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特許7191678基板処理装置、基板処理装置のカセット取り外し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理装置のカセット取り外し方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20221212BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/68 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018244978
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020107725
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 亮
(72)【発明者】
【氏名】江藤 謙次
(72)【発明者】
【氏名】阿部 洋一
(72)【発明者】
【氏名】亀崎 厚治
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-020463(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013440(WO,A1)
【文献】特表2004-527900(JP,A)
【文献】特開平08-181183(JP,A)
【文献】特開2010-135507(JP,A)
【文献】特開2011-253842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
H01L 21/673
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を多段に収納するカセットと、
前記カセットを密閉可能に収納するチャンバと、
前記カセットを前記チャンバ内で昇降させる昇降軸を有する昇降機構と、
を有し、
前記チャンバが天井部と底部と側部とを有するとともに、分離可能な上チャンバと下チャンバとに分割されて互いにシール面となるフランジ部が平面状に周設され、
前記フランジ部が、少なくとも前記天井部よりも下側が分割位置となるように傾斜して配置され
前記フランジ部が、前記底部と前記側部との境界位置の一部となるように傾斜して配置されるとともに、前記天井部と前記側部との境界位置の一部となるように傾斜して配置され、
前記下チャンバとなる前記側部には、前記基板を出し入れする搬出入口が上下方向に離間して複数設けられ、
前記昇降軸が、前記カセットの底部から下向きに取り付けられて前記チャンバの底部を貫通し、
前記カセットの各段には、前記チャンバでは前記基板の加熱処理がおこなうヒータがそれぞれ設けられ、
前記ヒータに接続されたヒータ線が、前記昇降軸の内部に貫通してい
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記下チャンバには、前記上チャンバを前記下チャンバに対して移動する際にガイドするガイド部が設けられ、
前記ガイド部が水平方向に延在する部分を有して、前記フランジ部の傾斜した部分における外側位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記カセットが前記チャンバ内で最も上側位置に移動された場合に、前記カセットの最下段は、下側の前記搬出入口に対応する高さ位置となり、
前記カセットが前記チャンバ内で最も下側位置に移動された場合に、前記カセットの最上段は、上側の前記搬出入口に対応する高さ位置となる
ことを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記チャンバの上方位置に設けられて、前記上チャンバおよび前記カセットを吊り下げて昇降可能な吊り下げ装置を有する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記チャンバが前記基板を搬出入可能なトランスファチャンバに接続され、
前記トランスファチャンバに接続される前記チャンバの接続方向と、前記吊り下げ装置の水平方向における移動方向と、が直交していない
ことを特徴とする請求項記載の基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか記載の基板処理装置において、前記カセットを取り外す方法であって、
前記上チャンバの前記フランジ部を前記下チャンバの前記フランジ部から離間させる工程と、
前記上チャンバの姿勢を維持しつつ前記上チャンバを前記フランジ部が傾斜して下降する向きに移動する工程と、
前記昇降軸の下端において前記ヒータ線の接続を解除する工程と、
前記昇降軸の下端が前記底部から離間するまで前記カセットを上昇させる工程と、
前記カセットを前記フランジ部が傾斜して下降する向きに移動する工程と、
を有する
ことを特徴とする基板処理装置のカセット取り外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置、基板処理装置のカセット取り外し方法に関し、特に多数枚の基板を同時に処理する装置に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱処理等、平板状の基板をカセット内に水平位置として多段に載置し複数枚を同時に密閉チャンバ内で処理する装置が知られている(特許文献1)。
このような装置では、カセットの各段にそれぞれ一枚の基板を搬入するために、チャンバ内でカセットを上下方向に移動する昇降機構を備えている。
昇降機構としては、カセットの底部から下方に接続された鉛直方向に延在する昇降軸と、チャンバ底部を貫通したこの昇降軸を鉛直方向に駆動するチャンバ外に設けられた駆動機構とを有する。
【0003】
メンテナンス時などに、チャンバ内からカセットを取り出す際には、例えば、チャンバ上部の天井部分となる蓋部を上方に移動してチャンバを外部に対して開放状態とした後、カセットを取り出す。
【0004】
チャンバ外にカセットを取り出すためには、平面視してカセット外となる位置まで水平方向に移動する。この際、カセットの底部に取り付けられている昇降軸が、チャンバの側部(側壁部)と当接しないことが必要である。このため、チャンバの側部(側壁部)の上端よりも、昇降軸の下端が上側位置になるまでカセットを上昇させた後、水平方向に移動することが必要である。
【0005】
半導体製造、あるいは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のFPD(flat panel display,フラットパネルディスプレイ)の製造に用いられる装置においては、蓋部、あるいは、カセットの重量は数t(トン)となる。
このため、上記の処理装置におけるカセット取りだし時には、処理機構の設置された建屋における天井等に設けたホイスト、あるいは、クレーンなどの吊り下げ装置によって、蓋部、あるいは、カセットを吊り下げて移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-263063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、建屋の天井高さ、あるいは、吊り下げ機構の設置高さが足りない場合がある。
このため、チャンバの側部(側壁部)の上端よりも昇降軸の下端が高い位置までカセットを上昇させるために必要なクレーン等の揚程が足りず、そのままでは、チャンバからカセットを取り出すことができない場合があるという問題があった。
【0008】
例えば、通常、ホイスト、あるいは、クレーンなどの吊り下げ装置は、水平方向では前後左右の直交する二方向のみに移動可能である。ところが、カセットの収納されたチャンバとしては、平面視した輪郭が多角形状であるトランスファチャンバに接続されているアニール室などが考えられる。この場合、チャンバ側部(側壁部)が、吊り下げ装置の水平移動方向とは角度を有して傾斜した方向に沿って位置している。
このため、カセットをチャンバから取り出すためには、チャンバの側壁部の上端よりも昇降軸の下端が高い位置までカセットを上昇させた後でないと、カセットを水平方向に移動させることができなかった。このために必要なクレーン等の揚程が足りなくなる場合がある。
【0009】
