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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】義歯洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20221209BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221209BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20221209BHJP
   C11D 7/54 20060101ALI20221209BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20221209BHJP
   C11D 7/12 20060101ALI20221209BHJP
   C11D 3/40 20060101ALI20221209BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20221209BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q11/00
A61K8/365
C11D7/54
C11D7/26
C11D7/12
C11D3/40
C11D3/20
C11D3/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017252398
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019011311
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2017129665
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智和
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/056714(WO,A1)
【文献】特開平08-183718(JP,A)
【文献】特開2001-288062(JP,A)
【文献】特開2005-272365(JP,A)
【文献】特開2015-067589(JP,A)
【文献】特開昭59-070610(JP,A)
【文献】特開昭61-065822(JP,A)
【文献】特開平11-047219(JP,A)
【文献】特開2014-136683(JP,A)
【文献】米国特許第05855869(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)赤色104号の(1)と、(B)炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)酸と、(D)酸化マグネシウムと、(F)糖アルコール結合剤とを含む義歯洗浄剤。
【請求項2】
さらに、アゾ系色素、赤色104号の(1)以外のキサンテン系色素、トリアリールメタン系色素、キノリン系色素、インジゴ系色素よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の義歯洗浄剤。
【請求項3】
前記成分(D)が酸化マグネシウムである、請求項1又は2に記載の義歯洗浄剤。
【請求項4】
(E)漂白剤を0重量%超40重量%以下の含有量でさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
【請求項5】
前記(A)成分の含有量が0.0001~0.5重量%である、請求項1~4のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
【請求項6】
前記(A)成分が、ヨウ素原子を含むキサンテン系色素を実質的に含まない、請求項1~5のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
【請求項7】
(A)赤色104号の(1)と、(B)炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)酸とを含む義歯洗浄剤における当該(B)成分の分解を抑制するために使用される分解抑制剤であって、
(D)酸化マグネシウム及び(F)糖アルコール結合剤を有効成分とする、分解抑制剤。
【請求項8】
(A)赤色104号の(1)と、(B)炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)酸とを含む義歯洗浄剤において、当該(B)成分の分解を抑制する分解抑制方法であって、
