IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立金属株式会社の特許一覧

特許7188652炭化珪素質セラミックハニカム構造体及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】炭化珪素質セラミックハニカム構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 38/00 20060101AFI20221206BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20221206BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20221206BHJP
   B01J 27/224 20060101ALI20221206BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20221206BHJP
   C04B 35/577 20060101ALI20221206BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C04B38/00 303Z
B01D39/20 D
B01D46/00 302
B01J27/224 A
B01J35/04 301N
C04B35/577
F01N3/022
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022539770
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2022013577
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2021054390
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】清水 健一郎
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-196104(JP,A)
【文献】国際公開第2004/106265(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/009922(WO,A1)
【文献】特開2007-290951(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152236(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84,38/00-38/60
B01J 35/04
B01D 39/20,46/00
F01N 3/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素質多孔質体の隔壁により仕切られた軸方向に貫通する複数の流路を有する炭化珪素質セラミックハニカム構造体であって、
前記炭化珪素質セラミックハニカム構造体が骨材と結合材とを含むセラミックス粒子の焼結体からなり、
前記結合材が、アルミナ粒子、水酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、水酸化マグネシウム粒子からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
前記隔壁の気孔率が40~50%、メジアン細孔径が8~18μmであり、
前記軸方向に直交する前記隔壁の断面において、
前記隔壁の厚さT方向の中心を通り前記隔壁の表面に平行な直線C、並びに前記直線Cから前記隔壁の厚さ方向に±T/5及び±2T/5離れた位置に引いた直線Cに平行な直線を引き、
各直線が横切る気孔部分の長さ(気孔幅)及び気孔の数を所定の長さについて測定したとき、
全ての気孔の気孔幅の平均値である平均気孔幅Wが10~25μm、及び
測定した気孔の総数を測定した各直線の全長さで割った値である単位長さ当たりの気孔数Nが20~40個/mm
あり、
水銀圧入法によって測定された前記隔壁の細孔径と累積細孔容積との関係において、前記隔壁の細孔径が20μm以上の細孔容積が全細孔容積の10~20%であり、前記隔壁の細孔径9μm以下の細孔容積が全細孔容積の3~25%であることを特徴とする炭化珪素質セラミックハニカム構造体。
【請求項2】
骨材と結合材とを含むセラミックス粒子と、有機バインダーとを配合し、混合、混練して得られた坏土をハニカム形状に押出成形し、得られた成形体を乾燥後、焼成して請求項1に記載の炭化珪素質セラミックハニカム構造体を製造する方法であって、
前記骨材が炭化珪素粒子であり、
前記結合材が、アルミナ粒子、水酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、水酸化マグネシウム粒子からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
