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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】リンク作動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 21/46 20060101AFI20221207BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20221207BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F16H21/46
B25J11/00 D
B25J13/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018229954
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020091022
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 朗弘
(72)【発明者】
【氏名】福丸 浩史
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 賢蔵
(72)【発明者】
【氏名】坂田 清悟
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112638(JP,A)
【文献】特開2016-147351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 21/46
B25J 13/08
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部材と、前記基端部材と先端部材とを接続するように構成された少なくとも3つのリンク機構とを備えるパラレルリンク機構を用いて、前記先端部材の位置および姿勢を制御するリンク作動装置であって、
前記少なくとも3つのリンク機構の各々は、
前記基端部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第2回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材と、
前記第2リンク部材に第3回転対偶部において回転可能に接続された第3リンク部材と、
前記第3リンク部材に第4回転対偶部において回転可能に接続された第4リンク部材とを含み、
前記少なくとも3つのリンク機構の各々において、第1回転対偶部の回転中心軸と、第2回転対偶部の回転中心軸とは、単一の球面リンク中心点で交わり、
前記少なくとも3つのリンク機構の各第4リンク部材は、互いに第5回転対偶部において回転可能に接続され、
前記第5回転対偶部の回転中心軸は、前記球面リンク中心点を通り、
前記少なくとも3つのリンク機構のうちのいずれか1つのリンク機構の第4リンク部材は、前記第5回転対偶部において前記先端部材に固定され、
前記リンク作動装置は、
前記少なくとも3つのリンク機構のうちの第1~第3のリンク機構にそれぞれ対応して設けられ、対応する第1リンク部材の第1回転対偶部における回転角を変更するように構成される第1~第3のアクチュエータと、
前記第1~第3のアクチュエータに流れる電流値または電流指令値に基づいて前記第1~第3のアクチュエータのそれぞれのトルクを推定し、推定したトルクに基づいて前記先端部材に作用する荷重を推定するように構成される制御装置とを備える、リンク作動装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記推定したトルクの変化量から前記先端部材、または前記先端部材に搭載した作業体に衝突が発生したことを検出し、前記第1~第3のアクチュエータの動作を中断させる、請求項1に記載のリンク作動装置。
【請求項3】
前記先端部材には、作業体が搭載され、
前記制御装置は、前記推定したトルクを観測しながら、前記作業体を被作業体に押し込む作業または前記被作業体から前記作業体を引き抜く作業を行なうように前記第1~第3のアクチュエータを制御する、請求項1に記載のリンク作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リンク作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機器や産業機器などの各種装置に用いられるパラレルリンク機構が知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-94245号公報
【文献】米国特許第5,893,296号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパラレルリンク機構では、機構の先端(作業体)にかかる荷重のフィードバックが必要となる作業(たとえばピンやコネクタのはめ込み作業)を行なう場合、機構の先端に作用する力を検出するための高価なセンサを取り付ける必要があった。
【0005】
また、周辺に存在する人の安全を確保するために、安全柵を設けたり、接触センサを用いて接触を防止したりする必要があり、協働ロボットのように人と同じ空間で作業できる構成を安価に実現することができない。
【0006】