さらに、多数枚の基板を一度に処理する装置では、処理可能枚数に対応して、カセットの高さ寸法が大きくなる。このため、チャンバの側部(側壁部)の上端よりも昇降軸の下端が高い位置までカセットを上昇させるために必要なクレーン等の揚程が足りなくなる場合がある。
【0010】
また、カセットの各段に基板を搬出入する際には、チャンバ内部でカセットを昇降可能とすることが必要である。これは、チャンバの側部(側壁部)に高さ位置の固定された搬出入口に対して、各段に基板を搬入可能な高さにカセットを昇降させるためである。
この際、カセットを昇降可能とするチャンバ内部の高さ寸法を維持した場合、チャンバの側壁部の高さ寸法が大きくなる。このため、チャンバの側部(側壁部)の上端よりも昇降軸の下端が高い位置までカセットを上昇させるために必要なクレーン等の揚程が足りなくなる場合がある。
【0011】
同時に、カセットの各段への基板搬出入用に、カセットを昇降可能とするために必要なチャンバ内部の高さ寸法を維持した場合、昇降軸の長さ寸法も大きくなる。このため、チャンバの側部(側壁部)の上端よりも昇降軸の下端が高い位置までカセットを上昇させるために必要なクレーン等の揚程が足りなくなる場合がある。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.チャンバ内部で、カセットの昇降に必要な空間高さを削減すること。
2.チャンバからカセットを取り出す際に必要な、クレーン等の揚程を削減すること。
3.チャンバからのカセットの取り出しに必要となるチャンバの側部の高さ寸法を削減すること。
4.チャンバからのカセットの取り出しに必要となるカセットの昇降軸の高さ寸法を削減すること。
5.クレーン等の揚程が不足する場合でも、チャンバからのカセット取り出しを可能とすること。
6.チャンバからのカセット取り出しを伴う作業における作業の簡易化と、作業時間の短縮とを図ること。
7.チャンバからのカセット取り出しにおける容易性を向上し、かつ、チャンバのシール性(密閉性)を維持すること。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の基板処理装置は、複数枚の基板を多段に収納するカセットと、
前記カセットを密閉可能に収納するチャンバと、
前記カセットを前記チャンバ内で昇降させる昇降軸を有する昇降機構と、
を有し、
前記チャンバが天井部と底部と側部とを有するとともに、分離可能な上チャンバと下チャンバとに分割されて互いにシール面となるフランジ部が平面状に周設され、
前記フランジ部が、少なくとも前記天井部よりも下側が分割位置となるように傾斜して配置され
前記フランジ部が、前記底部と前記側部との境界位置の一部となるように傾斜して配置されるとともに、前記天井部と前記側部との境界位置の一部となるように傾斜して配置され、
前記下チャンバとなる前記側部には、前記基板を出し入れする搬出入口が上下方向に離間して複数設けられ、
前記昇降軸が、前記カセットの底部から下向きに取り付けられて前記チャンバの底部を貫通し、
前記カセットの各段には、前記チャンバでは前記基板の加熱処理がおこなうヒータがそれぞれ設けられ、
前記ヒータに接続されたヒータ線が、前記昇降軸の内部に貫通していることにより上記課題を解決した。
本発明の基板処理装置において、前記下チャンバには、前記上チャンバを前記下チャンバに対して移動する際にガイドするガイド部が設けられ、
前記ガイド部が水平方向に延在する部分を有して、前記フランジ部の傾斜した部分における外側位置に設けられることが可能である。
本発明の基板処理装置は、前記カセットが前記チャンバ内で最も上側位置に移動された場合に、前記カセットの最下段は、下側の前記搬出入口に対応する高さ位置となり、
前記カセットが前記チャンバ内で最も下側位置に移動された場合に、前記カセットの最上段は、上側の前記搬出入口に対応する高さ位置となることができる。
また、本発明の基板処理装置は、前記チャンバの上方位置に設けられて、前記上チャンバおよび前記カセットを吊り下げて昇降可能な吊り下げ装置を有することができる。
また、本発明の基板処理装置は、前記チャンバが前記基板を搬出入可能なトランスファチャンバに接続され、
前記トランスファチャンバに接続される前記チャンバの接続方向と、前記吊り下げ装置の水平方向における移動方向と、が直交していないことができる。
本発明の基板処理装置のカセット取り外し方法は、上記のいずれか記載の基板処理装置において、前記カセットを取り外す方法であって、
前記上チャンバの前記フランジ部を前記下チャンバの前記フランジ部から離間させる工程と、
前記上チャンバの姿勢を維持しつつ前記上チャンバを前記フランジ部が傾斜して下降する向きに移動する工程と、
前記昇降軸の下端において前記ヒータ線の接続を解除する工程と、
前記昇降軸の下端が前記底部から離間するまで前記カセットを上昇させる工程と、
前記カセットを前記フランジ部が傾斜して下降する向きに移動する工程と、
を有することができる。
【0014】
本発明の基板処理装置は、複数枚の基板を多段に収納するカセットと、
前記カセットを密閉可能に収納するチャンバと、
前記カセットを前記チャンバ内で昇降させる昇降機構と、
を有し、
前記チャンバが天井部と底部と側部とを有するとともに、上チャンバと下チャンバとに分割されて互いにシール面となるフランジ部が平面状に周設され、
前記フランジ部が、少なくとも前記天井部よりも下側が分割位置となるように傾斜して配置される。
【0015】
これにより、下チャンバ側部の上端であるフランジ部が、配置される傾斜状態に対応して、天井部よりも下側に位置する部分を有する。同時に、上チャンバ側部の下端であるフランジ部が、配置される傾斜状態に対応して、底部よりも上側の高さ位置となる部分を有する。
【0016】
したがって、メンテナンス時など、上チャンバを下チャンバから外す際に、横方向に移動する上チャンバにおける後側の下端であるフランジ部が、チャンバ内部に収納されたカセット等に当接することを防止する。この際、チャンバを分割するフランジ部で形成されるシール面が傾斜していることで、上チャンバを下チャンバから上方に移動させる距離を短縮することが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を短縮することが可能となる。
【0017】
同時に、メンテナンス時など、上チャンバを外した下チャンバからカセットを外す際に、横方向に移動するカセットにおける下端が、下チャンバにおける移動向の前側の上端であるフランジ部に当接することを防止する。この際、チャンバを分割するフランジ部で形成されるシール面が傾斜していることで、カセットを下チャンバから上方に移動させる距離を短縮することが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を短縮することが可能となる。
【0018】
さらに、メンテナンス終了時など、外していた上チャンバを下チャンバに組み付ける際に、横方向に移動する上チャンバにおける前側の下端であるフランジ部が、チャンバ内部に収納されたカセット等に当接することを防止する。この際、チャンバを分割するフランジ部で形成されるシール面が傾斜していることで、上チャンバを下チャンバから上方に離間させて横方向に移動させる上下方向の距離を短縮することが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を短縮することが可能となる。
【0019】
同時に、メンテナンス終了時など、上チャンバを外した状態で下チャンバにカセットを組み付ける際に、横方向に移動するカセットにおける下端が、下チャンバにおける移動向の後側の上端であるフランジ部に当接することを防止する。この際、チャンバを分割するフランジ部で形成されるシール面が傾斜していることで、カセットを下チャンバから上方に離間させて横方向に移動させる上下方向の距離を短縮することが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を短縮することが可能となる。
【0020】
本発明の基板処理装置は、前記フランジ部が、前記底部と前記側部との境界位置の一部となるように傾斜して配置される。
【0021】
これにより、メンテナンス時など、上チャンバを外した下チャンバからカセットを外す際に、横方向に移動するカセットにおける下端が、下チャンバにおける移動方向の前側の上端であるフランジ部に当接することを防止する。この際、傾斜したフランジ部は、下チャンバの移動方向における前側となる上端において、フランジ部の高さ位置が、チャンバの底部の高さと一致している。
