(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】面状照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221206BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20221206BHJP
F21V 3/06 20180101ALI20221206BHJP
F21V 9/14 20060101ALI20221206BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221206BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20221206BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20221206BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20221206BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221206BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20221206BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20221206BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221206BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21V3/00 530
F21V3/06
F21V9/14
G02F1/13357
G02B5/26
G02B5/02
G02B5/08 A
F21Y115:10
F21Y113:10
F21Y115:15
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2020035596
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】兼岩 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】実藤 竜二
(72)【発明者】
【氏名】石黒 誠
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/212070(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/212266(WO,A1)
【文献】特開2018-56367(JP,A)
【文献】特開2010-40194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 3/06
F21V 9/14
G02F 1/13357
G02B 5/26
G02B 5/02
G02B 5/08
F21Y 115/10
F21Y 113/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の主面に離散して搭載される複数の光源と、
前記基板の前記光源が搭載される主面に設けられる第1反射層と、
前記基板の主面の面方向の前記光源の位置に対応して、前記光源の光出射側に、前記光源と離間して設けられる遮蔽層と、
前記光源の光出射側に、前記遮蔽層よりも前記光源から離間して設けられる第2反射層とを有し、
前記第2反射層が、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有し、かつ、前記光源の発光中心波長と、前記第2反射層の積分反射率スペクトルの反射中心波長との差が50nm以下であることを特徴とする面状照明装置。
【請求項2】
前記第2反射層が拡散反射性を有する、請求項1に記載の面状照明装置。
【請求項3】
前記第2反射層は、前記光源の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における積分透過率が40%以下である、請求項1または2に記載の面状照明装置。
【請求項4】
前記第2反射層は、前記光源の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における積分透過率をT(0)、前記光源の発光中心波長の光を入射角40°で入射した際における積分透過率をT(40)とした際に、
前記積分透過率T(40)が前記積分透過率T(0)の1.2倍以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の面状照明装置。
【請求項5】
前記第2反射層の積分反射率スペクトルの反射中心波長と長波長側の半値波長との差が70nm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の面状照明装置。
【請求項6】
隣接する前記光源間の距離が10mm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の面状照明装置。
【請求項7】
前記光源が、青色光の波長域に発光中心波長を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の面状照明装置。
【請求項8】
前記光源と前記遮蔽層とが、前記基板の主面の面方向に同じパターン状に設けられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の面状照明装置。
【請求項9】
前記第2反射層は、選択的に反射する円偏光の旋回方向が逆である2層のコレステリック液晶層の組み合わせを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の面状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置などのバックライトユニット等に用いられる面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD(Liquid Crystal Display(液晶表示装置))は、消費電力が小さく、省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。
また、近年の液晶表示装置において、性能改善として、さらなる高ダイナミックレンジ化、省電力化、および、色再現性向上等が求められている。特に、高ダイナミックレンジ化と省電力化との両立の観点からは、面内部分駆動いわゆるローカルディミングが可能である、直下型とよばれるバックライトが好ましく用いられている。
【0003】
直下型バックライトは、二次元的に配列したLED(Light Emitting Diode(発光ダイオード))等の光源から光を出射することで、面状の光を照射する形式のバックライトである。
そのため、直下型バックライトでは、面内(面方向)の輝度を均一にするために、拡散板およびプリズムシート等の光を均一化するための光拡散部材を用いている。
【0004】
近年では、LCDにも薄型化が要求されており、それに伴って、バックライトユニットにも薄型化が要求されている。直下型のバックライトユニットを薄型化するためには、光源と、光拡散部材とを近接する必要がある。
ところが、直下型のバックライトユニットにおいて、光源と光拡散部材とを近接すると、光源の直上部のみが非常に明るくなる、いわゆるホットスポットが生じてしまう。バックライトユニットにおいてホットスポットが生じると、LCDによる表示画像もホットスポットの部分だけ明るくなってしまい、表示画質が低下してしまう。
【0005】
これに対して、特許文献1には、直下型のバックライトユニットにおいて、LED等の光源に対向する位置に、光源からの光を反射する遮蔽層(反射パターン)を設けることが記載されている。
特許文献1にも記載されるように、光源に対向して、遮蔽層を設けることにより、ホットスポットの発生を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、本発明者らの検討によれば、光源に対応して遮蔽層を設けることにより、ホットスポットは防止できるが、遮蔽層の縁で部分的に輝度が高くなってしまう。例えば、光源に対応して、円形の遮蔽層を設けた場合には、遮蔽層の縁でリング状に輝度が高い部分が生じてしまう。
このような遮蔽層の縁における高輝度部が生じた場合にも、同様に、LCDによる表示画像が遮蔽層の縁の部分だけ明るくなってしまい、表示画質が低下してしまう。
【0008】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、LCDなどに用いられる直下型のバックライトユニット等に好適な面状照明装置であって、出射光が部分的に高輝度になることを防止し、輝度均一性の高い面状照明を照射できる面状照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成により、この課題を解決する。
[1] 基板と、
基板の一方の主面に離散して搭載される複数の光源と、
基板の光源が搭載される主面に設けられる第1反射層と、
基板の主面の面方向の光源の位置に対応して、光源の光出射側に、光源と離間して設けられる遮蔽層と、
光源の光出射側に、遮蔽層よりも光源から離間して設けられる第2反射層とを有し、
第2反射層が、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有し、かつ、光源の発光中心波長と、第2反射層の積分反射率スペクトルの反射中心波長との差が50nm以下であることを特徴とする面状照明装置。
[2] 第2反射層が拡散反射性を有する、[1]に記載の面状照明装置。
[3] 第2反射層は、光源の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における積分透過率が40%以下である、[1]または[2]に記載の面状照明装置。
[4] 第2反射層は、光源の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における積分透過率をT(0)、光源の発光中心波長の光を入射角40°で入射した際における積分透過率をT(40)とした際に、
