(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
H01L21/304 644C
H01L21/304 648K
H01L21/304 647Z
(21)【出願番号】P 2019074012
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】石橋 知淳
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056385(JP,A)
【文献】特開2016-167514(JP,A)
【文献】特開2017-191827(JP,A)
【文献】特開2011-218308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキン層が設けられた接触面で基板を洗浄する第1洗浄部材と、
スキン層が設けられていない接触面で、前記第1洗浄部材によって洗浄された後の前記基板を洗浄する第2洗浄部材と、を備え
、
前記第1洗浄部材は、スキン層が設けられている第1部位と、スキン層が設けられていない第2部位と、で構成される側面を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記第2洗浄部材は、側面にスキン層が設けられている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2洗浄部材は、スキン層が設けられた本体部と、前記接触面とスキン層が設けられたノジュール部と、を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
気体が溶存した洗浄液を前記第2洗浄部材の内部に供給する洗浄液供給ユニットを備え、
前記第2洗浄部材の内部に供給された洗浄液は、前記第2洗浄部材の接触面から前記基板上に到達する、請求項2または3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1部位は、前記第2部位よりも前記接触面に近い位置に設けられている、請求項
1乃至4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
気体が溶存した洗浄液を前記第2洗浄部材の内部に供給する洗浄液供給ユニットを備え、
前記第2洗浄部材の内部に供給された洗浄液は、前記第2洗浄部材の表面から前記基板上に到達する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記洗浄液供給ユニットは、
前記第2洗浄部材の内部に連通する供給ラインと、
前記洗浄液に気体を溶解させる気体溶解部と、
前記供給ラインにおいて、前記気体溶解部と前記第2洗浄部材との間に設けられたフィルタと、を有する、請求項
6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記洗浄液供給ユニットは、
前記第2洗浄部材の内部に連通する供給ラインと、
前記供給ラインに接続され、バブルを含む洗浄液を生成するバブル含有洗浄液生成部と、
前記供給ラインにおいて、前記バブル含有洗浄液生成部と前記第2洗浄部材との間に設けられたフィルタと、を有する、請求項
6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板に到達する洗浄液は、バブルを含む、請求項
6乃至
8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記基板に到達する洗浄液は、直径が100nm未満のバブルを含む、請求項
9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板に到達する洗浄液は、直径が100nm以上のバブルを含まない、請求項1
0に記載の基板処理装置。
【請求項12】
第1洗浄部材におけるスキン層が設けられた接触面で基板を洗浄する第1洗浄工程と、
その後、第2洗浄部材におけるスキン層が設けられていない接触面で前記基板を洗浄する第2洗浄工程と、を備え
、
前記第1洗浄部材は、スキン層が設けられている第1部位と、スキン層が設けられていない第2部位と、で構成される側面を有する基板洗浄方法。
【請求項13】
前記第2洗浄工程では、前記第2洗浄部材の内部に直径が100nm未満のバブルを含む洗浄液を供給し、前記第2洗浄部材の表面から前記基板上に到達させつつ、前記第2洗浄部材による洗浄を行う、請求項1
2に記載の基板洗浄方法。
【請求項14】
前記第2洗浄部材を初めて用いる前に、前記第2洗浄部材の内部に直径が100nm未満のバブルを含む洗浄液を供給し、前記第2洗浄部材の表面から排出させる工程を備える、請求項1
2または1
3に記載の基板洗浄方法。
【請求項15】
ある基板の洗浄を終え、別の基板の洗浄を始める前に、前記第2洗浄部材の内部に直径が100nm未満のバブルを含む洗浄液を供給し、前記第2洗浄部材の表面から排出させる工程を備える、請求項1
