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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】シート取り扱い装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20221208BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20221208BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B65H5/06 D
B65H3/06 330A
B65H3/06 330G
G03G15/00 405
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019010401
(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2020117365
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】木村 一平
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-020963(JP,A)
【文献】特開2003-089442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00 - 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付軸の端部に着脱可能なローラを有するシート取り扱い装置において、
取付軸の端部に圧入又は嵌合により接合して設けられ、先端部分に爪部を備える接合部材を備え、
前記取付軸は端部に周方向に延びる溝を備えた接合用の小径部を有し、
前記接合部材は、金属などからなる前記取付軸に比してやわらかい部材であり、かつ、前記溝の段差面に当接してスラスト方向の接合位置を規制する爪を有し、
ローラの円筒形状の内周面と取付軸の外周面とを当接させた状態で、
前記爪部によりローラの取付軸スラスト方向への位置決めがなされることを特徴とするシート取り扱い装置。
【請求項2】
前記ローラの内周面におけるスラスト方向の一部の幅領域に対し前記取付軸の外周面が当接する請求項1に記載のシート取り扱い装置。
【請求項3】
前記ローラはハブ上にローラ部を備えており、前記ハブの内周面におけるスラスト方向の前記ローラ部全部の幅領域に対し前記取付軸の外周面が当接する請求項1または2に記載のシート取り扱い装置
【請求項4】
接合部材の外周面の径は、取付軸の外周面の径より小さい請求項1乃至3のいずれか一に記載のシート取り扱い装置。
【請求項5】
取付軸と接合部材の接合手段は、圧入構成である請求項1乃至4のいずれか一に記載のシート取り扱い装置。
【請求項6】
取付軸と接合部材の接合手段は、樹脂弾性を用いた嵌合構成である請求項1乃至5のいずれか一に記載のシート取り扱い装置。
【請求項7】
前記取付軸と前記接合部材は回転方向の規制手段を備える請求項1乃至6のいずれか一に記載のシート取り扱い装置。
【請求項8】
前記規制手段は、Dカット形状によって規制するものである請求項7に記載のシート取り扱い装置。
【請求項9】
前記規制手段は、ピン形状によって規制するものである請求項7に記載のシート取り扱い装置
【請求項10】
求項1乃至のいずれか一に記載のシート取り扱い装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート取り扱い装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート給紙装置、シート分離装置、シート搬送装置などのシート取り扱い装置や、このようなシート取り扱い装置を備えた画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1には、取付軸の端部に着脱可能なローラを有する次のような給紙装置が開示されている。外周面が円錐形状であって該円錐形状の先端に爪部を備える接合部材が前記取付軸の端部に設けられている。前記ローラの内周面は前記接合部材の外周面形状に対応する形状である。