積分透過率T(40)が積分透過率T(0)の1.2倍以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の面状照明装置。
[5] 第2反射層の積分反射率スペクトルの反射中心波長と長波長側の半値波長との差が70nm以下である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の面状照明装置。
[6] 隣接する光源間の距離が10mm以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の面状照明装置。
[7] 光源が、青色光の波長域に発光中心波長を有する、[1]~[6]のいずれか1項に記載の面状照明装置。
[8] 光源と遮蔽層とが、基板の主面の面方向に同じパターン状に設けられる、[1]~[7]のいずれかに記載の面状照明装置。
[9] 第2反射層は、選択的に反射する円偏光の旋回方向が逆である2層のコレステリック液晶層の組み合わせを有する、[1]~[8]のいずれかに記載の面状照明装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の面状照明装置によれば、例えば、LCD等に用いられる直下型のバックライトユニット等に利用した際に、出射光が部分的に高輝度になることを防止し、輝度均一性の高いバックライト(面状照明)を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の面状照明装置を利用するバックライトユニットの一例を概念的に示す図である。
【
図3】コレステリック液晶層の一例の作用を説明するための概念図である。
【
図4】コレステリック液晶層の別の例の作用を説明するための概念図である。
【
図5】従来のバックライトユニットを説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の面状照明装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0013】
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
また、これに制限されるものではないが、本発明において、400nm以上495nm未満の波長域の光は青色光であり、495nm以上595nm未満の波長域の光は緑色光であり、595nm以上750nm未満の波長域の光は赤色光である。
【0014】
本発明において、入射角θ、波長λにおける積分透過率T(θ,λ)は、測定対象に対して所定の入射角になるように光源の位置を調整しつつ、測定対象の表面から光が入射するように、市販の光源、受光素子および積分球装置等を組み合わせた装置を用いて測定すればよい。
本発明において、波長λにおける積分反射率R(λ)は、測定対象の表面から光が入射するように、市販されている分光光度計(例えば、日本分光社製、V-550)に市販されている大型積分球装置(例えば、日本分光社製、ILV-471)を取り付けたものを用いて測定すればよい。
【0015】
本発明において、積分反射率スペクトルの反射中心波長は、以下の方法で求める。
上述した方法によって各波長における積分反射率を測定すると、波長を横軸にした山型(上に凸型)である積分反射率のスペクトル波形(積分反射率スペクトル)が得られる。この積分反射率スペクトルの積分反射率の最大値と最小値との平均反射率(算術平均)を求める。さらに、波形と平均反射率との2交点の2つの波長のうち、短波長側の波長(短波長側の半値波長)をλα[nm]、長波長側の波長(長波長側の半値波長)をλβ[nm]として、下記式により反射中心波長を算出する。
反射中心波長=(λα+λβ)/2
別の方法として、Axometrix社のAxoscan等で、測定対象の透過スペクトルを測定することで、反射中心波長を測定する方法が例示される。透過スペクトルを測定すると、波長を横軸にした谷型(下に凸型)である透過スペクトル波形が得られる。このときの透過率の最大値と最小値の平均透過率(算術平均)を求め、波形と平均透過率の2交点の2つの波長のうち、短波長側の波長をλα(nm)、長波長側の波長をλβ(nm)とすることで、上述した式により、反射中心波長を算出する。
【0016】
図1に、本発明の面状照明装置を、LCDのバックライトユニット(直下型バックライトユニット)として利用した一例を概念的に示す。なお、以下の説明では、本発明の面状照明装置を利用するバックライトユニットを、単に『本発明のバックライトユニット』ともいう。
図1に示すバックライトユニット(面状照明装置)10は、基板12と、光源14と、第1反射層16と、遮蔽層18と、第2反射層20とを有する。
なお、本発明の面状照明装置は、LCD等のバックライトユニットに利用されるものに制限はされず、例えば、ステンドグラスなどの装飾品のバックライト、車両などの交通機関の車内照明、屋内用の照明、および、屋外用の照明等、面状の照明を照射する各種の用途に、各種、利用可能である。中でも、本発明の面状照明装置は、輝度均一性が高い面状照明が得られる点で、LCD等のバックライトユニットには、好適に利用可能である。
【0017】
本発明のバックライトユニット10は、図示した部材以外にも、LCD等において直下型のバックライト(面状照明)を出射する光源として用いられるバックライトユニットが有する、各種の部材を有してもよい。部材としては、拡散板、拡散シート、導光板、プリズムシート、波長変換部材、偏光子、輝度向上フィルム、反射型直線偏光子、および、カラーフィルター等が例示される。
一例として、本発明のバックライトユニットは、
図1に示すバックライトユニット10の第2反射層20の図中上方に、拡散板を有し、その図中上方に、青色光の入射によって緑色光および赤色光の蛍光を発光する波長変換部材を有し、その図中上方に、稜線を直交して配置される2枚のプリズムシートを有してもよい。波長変換部材としては、KSF蛍光体を含むフィルム、および、量子ドットフィルム等が例示される。
【0018】
基板12は、一方の主面に光源14が搭載され、光源14の搭載面に第1反射層16が設けられるものである。なお、主面とは、シート状物(フィルム、板状物、層)の最大面である。
基板12は、光源14を安定して搭載できるものであれば、公知の各種の基板が利用可能である。一例として、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、複合基材エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスポリイミド基板、BT(ビスマレイミドトリアジン樹脂)基板、テフロン(登録商標)基板、金属ベース基板などが挙げられる。また基材に柔軟性が求められる場合には、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリマーなどの樹脂を素材にしたフレキシブル基板を用いることもできる。
また、基板12としては、プリント配線基板およびプリント回路基板などのプリント基板等、光源14を駆動するための配線および回路等が設けられたものも利用可能である。例えば、光源14がLEDである場合には、基板12は、公知のいわゆるLED基板が、各種、利用可能である。
【0019】
本発明においては、白色顔料を練りこむ方法、および、微細な気泡を含有させる等の手段で基板12が光反射性を有してもよい。すなわち、本発明のバックライトユニットでは、基板12が、後述する第1反射層として作用してもよい。
【0020】
基板12の厚さにも、制限はなく、基板12の大きさ、基板12の種類、基板12の形成材料、光源14の種類、光源14の搭載数等に応じて、適宜、設定すればよい。
バックライトユニット10の薄型化のためには、基板12は、薄い方が好ましい。基板12の厚さは、10~1000μmが好ましく、30~400μmがより好ましい。
【0021】
本発明のバックライトユニット10において、基板12の一方の主面(図中上面)には、光源14が二次元的に配列(搭載)されている。
光源14は、バックライトユニット10の光源である。図示例のバックライトユニット10において、光源14は、好ましい一例として、青色光の波長域に発光中心波長を有する青色光源である。より好ましくは、光源14は、450nm±25nmの範囲内に発光中心波長を有する。
なお、発光中心波長とは、発光強度が最も高くなる波長(ピーク波長)である。すなわち、図示例の光源14は、ピーク強度が420~490nmの光を出射する光源である。
【0022】
本発明のバックライトユニット10において、光源14は青色光源に制限はされない。すなわち、光源14は、緑色光の波長域に発光中心波長を有する緑色光源でも、赤色光の波長域に発光中心波長を有する赤色光源でも、紫外線の波長域(280nm以上400nm未満)に発光中心波長を有する紫外線光源でもよい。
また、本発明のバックライトユニット10は、発光中心波長の異なる複数種の光源14を有してもよい。例えば、本発明のバックライトユニット10は、青色光源と赤色光源とを有するものでもよく、青色光源と緑色光源とを有するものでもよく、青色光源と緑色光源と赤色光源とを有するものでもよい。
本発明のバックライトユニット10が、発光中心波長の異なる複数種の光源14を有する場合には、後述する第2反射層20は、各光源14の発光中心波長に応じて、それぞれの光源14が出射する光を選択的に反射する複数種のコレステリック液晶層を有するのが好ましい。すなわち、バックライトユニット10が、発光中心波長の異なる複数種の光源14を有する場合には、第2反射層20は、各光源14の発光中心波長に応じて、選択反射中心波長が異なる複数種のコレステリック液晶層を有するのが好ましい。
例えば、バックライトユニット10が、青色光源と赤色光源とを有する場合には、第2反射層20も、青色光を選択的に反射するコレステリック液晶層と、赤色光を選択的に反射するコレステリック液晶層との、選択的な反射波長域(選択反射中心波長)が異なる2種のコレステリック液晶層を有するのが好ましい。
【0023】
光源14は、直下型のバックライトユニット等に用いられる公知の光源(光源)が、各種、利用可能である。光源14としては、LED、レーザーダイオード、有機EL(Electro Luminescence)、および、無機EL等が例示される。中でも、LEDは、好適に利用される。
【0024】
本発明のバックライトユニット10において、光源14の配置(配列)は、LCDに用いられる一般的な直下型のバックライトユニットと同様でよい。
