(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】パラレルリンク機構およびリンク作動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 21/46 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
F16H21/46
(21)【出願番号】P 2018191816
(22)【出願日】2018-10-10
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 朗弘
(72)【発明者】
【氏名】福丸 浩史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大河
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 賢蔵
(72)【発明者】
【氏名】松澤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】磯部 浩
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112638(JP,A)
【文献】特開2016-147351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部材と、
3つ以上のリンク機構とを備え、
前記3つ以上のリンク機構は、前記基端部材と先端部材とを接続するように構成され、
前記3つ以上のリンク機構は、前記先端部材の前記基端部材に対する姿勢を変更可能であり、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
前記基端部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第2回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材と、
前記第2リンク部材に第3回転対偶部において回転可能に接続された第3リンク部材と、
前記第3リンク部材に第4回転対偶部において回転可能に接続された第4リンク部材とを含み、
前記第4リンク部材は、前記先端部材に第5回転対偶部において回転可能に接続されるように構成され、
前記3つ以上のリンク機構において、前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれにおける前記第5回転対偶部の第5中心軸は重なるとともに、前記球面リンク中心点と交わる、パラレルリンク機構。
【請求項2】
前記第3回転対偶部の第3中心軸および前記第4回転対偶部の第4中心軸は、互いに平行に延びるとともに、前記第2中心軸と交差する方向に延びる、請求項1に記載のパラレルリンク機構。
【請求項3】
前記第3中心軸および前記第4中心軸は、前記第2中心軸と直交する方向に延びる、請求項2に記載のパラレルリンク機構。
【請求項4】
前記第1~第5回転対偶部の少なくともいずれか1つは軸受を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構。
【請求項5】
前記基端部材を前記先端部材側から平面視したときに、前記第2回転対偶部は前記基端部材の外周より外側に位置する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構。
【請求項6】
前記基端部材には開口部が形成され、
前記基端部材を前記先端部材側から平面視したときに、前記第2回転対偶部は前記開口部の内部に位置する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のパラレルリンク機構と、
前記3つ以上のリンク機構のうち少なくとも3つのリンク機構に設置され、前記基端部材に対する前記先端部材の姿勢を任意に変更する姿勢制御用駆動源とを備える、リンク作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パラレルリンク機構およびリンク作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機器や産業機器などの各種装置に用いられるパラレルリンク機構が知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-94245号公報
【文献】米国特許第5,893,296号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパラレルリンク機構は、構成が比較的簡単であるが、各リンクの作動角が小さい。このため、トラベリングプレートの作動範囲を大きく設定すると、リンク長が長くなることにより、機構全体の寸法が大きくなって装置の大型化を招くという問題がある。
【0005】
特許文献2のパラレルリンク機構は、基端部材としての基端側のリンクハブと先端部材としての先端側のリンクハブとを、4節連鎖の3組以上のリンク機構を介して連結した構成としている。特許文献2のパラレルリンク機構では、基端部材に対し先端部材の姿勢が変更可能になっている。特許文献2のパラレルリンク機構は、コンパクトでありながら、高速、高精度で、広範な作動範囲の動作が可能である。
【0006】
