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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】配管加熱装置及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20221209BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221209BHJP
   C23C 16/448 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 F
C23C16/448
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018229302
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020090716
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木元 大寿
(72)【発明者】
【氏名】小森 栄一
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-252223(JP,A)
【文献】特開2017-076781(JP,A)
【文献】特開2000-248363(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0070561(KR,A)
【文献】特開平10-047581(JP,A)
【文献】特開2010-153164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205,21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス配管に設置されるセンサと、
前記ガス配管における前記センサが設置される領域を除いて前記ガス配管を覆うように螺旋状に配置される発熱部を有する加熱手段と、
前記ガス配管の外周面を覆い、前記ガス配管の外周面と前記センサとの間に取り付けられ、前記ガス配管よりも熱伝導率が高い材料により形成された熱伝導部材と、
を有する、
配管加熱装置。
【請求項2】
前記熱伝導部材は、前記ガス配管をクランプするクランプ部材である、
請求項1に記載の配管加熱装置。
【請求項3】
前記ガス配管は、その内部に固体又は液体の原料を気化させた原料ガスを通流させる配管である、
請求項1又は2に記載の配管加熱装置。
【請求項4】
前記センサは、所定の温度以上になると前記発熱部への電力の供給を遮断するサーマルスイッチである、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配管加熱装置。
【請求項5】
前記加熱手段は、リボンヒータであり、
前記発熱部は、抵抗発熱体を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の配管加熱装置。
【請求項6】
前記ガス配管の材料はステンレスであり、前記熱伝導部材の材料はアルミニウムである、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の配管加熱装置。
【請求項7】
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器内に原料ガスを供給する原料ガス供給管を有する原料ガス供給手段と、
前記原料ガス供給管を加熱する配管加熱装置と、
を備え、
前記配管加熱装置は、
前記原料ガス供給管に設置されるセンサと、
前記原料ガス供給管における前記センサが設置される領域を除いて前記原料ガス供給管を覆うように螺旋状に配置される発熱部を有する加熱手段と、
前記原料ガス供給管の外周面を覆い、前記原料ガス供給管の外周面と前記センサとの間に取り付けられ、前記原料ガス供給管よりも熱伝導率が高い材料により形成された熱伝導部材と、
を有する、
基板処理装置。
【請求項8】
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器内に原料ガスを供給する原料ガス供給管を有する原料ガス供給手段と、
前記処理容器内を排気する排気管を有する排気手段と、
一端が前記原料ガス供給管に接続され、他端が排気管に接続されたエバック配管と、
前記原料ガス供給管及び前記エバック配管の少なくともいずれかのガス配管を加熱する配管加熱装置と、
を備え、
前記配管加熱装置は、
前記ガス配管に設置されるセンサと、
前記ガス配管における前記センサが設置される領域を除いて前記ガス配管を覆うように螺旋状に配置される発熱部を有する加熱手段と、
前記ガス配管の外周面を覆い、前記ガス配管の外周面と前記センサとの間に取り付けられ、前記ガス配管よりも熱伝導率が高い材料により形成された熱伝導部材と、
