IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】断熱パイプの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/147 20060101AFI20221212BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20221212BHJP
   B32B 1/06 20060101ALI20221212BHJP
   B32B 5/20 20060101ALI20221212BHJP
   C09J 5/08 20060101ALI20221212BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20221212BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20221212BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20221212BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
F16L59/147
B32B1/08 A
B32B1/06
B32B5/20
C09J5/08
C08G18/00 F
C08G18/40 018
C08G18/76 057
C09J175/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019565913
(86)(22)【出願日】2018-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2018064016
(87)【国際公開番号】W WO2018219916
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】17173464.3
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】グリーザー-シュミッツ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】エラージーク,カルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】ポポフ,アレクス
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-033322(JP,A)
【文献】国際公開第2010/149272(WO,A1)
【文献】特表2015-530939(JP,A)
【文献】特開2004-058493(JP,A)
【文献】米国特許第06010650(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/147
B32B 1/08
B32B 1/06
B32B 5/20
C09J 5/08
C08G 18/00
C08G 18/40
C08G 18/76
C09J 175/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱パイプの製造方法であって、以下の工程、
(A)メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供する工程であって、前記フィルムホース又はジャケットパイプの中に前記メディアパイプを配置し、前記メディアパイプと前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの間にスロットを形成し、
前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面に接着促進剤が適用されている、工程と、
(B)前記接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムを前記スロット中に導入する工程と、
(C)前記ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させる工程と、
を含み、
前記接着促進剤が、ポリウレタンをベースとする接着促進剤からなる群から選択され、そして、前記接着促進剤が、400~1200kg/m の範囲の固体充填剤なしで決定されたかさ密度を含む、方法。
【請求項2】
前記接着促進剤が2成分系である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着促進剤が、少なくとも1種のイソシアネート成分、及び1種のポリオール成分を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
スプレー又はスプレッドコーティングにより、前記接着促進剤を適用する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記接着促進剤が、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面の50%~100%の範囲の部分を覆う、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオール成分(b)が、化学発泡剤、架橋剤、鎖延長剤、添加剤及び物理発泡剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記イソシアネート成分(a)と前記ポリオール成分(b)の反応が、95~240の範囲の指数で実行される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ジャケットパイプ又は前記フィルムホースが熱可塑性物質からなる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法により得ることができるか、又は得られる、断熱パイプ。
【請求項10】
層とポリウレタン層の間の軸方向せん断強度が、0.05~0.40MPaの範囲である、請求項に記載の断熱パイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアパイプ(media pipe)及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプ(jacketing pipe)を提供すること(ここで、フィルムホース又はジャケットパイプの中にメディアパイプを配置し、メディアパイプとフィルムホース又はジャケットパイプの間にスロットを形成し、フィルムホース又はジャケットパイプに面しているメディアパイプの表面に接着促進剤を適用する)と、接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムをスロット中に導入することと、ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させることとを含む断熱パイプの製造方法に関する。さらに、本発明は、本発明による方法により得ることができるか、又は得られる断熱パイプに関する。
【背景技術】
【0002】
原則的には、先行技術から、ポリウレタンフォームが断熱材として使用することができることは知られており、層状に構成された複合体自体も知られている。
【0003】