【0022】
これにより、カセットを下チャンバから上方に移動させる距離を短縮することが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を短縮することが可能となる。
【0023】
同時に、メンテナンス終了時など、上チャンバを外した状態で下チャンバにカセットを組み付ける際に、横方向に移動するカセットにおける下端が、下チャンバにおける移動方向の後側の上端であるフランジ部に当接することを防止する。この際、傾斜したフランジ部は、下チャンバの移動方向における後側となる上端において、フランジ部の高さ位置が、チャンバの底部の高さと一致している。
【0024】
これにより、カセットを下チャンバから上方に離間させて横方向に移動させる上下方向の距離を短縮することが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を短縮することが可能となる。
【0025】
本発明の基板処理装置において、前記フランジ部が、前記天井部と前記側部との境界位置の一部となるように傾斜して配置される。
【0026】
これにより、メンテナンス時など、上チャンバを下チャンバから外す際に、横方向に移動する上チャンバにおける後側の下端であるフランジ部が、チャンバ内部に収納されたカセット等に当接することを防止する。この際、傾斜したフランジ部は、上チャンバの移動方向後側となる下端において、フランジ部の高さ位置が、チャンバの天井部の高さ位置と一致している。
【0027】
これにより、上チャンバを下チャンバから上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。特に、理想的には上チャンバを下チャンバから上方に移動させることなく、横方向に移動させることが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を極めて短縮することが可能となる。
【0028】
さらに、メンテナンス終了時など、外していた上チャンバを下チャンバに組み付ける際に、横方向に移動する上チャンバにおける前側の下端であるフランジ部が、チャンバ内部に収納されたカセット等に当接することを防止する。この際、傾斜したフランジ部は、上チャンバの移動方向前側となる下端において、フランジ部の高さ位置が、チャンバの天井部の高さ位置と一致している。
【0029】
これにより、上チャンバを下チャンバから上方に離間させて横方向に移動させる上下方向の距離を極めて短縮することが可能となる。理想的には上チャンバを下チャンバに組み付ける高さとして、横方向に移動させることが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を極めて短縮することが可能となる。
【0030】
本発明の基板処理装置において、前記下チャンバには、前記上チャンバを前記下チャンバに対して移動する際にガイドするガイド部が設けられ、
前記ガイド部が水平方向に延在する部分を有して、前記フランジ部の傾斜した部分における外側位置に設けられる。
【0031】
これにより、クレーンなどの吊り下げ装置などによって上チャンバを吊り下げて、外していた上チャンバを下チャンバに組み付ける際に、横方向に移動する上チャンバの移動状態をガイドして、移動する上チャンバの位置を規制することが容易となる。これにより、横方向に移動する上チャンバが、チャンバ内部に収納されたカセット等に当接することを防止する。
【0032】
同時に、クレーンなどの吊り下げ装置などによって上チャンバを吊り下げて、上チャンバを下チャンバから取り外す際に、横方向に移動する上チャンバの移動状態をガイドして、移動する上チャンバの位置を規制することが容易となる。これにより、横方向に移動する上チャンバが、チャンバ内部に収納されたカセット等に当接することを防止する。
【0033】
ここで、上チャンバの移動状態をガイドするとは、ガイド部における水平方向に延在する部分が、上チャンバの傾斜したフランジ部に摺動する状態か、当接する状態、または、接していないが近傍に位置する状態を維持することを意味する。
【0034】
これにより、上チャンバの移動方向に対する両側位置となるフランジ部が、下チャンバの移動方向に対する両側位置となるフランジ部と平面視してほぼ一致するように、上チャンバを下チャンバに対して横方向に移動させることができる。
【0035】
なお、ガイド部として、移動方向における上チャンバの移動終端となる位置を規制する終位置ガイド部を設けることもできる。この場合、ガイド部における水平方向に延在する部分の端部に鉛直方向に延在する部分を設け、対応する部分を上チャンバの側部に設けることもできる。
【0036】
また、本発明の基板処理装置において、前記下チャンバとなる前記側部には、前記基板を出し入れする搬出入口が複数設けられる。
【0037】
これにより、搬出入口が一箇所設けられた場合に比べて、チャンバ内でカセットを移動させる高さ方向の距離を小さくすることができる。これにより、チャンバの高さ寸法を小さくできる。
【0038】
これにより、メンテナンス時など、上チャンバを下チャンバから上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。同時に、メンテナンス終了時など、外していた上チャンバを下チャンバに組み付ける際に、上チャンバを下チャンバから上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。
【0039】
また、メンテナンス時など、上チャンバを下チャンバから外した状態で、下チャンバからカセットを上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。同時に、メンテナンス終了時など、上チャンバを下チャンバから外した状態で、下チャンバにカセットを組み付ける際に、カセットを下チャンバから上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。
【0040】
これにより、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を極めて短縮することが可能となる。
【0041】
本発明の基板処理装置は、前記カセットを昇降させる昇降軸が、前記カセットの底部から下向きに取り付けられる。
【0042】
これにより、メンテナンス時など、上チャンバを下チャンバから外した状態で、昇降軸の下端が下チャンバに当接しない高さまでカセットを上昇させるだけで、カセットを取り外すことができる。したがって、下チャンバからカセットを上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。
【0043】
同時に、メンテナンス終了時など、上チャンバを下チャンバから外した状態で下チャンバにカセットを組み付ける際に、昇降軸の下端が下チャンバに当接しない高さとしてカセットを横移動させるだけで、カセットを組み付け可能な位置まで移動することができる。したがって、カセットを下チャンバから上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。
【0044】
これにより、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を極めて短縮することが可能となる。
【0045】
また、本発明の基板処理装置は、前記チャンバの上方位置に設けられて、前記上チャンバおよび前記カセットを吊り下げて昇降可能な吊り下げ装置を有する。
【0046】
メンテナンス時またはメンテナンス終了時などに、上チャンバまたはカセットを取り外しまたは組付けする際に、上チャンバまたはカセットを吊り下げ装置で吊り下げる。この場合、傾斜したフランジ部によって、上チャンバと下チャンバとが分離可能なことにより、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を極めて短縮することが可能となる。
【0047】
同時に、ガイド部により、上チャンバを取り外しまたは組付けする際に、吊り下げ装置における操作性を向上して、作業時間を短縮し、作業容易性を向上することが可能となる。
【0048】
