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特許7189268半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20221206BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20221206BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G03F7/004
G03F7/004 504
G03F7/11 503
G03F7/004 531
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021078454
(22)【出願日】2021-05-06
(65)【公開番号】P2021179606
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0056720
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】韓 承
(72)【発明者】
【氏名】金 宰 賢
(72)【発明者】
【氏名】文 京 守
(72)【発明者】
【氏名】禹 昌 秀
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承 龍
(72)【発明者】
【氏名】南宮 爛
(72)【発明者】
【氏名】田 桓 承
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/043506(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0384171(US,A1)
【文献】国際公開第2018/168221(WO,A1)
【文献】特開平08-260159(JP,A)
【文献】特表2019-500490(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0005370(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/11
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有機金属化合物;
(B)25℃で蒸気圧が1.0mmHg以下であり、かつpKaが3~5である有機酸;および
(C)溶媒;
を含む、半導体フォトレジスト用組成物であって、
前記(A)有機金属化合物は、下記化学式1で表される有機金属化合物であり、
前記有機酸は、クエン酸、グリコール酸、乳酸、およびコハク酸からなる群より選択される少なくとも1種である、半導体用フォトレジスト組成物:
【化1】

前記化学式1中、
Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、-OR または-OC(=O)R であり、
この際、R は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記(B)有機酸は、25℃で蒸気圧が0.01~0.5mmHgであり、かつpKaが3~4.3である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項3】
前記(B)有機酸は、前記(A)有機金属化合物100質量部に対して0.1~15質量部含まれる、請求項1または2に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項4】
前記半導体フォトレジスト用組成物の総質量を基準として、前記(B)有機酸の含有量が0.01~2質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項5】
前記化学式1中のRは、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~8の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR中のRは、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R中のRは、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項6】
前記化学式1中のRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR中のRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R中のRは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせである、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項7】
下記化学式2で表される有機金属化合物、下記化学式3で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物:
【化2】

前記化学式2中、
X’は、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであり、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである;
【化3】

前記化学式3中、
X”は、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであり、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Lは、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせである。
【請求項8】
前記化学式2で表される化合物および前記化学式3で表される化合物の合計含有量と、前記化学式1で表される有機金属化合物の含有量とは、1:1~1:20の質量比である、請求項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項9】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式4で表される化合物、下記化学式5で表される化合物、下記化学式6で表される化合物、下記化学式7で表される化合物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物:
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

前記化学式4~化学式7中、
Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項10】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、抑制剤(quencher)、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項11】
基板上にエッチング対象膜を形成する段階と、
前記エッチング対象膜上に、請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階と、
前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする段階と、
を含む、パターン形成方法。
【請求項12】