EP 2 435 243 A1には、外層を提供する工程と、接着促進剤層を該外層に適用する工程(ここで、該接着促進剤層が修飾イソシアネートを含む)と、ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレートを含むフォーム層を該接着促進剤層に適用する工程とを含むフォーム複合要素の製造方法が開示されている。適用すると、接着促進剤層中の修飾イソシアネートは、10%~25%の遊離イソシアネート基の含有量を有する。さらに、当該発明は、10%~25%の遊離イソシアネート基の含有量を有する修飾イソシアネートを接着促進剤としてフォーム複合要素の製造に使用する方法に、及び当該発明による方法により製造されるフォーム複合要素に関する。
【0004】
EP 1 516 720 A1には、第1の外層、400~1200g/lの密度を有するポリウレタンを含む反応性接着促進剤層、30~100g/lの密度を有するポリイソシアヌレートを含むフォーム層、任意に400~1200g/lの密度を有するポリウレタンを含む第2の反応性接着促進剤層、及び第2の外層から構成される複合要素の製造方法、及び当該複合要素自体が開示されている。
【0005】
WO 2015/091451 A1には、少なくとも、外層を提供する工程と、少なくとも1種のイソシアネート反応性化合物を含む組成物Z1を該外層に適用する工程と、ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレートフォームの製造に適する組成物Z2を既に適用された層に適用する工程とを含む複合要素の製造方法、及び当該方法により得ることができるか又は得られる複合要素が開示されている。
【0006】
WO 2011/045139 A1には、ポリイソシアヌレート接着剤を使用して端面に接着結合された層表面を有するポリイソシアヌレートフォーム層を含む断熱ボード(ここで、層表面とポリイソシアヌレート接着剤の両方の重合が完了する前に、ポリイソシアヌレート接着剤を層表面と端面の間に配置し、ポリイソシアヌレート接着剤が10~500μmの平均厚さを有する)、及び当該ボードの製造方法が開示されている。
【0007】
ポリウレタンフォームで断熱されたパイプは、先行技術から知られており、例えばEP 1 141 613 B1、EP A 865 893、EP 1 777 051 B1、EP 1 595 904 A2、WO 00/39497、WO 01/18087 A1、EP 2 143 539 A1及びEP 1 428 848 B1に記載されている。断熱パイプラインシステムは、個々のパイプセグメントから接合される。6m、12m及び16mのパイプ長さを標準として使用している。必要な任意の中間の長さは、特別に製造されるか、又は既存の完成品からサイズに合わせて切断される。個々のパイプセグメントは、既存のスリーブ技術を使用して、溶接線の領域で溶接され、後絶縁される。これらのスリーブ接合部(sleeve joins)は、パイプ製品自体よりも大きな損傷の可能性を隠している。この違いは、生産設備における定義された制御可能な条件下でパイプの長さを製造するという事実に起因する。スリーブ接合部はしばしば、風及び天候で、建設現場での現場の時間的圧力下で製造される。温度、汚染及び湿気などの影響はしばしば、スリーブ接合部の品質に影響を及ぼす。さらに、スリーブ接合部の数量は、パイプラインシステムの設置における大きなコスト要因を表す。
【0008】
個々のパイプの大部分は、不連続のパイプインパイプ(pipe-in-pipe)製造方法を使用して製造される。この方法において、一般にスチール製のメディアパイプは、星形のスペーサーで提供されて、内部パイプを中心に置く。メディアパイプは、一般にポリエチレン製の外側ジャケットパイプに押し込まれ、したがって、2つのパイプの間に環状スロットを形成する。この環状スロットには、その優れた断熱特性のために、ポリウレタンフォームが充填されている。このために、少し傾斜した二重パイプには、通気孔が設けられたエンドキャップが取り付けられている。次に、液体の反応混合物は、ポリウレタン計量機によって環状スロットに導入され、反応が開始するまで、まだ液体の形態でパイプスロット中で下向きに流れる。この時点から、材料が完全に反応するまでゆっくり増加する粘度のフォームが流れることにより、さらなる分布を達成する。
【0009】
したがって、パイプ加工業界では、導管(conduit)の長さに基づいて、できる限り少ないスリーブ接合部を設置することが望ましい。したがって、断熱パイプを製造するための連続プロセスがしばしば使用されている。
【0010】
断熱パイプは、さまざまな媒質、特に地域の熱を供給するためのオイル及び熱湯の輸送に使用されている。地域暖房ネットワークの構成のための決定的な基準は、メディアパイプと断熱材の間の断熱パイプの複合特性である。硬質パイプの決定標準DIN EN 253:2015-12により、23℃での軸方向せん断強度は少なくとも0.12MPaでなければならない。可撓性パイプの場合、DIN EN 15632-2:2010-6によるプラスチックパイプでは少なくとも0.09MPaで、DIN EN 15632-4:2009-1による金属パイプでは少なくとも0.12MPaでなければならない。
【0011】
特に予め断熱されたパイプ(pre-insulated pipes)の連続製造では、製造プロセスの結果としてこれらの値を安全に達成することは困難である。これはしばしば、不十分な接着を有する不良製造をもたらし、製造停止、処分コスト及び材料の追加消費につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】EP 2 435 243 A1
【文献】EP 1 516 720 A1
【文献】WO 2015/091451 A1
【文献】WO 2011/045139 A1
【文献】EP 1 141 613 B1
【文献】EP A 865 893
【文献】EP 1 777 051 B1
【文献】EP 1 595 904 A2
【文献】WO 00/39497
【文献】WO 01/18087 A1
【文献】EP 2 143 539 A1
【文献】EP 1 428 848 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、パイプの長さにわたって均一な全体のかさ密度、パイプの断面にわたって均一なフォーム構造、その中に含まれるポリウレタンフォームの小さなセル直径、及びしたがって低い熱伝導率を特徴とするパイプを得るための断熱パイプの製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、高い安定性、特に高い軸方向せん断強度を示すパイプを得るための断熱パイプの製造方法を提供することを目的とする。さらに、大きな直径及び/又は断熱材の高いかさ密度を有する断熱パイプの連続製造を達成することが可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、これらの課題は、以下の工程:
(A)メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供する工程であって、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの中に前記メディアパイプを配置し、前記メディアパイプと前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの間にスロットを形成し、
前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面に接着促進剤が適用されている、工程と、