しかし、特許文献2のパラレルリンク機構は、先端部材の位置により当該先端部材の移動経路の回転半径が変化するとともに、当該先端部材の回転移動における回転中心の位置を固定できない。すなわち、基端部材から見て、先端部材は固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を移動できないため、先端部材の動作をイメージしにくいという課題があった。さらに、先端部材は基端部材に対して回転2自由度で動作するため、先端部材の回転移動と独立して当該先端部材の回転半径を制御することができないという課題もあった。
【0007】
この発明の目的は、固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を先端部材が移動可能であるとともに、当該先端部材の回転半径を回転移動とは独立して制御可能なパラレルリンク機構およびリンク作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従ったパラレルリンク機構は、基端部材と、3つ以上のリンク機構とを備える。3つ以上のリンク機構は、基端部材と先端部材とを接続するように構成される。3つ以上のリンク機構は、先端部材の基端部材に対する姿勢を変更可能である。3つ以上のリンク機構のそれぞれは、第1~第4リンク部材を含む。第1リンク部材は、基端部材に第1回転対偶部において回転可能に接続される。第2リンク部材は、第1リンク部材に第2回転対偶部において回転可能に接続される。第3リンク部材は、第2リンク部材に第3回転対偶部において回転可能に接続される。第4リンク部材は、第3リンク部材に第4回転対偶部において回転可能に接続される。第4リンク部材は、さらに、先端部材に第5回転対偶部において回転可能に接続されるように構成される。3つ以上のリンク機構において、第1回転対偶部の第1中心軸と、第2回転対偶部の第2中心軸とは球面リンク中心点で交わる。3つ以上のリンク機構のそれぞれにおける第5回転対偶部の第5中心軸は重なるとともに、前記球面リンク中心点と交わる。
【0009】
本開示に従ったリンク作動装置は、上記パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備える。姿勢制御用駆動源は、3つ以上のリンク機構のうち少なくとも3つのリンク機構に設置され、基端部材に対する先端部材の姿勢を任意に変更する。
【発明の効果】
【0010】
上記によれば、固定された回転中心から一定の半径を有する球面上を先端部材が移動可能であるとともに、当該先端部材の回転半径を回転移動とは独立して制御可能なパラレルリンク機構およびリンク作動装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
【
図2】
図1に示したパラレルリンク機構の正面模式図である。
【
図3】
図2の線分III-IIIにおける断面模式図である。
【
図4】
図3の線分IV-IVにおける断面模式図である。
【
図5】
図1に示したパラレルリンク機構において先端部材の姿勢を変更した状態を示す斜視模式図である。
【
図6】実施の形態2に係るパラレルリンク機構の断面模式図である。
【
図7】
図6の線分VII-VIIにおける断面模式図である。
【
図8】実施の形態3に係るリンク作動装置の斜視模式図である。
【
図9】
図8に示したリンク作動装置の断面模式図である。
【
図10】実施の形態4に係るリンク作動装置を示す斜視模式図である。
【
図11】実施の形態5に係るリンク作動装置を示す斜視模式図である。
【
図12】実施の形態6に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
【
図13】
図12に示したパラレルリンク機構の断面模式図である。
【
図14】実施の形態7に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
<パラレルリンク機構の構成>
図1は、本発明の施の形態1に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
図2は、
図1に示したパラレルリンク機構の正面模式図である。
図3は、
図2の線分III-IIIにおける断面模式図である。
図4は、
図3の線分IV-IVにおける断面模式図である。
【0014】
図1~
図4に示したパラレルリンク機構10は、基端部材1と、先端部材8と、3つのリンク機構11とを備える。基端部材1は平面形状が円形状の板状体である。なお、基端部材1の形状は任意の形状とすることができる。たとえば基端部材1の平面形状を四角形状、三角形状などの多角形状、あるいは楕円形状、半円形状などとしてもよい。また、リンク機構11の数は3以上であればよく、たとえば4または5としてもよい。
【0015】
3つのリンク機構11は、先端部材8の基端部材1に対する姿勢を変更可能な状態で、基端部材1と先端部材8とを接続する。3つのリンク機構11のそれぞれは、第1リンク部材4a、4b、4c、第2リンク部材6a、6b、6c、第3リンク部材7a、7b、7cおよび第4リンク部材8a、8b、8cを含む。第1リンク部材4a、4b、4cは、基端部材1に第1回転対偶部において回転可能に接続される。具体的には、基端部材1の外周部に基端接続部2a、2b、2cが設置されている。基端接続部2a、2b、2cは、それぞれ基端部材1の表面に固定されたベース部21と、当該ベース部21から外周側に突出するように形成された軸部22とを含む。当該軸部22は第1リンク部材4a、4b、4cの貫通孔43に挿入されている。第1リンク部材4a、4b、4cの貫通孔43から突出した軸部22の先端部には固定部材の一例であるナット3a、3b、3cが固定されている。第1リンク部材4a、4b、4cは軸部22を中心に回転可能になっている。軸部22と当該軸部22が挿入された貫通孔43が形成された第1リンク部材4a、4b、4cの部分とにより第1回転対偶部が構成される。
