(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ナノポアを形成する方法およびその結果生じる構造
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20221208BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20221208BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20221208BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20221208BHJP
B82Y 5/00 20110101ALI20221208BHJP
B81B 1/00 20060101ALN20221208BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20221208BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20221208BHJP
【FI】
G01N27/00 Z
B81C1/00
B82Y40/00
B82Y30/00
B82Y5/00
B81B1/00
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
(21)【出願番号】P 2021512836
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(86)【国際出願番号】 US2019040104
(87)【国際公開番号】W WO2020055501
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-05-31
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デュラン, ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ジョセフ アール.
(72)【発明者】
【氏名】クオン, ロジャー
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0200716(US,A1)
【文献】特表2018-514225(JP,A)
【文献】特開2015-036631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0153302(US,A1)
【文献】特表2009-521332(JP,A)
【文献】国際公開第2013/145287(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/181465(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/165267(WO,A1)
【文献】田中貴大 他,ナノピラー/横型ナノポア集積化DNAセンシングデバイスの開発,2017年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集,2017年,pp.661-662
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00 - B81B 7/04
B81C 1/00 - B81C 99/00
B82Y 40/00
C12M 1/00 - C12M 3/10
C12Q 1/00 - C12Q 3/00
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 27/14 - G01N 27/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のナノポアを形成するための方法であって、
基板上に第1の層を堆積させることと、
前記第1の層および前記基板内に複数のウェルおよび1つ以上のチャネルを形成することであって、前記複数のウェルのそれぞれが前記1つ以上のチャネルのうちのチャネルに隣接している、複数のウェルおよび1つ以上のチャネルを形成することと、
前記複数のウェルのそれぞれの露出された側壁の一部を横方向にエッチングして、前記複数のウェ
ルのそれぞれを隣接する前記チャネルに接続する
ナノポアを形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記複数のウェルのそれぞれの前記側壁の前記一部を露出させる前に、前記第1の層、前記複数のウェル、および前記1つ以上のチャネル上に第2の層を堆積させて、各露出面をコーティングすることを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
露出された前記側壁の前記一部を横方向にエッチングする前に、露出された前記側壁の前記一部から前記第2の層を選択的にエッチングすることを、さらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の層が、酸化物含有層である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板が、結晶構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数のナノポアを形成するための方法であって、
基板上に第1の層を堆積させることと、
前記第1の層および前記基板内に第1のウェル、第2のウェル、およびチャネルを、前記チャネルが前記第1のウェルおよび前記第2のウェルに隣接して配置されるように、形成することと、