前記骨材と前記結合材とを含む前記セラミックス粒子は、
メジアン粒子径D50が37~45μmであり、
粒子径と累積粒子体積との関係を示す曲線において、
全粒子体積の10%に相当する累積粒子体積での粒子径D10が5~20μm、
全粒子体積の90%に相当する累積粒子体積での粒子径D90が52~65μm、
粒度分布偏差SD[ただし、SD=log(D80)-log(D20)であり、D20は全粒子体積の20%に相当する累積粒子体積での粒子径、D80は全粒子体積の80%に相当する累積粒子体積での粒子径でありD20<D80である]が0.20~0.40
であることを特徴とする炭化珪素質セラミックハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックハニカムフィルタに用いられる炭化珪素質セラミックハニカム構造体、及び前記炭化珪素質セラミックハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれるNOxやPMが大気中に放出されると人体や環境に悪影響を与えるおそれがあるため、排気装置としてディーゼルエンジンの排気管の途中に、NOx触媒を担持したハニカム構造体と、PMを捕集するためのセラミックハニカムフィルタを装着することが従来から行われている。排気ガス中のPMを捕集し排気ガスを浄化するためのセラミックハニカムフィルタの一例を図1(a)及び図1(b)に示す。セラミックハニカムフィルタ100は、複数の流出側封止流路13、及び流入側封止流路14を形成する多孔質の隔壁12と外周壁11とからなるセラミックハニカム構造体110と、流路13、14の排気ガス流入側端面15a及び流出側端面15bを市松模様に交互に封止する流入側封止部16a及び流出側封止部16bとからなる。排気ガスは、図1(b)に点線矢印で示すように、排気ガス流入側端面15aに開口している流出側封止流路13から流入し、隔壁12の表面及び内部に形成された細孔からなる連通孔を通過し、流入側封止流路14から排出される。排気ガスが隔壁12に形成された連通孔を通過する際に、排気ガス中のPMが捕集され排気ガスの浄化が行われる。捕集されたPMは、その体積が所定の量になると燃焼して再生される。このようなセラミックハニカム構造体は、PM中に含まれる、特にナノサイズの粒子の捕集性能をより向上させることが重要となってきている。また、排気ガス中の有毒なガス成分を浄化するために、多孔質の隔壁に触媒を担持することが行われている。セラミックハニカム構造体の構成材料として、耐熱衝撃性に優れる炭化珪素(SiC)粒子のような耐火性粒子を使用することが知られている。
【0003】
例えば、特開2009-196104号(特許文献1)は、ナノサイズの微細粒子までも捕集できるハニカム構造体として、セラミックス粉末と、前記セラミックス粉末を構成するセラミックス粒子同士を結合する結合材とを有し、前記セラミックス粉末が、10%粒径(D10)と90%粒径(D90)との間隔が10μm以上であり、20%粒径(D20)と80%粒径(D80)とがlogD20/logD80<0.85を満たし、粒径分布を測定したときに2つ以上のピークを有することを特徴とする多孔質セラミックスからなるハニカム構造体を開示しており、セラミックス粉末として、炭化珪素及び窒化珪素の少なくとも一種と、コロイダルシリカ等の結合材とを用いると記載している。
【0004】
特開2018-149510号(特許文献2)は、捕集性能に優れるとともに、圧力損失のばらつきの発生を抑制することができる目封止ハニカム構造体として、流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部と、各セルの流入端面側又は流出端面側の開口部に配設された目封止部とを備え、水銀圧入法によって測定された隔壁の累積細孔容積において、累積細孔容積が10%となる細孔径をD10、累積細孔容積が30%となる細孔径をD30、累積細孔容積が50%となる細孔径をD50、累積細孔容積が70%となる細孔径をD70、及び累積細孔容積が90%となる細孔径をD90としたとき、細孔径D10が6μm以上であり、細孔径D90が58μm以下であり、かつ式(1):0.35≦(D70-D30)/D50≦1.5の関係を満たす目封止ハニカム構造体を開示しており、実施例として、炭化珪素粉末と金属珪粉末とで製造されたハニカム構造体を記載している。
【0005】
特開2019-150737号(特許文献3)は、隔壁に触媒を担持した後においても圧力損失の上昇を抑制することができるハニカム構造体として、第一端面から第二端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部を備え、前記隔壁の気孔率が45~65%であり、前記隔壁の平均細孔径が15~25μmであり、水銀圧入法によって測定された前記隔壁の累積細孔容積において、隔壁の総細孔容積に対して、細孔径が10μm以下の細孔容積率が10%以下であり、細孔径が40μm以上の細孔容積率が10%以下であるハニカム構造体を開示しており、ハニカム構造体の隔壁が、炭化珪素、コージェライト、珪素-炭化珪素複合材料、コージェライト-炭化珪素複合材、窒化珪素、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなると記載している。
