(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】熱管理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2021510124
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019048995
(87)【国際公開番号】W WO2020047375
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-04-20
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウラヴィ, テジャス
(72)【発明者】
【氏名】カシャプ, ドリティマン スバ
(72)【発明者】
【氏名】バルジャ, サンジーヴ
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-002896(JP,A)
【文献】特開2016-154222(JP,A)
【文献】特開2002-076103(JP,A)
【文献】特開2016-178284(JP,A)
【文献】特表2015-529969(JP,A)
【文献】米国特許第05275237(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0231388(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0074126(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部および第2の端部を有する流体チャネルを含む熱管理システムであって、前記第1の端部が、第1の熱質量
部内の第1のレベルに沿って延びる複数の平行な第1の流路と流体連絡しており、前記複数の
平行な第1の流路が、第2の熱質量
部内の第2のレベルに沿って延びる複数の平行な第2の流路と
少なくとも1つの導管を介して流体連絡して
おり、
前記第1のレベルと前記第2のレベルとが、異なるXY平面上にある、熱管理システム。
【請求項2】
前記第1の端部および前記第2の端部が、熱交換器に流体的に接続されている、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
前記第1の熱質量
部が、支持アセンブリを含み、前記第1の流路のそれぞれが、ヒーターベースを囲む、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記第2の熱質量
部が、上部プレートを含み、前記第2の流路のそれぞれが、基板処理領域を囲む、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項5】
前記第1の流路および前記第2の流路のそれぞれが、向流構成で配置されている、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項6】
グリコールを含む冷却剤を前記流体チャネル内にさらに含む、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項7】
前記第1の端部および前記第2の端部が、熱交換器に流体的に接続され、前記第2の熱質量
部が、上部プレートを含み、前記第2の流路のそれぞれが、基板処理領域を囲み、前記熱管理システムが、前記流体チャネル内に冷却剤をさらに含む、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項8】
前記流体チャネルを通る前記冷却剤の流れを制御するように構成され、前記熱交換器を制御して前記冷却剤の所定の温度を維持するように構成されたコントローラを、さらに含む、請求項7に記載の熱管理システム。
【請求項9】
基板温度を制御する方法であって、
第1の端部および第2の端部を有する流体チャネルを通して冷却剤を流すことを含み、前記第1の端部が、第1の熱質量
部内の第1のレベルに沿って延びる複数の平行な第1の流路と流体連絡しており、前記複数の
平行な第1の流路が、第2の熱質量
部内の第2のレベルに沿って延びる複数の平行な第2の流路と
少なくとも1つの導管を介して流体連絡しており、各第2の流路が基板を囲んで
おり、
前記第1のレベルと前記第2のレベルとが、異なるXY平面上にある、方法。
【請求項10】
前記基板温度が
、0.15℃以下の範囲内で前記基板全体にわたって均一である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の端部および前記第2の端部が、熱交換器に流体的に接続されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
コントローラを介して前記冷却剤の所定の温度を維持するように、前記流体チャネルおよび前記熱交換器を通して前記冷却剤を流すことを制御することを、さらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の熱質量
部が、