【0016】
第1リンク部材4a、4b、4cは円弧状にのびる棒状の部材である。第1リンク部材4a、4b、4cの一方端部に上記貫通孔43が形成されている。
図3に示すように、基端部材1の表面に垂直な方向から見た平面視において、第1リンク部材4a、4b、4cの内周側表面は曲面状になっている。上記平面視における当該内周側表面の曲率半径は、基端部材1の外周の曲率半径より小さい。なお、上記内周側表面の曲率半径は、基端部材1の外周の曲率半径と同じでもよく、当該外周の曲率半径より大きくてもよい。また、第1リンク部材4a、4b、4cの形状は円弧状以外の形状でもよい。たとえば、第1リンク部材4a、4b、4cの形状は直線状に延びる棒状であってもよいし、屈曲部を含む棒状であってもよい。
図3に示すように、第1リンク部材4a、4b、4cは基端部材1の外周より外側に配置されている。
【0017】
第1リンク部材4a、4b、4cにおいて貫通孔43が形成された一方端部と反対側に位置する他方端部41には、軸部42が形成されている。軸部42は基端部材1の外周から外側に向けて延びるように形成されている。軸部42は第1リンク部材4a,4b,4cの基端部材1に面する内周側側面と反対側の外周側側面に形成されている。軸部42は第2リンク部材6a、6b、6cの貫通孔63に挿入されている。第2リンク部材6a、6b、6cの貫通孔63から突出した軸部42の先端部には固定部材の一例であるナット5a、5b、5cが固定されている。第2リンク部材6a、6b、6cは軸部42を中心に回転可能になっている。軸部42と当該軸部42が挿入された貫通孔63が形成されている第2リンク部材6a、6b、6cの部分とにより第2回転対偶部が構成される。つまり、第2リンク部材6a、6b、6cは、第1リンク部材4a、4b、4cに第2回転対偶部において回転可能に接続される。
【0018】
基端接続部2a、2b、2cにおける軸部22の中心軸15a、15b、15cは第1回転対偶部の中心軸に相当する。第1リンク部材4a、4b、4cの他方端部41における軸部42の中心軸16a、16b、16cは第2回転対偶部の中心軸に相当する。
図1および
図3に示すように、上記軸部22の中心軸15a、15b、15cと軸部42の中心軸16a、16b、16cとは球面リンク中心点30において交差する。この交差は必要条件であり、球面リンク中心点30に、上記第1回転対偶部の中心軸15a、15b、15cと第2回転対偶部の中心軸16a、16b、16cが交差するならば、第1および第2回転対偶部の配置は任意に変更可能である。
【0019】
第2リンク部材6a、6b、6cは直線状に延びる棒状の部材である。第2リンク部材6a、6b、6cの一方端部に上記貫通孔63が形成されている。第2リンク部材6a、6b、6cの形状は直線状に延びる棒状以外の任意の形状としてもよい。たとえば、第2リンク部材6a、6b、6cを円弧状に延びる棒状体などとしてもよい。
図1および
図3に示すように、第1リンク部材4a、4b、4cが基端部材1の表面に沿って延びるように配置された状態で、第2リンク部材6a、6b、6cは基端部材1の外周より外側に配置される。なお、第2リンク部材6a、6b、6cは基端部材1の外周と重なる位置に配置されてもよく、基端部材1の外周より内側に配置されてもよい。
【0020】
第2リンク部材6a、6b、6cにおいて貫通孔63が形成された一方端部と反対側に位置する他方端部には、第3リンク部材7a、7b、7cの一方端部を受け入れる凹部が形成されている。第2リンク部材6a、6b、6cの他方端部には、凹部に面する位置に貫通孔が形成されている。第3リンク部材7a、7b、7cの一方端部にも貫通孔が形成されている。第2リンク部材6a、6b、6cの他方端部における貫通孔と、第3リンク部材7a、7b、7cの一方端部における貫通孔73とは直線状に並ぶように配置される。第2リンク部材6a、6b、6cの他方端部における貫通孔と、第3リンク部材7a、7b、7cの一方端部における貫通孔73とには連結部材13a、13b、13cが挿入されている。連結部材13a、13b、13cは第2リンク部材6a、6b、6cと第3リンク部材7a、7b、7cとを相対的に回転可能な状態で連結する。連結部材13a、13b、13cはたとえばボルトおよびナットである。連結部材13a、13b、13cと第2リンク部材6a、6b、6cの他方端部と第3リンク部材7a、7b、7cの一方端部とにより第3回転対偶部が構成される。つまり、第2リンク部材6a、6b、6cと第3リンク部材7a、7b、7cとは第3回転対偶部において回転可能に接続される。
【0021】
連結部材13a、13b、13cの中心軸17a、17b、17cは第3回転対偶部における中心軸に相当する。中心軸17a、17b、17cはそれぞれ中心軸16a、16b、16cと直交する方向に延びる。
【0022】
第3リンク部材7a、7b、7cは直線状に延びる棒状の部材である。第3リンク部材7a、7b、7cの一方端部に上記貫通孔73が形成されている。第3リンク部材7a、7b、7cの形状は直線状に延びる棒状以外の任意の形状としてもよい。たとえば、第3リンク部材7a、7b、7cを円弧状に延びる棒状体などとしてもよい。
【0023】
