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特許7189422波長変換部材複合体、発光装置及び波長変換部材複合体の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】波長変換部材複合体、発光装置及び波長変換部材複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20221207BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20221207BHJP
【FI】
G02B5/20
H01S5/022
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018181266
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020052234
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】杉村 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】画星 直希
(72)【発明者】
【氏名】池上 武志
【審査官】中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-087918(JP,A)
【文献】特開2017-054785(JP,A)
【文献】特開2015-192105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
H01L 33/50
G03B 21/14
G02F 1/13357
H01S 5/00-5/50
F21S 2/00
F21V 8/00
H01L 31/04
C03C 4/12
C09K 11/08
H05B 33/00-33/28
H01L 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面から下面にわたる貫通孔を有し、該貫通孔から離間して該貫通孔の周囲に設けられた凹部を前記下面に有する支持体と、蛍光体を含み、その下面が前記支持体の下面と連続しており前記貫通孔内に配置された蛍光部材とを備える波長変換部材、
前記凹部内に埋設され、前記支持体の下面と面一の下面を有する接合材ならびに
該接合材及び前記蛍光部材の下方に配置され、該接合材の下面と接触する上面を有する放熱部材を備える波長変換部材複合体。
【請求項2】
前記接合材は、前記支持体の側面と面一の側面を有する請求項1に記載の波長変換部材複合体。
【請求項3】
前記支持体は、光反射性材料からなる請求項1又は2に記載の波長変換部材複合体。
【請求項4】
前記蛍光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなる請求項1~3のいずれか1項に記載の波長変換部材複合体。
【請求項5】
前記放熱部材は、透光性材料からなる請求項1~4のいずれか1項に記載の波長変換部材複合体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の波長変換部材複合体及び
前記波長変換部材複合体の前記蛍光部材に励起光を照射する発光素子を備える発光装置。
【請求項7】
上面から下面にわたる貫通孔を有し、該貫通孔から離間して該貫通孔の周囲に設けられた凹部を前記下面に有する支持体と、蛍光体を含み、その下面が前記支持体の下面と連続しており前記貫通孔内に配置された蛍光部材とを備える波長変換部材を準備し、
前記凹部内に接合材を埋込み、
該接合材の下面と放熱部材の上面とを接触させることにより、前記放熱部材を該接合材及び前記蛍光部材の下方に接合することを含む波長変換部材複合体の製造方法。
【請求項8】
前記接合材を埋込む工程において、前記接合材として、前記凹部の深さよりも厚く且つ前記凹部の幅よりも細いシート状の接合材を用いる請求項7に記載の波長変換部材複合体の製造方法。
【請求項9】
前記波長変換部材を準備する工程において、前記波長変換部材は、前記貫通孔を行列状又は列状に複数有し、1つ以上の前記凹部が、複数の前記貫通孔のそれぞれの周囲に配置されており、
前記放熱部材を前記波長変換部材に接合した後、
1つ又は複数の前記蛍光部材ごとに個片化するように、前記凹部で前記放熱部材及び前記支持体を分割することを含む請求項7又は8に記載の波長変換部材複合体の製造方法。
【請求項10】
前記分割する工程において、前記支持体の上面から少なくとも前記接合材までダイシングすることを含む請求項9に記載の波長変換部材複合体の製造方法。
【請求項11】
前記放熱部材として、サファイアを用い、
前記分割を、前記支持体の上面から前記放熱部材の厚み方向の一部までダイシングし、かつ前記サファイア内に焦点を設定してレーザスクライブすることにより行う請求項10に記載の波長変換部材複合体の製造方法。
【請求項12】
