(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】シート受渡装置、シート折り装置、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 29/52 20060101AFI20221208BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B65H29/52
B65H37/06
(21)【出願番号】P 2019014770
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】重本 昌洋
(72)【発明者】
【氏名】馬場 達
(72)【発明者】
【氏名】林 里史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 達彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽子
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-204116(JP,A)
【文献】特開2010-168209(JP,A)
【文献】特開2013-124158(JP,A)
【文献】特開2018-048028(JP,A)
【文献】特開平04-064554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/00-15/24
B65H 5/00
5/04
5/08- 5/20
5/24- 5/38
29/52
37/00-37/06
41/00
45/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置であって、
前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが第1所定値となるようにシートをガイドする第1ガイド位置と、前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが前記第1所定値よりも長い第2所定値となるようにシートをガイドする第2ガイド位置と、の間を移動可能な可動ガイド部材
と、
前記可動ガイド部材が前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動するように付勢する付勢部材と、
前記付勢部材の付勢に抗するように前記可動ガイド部材を前記第1ガイド位置に移動した状態に維持するロック機構と、
を備え、
前記可動ガイド部材は、
前記第2ガイド位置に移動した状態から、前記画像形成装置から前記後処理装置に至るシートの長さが短くなるときに、当該シートから受ける力によって、前記付勢部材による付勢に抗するように前記第1ガイド位置に移動し、
前記画像形成装置から排出されるシートの先端が前記後処理装置に搬入された後に、前記ロック機構の解除によって前記付勢部材の付勢により前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動可能になることを特徴とするシート受渡装置。
【請求項2】
画像形成装置から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置であって、
前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが第1所定値となるようにシートをガイドする第1ガイド位置と、前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが前記第1所定値よりも長い第2所定値となるようにシートをガイドする第2ガイド位置と、の間を移動可能な可動ガイド部材と、
前記可動ガイド部材が前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動するように付勢する付勢部材と、
前記付勢部材の付勢に抗するように前記可動ガイド部材を前記第1ガイド位置に移動した状態に維持するロック機構と、
を備え、
前記可動ガイド部材は、
前記第2ガイド位置に移動した状態から、前記画像形成装置から前記後処理装置に至るシートの長さが短くなるときに、当該シートから受ける力によって、前記付勢部材による付勢に抗するように前記第1ガイド位置に移動し、
前記画像形成装置から排出されるシートの先端が前記後処理装置の内部において最上流側に設置された搬送ローラ対に挟持された後に、前記ロック機構の解除によって前記付勢部材の付勢により前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動可能になることを特徴とするシート受渡装置。
【請求項3】
前記付勢部材の付勢力を調整可能な調整機構を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート受渡装置。
【請求項4】
画像形成装置から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置であって、
前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが第1所定値となるようにシートをガイドする第1ガイド位置と、前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが前記第1所定値よりも長い第2所定値となるようにシートをガイドする第2ガイド位置と、の間を移動可能な可動ガイド部材を備え、
前記可動ガイド部材は、前記画像形成装置から前記後処理装置に至るシートの長さに応じて、前記第1ガイド位置と前記第2ガイド位置との間を前記画像形成装置の側に設けられた支軸を中心にして回動可能に構成され、
前記第2ガイド位置に回動した前記可動ガイド部材によってガイドされるシートを、前記後処理装置に向けて案内する固定ガイド部材と、
前記固定ガイド部材において前記第2ガイド位置に回動した前記可動ガイド部材の先端部に対向する位置に設置されたシート検知センサと、
を備えたことを特徴とするシート受渡装置。
【請求項5】
前記後処理装置は、シートに対して折り処理を施すシート折り装置であって、
前記シート検知センサによってシートが検知されたタイミングをトリガーにして前記シート折り装置による折り処理のタイミングが制御されることを特徴とする請求項4に記載のシート受渡装置。
【請求項6】
画像形成装置から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置であって、
前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが第1所定値となるようにシートをガイドする第1ガイド位置と、前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが前記第1所定値よりも長い第2所定値となるようにシートをガイドする第2ガイド位置と、の間を移動可能な可動ガイド部材を備え、
前記可動ガイド部材は、前記画像形成装置から前記後処理装置に至るシートの長さに応じて、前記第1ガイド位置と前記第2ガイド位置との間を移動するように構成され、
前記可動ガイド部材は、幅方向に並設された複数の可動ガイド部材であって、
前記複数の可動ガイド部材のうち、前記画像形成装置から前記後処理装置に向けて搬送されるシートの幅方向のサイズに対応する可動ガイド部材が、前記画像形成装置から前記後処理装置に至る当該シートの長さに応じて、前記第1ガイド位置と前記第2ガイド位置との間を移動するように構成されたことを特徴とするシート受渡装置。