前記フォトレジストパターンを形成する段階は、5~150nmの波長の光を用いる、請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記基板と前記フォトレジスト膜との間に形成されるレジスト下層膜を提供する段階をさらに含む、請求項11または12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記フォトレジストパターンは、5~100nmの幅を有する、請求項11~13のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の一つとして、EUV(extreme ultraviolet、極端紫外線)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは、露光光源として波長13.5nmのEUV光を利用するパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程で、極めて微細なパターン(例えば、20nm以下)を形成できることが実証されている。
【0003】
EUVリソグラフィの実現は、16nm以下の空間解像度で行える互換可能なフォトレジストの現像を必要とする。現在、伝統的な化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストは、次世代デバイスのための解像度、光速度、およびフィーチャー粗さ(feature roughness)、ラインエッジ粗さ(line edge roughnessまたはLER)に対する仕様を満たすために検討されている。
【0004】
これらの高分子型フォトレジストで起こる酸触媒反応に起因する固有の画像ボケは、小さいフィーチャー(feature)サイズで解像度を制限するが、これは電子線リソグラフィで長い間知らされてきた事実である。化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストは高い感度のために設計されたが、それらの典型的な元素構成が、13.5nmの波長でフォトレジストの吸光度を低くし、その結果、感度を減少させるため、部分的にはEUV露光下でより困難がありうる。
【0005】
化学増幅型フォトレジストは、また、小さいフィーチャーサイズにおける粗さ(roughness)の問題によって困難があり、部分的に酸触媒工程の本質に起因して、光速度が減少するにつれてラインエッジ粗さ(LER)が増加することが実験から明らかになった。化学増幅型フォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では新しい類型の高性能フォトレジストに対する要求がある。
【0006】
タングステン、ならびにニオブ、チタン、および/またはタンタルと混合されたタングステンのペルオキソポリ酸(peroxopolyacids)に基づく無機フォトレジストは、パターニングのための放射線感受性材料(radiation sensitive materials)用として報告されてきた(特許文献1および非特許文献1参照)。
【0007】
これらの材料は、深紫外線、x線、および電子線源であって、二重層構成(bilayer configuration)に大きなフィーチャーをパターニングする上で効果的であった。さらに最近は、プロジェクションEUV露光によって15nmのハーフピッチ(HP)をイメージングするために、ペルオキソ錯化剤(peroxo complexing agent)と共に陽イオンハフニウムメタルオキシドスルフェート(cationic hafnium metal oxide sulfate、HfSO)材料を用いる場合、印象的な性能を示した(特許文献2および非特許文献2参照)。このシステムは、非化学増幅型フォトレジストの最上の性能を示し、実行可能なEUVフォトレジストのための要件に近づく光速度を有する。しかし、ペルオキソ錯化剤を有するハフニウムメタルオキシドスルフェート材料は、いくつかの現実的な欠点を有する。第一に、これらの材料は高い腐食性の硫酸/過酸化水素の混合物でコーティングされ、保存安定性がよくない。第二に、複合混合物として性能改善のための構造変更が容易でない。第三に、25質量%程度の極めて高い濃度のTMAH(tetra methyl ammonium hydroxide)溶液などで現像されなければならない。
【0008】
前述した化学増幅型有機系感光性組成物のデメリットを克服するために無機系感光性組成物が研究されてきた。無機系感光性組成物の場合、主に非化学増幅型のメカニズムによる化学的変性で、現像剤組成物による除去に耐性を有するネガティブトーンパターニングに使用される。無機系組成物の場合、炭化水素に比べて高いEUV吸収率を有する無機系元素を含有していて、非化学増幅型のメカニズムでも感受性が確保可能であり、ストキャスティクスにも比較的敏感ではなくて、ラインエッジ粗さおよび欠陥個数も少ないことが知られている。
【0009】
最近、スズを含む分子が、極端紫外線の吸収に優れることが知られるにつれ、活発な研究が行われている。その一つである有機スズ重合体の場合、光吸収またはこれによって生成された二次電子によってアルキル配位子が解離しながら、周辺鎖とのオキソ結合による架橋を通じて有機系現像液で除去されないネガティブトーンパターニングが可能である。このような有機スズ重合体は、解像度、ラインエッジ粗さを維持しながらも飛躍的に感度が向上することを示したものの、商品化のためには、パターニング特性のさらなる向上が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第5061599号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0045406号明細書
【非特許文献】
【0011】
【文献】H.Okamoto,T.Iwayanagi,K.Mochiji,H.Umezaki,T.Kudo,Applied Physics Letters,49(5),298-300,1986.
【文献】J.K.Stowers,A.Telecky,M.Kocsis,B.L.Clark,D.A.Keszler,A.Grenville,C.N.Anderson,P.P.Naulleau,Proc.SPIE,7969,796915,2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、解像度、感度、エッチング耐性、およびパターン形成性に優れた半導体フォトレジスト用組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、上記半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、(A)有機金属化合物、(B)25℃で蒸気圧が1.0mmHg以下であり、かつpKaが3~5である有機酸、および(C)溶媒を含む。
【0015】
上記(B)有機酸は、25℃で蒸気圧が0.01~0.5mmHgであり、かつpKaが3~4.3であってもよい。
【0016】
上記(B)有機酸は、上記(A)有機金属化合物100質量部に対して0.1~15質量部含まれることが好ましい。
【0017】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の総質量を基準として、上記(B)有機酸を0.01~2質量%含むことができる。
【0018】
上記(A)有機金属化合物は、スズ(Sn)を含む化合物であってもよい。
【0019】
上記(A)有機金属化合物は、下記化学式1で表される有機金属化合物であってもよい。
【0020】
【化1】
【0021】
上記化学式1中、
Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであり、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0022】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、上記化学式1で表される化合物に加えて、下記化学式2で表される有機金属化合物、下記化学式3で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0023】
【化2】
【0024】
上記化学式2中、
X’は、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであり、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである;