前記レーザスクライブを、前記支持体側からレーザ照射することにより行う請求項11に記載の波長変換部材複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波長変換部材複合体、発光装置及び波長変換部材複合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体レーザ素子を使った発光装置が知られている。このような発光装置では、レーザ光が照射される蛍光体層を有する波長変換部材に放熱部材を接合する構造が提案されている。そして、例えば、蛍光体層と放熱部材とのいずれか一方に凹部を複数形成し、凹部に接着剤を充填して、蛍光体層と放熱部材との接合が図られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-54785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、放熱部材と波長変換部材との接合のために、蛍光体層に凹部を形成すると、蛍光体層の強度が低下して割れること等が懸念される。一方、放熱部材に凹部を形成すると、波長変換部材に凹部を形成することに比べて、作業性の低下、コストアップの懸念がある。また、蛍光体層と放熱部材の間に接着剤を配置すると、その接着剤により放熱性が低下すること、光出力が低下すること等が懸念される。
本開示は上記課題に鑑みなされたものであり、蛍光部材に励起光が照射される際の蛍光部材の発熱を効率的に放熱部材に放散することができる波長変換部材複合体、これを備えた発光装置及び波長変換部材複合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は以下の発明を含む。
(1)上面から下面にわたる貫通孔を有し、該貫通孔から離間して該貫通孔の周囲に設けられた凹部を前記下面に有する支持体と、蛍光体を含み、その下面が前記支持体の下面と連続しており前記貫通孔内に配置された蛍光部材とを備える波長変換部材、
前記凹部内に埋設され、前記支持体の下面と面一の下面を有する接合材及び
該接合材及び前記蛍光部材の下方に配置され、該接合材の下面と接触する上面を有する放熱部材を備える波長変換部材複合体。
(2)上記波長変換部材複合体及び前記波長変換部材複合体の前記蛍光部材に励起光を照射する発光素子を備える発光装置。
(3)上面から下面にわたる貫通孔を有し、該貫通孔から離間して該貫通孔の周囲に設けられた凹部を前記下面に有する支持体と、蛍光体を含み、その下面が前記支持体の下面と連続しており前記貫通孔内に配置された蛍光部材とを備える波長変換部材を準備し、
前記凹部内に接合材を埋込み、
該接合材の下面と放熱部材の上面とを接触させることにより、放熱部材を該接合材及び前記蛍光部材の下方に接合することを含む波長変換部材複合体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
このような波長変換部材複合体及びその製造方法によれば、波長変換部材の支持体に接合材を設けることにより、蛍光部材と放熱部材との間に接合材を介在させることなく、波長変換部材と放熱部材とを接合することが可能である。したがって、蛍光部材に励起光が照射される際の蛍光部材の発熱を効率的に放熱部材に放散することができる。
また、このような波長変換部材複合体を備えることにより、放熱性が良好で、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の一実施形態の波長変換部材複合体の構成を示す概略断面図である。
図1B図1Aの波長変換部材複合体の分解断面図である。
図1C図1Aの波長変換部材複合体の概略平面図である。
図2A図1Aの波長変換部材複合体の変形例を示す概略断面図である。
図2B図2Aの波長変換部材複合体の概略平面図である。
図2C図1Aの波長変換部材複合体の別の変形例を示す概略平面図である。
図3A】本発明の一実施形態の発光装置の構成を示す概略斜視図である。
図3B図3Aの発光装置の概略平面図である。
図3C図3Bの発光装置のIIIC-IIIC’線の概略断面図である。
図4A図1Aの波長変換部材複合体の製造方法を示す概略平面図である。
図4B図4Aの波長変換部材複合体の製造方法を示すIVB-IVB’線断面の一部の概略断面図である。
図4C図1Aの波長変換部材複合体の製造方法を示す概略断面図である。
図4D図1Aの波長変換部材複合体の製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明は以下のものに限定されない。各図面が示す部材の大きさ及び位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0009】
実施形態1:波長変換部材複合体10