従って、光源14の配置は、規則的でも、不規則でもよいが、通常は、規則的である。規則的な配列としては、正方格子状、千鳥格子状、斜方格子状および六角格子状等が例示される。また、光源14の配置密度は、基板12の主面の方向に、均一でも、配置密度の変動があってもよい。
【0025】
光源14の間隔には、制限はなく、バックライトユニットの大きさ、および、要求されるバックライトの輝度等に応じて、適宜、設定すればよい。
光源14の間隔は、隣接する光源14間の距離で、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましい。隣接する光源14の間隔を10mm以下とすることにより、均一性が向上する、より細かな輝度制御(ローカルディミング)が可能になる等の点で好ましい。
なお、光源間の距離とは中心(通常は光軸)同士の距離である。
【0026】
基板12の光源14が配置される主面には、第1反射層16が設けられる。
第1反射層16は、後述する遮蔽層18および第2反射層20によって反射された光源14の出射光を、再度、遮蔽層18および第2反射層20側に向けて反射するためのものである。
第1反射層16は、図示例のように、光源14に応じた開口を有してもよく、あるいは、第1反射層16の上に光源を配置してもい。
【0027】
第1反射層16には、制限はなく、LCDのバックライト等で用いられている公知の基板側の反射層が、各種、利用可能である。また、第1反射層16は、拡散反射板のように、全体が光を反射するものでもよく、金属板および樹脂層の表面に反射膜を設けた構成等のように、表面のみで光を反射するものでもよい。
第1反射層16としては、白色のソルダーレジストおよび白色塗料等を用いて形成する白色の反射層、シリコーン系樹脂およびエポキシ系樹脂などの樹脂マトリックスに酸化チタン等の白色粒子を分散した拡散反射板、アルミニウム板および銀板などの金属板、SiO2およびTiO2等の無機化合物の誘電体の多層膜、高屈折率のポリマー層と低屈折率のポリマー層とを交互に積層してなるポリマー多層膜、ならびに、これらのうちの少なくとも2つを組み合わせたもの等が例示される。
また、第1反射層16には、古川電工社製のMCPETおよびMCPOLYCA、ならびに、3M社製のESR(Enhanced Specular Reflector)等の市販の光反射材も、好適に利用可能である。
【0028】
第1反射層16の厚さには、制限はなく、第1反射層16の形成材料に応じて、光源14が発光した光を、十分な反射率で反射できる厚さを、適宜、設定すればよい。
第1反射層16の厚さは、0.01~1000μmが好ましく、0.02~100μmがより好ましい。
【0029】
本発明のバックライトユニット10は、光源14からの光出射側に、光源14と離間して、遮蔽層18が設けられる。
遮蔽層18は、光源14の光出射方向の真上において、光源14が出射した光を反射するためのものである。以下の説明では、『光源14の光出射方向の真上』を、単に『光源14の真上』ともいう。
従って、遮蔽層18は、基板12の主面の面方向に、光源14と対応する位置に配置される。すなわち、遮蔽層18は、光源14の配列に応じて、光源14の配列パターンと同じ配列パターンでパターン状に設けられる。以下の説明では、特に断りが無い場合には、面方向とは、シート状物の主面の面方向を示すものとする。
光源14および遮蔽層18は、好ましくは、面方向で、光源14の光軸と遮蔽層18の中心とを一致して配置する。例えば、遮蔽層18が円形である場合には、遮蔽層18は、光源14の光軸が円の中心を通過するように配置する。遮蔽層18が正方形または長方形である場合には、遮蔽層18は、光源14の光軸が対角線の交点を通過するように配置する。
【0030】
上述したように、直下型のバックライトユニットにおいては、二次元的に配列される光源14の直上部では出射光の輝度が高く、照射するバックライト(面状照明)において、光源14の直上部に高輝度なホットスポットが生じてしまう。
これに対して、特許文献1にも記載されるように、直下型のバックライトユニットの光源14の直上部に、光源14が出射した光を反射する遮蔽層18を設けることに、ホットスポットの発生を防止できる。
【0031】
光源14からの出射光の遮蔽層18の透過率には、制限はなく、光源14の出力、光源14と遮蔽層18との距離、光源14間の距離、および、光源14の配列等に応じて、適宜、設定すればよい。
遮蔽層18の透過率は、光源14の発光中心波長に対する積分透過率で、1~80%が好ましく、2~70%がより好ましく、5~60%がさらに好ましい。
遮蔽層18の透過率を、1~80%とすることにより、ホットスポットの発生を防止すると共に、光源14の直上での輝度低下も防止して、より好適に照射するバックライトの輝度均一化を図れる点で好ましい。
【0032】
なお、遮蔽層18で光源14からの出射光を吸収すると、その分の光は損失になる。
従って、遮蔽層18は、透過光以外の光は、可能な限り高い反射率で反射するのが好ましい。
【0033】
遮蔽層18の面積にも、制限はなく、光源14の出射光の拡散性、光源14と遮蔽層18との距離、光源14の配列、および、光源14間の距離等に応じて、適宜、設定すればよい。
遮蔽層18の面積は、遮蔽層18の配置位置において、光源14からの出射光のビームスポットの100~2500%が遮蔽層18に照射される面積が好ましく、120~1600%が遮蔽層18に照射される面積がより好ましく、140~900%が遮蔽層18に照射される面積がさらに好ましい。
【0034】
遮蔽層18と光源14との距離にも制限はなく、目的とするバックライトユニット10の厚さ、光源14の出力、および、光源14間の距離等に応じて、適宜、設定すればよい。
遮蔽層18と光源14との距離は、短い方が、バックライトユニット10を薄くできる点で有利である。また、本発明のバックライトユニット10は、遮蔽層18の有するので、遮蔽層18と光源14とを近接しても、ホットスポットの発生を防止できる。加えて、本発明のバックライトユニット10は、第2反射層20を有するので、遮蔽層18と光源14とを近接しても、後述する遮蔽層18の縁における高輝度部の発生(フリンジ)も防止できる。
この点を考慮すると、遮蔽層18と光源14との距離は、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。
【0035】
遮蔽層18の形状(主面の形状)にも制限はなく、円形、正方形、長方形、楕円形、および三角形など、各種の形状が利用可能である。
通常、LED等の光源14からの出射光のビームスポット形状は、円形であるので、遮蔽層18も円形であるのが好ましい。
【0036】
遮蔽層18を楕円形および長方形にした場合には、1つの遮蔽層18に複数の光源14からの光を入射させてもよい。
また、本発明のバックライトユニット10においては、円形の遮蔽層18と正方形の遮蔽層18など、形状の異なる遮蔽層18が混在してもよい。
【0037】
遮蔽層18の形成材料には、制限はなく、光源14の発光中心波長に応じて、公知の各種の光反射部材に用いられるものが、各種、利用可能である。また、遮蔽層18は、入射した光を、拡散反射するものでも、鏡面反射するものでもよい。
遮蔽層18の形成材料としては、一例として、白色インキ、マトリックスとなるバインダーに酸化チタンなどの光拡散粒子を分散してなる拡散反射材、積層膜などの干渉反射膜、および、金属薄膜等が例示される。これらの光反射材は、市販品も好適に利用可能である。
【0038】
遮蔽層18は、透明な支持体上に形成してもよく、後述する第2反射層20に形成してもよい。あるいは、シート状の遮蔽層18を、保持手段を用いる公知の方法で光源14の真上に保持してもよい。
遮蔽層18を形成する透明な支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂などの樹脂材料からなるフィルム、ならびに、ガラス板等が例示される。
【0039】
遮蔽層18の形成方法にも、制限はなく、形成材料に応じて、塗布法によって形成してもよく、シート状に成型した遮蔽層18を透明な貼着剤を用いて支持体等に貼着して形成してもよい。
塗布法としては、スクリーン印刷、インクジェット法、および、ディスペンサーによる塗布等の公知の方法が、各種、利用可能である。貼着剤も、光学透明接着剤(OCA(Optical Clear Adhesive))、光学透明両面テープおよび紫外線硬化型樹脂等の公知の貼着剤が、各種、利用可能である。
【0040】
本発明のバックライトユニット10において、光源14からの光出射側の、遮蔽層18よりも離間する位置には、第2反射層20が設けられる。すなわち、遮蔽層18は、光源14からの光出射側において、光源14と第2反射層20との間に配置される。
第2反射層20は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有するものである。
また、本発明のバックライトユニット10は、光源14の発光中心波長と、第2反射層20の積分反射率スペクトルの反射中心波長(選択反射中心波長)との差が50nm以下である。例えば、光源14の発光中心波長が450nmである場合には、第2反射層20の積分反射率スペクトルの反射中心波長は、400~500nmの範囲である。
後に詳述するが、本発明のバックライトユニット10は、上述した光源14に対応して設けられる遮蔽層18に加え、コレステリック液晶層を有する、このような第2反射層20を有することにより、照射するバックライト(面状照明)が部分的に高輝度になることを防止して、輝度均一性の高いバックライトを照射できる。
以下の説明では、『第2反射層20の積分反射率スペクトルの反射中心波長』を、単に『第2反射層20の反射中心波長』とも言う。
【0041】
図2に、第2反射層20の一例を概念的に示す。
図2に示す第2反射層20は、支持体28と、下地層30と、第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lとを有するものである。
なお、本発明のバックライトユニット10において、第2反射層20は、1枚のシート状でも、複数に分割されていてもよい。ただし、第2反射層20は、少なくとも面方向に遮蔽層18を包含するように設ける。好ましくは、第2反射層20は、光源14からの出射光のビームスポットを面方向で包含するように設ける。
【0042】
<支持体>
第2反射層20の支持体28は、下地層30と、第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lとを支持するものである。