を有する、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管加熱装置及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体原料気化装置におけるガス供給系の配管の露出部にリボンヒータを取り付け、気化ガスの凝結を起こさない所定の温度に加熱する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-359238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ガス配管の均熱性を向上できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による配管加熱装置は、ガス配管に設置されるセンサと、前記ガス配管における前記センサが設置される領域を除いて前記ガス配管を覆うように螺旋状に配置される発熱部を有する加熱手段と、前記ガス配管の外周面を覆い、前記ガス配管の外周面と前記センサとの間に取り付けられ、前記ガス配管よりも熱伝導率が高い材料により形成された熱伝導部材と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ガス配管の均熱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の基板処理装置の構成例を示す概略図
図2】一実施形態の配管加熱装置の一例の概略構成を示す側面図
図3図2の配管加熱装置の縦断面図
図4図2の配管加熱装置の横断面図
図5】一実施形態の配管加熱装置による効果の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
一実施形態の配管加熱装置を基板処理装置に適用した構成例について説明する。図1は、一実施形態の基板処理装置の構成例を示す概略図である。
【0010】
図1に示されるように、基板処理装置は、原料ガス供給装置10と、成膜処理部70と、配管加熱装置120と、制御部150と、を備える。原料ガス供給装置10は、成膜処理部70に原料ガスを供給する。成膜処理部70は、基板であるウエハWに対して原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法等による成膜を行う。配管加熱装置120は、基板処理装置に設けられている種々のガス配管を加熱する。制御部150は、原料ガス供給装置10、成膜処理部70及び配管加熱装置120の各部の動作を制御する。なお、明細書中においては、キャリアガスと、キャリアガスと共に流れる(気化した)原料と、を併せたガスを原料ガスと称する。
【0011】
原料ガス供給装置10は、常温で固体又は液体の原料を収容する原料容器12を有する。原料容器12の周囲には、ヒータ14が設けられている。ヒータ14は、原料容器12内の固体又は液体の原料を適宜の温度に加熱して原料を気化させる。一実施形態では、原料は固体原料であり、六塩化タングステン(WCl)である。原料は、WClに限定されず、低蒸気圧原料であってよく、例えば五塩化タングステン(WCl)、五塩化モリブデン(MoCl)、四塩化ジルコニウム(ZrCl)、五塩化タンタル(TaCl)、ドデカカルボニル三ルテニウム(Ru(CO)12)であってもよい。
【0012】
原料容器12内には、キャリアガス供給管20の下流側の端部及び原料ガス供給管30の上流側の端部が挿入されている。キャリアガス供給管20の上流側の端部には、キャリアガスの供給源であるキャリアガス供給源22が設けられている。キャリアガスは、例えば窒素(N)ガス等の不活性ガスであってよい。キャリアガス供給管20には、上流側からマスフローコントローラ(MFC)24、バルブV21、バルブV22がこの順序で設けられている。MFC24は、キャリアガス供給管20を通流するキャリアガスの流量を制御する。
【0013】
一方、原料ガス供給管30には、上流側からバルブV31、バルブV32、マスフローメータ(MFM)32、貯留部34、バルブV33がこの順序で設けられている。MFM32は、原料ガス供給管30を通流する原料ガスの流量を測定する。貯留部34は、原料ガスを一時的に貯留し、短時間で必要な原料ガスを供給する。バルブV33は、ALDの際にガスの供給及び停止を切り替えるためのバルブであり、例えば高速で開閉可能なALDバルブである。ALDバルブは、0.5秒以下の間隔で開閉可能であることが好ましく、0.01秒以下の間隔で開閉可能であることがより好ましい。貯留部34には、その内部のガスの圧力を測定する圧力計36が設けられている。圧力計36は、例えばキャパシタンスマノメータであってよい。なお、原料ガス供給管30の下流側の端部付近は、後述の反応ガスやパージガスも流れることから、ガス供給流路78として示している。
【0014】