第3リンク部材7a、7b、7cにおいて貫通孔73が形成された一方端部と反対側に位置する他方端部には、貫通孔74が形成されている。第4リンク部材8a、8b、8cには、第3リンク部材7a、7b、7cの他方端部を受け入れる凹部が形成されている。第4リンク部材8a、8b、8cの上記凹部に面する壁部83には、凹部に繋がる貫通孔が形成されている。第3リンク部材7a、7b、7cの他方端部における貫通孔74と、第4リンク部材8a、8b、8cの壁部83に形成された貫通孔とは直線状に並ぶように配置される。第3リンク部材7a、7b、7cの他方端部における貫通孔74と、第4リンク部材8a、8b、8cの壁部83における貫通孔とには連結部材14a、14b、14cが挿入されている。連結部材14a、14b、14cは第3リンク部材7a、7b、7cと第4リンク部材8a、8b、8cとを相対的に回転可能な状態で連結する。連結部材14a、14b、14cはたとえばボルトおよびナットである。連結部材14a、14b、14cと第3リンク部材7a、7b、7cの他方端部と第4リンク部材8a、8b、8cの壁部83とにより第4回転対偶部が構成される。つまり、第3リンク部材7a、7b、7cと第4リンク部材8a、8b、8cとは第4回転対偶部において回転可能に接続される。
【0024】
連結部材14a、14b、14cの中心軸18a、18b、18cは第4回転対偶部における中心軸に相当する。中心軸18a、18b、18cはそれぞれ中心軸17a、17b、17cと平行な方向に延びる。
【0025】
第4リンク部材8a、8b、8cは、それぞれ壁部83に接続されたベース部81a~81cを含む。ベース部81a~81cの平面形状は円形状である。ベース部81aの中央には
図4に示すように中心軸82が設けられている。第4リンク部材8bのベース部81bはベース部81aに重なるように配置される。ベース部81bの中央には貫通孔が形成されている。第4リンク部材8cのベース部81cはベース部81b上に重なるように配置されている。ベース部81cの中央には貫通孔が形成されている。ベース部81b、81cは、それぞれの貫通孔に中心軸82が挿入された状態で、ベース部81a上に積層されている。中心軸82の先端部には固定部材としてのナット9が設置されている。第4リンク部材8a、8b、8cは、中心軸82を中心とした互いに独立に回転可能になっている。
図1~
図4に示したパラレルリンク機構10では、積層配置された第4リンク部材8a、8b、8cの中心軸82またはベース部81a~81cを先端部材8とみることができる。なお、先端部材として、別の部材を中心軸82またはベース部81a~81cのいずれかと接続してもよい。上記のような構成において、ベース部81a~81cと中心軸82とナット9とから第5回転対偶部が構成される。
図1からわかるように、3つのリンク機構11の第5回転対偶部の第5中心軸19は重なるように配置される。つまり、複数のリンク機構11の第5回転対偶部は1カ所に重なるように配置されている。なお、中心軸82としてはベース81aと別部材であるボルトなどを用いてもよい。この場合、ベース部81aの中央部に当該ボルトを挿入する貫通孔が形成される。
【0026】
第4リンク部材8a、8b、8cにおいては、第4回転対偶部の第4中心軸18a、18b、18cと、第5回転対偶部の第5中心軸19とがねじれた配置になっている。より具体的には、第4回転対偶部の第4中心軸18a、18b、18cと、第5回転対偶部の第5中心軸19とは互いに直交する方向に延びている。
【0027】
図1および
図3に示すように、第1回転対偶部の第1中心軸15a、15b、15cと、第2回転対偶部の第2中心軸16a、16b、16cとは球面リンク中心点30で交わる。また、
図4に示すように、リンク機構11のそれぞれにおける第5回転対偶部の第5中心軸19は重なるとともに、球面リンク中心点30と交わる。なお、上記の関係を満たせば各対偶部の配置は任意に設定できる。
【0028】
<パラレルリンク機構の動作>
図5は、
図1に示したパラレルリンク機構において先端部材の姿勢を変更した状態を示す斜視模式図である。
図5に示すように、第1リンク部材4a、4b、4cの第1回転対偶部における第1中心軸15a、15b、15cまわりの回転角度をそれぞれ変更することにより、先端部材8の位置を任意に変更することができる。
図5では、第1リンク部材4bの第1中心軸15bまわりの回転角度を相対的に大きくすることで、先端部材8において第4リンク部材8b側が上方に持上げられるとともに、先端部材中心31から見て第4リンク部材8bが位置する側と反対側に先端部材8全体が移動している。
【0029】
図1~
図5に示したパラレルリンク機構10では、上述のような構成とすることにより、球面リンク中心点30を中心とした球面上を先端部材8が動作する。すなわち、先端部材8の姿勢は、
図5に示すように球面リンク中心点30を原点とした3次元の極座標(r,θ,φ)で表すことができる。ここでいう折れ角θとは、先端部材中心31から垂直方向に降ろした線が、基端部材1と第1リンク部材4a、4b、4cとの接続部である第1回転対偶部の第1中心軸15a、15b、15cを含む平面と交わる点と球面リンク中心点30とを通る直線と、先端部材中心軸である第5中心軸19とが成す角度である。旋回角φとは、先端部材中心31から垂直方向に降ろした線が、第1中心軸15a、15b、15cを含む平面と交わる点と球面リンク中心点30とを通る直線と、第1のリンク機構11に第1回転対偶部の第1中心軸15aとが成す角度である。また、中心間距離rとは、球面リンク中心点30と先端部材中心31との距離である。