2乃至1
4のいずれかに記載の基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄部材で基板を洗浄する基板処理装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板との接触面にスキン層を有する洗浄部材と、有しない洗浄部材とが開示されている。しかし、これらをどのように使い分ければ効果的に基板洗浄を行えるのか、特許文献1からは不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-56385号公報
【文献】国際公開第2016/67563号明細書
【文献】特開2017-191827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、より洗浄力が高い基板処理装置および基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、スキン層が設けられた接触面で基板を洗浄する第1洗浄部材と、スキン層が設けられていない接触面で、前記第1洗浄部材によって洗浄された後の前記基板を洗浄する第2洗浄部材と、を備える基板処理装置が提供される。
【0006】
気体が溶存した洗浄液を前記第2洗浄部材の内部に供給する洗浄液供給ユニットを備え、前記第2洗浄部材の内部に供給された洗浄液は、前記第2洗浄部材の表面から前記基板上に到達するようにしてもよい。
【0007】
前記洗浄液供給ユニットは、前記第2洗浄部材の内部に連通する供給ラインと、前記洗浄液に気体を溶解させる気体溶解部と、前記供給ラインにおいて、前記気体溶解部と前記第2洗浄部材との間に設けられたフィルタと、を有するようにしてもよい。
【0008】
前記洗浄液供給ユニットは、前記第2洗浄部材の内部に連通する供給ラインと、前記供給ラインに接続され、バブルを含む洗浄液を生成するバブル含有洗浄液生成部と、前記供給ラインにおいて、前記バブル含有洗浄液生成部と前記第2洗浄部材との間に設けられたフィルタと、を有するようにしてもよい。
【0009】
前記基板に到達する洗浄液は、バブルを含むのが望ましい。
前記基板に到達する洗浄液は、直径が100nm未満のバブルを含むのが望ましい。
前記基板に到達する洗浄液は、直径が100nm以上のバブルを含まないのが望ましい。
【0010】
本発明の別の態様によれば、第1洗浄部材におけるスキン層が設けられた接触面で基板を洗浄する第1洗浄工程と、その後、第2洗浄部材におけるスキン層が設けられていない接触面で前記基板を洗浄する第2洗浄工程と、を備える基板洗浄方法が提供される。
【0011】
前記第2洗浄工程では、前記第2洗浄部材の内部に直径が100nm未満のバブルを含む洗浄液を供給し、前記第2洗浄部材の表面から前記基板上に到達させつつ、前記第2洗浄部材による洗浄を行うのが望ましい。
【0012】
基板洗浄方法は、前記第2洗浄部材を初めて用いる前に、前記第2洗浄部材の内部に直径が100nm未満のバブルを含む洗浄液を供給し、前記第2洗浄部材の表面から排出させる工程を備えるのが望ましい。
【0013】
基板洗浄方法は、ある基板の洗浄を終え、別の基板の洗浄を始める前に、前記第2洗浄部材の内部に直径が100nm未満のバブルを含む洗浄液を供給し、前記第2洗浄部材の表面から排出させる工程を備えるのが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
基板洗浄力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置の概略上面図。
【
図5】基板処理装置における処理動作の一例を示す工程図。
【
図6B】洗浄液A~Cの純水および薬液を用いて洗浄実験を行った結果を示す図。
【
図7】洗浄部材12bの内部に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット30の概略構成を示す図。
【
図8A】ナノバブルを含む洗浄液が基板S上に到達する様子を示す図。
【
図8B】ナノバブルを含む洗浄液が基板S上に到達する様子を示す図。
【
図9】
図7の変形例である洗浄液供給ユニット30’の概略構成を示す図。
【
図10】別の基板洗浄装置4Aの概略構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、一実施形態に係る基板処理装置の概略上面図である。本基板処理装置は、直径300mmあるいは450mmの半導体ウエハ、フラットパネル、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などのイメージセンサ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)における磁性膜の製造工程において、種々の基板を処理するものである。また、基板の形状は円形に限られず、矩形形状(角形状)や、多角形形状のものであってもよい。
