(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】半導体装置及び音出力装置
(51)【国際特許分類】
H03F 1/52 20060101AFI20221206BHJP
H03F 3/20 20060101ALI20221206BHJP
H03F 3/181 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H03F1/52
H03F3/20
H03F3/181
(21)【出願番号】P 2019009450
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 孝則
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】実公昭55-15378(JP,Y2)
【文献】実公昭61-10335(JP,Y2)
【文献】国際公開第2013/054601(WO,A1)
【文献】特開2014-230016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/50-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を増幅する増幅部から出力された出力信号と前記入力信号との各々に含まれるDCオフセット成分の除去を行う除去部、及び前記DCオフセット成分が除去された前記入力信号及び前記出力信号の位相を合わせ、前記入力信号と前記出力信号とのゲインを合わせる補正を行う補正部を含み、前記入力信号の波形と前記出力信号の波形とを比較する第1検出部と、
前記除去部に入力される前記入力信号に含まれるDCオフセット成分と、前記除去部に入力される前記出力信号に含まれるDCオフセット成分とのずれを検出する第2検出部と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記補正部に入力される前記入力信号のゲインと、前記補正部に入力される前記出力信号のゲインとのずれを検出する第3検出部をさらに備えた、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
入力信号を増幅する増幅部から出力された出力信号と前記入力信号との各々に含まれるDCオフセット成分の除去を行う除去部、及び前記DCオフセット成分が除去された前記入力信号及び前記出力信号の位相を合わせ、前記入力信号と前記出力信号とのゲインを合わせる補正を行う補正部を含み、前記入力信号の波形と前記出力信号の波形とを比較する第1検出部と、
前記補正部に入力される前記入力信号のゲインと、前記補正部に入力される前記出力信号のゲインとのずれを検出する第2検出部と、
を備えた半導体装置。
【請求項4】
前記除去部に入力される前記入力信号に含まれるDCオフセット成分と、前記除去部に入力される前記出力信号に含まれるDCオフセット成分とのずれを検出する第3検出部をさらに備えた、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3検出部により検出された前記ずれの量と、予め定められた故障検出用閾値とを比較する第3検出部用比較部をさらに備えた、
請求項2または請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2検出部により検出された前記ずれの量と、予め定められた故障検出用閾値とを比較する第2検出部用比較部をさらに備えた、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
音信号を出力する音源と、
前記音信号が入力信号として入力される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置から出力された出力信号に応じた音を出力するスピーカと、
を備えた音出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び音出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、いわゆる、「機能安全」という考え方が知られている。この機能安全という考え方では、リスクを許容可能な範囲にまで低減するために、例えば、装置や装置に含まれる各部に入力される入力信号と、当該装置や当該各部から出力される出力信号とに基づいて、当該装置の故障の検出が行われる。
【0003】