また、本発明の基板処理装置は、前記チャンバが前記基板を搬出入可能なトランスファチャンバに接続され、
前記トランスファチャンバに接続される前記チャンバの接続方向と、前記吊り下げ装置の水平方向における移動方向と、が直交していない。
ここで、トランスファチャンバに接続されるチャンバの接続方向とは、平面視して矩形断面とされたチャンバの壁部のいずれかが水平方向に延在する方向とされる。
【0049】
この場合、移動方向がガイド部の延在する方向と異なる場合でも、吊り下げ装置によって上チャンバを吊り下げて、上チャンバを移動する際に、ガイド部における水平方向に延在する部分により、上チャンバの傾斜したフランジ部に摺動する状態か、当接する状態、または、接していないが近傍に位置する状態を維持することができる。
【0050】
したがって、移動方向がガイド部の延在する方向と異なる場合でも、ガイド部における水平方向に延在する部分が、上チャンバの傾斜したフランジ部に摺動する状態か、当接する状態、または、接していないが近傍に位置する状態を維持することができる。
【0051】
これにより、移動方向がガイド部の延在する方向と異なる場合でも、上チャンバの移動方向に対する両側位置となるフランジ部が、下チャンバの移動方向に対する両側位置となるフランジ部と平面視してほぼ一致するように、上チャンバを下チャンバに対して横方向に移動させることが可能となる。
【0052】
これにより、移動方向がガイド部の延在する方向と異なる場合でも、クレーンなどの吊り下げ装置などによって上チャンバを吊り下げて、外していた上チャンバを下チャンバに組み付ける際に、横方向に移動する上チャンバの移動状態をガイドして、移動する上チャンバの位置を規制することが容易となる。これにより、横方向に移動する上チャンバが、チャンバ内部に収納されたカセット等に当接することを防止する。
【0053】
同時に、移動方向がガイド部の延在する方向と異なる場合でも、クレーンなどの吊り下げ装置などによって上チャンバを吊り下げて、上チャンバを下チャンバから取り外す際に、横方向に移動する上チャンバの移動状態をガイドして、移動する上チャンバの位置を規制することが容易となる。これにより、横方向に移動する上チャンバが、チャンバ内部に収納されたカセット等に当接することを防止する。
【0054】
これにより、上チャンバを取り外しまたは組付けする際に、吊り下げ装置における操作性を向上して、作業時間を短縮し、作業容易性を向上することが可能となる。
【0055】
また、本発明の基板処理装置は、前記チャンバでは前記基板の加熱処理がおこなわれ、
前記カセットの各段には、ヒータがそれぞれ設けられる。
これにより、ヒータに接続された電力供給線(ヒータ線)が、昇降軸の内部に貫通している場合でも、メンテナンス時など、上チャンバを下チャンバから外した状態で、ヒータ線の下端が下チャンバに当接しない高さまでカセットを上昇させるだけで、カセットを取り外すことができる。したがって、下チャンバからカセットを上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。
【0056】
同時に、メンテナンス終了時など、上チャンバを下チャンバから外した状態で下チャンバにカセットを組み付ける際に、ヒータ線の下端が下チャンバに当接しない高さとしてカセットを横移動させるだけで、カセットを組み付け可能な位置まで移動することができる。したがって、カセットを下チャンバから上方に移動させる距離を極めて短縮することが可能となる。
【0057】
これにより、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を極めて短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、上チャンバを下チャンバから上方に移動させる距離を短縮することが可能となる、カセットを下チャンバから上方に移動させる距離を短縮することが可能となる、クレーンなどの吊り下げ装置の揚程を短縮することが可能となるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態を示す模式平面図である。
図2】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバを示す側断面図である。
図3】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバを示す斜視図である。
図4】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバおよびカセットを示す分解斜視図である。
図5】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるカセットおよび昇降軸付近を示す拡大断面図である。
図6】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバの取り外し工程を示す斜視図である。
図7】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバの取り外し工程を示す斜視図である。
図8】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバを取り外した状態を示す斜視図である。
図9】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるカセットの取り外し工程を示す斜視図である。
図10】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバの組み立て工程を示す斜視図である。
図11】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバの組み立て工程を示す斜視図である。
図12】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバを従来と比較するための側断面図である。
図13】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態におけるチャンバを従来と比較するための側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明に係る基板処理装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における基板処理装置を示す模式平面図であり、図において、符号1は、基板処理装置である。
【0061】
本実施形態に係る基板処理装置1は、図1に示すように、平面視して多角形状のトランスファチャンバ2と、トランスファチャンバ2の各辺に接続された処理室となるチャンバ10~10Eと、トランスファチャンバ2およびチャンバ10~10Eの上方に配置された吊り下げ装置100と、を有する。
【0062】
本実施形態に係る基板処理装置1は、複数枚の基板を真空雰囲気等の密閉状態として処理するものとされ、その処理は特に限定されない。チャンバ10~10Eは、それぞれ、異なる処理を基板に施す処理室とされることができる。
例えば、チャンバ10~10Eのうち1箇所は、基板を出し入れするロード/アンロード室とすることができる。
【0063】
吊り下げ装置100は、クレーンやホイストといった吊り下げ可能で水平方向に移動可能な装置とされる。吊り下げ装置100は、図1に破線の矢印で示すように、水平方向で直交する二方向に移動可能とされている。
【0064】
トランスファチャンバ2は、図1に示すように、その内部に、搬送ロボット2aを有し、トランスファチャンバ2と各チャンバ10~10Eとの間で、基板を搬送可能とされている。
なお、トランスファチャンバ2には、搬送ロボット2aを複数設置することもできる。
さらに、トランスファチャンバ2は、多角形であればよく、三角形から八角形程度まで、任意の平面形状とすることができる。
【0065】
搬送ロボット2aには、水平方向、垂直方向に移動可能に構成されたロボットアームが形成されている。搬送ロボット2aは、回転軸と、この回転軸に取り付けられたロボットアームと、ロボットアームの一端に形成されたロボットハンドと、上下動装置とを有している。
【0066】
ロボットアームは、互いに屈曲可能な第一、第二の能動アームと、第一、第二の従動アームとから構成されている。搬送ロボット2aは、被搬送物である基板を、チャンバ10~10E間で移動させることができる。