義歯洗浄剤に、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分と共に、(D)酸化マグネシウム及び(F)糖アルコール結合剤を配合する、分解抑制方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素と、酸と、炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、炭酸化合物と記載することもある)と、酸化マグネシウムとを含み、保存時におけるパッケージのパフィングが抑制された製剤安定性を有する義歯洗浄時剤に関する。
【背景技術】
【0002】
義歯は、総義歯、部分床義歯の別に関わらず、細菌、バイオフィルム、その他沈着物等が付着しやすく、洗浄せずに放置しておくと、口臭の原因になるだけでなく、歯周病等の口腔内疾患を誘発する一因になることがある。そのため、口腔ケアの一環として、義歯を洗浄し清潔に保つことが不可欠である。義歯に付着した細菌や汚れは、ブラシによる清掃では十分に除去できないため、義歯洗浄剤による洗浄が重要である。
【0003】
義歯洗浄剤による義歯の洗浄は、一般に、固体の義歯洗浄剤を水に投入して調製された義歯洗浄水に義歯を浸漬放置する方法で行われている。従来、義歯洗浄剤には界面活性剤及び発泡剤(炭酸化合物と酸との組み合わせ)が配合された発泡性のものとして構成されており、水に投入した際に界面活性化作用による化学的洗浄力と発泡作用による物理的洗浄力を発揮させ、洗浄効果が高まるように設計されている。
【0004】
また、従来、義歯洗浄剤は、錠剤、顆粒剤、粉末剤等の様々な形態に製剤化して提供されているが、これらの製剤形態の中でも、錠剤は、取扱いが容易であり、消費者に広く受け入れられている。これまでに、錠剤状の義歯洗浄剤について、洗浄力の向上や崩壊性の向上を図るための製剤技術について種々報告されている(例えば、特許文献1及び2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2001-505195号公報
【文献】特開2005-112640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な発泡性の義歯洗浄剤には、発泡剤や界面活性剤といった洗浄効果を生じさせる成分に加えて、香料が配合されている。近年、配合する香料のバリエーションが増加してきており、義歯洗浄剤に色素を配合することで、芳香のイメージに関連した色味を付け、視覚的効果に連動させて嗅覚的な満足感を増強させる試みがなされている。しかしながら、その製剤安定性については十分に検討されていない。
【0007】
本発明者は、色素が配合された発泡性の義歯洗浄剤の製剤安定性を検討したところ、保存時において、義歯洗浄剤が収容された密封包装体内で、義歯洗浄剤に含まれる炭酸化合物の分解により炭酸ガスが発生し、密封包装体が膨張する現象(以下、この現象をパフィングと表記することがある)を生じさせるという課題に直面した。義歯洗浄剤は、通常、1回分の義歯洗浄剤が個別包装された密封包装体が所定の個数分まとまって1つの収容体(箱など)に収容された商品として販売される。密封包装体でパフィングが起こると、たとえ密封包装体単位では膨張量が小さくても1つの収容体全体として積算された膨張量は非常に大きいため、収容体が膨脹歪みを起こしたり、当該膨脹歪みのために商品陳列に問題が生じたりする。また、パフィングが起ると、発泡体の一部が分解されていることで溶けにくく、使用に際して水に投入した時の発泡力が弱くなり、洗浄効果及び視覚的満足感に乏しくなる。
【0008】
そこで本発明の目的は、色素が配合された発泡性の義歯洗浄剤であって、炭酸化合物の分解が抑制された製剤安定性を有する義歯洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討の結果、色素と炭酸化合物と酸とを含む義歯洗浄剤に酸化マグネシウムを配合することによって、上記の本発明の課題が解決できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)色素と、(B)炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)酸と、(D)酸化マグネシウムとを含む義歯洗浄剤。
項2. 前記(A)成分が、アゾ系色素、キサンテン系色素、トリアリールメタン系色素、キノリン系色素、インジゴ系色素よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の義歯洗浄剤。
項3. 前記成分(D)が酸化マグネシウムである、項1又は2に記載の義歯洗浄剤。
項4. (E)漂白剤を0重量%超40重量%以下の含有量でさらに含む、項1~3のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
項5. (F)糖アルコール結合剤をさらに含む、項1~4のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