【0030】
<作用効果>
本開示に従ったパラレルリンク機構10は、基端部材1と、3つ以上のリンク機構11とを備える。3つ以上のリンク機構11は、基端部材1と先端部材8とを接続するように構成される。3つ以上のリンク機構11は、先端部材8の基端部材1に対する姿勢を変更可能である。3つ以上のリンク機構11のそれぞれは、第1~第4リンク部材を含む。第1リンク部材4a、4b、4cは、基端部材1に第1回転対偶部において回転可能に接続される。第2リンク部材6a、6b、6cは、第1リンク部材4a、4b、4cに第2回転対偶部において回転可能に接続される。第3リンク部材7a、7b、7cは、第2リンク部材6a、6b、6cに第3回転対偶部において回転可能に接続される。第4リンク部材8a、8b、8cは、第3リンク部材7a、7b、7cに第4回転対偶部において回転可能に接続される。第4リンク部材8a、8b、8cは、さらに、先端部材8に第5回転対偶部において回転可能に接続されるように構成される。3つ以上のリンク機構11において、第1回転対偶部の第1中心軸15a、15b、15cと、第2回転対偶部の第2中心軸16a、16b、16cとは球面リンク中心点30で交わる。3つ以上のリンク機構11のそれぞれにおける第5回転対偶部の第5中心軸19は重なるとともに、球面リンク中心点30と交わる。
【0031】
このようにすれば、3つ以上のリンク機構11のそれぞれが第1~第5回転対偶部を有する5節連鎖構造となっているので、基端部材1に対して先端部材8を、球面リンク中心点30を中心とした回転2自由度と、第5中心軸19に沿った方向の1自由度という合計3自由度で移動させることができる。このため、基端部材1に対して先端部材8を、上記球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動させることができるとともに、当該球面に沿った移動とは独立して第5中心軸19に沿った方向にも移動させることができる。この結果、先端部材8を上記球面に沿って移動させるとともに、先端部材8が沿って移動する球面の半径を調整できるので、先端部材8が一定半径の球面に沿ってしか移動できない場合よりも先端部材8の可動範囲を大きくできる。なお、ここで第4リンク部材8a、8b、8cが、先端部材8に第5回転対偶部において回転可能に接続されるように構成される、とは、第4リンク部材8a、8b、8cにおいて別部材としての先端部材を接続可能な部分が存在していることを意味し、第4リンク部材8a、8b、8cの一部が先端部材として機能する場合も含む。
【0032】
上記パラレルリンク機構10において、第3回転対偶部の第3中心軸17a、17b、17cおよび第4回転対偶部の第4中心軸18a、18b、18cは、互いに平行に延びるとともに、第2中心軸16a、16b、16cと交差する方向に延びてもよい。この場合、リンク機構11を構成する第3リンク部材7a、7b、7cにおける第3回転対偶部の第3中心軸17a、17b、17cおよび第4回転対偶部の第4中心軸18a、18b、18cが互いに平行となっているので、第3リンク部材7a、7b、7cの構成を簡略化できる。
【0033】
上記パラレルリンク機構10において、第3中心軸17a、17b、17cおよび第4中心軸18a、18b、18cは、第2中心軸16a、16b、16cと直交する方向に延びてもよい。この場合、パラレルリンク機構10の製造時に、第2リンク部材6a、6b、6cと第1リンク部材4a、4b、4cとの接続工程および第2リンク部材6a、6b、6cと第3リンク部材7a、7b、7cとの接続工程における組立作業の作業性を良好にすることができる。
【0034】
上記パラレルリンク機構10において、基端部材1を先端部材8側から平面視したときに、第2回転対偶部は基端部材1の外周より外側に位置してもよい。この場合、基端部材1の外周より第2回転対偶部が内側に位置する場合より、第2回転対偶部の可動域に対する基端部材1の影響を小さくできる。たとえば、基端部材1において先端部材8側の第1表面に沿った横方向から見たときに、第2回転対偶部の可動域を、基端部材1における第1表面と反対側の第2表面側にまで広げることができる。このとき、第1リンク部材4a、4b、4cも基端部材1の外周より外側に配置されていることが好ましい。
【0035】
(実施の形態2)
<パラレルリンク機構の構成>
図6は、実施の形態2に係るパラレルリンク機構の断面模式図である。
図7は、
図6の線分VII-VIIにおける断面模式図である。なお、
図6は
図3に対応し、
図7は
図4に対応する。
【0036】
図6および
図7に示すパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図5に示したパラレルリンク機構10と同様の構成を備えるが、第1~第5回転対偶部のそれぞれに回転抵抗低減手段としての軸受25~29が設置されている点が
図1~
図5に示したパラレルリンク機構と異なっている。なお、
図6および
図7では、すべての回転対偶部に軸受25~29を設置しているが、第1~第5回転対偶部のすくなくともいずれか1つにおいて軸受を設置するようにしてもよい。
【0037】
具体的には、
図6に示すように、第1回転対偶部では、基端接続部2a、2b、2cの軸部22と第1リンク部材4a、4b、4cとの間に軸受25が配置されている。軸受25としては、たとえば玉軸受などの任意の構成の転がり軸受を用いることができる。たとえば、第1リンク部材4a、4b、4c側に軸受25の外輪を固定してもよい。また、軸部22に接続された軸受25の内輪は、ナット3a、3b、3cとベース部21との間で挟まれた状態で固定されてもよい。