第1のウェルの露出された側壁の一部を横方向にエッチングして、前記第1のウェルと前記チャネルとの間に延びる第1のトンネルを前記第1の層の下に形成することと、
第2のウェルの露出された側壁の一部を横方向にエッチングして、前記第2のウェルと前記チャネルとの間に延びる第2のトンネルを前記第1の層の下に形成することと、
前記第1のトンネルを前記チャネルに接続する第1のナノポアと、前記第2のトンネルを前記チャネルに接続する第2のナノポアとを形成することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記第1のナノポアが、前記第2のナノポアから1μm未満で配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のナノポアが、前記第2のナノポアに対して実質的に直角に配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のトンネルおよび前記第2のトンネルを前記第1の層の下に形成する前に、前記第1の層、前記第1のウェル、前記第2のウェル、および前記チャネル上に第2の層を堆積させて、各露出面をコーティングすることを、さらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のトンネルおよび前記第2のトンネルを前記第1の層の下に形成する前に、前記第1のウェルの露出された側壁の第1の部分および前記第2のウェルの露出された側壁の第2の部分から前記第2の層を選択的にエッチングすることを、さらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のトンネルおよび前記第2のトンネルが、横方向エッチングによって形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
基板上に配置された第1の層、
前記基板内に前記第1の層を通って配置された第1のウェル、
前記基板内に前記第1の層を通って配置された第2のウェル、
前記第1のウェルおよび前記第2のウェルに隣接して前記基板内に前記第1の層を通って配置されたチャネル、
前記第1のウェルおよび前記チャネルに結合されている、横方向にエッチングされた第1のナノポア、ならびに
前記第2のウェルおよび前記チャネルに結合されている、横方向にエッチングされた第2のナノポアであって、前記第1のナノポアから1μm未満で配置されている第2のナノポア、を備えるデバイス。
【請求項13】
横方向にエッチングされた前記第1のナノポアが、ピラミッド形状の第1のトンネルを介して前記第1のウェルに結合されており、横方向にエッチングされた前記第2のナノポアが、ピラミッド形状の第2のトンネルを介して前記第2のウェルに結合されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1のウェルが、前記第2のウェルから1000nm未満で配置されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2のナノポアが、前記第1のナノポアから1000nm未満で配置されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2の層を選択的にエッチングすることが、液体酸性エッチングを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノポアを形成することが、電圧を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のウェルの露出された前記側壁の前記一部を横方向にエッチングすることが、前記基板の結晶構造に沿った塩基性ウェットエッチングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のナノポアが、前記第2のナノポアと実質的に平行に配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記横方向エッチングが、前記基板の結晶構造に沿った塩基性ウェットエッチングを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に開示される態様は、基板内に十分に制御された固体ナノポアおよび十分に制御された固体ナノポアのアレイを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ナノポアは、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)の配列決定などのアプリケーションに広く使用されている。一例では、ナノポア配列決定は、電気的検出法を使用して実行され、これは、一般に、未知のサンプルをナノポアを通して輸送し、サンプルを導電性流体に浸漬し、ナノポアの両端に電位を印加することを含む。ナノポアを通るイオンの伝導から生じる電流が測定される。ナノポア表面を横切る電流密度の大きさは、ナノポアの寸法と、その時点でナノポアを占有しているDNAやRNAなどのサンプルの組成に依存する。異なるヌクレオチドは、ナノポア表面を横切る電流密度に特徴的な変化を引き起こす。これらの電流変化が測定され、DNAまたはRNAサンプルの配列決定に使用される。
【0003】
