(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】凍結輸送容器及び該凍結輸送容器に収容できる凍結輸送容器用収容容器
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20221209BHJP
A61J 1/00 20060101ALI20221209BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20221209BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A61J3/00 301
A61J1/00 430
B65D81/38 D
B65D81/18 B
(21)【出願番号】P 2019032247
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】青田 周樹
(72)【発明者】
【氏名】吉村 滋弘
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-029388(JP,A)
【文献】特開2018-054420(JP,A)
【文献】特開2014-124234(JP,A)
【文献】特開2007-271279(JP,A)
【文献】特開昭48-035449(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0232998(US,A1)
【文献】特開2018-057336(JP,A)
【文献】特開2014-103861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
A61J 1/00
B65D 81/38
B65D 81/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱容器と、輸送対象となる試料容器を収容して前記断熱容器内に取り出し可能に格納される凍結輸送容器用収容容器とを備えた凍結輸送容器であって、
前記凍結輸送容器用収容容器は、前記試料容器を収容するケース部と、該ケース部を前記断熱容器に吊り下げた状態で支持する支持部材と、前記試料容器の収容空間を形成した状態で前記ケース部内に配設されて液体窒素を吸収できる液体窒素吸収材とを備え
、
前記ケース部は有底の筒状体からなり、前記収容空間は筒状体の上部開口から底部に至る縦長の空間であり、該空間に複数の試料容器を保持したケーンを出し入れするのに十分な径を有する鞘管が挿入され、前記液体窒素吸収材及び前記鞘管で前記収容空間を複数形成していることを特徴とする凍結輸送容器。
【請求項2】
前記ケース部は
、その底部に液体窒素が通過可能な孔部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の凍結輸送容器。
【請求項3】
試料容器に封入された試料を凍結輸送するための凍結輸送容器内に格納されて、前記試料容器を収容するための凍結輸送容器用収容容器であって、
前記試料容器を収容するケース部と、該ケース部を前記凍結輸送容器に吊り下げた状態で支持する支持部材と、前記試料容器の収容空間を形成した状態で前記ケース部内に配設されて液体窒素を吸収できる液体窒素吸収材とを備え
、
前記ケース部は有底の筒状体からなり、前記収容空間は筒状体の上部開口から底部に至る縦長の空間であり、該空間に複数の試料容器を保持したケーンを出し入れするのに十分な径を有する鞘管が挿入され、前記液体窒素吸収材及び前記鞘管で前記収容空間を複数形成していることを特徴とする凍結輸送容器用収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品や採取した各種試料(例えば、血液、精子、受精卵、細胞などの生体試料等)を凍結状態で輸送する凍結輸送容器、及び該凍結輸送容器に収容できる凍結輸送容器用収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や血液、精子、受精卵、細胞などの生体試料等を凍結状態で輸送する凍結輸送容器として、グラスファイバペーパなどの吸収材に液体窒素を吸収させて断熱容器内に設置したドライシッパーなどの凍結保存器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような凍結保存器における断熱容器内は液体窒素の冷熱で-150℃以下の低温に保たれ、バイアルやバッグ等の試料容器に封入した試料を凍結状態で輸送することができる。凍結保存器における液体窒素吸収材は、一定の試料格納スペースを確保するように、断熱容器の底面や内周面に固定されている。
