きく、デフラグ対象の波長パスに近いリンクが多いほど大きくなる値である。言い換えると、その波長番号においてネットワーク全体で各リンクを見たとき、重要なサービス等で多くのリンクが使用されており、デフラグ対象の波長パスに近いリンクが多く使用されているような波長番号に対し、詰めるように再割当が行われる。
【0096】
これにより、波長パスの残余時間を考慮して再割当を行うため将来に渡っての最適化が可能となり、また、利用度合の高い波長番号に詰めて割り当てるため連続した波長番号が確保可能となり、フレックスグリッド技術を適用した運用が可能となる。
【0097】
(実施の形態のまとめ)
本実施の形態において、少なくとも、下記の各項に記載した局所的波長デフラグ装置、局所的波長デフラグ方法、及びプログラムが提供される。
(第1項)
光伝送ネットワークにおいて対象リンクを通る1以上の波長パスに対して波長デフラグを行う局所的波長デフラグ装置であって、
前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、現在から廃止時期までの残余時間を算出し、当該残余時間に基づいて、前記1以上の波長パスに対する波長の再割当の順位を決定する再割当順位決定部と、
前記順位に従って、前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、再割当可能な1以上の波長番号それぞれの利用度合を算出し、当該利用度合の最も高い波長番号の波長を再割当する波長として決定する再割当番号決定部と
を備える局所的波長デフラグ装置。
(第2項)
前記再割当順位決定部は、残余時間算出対象の波長パスと同じ属性を有する複数の波長パスの履歴情報に基づいて、残余時間算出対象の波長パスが設定されてから廃止されるまでの廃止時間を推定し、当該波長パスの設定時期、現在時刻、及び廃止時間に基づいて前記残余時間を算出する
第1項に記載の局所的波長デフラグ装置。
(第3項)
前記再割当順位決定部は、前記残余時間と波長パスの長さとの乗算結果に基づいて前記順位を決定する
第1項又は第2項に記載の局所的波長デフラグ装置。
(第4項)
前記再割当番号決定部は、再割当可能な波長番号が各リンクで使用されているか否か、当該波長番号が割り当てられている波長パスの重要度、及び、各リンクと波長デフラグ対象の波長パスとの距離に基づいて、当該波長番号の利用度合を算出する
第1項ないし第3項のうちいずれか1項に記載の局所的波長デフラグ装置。
(第5項)
前記再割当番号決定部は、
波長デフラグ対象の波長パスを除く各リンクについて、再割当可能な波長番号が使用されているか否かを示す評価値と、当該波長番号が割り当てられている波長パスの重要度と、当該波長番号が割り当てられている波長パスの残余時間と波長デフラグ対象の波長パスの残余時間との差分値と、リンクと波長デフラグ対象の波長パスとの距離を算出し、
前記評価値と前記重要度と前記差分値の逆数とを乗算し、前記距離で除算した結果を、波長デフラグ対象の波長パスを除くリンクについて合計した値を前記利用度合として算出する
第1項ないし第4項のうちいずれか1項に記載の局所的波長デフラグ装置。
(第6項)
光伝送ネットワークにおいて対象リンクを通る1以上の波長パスに対して波長デフラグを行う局所的波長デフラグ装置が実行する局所的波長デフラグ方法であって、
前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、現在から廃止時期までの残余時間を算出し、当該残余時間に基づいて、前記1以上の波長パスに対する波長の再割当の順位を決定する再割当順位決定ステップと、
前記順位に従って、前記1以上の波長パスのそれぞれに対し、再割当可能な1以上の波長番号それぞれの利用度合を算出し、当該利用度合の最も高い波長番号の波長を再割当する波長として決定する再割当番号決定ステップと
を備える局所的波長デフラグ方法。
(第7項)
コンピュータを、第1項ないし第5項のうちいずれか1項に記載の局所的波長デフラグ装置における各部として機能させるためのプログラム。
【0098】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0099】
100 局所的波長デフラグ装置
110 波長デフラグ部
111 再割当順位決定部
112 再割当番号決定部
113 波長再割当実行部
120 記憶部
121 波長割当管理DB
122 波長属性情報DB
123 波長利用履歴DB
130 入出力部
131 入力部
132 出力部
200 光伝送ネットワーク
1000 ドライブ装置
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18