項6. 前記(A)成分の含有量が0.0001~0.5重量%である、項1~5のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
項7. 前記(A)成分が、ヨウ素原子を含むキサンテン系色素を実質的に含まない、項1~6のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
項8. 前記キサンテン系色素が赤色104号の(1)である、項1~7のいずれかに記載の義歯洗浄剤。
項9. (A)色素と、(B)炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)酸とを含む義歯洗浄剤における当該(B)成分の分解を抑制するために使用される分解抑制剤であって、
(D)酸化マグネシウムを有効成分とする、分解抑制剤。
項10. (A)色素と、(B)炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)酸とを含む義歯洗浄剤において、当該(B)成分の分解を抑制する分解抑制方法であって、
義歯洗浄剤に、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分と共に、(D)酸化マグネシウムを配合する、分解抑制方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の義歯洗浄剤によれば、色素と炭酸化合物と酸とを含んでいながらも、保存時における炭酸化合物の分解が抑制され、優れた製剤安定性を有している。これによって、保存中に義歯洗浄剤を個別包装しているパッケージのパフィングを抑制することができるため、保存時において、当該個別包装を収容する収容体の膨張歪みを抑制することができる。また、炭酸化合物の分解が抑制されているため溶けやすく(また義歯洗浄剤が錠剤である場合にあっては崩壊性が良好であり)、使用に際して水に投入した時の発泡力が強く、洗浄効果が良好に得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.義歯洗浄剤
本発明の義歯洗浄剤は、(A)色素と、(B)炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)酸と、(D)酸化マグネシウムを含有することを特徴とする。以下、本発明の義歯洗浄剤について詳述する。
【0013】
(A)色素
本発明の義歯洗浄剤は、(A)成分として色素を含有する。色素は、口腔用組成物、外用組成物、及び/又は食品等の着色に用いられる公知の成分である。
【0014】
色素としては、特に制限されないが、例えば、アゾ系色素、キサンテン系色素、トリアリールメタン系色素、キノリン系色素、インジゴ系色素から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、(A)成分として用いられる色素は、水溶性であるか否かを問わない。水溶性の色素である場合は、義歯洗浄剤の使用に際して水に溶かすと洗浄水が着色する。
【0015】
アゾ系色素としては、発色団としてアゾ基(-N=N-)を有するものであれば限定されない。例えば、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年告示、厚生省)により定められた染料(以下、法定色素と略す)のうち、赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色201号、赤色225号、赤色227号(ファーストアシッドマゲンタ)、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、だいだい色205号、だいだい色402号、だいだい色403号、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットエローFCF)、黄色402号、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、かっ色201号、黒色401号等が挙げられる。このうち、水溶性の色素としては、赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色201号、赤色227号(ファーストアシッドマゲンタ)、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、だいだい色205号、だいだい色402号、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットエローFCF)、黄色402号、黄色406号、黄色407号、かっ色201号、黒色401号が挙げられる。
【0016】
