(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】表示機能を有する処理装置
(51)【国際特許分類】
B01L 1/00 20060101AFI20221207BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20221207BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221207BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B01L1/00 A
F24F7/06 C
G09F9/00 362
C12M1/00 K
(21)【出願番号】P 2018165322
(22)【出願日】2018-09-04
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000114891
【氏名又は名称】ヤマト科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 仁
(72)【発明者】
【氏名】中田 正仁
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-070877(JP,A)
【文献】特開2017-072841(JP,A)
【文献】特開2018-083151(JP,A)
【文献】特開2010-029542(JP,A)
【文献】特開2002-014633(JP,A)
【文献】特開2007-061446(JP,A)
【文献】特開2006-162174(JP,A)
【文献】特開2016-165249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00-04
B25J 21/00-02
C12M 1/00
F24F 7/06
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、
前記本体部に設けられて前記作業空間内を観察可能に構成され、前記開口部の一部を遮蔽する透明固定板と、
前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉でき、前記作業空間内を観察可能な
透明開閉扉と、
前記透明固定板および前記透明開閉扉に設置され、情報内容を表示するための平坦な
構成、かつ前記作業空間内を観察可能とする透光性を有する表示装置
と、を備える表示機能を有する処理装置
であり、
当該表示機能を有する処理装置はヒュームフードであり、
前記透明固定板の前記表示装置と前記透明開閉扉の前記表示装置とでは異なる内容を表示可能であり、かつ、前記表示装置は、前記情報内容を別々に表示可能な複数の区分表示領域を有することを特徴とする表示機能を有する処理装置。
【請求項2】
前記表示装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル
または液晶表示パネルであることを特徴とする
請求項1に記載の表示機能を有する処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば作業空間を用いて実験等の作業を行うヒュームフード等の表示機能を有する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調剤用のクリーンベンチが記載されており、このクリーンベンチは、作業テーブルと、この作業テーブルの上側の作業空間を覆うケースを備えたクリーンベンチ本体を有している。クリーンベンチ本体は、ケースに形成された作業用開口と、この作業用開口を開閉可能な開閉体を有する。
【0003】
クリーンベンチ本体は、投影用のプロジェクタを備えている。このプロジェクタは、クリーンベンチ本体の前面側において、作業者側に突出するようにして、外付けで取り付けられている。プロジェクタは、開閉体の前面において、左側上の小さな投影範囲において投影部を形成可能である。プロジェクタが小さな投影範囲において投影部に表示させる表示情報は、調剤作業に必要な処方箋情報、処方薬情報、調剤手順情報等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにプロジェクタは、クリーンベンチ本体の前面側に突出するようにして外付けで取り付けられており、このプロジェクタは表示情報を、開閉体の前面の一部分に形成した小さな投影範囲の投影部においてしか表示できない。
【0006】
