(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】冷却装置および冷却装置を用いた冷却システム
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20221207BHJP
F28F 1/12 20060101ALI20221207BHJP
F28F 13/02 20060101ALI20221207BHJP
F28F 1/42 20060101ALI20221207BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20221207BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F28D15/02 101G
F28F1/12 E
F28F13/02 D
F28F1/42 B
H01L23/46 A
H05K7/20 Q
H05K7/20 F
H05K7/20 R
(21)【出願番号】P 2020029593
(22)【出願日】2020-02-25
(62)【分割の表示】P 2018226033の分割
【原出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2018173037
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018192929
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義勝
(72)【発明者】
【氏名】青木 博史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博
(72)【発明者】
【氏名】川畑 賢也
(72)【発明者】
【氏名】虎谷 智明
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-114597(JP,A)
【文献】特開2015-044496(JP,A)
【文献】特開2015-197245(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106225531(CN,A)
【文献】特開平09-133483(JP,A)
【文献】特開2013-243249(JP,A)
【文献】特開2009-150575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
F28F 1/12
F28F 13/02
F28F 1/42
H01L 23/427
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、を備え、
前記発熱体が熱的に接続される前記コンテナの内面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させ、且つ前記凝縮管の外面の表面張力を低下させる凝縮管外面表面積増大部が形成され、前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みであり、前記板状フィン、前記ピンフィン及び/または前記窪みの表面部に、伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されて
おり、
前記凝縮管に、前記二次冷媒が貯留される二次冷媒貯留ブロックが、さらに設けられ、前記二次冷媒貯留ブロックが、前記コンテナと熱的に接続されている冷却装置。
【請求項2】
前記コンテナの外面のうち、液相の前記一次冷媒が存在する部位または液相の前記一次冷媒が存在する部位の近傍に、前記発熱体が熱的に接続される請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記コンテナ内面表面積増大部が、液相の前記一次冷媒中に浸漬されている請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記コンテナ内面表面積増大部が、熱伝導性部材を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記熱伝導性部材が、金属部材または炭素部材である請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記熱伝導性材料の焼結体が、金属焼結体であり、前記金属焼結体が、金属粉、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体及び金属箔からなる群から選択される少なくとも1種の金属材料の焼結体である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記粒子状の熱伝導性材料の集合体が、炭素粒子の集合体である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記凝縮管の内面に、前記二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項9】
複数の前記凝縮管が、並列配置されている請求項1乃至8のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項10】
複数の前記凝縮管が、積層配置されている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記凝縮管が、発熱体が熱的に接続される部位におけるコンテナ内面よりも重力方向上方に位置する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記凝縮管が、平面視において前記発熱体と重なり合う部位を有する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項13】
前記凝縮管に、前記発熱体の許容最高温度よりも低温の前記二次冷媒が流通している請求項1乃至12のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項14】
前記コンテナ内部における前記凝縮管のうち、少なくとも一部領域における長手方向に対して直交方向の形状が、前記コンテナ外部における前記凝縮管の、長手方向に対して直交方向の形状とは、異なる請求項1乃至13のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項15】
前記コンテナ外面に、さらに、放熱フィンが設けられている請求項1乃至
14のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項16】
少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、を備え、前記発熱体が熱的に接続される前記コンテナの内面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させ、且つ前記凝縮管の外面の表面張力を低下させる凝縮管外面表面積増大部が形成され、前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みであり、前記板状フィン、前記ピンフィン及び/または前記窪みの表面部に、伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されて
おり、前記凝縮管に、前記二次冷媒が貯留される二次冷媒貯留ブロックが、さらに設けられ、前記二次冷媒貯留ブロックが、前記コンテナと熱的に接続されている冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記コンテナの内部で、前記発熱体から受熱した前記一次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
【請求項17】
第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、
前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続される第2のコンテナと、前記第2のコンテナの内部と連通した内部空間を有する延出部と、前記熱輸送部材の内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記延出部が、液相の前記一次冷媒と接し、
前記発熱体が熱的に接続される前記第2のコンテナの内面に、液相の前記三次冷媒との接触面積を増大させる第2のコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させ、且つ前記凝縮管の外面の表面張力を低下させる凝縮管外面表面積増大部が形成され、前記第2のコンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みであり、前記板状フィン、前記ピンフィン及び/または前記窪みの表面部に、伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されている冷却装置。
【請求項18】
第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、
前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続される第2のコンテナと、前記第2のコンテナの内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記第2のコンテナが、液相の前記一次冷媒と接し、
前記発熱体が熱的に接続される前記第2のコンテナの内面に、液相の前記三次冷媒との接触面積を増大させる第2のコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させ、且つ前記凝縮管の外面の表面張力を低下させる凝縮管外面表面積増大部が形成され、前記第2のコンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みであり、前記板状フィン、前記ピンフィン及び/または前記窪みの表面部に、伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されている冷却装置。
【請求項19】
前記第2のコンテナが、液相の前記一次冷媒と接している請求項
17に記載の冷却装置。
【請求項20】
前記第2のコンテナの外面のうち、液相の前記三次冷媒が存在する部位または液相の前記三次冷媒が存在する部位の近傍に、前記発熱体が熱的に接続される請求項
17または
18に記載の冷却装置。
【請求項21】
前記第2のコンテナ及び/または前記延出部の外面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる熱輸送部材外面表面積増大部が形成されている請求項
17に記載の冷却装置。
【請求項22】
前記第2のコンテナの外面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる熱輸送部材外面表面積増大部が形成されている請求項
18に記載の冷却装置。
【請求項23】
前記熱輸送部材外面表面積増大部が、凹凸部を有する請求項
21または
22に記載の冷却装置。
【請求項24】
前記凹凸部が、金属線の焼結体及び/または金属粉の焼結体を有する請求項
23に記載の冷却装置。
【請求項25】
前記凹凸部が、エッチング及び/または研磨で形成された凹凸部を有する請求項
23に記載の冷却装置。
【請求項26】
前記第1のコンテナ内部における前記凝縮管のうち、少なくとも一部領域における長手方向に対して直交方向の形状が、前記第1のコンテナ外部における前記凝縮管の、長手方向に対して直交方向の形状とは、異なる請求項
17乃至
25のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項27】
前記凝縮管に、前記二次冷媒が貯留される二次冷媒貯留ブロックが、さらに設けられ、前記二次冷媒貯留ブロックが、前記第1のコンテナと熱的に接続されている請求項
17乃至
26のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項28】
前記第1のコンテナ外面に、さらに、放熱フィンが設けられている請求項
17乃至
27のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項29】