【0006】
特開2018-122261号(特許文献4)は、捕集性能を向上させることができるハニカム構造体として、第一端面から第二端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部と、各セルの第一端面側又は第二端面側の開口部に配設された目封止部とを備え、前記隔壁が炭化珪素を含む材料から構成され、水銀圧入法によって測定された隔壁の気孔率が42~52%であり、隔壁の厚さが0.15~0.36 mmであり、水銀圧入法によって測定された前記隔壁の累積細孔容積において、隔壁の全細孔容積に対する細孔径が10μm以下の細孔容積の比率が41%以下であり、全細孔容積に対する細孔径が18~36μmの細孔容積の比率が10%以下であり、横軸を細孔径とし、縦軸をlog微分細孔容積とした隔壁の細孔径分布において、log微分細孔容積が最大値となる細孔径が10~16μmの範囲にあり、log微分細孔容積の最大値を含むピークの半値幅が5μm以下である目封止ハニカム構造体を開示しており、実施例として、炭化珪素粉末と金属珪粉末とで製造されたハニカム構造体を記載している。
【0007】
しかしながら、特許文献1~4に記載されたセラミックハニカム構造体においては、排ガス中の粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集することができない場合があるとともに、PM捕集後の圧力損失が十分でない場合があり、さらなる改善が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、耐熱衝撃性を維持しつつ、PM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集するPM捕集率を有し、かつPM捕集後の圧力損失が良好な炭化珪素質セラミックハニカム構造体、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的に鑑み、本発明者は、セラミックハニカム構造体の隔壁断面における気孔の形態に着目して鋭意検討した結果、ハニカム構造体の隔壁が特定の気孔構造を有することにより、前記目的が達成できることを見出し、本発明に想到した。
【0010】
すなわち、本発明の炭化珪素質セラミックハニカム構造体は、炭化珪素質多孔質体の隔壁により仕切られた軸方向に貫通する複数の流路を有し、前記隔壁の気孔率が35~50%、メジアン細孔径が8~18μmであり、前記軸方向に直交する前記隔壁の断面において、前記隔壁の厚さT方向の中心を通り前記隔壁の表面に平行な直線C、並びに前記直線Cから前記隔壁の厚さ方向に±T/5及び±2T/5離れた位置に引いた直線Cに平行な直線を引き、各直線が横切る気孔部分の長さ(気孔幅)及び気孔の数を所定の長さについて測定したとき、測定した全ての気孔の気孔幅の平均値である平均気孔幅Wが10~25μm、及び測定した気孔の総数を測定した各直線の全長さで割った値である単位長さ当たりの気孔数Nが20~40個/mmであることを特徴とする。
【0011】
本発明の炭化珪素質セラミックハニカム構造体において、水銀圧入法によって測定された前記隔壁の細孔径と累積細孔容積との関係において、前記隔壁の細孔径が20μm以上の細孔容積が全細孔容積の10~20%であるのが好ましい。
【0012】
本発明の炭化珪素質セラミックハニカム構造体において、水銀圧入法によって測定された前記隔壁の細孔径と累積細孔容積との関係において、前記隔壁の細孔径9μm以下の細孔容積が全細孔容積の3~25%であるのが好ましい。
【0013】
前記炭化珪素質セラミックハニカム構造体を製造する本発明の方法は、骨材と結合材とを含むセラミックス粒子と、有機バインダーとを配合し、混合、混練して得られた坏土をハニカム形状に押出成形し、得られた成形体を乾燥後、焼成して製造する方法であって、
前記骨材が炭化珪素粒子であり、
前記セラミックス粒子は、
メジアン粒子径D50が35~45μm、
粒子径と累積粒子体積との関係を示す曲線において、
全粒子体積の10%に相当する累積粒子体積での粒子径D10が5~20μm、
全粒子体積の90%に相当する累積粒子体積での粒子径D90が50~65μm、
粒度分布偏差SD[ただし、SD=log(D80)-log(D20)であり、D20は全粒子体積の20%に相当する累積粒子体積での粒子径、D80は全粒子体積の80%に相当する累積粒子体積での粒子径でありD20<D80である]が0.20~0.40であることを特徴とする。
【0014】
