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特許7189426表面変化検出体及びそれを用いた表面変化検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】表面変化検出体及びそれを用いた表面変化検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 22/02 20060101AFI20221207BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G01N22/02 A
G01N22/00 V
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018227839
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2020091165
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌人
(72)【発明者】
【氏名】松永 恵里
(72)【発明者】
【氏名】美濃谷 直志
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-511490(JP,A)
【文献】特開2017-211269(JP,A)
【文献】特開2018-040777(JP,A)
【文献】特開2004-198184(JP,A)
【文献】特開2018-063723(JP,A)
【文献】特表2014-529732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0248732(US,A1)
【文献】松永恵理,インフラ劣化検知を目的とした塗装式センサの基礎検討,第65回材料と環境討論会講演集,2018年10月12日,pp.349-350
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 22/00-22/04
G01N 27/00-27/24
G01B 15/00-15/08
G01M 99/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面に恒久的に配置し、前記表面の変化を検出する際には、検出装置からの高周波信号を受信し、この高周波信号に対する反射波を出力する表面変化検出体であって、
前記高周波信号に共振するセンサ部と、
前記センサ部に高周波信号を伝搬させる信号伝搬部と、
高周波信号が受信された際に、前記センサ部から反射する高周波信号を外部に出力する入反射部と、
を備えることを特徴とする表面変化検出体。
【請求項2】
前記センサ部は、
誘電体を挟む平行平板共振器であり、
前記入反射部は、
前記平行平板共振器の共振周波数の実効波長の4分の1の整数倍の長さのアンテナである
ことを特徴とする請求項1に記載の表面変化検出体。
【請求項3】
前記アンテナは、
平面が直角二等辺三角形のボウタイアンテナであり、該ボウタイアンテナの一方の三角形と他方の三角形のそれぞれは、別々の導体パターンで構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の表面変化検出体。
【請求項4】
前記表面変化検出体の前記物体側の表面は糊面である
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の表面変化検出体。
【請求項5】
物体の表面の変化を検出する検出装置が実行する表面変化検出方法であって、
前記物体の表面に恒久的に配置され、高周波信号に共振するセンサ部と、前記センサ部に高周波信号を伝搬させる信号伝搬部と、外部から高周波信号を受信し、前記センサ部から反射する高周波信号を外部に出力する入反射部とを備える表面変化検出体に、所定の範囲の周波数の高周波信号を掃引して照射する高周波掃引照射ステップと、
前記表面変化検出体から反射する高周波信号を周波数分析する周波数分析ステップと、
前記周波数分析ステップで求めたピーク値と過去の前記ピーク値とを比較して変化量を求め、前記変化量が閾値以上の場合は前記物体の表面に変化があると判定する判定ステップと
を行うことを特徴とする表面変化検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の表面に、亀裂、剥離、及び変形等が生じたことを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インフラ構造物、プラント設備等の大型設備から、乗り物、遊具、及び家具等の身近な製品まで様々な物体は、時間が経過するにしたがい劣化する。その劣化を放置しておくと、劣化が原因で、例えば橋梁の崩落事故、接合部分からのガス及び液体の漏洩、遊具の破損、高所からの落下物による人身事故等が発生する。