このため、作業者は、作業前や作業中あるいは作業後に、小さな投影範囲の投影部に表示された各種の情報内容を確認しにくいばかりか、多くの情報内容を一度に表示することができない。また、作業者がクリーンベンチの前に座って作業する際に、クリーンベンチ本体の前面側に突出するようにして外付けされたプロジェクタの存在が、作業の支障となるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、作業に必要な情報等の情報内容の表示を確認しやすく、多くの情報内容を一度に表示することができ、作業に支障が出ないようにすることができる表示機能を有する処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の表示機能を有する処理装置は、作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、前記本体部に設けられて前記作業空間内を観察可能に構成され、前記開口部の一部を遮蔽する透明固定板と、前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉でき、前記作業空間内を観察可能な透明開閉扉と、前記透明固定板および前記透明開閉扉に設置され、情報内容を表示するための平坦な構成、かつ前記作業空間内を観察可能とする透光性を有する表示装置と、を備える表示機能を有する処理装置であり、当該表示機能を有する処理装置はヒュームフードであり、前記透明固定板の前記表示装置と前記透明開閉扉の前記表示装置とでは異なる内容を表示可能であり、かつ、前記表示装置は、前記情報内容を別々に表示可能な複数の区分表示領域を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業に必要な情報等の情報内容の表示を確認しやすく、多くの情報内容を一度に表示することができ、作業に支障が出ないようにすることができる表示機能を有する処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の表示機能を有する処理装置の好ましい第1実施形態であるヒュームフードを示す正面図である。
【
図2】
図1に示すヒュームフードにおける内部構造例を示す縦方向の模式図である。
【
図3】ヒュームフードの電気的な構成例と示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の表示機能を有する処理装置の好ましい第1実施形態であるヒュームフード1を示す正面図である。
図2は、
図1に示すヒュームフード1における内部構造例を示す縦方向の模式図である。このヒュームフード1は、表示機能を有する処理装置の一例である。以下、表示機能を有する処理装置は、単に処理装置と略称する。
【0022】
本発明の表示機能を有する処理装置の第1実施形態のヒュームフード1は、その前面開口部4の開閉扉としての可動ガラス扉5に、情報内容を表示するための平坦な表示装置30を配置している。このため、作業者は、作業に必要な情報等の情報内容の表示を、可動ガラス扉5を利用して配置された平坦な表示装置30において確認しやすく、多くの情報内容を一度に表示することができる。
【0023】
図1と
図2に示すヒュームフード1は、研究者や実験者等の作業者が、被処理物としての例えば微生物等の試料の無菌操作作業や各種の化学実験作業等、器具類を用いて実験や処理作業を行うために用いられる。
【0024】
ヒュームフード1は、被処理物を外部に漏れないように封じ込めながら処理をするために、箱状の囲い部分である本体部2を有する。この本体部2はドラフト庫内19を有する。ドラフト庫内19の内部には、広い作業空間20が確保されている。被処理物を内部の作業空間20において処理する際に、作業者が被処理物の影響を受けないように、ドラフト庫内19は、作業空間20の雰囲気を外部から隔離する構造を有している。
【0025】
このヒュームフード1は、作業者を有害物質から保護することを目的とした局所排気装置である。作業空間20内における風量は好ましくは可変でき、作業空間20内は、標準風量領域だけでなく、好ましくは低風量領域においても、スムーズな換気を実現して、危険物質や有害物質の封じ込めることができる封じ込め性能を有している。このため、有害な雰囲気が、作業者の側に漏洩しない。
【0026】
特に、低風量型のヒュームフード1は、エネルギーコスト低減を目的として、少ないランニングコストで運転ができ、低風量型のヒュームフード1の排気風量は、一般的なヒュームフードの排気風量に比較して、例えば40~60%低減できる。ヒュームフード1内の作業空間20内に低風量ドラフトで空気を送ることで、通常の風量のドラフトを作業空間20内に送る場合に比べて、ヒュームフード1の作動時の省エネルギー化(エコ化)や、低騒音化を図ることができる。
【0027】
次に、
図1と
図2を参照して、処理装置の好ましい実施形態としてのヒュームフード1の構造例を、さらに説明する。
【0028】
図1と
図2に示すヒュームフード1の本体部2は、長方形状の前面部3を有している。この前面部3には、長方形状の前面開口部(開口部の一例)4が設けられている。
【0029】
この前面開口部4には、開閉扉としての例えば長方形状の可動ガラス扉5と、例えば長方形状の固定ガラス部6が、設けられている。この可動ガラス扉5と固定ガラス部6は、前面開口部4内が見えるように透明板もしくは透光板であり、好ましくは強化ガラスを用いている。固定ガラス部6の面積は、可動ガラス扉5の面積に比べて小さく、固定ガラス部6は、本体部2に対してはめ込んで固定されていることで、前面開口部4の上部領域を閉じている。
【0030】
図1と