本発明の炭化珪素質セラミックハニカム構造体の製造方法において、前記結合材は、アルミナ粒子、水酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、水酸化マグネシウム粒子からなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐熱衝撃性を維持しつつ、排ガス中の粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集することができるとともに、PM捕集後の圧力損失が良好なセラミックハニカム構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1(a)】セラミックハニカムフィルタの一例を模式的に示す正面図である。
図1(b)】セラミックハニカムフィルタの一例を模式的に示す軸方向に平行な部分断面図である。
図2】セラミックハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図3】接合一体化して形成されたセラミックハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図4】実施例2の炭化珪素質セラミックハニカム構造体の隔壁断面SEM写真を2値化処理した写真である。
図5】隔壁断面において、平均気孔幅、及び単位長さ当たりの気孔数を測定する位置を説明するための模式図である。
図6】本発明の実施例で使用したセラミックス粒子の粒度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
[1]炭化珪素質セラミックハニカム構造体
本発明の炭化珪素質セラミックハニカム構造体は、炭化珪素質多孔質体の隔壁により仕切られた軸方向に貫通する複数の流路を有し、前記隔壁の気孔率が35~50%、メジアン細孔径が8~18μmであり、前記軸方向に直交する前記隔壁の断面において、前記隔壁の厚さT方向の中心を通り前記隔壁の表面に平行な直線C、並びに前記直線Cから前記隔壁の厚さ方向に±T/5及び±2T/5離れた位置に引いた直線Cに平行な直線を引き、各直線が横切る気孔部分の長さ(気孔幅)及び気孔の数を所定の長さについて測定したとき、測定した全ての気孔の気孔幅の平均値である平均気孔幅Wが10~25μm、及び測定した気孔の総数を測定した各直線の全長さで割った値である単位長さ当たりの気孔数Nが20~40個/mmである。
【0019】
セラミックハニカム構造体がこのような構成を有することにより、耐熱衝撃性を維持しつつ、ナノサイズのPMを有効に捕集することができるとともに、PM捕集後の圧力損失が良好なセラミックハニカム構造体を提供することができる。
【0020】
隔壁の断面において測定された気孔幅の平均値である平均気孔幅Wは10~25μmである。平均気孔幅Wが10μm未満の場合、PM捕集後の低い圧力損失を維持し難くなる。一方、25μmを超える場合ナノサイズのPM捕集率が低下する。平均気孔幅Wの下限は、好ましくは12μmであり、上限は、好ましくは23μm、より好ましくは19である。
【0021】
また、隔壁の断面において測定された単位長さ当たりの気孔数Nは20~40個/mmである。単位長さ当たりの気孔数Nが20個/mm未満の場合、PM捕集後の低い圧力損失を維持し難くなる。一方、40個/mmを超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する。単位長さ当たりの気孔数Nの下限は、好ましくは22個/mmであり、上限は、好ましくは37個/mmである。
【0022】
ここで、平均気孔幅Wと単位長さ当たりの気孔数Nは、セラミックスハニカム構造体の軸方向に直交する断面における隔壁の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像し、得られたSEM写真から画像解析ソフト(Media Cybernetics 社製 Image-Pro Plus ver.7.0)を用いて以下のようにして求める。まず得られたSEM写真に白黒2値化処理を施す。図4に白黒2値化処理を施した画像の一例を示す。次に、図5に示すように、撮像された隔壁12の断面において、隔壁の厚さT方向の中心を通り隔壁の表面に平行な直線Cと、この直線Cから隔壁の厚さ方向に±T/5及び±2T/5離れた位置に直線Cに平行な直線を引く。各直線が横切る気孔部分の長さである気孔幅と、各直線が横切る気孔の数とを所定の長さについて測定したとき、測定した全ての気孔幅の合計長さを、測定した気孔の総数で割った値を平均気孔幅Wとし、測定した気孔の総数を、測定した各直線の全長さで割った値を単位長さ当たりの気孔数Nとした。
【0023】
気孔率は35~50%である。気孔率が35%未満の場合、PM捕集後の低い圧力損失を維持し難くなる。一方、50%を超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する。気孔率の下限は好ましくは38%、より好ましくは40%である。一方、気孔率の上限は好ましくは49%、より好ましくは48%、最も好ましくは46%である。なお、隔壁の気孔率は後述の水銀圧入法で測定する。