この実施形態の波長変換部材複合体10は、図1A~1Cに示したように、支持体11及び蛍光部材12からなる波長変換部材13と、接合材14と、放熱部材15とから構成される。支持体11は、図1A及び1Bに示したように、上面11aから下面11bにわたる貫通孔11cを有し、貫通孔11cから離間して、貫通孔11cの周囲に設けられた凹部11dを下面11bに有する。波長変換部材13は、蛍光体を含み、その下面12bが支持体11の下面11bと連続しており、貫通孔11c内に配置される。接合材14は、支持体11の凹部11d内に埋設されており、支持体11の下面11bと面一の下面14bを有する。放熱部材15は、波長変換部材13の下方、つまり、支持体11、接合材14及び蛍光部材12の下方に配置され、接合材14の下面14bと接触する上面15aを有する。なお、本明細書において、波長変換部材複合体10の光が入射する側の面を下面とし、光が取り出される側の面を上面とする。
【0010】
このような波長変換部材複合体10では、蛍光部材12ではなく、波長変換部材13を構成する支持体11に接合材14を設けている。このため、蛍光部材12と放熱部材15との間に接合材14を介在させることなく、波長変換部材13と放熱部材15とを接合することができる。これにより、蛍光部材12に光が照射される際の蛍光部材12の発熱を接合材14を介さずに放熱部材15に放散することができるため、効率的な放熱が期待できる。また、蛍光部材12に照射される光が接合材14に直接的に照射されないことにより、接合材14による光の吸収を低減することができるため、発光効率の低下を抑制することができる。また、接合材14に光が直接的に照射されないことで接合材14の劣化を抑制することができ、波長変換部材の放熱部材からの剥がれの発生可能性を低減することができる。この結果、信頼性の高い波長変換部材13を得ることが可能となる。
【0011】
〔波長変換部材13〕
波長変換部材13は、上述したように、支持体11と蛍光部材12とから構成される。
(支持体11)
支持体11は、波長変換部材を構成し、蛍光部材を保持し得る部材であればよく、適度な強度を有するものが好ましい。
支持体11を構成する材料は、金属、セラミックス、樹脂、ガラス、又は、これらの1種以上を備える複合材等が挙げられる。なかでも、蛍光部材12の発熱による影響を考慮して、耐熱性を有する材料が好ましく、また、蛍光部材12との熱線膨張係数差が小さい材料が好ましい。また、波長変換部材複合体10の発光面を蛍光部材12の表面とするために、支持体11の蛍光部材12側の面は光反射性材料からなることが好ましい。これによって、蛍光部材12内の光が支持体11に反射されることとなり、光の接合材14への到達を防止することができ、よって、接合材14に光が吸収されることによる発光効率低下を抑制することができる。
支持体11は、例えば、主として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス等によって形成することができる。また、これらの材料に、添加材として、主成分(例えば、酸化アルミニウム)よりも高屈折率の材料を含有させることで光反射性材料としてもよい。高屈折率の材料としては、屈折率が、例えば1.8以上であるものが挙げられ、2.0以上であってもよい。主成分との屈折率差は、例えば0.4以上が挙げられ、0.7以上であってもよい。添加材は、支持体を構成する材料の30重量%以下とすることができる。なお、主材料中に屈折率が異なる材料が含有されていることで光反射性材料とすることができるため、高屈折率の材料は、酸化チタン等の添加材に限らず、空気等の気体であってもよい。すなわち、添加材の代わりに、空気等の気体で満たされた空隙を採用してもよい。
【0012】
支持体11は、蛍光部材を保持し得る形状であればよい。支持体11の形状としては、その表面が平坦な板状の部材が挙げられ、例えば互いに平行な上面及び下面を有する。このような平行な上下面を有することにより、波長変換部材複合体10を構成する他の部材への取り付け等が容易となり、発光装置等への取り付けを容易にし、光取り出し等の精度を向上させることができる。また、支持体11の平面形状は、適用する発光装置の形状等によって適宜設定することができ、円形、楕円形又は四角形等の多角形など、種々の形状が挙げられる。
支持体11の上面11a及び下面11b、特に下面11bは、平坦であることが好ましい。後述する接合材14との接合を確実にするためである。
支持体11の厚みは、強度を考慮すると、例えば、0.2mm以上が挙げられる。コスト増大及び高さの増大を抑えるため、支持体11の厚みは2.0mm以下が好ましい。
支持体11は、上面11aから下面11bにわたる貫通孔11cを有している。貫通孔11cは、蛍光部材12を保持する部位であり、上面11aから下面11bにわたって同じ断面形状を有するものであってもよいし、上面に向かって、下面に向かって、上下面に向かって又は中央に向かって拡径又は拡張する形状であってもよい。貫通孔11cの形状は、上面視において、円形、楕円形又は四角形等の多角形、これらを組み合わせた形状など、種々の形状が挙げられる。貫通孔11cの形状及び大きさは、例えば、発光素子41からの光の実質的に全部を収め得る形状及び大きさとすることができる。波長変換する光がレーザ光である場合、貫通孔11cの開口は、例えば、一辺又は直径が100μm以上、3000μm以下の大きさとすることができる。貫通孔11cの開口は、一辺又は直径が200μm以上の大きさとすることがより製造し易い。また、貫通孔11cの開口は0.01mm2以上の大きさとすることができる。