前記接合部材の外周面と前記ローラの内周面を当接させた状態で、前記爪部により前記ローラの前記取付軸スラスト方向への位置決めがなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、経時でジャムの発生などによりシートの取り扱いが不安定になるという課題が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、取付軸の端部に着脱可能なローラを有するシート取り扱い装置において、取付軸の端部に圧入又は嵌合により接合して設けられ、先端部分に爪部を備える接合部材を備え、前記取付軸は端部に周方向に延びる溝を備えた接合用の小径部を有し、前記接合部材は、金属などからなる前記取付軸に比してやわらかい部材であり、かつ、前記溝の段差面に当接してスラスト方向の接合位置を規制する爪を有し、ローラの円筒形状の内周面と取付軸の外周面とを当接させた状態で、前記爪部によりローラの取付軸スラスト方向への位置決めがなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、経時で安定したシートの取り扱いができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係るシート給送装置が適用される画像形成装置の概略構成図。
図2】同給送装置の拡大図。
図3】同給送機構の説明図。
図4】比較例の説明図。
図5】実施例1のスラスト規制構造の説明図。
図6】同スラスト規制構造における接合部材と取付軸の接合箇所の説明図。
図7】同スラスト規制構造の縦断面図。
図8】実施例2のスラスト規制構造の説明図。
図9】同スラスト規制構造における接合部材と取付軸の接合箇所の説明図。
図10】同スラスト規制構造の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を画像形成装置のシート取り扱い装置である給送装置に適用した実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るシート給送装置が適用される画像形成装置の概略構成図である。原稿Dは、原稿搬送部10によって、図中の矢印方向に搬送(給送)されて、原稿読込部2上を通過し、原稿読込部2で画像情報が光学的に読み取られる。読み取られた画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、露光部3(書込部)から作像部4の感光体ドラム5上に照射される。作像部4において、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。形成された画像は、給送装置から搬送されたシートP上に転写部7で転写される。転写工程後のシートPは、定着装置20でトナー像が定着され、排紙トレイ31上に積載される。
【0008】
装置本体1には複数の給送装置12、13が設けられている。これらはほぼ同様の構成となっている。給送装置13には、載置部43(昇降板)、載置部43に載置されたシートPを給送するための給送手段としての給送機構52、等が設置されている。
【0009】
図2は給送装置13における給送機構52の拡大図である。給送機構52は、フィードローラ53、ピックアップローラ54、分離ローラ55等で構成されたいわゆるFRR給紙方式のものである。ピックアップローラ54は、アーム58やソレノイドにより載置部43に載置されたシートP(最上方のシートP1)に対して接離可能に構成されている。分離ローラ55は、フィードローラ53との間のニップ部に複数枚のシートPが挟持されたときに、その複数枚のシートPのうち最上方のシートPのみがフィードローラ53の回転に沿って給送方向に給送されるように下方のシートPを最上方のシートPに対して分離させる分離部材として機能する。符号59は給送機構52から送られたシートを搬送する搬送ローラを示す。
【0010】
図3は給送機構の説明図であり、(a)は載置部側からの斜視図、(b)は反対側からの斜視図、(c)は(b)における分離ローラ55の駆動伝達部の拡大図である。図3(c)に示す分離ローラ55の取付軸60には、ギヤ61とトルクリミッタ62とが設置されている。このギヤ61と噛み合うギヤ63が設置された駆動伝達軸64が平行に伸びるように設けられている。この駆動伝達軸64の装置奥側端には大径ギヤ65が設置されている。この大径ギヤ65にモータから駆動が伝達され、ギヤ63とギヤ61を介して分離ローラ55の取付軸60に駆動が伝達される。フィードローラ53には大径ギヤ65と噛み合うフィードローラ53の取付軸に設置した大径ギヤを介して駆動が伝達される。ピックアップローラ54にはフィードローラの取付軸に設置された小径ギヤ、アイドラギヤ、ピックアップローラの取付軸に設置されたギヤというように駆動が伝達される。
【0011】
分離ローラ55の取付軸60に設置されたトルクリミッタ62はモータからの駆動を分離ローラ55に伝達したり遮断したりする。フィードローラ53と分離ローラ55とのニップ部に1枚のシートPが挟持されたときや、シートPが挟持されていないときは、分離ローラ55にかかる回転負荷が比較的大きく、モータから分離ローラ55への駆動伝達を遮断する。このとき、分離ローラ55はトルクリミッタ56に対して空転しフィードローラ53に連れ回る。ニップ部に複数枚のシートPが挟持されたときには、シートP同士のすべりで分離ローラ55にかかる回転負荷が比較的小さくモータから分離ローラ55に駆動を伝達する。これにより、ニップ部に挟まれた複数枚のシートPのうち、最上方のシートP1を除く下方のシートを載置部43に戻す。