第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続される第2のコンテナと、前記第2のコンテナの内部と連通した内部空間を有する延出部と、前記熱輸送部材の内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記延出部が、液相の前記一次冷媒と接し、前記発熱体が熱的に接続される前記第2のコンテナの内面に、液相の前記三次冷媒との接触面積を増大させる第2のコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させ、且つ前記凝縮管の外面の表面張力を低下させる凝縮管外面表面積増大部が形成され、前記第2のコンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みであり、前記板状フィン、前記ピンフィン及び/または前記窪みの表面部に、伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されている冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記第2のコンテナの内部で、前記発熱体から受熱した前記三次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記三次冷媒が、前記第2のコンテナの内部から延出部の内部方向へ流通して前記一次冷媒との熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記三次冷媒から前記一次冷媒へ熱が伝達され、前記三次冷媒から熱が伝達された前記一次冷媒は、前記第1のコンテナの内部で液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
【請求項30】
第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続される第2のコンテナと、前記第2のコンテナの内部に封入された三次冷媒と、を有し、
前記第2のコンテナが、液相の前記一次冷媒と接し、前記発熱体が熱的に接続される前記第2のコンテナの内面に、液相の前記三次冷媒との接触面積を増大させる第2のコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させ、且つ前記凝縮管の外面の表面張力を低下させる凝縮管外面表面積増大部が形成され、前記第2のコンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みであり、前記板状フィン、前記ピンフィン及び/または前記窪みの表面部に、伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されている冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記第2のコンテナの内部で、前記発熱体から受熱した前記三次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記三次冷媒が、前記第2のコンテナの壁面を介した、前記一次冷媒との熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記三次冷媒から前記一次冷媒へ熱が伝達され、前記三次冷媒から熱が伝達された前記一次冷媒は、前記第1のコンテナの内部で液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品等を冷却する冷却装置に関し、特に、冷却装置を大型化させることなく、発熱量の大きい電気・電子部品等を所定の許容温度まで冷却できる冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化に伴い、電子機器内部には、電気・電子部品等の発熱体が高密度に搭載され、また、発熱体の発熱量が増大化されている。電気・電子部品等の発熱体の温度が所定の許容温度よりも上昇してしまうと、電気・電子部品等が誤作動等を起こす原因となるので、電気・電子部品等の発熱体の温度を許容温度以下に維持することが重要である。そこで、電気・電子部品等を冷却するための冷却装置が、電子機器内部に搭載されている。
【0003】
一方で、上記の通り、電気・電子部品等の発熱体は高密度に搭載されているので、冷却装置の設置可能空間には制限がある。従って、冷却装置には、大型化を避けつつ冷却特性をさらに向上させることが要求されている。
【0004】
そこで、発熱量の増大化された電気・電子部品等であっても、安定して冷却するために、複数の筒状凸部を有する多孔質体と、前記多孔質体によって隔てられた蒸気室及び液溜めタンクを兼ねる液室と、蒸気管が接続され、前記蒸気室を規定する第1部分と、一方の側に液管が接続され、前記第1部分よりも熱伝導率が低く、前記液室を規定する第2部分と、前記第1部分に設けられ、前記第2部分の側へ向けて突出し、前記多孔質体の前記複数の筒状凸部のそれぞれに嵌め込まれる複数の突起部と、を有するケースを備える蒸発器を用いたループヒートパイプが提案されている(特許文献1)。特許文献1では、複数の筒状凸部を有する多孔質体により、作動流体の液相から気相への相変化を円滑化させることで、冷却性能を向上させている。
【0005】
しかし、ループヒートパイプである特許文献1では、蒸気器内で発熱体から受熱し液相から気相へ相変化した作動流体は、蒸気器から熱交換手段である放熱フィン部へ搬出されて、放熱フィン部で熱交換されて放熱フィン部へ放熱し、気相から液相へ相変化する。放熱フィン部の熱交換機能は、放熱フィン部へ供給される冷却風によるので、放熱フィン部の熱交換機能を向上させるには、フィン面積を増大させる、すなわち、装置を大型化させることが必要となる。従って、特許文献1のようなループヒートパイプでは、大型化を避けつつ冷却特性を向上させることに改善の余地があった。
【0006】
また、特許文献1のようなループヒートパイプでは、蒸気器内の気相の作動流体は、蒸気器から搬出されて熱交換されることで液相へ相変化し、液相の作動流体が放熱フィン部から蒸気器内へ還流する。従って、特許文献1のようなループヒートパイプでは、作動流体の流通の制御が容易ではない点でも、冷却特性に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、装置の大型化を避けつつ優れた冷却特性を発揮できる冷却装置及び該冷却装置を用いた冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷却装置及び該冷却装置を用いた冷却システムの構成の要旨は、以下の通りである。
[1]少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、を備えた冷却装置。
[2]前記コンテナの外面のうち、液相の前記一次冷媒が存在する部位または液相の前記一次冷媒が存在する部位の近傍に、前記発熱体が熱的に接続される[1]に記載の冷却装置。
[3]前記発熱体が熱的に接続される前記コンテナの内面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が形成されている[1]または[2]に記載の冷却装置。
[4]前記コンテナ内面表面積増大部が、液相の前記一次冷媒中に浸漬されている[3]に記載の冷却装置。
[5]前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みである[3]または[4]に記載の冷却装置。
[6]前記コンテナ内面表面積増大部が、熱伝導性部材を有する[3]乃至[5]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[7]前記熱伝導性部材が、金属部材または炭素部材である[6]に記載の冷却装置。
[8]前記コンテナ内面表面積増大部の少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体である[3]乃至[7]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[9]前記熱伝導性材料の焼結体が、金属焼結体であり、前記金属焼結体が、金属粉、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体及び金属箔からなる群から選択される少なくとも1種の金属材料の焼結体である[8]に記載の冷却装置。
[10]前記粒子状の熱伝導性材料の集合体が、炭素粒子の集合体である[8]に記載の冷却装置。
[11]前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部が形成されている[1]乃至[10]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[12]前記凝縮管の内面に、前記二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されている[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[13]複数の前記凝縮管が、並列配置されている[1]乃至[12]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[14]複数の前記凝縮管が、積層配置されている[1]乃至[13]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[15]前記凝縮管が、発熱体が熱的に接続される部位におけるコンテナ内面よりも重力方向上方に位置する[1]乃至[14]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[16]前記凝縮管が、平面視において前記発熱体と重なり合う部位を有する[1]乃至[15]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[17]前記凝縮管に、前記発熱体の許容最高温度よりも低温の前記二次冷媒が流通している[1]乃至[16]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[18]前記コンテナ内部における前記凝縮管のうち、少なくとも一部領域における長手方向に対して直交方向の形状が、前記コンテナ外部における前記凝縮管の、長手方向に対して直交方向の形状とは、異なる[1]乃至[17]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[19]前記凝縮管に、前記二次冷媒が貯留される二次冷媒貯留ブロックが、さらに設けられ、前記二次冷媒貯留ブロックが、前記コンテナと熱的に接続されている[1]乃至[18]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[20]前記コンテナ外面に、さらに、放熱フィンが設けられている[1]乃至[19]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[21]少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、を備えた冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記コンテナの内部で、前記発熱体から受熱した前記一次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
[22]第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、
前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続される第2のコンテナと、前記第2のコンテナの内部と連通した内部空間を有する延出部と、前記熱輸送部材の内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記延出部が、液相の前記一次冷媒と接している冷却装置。
[23]第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、
前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続される第2のコンテナと、前記第2のコンテナの内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記第2のコンテナが、液相の前記一次冷媒と接している冷却装置。
[24]第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、
前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるベースブロックと、前記ベースブロックに立設されたヒートパイプ部と、前記ヒートパイプ部の内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記ヒートパイプ部が、液相の前記一次冷媒と接している冷却装置。