十字形状の部材またはスピナーを含み、前記第1の流路のそれぞれが、ヒーターベースを囲み、前記第2の熱質量
部が、上部プレートを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の流路および前記第2の流路のそれぞれが、向流構成で配置されている、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
流体マニホールドであって、
熱交換器を、第1のレベルに沿って延びる複数の平行な第1の流路と接続するように構成された入口と、
前記複数の平行な第1の流路を、第2のレベルに沿って延びる複数の平行な第2の流路と接続するように構成された少なくとも1つの導管と、
前記複数の平行な第2の流路を、前記熱交換器と接続するように構成された出口と、
を備え
、前記第1のレベルと前記第2のレベルとが、異なるXY平面上にある、流体マニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、一般に、基板処理チャンバの熱管理システムに関する。本開示のいくつかの実施形態は、単一の処理チャンバ内の複数の基板処理領域の厳密な温度制御を提供する熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]基板処理方法は、多くの場合、基板が高温に維持されることを必要とする。多くの処理スキームで使用される反応は、温度に依存する場合があり、デバイスのスケールが縮小するにつれて、堆積またはエッチング速度のばらつきに対する感度が高まる。例えば、SiNのALD堆積プロセスは、450°Cに維持された基板の表面全体での温度ばらつきが0.5°C未満であることを必要とし得る。
【0003】
[0003]また、処理スループットは、一連の電子デバイスの製造コストの重要な要素である。製造業者は、高密度に集積されたデバイスを信頼性高くかつ迅速に製造できるプロセスと機器を求めている。スループットを向上させたイノベーションの1つは、クラスタ化された処理チャンバである。クラスタ化されたチャンバは、真空を破壊することなく基板上で複数のプロセスを実行する独特な機能を提供する。残念ながら、あるチャンバから次のチャンバに基板を移すのに必要な時間は、スループットを遅くする。それに答えて、全て同じチャンバ内で、複数の処理環境で複数の基板を処理することができる処理チャンバが、現在、開発されている。複数の処理環境の処理システムには、熱損失と熱均一性に関連する様々な問題がある。
【0004】
[0004]したがって、処理中に複数の基板の厳密な温度制御を提供する熱管理システムが必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の1つ以上の実施形態は、第1の端部および第2の端部を有する冷却チャネルを備える熱管理システムに関する。第1の端部は、第1の熱質量部内の第1のレベルに沿って延びる複数の平行な第1の流路と流体連絡している。複数の第1の流路は、第2の熱質量部内の第2のレベルに沿って延びる複数の平行な第2の流路と流体連絡している。
【0006】
[0006]本開示の追加の実施形態は、基板温度を制御する方法に関する。この方法は、第1の端部および第2の端部を有する冷却チャネルを通して冷却剤を流すことを含む。第1の端部は、第1の熱質量部内の第1のレベルに沿って延びる複数の平行な第1の流路と流体連絡している。複数の第1の流路は、第2の熱質量部内の第2のレベルに沿って延びる複数の平行な第2の流路と流体連絡している。第2の流路は、それぞれ基板を囲んでいる。
【0007】
[0007]本開示のさらなる実施形態は、冷却マニホールドに関する。冷却マニホールドは、入口、少なくとも1つの導管、および出口を含む。入口は、熱交換器を、第1のレベルに沿って延びる複数の平行な第1の流路に接続するように構成される。少なくとも1つの導管は、複数の平行な第1の流路を、第2のレベルに沿って延びる複数の平行な第2の流路に接続するように構成される。出口は、複数の平行な第2の流路を熱交換器に接続するように構成される。
【0008】
[0008]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、そのいくつかは、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示し、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、本開示は、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示の1つ以上の実施形態による支持アセンブリの図を示す。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、ヒーターのない支持アセンブリを示す。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による冷却チャネルを示す。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、基板支持アセンブリの第1の熱質量