【0025】
【化3】
【0026】
上記化学式3中、
X”は、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであり、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数C2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Lは、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせである。
【0027】
上記化学式2で表される化合物および上記化学式3で表される化合物の合計含有量と、上記化学式1で表される有機金属化合物の含有量とは、1:1~1:20の質量比でありうる。
【0028】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式4で表される化合物、下記化学式5で表される化合物、下記化学式6で表される化合物、下記化学式7で表される化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
上記化学式4~化学式7中、
Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR中のRに関する定義と同一であり、
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R中のRに関する定義と同一である。
【0034】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、クエンチャー、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0035】
本発明の他の実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する段階と、前記エッチング対象膜上に、本発明の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階と、前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする段階と、を含む。
【0036】
上記フォトレジストパターンを形成する段階は、5~150nmの波長の光を用いることができる。
【0037】
上記パターン形成方法は、前記基板と前記フォトレジスト膜との間に形成されるレジスト下層膜を提供する段階をさらに含むことができる。
【0038】
上記フォトレジストパターンは、5~100nmの幅を有することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、解像度、感度、エッチング耐性、およびパターン形成性に優れた半導体フォトレジスト用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図2】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図3】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図4】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図5】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明を説明するにあたり、すでに公知の機能あるいは構成に関する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0042】
本発明を明確に説明するために、説明上不必要な部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明は必ずしも図示のところに限定されない。
【0043】
図面において、様々な層および領域を明確に表示するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0044】
本明細書において、「置換」とは、水素原子が重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、-NRR’(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、-SiRR’R”(ここで、R、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせで置換されていることを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されずに水素原子として残っていることを意味する。
【0045】
本明細書において、「アルキル(alkyl)基」とは、他に定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含まない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であってもよい。
【0046】
上記アルキル基は、炭素数1~8のアルキル基であってもよい。例えば、上記アルキル基は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。例えば、炭素数1~5のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、または2,2-ジメチルプロピル基であってもよい。
【0047】
本明細書において、「シクロアルキル(cycloalkyl)基」とは、他に定義がない限り、1価の環状脂肪族飽和炭化水素基を意味する。
【0048】
シクロアルキル基は、炭素数3~8のシクロアルキル基、例えば、炭素数3~7のシクロアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基、炭素数3~4のシクロアルキル基であってもよい。例えば、シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基であってもよく、これらに限定されない。
【0049】
本明細書において、「脂肪族不飽和有機基」とは、分子中の炭素原子と炭素原子との間の結合が二重結合、三重結合、またはこれらの組み合わせである結合を含む炭化水素基を意味する。
【0050】
上記脂肪族不飽和有機基は、炭素数2~8の脂肪族不飽和有機基であってもよい。例えば、上記脂肪族不飽和有機基は、炭素数2~7の脂肪族不飽和有機基、炭素数2~6の脂肪族不飽和有機基、炭素数2~5の脂肪族不飽和有機基、炭素数2~4の脂肪族不飽和有機基であってもよい。例えば、炭素数2~4の脂肪族不飽和有機基は、ビニル基、エチニル基、アリル基、1-プロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-プロピニル基、1-メチル-1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-メチル-2-プロピニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基であってもよい。
【0051】
本明細書において、「アリール基」は、環状の置換基のすべての元素がp-軌道を有しており、これらのp-軌道が共役を形成している置換基を意味し、単環または縮合多環(つまり、炭素原子の隣接した対を分け合う環)官能基を含む。
【0052】
本明細書において、「アルケニル基」とは、他に定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の二重結合を含んでいる脂肪族不飽和アルケニル基を意味する。
【0053】
本明細書において、「アルキニル基」とは、他に定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の三重結合を含んでいる脂肪族不飽和アルキニル基を意味する。