【請求項7】
画像形成装置から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置であって、
前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが第1所定値となるようにシートをガイドする第1ガイド位置と、前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが前記第1所定値よりも長い第2所定値となるようにシートをガイドする第2ガイド位置と、の間を移動可能な可動ガイド部材を備え、
前記可動ガイド部材は、前記画像形成装置から前記後処理装置に至るシートの長さに応じて、前記第1ガイド位置と前記第2ガイド位置との間を移動するように構成され、
前記第1ガイド位置に位置した前記可動ガイド部材によって形成される搬送経路が、略垂直方向の上方から下方に向かう搬送経路であることを特徴とするシート受渡装置。
【請求項8】
前記可動ガイド部材が前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動するように付勢する付勢部材を備え、
前記可動ガイド部材は、前記第2ガイド位置に移動した状態から、前記画像形成装置から前記後処理装置に至るシートの長さが短くなるときに、当該シートから受ける力によって、前記付勢部材による付勢に抗するように前記第1ガイド位置に移動することを特徴とする請求項4~請求項7のいずれかに記載のシート受渡装置。
【請求項9】
前記付勢部材の付勢に抗するように前記可動ガイド部材を前記第1ガイド位置に移動した状態に維持するロック機構を備え、
前記可動ガイド部材は、前記画像形成装置から排出されるシートの先端が前記後処理装置に搬入された後に、前記ロック機構の解除によって前記付勢部材の付勢により前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動可能になることを特徴とする請求項8に記載のシート受渡装置。
【請求項10】
前記付勢部材の付勢に抗するように前記可動ガイド部材を前記第1ガイド位置に移動した状態に維持するロック機構を備え、
前記可動ガイド部材は、前記画像形成装置から排出されるシートの先端が前記後処理装置の内部において最上流側に設置された搬送ローラ対に挟持された後に、前記ロック機構の解除によって前記付勢部材の付勢により前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動可能になることを特徴とする請求項8に記載のシート受渡装置。
【請求項11】
前記付勢部材の付勢力を調整可能な調整機構を備えたことを特徴とする請求項8~請求項10のいずれかに記載のシート受渡装置。
【請求項12】
前記画像形成装置と前記後処理装置との間で通信する通信手段が設けられておらず、
前記画像形成装置から排出されるシートの搬送速度が一定でないことを特徴とする請求項1~請求項11のいずれかに記載のシート受渡装置。
【請求項13】
シートに対して折り処理を施す前記後処理装置としてのシート折り装置であって、
請求項1~請求項12のいずれかに記載のシート受渡装置を備えたことを特徴とするシート折り装置。
【請求項14】
前記画像形成装置と、前記後処理装置と、請求項1~請求項12のいずれかに記載のシート受渡装置と、を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置と、それを備えたシート折り装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成システムと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置から排出されるシートを、シート折り装置などの後処理装置に向けて受け渡しながら、そのシートに対して折り処理などの後処理を施す技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における画像形成システムは、画像形成装置にシート折り装置(紙折り装置)が接続されている。そして、画像形成装置からシート折り装置に向けてシートが略水平方向に搬送されながら受け渡されて、シート折り装置の内部でシートに対して折り処理が施される。また、画像形成装置とシート折り装置との間では、通信手段によって、シートの長さや搬送速度などの種々の情報がやり取りされて、シート折り装置でシートに対して折り処理が施されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、画像形成装置と後処理装置との間での通信をおこなう通信手段を設けないように構成した場合であって、画像形成装置から後処理装置に向けて排出されるシートの搬送速度が一定ではない場合などに、画像形成装置から後処理装置に至るシートの長さが変化することを後処理装置の側で把握することができず、所望の良好な後処理をおこなえないことがあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、画像形成装置から後処理装置に至るシートの長さが変化しても、良好な後処理をおこなうことができる、シート受渡装置、シート折り装置、及び、画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるシート受渡装置は、画像形成装置から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置であって、前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが第1所定値となるようにシートをガイドする第1ガイド位置と、前記画像形成装置から前記後処理装置に至る搬送経路の長さが前記第1所定値よりも長い第2所定値となるようにシートをガイドする第2ガイド位置と、の間を移動可能な可動ガイド部材と、前記可動ガイド部材が前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動するように付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢に抗するように前記可動ガイド部材を前記第1ガイド位置に移動した状態に維持するロック機構と、を備え、前記可動ガイド部材は、前記第2ガイド位置に移動した状態から、前記画像形成装置から前記後処理装置に至るシートの長さが短くなるときに、当該シートから受ける力によって、前記付勢部材による付勢に抗するように前記第1ガイド位置に移動し、前記画像形成装置から排出されるシートの先端が前記後処理装置に搬入された後に、前記ロック機構の解除によって前記付勢部材の付勢により前記第1ガイド位置から前記第2ガイド位置に移動可能になるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置から後処理装置に至るシートの長さが変化しても、良好な後処理をおこなうことができる、シート受渡装置、シート折り装置、及び、画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成システムを示す全体構成図である。
【
図2】画像形成装置の画像形成部を示す構成図である。
【
図3】シート折り装置の制御部を示すブロック図である。
【
図4】シートの先端がシート折り装置に搬入されるときの可動ガイド部材の動作を示す図である。
【
図5】シート折り装置の折り処理時の動作を示す図である。
【