[0003]生物学的および高分子の配列決定には、様々な方法が使用されてきた。合成による配列決定、すなわち第2世代の配列決定は、どの塩基がDNAの一本鎖に結合しているかを特定するために使用される。DNA鎖全体を単一の細孔に通すことを一般に含む第3世代の配列決定は、DNAを直接読み取るために使用される。いくつかの配列決定方法では、DNAまたはRNAサンプルを分割してから再組み立てする必要がある。さらに、いくつかの配列決定方法では、生体膜と生体孔を使用し、これらは貯蔵寿命があり、使用する前に低温に保つ必要がある。
【0004】
[0004]ケイ素含有材料などの独立した膜上に形成されたナノメートルサイズの細孔である固体ナノポアが、最近、配列決定に使用されている。しかしながら、トンネル電子顕微鏡、集束イオンビーム、または電子ビームを使用するなどの現在の固体ナノポア製造方法は、ナノポアのアレイを製造するために必要なサイズおよび位置制御要件を容易かつ安価に達成することができない。さらに、現在のナノポア製造方法は、時間がかかり、他のナノポアに近接してナノポアを製造することが困難な場合がある。
【0005】
[0005]したがって、互いに近接して配置された、十分に制御された固体ナノポアを製造する改善された方法が、当技術分野では必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一態様では、複数のナノポアを形成する方法は、基板上に第1の層を堆積することと、第1の層および基板に複数のウェルおよび1つ以上のチャネルを形成することと、を含む。複数のウェルのそれぞれが、チャネルに隣接している。この方法は、露出された側壁の一部を横方向にエッチングして、複数のウェルを隣接するチャネルに接続することと、複数のウェルのそれぞれを隣接するチャネルに接続するナノポアを形成することと、をさらに含む。
【0007】
[0007]別の態様では、複数のナノポアを形成する方法は、基板上に第1の層を堆積することと、第1の層および基板に第1のウェル、第2のウェル、およびチャネルを形成することと、を含む。チャネルは、第1のウェルおよび第2のウェルに隣接して配置される。この方法は、第1のウェルの側壁の第1の部分および第2のウェルの側壁の第2の部分を露出させることを、さらに含む。第1のウェルの露出された側壁の第1の部分および第2のウェルの露出された側壁の第2の部分は、チャネルに隣接している。第1のウェルおよびチャネルから延びる第1のトンネルが、第1の層の下に形成される。第2のウェルおよびチャネルから延びる第2のトンネルが、第1の層の下に形成される。第1のトンネルをチャネルに接続する第1のナノポアが形成され、第2のトンネルをチャネルに接続する第2のナノポアが形成される。
【0008】
[0008]さらに別の態様では、デバイスは、基板内に配置された第1のウェル、基板内に配置された第2のウェル、ならびに第1のウェルおよび第2のウェルに隣接して基板内に配置されたチャネルを含む。基板は、第1のウェルおよびチャネルに結合された第1のナノポアと、第2のウェルおよびチャネルに結合された第2のナノポアとを、さらに含む。第2のナノポアは、第1のナノポアから1μm未満で配置される。
【0009】
[0009]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明が、諸態様を参照することによって得られ、そのいくつかは、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、例示的な態様のみを例示し、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、他の同等に有効な態様を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示による複数のナノポアを形成するための方法のプロセスフローである。
【
図2A】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの断面図を示している。
【
図2B】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの上面図を示している。
【
図2C】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの断面図を示している。
【
図2D】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの上面図を示している。
【
図2E】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの断面図を示している。
【
図2F】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの上面図を示している。
【
図2G】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの断面図を示している。
【
図2H】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの上面図を示している。
【
図2I】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの断面図を示している。
【
図2J】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの上面図を示している。
【
図2K】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの断面図を示している。
【
図2L】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの上面図を示している。
【