【0012】
図3(a)や(b)に示すように、フィードローラ53、ピックアップローラ54、及び、分離ローラ55は、それぞれ、本体フレームに対して片持ち式に支持された軸の自由端側に差し込まれた形で保持されている。それぞれ、軸部上にゴム材料(又は、樹脂材料)で形成されたローラ部(コロ部)が、取付軸に対して着脱可能(交換可能)に形成されている。これらのローラは、画像形成装置本体の寿命よりも寿命が短く、市場で交換されることがあるため、交換性やメンテナンス性を良くするものである。図3(c)に分離ローラ55について示すように軸の自由端側から抜けないようにローラのスラスト方向の位置を規制するための止め輪66が取付軸60に取り付けられている。この止め輪方式は比較例の構造であり、実施形態に係るスラスト規制構造は後に詳述する。
【0013】
図4は比較例の説明図であり、(a)は図3(c)の分離ローラ近傍の拡大図、(b)はその分離ローラ55を取り外した分解斜視図である。金属の取付軸60の端部に分離ローラ55が挿入され、取付軸60に設けた溝67に止め輪66がパッチン止めされている。この止め輪66で分離ローラ55のスラスト方向における外側の位置規制を行っている。反対側のスラスト規制は、取付軸60にスプリングピン68を設け、スプリングピン68と係合したトルクリミッタ62によりなされている。
【0014】
この比較例のように止め輪66を用いるやり方では、特許文献1とは異なる次の問題が残されている。金属の取付軸60に設けた溝67に、止め輪66を着脱する作業は、操作性が悪い環境下で行われるこが多い。ローラを搭載している箇所はマシンレイアウトの下方でアクセスしにくい場所になっている。作業スペースは狭いことが多いうえ、明るさも暗いことが多い。このように操作性が悪いため、止め輪66をうまく着脱できない。止め輪66から手を滑らせて落下させ、マシン内に紛失してしまい、探索作業を行わないといけないこともある。
【0015】
なお、特許文献1の構造で、上述の経時でジャムの発生などによりシートの取り扱いが不安定になるという課題が生じるのは、次の理由による。ローラ内周面に当接してローラを直接保持するのが、取付軸の端部に設けた接合部材であるため、取付軸に対するローラの中心位置の精度を出しにくい。この中心位置の振れにより経時でローラのゴム部が偏磨耗してローラの外径が変化する。この結果、磨耗によるジャムが発生しやすくなったのである。上述の比較例は、取付軸の外周面でローラ内周面を直接受けるので中心位置の精度は出しやすい。
【0016】
本実施形態のスラスト規制構造では、ローラの着脱構成におけるスラスト規制を、止め輪と異なり作業性の低下を招くことがなく、また、取付軸に対するローラ位置精度も出やすい構造で行うものである。
【0017】
〔実施例1〕
スラスト規制構造の一実施例(実施例1)について説明する。
図5は実施例1の軸部自由端からの抜け止めスラスト規制構造を分離ローラに適用した例の説明図であり、(a)は分離ローラ近傍の拡大斜視図、(b)は分離ローラを取り外した分解斜視図である。金属の取付軸に、樹脂製の接合部材70が接合され、その外周に分離ローラ55が挿入によって装置着される。接合部材70に先端に規制用爪部71が設けられ、この規制用爪部71が分離ローラ55の自由端側の端面部に係合することでスラスト方向における外側の位置が規制される。
【0018】
図6は接合部材70と取付軸60の接合箇所の説明図であり、(a)は接合部材を取り外した分解斜視図、(b)は(a)の状態から中心線回りで180度回転させた状態の斜視図である。取付軸60は先端部に接合用小径部80を有する。接合用小径部80には軸方向全幅に亘って平坦なDカット部81が形成されている。このDカット部81以外の接合用小径部80の外周面には周方向に延びる溝82が形成されている。
【0019】
接合部材70の後端側には、後端側が開口し、取付軸60の接合用小径部80に対応した内周面を備えた挿入用穴部72が形成されている。この挿入用穴部72の周りの周壁部が部分的に切り欠かれた切り欠き部73を有し、残った周壁部分で接合用爪部74が形成されている。また先端部には先端が開口した中空部75が形成されている。中空部75の周りの周壁部が部分的に切り欠かれた切り欠き部76を有し、残りの周壁部分の先端外周に規制用爪部71が形成されている。
【0020】