図6】シート折り装置の折り処理時の制御を示すフローチャートである。
【
図7】本発明が適用されていない別の画像形成システムを示す図である。
【
図8】変形例1としての、シート折り装置及びシート受渡装置が設置された画像形成システムを示す図である。
【
図9】
図8のシート折り装置にシートの先端が搬入されるときの状態を示す図である。
【
図10】
図8のシート折り装置の折り処理時の制御を示すフローチャートである。
【
図11】変形例2としての、シート折り装置の折り処理時の制御を示すフローチャートである。
【
図12】変形例3としての、シート折り装置の要部を示す概略図である。
【
図13】変形例4としての、シート受渡装置の調整機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成システム100における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態において、シート受渡装置30は、画像形成装置1とシート折り装置50とに対して着脱可能に設置されていて、画像形成装置1とシート折り装置50とともに1つの画像形成システム100を構成している。
シート受渡装置30は、画像形成装置1から排出されるシートP(画像形成後のシートである。)を後処理装置としてのシート折り装置50(シートPに折り処理を施す装置である。)に向けて受け渡すための装置である。特に、本実施の形態において、シート受渡装置30は、そこに設置されたシート検知センサ41、42の信号がシート折り装置50の制御部90に送信されるように構成されていて、シート折り装置50に装着された状態(又は、ユーザー先で装着可能な状態)で工場出荷されて市場を流通することになる。したがって、シート受渡装置30は、シート折り装置50においてシートを受け入れための装置(シート受入装置)としても機能することになる。
【0011】
なお、本実施の形態において、シート折り装置50(及び、シート受渡装置30)と画像形成装置1との間で種々の情報(シートのサイズや搬送条件などに関する情報や、種々のセンサ信号などである。)を通信するための通信手段(有線、無線は問わない。)は設けられていない。したがって、本実施の形態における画像形成システム100は、画像形成装置1に対してシート折り装置50(及び、シート受渡装置30)が、通信手段によっては接続されておらず、機械的に接続されたものとなる。
【0012】
図1において、1は画像形成装置としてのシリアル型のインクジェットプリンタ、2はシートPに画像を形成するための画像形成部、17は画像形成部2に対向するようにシートPを搬送するための搬送台、19は画像形成部2で画像が形成された後のシートPを画像形成装置1の外部に排出するための排出ガイド板、18は画像形成装置1の排出口に設けられた送出ローラ対、を示す。
本実施の形態において、画像形成装置1は、ロール状のシートP(ロール紙)が給送部10で所望の長さでカットされるように構成されていて、A0、A1サイズなど複数の大サイズのシートPへの画像形成が可能になっている。
【0013】
また、
図1において、30はシート受渡装置、31は画像形成装置1の排出口から排出されるシートPをシート折り装置50の搬入口に向けて案内するための可動ガイド部材、32は画像形成装置1とシート折り装置50との間で弛みが形成されたシートPをガイドするための固定ガイド部材、を示す。
また、41は可動ガイド部材31のシート搬送面においてシートPを検知する第1シート検知センサ、42は固定ガイド部材32のシート搬送面においてシートP(シートPの弛みの有無)を検知する第2シート検知センサ、を示す。これらのセンサ41、42は、それぞれ、その位置にシートPがあるか否かを光学的に検知するフォトセンサである。
【0014】
また、
図1において、50は画像形成装置1から排出されて搬入されたシートPに対して後処理として折り処理を施すシート折り装置(後処理装置)を示す。
また、51はシート折り装置50の最上流側に設置されてシートPを搬送する第1搬送ローラ対(搬送ローラ対)、52は折り処理部53~56に向けてシートPを搬送する第2搬送ローラ対、53、54は第2搬送ローラ対52によって搬送されるシートPを折りローラ対55、56に向けて案内する一対のガイド部材、55、56はシートPに折り目を形成する一対の折りローラ対、を示す。
また、67はシートPをシート折り装置50の外部に排出する排出ローラ対、68はシートPが排出されて積載される排出トレイ、90はシート折り装置50(及び、シート受渡装置30)を制御するための制御部、を示す。
また、71はシート折り装置50の搬入口の近傍に設置された入口センサ、72は第1搬送ローラ対51のニップの下流側近傍に設置されたセットセンサ、73は排出ローラ対67のニップの下流側近傍に設置された排出センサ、を示す。これらのセンサ71~73は、それぞれ、その位置にシートPがあるか否かを光学的に検知するフォトセンサである。
【0015】
図1を参照して、画像形成システム100における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、画像形成装置1の複数の給送部10のうち、1つの給送部10が自動又は手動で選択される。
そして、給送部10にロール状に巻き付けられたシートPが、パソコンなどの外部端末から入力された画像情報に合わせてカットされて、そのシートPが搬送経路K0に搬送される。
そして、シートPは、搬送経路K0を通過して、画像形成部2の位置に達する。ここで、画像形成部2は、シリアル型インクジェット方式のものであって、シートPの搬送を間欠的に停止して、キャリッジ3(
図2参照)を幅方向(
図1の紙面垂直方向、
図2の左右方向であって、主走査方向である。)に移動させて、シートP上に副走査方向(搬送方向)にわたって所望の画像を形成していくものである。すなわち、給送機構の制御によって、シートPの搬送と搬送停止とを繰り返しながら、シートP上に所望の画像が形成されていくことになる。したがって、画像形成装置1においてシートPの搬送速度は一定にならないことになる。
【0016】
そして、画像形成後のシートPは、排出ガイド板19に案内されながら、送出ローラ対18によって先端から順に画像形成装置1から排出されていくことになる。このとき、画像形成装置1から排出されるシートPの搬送速度も一定にならず、搬送と搬送停止とが繰り返されることになる。そして、画像形成装置1から排出されるシートPは、シート受渡装置30を介してシート折り装置50に搬入されることになる。
ここで、本実施の形態において、シートPの搬送方向のサイズが長いときには、画像形成部2で画像が形成されているときに、画像形成装置1から排出されたシートPの部分がシート折り装置50で折り処理されたり、給送部10でシートPのカットがされていなかったりすることがある。
なお、本実施の形態におけるシート受渡装置30には可動ガイド部材31が設置されていて、画像形成装置1からシート折り装置50に向けて搬送されるシートPの搬送速度が一定にならない場合であっても、シート折り装置50で良好な折り処理が施されることになるが、これについては後で詳しく説明する。
【0017】
図1を参照して、画像形成装置1から排出されるシートPはシート受渡装置30を介してシート折り装置50に搬入されて、搬入されたシートPに対して折り処理が施される。