部の概略上面図を示す。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、基板支持アセンブリの第2の熱質量
部の概略上面図を示す。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、向流ループを使用した熱質量
部の部分的な概略上面図を示す。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、内部構造を示す流体分配マニホールドの等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0018]本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。
【0011】
[0019]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部を指す。文脈が明らかに他のことを示さない限り、基板への言及はまた、基板の一部のみを指すことができることも、当業者によって理解されるであろう。さらに、基板上に堆積させることへの言及は、ベア基板と、1つ以上の膜またはフィーチャがその上に堆積または形成された基板の両方を意味し得る。
【0012】
[0020]本明細書で使用される「基板」は、製造プロセス中に膜処理が実行される、任意の基板、または基板上に形成された材料表面を指す。例えば、処理を行うことができる基板表面には、シリコン、酸化シリコン、歪みシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素ドープ酸化シリコン、アモルファスシリコン、ドープシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイアなどの材料、ならびに用途に応じて、金属、金属窒化物、金属合金、およびその他の導電性材料などの他の材料が含まれる。基板には、半導体ウェハが含まれるが、これに限定されない。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化、および/またはベークする前処理プロセスに曝されてもよい。基板自体の表面上で直接膜処理することに加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのいずれも、より詳細に以下で開示されるように、基板上に形成された下層上で実行されてもよく、「基板表面」という用語は、文脈が示すような下層を含めることを意図している。したがって、例えば、膜/層または部分的な膜/層が、基板表面上に堆積された場合、新しく堆積された膜/層の露出面が、基板表面になる。
【0013】
[0021]本開示の実施形態は、基板処理領域の熱管理のための装置および方法ならびに/または対称的な伝導性および放射性の境界条件を提供するためのペデスタルヒーター/クーラーに関する。本開示の例示的な実施形態は、基板支持アセンブリ(スピナーとも呼ばれる)の対称的な冷却のための分散冷却ループ設計を提供する。本開示のいくつかの実施形態は、基板処理領域における基板全体での約0.5℃以下の温度ばらつきを、有利に提供する。本開示のいくつかの実施形態は、複数の基板処理領域を制御するための熱管理システムを有利に提供する。いくつかの実施形態は、ヒーターまたはクーラーの周りに均一な伝導性および放射性の熱伝達環境を提供する。いくつかの実施形態は、空間およびエネルギーの効率的な使用を伴う単一熱交換器冷却ループを提供する。いくつかの実施形態は、組み立ておよび保守が比較的容易な熱管理システムを提供する。
【0014】
[0022]
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、支持アセンブリ100の平行投影図を示している。
図1Bは、
図1Aの基板支持アセンブリ100の断面側面図を示している。
図2は、ヒーターのない支持アセンブリ100の平行投影図を示している。
【0015】
[0023]支持アセンブリ100は、スピナーとも呼ばれる回転可能なベース110を含む。回転可能なベース110は、対称または非対称の形状を有することができる。図示の実施形態では、回転可能なベース110は、中心ハブ115から延びる4つの支持アーム120を備えた、ほぼ十字形の形状を有する。
【0016】
[0024]回転可能なベース110は、回転軸111の周りに回転112して、支持アーム120を円形または弧状の経路に沿って移動させる。回転軸111は、z軸または垂直方向とも呼ばれる第1の方向に延びる。当業者は、このように使用される「垂直」という用語が、重力の引力に直角の方向に限定されないことを認識するであろう。
【0017】
[0025]いくつかの実施形態では、支持アセンブリ100は、中心ハブ115に接続され、中心ハブ115から延びる複数の支持アーム120を含む。支持アーム120は、内側端部121および外側端部122を有する。内側端部121は、中心ハブ115と接触しているので、中心ハブ115が回転軸111の周りを回転すると、支持アーム120も同様に回転する。支持アーム120は、留め具(例えば、ボルト、溶接)によって、または中心ハブ115と一体的に形成されることによって、内側端部121で中心ハブ115に接続することができる。