【0018】
基板処理装置は、略矩形状のハウジング1と、多数の基板をストックする基板カセットが載置されるロードポート2と、1または複数(
図1に示す態様では4つ)の基板研磨装置3と、複数(
図1に示す態様では2つ)の基板洗浄装置4a,4bと、基板乾燥装置5と、搬送機構6a~6dと、制御部7とを備えている。
【0019】
ロードポート2は、ハウジング1に隣接して配置されている。ロードポート2には、オープンカセット、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIFポッド、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0020】
基板を研磨する基板研磨装置3、研磨後の基板を洗浄する基板洗浄装置4a、基板洗浄装置4aで洗浄された基板をさらに洗浄する基板洗浄装置4b、洗浄後の基板を乾燥させる基板乾燥装置5が、ハウジング1内に収容されている。基板研磨装置3は、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、基板洗浄装置4a,4bおよび基板乾燥装置5も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。
【0021】
また、基板洗浄装置4a,4bおよび基板乾燥装置5は、それぞれ、図示しない略矩形状の筐体であって、シャッター機構により開閉自在とされ筐体部に設けられた開閉部から被処理対象の基板を出し入れするように構成されていてもよい。あるいは、変形実施例としては、基板洗浄装置4a,4bおよび基板乾燥装置5を一体化し、基板洗浄処理と基板乾燥処理とを連続的に1つのユニット内で行うようにしてもよい。
【0022】
ロードポート2、ロードポート2側に位置する基板研磨装置3および基板乾燥装置5に囲まれた領域には、搬送機構6aが配置されている。また、基板研磨装置3ならびに基板洗浄装置4a,4bおよび基板乾燥装置5と平行に、搬送機構6bが配置されている。搬送機構6aは、研磨前の基板をロードポート2から受け取って搬送機構6bに受け渡したり、基板乾燥装置5から取り出された乾燥後の基板を搬送機構6bから受け取ったりする。
【0023】
2つの基板洗浄装置4a,4b間に、これら基板洗浄装置4a,4b間で基板の受け渡しを行う搬送機構6cが配置される。基板洗浄装置4bと基板乾燥装置5との間に、これら基板洗浄装置4bと基板乾燥装置5間で基板の受け渡しを行う搬送機構6dが配置されている。
【0024】
さらに、ハウジング1の内部には、基板処理装置の各機器の動きを制御する制御部7が配置されている。本実施形態では、ハウジング1の内部に制御部7が配置されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、ハウジング1の外部に制御部7が配置されてもよい。例えば、この制御部7により、後述する実施形態のように、基板の保持および回転を行うスピンドル11の動作や、基板に向かって洗浄液を噴射するノズルの吐出開始および終了タイミング、あるいは、ノズルの上下動および垂直面水平面内での旋回動を制御するように構成することもできる。なお、制御部7は、所定のプログラムを格納したメモリと、メモリのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUがプログラムを実行することで実現される制御モジュールとを有してもよい。また、制御部7は、基板処理装置およびその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとの間でデータのやり取りをすることができる。ここで、メモリを構成する記憶媒体は、各種の設定データや処理プログラム等の各種のプログラムを格納している。記憶媒体としては、コンピュータで読み取り可能なROMやRAMなどのメモリや、ハードディスク、CD-ROM、DVD-ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記憶媒体などの公知のものが使用され得る。
【0025】
本実施形態では、基板処理装置が2種類の基板洗浄装置4a,4bを備えている。まずは、基板洗浄装置4aについて説明する。
【0026】
図2は、基板洗浄装置4aの概略構成を示す斜視図である。基板洗浄装置4aは、水平方向に移動自在であり、基板Sの周縁部を支持して基板Sを水平回転させる複数本(
図2では4本)のスピンドル11(基板保持回転機構)と、基板Sの上面を洗浄する洗浄部材12aと、基板Sの下面を洗浄するロール型の洗浄部材13aとを備えている。
【0027】