図7は取付軸の中心線に沿った縦断面図であり、(a)は図6(a)の縦断面図、(b)は図5(a)の縦断面図である。図7(a)に示すように取付軸60の外径Dは接合部材70の外径Dよりも大きい。取付軸60の外径Dの部分と接合用小径部80(Dカット部81を含む)との間に小径段差面83が形成される。また接合用小径部80における溝82の先端側に溝段差面84が生じる。図7(b)に示すようにこの小径段差面83に接合部材70の後端面77が突き当たり、取付軸60に対する図中右側の接合部材70の位置が規制される。接合用爪部74の先端78が溝段差面84に突き当たることにより図中左側の接合部材70の位置が規制される。つまり、金属の取付軸に設けた溝に接合部材の爪形状が嵌合し接合される。このような接合部材70の取付軸60に対する接合手段は圧入(軽圧入)を用いている。
【0021】
また、図7(b)に示すように、取付軸60のDカット部81に対応する形状が接合部材70の挿入用穴部72の内周面79に形成されている。Dカット部81とこの内周面79が当接することにより、接合部材70が取付軸60と一体回転可能になっている。つまり、金属の取付軸と接合部材とが、金属の取付軸に設けたDカット形状で回転が規制されて回転方向でも接合されている。そして、中空部75や切り欠き部76の存在により規制用爪部71に力Fを加えると規制用爪部71が樹脂弾性を利用して変形することが可能である。分離ローラ着脱時に弾性変形させることにより、スラスト規制の有無を変えることができる。具体的には、爪全体が分離ローラ端面の孔径内に収まるように取付軸の半径方向にすぼめるように弾性変形させる。
【0022】
このような接合部材70の外周に分離ローラ55の内周面が当接するように取り付けられる。具体的には、図示の例ではゴム製のローラ部90の中心孔に孔部材であるハブ91が嵌着されていおり、このハブ91の内周面が分離ローラ55の内周面として接合部材70の外周面に当接している。両者の当接の力は規制用爪部71による規制を解除した状態で分離ローラ55をスムーズに取り出せる程度の当接力である。
【0023】
以上の実施例1のスラスト規制構造によれば、図7に示すように、金属の取付軸に設けた溝82に接合部材70の接合用爪部74が嵌合し接合されている部分は、分離ローラ55の軸方向の長さである幅範囲の周面内であるが、取付軸60の外径Dは接合部材70の外径Dよりも大きいので、分離ローラ55の内周面内と接合部材の外周面が接触せず、分離ローラ55の内周面を取付軸60のみで保持できる。よって、取付軸に対するローラ位置精度も出やすく、経時で分離ローラ55のゴム製のローラ部90が偏磨耗しにくく、分離ローラ55の外径が変化しにくく、磨耗によるジャムを防止することができる。そして、スラスト規制のための規制用爪部71が取付軸60に接合されている接合部材70に形成されているので、止め輪と異なり作業性の低下を招くことがない。よって、ローラ着脱時の操作性が大幅に改善される。しかも、規制用爪部71は、止め輪よりも省スペースな構成を実現できるため、周辺部品のレイアウト制約も減らすことが可能となる。
【0024】
また、スラスト規制をしている部分は、接合部材70に設けた規制用爪部71と分離ローラ55の樹脂製のハブ91という樹脂部との摺動となるため、磨耗による耐久性はよく、高耐久な装置を提供できる。
【0025】
また、金属の取付軸60に分離ローラ55を保持するので、トルクリミッタやワンウエィクラッチや駆動伝達を搭載することも容易に実現できる。
【0026】
また、分離ローラ55の形状を変更することが無く、共通品を使用できるため、生産個数拡大によるコストダウンやバックコンパチができる。
【0027】
また、取付軸と接合部材の接合手段として、樹脂弾性を用いた圧入(軽圧入)構成という簡易な構成を採用しているので、接合部材が破損した場合などの交換も容易にできる。軸方向の接合の強さは、接合部材70からのローラ部の取り外し(接合部材70の先端側への抜き取り)のときに分離ローラ55から接合部材70に加わる、軸方向自由端側への力に抗して取付軸60との係合を維持できる程度の強さである。
【0028】
また、取付軸60と接合部材70の回転方向の規制手段は、ピン形状(割りピン、平行ピン)によるので、取付軸と接合部材の回転による磨耗を防止することができる。
【0029】
なお、取付軸60と接合部材70の接合手段、及び、取付軸60と接合部材70の回転方向の規制手段は、接着による構成でもかまわない。これによれば、簡易な構成で、取付軸と接合部材の接合、及び、取付軸と接合部材の回転方向の規制ができ、接合部材の外れを防止や取付軸と接合部材の回転による磨耗を防止することができる。
【0030】
また、取付軸と接合部材の接合手段、及び、取付軸と接合部材の回転方向の規制手段は、取付軸に対するアウトサート成型により接合部材を構成でもよい。これによれば、取付軸と接合部材の接合、及び、取付軸と接合部材の回転方向の規制ができ、相対位置精度も高くすることができ、接合部材の外れを防止や取付軸と接合部材の回転による磨耗を防止することができる。
【0031】
〔実施例2〕