【0018】
[0026]支持アセンブリ100内の支持アーム120の数は変えることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの支持アーム120が存在する。いくつかの実施形態では、3つの支持アーム120が存在する。いくつかの実施形態では、図に示されるように、4つの支持アーム120が存在する。いくつかの実施形態では、5つの支持アーム120が存在する。いくつかの実施形態では、6つの支持アーム120が存在する。
【0019】
[0027]支持アーム120は、中心ハブ115の周りに対称的に配置することができる。例えば、4つの支持アーム120を備えた支持アセンブリ100では、支持アーム120のそれぞれは、中心ハブ115の周りに90°間隔で配置されている。3つの支持アーム120を備えた支持アセンブリ100では、支持アーム120は、中心ハブ115の周りに120°間隔で配置されている。
【0020】
[0028]中心ハブ115は、支柱130に接続されているか、または支柱130の一部である。支柱130は、任意の適切な留め具(例えば、ボルト、溶接)によって中心ハブ115に接続することができ、または中心ハブ115と一体的に形成することができる。支柱130は、回転軸111に沿ってある長さだけ延びている。支柱130の長さが、回転可能なベース110を上部プレート140から隔てる。
【0021】
[0029]上部プレート140は、上部プレート140の厚さを規定する上面141および底面142を有する。上部プレート140は、別個の構成要素上または上部プレート140の上面141に形成された凹部(図示せず)上に基板が支持されるための領域を提供することができる複数の開口部144を有することができる。
【0022】
[0030]いくつかの実施形態では、上部プレート140は、任意の適切な留め具(例えば、ボルト、溶接)によって支柱130に取り付けられている。上部プレート140は、上部プレート140が支持アセンブリ100と共に(z軸に沿って)垂直に移動し、回転軸111の周りを回転するように、支柱130に固定することができる。
【0023】
[0031]いくつかの実施形態では、ヒーター150が、支持アーム120の外側端部122に配置される。いくつかの実施形態では、各支持アーム120が、ヒーター150を有する。ヒーター150は、処理のために基板を支持することができる支持面151を有する。
【0024】
[0032]
図2に示されるように、ヒーター150は、支持アーム120の外側端部122に配置されたヒーターベース123上に配置することができる。ヒーターベース123は、ヒーター150に電力を供給するための接続部、温度を測定するための適切な配線、または他の構成要素を含むことができる。ヒーターベース123の中心は、回転軸111から距離を置いて配置され、その結果、中心ハブ115の回転112時に、ヒーターベース123は、円形の経路で移動する。ヒーター150がヒーターベース123上に配置されているとき、ヒーター150は、支持アセンブリ100の回転112と共に移動する。
【0025】
[0033]ヒーター150は、当業者に知られている任意の適切なタイプのヒーターであり得る。いくつかの実施形態では、ヒーターは、ヒーター本体内に1つ以上の発熱体を備えた抵抗ヒーターである。
【0026】
[0034]基板は、重力、静電チャッキング、または他の適切な技術によって支持面151上に保持することができる。いくつかの実施形態のヒーターは、追加の構成要素を含む。例えば、ヒーターは、静電チャックを含み得る。静電チャックは、ヒーターが移動している間、ヒーター支持面上に配置されたウェハが所定の位置に保持されることができるように、様々な配線および電極を含むことができる。これにより、ウェハは、プロセスの開始時にヒーター上にチャッキングされ、異なるプロセス領域に移動する間、同じヒーター上の同じ位置に留まることができる。
【0027】
[0035]
図1Aに示されるように、上部プレート140は、ヒーター150の周りに配置されて、上部プレート140より下の領域に流れるガスを最小限に抑えるためのシールまたはバリアを提供するのに役立つことができる1つ以上の開口部144を含むことができる。いくつかの実施形態では、上部プレート140は、支持面151より下に配置され、その結果、上部プレート140の上面141は、ヒーター150の支持面151より下になる。いくつかの実施形態では、上部プレート140は、ヒーター150の支持面151へのアクセスを可能にするための複数の開口部144で全てのヒーターを取り囲む。開口部144は、ヒーター150または支持面151が上部プレート140を通過することを可能にすることができる。
【0028】