(B)前記接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムを前記スロット中に導入する工程と、
(C)前記ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させる工程と、
を含む断熱パイプの製造方法により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
驚いたことには、断熱フォームを適用する直前にメディアパイプに追加の接着促進剤を適用することは、軸方向せん断強度の著しい増加をもたらすことが見出された。場合によっては、接着促進剤を適用しない同等の方法で製造された断熱パイプと比較して、軸方向せん断強度を2倍超にすることができた。本発明において、特に明記しない限り、軸方向せん断強度は、DIN EN 253:2015-12に従って決定される。
【0016】
本発明によれば、当該方法は、工程(A)、(B)及び(C)を含む。工程(A)において、メディアパイプを使用し、ここで、接着促進剤が既に、フィルムホース又はジャケットパイプに面しているメディアパイプの表面に適用されている。本発明において、原則として、接着促進剤が完全に硬化する前に工程(B)における導入を行うことができることが確保される限り、複数の接着促進剤を使用することができる。
【0017】
好適な接着促進剤は、それ自体当業者に知られている。本発明において、使用することができる接着促進剤の例には、反応性接着剤、例えば特に2成分ポリウレタン接着剤が含まれる。しかしながら、好ましくはポリエチレンホモポリマー、エチレンエチルアクリレート(「EAA」)、エポキシ樹脂、ポリウレア又はエチレンメタクリル酸(「EMMA」)製のポリオレフィン系接着促進剤を使用することも可能である。例えば、コンパクトから少し発泡する接着促進剤を使用してもよい。
【0018】
本発明により使用される接着促進剤が2成分系である場合が好ましい。したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、接着促進剤が2成分系である。
【0019】
ポリウレタン、より好ましくは少なくとも1種のイソシアネート成分及びポリオール成分を含むポリウレタンをベースとする接着促進剤は、本発明において好ましく使用される。
【0020】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、接着促進剤が、ポリウレタンをベースとする接着促進剤からなる群から選択される。
【0021】
また、さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、接着促進剤が少なくとも1種のイソシアネート成分及びポリオール成分を含む。
【0022】
使用される接着促進剤が工程(B)で導入されるポリウレタンシステムと同じ成分で構成される場合、特に有利な特性が達成可能であることが見出された。
【0023】
本発明によれば、接着促進剤のかさ密度は、広い範囲内で変化することができる。接着促進剤は、好ましくは400~1200kg/mの範囲、より好ましくは500~1100kg/mの範囲、特に好ましくは600~1000kg/mの範囲の、固体なしで決定されたかさ密度を有する。したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、接着促進剤が400~1200kg/mの範囲の固体なしで決定されたかさ密度を有する。
【0024】
以下、本発明による方法の個々の工程を具体的に説明する。
【0025】
本発明による方法の工程(A)は、メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供することを含み、ここで、フィルムホース又はジャケットパイプの中にメディアパイプを配置し、メディアパイプとフィルムホース又はジャケットパイプの間にスロットを形成し、フィルムホース又はジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面には接着促進剤が適用されている。
【0026】
接着促進剤は、当業者に知られている任意の方法で、例えばスプレー又はスプレッドコーティングによってメディアパイプに適用されてもよい。本発明によれば、接着促進剤は非常に薄い層で均一に適用されている場合が好ましい。例えば、適用される接着促進剤層は、6μm~3000μmの範囲、好ましくは10μm~2500μmの範囲、特に好ましくは20μm~2000μmの範囲、非常に特に好ましくは30μm~1500μmの範囲の平均厚さを有してもよい。
【0027】
したがって、本発明のさらなる実施態様は、上記の方法に関し、ここで、接着促進剤層がスプレー又はスプレッドコーティングによって適用される。
【0028】
典型的には、接着促進剤は、例えば、接着促進剤が適用されるメディアパイプの表面の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%が覆われるように、メディアパイプに均一に適用される。
【0029】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、接着促進剤が、フィルムホース又はジャケットパイプに面しているメディアパイプの表面の50%~100%の範囲、例えば当該表面の80%~100%の範囲、より好ましくは当該表面の80%~100%の範囲、特に好ましくは当該表面の90%~100%の範囲の部分を覆う。
【0030】
本発明によれば、フィルムホース又はジャケットパイプよりも、及び本発明による方法の工程(D)で形成されるジャケットパイプよりも小さい直径を有する少なくとも1つのメディアパイプは、メディアパイプとフィルムホース/ジャケットパイプの間にスロットを形成するように、ジャケットパイプの中に配置される。本発明による工程(B)において、ポリウレタンシステムをこのスロット中に導入する。形成されるスロットは、本発明により存在しているメディアパイプの数量に応じて、異なる形状を有する。
【0031】
一般的には、本発明により使用される少なくとも1つのメディアパイプは、例えば1~70cm、好ましくは4~70cm、特に好ましくは10~70cm、非常に特に好ましくは20~70cmの外径を有するスチールパイプである。2つ以上のメディアパイプが存在する場合、これらは、同一の又は異なる外径を有してもよい。少なくとも1つのメディアパイプの長さは、例えば3~24m、好ましくは6~16mである。少なくとも1つのメディアパイプは、例えば50~1500mの長さを有する連続製造製品(off-the-reel product)として提供される場合がより好ましい。
【0032】
本発明による方法の連続的な実施において、少なくとも1つのメディアパイプは、例えば連続製造製品として提供される。少なくとも1つのメディアパイプは、定尺物(cut lengths)として提供されてもよい。
【0033】
本発明による方法の工程(A)は、少なくとも1つのメディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又は少なくとも1つのメディアパイプ及びジャケットパイプを提供することを含む。
【0034】