【0054】
以下、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を説明する。
【0055】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、(A)有機金属化合物、(B)25℃で蒸気圧が1.0mmHg以下であり、かつpKaが3~5である有機酸、および(C)溶媒を含む。
【0056】
上記(A)有機金属化合物は、スズ(Sn)原子を含むことができ、具体的には、(A)有機金属化合物は、下記化学式1で表される化合物であることが好ましい。
【0057】
【化8】
【0058】
上記化学式1中、
Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであり、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0059】
上記化学式1で表される有機金属化合物は、スズ原子に1個のR基と3個の-ORまたは-OC(=O)Rが置換された構造を有することができる。
【0060】
上記化学式1で表される化合物は、有機スズ化合物であって、スズは、波長13.5nmの極端紫外線を強く吸収して、高エネルギーを有する光に対する感度に優れ、上記化学式1中のRは、上記化学式1で表される化合物に感光性を付与することができ、Rがスズに結合してSn-R結合を形成することによって、有機スズ化合物に有機溶媒に対する溶解性を付与することができる。
【0061】
上記化学式1中のRに関連し、上記有機金属化合物が共重合して形成された上記化学式1で表される化合物に由来する構造単位を有する共重合体は、極端紫外線で露光する際、Sn-R結合からRが解離しながらラジカルを生成する。このように生成されたラジカルは、追加の-Sn-O-Sn-結合を形成して共重合体間の縮重合反応を開始することによって、一実施形態による組成物から半導体フォトレジストが形成されるようにする。
【0062】
この時、上記化学式1で表される有機金属化合物において、Rで表される置換基は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0063】
上記化学式1で表される有機金属化合物は、それぞれ加水分解されてSn-O結合を形成する3個の有機配位子X、Y、およびZをさらに含んでいる。X、Y、およびZは、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであってもよく、X、Y、およびZは、酸性または塩基性触媒下で熱処理するか、または熱処理しないことによって加水分解および脱水縮合されて、有機スズ化合物間のSn-O-Sn結合を形成し、これによって、上記化学式1で表される有機金属化合物由来の構造単位を含む有機スズ共重合体を形成する。
【0064】
また、上記X、Y、およびZは、上記化学式1で表される有機金属化合物の溶媒に対する溶解度を決定する。
【0065】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、上記化学式1で表される有機金属化合物および溶媒のほか、有機酸を追加的に含むが、当該有機酸は、25℃で蒸気圧が1.0mmHg以下であり、かつpKaが3~5である。半導体フォトレジスト用組成物が、上記蒸気圧およびpKaの条件を満たす有機酸を含む場合、半導体フォトレジスト用組成物の解像度、感度、およびラインエッジ粗さ(LER)特性などのパターン形成特性を向上させることができる。
【0066】
有機酸は、25℃で蒸気圧が1.0mmHg以下であり、例えば、0.9mmHg以下、例えば、0.8mmHg以下、例えば、0.7mmHg以下、例えば、0.6mmHg以下、例えば、0.5mmHg以下、例えば、0.4mmHg以下、例えば、0.3mmHg以下、例えば、0.2mmHg以下、例えば、0.1mmHg以下、例えば、0.09mmHg以下、例えば、0.08mmHg以下、例えば、0.07mmHg以下、例えば、0.06mmHg以下、例えば、0.05mmHg以下、例えば、0.04mmHg以下、例えば、0.03mmHg以下、例えば、0.02mmHg以下、例えば、0.01mmHg以下であってもよく、これらに限定されるものではない。なお、1mmHg=133.3Paである。
【0067】
有機酸の25℃での蒸気圧が1.0mmHgを超える場合、半導体フォトレジスト用組成物をウエハ上にコーティングする段階で、有機酸がウエハ上で蒸発しやすいため、本発明が目的とする半導体フォトレジスト用組成物の解像度、感度およびラインエッジ粗さ(LER)特性などのパターン形成性特性の向上効果を達成できない。
【0068】
有機酸のpKa値は、水溶液中で酸(HA)がHとAに解離する時、酸解離定数のKaにマイナスログ(-log)を取った値であり、pKa値が大きくなるほど当該有機酸はより弱い酸であることを意味する。本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物に含まれる有機酸は、pKa値が3~5、例えば、3~4.9、例えば、3~4.8、例えば、3~4.7、例えば、3~4.6、例えば、3~4.5、例えば、3~4.4、例えば、3~4.3、例えば、3~4.2、例えば、3~4.1、例えば、3~4であってもよい。1つの有機酸分子内に2個以上の酸解離官能基が存在する場合、当該有機酸のpKa値は、pKaが最も低い官能基の値と定義する。上記半導体フォトレジスト用組成物は、pKa値が3~5の有機酸をさらに含む場合、pKa値が3未満であるかまたは5を超える有機酸を含む場合または有機酸を含まない場合と比べて、解像度、感度およびラインエッジ粗さ(LER)特性を向上させることができる。
【0069】
有機酸は、互いに異なる2種類以上の有機酸を同時に含むことができる。
【0070】
有機酸の具体例としては、例えば、クエン酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
(B)有機酸は、(A)有機金属化合物100質量部に対して0.1質量部以上、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.4質量部以上、0.5質量部以上、0.6質量部以上、0.7質量部以上、0.8質量部以上、0.9質量部以上、または1.0質量部以上、および15質量部以下、14質量部以下、13質量部以下、12質量部以下、11質量部以下、または10質量部以下の含有量で含まれることが好ましい。有機酸が上記の含有量の範囲で半導体フォトレジスト用組成物に含まれる場合、解像度、感度、およびラインエッジ粗さ(LER)特性を同時に向上させることができる。
【0072】
半導体フォトレジスト用組成物は、半導体フォトレジスト用組成物の総質量を基準として、有機酸を0.01~2質量%、例えば、0.01~1.9質量%、例えば、0.01~1.8質量%、例えば、0.01~1.7質量%、例えば、0.01~1.6質量%、例えば、0.01~1.5質量%、例えば、0.01~1.4質量%、例えば、0.01~1.3質量%、例えば、0.01~1.2質量%、例えば、0.01~1.1質量%、例えば、0.01~1.0質量%、例えば、0.01~0.9質量%、例えば、0.01~0.8質量%、例えば、0.01~0.7質量%、例えば、0.01~0.6質量%、例えば、0.01~0.5質量%、例えば、0.01~0.4質量%、例えば、0.01~0.3質量%、例えば、0.01~0.2質量%、例えば、0.01~0.1質量%の含有量で含むことができる。有機酸が0.01質量%未満の含有量で含まれる場合、半導体フォトレジスト用組成物のパターン形成性の向上効果が十分に起こらない場合があり、有機酸が2質量%を超える含有量で含まれる場合、過度な熱反応によって現像されないことがある。
【0073】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、上記化学式1で表される化合物と共に、下記化学式2で表される有機金属化合物、下記化学式3で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0074】