【0003】
これらの事故を防止するためには、予防保全が必要である。構造物等の物体を予防保全するためには、物体の劣化の程度を検査する必要がある。その検査方法には、目視検査及び打音検査がある。また、圧電ひずみセンサシートを用いて電気的に検出する方法も検討されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】山下崇博、他2名、「道路インフラ状態モニタリング用センサシートの開発」、2015年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集、セッションID:E69, p.329-p.330
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、センサシート(物体)ごとに能動素子(センサチップ)及び電源が必要であり、コストが高いという課題がある。
【0006】
本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、検出対象の物体ごとに能動素子及び電源を用いることなく受動部品のみで物体の表面の変化を検出できる表面変化検出体及びそれを用いた表面変化検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る表面変化検出体は、物体の表面に配置され該表面の変化を検出する表面変化検出体であって、高周波信号に共振するセンサ部と、前記センサ部に高周波信号を伝搬させる信号伝搬部と、外部から高周波信号を受信し、前記センサ部から反射する高周波信号を外部に出力する入反射部とを備えることを要旨とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係る表面変化検出方法は、検出装置が実行する表面変化検出方法であって、上記の表面変化検出体に、所定の範囲の周波数の高周波信号を掃引して照射する高周波掃引照射ステップと、前記表面変化検出体から反射する高周波信号を周波数分析する周波数分析ステップと、前記周波数分析ステップで求めたピーク値と過去の前記ピーク値とを比較して変化量を求め、前記変化量が閾値以上の場合は前記物体の表面に変化があると判定する判定ステップとを行うことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受動部品のみで物体の表面の変化を検出できる表面変化検出体及びそれを用いた表面変化検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る表面変化検出体の一例を示す平面図である。
図2】物体の表面が変化したことで変化する周波数特性の例を模式的に示す図である。
図3図1に示す表面変化検出体の作製過程の一例を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図5図4に示す検出装置が行う表面変化検出方法の処理手順を示すフローチャートである。
図6図4に示す検出装置で測定した特性の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る表面変化検出体の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。複数の図面中同一のものには同じ参照符号を付し、説明は繰り返さない。
【0012】
(表面変化検出体)
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る表面変化検出体の一例を示す平面図である。図1に示す表面変化検出体100は、例えばインフラ構造物等の物体の表面に密着して配置され、該物体の表面の変化を検出するものである。
【0013】
密着して配置されとは、表面変化検出体100が、物体の表面に例えば塗料が塗布されて形成される様な場合を意味する。又は、表面変化検出体100が物体の表面に貼られて配置される場合を意味する。
【0014】
表面変化検出体100は、センサ部1、信号伝搬部2、及び入反射部3を備える。ンサ部1は、高周波信号に共振する。信号伝搬部2は、センサ部1に高周波信号を伝搬させる。入反射部3は、外部から高周波信号を受信し、センサ部1から反射する高周波信号を外部に出力する。高周波信号は、電磁波でも良いし超音波で有っても良い。
【0015】
以降の説明は、高周波信号が電磁波の場合を例に説明する。
【0016】