この発明の目的は、先端部の荷重フィードバックが必要な作業が可能で、かつ安全性が向上したリンク作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、基端部材と、基端部材と先端部材とを接続するように構成された少なくとも3つのリンク機構とを備えるパラレルリンク機構を用いて、先端部材の位置および姿勢を制御するリンク作動装置に関する。少なくとも3つのリンク機構の各々は、基端部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第1リンク部材と、第1リンク部材に第2回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材と、第2リンク部材に第3回転対偶部において回転可能に接続された第3リンク部材と、第3リンク部材に第4回転対偶部において回転可能に接続された第4リンク部材とを含む。少なくとも3つのリンク機構の各々において、第1回転対偶部の回転中心軸と、第2回転対偶部の回転中心軸とは単一の球面リンク中心点で交わる。少なくとも3つのリンク機構の各第4リンク部材は、互いに第5回転対偶部において回転可能に接続される。第5回転対偶部の回転中心軸は球面リンク中心点を通る。少なくとも3つのリンク機構のうちのいずれか1つのリンク機構の第4リンク部材は、第5回転対偶部において先端部材に固定される。リンク作動装置は、第1~第3のアクチュエータと、制御装置とを備える。第1~第3のアクチュエータは、少なくとも3つのリンク機構のうちの第1~第3のリンク機構にそれぞれ対応して設けられ、対応する第1リンク部材の第1回転対偶部における回転角を変更するように構成される。制御装置は、第1~第3のアクチュエータに流れる電流値または電流指令値に基づいて第1~第3のアクチュエータのそれぞれのトルクを推定し、推定したトルクに基づいて先端部材に作用する荷重を推定するように構成される。
【0008】
好ましくは、制御装置は、推定した各アクチュエータのトルクの変化量から先端部材、または先端部材に搭載した作業体に衝突が発生したことを検出し、第1~第3アクチュエータの動作を中断させる。
【0009】
好ましくは、先端部材には、作業体が搭載される。制御装置は、推定した第1~第3アクチュエータのトルクを観測しながら、作業体が把持する部材を他の部材に押し込む作業または作業体が把持する部材を他の部材から引き抜く作業を行なうように第1~第3アクチュエータを制御する。
【発明の効果】
【0010】
上記によれば、先端部の荷重のフィードバックが可能となり、リンク作動装置が作業可能な内容が増えるとともに、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係るリンク作動装置の概略構成を示す図である。
図2】本実施の形態に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。
図3図2に示したパラレルリンク機構の正面模式図である。
図4図3の線分IV-IVにおける断面模式図である。
図5図4の線分V-Vにおける断面模式図である。
図6図2に示したパラレルリンク機構において先端部材の姿勢を変更した状態を示す斜視模式図である。
図7】動作中に干渉が生じた場合(衝突した場合)の各モータのトルクを示すグラフである。
図8】リンク作動装置の先端部材に干渉が生じた際のトルクの乱れを検出して、制御を行なう例を説明するための図である。
図9】制御装置に設けた、各モータに作用するトルクのデータベースの一例を示す図である。
図10】荷重推定を応用した第1の作業例を示す図である。
図11】計算によって作業体にかかる荷重を測定および推定する手法を示すフローチャートである。
図12】テーブルによって作業体にかかる荷重を測定および推定する手法を示すフローチャートである。
図13】荷重推定を応用した第2の作業例を示す図である。
図14】ピンの押し込み作業を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係るリンク作動装置の概略構成を示す図である。図1を参照して、リンク作動装置200は、作業体を装着するパラレルリンク機構10と、パラレルリンク機構10を駆動する姿勢制御用の駆動源であるアクチュエータ35a,35b,35cと、アクチュエータ35a,35b,35cを制御する制御装置100とを含む。アクチュエータ35a,35b,35cには、それぞれ、パラレルリンク機構10を構成する第1リンク部材4a,4b,4cが回転軸に取り付けられている。
【0014】
まず、パラレルリンク機構10の詳細について説明し、その後、制御装置100によるアクチュエータ35a,35b,35cに対する制御について説明する。
【0015】
<パラレルリンク機構の構成>
図2は、本実施の形態に係るパラレルリンク機構の構成を示す斜視模式図である。図3は、図2に示したパラレルリンク機構の正面模式図である。図4は、図3の線分IV-IVにおける断面模式図である。図5は、図4の線分V-Vにおける断面模式図である。
【0016】
図2図5に示したパラレルリンク機構10は、基端部材1と、先端部材8と、3つのリンク機構11とを備える。基端部材1は平面形状が円形状の板状体である。なお、基端部材1の形状は任意の形状とすることができる。たとえば基端部材1の平面形状を四角形状、三角形状などの多角形状、あるいは楕円形状、半円形状などとしてもよい。また、リンク機構11の数は3以上であればよく、たとえば4または5としてもよい。