図2に示すように、可動ガラス扉5が最も下げられていて、前面開口部4のかなりの部分が閉鎖されている状態でも、可動ガラス扉5の上縁部分7は、固定ガラス部6の下縁部分8と重なっていることで、可動ガラス扉5と固定ガラス部6との間の接合部分の隙間を無くしている。可動ガラス扉5が最も下げられている状態では、前面開口部4における空気通路17の開口面積は最も小さくなる。
【0031】
図1と
図2に示すように、本体部2は、前面部3と、左右の側面12,13と、背面部14と、天井面15を有している。
図1に示すように、可動ガラス扉5の左右の縁部分5A,5Bは、本体部2の前面部3のガラス案内部11A,11Bにおいて、Z方向(上下方向)に沿って、移動可能にはめ込まれている。可動ガラス扉5の下縁部分には、作業者が手で持って可動ガラス扉5を上げ下げするための把持部5Cが、設けられている。
【0032】
図2に示すように、可動ガラス扉5の上縁部分7には、吊線材9の一端部が固定されている。この吊線材9は、滑車9A,9Bにかかっており、吊線材9の他端部は、バランスウエイト9Cに固定されている。これにより、作業者が、この可動ガラス扉5の把持部5Cを持って、可動ガラス扉5を、バランスウエイト9Cとの釣り合いにより、スムーズにしかも容易にZ方向に上下移動させることができる。従って、作業者は、作業内容に応じて、可動ガラス扉5を、手動で上げることで、
図1に示す前面開口部4の空気通路17の開口面積を任意に大きく拡げることができる。
【0033】
図1に示すように、本体部2は、例えば浄化装置16に接続されている。この浄化装置16は、例えば排気用のファンと、空気から微粒子を除去する例えばHEPAフィルタ(高性能フィルタ)等を備え、作業空間20内の空気を清浄化して排気し続けるようになっている。
【0034】
これにより、例えば低風量の空気は、
図2に示す前面開口部4の下部に形成されている空気通路17を通じて、本体部2の内部の作業空間20に入る。そして、作業空間20内の空気は、作業空間20内にある封じ込めるべき物質を含む雰囲気とともに、作業空間20の背面側の排気孔20Hを通じて背部通路20Fに入り、背部通路20Fから浄化装置16のHEPAフィルタに通してろ過された後に、外部に排気されるようになっている。
【0035】
図1と
図2に示すように、本体部2のドラフト庫内19は、作業空間20を有している。この作業空間20は作業面21を有している。ドラフト庫内19の作業空間20は、本体部2の左右幅方向(X方向)に沿って形成され、しかも
図2に示すように、本体部2の前後幅方向(Y方向)に沿って形成され、Z方向に沿って形成されているほぼ直方体形状の閉鎖空間である。
図2に示すように、作業空間20の作業面21は、作業空間20の底部を形成している。
【0036】
この作業面21の高さ位置は、作業者が作業用の椅子に座った状態で、前面開口部4の空気通路17を通じて、手を入れて、作業空間20内で所定の作業ができるように設定されている。また、本体部2の下部には、空間部SPが設けられている。この空間部SPには、作業用の椅子に座った作業者の膝を入れることができる。本体部2には、電源コンセント102等が設けられている。
【0037】
次に、
図1から
図3を参照して、情報内容を表示するための表示装置30について、説明する。
図3は、ヒュームフード1の電気的な構成例と示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、ヒュームフード1は、制御部100を備えている。制御部100は、
図1に示す浄化装置16のファンモータ16Fに電気的に接続されており、このファンモータ16Fを駆動制御する。制御部100は、電源スイッチ101や電源コンセント102に電気的に接続されている。
【0039】
制御部100は、情報管理用のコンピュータ110に電気的に接続されている。コンピュータ110は、制御部100側に各種の情報内容を供給したり、制御部100側からの情報内容等を記憶することができる。その他、制御部100は、情報記憶媒体120を接続する情報記憶媒体接続部130や、スピーカ等の音声発生部140に電気的に接続されている。情報記憶媒体120としては、例えばUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)や、SDメモリーカード等であるが、特に限定されない。
【0040】
この情報内容の例としては、例えばヒュームフード1により行われる試験や実験手順の説明内容や、ヒュームフード1の操作手順を示す説明内容や、行ってはいけない事項を示す注意内容等であるが、特に限定されない。
【0041】
図3に示す可動ガラス扉5の前面側の全面領域には、好ましくはシート状の薄型で平坦な(フラット状の)表示装置30が配置されている。また、好ましくは、固定ガラス部6の前面側の全面領域には、好ましくはシート状の薄型で平坦な(フラット状の)表示装置31が設けられている。この表示装置30,31は、好ましくは、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルである。この表示装置30,31は、例えば可動ガラス扉5の前面側の全面領域と固定ガラス部6の前面側の全面領域に、例えば透明の接着剤や粘着剤を用いて直接貼り付けることで、それぞれ配置されている。