【0043】
支持体28は単層であっても、多層であってもよい。単層である場合の支持体28としては、ガラス、TAC、PET、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、および、ポリオレフィン等からなる支持体が挙げられる。多層である場合の支持体28の例としては、前述の単層の支持体のいずれかなどを基板として含み、この基板の表面に他の層を設けたものなどが挙げられる。
【0044】
また、支持体28の膜厚には制限はなく、充分な透明性を有し、かつ、コレステリック液晶層を支持できる厚さを、形成材料等に応じて、適宜、設定すればよい。支持体28の厚さは10~300μmが好ましく、12~100μmがより好ましく、12~65μmがさらに好ましい。
また、支持体28は、透明であるのが好ましい。具体的には、支持体28は、JIS K 7361に準拠して測定する全光線透過率が85%以上であるのが好ましい。
【0045】
<下地層>
下地層30は、第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lを形成するための下地となる層である。
下地層30は樹脂層であるのが好ましく、透明樹脂層であるのがより好ましい。下地層の例としては、第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lを形成する際の液晶化合物の配向を調節するための配向膜、および、支持体28と第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lとの接着特性を改善するための層、などが挙げられる。
下地層30の厚さには、制限はなく、下地層30が目的とする機能を発現できる厚さを、下地層30の形成材料に応じて、適宜、設定すれば良い。
【0046】
第2反射層20において、支持体28および下地層30は、必要に応じて設けられるもので、必須の構成要件ではない。
従って、第2反射層20は、支持体28とコレステリック液晶層とで構成されてもよく、あるいは、下地層30とコレステリック液晶層とで構成されてもよく、あるいは、コレステリック液晶層のみで構成されてもよい。
【0047】
<コレステリック液晶層>
下地層30の表面には、第1コレステリック液晶層32Rが形成され、第1コレステリック液晶層32Rの表面には、第2コレステリック液晶層32Lが形成される。
第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lは、共に、コレステリック液晶相を固定してなるものである。
コレステリック液晶層は、反射に波長選択性を有し、かつ、特定の旋回方向(センス)の円偏光を選択的に反射する。第1コレステリック液晶層32Rは右円偏光を、第2コレステリック液晶層32Lは左円偏光を、それぞれ、選択的に反射する。
【0048】
本発明のバックライトユニット10において、第2反射層20は、反射する円偏光の旋回方向が逆の2層のコレステリック液晶層を有するものに制限はされない。すなわち、第2反射層20は、第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lの、一方のみを有するものであってもよい。
しかしながら、ホットスポットをより好適に防止できる等の点で、第2反射層20は、光源14の発光中心波長に応じて、反射する円偏光の旋回方向が逆の2層のコレステリック液晶層を有するのが好ましい。
また、上述したように、バックライトユニットが発光中心波長が異なる複数種の光源14を有する場合には、第2反射層20も、各光源14に応じた、選択的な反射波長域が異なる複数種のコレステリック液晶層を有するのが好ましい。この際には、第2反射層20は、支持体28、下地層30およびコレステリック液晶層を有する構成を、複数、有してもよい。この場合にも、反射する円偏光の旋回方向が逆の2層のコレステリック液晶層の組み合わせを、複数、有するのが好ましい。
【0049】
以下の説明では、右円偏光を選択的に反射する第1コレステリック液晶層32Rと、左円偏光を選択的に反射する第2コレステリック液晶層32Lとを区別する必要が無い場合には、両者をまとめてコレステリック液晶層とも言う。
【0050】
コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示すことが知られている。
一般的なコレステリック液晶相において、選択反射中心波長(選択反射の中心波長)λは、コレステリック液晶相における螺旋ピッチPに依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋ピッチPを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。コレステリック液晶相の選択反射中心波長は、螺旋ピッチPが長いほど、長波長になる。
なお、螺旋ピッチPとは、すなわち、コレステリック液晶相の螺旋構造1ピッチ分(螺旋の周期)の厚さ方向の長さであり、言い換えれば、螺旋の巻き数1回分であり、すなわち、コレステリック液晶相を構成する液晶化合物のダイレクター(棒状液晶であれば長軸方向)が360°回転する螺旋軸方向の長さである。
【0051】
コレステリック液晶層は、断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて観察すると、
図3に概念的に示すように、通常、明部Bと暗部Dとの縞模様が観察される。すなわち、コレステリック液晶層の断面では、明部Bと暗部Dとを交互に積層した層状構造が観察される。
コレステリック液晶層は、2つの明部Bおよび2つの暗部Dが、コレステリック液晶相の螺旋1ピッチ分に相当する。
【0052】
コレステリック液晶相の螺旋ピッチPは、コレステリック液晶層を形成する際に、液晶化合物と共に用いるカイラル剤の種類、および、カイラル剤の添加濃度に依存する。従って、これらを調節することによって、所望の螺旋ピッチPを得ることができる。
なお、螺旋ピッチPの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60-63に詳細な記載がある。螺旋のセンスおよび螺旋ピッチPの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載される方法を用いることができる。
【0053】
本発明のバックライトユニット10においては、光源14の発光中心波長と、第2反射層20の反射中心波長との差が50nm以下である。
従って、第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lは、第2反射層20の反射中心波長が上記条件を満たすように、選択反射中心波長λすなわち螺旋ピッチPの長さを設定する。例えば、第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32Lの選択反射中心波長λが、光源14の発光中心波長の±50nm以内となるように、螺旋ピッチP等を設定する。
【0054】
なお、光源14の発光中心波長と、第2反射層20の反射中心波長との差が50nm以下であれば、第1コレステリック液晶層32Rの選択反射中心波長λと、第2コレステリック液晶層32Lとの選択反射中心波長λとの差には、制限はない。
第1コレステリック液晶層32Rの選択反射中心波長λと、第2コレステリック液晶層32Lとの選択反射中心波長λとは、差が40nm以下であるのが好ましく、差が20nm以下であるのがより好ましい。
【0055】
コレステリック液晶相は、特定の波長において左右いずれかの円偏光に対して選択反射性を示す。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
コレステリック液晶相の旋回の方向は、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類および/または添加されるカイラル剤の種類によって調節できる。
【0056】
第2反射層20において、第1コレステリック液晶層32Rは右円偏光を、第2コレステリック液晶層32Lは左円偏光を、それぞれ、選択的に反射する。
従って、第1コレステリック液晶層32Rは右円偏光を選択的に反射するように、液晶化合物および/またはカイラル剤が選択され、第2コレステリック液晶層32Lは左円偏光を選択的に反射するように、液晶化合物および/またはカイラル剤が選択される。
【0057】
<<コレステリック液晶層の形成方法>>
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定して得ることができる。
コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。
なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物は、液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
【0058】
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物およびカイラル剤を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
コレステリック液晶層の形成に用いる液晶化合物を含む液晶組成物は、さらに界面活性剤を含むのが好ましい。また、コレステリック液晶層の形成に用いる液晶組成物は、さらに重合開始剤を含んでいてもよい。
【0059】
(液晶化合物)
本発明に用いられる液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶構造を形成する棒状の液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
【0060】
本発明に用いられる液晶化合物は、多官能液晶化合物であるのが好ましい。
多官能液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。多官能液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは一分子中に1~6個、より好ましくは1~3個である。多官能液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、WO95/22586、WO95/24455、WO97/00600、WO98/23580、WO98/52905、特開平1-272551号公報、同6-16616号公報、同7-110469号公報、同11-80081号公報、特開2001-328973号公報、WO2016/194327、および、WO2016/052367などに記載の化合物が含まれる。2種以上の多官能液晶化合物を併用してもよい。2種以上の多官能液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる場合がある。