【0017】
3つのリンク機構11は、先端部材8の基端部材1に対する姿勢を変更可能な状態で、基端部材1と先端部材8とを接続する。3つのリンク機構11は、それぞれ、第1リンク部材4a,4b,4cと、第2リンク部材6a,6b,6cと、第3リンク部材7a,7b,7cと、第4リンク部材8a,8b,8cとを含む。
【0018】
アクチュエータ35a,35b,35cは、3つのリンク機構11のそれぞれに設置されている。アクチュエータ35a,35b,35cは電動モータなど回転駆動力を発生させることができれば任意の構成を採用できる。アクチュエータ35a,35b,35cは、第1リンク部材4a,4b,4cの回転中心軸15a,15b,15cまわりの回転角度を変更することにより、基端部材1に対する先端部材8の姿勢を任意に変更する。
【0019】
第1リンク部材4a,4b,4cは、基端部材1に第1回転対偶部において回転可能に接続される。具体的には、基端部材1の表面における外周部に固定部36a,36b,36cが設置されている。
【0020】
アクチュエータ35a,35b,35cは、それぞれ固定部36a,36b,36cに固定されることで基端部材1に接続されている。固定部36a,36b,36cの形状は任意の形状とできるが、たとえば板状である。
【0021】
アクチュエータ35a,35b,35cの各々は、それぞれ軸部37a,37b,37cにトルクを発生させるように構成される。軸部37a,37b,37cは、それぞれ固定部36a,36b,36cを貫通し、第1リンク部材4a,4b,4cの一方端に設けられた貫通孔43a,43b,43cに嵌合されている。軸部37a,37b,37cの先端部は、第1リンク部材4a,4b,4cの貫通孔43a,43b,43cに挿入されナット3a,3b,3cにより抜け止めがされている。つまり軸部37に第1リンク部材4a,4b,4cが固定されている。軸部37の回転により、第1リンク部材4a,4b,4cは、回転中心軸15a,15b,15c周りに回転する。ここで、回転中心軸15a,15b,15cは、図4に示すように軸部37a,37b,37cのそれぞれの中心軸である。
【0022】
軸部37a,37b,37cと、貫通孔43a,43b,43cが形成された第1リンク部材4a,4b,4cの部分とにより「第1回転対偶部」が構成される。
【0023】
第1リンク部材4a,4b,4cは円弧状に延びる棒状の部材である。第1リンク部材4a,4b,4cの一方端部に上記貫通孔43a,43b,43cがそれぞれ形成されている。図4に示すように、基端部材1の表面に垂直な方向から見た平面視において、第1リンク部材4a,4b,4cの内周側表面は曲面状になっている。なお、第1リンク部材4a,4b,4cの形状は円弧状以外の形状でもよい。たとえば、第1リンク部材4a,4b,4cの形状は直線状に延びる棒状であってもよいし、屈曲部を含む棒状であってもよい。
【0024】
第1リンク部材4a,4b,4cにおいて貫通孔43a,43b,43cが形成された一方端部と反対側に位置する他方端部41a,41b,41cには、軸部42a,42b,42cが形成されている。軸部42a,42b,42cの各々は、基端部材1の外周から外側に向けて延びるように形成されている。軸部42a,42b,42cは、それぞれ第1リンク部材4a,4b,4cの円弧形状の内周側側面と反対側の外周側側面に形成されている。軸部42a,42b,42cは、それぞれ第2リンク部材6a,6b,6cの貫通孔63a,63b,63cに挿入されている。貫通孔63a,63b,63cから突出した軸部42a,42b,42cのそれぞれの先端部には、固定部材の一例であるナット5a,5b,5cが固定されている。第2リンク部材6a,6b,6cは、それぞれ軸部42a,42b,42cを中心に回転可能になっている。軸部42a,42b,42cと貫通孔63a,63b,63cが形成されている第2リンク部材6a,6b,6cの部分とにより「第2回転対偶部」が構成される。つまり、第2リンク部材6a,6b,6cは、第1リンク部材4a,4b,4cに第2回転対偶部において回転可能に接続される。
【0025】
軸部37a,37b,37cの回転中心軸15a,15b,15cは「第1回転対偶部」の回転中心軸に相当する。第1リンク部材4a,4b,4cの他方端部41a,41b,41cにおける軸部42a,42b,42cの回転中心軸16a,16b,16cは「第2回転対偶部」の回転中心軸に相当する。図2および図4に示すように、上記軸部37a,37b,37cの回転中心軸15a,15b,15cと軸部42a,42b,42cの回転中心軸16a,16b,16cとは球面リンク中心点30において交差する。この交差は必要条件であり、球面リンク中心点30に、上記第1回転対偶部の回転中心軸15a,15b,15cと第2回転対偶部の回転中心軸16a,16b,16cが交差するならば、第1および第2回転対偶部の配置は任意に変更可能である。
【0026】
第2リンク部材6a,6b,6cは直線状に延びる棒状の部材である。第2リンク部材6a,6b,6cの一方端部に上記貫通孔63a,63b,63cが形成されている。第2リンク部材6a,6b,6cの形状は直線状に延びる棒状以外の任意の形状としてもよい。たとえば、第2リンク部材6a,6b,6cを円弧状に延びる棒状体などとしてもよい。