【0024】
メジアン細孔径は8~18μmである。メジアン細孔径が8μm未満の場合、PM捕集後の低い圧力損失を維持し難くなる。一方、18μmを超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する。メジアン細孔径は、好ましくは10~15μmである。なお、メジアン細孔径は、後述する水銀圧入法により測定された隔壁の細孔分布曲線において、累積細孔容積が全細孔容積の50%となる細孔径である。
【0025】
細孔径が20μm以上の細孔容積は全細孔容積の10~20%であるのが好ましい。20μm以上の細孔容積が全細孔容積の10%未満の場合、PM捕集後の低い圧力損失を維持し難くなる場合がある。一方、20%を超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する場合がある。好ましくは、12~18%である。
【0026】
細孔径が9μm以下の細孔容積は全細孔容積の3~25%であるのが好ましい。細孔径が9μm以下の細孔容積が全細孔容積の3%未満の場合、PM捕集後の低い圧力損失を維持し難くなる場合がある。一方、25%を超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する場合がある。下限は好ましくは4%、上限は好ましくは23%である。
【0027】
水銀圧入法による累積細孔容積の測定は、例えば、Micromeritics社製のオートポアIII 9410を使用して行う。水銀圧入法による累積細孔容積の測定は、セラミックハニカム構造体から切り出した試験片(10 mm×10 mm×10 mm)を測定セル内に収納し、セル内を減圧した後、水銀を導入して加圧したときに、試験片内に存在する細孔中に押し込まれた水銀の体積を求めることによって行う。この時加圧力が大きくなればなるほど、より微細な細孔にまで水銀が浸入するので、加圧力と細孔中に押し込まれた水銀の体積との関係から、細孔径と累積細孔容積(最大の細孔径から特定の細孔径までの細孔容積を累積した値)の関係を求めることができる。水銀の浸入は細孔径の大きいものから小さいものへと順次行われ、前記圧力を細孔径に換算し、細孔径の大きい側から小さい側に向かって積算した累積細孔容積(水銀の体積に相当)を細孔径に対してプロットする。本願において、水銀を導入する圧力は0.5 psi(0.35×10-3 kg/mm2、細孔径約362μmに相当)とし、水銀の加圧力が1800 psi(1.26kg/mm2、細孔径約0.1μmに相当)での累積細孔容積を全細孔容積とする。
【0028】
図2に示すように、本発明の炭化珪素質セラミックハニカム構造体をハニカムセグメント211とし、図3に示すように、複数のハニカムセグメント211を接合材層29によって接合一体化して、接合された炭化珪素質セラミックハニカム構造体210としても良い。複数のハニカムセグメント211を接合材層29によって接合一体化した後は、その流路に直交する断面の外周形状が円形、楕円形、三角形、四角形、その他所望の形状となるように加工し、加工後の外周面にコーティング材を被覆し、外周壁21を形成する。
【0029】
本発明の炭化珪素質セラミックハニカム構造体110,210は、その流路の排気ガス流入側25a又は排気ガス流出側25bを公知の方法で交互に市松模様となるように目封止してセラミックハニカムフィルタ100,200とすることができる。ここで、接合一体化して形成されたセラミックハニカムフィルタ200の場合、接合される前のハニカムセグメント211に封止部26a、26bが形成されていても良いし、接合一体化した後に封止部26a、26bが形成されていても良い。さらに、これらの封止部は流路の排気ガス流入側又は排気ガス流出側の端面部に形成されていても良いし、流入側端25a面又は流出側端面26bから流路内部に入った位置に形成されていても良い。
【0030】
[2]炭化珪素質セラミックハニカム構造体の製造方法
本発明の炭化珪素質セラミックハニカム構造体の製造方法について、その一実施形態を説明する。
骨材と結合材とを含むセラミックス粒子と、有機バインダーとを配合し、混合、混練して得られた坏土をハニカム形状に押出成形し、得られた成形体を乾燥後、焼成して製造する。ここで、前記骨材が炭化珪素粒子であり、前記セラミックス粒子は、メジアン粒子径D50が35~45μm、粒子径と累積粒子体積との関係を示す曲線において、全粒子体積の10%に相当する累積粒子体積での粒子径D10が5~20μm、全粒子体積の90%に相当する累積粒子体積での粒子径D90が50~65μm、粒度分布偏差SD[ただし、SD=log(D80)-log(D20)であり、D20は全粒子体積の20%に相当する累積粒子体積での粒子径、D80は全粒子体積の80%に相当する累積粒子体積での粒子径でありD20<D80である]が0.20~0.40である。