図2M】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの断面図を示している。
【
図2N】本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップの上面図を示している。
【
図3A】様々な実施形態による、様々なナノポア設計またはレイアウトを有するチップの様々な実施形態を示している。
【
図3B】様々な実施形態による、様々なナノポア設計またはレイアウトを有するチップの様々な実施形態を示している。
【
図3C】様々な実施形態による、様々なナノポア設計またはレイアウトを有するチップの様々な実施形態を示している。
【
図3D】様々な実施形態による、様々なナノポア設計またはレイアウトを有するチップの様々な実施形態を示している。
【
図3E】様々な実施形態による、様々なナノポア設計またはレイアウトを有するチップの様々な実施形態を示している。
【
図3F】様々な実施形態による、様々なナノポア設計またはレイアウトを有するチップの様々な実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013]理解を容易にするために、可能な場合には、同一の参照番号を使用して、図に共通する同一の要素を指定している。ある態様の要素および特徴は、さらに詳説することなく、他の態様に有益に組み込まれ得ることが企図されている。
【0012】
[0014]近接した十分に制御された固体ナノポアおよびそのアレイを製造するための方法が提供される。一実施形態では、複数のウェルおよび1つ以上のチャネルが、基板内に形成される。ウェルのそれぞれが、チャネルに隣接している。各ウェルの側壁の一部が露出され、露出された側壁の一部は、隣接するチャネルに近接している。各ウェルの露出された側壁の一部が、隣接するチャネルに向かって横方向にエッチングされる。次に、各ウェルを隣接するチャネルに接続するナノポアが形成される。各ナノポアは、隣接するナノポアから1μm未満の距離をあけて配置できる。
【0013】
[0015]本明細書に開示される方法は、例として、半導体チップ上での固体ナノポアの形成に言及している。開示された方法は、固体および生物学的材料を含む様々な材料上に他のマイクロ流体デバイスおよび細孔状構造を形成するのに有用であることも企図される。本明細書に開示される方法はまた、例としてピラミッド形状のトンネルの形成にも言及している。 しかしながら、他のエッチングされたフィーチャおよびそれらの任意の組み合わせもまた企図される。例示のために、ケイ素基板について説明する。しかしながら、任意の適切な基板材料およびガラスなどの誘電体材料もまた企図される。
【0014】
[0016]
図1は、本開示による複数のナノポアを形成するための方法100のプロセスフローである。
図2A~
図2Nは、方法100の様々な段階などにおける、本明細書に開示された方法に従って複数のナノポアが形成されるチップ200の上面図および断面図を示す。
図2A~
図2Nは特定の順序で示されているが、
図2A~
図2Nに示されている方法100の様々な段階は任意の適切な順序で実行できることも企図されている。方法100のより明確な理解を容易にするために、
図1の方法100は、
図2A~
図2Nにおけるチップ200の様々な図を使用して説明および実証される。方法100は、
図2A~
図2Nを使用して説明されているが、
図2A~
図2Nに示されていない他の工程が含まれてもよい。
【0015】
[0017]方法100の前に、基板202が提供される。基板202は、一般に、ドープされたまたはドープされていないケイ素(Si)基板などの、任意の適切な半導体基板である。基板202は、200μmから2000μmの間の厚さを有し得る。一実施形態では、基板202は、<100>面を含む結晶構造を有するSiである。工程110では、
図2Aの断面図に示されるように、第1の層204が、基板202上に堆積される。第1の層204は、ハードマスクとして機能することができる。少なくとも1つの実施態様では、第1の層204は、窒化ケイ素(SiN)などの、水酸化カリウム(KOH)耐性エッチングバリアである。第1の層204は、約1nmから約100nmの間の厚さを有し得る。一実施形態では、第1の層204は、約50nmの厚さを有する。第1の層204は、一般に、原子層堆積(ALD)、物理気相堆積(PVD)、または化学気相堆積(CVD)を含むがこれらに限定されない任意の適切な堆積方法によって堆積される。
【0016】
[0018]工程120において、
図2B~
図2Cに示されるように、複数のウェル206A~206Bおよび1つ以上のチャネル208が形成される。
図2Bは、チップ200の上面図であり、
図2Cは、
図2Bで2Cとラベル付けされた線を通る断面である。複数のウェル206A~206Bのそれぞれが、1つ以上のチャネルのうちのチャネル208に隣接して配置されている。少なくとも1つの実施態様では、偶数のウェルが、チップ200上に形成される。2つのウェル206A~206Bおよび1つのチャネル208のみが示されているが、以下の
図3A~
図3Bに示され、説明されるように、任意の数のウェルおよびチャネルを利用することができる。少なくとも2つのウェル206A~206B、すなわち偶数のウェルを形成することにより、ウェル(および後で、ウェルに結合されたナノポア)を対で利用することが可能になる。
【0017】