【0027】
第2リンク部材6a,6b,6cにおいて貫通孔63a,63b,63cが形成された一方端部と反対側に位置する他方端部には、第3リンク部材7a,7b,7cの一方端部を受け入れる凹部がそれぞれ形成されている。第2リンク部材6a,6b,6cの各他方端部には、凹部に面する位置に貫通孔が形成されている。第3リンク部材7aの一方端部にも貫通孔73a(図5)が形成されており、第3リンク部材7b,7cの各一方端部にも同様な位置に図示しない貫通孔73b,73cが形成されている。第2リンク部材6a,6bの他方端部における貫通孔と、第3リンク部材7a,7bの一方端部における貫通孔73a,73bとは直線状に並ぶように配置され、連結部材13a,13bがそれぞれ挿入されている。同様に、第2リンク部材6cの他方端部における貫通孔と、第3リンク部材7cの一方端部における貫通孔73cとは直線状に並ぶように配置され、連結部材13cが挿入されている。
【0028】
連結部材13a,13b,13cは、第2リンク部材6a,6b,6cと第3リンク部材7a,7b,7cとを相対的に回転可能な状態でそれぞれ連結する。連結部材13a,13b,13cはたとえばボルトおよびナットである。連結部材13a,13b,13cと第2リンク部材6a,6b,6cの他方端部と第3リンク部材7a,7b,7cの一方端部とにより「第3回転対偶部」が構成される。つまり、第2リンク部材6a,6b,6cと第3リンク部材7a,7b,7cとは「第3回転対偶部」において回転可能に接続される。
【0029】
連結部材13a,13b,13cの各中心軸は、第3回転対偶部における回転中心軸17a,17b,17cに相当する。回転中心軸17a,17b,17cは、それぞれ回転中心軸16a,16b,16cと直交する方向に延びる。
【0030】
なお回転中心軸17a,17b,17cと回転中心軸16a,16b,16cとが交差するように第2リンク部材6a,6b,6cを構成する形態もある。その場合、第1リンク部材4a~4cの構造と第2リンク部材6a~6cの構造とが上記とは若干異なるものとなる。具体的には、当該形態においては、第1リンク部材4a~4cの端部(回転対偶部R2の場所)に貫通孔が形成され、第2リンク部材6a~6cの回転対偶部R2に対応する場所は軸状に形成されている。回転対偶部R2では第2リンク部材6a~6cの軸状の部分が第1リンク部材4a~4cの貫通孔に挿入される。第2リンク部材6a~6cは回転対偶部R2での軸状の部分が棒状に延び、その端部が第3リンク部材7a~7cを接続する凹部となる。つまり、たとえば球面リンク中心点30と、回転対偶部R3と、回転対偶部R4との3点により形成される三角形は、回転対偶部R2で回転する幾何学的構造となる。そのようになるように、3つの回転対偶部R2、R3,R4が配置される。
【0031】
第3リンク部材7a,7b,7cは直線状に延びる棒状の部材である。第3リンク部材7a,7b,7cの形状は直線状に延びる棒状以外の任意の形状としてもよい。たとえば、第3リンク部材7a,7b,7cを円弧状に延びる棒状体などとしてもよい。
【0032】
第3リンク部材7a,7b,7cにおいて貫通孔73aが形成された一方端部と反対側に位置する他方端部には、貫通孔74a(図5)が形成されている。第3リンク部材7b,7cにも貫通孔74aと同様な位置に図示しない貫通孔74b,74cがそれぞれ形成されている。
【0033】
第4リンク部材8a,8b,8cには、第3リンク部材7a,7b,7cの他方端部を受け入れる凹部が形成されている。第4リンク部材8a,8b,8cの上記凹部に面する壁部83a,83b,83cには、凹部に繋がる貫通孔が形成されている。第3リンク部材7a,7b,7cの他方端部における貫通孔74a,74b,74cと、第4リンク部材8a,8b,8cの壁部83a,83b,83cに形成された貫通孔とは直線状に並ぶように配置され、連結部材14a,14b,14cがそれぞれ挿入されている。
【0034】
連結部材14a,14b,14cは、第3リンク部材7a,7b,7cと第4リンク部材8a,8b,8cとを相対的に回転可能な状態で連結する。連結部材14a,14b,14cはたとえばボルトおよびナットである。連結部材14a,14b,14cと第3リンク部材7a,7b,7cの他方端部と第4リンク部材8a,8b,8cの壁部83a,83b,83cとにより「第4回転対偶部」が構成される。つまり、第3リンク部材7a,7b,7cと第4リンク部材8a,8b,8cとは第4回転対偶部において回転可能に接続される。
【0035】
連結部材14a,14b,14cの各中心軸は、第4回転対偶部における回転中心軸18a,18b,18cに相当する。回転中心軸18a,18b,18cは、それぞれ回転中心軸17a,17b,17cと平行な方向に延びる。
【0036】