【0042】
この表示装置30,31は、作業者が、外から目視で作業空間20内を観察できるように、好ましくは透明性もしくは透光性を有している。この表示装置30,31としては、作業空間20が本体部2の外側から目視できるようにするために、透過型ディスプレイあるいは透明ディスプレイを採用しており、表示装置30,31の表示画面の向こう側(奥側)である作業空間20内の様子が透けて見える。
【0043】
これにより、作業者は、表示装置30と可動ガラス扉5を通して、作業空間20内を、直接目視で観察することができるとともに、表示装置31と固定ガラス部6を通して、作業空間20内を、直接目視で観察することができる。このため、表示装置30,31が可動ガラス扉5の全面領域と固定ガラス部6の全面領域にそれぞれ配置されていても、作業者が作業空間20内を観察することに支障がでないことから、ヒュームフード1における作業を効率よく行うことができる。
【0044】
なお、開閉扉である可動ガラス扉5は、サッシとも呼ぶことができ、ヒュームフード1は、可動ガラス扉5の前面側において、薄型で平坦な表示装置30,31が配置されたディスプレイ兼用サッシ型ヒュームフードとも呼ぶことができる。また、固定ガラス部6には、表示装置31を配置しない構成を採用することもできる。
【0045】
図4は、表示装置30,31の構造例を示す断面図である。
【0046】
図4に示すように、透明もしくは透光性を有する表示装置30,31の構造例を挙げれば、表示装置30,31は、2枚の対向する透明もしくは透光性を有する薄いガラス基板(もしくはプラスチック基板)32,33の間に、電極34,35と、有機層(発光層)36を配置させることで構成されている。表示装置30,31は、制御部100のドライバ100Dにより、電極34,35に電圧を加えて有機層36を発光させることで、表示装置30,31には、必要な情報内容を好ましくはカラー表示することができる。
【0047】
表示装置30,31では、電極34,35に加える電圧を変えると、すぐに反応して、瞬時に色の強弱や発光のオン・オフを変えることができ、必要な動画や静止画の情報内容を、カラー表示することができる。電極34,35に対して加える電圧は、例えば数ボルト程度と低く、消費電力のムダが少なく、省エネルギーになる。有機層36は、電圧をかけると有機層自体そのものが発光する性質があり、有機ELディスプレイ表示パネルである表示装置30,31は、液晶表示パネルに必要なバックライト等の設置が不要である。
【0048】
上述した情報内容は、例えば
図3に示すコンピュータ110の記憶部110Mに記憶されてあるか、情報記憶媒体120に記憶されている。制御部100のドライバ100Dは、これらの記憶部110Mもしくは情報記憶媒体120に記憶されている情報内容を、可動ガラス扉5の表示装置30の全面領域や、固定ガラス部6の表示装置31の全面領域において、画像や文字等を、静止画もしくは動画でカラー表示させることができる。なお、この際に、制御部100は、表示装置30,31に表示されている情報内容を説明するために、音声発生部140から情報内容の少なくとも一部を、音声で説明させることもできる。
【0049】
このようにすることで、例えばヒュームフード1の前の椅子に座った作業者は、可動ガラス扉5の表示装置30の全面領域や、固定ガラス部6の表示装置31の全面領域において、作業に必要な情報内容を、静止画もしくは動画として目視と、必要に応じて音声で確認しやすい。
【0050】
また、可動ガラス扉5と固定ガラス部6には、情報内容を表示するための例えばシート状の薄型の平坦な表示装置30,31を、例えば直接貼り付けることによりそれぞれ配置することができるので、表示装置30,31が突き出ることはなく、作業者が作業を行う際に、作業に支障が出ない。
【0051】
特に、表示装置30は、開閉扉5の前面において、好ましくは全面領域にわたって配置されているので、表示装置30は、広い表示面積を確保でき、多くの情報内容を一度に表示することができる。また、平坦な表示装置30は開閉扉5に配置されているので、従来と異なり、表示装置30が作業者側に突き出ることがなく、開閉扉5の開閉操作をスムーズに行うことができるので、表示装置30が開閉扉5に配置されていても、作業はこれまでと同様にして支障が出ないようにすることができる。
【0052】
さらに、作業者は、音声発生部140からの音声を確認することで、さらに情報内容を聴覚で確認することができる。
【0053】
このため、作業者は、作業内容等に関する情報内容を目視と聴覚で確認できるので、作業を間違いないように進めることができる。
【0054】
作業者は、例えばコンピュータ110を操作することで、例えばシート状の平坦な表示装置30,31に表示されている情報内容の表示のオン・オフ操作が可能である。情報内容の情報量が少ない場合には、可動ガラス扉5の表示装置30の全面領域だけを用いて情報内容を表示することができ、この場合には、固定ガラス部6の表示装置31の全面領域での表示は行わなくてもよい。