[0019]工程120においてウェル206A~206Bおよびチャネル208を形成するために、第1のフォトレジスト層210が、第1の層204上に堆積される。次に、パターニングプロセスを実行して、ウェル206A~206Bおよびチャネル208を形成する。一般に、パターニングプロセスは、第1のフォトレジスト層210をリソグラフィまたはパターニングすること、ならびに、例えば反応性イオンエッチング(RIE)により、第1の層204および基板202をエッチングすることを含む。エッチングは、方向性エッチングであり得る。次に、第1のフォトレジスト層210が除去される。
【0018】
[0020]ウェル206A~206Bおよびチャネル208は、10nmから2μmの間の深さ213までエッチングされ得る。一実施形態では、ウェル206A~206Bおよびチャネル208は、約250nmの深さ213を有するようにエッチングされる。ウェル206A~206Bは、チャネル208から20nmから500nmの間の距離212をあけて配置することができる。チャネル208は、約1nmから200nmの幅214を有し得る。一実施形態では、チャネル208は、100nm未満の幅214を有し得る。したがって、第1のウェル206Aは、第2のウェル206Bから1000nm未満の距離をあけて配置することができる。
【0019】
[0021]工程130において、第1の層204に対して適切な程度のエッチング選択性を示す材料などの第2の層216、例えば酸化物層が、
図2D~
図2Eに示されるように、第1の層204、複数のウェル206A~206B、およびチャネル208上に堆積または成長し、チップ200の各露出面をコーティングする。
図2Dは、チップ200の上面図であり、
図2Eは、
図2Dで2Eとラベル付けされた線を通る断面である。第2の層216は、チップ200の各露出面上に共形層で堆積される。第2の層216は、1nmから100nmの間の厚さを有し得る。一態様では、第2の層216は、5nmから10nmの間の厚さを有する。一実施形態では、第1の層204が、例えば第1の層204を酸素または水(H
2O)に曝露することによって、酸化されて、第2の層216を形成する。別の実施形態では、第2の層216は、ALDを使用して堆積される。さらに別の実施形態では、第2の層216は、例えば、ALD、CVD、またはPVDによって、金属または半導体層を堆積し、次に金属または半導体層を酸化して、第2の層216を形成することによって、形成される。
【0020】
[0022]第2の層216は、KOHエッチング耐性層であり得る。少なくとも1つの実施態様では、第2の層216は、SiNを含む。第2の層216は、耐塩基性であり得る。第2の層216は、SiO2に比べて低いエッチング速度を有する任意の適切な誘電体材料を、一般に含む。第2の層216に適した材料の例には、これらに限定されないが、Al2O3、Y2O3、およびTiO2がさらに含まれる。SiNのエッチング速度と比較した第2の層216のエッチング速度は、一般に、約10:1よりも大きく、例えば、約100:1、例えば、約1,000:1である。
【0021】
[0023]工程140において、
図2F~
図2Gに示されるように、ウェル206A~206Bのそれぞれの側壁222の一部が露出される。
図2Fは、チップ200の上面図であり、
図2Gは、
図2Fで2Gとラベル付けされた線を通る断面である。露出された側壁222の一部は、チャネル208に隣接しており、基板202の一部である。一実施形態では、チャネル208の側壁の1つ以上の部分が露出される。このような実施形態では、第1のウェル206Aに隣接するチャネル208の側壁の第1の部分が露出され、第2のウェル206Bに隣接するチャネル208の側壁の第2の部分が露出される。チャネル208の側壁の第1の部分および側壁の第2の部分は、互いの真向かいに配置することができる。チャネル208の側壁の第1の部分および側壁の第2の部分は、互いに隣接して配置することができる。
【0022】
[0024]側壁222の一部を露出させるために、第2のパターニングプロセスが実行される。第2のパターニングプロセスでは、平坦化層218が堆積されて、改善されたフォトリソグラフィプロセスのための平坦な表面を提供する。次に、第2のフォトレジスト層220が、平坦化層218上に堆積される。マスクが、露出されるべき側壁222の一部と位置合わせされ得る。第2のパターニングプロセスは、第2のフォトレジスト層220および平坦化層218をリソグラフィまたはパターニングすることを含む。第2のパターニングプロセスは、例えばRIEまたはウェットエッチングプロセスにより、第2のフォトレジスト層220および平坦化層218をエッチングして、ウェル206A~206Bの側壁222の一部を露出させることを、さらに含む。
【0023】
[0025]工程150において、第2の層216は、
図2H~
図2Iに示されるように、ウェル206A~206Bの露出された側壁222の一部から選択的にエッチングされる。
図2Hは、チップ200の上面図であり、
図2Iは、
図2Hで2Iとラベル付けされた線を通る断面である。チャネル208の側壁の一部が工程140で露出される実施形態では、第2の層216は、チャネル208の露出された側壁の一部から選択的にエッチングされる。
【0024】
[0026]露出された側壁222の一部から第2の層216を除去するために、一実施形態では、ウェットエッチャントが利用される。例えば、酸化物はフッ化物エッチングに対して選択的であるので、希フッ化水素酸(DHF)などのフッ化物系のエッチャントが使用され得る。別の実施形態では、等方性ドライエッチャントが利用されて、露出された側壁222の一部から第2の層216を除去する。例えば、ドライエッチャントは、フッ素含有蒸気またはプラズマを含み得る。一例では、フッ素含有蒸気またはプラズマは、フッ素イオンおよび/またはフッ素ラジカルを含む。選択的エッチングは、第1の層204をそのままにしながら、第2の層216を除去することができる。