【0061】
コレステリック液晶層を形成するための、液晶化合物およびカイラル剤等を用いて調製した液晶組成物において、液晶組成物中の多官能液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80~99.9質量%であることが好ましく、85~99.5質量%であることがより好ましく、90~99質量%であることが特に好ましい。
【0062】
(カイラル剤(光学活性化合物))
カイラル剤(キラル剤)はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。カイラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
カイラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。カイラル剤は、重合性基を有していてもよい。カイラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性カイラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、カイラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性カイラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、カイラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、カイラル剤は、液晶化合物であってもよい。
【0063】
カイラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、シンナモイル基が好ましい。
具体的な化合物として、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報に記載の化合物を用いることができる。
【0064】
液晶組成物における、カイラル剤の含有量は、液晶化合物量の0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。
【0065】
(重合開始剤)
液晶組成物は、重合開始剤を含有するのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤としては、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-40799号公報、特公平5-29234号公報、特開平10-95788号公報、特開平10-29997号公報、特開2001-233842号公報、特開2000-80068号公報、特開2006-342166号公報、特開2013-114249号公報、特開2014-137466号公報、特許4223071号公報、特開2010-262028号公報、特表2014-500852号公報記載)、オキシム化合物(特開2000-66385号公報、日本特許第4454067号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
【0066】
重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキシド化合物またはオキシム化合物またはチオキサントン化合物を用いることもできる。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、市販品のBASFジャパン(株)製のIRGACURE810(化合物名:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)を用いることができる。オキシム化合物としては、IRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(ADEKA社製)、および、アデカアークルズNCI-831(ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。チオキサントン化合物としては、カヤキュアーDETX(日本化薬社製)等の市販品を用いることができる。
重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して、0.01質量%~4.00質量%であることが好ましく、0.1質量%~2.00質量%であることがさらに好ましい。
【0067】
(ラジカル捕捉剤)
本発明において、コレステリック液晶層となる液晶組成物は、ラジカル捕捉能を持つ官能基を有するものとしてラジカル捕捉剤を有してもよい。
ラジカル捕捉剤としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、フェノール系化合物(好ましくは、ヒンダードフェノール系化合物)、ヒンダードアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、リン原子含有化合物(好ましくは、ホスファイト系化合物)、および、硫黄原子含有化合物が挙げられる。
ラジカル捕捉剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して、0.1~10質量%が好ましく、1.1~3.3質量%がより好ましい。
【0068】
(架橋剤)
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して、3質量%~20質量%が好ましく、5質量%~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量を3質量%以上とすることにより、架橋密度向上の効果を得ることができ、架橋剤の含有量を20質量%以下とすることにより、コレステリック液晶構造の安定性の低下を防止できる。
【0069】
(配向制御剤)
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶構造とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては特開2007-272185号公報の段落〔0018〕~〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012-203237号公報の段落〔0031〕~〔0034〕等に記載の式(I)~(IV)で表される化合物などが挙げられる。
なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
液晶組成物中における、配向制御剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01質量%~10質量%が好ましく、0.01質量%~5質量%がより好ましく、0.02質量%~1質量%が特に好ましい。
【0071】
(界面活性剤)
液晶組成物は界面活性剤を含むのが好ましい。界面活性剤は、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック構造とするために寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ-ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
【0072】
界面活性剤の具体例としては、特開2014-119605号公報の[0082]~[0090]に記載の化合物、特開2012-203237号公報の段落〔0031〕~〔0034〕に記載の化合物、特開2005-99248号公報の[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002-129162号公報の[0076]~[0078]および[0082]~[0085]中に例示されている化合物、ならびに、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
【0073】
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%が特に好ましい。
【0074】
(その他の添加剤)
その他、液晶組成物は、重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学性能を低下させない範囲で添加することができる。
【0075】
コレステリック液晶層は、液晶化合物およびカイラル剤等を溶媒に溶解させた液晶組成物を、下地層に塗布し、乾燥させて塗膜を得、この塗膜に活性光線を照射して液晶化合物を重合することで、コレステリック規則性が固定化されたコレステリック液晶構造を形成することができる。
なお、第2反射層20が複数層のコレステリック液晶層を有する場合には、コレステリック液晶層の上記製造工程を繰り返し行えばよい。
【0076】
(溶媒)
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
【0077】
(塗布、配向、重合)
液晶組成物の塗布方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、および、スライドコーティング法などが挙げられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによっても実施できる。また、液晶組成物を打滴することも可能である。打点方法としては、インクジェット法を用いることができる。
塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶化合物を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している構造が得られる。
【0078】
(液晶組成物の硬化)