キサンテン系色素としては、キサンテン構造を有する色素であれば特に限定されない。例えば、法定色素のうち、赤色104号の(1)(フロキシンB)、赤色106号(アシッドレッド)、黄色202号の(1)(ウラニン)、赤色213号(ローダミンB)、赤色218号(テトラクロルテトラブロモフルオレッセイン)、赤色223号、赤色230号の(1)(エオシンYS)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色401号、だいだい色201号、黄色201号、黄色202号の(2)等のヨウ素原子を含有しないキサンテン系色素;及び赤色3号(エリスロシン)、赤色105号の(1)(ローズベンガル)赤色232号(ローズベンガルK)、だいだい色206号(ジヨードフルオレセイン)、だいだい色207号(エリスロシン黄NA)等のヨウ素原子を含有するキサンテン系色素が挙げられる。このうち、水溶性の色素としては、赤色104号の(1)(フロキシンB)、赤色106号(アシッドレッド)、黄色202号の(1)(ウラニン)、赤色213号(ローダミンB)、赤色218号(テトラクロルテトラブロモフルオレッセイン)、赤色223号、赤色230号の(1)(エオシンYS)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色401号、黄色202号の(2)、赤色3号(エリスロシン)、赤色105号の(1)(ローズベンガル)赤色232号(ローズベンガルK)、だいだい色207号(エリスロシン黄NA)が挙げられる。
【0017】
トリアリールメタン系色素としては、トリアリールメチル基、好ましくはトリフェニルメチル基を有するものであれば特に限定されない。例えば、法定色素のうち、青色1号(ブリリアントブルー)、青色202号、青色203号、青色205号、緑色3号(ファストグリーンFCF)、緑色205号、緑色402号等が挙げられ、これらはすべて水溶性である。
【0018】
キノリン系色素としては、黄色204号(キリンエローSS)、黄色203号(キリンエローWS)等が挙げられる。このうち、水溶性の色素としては、黄色203号(キリンエローWS)が挙げられる。
【0019】
インジゴ系色素としては、青色2号(インジゴカルミン)、青色201号等が挙げられる。このうち、水溶性の色素としては、青色2号(インジゴカルミン)が挙げられる。
【0020】
さらに(A)成分としては、上述の色素のアルミニウムレーキも挙げられる。なお、アルミニウムレーキ色素は水にほとんど溶けない非水溶性である。
【0021】
上述の色素の中でも、本発明の義歯洗浄剤が(E)成分を含有している場合に洗浄水の着色維持性が優れている点で、アゾ系色素、ヨウ素原子を含有しないキサンテン系色素、トリアリールメタン系色素、キノリン系色素、インジゴ系色素から選択される少なくとも1種が好ましく、特に、赤色104号の(1)が好ましい。
【0022】
これらの色素は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に本発明の義歯洗浄剤に香料を配合する場合は、配合される香料のイメージに関連付けられた色味を呈するように色素が選択されることが好ましい。
【0023】
(A)成分には、本発明の義歯洗浄剤に(E)成分を含有している場合に洗浄水の着色状態を良好に維持する観点から、ヨウ素原子を含むキサンテン系色素を実質的に含まないことが好ましい。なお、ヨウ素原子を含むキサンテン系色素を実質的に含まないとは、ヨウ素原子を含むキサンテン系色素の含有量が0.00001重量%以下、好ましくは0.000001重量%以下、最も好ましくは0重量%である。
【0024】
本発明の義歯洗浄時剤において、(A)成分の含有量については、特に制限されず、付与すべき着色効果に応じて適宜設定すればよいが、保存時における(B)成分の分解をより良好に抑制する等の観点から、例えば、(A)成分の総量で0.0001~0.5重量%、好ましくは0.0001~0.1重量%、より好ましくは0.001~0.05重量%が挙げられる。
【0025】
本発明の義歯洗浄時剤において、(B)成分に対する(A)成分の比率については特に制限されないが、保存時における(B)成分の分解をより良好に抑制する等の観点から、例えば、(B)成分の総量100重量部当たり、(A)成分の総量が、例えば0.00016~10重量部、好ましくは0.00016~2重量部、より好ましくは0.002~0.5重量部、一層好ましくは0.0025~0.3重量部、更に好ましくは0.003~0.13重量部が挙げられる。
【0026】
(B)炭酸化合物
本発明の義歯洗浄剤は、(B)成分として、炭酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩よりなる群から選択される少なくとも1種の炭酸化合物を含有する。これらの色素は、義歯洗浄剤の発泡剤を構成する成分として公知の成分である。
【0027】