【化9】
【0075】
上記化学式2中、
X’は、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであり、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである;
【0076】
【化10】
【0077】
上記化学式3中、
X”は、それぞれ独立して、-ORまたは-OC(=O)Rであり、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Lは、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせである。
【0078】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、有機金属化合物と、有機酸と、上記化学式2で表される有機金属化合物および/または上記化学式3で表される有機金属化合物と、を同時に含むことによって、より優れた感度およびパターン形成性を有する半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。
【0079】
共重合体に含まれる上記化学式2で表される有機金属化合物に由来する構造単位および/または上記化学式3で表される有機金属化合物に由来する構造単位の比率を適切に調節することによって、共重合体からRで表した配位子が解離する程度を調節することができ、それによって、配位子が解離しながら発生するラジカルによって、周辺鎖とのオキソ結合による架橋結合の程度を調節し、結果的に、感度に優れていながらもラインエッジ粗さが少なく優れた解像度を有する半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。つまり、上記化学式1で表される有機金属化合物と、上記化学式2で表される有機金属化合物および/または上記化学式3で表される有機金属化合物と、を同時に含むことによって、優れた感度、ラインエッジ粗さ、および解像度を有する半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。
【0080】
上記化学式2で表される化合物および上記化学式3で表される化合物の合計含有量と、上記化学式1で表される有機金属化合物の含有量とは、1:1~1:20の質量比であることが好ましく、例えば、1:1~1:19、例えば、1:1~1:18、例えば、1:1~1:17、例えば、1:1~1:16、例えば、1:1~1:15、例えば、1:1~1:14、例えば、1:1~1:13、例えば、1:1~1:12、例えば、1:1~1:11、例えば、1:1~1:10、例えば、1:1~1:9、例えば、1:1~1:8、例えば、1:1~1:7、例えば、1:1~1:6、例えば、1:1~1:5、例えば、1:1~1:4、例えば、1:1~1:3、例えば、1:1~1:2でありうるが、これらに限定されない。上記化学式1で表される有機金属化合物と、上記化学式2で表される化合物、上記化学式3で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせとの質量比が上記の範囲を満たす場合、より優れた感度および解像度を有する半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。
【0081】
上記化学式1で表される化合物のRは、例えば、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~8の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0082】
上記化学式1で表される化合物のRは、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0083】
上記化学式1で表される化合物のRは、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよく、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレン基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0084】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式4で表される化合物、下記化学式5で表される化合物、下記化学式6で表される化合物、下記化学式7で表される化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0085】
【化11】
【0086】
【化12】
【0087】
【化13】
【0088】
【化14】
【0089】
上記化学式4~化学式7中、
Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR中のRに関する定義と同一であり、
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R中のRに関する定義と同一である。
【0090】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト組成物に含まれる溶媒は、有機溶媒であってもよい。有機溶媒の例としては、芳香族化合物類(例えば、キシレン、トルエン)、アルコール類(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル)、エーテル類(例えば、アニソール、テトラヒドロフラン)、エステル類(酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン)、またはこれらの2種以上の混合物などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
本発明の一実施形態において、半導体フォトレジスト組成物は、上記有機金属化合物および溶媒のほか、追加的に樹脂をさらに含むことができる。
【0092】
樹脂としては、下記グループ1に挙げられた芳香環構造を少なくとも1つ含むフェノール系樹脂であってもよい。
【0093】
【化15】
【0094】
上記樹脂は、重量平均分子量が500~20,000であってもよい。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。
【0095】
上記樹脂は、前記半導体フォトレジスト用組成物の総質量に対して0.1~50質量%の含有量で含まれることが好ましい。
【0096】
上記樹脂が上記の含有量の範囲で含有される場合、より優れた耐エッチング性および耐熱性を有することができる。
【0097】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、前述した有機金属化合物、溶媒、有機酸、および樹脂を含むことが好ましい。ただし、前述した実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、場合によっては、添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤の例としては、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、クエンチャー、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0098】
界面活性剤の例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