機能安全に関する技術の一つとして、音源から出力された音声信号をスピーカにより再生する音出力装置において、音源から出力された音声信号と、スピーカに入力される信号とに基づいて音出力装置の故障を検出する、いわゆる再生音チェックという技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、警報音を発生する警報音発生手段と、警報音を発生させるための警報信号を警報音発生手段に送信する警報信号送信手段と、警報信号を増幅するアンプと、を備えた警報器におけるアンプの異常を検出する故障検出装置であって、アンプのプラス側出力端子から出力された第一検出信号の波形と、アンプのマイナス側出力端子から出力された第二検出信号の波形とに基づいて、アンプの異常を判定する故障検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように信号の波形に基づいて故障の検出を行う技術として、入力信号及び出力信号等、信号同士についてDCオフセット及び振幅を揃えた状態で波形のずれを比較し、比較結果に基づいて、故障の有無を判定する技術がある。一方、昨今では、故障のより詳細な検出が望まれている。
【0007】
本開示は、より詳細な故障の検出が可能な半導体装置及び音出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の半導体装置は、入力信号を増幅する増幅部から出力された出力信号と前記入力信号との各々に含まれるDCオフセット成分の除去を行う除去部、及び前記DCオフセット成分が除去された前記入力信号及び前記出力信号の位相を合わせ、前記入力信号と前記出力信号とのゲインを合わせる補正を行う補正部を含み、前記入力信号の波形と前記出力信号の波形とを比較する第1検出部と、前記除去部に入力される前記入力信号に含まれるDCオフセット成分と、前記除去部に入力される前記出力信号に含まれるDCオフセット成分とのずれを検出する第2検出部と、を備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本開示の半導体装置は、入力信号を増幅する増幅部から出力された出力信号と前記入力信号との各々に含まれるDCオフセット成分の除去を行う除去部、及び前記DCオフセット成分が除去された前記入力信号及び前記出力信号の位相を合わせ、前記入力信号と前記出力信号とのゲインを合わせる補正を行う補正部を含み、前記入力信号の波形と前記出力信号の波形とを比較する第1検出部と、前記補正部に入力される前記入力信号のゲインと、前記補正部に入力される前記出力信号のゲインとのずれを検出する第2検出部と、を備える。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本開示の音出力装置は、 音信号を出力する音源と、前記音信号が入力信号として入力される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置と、前記半導体装置から出力された出力信号に応じた音を出力するスピーカと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、より詳細な故障の検出が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の音出力装置の構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】第1実施形態の波形ずれ検出部の構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】第1実施形態のDCオフセット除去部及びDCオフセットずれ検出部の構成の一例を表すブロック図である。
【
図4】第1実施形態のゲイン補正部及びゲインずれ検出部の構成の一例を表すブロック図である。
【
図5】第1実施形態の半導体装置において実行されるずれ情報の検出処理の一例を表すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態の音出力装置の構成の一例を表すブロック図である。
【
図7】第2実施形態の波形ずれ検出部、DCオフセットずれ検出部、及びゲインずれ検出部の構成の一例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではない。なお、以下の実施形態では、一例として本開示の技術を、音源から入力された音声信号をアンプにより増幅した音声信号をスピーカに出力する音声出力装置に適用した形態について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の音出力装置の構成の一例について説明する。
図1には、本実施形態の音出力装置10の構成の一例を表すブロック図が示されている。
【0015】
図1に示すように本実施形態の音出力装置10は、音声信号を出力する音源12、音源12から出力された音声信号を増幅する半導体装置18、及び増幅された音声信号に応じた音声を出力するスピーカ16を備える。なお、本実施形態の音声信号が、本開示の音信号の一例である。