第4リンク部材8a,8b,8cは、それぞれ壁部83a,83b,83cに接続されたベース部81a,81b,81cを含む。ベース部81a,81b,81cの平面形状は円形状である。ベース部81aの中央には図5に示すように中心軸82が設けられている。第4リンク部材8bのベース部81bは、ベース部81aに重なるように配置されている。ベース部81bの中央には貫通孔が形成されている。第4リンク部材8cのベース部81cは、ベース部81bに重なるように配置されている。ベース部81cの中央には貫通孔が形成されている。ベース部81b,81cは、各々の貫通孔に中心軸82が挿入された状態で、ベース部81a上に積層されている。中心軸82の先端部には固定部材としてのナット9が設置されている。第4リンク部材8a,8b,8cは、中心軸82を中心とした互いに独立に回転可能になっている。図2図5に示したパラレルリンク機構10では、積層配置された第4リンク部材8a,8b,8cの中心軸82またはベース部81a,81b,81cを先端部材8とみることができる。なお、先端部材として、別の部材を中心軸82またはベース部81a,81b,81cのいずれかと接続してもよい。
【0037】
上記のような構成において、ベース部81a,81b,81cと中心軸82とナット9とから「第5回転対偶部」が構成される。図2からわかるように、3つのリンク機構11の第5回転対偶部の回転中心軸19は重なるように配置される。つまり、複数のリンク機構11の第5回転対偶部は1カ所に重なるように配置されている。なお、中心軸82としてはベース部81aと別部材であるボルトなどを用いてもよい。この場合、ベース部81aの中央部に当該ボルトを挿入する貫通孔が形成される。
【0038】
第4リンク部材8a,8b,8cにおいては、第4回転対偶部の回転中心軸18a,18b,18cと、第5回転対偶部の回転中心軸19とがねじれた配置になっている。より具体的には、第4回転対偶部の回転中心軸18a,18b,18cと、第5回転対偶部の回転中心軸19とは互いに直交する方向に延びている。
【0039】
図2および図4に示すように、第1回転対偶部の回転中心軸15a,15b,15cと、第2回転対偶部の回転中心軸16a,16b,16cとは球面リンク中心点30で交わる。また、図5に示すように、リンク機構11の各第5回転対偶部に共通する回転中心軸19は、球面リンク中心点30と交わる。なお、上記の関係を満たせば各対偶部の配置は任意に設定できる。
【0040】
<パラレルリンク機構の動作>
図6は、図2に示したパラレルリンク機構において先端部材の姿勢を変更した状態を示す斜視模式図である。図6に示すように、第1リンク部材4a,4b,4cの第1回転対偶部における回転中心軸15a,15b,15cまわりの回転角度をそれぞれ変更することにより、先端部材8の位置を任意に変更することができる。図6では、第1リンク部材4bの回転中心軸15bまわりの回転角度を相対的に大きくすることで、先端部材8において第4リンク部材8b側が上方に持上げられるとともに、先端部材中心31から見て第4リンク部材8bが位置する側と反対側に先端部材8全体が移動している。
【0041】
図2図6に示したパラレルリンク機構10では、上述のような構成とすることにより、球面リンク中心点30を中心とした球面上を先端部材8が動作する。すなわち、先端部材8の姿勢は、図6に示すように球面リンク中心点30を原点とした3次元の極座標(θ,φ,r)で表すことができる。ここでいう折れ角θとは、図6に示すように、先端部材中心31から垂直方向に降ろした線が、基端部材1と第1リンク部材4a,4b,4cとの接続部である第1回転対偶部の回転中心軸15a,15b,15cを含む平面と交わる点と球面リンク中心点30とを通る直線と、先端部材8の中心軸である回転中心軸19とが成す角度である。また、旋回角φとは、先端部材中心31から垂直方向に降ろした線が、回転中心軸15a,15b,15cを含む平面と交わる点と球面リンク中心点30とを通る直線と、リンク機構11に第1回転対偶部の回転中心軸15aとが成す角度である。また、中心間距離rとは、球面リンク中心点30と先端部材中心31との距離である。
【0042】
本開示に従ったパラレルリンク機構10は、3つ以上のリンク機構11のそれぞれが第1~第5回転対偶部を有する5節連鎖構造となっているので、基端部材1に対して先端部材8を、球面リンク中心点30を中心とした回転2自由度と、回転中心軸19に沿った方向の1自由度という合計3自由度で移動させることができる。このため、基端部材1に対して先端部材8を、上記球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動させることができるとともに、当該球面に沿った移動とは独立して回転中心軸19に沿った方向にも移動させることができる。この結果、先端部材8を上記球面に沿って移動させるとともに、先端部材8が沿って移動する球面の半径を調整できるので、先端部材8が一定半径の球面に沿ってしか移動できない場合よりも先端部材8の可動範囲を大きくできる。なお、ここで第4リンク部材8a,8b,8cが、先端部材8に第5回転対偶部において回転可能に接続されるように構成される、とは、第4リンク部材8a,8b,8cにおいて別部材としての先端部材を接続可能な部分が存在していることを意味し、第4リンク部材8a,8b,8cの一部が先端部材として機能する場合も含む。
【0043】
<アクチュエータの駆動制御の説明>
再び、図1を参照して、アクチュエータを制御する制御装置100の概要について説明する。制御装置100は、外部指令変換部101と、個別制御部102a,102b,102cと、トルク検出部103と、荷重検出部104とを含む。
【0044】
個別制御部102aは、位置指令変換部111と、電流発生器112とを含む。図示しないが、個別制御部102b,102cも個別制御部102aと同様な構成を有している。
【0045】