フィルムホースを使用する場合、細長いフィルムは、好ましくは、ロールから連続的に巻き出され、任意に、当業者に知られている方法、例えば溶接又は接着によって互いに接合されてフィルムホースを形成する。本発明による方法の好ましい実施態様において、この接合は、少なくとも1つのメディアパイプも連続的に供給されるダブルベルトで行われる。好ましくは、フィルムは、形成ショルダー(forming shoulder)/フィルムショルダー(film shoulder)によって供給される。好ましくは、円形のフィルムホースを形成する。
【0035】
フィルムは、好ましくは、セルガス及び酸素に対して拡散抑制効果を有する熱可塑性物質の少なくとも1つのプライを含んでもよい。好ましくは、フィルムは、金属、例えばアルミニウムの少なくとも1つのプライも含む。本発明により適するフィルムは、例えばEP 0 960 723 A2から知られている。
【0036】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、ジャケットパイプ又はフィルムホースを形成する材料が熱可塑性物質である。
【0037】
好ましくは、本発明により使用されるフィルムは、一般に6~90cm、好ましくは12~90cm、特に好ましくは19~90cm、非常に特に好ましくは35~90cmの内径を有する対応するフィルムホースを形成することを可能にする幅を有する。好ましくは、このフィルムは連続製造製品として提供される。
【0038】
本発明により使用されるフィルムは、当業者に適していると思われる任意の材料、例えばポリエチレンから形成されてもよい。
【0039】
本発明により使用されるフィルムは一般に、当業者に適していると思われる任意の厚さ、例えば5~150μmの厚さを有する。
【0040】
本発明による方法の工程(A)において、少なくとも1つのメディアパイプは、少なくとも1つのメディアパイプとフィルムホースの間に、又は少なくとも1つのメディアパイプとジャケットパイプの間にスロットを形成するように、フィルムホースの中に配置される。1つのメディアパイプを、好ましくは円形のフィルムホース又はメディアパイプの中心に配置して、同心スロットを形成することが特に好ましい。1つを超えるメディアパイプの場合、好ましくは、これらをフィルムホース中で対称的に配置する。
【0041】
一般的には、ジャケットパイプは1~30mmの厚さを有する。ジャケットパイプの内径は、一般に6~140cm、好ましくは10~120cmである。ジャケットパイプの長さは、例えば1~24m、好ましくは6~16mである。
【0042】
ジャケットパイプは任意に、押出しの間に組み合わせてジャケットパイプを製造する複数の層からなってもよい。その一例は、ポリウレタンフォームとジャケットパイプの間に多層フィルムを導入することであり、ここで、バリア効果を向上するために、該フィルムが少なくとも1つの金属プライを含む。このタイプの好適なジャケットパイプは、EP 0 960 723 A2に記載されている。
【0043】
特に好ましい実施態様において、本発明により製造される断熱パイプは、DIN EN 253:2015-12の要件を満たす地下地域暖房ネットワークのための断熱複合ジャケットパイプである。
【0044】
本発明によれば、ポリウレタンシステムの導入は、パイプの一端で、又は中央で、又はパイプの一端と中央の間で、いずれの場合にもメディアパイプとジャケットパイプ/フィルムホースの間に存在するスロット中で行われてもよい。
【0045】
本発明による方法の工程(B)は、接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムをスロット中に導入することを含む。
【0046】
工程(B)において、ポリウレタンシステムをメディアパイプとジャケットパイプの間の環状スロット中に導入することは、例えば当業者に知られているポリウレタン計量機を使用して行われる。
【0047】
本発明による方法の工程(B)における導入は一般に、同業者に知られている任意の装置、例えばHennecke GmbH、Cannon Deutschland GmbH又はKrauss Maffei Kunststofftechnik GmbHから購入できる、例えば高圧計量機を使用して行われてもよい。
【0048】
導入の間及びその後、液体反応混合物、すなわち、本発明によるポリウレタンシステムは、発泡を伴う重合反応が始まるまで、まだ液体状態でスロット中に流れ込む。この時点から、材料が完全に反応するまで、ゆっくりと増加する粘度のフォームが流れることにより、さらなる分布を達成させる。
【0049】
好ましくは、ポリウレタンシステムの導入は、使用される接着促進剤がまだ十分に濡れているときに行われる。本発明において、好ましくは、ポリウレタンシステムの導入は、接着促進剤の適用後の接着促進剤の繊維化時間より短い時間内で、少なくとも接着促進剤が完全に反応する前(すなわち、もはや粘着性ではなくなる前)に行われる。
【0050】
以下、本発明により使用することができる/好ましく使用されるポリウレタンシステムを具体的に説明する。イソシアネート成分(a)として使用することができるものは、通常の脂肪族、脂環式及び特に芳香族のジ-及び/又はポリイソシアネートである。好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及び特にジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートの混合物(粗MDI)を使用する。イソシアネートは、例えばウレトジオン、カルバメート、イソシアヌレート、カルボジイミド、アロファネート、及び特にウレタン基の組み込みによって修飾されてもよい。
【0051】
また、イソシアネート成分(a)は、ポリイソシアネートプレポリマーの形態で使用されてもよい。これらのプレポリマーは当業者に知られている。上記のポリイソシアネート(a)を、例えば約80℃の温度で、イソシアネート反応性水素原子を有する化合物、好ましくはポリオールと反応させて、ポリイソシアネートプレポリマーを得る場合、それ自体知られている方法で製造を行う。一般的には、ポリオール/ポリイソシアネートの比は、プレポリマーのNCO含有量が、8質量%~25質量%、好ましくは10質量%~22質量%、特に好ましくは13質量%~20質量%であるように選択される。
【0052】
本発明によれば、粗MDIをイソシアネート成分として使用することが特に好ましい。
【0053】
好ましい実施態様において、イソシアネート成分(a)は、それが800mPas未満、好ましくは100~650mPas、特に好ましくは120~400mPas、特に180~350mPasの、20℃でDIN 53019に従って測定された粘度を有するように選択される。
【0054】
本発明により使用されるポリウレタンシステムにおいて、少なくとも1種のポリオールは、好ましくは、成分(b1)としてのポリオール、及び任意に成分(b2)としての化学発泡剤を一般に含むポリオール混合物(b)である。ポリオール混合物(b)は一般に、物理発泡剤(b3)を含む。
【0055】
本発明により使用されるポリオール混合物(b)(物理発泡剤(b3)を含まない)の粘度は、いずれの場合にも20℃でDIN 53019に従って測定され、一般に200~10000mPas、好ましくは500~9500mPas、特に好ましくは1000~9000mPas、非常に特に好ましくは2500~8500mPas、特に3100~8000mPasである。特に好ましい実施態様において、本発明による方法は、いずれの場合にも20℃でDIN 53019に従って測定された、3000mPasを超え、例えば3100~8000mPasの粘度を有するポリオール混合物(b)(物理発泡剤(b3)を含まない)を使用する。