図2Iに示されるように、ウェル206A~206Bの側面上に第2の層216を保持しながら、第2の層216は、露出された側壁222の一部から選択的に除去され得る。次に、第2のフォトレジスト層220および平坦化層218を除去することができる。第2のフォトレジスト層220および平坦化層218を除去することにより、チップ200は、ウェル206A~206Bの側壁の露出されていない部分上に耐塩基性の第2の層216を有し、露出された側壁222の一部上に、露出されたケイ素結晶表面を有する。
【0025】
[0027]工程160において、露出された側壁222の一部が、チャネル208に向かって横方向にエッチングされる。横方向エッチャントは、
図2Jおよび
図2Kに示すように、塩基性液体化学作用を含むことができ、例えば、KOH浸漬であり、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)への曝露による。
図2Jは、チップ200の上面図であり、
図2Kは、
図2Jで2Kとラベル付けされた線を通る断面である。一実施形態では、横方向エッチャントは、異方性エッチングを含む。他の実施形態では、横方向エッチャントは、等方性エッチングを含む。チャネル208の側壁の一部が工程140で露出される実施形態では、チャネル208の露出された側壁の一部は、ウェル206A~206Bに向かって横方向にエッチングされる。
【0026】
[0028]横方向エッチングは、基板202の平坦な上面と平行に基板202をエッチングすることを含む。横方向エッチングは、異方性エッチングであり得る。露出された側壁222の一部をチャネル208に向かって横方向にエッチングすることにより、トンネル224すなわち第1の層204の下の基板202を通る経路が形成される。トンネル224は、ピラミッド形状または錐台形状であり、第1の層204の平坦な上面と平行である。トンネル224のサイズは、露出された側壁222の一部のサイズに応じて異なり得る。トンネル224は、第2の層216の薄膜のみがトンネル224とチャネル208との間に残るまでエッチングされ得る。
【0027】
[0029]横方向エッチングは、結晶ファセットまたは結晶構造の格子に沿って基板202をエッチングするために、所定の時間実行され得る。所定の時間は、一般に、マスク開口部に対する横方向エッチングを低減または排除するように決定される。一般に、Si基板202の<100>面は、溶液の温度およびH2O中のKOHの濃度に対応する速度でエッチングされる。ほとんどのシナリオでは、KOHは、Siの<100>面を約0.4nm/sから約20nm/sの間の速度でエッチングする。溶液を冷却または加熱することにより、速度を加速または遅延させることができる。露出された側壁222の一部は、摂氏0度~100度の温度で0.5分間~5分間エッチャントに曝露され得る。一実施形態では、30重量%のKOH水溶液が、約40度に加熱され、約1分間適用される。
【0028】
[0030]工程170において、
図2L~
図2Nに示されるように、トンネル224をチャネル208に接続するために、複数のナノポア226A~226Bが形成される。
図2Lは、チップ200の上面図であり、
図2Mは、
図2Lで2Mとラベル付けされた線を通る断面である。
図2Nは、ウェル206A~206Bがチャネル208の同じ側に配置され、ナノポア226A~226Bが実質的に平行または同軸に整列されているチップ260の実施形態を示している。
図2Nのチップ260は、
図2A~
図2Mに関して説明した方法100に従って形成することができる。
【0029】
[0031]ナノポア226A~226Bは、電圧を印加して、トンネル224とチャネル208との間に残っている第2の層216の薄膜の絶縁破壊を誘発することによって形成され、その結果、十分に制御され、局在化された、堅牢なナノポアを形成することができる。ナノポア226A~226Bは、ピラミッド形状または錐台形状のトンネル224の先端に形成される。電圧を印加するために、任意選択で、1つ以上の電極240をチップ200上に形成することができる。1つ以上の電極240は、第2の層216上、ウェル206A~206B内、およびチャネル208内に配置され得る。次に、1つ以上の電極240は、ナノポア226A~226Bの形成の後に除去され得る。別の実施形態では、チップ200は、電圧を印加するように構成された電極を含む。ガラススライド228が、第2の層216上に堆積され、第2の層216に結合されてもよい。
【0030】
[0032]印加電圧は、一般に、例えば、第2の層216の一部を劣化させることによって、第2の層216の少なくとも一部を除去して、ナノポア226A~226Bを形成する。印加電圧は、一般に、第2の層216の絶縁破壊電圧より高い典型的な電圧を含む。例えば、酸化ケイ素の絶縁破壊電圧は、一般に、約2メガボルト(MV)/cmから約6MV/cmの間、すなわち約200から600ミリボルト(mV)/nm(材料)の間である。一態様では、印加電圧は、第2の層216の絶縁破壊電圧よりわずかに低く、電流は、残っている膜をゆっくりと破壊するために、より長く印加される。別の態様では、印加電圧は、基板材料が吹き飛ばされてナノポア226A~226Bが形成されるように、基板材料の絶縁破壊電圧より高い。所望よりも大きいサイズを有するナノポア226A~226Bが、形成された場合、酸化プロセスが実行されて、ナノポア226A~226Bのサイズを縮小することができる。例えば、ピラミッド形状または錐台形状のトンネル224の先端が、ナノポア226A~226Bのサイズを縮小するために酸化されてもよい。一実施形態では、第2の層216は、トンネル224間に配置されたチャネル208の一部に堆積されていないか、またはチャネル208の一部から除去されている。そのような実施形態では、ナノポア226A~226Bは、工程160の横方向エッチングを使用して形成することができ、ナノポア226A~226Bを形成するために電圧が印加される必要はない。