第1リンク部材4a,4b,4cを回転させるためのアクチュエータ35a,35b,35cには、それぞれ電流を送る個別制御部102a,102b,102cが接続されている。ここで、個別制御部102a,102b,102cとは別にトルク検出部103および荷重検出部104を設けていることが本実施の形態の制御装置100の特徴である。
【0046】
アクチュエータ35a,35b,35cに対する姿勢変更指令は、以下の手順で行われる。第1に、外部指令装置150から動作指令(たとえば目標の(θ,φ,r))を外部指令変換部101に送る。第2に、外部指令変換部101は動作指令を各モータへの位置指令に変換し、各個別制御部102a,102b,102cの位置指令変換部111へ位置指令を送る。第3に、位置指令変換部111は位置指令をモータの電流指令に変換し、電流指令を電流発生器112へ送る。第4に、電流発生器112は電流指令に比例して電流を発生させ、対応するアクチュエータ35a,35b,35cへ送る。この際、制御装置100は、実際に流れている電流を測定してフィードバック制御を行なう。フィードバック制御するためにモータの電流指令およびモータへ送られる電流をモニタリングする必要があるため、電流発生器112は図示しない電流センサを有している。
【0047】
アクチュエータ35a,35b,35cとしてモータを使用する場合、電流とトルクには相関関係があるため、電流指令またはモータの電流から、トルクを推定することができる。たとえば、先端部材8にある方向から荷重が加わった場合、姿勢保持のために各モータで発生する電流が増減する。その時の各モータの電流値、または電流指令値からトルクの向きおよび大きさを計算し、先端部材8に加わる荷重の向きおよび大きさを推定する荷重検出部104を設けることで荷重を推定することができる。電流センサを有しているため、検出された電流値から、ソフトウェアによりトルクおよび荷重を推定できるので、トルクセンサまたは荷重センサを別に設けることなく荷重を検出することが可能となる。
【0048】
トルク検出部103および荷重検出部104における検出結果をそれぞれ外部に出力する外部出力端子151,152を設けても良い。外部出力端子151,152を設けた場合、検出結果を外部指令装置150または、他の外部の制御装置から参照することができる。
【0049】
図7は、動作中に干渉が生じた場合(衝突した場合)の各モータ(35a,35b,35c)のトルクを示すグラフである。先端部材8を駆動させる場合、各モータは図7の時刻t0~t1のようにトルクを与えることでリンク部材(4a,4b,4c)を回転させる。正常運転中のトルクM1,M2,M3は低水準で一定値を示すが、動作中、時刻t1において先端部材8に対して何らかの干渉が生じた場合、干渉によって各モータのトルクM1,M2,M3が増減する。
【0050】
図8は、リンク作動装置の先端部材に干渉が生じた際のトルクの乱れを検出して、制御を行なう例を説明するための図である。図8では、時刻t1でトルクM1,M2,M3の乱れを検出した場合に、衝突が発生したとして時刻t2において各モータのトルクM1,M2,M3を時刻t2以降ゼロにしてリンク作動装置を非常停止させるなどの措置を行なうことによって安全を確保する例を示している。
【0051】
図9は、制御装置に設けた、各モータに作用するトルクのデータベースの一例を示す図である。リンク作動装置のある姿勢において、先端部にかかる荷重の方向および大きさ(作用力)における各モータのトルク(T1,T2,T3)は計算によって算出することが可能である。しかし好ましくは、図9のように予めデータベースとして登録しておき、制御装置100は、データベースを参照することによって荷重が加わった時のトルク(T1,T2,T3)から荷重の方向および大きさを推定する。これにより、より速く荷重の推定を行なうことができる。
【0052】
図10は荷重推定を応用した第1の作業例を示す図である。図10では、パラレルリンク機構10に作業体としてハンド211が搭載されている。先端部材8にベース部材210が固定され、ベース部材210にハンド211が取り付けられている。したがって、ハンド211は、先端部材8と同様な動きができる。すなわちハンド211の(θ,φ,r)をパラレルリンク機構10によって制御することができる。なお、ハンド211の把持と解放を制御する制御ケーブルは、図5の中心軸82を中空とすることによって中心軸82の内部を貫通させることができる。第1の作業例は、このようにパラレルリンク機構10に取り付けられたハンド211を用いて、斜め方向に設置された作業台213の穴に対して、被作業体であるコネクタ212を挿入する作業である。
【0053】
この作業の制御を示すフローチャートを図11および図12に示す。図11は、計算によって作業体にかかる荷重を測定および推定する手法を示すフローチャートである。
【0054】
まず、ステップS1において、制御装置100は、3次元の極座標(θ,φ,r)で示される最初の目的の姿勢であるコネクタ挿入直前の位置になるようにパラレルリンク機構10の姿勢を変更する。本実施の形態に開示されるパラレルリンク機構10を用いれば、その後ステップS2においてrを伸長方向に動作させることによって、作業台213の穴の深さ方向に沿った方向からコネクタ212をはめ込むことが可能である。
【0055】
その際、ステップS3において、制御装置100は、動作時のモータのトルクを計測し、ステップS4における計算により先端荷重を推定する。