詳しくは、まず、シート折り装置50に搬入されたシートPは、第1搬送ローラ対51を経由して、第2搬送ローラ対52の位置に達する。そして、シートPは、第2搬送ローラ対52によって搬送されて、一対のガイド部材53、54によって、一方の折りローラ対55に向けて案内されたり、他方の折りローラ対56に向けて案内されたりする。そして、一対の折りローラ対55、56によって蛇腹折りなどの折り処理がシートPに施される。そして、折り処理が施されたシートPは、排出ローラ対67によって装置外に排出されて、排出トレイ68上に積載される。
なお、シート折り装置50における折り処理ついては、後で、
図5等を用いて、さらに詳しく説明する。
【0018】
以下、
図2を用いて、画像形成装置1における画像形成部2について詳述する。
画像形成部2は、キャリッジ3、タイミングベルト8、モータ9、駆動プーリ11、従動プーリ12、ガイドロッド13、副ガイド14、側板15、エンコーダシート16、等で構成されている。また、キャリッジ3は、2つの記録ヘッド4、ベルト保持部5、副ガイド受部6、エンコーダセンサ7、等で構成されている。
キャリッジ3の2つの記録ヘッド4は、それぞれ、4色(黒、シアン、マゼンタ、イエロー)のインク滴を吐出可能に構成されている。
ガイドロッド13と副ガイド14とは、それぞれ、幅方向両側にそれぞれ設置された側板15の間に橋設されている。ガイドロッド13は、キャリッジ3の貫通穴に挿通されており、副ガイド14は、キャリッジ3の副ガイド受部6に嵌合している。このような構成により、画像形成部2において、キャリッジ3は、主走査方向(幅方向)に移動可能に保持されている。
また、タイミングベルト8は、正逆双方向回転型のモータ9のモータ軸に設置された駆動プーリ11と、従動プーリ12と、に張架・支持されている。また、タイミングベルト8の一部に、ベルト保持部5を介してキャリッジ3が固定保持されている。このような構成により、キャリッジ3は、ガイドロッド13と副ガイド14とにガイドされながら、モータ9の駆動によるタイミングベルト8の走行にともない、
図2の左右方向に移動することになる。そして、画像形成部2に入力された画像情報に基づいて、キャリッジ3が主走査方向に移動しながら記録ヘッド4からインク滴が吐出されて、間欠的に搬送されるシートP上に所望の画像が形成されていくことになる。
なお、キャリッジ3にはエンコーダセンサ7が設置されていて、キャリッジ3が主走査方向に移動しながらエンコーダセンサ7によってエンコーダシート16を検知している。これにより、キャリッジ3(記録ヘッド4)の主走査方向の位置を把握しながら、シートP上に位置精度良く画像を形成することが可能になる。
【0019】
以下、本実施の形態において特徴的な、シート受渡装置30について詳述する。
先に
図1を用いて説明したように、本実施の形態におけるシート受渡装置30は、シート折り装置50に通信可能に接続されている。
詳しくは、
図3に示すように、シート折り装置50の制御部90に、シート受渡装置30に設置された第1、第2シート検知センサ41、42の信号が送信されるように構成されている。
なお、シート折り装置50の制御部90には、シート折り装置50内の入口センサ71やセットセンサ72や排出センサ73などの信号も送信される。また、制御部90によって、第1搬送ローラ対51を駆動する第1モータ75や、第2搬送ローラ対52を駆動する第2モータ76や、折り処理部53~56(折りモータ)なども駆動制御される。
【0020】
ここで、本実施の形態におけるシート受渡装置30には、第1ガイド位置と第2ガイド位置との間を移動可能な可動ガイド部材31が設けられている。
第1ガイド位置は、
図1の破線で示す可動ガイド部材31の位置であって、
図4(C)の実線で示す可動ガイド部材31の位置である。第1ガイド位置は、画像形成装置1からシート折り装置50(後処理装置)に至る搬送経路K1(第1搬送経路)の長さが第1所定値L1となるようにシートPをガイドする位置である。換言すると、第1ガイド位置は、画像形成装置1の排出口(送出ローラ対18のニップ近傍である。)からシート折り装置50の搬入口(入口センサ71の近傍である。)までの略直線状の搬送経路K1を形成する位置であって、排出口から搬入口までの間でシートPに弛みが形成されないときに最適なガイド位置となる。
これに対して、第2ガイド位置は、
図1の実線で示す可動ガイド部材31の位置であって、
図4(A)、(B)の実線で示す可動ガイド部材31の位置である。第2ガイド位置は、画像形成装置1からシート折り装置50(後処理装置)に至る搬送経路K2(第2搬送経路)の長さが第2所定値L2(第1所定値L1よりも長い値である。)となるようにシートPをガイドする位置である。換言すると、第2ガイド位置は、画像形成装置1の排出口からシート折り装置50の搬入口までの湾曲した搬送経路K2を形成する位置であって、排出口から搬入口までの間でシートPに弛みが形成されているときに最適なガイド位置となる。
【0021】
そして、本実施の形態において、可動ガイド部材31は、画像形成装置1からシート折り装置50(後処理装置)に至るシートPの長さ(弛みの程度)に応じて、第1ガイド位置と第2ガイド位置との間を移動するように構成されている。
具体的に、画像形成装置1の排出口からシート折り装置50の搬入口に至るシートPの長さが長くて大きな弛みが形成されているような場合には、可動ガイド部材31は第2ガイド位置に移動(回動)することになる。これに対して、画像形成装置1の排出口からシート折り装置50の搬入口に至るシートPの長さが短くてほとんど弛みが形成されていないような場合には、可動ガイド部材31は第1ガイド位置に移動(回動)することになる。
【0022】
詳しくは、可動ガイド部材31は、画像形成装置1の排出口の側に設けられた支軸31aを中心にして回動可能に構成された板状部材である。
また、
図4に示すように、シート受渡装置30には、可動ガイド部材31が第1ガイド位置から第2ガイド位置に移動(回動)するように付勢する付勢部材としてのねじりコイルスプリング40が設置されている。詳しくは、ねじりコイルスプリング40は、そのコイル部が支軸31aに巻装されていて、その一端側の腕部が可動ガイド部材31に接続され、その他端側の腕部が装置30の筐体に接続されている。
また、装置30の筐体には、可動ガイド部材31が第1ガイド位置と第2ガイド位置との回動範囲を超えて回動しないように、可動ガイド部材31に当接して回動を制限するストッパ部が設けられている。
そして、可動ガイド部材31は、
図4(B)に示す第2ガイド位置に移動した状態から、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さが短くなるときに(弛みが形成されないときに)、そのシートPから受ける力によって、ねじりコイルスプリング40(付勢部材)による付勢に抗するように
図4(C)に示す第1ガイド位置に移動することになる。ねじりコイルスプリング40のスプリング力は、そのような動作が可能になるように設定されている。
【0023】
換言すると、画像形成装置1の排出口からシート折り装置50の搬入口までの間でシートPに弛みが形成されるような場合には、シートPが可動ガイド部材31に与える負荷が小さくなって、ねじりコイルスプリング40の付勢によって可動ガイド部材31が第2ガイド位置(開いた位置)に回動する。
これに対して、画像形成装置1の排出口からシート折り装置50の搬入口までの間でシートPに弛みが形成されずに突っ張ったような状態になる場合には、シートPが可動ガイド部材31に与える負荷が大きくなって、ねじりコイルスプリング40の付勢に抗するように可動ガイド部材31が第1ガイド位置(閉じた位置)に回動する。
【0024】