炭酸塩としては、特に制限されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸のアルカリ金属塩が挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウムが挙げられる。炭酸水素塩としては、特に制限されないが、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素のアルカリ金属塩が挙げられ、好ましくは炭酸水素ナトリウムが挙げられる。炭酸塩と炭酸水素塩の複塩としては、特に制限されないが、例えば、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられる。これらの炭酸化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本発明の義歯洗浄時剤において、(B)成分の含有量については、義歯の洗浄時に発泡作用を発揮させ得る限り特に制限されないが、例えば5~60重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは15~40重量%が挙げられる。また、(C)成分との合計量((B)成分の含有量と(C)成分の含有量との和)として、例えば10~70重量%、好ましくは20~60重量%、より好ましくは30~50重量%が挙げられる。
【0029】
(C)酸
本発明の義歯洗浄剤は、(C)成分として酸を含有する。酸は、義歯洗浄剤の発泡剤を構成する成分として公知の成分である。
【0030】
酸としては、有機酸及び無機酸が挙げられ、好ましくは有機酸が挙げられる。有機酸としては、特に制限されないが、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、グルコン酸、コハク酸、サリチル酸等が挙げられる。無機酸としては、特に制限されないが、例えば、リン酸、スルファミン酸等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
本発明の義歯洗浄時剤において、(C)成分の含有量については、水中で(B)成分と反応して二酸化炭素を発生できることを限度として特に制限されないが、例えば、(B)炭酸化合物100重量部当たり、(C)酸が通常20~100重量部、好ましくは30~90重量部、更に好ましくは40~85重量部が挙げられる。
【0032】
(D)酸化マグネシウム
本発明の義歯洗浄剤は、(D)成分として酸化マグネシウムを含有する。(D)酸化マグネシウムは、(B)成分の分解を生じさせる水分と結合したり(B)成分の分解が生じるとしても分解により発生する二酸化炭素と結合したりすることで、(B)成分の分解反応の防止や分解反応の進行抑制が可能となる。したがって、本発明の義歯洗浄剤は、(D)成分を含有することによって、保存時における(B)成分の分解が抑制され、優れた製剤安定性を得ることができる。
【0033】
(B)成分の分解抑制性をより良好に得る観点から、(D)成分である酸化マグネシウムは比表面積が大きいものが好ましい。酸化マグネシウムは、比表面積が高いほど活性度が高くなる。酸化マグネシウムの、BET法により測定した比表面積は、例えば20m2/g以上、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上が挙げられる。比表面積の上限は特に限定されないが、たとえば200m2/gが挙げられる。ここで、BET法とは、粉体粒子の表面上に占有面積が既知の分子(通常、窒素ガス)を吸着させ、その吸着量から試料粉体の比表面積を求める方法である。
【0034】
本発明の義歯洗浄剤において、(D)成分の含有量については、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量によって定まるが、例えば0.5~3重量%、好ましくは1~2重量%、より好ましくは1~1.5重量%が挙げられる。
【0035】
本発明の義歯洗浄剤において、(A)成分に対する(D)成分の含有量については、保存時における(B)成分の分解をより良好に抑制する等の観点から、例えば、(A)成分の総量1重量部当たり、(D)成分が、例えば1~30000重量部、好ましくは5~30000重量部、より好ましくは20~2000重量部、より一層好ましくは20~1500重量部、更に好ましくは30~1200重量部が挙げられる。また、(B)成分に対する(D)成分の含有量については、保存時における(B)成分の分解をより良好に抑制する等の観点から、例えば、(B)成分の総量100重量部当たり、(D)成分が、例えば0.8~60重量部、好ましくは2~20重量部、より好ましくは2.5~10重量部が挙げられる。
【0036】
(E)漂白剤
本発明の義歯洗浄剤は、(E)成分として漂白剤を含有していてもよい。本発明の義歯洗浄剤において、漂白剤を含有している場合は、漂白作用を付与し、洗浄力を向上させることができる。本発明の義歯洗浄剤は、(A)成分にヨウ素原子を含むキサンテン系色素を実質的に含まなければ、漂白剤を含有していても、使用に際し義歯洗浄剤を水中で発泡させた時の洗浄水の着色状態を良好に維持することができるため、視覚的効果による満足感をより良好に得ることができる。