センサ部1は、その内部に電磁波が伝搬可能な構造である。例えば、誘電体を導電性の材料で挟んだ導電体-誘電体-導電体の3層の平行平板共振器で構成される。誘電体は、高周波信号が超音波の場合は弾性体に代わる。
【0017】
図1に示すセンサ部1は、例えば平面が四角形であり一辺の長さは10cmである。詳しくは後述する。
【0018】
信号伝搬部2は、センサ部1と入反射部3の間を接続する。高周波信号が電磁波の場合は、マイクロスプリット線路、コプレーナ線路、及び誘電体導波路等の何れかで信号伝搬部2を構成する。
【0019】
図1に示す信号伝搬部2は、マイクロスプリット線路の例を示す。最下層(1層目)の導電パターンの幅は例えば1.7mm、センサ部1の誘電体を2層目とすると、最上層の3層目の導電パターンの幅は例えば0.85mmである。なお、信号伝搬部2の部分に、誘電体(2
層目)は存在しない。信号伝搬部2の導電パターンの幅は、特性インピーダンスが50Ω付近になるように設定される。
【0020】
入反射部3は、外部から照射される高周波信号を受信し、センサ部1で反射した高周波信号の反射波を外部に出力する。入反射部3は、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、スパイラルアンテナ、メアンダラインアンテナ、チップアンテナ、及びボウタイアンテナ等の金属薄膜及び誘電体で形成可能なアンテナで構成できる。
【0021】
図1に示す入反射部3は、ボウタイアンテナの例を示す。ボウタイアンテナは、平面が直角二等辺三角形の導電パターンのそれぞれが頂点を接触させ底辺同士を平行に配置させた形状である。両方の三角形の斜辺をつなげた長さは、平行平板共振器であるセンサ部1の共振周波数の実効波長の4分の1の整数倍の長さに設定する。
【0022】
実効波長とは、2層目の誘電体の誘電率εを考慮した波長である。つまり、センサ部1内を伝搬する高周波信号の波長である。
【0023】
以上述べたように、センサ部1、信号伝搬部2、及び入反射部3は、金属薄膜及び誘電体等で作製可能であり、構成部分のそれぞれに能動素子を必要としない。
【0024】
(作用)
表面変化検出体100に、外部から高周波信号を照射すると、その高周波信号は入反射部3で受信され、信号伝搬路2を伝搬してンサ部1に到達する。センサ部1に到達した高周波信号は、センサ部1の共振周波数に一致すればセンサ部1内で共振する。
【0025】
表面変化検出体100に外部から照射する高周波信号の周波数を、センサ部1の共振周波数を含む所定の範囲で挿引すると、共振周波数に一致する周波数成分はセンサ部1内に閉じ込められる。そして、共振周波数以外の周波数は、反射され反射波となって入反射部3から外部に出力される。
【0026】
センサ部1は、物体の表面に密着しているので、その表面が変化(クラック、剥離、他の物体の接触等)することで共振周波数が変化する。そこで、表面変化検出体100を物体に密着させた直後の物体の表面が健全である場合の反射特性と、時間が経過し物体の表面が劣化した場合の反射特性とを比較することで、物体の表面の変化の有無を検出することが可能になる。
【0027】
検出装置(図示せず)が受信する反射波の特性Rは、例えば、送信波が10MHz~100GHz体のマイクロ波~ミリ波であった場合は次式で表せる。検出装置については後述する。
【0028】
【数1】
【0029】
ここでTはTパラメータ、又はFパラメータ等に代表される2端子回路網の特性パラメータ、添え字のant1は検出装置の送信部、spaceは表面変化検出体100と検出装置の間の自由空間、ant2は入反射部3、tmlは信号伝搬部2、sensはセンサ部1、を意味する。
【0030】
図2は、受信する反射波の特性Rの変化を模式的に示す図である。図2の横軸は周波数、縦軸は信号(反射波)の強度である。
【0031】
図2(a)は、物体の表面の変化が共振周波数の変化で現れる例を示す。図2(a)に示す破線は健全な場合、実線は異常の場合の反射波の特性Rを示す。健全と異常の共振周波数の関係は、逆転する場合も有り得る。
【0032】
図2(b)は、信号伝送路2が断線した場合の特性の変化の例を示す。図2(b)に示すように、信号伝送路2が断線すると反射波の特性Rに共振周波数の信号強度の低下は現れなくなる。
【0033】
以上述べたように表面変化検出体100に照射した高周波信号の反射波の特性Rで、物体の表面が変化したか否かを検出することができる。
【0034】
(表面変化検出体の作製方法)
表面変化検出体100は、例えば3回の塗装工程で作製することができる。図3は、表面変化検出体100を、塗膜を塗り重ねて作製する様子を模式的に示す図である。
【0035】