架橋剤の例としては、例えば、メラミン系架橋剤、置換尿素系架橋剤、アクリル系架橋剤、エポキシ系架橋剤、またはポリマー系架橋剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤として、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、ウレタンアクリレート、アクリルメタクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリシドール、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0100】
レベリング剤は、印刷時のコーティング平坦性を向上させるためのもので、商業的な方法で入手可能な公知のレベリング剤を使用することができる。
【0101】
クエンチャーの例としては、トリ-p-トリルアミン(Tri-p-tolylamine)、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、またはこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0102】
これら添加剤の使用量は、所望の物性に応じて容易に調節可能であり、省略されてもよい。
【0103】
また、本発明の半導体フォトレジスト用組成物は、基板との密着力などの向上のために(例えば、半導体フォトレジスト用組成物と基板との接着力向上のために)、接着力増進剤として、シランカップリング剤を添加剤としてさらに使用することができる。シランカップリング剤の例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン;3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン;トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどの炭素-炭素不飽和結合含有シラン化合物などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
本発明の半導体フォトレジスト用組成物は、高いアスペクト比を有するパターンを形成してもパターン崩れが発生しない。したがって、例えば、5~100nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~80nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~70nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~50nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~40nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~30nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~20nmの幅を有する微細パターンを形成するために、5~150nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5~100nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5~80nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5~50nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5~30nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程、例えば、5~20nmの波長の光を用いるフォトレジスト工程に使用することができる。したがって、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いると、13.5nmの波長のEUV光源を用いる極端紫外線リソグラフィを実現することができる。
【0105】
また、本発明の他の実施形態によれば、上述した半導体フォトレジスト用組成物を用いてパターンを形成する方法が提供される。一例として、製造されたパターンは、フォトレジストパターンであってもよい。
【0106】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する段階と、前記エッチング対象膜上に、前述した半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階と、前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする段階と、を含む。
【0107】
以下、上述した半導体フォトレジスト用組成物を用いてパターンを形成する方法について、図1~5を参照して説明する。図1~5は、本発明による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【0108】
図1を参照すれば、まず、エッチング対象物を設ける。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であってもよい。以下、エッチング対象物が薄膜102の場合に限り説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜102の表面を洗浄する。薄膜102は、例えば、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜、またはシリコン酸化膜であってもよい。
【0109】
次に、洗浄された薄膜102の表面上にレジスト下層膜104を形成するためのレジスト下層膜形成用組成物を、スピンコーティング方式を適用してコーティングする。ただし、本発明の一実施形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、公知の多様なコーティング方法、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ナイフエッジコーティング、印刷法、例えば、インクジェット印刷およびスクリーン印刷などを利用してもよい。
【0110】
レジスト下層膜のコーティング工程は省略可能であり、以下、レジスト下層膜をコーティングする場合について説明する。
【0111】
次に、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は、100~500℃で行うことができ、例えば、100~300℃で行うことができる。 レジスト下層膜104は、基板100とフォトレジスト膜106との間に形成され、基板100とフォトレジスト膜106との界面、または層間ハードマスク(hardmask)から反射する照射線が意図せぬフォトレジスト領域に散乱する場合、フォトレジスト線幅の不均一やパターン形成性を阻害するのを防止することができる。
【0112】
図2を参照すれば、レジスト下層膜104上に、半導体フォトレジスト用組成物をコーティングして、フォトレジスト膜106を形成する。フォトレジスト膜106は、基板100上に形成された薄膜102上に、半導体フォトレジスト用組成物をコーティングした後、熱処理工程により硬化した形態であってもよい。
【0113】
より具体的には、半導体フォトレジスト用組成物を用いてパターンを形成する段階は、上述した半導体フォトレジスト用組成物を、薄膜102が形成された基板100上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷などで塗布する工程と、塗布された半導体フォトレジスト用組成物を乾燥してフォトレジスト膜106を形成する工程と、を含むことができる。
【0114】
半導体フォトレジスト用組成物についてはすでに詳細に説明したので、ここでは説明は省略する。
【0115】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、80~120℃の温度で行うことができる。
【0116】
図3を参照すれば、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。
【0117】