【0037】
漂白剤としては、無毒性で生理学上許容されるものであれば特に制限はされず、義歯洗浄剤で通常使用されるものを広く用いることができる。
【0038】
漂白剤としては、例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩、モノ過硫酸水素塩等が挙げられる。
【0039】
過炭酸塩としては、具体的には、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等の過炭酸のアルカリ金属塩、過炭酸アンモニウム、これらの水和物等が挙げられる。過ホウ酸塩としては、具体的には、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム等の過ホウ酸のアルカリ金属塩、過ホウ酸アンモニウム、これらの水和物等が挙げられる。過硫酸塩としては、具体的には、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸のアルカリ金属塩、過硫酸アンモニウム、これらの水和物等が挙げられる。モノ過硫酸水素塩としては、具体的には、モノ過硫酸水素ナトリウム、モノ過硫酸水素カリウム等のモノ過硫酸水素のアルカリ金属塩、モノ過硫酸水素アンモニウム、これらの水和物等が挙げられる。
【0040】
これらの漂白剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
本発明の義歯洗浄剤において(E)成分を含有させる場合、その含有量については、所望の漂白作用を発揮できる範囲で適宜設定すればよいが、(A)成分にヨウ素原子を含むキサンテン系色素を実質的に含まない場合において使用時における洗浄水の着色維持性を良好に得る観点からは、たとえば40重量%以下、好ましくは35重量%以下、より好ましくは33重量%以下が挙げられる。漂白作用と着色維持性との両立の観点からは、例えば10~40重量%、好ましくは10~35重量%、より好ましくは10~33重量%、さらに好ましくは15~33重量%が挙げられる。
【0042】
(F)糖アルコール結合剤
本発明の義歯洗浄剤には、(F)成分として糖アルコール結合剤を含有していてもよい。(F)成分の配合は、本発明の義歯洗浄剤が錠剤状に成型されものである場合に特に有用である。この場合、糖アルコール結合剤を含ませることによって、義歯洗浄剤の打錠性を向上させることができるため、製造において、所望の硬度及び厚みを有する錠剤を調製可能な打錠条件(圧力条件)として広い条件を許容することができる。
【0043】
糖アルコールとしては、例えば、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等が挙げられ、好ましくはソルビトールが挙げられる。これらの糖アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
本発明の義歯洗浄剤において(F)成分を配合する場合、その含有量については、特に制限されないが、打錠性を良好に得る観点から、例えば1~30重量%、好ましくは3~20重量%、より好ましくは5~15重量%が挙げられる。
【0045】
その他の成分
本発明の義歯洗浄剤には、前述する成分に加えて、本発明の効果を妨げないことを限度として、必要に応じて他の成分を含んでよい。
【0046】
本発明の義歯洗浄剤に配合可能な他の添加剤としては、香料、界面活性剤、結合剤(前記(F)成分以外)、消臭剤、防錆剤、キレート剤、pH調整剤、酵素、甘味料、発泡安定化剤、保存剤、抗菌・殺菌剤、防腐剤、滑沢剤、増量剤、賦形剤、崩壊剤、流動化剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で配合してもよく、2種以上を任意に組み合わせて配合してもよい。
【0047】
本発明の義歯洗浄剤に香料を含む場合、前記(A)成分によって呈される色味に関連付けられた芳香を有する香料が選択されることが好ましい。これによって、視覚的効果に連動させて嗅覚的な満足感が高められる。さらに、本発明の義歯洗浄剤は前記(E)成分を含む場合であっても(A)成分にヨウ素原子を含むキサンテン系色素を実質的に含まなければ洗浄水の着色維持性が良好であるため、視覚的効果に連動させて嗅覚的な満足感を一層増強させることができる。
【0048】
製剤形態
本発明の義歯洗浄剤は、粉末状、顆粒状又は錠剤状に成型され、好ましくは顆粒状又は錠剤状に成型され、最も好ましくは錠剤状に成型される。本発明の義歯洗浄剤は、保存時における(B)成分の分解が抑制されているため溶けやすく、特に錠剤状に成型されている場合において使用時の良好な崩壊性を得ることができる。錠剤状に成型される場合、錠剤1個当たりの重量は、特に制限されず、使用簡便性を踏まえて適宜設定すればよいが、錠剤1個当たりの重量を1回の義歯洗浄に必要な量に設定しておくことが望ましい。