【0016】
音源12は、音声信号を半導体装置18に出力する機能を有すればよく、特に限定されない。例えば、音源12は、外部から入力された音声信号を記憶する記憶部を備え、記憶部に備えられた音声を出力する形態のものであってもよいし、音声信号を生成して出力する形態のものであってもよい。また、本実施形態では、音源12が出力する音について、「音声」としているが、音源12が出力する音は、人が発生した音声に限定されず、その他の「音」であってもよいことは言うまでもない。
【0017】
音源12から出力された音声信号は、図示を省略したインタフェースを介して半導体装置18に入力される。半導体装置18は、AMP(Amplifier)14及び故障検出部20を備える。AMP14は、音源12から入力された音声信号を増幅し、増幅した音声信号を、スピーカ16に出力する機能を有する。以下では、音源12から入力された音声信号を「基準値信号」(基準値信号13)といい、AMP14により増幅された基準値信号13を、「出力信号」(出力信号15)という。なお、本実施形態の基準値信号13が、本開示の入力信号の一例であり、本実施形態のAMP14が、本開示の増幅部の一例である。
【0018】
故障検出部20は、基準値信号13と出力信号15とのずれ、例えば基準値信号13と出力信号15との差分を検出する機能を有する。
図1に示すように本実施形態の故障検出部20は、波形ずれ検出部20A、DC(Direct Current)オフセットずれ検出部40、及びゲインずれ検出部60を備える。一例として、本実施形態の故障検出部20では、波形ずれ検出部20Aに、DCオフセットずれ検出部40及びゲインずれ検出部60が含まれている(
図2等参照、詳細後述)。
【0019】
いずれも詳細は後述するが、波形ずれ検出部20Aは、基準値信号13の波形と、出力信号15の波形との位相差や、出力信号15の歪み等を波形のずれとして検出し、波形同士のずれを表す情報を波形ずれ情報29として出力する機能を有する。また、DCオフセットずれ検出部40は、基準値信号13に含まれるDCオフセット成分と、出力信号15に含まれるDCオフセット成分との差分を表す情報をDCオフセットずれ情報23として出力する機能を有する。また、ゲインずれ検出部60は、基準値信号13(13B)と出力信号15(15B)とのゲイン(振幅)の差分を表す情報をゲインずれ情報27として出力する機能を有する。
【0020】
DCオフセットずれ情報23、ゲインずれ情報27、及び波形ずれ情報29は、ずれ情報21として、半導体装置18の外部の制御装置1に図示を省略したインタフェースを介して出力される。制御装置1では、入力されたずれ情報21に基づいて、半導体装置18が故障しているか否かを判定する機能を有する。具体的には、制御装置1は、音源12から出力された音声信号である基準値信号13と、スピーカ16に入力される信号である出力信号15との差異が比較的大きい場合、半導体装置18が故障していると判定する機能を有する。このような制御装置1としては、例えば、MCU(Micro Controller Unit)等が挙げられる。
【0021】
図2を参照して、波形ずれ検出部20Aの詳細を説明する。
図2には、波形ずれ検出部20Aの構成の一例を表すブロック図が示されている。
図2に示すように本実施形態の波形ずれ検出部20Aは、DCオフセット除去部22、タイミング調整部24、ゲイン補正部26、及び波形比較部28を備える。なお、本実施形態の波形ずれ検出部20Aが、本開示の第1検出部の一例である。
【0022】
DCオフセット除去部22には、音源12から入力された基準値信号13が入力される。また、DCオフセット除去部22には、AMP14から出力されてフィードバックされた出力信号15が入力される。本実施形態のDCオフセット除去部22は、DCオフセットずれ検出部40を含む。
【0023】
図3には、本実施形態のDCオフセット除去部22及びDCオフセットずれ検出部40の構成の一例を表すブロック図が示されている。
図3に示すように、本実施形態のDCオフセット除去部22は、DCオフセット検出部32、差分回路34、DCオフセット検出部36、及び差分回路38を含む。なお、本実施形態のDCオフセットずれ検出部40が、本開示の第2検出部の一例であり、また、第3検出部の一例である。
【0024】
DCオフセット検出部32には、基準値信号13が入力される。DCオフセット検出部32は、基準値信号13に含まれるDCオフセット成分を検出し、検出したDCオフセット成分を表すDCオフセット成分信号33を出力する。差分回路34には、基準値信号13と、DCオフセット成分信号33とが入力される。差分回路34は、基準値信号13と、DCオフセット成分信号33との差分である基準値信号13Aを出力する。換言すると、差分回路34は、基準値信号13からDCオフセット成分が除去された基準値信号13Aを出力する。