次にスラスト規制構造の他の実施例(実施例2)について説明する。図8乃至図10はこの実施例の説明図であり、実施例1の図5乃至図7に対応する。具体的には、図8は実施例2の軸部自由端からの抜け止めスラスト規制構造を分離ローラに適用した例の説明図であり、(a)は分離ローラ近傍の拡大斜視図、(b)は分離ローラを取り外した分解斜視図である。図9は接合部材70と取付軸60の接合箇所の説明図であり、(a)は接合部材を取り外した分解斜視図、(b)は(a)の状態から中心線回りで180度回転させた状態の斜視図である。図9は取付軸の中心線に沿った縦断面図であり、(a)は図9(a)の縦断面図、(b)は図8(a)の縦断面図である。
【0032】
この実施例は図10(b)に、実施例1の取付軸60の先端を比較のために仮想線(二点鎖線)で示すように、実施例1によりも取付軸60の先端部の長さ(分離ローラ55の図中右側の位置を規制するトルクリミッタ62から先端までの長さ)が、図中Lで示す長さだけ長くなっている。取付軸60の接合用小径部80が、分離ローラ55のローラ部90の幅よりも外側に位置し、ローラ部90の全部の幅領域(幅全域)で取付軸60の外周とハブ91の内周面とが当接できるようにしたものである。これにあわせ、接合部材70の規制用爪部71と係合するハブ91の内筒部91aも先端側に長さLだけ長くしている。これにより、取付軸60の大径の軸部によりローラ部90の幅に対応する内周面全体が支持される。また、分離ローラ55のハブ91のLだけ延び出した先端の端面に規制用爪部71が係合してスラスト規制できる。実施例1よりも金属の取付軸が長く、分離ローラの内周面を取付軸のみで保持できるので、より分離ローラの位置精度が出やすく、経時でローラのゴム部が偏磨耗しにくく、ローラの外径が変化しにくいので、磨耗によるジャムを防止することができる。
【0033】
以上、各実施例は分離ローラ55に関するものであるが、同様のスラスト規制構造は、フィードローラ53、ピックアップローラ54、更には搬送ローラ59などにも適用できる。この場合、取付軸に対して回転規制が不要なローラの場合には、ローラと接合部材との間、あるいは、接合部材と取付軸との間の回転規制の構成は不要である。
【0034】
また、各実施例では取付軸が金属製であるため、十分な強度を得られ、かつ、外周面の平滑性をえることができる。これに代え、樹脂製の取付軸をもちいてもよい。この場合に、接合部材やハブも樹脂製であれば、接合部材やハブと、取付軸との間の当接箇所が、何れも樹脂であることから、金属と樹脂との当接に比べて、削れによる摩耗を抑制できる。また、この場合には、一般に樹脂はやわらかものほど変形しやすいので、接合部材をやわらかい樹脂で形成し、取付軸が硬い樹脂で形成することが望ましい。
【0035】
また、各実施例は給送装置に適用した例であるが、画像形成装置、あるいは、他の装置に備えられる他のシート取り扱い装置にも適用できる。
【0036】
なお、以上の説明で「画像形成装置」とは、画像を記録する記録媒体であるシートに現像剤やインクを付着させて画像形成を行う装置を意味する。また「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。また、「シート」とは、紙(用紙)に限らず、OHPシート、布なども含み、現像剤やインクを付着させることができる媒体あるいは原稿の意味である。また、「用紙」とは、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。以下の実施形態ではシートを「用紙」として説明し、また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。また、各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0037】
31 :排紙トレイ
43 :載置部
52 :給送機構
53 :フィードローラ
54 :ピックアップローラ
55 :分離ローラ
56 :トルクリミッタ
58 :アーム
59 :搬送ローラ
60 :取付軸
61 :ギヤ
62 :トルクリミッタ
63 :ギヤ
64 :駆動伝達軸
65 :大径ギヤ
66 :止め輪
67 :溝
68 :スプリングピン
70 :接合部材
71 :規制用爪部
72 :挿入用穴部
73 :切り欠き部
74 :接合用爪部
75 :中空部
76 :切り欠き部
77 :後端面
78 :先端
79 :内周面
80 :接合用小径部
81 :Dカット部
82 :溝
83 :小径段差面
84 :溝段差面
90 :ローラ部
91 :ハブ
91a :内筒部
D :原稿
D0 :外径
D1 :外径
F :力
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【文献】特開2003-89442号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10