【0038】
第2回転対偶部では、第1リンク部材4a、4b、4cの軸部42と第2リンク部材6a、6b、6cとの間に軸受26が配置されている。たとえば、第2リンク部材6a、6b、6c側に軸受26の外輪を固定してもよい。また、軸部42に接続された軸受26の内輪は、ナット5a、5b、5cと第1リンク部材4a、4b、4cとの間で挟まれた状態で固定されてもよい。
【0039】
第3回転対偶部では、連結部材13a、13b、13c(
図2参照)と第3リンク部材7a、7b、7c(
図2参照)との間に
図7に示すように軸受27が配置されている。たとえば、第3リンク部材7a、7b、7c側に軸受27の外輪を固定してもよい。軸受27の外輪を第3リンク部材7a、7b、7cに固定する方法は任意の方法を用いることができる。たとえば、第3リンク部材7a、7b、7cに外輪を挿入するための穴を形成し、当該穴に外輪を圧入することで外輪を穴に固定してもよい。また、連結部材13a、13b、13cへの軸受27の内輪の固定方法は任意の方法を用いることができる。たとえば、連結部材13a、13b、13cとして、全ねじなどの棒状体と、当該棒状体の両端に配置された一組のワッシャおよび一組のナットとを用いる場合を考える。この場合、第2リンク部材6a、6b、6cの一方端部における貫通孔と、第3リンク部材7a、7b、7cの一方端部における貫通孔の内部に配置された軸受27の内輪の開口部とを通るように、棒状体が配置されている。当該棒状体の両端にワッシャおよびナットを配置する。ナットを締め付けることにより、第2リンク部材6a、6b、6cの一方端部およびワッシャを軸受27の内輪に押圧して当該内輪へ予圧を付与する。この結果、軸受27の内輪が連結部材13a、13b、13cを介して第2リンク部材6a、6b、6cに固定される。
【0040】
第4回転対偶部では、連結部材14a、14b、14c(
図2参照)と第3リンク部材7a、7b、7c(
図2参照)との間に
図7に示すように軸受28が配置されている。たとえば、第3リンク部材7a、7b、7c側に軸受28の外輪を固定してもよい。また、連結部材14a、14b、14cへの軸受28の内輪の固定方法は任意の方法を用いることができるが、第3回転対偶部における軸受27の内輪の固定方法と同様の方法を用いてもよい。
【0041】
第5回転対偶部では、中心軸82とベース部材81b、81cとの間に軸受29が配置されている。たとえば、ベース部材81b、81c側に軸受29の外輪を固定してもよい。また、中心軸82に接続された軸受26の内輪は、ナット9とベース部材81aとの間で挟まれた状態で固定されてもよい。なお、
図6および
図7では回転抵抗低減手段として軸受25~29を用いたが、回転抵抗を低減できれば軸受とは異なる部材を適用してもよい。
【0042】
<作用効果>
上記パラレルリンク機構において、第1~第5回転対偶部の少なくともいずれか1つは軸受25~29を含んでいてもよい。この場合、軸受25~29が設置された回転対偶部の動作を滑らかにすることができ、先端部材8の位置決め精度を向上させることができる。また、当該軸受25~29を設置することにより、軸受が設置された回転対偶部の摩擦トルクを低減することで当該回転対偶部での発熱を抑制でき、結果的に当該回転対偶部の寿命を延ばすことができる。さらに、軸受25~29を設置することにより、当該軸受25~29を用いない場合より回転対偶部の動作時のガタツキを抑制できる。
【0043】
(実施の形態3)
<リンク作動装置の構成>
図8は、実施の形態3に係るリンク作動装置の斜視模式図である。
図9は、
図8に示したリンク作動装置の断面模式図である。なお、
図8は
図1に対応し、
図9は
図3に対応する。
【0044】
図8および
図9に示したリンク作動装置は、
図1~
図5に示したパラレルリンク機構10と、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cとを備える。姿勢制御用駆動源35a、35b、35cは、3つのリンク機構11のすべてに設置されている。姿勢制御用駆動源35a、35b、35cは、第1リンク部材4a、4b、4cの第1中心軸15a、15b、15cまわりの回転角度を変更することにより、基端部材1に対する先端部材8の姿勢を任意に変更する。
【0045】
図8および
図9に示すように、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cは、それぞれ固定部36a、36b、36cに固定されることで基端部材1に接続されている。固定部36a、36b、36cは基端部材1の表面における外周部に設置されている。固定部36a、36b、36cの形状は任意の形状とできるが、たとえば板状である。
【0046】
姿勢制御用駆動源35a、35b、35cは電動モータなど回転駆動力を発生させることができれば任意の構成を採用できる。姿勢制御用駆動源35a、35b、35cはそれぞれ回転可能な回転軸37を含む。回転軸37が第1リンク部材4a、4b、4cの貫通孔43に挿入されナット3a、3b、3cにより固定されている。つまり回転軸37に第1リンク部材4a、4b、4cが固定されている。回転軸37の回転により第1リンク部材4a、4b、4cは第1中心軸15a、15b、15c周りに回転する。ここで、第1中心軸15a、15b、15cは、