原料ガス供給管30におけるバルブV32とMFM32との間の位置には、希釈ガスを供給する希釈ガス供給管40の下流側の端部が合流している。希釈ガス供給管40の上流側の端部には、希釈ガスの供給源である希釈ガス供給源42が設けられている。希釈ガスは、例えばNガス等の不活性ガスであってよい。なお、希釈ガスはオフセットガスとも称される。希釈ガス供給管40には、上流側からマスフローコントローラ(MFC)44、バルブV41がこの順序で設けられている。
【0015】
キャリアガス供給管20におけるバルブV21とバルブV22との間の位置と、原料ガス供給管30におけるバルブV31とバルブV32との間の位置とを接続するように、バイパス管60が設けられている。バイパス管60は、キャリアガス供給源22からキャリアガス供給管20に供給されるキャリアガスを、原料容器12を経由することなく原料ガス供給管30に供給する流路である。バイパス管60には、バルブV61が設けられている。バルブV22,V31を閉じてバルブV21,V61,V32を開くことにより、キャリアガス供給源22から供給されるキャリアガスがキャリアガス供給管20及びバイパス管60を経て、原料ガス供給管30に供給される。これにより、原料ガス供給管30をパージできる。また、MFC24との流量測定値のずれを最小限にするため、MFM32を校正できる。さらに原料容器12を経由した場合と原料容器12を経由しない場合との差分を測定することで、原料ガスの供給量を精度よく測定できる。
【0016】
成膜処理部70は、処理容器72と、載置台74と、ガス導入部76と、を有する。処理容器72は、その内部を減圧可能な真空容器である。載置台74は、処理容器72内に設けられており、ウエハWを水平に保持する。載置台74は、ヒータ74aを有する。ヒータ74aにより、ウエハWが所定の温度に加熱される。ガス導入部76は、原料ガス等を処理容器72内に導入する。ガス導入部76には、ガス供給流路78が接続され、原料ガス供給装置10から供給されるガスが、ガス導入部76を介して、処理容器72内に供給される。また、処理容器72には、排気管80を介して、排気機構82が接続されている。排気管80には、処理容器72内の圧力を調整する圧力調整部84が設けられている。圧力調整部84は、例えば圧力調整バルブ84aと、バルブ84bとを有する。
【0017】
また、ガス供給流路78には、還元ガス供給流路90及びパージガス供給流路100が合流している。
【0018】
還元ガス供給流路90は、処理容器72内に、原料ガスを還元する還元ガスを供給する。還元ガスは、例えば水素(H)ガスであってよい。還元ガス供給流路90の上流側の端部には、還元ガスの供給源である還元ガス供給源92が設けられている。また、還元ガス供給流路90には、不活性ガス供給流路94が合流している。不活性ガス供給流路94の上流側の端部には、不活性ガスを供給する供給源である不活性ガス供給源96が設けられている。不活性ガスは、例えばNガスであってよい。還元ガス供給流路90には、上流側からバルブV91、バルブV92がこの順序で設けられている。不活性ガス供給流路94には、バルブV94が設けられている。
【0019】
パージガス供給流路100は、パージガスを供給する。パージガスは、例えばNガス等の不活性ガスであってよい。パージガス供給流路100の上流側の端部には、パージガスの供給源であるパージガス供給源102が設けられている。パージガス供給流路100には、バルブV100が設けられている。
【0020】
また、原料ガス供給管30における貯留部34の下流側には、エバック配管110が接続されている。エバック配管110は、一端が原料ガス供給管30に接続され、他端が排気管80に接続された流路を形成する。言い換えると、エバック配管110は、原料ガス供給管30と排気管80とを処理容器72を経由することなく接続する流路を形成する。エバック配管110には、バルブV111が設けられている。バルブV111を開き、バルブV33を閉じることにより、原料ガス供給管30を通流する原料ガスを、処理容器72を経由することなく、エバック配管110を介して排気管80に流れて排気機構82により排気される。
【0021】
配管加熱装置120は、基板処理装置に設けられている種々のガス配管を加熱する。ガス配管としては、例えばキャリアガス供給管20におけるMFC24の下流側、原料ガス供給管30、希釈ガス供給管40におけるバルブV41の下流側、バイパス管60、及びエバック配管110が挙げられる。
【0022】
制御部150は、原料ガス供給装置10の各部の動作、例えばバルブV21、V22、V31、V32、V33、V41、V61、V111の開閉動作、MFC24及びMFC44の動作を制御する。また、制御部150は、成膜処理部70の各部の動作、例えば、バルブV91、V92、V94、V100の開閉動作、圧力調整部84の動作を制御する。また、制御部150は、配管加熱装置120の各部の動作、例えば後述するヒータ電源122の動作を制御する。
【0023】
制御部150は、例えばコンピュータであってよい。基板処理装置の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0024】
〔配管加熱装置〕