[25]第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、
前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるベースブロックと、前記ベースブロックに埋設されたヒートパイプと、前記ヒートパイプの内部に封入された三次冷媒と、を有する冷却装置。
[26]前記第2のコンテナが、液相の前記一次冷媒と接している[22]に記載の冷却装置。
[27]前記ベースブロックが、液相の前記一次冷媒と接している[24]または[25]に記載の冷却装置。
[28]前記第2のコンテナの外面のうち、液相の前記三次冷媒が存在する部位または液相の前記三次冷媒が存在する部位の近傍に、前記発熱体が熱的に接続される[22]または[23]に記載の冷却装置。
[29]前記発熱体が熱的に接続される前記第2のコンテナの内面に、液相の前記三次冷媒との接触面積を増大させる第2のコンテナ内面表面積増大部が形成されている[22]または[23]に記載の冷却装置。
[30]前記第2のコンテナ及び/または前記延出部の外面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる熱輸送部材外面表面積増大部が形成されている[22]に記載の冷却装置。
[31]前記第2のコンテナの外面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる熱輸送部材外面表面積増大部が形成されている[23]に記載の冷却装置。
[32]前記ヒートパイプ部の外面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる熱輸送部材外面表面積増大部が形成されている[24]に記載の冷却装置。
[33]前記熱輸送部材外面表面積増大部が、凹凸部を有する[30]乃至[32]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[34]前記凹凸部が、金属線の焼結体及び/または金属粉の焼結体を有する[33]に記載の冷却装置。
[35]前記凹凸部が、エッチング及び/または研磨で形成された凹凸部を有する[33]に記載の冷却装置。
[36]前記第1のコンテナ内部における前記凝縮管のうち、少なくとも一部領域における長手方向に対して直交方向の形状が、前記第1のコンテナ外部における前記凝縮管の、長手方向に対して直交方向の形状とは、異なる[22]乃至[35]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[37]前記凝縮管に、前記二次冷媒が貯留される二次冷媒貯留ブロックが、さらに設けられ、前記二次冷媒貯留ブロックが、前記第1のコンテナと熱的に接続されている[22]乃至[36]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[38]前記第1のコンテナ外面に、さらに、放熱フィンが設けられている[22]乃至[37]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[39]第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続される第2のコンテナと、前記第2のコンテナの内部と連通した内部空間を有する延出部と、前記熱輸送部材の内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記延出部が、液相の前記一次冷媒と接している冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記第2のコンテナの内部で、前記発熱体から受熱した前記三次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記三次冷媒が、前記第2のコンテナの内部から延出部の内部方向へ流通して前記一次冷媒との熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記三次冷媒から前記一次冷媒へ熱が伝達され、前記三次冷媒から熱が伝達された前記一次冷媒は、前記第1のコンテナの内部で液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
[40]第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続される第2のコンテナと、前記第2のコンテナの内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記第2のコンテナが、液相の前記一次冷媒と接している冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記第2のコンテナの内部で、前記発熱体から受熱した前記三次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記三次冷媒が、前記第2のコンテナの壁面を介した、前記一次冷媒との熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記三次冷媒から前記一次冷媒へ熱が伝達され、前記三次冷媒から熱が伝達された前記一次冷媒は、前記第1のコンテナの内部で液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
[41]第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるベースブロックと、前記ベースブロックに立設されたヒートパイプ部と、前記ヒートパイプ部の内部に封入された三次冷媒と、を有し、前記ヒートパイプ部が、液相の前記一次冷媒と接している冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記ベースブロックから前記ヒートパイプ部へ熱が伝達され、前記ベースブロックから受熱した前記ヒートパイプ部に封入された前記三次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記三次冷媒が、前記ヒートパイプ部の内部を流通して前記一次冷媒との熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記三次冷媒から前記一次冷媒へ熱が伝達され、前記三次冷媒から熱が伝達された前記一次冷媒は、前記第1のコンテナの内部で液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
[42]第1のコンテナと、前記第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記第1のコンテナと連設された熱輸送部材と、を備え、前記熱輸送部材が、少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるベースブロックと、前記ベースブロックに埋設されたヒートパイプと、前記ヒートパイプの内部に封入された三次冷媒と、を有する冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記ベースブロックから前記ヒートパイプへ熱が伝達され、前記ベースブロックから受熱した前記ヒートパイプに封入された前記三次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記三次冷媒が、前記ヒートパイプの内部を流通して、前記三次冷媒から前記一次冷媒へ熱が伝達され、前記三次冷媒から熱が伝達された前記一次冷媒は、前記第1のコンテナの内部で液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
【0010】
上記[1]の冷却装置の態様では、コンテナ内部に封入された一次冷媒が発熱体からの熱を受けることで、液相から気相へ相変化し、気相へ相変化した一次冷媒は、コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管によって、気相から液相へ相変化し、この相変化の際に一次冷媒から放出される潜熱が、凝縮管を流通する二次冷媒へ伝達される。一次冷媒から潜熱を受けた二次冷媒は、凝縮管を冷却装置の内部から外部へ流通することで、潜熱が冷却装置の外部へ輸送される。潜熱を受けた二次冷媒は、冷却装置の外部に設けられた二次冷媒冷却部で冷却される。また、上記[19]の冷却装置の態様では、熱輸送部材の第2のコンテナの内部に封入された三次冷媒が発熱体からの熱を受けることで、液相から気相へ相変化し、気相へ相変化した三次冷媒は、第2のコンテナの内部から延出部の内部方向へ流通して、第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒との熱交換作用により気相から液相へ相変化する。この相変化の際に三次冷媒から放出される潜熱が、第1のコンテナ内部に封入された一次冷媒へ伝達される。一次冷媒は、三次冷媒から潜熱を受けることで、液相から気相へ相変化し、気相へ相変化した一次冷媒は、第1のコンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管によって、気相から液相へ相変化し、この相変化の際に一次冷媒から放出される潜熱が、凝縮管を流通する二次冷媒へ伝達される。一次冷媒から潜熱を受けた二次冷媒は、凝縮管を冷却装置の内部から外部へ流通することで、潜熱が冷却装置の外部へ輸送される。潜熱を受けた二次冷媒は、冷却装置の外部に設けられた二次冷媒冷却部で冷却される。
【0011】
なお、本明細書中、「平面視」とは重力方向上方から視認した状態を意味する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷却装置の態様によれば、コンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、を備えることにより、装置の大型化を避けつつ優れた冷却特性を発揮できる。
【0013】
本発明の冷却装置の態様によれば、コンテナの外面のうち、液相の一次冷媒が存在する部位またはその近傍に発熱体が熱的に接続されることで、発熱体から一次冷媒への熱抵抗を低減できる。
【0014】
本発明の冷却装置の態様によれば、発熱体が熱的に接続されるコンテナの内面に、液相の一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が形成されていることにより、コンテナを介した発熱体から一次冷媒への熱伝達が円滑化される。従って、一次冷媒の液相から気相への相変化が促進されて、冷却特性がより向上する。
【0015】
本発明の冷却装置の態様によれば、コンテナ内面表面積増大部の少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体であることにより、コンテナ内面表面積増大部に多孔質部が形成されるので、一次冷媒の液相から気相への相変化がさらに促進されて、冷却特性がさらに向上する。
【0016】
本発明の冷却装置の態様によれば、凝縮管の外面に、気相の一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部が形成されていることにより、凝縮管の熱交換作用が向上して一次冷媒の気相から液相への相変化が促進される。よって、一次冷媒から二次冷媒への熱伝達がより促進されて、冷却特性がさらに向上する。
【0017】
本発明の冷却装置の態様によれば、凝縮管の内面に、二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されていることにより、凝縮管の熱交換作用が向上して、一次冷媒から二次冷媒への熱伝達がより促進される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
【
図2】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
【
図3】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
【
図4】(a)図は、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の外面を拡大した説明図、(b)図は、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の内面を拡大した説明図である。
【
図5】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
【