スピンドル11は基板Sの周縁部を支持して水平面内で回転させる。より具体的には、スピンドル11の上部に設けたコマ11aの外周側面に形成した把持溝内に基板Sの周縁部を位置させて内方に押し付け、少なくとも1つのコマ11aを回転(自転)させることにより基板Sが回転する。ここで、「コマ」は基板を把持するための「把持部」と言い換えられる。また、「スピンドル」は「ローラー」と言い換えられる。
【0028】
洗浄部材12a,13aはスポンジ状あるいは綿状態の多孔質部材である。その材質は、代表的にはPVA(Polyvinyl Alcohol)であり、テフロン材料、ポリウレタン材料、PP(Polypropylene)などであってもよい。洗浄部材12a,13aは長尺状に延びる円柱形状を有する。そして、洗浄部材12a,13aは図示しないロールホルダに回転自在に支承され、基板Sの表面および裏面に対してそれぞれ昇降自在である。洗浄部材12a,13aは、図示しない駆動機構(回転駆動手段)によって、それぞれ矢印F1,F2に示すように回転する。洗浄部材12a,13aの構造は
図3Aおよび
図3Bを用いて後述する。
【0029】
洗浄部材12a,13aの長さは、いずれも基板Sの直径より僅かに長く設定されている。洗浄部材12a,13aは、その中心軸(回転軸)O1,O2が、基板Sの中心軸(すなわち回転中心)OSとほぼ直交し(基板Sの表面と平行であり)、かつ、基板Sの直径の全長に亘って延びるように配置される。これによって、基板Sの表裏の全面が同時に洗浄される。なお、
図2では、洗浄部材12a,13aは基板Sを挟んで平行であるが、非平行であってもよい。
【0030】
2つの洗浄液供給ノズル14,15は、スピンドル11で支持して回転させる基板Sの上方に配置され、基板Sの表面に洗浄液を供給する。洗浄液供給ノズル14は基板Sの表面にリンス液(例えば、超純水)を供給し、洗浄液供給ノズル15は基板Sの表面に薬液を供給する。
【0031】
基板洗浄装置4aは以下のように動作する。スピンドル11の上部に設けたコマ11aの外周側部に形成した嵌合溝内に基板Sの周縁部を位置させて内方に押し付けてコマ11aを回転(自転)させることにより、基板Sを水平に回転させる。この例では、4個のコマ11aのうち2個のコマ11aが基板Sに回転力を与え、他の2個のコマ11aは、基板Sの回転を受けるベアリングの働きをしている。なお、全てのコマ11aを駆動機構に連結して、基板Sに回転力を付与するようにしてもよい。
【0032】
このように基板Sを水平に回転させた状態で、洗浄液供給ノズル14,15から基板Sの表面にリンス液および薬液をそれぞれを供給しつつ、洗浄部材12aを回転させながら図示しない上下駆動機構によって下降させて回転中の基板Sの表面に接触させ、洗浄部材13aを回転させながら図示しない上下駆動機構によって上昇させて回転中の基板Sの裏面に接触させる。
【0033】
これによって、洗浄液(リンス液および薬液)の存在下で、基板Sの表面および裏面を洗浄部材12a,13aでそれぞれスクラブ洗浄する。なお、洗浄部材12a,13aの各々の上下駆動機構は、洗浄部材12a,13aを基板Sの表面に垂直な方向に上下動させてもよいし、基板Sの表面に対して斜め方向に上下動させてもよいし、ある点を起点としてピボット動作させてもよいし、それらの動作を組み合わせた動作をさせてもよい。
【0034】
図3Aは、洗浄部材12aの長手方向の側面図である。洗浄部材12aは、円筒状のロール本体21aと、その外周面から外側に円柱状に突出した複数のノジュール部22aとを有する。基板洗浄装置4aが有する洗浄部材12aは、少なくともノジュール部22aの先端、言い換えると、洗浄時に基板Sと接触する面にスキン層が設けられている。その他の表面は、スキン層が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0035】
なお、
図3Aでは、黒塗りの部分がスキン層であることを示している。スポットを付した部分はスキン層が設けられてもよいし、設けられていなくてもよいことを示している。後述の
図3Bおよび
図3Cも同様である。洗浄部材13aも洗浄部材12aと同様の構造となっている。
【0036】
スキン層について補足する。PVAなどの樹脂を成型して洗浄部材12a,13aを製造する際、成型時に型と接している表層部と、その内部の下層部とが形成される。その表層部がスキン層である。スキン層は、厚さが1~10μm程度で一様に被覆された状態で面上を覆っており、部分的に数μm~数十μmの穴が開いている状態である場合もある。故に、スポンジ構造の表面と比較するとスキン層は構造的に硬い層である。一方、下層部は気孔径が10μm~数百μmと大きいスポンジ構造であり、柔らかい層である。
【0037】
発明者らは、スキン層の有無でパーティクル除去性能を比較したところ、スキン層ありの場合、比較的大きなパーティクルや粘着性の強いパーティクルに効果的であり、スキン層なしの場合、比較的小さなパーティクルの除去に効果的であることを実験により見出した。すなわち、大きなパーティクルや粘着性のパーティクルには、硬いスキン層により大きな物理力を与えることが効果的、小さいパーティクルには下層部におけるスポンジ構造の無数の細かい凹凸が繰り返しの物理力を与えることが効果的と考えられる。したがって、大きなパーティクルの下や大きなパーティクルの間にある小さいパーティクルを除去するには、まず大きなパーティクルを除去したほうが効率が良い。