[0036]いくつかの実施形態では、上部プレート140は、ヒーター150の支持面151によって形成される主平面と実質的に平行な主平面を形成する上面141を有する。いくつかの実施形態では、上部プレート140は、ヒーター150の支持面151の主平面から、処理されるウェハの厚さに実質的に等しい距離だけ上にある主平面を形成する上面141を有し、ウェハ表面は、上部プレート140の上面141と実質的に同一平面上にある。このように使用される場合、「実質的に同一平面上」という用語は、個々の支持面によって形成される平面が、他の支持面によって形成される平面の±5°、±4°、±3°、±2°、または±1°以内にあることを意味する。
【0029】
[0037]
図1Bを参照すると、支持アセンブリ100は、異なる熱質量に分解することができる。一体的に形成されたシステムにおいてさえ、熱質量
部は、支持アセンブリ100の構成要素の体積および熱容量のために、別個であると見なすことができる。第1の熱質量
部119は、回転可能なベース110のレベルに配置され、第2の熱質量
部149は、上部プレート140のレベルに配置されている。
【0030】
[0038]
図3は、熱管理システムと共に使用するための流体チャネル200を示している。図示の流体チャネル200は、様々な流路が支持アーム120、支柱130、および上部プレート140を通って流れるように構成されるように、支持アセンブリ100内に形成することができる。本明細書で論じられるように、いくつかの実施形態の熱管理システムは、
図3に示されていない追加の要素または構成要素も含み得る。流体チャネル200は、冷却チャネルまたは加熱チャネルとも呼ばれ得る。当業者は、冷却チャネルの説明が加熱チャネル、またはより一般的に流体チャネルを指すこともできることを認識するであろう。
【0031】
[0039]いくつかの実施形態では、流体チャネル200は、第1の端部202および第2の端部204を有する。流体チャネル200は、単一の一体的に形成もしくは溶接された構成要素であってもよいし、または適切な液密シールで接続されたいくつかの異なる構成要素であってもよい。
図3に示される実施形態は、3つの領域:回転可能なベース部(第1のレベル210)、支柱部230および上部プレート部(第2のレベル240)を備えた単一の一体的に形成された構成要素である。回転可能なベース部(第1のレベル210)は、主に回転可能なベース110内に配置されている。支柱部230は、主に支柱130内に配置されている。上部プレート部(第2のレベル240)は、主に上部プレート140内に配置されている。上部プレート140のない実施形態では、上部プレート部(第2のレベル240)は、省略され得るか、またはヒーター150に関連する表面内にあり得る。
【0032】
[0040]いくつかの実施形態では、第1の端部202は、複数の第1の流路220a、220b、220c、220dと流体連絡している。本明細書で使用される場合、個々の文字付き参照番号(例えば、220a、220b)を有する同様の構成要素の用語は、文字が付加されていない参照番号を使用して、一般に参照され得る。例えば、第1の流路220は、流路220a、220b、220c、220dの全てを指す。
図3には4つの第1の流路220が示されているが、当業者は、任意の数の第1の流路が存在し得ることを理解するであろう。
【0033】
[0041]いくつかの実施形態では、第1の流路220a、220b、220c、220dは、並列に配置されている。この点で使用される場合、「並列」とは、流路が単一のポイントから分岐するか、または単一のポイントに再接続することを意味する。「並列」流路は、直列流路とは異なるものとして理解する必要がある。言い換えると、以下でさらに説明するように、流体は、第1の流路220の各流路を同時に通って流れ、第2の流路250の各流路を同時に通って流れ、第1の流路220と第2の流路250との間を順次に流れる。したがって、「並列」は、幾何学(例えば、平行線)ではなく、電子工学(例えば、並列抵抗器)の文脈で理解されるべきである。
【0034】
[0042]いくつかの実施形態では、各第1の流路220a、220b、220c、220dは、同様のコンダクタンスを有する。この点で使用される場合、「コンダクタンス」は、個々の流路が扱うことができる体積流量または流量を指す。コンダクタンスは、流路を通る流れの効率の尺度と見なすことができる。
【0035】
[0043]いくつかの実施形態では、複数の第1の流路220a~220dは、第1の熱質量
部119内の第1のレベルに沿って延びる。第1の熱質量
部119は、
図3には示されていない。
図4は、例示的な第1の熱質量
部119の上面図を示している。
図4を参照すると、流体チャネル200の第1の端部202は、少なくとも1つの入口分岐部217と流体連絡している。図示の実施形態は、2つの入口分岐部217a、217bを有する。当業者は、支持アーム120の数および第1の流路220の形状に応じて、任意の適切な数の入口分岐部217が存在できることを認識するであろう。入口分岐部217a、217bは、第1の熱質量
部119内の第1のレベルに沿って延びる複数の第1の流路220a~220dと流体連絡している。
【0036】