【0004】
凍結保存器の使用を始める際、まず、断熱容器内に液体窒素を注入し一定時間放置する。液体窒素吸収材に十分に液体窒素を吸収させた後、サイホン管の使用や断熱容器を引っくり返して余剰の液体窒素を排出する。その後、試料容器を断熱容器に納め、蓋をして目的地まで凍結輸送する。
到着地で凍結保存器から試料容器を取り出した後、蓋を開放し、自然乾燥またはドライヤーで液体窒素を蒸発させて断熱容器内を復温する。
【0005】
上記の凍結保存器では、この低温から常温へ復温する過程で結露が発生することがある。結露が発生すると断熱容器内部に水が溜まり、カビが発生するおそれもあるなど衛生上望ましくない状況も起こり得る。カビの発生に対しては消毒や洗浄して対応することも考えられるが、断熱容器内は複雑な構造をとるため、消毒や洗浄は難しい。
また、液体窒素吸収材が断熱容器内に固定されているため、たとえ蓋を開放しても復温に長時間を要するという問題や、さらには、液体窒素吸収材からの液体窒素の蒸発を目視確認できないので、復温完了タイミングも把握しづらいという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4881046号公報
【文献】米国特許第7299650号
【文献】特開2017-029388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題を解決するものとして、例えば特許文献2に示すような、取り外し可能な吸収材エレメントを複数備えたドライシッパーがある。
特許文献2のドライシッパーでは、複数の吸収材エレメントを容器内壁に沿わせるように配置して試料容器格納スペースを作り、そのスペースに試料容器を入れたキャニスターを断熱容器から吊り下げるようにしている。
しかし、キャニスターに吸収剤エレメントを配設しているわけではないので、キャニスターに入れた試料と共に、換言すれば試料を冷却した状態で取り出すことはできない。
【0008】
また、特許文献3には、液体窒素吸収材を配設した箱状のシート状生体試料の収納具を引出し状に複数収納する収納棚を、断熱容器の開口部に吊り下げて凍結保存するシート状生体試料の収納具、収納ラック及び収納棚が開示されている。
しかし、シート状生体試料の輸送に特化したものであって、バイアルなどのシート状以外の試料容器に対応することができない。
【0009】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、使用後の洗浄や消毒が容易にでき衛生的で、立ち上げ・輸送完了後の作業が簡単であり、かつ意図しない解凍による品質低下を抑制でき、またバイアル等の汎用的な試料容器に対応できる凍結輸送容器、凍結輸送容器用収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る凍結輸送容器は、断熱容器と、輸送対象となる試料容器を収容して前記断熱容器内に取り出し可能に格納される凍結輸送容器用収容容器とを備えたものであって、
前記凍結輸送容器用収容容器は、前記試料容器を収容するケース部と、該ケース部を前記断熱容器に吊り下げた状態で支持する支持部材と、前記試料容器の収容空間を形成した状態で前記ケース部内に配設されて液体窒素を吸収できる液体窒素吸収材とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記ケース部は有底の筒状体からなり、その底部に液体窒素が通過可能な孔部が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記ケース部は有底の筒状体からなり、前記収容空間は筒状体の上部開口から底部に至る縦長の空間であることを特徴とするものである。