【0031】
このような方法により、隔壁の気孔率が35~50%、及びメジアン細孔径が8~18μmであり、軸方向に直交する隔壁断面において、平均気孔幅Wが10~25μm、及び単位長さ当たりの気孔数Nが20~40個/mmである炭化珪素質セラミックハニカム構造体を得ることができる。
【0032】
ここで、セラミックス粒子の粒子径は、例えば、日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置(MT3000)を用いて測定することができる。測定された粒子径と累積粒子体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係の一例を図6に示す。図6に示す曲線において、全粒子体積の10%に相当する累積粒子体積での粒子径をD10(μm)、全粒子体積の50%に相当する累積粒子体積での粒子径をメジアン粒子径(D50)(μm)、及び全粒子体積の90%に相当する累積粒子体積での粒子径をD90(μm)とする。また、粒度分布偏差SDは、SD=log(D80)-log(D20)で表され、D20は、全粒子体積の20%に相当する累積粒子体積での粒子径(μm)を示し、D80は同様に全粒子体積の80%に相当する累積粒子体積での粒子径(μm)を示す。なおD20<D80である。
【0033】
前記セラミックス粒子は、メジアン粒子径D50が35~45μmである。メジアン粒子径D50が35μm未満の場合、隔壁に形成される細孔径が小さくなり、PMが捕集された際の低い圧力損失を維持し難くなる。一方、45μmを超える場合、隔壁に形成される細孔径が大きくなり、ナノサイズのPM捕集率が低下する。メジアン粒子径D50の下限は好ましくは37μm、上限は好ましくは43μmである。
【0034】
セラミックス粒子のD10は5~20μmである。D10が5μm未満の場合、隔壁に形成される細孔のうち、圧力損失特性を悪化させる微小細孔の割合が多くなるので好ましくない。一方、20μmを超える場合、ナノサイズのPMが有効に捕集され難くなる場合がある。D10の下限は好ましくは7μm、上限は好ましくは18μmである。
【0035】
セラミックス粒子のD90は50~65μmである。D90が50μm未満の場合、PMが捕集された際の低い圧力損失を維持し難くなる。一方、65μmを超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する。D90の下限は好ましくは、52μm、上限は63μmである。
【0036】
セラミックス粒子の粒度分布偏差SD[ただし、SD=log(D80)-log(D20)であり、D20は全粒子体積の20%に相当する累積粒子体積での粒子径、D80は全粒子体積の80%に相当する累積粒子体積での粒子径でありD20<D80である]は0.20~0.40である。SDが0.20未満の場合、隔壁に形成される細孔の内微小細孔の割合が多くなり、PMが捕集された際の低い圧力損失を維持し難くなる。一方、0.40を超える場合、ナノサイズのPM捕集率を低下させる粗大細孔の割合が多くなるので好ましくない。SDの下限は好ましくは0.22、上限は好ましくは0.38である。
【0037】
前記結合材は、アルミナ粒子、水酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、及び水酸化マグネシウム粒子からなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
【0038】
有機バインダーは、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等を挙げることができる。これらの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び/又はメチルセルロースを用いるのが好ましい。有機バインダーは、成形原料(炭化珪素粒子と結合材の合計)100質量%に対して5~15質量%含有するのが好ましい。
【0039】
骨材と結合材とを含むセラミックス粒子と、有機バインダーとを配合し、混合した原料に水を添加して混練して可塑性の坏土を形成する。水の含有量は、成形可能な坏土の硬度となるように調整されるが、成形原料に対して20~50質量%であるのが好ましい。
【0040】
形成された坏土を公知のハニカム構造体成形用の金型から、公知の押出成形法により押出成形して、ハニカム構造の成形体を形成する。この成形体を乾燥後、必要により端面、外周等の加工を施し、1200~1350℃の温度範囲で、酸化雰囲気で焼成することにより炭化珪素質セラミックハニカム構造体を製造する。
【0041】
乾燥の方法は、特に限定されないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波加熱乾燥、高周波加熱乾燥等の方法を挙げることができる。
【0042】