【0013】
平面視で、支持体11は、下面11bにおいて、貫通孔11cから離間して、貫通孔11cの周囲に配置される凹部11dを有している。ここでの貫通孔11cの周囲とは、全周であることが好ましい(図1C参照)。つまり、凹部11dは、貫通孔11cの全周にわたって一繋がりの形状であることが好ましい。これにより、より確実に支持体11を放熱部材15に接合することができる。凹部11dは、貫通孔11cの周囲の一部のみに配置されていてもよい(図2C、支持体31の凹部31d参照)。この場合、凹部11dは貫通孔11cの周囲に2以上配置してよい。また、凹部11dが貫通孔11cから離間している限り、凹部11dの貫通孔11cの外周からの離間距離は、貫通孔11cの周囲の全部において同じであってもよいし、一部又は全部において異なっていてもよい。離間距離は、例えば、貫通孔11cの上面における径又は最大幅の2倍以上とすることができ、3倍又は4倍以上が挙げられ、10倍以下とすることができ、8倍以下としてもよい。このように、貫通孔11cから凹部11dが離間することにより、後述するように、蛍光部材12から接合材14が離間することとなり、蛍光部材12への光の照射による熱に起因する接合材14の劣化を防止することができる。凹部11dは、支持体11の外縁から離間していてもよい(図2A及び2B、支持体21の凹部21d参照)が、外縁を含む形状で配置されていることが好ましい。これによって、支持体11自体の大きさが小さくても、貫通孔11cからの離間距離をより大きくすることができる。
凹部11dの深さは、例えば、3μm~1350μmが挙げられ、10μm~400μmが好ましい。言い換えると、凹部11dの深さは、支持体11の厚みの0.5%~75%が好ましい。このような範囲とすることによって、後述する接合材14の適量の供給が容易となる。凹部11dの幅は、200μm以上とすることができる。後述するように凹部11dの位置で個片化する場合は、個片化に用いるダイサー等の幅を考慮して、個片化前の凹部11dの幅は500μm以上であることが好ましい。接合材14として樹脂シートを用いる場合は、幅が小さいほど加工が困難となるため、1mm以上とすることがより好ましい。また、凹部11dの幅は、4.5mm以下とすることができる。凹部11dの幅をある程度大きく設定することにより、接合材14が凹部11d内で広がり易く、接合材14内のボイドの発生を防止することができる。その一方、凹部11dの幅を狭くすることにより、支持体11及び蛍光部材12の放熱部材15への接触面積を確保することができるため、放熱効果をより向上させることができる。凹部11dが貫通孔の周囲の一部のみに設けられる場合、凹部1つの長さは、凹部11dの幅以上あればよく、支持体の最長の長さ以下とすることができる。このような範囲とすることによって、後述する接合材に余剰が認められても、接合材14が凹部から支持体11の下面11bに漏れることを防止することができる。凹部11dの深さ及び幅は、全周において同じでもよいし、周囲の一部又は全部において異なっていてもよい。
凹部11dは、当該分野で公知の方法により形成することができる。例えば、凹部の幅と同程度の粒度の砥粒を用いて凹部の貫通方向のみに研磨を施す方法、サンドブラスト、エッチングによるパターン形成、切削加工、レーザ加工等が挙げられる。
支持体11をセラミックスで形成する場合には、グリーンシート等の焼成前の材料の成形によって、容易に貫通孔及び凹部を所望の形状及び大きさに形成することができる。
【0014】
(蛍光部材12)
蛍光部材12は、蛍光体を含む。また、蛍光部材12は、貫通孔11c内に配置されている。この場合、蛍光部材12は、貫通孔11c内において、貫通孔11cの内壁の全部に接触して配置されていることが好ましい。これによって、蛍光部材12で生じる熱を支持体11に対して効率的に放熱することができる。蛍光部材12は、その下面が支持体11の下面11bよりも突出していても、凹んでいてもよいが、支持体11の下面11bと面一となっていることが好ましい。これにより、後述する放熱部材15を波長変換部材の下面に接合した場合に、支持体11及び蛍光部材12の双方が放熱部材15に接触することができ、近接することができるため、効率的に放熱することができる。蛍光部材12は、その上面が支持体11の上面と面一であることが好ましいが、若干、凹んでいてもよいし、突出していてもよい。蛍光部材12の下面は支持体11の下面11bと連続している。ここで、これらの面が連続しているとは、厳密に同一平面にある状態に限らず、30μm以下程度の高低差があってもよい。高低差が小さいほど放熱性と接着性の両立に有利であるため、好ましくは、これらの高低差は10μm以下とする。
蛍光部材12の下面12bは、平坦であることが好ましい。後述する放熱部材との接触面積を確保し易くするためである。
【0015】