一例として、露光工程で使用可能な光の例としては、活性エネルギー線であるi-線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの短波長を有する光だけでなく、EUV(極端紫外線、波長13.5nm)、電子ビームなどの高エネルギーを有する波長の光などが挙げられる。
【0118】
より具体的には、本発明の一実施形態による露光用の光は、5nm~150nmの波長範囲を有する短波長の光であってもよいし、EUV(極端紫外線、波長13.5nm)、電子ビームなどの高エネルギーを有する波長の光であってもよい。
【0119】
フォトレジスト膜106中の露光領域106bにおいては、有機金属化合物間の縮合などの架橋反応によって(共)重合体を形成することによって、フォトレジスト膜106の未露光領域106aと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0120】
次に、基板100に対して第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90~200℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜106の露光領域106bは、現像液に溶解しにくい状態となる。
【0121】
図4には、現像液を用いて未露光領域に相当するフォトレジスト膜106bを溶解させて除去することによって形成された、フォトレジストパターン108が示されている。具体的には、2-ヘプタノン(2-heptanone)などの有機溶媒を用いて未露光領域に相当するフォトレジスト膜106aを溶解後に除去することによって、ネガティブトーンイメージに相当するフォトレジストパターン108が完成する。
【0122】
先に説明したように、本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される現像液は、有機溶媒であってもよい。本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される有機溶媒の例としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸n-ブチル、ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの2種以上の組み合わせ等が挙げられる。
【0123】
ただし、本発明の一実施形態によるフォトレジストパターンは、必ずしもネガティブトーンイメージに形成されることに限定されるものではなく、ポジティブトーンイメージを有するように形成されてもよい。この場合、ポジティブトーンイメージ形成のために使用可能な現像剤としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、またはこれらの組み合わせなどの第4アンモニウムヒドロキシド組成物などが挙げられる。
【0124】
先に説明したように、i-線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの波長を有する光だけでなく、EUV(波長13.5nm)、電子ビームなどの高エネルギーを有する光などによって露光して形成されたフォトレジストパターン108は、5~100nmの幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108は、5~90nm、5~80nm、5~70nm、5~60nm、10~50nm、10~40nm、10~30nm、10~20nmの幅に形成される。
【0125】
一方、フォトレジストパターン108は、約50nm以下、例えば、40nm以下、例えば、30nm以下、例えば、25nm以下のハーフピッチ、および10nm以下、5nm以下の線幅粗さを有するピッチを有することができる。
【0126】
次に、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとしてレジスト下層膜104をエッチングする。このようなエッチング工程で、有機膜パターン112が形成される。形成された有機膜パターン112も、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。
【0127】
図5を参照すれば、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして適用して露光させた薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は、薄膜パターン114に形成される。
【0128】
薄膜102のエッチングは、例えば、エッチングガスを用いたドライエッチングで行うことができ、エッチングガスとしては、例えば、CHF、CF、Cl、BCl、およびこれらの2種以上の混合ガスを使用することができる。
【0129】
先に行われた露光工程で、EUV光源を用いて行われた露光工程によって形成されたフォトレジストパターン108を用いて形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108と同様に、5~100nmの幅を有することができる。例えば、EUV光源を用いて行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、前記フォトレジストパターン108と同様に、5~90nm、5~80nm、5~70nm、5~60nm、10~50nm、10~40nm、10~30nm、10~20nmの幅を有することができ、より具体的には、20nm以下の幅に形成される。
【実施例
【0130】
以下、上述した半導体フォトレジスト用組成物の製造に関する実施例を通じて、本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例によって本発明の技術的特徴が限定されるものではない。
【0131】
(合成例1)
250mLの2口丸底フラスコ中で、PhSnCl 20g(51.9mmol)を70mlのTHFに溶かし、氷浴で内部の温度を0℃に下げた。次に、ブチルマグネシウムクロライド(BuMgCl)1M THF溶液(62.3mmol)をゆっくり滴下した。滴下が終了した後、25℃で12時間攪拌して、下記化学式8aで表される化合物を得た。
【0132】
【化16】
【0133】
この後、上記化学式8aで表される化合物(10g、24.6mmol)を50mLのCHClに溶かし、2M HCl ジエチルエーテル溶液 3当量(73.7mmol)を、-78℃で30分間ゆっくり滴下した。この後、25℃で12時間攪拌した後に溶媒を濃縮し、真空蒸留して、下記化学式8bで表される化合物を得た。
【0134】
【化17】
【0135】
この後、上記化学式8bで表される化合物10g(25.6mmol)に25mLの酢酸を25℃でゆっくり滴下した後、12時間加熱還流を行った。温度を上げた後、酢酸を真空蒸留して、最終的に下記化学式8で表される化合物を得た。
【0136】
【化18】
【0137】
(合成例2)
250mLの2口丸底フラスコ中で、PhSnCl 20g(51.9mmol)を70mlのTHFに溶かし、氷浴で温度を0℃に下げた。その後、イソプロピルマグネシウムクロライド(iPrMgCl)2M THF溶液(62.3mmol)をゆっくり滴下した。滴下が終了した後、25℃で12時間攪拌して、下記化学式9aで表される化合物を得た。
【0138】
【化19】
【0139】
この後、上記化学式9aで表される化合物(10g、24.6mmol)を50mLのCHClに溶かし、2M HCl ジエチルエーテル溶液3当量(73.7mmol)を、-78℃で30分間ゆっくり滴下した。この後、25℃で12時間攪拌後に溶媒を濃縮し、真空蒸留して、下記化学式9bで表される化合物を得た。
【0140】
【化20】
【0141】
上記化学式9bで表される化合物 10g(25.4mmol)に、25mLのアクリル酸を25℃でゆっくり滴下した後、80℃で6時間加熱還流した。温度を25℃に下げた後、アクリル酸を真空蒸留して、最終的に下記化学式9で表される化合物を得た。