図6】(a)図は、本発明の第5実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図、(b)図は、本発明の第5実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
【
図7】本発明の第6実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
【
図8】本発明の第7実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
【
図9】本発明の第8実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
【
図10】本発明の第8実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する平面断面図である。
【
図11】本発明の第9実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
図2は、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
図3は、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
図4は、(a)図は、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の外面を拡大した説明図、(b)図は、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の内面を拡大した説明図である。
図5は、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
図6の(a)図は、本発明の第5実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図、同(b)図は、本発明の第5実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
図7は、本発明の第6実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
図8は、本発明の第7実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
図9は、本発明の第8実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
図10は、本発明の第8実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する平面断面図である。
図11は、本発明の第9実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
【0020】
まず、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について説明する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、コンテナ10と、コンテナ10内部に封入された一次冷媒20と、コンテナ10内部の気相部11を貫通した、二次冷媒30が流通する凝縮管40と、を備えている。コンテナ10の外面12に冷却対象である発熱体100が熱的に接続されることで、発熱体100が冷却される。
【0021】
コンテナ10内部には、中空の空洞部13が形成されている。空洞部13は、外部環境に対して密閉された空間であり、脱気処理により減圧されている。コンテナ10の形状は直方体であり、長手方向Zを有している。冷却装置1では、コンテナ10の長手方向Zが重力方向に沿うように設置されている。従って、冷却装置1では、直方体のコンテナ10が立てられた状態で設置されている。また、直方体のコンテナ10が立てられた状態である冷却装置1では、発熱体100が立てられた状態で、コンテナ10の側面14に熱的に接続されている。冷却装置1では、幅方向が狭い空間に冷却装置を設置する必要がある場合に有効である。
【0022】
また、
図1に示すように、空洞部13には、所定量の液相の一次冷媒20が収納されている。液相の一次冷媒20は、コンテナ10内部に気相部11が形成できる体積量にて収納されている。空洞部13の重力方向下方側に、液相の一次冷媒20が存在し、空洞部13の重力方向上方側に、液相の一次冷媒20が収納されていない気相部11が形成されている。発熱体100の接続位置は、特に限定されないが、冷却装置1では、コンテナ10の外面12のうち、液相の一次冷媒20が存在する部位に、発熱体100が熱的に接続されている。発熱体100のコンテナ10への接続位置を上記部位とすることで、発熱体100から液相の一次冷媒20への熱伝達が円滑化されて、発熱体100から一次冷媒20への熱抵抗を低減できる。コンテナ10の内面15のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域には、凸凹等、コンテナ10の内面15の表面積を増大させる部位(コンテナ内面表面積増大部)が形成されていてもよく、平坦面でもよい。
図1では、便宜上、コンテナ10の内面15は、平坦面としている。
【0023】
凝縮管40は、管状部材であり、コンテナ10内部の気相部11を貫通している。凝縮管40は、発熱体100が熱的に接続される部位におけるコンテナ10の内面15よりも重力方向上方に位置している。凝縮管40の内部空間は、コンテナ10の内部(空洞部13)とは連通していない。すなわち、凝縮管40の内部空間は、気相部11とは連通していない、気相部11から独立した空間となっている。また、凝縮管40は、重力方向下方側に収納された液相の一次冷媒20とは接触していない。すなわち、液相の一次冷媒20は、二次冷媒が収納された凝縮管40とは接触していない。凝縮管40の外面41には、凹凸等、凝縮管40の外面41の表面積を増大させる部位(凝縮管外面表面積増大部)が形成されていてもよく、平滑面でもよい。また、凝縮管40の内面42には、凹凸等、凝縮管40の内面42の表面積を増大させる部位(凝縮管内面表面積増大部)が形成されていてもよく、平滑面でもよい。
図1では、便宜上、凝縮管40の外面41、凝縮管40の内面42ともに、平滑面としている。
【0024】
コンテナ10のうち、気相部11に対応する部位に貫通孔が形成されており、該貫通孔に凝縮管40が嵌挿されることで、空洞部13の密閉状態を維持したまま、凝縮管40がコンテナ10に取り付けられている。凝縮管40の本数は、特に限定されず、冷却装置1では、凝縮管40が1つ取り付けられている。凝縮管40の径方向の断面形状は、略円形となっている。
【0025】
凝縮管40には、液相の二次冷媒30が凝縮管40の延在方向に沿って一定方向に流通している。従って、二次冷媒30は、凝縮管40の壁面を介して、気相部11を貫通するように流通する。二次冷媒30は、例えば、発熱体100の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却されている。
【0026】
コンテナ10の材料としては、特に限定されず、広汎な材料が使用でき、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金等を挙げることができる。凝縮管40の材料としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金等を挙げることができる。一次冷媒としては、特に限定されず、広汎な材料が使用でき、例えば、電気絶縁性の冷媒を挙げることができる。具体例としては、例えば、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール、これらの混合物等を挙げることができる。これらの一次冷媒のうち、電気絶縁性の点から、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコールが好ましく、フルオロカーボン類が特に好ましい。二次冷媒としては、特に限定されず、例えば、水、不凍液(主成分は、例えば、エチレングリコール)等を挙げることができる。
【0027】
次に、第1実施形態例に係る冷却装置1の動作及び冷却装置1を用いた冷却システムについて説明する。まず、冷却装置1の動作について説明する。
【0028】
コンテナ10の空洞部13に収納された液相の一次冷媒20が発熱体100からの熱を受けることで、液相から気相へ相変化し、発熱体100からの熱を潜熱として吸収する。気相へ相変化した一次冷媒は、コンテナ10の内部空間を重力方向上方へ移動し、コンテナ10の気相部11へ流入する。一方で、気相部11を貫通した凝縮管40には、低温の二次冷媒30が流通している。凝縮管40に低温の二次冷媒30が流通していることで、気相部11に配置された凝縮管40は、熱交換作用を発揮する。気相に相変化した一次冷媒は、凝縮管40の外面41に接触または接近することで、凝縮管40の熱交換作用により、潜熱を放出し、気相から液相へ相変化する。気相から液相への相変化の際に一次冷媒から放出される潜熱が、凝縮管40を流通する二次冷媒30へ伝達される。また、液相へ相変化した一次冷媒は、重力作用により、気相部11から重力方向下方へ液相の一次冷媒20として還流する。上記から、一次冷媒20は、コンテナ10の内部空間にて、液相から気相へ及び気相から液相への相変化を繰り返す。なお、冷却装置1では、コンテナ10の気相部11が所定の体積を有することから、一次冷媒20がコンテナ10の内部空間にて液相から気相へ及び気相から液相への相変化を繰り返すにあたり、仕切り板のような一次冷媒20の循環経路を形成する必要はない。従って、コンテナ10の構造は、簡略化が可能である。一次冷媒から熱を受けた二次冷媒30は、凝縮管40の延在方向に沿って冷却装置1の内部から外部へ流通することで、発熱体100の熱が冷却装置1の外部へ輸送される。
【0029】
次に、第1実施形態例に係る冷却装置1を用いた冷却システムについて説明する。冷却装置1を用いた冷却システムでは、冷却装置1と、冷却装置1から延在した凝縮管40が接続された二次冷媒冷却部(図示せず)とが用いられる。さらに、上記冷却システムでは、凝縮管40が冷却装置1と二次冷媒冷却部とをループ状に循環する、凝縮管40の循環経路が形成されている。一次冷媒から熱を受けた二次冷媒30が、凝縮管40を冷却装置1から二次冷媒冷却部まで流通して、二次冷媒冷却部にて所定の液温、例えば、発熱体100の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却される。二次冷媒冷却部で冷却された二次冷媒30は、凝縮管40を流通して二次冷媒冷却部から冷却装置1へ還流し、冷却装置1の気相部11にて熱交換作用を発揮する。従って、二次冷媒30が冷却装置1と二次冷媒冷却部とをループ状に循環することで、冷却された二次冷媒30が、連続的に気相部11の領域へ供給される。
【0030】
次に、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第1実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0031】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、コンテナ10の長手方向Zが重力方向に沿うようにコンテナ10が立てられて設置され、発熱体100が立てられた状態でコンテナ10の側面14に熱的に接続されていた。これに代えて、
図2に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置2では、コンテナ10は平面型であり、コンテナ10の平面方向が重力方向に対して略直交方向となるように、直方体のコンテナ10が横置きされ、発熱体100が横置きされた姿勢でコンテナ10の底面16に熱的に接続されている。なお、凝縮管40の取り付け位置は、特に限定されず、冷却装置2では、凝縮管40は、平面視において発熱体100と重なり合わない位置に取り付けられている。
【0032】
冷却装置2では、高さ方向が狭い空間に冷却装置を設置する必要がある場合に有効である。発熱体が高密度に搭載されることがあるところ、このように、本発明の冷却装置は、幅方向が狭い空間だけではなく、高さ方向が狭い空間でも設置することができる。
【0033】
次に、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第1、第2実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0034】