【0013】
(4)本発明に係る凍結輸送容器用収容容器は、試料容器に封入された試料を凍結輸送するための凍結輸送容器内に格納されて、前記試料容器を収容するためのものであって、
前記試料容器を収容するケース部と、該ケース部を前記凍結輸送容器に吊り下げた状態で支持する支持部材と、前記試料容器の収容空間を形成した状態で前記ケース部内に配設されて液体窒素を吸収できる液体窒素吸収材とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、ケース部に液体窒素吸収材を配設した状態でバイアルなどの試料容器を収容した凍結輸送容器用収容容器を断熱容器の開口部に吊り下げるようにしたので、断熱容器内に液体窒素吸収材を配設する必要がなく、断熱容器内を簡素な構造にできる。
また、断熱容器内の洗浄や消毒を簡単に行え、断熱容器を衛生的に保つことができる。
また、試料容器取り出しのために断熱容器から凍結輸送容器用収容容器を引き揚げたとき、試料容器が室温にさらされることを防ぎ、輸送対象である生体試料等が意図せず昇温することを防ぐことができ、輸送対象の品質維持につながる。
また、液体窒素吸収材を断熱容器外へ簡単に取り出せるため、液体窒素吸収材自体と断熱容器をそれぞれ個別にオートクレーブや紫外線などで滅菌処理することも容易である。
また、予め液体窒素を液体窒素吸収材に吸収させておけば、凍結保存器の立ち上げ作業を迅速に行うことができ、輸送完了後は液体窒素吸収材を簡単に取り出せるため、断熱容器内部の復温を迅速に行える。
また、使用する試料容器に合わせてケース部内の液体窒素吸収材の配設形状を変えることができるので、様々な試料容器に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態に係る凍結輸送容器の断面図である。
【
図2】本実施の形態に係る凍結輸送容器および凍結輸送容器用収容容器の使用状態を説明する図であって、断熱容器内に凍結輸送容器用収容容器を8つ収めた状態の平断面図と格納された凍結輸送容器用収容容器のケース部の断面図ある。
【
図3】本実施の形態に係る凍結輸送容器用収容容器の斜視図である。
【
図4】凍結輸送容器用収容容器内に試料容器を収容する種々の態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る凍結輸送容器1は、断熱容器3と、輸送対象となる試料容器5を収容して断熱容器3内に取り出し可能に格納される凍結輸送容器用収容容器7とを備えたものである。以下、各構成を詳細に説明する。
【0017】
<断熱容器>
断熱容器3は、
図1に示すように、上部に蓋部9により開閉され、試料の出入口となる開口部11を有する横断面が円形のものである。開口部11は、凍結輸送容器用収容容器7を出し入れするに必要且つ十分な径を有する円形状をなしており、開口部11の周縁部に後述する凍結輸送容器用収容容器7の支持部材15を吊り下げることができる。
【0018】
断熱容器3の周壁は、アルミニウム製の真空二重壁構造であって、開口部11に断熱性の高い材料からなるネックプラグ(図示なし)が挿入されることにより、断熱容器3内の低温を保つことができる。
また、本実施の形態の断熱容器3には、液体窒素吸収材17を配設する必要がなく、断熱容器3内は簡素な構造になっている。それ故に、断熱容器3内の洗浄や消毒を簡単に行え、断熱容器3を衛生的に保つことができる。
【0019】
<試料容器>
医薬品や血液、精子、受精卵、細胞などの採取した生体試料等をいれるためのものであり、微生物の侵入を防ぎ、無菌状態を保つことができる容器であり、例えばバイアルが挙げられる。
もっとも、試料容器5はバイアルに限らず、輸送対象の試料を封入可能なものであればよく、例えばバッグ等でもよい。
【0020】
<凍結輸送容器用収容容器>
凍結輸送容器用収容容器7は、
図3に示すように、試料容器5を収容するケース部13と、ケース部13を断熱容器3に吊り下げた状態で支持する支持部材15と、試料容器5の収容空間Sを形成した状態でケース部13内に配設されて液体窒素を吸収できる液体窒素吸収材17(