蛍光部材12は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなるものが好ましい。例えば、蛍光部材12としてセラミックスを用いる場合は、蛍光体と酸化アルミニウム(Al23、融点:約1900℃~2100℃)等の透光性材料とを焼結させたものが挙げられる。蛍光体の含有量は、セラミックスの総体積に対して0.05体積%~50体積%が挙げられる。また、実質的に蛍光体のみからなるセラミックスを、透光性材料を用いずに蛍光体の紛体を焼結させることにより形成したものでもよい。このような構成とすることにより、蛍光体を含有する樹脂による部材と比較して、耐熱性が高いため、レーザ光照射用として比較的長期にわたって使用することができる。
蛍光部材12に含まれる蛍光体は、当該分野で公知の蛍光体のいずれを用いてもよい。例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO-Al23-SiO2)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)2SiO4)、αサイアロン蛍光体、βサイアロン蛍光体、KSF蛍光体等が挙げられる。なかでも、耐熱性が良好な蛍光体であるYAG蛍光体を用いることが好ましい。
蛍光部材12は、支持体11の貫通孔11c内に配置されるが、その形状や製造方法は、例えば、特開2014-67961号公報、特開2017-149929号公報等、公知の方法のいずれを利用してもよい。
【0016】
〔接合材14〕
接合材14は、凹部11d内に埋設され、支持体11の下面11bと面一の下面を有することができる。接合材14は、支持体11の側面と面一の側面を有していてもよいし、支持体の側面と面一ではない側面を有していてもよい。前者の場合、接合材14の側面は、支持体11の蛍光部材12とは反対側の側面、つまり、外側の側面と面一であることが好ましい。また、接合材14の別の側面は、凹部11dの蛍光部材12に近い側の側面、つまり、凹部11dの内側の側面と面一であってもよいが、図1Aに示すように、内側の側面とは接触しておらず、空隙17を有していてもよい。このような空隙17が存在する場合には、余剰の接合材の発生を確実に回避して、支持体11の下面11bへの接合材14の漏れ又は侵入を阻止することができる。また、波長変換部材複合体の熱による膨張又は収縮が発生した場合においても、接合材14を凹部内に維持することができるために、支持体11の下面11bへの接合材14の漏れ又は侵入を阻止することができる。その結果、支持体11の熱を放熱部材に直接、効率的に逃がすことが可能となる。
接合材14は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の有機接着剤、半田、金属ろう材等の低融点金属接合材、低融点ガラス等が挙げられる。なかでも、比較的低温で接着することができるとともに、製造コスト及び接着時の蛍光体材料などの劣化の防止等を考慮すると、有機接着剤が好ましい。有機接着剤は、なかでも、接着前の粘度が1Pa・s以上であるものが好ましく、80Pa・s以上であるものがより好ましい。このような粘度の有機接着剤であれば、凹部11dの中に広がり過ぎないため凹部11dの外に突出した形状を保つことができ、放熱部材15とより確実に接着することができるためである。有機接着剤の粘度としては例えば500Pa・s以下が挙げられる。接合材14は、例えば、樹脂シートの形態であるものが好ましい。樹脂シートであれば、適所に適当な大きさで配置できる。これにより、接合材14の余剰部分の発生確率を低減することができ、また、接合材14中でのボイドの発生確率を低減することができる。
接合材14の供給量は、用いた波長変換部材13における凹部11dの大きさによって適宜調整することができる。上述したように、凹部の全体積よりも少ない体積で供給することが好ましい。
【0017】
〔放熱部材15〕
放熱部材15は、波長変換部材13及び接合材14、つまり、支持体11、蛍光部材12及び接合材14の下方に配置されている。また、放熱部材15は、接合材14の下面と接触する上面15aを有する。接合材14によって、波長変換部材13を放熱部材15に接合することができる。放熱部材15の上面15aは、支持体11の下面11b及び蛍光部材12の下面12bと接触していることがより好ましい。このような接触によって、蛍光部材12及び支持体11の熱を放熱部材に直接かつ効率的に逃がすことができる。