図3に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置3では、コンテナ10の内面15のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域には、凸凹等、コンテナ10の内面15の表面積を増大させる部位であるコンテナ内面表面積増大部50が形成されている。コンテナ内面表面積増大部50が形成されていることにより、コンテナ10の内面15のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域において、コンテナ10の内面15と液相の一次冷媒20との接触面積が増大する。従って、コンテナ内面表面積増大部50により、コンテナ10を介した発熱体100から液相の一次冷媒20への熱伝達が円滑化される。結果、一次冷媒20の液相から気相への相変化が促進されて、冷却装置3の冷却特性がより向上する。
【0035】
コンテナ内面表面積増大部50は、コンテナ10に収納された液相の一次冷媒20中に浸漬されている。従って、コンテナ内面表面積増大部50は、液相の一次冷媒20と直接接している。コンテナ内面表面積増大部50は、全体が液相の一次冷媒20中に浸漬されてもよく、一部が液相の一次冷媒20中に浸漬されてもよい。なお、冷却装置3では、コンテナ内面表面積増大部50全体が液相の一次冷媒20中に浸漬されている。
【0036】
コンテナ内面表面積増大部50は、例えば、型を用いたコンテナ10の成形、コンテナ10とは別部材をコンテナ10の内面15に取り付けることで設けることができる。コンテナ内面表面積増大部50の態様としては、例えば、コンテナ10の内面15に形成された凸凹部を挙げることができ、具体例としては、コンテナ10の内面15に立設された板状フィン、ピンフィン、コンテナ10の内面15に形成された窪み部、溝部等を挙げることができる。板状フィン、ピンフィンの形成方法としては、例えば、別途作製した板状フィン、ピンフィンをコンテナ10の内面15に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、コンテナ10の内面15を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪み部、溝部の形成方法としては、例えば、コンテナ10の内面15を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。なお、冷却装置3では、コンテナ内面表面積増大部50として複数の正方形または長方形の板状フィンが並列配置されている。
【0037】
コンテナ内面表面積増大部50の材料は、特に限定されず、例えば、熱伝導性部材を挙げることができる。コンテナ内面表面積増大部50の材料の具体例としては、金属部材(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)、炭素部材(例えば、グラファイト等)を挙げることができる。また、コンテナ内面表面積増大部50は、その少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体で形成されていてもよく、例えば、金属焼結体や炭素粒子の集合体で形成されていてもよい。金属焼結体や炭素粒子の集合体は、例えば、コンテナ内面表面積増大部50の表面部に設けてもよい。より具体的には、例えば、コンテナ10の内面15に立設された板状フィン、ピンフィン、コンテナ10の内面15に形成された窪み部、溝部等の表面部に、金属焼結体等の熱伝導性材料の焼結体や炭素粒子及び/または金属粉の集合体等の粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されてもよい。コンテナ内面表面積増大部50の少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体で形成されていることにより、コンテナ内面表面積増大部50に多孔質部が形成されるので、一次冷媒20の液相から気相への相変化がさらに促進されて、冷却装置3の冷却特性がさらに向上する。コンテナ内面表面積増大部50が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体からなると、コンテナ内面表面積増大部50全体が多孔質体となり、気相の一次冷媒が多孔質体中に生成、滞留することで、コンテナ内面表面積増大部50から液相の一次冷媒20への熱伝達性が十分得られないことがある。しかし、板状フィン、ピンフィン、窪み部、溝部等の表面部に、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されていることにより、一次冷媒20の液相から気相への相変化がさらに促進されつつ、コンテナ内面表面積増大部50から液相の一次冷媒20への熱伝達性が向上し、結果として、冷却装置3の冷却特性がさらに向上する。金属焼結体の材料としては、例えば、金属粉、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体、金属箔等を挙げることができる。これらの金属材料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、金属焼結体の金属種としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金等を挙げることができる。金属焼結体は、金属材料を炉等の加熱手段で加熱することにより形成できる。また、金属粉を表面に溶射加工することで細かい凸凹を有する被膜状である、粒子状の熱伝導性材料の集合体を形成できる。また、金属粉をレーザー等で溶融形成して、粒子状の熱伝導性材料の集合体を形成してもよい。また、炭素粒子の集合体を形成する炭素粒子としては、特に限定されず、例えば、カーボンナノ粒子、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0038】
また、第1、第2実施形態例に係る冷却装置では、凝縮管の設置本数は1本であったが、これに代えて、
図3に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置3では、複数の凝縮管40、40・・・が、設けられている。冷却装置3では、複数の凝縮管40、40・・・が積層配置されている。冷却装置3では、凝縮管40が多層(
図3では2層)に配置されており、液相の一次冷媒20側に配置された複数の第1凝縮管40-1、40-1・・・と、第1凝縮管40-1の重力方向上方に配置された複数の第2凝縮管40-2、40-2・・・とが設けられている。複数の第1凝縮管40-1、40-1・・・は、相互に略同一平面状に並列配置され、複数の第2凝縮管40-2、40-2・・・は、相互に略同一平面状に並列配置されている。
【0039】
また、コンテナ10の気相部11における第1凝縮管40-1の延在方向は、第2凝縮管40-2の延在方向と同じでも異なっていてもよいが、冷却装置3では、第1凝縮管40-1の延在方向は、第2凝縮管40-2の延在方向と異なっている。気相部11において、第1凝縮管40-1の延在方向は、第2凝縮管40-2の延在方向に対して、略直交方向となっている。
【0040】
冷却装置3では、発熱体100は横置きされた姿勢でコンテナ10の底面16に熱的に接続されている。凝縮管40は、平面視において発熱体100と重なり合う部位を有している。
【0041】
図4(a)に示すように、冷却装置3では、凝縮管40の外面41に、凹凸等、凝縮管40の外面41の表面積を増大させることで、気相の一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部43が形成されている。凝縮管外面表面積増大部43が形成されていることにより、凝縮管40の熱交換作用が向上して一次冷媒の気相から液相への相変化が促進される。結果、一次冷媒20から二次冷媒30への熱伝達がより促進されて、冷却装置3の冷却特性がさらに向上する。凝縮管外面表面積増大部43は、気相の一次冷媒と接触する外面41全体に形成されていてもよく、外面41の一部領域(例えば、外面41の重力方向下方側)にのみ形成されていてもよい。
【0042】
凝縮管外面表面積増大部43は、例えば、型を用いた凝縮管40の成形、凝縮管40とは別部材を凝縮管40の外面41に取り付けることで設けることができる。凝縮管外面表面積増大部43の態様としては、特に限定されず、凝縮管40の外面41に形成された複数の突起、凝縮管40の外面41に形成された複数の溝、窪み等を挙げることができる。突起の形成方法としては、特に限定されず、例えば、別途作製した突起を凝縮管40の外面41に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、凝縮管40の外面41を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪み部、溝の形成方法としては、特に限定されず、例えば、凝縮管40の外面41を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。
図4(a)の凝縮管外面表面積増大部43では、外面41上に錐体状の突起47が千鳥状に配置されている。より具体的には、
図4(a)の凝縮管外面表面積増大部43では、突起47の形状は四角錐である。凝縮管外面表面積増大部43では、複数の突起47が凝縮管40の長手方向に直線状に並列配置されることで突起列48が形成され、また、凝縮管40の周方向に沿って複数の突起列48が並列配置されている。また、隣接する突起列48は、相互に、突起47の位置が所定量ずれていることで、突起47が千鳥状に配置されている。上記のような凝縮管外面表面積増大部43とすることで、凝縮管40の外面41の表面張力が低下して、一次冷媒の気相から液相への相変化が、より促進される。凝縮管外面表面積増大部43では、外面41を転造加工、鍛造加工、切削する方法またはエッチングする方法で突起47が形成されている。すなわち、凝縮管外面表面積増大部43は凝縮管40と一体となっている。外面41が、転造加工、鍛造加工、切削またはエッチングされて 凝縮管外面表面積増大部43が形成されていることにより、別途作製した突起を凝縮管40の外面41に取り付ける態様と比較して、凝縮管40を省スペース化、小型化することができ、ひいては、冷却装置3を省スペース化、小型化することができる。また、凝縮管40を省スペース化、小型化できることで、凝縮管40の外面41の単位面積あたり、より多くの突起47を設けることができ、結果、一次冷媒の気相から液相への相変化が、より促進される。
【0043】
また、
図4(b)に示すように、冷却装置3では、凝縮管40の内面42には、凹凸等、凝縮管40の内面42の表面積を増大させることで、凝縮管40の内面42と二次冷媒30との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部44が形成されている。凝縮管内面表面積増大部44が形成されていることにより、凝縮管40の熱交換作用が向上して、一次冷媒20から二次冷媒30への熱伝達がより促進される。
【0044】
凝縮管内面表面積増大部44は、例えば、型を用いた凝縮管40の成形、凝縮管40とは別部材を凝縮管40の内面42に取り付けることで設けることができる。凝縮管内面表面積増大部44の態様としては、特に限定されず、凝縮管40の内面42に形成された複数の突起、凝縮管40の内面42に形成された複数の溝、窪み等を挙げることができる。突起の形成方法としては、例えば、別途作製した突起を凝縮管40の内面42に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、凝縮管40の内面42を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪み部、溝の形成方法としては、例えば、凝縮管40の内面42を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。
図4(b)の凝縮管内面表面積増大部44では、内面42に複数の溝が螺旋状に形成されている。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第1~第3実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0046】
図5に示すように、第4実施形態例に係る冷却装置4では、コンテナ10(冷却装置4では、第1のコンテナ10)の底面16として、第1のコンテナ10と連設された熱輸送部材60が設けられている。熱輸送部材60は、少なくとも1つの発熱体100が熱的に接続される第2のコンテナ61と、第2のコンテナ61の内部空間62と連通した内部空間64を有する延出部63と、熱輸送部材60の内部、すなわち、第2のコンテナ61の内部空間62と延出部63の内部空間64に封入された三次冷媒70と、を有している。三次冷媒70は、熱輸送部材60の作動流体として機能する。三次冷媒70は、第2のコンテナ61の内部空間62と延出部63の内部空間64との間で流通可能となっている。第2のコンテナ61の内部空間62と延出部63の内部空間64は、外部環境に対して密閉された空間であり、脱気処理により減圧された状態となっている。