【0031】
[0033]少なくとも2つのウェル206A~206B、続いて少なくとも2つのナノポア226A~226Bを形成することにより、ウェル206A~206Bに結合されたナノポア226A~226Bを対で、すなわちデュアルポアとして利用して、タンパク質などの高分子、および/またはDNAなどの生体高分子を配列決定することができる。例えば、チップ200が、生体高分子および/または高分子を含む電解質または導電性流体で満たされ得る。DNAまたは高分子の一本鎖が、第1のウェル206Aに結合したナノポア226Aに通され、第2のウェル206Bに結合したナノポア226Bに通されて、生体高分子および/もしくは高分子の特性または生体高分子および/もしくは高分子に結合した材料を決定することができる。電気的特性は、DNA塩基対のサイズおよび/または形状に基づいて変化し得る電気信号を含む。第1のウェル206Aに結合したナノポア226Aが、生体高分子および/または高分子がナノポア226Aに引き付けられ得る収集速度を制御し、第2のウェル206Bに結合したナノポア226Bが、生体高分子および/または高分子がナノポア226Bを通過するスピードまたは速度を制御してもよく、またはその逆でもよい。別の実施形態では、両方のナノポア226A、226Bが、異なる大きさを有する電場の印加を通じて、生体高分子および/または高分子がそこを通過するスピードに影響を与える。したがって、デュアルナノポアを利用することにより、デュアルナノポアが互いに流体連通することが可能になり、その結果、制御を維持しながら、改善された信号対雑音比ならびに生体高分子および/または高分子のより高い捕捉速度がもたらされる。
【0032】
[0034]ナノポア226A~226Bは、本明細書に開示された方法に従って形成されているので、ナノポア226A~226Bのサイズおよび位置は、十分に制御されている。ナノポア226A~226Bの十分に制御されたサイズは、一般に、ある特定のサイズのサンプルを配列決定するのに適した直径である。一態様では、ナノポア226A~226Bのサイズは、約100nm以下である。一態様では、ナノポア226A~226Bは、約5nm×5nmと約50nm×50nmの間である。一実施形態では、ナノポア226A~226Bは、約5nmから50nmの間の直径を有する。一実施形態では、ナノポア226A~226Bは、約20nm×20nmである。別の態様では、ナノポア226A~226Bのサイズは、約1.5nmから約1.8nmの間であり、例えば、約1.6nmであり、これは、おおよそDNAの一本鎖のサイズである。別の態様では、ナノポア226A~226Bのサイズは、約2nmから約3nmの間であり、例えば、約2.8nmであり、これは、おおよそ二本鎖DNAのサイズである。ナノポア226A~226Bの十分に制御された位置は、一般に、1つ以上のナノポアの構成に適した基板上の任意の位置である。一実施形態では、ナノポア226A~226Bは、互いから1μm未満の間隔をあけて、例えば互いから100nm未満の間隔をあけて、配置されている。
【0033】
[0035]一態様では、チップ200は、
図3A~
図3Fに示されるように、ナノポア226のアレイを含む。本明細書に開示される方法は、配列決定または他のプロセスのための所望の構成のナノポアアレイが形成されるように、複数のナノポア226のそれぞれの位置を制御するために、一般に、使用される。方法100は、上記の工程に限定されず、1つ以上の種々の他の工程を含むことができる。
【0034】
[0036]
図3A~
図3Fは、様々な実施形態による、様々な設計またはレイアウトの複数のナノポアを有する、それぞれチップ300、350の様々な実施形態を示している。チップ300および350は、
図2A~
図2Nのチップ200であり得る。さらに、
図3A~
図3Fのチャネル308、トンネル324、ウェル306A~306B、およびナノポア326A~326Bは、それぞれ、
図2A~
図2Nのチャネル208、トンネル224、ウェル206A~206B、およびナノポア226A~226Bであり得る。
【0035】
[0037]
図3A~
図3Bでは、チップ300は、直角設計のウェル対のアレイを含む。チップ300は、ナノポアに結合された3対のウェル306A~306Bを示しており、各ウェル306A~306Bは、トンネル324によってチャネル308に結合されている。
図3Bは、
図3Aのチップ300の中央にあるナノポア326A~326Bの拡大図を示している。
図3Bに示されるように、ナノポア326Aと326Bは、互いに対して実質的に直角に配置されている。一実施形態では、ウェル306A~306Bの3つの対のそれぞれが、生体高分子および/または高分子への異なる流体および電気的アクセスを提供するなどの、生体高分子および/または高分子を配列決定するための別個の機能を有する。例えば、ナノポア326A~326Bがチップ300上に形成された後、サンプル含有溶液は、一般に、ウェル306A~306Bの第1のセットに堆積され、サンプルを含まない溶液は、ウェル306A~306Bの第2のセットに堆積される。
【0036】