ロボットアームは、基板を載置できるように形成されており、複数本、例えば、平面視して2本、あるいは、4本形成されることができる。また、ロボットアームにおける、基板の搬出入方向に沿う方向の長さは、基板をロボットアーム上に確実に載置して搬送することができるように基板より長く形成される。
【0067】
ロボットアームの垂直方向における厚みは、後述するチャンバ10のカセット20に設けられた基板支持ピンの高さよりも薄く形成されている。このようにすることで、基板をロボットアーム上に載置して、チャンバ10へと搬送し、基板をチャンバ10内のカセット20における基板支持ピン上に移設する際に、基板を落下させることなくスムーズにロボットアーム上から基板支持ピン上に移設することができる。
【0068】
つまり、基板に集中荷重などがかかることなく確実に移設することができる。また、基板の処理が完了した後、チャンバ10から搬出する際に基板支持ピンにより形成される基板と後述する支持部21との間の隙間にロボットアームを挿通することができるため、基板をロボットアーム上に確実に移設することができる。
【0069】
トランスファチャンバ2および各チャンバ10~10Eには、真空状態に保持できるように、図示しない真空ポンプが接続されている。また、トランスファチャンバ2および各チャンバ10~10Eには、所定の雰囲気ガスを供給するガス供給部を接続することができる。
【0070】
特に、チャンバ10には、図示しない窒素ガス供給部が設けられてもよい。窒素ガス供給部より窒素ガスをチャンバ10内に供給すると、例えば、加熱処理をする際に、基板の昇温速度を速めることができる。また、このときチャンバ10内の圧力は100Pa程度に保持できるように構成されることができる。
【0071】
また、トランスファチャンバ2には、排気口が形成されてもよい。排気口は、トランスファチャンバ2におけるチャンバ10との境界部近傍に形成さる。排気口により、トランスファチャンバ2内の排気をすることができるとともに、後述するシャッタ15a,16aが開状態に保持されているときには、チャンバ10内の排気をすることが可能となる。この場合、チャンバ10に排気手段を設ける必要がなくなりコスト低減できる。また、チャンバ10からトランスファチャンバ2に流出した高温の窒素ガスは、搬送ロボット2aに到達する前に排気口から排出されるので、高温の窒素ガスによる搬送ロボットへの悪影響を防止することができる。
【0072】
本実施形態に係る基板処理装置1としては、チャンバ10が複数枚の基板に対して同時に加熱処理を施すものとして説明する。
チャンバ10における処理は熱処理に限定されない。また、チャンバ10A~10Eは、チャンバ10と同じ処理を施す同じ構成としてもよいし、異なる処理を施す処理室として異なる構成とすることもできる。チャンバ10と異なる処理としては、成膜、エッチング、洗浄等を挙げることができる。
【0073】
図2は、本実施形態の基板処理装置におけるチャンバを示す側断面図である。図3は、本実施形態の基板処理装置におけるチャンバを示す斜視図である。図4は、本実施形態の基板処理装置におけるチャンバおよびカセットを示す分解斜視図である。
チャンバ10は、図2図3図4に示すように、平面視して略矩形断面を有するとともに、鉛直方向の断面形状が略矩形とされている。チャンバ10は、密閉可能とされている。
【0074】
チャンバ10は、図2図3図4に示すように、天井部11aと、天井部11aと平行な底部12aと、平面視して天井部11aと底部12aとの輪郭に沿って立設された側部11b~12eとを有する。
チャンバ10は、図2図3図4に示すように、上下に分割されており、上チャンバ11と、下チャンバ12とからなる。
【0075】
上チャンバ11は、図2図3図4に示すように、天井部11aと、側部11bと、側部11cと、側部11dと、を有する。
【0076】
天井部11aは、チャンバ10の頂部に位置して水平方向に延在する。天井部11aは、矩形の輪郭形状を有する。
天井部11aの上面には、吊り下げ装置100によって上チャンバ11を吊り下げ可能とする吊り下げ部11hが複数設けられる。
【0077】
側部11bと、側部11cと、側部11dとは、天井部11aの三方の輪郭に沿って下向きに垂設されている。側部11bと、側部11cと、側部11dとは、平面視して互いに直交するように配置されている。側部11cと側部11dとは、互いに平行状態に配置される。
矩形の天井部11aにおける端部のうち、側部11bと側部11cと側部11dとに接続されていない一辺は、下チャンバ12の側部12eの上端に接触可能とされる。
【0078】
側部11bは、側面視して矩形の輪郭形状とされる。側部11bの上端部は、天井部11aに接続される。
側部11bは、チャンバ10の高さ寸法と同等の高さ寸法を有する。
側部11bの両側部は、互いに隣接する側部11cと側部11dとに接続される。
側部11bの下端部は、下チャンバ12の底部12aの一端となる辺に接触可能とされる。
【0079】
側部11cは、側面視して三角形の輪郭形状とされる。側部11cの上端部は、天井部11aに接続される。
側部11cにおいて、天井部11aから下向きに延在する長辺となる横方向の一端は、側部11bと同じ長さとされ、側部11bと接続される。
側部11cにおいて、側部11bと接続されていない三角形の頂部は、下チャンバ12の側部12eの上端に接触可能とされる。
側部11cにおいて、その下端となる辺は、水平方向に対して傾斜している。
【0080】
側部11dは、側面視して三角形の輪郭形状とされる。側部11dの上端部は、天井部11aに接続される。
側部11dにおいて、天井部11aから下向きに延在する長辺となる横方向の一端は、側部11bと同じ長さとされ、側部11bと接続される。
側部11dにおいて、側部11bと接続されていない三角形の頂部は、下チャンバ12の側部12eの上端に接触可能とされる。
側部11dにおいて、その下端となる辺は、水平方向に対して傾斜している。
【0081】
上チャンバ11において、天井部11aと側部11bと側部11cと側部11dとは、互いに隣接する部分が接続されて、密閉可能とされている。
【0082】
下チャンバ12は、図2図3図4に示すように、底部12aと、側部12cと、側部12dと、側部12eと、を有する。
底部12aは、チャンバ10の底部に位置して水平方向に延在する。底部12aは、天井部11aに対応した矩形の輪郭形状を有する。具体的には、底部12aは、天井部11aと同じ矩形の輪郭形状を有する。
【0083】
側部12cと、側部12dと、側部12eとは、底部12aの三方の輪郭に沿って上向きに立設されている。側部12cと、側部12dと、側部12eと、は、平面視して互いに直交するように配置されている。側部12cと側部12dとは、互いに平行状態に配置される。
矩形の底部12aにおける端部のうち、側部12cと側部12dと側部12eとに接続されていない一辺は、上チャンバ11の側部11bの下端に接触可能とされる。
【0084】
側部12eは、側面視して矩形の輪郭形状とされる。側部12eの下端部は、底部12aに接続される。
側部12eは、上チャンバ11の側部11bと対向して配置される。側部12eは、上チャンバ11の側部11bと平行状態に配置される。側部12eは、上チャンバ11の側部11bと略同一の輪郭形状とされる。
側部12eは、チャンバ10の高さ寸法と同等の高さ寸法を有する。
側部12eの両側部は、互いに隣接する側部12cと側部12dとに接続される。
側部12eの上端部は、上チャンバ11の天井部11aの一端となる辺に接触可能とされる。
【0085】
側部12cは、側面視して三角形の輪郭形状とされる。側部12cの下端部は、底部12aに接続される。
側部12cにおいて、底部12aから上向きに延在する長辺となる横方向の一端は、側部12eと同じ長さとされ、側部12eと接続される。
側部12cにおいて、その上端となる辺は、水平方向に対して傾斜している。側部12cの上端となる辺の傾斜角度は、上チャンバ11の側部11cの下端となる辺の傾斜角度と等しく設定される。
【0086】
側部12cにおいて、側部12eと接続されていない三角形の頂部は、上チャンバ11の側部11bの下端に接触可能とされる。
側部12cは、その内面が上チャンバ11の側部11cと面一となるように配置される。側部12cは、上チャンバ11の側部11cとともに、上チャンバ11の天井部11aと下チャンバ12の底部12aとの間に立設された一側面を形成している。