【0047】
第2のコンテナ61は、平面型となっている。第2のコンテナ61の外面のうち、凝縮管40と対向する外面65は、第1のコンテナ10内部に封入された液相の一次冷媒20と接している。冷却装置4では、第2のコンテナ61の外面65が、第1のコンテナ10の底面16を形成している。また、第2のコンテナ61の外面65と対向する外面66に冷却対象である発熱体100が熱的に接続されることで、発熱体100が冷却される。
【0048】
第2のコンテナ61の外面66における発熱体100の接続位置は、特に限定されないが、例えば、第2のコンテナ61の外面66のうち、作動液である液相の三次冷媒70が存在する部位または液相の三次冷媒70が存在する部位の近傍に、発熱体100が熱的に接続される。発熱体100の第2のコンテナ61への接続位置を上記部位とすることで、発熱体100から液相の三次冷媒70への熱伝達が円滑化されて、発熱体100から三次冷媒70への熱抵抗を低減できる。
【0049】
また、発熱体100が熱的に接続される第2のコンテナ61の内底面67のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域には、凸凹等、第2のコンテナ61の内底面67の表面積を増大させる部位である第2のコンテナ内面表面積増大部80が形成されている。第2のコンテナ内面表面積増大部80が形成されていることにより、第2のコンテナ61の内底面67のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域において、第2のコンテナ61の内面と液相の三次冷媒70との接触面積が増大する。従って、第2のコンテナ内面表面積増大部80により、第2のコンテナ61を介した発熱体100から液相の三次冷媒70への熱伝達が円滑化される。結果、三次冷媒70の液相から気相への相変化が促進されて、冷却装置4の冷却特性がより向上する。
【0050】
第2のコンテナ内面表面積増大部80は、例えば、型を用いた第2のコンテナ61の成形、第2のコンテナ61とは別部材を第2のコンテナ61の内底面67に取り付けることで設けることができる。第2のコンテナ内面表面積増大部80の態様としては、例えば、第2のコンテナ61の内底面67に形成された凸凹部を挙げることができ、具体例としては、第2のコンテナ61の内底面67に立設された板状フィン、ピンフィン、第2のコンテナ61の内底面67に形成された窪み部、溝部等を挙げることができる。板状フィン、ピンフィンの形成方法としては、例えば、別途作製した板状フィン、ピンフィンを第2のコンテナ61の内底面67に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、第2のコンテナ61の内底面67を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪み部、溝部の形成方法としては、例えば、第2のコンテナ61の内底面67を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。なお、冷却装置4では、第2のコンテナ内面表面積増大部80として複数の板状フィンが並列配置されている。
【0051】
第2のコンテナ内面表面積増大部80の材料は、特に限定されず、例えば、熱伝導性部材を挙げることができる。第2のコンテナ内面表面積増大部80の材料の具体例としては、金属部材(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)、炭素部材(例えば、グラファイト等)を挙げることができる。また、第2のコンテナ内面表面積増大部80は、その少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体で形成されていてもよく、例えば、金属焼結体や炭素粒子の集合体で形成されていてもよい。金属焼結体や炭素粒子の集合体は、例えば、第2のコンテナ内面表面積増大部80の表面部に設けてもよい。より具体的には、例えば、第2のコンテナ61の内底面67に立設された板状フィン、ピンフィン、第2のコンテナ61の内底面67に形成された窪み部、溝部等の表面部に、金属焼結体等の熱伝導性材料の焼結体や炭素粒子及び/または金属粉の集合体等の粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されてもよい。第2のコンテナ内面表面積増大部80の少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体で形成されていることにより、第2のコンテナ内面表面積増大部80に多孔質部が形成されるので、三次冷媒70の液相から気相への相変化がさらに促進されて、冷却装置4の冷却特性がさらに向上する。第2のコンテナ内面表面積増大部80が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体からなると、第2のコンテナ内面表面積増大部80全体が多孔質体となり、気相の三次冷媒70が多孔質体中に生成、滞留することで、第2のコンテナ内面表面積増大部80から液相の三次冷媒70への熱伝達性が十分得られないことがある。しかし、板状フィン、ピンフィン、窪み部、溝部等の表面部に、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されていることにより、三次冷媒70の液相から気相への相変化がさらに促進されつつ、第2のコンテナ内面表面積増大部80から液相の三次冷媒70への熱伝達性が向上し、結果として、冷却装置4の冷却特性がさらに向上する。金属焼結体の材料としては、例えば、金属粉、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体、金属箔等を挙げることができる。これらの金属材料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、金属焼結体の金属種としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金等を挙げることができる。金属焼結体は、金属材料を炉等の加熱手段で加熱することにより形成できる。また、金属粉を表面に溶射加工することで細かい凸凹を有する被膜状である、粒子状の熱伝導性材料の集合体を形成できる。また、金属粉をレーザー等で溶融形成して、粒子状の熱伝導性材料の集合体を形成してもよい。また、炭素粒子の集合体を形成する炭素粒子としては、特に限定されず、例えば、カーボンナノ粒子、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0052】
また、第2のコンテナ61の内面には、毛細管力を有するウィック構造体(図示せず)が設けられている。潜熱を放出して気相から液相へ相変化した三次冷媒70は、ウィック構造体の毛細管力により、第2のコンテナ61の内底面67のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域に還流する。
【0053】
図5に示すように、延出部63は、第2のコンテナ61の外面65から第1のコンテナ10内部の気相部11の方向へ延在している。延出部63の態様は、特に限定されないが、冷却装置4では、気相部11側の端部が閉塞された管体である。延出部63の形状は、特に限定されないが、冷却装置4では、直線状であり、第2のコンテナ61の外面65に対して鉛直に立設されている。また、冷却装置4では、複数の延出部63が設けられている。
【0054】
延出部63の内部空間64は、第2のコンテナ61の内部空間62と連通している。すなわち、延出部63の第2のコンテナ61側の端部は開口している。よって、延出部63の内部空間64は、第2のコンテナ61の内部空間62と同様に、脱気処理により減圧された状態となっている。なお、必要に応じて、延出部63の内面にも毛細管力を有するウィック構造体を設けてもよい。
【0055】
延出部63は、第1のコンテナ10の内部に封入された液相の一次冷媒20と接している。冷却装置4では、延出部63全体が、液相の一次冷媒20に浸漬された状態となっている。
【0056】
また、延出部63の外面に、液相の一次冷媒20との接触面積を増大させる熱輸送部材外面表面積増大部81が形成されている。熱輸送部材外面表面積増大部81は、凹凸部となっている。熱輸送部材外面表面積増大部81の凹凸部は、例えば、金属線の焼結体、金属粉の焼結体等で形成されてもよく、エッチングや研磨で形成されてもよい。延出部63の外面に熱輸送部材外面表面積増大部81が設けられることで、一次冷媒20が液相から気相に相変化する際に、一次冷媒30の細かい気泡核が形成されやすくなり、一次冷媒20の液相から気相への相変化が円滑化される。一次冷媒20の液相から気相への相変化が円滑化されることで、三次冷媒70から一次冷媒20への熱伝達が円滑化される。また、延出部63の外面に熱輸送部材外面表面積増大部81が設けられることで、延出部63の外面に沿って気相の一次冷媒を含む気体層が成長することが防止されるので、三次冷媒70から一次冷媒20への熱伝達が円滑化される。
【0057】
なお、熱輸送部材外面表面積増大部81は、延出部63の外面と第2のコンテナ61の外面65に形成されていてもよく、第2のコンテナ61の外面65にのみ形成されていてもよい。
【0058】
第2のコンテナ61及び延出部63の材料としては、特に限定されず、広汎な材料が使用でき、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金等を挙げることができる。また、三次冷媒70としては、特に限定されず、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール、これらの混合物等を挙げることができる。
【0059】
次に、第4実施形態例に係る冷却装置4の動作について説明する。熱輸送部材60は、第2のコンテナ61が発熱体100から受熱すると、第2のコンテナ61の内部空間62に封入された液相の三次冷媒70が、第2のコンテナ内面表面積増大部80とその近傍にて液相から気相へ相変化し、第2のコンテナ61の内部空間62の蒸気流路を流通する。さらに、気相の三次冷媒70は、第2のコンテナ61の内部空間62の蒸気流路から内部空間62と連通している延出部63の内部空間64へ流入する。延出部63の内部空間64へ流入した気相の三次冷媒70は、延出部63の内部空間64にて潜熱を放出して、気相から液相に相変化する。延出部63の内部空間64にて放出された潜熱は、延出部63の壁面を介して液相の一次冷媒20へ伝達される。延出部63の内部空間64にて気相から液相に相変化した三次冷媒70は、延出部63から第2のコンテナ61へ還流され、第2のコンテナ61に設けられたウィック構造体にて、第2のコンテナ61から第2のコンテナ内面表面積増大部80へ還流される。
【0060】
第1のコンテナ10に封入された液相の一次冷媒20は、三次冷媒70から受熱することで、コンテナ10内部にて液相から気相へ相変化し、発熱体100からの熱を潜熱として吸収する。その後は、上記冷却装置1、2、3と同様の作用にて、発熱体100からの熱は、一次冷媒20から凝縮管40を流通する二次冷媒30へ伝達され、一次冷媒20から熱を受けた二次冷媒30は、凝縮管40の延在方向に沿って冷却装置4の内部から外部へ流通することで、発熱体100の熱が冷却装置4の外部へ輸送される。
【0061】
次に、第4実施形態例に係る冷却装置4を用いた冷却システムでは、冷却装置4と、冷却装置4から延在した凝縮管40が接続された二次冷媒冷却部(図示せず)とが用いられる。さらに、上記冷却システムでは、凝縮管40が冷却装置4と二次冷媒冷却部とをループ状に循環する、凝縮管40の循環経路が形成されている。三次冷媒70から熱を受けた一次冷媒20が、第1のコンテナ10の内部で液相から気相へ相変化し、気相の一次冷媒が凝縮管40の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、一次冷媒から凝縮管40を流通する二次冷媒30へ熱が伝達される。一次冷媒から熱を受けた二次冷媒30が、凝縮管40を冷却装置4から二次冷媒冷却部まで流通して、二次冷媒冷却部にて所定の液温、例えば、発熱体100の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却される。二次冷媒冷却部で冷却された二次冷媒30は、凝縮管40を流通して二次冷媒冷却部から冷却装置4へ還流し、冷却装置4の気相部11にて熱交換作用を発揮する。従って、二次冷媒30が冷却装置4と二次冷媒冷却部とをループ状に循環することで、冷却された二次冷媒30が、連続的に気相部11の領域へ供給される。