[0044]図示の実施形態では、第1の流路220のそれぞれが、入口分岐部217から、支持アーム120を通って、ヒーターベース123を周って、出口分岐部218まで延びる。示されている実施形態は、各第1の流路220が入口分岐部217から1つの支持アーム120を通って出口分岐部まで延びるように配置された2つの出口分岐部218a、218bを有する。示されている構成では、入口分岐部217のそれぞれおよび出口分岐部218のそれぞれに接続された2つの第1の流路220が存在する。
【0037】
[0045]再び
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、第1の流路220は、導管260を通って複数の第2の流路250と流体連絡している。導管260は、支柱130の長さに沿って延び、第1の熱質量
部119と第2の熱質量
部149との間の流れを可能にする。いくつかの実施形態では、
図3~
図5に示されるように、複数の第1の流路220および複数の第2の流路250は、それぞれ4つの流路を含む。いくつかの実施形態では、第2の熱質量
部149は、上部プレート140を含む。
【0038】
[0046]
図3および
図5を参照すると、複数の第2の流路250a~250dは、第2の熱質量
部149の第2のレベル240に沿って延びる。第2の熱質量
部149は、
図1Bに、および
図5の上面図として示されている。導管260a、260bは、入口分岐部257a、257bおよび第2のレベル240に沿って延びる複数の第2の流路250a~250dと流体連絡している。図示の実施形態は、2つの入口分岐部257a、257bを有する。当業者は、第2の流路250および第2の熱質量
部149の形状に応じて、任意の適切な数の入口分岐部257が存在できることを認識するであろう。入口分岐部257a、257bは、第2の熱質量
部149内の第2のレベル240に沿って延びる複数の第2の流路250a~250dと流体連絡している。
【0039】
[0047]図示の実施形態では、第2の流路250のそれぞれが、入口分岐部257から、開口部144を周って、出口分岐部258まで延びる。示されている実施形態は、各第2の流路250が入口分岐部257から上部プレート140の1つの開口部144を周って出口分岐部258まで延びるように配置された2つの出口分岐部258a、258bを有する。示されている構成では、入口分岐部257のそれぞれおよび出口分岐部258のそれぞれに接続された2つの第2の流路250が存在する。
【0040】
[0048]流体チャネル200を通る流れは、
図3から
図6を参照して説明されている。(
図6は、
図3の領域VIの拡大図を示す。)流体は、第1の端部202に流れ込み、分岐部271で2つの流路272a、272bに分割される。流路272aを通って流れる流体は、入口分岐部217aで第1のレベル210に入り、第1の流路220aおよび第1の流路220bに分割される。流路272bを通って流れる流体は、入口分岐部217bで第1のレベル210に入り、第1の流路220cおよび第1の流路220dに分割される。
【0041】
[0049]第1の流路220a~220dのそれぞれが、第1のレベル210を通って出口分岐部218a、218bに流れる。第1の流路220aを通る流れは、出口分岐部218bと流体連絡している。第1の流路220bを通る流れは、出口分岐部218aと流体連絡している。第1の流路220cを通る流れは、出口分岐部218aと流体連絡している。第1の流路220dを通る流れは、出口分岐部218bと流体連絡している。したがって、分岐部271aおよび271bでの流れの分割は、出口分岐部218aおよび218bで合流する際に混合される。
【0042】
[0050]流体は、出口分岐部218aから導管260aを通って第2のレベル240の分岐部257aに流れる。出口分岐部218bから流れる流体は、導管260bを通って第2のレベル240の分岐部257bに流れる。導管260a内の流体は、入口分岐部257aで第2の流路250bおよび250cに分割される。導管260b内の流体は、入口分岐部257bで第2の流路250dおよび250aに分割される。
【0043】
[0051]
図5に示されるように、第2の流路250は、上部プレート140の開口部144の周りに延び、出口分岐部258a、258bを通って第2のレベル240を出ることができる。第2の流路250aおよび第2の流路250bを通って流れる流体は、出口分岐部258aで合流する。第2の流路250cおよび第2の流路250dを通って流れる流体は、出口分岐部258bで合流する。出口分岐部258aおよび258bからの流体の流れは、別の分岐部(図示せず)で合流されて、流体チャネル200の第2の端部204から流出することができる。
【0044】
[0052]いくつかの実施形態では、導管260の数は、第1の流路220の数よりも少なく、第2の流路250の数よりも少ない。これに関して、第1の流路220と第2の流路250は、直接的な1対1の関係ではない。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、第1の流路220のうちの少なくとも2つが、第2の流路250と接続する前に合流する。いくつかの実施形態では、図示のように、複数の第1の流路220および複数の第2の流路250は、それぞれ4つの流路を含み、導管260の数は2つである。いくつかの実施形態では、第1の流路220は、1つの導管260へ合流して、第1のレベル210と第2のレベル240との間を流れる。