【0038】
基板洗浄装置4aの洗浄部材12a,13aには、基板Sとの接触面であるノジュール部22aに硬いスキン層が設けられている。そのため、洗浄部材12a,13aは基板Sに付着した比較的大きなパーティクルや、基板Sに粘着したパーティクルを効率よく除去できる。
【0039】
なお、洗浄部材12a,13aには、基板Sとの接触面の少なくとも一部にスキン層が形成されていればよい。
図3Bおよび
図3Cにノジュール部22aの形状を例示しており、太線部分がスキン層である。
図3Bに側面図を示すように、ノジュール部22aは先端面が平坦な円柱形状であり、先端面と側面の一部(先端面側)がスキン層であってもよい。あるいは、
図3Cに側面図を示すように、ノジュール部22aは先端面に溝が形成された概略円柱形状であり、先端面、溝の表面および側面の一部(先端面側)がスキン層であってもよい。
図3Cの態様によれば、溝のエッジによって洗浄効果が向上する。
【0040】
続いて、基板洗浄装置4bについて説明する。基板洗浄装置4aと基板洗浄装置4bとを比較すると、基板洗浄装置4bが有する洗浄部材12b,13bは、基板洗浄装置4aが有する洗浄部材12a,13aと異なっており、その他は同じ構成となっている。したがって、洗浄部材12b,13bについてのみ説明する。
【0041】
図4は、洗浄部材12bの長手方向の側面図である。洗浄部材12bは、円筒状のロール本体21bと、その外周面から外側に円柱状に突出した複数のノジュール部22bとを有する。基板洗浄装置4bが有する洗浄部材12bは、少なくともノジュール部22bの先端、言い換えると、洗浄時に基板Sと接触する面にはスキン層が設けられておらず(除去されている)、下層部が露出している。その他の表面は、スキン層が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。なお、
図4では、白抜きの部分はスキン層で設けられていないことを示している。スポットを付した部分はスキン層が設けられてもよいし、設けられていなくてもよいことを示している。洗浄部材13bも洗浄部材12bと同様の構造となっている。
【0042】
基板洗浄装置4bの洗浄部材12b,13bには、基板Sとの接触面に硬いスキン層が設けられていない。そのため、洗浄部材12b,13bは、網目を構成する微小接触辺や角で基板Sを擦るによって、基板Sに付着した比較的小さなパーティクルを効率よく除去できる。
【0043】
本願発明者は以上述べたようなスキン層の有無による洗浄特性の違いを見出し、これらを次のように使い分けるようにした。
【0044】
図5は、基板処理装置における処理動作の一例を示す工程図である。まず、
図1の基板処理装置に投入された基板Sは搬送機構6a,6bによって基板研磨装置3に搬入され、研磨される(ステップS1)。研磨後の基板Sの表面には、大小様々な研磨屑(パーティクル)が付着している。また、基板研磨装置3で用いられたスラリと薬液とが混ざって凝集した大小様々なスラリコンプレックスが基板S上に粘着している。
【0045】
研磨された基板Sは
図1の搬送機構6bによって基板洗浄装置4aに搬入される。そして、基板洗浄装置4aの洗浄部材12a,13aによって基板Sが洗浄される(
図5のステップS2)。洗浄部材12a,13aの基板Sとの接触面にはスキン層が形成されているため、基板Sに付着した大きなパーティクルが主に除去される。一方で、基板Sに付着した小さなパーティクルは除去されずに残存することもある。
【0046】
続いて、基板洗浄装置4aによって洗浄された基板Sは
図1の搬送機構6cによって基板洗浄装置4bに搬入される。そして、基板洗浄装置4bの洗浄部材12b,13bによって基板Sが洗浄される(
図5のステップS3)。洗浄部材12b,13bの基板Sとの接触面にはスキン層が形成されていないため、基板洗浄装置4aで除去しきれなかった小さなパーティクルも除去される。
【0047】
なお、基板洗浄装置4bで洗浄された基板Sを、その後に基板洗浄装置4aで洗浄しないのが望ましい。
【0048】
その後、基板洗浄装置4bによって洗浄された基板Sは
図1の搬送機構6dによって基板乾燥装置5に搬入され、乾燥される(ステップS4)。その後、基板Sは基板処理装置から搬出される。
【0049】
このように、第1の実施形態では、まず基板Sとの接触面にスキン層を有する洗浄部材12a,13aで基板Sを洗浄することで、主に大きなパーティクルや基板Sに付着したパーティクルを除去する(粗洗浄)。その後、基板Sとの接触面にスキン層を有しない洗浄部材12b,12bで基板Sを洗浄することで、主に小さなパーティクルを除去する(仕上げ洗浄)。このような2段階洗浄を行うため、大きなパーティクルも小さなパーティクルも効率よく除去できる。