先に説明したように、本実施の形態において、シートPは、シリアル型インクジェット方式の画像形成装置1からシート折り装置50に向けて間欠的に搬送されて搬送速度が一定にならない。そのため、可動ガイド部材31を設けない場合には、画像形成装置1の排出口からシート折り装置50の搬入口に至るシートPの長さが変化して、弛んだ状態のシートPや突っ張った状態のシートPを良好にガイドしてシート折り装置50に導くことができない。そのため、シート折り装置50で折り処理不良が生じやすくなる。
特に、本実施の形態では、画像形成装置1とシート折り装置50との間に通信手段を設けていないため、低廉で汎用性の高い画像形成システムを提供できる反面、そのようなシートPの長さの変化情報を画像形成装置1からシート折り装置50に伝えることができない。そのため、シート折り装置50の動作タイミングを細かに制御して折り処理をおこなうことができず、上述した問題が顕著になる。
これに対して、本実施の形態では、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さに応じて、可動ガイド部材31が第1ガイド位置と第2ガイド位置との間を回動するように構成しているため、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さ(弛みの程度)が変化しても、シートPに座屈など生じさせることなく、シートPを良好にガイドしてシート折り装置50に導くことができる。そのため、シート折り装置50で良好な折り処理がおこなわれることになる。
【0025】
なお、本実施の形態において、第1ガイド位置に位置した可動ガイド部材31によって形成される第1搬送経路K1が、略垂直方向の上方から下方に向かう搬送経路となるように構成している。
すなわち、本実施の形態では、画像形成装置1の排出口の略真下に、シート折り装置50の搬入口が位置するように構成している。
このように構成することにより、画像形成システム100としての設置面積を小さくすることができる。
【0026】
さらに
図7を用いて、上述した種々の効果について補足的に説明する。
図7(A)に示すように、画像形成装置1からシート折り装置250に向けてシートPを略水平方向に受け渡すようにガイド板231を構成した場合、画像形成システム200の設置面積が大きくなってしまう。これに対して、本実施の形態では、画像形成装置1の排出口の略真下に、シート折り装置50の搬入口が位置するように構成しているため、画像形成システム100の設置面積が小さくなる。
また、
図7(A)に示すように、画像形成装置1の制御部20とシート折り装置250の制御部260との間で通信する通信手段を設けてしまうと、画像形成装置1もシート折り装置250も高コスト化してしまうとともに、シート折り装置250の他の機種に対する汎用性が限定されてしまう。これに対して、本実施の形態では、そのような通信手段を設けていないため、画像形成装置1やシート折り装置50を低コスト化できるとともに、シート折り装置50の汎用性を高めることができる。
さらに、
図7(B)に示すように、画像形成装置1の排出口の略真下にシート折り装置50の搬入口が位置するように画像形成システム300を構成した場合であっても、画像形成装置1からシート折り装置50に向けてシートPを略垂直方向に受け渡すガイド板331を固定したものにしてしまうと、そのガイド板331によってガイドされるシートPに大きな弛みが生じたときに、シートPの座屈(破線で囲んだ部分である。)が生じやすくなる。そのため、シート折り装置50において折り処理不良が生じやすくなる。これに対して、本実施の形態では、シートPの弛みの程度に応じて回動する可動ガイド部材31を設けているため、シートPに座屈など生じさせることなく、良好な折り処理をおこなうことができる。
【0027】
ここで、本実施の形態におけるシート受渡装置30には、固定ガイド部材32や第2シート検知センサ42も設置されている。
固定ガイド部材32は、第2ガイド位置(開いた位置)に回動した可動ガイド部材31(
図1の実線で示す可動ガイド部材31である。)によってガイドされるシートPを、シート折り装置50に向けて案内する湾曲ガイド板である。固定ガイド部材32は、第2ガイド位置に回動した可動ガイド部材31に対して、凹状に対向するように形成されている。
第2シート検知センサ42は、固定ガイド部材32において第2ガイド位置に回動した可動ガイド部材31の先端部に対向する位置に設置されたシート検知センサである。換言すると、第2シート検知センサ42は、画像形成装置1とシート折り装置50との間でシートPが大きく弛んだ状態を検知する弛み検知センサとして機能する。そして、第2シート検知センサ42によってシートPが検知されたタイミングをトリガーにしてシート折り装置50による折り処理のタイミングが制御されることになる。
【0028】
以下、
図4、
図5を用いて、画像形成装置1から排出されるシートPに対してシート折り装置50で折り処理が施される動作の一例について説明する。
まず、画像形成装置1からシートPが排出されていないとき、可動ガイド部材31はホームポジションとなる第2ガイド位置(開いた位置)に回動している。そして、
図4(A)に示すように、画像形成装置1からシートPが排出されると、そのシートPの先端側が、第2ガイド位置に位置した可動ガイド部材31にガイドされながら搬送される。さらに、そのシートPは、固定ガイド部材32にガイドされながら、シート折り装置50の搬入口に向けて搬送される。
その後、
図4(B)に示すように、シートPの先端側が、シート折り装置50の第1搬送ローラ対51に挟持・搬送された状態になると、画像形成装置1の送出ローラ対18との間でシートPにテンションが掛かった状態になり、そのテンションにより可動ガイド部材31に閉じる方向(
図4の反時計方向に回動する方向である。)の力が加わることになる。
そして、
図4(C)に示すように、シート折り装置50におけるシートPの搬送がさらに進められて、画像形成装置1からのシートPの搬送が停止(又は、減速)されると、送出ローラ対18と第1搬送ローラ対51との間のシートPの長さが短くなり(弛みがなくなり)、そのテンションにより可動ガイド部材31が第1ガイド位置に回動することになる。
【0029】
一方、シート折り装置50では、
図5(A)に示すように、シートPの先端が入口センサ71の位置に達すると、入口センサ71がオフ状態からオン状態に変化して、第1モータ75がオンされて第1搬送ローラ対51によるシートPの搬送が開始される。
そして、
図5(B)に示すように、入口センサ71でシートPが検知された後に、第1搬送ローラ対51に加えて第2搬送ローラ対52も回転駆動されて、折り処理部53~56による折り処理が開始される。これらの動作は、第2シート検知センサ42がオフ状態になって、シートPに弛みが形成されていないものと判断されるまでおこなわれる。すなわち、シートPに弛みが形成されておらず、第2シート検知センサ42がオフ状態になると、第1、第2搬送ローラ対51、52の回転駆動を停止するとともに、折り処理部53~56による折り処理も中断する。
そして、その状態から画像形成装置1からのシートPの排出が進み、
図5(C)に示すように、シートPに弛みが再び形成されて、可動ガイド部材31が第1ガイド位置から第2ガイド位置に回動して、第2シート検知センサ42がオン状態になると、第1、第2搬送ローラ対51、52の回転駆動を再開するとともに、折り処理部53~56による折り処理も再開する。