【0045】
[0053]いくつかの実施形態の導管260は、図示のように、概して真っ直ぐである。いくつかの実施形態では、導管260は、第1の流路および/または第2の流路によって形成される平面に実質的に垂直に延びる。このように使用される場合、「実質的に垂直」という用語は、導管の角度が90°の±30°、±20°、±10°、または±5°以内であることを意味する。いくつかの実施形態では、導管260は、第1の流路と第2の流路との間の湾曲した経路をたどる。
【0046】
[0054]
図7は、流路が向流ループ構成で配置されている別の実施形態を示している。この点で使用される場合、向流ループは、より良い熱制御を提供するために、各方向に1回ずつ、2回領域を通過する。
図7は、1つ以上の実施形態による、1つの開口部144の周りの第2のレベル240の流れを有する上部プレート140の一部を示す。図示の構成では、流体(例えば、冷却剤)が、第1の方向710でループ700に流れ込み、直径D1の経路を通って領域R(この場合は開口部144)を取り囲む。領域を一周する(または、ほぼ一周する)と、経路は、領域Rの周りを直径D2で反対方向720に戻る。いくつかの実施形態では、直径D1は、直径D2よりも大きい。いくつかの実施形態では、直径D1は、直径D2よりも小さい。いくつかの実施形態では、2つの経路(時計回りおよび反時計回り)は同心である。
【0047】
[0055]いくつかの実施形態では、第1の端部202および第2の端部204は、冷却ループを形成するように流体的に接続されている。いくつかの実施形態では、第1の端部202および第2の端部204は、熱交換器290(
図1Bに示されている)に流体的に接続されている。熱交換器290は、流体チャネル200内の流体(例えば、冷却剤)の温度を制御するように構成または配置された任意の適切な構成要素であり得る。
【0048】
[0056]いくつかの実施形態では、流体チャネルは、冷却剤を含む(すなわち、冷却チャネルとして機能する)。冷却剤は、グリコール(例えば、エチレングリコール)、脱イオン水、過フッ素化ポリエーテル(Solvay S.A.から入手可能なGalden(登録商標)など)、またはそれらの溶液もしくは組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な冷却剤であり得る。
【0049】
[0057]いくつかの実施形態では、熱管理システムは、少なくとも1つのコントローラ300をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコントローラ300は、熱交換器290、流体チャネルに沿った任意のバルブまたはプレナム、ポンプなどのうちの1つ以上に結合されている。コントローラ300は、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するために産業環境で使用することができる、任意の形態の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどのうちの1つであり得る。
【0050】
[0058]少なくとも1つのコントローラ300は、プロセッサ302、プロセッサ302に結合されたメモリ304、プロセッサ302に結合された入力/出力デバイス306、および異なる電子部品間の通信のためのサポート回路308を有することができる。メモリは、一時的メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)および非一時的メモリ(例えば、ストレージ)の1つ以上を含むことができる。
【0051】
[0059]プロセッサのメモリ、またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、または任意の他の形態のローカルもしくはリモートのデジタルストレージなどの容易に利用可能なメモリのうちの1つ以上であり得る。メモリは、システムのパラメータおよび構成要素を制御するようにプロセッサによって動作可能な命令セットを保持することができる。サポート回路は、従来の方法でプロセッサをサポートするようにプロセッサに結合されている。回路は、例えば、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステムなどを含み得る。
【0052】
[0060]プロセスは、一般に、プロセッサによって実行されると、プロセスチャンバに本開示のプロセスを実行させるソフトウェアルーチンとして、メモリに格納され得る。ソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されているハードウェアから離れて配置された第2のプロセッサによって格納および/または実行され得る。本開示のプロセスおよび方法の一部または全ては、ハードウェアでも実行され得る。したがって、プロセスは、ソフトウェアに実装されて、コンピュータシステムを使用して実行されてもよいし、例えば、特定用途向け集積回路もしくは他のタイプのハードウェア実装としてハードウェアに実装されてもよいし、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせとして実装されてもよい。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスと方法が実行されるように熱管理システムの動作を制御する専用コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0053】