【0050】
なお、本実施形態では、基板処理装置が2つの基板洗浄装置4a,4bを備え、前者が基板Sとの接触面にスキン層が形成された洗浄部材12a,13aを、後者が基板Sとの接触面にスキン層が形成されていない洗浄部材12b,13bを有するものとした。しかし、1つの基板洗浄装置が、接触面にスキン層を有する洗浄部材と、基板Sとの接触面にスキン層を有しない洗浄部材とを有してもよい。この場合も、まずはスキン層を有する洗浄部材で洗浄を行い、その後にスキン層を有しない洗浄部材で洗浄を行うようにすればよい。
【0051】
(第2の実施形態)
小さなパーティクルを除去するには、小さなバブル(概ね直径が100nm以下のバブル、以下「ナノバブル」という)を含む洗浄液で洗浄を行うのが有効である。洗浄部材と除去すべきパーティクルとの間にナノバブルを介在させることで、ナノバブルがエアスラリとして機能し、洗浄力が向上するためである。また、除去したパーティクルにナノバブルが吸着することで、パーティクルが基板に再付着したり洗浄部材に付着したりすることも抑えられる。このことを以下の実験で示す。
【0052】
図6Aに実験に用いた洗浄液A~Cを示す。洗浄液Aとして、ほとんど気体が溶存していない純水および薬液を準備した。洗浄液Bとして、溶存気体(窒素)の濃度が半導体工場で供給される洗浄液と同程度の12ppm(飽和未満)の純水および薬液を準備した。洗浄液Bには、直径が50~100nmのバブルが洗浄液Aの2.2倍程度存在する。洗浄液Cとして、溶存気体(窒素)の濃度が30ppm(過飽和)の純水および薬液を準備した。洗浄液Cには、直径が50~100nmのバブルが洗浄液Aの74.5倍程度存在する。
【0053】
図6Bに洗浄液A~Cの純水および薬液を用いて洗浄実験を行った結果を示しており、縦軸は残存するパーティクルの相対的な量である。純水の場合、洗浄液A,Bを用いた場合に比べ、洗浄液Cを用いることでパーティクルの残存量は5割程度まで減る。薬液の場合、洗浄液Aを用いた場合に比べ、洗浄液Bを用いることでパーティクルの残存量は6割程度まで減り、洗浄液Cを用いることで2割程度まで減る。
【0054】
このように、ナノバブルを多く含む洗浄液を用いることで、パーティクルを効率よく除去できる。前述の第1の実施形態において、洗浄液供給ノズル14および/または洗浄液供給ノズル15からナノバブルを含む洗浄液を基板Sの表面に供給しながら、基板Sの表面を洗浄するようにしてもよい。さらに、次に説明する第2の実施形態は、洗浄部材の内部からナノバブルを含む洗浄液を供給しながら基板洗浄を行うものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1の実施形態で述べたように、基板Sとの接触面にスキン層が形成されていない洗浄部材12b,13bで小さなパーティクルを効率的に除去できる。そのため、本実施形態でも、
図5のステップS3において、洗浄部材12b,13bでの洗浄時にナノバブルを含む洗浄液を利用することを主に想定している。
【0055】
図7は、洗浄部材12bの内部に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット30の概略構成を示す図である。洗浄液供給ユニット30は、洗浄液供給源31と、気体溶解部32と、フィルタ33と、供給ライン34とを有する。
【0056】
洗浄液供給源31は供給ライン34に接続され、脱気された洗浄液を供給ライン34に供給する。洗浄液は純水でもよいし薬液でもよい。
【0057】
気体溶解部32は供給ライン34を流れる洗浄液に気体を溶解させる。具体例として、気体溶解部32はメンブレンを介して洗浄液に対して気体を加圧することで、洗浄液に気体を溶解させる。有効なナノバブルを大量に含ませるようにするためには、過飽和状態まで洗浄液に気体を含ませるようにすることが望ましい。圧力や洗浄液の流速に応じて溶解させる気体の量を調整可能である。気体は窒素ガス、炭酸ガス、水素ガスなどであってよいが、小さなバブルを生じさせるには窒素ガスが特に有効である。
【0058】
なお、気体溶解部32は洗浄液中に大きなバブルが生じないよう、気体を溶解させるのが望ましい。後述するように、基板Sに供給される洗浄液に大きなバブルが含まれていると、ナノバブルによる洗浄力向上の効果が低下することがあるためである。しかし、バブルが全く生じないようにするのは困難であるし、供給ライン34が屈曲していると、屈曲した箇所でバブルが生じることもある。そこで、フィルタ33を設けるのが望ましい。
【0059】
フィルタ33は気体溶解部32より下流側において、望ましくは洗浄部材12bのできるだけ近傍において、供給ライン34に設けられる。フィルタ33は網目構造を有しており、洗浄液に生じた大きなバブルを除去する。フィルタ33を設けることで、所定の大きさ以上のバブルを含まない洗浄液が洗浄部材12b,13bに供給される。