配向させた液晶化合物をさらに重合させることにより、液晶組成物を硬化することができる。重合は、熱重合、光照射を利用する光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射量は100~1,500mW/cm2が好ましく、100~600mW/cm2がより好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、100~1,500mJ/cm2がより好ましい。照射紫外線波長は200~430nmに発光を含む光源により照射するのが好ましく、300~430nmに発光を含む光源により照射するのがより好ましい。また、使用する素材の分解や副反応を防止する観点では、波長300nm以下の光の透過率を20%以下に抑えるために、波長カットフィルタ-等を使用することができる。
【0079】
本発明のバックライトユニット10において、遮蔽層18と第2反射層20のコレステリック液晶層との距離には、制限はない。
しかしながら、バックライトユニット10の厚さを減らす観点から、遮蔽層18と第2反射層20のコレステリック液晶層との距離は、短い方が好ましい。
遮蔽層18と第2反射層20のコレステリック液晶層との距離は、2mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。
【0080】
以下、バックライトユニット10の作用を説明することにより、本発明のバックライトユニット(本発明の面状照明装置)について、詳細に説明する。
【0081】
バックライトユニット10において、光源14の真上には、遮蔽層18が設けられる。従って、光源14が出射した光のうち、最も高輝度な光軸近傍の光は、一部が遮蔽層18を透過するが、多くが、遮蔽層18によって反射される。
これにより、特許文献1にも記載されるように、直下型のバックライトユニットにおいて、照射するバックライトの光源14の位置のみが高輝度になる、いわゆるホットスポットを防止できる。
【0082】
ところが、光源14の真上に遮蔽層18を設けたのみでは、遮蔽層18の縁において、バックライトの輝度が高くなってしまう。以下の説明では、遮蔽層18の縁でバックライトの輝度が高くなる現象を、便宜的に、『フリンジ』と称する。
一例として、遮蔽層18で円形である場合に、光源14が出射した光を、拡散板およびプリズムシート等の光拡散部材50を介して観察すると、
図5に概念的に示すように、光源14の直上におけるホットスポットは解消しているものの、円形の遮蔽層18の縁でリング状にバックライトの輝度が高くなる、フリンジを生じてしまう。ホットスポットと同様、フリンジも、LCD等による表示画像の画質劣化の原因となる。
【0083】
これに対して、本発明のバックライトユニット10は、遮蔽層18の光源14とは逆側に、第2反射層20を有する。
第2反射層20は、コレステリック液晶層を有するものであり、光源14の発光中心波長と、第2反射層20の反射中心波長との差が50nm以下である。例えば、コレステリック液晶層(第1コレステリック液晶層32Rおよび第2コレステリック液晶層32L)は、選択反射中心波長λが、光源14の発光中心波長の±50nmである。
本発明のバックライトユニット10は、光源14の直上に配置される遮蔽層18に加え、このような第2反射層20を有することにより、ホットスポットのみならず、フリンジの発生も防止できる。
【0084】
コレステリック液晶層は、光の入射角度によって、選択的な反射波長域が変化する。すなわち、コレステリック液晶層は、法線方向から入射した光は、設定した波長域の光を選択的に反射するが、法線に対して角度を有する方向から入射した光に対しては、選択的な反射波長域が短波長側に移動する、いわゆるブルーシフトを生じる。
ブルーシフトによる選択的な反射波長の変動は、コレステリック液晶層への入射角が大きいほど、大きくなる。
法線方向とは、シート状物の主面と直交する方向であり、すなわち、コレステリック液晶層の主面と直交する方向である。また、入射角とは、法線と、シート状物に入射する入射光とが成す角度である。
従って、コレステリック液晶層では、設定した選択的な反射波長域の光の反射率は、法線方向から光が入射する入射角0°が最も高く、入射角が大きくなるにしたがって、低くなる。すなわち、光源14が出射した光は、光軸に近い入射角0°でコレステリック液晶層に入射した光は高い反射率で反射され、コレステリック液晶層への入射角が大きくなるほど、反射率が低くなり透過率が高くなる。
【0085】
一方、光源14が出射する光は、光軸方向が最も高輝度であり、光軸に対する角度が大きくなるにしたがって、輝度が低下する。
【0086】
遮蔽層18は、光源14の真上に配置される。好ましくは、光源14の光軸と、遮蔽層18の中心とは、基板12の面方向で一致している。
矢印aで示す光など、遮蔽層18に入射する光源14の光軸に近い高輝度の光は、上述のように、大部分が遮蔽層18で反射されるので、光源14の直上で発生するホットスポットを防止できる。
【0087】
光源14が出射した光のうち、遮蔽層18に入射しなかった光は、第2反射層20に入射する。
【0088】
矢印bに示す、第2反射層20の遮蔽層18の端部近傍に入射した光は、光源14の光軸に近い角度で進行するので、輝度が高い。しかしながら、此処に入射する光は、第2反射層20すなわちコレステリック液晶層への入射角が小さいので、コレステリック液晶層のブルーシフトは小さい。すなわち、光源14が出射した光の反射率は高い。
そのため、矢印bで示す遮蔽層18の端部近傍に入射した光は、多くが第2反射層20で反射される。その結果、遮蔽層18の縁でバックライトの輝度が高くなるフリンジの発生を防止できる。
【0089】
これに対して、矢印cで示す、第2反射層20の遮蔽層18から離間した位置に入射した光は、光源14の光軸に対して大きな角度で進行するので、輝度が低い。しかしながら、矢印cで示す光は、第2反射層20すなわちコレステリック液晶層への入射角も大きい。そのため、コレステリック液晶層による選択的な反射波長域は、ブルーシフトによって短波長側に大きく変動している。すなわち、光源14が出射した光の反射率は低い。
そのため、矢印cで示す遮蔽層18から離間した位置に入射した光は、輝度は低いが、大部分が第2反射層20を透過する。
【0090】
上述のように、ブルーシフトは、光の入射角が大きくなるにしたがって、大きくなる。すなわち、本発明のバックライトユニット10では、遮蔽層18から離間するにしたがって、第2反射層20による光の反射率が高くなり、透過率が高くなる。
一方で、光源14が出射する光は、光軸が最も高く、光軸からの角度が大きくなるほど、輝度が低くなる。
従って、遮蔽層18に加え、このような第2反射層20を有する本発明のバックライトユニット10によれば、ホットスポットおよびフリンジの発生を防止して、高輝度な部分が無い、輝度均一性が高いバックライト(面状照明)を照射できる。
【0091】
本発明のバックライトユニット10において、光源14の発光中心波長と、第2反射層20の積分反射率スペクトルの反射中心波長(選択反射中心波長)との差は50nm以下である。
光源14の発光中心波長と、第2反射層20の反射中心波長との差が50nmを超えると、第2反射層20の機能が十分に発揮できず、フリンジの抑制効果が不十分となる。
光源14の発光中心波長と、第2反射層20の反射中心波長との差は30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、一致(略一致)しているのがさらに好ましい。
【0092】
本発明のバックライトユニット10において、第2反射層20による光源14の出射光の透過率には、制限はない。第2反射層20による光源14の出射光の透過率は、光源14の出力、および、遮蔽層18の反射率等に応じて、適宜、設定すればよい。
第2反射層20は、光源14の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における積分透過率が40%以下であるのが好ましく、30%以下であるのがより好ましく、20%以下であるのがさらに好ましい。
光源14の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における、第2反射層20による積分透過率を40%以下とすることにより、フリンジの発生をより好適に防止できる点で好ましい。
【0093】
第2反射層20は、光源14の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における積分透過率をT(0)、光源14の発光中心波長の光を入射角40°で入射した際における積分透過率をT(40)とした際に、積分透過率T(40)が積分透過率T(0)の1.2倍以上であるのが好ましい。すなわち、第2反射層20は、T(40)/T(0)が、1.2以上であるのが好ましい。T(40)/T(0)は、1.25以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましい。
積分透過率T(40)を積分透過率T(0)の1.2倍以上とすることにより、第2反射層20の反射が適度な範囲に調整され、周囲の輝度が暗くなりすぎずホットスポットの程度を軽減できる点で好ましい。
【0094】
また、本発明のバックライトユニット10は、第2反射層20の積分反射率スペクトルの反射中心波長と長波長側の半値波長(上述のλβ[nm])との差が70nm以下であるのが好ましく、65nm以下であるのがより好ましい。
第2反射層20の積分反射率スペクトルの反射中心波長と長波長側の半値波長との差を70nm以下とすることにより、第2反射層20の反射が適度な範囲に調整され、周囲の輝度が暗くなりすぎずホットスポットの程度を軽減できる点で好ましい。
【0095】
なお、積分透過率T(40)と積分透過率T(0)との比、および、第2反射層20の積分反射率スペクトルの長波長側の半値波長は、一例として、第2反射層20を構成するコレステリック液晶層の反射波長域の広さを調節することで、制御できる。
【0096】
コレステリック液晶層は、通常、入射光を鏡面反射する。しかしながら、本発明のバックライトユニット10において、第2反射層20すなわちコレステリック液晶層は、拡散反射性を有するのも好ましい。
具体的には、第2反射層20は、積分反射率スペクトルにおけるピーク波長の積分反射率が50%以上で、積分反射率スペクトルにおけるピーク波長の鏡面反射率が20%以下であるのも好ましい。
第2反射層20が拡散反射性を有することにより、より効果的にバックライトの輝度均一性を向上できる点で好ましい。
【0097】
拡散反射性を有するコレステリック液晶層は、一例として、以下の方法で形成できる。