【0025】
一方、DCオフセット検出部36には、出力信号15が入力される。DCオフセット検出部36は、出力信号15に含まれるDCオフセット成分を検出し、検出したDCオフセット成分を表すDCオフセット成分信号37を出力する。差分回路38には、出力信号15と、DCオフセット成分信号37とが入力される。差分回路38は、出力信号15と、DCオフセット成分信号37との差分である出力信号15Aを出力する。換言すると、差分回路38は、出力信号15からDCオフセット成分が除去された出力信号15Aを出力する。
【0026】
一方、DCオフセットずれ検出部40は、差分回路42を含む。差分回路42には、DCオフセット検出部32から出力されたDCオフセット成分信号33と、DCオフセット検出部36から出力されたDCオフセット成分信号37とが入力される。差分回路42は、DCオフセット成分信号33と、DCオフセット成分信号37との差をDCオフセットずれ情報23として出力する。
【0027】
半導体装置18に故障等が生じたことにより、基準値信号13には含まれていないDCオフセットが、何かしらの影響により出力信号15に余分に重畳される場合がある。DCオフセットずれ情報23が入力される制御装置1では、DCオフセットずれ情報23により出力信号15における余分なDCオフセットの重畳量を把握することができる。一例として本実施形態の制御装置1では、DCオフセットずれ情報23に基づき、出力信号15に余分に重畳されたDCオフセットの量が大きい場合、換言すると、出力信号15に含まれるDCオフセット成分の量と、基準値信号13に含まれるDCオフセット成分の量とが大幅に異なる場合、故障(エラー)が生じていると判定する。
【0028】
また、タイミング調整部24には、DCオフセット除去部22から出力された基準値信号13A及び出力信号15Aが入力される。タイミング調整部24は、基準値信号13Aと出力信号15Aとのタイミングを調整し、タイミングが調整された基準値信号13B及び出力信号15Bを出力する。具体的には、タイミング調整部24は、基準値信号13Aと出力信号15Aとの位相を合わせることでタイミングを調整する。
【0029】
また、ゲイン補正部26には、タイミング調整部24から出力された基準値信号13B及び出力信号15Bが入力される。本実施形態のゲイン補正部26は、ゲインずれ検出部60を含む。
【0030】
図4には、本実施形態のゲイン補正部26及びゲインずれ検出部60の構成の一例を表すブロック図が示されている。
図4に示すように、本実施形態のゲイン補正部26は、差分回路52、LPF(Low Pass Filter)54、及び積分器56を含む。なお、本実施形態のゲインずれ検出部60が、本開示の第3検出部の一例であり、また、第2検出部の一例である。
【0031】
差分回路52には、タイミング調整部24から出力された基準値信号13Bと、出力信号15Bとが入力される。差分回路52は、基準値信号13Bと出力信号15Bとの差分を表す差分信号53を出力する。具体的には、差分回路52は、基準値信号13Bと出力信号15Bとの振幅の差を差分信号53として出力する。LPF54には、差分信号53が入力される。LPF54は、差分信号53を平滑化した差分平滑化信号55を出力する。LPF54により差分信号53を平滑化することにより、差分平滑化信号55からノイズが除去される。
【0032】
積分器56には、差分平滑化信号55が入力される。積分器56は、入力された差分平滑化信号55を積分する。換言すると積分器56は、差分平滑化信号55をフィードバックして加算することにより、基準値信号13Bと出力信号15Bとの振幅を合わせるための補正量を表すゲイン補正信号57を出力する。
【0033】
ゲイン補正部26は、積分器56から出力されたゲイン補正信号57により、出力信号15Bのゲインを、図示を省略した補正回路により補正することにより、基準値信号13Bの振幅と出力信号15Bの振幅とを合わせる。ゲイン補正部26は、振幅が一致した状態の基準値信号13Cと、出力信号15Cとを出力する。
【0034】
一方、ゲインずれ検出部60は、差分平滑化信号55を、ゲインずれ情報27として出力する。半導体装置18に故障等が生じたことにより、基準値信号13(13B)のゲインと、出力信号15(15B)のゲインとが、何かしらの影響により大幅に異なる(ずれる)場合がある。ゲインずれ情報27が入力される制御装置1では、ゲインずれ情報27により、基準値信号13のゲインと出力信号15のゲインとのずれ量を把握することができる。一例として本実施形態の制御装置1では、ゲインずれ情報27に基づき、基準値信号13のゲインと出力信号15のゲインとの間でゲインのずれ量が大きい場合、故障(エラー)が生じていると判定する。
