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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】プローバおよびウェーハチャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20221208BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221208BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/68 P
B65G49/07 H
B65G49/07 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021104954
(22)【出願日】2021-06-24
(62)【分割の表示】P 2017057266の分割
【原出願日】2017-03-23
(65)【公開番号】P2021158380
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】西田 智哉
(72)【発明者】
【氏名】元山 崇
(72)【発明者】
【氏名】高橋 武孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 渉
(72)【発明者】
【氏名】石本 隆
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115376(JP,A)
【文献】特開2013-243326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/683
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ保持面を有するウェーハチャックと、前記ウェーハ保持面に対向する面に複数のプローブが配置されたプローブガードと、を備えたプローバであって、
前記ウェーハ保持面において正圧のエアーを供給する正圧ポートと、
前記ウェーハ保持面の一部の領域であって且つ前記ウェーハ保持面を分割した半円状の領域に開口した複数の供給口群から負圧のエアーを供給する負圧ポートと、
を備え
前記複数の供給口群が、前記ウェーハ保持面において前記ウェーハ保持面の中心位置を中心とする互いに径の異なる円周上に配置され、且つ前記円周の周方向に沿って等角度間隔に配置されるプローバ。
【請求項2】
ウェーハ保持面を有するウェーハチャックであって、
前記ウェーハ保持面において正圧のエアーを供給する正圧ポートと、
前記ウェーハ保持面の一部の領域であって且つ前記ウェーハ保持面を分割した半円状の領域に開口した複数の供給口群から負圧のエアーを供給する負圧ポートと、
を備え
前記複数の供給口群が、前記ウェーハ保持面において前記ウェーハ保持面の中心位置を中心とする互いに径の異なる円周上に配置され、且つ前記円周の周方向に沿って等角度間隔に配置されるウェーハチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ上に形成された複数のチップの電気的な検査を行うプローバおよびそのウェーハチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新しいパッケージの製造手段としてFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)が注目されている。この基板は、従来の円形の他、四角い形状で制作される場合がある。また、FOWLPの特徴として、片面は樹脂で成形されるため、どうしても反りが発生する。従来のチャックは、同心円状に溝を掘り、その溝に真空ラインをつないで吸着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-115376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のチャックでは、FOWLPの反ったウェーハを矯正することができず、吸着することが困難である。本発明は、反ったウェーハを矯正してチャックに吸着し、プロービングを可能にするプローバおよびウェーハチャックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ウェーハ保持面を有するウェーハチャックと、ウェーハ保持面に対向する面に複数のプローブが配置されたプローブガードと、を備えたプローバであって、ウェーハ保持面において、ウェーハ保持面のウェーハ保持領域の外周部近傍の位置で、ウェーハ保持面の外側に向かって斜めに開口し、正圧のエアーを供給する正圧ポートと、ウェーハ保持面で開口し、負圧のエアーを供給する負圧ポートと、を備えるプローバを提供する。
【0006】
上記プローバにおいて、負圧ポートは、ウェーハチャックのウェーハ保持面に同心円状に形成された溝のうち、ウェーハ保持面の一部の領域内の溝の底部で開口し、負圧のエアーを供給する穴を有することが好ましい。
【0007】
また、一部の領域はウェーハ保持面を分割した半円状の領域であることが好ましい。
【0008】