【0098】
コレステリック液晶層は、断面をSEMで観察すると、
図3に断面を概念的に示すように、明部Bと暗部Dとの縞模様が観察される。すなわち、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層36の断面では、明部Bと暗部Dとを交互に積層した層状構造が観察される。
一般的なコレステリック液晶層は、明部Bおよび暗部Dの縞模様は、
図3に示すように、成膜基材38の表面すなわちコレステリック液晶層36の形成面と平行となるように形成される。この場合、コレステリック液晶相の液晶化合物の螺旋軸は、成膜基材38の表面に直交した状態で揃っている。そのため、
図3中の矢印に示すように、コレステリック液晶層36は、鏡面反射性を示す。
【0099】
これに対して、
図4に断面を概念的に示すように、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層36のSEMで観察される明部Bおよび暗部Dが、成膜基材38の表面に対して、凹凸を有する場合には、コレステリック液晶相の液晶化合物の螺旋軸が傾いている領域を有する。
そのため、明部Bおよび暗部Dが凹凸を有するコレステリック液晶層36に、法線方向から光が入射されると、
図4に矢印で示すように、液晶化合物の螺旋軸が傾いている領域があるため、入射光の一部が斜め方向に反射される。
つまり、コレステリック液晶相を固定してなる層において、明部Bおよび暗部Dが凹凸を有することにより、コレステリック液晶層は、拡散反射性を示す。
【0100】
このような断面の明部Bおよび暗部Dが凹凸を有するコレステリック液晶層は、配向膜を有さない形成面(成膜基材)、配向規制力の無い形成面、および、配向規制力が小さい形成面のいずれかに、上述のように塗布法によってコレステリック液晶層を形成することで、形成できる。
【0101】
以上、本発明のバックライトユニットについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【実施例】
【0102】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0103】
<下地層を有する支持体の作製>
支持体として、厚さ50μmの片面易接着片面高平滑PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4100)を用意した。
支持体の高平滑層側表面に、下記の組成の下地層塗布液を、#4.4のワイヤーバーコーターで塗布した。次に、得られた塗膜を45℃で60秒間乾燥して、その後、紫外線照射装置によって、25℃で、500mJ/cm2の紫外線を塗膜に照射して、膜厚1.5μmの下地層を有する支持体を作製した。
【0104】
[下地層塗布液]
PET30 50質量部
DCP 50質量部
IRGACURE 907 (チバガイギー社製) 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬社製) 1.0質量部
下記の界面活性剤 F1 0.01質量部
メチルエチルケトン 156質量部
シクロヘキサノン 156質量部
【0105】
PET30:日本化薬社製 KAYARAD PET-30(下記の2種の化合物の混合物)
【化1】
【0106】
DCP:新中村化学工業社製 NKエステルDCP
【化2】
【0107】
【0108】
<カイラル剤の用意>
下記の4種のカイラル剤A~Dを用意した。このカイラル剤を用いて、後述する各種のコレステリック液晶層を形成した。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
カイラル剤Aおよびカイラル剤Cは、右巻きの螺旋を形成するカイラル剤である。
カイラル剤Bおよびカイラル剤Dは、左巻きの螺旋を形成するカイラル剤である。
【0114】
<第2反射層Ch-1の作製>
(第1コレステリック液晶層の形成)
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中で攪拌し、塗布液Ch-A1を調製した。
【0115】
[塗布液Ch-A1]
メチルエチルケトン 152.2質量部
下記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤A 0.056質量部
光重合開始剤B 0.019質量部
カイラル剤A 6.06質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
下記の界面活性剤 F2 0.067質量部
【0116】
【0117】
光重合開始剤A; IRGACURE 907 (チバガイギー社製)
光重合開始剤B; カヤキュアーDETX(日本化薬社製)
【0118】
【0119】
作製した支持体の下地層の表面に、調製した塗布液Ch-A1を#12のワイヤーバーコーターで塗布し、105℃で60秒間乾燥して、塗膜を得た。
その後、低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、100℃で照射量500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を塗膜に照射することで、第1コレステリック液晶層を形成した。
【0120】
(第2コレステリック液晶層の形成)
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて攪拌して、塗布液Ch-B1を調製した。
【0121】
[塗布液Ch-B1]
メチルエチルケトン 145.0質量部
上記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤B 0.50質量部
カイラル剤B 12.69質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
上記の界面活性剤 F2 0.067質量部
【0122】
作製した第1コレステリック液晶層の表面に、調製した塗布液Ch-B1を、#4.2のワイヤーバーコーターで塗布し、105℃で60秒間乾燥して、塗膜を得た。
その後、低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)にて、100℃で、照射量500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を塗膜に照射することで、第2コレステリック液晶層を形成した。
さらに、作製した積層品に低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、60℃で、照射量1500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を照射することで、第2反射層Ch-1を作製した。
従って、第2反射層Ch-1は、右円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層との、2層のコレステリック液晶層を有する。
【0123】
<第2反射層Ch-2の作製>
(第1コレステリック液晶層の形成)
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて攪拌し、塗布液Ch-A2を調製した。
【0124】
[塗布液Ch-A2]
メチルエチルケトン 152.2質量部
上記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤A 0.038質量部
光重合開始剤B 0.012質量部
カイラル剤A 6.06質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
上記の界面活性剤 F2 0.067質量部
【0125】
作製した支持体の下地層の表面に、調製した塗布液Ch-A2を#12のワイヤーバーコーターで塗布し、105℃で60秒間乾燥して、塗膜を得た。
その後、低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、100℃で、照射量500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を塗膜に照射することで、第1コレステリック液晶層を形成した。
【0126】
(第2コレステリック液晶層の形成)
形成した第1コレステリック液晶層の表面に、第2反射層Ch-1と同様の塗布液Ch-B1を、#5のワイヤーバーコーターで塗布し、105℃で60秒間乾燥して、塗膜を得た。
その後、低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、100℃で、照射量500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を塗膜に照射することで、第2コレステリック液晶層を形成した。
さらに、作製した積層品に低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、60℃で、照射量1500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を照射することで、第2反射層Ch-2を作製した。
従って、第2反射層Ch-2は、右円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層との、2層のコレステリック液晶層を有する。
【0127】
<第2反射層Ch-3の作製>
【0128】
(コレステリック液晶層の形成)
下記に示す組成物を25℃に保温された容器中で攪拌し、塗布液Ch-C1を調製した。
【0129】
[塗布液Ch-C1]
メチルエチルケトン 152.2質量部
上記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤A 1.0質量部
カイラル剤C 4.68質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
上記の界面活性剤 F2 0.067質量部
【0130】
作製した支持体の下地層の表面に、調製した塗布液Ch-C1を#6のワイヤーバーコーターで塗布し、95℃で60秒間乾燥して、塗膜を得た。
その後、低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、80℃で、照射量500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を塗膜に照射することでコレステリック液晶層を作製し、第2反射層Ch-3を作製した。