【0035】
また、波形比較部28には、ゲイン補正部26から出力された基準値信号13C及び出力信号15Cが入力される。波形比較部28は、基準値信号13Cの波形と出力信号15Cの波形とを比較し、比較結果として、出力信号15Cの波形の歪み等を、基準値信号13Cの波形に対する出力信号15Cの波形のずれとして表す波形ずれ情報29を出力する。
【0036】
このように本実施形態の波形ずれ検出部20Aでは、基準値信号13及び出力信号15各々のDCオフセットずれを除去し、さらにタイミングと振幅とを合わせた状態で、基準値信号13(13C)の波形と、出力信号15(15C)の波形とのずれを検出する。
【0037】
半導体装置18に故障等が生じたことにより、出力信号15の波形が歪む等により、出力信号15の波形が基準値信号13の波形とずれる場合がある。波形ずれ情報29が入力される制御装置1では、波形ずれ情報29により出力信号15の波形と基準値信号13の波形とのずれを把握することができる。一例として本実施形態の制御装置1では、波形ずれ情報29に基づき、出力信号15の波形と基準値信号13の波形とのずれが大きい場合、故障(エラー)が生じていると判定する。
【0038】
次に、本実施形態の半導体装置18の作用について説明する。
図5には、半導体装置18において実行されるずれ情報21の検出処理の一例を表すフローチャートが示されている。なお本実施形態では一例として、
図5に示した検出処理は、半導体装置18に電源が投入されると実行される。
【0039】
ステップS100で故障検出部20は、ずれ情報21を検出するタイミングであるか否かを判断する。ずれ情報21を検出するタイミングは特に限定されず、例えば、予め定められた間隔毎であってもよいし、随時であってもよいし、また、音源12から音声信号(基準値信号13)が入力されるタイミングに応じたタイミングであってもよい。
【0040】
ずれ情報21を検出するタイミングになるまでステップS100の判定が否定判定となる。一方、ずれ情報21を検出するタイミングの場合、ステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0041】
ステップS102でDCオフセットずれ検出部40は、上述したように、DCオフセットずれ情報23を出力する。DCオフセットずれ検出部40から出力されたDCオフセットずれ情報23は、ずれ情報21として制御装置1に出力される。
【0042】
次のステップS104でゲインずれ検出部60は、上述したように、ゲインずれ情報27を出力する。ゲインずれ検出部60から出力されたゲインずれ情報27は、ずれ情報21として制御装置1に出力される。
【0043】
次のステップS106で波形ずれ検出部20Aは、上述したように、波形ずれ情報29を出力する。波形ずれ検出部20Aから出力された波形ずれ情報29は、ずれ情報21として制御装置1に出力される。
【0044】
次のステップS108で故障検出部20は、検出処理を終了するか否か判定する。一例として本実施形態の半導体装置18では、電源が落とされるまでステップS108の判定が否定判定となり、ステップS100に戻り、検出処理を繰り返す。一方、半導体装置18の電源が落とされた場合、ステップS108の判定が肯定判定となり、本検出処理を終了する。
【0045】
このように、本実施形態の音出力装置10の故障検出部20では、DCオフセットずれ情報23、ゲインずれ情報27、及び波形ずれ情報29が、この順で順次出力され、制御装置1に順次入力される。従って、制御装置1によれば、順次、DCオフセットについて故障(エラー)が生じているか否か、ゲインについて故障(エラー)が生じているか否か、及び波形について故障(エラー)が生じているか否かを判定することができる。
【0046】
[第2実施形態]
図面を参照して、本実施形態の音出力装置10について説明する。なお、本実施形態の音出力装置10は、第1実施形態の音出力装置10(
図1参照)と同様の構成を含むため、同様の構成についてはその旨を記載し、詳細な説明を省略する。
【0047】
図6には、本実施形態の音出力装置10の構成の一例を表すブロック図が示されている。
図6に示すように、音出力装置10全体の構成、半導体装置18における故障検出部20以外の構成については、第1実施形態と同様である。
【0048】
また、
図6に示すように、本実施形態の故障検出部20の波形ずれ検出部20Aからは、第1実施形態の波形ずれ検出部20Aと同様に、波形ずれ情報29が出力され、図示を省略したインタフェースを介して制御装置1に入力される。
【0049】
一方、