図9に示すように回転軸37の中心軸である。
【0047】
姿勢制御用駆動源35a、35b、35cは、第1中心軸15a、15b、15cと重なる位置に配置している。また、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cは、基端部材1の先端部材8側の表面側であって、基端部材1の外周より外側に突出した状態で配置されている。
【0048】
このような構成により、先端部材8の基端部材1に対する姿勢を各リンク機構11(
図1参照)の状態によって一意に決定できる。すなわち、第1リンク部材4a、4b、4cの基端部材1に対する姿勢、あるいは第1中心軸15a、15b、15cまわりの第1リンク部材4a、4b、4cの回転角度、を制御することで、先端部材8の姿勢を制御することができる。
【0049】
なお、リンク作動装置においてリンク機構11(
図1参照)が3つ以上設置されている場合、当該3つ以上のリンク機構11のうち少なくとも3つのリンク機構に姿勢制御用駆動源35a、35b、35cを設置すればよい。
【0050】
<作用効果>
本開示に従ったリンク作動装置は、上記パラレルリンク機構10と、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cとを備える。姿勢制御用駆動源35a、35b、35cは、3つ以上のリンク機構11のうち少なくとも3つのリンク機構11に設置され、基端部材1に対する先端部材8の姿勢を任意に変更する。
【0051】
この場合、少なくとも3つの姿勢制御用駆動源35a、35b、35cがリンク機構11を個別に制御することで、先端部材8を広範囲かつ精密に動作させることができる。また、上記のようなパラレルリンク機構10を用いることで、軽量かつコンパクトなリンク作動装置を実現できる。
【0052】
(実施の形態4)
<リンク作動装置の構成>
図10は、実施の形態4に係るリンク作動装置を示す斜視模式図である。
図10に示したリンク作動装置は、基本的には
図8および
図9に示したリンク差動装置と同様の構成を備えるが、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cの配置が
図8および
図9に示したリンク作動装置と異なっている。
図10に示したリンク作動装置では、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cが基端部材1の先端部材8側の表面上であって、基端部材1の外周より内側に配置されている。姿勢制御用駆動源35a、35b、35cを固定する固定部36a、36b、36cは、第1リンク部材4a、4b、4cより内周側において基端部材1に固定されている。固定部36a、36b、36cの内周側に、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cが配置されている。
【0053】
<作用効果>
このような構成により、
図8および
図9に示したリンク作動装置と同様の効果を得ることができる。さらに、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cが基端部材1の外周より内側に配置されているので、
図8および
図9に示したリンク作動装置より装置の専有面積を小さくできる。
【0054】
(実施の形態5)
<リンク作動装置の構成>
図11は、実施の形態5に係るリンク作動装置を示す斜視模式図である。
図11に示したリンク作動装置は、基本的には
図10に示したリンク差動装置と同様の構成を備えるが、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cの配置および姿勢制御用駆動源35a、35b、35cと第1リンク部材4a、4b、4cとの接続部の構成が
図10に示したリンク作動装置と異なっている。
図11に示したリンク作動装置では、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cが基端部材1の裏面側に配置されている。つまり、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cは基端部材1において先端部材8に面する表面と反対側の裏面に接続されている。基端部材1の裏面に対する姿勢制御用駆動源35a、35b、35cの固定方法は基本的に
図10に示したリンク作動装置と同様である。姿勢制御用駆動源35aを例として説明すれば、当該姿勢制御用駆動源35aは基端部材1の裏面に固定された固定部36aに接続されている。姿勢制御用駆動源35a、35b、35cの回転軸37には歯車38が固定されている。歯車38とかみ合うように歯車39が設置されている。歯車39は基端部材1の表面側において、基端接続部2a、2b、2cの軸部22に回転可能に設置されている。そして、歯車39は第1リンク部材4a、4b、4cに固定されている。このようにすれば、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cの回転軸37が回転することで、歯車38、39を介し第1リンク部材4a、4b、4cを第1中心軸15a、15b、15c周りに回転させることができる。
【0055】
<作用効果>
このような構成により、
図8および
図9に示したリンク作動装置と同様の効果を得ることができる。さらに、姿勢制御用駆動源35a、35b、35cが基端部材1の裏面側に配置されているので、当該姿勢制御用駆動源35a、35b、35cがリンク機構11(