【0056】
したがって、好ましくは、本発明は本発明による方法に関し、ここで、使用される少なくとも1種のポリオール(b)が、いずれの場合にも20℃でDIN 53019に従って測定された、3000mPasを超え、例えば3100~8000mPasの粘度を有するポリオール混合物(b)(物理発泡剤(b3)を含まない)である。一般的には、ポリオール混合物(b)は物理発泡剤(b3)を含む。しかしながら、物理発泡剤の添加により、粘度が大幅に低下する。したがって、本発明の重要な特徴は、ポリオール混合物(b)に関して上述したことが、当該混合物が物理発泡剤を含んでいても、物理発泡剤(b3)を添加しないポリオール混合物(b)の粘度に関するものである。
【0057】
考えられるポリオール(成分b1)は一般に、少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有する、すなわち、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素原子を有する化合物を含む。それらの例は、OH基、SH基及び/又はNH基を有する化合物である。ポリオール(成分b1)として好ましく使用されるものは、ポリエステルオール及びポリエーテルオールをベースとする化合物である。ポリエーテルオール及び/又はポリエステルオールの官能価は、一般に1.9~8、好ましくは2.4~7、特に好ましくは2.6~6である。ポリオール(b1)は、一般に20mg KOH/gを超え、好ましくは30mg KOH/gを超え、特に好ましくは40mg KOH/gを超えるヒドロキシル価を有する。ヒドロキシル価の上限は、一般に700mg KOH/g、好ましくは600mg KOH/g、特に500mg KOH/g、非常に特に400mg KOH/gであることが証明されている。上記のOH価は、ポリオール(b1)の全体に関するものであり、混合物の個々の成分がより高い又はより低い値を有することを妨げない。
【0058】
好ましくは、成分(b1)は、既知の方法により、例えば、2~8個、好ましくは3~8個の反応性水素原子を結合状態で含む少なくとも1つの出発分子を添加して、触媒としてのアルカリ金属ヒドロキシド、例えばナトリウム又はカリウムヒドロキシド、又はアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウム又はカリウムエトキシド又はカリウムイソプロポキシドを用いるアニオン重合により、又は触媒としてのルイス酸、例えば五塩化アンチモン、フッ化ホウ素エーテラート、特に又はフラー土を用いるカチオン重合により、アルキレンラジカル中に2~4個の炭素原子を有する1つ以上のアルキレンオキシドから製造されるポリエーテルポリオールを含む。
【0059】
好適なアルキレンオキシドは、例えば、テトラヒドロフラン、1,3-プロピレンオキシド、1,2-及び2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、及び好ましくはエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドである。アルキレンオキシドは、個別に、交互に連続して、又は混合物として使用されてもよい。考えられる出発分子には、アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール、糖類化合物、例えばスクロース、ソルビトール、及びアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン、4,4’-メチレンジアニリン、1,3-プロパンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが含まれる。
【0060】
また、出発分子として使用することができるものは、ホルムアルデヒド、フェノールとジエタノールアミン/エタノールアミンとの、ホルムアルデヒド、アルキルフェノールとジエタノールアミン/エタノールアミンとの、ホルムアルデヒド、ビスフェノールAとジエタノールアミン/エタノールアミンとの、ホルムアルデヒド、アニリンとジエタノールアミン/エタノールアミンとの、ホルムアルデヒド、クレゾールとジエタノールアミン/エタノールアミンとの、ホルムアルデヒド、トルイジンとジエタノールアミン/エタノールアミンとの、及びホルムアルデヒド、トルエンジアミン(TDA)とジエタノールアミン/エタノールアミンとの縮合生成物などである。
【0061】
好ましくは、グリセロール、スクロース、ソルビトール及びTDAを出発分子として使用する。
【0062】
さらに、ポリオール混合物は任意に、成分(b2)としての化学発泡剤を含む。好ましい化学発泡剤は、水又はカルボン酸、特にギ酸である。化学発泡剤は、いずれの場合にも成分(b)(物理発泡剤(b3)を含まない)の質量に基づいて、一般に0.1~4質量%、好ましくは0.2~2.0質量%、特に好ましくは0.3~1.5質量%の量で使用される。
【0063】
上述したように、ポリオール混合物(b)は一般に、物理発泡剤(b3)を含む。これらは、ポリウレタン製造の出発材料中に溶解又は乳化され、ポリウレタン形成の条件下で蒸発する化合物を意味すると理解されるべきである。これらには、例えば、炭化水素、例えばペンタン、ハロゲン化炭化水素、及び他の化合物、例えばペルフルオロヘキサン、フッ化炭化水素(HFCs)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)などの過フッ素化アルカン、及びエーテル、エステル、ケトン及び/又はアセタールが含まれる。これらは、成分(b)の総質量に基づいて、典型的に1質量%~30質量%、好ましくは2質量%~25質量%、特に好ましくは3質量%~20質量%の量で使用される。
【0064】
したがって、好ましくは、本発明は本発明による方法に関し、ここで、ポリウレタンシステムが、物理発泡剤としてのペンタン、好ましくはシクロペンタンで発泡される。
【0065】
好ましい実施態様において、ポリオール混合物(b)は、成分(b4)としての架橋剤を含む。架橋剤は、60g/molから400g/mol未満の分子量、及び少なくとも3個のイソシアネート反応性水素原子を有する化合物を意味すると理解されるべきである。それらの一例はグリセロールである。
【0066】
架橋剤(b4)は、ポリオール混合物(b)(物理発泡剤(b3)を含まない)の総質量に基づいて、0.5~10質量%、好ましくは2~6質量%の量で一般に使用される。
【0067】
さらに好ましい実施態様において、ポリオール混合物(b)は、成分(b5)としての、架橋密度を増大するために使用される鎖延長剤を含む。鎖延長剤は、60g/molから400g/mol未満の分子量、及び2個のイソシアネート反応性水素原子を有する化合物を意味すると理解されるべきである。それらの例は、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びエチレングリコールである。
【0068】
鎖延長剤(b5)は、ポリオール混合物(b)(物理発泡剤(b3)を含まない)の総質量に基づいて、一般に2質量%~20質量%、好ましくは4質量%~15質量%の量で使用される。
【0069】
成分(b4)及び(b5)は、個別に又は組み合わせて、ポリオール混合物に使用されてもよい。
【0070】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、ポリオール成分(b)が、化学発泡剤、架橋剤、鎖延長剤、添加剤及び/又は物理発泡剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0071】