図2参照)とを備えたものである。
凍結輸送容器用収容容器7は、断熱容器3内に取り出し可能な状態で複数収容される。
図2に示す例は、断熱容器3内に凍結輸送容器用収容容器7を8つ収めた状態を示している。
【0021】
《ケース部》
ケース部13は、ステンレスなどの金属等によって形成され、有底の筒状体からなり、筒状体の上部開口から底部に至る縦長の空間が試料容器5や液体窒素吸収材17を格納する空間となる。
ケース部13の底部には液体窒素が通過可能な孔部18が形成されており、立ち上げ時には、液体窒素の貯留槽にケース部13を浸漬して孔部18から液体窒素を吸い上げ液体窒素吸収材17に液体窒素を吸収させることができる。
さらに、ケース部13を引き上げた際には吸収されなかった余剰の液体窒素を孔部18から排出させることができるため、凍結輸送容器1の立ち上げ作業がより簡単になる。
なお、本実施の形態のケース部13は筒状体を挙げて説明しているが(
図3参照)、ケース部13の形は筒状体に限らず、角筒でもよい。
【0022】
《支持部材》
支持部材15は、ケース部13を断熱容器3に吊り下げた状態で支持するものであり、金属の線状部材からなる。支持部材15の下部側はケース部13に固定され、上端部には凍結輸送容器用収容容器7の開口部11の周縁部に係合し得る係合部15aが形成されている。
【0023】
《液体窒素吸収材》
液体窒素吸収材17は、試料容器5内の試料を凍結状態に保つために液体窒素を含浸させるためのものである。
液体窒素を吸収可能な材料であれば特に限定されず、例えばグラスファイバペーパ等を用いることができる。
【0024】
液体窒素吸収材17は、ケース部13内に試料容器5の収容空間Sを形成した状態で配設されている(
図2)。
収容空間Sとして、
図2には示す例は、ケース部13内に4本の縦長の円柱状の空間を設けたものである。円柱状の収容空間Sは、ケース部13の開口から底部に連通しており、かかる収容空間Sの周壁が液体窒素吸収材17によって形成されている。
円柱状の空間の場合、
図2に示すように、複数の試料容器5を保持したケーン19(ケーン:複数のバイアルを縦方向に装着・保持する収納用治具)を、出し入れするのに十分な径を有する鞘管(図示なし)に挿入して、その周囲から冷却できる。しかも、この場合には、バイアル等の試料容器5の出し入れが極めて容易であるため好ましい。
【0025】
以上のように、構成された本実施の形態に係る凍結輸送容器1の使用方法を簡単に説明する。
液体窒素の貯留槽にケース部13の下部を浸漬して孔部18から液体窒素を吸い上げ液体窒素吸収材17に液体窒素を吸収させる。ケース部13を貯留槽から引き上げ、吸収されなかった余剰の液体窒素を孔部18から排出させる。
【0026】
凍結輸送容器用収容容器7のケース部13内に液体窒素吸収材17で形成した円柱状の収容空間Sに、複数の試料容器5を保持したケーン19を挿入する。断熱容器3の開口部11から凍結輸送容器用収容容器7を断熱容器3に挿入し、支持部材15の係合部15aを開口部11の周縁部に吊り下げる。
開口部11にネックプラグ(図示なし)を挿入し、さらに蓋部9を閉じる。
この状態で指定の場所までの輸送を開始する。
【0027】
指定された場所に到着して、試料容器5を取り出す際は、支持部材15を持って、凍結輸送容器用収容容器7を断熱容器3から引き揚る。
ケース部13内の鞘管からケーン19を引き出し、ケーン19から試料容器5を取り外す。
【0028】
到着地で試料容器5を取り出した後の凍結輸送容器1は、蓋部9を開放し、自然乾燥またはドライヤーで液体窒素を蒸発させて断熱容器3内を復温する。
使用後は必要に応じて、断熱容器3、凍結輸送容器用収容容器7、液体窒素吸収材17をそれぞれ個別に洗浄・消毒する。さらに、オートクレーブや紫外線などで滅菌処理する。
【0029】
以上のように、本実施の形態によれば、ケース部13に液体窒素吸収材17を配設した状態でバイアルなどの試料容器5を収容した凍結輸送容器用収容容器7を断熱容器3の開口部11に吊り下げるようにしたので、断熱容器3内に液体窒素吸収材17を配設する必要がなく、断熱容器3内を簡素な構造にできる。