図6に示すように、本実施形態のDCオフセットずれ検出部40には、制御装置1から出力された故障検出用閾値3が図示を省略したインタフェースを介して入力される点で第1実施形態のDCオフセットずれ検出部40と異なっている。また、DCオフセットずれ検出部40からは、DCオフセットずれ情報23に代わり、DCオフセットについて故障(エラー)が生じていることを表す故障情報45が出力され、図示を省略したインタフェースを介して制御装置1に入力される点で、第1実施形態のDCオフセットずれ検出部40と異なっている。DCオフセットずれ検出部40は、故障検出用閾値3を用いてDCオフセットについて故障の有無を判定し、その判定結果を故障情報45として出力する。
【0050】
また、
図6に示すように、本実施形態のゲインずれ検出部60には、制御装置1から出力された故障検出用閾値5が図示を省略したインタフェースを介して入力される点で第1実施形態のゲインずれ検出部60と異なっている。また、ゲインずれ検出部60からは、ゲインずれ情報27に代わり、ゲインについて故障(エラー)が生じていることを表す故障情報63が出力され、図示を省略したインタフェースを介して制御装置1に入力される点で、第1実施形態のゲインずれ検出部60と異なっている。ゲインずれ検出部60は、故障検出用閾値5を用いてDCゲインについて故障の有無を判定し、その判定結果を故障情報63として出力する。
【0051】
図7には、波形ずれ検出部20A、DCオフセットずれ検出部40、及びゲインずれ検出部60の構成の一例を表すブロック図が示されている。
【0052】
図7に示すように、本実施形態のDCオフセットずれ検出部40は、比較部44を備えている。本実施形態の比較部44が、本開示の第2検出部用の比較部の一例であり、また、第3検出部用の比較部の一例である。なお、
図7では、DCオフセットずれ検出部40の構成のうち、上述したDCオフセット除去部22に含まれる、DCオフセットずれ情報23を出力するための構成については記載を省略している。
【0053】
比較部44には、DCオフセットずれ情報23及び故障検出用閾値3が入力される。基準値信号13によるDCオフセット成分信号33と、出力信号15によるDCオフセット成分信号37とに差分が生じていても、音出力装置10として許容範囲内である場合がある。そのため、本実施形態の音出力装置10では、音出力装置10として許容できない差分の値を、故障検出用閾値3として設定しておく。そして、DCオフセット成分信号33と、DCオフセット成分信号37との差分が、故障検出用閾値3を越えた場合に、DCオフセットについて故障(エラー)が生じているとしている。
【0054】
比較部44は、DCオフセットずれ情報23によって表されるDCオフセットのずれ量が、故障検出用閾値3を越えた場合、故障情報45を出力する。従って、制御装置1では、故障情報45が入力された場合、DCオフセットについて故障(エラー)が生じていると判定することができる。
【0055】
また、
図7に示すように、本実施形態のゲインずれ検出部60は、比較部62を備えている。本実施形態の比較部62が、本開示の第3検出部用の比較部の一例であり、また、第2検出部用の比較部の一例である。なお、
図7では、ゲインずれ検出部60の構成のうち、上述したゲイン補正部26に含まれる、ゲインずれ情報27を出力するための構成については記載を省略している。
【0056】
比較部62には、ゲインずれ情報27及び故障検出用閾値5が入力される。基準値信号13Bのゲインと、出力信号15Bのゲインとに差分が生じていても、音出力装置10として許容範囲内である場合がある。そのため、本実施形態の音出力装置10では、音出力装置10として許容できない差分の値を、故障検出用閾値5として設定しておく。そして、基準値信号13Bのゲインと、出力信号15Bのゲインとの差分が、故障検出用閾値5を越えた場合に、ゲインについて故障(エラー)が生じているとしている。
【0057】
比較部62は、ゲインずれ情報27によって表されるゲインの差分量が、故障検出用閾値5を越えた場合、故障情報63を出力する。従って、制御装置1では、故障情報63が入力された場合、ゲインについて故障(エラー)が生じていると判定することができる。
【0058】
このように本実施形態の半導体装置18では、DCオフセットずれ情報23に代えて、故障情報45を出力するため、DCオフセットのずれ量(差分)ではなく、DCオフセットについて故障(エラー)が生じているか否かを制御装置1に通知することが可能となる。また、本実施形態の半導体装置18では、ゲインずれ情報27に代えて、故障情報63を出力するため、ゲインのずれ量(差分)ではなく、ゲインについて故障(エラー)が生じているか否かを制御装置1に通知することが可能となる。
【0059】