本発明によれば、断熱材として存在しているポリウレタンフォームは、本発明によるポリウレタンシステムの反応により得ることができる。該反応において、少なくとも1種のイソシアネート成分(a)及び少なくとも1種のポリオール(b)、好ましくはポリオール混合物(b)は、フォームのイソシアネート指数が一般に95~240、好ましくは95~200、特に好ましくは100~180、非常に特に好ましくは100~160、特に105~149であるような量で反応される。
【0072】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、イソシアネート成分(a)とポリオール成分(b)の反応が95~240の指数で実行される。
【0073】
好ましい実施態様において、ポリウレタンシステムの成分(a)及び(b)は、得られたフォームが、いずれの場合にもDIN 53421に従って測定された、0.2N/mmを超え、好ましくは0.25N/mmを超え、特に好ましくは0.3N/mmを超える圧縮強度(60kg/mのかさ密度で)を有する。
【0074】
本発明による方法において、合計の注入されたフォーム密度は、一般に80kg/m未満、好ましくは75kg/m未満、特に好ましくは70kg/m未満、非常に特に好ましくは65kg/m未満、特に60kg/m未満である。一般的には、合計の注入されたフォーム密度は、フォームが充填された環状スロットの総体積に基づいて、導入された液体ポリウレタン材料の総量を意味すると理解されるべきである。
【0075】
本発明による方法は一般に、当業者に適していると思われる任意の圧縮で行われてもよい。圧縮は、環状スロットの合計の充填密度を、圧縮されていないフォーム体で決定された自由発泡コア(free-foamed core)のかさ密度で除した商を意味すると理解されるべきである。
【0076】
好ましくは、本発明は、本発明による方法に関し、ここで、反応が、4.0未満、好ましくは3.5未満、特に好ましくは3.0未満、非常に特に好ましくは2.5未満の圧縮で実行される。
【0077】
本発明による方法の工程(B)で使用されるポリウレタンシステムは、好ましくは、少なくとも1種の触媒を含む。本発明によれば、一般的に、当業者に適していると思われる任意の触媒を使用してもよい。
【0078】
本発明により好ましく使用される触媒は、発泡反応、すなわち、ジイソシアネートと水の反応に触媒作用を及ぼす。この反応は、主に実際のポリウレタン鎖の形成、すなわち、重合反応の前に行われ、したがって、ポリウレタンシステムの速い反応プロファイルをもたらす。また、ポリウレタンのゲル化反応に触媒作用を及ぼす触媒も好ましく使用することができる。
【0079】
本発明により使用することができる触媒の例は、ベンジルジメチルアミン(CAS No.103-83-3)、シクロヘキシルジメチルアミン(CAS No.98-94-2)、1-メチルイミダゾール(CAS No.616-47-7)、ヘキサン-1,6-ジアミン(CAS No.124-09-4)、又はPUR反応を促進する他の既知の触媒、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0080】
本発明による好ましい触媒は、当業者に知られている任意の方法で、例えば純粋な形態で、又は溶液として、例えば水溶液としてポリウレタンシステムに添加されてもよい。
【0081】
本発明によれば、少なくとも1種の触媒は、ポリオール成分(b)(物理発泡剤(b3)を含まない)に基づいて、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%、特に好ましくは1質量%~5質量%、非常に特に好ましくは1.5質量%~5質量%、特に2質量%~5質量%の量で添加される。
【0082】
本発明により使用されるポリウレタンシステムは任意に、添加剤(b6)と混合されてもよい。添加剤(b6)は、物理発泡剤を含まず、先行技術で知られている通常の補助及び添加物質を意味すると理解されるべきである。例には、例えば、界面活性剤、フォーム安定剤、セル調整剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、帯電防止剤、加水分解安定剤、及び/又は静真菌及び静菌物質が含まれる。成分(b)の上述した一般的な好ましい粘度範囲は、任意に添加された添加剤(b6)を含むポリオール混合物(b)(物理発泡剤(b3)を含まない)に関することに留意されたい。
【0083】
本発明による方法の工程(C)は、ポリウレタンシステムの発泡及び硬化を含む。
【0084】
本発明によれば、発泡及び硬化は、一般に18℃~40℃、好ましくは18℃~35℃、特に好ましくは22℃~30℃の成分温度で行われる。
【0085】
本発明によれば、発泡及び硬化は、一般に15℃~50℃、好ましくは20℃~50℃、特に好ましくは25℃~45℃の表面温度で行われる。
【0086】
本発明による方法の工程(C)の後、少なくとも1つのメディアパイプ、フィルムホース又はジャケットパイプ、及び少なくとも1つのメディアパイプとフィルムホースの間の、又はメディアパイプとジャケットパイプの間のポリウレタンフォームの断熱層を少なくとも含む断熱パイプを得る。
【0087】
断熱層は、一般に1~20cm、好ましくは3~20cm、特に好ましくは5~20cmの厚さを有する。さらに好ましい実施態様において、ポリウレタンフォームを含む断熱層は、いずれの場合にもEN ISO 8497に従って測定された、27mW/mK未満、好ましくは26mW/mK未満、特に好ましくは25mW/mK未満、非常に特に好ましくは24mW/mK未満、特に23mW/mK未満の熱伝導率を有する。
【0088】
提供されるフィルムホースは、工程(D)も含む本発明による方法に使用される。
【0089】
本発明による方法の工程(D)は、フィルムホースに少なくとも1種の材料の層を適用してジャケットパイプを形成することを含む。
【0090】
一実施態様において、本発明による方法の工程(C)の後、少なくとも1種のポリウレタンフォームの断熱層に囲まれ、これが次に工程(A)で製造されるフィルムホースに囲まれる、少なくとも1つのメディアパイプを製造する。少なくとも1種の材料からジャケットパイプを形成するために、本発明による方法の工程(D)において、当該材料を適用する。本発明によれば、一般的に、任意の好適な材料をジャケットパイプとして使用してもよい。
【0091】
本発明による方法のさらなる実施態様において、工程(D)においてジャケットパイプを形成する材料が熱可塑性物質である。
【0092】
したがって、好ましくは、本発明は、本発明による方法に関し、ここで、工程(D)においてジャケットパイプを形成する材料が熱可塑性物質、特にポリエチレンである。本発明によれば、熱可塑性物質の適用は、押し出しにより行われてもよい。熱可塑性物質を押し出して層(ここでは、ジャケットパイプである)を製造することは、それ自体当業者に知られている。
【0093】
本発明による方法の工程(D)における適用は一般に、当業者に熱可塑性物質の押し出しに適していると思われる温度、例えば使用される熱可塑性物質の融点を超える温度で実行される。好適な温度は、例えば180℃~220℃、好ましくは190℃~230℃又は180℃~230℃、好ましくは190℃~220℃である。
【0094】