【0062】
次に、本発明の冷却装置の他の実施形態例について説明する。第1~第3実施形態例の冷却装置では、コンテナの平面視の形状は、四角形状であったが、コンテナの形状は、特に限定されず、例えば、五角形以上の多角形、円形、楕円形、これら形状の組み合わせでもよい。また、第3実施形態例に係る冷却装置では、コンテナ内面のうち、発熱体が熱的に接続される部位に対応する領域にコンテナ内面表面積増大部が形成されていたが、これに代えて、発熱体が熱的に接続される部位に対応する領域から該領域の周縁にかけてコンテナ内面表面積増大部が形成されていてもよく、コンテナのうち、発熱体が熱的に接続される壁面(第3実施形態例に係る冷却装置では、コンテナの底面)全体にコンテナ内面表面積増大部が形成されてもよい。
【0063】
また、第1~第3実施形態例の冷却装置では、コンテナに1つの発熱体が熱的に接続されていたが、コンテナと熱的に接続される発熱体の数量は、特に限定されず、複数個でもよい。また、上記各実施形態例では、凝縮管の径方向の断面形状は略円形であったが、凝縮管の径方向の断面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形状、扁平形状、四角形状、角丸長方形状等でもよい。
【0064】
また、第1~第3実施形態例の冷却装置では、液相の一次冷媒が存在する部位に発熱体が熱的に接続されていたが、これに代えて、液相の一次冷媒が存在する部位の近傍に発熱体が熱的に接続されていてもよい。この場合、近傍とは、液相の一次冷媒が存在する部位と同様に、発熱体から液相の一次冷媒への熱伝達が円滑化可能な部位である。
【0065】
第4実施形態例の冷却装置では、熱輸送部材は、第2のコンテナと、第2のコンテナの内部空間と連通した内部空間を有する延出部とを備えていたが、これに代えて、延出部が設けられていない熱輸送部材としてもよい。この場合、熱輸送部材は、平面形状であり、ベーパーチャンバとして機能する。また、熱輸送部材の第2のコンテナの外面のうち、凝縮管と対向した外面は、液相の一次冷媒と接している。また、延出部が設けられていない熱輸送部材では、第2のコンテナの外面に、液相の一次冷媒との接触面積を増大させる熱輸送部材外面表面積増大部が形成されていてもよい。
【0066】
延出部が設けられていない熱輸送部材の場合、第2のコンテナの内部空間に封入された液相の三次冷媒が、第2のコンテナ内面表面積増大部とその近傍にて液相から気相へ相変化し、第2のコンテナの内部空間を拡散していく。気相の三次冷媒は、第2のコンテナの内部空間にて潜熱を放出して、気相から液相に相変化する。第2のコンテナの内部空間にて放出された潜熱は、第2のコンテナの壁面を介して液相の一次冷媒へ伝達される。第2のコンテナの内部空間にて気相から液相に相変化した三次冷媒は、第2のコンテナに設けられたウィック構造体にて、第2のコンテナから第2のコンテナ内面表面積増大部へ還流される。
【0067】
第1のコンテナに封入された液相の一次冷媒は、三次冷媒から受熱することで、第1のコンテナの内部にて液相から気相へ相変化し、発熱体からの熱を潜熱として吸収する。その後は、上記各冷却装置と同様の作用にて、発熱体からの熱は、一次冷媒から凝縮管を流通する二次冷媒へ伝達され、一次冷媒から熱を受けた二次冷媒は、凝縮管の延在方向に沿って冷却装置の内部から外部へ流通することで、発熱体の熱が冷却装置の外部へ輸送される。
【0068】
延出部が設けられていない熱輸送部材を用いた冷却装置の冷却システムでは、冷却装置と、冷却装置から延在した凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられる。さらに、上記冷却システムでは、凝縮管が冷却装置と二次冷媒冷却部とをループ状に循環する、凝縮管の循環経路が形成されている。三次冷媒から熱を受けた一次冷媒が、第1のコンテナの内部で液相から気相へ相変化し、気相の一次冷媒が凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、一次冷媒から凝縮管を流通する二次冷媒へ熱が伝達される。一次冷媒から熱を受けた二次冷媒が、凝縮管を冷却装置から二次冷媒冷却部まで流通して、二次冷媒冷却部にて所定の液温、例えば、発熱体の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却される。二次冷媒冷却部で冷却された二次冷媒は、凝縮管を流通して二次冷媒冷却部から冷却装置へ還流し、冷却装置の気相部にて熱交換作用を発揮する。従って、二次冷媒が冷却装置と二次冷媒冷却部とをループ状に循環することで、冷却された二次冷媒が、連続的に気相部の領域へ供給される。
【0069】
第4実施形態例の冷却装置では、熱輸送部材は、第2のコンテナを備えていたが、
図6(a)、(b)に示すように、第5実施形態例の冷却装置として、第2のコンテナに代えて、中実のベースブロック71を用いた冷却装置5としてもよい。この場合、延出部はヒートパイプ部73として機能し、三次冷媒は、ヒートパイプ部73の内部に封入されている。延出部であるヒートパイプ部73は、ベースブロック71に立設された状態となっている。また、ベースブロック71は第1のコンテナ10の底面16に対応した板状部材であり、ベースブロック71は液相の一次冷媒20と接している。
【0070】
ヒートパイプ部73を形成するヒートパイプの形状は、特に限定されず、例えば、L字状、U字状、直線状等を挙げることができる。冷却装置5では、U字状のヒートパイプがベースブロック71に立設されている。ベースブロック71の材料としては、特に限定されず、広汎な材料が使用でき、例えば、熱伝導性部材、具体例としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属部材を挙げることができる。ベースブロック71へのヒートパイプ部73の取り付け方法は、特に限定されず、例えば、冷却装置5では、ベースブロック71の厚さ方向に凹部を設け、該凹部にU字状のヒートパイプの底部を嵌合することで、ベースブロック71にヒートパイプ部73を設けることができる。
【0071】
中実のベースブロック71とヒートパイプ部73とを備えた熱輸送部材60の場合、ヒートパイプ部73のベースブロック71側が受熱部として機能し、液相の一次冷媒と接した部位が放熱部として機能する。ヒートパイプ部73の受熱部がベースブロック71を介して発熱体100から受熱すると、ヒートパイプ部73の内部に封入された液相の三次冷媒が、ヒートパイプ部73の受熱部にて液相から気相へ相変化し、気相の三次冷媒が、ヒートパイプ部73の受熱部から放熱部へ流通する。気相の三次冷媒は、ヒートパイプ部73の放熱部にて潜熱を放出して、気相から液相に相変化する。ヒートパイプ部73の放熱部にて放出された潜熱は、ヒートパイプ部73の壁面を介して液相の一次冷媒20へ伝達される。ヒートパイプ部73の内部空間にて気相から液相に相変化した三次冷媒は、ヒートパイプ部73に設けられたウィック構造体(図示せず)にて、ヒートパイプ部73の放熱部から受熱部へ還流される。
【0072】
中実のベースブロック71とヒートパイプ部73とを備えた熱輸送部材60を用いた冷却装置5の冷却システムでは、上記と同じく、冷却装置5と、冷却装置5から延在した凝縮管40が接続された二次冷媒冷却部とが用いられる。さらに、上記冷却システムでは、凝縮管40が冷却装置5と二次冷媒冷却部とをループ状に循環する、凝縮管40の循環経路が形成されている。三次冷媒から熱を受けた一次冷媒20が、第1のコンテナ10の内部で液相から気相へ相変化し、気相の一次冷媒が凝縮管40の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、一次冷媒20から凝縮管40を流通する二次冷媒30へ熱が伝達される。一次冷媒20から熱を受けた二次冷媒30が、凝縮管40を冷却装置5から二次冷媒冷却部まで流通して、二次冷媒冷却部にて所定の液温、例えば、発熱体100の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却される。二次冷媒冷却部で冷却された二次冷媒30は、凝縮管40を流通して二次冷媒冷却部から冷却装置5へ還流し、冷却装置5の気相部11にて熱交換作用を発揮する。従って、二次冷媒30が冷却装置5と二次冷媒冷却部とをループ状に循環することで、冷却された二次冷媒30が、連続的に気相部11の領域へ供給される。
【0073】
また、ヒートパイプ部73がベースブロック71に立設されていることに代えて、
図7に示すように、第6実施形態例の冷却装置として、ベースブロック71にヒートパイプ74が埋設されている冷却装置6としてもよい。冷却装置6では、ヒートパイプ74全体が、ベースブロック71に埋設されている。また、ヒートパイプ74は、ベースブロック71の平面方向(ベースブロック71の厚さ方向に対して直交方向)に沿って延在している。従って、ヒートパイプ74は液相の一次冷媒20と接していない。ヒートパイプ74の形状は、特に限定されないが、例えば、直線状を挙げることができる。
【0074】
図7に示すように、また、冷却装置6では、ベースブロック71にコンテナ内面表面積増大部50が形成されている。冷却装置6では、コンテナ内面表面積増大部50は、正方形または長方形の板状フィンが、複数並列配位されて形成されている。
【0075】
中実のベースブロック71とヒートパイプ74とを備えた熱輸送部材60の場合、ヒートパイプ74のうち、発熱体100に近接した部位が受熱部として機能し、該受熱部から離れた部位が放熱部として機能する。ヒートパイプ74の受熱部がベースブロック71を介して発熱体100から受熱すると、ヒートパイプ74の内部に封入された液相の三次冷媒が、ヒートパイプ74の受熱部にて液相から気相へ相変化し、気相の三次冷媒が、ヒートパイプ74の受熱部から放熱部へ流通する。気相の三次冷媒は、ヒートパイプ74の放熱部にて潜熱を放出して、気相から液相に相変化する。これにより、ベースブロック71全体に発熱体100からの熱が均一に拡散する。ベースブロック71全体に拡散した熱は、ベースブロック71を介して液相の一次冷媒20へ伝達される。
【0076】
中実のベースブロック71とヒートパイプ74とを備えた熱輸送部材60を用いた冷却装置6の冷却システムでは、上記と同じく、冷却装置6と、冷却装置6から延在した凝縮管40が接続された二次冷媒冷却部とが用いられる。さらに、上記冷却システムでは、凝縮管40が冷却装置6と二次冷媒冷却部とをループ状に循環する、凝縮管40の循環経路が形成されている。三次冷媒から熱を受けた一次冷媒20が、第1のコンテナ10の内部で液相から気相へ相変化し、気相の一次冷媒が凝縮管40の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、一次冷媒20から凝縮管40を流通する二次冷媒30へ熱が伝達される。一次冷媒20から熱を受けた二次冷媒30が、凝縮管40を冷却装置6から二次冷媒冷却部まで流通して、二次冷媒冷却部にて所定の液温、例えば、発熱体100の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却される。二次冷媒冷却部で冷却された二次冷媒30は、凝縮管40を流通して二次冷媒冷却部から冷却装置6へ還流し、冷却装置6の気相部11にて熱交換作用を発揮する。従って、二次冷媒30が冷却装置6と二次冷媒冷却部とをループ状に循環することで、冷却された二次冷媒30が、連続的に気相部11の領域へ供給される。
【0077】
次に、本発明の第7実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第1~第6実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
図8に示すように、第7実施形態例に係る冷却装置7では、凝縮管40のうち、コンテナ10内部における凝縮管部45の長手方向に対して直交方向の形状が、コンテナ10外部における凝縮管部46の、長手方向に対して直交方向の形状とは、異なる態様となっている。
【0078】
冷却装置7では、コンテナ10内部における凝縮管部45の長手方向に対して直交方向の形状は、四角形状であり、コンテナ10外部における凝縮管部46の、長手方向に対して直交方向の形状は円形状となっている。従って、コンテナ10内部における凝縮管部45は、円筒形ではなく直方体となっている。凝縮管40は、コンテナ10内部における凝縮管部45とコンテナ10外部における凝縮管部46は、相互に接続され、且つ内部空間は連通している。
【0079】