次に、配管加熱装置120について、原料ガス供給管30を加熱する部分を例に挙げて説明する。ただし、別のガス配管、例えばキャリアガス供給管20、希釈ガス供給管40、バイパス管60、エバック配管110を加熱する部分についても、以下に説明する原料ガス供給管30を加熱する部分と同様であってよい。
【0025】
図2は、一実施形態の配管加熱装置120の一例の概略構成を示す側面図である。図3は、図2の配管加熱装置120の縦断面図であり、図2における一点鎖線III-IIIにおいて切断した断面を示す。図4は、図2の配管加熱装置120の横断面図であり、図2における一点鎖線IV-IVにおいて切断した断面を示す。
【0026】
配管加熱装置120は、リボンヒータ121と、ヒータ電源122と、熱伝導部材123と、サーマルスイッチ124と、を有する。
【0027】
リボンヒータ121は、加熱手段の一例であり、発熱部121aと、リード線121bと、を有する。発熱部121aは、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124を配置する領域を除いて、原料ガス供給管30を覆うように螺旋状に巻き付けられている。発熱部121aは、ヒータ電源122から電流が供給されることで発熱するニクロム線等の抵抗発熱体と、抵抗発熱体を被覆するガラスクロス等の被覆材と、を有する。リード線121bは、一端が発熱部121aの抵抗発熱体と接続され、他端がヒータ電源122と接続されている。加熱手段としてリボンヒータ121を利用することで、低コストで原料ガス供給管30を加熱できる。なお、リボンヒータ121は、テープヒータとも称される。
【0028】
ヒータ電源122は、リード線121bを介して発熱部121aの抵抗発熱体に電流を供給する。ヒータ電源122が供給する電流は、制御部150により制御される。
【0029】
熱伝導部材123は、原料ガス供給管30の外周面とサーマルスイッチ124との間に取り付けられている。熱伝導部材123は、原料ガス供給管30よりも熱伝導率が高い材料により形成されている。熱伝導部材123の材料としては、例えば原料ガス供給管30の材料がステンレス(SUS)である場合、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等を利用できる。熱伝導部材123は、原料ガス供給管30をクランプするクランプ部材であることが好ましい。これにより、工具を使用することなく、原料ガス供給管30に熱伝導部材123を取り付けることができる。原料ガス供給管30の軸方向における熱伝導部材123の長さL1は、図3に示されるように、隣接する発熱部121a間の距離L2よりも長いことが好ましい。これにより、隣接する発熱部121aからの熱が熱伝導部材123を介して原料ガス供給管30における発熱部121aが巻き付けられていない領域に伝達するので、原料ガス供給管30の均熱性が向上する。そのため、原料ガスが原料ガス供給管30内を通流する際に再固化することを抑制できる。その結果、原料ガスの再固化に起因するパーティクルの発生を防止できる。
【0030】
サーマルスイッチ124は、原料ガス供給管30の外周面における発熱部121aが巻き付けられていない領域に、熱伝導部材123を介して設置されている。これにより、サーマルスイッチ124は、発熱部121aの温度ではなく、原料ガス供給管30の温度を感知できる。サーマルスイッチ124は、リボンヒータ121と直列接続されており、所定の温度以上になるとヒータ電源122からリボンヒータ121への電力の供給を遮断する。なお、サーマルスイッチ124は、センサの一例であり、サーマルスイッチ124の代わりに別のセンサ、例えば原料ガス供給管30の温度を測定する温度センサが設置されていてもよい。
【0031】
ところで、原料ガス供給管30の均熱性を向上させるために、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124が設置される領域を含む全ての領域にリボンヒータ121を配置することも考えられる。しかしながら、この場合、サーマルスイッチ124が原料ガス供給管30の温度ではなくリボンヒータ121の発熱部121aの温度を感知する。そのため、原料ガス供給管30が所定の温度以上に到達していない場合であっても、発熱部121aが所定の温度以上に到達している場合、サーマルスイッチ124がオフしてヒータ電源122からリボンヒータ121への電流の供給が遮断される誤検知が生じる。
【0032】
また、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124が設置されていない領域にリボンヒータ121を配置しない場合には、上記の誤検知を防止できる。しかしながら、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124が設置されていない領域にリボンヒータ121が配置されていないため、当該領域の温度が周囲の温度よりも低くなり、原料ガス供給管30の均熱性が低下する。