1200~1350℃の温度範囲で焼成を行うことで、結合材粒子(アルミナ粒子、水酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、及び水酸化マグネシウム粒子からなる群から選ばれた少なくとも1種)が焼結により炭化珪素粒子同士を結合する結合層となる。このように比較的低い焼成温度で焼成が可能なので、結合層を形成するための焼成コストを従来よりも低コストに抑えることができる。1200℃未満の場合、炭化珪素粒子と結合相との結合が不十分となり、十分な強度を得られない。一方、1350℃を超える場合、耐熱衝撃性が低下する。また、酸化雰囲気で焼成を行うので、焼成工程におけるコスト増を抑制できる。
【実施例
【0043】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1~4及び参考例1
表1に示す粒径を有する炭化珪素粒子、炭化珪素以外の粒子を表1に示す添加量で有機バインダーとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースとともに配合し混合した。混合した原料に水を添加して混練して可塑性の坏土を形成し、ハニカム構造体成形用の金型から、スクリュー成形機により押出成形して、一辺が34 mmの外形四角形状で長さ304 mmのハニカム構造成形体を成形した。この成形体を熱風乾燥機にて120℃で2時間乾燥後、1300℃の最高温度で酸化雰囲気で焼成して、隔壁厚さ8 mil(0.20 mm)及びセル密度300 cpsi(46.5セル/cm2)を有する実施例1~4及び参考例1の炭化珪素質セラミックハニカム構造体を得た。
【0045】
比較例1及び7
炭化珪素粒子及び結合材の粒子の種類及び添加量を表1に示すように変更し、さらに成形体を熱風乾燥した後に550℃で3時間の脱脂工程を追加し、1450℃の最高温度でアルゴン雰囲気で2時間焼成した以外は実施例1と同様にして、比較例1及び7の炭化珪素質セラミックハニカム構造体を得た。
【0046】
比較例2~6
炭化珪素粒子及び結合材の粒子の種類及び添加量を表1に示すように変更して、実施例1と同様にハニカム構造成形体を成形し、比較例2及び4~6は1300℃の最高温度で、比較例3は1400℃の最高温度で酸化雰囲気で焼成した以外は実施例1と同様にして、比較例2~6の炭化珪素質セラミックハニカム構造体を得た。
【0047】
得られた実施例1~4、参考例1及び比較例1~7の炭化珪素質セラミックハニカム構造体の1個を用いて、平均気孔幅、単位長さ当たりの気孔数、気孔率、メジアン細孔径、及び熱膨張係数の測定を行った。
【0048】
(a)平均気孔幅、及び単位長さ当たりの気孔数
平均気孔幅、及び単位長さ当たりの気孔数は、次のように測定する。
セラミックスハニカム構造体の軸方向に直交する断面における隔壁の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率200倍で撮像する。撮像されたSEM写真を画像解析ソフト(Media Cybernetics 社製 Image-Pro Plus ver.7.0)で測定する。具体的には、撮像されたSEM写真を画像解析ソフトで図4に示す白黒2値化処理を行う。そして、図5に示すように、撮像された隔壁12の断面において、隔壁の厚さT方向の中心を通り隔壁の表面に平行な直線Cと、この直線Cから隔壁の厚さ方向に±T/5及び±2T/5離れた位置に直線Cに平行な直線を引く。各直線が横切る気孔部分の長さである気孔幅と、各直線が横切る気孔の数とを所定の長さについて測定したとき、測定した全ての気孔幅の合計長さを、測定した気孔の総数で割った値を平均気孔幅Wとし、測定した気孔の総数を、測定した各直線の全長さで割った値を単位長さ当たりの気孔数Nとした。
【0049】
(b)気孔率、及びメジアン細孔径の測定
気孔率、及びメジアン細孔径は、水銀圧入法により測定した。セラミックハニカム構造体から切り出した試験片(10 mm×10 mm×10 mm)を、Micromeritics社製オートポアIIIの測定セル内に収納し、セル内を減圧した後、水銀を導入して加圧し、加圧時の圧力と試験片内に存在する細孔中に押し込まれた水銀の体積との関係を求めた。前記圧力を細孔径に換算し、細孔径の大きい側から小さい側に向かって積算した累積細孔容積(水銀の体積に相当)を細孔径に対してプロットし、細孔径と累積細孔容積との関係を示すグラフを得た。水銀を導入する圧力は0.5 psi(0.35×10-3 kg/mm2)とし、圧力から細孔径を算出する際の常数は、接触角=130°及び表面張力=484 dyne/cmの値を使用した。なお水銀の加圧力が1800 psi(1.26 kg/mm2、細孔径約0.1μmに相当)での累積細孔容積を全細孔容積とした。
【0050】
得られた水銀圧入法の測定結果から、全細孔容積、及び累積細孔容積が全細孔容積の50%となる細孔径であるメジアン細孔径を求めた。これらの結果を表2に示す。
【0051】