図1参照)の動作の妨げになることを防止できる。また、平面視において姿勢制御用駆動源35a、35b、35cが基端部材1と重なる位置に配置されているので、
図8および
図9に示したリンク作動装置より装置の専有面積を小さくできる。
【0056】
(実施の形態6)
<パラレルリンク機構の構成>
図12は、実施の形態6に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
図13は、
図12に示したパラレルリンク機構の断面模式図である。なお、
図12は
図1に対応し、
図13は
図3に対応する。
図12および
図13に示したパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図5に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、
図13に示すように基端接続部2a、2b、2cから球面リンク中心点までの距離L1~L3が互いに異なっている。具体的には、基端接続部2aから球面リンク中心点30までの距離L1が最も小さい。基端接続部2bから球面リンク中心点30までの距離L2は上記距離L1より大きい。基端接続部2cから球面リンク中心点30までの距離L3は上記距離L1より大きく、距離L2より小さい。
図13に示す平面視において、第1リンク部材4aは基端部材1の表面と重なる位置に配置されている。他の第1リンク部材4bは基端部材1の表面における外周より外側に配置されている。他の第1リンク部材4cは、平面視において外周部が基端部材1の表面の外周部とほぼ重なるように配置されている。
【0057】
<作用効果>
このように基端接続部2a、2b、2cから球面リンク中心点までの距離L1~L3が異なっていても、
図1~
図5に示したパラレルリンク機構と同様の効果を得ることができる。すなわち、第1回転対偶部の第1中心軸15a、15b、15cと、第2回転対偶部の第2中心軸16a、16b、16cとが球面リンク中心点30で交わり、かつ、3つのリンク機構11(
図1参照)のそれぞれにおける第5回転対偶部の第5中心軸19(
図2参照)が重なるとともに、球面リンク中心点30と交わるという条件を満足すれば、
図1~
図5に示したパラレルリンク機構と同様に、基端部材1に対して先端部材8を、上記球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動させることができるとともに、当該球面に沿った移動とは独立して第5中心軸19に沿った方向にも移動させることができる。
【0058】
(実施の形態7)
<パラレルリンク機構の構成>
図14は、実施の形態7に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
図14に示したパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図5に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、基端部材1の構成および基端接続部2a、2b、2cと第1リンク部材4a、4b、4cとの相対的な配置が異なっている。
図14に示すパラレルリンク機構10では、基端部材1には開口部45が形成されている。基端部材1を先端部材8側から平面視したときに、第1回転対偶部および第2回転対偶部は開口部45の内部に位置している。また、基端接続部2a、2b、2cは、基端部材1に接続されるとともに、第1リンク部材4a、4b、4cより外周側に配置されている。
【0059】
<作用効果>
上記のような構成により、上記平面視において第2回転対偶部と重なる位置に基端部材1が存在しない。このため、基端部材1において先端部材8側の第1表面に沿った横方向から見たときに、第2回転対偶部の可動域を、基端部材1における第1表面と反対側の第2表面側(裏面側)にまで広げることができる。この結果、先端部材8を球面リンク中心点30に近い位置にまで移動させることができる。
【0060】
なお、上述した各実施の形態におけるパラレルリンク機構に対して、
図8~
図11のいずれかに示した姿勢制御用駆動源35a、35b、35cを適用してリンク作動装置を構成してもよい。また、各実施の形態においてリンク機構11の数が3の場合を示しているが、リンク機構11の数は4以上の任意の数、たとえば5、6、8などであってもよい。
【0061】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 基端部材、2a,2b,2c 基端接続部、3a,3b,3c,5a,5b,5c,9 ナット、4a,4b,4c 第1リンク部材、6a,6b,6c 第2リンク部材、7a,7b,7c 第3リンク部材、8 先端部材、8a,8b,8c 第4リンク部材、10 パラレルリンク機構、11 リンク機構、13a,13b,13c,14a,14b,14c 連結部材、15a,15b,15c 第1中心軸、16a,16b,16c 第2中心軸、17a,17b,17c 第3中心軸、18a,18b,18c 第4中心軸、19 第5中心軸、21 ベース部、22,42 軸部、25,26,27,28,29 軸受、30 球面リンク中心点、31 先端部材中心、35a,35b,35c 姿勢制御用駆動源、36a,36b,36c 固定部、37 回転軸、38,39 歯車、41 他方端部、43,63,73,74 貫通孔、45 開口部、81a,81b,81c ベース部材、82 中心軸、83 壁部。