放熱部材15は、支持体11を構成する材料よりも熱伝導率が良好な材料からなるものが挙げられる。放熱部材15は、例えば透光性材料からなる。ここで透光性とは、波長変換部材複合体10に照射される光を透過可能であるものを指し、例えば、その光の透過率が70%以上のもの、80%以上のもの、90%以上のものが挙げられる。放熱部材15を透光性の材料によって形成する場合には、放熱部材側から励起光を照射することが可能となる。また、蛍光部材は光が照射される面が最も発熱する傾向にあるが、この場合、光照射面に放熱部材を接触させることができるため、効率的に放熱することができる。放熱部材15として非透光性の材料を用いる場合は、蛍光部材12の上方から励起光を照射すればよい。放熱部材15を構成する材料は、例えば、金属材料、酸化物又は窒化物の焼結体又は単結晶等が挙げられる。金属材料としては、熱伝導率が高く、可視光に対する反射率が高く、蛍光及び励起光の吸収を抑制して発光効率の低下を抑制できるなどを考慮すると、アルミニウム等が挙げられる。また、放熱部材の反射率を上げるために、銀等を用いてもよい。熱膨張係数が小さく、かつ熱伝導率の高いAlN等の絶縁材料を用いてもよい。この場合、その表面に反射率を上げるために銀等の金属材料をコーティングした構成としてもよい。単結晶としては、サファイア等が挙げられる。透光性の放熱部材15として、例えばサファイアを用いる。
放熱部材15は、上面視において、支持体11の上面11aの外形と同様の形状及び大きさを有することができるが、若干大きくても、小さくてもよい。放熱部材15の上面11aは、平坦であることが好ましい。その理由は、放熱部材15と接合材14との接合を確実にし、かつ、支持体11及び蛍光部材12との接触面積を確保するためである。放熱部材15の厚みは、例えば、0.1mm~5mmが挙げられ、0.3mm~1mmが好ましい。これにより、放熱部材15の強度を確保でき、また、放熱性を向上させることができる。
【0018】
実施形態2:発光装置
この実施形態の発光装置40は、図3A~3Cに示したように、上述した波長変換部材複合体10と、波長変換部材複合体10の蛍光部材12に励起光を照射する発光素子41を備える。これら波長変換部材複合体10及び発光素子41は、通常、発光装置40を構成するパッケージ44に収容又は載置されている。
〔パッケージ44〕
パッケージ44は、発光素子41を収容するために、上面側が開口した凹部44aを有している。波長変換部材複合体10が凹部44aの上を覆うように配置される。パッケージ44は、波長変換部材複合体10から離間した位置に、凹部44aの平面形状よりも広い大面積を画定する壁部44bを有することができる。パッケージ44は、主として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス又は銅等の金属によって形成することができる。パッケージ44は、例えば、上面視形状が四角形等、種々の形状とすることができる。パッケージ44には、凹部44aの底面、壁部44b及び/又は上面等に、発光素子41に電流を供給するための電極等が配置されている。
波長変換部材複合体10は、凹部44aと壁部44bとの間において、例えば、金属接合層によって固定されている。金属接合層としては、例えば、Sn-Bi系、Sn-Cu系、Sn-Ag系等の半田、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等の共晶合金、低融点金属のろう材、これらを組み合わせた接着剤等が挙げられる。
【0019】
〔発光素子41〕
発光素子41は、発光ダイオード(LED)及び半導体レーザ素子等が挙げられ、半導体レーザ素子であることが好ましい。半導体レーザ素子を用いることで、LEDを用いる場合と比較して蛍光部材12の光入射面の面積を小さくすることができるため、相対的に支持体11の下面11bの面積を大きくすることができる。これにより接合材14を配置する凹部11dを設け易いという利点がある。発光素子41は、パッケージ44と波長変換部材複合体10とで囲まれた空間内に配置されている。発光素子41は、パッケージ44の凹部44aの底面に直接配置してもよいが、図3Cに示すように、サブマウント42上に配置してよい。図3Cに示す発光素子41は半導体レーザ素子であり、出射したレーザ光が、パッケージ44の底面に対して実質的に平行な方向に進行するように実装されている。
サブマウント42としては、例えば、SiC、AlN等を主材料として形成されたものが挙げられる。サブマウント42への発光素子41の実装は、例えば、AuSn共晶半田等を用いて行うことができる。
発光素子41は、図3Cに示すように、そのレーザ光が放出される端面が、パッケージ44の凹部44a内に配置された反射部材43の傾斜面と向かい合うように対向して配置されている。これによって、発光素子41から出射したレーザ光が反射部材43に照射され、反射部材43で、パッケージ44の上面側に固定された波長変換部材複合体10の方向に反射して、波長変換部材複合体10の蛍光部材12に励起光を照射させることができる。
例えば、反射部材43としては、三角柱、四角錐台等の形状をしたガラス、Si等からなる本体部の斜面に反射膜が設けられた部材を用いることができる。本体部の底面に対する斜面の角度は、レーザ光をパッケージ44の底面と直交する方向に導くため、約45度であることが好ましい。反射膜としては、単層又は多層の誘電体膜又は金属膜等を用いることができる。なお、図3Cでは発光素子41のレーザ光の出射方向は図中右方向であるが、図中上方向にレーザ光を出射するように発光素子41を配置してもよく、この場合であれば反射部材43は不要である。
【0020】