図3において、物体の表記は省略している。3回の塗装工程で塗布される塗膜の層番号を添え字の数字で表記している。
【0036】
図3に示すように1層目のセンサ部1、信号伝搬部2、及び入反射部3は、物体(例えばインフラ構造物)の表面に直接、例えば銀ペーストを塗装して形成される。なお、塗布する材料は、銀ペーストに限られない。銅ペースト、導電性ポリマー、及び導電性インク等の何れでもよい。
【0037】
次に、1層目のセンサ部1の上に、センサ部1と同形状の誘電体膜1を塗布する。誘電体膜は、例えばポリマー樹脂で構成される。誘電体膜1の厚みは、特性インピーダンスに影響するので、特性インピーダンスが整合する厚みにする必要がある。誘電体膜1の厚みは、例えば400μm程度の厚さである。
【0038】
2層目の誘電体膜1の上に、3層目のセンサ部1、信号伝搬部2、及び入反射部3を塗布する。3層目に塗布する材料は、1層目と同じ例えば銀ペーストである。3層目の入反射部3の形状は、1層目の入反射部3と信号伝搬部2の中心線を挟んで線対称である。
【0039】
この例の1層目の入反射部3と3層目の入反射部3は直接接続しない。つまり、入反射部3は、平面が直角二等辺三角形のボウタイアンテナであり、該ボウタイアンテナの一方の三角形と他方の三角形のそれぞれは、別々の導体パターンで構成される。これにより、自己補対型アンテナが構成され、信号の帯域幅を広げることができる。
【0040】
なお、ボウタイアンテナの一方の三角形と他方の三角形を一つの導電パターンで構成しても良い。入反射部3の形状を含む構成は、要求仕様に対応させて適宜選択される。
【0041】
1層目の信号伝搬部2の幅を例えば1.7mm、誘電体膜1の厚みを400μmにした場合、信号伝搬部2の幅を0.85mmにする。そうすることで、入反射部3とセンサ部1を特性インピーダンス50Ωで整合させることができる。
【0042】
このように表面変化検出体100は、例えば3回の塗装工程で作製することができる。この作製方法によれば、表面変化検出体100を、表面が曲面の物体についても密着させて配置することができる。
【0043】
また、表面変化検出体100は、塗装して構成しなくても良い。例えば、3つのシートを積層させて構成するようにしても良い。
【0044】
表面変化検出体100を、シートを積層して作製する場合は、図3に示す各層の形状の導電シート及び絶縁シートを一体化する。そして、一体化した表面変化検出体100を物体の表面に貼り付ける。
【0045】
表面変化検出体100を物体の表面に貼り付ける接着剤は、物体の在る現場で塗布しても良いし、予め表面変化検出体100の物体側の表面を糊面としても良い。つまり、表面変化検出体100の物体側の表面は糊面であるようにしても良い。これにより、表面変化検出体100の物体への配置を容易にすることができる。
【0046】
(検出装置)
図4は、本発明の実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。その処理手順を示すフローチャートを図5に示す。
【0047】
検出装置200は、周波数掃引部20、高周波生成部21、送信部22、受信部23、周波数分析部24、判定部25、及び制御部26を備える。制御部26は、各機能構成部の動作を制御する機能構成部であり、例えば、ROM、RAM、CPU等からなるコンピュータで構成することができる。制御部26をコンピュータで実現する場合は、周波数挿引部20の一部、周波数分析部24、及び判定部25もそのコンピュータで構成することが可能である。
【0048】
検出装置200は、表面変化検出体100の入反射部3に高周波信号を送信する。周波数掃引部20は、所定の範囲の周波数を掃引する。高周波生成部21は、周波数掃引部20が掃引する周波数の高周波信号を生成する(ステップS1)。
【0049】
送信部22は、高周波生成部21で生成された高周波信号を表面変化検出体100の入反射部3に送信する(ステップS2)。送信された高周波信号は、表面変化検出体100に対して上記の作用をし、反射波として検出装置200で受信される。
【0050】
受信部23で受信された反射波は、周波数分析部24によって周波数ごとの反射波の強度の大きさが分析される(ステップS3)。周波数ごとの反射波の信号強度の大きさは、受信した時間領域の反射波を、例えば高速フーリエ(FFT)変換することで求めることができる。
【0051】
判定部25は、周波数分析部24によって得られたピーク値と過去に得られたピーク値とを比較し変化量を求める(ステップS4)。変化量は、単純な差分を取る方法の他に、相互相関を取る方法、或いはデータ数が10点を超えるスペクトルである場合は線形回帰、多重回帰、PLS回帰、主成分回帰等の多変量解析手法又はニューラルネット等を用いて判定しても良い。