(c)熱膨張係数の測定
熱膨張係数は、4.5 mm×4.5 mmの断面形状及び50 mmの長さの試験片を、長手方向が流路方向にほぼ一致するように切り出し、熱機械分析装置(TMA、リガク社製ThermoPlus、圧縮荷重方式/示差膨張方式)を用いて、一定荷重20 gをかけながら、昇温速度10℃/minで室温から800℃まで加熱した時の全長方向の長さの増加量を測定して、40~800℃間の平均熱膨張係数として求めた。結果を表2に示す。
【0052】
次に、実施例1~4、参考例1及び比較例1~7の各炭化珪素質セラミックハニカム構造体の流路端部に、交互に目封止されるように、炭化珪素粒子からなる目封止材スラリーを充填した後、目封止材スラリーを乾燥させて封止部を形成した。封止部が形成された炭化珪素質セラミックハニカム構造体をハニカムセグメントとして、ハニカムセグメントの外周面に炭化珪素粒子及びコロイダルシリカからなる接合材を塗布して、6個×6層に接合一体化し、軸方向に直行する断面の外周形状が円形となるように外周部を除去加工した。除去加工された外周に、非晶質シリカとコロイダルシリカとからなる外皮材をコーティングして乾燥させて外周壁を形成し、外径266.7 mm、全長304.8vmm、隔壁厚さ8vmil(0.20 mm)及びセル密度300 cpsi(46.5セル/cm2)を有する実施例1~4、参考例1及び比較例1~7の接合された炭化珪素質セラミックハニカムフィルタを得た。セラミックハニカムフィルタは、それぞれ同じものを2個ずつ製作した。
【0053】
得られた実施例1~4、参考例1及び比較例1~7のセラミックハニカムフィルタの1個を用いて、下記の方法で、PM捕集初期圧力損失、及び捕集開始後の粒子数基準でのPM捕集率の測定を行った。
【0054】
(d)PM捕集後の圧力損失
PM捕集後の圧力損失は、圧力損失テストスタンドに固定したセラミックハニカムフィルタに、空気流量10 Nm3/minで、平均粒径0.11μmの燃焼煤を1.3 g/hの速度で投入し、フィルタ体積1リットルあたりの煤付着量が2 gとなった時の流入側と流出側との差圧(圧力損失)から以下の基準により評価した。すなわち、圧力損失が、
2.8 kPaを越える場合を(×)、
2.5 kPaを超え2.8 kPa以下の場合を(△)、
2.3 kPaを超え2.5 kPa以下の場合を(○)、及び
2.3 kPa以下の場合を(◎)
としてPM捕集後の圧力損失を評価した。
【0055】
(e)捕集後の粒子数基準でのPM捕集率
捕集後の粒子数基準でのPM捕集率は、圧力損失テストスタンドに固定したセラミックハニカムフィルタに、空気流量10 Nm3/minで、平均粒径0.11μmの燃焼煤を1.3 g/hの速度で投入しながら、1分毎にハニカムフィルタに流入する燃焼煤の粒子数とハニカムフィルタから流出する燃焼煤の粒子数とをSMPS(Scanning Mobility Particle Sizer)(TIS社製モデル3936)を用いて計測し、投入開始40分後から41分後までの1分間にハニカムフィルタに流入する燃焼煤の粒子数Nin、及びハニカムフィルタから流出する燃焼煤の粒子数Noutから、式:(Nin-Nout)/Nin によりPM捕集率を求めた。PM捕集率が、
98%以上の場合を(◎)、
96%以上98%未満の場合を(○)、
95%以上96%未満の場合を(△)、及び
95%未満の場合を(×)
としてPM捕集後のPM捕集率を評価した。
【0056】
【表1-1】
【0057】
【表1-2】
【0058】
【表1-3】
【0059】
【表2-1】
【0060】
【表2-2】
【0061】
表1及び2より、気孔率、メジアン細孔径、並びに隔壁の断面における平均気孔幅、及び気孔数が本発明の範囲内にある実施例1~4及び参考例1のセラミックハニカムフィルタは、これらの要件が本発明の範囲を外れている比較例1~7のセラミックハニカムフィルタに対して、熱膨張係数が同等であることから耐熱衝撃性が同等であり、かつPM捕集後の圧力損失及びPM捕集率が良好であることがわかる。
【要約】
炭化珪素質多孔質体の隔壁により仕切られた軸方向に貫通する複数の流路を有する炭化珪素質セラミックハニカム構造体であって、前記隔壁の気孔率が35~50%、メジアン細孔径が8~18μmであり、前記軸方向に直交する前記隔壁の断面において、前記隔壁の厚さT方向の中心を通り前記隔壁の表面に平行な直線C、並びに前記直線Cから前記隔壁の厚さ方向に±T/5及び±2T/5離れた位置に引いた直線Cに平行な直線を引き、各直線が横切る気孔部分の長さ(気孔幅)及び気孔の数を所定の長さについて測定したとき、測定した全ての気孔の気孔幅の平均値である平均気孔幅Wが10~25μm、及び測定した気孔の総数を測定した各直線の全長さで割った値である単位長さ当たりの気孔数Nが20~40個/mmであることを特徴とする炭化珪素質セラミックハニカム構造体。
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6