【0060】
供給ライン34は1または複数の配管から構成され、先端(洗浄液供給源31の反対側)に洗浄部材12bが取り付けられる。具体的には、洗浄部材12bの中心は空洞になっており、その空洞に供給ライン34が嵌められて連通している。そして、供給ライン34の先端近傍には複数の孔が形成されており、供給ライン34内の洗浄液が洗浄部材12bの内部に流出できるようになっている。より正確には、洗浄部材12bの空洞には、芯材が挿入され、芯材の内部もまた空洞になっていて、供給ライン34は芯材に接続される。芯材には内部の空洞と外表面を連通する孔が形成されている。芯材は洗浄部材12bの形状を保つ役割も持つ。
【0061】
なお、
図6では洗浄部材12bのみを描いているが、供給ライン34が分岐して洗浄部材12b,13bの両方に洗浄液を供給するようにしてもよい。あるいは、洗浄部材12b,13bのそれぞれに対して、洗浄液供給ユニット30を設けてもよい。
【0062】
以上のような洗浄液供給ユニット30において、洗浄液供給源31から洗浄液が供給されて供給ライン34には洗浄液が満たされている。特に、フィルタ33より下流側では、気体が溶存し、かつ、大きなバブルがない状態となっている。このような洗浄液が供給ライン34の先端の孔から洗浄部材12bの内部に放出される。供給ライン34には洗浄液が満たされているのに対し、洗浄部材12bの内部はスポンジなどの多孔質である。そのため、供給ライン34から流出することで洗浄液に加わる圧力が低下し、溶存していた気体が小さなバブルとなる。そのような小さなバブルを含む洗浄液が基板S上に到達する。
【0063】
図8Aおよび
図8Bは、洗浄液が洗浄部材12bから基板S上に到達する様子を模式的に示す図である。
図8Aは、ノジュール部22bの先端面のみならず、ノジュール部22bの側面やロール本体21bの表面にもスキン層が設けられていない。この場合、洗浄液は主としてノジュール部22bの先端面から洗浄液が吐出されるが、ノジュール部22bの側面やロール本体21bの表面からも洗浄液が吐出される。
【0064】
一方、
図8Bは、ノジュール部22bの先端面にはスキン層がないが、ノジュール部22bの側面やロール本体21bの表面にはスキン層が設けられている。この場合、洗浄液は、ノジュール部22bの側面やロール本体21bの表面のスキン層を比較的透過しにくく、ノジュール部22bの先端面(すなわち、基板Sとの接触面)に優先的に基板Sの表面に供給される。したがって、本実施形態においては、
図8Bに示すように、ノジュール部22bの先端面にのみスキン層がないようにするのが望ましい。
【0065】
基板Sに付着した小さなパーティクルを除去するためには、洗浄液に含まれるバブルの直径は100nm未満であるのが望ましく、それ以上の大きさのバブルが洗浄液に含まれないのが望ましい。大きなバブルがあると、小さなバブルが基板Sに接するのを阻害し、ナノバブルによる洗浄力向上の効果が低下しかねないためである。基板Sに到達する洗浄液に100nm以上のバブルが含まれないよう、気体溶解部32で溶解する気体の量を調整したり、フィルタ33の網目の大きさを適宜調整したりすればよい。
【0066】
このように、ナノバブルを含む洗浄液を基板S上に供給しつつ洗浄部材12b,13bで洗浄を行うことで、小さなパーティクルをより効果的に除去できる。さらに、洗浄液供給ユニット30からの洗浄液を設けることで、洗浄部材12b,13bのインナーリンスとして用いることもできる。
【0067】
例えば、洗浄部材12b,13bを初めて使用する際の立ち上げ時に、洗浄液供給ユニット30からの洗浄液をインナーリンスとして利用できる。洗浄部材12b,13bがPVAなどの樹脂製である場合、原材料を反応させて樹脂を生成する際に、反応が不十分で原材料が残ることがある。そのため、洗浄部材12b,13bの立ち上げ時には残った原材料を除去する必要がある。本実施形態では、洗浄液供給ユニット30からナノバブルを含む洗浄液を洗浄部材12b,13bの内部に供給することで、残った原材料を洗浄部材12b,13から効率よく短時間で除去できる。洗浄部材12b,13bの立ち上げは、新品の洗浄部材12b,13bを基板洗浄装置に取り付けて例えばダミー基板を通常の基板と同様に洗浄することにより行ってもよい(インナーリンスとして供給しながら)。あるいは、ダミー基板を用いずに、石英等の板材に新品の洗浄部材12b,13bを押し付けるようにしてもよい。あるいは、洗浄部材12b,13bを物体に押し付けることなく、洗浄液供給ユニット30からの洗浄液を洗浄部材12b,13bの内部に供給することによって、洗浄部材12b,13bを立ち上げるようにしてもよい。
【0068】