[0038]チップ300の各チャネル308は、チャネル308がチップ300の中心に向かって延びるにつれて狭くなり得る。チャネル308は、約1μmから20μmの幅330を有し得る。一実施形態では、チャネル308は、約10μmの幅330を有する。トンネル324は、1つのチャネル308から別のチャネル308に延びる、約0.1μmから0.5μmの長さ332を有し得る。一実施形態では、トンネル324は、約0.25μmの長さ332を有する。別の実施形態では、ナノポア326A~326Bは、互いから1μm未満の間隔をあけて、例えば互いから100nm未満の間隔をあけて、配置されている。
図3A~
図3Bでは、チャネル308は、最大20μmの幅を有するが、それでも、ナノポア336A~33Bは、互いから1μm未満の間隔をあけて配置することができる。
【0037】
[0039]ナノポア326A~326Bは、互いに対して実質的に直角に配置されており、ナノポア326A~326Bは、チャネル308によって分離されていないので、ナノポア326Aと326Bとの間の距離は、チャネル308の幅330に依存しない。より広いチャネル308を有することにより、トンネル324もまた、より大きくすることができる。近接したナノポア326A~326Bならびにより大きなトンネル324およびチャネル308を有するチップ300を利用することにより、より多くの量の流体がチャネル308およびトンネル324を通過することが可能になり、その結果、生体高分子および/または高分子を配列決定するときに遭遇する電気抵抗が少なくなる。したがって、より大きい流速および向上した電気的特性が達成され、より大きな生体高分子および/または高分子が配列決定され得る。
【0038】
[0040]
図3C~
図3Dでは、チップ350は、一実施形態によれば、平行または同軸に整列された設計のウェル対のアレイを含む。チップ350は、ナノポアに結合された3対のウェル306A~306Bを示しており、各ウェル306A~306Bは、トンネル324によってチャネル308に結合されている。
図3Dは、
図3Cのチップ350の中央にあるナノポア326A~326Bの拡大図を示している。
図3Dに示されるように、ナノポア326Aおよび326Bは、実質的に平行に配置されるか、または互いに同軸に整列されている。一実施形態では、ウェル306A~306Bの3つの対のそれぞれが、生体高分子および/または高分子への異なる流体および電気的アクセスを提供するなどの、生体高分子および/または高分子を配列決定するための別個の機能を有する。例えば、ナノポア326A~326Bがチップ300上に形成された後、サンプル含有溶液は、一般に、ウェル306A~306Bの第1のセットに堆積され、サンプルを含まない溶液は、ウェル306A~306Bの第2のセットに堆積される。
【0039】
[0041]
図3E~
図3Fでは、別の実施形態によれば、チップ370は、面内または同軸に整列された設計のウェル対のアレイを含む。チップ370は、ナノポアに結合された3対のウェル306A~306Bを示しており、各ウェル306A~306Bは、トンネル324によってチャネル308に結合されている。
図3Fは、
図3Eのチップ370の中央にあるナノポア326A~326Bの拡大図を示している。
図3Fに示されるように、ナノポア326Aおよび326Bは、実質的に面内に配置されるか、または互いに同軸に整列されている。ナノポア326Aおよび326Bは、互いに隣接して、または実質的に平行に配置されている。ナノポア326Aおよび326Bは、互いから距離372をあけて配置されてもよい。チップ300と同様に、ナノポア326A~326Bは、チャネル308によって分離されていないので、ナノポア326A~326Bが互いから離間している距離372は、チャネル308の幅に依存しない。したがって、より大きい流速および向上した電気的特性が達成され、より大きな生体高分子および/または高分子が配列決定され得る。
【0040】
[0042]一実施形態では、ウェル306A~306Bの3つの対のそれぞれが、生体高分子および/または高分子への異なる流体および電気的アクセスを提供するなどの、生体高分子および/または高分子を配列決定するための別個の機能を有する。例えば、ナノポア326A~326Bがチップ300上に形成された後、サンプル含有溶液は、一般に、ウェル306A~306Bの第1のセットに堆積され、サンプルを含まない溶液は、ウェル306A~306Bの第2のセットに堆積される。
【0041】
[0043]
図3A~
図3Fの実施形態は、デュアルナノポア設計を有するチップの3つの例に過ぎず、上記の実施形態に限定されない。任意の適切なデュアルナノポアのレイアウトまたは設計も意図されている。
【0042】
[0044]本開示の利点には、十分に制御されたナノポアおよびナノポア対が近接して形成されたナノポアアレイを迅速に形成する能力が含まれる。開示された方法は、一般に、薄膜を通してサイズおよび位置が十分に制御されたナノポアを提供する。十分に制御されたサイズのナノポアを製造する方法は、高いレベルの制御を維持しながら、改善された信号対雑音比ならびに生体高分子および/または高分子のより高い捕捉速度を提供する。生体高分子および/または高分子の一本鎖は、より高い収集速度で捕捉されることができ、より速いスピードでナノポアを通過することができ、これにより、ナノポアを通る電流の変化が増加する。したがって、十分に制御されたナノポア対を利用すると、DNA配列の読み取りが向上する。
【0043】
[0045]上記は、本開示の態様に向けられているが、本開示の他のさらなる態様が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されることができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。