上記プローバは、正圧ポートに正圧のエアーを供給する正圧エアー供給部と、負圧ポートに負圧のエアーを供給する負圧エアー供給部と、負圧エアー供給部を制御して負圧ポートに負圧のエアーを供給させる間、正圧エアー供給部を制御して正圧ポートに正圧のエアーの供給を開始および終了させる制御部と、をさらに備えることが好ましい。
【0009】
また、負圧エアー供給部は異なる複数の経路で構成されることが好ましい。
【0010】
本発明は、ウェーハ保持面を有するウェーハチャックであって、ウェーハ保持面において、ウェーハ保持面のウェーハ保持領域の外周部近傍の位置で、ウェーハ保持面の外側に向かって斜めに開口し、正圧のエアーを供給する正圧ポートと、ウェーハ保持面で開口し、負圧のエアーを供給する負圧ポートと、を備えるウェーハチャックを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、FOWLPの反ったウェーハを矯正し、反ったウェーハを矯正してチャックに吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】プローバ1の構成を示した上面図
図2】ウェーハチャック20の上面斜視図
図3】ウェーハチャック20の断面図
図4】反ったウェーハWの吸着の原理を示す図
図5】反ったウェーハWの吸着の流れを示す図
図6】正圧および負圧供給のオン・オフパターンの組み合わせの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に従って本発明に係るプローバの好ましい実施形態について詳説する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態のプローバ1の構成を示した上面図である。
【0015】
〔プローバ1の構成〕
プローバ1は、プローバ本体部2とローダ部3とで構成されており、ウェーハWを保持するウェーハチャック20と、ウェーハWの表面に形成された図示しないダイを電気的に検査するプローブカード10と、ウェーハWをウェーハチャック20に搬送するウェーハ搬送手段100と、ウェーハWを収容するウェーハカセット30と、を備えている。
【0016】
ウェーハチャック20は、図示しない公知の移動ステージ上に載置されており、プローバ本体部2内を3次元方向に移動することができる。
【0017】
プローブカード10は、プローブ210を介してダイと図示しないテスタとを接続してダイを電気的に検査する。プローブカード10は、プローバ本体部2内の所定の位置に固定されており、ウェーハWのプロービングの際には、ウェーハチャック20が、プローブカード10の下方に移動し、ウェーハチャック20が上昇してプローブカード10に接近することで、プローブ210がダイに押し当てられるようになっている。
【0018】
ウェーハ搬送手段100は、保持アーム110と、ロード/アンロードアームとしてのロードアーム120とアンロードアーム130と、を備えている。
【0019】
保持アーム110は、プローバ本体部2の側壁2aに展開可能に取り付けられており、使用時には水平に展開され、不使用時にはプローバ本体部2の側壁2aに沿って折り畳まれる。これにより、プローバ本体部2を省スペースで設置することができる。保持アーム110は、ロードアーム120によってウェーハカセット30から取り出された検査前のウェーハWを受け取り、ウェーハチャック20に受け渡す。また、保持アーム110は、検査後のウェーハWをウェーハチャック20から受け取り、アンロードアーム130に受け渡す。
【0020】
ロードアーム120とアンロードアーム130とは、ローダ部3内に配置された図示しないロボットの先端に取り付けられており、ロボットの伸縮動作に応じてプローバ本体部2とローダ部3との間を移動することができる。本実施例に係るロードアーム120とアンロードアーム130とは、互いに独立して設けられているが、一体であっても構わない。ロードアーム120とアンロードアーム130とを互いに独立して設けることにより、保持アーム110が検査後のウェーハWと検査前のウェーハWとをスムーズに交換して、ウェーハWの取り出し、収容を円滑に行うことができる。
【0021】
ロードアーム120は、ウェーハカセット30内に収容されている検査前のウェーハWを乗載して保持アーム110まで搬送する。
【0022】
アンロードアーム130は、検査後のウェーハWを保持アーム110から受け取りウェーハカセット30まで搬送する。
【0023】
〔ウェーハチャック20の構成〕
図2はウェーハチャック20の上面斜視図である。ウェーハチャック20は、5系統の真空経路23a・23b・23c・23d・23eを含む真空経路23、5系統の真空経路23a・23b・23c・23d・23eにそれぞれ対応する供給口群40a・40b・40c・40d・40eからなる供給口群40、吸着溝19、12インチ用ベルヌーイポート41、8インチ用ベルヌーイポート42、12インチ用ベルヌーイ経路43、8インチ用ベルヌーイ経路44を備える。
【0024】