【0056】
ステップS5において荷重が加わってない場合(S5でNO)、荷重が加わるまでパラレルリンク機構10をr方向に伸長させ、ステップS5において荷重が加わった時点(S5でYES)でハンド211の動作を停止させる。そして、ステップS6において確認動作を行なわせる。確認動作とは、コネクタ212が作業台213のコネクタ挿入口に挿入されたか否かを、動作時の荷重(トルク)によって確認する動作のことである。たとえば、ある動作における挿入完了時の荷重(トルク)をデータベースに持っておくことで挿入を確認できる。ステップS6における確認動作の結果、コネクタの挿入が確認できた場合は(S7でYES)終了するが、確認できなかった場合(S7でNO)は、ステップS8において先端にかかった荷重の方向および大きさから再度目的位置を推定する。この一連の動作を続けることでコネクタの挿入が可能となる。
【0057】
図12は、テーブルによって作業体にかかる荷重を測定および推定する手法を示すフローチャートである。図12のフローチャートは、図11のフローチャートのステップS4の処理をステップS11およびS12に置き換えた処理を示す。ステップS1~S3,S5~S8の処理については、図11において説明した内容と同じであるので説明は繰り返さない。図12においては、ステップS11において、図9に示したようなテーブルを参照し、各トルク値と計測されたトルク値とを比較し、最も近い値を示すデータを選択することによって、先端部の荷重を推定する(ステップS12)。そしてステップS5においては推定した荷重を用いた判断が実行される。
【0058】
図13は荷重推定を応用した第2の作業例を示す図である。図13では、図10とは逆向きにパラレルリンク機構10に作業体としてハンド311が搭載されている。先端部材8にベース部材310が固定され、ベース部材310にハンド311が取り付けられている。したがって、ハンド311は、先端部材8と同様な動きができる。すなわちハンド311の(θ,φ,r)をパラレルリンク機構10によって制御することができる。図13ではピン312を作業台313のピン挿入口に押し込む作業が示されている。作業体としてのハンド311にピン312を把持させる。そして、垂直方向に設置された作業台313のピン挿入口に対して位置合わせ動作を行ないながらピンを挿入する。
【0059】
図14は、ピンの押し込み作業を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS21において、制御装置100は、3次元の極座標(θ,φ,r)で示される最初の目的の姿勢であるピン挿入直前の位置になるようにパラレルリンク機構10の姿勢を変更する。その後、制御装置100は、ステップS22において、微小にrを縮退(図13の下方向)方向に動作させ、トルク計測(ステップS23)および先端荷重計算(S24)を行ない、ステップS25において衝突に相当する荷重が先端部に加わっているか否かを判断する。制御装置100は、作業台313に衝突するまでステップS22~S25の処理を繰り返す。
【0060】
ステップS25において、衝突に相当する荷重が検出された場合、制御装置100は、ステップS26においてパラレルリンク機構10にピン312が衝突した位置で探り動作を行なわせる。探り動作とは穴の深さ方向とピンの方向が一致する角度を探索する動作である。限定されないが探り動作として、たとえば、衝突位置からある微小な折れ角θで旋回角φを1周させる動作が挙げられる。その後、ステップS27において、制御装置100は、荷重が最小となる姿勢にパラレルリンク機構10を設定し、ステップS28において規定のr値(ピン押し込み完了値)までピン312を押し込むようにパラレルリンク機構10を操作する。このように処理することによって、本実施の形態のリンク作動装置によれば、ピン挿入口に適切な方向からピン312を挿入することが可能となる。
【0061】
なお、図14におけるステップS23の計算処理を図12のステップS11,S12のようにテーブルを使用する処理に変更しても良い。
【0062】
最後に、再び図1等を参照して、本実施の形態について総括する。リンク作動装置200は、図2図6で詳細に説明したパラレルリンク機構10を用いて、先端部材8の位置および姿勢を制御する。パラレルリンク機構10は、基端部材1と、基端部材1と先端部材8とを接続するように構成された少なくとも3つのリンク機構11とを備える。
【0063】
少なくとも3つのリンク機構11の各々は、基端部材1に第1回転対偶部において回転可能に接続された第1リンク部材4a,4b,4cと、第1リンク部材4a,4b,4cに第2回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材6a,6b,6cと、第2リンク部材6a,6b,6cに第3回転対偶部において回転可能に接続された第3リンク部材7a,7b,7cと、第3リンク部材7a,7b,7cに第4回転対偶部において回転可能に接続された第4リンク部材8a,8b,8cとを含む。少なくとも3つのリンク機構11の各々において、第1回転対偶部の回転中心軸15a,15b,15cと、第2回転対偶部の回転中心軸16a,16b,16cとは単一の球面リンク中心点30で交わる。少なくとも3つのリンク機構11の各第4リンク部材8a,8b,8cは、互いに第5回転対偶部において回転可能に接続される。第5回転対偶部の回転中心軸19は球面リンク中心点30を通る。少なくとも3つのリンク機構11のうちの1つの第4リンク部材8aは、第5回転対偶部において先端部材8に固定される。リンク作動装置200は、少なくとも3つのリンク機構11のうちの第1~第3のリンク機構にそれぞれ対応して設けられ、第1リンク部材4a,4b,4cの各第1回転対偶部における回転角を変更するように構成された第1~第3のアクチュエータ35a,35b,35cと、アクチュエータ35a,35b,35cに流れる電流値または電流指令値に基づいて、アクチュエータ35a,35b,35cのそれぞれのトルクを推定し、推定したアクチュエータ35a,35b,35cのトルクに基づいて先端部材8に作用する荷重を推定する制御装置100を備える。