【0052】
図6は、物体の表面に亀裂(クラック)ない場合と在る場合の反射波の信号強度の違いを表す具体例を示す図である。図6の横軸は周波数(MHz)、縦軸は反射波の信号強度(dB)である。約770MHs付近のピーク値が、亀裂が生じたことで約700MHzに変化している様子が分かる。このようにピーク値の変化によって、物体の表面の変化を検出することが可能である。
【0053】
判定部25は、変化量が閾値未満の場合は物体の表面に変化がないと判定し(ステップS6)、変化量が閾値以上の場合は物体の表面に変化があると判定する(ステップS7)。
【0054】
以上説明したように本実施形態に検出装置200が実行する表面変化検出方法は、物体の表面の変化を検出する検出装置が実行する表面変化検出方法であって、高周波信号に共振するセンサ部1と、センサ部1に高周波信号を伝達する信号伝搬部2と、外部から高周波信号を受信し、センサ部1から反射する高周波信号を外部に反射する入反射部3とを備える表面変化検出体100に、所定の範囲の周波数の高周波信号を掃引して送信する高周波掃引送信ステップS2と、表面変化検出体100から反射する高周波信号を周波数分析する周波数分析ステップS3と、周波数分析ステップS3で求めたピーク値と過去のピーク値とを比較して変化量を求め、変化量が閾値以上の場合は物体の表面に変化あると判定する判定ステップS5~S7とを行う。
【0055】
これにより、物体の表面の変化を検出することができる。
【0056】
(表面変化検出体の変形例)
図7は、表面変化検出体100(図1)を変形した変形例を示す図である。
【0057】
図7(a)は、センサ部1をスパイラル形状の共振器113とし、その共振器113と信号伝搬部112が電磁結合する表面変化検出体110の平面図である。このようにセンサ部1は平行平板共振器に限られない。また、信号伝搬部112とセンサ部は導電パターンで接続される必要もない。
【0058】
図7(b)は、入反射部3を高周波信号の受信と反射波の送信とで2個設けた表面変化検出体120の平面図である。このように構成することで反射波と入力波の分離ができ、物体の表面の変化の有無の判定を容易にすることができる。
【0059】
図7(c)は、スパイラル形状の共振器113と、入反射部3を高周波信号の受信と反射波の送信とで2個設けた表面変化検出体130の平面図である。このようにスパイラル形状の共振器113と2個の入反射部133a,133bを組み合わせても良い。
【0060】
以上述べたように、本実施形態に係る表面変化検出体及びそれを用いた表面変化検出方法によれば、周波数特性の変化に基づいて、物体の表面の変化の有無を判定することができる。また、本実施形態に係る検出装置200を無線操縦の無人機(ドローン)に搭載すれば、例えばインフラ構造物の高所に配置された表面変化検出体100の周波数特性の変化を検出することができる。よって、本発明の表面変化検出方法は、検査対象に人が近づき難い場所、又は、遠方で目視点検が困難な部分の検査に好適である。
【0061】
また、表面変化検出体100は、塗料の塗り重ね、又は複数のシートを積層することで構成でき、電子部品を含まない構成である。よって、コストを低く抑えることができる。
【0062】
また、表面変化検出体100は、外部から供給されるエネルギーで動作するため、電源が不要である。更に、検査対象の物体の表面形状に合わせて表面変化検出体100の形状を変更するのも容易であるので、様々な表面形状を有する構造物に対して容易に配置することが可能である。したがって、本発明は、コンクリート構造物の多い社会インフラ等の点検業務の自動化及び低コスト化に貢献できる。
【0063】
なお、入反射部3の形状をボウタイアンテナの例で説明したが、本発明はこの例に限定されない。入反射部3は、例えばパッチアンテナで構成しても良い。また、高周波信号は、電磁波の例で説明したが超音波で有っても構わない。超音波を用いた場合でも、本発明の技術思想はそのまま適用することが可能である。
【0064】
このように本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1,1,1,1,111,121:センサ部
2,2,2,112,112a,112b,132:信号伝搬部
3,3,3,113,123a,123b,133a,133b:入反射部
20:周波数挿引部
21:高周波生成部21
22:送信部
23:受信部
24:周波数分析部
25:判定部
26:制御部
100,110,120,130:表面変化検出体
200:検出装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7