【0049】
錠剤状の義歯洗浄剤の製造は、公知の方法に従って行えばよい。例えば、前記(A)、(B)、(C)成分、(D)成分、及び必要に応じて添加される他の成分の混合物を、造粒等の顆粒の成型工程、又は打錠等の錠剤の成型工程に供することによって、本発明の義歯洗浄剤が製造される。
【0050】
使用方法
本発明の義歯洗浄剤は、水又はお湯に投入し、これに洗浄対象となる義歯を入れると、前記(B)及び(C)成分が反応することによる発泡作用により義歯が洗浄される。また、本発明の義歯洗浄剤に含まれる前記(D)成分によって保存時において前記(B)の分解が抑制されているため発泡力が強く、この気泡が義歯に接触することによる物理的な刺激が加えられて義歯の洗浄効果を良好に得ることができる。また、本発明の義歯洗浄剤に(E)成分を含有している場合であっても、(A)成分にヨウ素原子を含むキサンテン系色素を実質的に含まなければ洗浄水の着色状態も良好に維持することができるため、視覚的効果による満足感をより良好に得ることができる。さらに、本発明の義歯洗浄剤に香料が含まれ且つ(A)成分が当該香料の芳香のイメージに関連付けられた色味を呈するように構成されている場合は、洗浄水の着色維持性が良好なことによって、視覚的効果に連動させて嗅覚的な満足感を増強させることができる。
【0051】
本発明の義歯洗浄剤を用いて義歯を洗浄する際に使用される水としては、特に制限されないが、水道水、精製水、蒸留水、生理食塩水等が挙げられる。
【0052】
本発明の義歯洗浄剤を用いて義歯を洗浄する際には、水に義歯を浸漬した後に本発明の義歯洗浄剤を加えてもよく、また水に本発明の義歯洗浄剤を加えた後に義歯を浸漬させてもよい。
【0053】
また、義歯の洗浄において、本発明の義歯洗浄剤と水との比率は、本発明の義歯洗浄剤の組成、洗浄対象となる義歯の汚れの程度等に応じて適宜設定されるが、例えば、水100重量部に対して、義歯洗浄剤を通常1~10重量部程度、好ましくは1~5重量部程度とすればよい。より具体的には、1回の義歯の洗浄において、水100~200mLを準備し、これに本発明の義歯洗浄剤1~20g、好ましくは1~10g、より好ましくは1~5gを加えればよい。
【0054】
義歯洗浄時の温度は、室温程度とすればよい。また、前記義歯洗浄液に義歯を浸積する時間は、通常5分~12時間程度、好ましくは30分~8時間程度である。
【0055】
また、義歯の洗浄中に、義歯洗浄剤を添加した水を攪拌等する必要はないが、必要に応じて攪拌してもよく、またブラシ等の洗浄具で義歯を擦り洗いしてもよい。
【0056】
2.炭酸化合物の分解抑制剤、及び炭酸化合物の分解抑制方法
前述するように、酸化マグネシウムは、色素と炭酸化合物と酸とを含む義歯洗浄剤において、炭酸化合物の分解を抑制することができる。従って、本発明は、更に、色素と炭酸化合物と酸とを含む義歯洗浄剤における炭酸化合物の分解を抑制するために使用される分解抑制剤であって、酸化マグネシウムを有効成分とする分解抑制剤を提供する。また、本発明は、色素と炭酸化合物と酸とを含む義歯洗浄剤において、炭酸化合物の分解を抑制する分解抑制方法であって、義歯洗浄剤に、色素と炭酸化合物と酸と共に、酸化マグネシウムを配合する、分解抑制方法を提供する。
【0057】
前記分解抑制剤は酸化マグネシウムの添加剤としての用途であり、また、前記分解抑制方法は、酸化マグネシウムを利用して、色素と炭酸化合物と酸とを含む義歯洗浄剤における炭酸化合物の析出を分解する方法である。
【0058】
前記分解抑制剤及び分解抑制方法において、使用する成分の種類や使用量、義歯洗浄剤の形態等については、前記「1.義歯洗浄剤」の欄に示す通りである。
【実施例
【0059】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0060】
なお、以下の試験例及び処方例で使用した主な成分の商品名、組成、入手元等は、以下の通りである。
硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、及びモノ過硫酸水素カリウムの混合物(モノ過硫酸水素カリウムを約43重量%含有):商品名「オキソン」(ランクセス株式会社製)
過ホウ酸ナトリウム:商品名「SODIUM PERBORATE MONOHYDRATE」(BELINKA製)
ポリエチレングリコール:PEG6000P(第一工業製薬製)
アルファオレインスルホン酸ナトリウム:商品名「ASCO-90」(Aekyung Specialty Chemicals Co.Ltd製)
ラウリル硫酸ナトリウム:商品名「エマール10PHD」(花王株式会社製)
酸化マグネシウム:商品名「キョーワマグ150」(協和化学工業株式会社製);比表面積150m2/g
【0061】
試験例