【0064】
リンク作動装置の姿勢制御に使用するモータ(アクチュエータ)の制御装置100は、図1に示すように、モータを駆動させるための電流の大きさからモータのトルクを検出するためのトルク検出部103を有し、さらにモータのトルクから先端部材8に作用する荷重を推定する荷重検出部104を備えるので、専用のセンサを設けることなく荷重を推定できる。このため、リンク作動装置200のコンパクト化やコスト低減に寄与する。また、リンク作動装置200は可動範囲内において、特異点がなく全方向にスムーズに動ける構成であるため、任意の姿勢で先端部材8に様々な方向から荷重が作用した場合でもモータに確実にトルクが伝達され、正確に荷重を推定することができる。
【0065】
好ましくは、制御装置100は、推定した各アクチュエータ35a,35b,35cのトルクの変化量から先端部材8、または先端部材8に搭載した作業体に衝突が発生したことを検出し、各アクチュエータ35a,35b,35cの動作を中断させる。たとえば、中断処理として、アクチュエータ35a,35b,35cのトルクをゼロにしたり、荷重を受けた方向を計算してその方向と逆方向に先端部材8を動かしたりしても良い。
【0066】
このように先端部材8、もしくは先端部材8に搭載した作業体が他の物体に衝突した際のトルクの変化量から、衝突を検知し、装置を停止するなどの措置をとる構成であると良い。この構成によりリンク作動装置200が人や物に接触した場合でも、それを検知してリンク作動装置200を停止させるなどの措置をとれるようになり、安全性が向上する。
【0067】
好ましくは、先端部材8には、作業体が搭載される。制御装置100は、推定した各アクチュエータ35a,35b,35cのトルクを観測しながら、図10図12で示した作業体が把持する部材(たとえば、コネクタ)を他の部材(たとえば、端子台)に押し込む作業または図13図14で示した作業体が把持する部材(たとえば、ピン)を他の部材(たとえば、穴が形成された部材)から引き抜く作業を行なうように各アクチュエータ35a,35b,35cを制御する。
【0068】
このように、パラレルリンク機構10の先端に作業体または被作業体を搭載し、トルクを検出しながら被作業体の押し込み/引き抜き等の作業を行なう組立装置にリンク作動装置200を適用することができる。この構成により、探索による位置決め動作等、トルクのフィードバックを用いての作業が可能な装置を実現できる。
【0069】
なお、制御装置100は、荷重推定に使用する、各モータに作用するトルクと先端に作用する荷重の関係を示すデータベース、または各モータに作用するトルクから、先端に作用する荷重を算出する計算式を備えることが好ましい。これによりトルク検出部が検出するトルク値から先端側の荷重を推定できる。
【0070】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 基端部材、3a,3b,3c,5a,5b,5c,9 ナット、4a,4b,4c 第1リンク部材、6a,6b,6c 第2リンク部材、7a,7b,7bc,7c 第3リンク部材、8 先端部材、8a,8b,8c 第4リンク部材、10 パラレルリンク機構、11 リンク機構、13a,13b,13c,14a,14b,14c 連結部材、15a,15b,15c,16a,16b,16c,17a,17b,17c,18a,18b,18c,19 回転中心軸、30 球面リンク中心点、31 先端部材中心、35a,35b,35c アクチュエータ、36a,36b,36c 固定部、37,37a,37b,37c,42a,42b,42c 軸部、41a,41b,41c 他方端部、43a,43b,43c,63a,63b,63c,73a,73b,73c,74a,74b,74c 貫通孔、81a,81b,81c ベース部、82 中心軸、83a,83b,83c 壁部、100 制御装置、101 外部指令変換部、102a,102b,102c 個別制御部、103 トルク検出部、104 荷重検出部、111 位置指令変換部、112 電流発生器、150 外部指令装置、151,152 外部出力端子、200 リンク作動装置、211,311 ハンド、212 コネクタ、213,313 作業台。
図1
図2
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図6
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図10
図11
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