本発明による方法の工程(D)において形成されるジャケットパイプは一般に、1~30mmの厚さを有する。本発明によれば、ジャケットパイプの内径は、フィルムホースの直径に依存し、例えば6~140cm、好ましくは10~120cm、特に好ましくは115~90cmである。
【0095】
ジャケットパイプは任意に、ジャケットパイプを製造するための押し出しの間に組み合わされてもよい複数の層からなってもよい。それらの一例は、ポリウレタンフォームとジャケットパイプの間に多層フィルムを導入することであり、ここで、該フィルムがバリア効果を改善するための少なくとも1つの金属プライを含む。このタイプの好適なジャケットパイプはEP 0 960 723 A2に記載されている。好ましくは、この任意に存在するさらなる層は、工程(A)におけるフィルムと一緒に既に導入されている。本発明によれば、例えば、アルミニウムを含む多プライのフィルムを拡散バリアとして使用してもよい。
【0096】
本発明により一般に使用することができるものは、対応する断熱パイプのための有利な特性を有するすべての熱可塑性物質である。本発明により使用することができる熱可塑性物質の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはポリエチレンを使用する。
【0097】
本発明による方法は、さらなる工程を含んでもよい。例えば、形成される断熱パイプは、例えば連続的に製造され、したがって原則としてエンドレスの断熱パイプを所望の長さ、例えば6m、12m又は16mの長さに切断することにより、さらなる処理に供されてもよい。
【0098】
特に好ましい実施態様において、本発明により製造される断熱パイプは、DIN EN 253:2015-12の要件を満たす地下地域暖房ネットワークのための断熱複合ジャケットパイプである。
【0099】
さらに、本発明は、本発明による方法により製造することができる断熱パイプに関する。それに応じて、本発明による方法に関して記載されている製造される断熱パイプの詳細は適用される。本発明により連続的に製造されるパイプは、その全長にわたって特に均一な密度分布を特徴とし、その結果として、改善された物理的特性に伴った低いラムダ値も特徴とする。同時に、本発明により製造される断熱パイプは、例えば125~1400mmの大きな外径、及び/又は例えば50~300kg/mの特に高いかさ密度を有する。特に、本発明によるパイプは、高い軸方向せん断強度も有する。
【0100】
さらなる態様において、本発明は、上記の方法で得ることができるか、又は得られる断熱パイプにも関する。
【0101】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は上記の断熱パイプに関し、ここで、DIN EN 253:2015-12に従って決定された、外層とポリウレタン層の間の軸方向せん断強度が、0.05~0.50MPaの範囲である。
【0102】
断熱フォームを適用する直前にさらなる接着促進剤をメディアパイプに適用することは、軸方向せん断強度の著しい増加をもたらすことが見出された。0.14~0.31MPaの2倍以上にすることができた。本発明において、特に明記しない限り、軸方向せん断強度は、DIN EN 253:2015-12に従って決定されたものである。
【0103】
本発明のさらなる実施態様は、特許請求の範囲から明らかである。本発明による主題/方法/使用方法の上記の及び以下に説明する特徴は、それぞれの場合に特定された組合せだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組合せでも使用可能であることが理解されるであろう。したがって、例えば、好ましい特徴と特に好ましい特徴との組合せ、又はさらに特徴付けられていない特徴と好ましい特徴との組合せなどは、この組合せが明示的に言及されていなくても、暗黙的に包含されている。
【0104】
本発明の例示的な実施態様を以下に列挙するが、これらは本発明を限定するものではない。特に、本発明は、従属関係の参照、したがって以下に特定される組合せから生じる実施態様も包含する。
【0105】
1. 断熱パイプの製造方法であって、以下の工程、
(A)メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供する工程であって、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの中に前記メディアパイプを配置し、前記メディアパイプと前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの間にスロットを形成し、
前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面に接着促進剤が適用されている、工程と、
(B)前記接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムを前記スロット中に導入する工程と、
(C)前記ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させる工程と、
を含む、方法。
【0106】
2. 前記接着促進剤が、ポリウレタンをベースとする接着促進剤からなる群から選択される、実施態様1に記載の方法。
【0107】
3. 前記接着促進剤が2成分系である、実施態様1又は2に記載の方法。
【0108】
4. 前記接着促進剤が、少なくとも1種のイソシアネート成分、及び1種のポリオール成分を含む、実施態様1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
5. 前記接着促進剤が、400~1200kg/mの範囲の固体充填剤なしで決定されたかさ密度を含む、実施態様1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
6.スプレー又はスプレッドコーティングにより、前記接着促進剤を適用する、実施態様1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
7. 前記接着促進剤が、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面の50%~100%の範囲の部分を覆う、実施態様1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
8. 前記ポリオール成分(b)が、化学発泡剤、架橋剤、鎖延長剤、添加剤及び/又は物理発泡剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、実施態様1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
9. 前記イソシアネート成分(a)と前記ポリオール成分(b)の反応が、95~240の指数で実行される、実施態様1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0114】
10. 前記ジャケットパイプ又は前記フィルムホースを形成する材料が、熱可塑性物質である、実施態様1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
11. 断熱パイプの製造方法であって、以下の工程、