【0055】
なお、
図3の例では、可動ガラス扉5の全面領域には、表示装置30が設けられ、固定ガラス部6の全面領域には、表示装置31が設けられているが、可動ガラス扉5の全面領域には、表示装置30が設けられ、固定ガラス部6の全面領域には、表示装置31が設けられていなくてもよい。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、
図5を参照して説明する。
【0057】
図5は、本発明の第2実施形態を示しており、可動ガラス扉5の表示装置30は、制御部100のドライバ100Dの指令により、その全面領域で情報内容を表示するのではなく、例えば左半分の区分表示領域30Aだけで表示して、右半分の区分表示領域30Bでは表示しないようにすることができる。
【0058】
また、可動ガラス扉5の表示装置30は、制御部100のドライバ100Dの指令により、右半分の区分表示領域30Bだけで表示して、左半分の区分表示領域30Aでは表示しないようにすることができる。
【0059】
さらに、可動ガラス扉5の表示装置30は、制御部100のドライバ100Dの指令により、左半分の区分表示領域30Aと右半分の区分表示領域30Bでは、それぞれ異なる内容の情報内容を表示するようにしてもよい。
【0060】
図示してはいないが、可動ガラス扉5の表示装置30は、制御部100のドライバ100Dの指令により、表示装置30の上半分の区分表示領域だけで表示をして、下半分の区分表示領域では表示しないようにすることもできる。また、可動ガラス扉5の表示装置30は、制御部100のドライバ100Dの指令により、表示装置30の下半分の区分表示領域だけで表示をして、上半分の区分表示領域では表示しないようにすることもできる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、
図6を参照して説明する。
【0062】
図6は、本発明の第3実施形態を示しており、可動ガラス扉5の表示装置30は、その全面領域を複数の区分表示領域、例えば4つの区分表示領域30C,30D,30E,30Fに分けてある。可動ガラス扉5の表示装置30は、制御部100のドライバ100Dの指令により、それぞれで区分表示領域30C,30D,30E,30Fにおいて、異なる情報内容の表示するようにしてもよい。
【0063】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、
図7を参照して説明する。
【0064】
図7は、本発明の第5実施形態を示しており、可動ガラス扉5の前面側の全面領域には、シート状の平坦な(フラットな)表示装置230が設けられ、固定ガラス部6の前面側の全面領域には、シート状の平坦な(フラットな)表示装置231が設けられている。この表示装置230,231は、例えば透過型のカラー液晶表示パネルを用いている。
【0065】
この液晶表示パネル230,231は、好ましくは開閉扉である可動ガラス扉5の前面に配置され、作業空間内を観察可能な透光性を有している。すなわち、この表示装置230,231は、作業空間が外から目視できる透過型ディスプレイあるいは透明ディスプレイともいい、画面の向こう側である作業空間内が透けて見える。
【0066】
これにより、作業者は、表示装置230と可動ガラス扉5を通して、作業空間内を目視で観察することができるとともに、表示装置231と固定ガラス部6を通して、作業空間20内を目視で観察することができる。このため、表示装置230,231が可動ガラス扉5の全面領域と固定ガラス部6の全面領域に配置されていても、表示装置230,231において、作業者が作業空間20内を観察することに支障がでない。このため、ヒュームフード1における作業を効率よく行うことができる。
【0067】
ところで、液晶表示パネルである表示装置230,231は、自発光をしないので、照明光を与えるために、表示装置230,231には、例えばエッジ照明部240が配置されている。表示装置30,31は、制御部100のドライバ100Dにより、表示装置230,231には、必要な情報内容を表示できる。表示装置230,231は、それぞれ全面において、情報内容を表示することができる。しかし、表示装置230,231は、上述した有機エレクトロルミネッセンス表示パネルと同様に、異なる前記情報内容を表示可能な複数の区分表示領域を備えるようにしてもよい。
【0068】
以上説明したように、本発明の表示機能を有する処理装置としての一例であるヒュームフード1は、作業空間20と作業空間20に通じる開口部としての前面開口部4を有し、作業空間20で作業を行う際に前面開口部4を通じて空気を作業空間20内に送る本体部2と、本体部2に設けられて本体部2の前面開口部4を開閉でき、作業空間20内を観察可能な開閉扉としての可動ガラス扉5を有する。この可動ガラス扉5には、情報内容を表示するための平坦な表示装置30(230)が配置されている。
【0069】