このような、シートPの弛みの有無にともない、可動ガイド部材31が第1ガイド位置と第2ガイド位置との間を回動したり、折り処理を中断したり再開したりする動作は、画像形成装置1からシートPの後端が排出されるまでおこなわれる。詳しくは、シートPの後端が第1シート検知センサ41で検知されると(第1シート検知センサ41がオン状態からオフ状態に変化すると)、そのまま折り処理を最後までおこない、排出センサ73によってシートPの後端が検知されるまで排出ローラ対67を回転駆動する。こうして、所望の折り処理が施されたシートPが排出トレイ68上に排出されることになる。
【0030】
なお、シート折り装置50における折り処理は、次のような流れでおこなわれる。まず、
図5(B)に示すように、第2搬送ローラ対52によって搬送されるシートPは、基準位置からガイド位置に移動した第2ガイド部材54によって案内されて、その先端部が第2折りローラ対56のニップに挟持された状態になる。このとき、第2折りローラ対56は正方向に回転駆動されている。
その後、
図5(C)に示すように、第2折りローラ対56の回転駆動が停止される。そして、その後に、
図5(D)に示すように、第1、第2折りローラ対55、56が逆方向に回転駆動されるとともに、第2ガイド部材54が基準位置に戻されて、第1ガイド部材53が基準位置からガイド位置に移動されて、シートPに軽い折り目が形成されて、その軽い折り目を先頭に第1折りローラ対55のニップに向けて搬送されることになる。そして、その軽い折り目が第1折りローラ対55のニップで押し潰されて、シートPにしっかりとした折り目が形成されることになる。
その後、
図5(E)に示すように、第1、第2折りローラ対55、56の回転駆動が停止される。そして、その後に、
図5(F)に示すように、第1、第2折りローラ対55、56が正方向に回転駆動されるとともに、第1ガイド部材53が基準位置に戻されて、第2ガイド部材54が基準位置からガイド位置に移動されて、シートPに軽い折り目が形成されて、その軽い折り目を先頭に第2折りローラ対56のニップに向けて搬送されることになる。そして、その軽い折り目が第2折りローラ対56のニップで押し潰されて、シートPにしっかりとした折り目(2つめの折り目)が形成されることになる。
以降、指定された数の折り目が形成されるまで、上述した動作が繰り返されることになる。そして、先に説明したように、この折り目を形成する折り処理動作は、画像形成装置1とシート折り装置50との間のシートPの弛みの有無にともない(第2シート検知センサ42の検知結果をトリガーにして)、適宜に中断されたり再開されたりすることになる。
【0031】
以下、
図6のフローチャートを用いて、シート折り装置50の折り処理時の制御について、まとめとして説明する。
まず、折り処理が開始されるとき、第1シート検知センサ41によってシートPが検知されて(ステップS1)、第2シート検知センサ42によってシートPが検知されて(ステップS2)、さらに入口センサ71によってシートPが検知されると(ステップS3)、第1、第2モータ75、76がオンされて第1、第2搬送ローラ対51、52が回転駆動されるとともに、折りモータがオンされて折り処理部53~56が駆動される(ステップS4)。このとき、第1モータ75のクロックカウントもスタートされる。
そして、第1モータ75のクロックカウント値が所定の制限値Xより小さいかが判別されて(ステップS5)、クロックカウント値が制限値X以上である場合には、そのクロックカウントをストップして(ステップS6)、第1、第2モータ75、76と折りモータとをオフして(ステップS7)、折り処理を終了する。
これに対して、ステップS5で、クロックカウント値が制限値Xより小さい場合には、第2シート検知センサ42によってシートPが検知されていない状態になった後に(ステップS8)、第1シート検知センサ41によってシートPが検知されているかを判別する(ステップS9)。その結果、第1シート検知センサ41によってシートPが検知されている場合には、画像形成装置1からのシートPの排出が継続しているが、シートPに弛みが形成されていないものとして、第1、第2モータ75、76と折りモータとをオフして(ステップS10)、折り処理を一時中断する。このとき、第1モータ75のクロックカウントもストップされる。その後、ステップS2以降のフローを繰り返す。
これに対して、ステップS9で、第1シート検知センサ41によってシートPが検知されていない場合(シートPの後端が検知された場合である。)には、画像形成装置1からのシートPの排出が終了したものとして、さらに入口センサ71によるシートPの後端の検知がされた後に、第1モータ75をオフして第1搬送ローラ対51の回転駆動を停止する(ステップS11、S12)。そして、セットセンサ72によってシートPの後端の検知がされた後に、折り処理が終了したシートPの排出に備えて、排出モータをオンして排出ローラ対67の回転駆動を開始する(ステップS13、S14)。そして、排出センサ73によってシートPの後端の検知がされると、折り処理が終了したシートPの排出が完了したものとして、第2モータ76と折りモータと排出モータとをオフして折り処理を終了する(ステップS15、S16)。
【0032】
<変形例1>
図8は、変形例1としてのシート折り装置50及びシート受渡装置30が設置された画像形成システム100を示す図であって、本実施の形態における
図1に対応する図である。また、
図9は、そのシート折り装置50にシートPの先端が搬入されるときの状態を示す図である。さらに、
図10は、そのシート折り装置50の折り処理時の制御を示すフローチャートであって、本実施の形態における
図6に対応する図である。
変形例1におけるシート受渡装置30には、ねじりコイルスプリング40(付勢部材)の付勢に抗するように可動ガイド部材31を第1ガイド位置に移動した状態に維持するロック機構49(
図9参照)が設けられている。このようなロック機構49としては、例えば、シート折り装置50の制御部90による制御によって、ねじりコイルスプリング40の付勢に抗するように可動ガイド部材31を第1ガイド位置に維持する力を作用させたり、その力を解放してねじりコイルスプリング40の付勢によって可動ガイド部材31を第2ガイド位置に回動させたりする、ソレノイドを用いることができる。
そして、変形例1において、可動ガイド部材31は、画像形成装置1から排出されるシートPの先端がシート折り装置50(後処理装置)に搬入された後に、ロック機構49の解除によってねじりコイルスプリング40(付勢部材)の付勢により第1ガイド位置から第2ガイド位置に回動(移動)可能な状態になる。
具体的に、可動ガイド部材31は、シート受渡装置30の位置にシートPが達したときには、ロック機構49のロックによって、ホームポジションとなる第1ガイド位置(
図8の実線で示す位置であって、
図9に示す位置である。)に位置している。そして、
図9に示すように、そのように第1ガイド位置に位置した状態の可動ガイド部材31にガイドされながら、シートPの先端が、シート折り装置50の搬入口に導かれていく。そして、入口センサ71でシートPの先端が検知された後に、ロック機構49によるロックが解除されて、シートPに弛みが形成されているときには、可動ガイド部材31が第1ガイド位置から第2ガイド位置に回動することになる。ロック機構49によるロックが解除された後の可動ガイド部材31の動作は、本実施の形態のものと同様である。
このように、シートPの先端がシート折り装置50に搬入されるまで、第1ガイド位置に位置した可動ガイド部材31によってシートPをガイドすることによって、シートPの先端をシート折り装置50にスムーズに搬入させやすくなる。
【0033】
なお、