[0061]いくつかの実施形態では、コントローラ300は、個々のプロセスまたはサブプロセスを実行するための1つ以上の構成を有する。コントローラ300は、プロセスおよび方法の機能を実行するための媒介構成要素を動作させるように接続および構成することができる。例えば、コントローラは、バルブ、アクチュエータ、モータ、ポンプなどのうちの1つ以上を制御するように接続および構成することができる。
【0054】
[0062]いくつかの実施形態のコントローラ300は、流体(例えば、冷却剤)を流体チャネルを通してポンプ輸送または流すための構成;流体の温度を測定するための構成;基板処理領域の温度ばらつきを測定するための構成;ヒーター表面の温度を測定するための構成;および熱交換器の動作を制御するための構成から選択される1つ以上の構成を有する。
【0055】
[0063]
図8に示されるように、本開示の追加の実施形態は、流体マニホールド800に向けられている。本開示のいくつかの実施形態は、冷却マニホールド(すなわち、冷却剤が流れる流体マニホールド800)に関する。いくつかの実施形態では、流体マニホールド800は、支柱130または中心ハブ115の一部である。図示の実施形態では、流体マニホールド800は、入口810、少なくとも1つの導管820、および出口830を備える。いくつかの実施形態では、流体マニホールド800は、支柱130であり得るか、または支柱130内に含まれ得る。
【0056】
[0064]いくつかの実施形態では、入口810は、熱交換器290を、第1のレベル210に沿って延びる複数の平行な第1の流路220に接続するように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの導管820は、複数の平行な第1の流路220を、第2のレベル240に沿って延びる複数の平行な第2の流路250に接続するように構成される。いくつかの実施形態では、出口830は、複数の平行な第2の流路250を熱交換器290に接続するように構成される。
【0057】
[0065]本開示のいくつかの実施形態は、ヒーター支持面または基板の温度を制御する方法に関する。いくつかの実施形態は、基板全体での温度ばらつきが最小化されるような基板の温度制御を、有利に提供する。いくつかの実施形態では、方法は、約0.5℃以下、約0.4℃以下、約0.3°C以下、約0.2°C以下、または約0.15°C以下の範囲(最低温度と最高温度との間の差)内で基板(またはヒーター支持面)温度を制御する。
【0058】
[0066]いくつかの実施形態では、基板またはヒーター支持面の温度ばらつきは、高温で測定される。いくつかの実施形態では、基板の温度ばらつきは、約400℃以上、約450℃以上、約500℃以上、または約550°C以上の基板(または表面)温度で測定される。いくつかの実施形態では、基板(または支持面)の温度ばらつきは、約400℃、約450℃、約500℃、約525℃、約550℃、約575℃、または約600°Cの基板温度で測定される。
【0059】
[0067]いくつかの実施形態では、方法は、第1の熱質量部および第2の熱質量部を、第1の端部の冷却剤の温度に近い温度に維持する。この点で使用される場合、温度は、±20°C、±10°C、±5°C、±2°C、±1°C、または±0.5°C以内にある場合、他の温度に近い。
【0060】
[0068]本明細書全体を通して「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「1つ以上の実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「一実施形態において」または「実施形態において」などの句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、1つ以上の実施形態では、特定の特徴、構造、材料、または特性を任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0061】
[0069]本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、説明された実施形態が本開示の原理および適用の単なる例示であることを理解するであろう。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に様々な修正および変形を行うことができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内にある修正および変形を含むことができる。