【0087】
側部12dは、側面視して三角形の輪郭形状とされる。側部12dの下端部は、底部12aに接続される。
側部12dにおいて、底部12aから上向きに延在する長辺となる横方向の一端は、側部12eと同じ長さとされ、側部12eと接続される。
側部12dにおいて、その上端となる辺は、水平方向に対して傾斜している。側部12dの上端となる辺の傾斜角度は、上チャンバ11の側部11dの下端となる辺の傾斜角度と等しく設定される。
【0088】
側部12dにおいて、側部12eと接続されていない三角形の頂部は、上チャンバ11の側部11bの下端に接触可能とされる。
側部12dは、その内面が上チャンバ11の側部11dと面一となるように配置される。側部12dは、上チャンバ11の側部11dとともに、上チャンバ11の天井部11aと下チャンバ12の底部12aとの間に立設された一側面を形成している。
【0089】
下チャンバ12において、底部12aと側部12cと側部12dと側部12eとは、互いに隣接する部分が接続されて、密閉可能とされている。
【0090】
上チャンバ11と下チャンバ12との分割位置には、図2図3図4に示すように、それぞれフランジ部13,14が周設されている。
【0091】
つまり、上チャンバ11における側部11bの下端と、側部11cの下端と、側部11dの下端と、矩形の天井部11aにおける端部のうち、側部11bと側部11cと側部11dとに接続されていない一辺には、いずれも、フランジ部13が連続して周設されている。
【0092】
フランジ部13は、図2図3図4に示すように、側部11cの下端となる斜辺と側部11dの下端となる斜辺とで形成される平面と平行状態として延在する。
フランジ部13は、それぞれ天井部11aと側部11bと側部11cと側部11dとから、チャンバ10の外側に向けて延在している。
フランジ部13において、側部11cの下端に接続された傾斜部13cと、側部11dの下端に接続された傾斜部13dとは、平行に配置される。
フランジ部13は、チャンバ10の全周で略等しい幅寸法とされている。
【0093】
また、下チャンバ12における側部12cの上端と、側部12dの上端と、側部12eの上端と、矩形の底部12aにおける端部のうち、側部12cと側部12dと側部12eとに接続されていない一辺には、いずれも、フランジ部14が連続して周設されている。
【0094】
フランジ部14は、図2図3図4に示すように、側部12cの上端となる斜辺と側部11dの上端となる斜辺とで形成される平面と平行状態として延在する。
フランジ部14は、それぞれ底部12aと側部12cと側部12dと側部12eとから、チャンバ10の外側に向けて延在している。
フランジ部14において、側部12cの上端に接続された傾斜部14cと、側部12dの上端に接続された傾斜部14dとは、平行に配置される。
フランジ部14は、チャンバ10の全周で略等しい幅寸法とされている。
【0095】
したがって、フランジ部13とフランジ部14とは、互いに傾斜した状態でその全面が平行な位置とされる。フランジ部13とフランジ部14とは、互いに傾斜した状態でその全面が対向している。
フランジ部13とフランジ部14との対向面には、図示しないOリング等の密閉手段が設けられる。
【0096】
フランジ部13とフランジ部14とを対向状態に接触して互いに押圧することで、上チャンバ11と下チャンバ12とが密閉状態に維持される。これにより、チャンバ10を密閉状態に維持できる。
【0097】
下チャンバ12の側部12eには、図2図3図4に示すように、後述するように基板を出し入れする搬出入口15,16が設けられる。搬出入口15,16は、上下方向に離間して、例えば2箇所設けられる。なお、搬出入口15,16の設置数はこれに限定されるものではない。
【0098】
搬出入口15,16には、それぞれ開閉可能なシャッタ15a,16aが設けられる。シャッタ15a,16aは、いずれもシャッタ駆動部15b,16bによって開閉可能とされている。
シャッタ15a,16aは、後述するリフレクタと略同一の材質、構造で形成されている。シャッタ15a,16aは、上下に移動可能に構成されている。なお、シャッタ15a,16aは、鋼板などの板状部材にリフレクタと同じステンレス板を貼着した構成としてもよい。
なお、図3以降の斜視図においては、シャッタ15a,16aおよびシャッタ駆動部15b,16bの図示を省略している。
【0099】
シャッタ駆動部15bが、シャッタ15aを開放した際には、搬送ロボット2aが、上下動装置によってロボットアームの一端に形成されたロボットハンドを搬出入口15に対応する高さ位置まで移動して、ロボットハンドに支持された基板を搬出入口15からチャンバ10内に搬出入可能とされる。
【0100】
シャッタ駆動部16bが、シャッタ16aを開放した際には、搬送ロボット2aが、上下動装置によってロボットアームの一端に形成されたロボットハンドを搬出入口16に対応する高さ位置まで移動して、ロボットハンドに支持された基板を搬出入口16からチャンバ10内に搬出入可能とされる。
【0101】
チャンバ10の内部には、図2図4に示すように、処理する基板を複数支持するカセット20が設けられる。
カセット20は、図2図4に示すように、略矩形の支持部21が上下方向に複数設けられる。複数の支持部21は、ほぼ等しい輪郭形状を有する。複数の支持部21は、互いに上下方向に離間して配置される。
【0102】
複数の支持部21は、ほぼ等しい上下方向の離間距離を有する。複数の支持部21は、例えばその四隅に立設された支持柱22によって、互いの上下間隔を維持される。
支持柱22は、上下方向における複数の支持部21間の離間を維持可能であれば、この構成に限るものではない。
【0103】
本実施形態のカセット20においては、支持部21が6段配置される。したがって、本実施形態のカセット20においては、6枚の基板を支持して同時に処理することが可能とされる。なお、支持部21の段数はこれに限定されるものではない。
【0104】
複数の支持部21は、それぞれの上に基板を載置可能とされている。複数の支持部21は、いずれも、載置する基板よりもやや大きい輪郭形状とされる。
【0105】
また、複数の支持部21は、それぞれの上に載置された基板を加熱するヒータ24(図5参照)を備えている。支持部21に備えられたヒータ24は、いずれも、基板の全面で等しい加熱状態となるように配置される。具体的には、支持部21に備えられたヒータ24は、支持部21の全面に対応した配置とされることができる。このため、支持部21に備えられたヒータ24は、支持部21の面内において、複数領域で分割配置されることが好ましい。
【0106】
ヒータ24は、カーボンからなる板状部材を2枚重ね合わせ、その板状部材どうしの間にシースヒータが挟持された構成とされている。ヒータ24は、チャンバ10外部に設けられた図示しないヒータ電源よりシースヒータに電圧を印加することで、加熱されるように構成されている。加熱されたヒータ24からの輻射熱により基板を加熱できるように構成されている。ヒータ24の上下方向の厚みは、ヒータ24の自重により撓みが生じない程度の厚みにすることで、ヒータ24の上下方向の設置枚数を多くすることができる。つまり、基板の載置可能な枚数を増やすことができる。
【0107】
なお、カセット20は、最上部の支持部21の上側に、支持部21とほぼ同じ輪郭形状のヒータ21aを有する。ヒータ21aは、支持柱22によって最上部の支持部21といの上下間隔を維持される。ヒータ21aと最上部の支持部21との上下間隔は、上下方向に隣り合う支持部21と支持部21との上下間隔と等しく設定される。
ヒータ21aは、ヒータ24と略同等の構成を有する。
【0108】
カセット20の最上部のヒータ21a、および、各段の支持部21に備えられたヒータ24は、ヒータ線25(図5参照)を介して、チャンバ10外部に設けられたヒータ電源から加熱電力を供給される。
【0109】
ヒータ線25は、カセット20の最上部のヒータ21a、および、各段の支持部21に備えられたヒータ24およびヒータ21aにそれぞれ接続される。また、ヒータ線25は、各段の支持部21において、面内で複数分割配置さられたヒータ21aおよびヒータ24にそれぞれ接続される。このため、多数本のヒータ線25が設けられる。
【0110】