従って、第2反射層Ch-3は、右円偏光を選択的に反射する、1層のコレステリック液晶層を有する。
【0131】
<第2反射層Ch-4の作製>
(第1コレステリック液晶層の形成)
第2反射層Ch-3と同様に、作製した支持体の下地層の表面にコレステリック液晶層を形成し、第1コレステリック液晶層とした。
【0132】
(第2コレステリック液晶層の形成)
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中で攪拌して、塗布液Ch-D1を調製した。
【0133】
[塗布液Ch-D1]
メチルエチルケトン 145.0質量部
上記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤A 1.0質量部
カイラル剤D 4.68質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
上記の界面活性剤 F2 0.067質量部
【0134】
形成した第1コレステリック液晶層の表面に、調製した塗布液Ch-D1を、#6のワイヤーバーコーターで塗布し、95℃で60秒間乾燥して、塗膜を得た。
その後、低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、100℃で、照射量500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を塗膜に照射することで、第2コレステリック液晶層を形成して、第2反射層Ch-4を作製した。
従って、第2反射層Ch-4は、右円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層との、2層のコレステリック液晶層を有する。
【0135】
<第2反射層Ch-5の作製>
【0136】
(第1コレステリック液晶層の形成)
下記に示す組成物を25℃に保温された容器中で攪拌し、塗布液Ch-C2を調製した。
【0137】
[塗布液Ch-C2]
メチルエチルケトン 152.2質量部
上記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤A 1.0質量部
カイラル剤C 3.83質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
上記の界面活性剤 F2 0.067質量部
【0138】
作製した支持体の下地層の表面に、調製した塗布液Ch-C2を#6のワイヤーバーコーターで塗布し、95℃で60秒間乾燥して、塗膜を得た。
その後、低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、80℃で、照射量500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を塗膜に照射することで、第1コレステリック液晶層を形成した。
【0139】
(第2コレステリック液晶層の形成)
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて攪拌して、塗布液Ch-D2を調製した。
【0140】
[塗布液Ch-D2]
メチルエチルケトン 145.0質量部
上記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤A 1.0質量部
カイラル剤D 3.83質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
上記の界面活性剤 F2 0.067質量部
【0141】
形成した第1コレステリック液晶層の表面に、調製した塗布液Ch-D2を、#6のワイヤーバーコーターで塗布し、95℃で60秒間乾燥して、塗膜を得た。
その後、低酸素雰囲気下(100体積ppm以下)において、100℃で、照射量500mJ/cm2のメタルハライドランプの光を塗膜に照射することで、第2コレステリック液晶層を形成して、第2反射層Ch-5を作製した。
従って、第2反射層Ch-5は、右円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層との、2層のコレステリック液晶層を有する。
【0142】
<第2反射層の特性の測定>
作製した第2反射層Ch-1~Ch5について、入射角0°で入射した光の積分透過率(0°入射光積分透過率)、入射角40°で入射した光の積分透過率(40°入射光積分透過率)、ならびに、積分反射率スペクトルの反射中心波長および長波長側の半値波長を測定した。
積分透過率の測定は、光源として発光中心波長が450nmの青色LED、積分球付きの受光素子としてハンドヘルド分光式光束計(Labphere社製、illumia lite)を用い、第2反射層の表面に対して所定の入射角となるように光源の位置を調整しつつ測定を行った。
積分反射率の測定は、第2反射層の表面から光が入射するように、分光光度計(日本分光社製、V-550)に大型積分球装置(日本分光社製、ILV-471)を取り付けたものを用いて行い、波長450nmにおける値を採用した。
結果は、下記の表に示す。
<パターン遮蔽フィルムの作製>
【0143】
支持体として、厚さ50μmの片面易接着片面高平滑PETフィルム(東洋紡社製コスモシャインA4100)を用意した。
支持体の易接着層側表面に、市販の蒸発乾燥型白色インキ(十条ケミカル社製)を用いて、スクリーン印刷で直径0.5mmの円形ドットを、正方格子状に3mm間隔で印刷した。間隔は、円形ドットの中心間の間隔である。
印刷した塗膜を100℃で60秒間乾燥した後に、1日放置して、円形ドット状の遮蔽層を3mm間隔の正方格子状のパターンで有するパターン遮蔽フィルムを作製した。
【0144】
<光源を実装した第1反射層付きの基板の作製>
大きさ100mm×100mmのガラスエポキシ製の基板に、光源として、発光中心波長が450nmの青色LEDを3mm間隔で正方格子状に30列ずつ並べて実装した。青色LEDの間隔は、光軸間の間隔である。
また、白色のソルダーレジストを使用して、青色LEDを実装した後の基板表面を白色にして、第1反射層とした。
実装後の基板上に、シリコーン樹脂を塗布して、厚さ0.3mmの透明保護層を形成した。
【0145】
[実施例1~4および比較例1~4]
パターン遮蔽フィルムと第2反射層Ch-1との積層体(実施例1)、
パターン遮蔽フィルムと第2反射層Ch-2との積層体(実施例2)、
パターン遮蔽フィルムと第2反射層Ch-3との積層体(実施例3)、
パターン遮蔽フィルムと第2反射層Ch-4との積層体(実施例4)、および、
パターン遮蔽フィルムと第2反射層Ch-5との積層体(比較例4)、
を作製した。
積層は、パターン遮蔽フィルムの支持体と、第2反射層のコレステリック液晶層とを対面して、OCAを用いて行った。
【0146】
光源を実装した基板の光出射側に、0.2mmの間隔を設けて、遮蔽層を光源側に向けて、作製した積層体を配置した。この際には、光源(青色LED)の光軸と、積層体の遮蔽層(円形ドット)の中心とを、基板の面方向で一致させた。
さらに、積層体の第2反射層の支持体側に、片面平滑片面マット拡散板(日本ポリエステル社製、アロマブライトKT-1070B)、波長変換部材(3M社製、QDEF-360)、2枚のプリズムシート(3M社製、BEF2-T-155n)、および、反射性偏光子層(3M社製、DBEF-D2-400)を配置し、バックライトユニットを作製した。2枚のプリズムシートは線状プリズムアレイが互いに直交するように配置した。
【0147】
また、積層体を用いない以外(比較例1)、積層体が第2反射層を有さない以外(比較例2)、積層体がパターン遮蔽フィルム(遮蔽層)を有さない以外(比較例3)は、実施例1と同様にして、バックライトユニットを作製した。
【0148】
[均一性の評価]
作製したバックライトユニットを、光源を点灯した状態で正面から目視で観察し、輝度の均一性を評価した。輝度の均一性の評価判定は下記の基準で行った。
A:輝度ムラが視認されない。
B:輝度ムラがかすかに感じられるが、許容できる。
C(NG):輝度ムラがはっきりと見え、許容できない。
結果を下記の表に示す。
【0149】
【0150】
上記表に示されるように、遮蔽層および第2反射層を有し、光源の発光中心波長(450nm)と第2反射層の反射中心波長との差が50nm以下である本発明のバックライトユニットは、照射するバックライトの輝度均一性が良好である。
これに対して、パターン遮蔽フィルムと第2反射層を有さない比較例1は、強いホットスポットが観察された。第2反射層を有さない比較例2は、遮蔽層の縁にフリンジが観察された。パターン遮蔽フィルムを有さない比較例3は、ホットスポットが観察された。さらに、第2反射層の積分反射率スペクトルの反射中心波長と、光源の発光中心波長との差が50nmを超える比較例4もまた、遮蔽層の縁にフリンジが観察された。
【0151】
B評価である実施例2は、若干のホットスポットが観察された。同じくB評価である実施例3は、若干のフリンジが観察された。しかしながら、両者ともに、実用上は、全く問題は無く、十分な輝度均一性を有する。
実施例1と実施例2との対比から、光源の発光中心波長の光を入射角40°で入射した際における積分透過率を、光源14の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における積分透過率の1.2倍以上とし、また、光源の発光中心波長と、第2反射層の積分反射率スペクトルの反射中心波長と長波長側の半値波長との差を70nm以下とすることにより、より好適にホットスポットの発生を防止できる。
実施例3と実施例4との対比から、光源の発光中心波長の光を入射角0°で入射した際における積分透過率を40%以下とすることにより、より好適にフリンジの発生を防止できる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0152】
LCDのバックライト等に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0153】
10 バックライトユニット
12 基板
14 光源
16 第1反射層
18 遮蔽層
20 第2反射層
28 支持体
30 下地層
32R 第1コレステリック液晶層
32L 第2コレステリック液晶層
36 コレステリック液晶層
38 成膜基材
50 光拡散部材
B 明部
D 暗部