図10に示すように、変形例1における折り処理時の制御は、まず、折り処理が開始されるとき、第1シート検知センサ41によってシートPが検知されて(ステップS1)、入口センサ71によってシートPが検知されると(ステップS21)、ロック機構49がロック解除されて可動ガイド部材31が第1ガイド位置から第2ガイド位置に回動可能な状態になる(ステップS22)。
その後、第2シート検知センサ42によってシートPが検知されると(ステップS2)、第1、第2モータ75、76がオンされて第1、第2搬送ローラ対51、52が回転駆動されるとともに、折りモータがオンされて折り処理部53~56が駆動される(ステップS4)。このとき、第1モータ75のクロックカウントもスタートされる。その後のステップS5以降の制御フローは、ステップS9にて第1シート検知センサ41によってシートPが検知されずに画像形成装置1からのシートPの排出が終了したものと判別されたときに、ロック機構49によるロックによって可動ガイド部材31をホームポジションである第1ガイド位置に維持する以外は、先に説明した
図6のものと同様である。
そして、変形例1のように構成した場合であっても、本実施の形態のものと同様に、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さが変化しても、良好な折り処理(後処理)をおこなうことができる。
【0034】
<変形例2>
図11は、変形例2としてのシート折り装置50の折り処理時の制御を示すフローチャートであって、変形例1における
図10に対応する図である。
変形例2におけるシート受渡装置30にも、変形例1のものと同様に、ねじりコイルスプリング40(付勢部材)の付勢に抗するように可動ガイド部材31を第1ガイド位置に回動した状態に維持するロック機構49が設けられている。
そして、変形例2において、可動ガイド部材31は、画像形成装置1から排出されるシートPの先端がシート折り装置50の内部において最上流側に設置された第1搬送ローラ対51に挟持された後に、ロック機構49の解除によってねじりコイルスプリング40の付勢により第1ガイド位置から第2ガイド位置に回動(移動)可能な状態になる。
具体的に、可動ガイド部材31は、シート受渡装置30の位置にシートPが達したときには、ロック機構49のロックによって、ホームポジションとなる第1ガイド位置(
図8の実線で示す位置であって、
図9に示す位置である。)に位置している。そして、
図9に示すように、そのように第1ガイド位置に位置した状態の可動ガイド部材31にガイドされながら、シートPの先端が、シート折り装置50の搬入口に導かれていく。そして、第1搬送ローラ対51にシートPの先端が挟持された状態がセットセンサ72によって検知された後に、ロック機構49によるロックが解除されて、シートPに弛みが形成されているときには、可動ガイド部材31が第1ガイド位置から第2ガイド位置に回動することになる。ロック機構49によるロックが解除された後の可動ガイド部材31の動作は、本実施の形態のものと同様である。
このように、シートPの先端が第1搬送ローラ対51に挟持されるまで、第1ガイド位置に位置した可動ガイド部材31によってシートPをガイドすることによって、可動ガイド部材31が第2ガイド位置に回動したときに、シートPが可動ガイド部材31に引っ張られてシート折り装置50の搬入口から飛び出してしまう不具合を防止することができる。
【0035】
なお、
図11に示すように、変形例2における折り処理時の制御は、まず、折り処理が開始されるとき、第1シート検知センサ41によってシートPが検知されて(ステップS1)、入口センサ71によってシートPが検知されると(ステップS21)、第1モータ75がオンされて第1搬送ローラ対51が回転駆動される(ステップS31)。そして、セットセンサ72によってシートPの先端が検知されると、第1搬送ローラ対51にシートPが挟持されたものとして、第1モータ75がオフされて第1搬送ローラ対51が回転停止される(ステップS32、S33)。その後、ロック機構49がロック解除されて可動ガイド部材31が第1ガイド位置から第2ガイド位置に回動可能な状態になる(ステップS22)。
その後、第2シート検知センサ42によってシートPが検知されると(ステップS2)、第1、第2モータ75、76がオンされて第1、第2搬送ローラ対51、52が回転駆動されるとともに、折りモータがオンされて折り処理部53~56が駆動される(ステップS4)。このとき、第1モータ75のクロックカウントもスタートされる。その後のステップS5以降の制御フローは、先に説明した
図10のものと同様である。
そして、変形例2のように構成した場合であっても、本実施の形態のものと同様に、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さが変化しても、良好な折り処理(後処理)をおこなうことができる。
【0036】
<変形例3>
図12は、変形例3としてのシート折り装置50(及び、シート受渡装置30)の要部を示す概略図である。
変形例3におけるシート折り装置50に設置されるシート受渡装置30は、幅方向に複数の可動ガイド部材31A~31Cが並設されている。
そして、複数の可動ガイド部材31A~31Cのうち、画像形成装置1からシート折り装置50に向けて搬送されるシートPの幅方向(搬送方向に直交する方向で合って、
図12の左右方向である。)のサイズに対応する可動ガイド部材が、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さ(弛みの程度)に応じて、第1ガイド位置と第2ガイド位置との間を回動(移動)するように構成されている。
具体的に、変形例3では、シートPが、センター基準ではなくて、
図12の右側の端部基準で搬送される。また、3つの可動ガイド部材31A~31Bは、それぞれ、幅方向のサイズが異なる以外は、本実施の形態のもの(又は、変形例1や変形例2のもの)と同様に構成されている。また、シート受渡装置30の第1、第2シート検知センサ41,42は、3つの可動ガイド部材31A~31Bにそれぞれ対応するように設けられている。同様に、シート折り装置50におけるセットセンサ72A~72Cなどの各センサも、3つの可動ガイド部材31A~31Bにそれぞれ対応するように設けられている。
そして、A3サイズのシートPが搬送される場合には、3つの可動ガイド部材31A~31Bのうち、対応する第1可動ガイド部材31AのみがシートPをガイドする可動ガイド部材として本実施の形態のもの(又は、変形例1や変形例2のもの)と同様に動作することになる。これに対して、A1サイズのシートPが搬送される場合には、3つの可動ガイド部材31A~31Bのうち、対応する第1、第2可動ガイド部材31A、31BがシートPをガイドする可動ガイド部材として本実施の形態のもの(又は、変形例1や変形例2のもの)と同様に動作することになる。さらに、A0サイズのシートPが搬送される場合には、対応する3つの可動ガイド部材31A~31BのすべてがシートPをガイドする可動ガイド部材として本実施の形態のもの(又は、変形例1や変形例2のもの)と同様に動作することになる。
先に説明したように、画像形成装置1とシート折り装置50(及び、シート受渡装置30)との間には通信手段が設けられていないため、画像形成装置1から排出されるシートPの幅方向サイズについての情報がシート受渡装置30に伝達されることはないが、3つの可動ガイド部材31A~31BのうちシートPに接触する可動ガイド部材のみがシートPから力を受けたり受けなかったりすることで、上述した動作が可能になる。