(A)メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供する工程であって、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの中に前記メディアパイプを配置し、前記メディアパイプと前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの間にスロットを形成し、
前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面に接着促進剤が適用されている、工程と、
(B)前記接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムを前記スロット中に導入する工程と、
(C)前記ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させる工程と、
を含み、
前記接着促進剤が、ポリウレタンをベースとする接着促進剤からなる群から選択される、方法。
【0116】
12. 断熱パイプの製造方法であって、以下の工程、
(A)メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供する工程であって、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの中に前記メディアパイプを配置し、前記メディアパイプと前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの間にスロットを形成し、
前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面に接着促進剤が適用されている、工程と、
(B)前記接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムを前記スロット中に導入する工程と、
(C)前記ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させる工程と、
を含み、
前記接着促進剤が、少なくとも1種のイソシアネート成分、及びポリオール成分を含む、方法。
【0117】
13. 断熱パイプの製造方法であって、以下の工程、
(A)メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供する工程であって、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの中に前記メディアパイプを配置し、前記メディアパイプと前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの間にスロットを形成し、
前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面に接着促進剤が適用されている、工程と、
(B)前記接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムを前記スロット中に導入する工程と、
(C)前記ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させる工程と、
を含み、
スプレー又はスプレッドコーティングにより、前記接着促進剤を適用する、方法。
【0118】
14. 断熱パイプの製造方法であって、以下の工程、
(A)メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供する工程であって、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの中に前記メディアパイプを配置し、前記メディアパイプと前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの間にスロットを形成し、
前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面に接着促進剤が適用されている、工程と、
(B)前記接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムを前記スロット中に導入する工程と、
(C)前記ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させる工程と、
を含み、
前記接着促進剤が、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面の50%~100%の範囲の部分を覆う、方法。
【0119】
15. 断熱パイプの製造方法であって、以下の工程、
(A)メディアパイプ及びフィルムから連続的に形成されるフィルムホース、又はメディアパイプ及びジャケットパイプを提供する工程であって、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの中に前記メディアパイプを配置し、前記メディアパイプと前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプの間にスロットを形成し、
前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面に接着促進剤が適用されている、工程と、
(B)前記接着促進剤が完全に硬化する前に、少なくとも1種のイソシアネートを含むイソシアネート成分(a)、ポリオール成分(b)及び少なくとも1種の触媒を少なくとも含むポリウレタンシステムを前記スロット中に導入する工程と、
(C)前記ポリウレタンシステムを発泡させて硬化させる工程と、
を含み、
前記接着促進剤が、ポリウレタンをベースとする接着促進剤からなる群から選択され、
前記接着促進剤が、少なくとも1種のイソシアネート成分、及びポリオール成分を含み、
スプレー又はスプレッドコーティングにより、前記接着促進剤を適用し、
前記接着促進剤が、前記フィルムホース又は前記ジャケットパイプに面している前記メディアパイプの表面の50%~100%の範囲の部分を覆う、方法。
【0120】
16. 前記ポリオール成分(b)が、化学発泡剤、架橋剤、鎖延長剤、添加剤及び/又は物理発泡剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、実施態様1から15のいずれか一項に記載の方法。
【0121】
17. 前記イソシアネート成分(a)と前記ポリオール成分(b)の反応が、95~240の指数で実行される、実施態様1から16のいずれか一項に記載の方法。
【0122】
18. 前記ジャケットパイプ又は前記フィルムホースを形成する材料が、熱可塑性物質である、実施態様1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0123】
19. 実施態様1から18のいずれか一項に記載の方法により得ることができるか、又は得られる、断熱パイプ。
【0124】
20. DIN EN 253:2015-12に従って決定された、外層とポリウレタン層の間の軸方向せん断強度が、0.05~0.40MPaの範囲である、実施態様19に記載の断熱パイプ。
【0125】
引用文献
EP 2 435 243 A1
EP 1 516 720 A1
WO 2015/091451 A1
WO 2011/045139 A1
EP 1 141 613 B1
EP 0 865 893 A1
EP 1 777 051 B1
EP 1 595 904 A2
WO 00/39497 A1
WO 01/18087 A1
EP 2 143 539 A1
EP 1 428 848 B1
EP 0 960 723 A2