ヒータ24は、例えば平面視して、基板の長手方向に分割して複数配置されている(例えば3枚)。つまり、ヒータ24は、平面視において、小ヒータをつなぎ合わせて構成されており、小ヒータの大きさは基板の面積よりも小さく形成されており、それらを組み合わせた全体の大きさは、基板の全面を覆うように構成されている。
【0111】
支持部21においては、ヒータ24がフレーム部材に周縁部を支持されて配置されている。フレーム部材は、例えばステンレスからなり略L字状に形成されていてもよい。また、小ヒータにおける基板搬出入方向の手前側と奥側の周縁部を支持するようにフレーム部材が設けられている。ヒータ24は、フレーム部材に対して上方から載置して、支持されるように構成されている。フレーム部材は、ヒータ24の荷重を支持可能な強度を有している。なお、フレーム部材は、小ヒータの全周を支持する、あるいは、その四隅を支持するように設けられていてもよい。
【0112】
支持部21の上面位置には、載置された基板を支持する基板支持ピンを有していてもよい。基板支持ピンは、ヒータ24の上面に複数取り付けられており、基板を載置したときに、基板の自重による撓みを最小限に抑制すべく適正な位置に取り付けられている。また、基板支持ピンは、平面視して搬送ロボット2aのロボットアームと干渉しない位置に設けられている。
【0113】
基板支持ピンは、支持部21上に取り付けられた支柱と、支柱の上部に設けられたローラとを備えている。ローラは、その中心軸を中心に回転可能に構成されている。ローラの中心軸は水平方向に延在する。このローラに基板が載置されることにより、基板が加熱により熱伸びする際に、基板に傷が発生することを防止することができる。
【0114】
それぞれの基板支持ピンは、ローラの回転方向が基板の中心からそれぞれの基板支持ピンへ指向する方向に沿うように配置されている。つまり、基板が加熱されたときに、基板の熱伸び方向に対応するように基板支持ピンを配置する。なお、基板の中心に対応する位置の基板支持ピンはローラを設けず、固定されたピンとしてもよい。このように構成することで、基板を加熱しても基板の中心位置がずれなくなり、加熱が完了した基板を搬出入する際に、位置合わせをすることなく、確実に基板を搬出することができる。
【0115】
チャンバ10の側部11b~12eには、リフレクタが設けられていてもよい。リフレクタは、例えばステンレスの板材で形成されており、側部11b~12eを略全面覆うように設けられている。リフレクタにより、基板を加熱する際に、ヒータ21a,24からの輻射熱を効率的にチャンバ10内へ反射させることができ、基板の加熱を効率よく行うことができる。
【0116】
また、支持部21の外周部で、かつ、載置した基板の外周部に対応した位置には、補助ヒータが設けられていてもよい。補助ヒータは、基板の搬出入方向手前側に配置された第一補助ヒータと、基板の搬出入方向両側に配置された第ニ補助ヒータとで構成されることができる。
【0117】
第一補助ヒータは、ヒータ24から延設されて設けられている。ヒータ24と第一補助ヒータとの間には、絶縁材を設けてもよいし、設けなくてもよい。第二補助ヒータは、チャンバ10の両側部11c~12dとカセット20との間で、かつ、チャンバ10の側部11b~12eを覆うように設けられている。また、第一補助ヒータおよび第二補助ヒータは、それぞれ個別に温度制御ができるように構成されている。なお、基板の搬出入方向奥側で、カセット20とチャンバ10の側部11b~12eとの間に補助ヒータを設けてもよい。
【0118】
図5は、本実施形態の基板処理装置におけるカセットおよび昇降軸付近を示す拡大断面図である。
カセット20の最下層(底部)となる支持部21の下側位置には、図2図4図5に示すように、昇降軸23が下向きに延在するように接続される。昇降軸23は、平面視した支持部21の中央位置に接続される。
【0119】
昇降軸23は、チャンバ10の底部12aに設けられた貫通部12gを貫通する。昇降軸23は、貫通部12gを上下方向に摺動可能とされる。貫通部12gは、昇降軸23の外周面との間で摺動可能にシールされている。
昇降軸23は中空状とされる。昇降軸23の内部には、支持部21に備えられたヒータ24と、チャンバ10外部に設けられたヒータ電源と、を接続する複数本のヒータ線25が全て通される。
【0120】
昇降軸23の内部は、チャンバ10内部と連通している。昇降軸23の内部における下端部にはシールフランジ26が設けられる。
シールフランジ26は、昇降軸23における下端部で、昇降軸23の内部を密閉可能にシールしている。
【0121】
シールフランジ26には、コネクタ27が貫通している。コネクタ27は、複数本のヒータ線25を昇降軸23の内部と昇降軸23の外部とで接続および切り離し可能とする。
ヒータ線25は、例えば、支持柱22に沿って上下方向に延在して、カセット20の最上部のヒータ21a、および、各段の支持部21に備えられたヒータ24を、いずれもカセット20の最下部の昇降軸23の下端部のコネクタ27まで接続する。
【0122】
なお、ヒータ線25は、例えば真空雰囲気とされるチャンバ10内部または、このチャンバ10内部に連通した昇降軸23の内部に露出している。このため、カセット20の最上部のヒータ21a、および、各段の支持部21に備えられたヒータ24と、シールフランジ26に設けられたコネクタ27との間で、ヒータ線25を分離することは好ましくない。
【0123】
昇降軸23は、図2に示すように、昇降駆動部30に接続されている。
昇降駆動部30は、カセット20をチャンバ10内で昇降させる。昇降駆動部30は、昇降軸23の下端を支持する昇降支持部31と、昇降支持部31を上下方向に位置規制して昇降するボールネジ32,32と、ボールネジ32を回転駆動する昇降回転部33と、を有する。
【0124】
ボールネジ32は、鉛直方向に立設される。ボールネジ32は、昇降支持部31を上下方向に貫通する貫通孔31aに螺合されている。
昇降回転部33によってボールネジ32を回転することで、昇降支持部31が上下方向に位置規制した状態で昇降する。これにより、昇降駆動部30が昇降軸23を昇降する。
昇降駆動部30と昇降軸23とは、昇降機構を構成している。
【0125】
昇降駆動部30によって昇降軸23を昇降することで、チャンバ10内でカセット20が上下方向に移動される。
【0126】
カセット20が、チャンバ10内で最も上側位置に移動された場合を考える。
この場合、図2に示すように、最下段となる支持部21は、搬出入口16に対応する高さ位置となる。同時に、下から4段目、上から3段目となる支持部21は、搬出入口15に対応する高さ位置となる。
【0127】
この状態で、シャッタ駆動部15bが、シャッタ15aを開放した際には、搬送ロボット2aが、上下動装置によってロボットアームの一端に形成されたロボットハンドを搬出入口15に対応する高さ位置まで移動する。そして、ロボットハンドに支持された基板を搬出入口15から上から3段目となる支持部21に搬出入可能である。
【0128】
同様に、シャッタ駆動部16bが、シャッタ16aを開放した際には、搬送ロボット2aが、上下動装置によってロボットアームの一端に形成されたロボットハンドを搬出入口16に対応する高さ位置まで移動する。そして、ロボットハンドに支持された基板を搬出入口16から最下段となる支持部21に搬出入可能である。
【0129】
さらに、多段とされた支持部21における一段分だけ、カセット20がチャンバ10内で上側に移動された場合を考える。
この場合、上から5段目、下から2段目となる支持部21は、搬出入口16に対応する高さ位置となる。同時に、下から5段目、上から2段目となる支持部21は、搬出入口15に対応する高さ位置となる。
【0130】
この状態で、シャッタ駆動部15bが、シャッタ15aを開放した際には、搬送ロボット2aが、上下動装置によってロボットアームの一端に形成されたロボットハンドを搬出入口15に対応する高さ位置まで移動する。そして、ロボットハンドに支持された基板を搬出入口15から上から2段目となる支持部21に搬出入可能である。
【0131】
同様に、シャッタ駆動部16bが、シャッタ16aを開放した際には、搬送ロボット2aが、上下動装置によってロボットアームの一端に形成されたロボットハンドを搬出入口16に対応する高さ位置まで移動する。そして、ロボットハンドに支持された基板を搬出入口16から下から2段目となる支持部21に搬出入可能である。
【0132】
さらに、多段とされた支持部21における一段分だけ、カセット20がチャンバ10内で上側に移動された場合を考える。