そして、変形例3のように構成した場合であっても、本実施の形態のものと同様に、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さが変化しても、良好な折り処理(後処理)をおこなうことができる。
特に、変形例3では、シートPの幅方向サイズが変化することにより可動ガイド部材の側にかかるテンションが変化しても、シートPの幅方向サイズの増減に合わせて使用する可動ガイド部材31A~31Cの数を増減しているため、1つの可動ガイド部材31A~31Cにかかるテンションの変動を少なくすることができる。そのため、シートPの弛みの程度に対応して、可動ガイド部材31A~31Cが第2ガイド位置から第1ガイド位置(又は、第1回動位置から第2ガイド位置)に良好に回動することになる。
【0037】
<変形例4>
図13は、変形例4としてのシート受渡装置30の調整機構34~37を示す概略図である。特に、
図13(A1)は、可動ガイド部材31を示す正面であって、
図13(A2)は、その可動ガイド部材31が第1ガイド位置に位置した状態を示す側面図であって、
図13(B)は、その可動ガイド部材31が第2ガイド位置に位した状態を示す側面図である。
図13に示すように、変形例4におけるシート受渡装置30には、付勢部材としての引張スプリング38の付勢力を調整可能な調整機構34~37が設けられている。
詳しくは、変形例4では、本実施の形態のものとは異なり、可動ガイド部材31を第1ガイド位置から第2ガイド位置に回動させるように付勢する付勢部材として、引張スプリング38が用いられている。引張スプリング38は、その一端側が可動ガイド部材31の端部(シートをガイドする部分から支軸31aを挟んで反対側に延びる部分である。)に接続され、その他端側が調整機構34~37の調整板37に接続されている。
調整板37は、ネジ部材36に螺合する雌ネジ部が形成されている。調整板37は、ネジ部材36を中心に回転することなく、
図13の上下方向に移動可能に、装置の筐体にガイドされている。ネジ部材36は、上下方向の位置が変化しないように、装置の筐体に回転可能に保持されている。そして、ネジ部材36は、ステッピングモータ34のモータ軸に設置されたスクリュギアに噛合している。このような構成により、ステッピングモータ34の正逆方向の回転によって、調整板37が上下動することになる。
ここで、
図13(A1)に示すように、調整板37には突起部37aが設けられていて、この突起部37aが可動ガイド部材31に接触することで、引張スプリング38の付勢に抗するように可動ガイド部材31が第1ガイド位置に維持されることになる。すなわち、この突起部37aが、先に変形例2、3で説明したロック機構として機能することになる。そして、
図13(B)に示すように、ステッピングモータ34の回転によって調整板37が下方に移動することで、突起部37aによるロックが解除されることになる。
そして、そのように調整板37が下方に移動するときの、移動量を調整することによって、可動ガイド部材31に対する引張スプリング38による付勢力を調整することができる。具体的に、調整板37の下方への移動量が大きくなるほど、可動ガイド部材31に対する引張スプリング38による付勢力が大きくなる。
そして、変形例4のように構成した場合であっても、本実施の形態のものと同様に、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さが変化しても、良好な折り処理(後処理)をおこなうことができる。
特に、変形例4では、可動ガイド部材31に対する引張スプリング38による付勢力を調整できるように構成しているため、シートPの種類やサイズや厚さ、周囲の温湿度の変化などによって、シートPが可動ガイド部材31に与えるテンションが変化しても、引張スプリング38による付勢力を最適化して、シートPの弛みの程度に応じて可動ガイド部材31を良好に回動させることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態におけるシート受渡装置30は、画像形成装置1からシート折り装置50(後処理装置)に至る搬送経路の長さが第1所定値L1となるようにシートをガイドする第1ガイド位置と、画像形成装置1からシート折り装置50に至る搬送経路の長さが第1所定値L1よりも長い第2所定値L2(>L1)となるようにシートPをガイドする第2ガイド位置と、の間を移動可能な可動ガイド部材31が設けられている。そして、可動ガイド部材31は、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さに応じて、第1ガイド位置と第2ガイド位置との間を移動するように構成されている。
これにより、画像形成装置1からシート折り装置50に至るシートPの長さが変化しても、良好な折り処理(後処理)をおこなうことができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、シリアル型インクジェット方式の画像形成装置1から排出されるシートPを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、ライン型インクジェット方式の画像形成装置や、電子写真方式の画像形成装置などである。)から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡すシート受渡装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。そのような場合、特に、画像形成装置と後処理装置との間で通信する通信手段が設けられておらず、画像形成装置から排出されるシートの搬送速度が一定にならないものであるとき、本発明の構成が有用になる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、シート受渡装置30が接続される後処理装置としてシート折り装置50を用いたが、シート受渡装置30が接続される後処理装置はこれに限定されることなく、例えば、パンチ処理、綴じ処理、スタンプ処理などの後処理を独立しておこなう後処理装置や、複数の後処理をおこなう後処理装置に接続されるシート受渡装置であっても、本発明を適用することができる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0041】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0042】
なお、本願明細書等において「シート」とは、用紙はもちろんのこと、画像形成の対象となるすべてのシートを含むものと定義する。
【符号の説明】
【0043】
1 画像形成装置、
2 画像形成部、
3 キャリッジ、
18 送出ローラ対、
30 シート受渡装置、
31 可動ガイド部材(可動ガイド板)、
31a 支軸、
32 固定ガイド部材、
40 ねじりコイルスプリング(付勢部材)、
41 第1シート検知センサ、
42 第2シート検知センサ(シート検知センサ、弛み検知センサ)、
49 ロック機構、
50 シート折り装置(後処理装置)、
51 第1搬送ローラ対(挿入ローラ対)、
52 第2搬送ローラ対(レジストローラ対)、
53 第1ガイド部材、
54 第2ガイド部材、
55 第1折りローラ対(折り処理部)、
56 第2折りローラ対(折り処理部)、
67 排出ローラ対、
71 入口センサ、
72 セットセンサ、
73 排出センサ、
90 制御部(シート折り装置の制御部)、
100 画像形成システム、
P シート、
K1 第1搬送経路、 K2 第2搬送経路。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】