また、断熱容器3内の洗浄や消毒を簡単に行え、断熱容器3を衛生的に保つことができる。
また、試料容器5取出しのために断熱容器3から凍結輸送容器用収容容器7を引き揚げたとき、試料容器5が室温にさらされることを防ぎ、輸送対象である生体試料等が意図せず昇温することを防ぐことができ、輸送対象の品質維持につながる。
また、液体窒素吸収材17を断熱容器3外へ簡単に取り出せるため、液体窒素吸収材17自体と断熱容器3をそれぞれ個別にオートクレーブや紫外線などで滅菌処理することも容易である。
また、予め液体窒素を液体窒素吸収材17に吸収させておけば、凍結保存器の立ち上げ作業を迅速に行うことができ、輸送完了後は液体窒素吸収材17を簡単に取り出せるため、断熱容器3内部の復温を迅速に行える。
また、使用する試料容器5に合わせてケース部13内の液体窒素吸収材17の配設形状を変えることができるので、様々な試料容器5に対応できる。
【0030】
上記の実施の形態においては、凍結輸送容器用収容容器7内に試料容器5を収容する方法として、液体窒素吸収材17及び鞘管で縦の収容空間Sを複数形成し、収容空間Sに試料容器5をケーン19に保持させ挿入する例を挙げた(
図4(a)参照)。
しかしながら、収容空間Sの態様はこれに限られるものではなく、種々の態様を取り得るので、以下他の態様について説明する。
図4(b)に示すように、鞘管およびケーンを用いる場合であっても、収容空間Sは縦長の1つであってもよい。
【0031】
また、鞘管およびケーンを用いない場合の態様として、ケース部13の底面に予め液体窒素吸収材17を敷き詰め、図示しないボックス等に収容した試料容器5を格納し、さらに液体窒素吸収材17、試料容器5入りボックス、液体窒素吸収材17を積み重ねるといった態様も取り得る(
図4(c))。
また、
図4(d)に示すように、収容空間Sとして凹部を設けた液体窒素吸収材17に試料容器5を挿入し、さらに同形状の液体窒素吸収材17と試料容器5を積み重ねることもできる。
【0032】
また、
図4(e)に示すように、ケース部13底面に予め液体窒素吸収材17を敷き詰め、複数の試料容器5を直接格納し、さらに液体窒素吸収材17、複数の試料容器5、液体窒素吸収材17をこの順で積み重ねることもできる。
また、
図4(f)に示すように、
図4(e)と同様に試料容器5、液体窒素吸収材17を積み重ねる態様として、横向きに寝かした試料容器5を一個ずつ積層して格納してよい。
【0033】
以上のように、本発明では、ケース部13内の液体窒素吸収材17の配設形状を自在に変えることができるので、使用する試料容器5の形状や数、あるいは必要とされる試料容器5の冷凍状況に合わせて種々の態様を取りうることができ、効率的で効果的な輸送を実現できる。
【0034】
また、
図2、
図4に示す例では、液体窒素吸収材17はケース部13内に直接充填されて収容空間Sを形成したものであった。
しかし、液体窒素吸収材17は脆いため、外力が加わると一部が剥がれ落ちることがあるため、窒素ガスを通過可能なカバーやハウジング等で覆ったうえでケース部13と鞘管の間に充填されてもよい。
カバーとしてはメッシュ状の袋、バッグが挙げられ、液体窒素の低温に耐え得る材料、例えば綿、麻、ポリエステル等を使うことができる。
ハウジングとしては、窒素ガスを通過させる開口が設けられた樹脂成形品や金属を用いることができる。樹脂としてはポリカーボネートやポリプロピレン、金属としてはステンレス等を用いることができる。
カバーを使うことで、液体窒素吸収材17が補強され、液体窒素吸収材17の破片がケース部13や断熱容器3内に堆積することを防ぐことができる。またケース部13からの液体窒素吸収材17の取り外しや液体窒素吸収材17の交換が簡単になるため、より衛生的である。
また、鞘管を使わず、カバーまたはハウジング自体が試料容器5の収容空間Sを作るように成形されていてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 凍結輸送容器
3 断熱容器
5 試料容器(バイアル)
7 凍結輸送容器用収容容器
9 蓋部
11 開口部
13 ケース部
15 支持部材
15a 係合部
17 液体窒素吸収材
18 孔部
19 ケーン
S 収容空間