実施形態3:波長変換部材複合体の製造方法
この実施形態の波長変換部材複合体の製造方法は、以下の工程を含む。図4A及び4Bに示すように、上面11aから下面11bにわたる貫通孔11cと、下面11bに、貫通孔11cから離間して貫通孔11cの周囲に設けられた凹部11dとを有する支持体11及び貫通孔11c内に配置された蛍光部材12とを備える波長変換部材13を準備する。次に、図4Cに示すように、凹部内に接合材14を埋込み、図4Dに示すように、接合材14の下面と接触させて、接合材14及び蛍光部材12の下方に放熱部材15を接合する。
この波長変換部材複合体の製造方法では、1つの蛍光部材を有する波長変換部材に対応する1つの放熱部材を接合して波長変換部材複合体を製造してもよいし、複数の蛍光部材を有する波長変換部材に1つの放熱部材を接合し、さらに、個々の蛍光部材又は複数の蛍光部材ごとに、波長変換部材及び放熱部材の接合体を分割する工程を有していてもよい。
このような波長変換部材複合体10の製造方法によって、支持体に接合材を設けることができるため、蛍光部材と放熱部材との間に接合材を介在させることなく、波長変換部材と放熱部材とを簡便かつ容易に接合することができる。これにより、蛍光部材に励起光が照射される際の蛍光部材の発熱を効率的に放熱部材に放散させることができる波長変換部材複合体を高精度に、確実に製造することができる。
【0021】
〔波長変換部材13の準備〕
まず、図4A及び4Bに示すように、波長変換部材13を準備する。
波長変換部材は、支持体11を構成する材料の平板を準備し、その平板に貫通孔を行列状又は列状に複数形成するとともに、凹部を格子状に、貫通孔のそれぞれの周囲に配置するように形成すればよい。これによって、複数の貫通孔のそれぞれの周囲に凹部を配置することができる。貫通孔の形成及び凹部の形成は、何れを先に行ってもよいし、製法によっては、同時に形成してもよい。ここでの貫通孔及び凹部は、ポンチ加工、ダイシング、エッチング、サンドブラスト、研磨等、当該分野で公知の方法を利用して形成することができる。支持体11をセラミックスによって形成する場合には、グリーンシートの形状等を、金型等を利用して成形することにより、貫通孔及び/又は凹部を、焼結前又は焼結時に形成してもよいし、支持体を構成する材料を成形することにより、貫通孔及び/又は凹部を、焼結前又は焼結時に形成してもよい。
支持体11の貫通孔内には、蛍光体を含み、その下面が支持体の下面と連続している蛍光部材12が配置されていることが好ましい。
波長変換部材13は、焼結体等の成形体からなる蛍光部材12と粉粒の支持体11の材料とを又は粉粒の蛍光部材12の材料と成形体からなる支持体11とを一体的に成形したものを焼結することにより形成することができる。成形体は、スリップキャスト法、ドクターブレード法(シート成形法)、乾式成形法などを用いて成形することができる。焼結は、放電プラズマ焼結法(SPS法:spark plasma sintering法)又はホットプレス焼結法(HPS法:hot pressing sintering法)等を用いることができる。これらの方法として、例えば、特開2017-149929号公報等に記載の方法を利用することができる。また、蛍光部材12の製造には、CIP(Cold Isostatic Pressing)、HIP(Hot Isostatic Pressing)等を用いることができる。
【0022】
波長変換部材13を製造するための具体的な例を以下に挙げる。
(1)複数の凸部が表面側に設けられた、蛍光体を含む蛍光部材を準備し、粉末状の光反射部材を準備して、蛍光部材における複数の凸部の間に粉末状の光反射部材を配置する工程と、これらを焼結して記蛍光部材と光反射部材とが一体に形成された焼結体を得る工程と、蛍光部材の表面側又は裏面側の少なくとも一方の側から焼結体の一部を除去する工程と、を有する製造方法。なお、粉末状の光反射部材に替えて、粉末状の光反射部材を含有するスラリーを用いてもよい。
(2)複数の凹部が表面側に設けられた光反射部材を準備し、蛍光体を含む粉末状の蛍光部材を準備し、光反射部材における複数の凹部に粉末状の蛍光部材を配置する工程と、これらを焼結して、光反射部材と蛍光部材とが一体に形成された焼結体を得る工程と、少なくとも光反射部材の裏面側から焼結体の一部を除去する工程と、を有する製造方法。
(3)互いに反対側にある第1主面及び第2主面を貫通する複数の貫通孔が設けられた光反射部材を準備し、蛍光体を含む粉末状の蛍光部材を準備し、複数の貫通孔に粉末状の蛍光部材を配置する工程と、これらを焼結して、光反射部材と蛍光部材とが一体に形成された焼結体を得る工程と、蛍光部材の表面側又は裏面側の少なくとも一方の側から焼結体の一部を除去する工程と、を有する製造方法。
ここでの焼結体とは、蛍光部材と支持体とを一体的に焼結したものを意味する。焼結は、1100℃~1800℃の温度範囲で行うことができる。焼結体を得た後、酸化雰囲気において1000℃~1500℃の温度範囲で熱処理してもよい。炭素を含む焼結型を用いて酸化物を含む焼結体を形成すると炭素が原因で焼結体の反射率が低下する場合があるが、この場合には、焼結体を酸化雰囲気で熱処理することにより反射率を向上させることが可能である。焼結体の一部を除去する方法としては、例えば、研削、研磨、化学機械研磨等が挙げられる。