別の例として、洗浄部材12b,13bのセルフクリーニングに、洗浄液供給ユニット30からの洗浄液をインナーリンスとして利用できる。洗浄部材12b,13bで基板Sを洗浄する際に、基板Sから除去されたパーティクルが洗浄部材12b,13bの表面や内部に入り込むことがある。そのため、何枚かの基板洗浄を終え、別の基板洗浄を始める前に、入り込んだパーティクルを除去する工程(洗浄部材12b,13bのセルフクリーニング)が必要である。本実施形態では、洗浄液供給ユニット30からナノバブルを含む洗浄液を洗浄部材12b,13bの内部に供給し、表面から排出させることで、洗浄部材12b,13bの内部に入り込んだパーティクルを効率よく除去できる。特に、洗浄部材12b,13bの内部に供給した洗浄液がノジュール部22bから外部に排出されるため、基板Sと接触するノジュール部22bも洗浄できる。洗浄部材12b,13bのセルフクリーニングは、インナーリンスとして供給しながら石英等の板材に洗浄部材12b,13bを押し付けることにより行ってもよく、洗浄部材12b,13bを物体に押し付けることなく、洗浄液供給ユニット30からの洗浄液を洗浄部材12b,13bの内部に供給することによって行ってもよい。通常、汚染された洗浄部材12b,13bを板材等に押し付けてセルフクリーニングを行う場合は、板材が汚染されてしまうおそれがあるが、本方法では板材自体の洗浄も行うことができ、極めて有効である。
【0069】
図9は、
図7の変形例である洗浄液供給ユニット30’の概略構成を示す図である。
図7の洗浄液供給ユニット30と異なり、
図9の洗浄液供給ユニット30’はバブル含有洗浄液生成部35を有する。バブル含有洗浄液生成部35はバブルを含有する洗浄液を生成し、供給ライン34に供給する。このような構成でも、ナノバブルを含む洗浄液で基板Sを洗浄できる。
【0070】
このように、第2の実施形態では、気体を溶存させた洗浄液を洗浄部材12b,13bに供給し、ナノバブルを含む洗浄液を用いて基板Sの洗浄を行う。そのため、洗浄力が向上する。また、洗浄液を洗浄部材12b,13bへのインナーリンスとして用いることで、立ち上げ時の時間短縮や、洗浄部材12b,13bの洗浄も可能となる。
【0071】
なお、このような洗浄液供給ユニット30を洗浄部材12b,13bの一方にのみ設けてもよいし、洗浄部材12aおよび/または洗浄部材13aに設けてもよい。
【0072】
以上説明した洗浄手法は、種々の基板洗浄装置にも適用可能である。以下、基板洗浄装置の変形例をいくつか説明する(
図2と共通する説明は適宜省略する)。
【0073】
図10は、別の基板洗浄装置4Aの概略構成を示す斜視図である。この基板洗浄装置4Aは、スピンドル11と、洗浄機構42と、1または複数のノズル43とを備えている。
洗浄機構42は、洗浄部材61、回転軸62、揺動アーム63および揺動軸64などから構成される。
【0074】
洗浄部材61は、例えばPVA製のペンシル型洗浄具であり、その下面が洗浄面であり、上面は回転軸62の下端に固定される。
図10の基板洗浄装置4Aを
図2に示す基板洗浄装置4aの代用とする場合、洗浄部材61の基板との接触面には、スキン層が形成されている。一方、
図10の基板洗浄装置4Aを基板洗浄装置4bの代用とする場合、洗浄部材61の基板との接触面には、スキン層が形成されていない。
【0075】
回転軸62は基板Sの面に対して垂直(すなわち鉛直)に延びており、回転軸62の回転により洗浄部材61を水平面内で回転させる。
【0076】
揺動アーム63は水平方向に延びており、一端側に回転軸62の上端が接続され、他端側に揺動軸64が接続される。揺動軸64には、図示しないモータが取り付けられている。
【0077】
揺動軸64は基板Sの面に対して垂直(すなわち鉛直)に延びており、昇降可能である。揺動軸64が下降することで洗浄部材61の下面が基板Sの表面に接触し、揺動軸64が上昇することで洗浄部材61の下面が基板Sの表面から離間する。また、揺動軸64の回転により揺動アーム63を水平面内で揺動させる。
【0078】
なお、洗浄部材61を揺動軸64を中心に円弧状に移動させるのではなく、洗浄部材61を直線状に移動させてもよい。また、図示していないが、第2の実施形態で説明したように、洗浄部材61の内部に気体が溶存した洗浄液を供給してもよい。
【0079】
これまで、基板を水平姿勢で回転させながら洗浄する形態を記載したが、基板を鉛直あるいは斜めの姿勢にした形態においても本発明は適用できる。また、基板は回転させなくてもよい。
【0080】
その他、洗浄部材61として、ハードパッドやソフトパッドといったより物理力の強い接触洗浄を行うバフ洗浄にも本発明を適用可能である。
【0081】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0082】
4a,4b 基板洗浄装置
11 スピンドル
12a,12b,13a,13b 洗浄部材
14,15 洗浄液供給ノズル
21a,21b ロール本体
22a,22b ノジュール部
30 洗浄液供給ユニット
31 洗浄液供給源
32 気体溶解部
33 フィルタ
34 供給ライン
35 バブル含有洗浄液生成部