【0033】
これに対し、一実施形態の配管加熱装置120によれば、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124が設置される領域を除いて原料ガス供給管30を覆うようにリボンヒータ121の発熱部121aが配置されている。また、原料ガス供給管30の外周面とサーマルスイッチ124との間に、原料ガス供給管30よりも熱伝導率が高い材料により形成された熱伝導部材123が取り付けられている。これにより、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124が設置された領域に向かって、当該領域の周囲からの熱が熱伝導部材123を介して伝達するので、原料ガス供給管30の均熱性が向上する。そのため、原料ガスが原料ガス供給管30を通流する際に再固化することを抑制できる。その結果、原料ガスの再固化に起因するパーティクルの発生を防止できる。
【0034】
なお、上記の例では、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124を設置する領域に熱伝導部材123を取り付ける場合を説明したが、熱伝導部材123は、例えば2つのリボンヒータ121の繋ぎ目やリボンヒータ121の端部等に取り付けてもよい。これにより、2つのリボンヒータ121の繋ぎ目やリボンヒータ121の端部等におけるガス配管の温度低下を抑制できるので、ガス配管の均熱性がより向上する。
【0035】
〔評価結果〕
次に、一実施形態の配管加熱装置120の効果を確認するために実施した評価について説明する。
【0036】
まず、原料ガス供給管30の外周面に、図2図4に示されるように、熱伝導部材123の一例であるアルミホイルを介してサーマルスイッチ124を配置し、サーマルスイッチ124を避けるようにリボンヒータ121を取り付けた。続いて、原料ガス供給管30を180℃に加熱し、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124を配置した領域P3とサーマルスイッチ124を配置していない領域P1~P2,P4~P10とを含む10箇所の温度を測定した。
【0037】
また、比較のために、原料ガス供給管30の外周面に熱伝導部材123の一例であるアルミホイルを配置することなくサーマルスイッチ124を配置し、サーマルスイッチ124を避けるようにリボンヒータ121を取り付けた。続いて、原料ガス供給管30を180℃に加熱し、原料ガス供給管30におけるサーマルスイッチ124を配置した領域P3とサーマルスイッチ124を配置していない領域P1~P2,P4~P10とを含む10箇所の温度を測定した。
【0038】
図5は、一実施形態の配管加熱装置による効果の説明図であり、アルミホイルを設けた場合(図5において菱形印で示す。)と設けていない場合(図5において三角印で示す。)の領域P1~P10における温度[℃]を示す。
【0039】
図5に示されるように、アルミホイルを配置した場合、サーマルスイッチ124を配置した領域P3における温度は168.1℃であり、サーマルスイッチ124を配置していない領域P1~P2,P4~P10における温度は174.1~191.8℃であった。これに対し、アルミホイルを配置していない場合、サーマルスイッチ124を配置した領域P3における温度は152.4℃であり、サーマルスイッチ124を配置していない領域P1~P2,P4~P10における温度は174.0~191.2℃であった。
【0040】
これらの結果から、熱伝導部材123の一例であるアルミホイルを配置することにより、サーマルスイッチ124を配置した領域の温度が、サーマルスイッチ124を配置していない領域P1~P2,P4~P10と略同等の温度となることが分かる。一方、熱伝導部材123の一例であるアルミホイルを配置していない場合、サーマルスイッチ124を配置した領域の温度が、サーマルスイッチ124を配置していない領域P1~P2,P4~P10の温度と比較して大きく低下していることが分かる。すなわち、原料ガス供給管30の外周面とサーマルスイッチ124との間に熱伝導部材123を配置することにより、原料ガス供給管30にサーマルスイッチ124を配置した場合であっても、原料ガス供給管30の均熱性を向上できると言える。
【0041】
なお、上記の実施形態において、原料ガス供給装置10は原料ガス供給手段の一例であり、排気管80、排気機構82及び圧力調整部84は排気手段の一例である。
【0042】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 原料ガス供給装置
20 キャリアガス供給管
30 原料ガス供給管
40 希釈ガス供給管
60 バイパス管
72 処理容器
80 排気管
82 排気機構
110 エバック配管
120 配管加熱装置
121 リボンヒータ
121a 発熱部
123 熱伝導部材
124 サーマルスイッチ
150 制御部
図1
図2
図3
図4
図5