以上説明したように、上記各実施形態の半導体装置18は、基準値信号13を増幅するAMP14から出力された出力信号15と基準値信号13との各々に含まれるDCオフセット成分の除去を行うDCオフセット除去部22、DCオフセット成分が除去された基準値信号13A及び出力信号15Aの位相をタイミング調整部24により合わせ、基準値信号3Bと出力信号15Bとのゲインを合わせる補正を行うゲイン補正部26を含み、基準値信号13Cの波形と出力信号15Cの波形とを波形比較部28により比較する波形ずれ検出部20Aを備える。また、上記各実施形態の半導体装置18は、DCオフセット除去部22に入力される基準値信号13に含まれるDCオフセット成分と、DCオフセット除去部22に入力される出力信号15に含まれるDCオフセット成分とのずれを検出するDCオフセットずれ検出部40を備える。また、上記各実施形態の半導体装置18は、ゲイン補正部26に入力される基準値信号13Bのゲインと、ゲイン補正部26に入力される出力信号15Bのゲインとのずれを検出するゲインずれ検出部60を備える。
【0060】
このように上記各実施形態の半導体装置18では、基準値信号13の波形と出力信号15の波形とのずれに加えて、DCオフセットずれ検出部40が基準値信号13に含まれるDCオフセット成分と出力信号15に含まれるDCオフセット成分との差分を検出する。そのため、本実施形態の半導体装置18によれば、検出されたDCオフセットの差分を表すDCオフセットずれ情報23により、DCオフセットに故障(エラー)が生じているか否かがわかる。制御装置1は、波形ずれ情報29よりも先に出力されるDCオフセットずれ情報23により、故障(エラー)の有無の判定を行うことができるため、波形ずれ情報29により故障(エラー)の有無を判定する場合に比べて、より早く故障(エラー)の有無を判定することができる。
【0061】
また、上記各実施形態の半導体装置18では、基準値信号13の波形と出力信号15の波形とのずれに加えて、ゲインずれ検出部60が基準値信号13のゲインと出力信号15のゲインとの差分を検出する。そのため、本実施形態の半導体装置18によれば、検出されたゲインの差分を表すゲインずれ情報27により、ゲインに故障(エラー)が生じているか否かがわかる。制御装置1は、波形ずれ情報29よりも先に出力されるゲインずれ情報27により、故障(エラー)の有無の判定を行うことができるため、波形ずれ情報29により故障(エラー)の有無を判定する場合に比べて、より早く故障(エラー)の有無を判定することができる。
【0062】
従って上記各実施形態の半導体装置18によれば、より詳細な故障の検出が可能となる。
【0063】
なお、上記各実施形態では、本開示の技術を再生音チェック、すなわち音出力装置10に適用した例について説明したが、本開示の技術は、音出力装置10に限定されず、2つの信号の差異を検出するシステムであれば適用可能である。
【0064】
なお、波形ずれ検出部20Aは、基準値信号13を増幅するAMP14から出力された出力信号15と基準値信号13との各々に含まれるDCオフセット成分を除去し、位相を合わせ、さらにゲインを合わせた状態で波形を比較する機能を有していればよい。上記各実施形態では、半導体装置18の波形ずれ検出部20Aが、DCオフセット除去部22、タイミング調整部24、ゲイン補正部26、及び波形比較部28の各々を回路ブロックとして備える形態について説明したが、各部の機能は回路ブロックとして実現されていなくてもよい。
【0065】
なお、上記各実施形態では、制御装置1が、半導体装置18が故障しているか否かを判定する機能を有する形態について説明したが、当該機能の一部または全部を音出力装置10が備える形態としてもよい。また、上記各実施形態では、音出力装置10がDCオフセットずれ検出部40及びゲインずれ検出部60を備える形態について説明したが、いずれか一方を備える形態であってもよいことはいうまでもない。
【0066】
また、上記各実施形態における半導体装置18の具体的なハードウエア構成は特に限定されない。例えば、故障検出部20を1つのチップで構成する形態としてもよいし、複数のチップを組み合わせて形成する形態としてもよい。
【0067】
また、上記各実施形態で説明した音出力装置10及び半導体装置18等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 制御装置
10 音出力装置
12 音源
13、13A,13B、13C 基準値信号
14 AMP
15、15A、15B、15C 出力信号
16 スピーカ
18 半導体装置
20 故障検出部
20A 波形ずれ検出部
24 タイミング調整部
26 ゲイン補正部
28 波形比較部
40 DCオフセットずれ検出部
44、62 比較部
60 ゲインずれ検出部