【0142】
【化21】
【0143】
(合成例3)
250mLの2口丸底フラスコに、PhSnCl 20g(51.9mmol)を70mlのTHFに溶かし、氷浴で温度を0℃に下げた。その後、ネオペンチルマグネシウムクロライド 1M THF溶液(62.3mmol)をゆっくり滴下した。滴下が完了した後、25℃で12時間攪拌して、下記化学式10aで表される化合物を得た。
【0144】
【化22】
【0145】
その後、上記化学式10aで表される化合物(10g、24.6mmol)を50mLのCHClに溶かし、2M HCl ジエチルエーテル溶液3当量(73.7mmol)を、-78℃で30分間ゆっくり滴下した。次に、25℃で12時間攪拌後に溶媒を濃縮し、真空蒸留して、下記化学式10bで表される化合物を得た。
【0146】
【化23】
【0147】
上記化学式10bで表される化合物 10g(23.7mmol)に25mLのプロピオン酸を25℃でゆっくり滴下した後、110℃で12時間加熱還流を行った。温度を25℃に下げた後、プロピオン酸を真空蒸留して、最終的に下記化学式10で表される化合物を得た。
【0148】
【化24】
【0149】
(合成例4)
100mLの丸底フラスコ中で、上記化学式9aで表される化合物(10g、25.4mmol)を加えた後、25mlのギ酸を25℃でゆっくり滴下し、100℃で24時間加熱還流を行った。その後、温度を25℃に下げてギ酸を真空蒸留して、最終的に下記化学式11で表される化合物を得た。
【0150】
【化25】
【0151】
(実施例1~32)
上記合成例1~合成例4で得られた化学式8~化学式11で表される化合物と、有機酸としてクエン酸(Sigma-Aldrich社製)およびコハク酸(Sigma-Aldrich社製)とを、それぞれ下記表1~表4に記載の質量比で、1-メトキシ-2-プロピルアセテートに3質量%の濃度となるように溶解し、0.1μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルタでろ過して、実施例1~32による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。なお、下記表1~4において、空欄部分は、その化合物を使用しなかったことを表す。
【0152】
自然酸化膜表面を有する直径4インチの円形シリコンウエハを薄膜コーティング用基材として用い、薄膜のコーティング前にUVオゾンクリーニングシステムで10分間、シリコンウエハを処理した。処理された基材上に、上記実施例1~実施例32による半導体フォトレジスト用組成物を、1500rpmで30秒間スピンコーティングし、100℃で120秒間焼成(塗布後焼成、ポストベーク、PAB)してフォトレジスト薄膜を形成した。
【0153】
コーティングおよびベーク後のフィルムの厚さは、エリプソメーターにより測定した。測定された厚さは27nmであった。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】
(比較例1)
合成例1で得られた化学式8で表される化合物100質量部と、酢酸を6質量部とを、4-メチル-2-ペンタノールに3質量%の合計濃度となるように溶解し、0.1μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルタ(syringe filter)でろ過して、比較例1による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0159】
また、上記実施例1と同様にして、比較例1による半導体フォトレジスト用組成物を含むフォトレジスト薄膜を製造した。コーティングおよびベーキング後のフィルムの厚さは25nmであった。
【0160】
(比較例2)
上記比較例1で酢酸を用いる代わりにプロピオン酸を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例2による半導体フォトレジスト用組成物およびこれを含むフォトレジスト薄膜を製造した。コーティングおよびベーキング後のフィルムの厚さは24nmであった。
【0161】
(比較例3)
上記比較例1で酢酸を用いる代わりにシアノ酢酸を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例3による半導体フォトレジスト用組成物およびこれを含むフォトレジスト薄膜を製造した。コーティングおよびベーキング後のフィルムの厚さは23nmであった。
【0162】
(比較例4)
上記比較例1で酢酸を用いる代わりにマロン酸を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例4による半導体フォトレジスト用組成物およびこれを含むフォトレジスト薄膜を製造した。コーティングおよびベーキング後のフィルムの厚さは23nmであった。
【0163】
(比較例5)
上記比較例1で酢酸を用いる代わりにシュウ酸を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例5による半導体フォトレジスト用組成物およびこれを含むフォトレジスト薄膜を製造した。コーティングおよびベーキング後のフィルムの厚さは約22nmであった。
【0164】
(比較例6)
上記比較例1で酢酸(有機酸)を用いないこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例6による半導体フォトレジスト用組成物およびこれを含むフォトレジスト薄膜を製造した。コーティングおよびベーキング後のフィルムの厚さは27nmであった。
【0165】
(評価)
円形シリコンウエハ上に、上記のコーティング方法により製造した実施例1~32および比較例1~6によるフィルムを、照射エネルギーおよびフォーカスを異ならせて16nmのline/spaceパターンを形成するように極端紫外線で露光した。露光後、180℃で120秒間焼成し、2-ヘプタノン(2-heptanone)入りのペトリディッシュに60秒間浸漬して取り出した後、同一の溶剤で10秒間洗浄した。最終的に、150℃で5分間焼成した後、SEM(scanning electron microscopy)によってパターンイメージを得た。SEMイメージから確認された最適の照射エネルギー、およびラインエッジ粗さ(LER)を下記表5に示す。
【0166】
【表5】
【0167】
上記表5を参照すれば、実施例1~32による半導体フォトレジスト用組成物を用いたフォトレジスト薄膜は、感度およびラインエッジ粗さ(LER)がすべて優れていることを確認することができる。
【0168】
これに対し、比較例6のように有機酸を含まないか、25℃で蒸気圧が1.0mmHg以下であり、かつpKaが3~5である条件、および含有量を満たしていない有機酸を含む比較例1~比較例5による半導体フォトレジスト用組成物を用いたフォトレジスト薄膜は、上記実施例と比較した場合、最適の照射エネルギー値が実施例1~32よりも高い数値になったり現像不可となり、LER値が実施例1~32よりも高い数値になったり現像不可となった。このことから、比較例の半導体フォトレジスト用組成物の感度またはラインエッジ粗さ特性が、実施例に比べてよくないことを確認することができる。
【0169】
以上、本発明の特定の実施例が説明および図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱することなく多様に修正および変形できることは、この技術分野における通常の知識を有する者に自明である。したがって、そのような修正例または変形例は本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属するというべきである。
【符号の説明】
【0170】
100 基板、
102 薄膜、
104 レジスト下層膜、
106 フォトレジスト膜、
106b 露光領域、
106a 未露光領域、
108 フォトレジストパターン、
112 有機膜パターン、
114 薄膜パターン。
図1
図2
図3
図4
図5