なお、図4A及び4Bは、複数の波長変換部材複合体を形成するための集合体を表す。1つの波長変換部材複合体を形成するために、支持体11を構成する材料の平板を準備し、その平板に貫通孔を1つ形成するとともに、その貫通孔を囲むように、凹部を1つ又は複数形成してもよい。また、上述したようにセラミックス材料を焼結し蛍光部材とそれを囲む支持体を形成し、支持体に凹部を1つ又は複数形成してもよい。
【0023】
〔接合材14の埋込み〕
図4Cに示すように、波長変換部材13の支持体11の凹部11dに、接合材14を埋込む。接合材14として、当該分野で公知の材料を用いることができるが、凹部11d内に埋め込む際は、接合材14を、凹部11dの体積よりも小さい体積量で用いることが好ましい。具体的には、凹部11dの深さよりも厚く、かつ凹部11dの幅よりも細いシート状のものを用いることがより好ましい。このような形態の接合材を用いることにより、液状の接合部材を用いる場合に比較して、接合材中へのボイドの発生を低減することができる。これによって、より確実に波長変換部材13を後述する放熱部材に接合させることができ、接合時に余剰の接合材14が凹部11dからはみ出ることを防止することができる。また、波長変換部材13の下面と放熱部材15の上面との間の隙間を縮小することができ、放熱性の低下を抑制することができる。
【0024】
〔放熱部材15の接合〕
図4Dに示すように、放熱部材15を、波長変換部材13に接合する。放熱部材15の接合は、凹部11d内の接合材14の下面と、放熱部材15とを接触させることにより、放熱部材15を接合材14及び蛍光部材12の下方に接合する。特に、支持体11の下面11b及び蛍光部材12の下面12bと、放熱部材15の上面とを接触させ、接合材14によって、放熱部材15と波長変換部材13とを接合することが好ましい。これにより、支持体11の下面11b及び蛍光部材12の下面12bの全面を、放熱部材に接触させることができ、熱引きを効率的に行うことができる。接合材14の側面は、凹部11dの内側の側面と完全に接触していなくてもよく、図4Dに示すように、空隙17を有していてもよい。
なお、波長変換部材13が、蛍光部材12を行又は列状に複数有し、蛍光部材12間に行又は列状に配置された複数の凹部11dを有する場合には、複数の蛍光部材12に対して、1つの放熱部材15を接合してもよいし、蛍光部材12ごとに複数の放熱部材15をそれぞれ接合してもよい。
【0025】
〔分割〕
上述したように、複数の蛍光部材12を有する波長変換部材13に1つの放熱部材15を接合した場合、例えば、図4Dの矢印Zで示した部位で、個々の蛍光部材12又は複数の蛍光部材12ごとに、波長変換部材13及び放熱部材15の接合体を分割することが好ましい。これにより、蛍光部材12の周囲に支持体11が配置された所望の大きさの波長変換部材複合体を得ることができる。
分割は、例えば、スクライブ、ダイシング等、当該分野で公知の方法を利用すればよい。分割は、例えば、接合材14によって接合している部位で行うことにより、切り屑等が発生したとしてもそれが侵入する隙間がないため、波長変換部材と放熱部材との間の隙間に切り屑等を侵入させることを回避することができる。これによって、より一層、波長変換部材と放熱部材との剥がれを防止することができる。
分割は、支持体11の上面から少なくとも接合材14までダイシングすることを含む。接合材14として、例えば樹脂を用いた場合には、ダイシングによって、分割することができる。また、蛍光部材12の位置を基準として分割することが好ましいことから、蛍光部材12が表面に存在する側から観察してダイシングすることが好ましい。特に、レーザスクライブを利用する場合には、支持体側からレーザ照射することが好ましい。レーザスクライブの位置合わせのための観察はスクライブ用レーザを照射する側から行うためである。さらに、放熱部材として、サファイアを用いた場合には、分割を、支持体の上面から放熱部材の厚み方向の一部までダイシングし、かつサファイア内に焦点を設定してレーザスクライブすることにより行うことが好ましい。サファイアはダイシングが困難であるため、レーザスクライブを利用することにより、精度よく、分割することが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
10 波長変換部材複合体
11、21、31 支持体
11a 上面
11b 下面
11c 貫通孔
11d、21d、31d 凹部
12 蛍光部材
12b 下面
13 波長変換部材
14 接合材
14b 下面
15 放熱部材
15a 上面
17 空隙
40 発光装置
41 発光素子
42 サブマウント
43 反射部材
44 パッケージ
44a 凹部
44b 壁部
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D