供給口群40a・40b・40c・40d・40eは、ウェーハチャック20のウェーハWの保持面18を半分に分けた半円状の部分領域XおよびYのうち、Yのみに配置されている。供給口群40a・40b・40c・40d・40eは、それぞれ径の異なる円周に沿って等間隔で配置されている。これは、ったウェーハWを保持面18に吸着するときに、真空吸着の流量をより多く確保するためである。供給口群40eよりも同心円内側が12インチウェーハWの吸着領域となり、供給口群40cよりも同心円内側が8インチウェーハWの吸着領域となる。
【0025】
供給口群40はより多い方が流量は多くなるが、ウェーハチャック20周辺には他の部材も多く配置されているので、上記のような供給口群40の配置が好適である。
【0026】
12インチ用ベルヌーイポート41および8インチ用ベルヌーイポート42は、ともにベルヌーイ効果を生じさせるための正圧のエアーを保持面18外側に吹き出す穴である。
【0027】
図3はウェーハチャック20の断面図である。図3の(a)部分に示すように、真空経路23bはウェーハチャック20に横から穴をあけて、保持面18に同心円状に形成された吸着溝19の底部と接続される。吸着溝19と真空経路23、バルブ24および真空源25とを接続する上下の穴の位置は、真空経路23a~23eで異なる。この図では、供給口群40bの場合を示している。一例として、吸着溝19の幅は0.8mm程度とすることができる。
【0028】
また、図3の(b)部分に示すように、12インチ用ベルヌーイ経路43は、ウェーハチャック20の保持面18の内側から外側に向かう斜めの穴41と接続される。一例として、穴41の径は直径0.6mm程度、穴41と保持面18との角度は22.5°程度とすることができる。12インチ用ベルヌーイ経路43は、バルブ26およびエアー供給源27とも接続されている。図示は省略するが、8インチ用ベルヌーイポート42と8インチ用ベルヌーイ経路44、バルブ26およびエアー供給源27とをつなぐ斜め穴も同様にウェーハチャック20に形成される。真空源25による負圧の供給およびエアー供給源27による正圧の供給は、制御部28により制御される。
【0029】
図4はウェーハチャック20への反ったウェーハWの吸着の原理を示す。ベルヌーイポート41または42から正圧のエアを吹きだすと、ウェーハWの下のエアの流れが速くなり、ウェーハWの下の圧力が上の圧力よりも小さくなって、ウェーハWに対する下向きの力が発生する(ベルヌーイ効果)。これにより、ウェーハWの反りが保持面18に向けて矯正される。
【0030】
図5はウェーハチャック20への反ったウェーハWの吸着の流れを示す。まず、図5の(a)部分のように、反ったウェーハWの反りの中心を、真空経路23から吸着溝19に供給される負圧により吸着する(段階1)。一例として、負圧は-90kPa程度である。
【0031】
次に、図5の(b)部分のように、ウェーハWの反りの中心から外側に向かって、真空経路23から吸着溝19に供給される負圧により吸着する(段階2)。ただし、反りが強いと、ウェーハWの外側全てが吸着されるわけではない。
【0032】
そこで、次に、図5の(c)部分のように、ウェーハWのサイズに応じて、12インチ用ベルヌーイポート41または8インチ用ベルヌーイポート42に0.4MPa程度の正圧を短時間(数十msec程度)供給し、ウェーハWの外側でベルヌーイ効果を生じさせることによって、ウェーハWの外側の反りを矯正する(段階3)。この間も真空経路23からは負圧が供給されているので、矯正とほぼ同時にウェーハWが保持面18に吸着される。
【0033】
最後に、図5の(d)および(e)部分のように、12インチ用ベルヌーイポート41または8インチ用ベルヌーイポート42への正圧供給を停止し、ウェーハWの外側を吸着溝19に吸着させる(段階4)。実際には、供給口群40に近いY領域の方が吸着溝19への吸着力が強いため、まず図5の(d)部分のように、Y領域からウェーハWの吸着が開始し、その後図5の(e)部分のように、X領域でもウェーハWの吸着がされる。なお、供給口群40が保持面18の全体に渡って均等に配置されている場合は、ウェーハWのどの場所も同時期に吸着がされる。
【0034】
12インチ用ベルヌーイポート41または8インチ用ベルヌーイポート42のいずれに正圧を供給するかは、ウェーハWのサイズに応じて制御部28が制御する。図6は、制御部28がウェーハWのサイズに応じた12インチ用ベルヌーイポート41または8インチ用ベルヌーイポート42への正圧供給のオン・オフパターンと、真空経路23による負圧供給のオン・オフパターンの組み合わせの一例を示す。ウェーハWのサイズは、ボタン操作などによりユーザによって予め制御部28に入力される。
【0035】
以上のように、本実施形態のプローバ1およびウェーハチャック20によると、反ったウェーハWの外側がベルヌーイ効果で矯正され、反りの矯正されたウェーハWを保持面18に吸着することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…プローバ、19…吸着溝、20…ウェーハチャック、23…真空経路、40…供給口、41…12インチ用ベルヌーイポート、42…8インチ用ベルヌーイポート、43…12インチ用ベルヌーイ経路、44…8インチ用ベルヌーイ経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6