表1に示す組成の錠剤状の義歯洗浄剤を調製した。具体的には、表1に示す成分を混合した組成物を、径25φの金型と打錠装置(理研機器株式会社製、小型電動油圧ポンプSMP-3012SK)を用いて47MPaで打錠成型することにより、1個当たり2.65gの錠剤状の義歯洗浄剤を調製した。なお、表1において、各組成の成分の配合量を示す数値の単位は重量%である。
【0062】
調製した義歯洗浄剤について、以下の方法で、パフィング量(炭酸化合物の分解抑制性)、パフィング量抑制度、着色維持性、及び打錠性(打錠条件許容性)の程度について評価した。
【0063】
<パフィング量(炭酸化合物の分解抑制性)の測定方法>
5×6cmのアルミパウチに、調製した錠剤状の義歯洗浄剤を入れ、四方をシーリングして密封し、密封包装体を作成した。水を入れた容器の重量と、当該水を入れた容器中に密封包装体を宙吊り完全に水没させ水中で宙吊り状態とした場合の容器の重量との差から、密封包装体の体積を求めた。作成直後(保存前)の密封包装体と、50℃(湿度60%)、2週間の加速条件下で保存した後の密封包装体とについて、それぞれ体積を求め、それらの体積の差(mL)からパフィング量を算出した。ここで、パフィング量は、アルミパウチ1包分で生じた体積の差を4倍することで、4包分のパフィング積算量として算出した。これによって、義歯洗浄剤が個別包装された密封包装体を重ねて1つの収容体(箱など)に収容した場合の、収容体全体におけるパフィング積算量を想定して評価した。
【0064】
パフィング抑制度は、下記式によって導出した。パフィング量(つまり4包分のパフィング積算量)は、n=3の平均値として導出した。
パフィング抑制度(%)=100×((D)成分を含まない比較例のパフィング量-(D)成分を含む実施例のパフィング量)/(D)成分を含まない比較例のパフィング量
(式中、(D)成分を含まない比較例とは、(D)成分を含まないことを除いて、実施例と同じ組成の比較例を指す。)なお、パフィング抑制度が10以上である場合、パフィングが効果的に抑制されている、つまり炭酸化合物の分解が効果的に抑制されていると評価した。
【0065】
<着色維持性の評価方法>
調製した義歯洗浄剤を25℃の水150mL中に投入し、30分後の洗浄水の着色状態を観察し、以下の基準に基づいて評価した。なお、この評価は、色素が水溶性である場合のみ行った。
〇:退色が認められない。
△:退色が認められるものの、色の消失は認められず、着色状態は維持されている。
×:色の消失が認められる。
【0066】
<打錠性(打錠条件許容性)の評価方法>
表1に示す組成の混合物を打錠装置(菊水製作所株式会社製、CLEANPRESS Correct型番1518SS7JY)を用い、与圧時及び本圧時の圧力条件をそれぞれ変化させて打錠成型した。得られたそれぞれの錠剤について、硬度(シュロインゲル硬度計(錠剤硬度計6D:DR.SCHLEUNIGER PHARMATRON社製)にて測定)及び厚みを測定し、打錠障害(キャッピング及びラミネーション、スティッキング)の発生の有無を観察した。硬度が8sc以上、厚みが3.90mm未満であり、かつ、キャッピング及びラミネーションのいずれも認められない錠剤(合格錠剤)が調製できる打錠条件の広さを、以下の基準に基づいて評価した。
〇:合格錠剤が得られる打錠条件の範囲として、予圧の充填深さの範囲が0.5mm以上であり、且つ、本圧の範囲が1t以上であった。
×:合格錠剤が得られる打錠条件の範囲として、(i)予圧の充填深さの範囲0.5mm未満である、及び(ii)本圧の範囲が1t未満である、の少なくともいずれかに該当した。
【0067】
結果を表1に示す。色素が含まれていない義歯洗浄剤(参考例1~2)では、酸化マグネシウムが含まれているか否かに関わらず、パフィングがあまり生じないが、色素が含まれている義歯洗浄剤(比較例1、2)ではパフィングが顕著に生じた。このパフィングは、酸化カルシウムを加えた場合(比較例3、4)であっても抑制されず、むしろ悪化した。これに対し、色素と共に酸化マグネシウムを含む義歯洗浄剤(実施例1~19)では、パフィング抑制度が全て10以上であり、パフィングが効果的に抑制された。また、色素が水溶性の場合、ヨウ素原子を含有するキサンテン系色素以外の色素であれば(実施例1~5、7~9、14~19)、漂白剤が含まれているにも関わらず、洗浄水の色が消失せず、着色維持性も効果的に得られた。特に、赤色104号の(1)を含む義歯洗浄剤(実施例1~5)では、24時間経過後も洗浄水の色が消失せず、顕著な着色維持性が得られた。また、糖アルコールを含む義歯洗浄剤(実施例1、2、4~19)では、良好な打錠性も得られた。
【0068】
【表1】
【0069】
処方例
表2に示す組成の、錠剤状の義歯洗浄剤を調製した。表2において、各組成の成分の配合量を示す数値の単位は重量%である。いずれの義歯洗浄剤も、保存時のパフィングが効果的に抑制されていた。
【0070】
【表2】