これにより、可動ガラス扉5には、情報内容を表示するための平坦な表示装置30(230)を配置する。このため、作業者は、作業に必要な情報等の情報内容の表示を、可動ガラス扉5を利用して配置された平坦な表示装置30(230)において確認しやすく、多くの情報内容を一度に表示することができる。また、平坦な表示装置30(230)は開閉扉5に配置されているので、表示装置30(230)が作業者側に突き出ることがなく、開閉扉5の開閉操作をスムーズに行うことができる。このため、表示装置30(230)が開閉扉5に配置されていても、作業はこれまでと同様にして支障が出ないようにすることができる。
【0070】
表示装置30は、可動ガラス扉5の全面に配置され、作業空間20内を観察可能とする透光性を有している。これにより、情報内容は、可動ガラス扉5の全面に配置された表示装置30により表示することができるので、作業者は、作業に必要な情報等の情報内容の表示を確認しやすい。また、可動ガラス扉5の広い面積を利用して可動ガラス扉5の全面にわたって表示装置30(230)を配置するので、表示装置30(230)は多くの情報内容を表示できる。しかも、作業者は、可動ガラス扉5と表示装置30(230)を通じて、作業空間20内を観察できるので、作業空間20内での作業を、目視で確認しながら行える。
【0071】
表示装置30は、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルであることで、表示装置30に表示された情報内容は、自発光により明確にしかも容易に確認することができる。
【0072】
表示装置230は、液晶表示パネルであることで、表示装置230に表示された情報内容は、容易に確認することができる。
【0073】
表示装置30(230)は、情報内容を別々に表示可能な複数の区分表示領域30A,30B(30C,30D,30E,30F)を有する。これにより、情報内容は、作業者が希望する任意の区分表示領域に表示したり、異なる情報内容を各区分表示領域に表示することができる。このため、ヒュームフード1において、情報内容の表示に自由度を持たせることができる。
【0074】
作業者は、ヒュームフードの作業空間内の空気の乱れを極力抑えるために、作業者の移動等は避けたい。しかし、一般に使用されているヒュームフードでは、作業者が、室外や処理装置の脇に設置されているディスプレイの表示を見るために作業者が移動すると、作業者の移動に伴ってヒュームフードの付近に負圧が生じて、ヒュームフードの内部の空気が外に流出したり、あるいは外部の空気が内部に流入する。
【0075】
しかし、本発明の実施形態のヒュームフード1では、可動ガラス扉5の前面側において、薄型で平坦な表示装置30,31(230,231)が配置されているので、作業者は情報内容の確認のために移動する必要がなく、その場で表示装置30,31(230,231)に表示されている情報内容を見て確認することができる。これにより、ヒュームフード1等の低風量の処理装置における乱流の発生を未然に防ぐことができる。
【0076】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、各実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【0077】
本発明の処理装置の実施形態としては、封じ込め装置である上述した低風量型のヒュームフードの他に、通常の風量のヒュームフードであってもよく、他の種類の封じ込め装置等の各種の機器であってもよい。本発明の実施形態の処理装置は、被処理物を処理するための各種の装置を含む。
【0078】
本発明の処理装置は、上述したヒュームフードの他の種類の装置、例えばドラフトチャンバー、クリーンベンチ、安全キャビネット、そして局所排気装置等の各種の異なる構造、(例えば、風向、風量、陰圧、陽圧等の動作条件が異なる構造)の装置であっても構わない。
【0079】
ところで、可動ガラス扉5と固定ガラス部6では、有機ELディスプレイや液晶表示装置の他に、例えば情報内容を、作業空間側に配置された画像を投影するためのプロジェクタにより、情報内容を可動ガラス扉5や固定ガラス部6のそれぞれ全面において投影するようにしてもよい。あるいは、プロジェクタは、ヒュームフード1から離れており作業者の作業に支障が出ない位置に配置して、可動ガラス扉5と固定ガラス部6の前面側に情報内容を投影するようにしてもよい。また、プロジェクタは、ヒュームフード1のドラフト庫内19内に配置して、可動ガラス扉5と固定ガラス部6の内面側に情報内容を投影するようにしてもよい。
【0080】
図1と
図2に示す可動ガラス扉5は、手動でZ方向に上下移動させて、前面開口部4の開口面積を変えることができる。しかし、別の実施形態としては、図示しない駆動部のモータを駆動することで、開閉扉(開閉シャッタ)としての可動ガラス扉5は、前面開口部4をZ方向(上下方向)に自動的に開閉可能にすることもできる。
【符号の説明】
【0081】
1 ヒュームフード(表示機能を有する処理装置の一例)
2 本体部
3 前面部
4 前面開口部(開口部)
5 可動ガラス扉(開閉扉の例)
6 固定ガラス部
20 作業空間
30 表示装置
31 表示装置
230 表示装置
231 表示装置