また、冷却装置7では、コンテナ10内部における凝縮管部45のうち、外面41に、凹凸等、凝縮管部45の外面41の表面積を増大させることで、気相の一次冷媒20との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部73が形成されている。凝縮管外面表面積増大部73が形成されていることにより、凝縮管40の熱交換作用が向上して一次冷媒20の気相から液相への相変化が促進される。結果、一次冷媒20から二次冷媒30への熱伝達がより促進されて、冷却装置7の冷却特性がさらに向上する。なお、冷却装置7の使用状況に応じて、凝縮管外面表面積増大部73は形成されていなくてもよい。
【0080】
なお、冷却装置7は、説明の便宜上、凝縮管40以外の部位は第1実施形態例に係る冷却装置と同じ構成としているが、凝縮管40以外の部位について、第2~第6実施形態例に係る冷却装置と同じ構成としてもよい。また、凝縮管40が、複数、設けられている場合には、それぞれの凝縮管40、40、40・・・について、コンテナ10内部における凝縮管部45、45、45・・・が、相互に独立していてもよく、すなわち、連通していなくてもよく、コンテナ10内部における凝縮管部45、45、45・・・が、相互に連通して、一体化されていてもよい。
【0081】
次に、本発明の第8実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第1~第7実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
図9、10に示すように、第8実施形態例に係る冷却装置8では、凝縮管40に、二次冷媒30が貯留される二次冷媒貯留ブロック81が、さらに設けられている。なお、冷却装置8は、説明の便宜上、凝縮管40以外の部位は第3実施形態例に係る冷却装置と同じ構成としている。
【0082】
二次冷媒貯留ブロック81は、コンテナ10内部に設けられている。また、二次冷媒貯留ブロック81は、凝縮管40のうち、コンテナ10内部における凝縮管部45の二次冷媒30上流側端部(一端)に接続された第1の二次冷媒貯留ブロック81-1と、コンテナ10内部における凝縮管部45の二次冷媒30下流側端部(他端)に接続された第2の二次冷媒貯留ブロック81-2と、を有している。二次冷媒貯留ブロック81は、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2ともに、中空のブロック部材である。
【0083】
冷却装置8では、凝縮管40のうち、コンテナ10内部における凝縮管部45は、複数本(冷却装置8では4本)設けられ、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・は、相互に略同一平面状に並列配置されている。一方で、冷却装置8では、凝縮管40のうち、コンテナ10外部における凝縮管部46は、1系統(すなわち、1本)となっている。上記から、凝縮管40は、二次冷媒貯留ブロック81の部位にて分岐された態様となっている。
【0084】
図9、10に示すように、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・は、それぞれ、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1及び第2の二次冷媒貯留ブロック81-2と連通しており、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1と第2の二次冷媒貯留ブロック81-2は、それぞれ、コンテナ10外部における凝縮管部46と連通している。上記から、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1を介して、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・の一端は、コンテナ10外部における凝縮管部46と連通している。また、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1を介して、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・は、相互に連通している。第2の二次冷媒貯留ブロック81-2を介して、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・の他端は、コンテナ10外部における凝縮管部46と連通している。また、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2を介して、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・は、相互に連通している。また、冷却装置8では、必要に応じて、二次冷媒貯留ブロック81の外面に、複数の凹凸等、二次冷媒貯留ブロック81の外面の表面積を増大させることで、気相の一次冷媒との接触面積を増大させる二次冷媒貯留ブロック外面表面積増大部(図示せず)が形成されてもよい。
【0085】
図10に示すように、コンテナ10外部における凝縮管部46からコンテナ10内部へ流通した二次冷媒30は、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1内部へ流入後に所定時間貯留してから、それぞれのコンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・へ、分岐、流入する。それぞれのコンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・へ、分岐、流入した二次冷媒30は、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45、45・・・の一端から他端へ流れ、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2内部にて合流後に所定時間貯留してから、コンテナ10内部からコンテナ10外部における凝縮管部46へ流通する。第1の二次冷媒貯留ブロック81-1の二次冷媒30の流入口、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2の二次冷媒30の流出口の位置は、特に限定されないが、例えば、冷却特性の点から、平面視において発熱体100と重なり合う部位において二次冷媒30の早い流速が得られるように配置することが好ましい。
図10では、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1の二次冷媒30の流入口の位置は第1の二次冷媒貯留ブロック81-1の一方端、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2の二次冷媒30の流出口の位置は第2の二次冷媒貯留ブロック81-2の他方端に設けられているが、発熱体100がコンテナ10の底面16中央に位置する場合には、例えば、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1の二次冷媒30の流入口の位置は第1の二次冷媒貯留ブロック81-1の中央部、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2の二次冷媒30の流出口の位置は第2の二次冷媒貯留ブロック81-2の中央部に設けてもよい。
【0086】
また、二次冷媒貯留ブロック81は、コンテナ10と熱的に接続されている。冷却装置8では、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1及び第2の二次冷媒貯留ブロック81-2が、それぞれ、コンテナ10の内面15と接していることで、二次冷媒貯留ブロック81は、コンテナ10と熱的に接続されている。具体的には、冷却装置8では、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1及び第2の二次冷媒貯留ブロック81-2は、コンテナ10の側面14と接している
【0087】
図9に示すように、二次冷媒貯留ブロック81が設けられている冷却装置8では、コンテナ10の底面16に熱的に接続された発熱体100の熱Hは、発熱体100からコンテナ10の底面16へ伝達され、コンテナ10の底面16へ伝達された発熱体100の熱Hの一部は、コンテナ10の底面16から側面14へ伝達される。コンテナ10の底面16から側面14へ伝達された熱Hは、コンテナ10の側面14から二次冷媒貯留ブロック81中の二次冷媒30へ伝達され、受熱した二次冷媒30が二次冷媒貯留ブロック81からコンテナ10外部における凝縮管部46へ流通することで、発熱体100の熱Hが冷却装置8の外部へ輸送される。また、冷却装置8では、発熱体100の熱Hの一部はコンテナ10の底面16から側面14へ伝達されるので、コンテナ10の側面14が放熱部として機能する。すなわち、冷却装置8では、コンテナ10の外面12のうち、発熱体100が熱的に接続されていない外面も放熱部として機能できる。
【0088】
上記から、冷却装置8では、二次冷媒貯留ブロック81が発熱体100の熱Hを二次冷媒30へ伝達する機能を有するので、冷却特性がさらに向上する。また、冷却装置8では、コンテナ10の側面14が放熱部として機能するので、冷却特性がさらに向上する。なお、冷却装置8は、説明の便宜上、凝縮管40以外の部位は第3実施形態例に係る冷却装置と同じ構成としているが、凝縮管40以外の部位について、第1~第2、第4~6実施形態例に係る冷却装置と同じ構成としてもよい。
【0089】
次に、本発明の第9実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第1~第8実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
図11に示すように、第9実施形態例に係る冷却装置9では、本発明の第8実施形態例に係る冷却装置8のコンテナ10の外面12に、さらに放熱フィン90が設けられている。
【0090】
冷却装置9では、コンテナ10のうち、発熱体100が熱的に接続されていない外面12に、放熱フィン90が設けられている。すなわち、発熱体100が熱的に接続されていない外面12に、放熱フィン90が熱的に接続されている。冷却装置9では、放熱部として機能するコンテナ10の側面14に、複数の放熱フィン90、90、90・・・が設けられている。放熱フィン90の形状は、平板状、ピン状等、特に限定されないが、冷却装置9では、平板状の放熱フィン90が、並列配置されている。
【0091】
なお、冷却装置9では、コンテナ10の側面14だけではなく、コンテナ10の上面にも放熱フィン90が設けられている。
【0092】
冷却装置9では、コンテナ10の、発熱体100が熱的に接続されていない外面12に、さらに放熱フィン90が設けられていることにより、発熱体100が熱的に接続されていない外面12の放熱部としての機能がさらに向上し、結果、冷却装置9の冷却特性がさらに向上する。
【0093】
なお、第3、第6実施形態例の冷却装置では、コンテナ内面表面積増大部の板状フィンの形状は正方形または長方形であったが、これに代えて、板状フィンは、コンテナの内面と連続した基部が先端部よりも幅広の形状としてもよい。基部が先端部よりも幅広の板状フィンの形状としては、例えば、台形、三角形等が挙げられる。コンテナ内面表面積増大部は、その内部の部位ほど発熱体から伝達された熱により昇温しやすいところ、板状フィンが先端部よりも基部が幅広の形状であることにより、コンテナ内面表面積増大部の内部までコンテナ内面表面積増大部を浸漬している低温の冷媒が円滑に浸入する。従って、発熱体からコンテナ内面表面積増大部を浸漬している冷媒への熱伝達がより円滑化されて、冷却装置の冷却特性がさらに向上する。
【0094】
また、必要に応じて、上記各実施形態例について、一次冷媒の液相から気相への相変化を促進するために、コンテナの内面のうち、発熱体が熱的に接続され、一次冷媒により浸漬されている面の一部または全体の領域に、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の冷却装置は、装置の大型化を避けつつ優れた冷却特性を発揮できるので、広汎な分野で利用可能であり、例えば、中央演算処理装置(CPU)等、回路基板に搭載された発熱量の大きい電子部品を冷却する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0096】
1、2、3、4、5、6、7、8、9 冷却装置
10 コンテナ(第1のコンテナ)
11 気相部
20 一次冷媒
30 二次冷媒
40 凝縮管
50 コンテナ内面表面積増大部
60 熱輸送部材
61 第2のコンテナ
63 延出部
70 三次冷媒
81 二次冷媒貯留ブロック