この場合、上から4段目、下から3段目となる支持部21は、搬出入口16に対応する高さ位置となる。同時に、最上段となる支持部21は、搬出入口15に対応する高さ位置となる。
【0133】
この状態で、シャッタ駆動部15bが、シャッタ15aを開放した際には、搬送ロボット2aが、上下動装置によってロボットアームの一端に形成されたロボットハンドを搬出入口15に対応する高さ位置まで移動する。そして、ロボットハンドに支持された基板を搬出入口15から最上段となる支持部21に搬出入可能である。
【0134】
同様に、シャッタ駆動部16bが、シャッタ16aを開放した際には、搬送ロボット2aが、上下動装置によってロボットアームの一端に形成されたロボットハンドを搬出入口16に対応する高さ位置まで移動する。そして、ロボットハンドに支持された基板を搬出入口16から下から3段目となる支持部21に搬出入可能である。
【0135】
昇降駆動部30によって昇降軸23を昇降する際には、チャンバ10内でカセット20が上下方向に移動可能な空間が形成されていることが必要である。
したがって、チャンバ10の高さ寸法は、チャンバ10内でカセット20を上下方向に移動可能とする空間高さに規定される。
本実施形態では、複数の搬出入口15,16において、その高さ位置を上述するように設定したことで、チャンバ10の高さ寸法を小さくすることができる。
【0136】
チャンバ10には、図3図4に示すように、ガイド部40が設けられる。
ガイド部40は、上チャンバ11を下チャンバ12から取り外す際、あるいは、上チャンバ11を下チャンバ12に取り付ける際、移動位置規制部または取り付け位置規制部として用いられる。
【0137】
上チャンバ11を下チャンバ12から取り外す際、あるいは、上チャンバ11を下チャンバ12に取り付ける際に、上チャンバ11は、吊り下げ装置100によって吊り下げられる。この状態で、ガイド部40は、下チャンバ12に対する上チャンバ11の姿勢を維持する、あるいは、下チャンバ12に対する移動位置を規制する。
ガイド部40は、下チャンバ12に設けられる下ガイド部材41と、上チャンバ11に設けられる上ガイド部材42とを有する。
【0138】
下ガイド部材41は、下チャンバ12の両側におけるフランジ部14の傾斜した傾斜部14c,14dに取り付けられる。下ガイド部材41は、L字状の棒状体とされる。下ガイド部材41は、水平方向に延在する横位置規制部41aと、鉛直方向に延在する前後位置規制部41bとを有する。
【0139】
横位置規制部41aは、水平方向に延在する一端が、フランジ部14の傾斜した傾斜部14c,14dにおいて、フランジ部14の幅方向の外側位置に接続される。横位置規制部41aの一端は、傾斜するフランジ部14の傾斜部14c,14dにおいて、上端側、つまり、側部12eに近接した位置に接続される。横位置規制部41aの他端は、鉛直方向に延在する前後位置規制部41bの上端に接続される。
【0140】
前後位置規制部41bは、鉛直方向に延在する下端が、フランジ部14の傾斜した傾斜部14c,14dにおいて、フランジ部14の幅方向の外側位置に接続される。前後位置規制部41bの下端は、傾斜するフランジ部14の傾斜部14c,14dにおいて、下端側、つまり、底部12aに近接した位置に接続される。
【0141】
横位置規制部41aと前後位置規制部41bとは、側部12c,12dと平行な平面内に位置する。横位置規制部41aと前後位置規制部41bとは、下チャンバ12の外側位置において、上チャンバ11のフランジ部13の端部に近接した位置に接続される。
【0142】
これにより、下チャンバ12に対して上チャンバ11をフランジ部13,14の傾斜方向と平行に移動させる際に、上チャンバ11を下チャンバ12に対してガイドする。あるいは、下チャンバ12に対して上チャンバ11を着鉛直方向に移動させる際に、上チャンバ11を下チャンバ12に対してガイドする。
【0143】
具体的には、上チャンバ11のフランジ部13の端部が下ガイド部材41に当接しないように移動させるように、上チャンバ11を移動させる、あるいは、上チャンバ11のフランジ部13の端部が下ガイド部材41に断続的に当接するように、上チャンバ11を移動させる。または、上チャンバ11のフランジ部13の端部が下ガイド部材41に摺動するように、上チャンバ11を移動させる。
【0144】
これにより、上チャンバ11の移動時に、上チャンバ11のフランジ部13の傾斜方向が、下チャンバ12のフランジ部14の傾斜方向と平行状態を維持することができる。同時に、上チャンバ11のフランジ部13の傾斜した傾斜部13c,13dが、下チャンバ12のフランジ部14の傾斜した傾斜部14c,14dと、平面視して重なる位置を維持することができる。
【0145】
上ガイド部材42は、上チャンバ11の側部11cおよび側部11dから、側部11cおよび側部11dと表面と直交する外側方向に突出して設けられる。
上ガイド部材42が、側部11cおよび側部11dに設けられる位置は、横位置規制部41aが延在する水平方向において、フランジ部13とフランジ部14とが密閉状態となる位置とされる。
【0146】
具体的には、フランジ部13とフランジ部14とが密着されて、チャンバ10が密閉可能とされた位置において、上ガイド部材42が前後位置規制部41bに当接するように配置される。
【0147】
これにより、下チャンバ12に対して上チャンバ11をフランジ部13,14の傾斜方向と平行に移動させる際に、上チャンバ11の移動終了位置を規制することができる。
あるいは、下チャンバ12に対して上チャンバ11を着鉛直方向に移動させる際に、上チャンバ11の水平方向の移動位置がずれないように規制することができる。
【0148】
なお、ガイド部40による上チャンバ11の移動位置規制は、フランジ部13が下ガイド部材41に当接可能な状態で有効である。つまり、フランジ部13が下ガイド部材41に当接しない高さに上昇した場合、および、フランジ部13が下ガイド部材41に当接しない位置に水平移動した場合は、ガイドされない。
【0149】
以下、本実施形態の基板処理装置1における、チャンバ10の取り外しをおこなう方法について説明する。
【0150】
図6は、本実施形態の基板処理装置におけるチャンバの取り外し工程を示す斜視図である。図7は、本実施形態の基板処理装置におけるチャンバの取り外し工程を示す斜視図である。
本実施形態の基板処理装置1において、メンテナンスなどのために、チャンバ10を分解する際には、まず、クレーン、ホイスト等とされる吊り下げ装置100に対して、上チャンバ11を吊り下げ可能となるように、チェ-ン等により吊り下げ部11hと接続する。
次に、フランジ部13とフランジ部14との締結を解除する。
【0151】
この状態で、吊り下げ装置100を駆動して、吊り下げ装置100に接続した上チャンバ11を、図6に矢印up1で示すように上昇させる。
この際、上チャンバ11を上昇させる高さは、フランジ部13がフランジ部14から離間する程度であればよい。
【0152】
上チャンバ11が上昇する際、上ガイド部材42が前後位置規制部41bに当接した状態を維持する。これにより、上チャンバ11が側部11bから側部12eに向かう後方向に移動して、上チャンバ11がチャンバ10内部のカセット20等に当接することを防止できる。
【0153】
このとき、上チャンバ11が側部12eから側部11bに向かう前方向に移動しても、上チャンバ11の移動方向の後側となる下端位置は、天井部11aと同じ高さとされているため、上チャンバ11がチャンバ10内部のカセット20等に当接することはない。
【0154】
同時に、上チャンバ11が上昇する際、フランジ部13の傾斜部13cが傾斜部14cに取り付けられた横位置規制部41aに対して摺動する。同時に、フランジ部13の傾斜部13dが傾斜部14dに取り付けられた横位置規制部41aに対して摺動する。
【0155】
あるいは、上チャンバ11が上昇する際、フランジ部13の傾斜部13cが傾斜部14cに取り付けられた横位置規制部41aに当接する。同時に、フランジ部13の傾斜部13dが傾斜部14dに取り付けられた横位置規制部41aに当接する。
【0156】
これにより、上チャンバ11が傾斜部14cに取り付けられた横位置規制部41aと傾斜部14dに取り付けられた横位置規制部41aとの間に位置していることを維持できる。
同時に、傾斜部13c,13dの端部が、いずれも傾斜部14dに取り付けられた横位置規制部41aおよび前後位置規制部41bによる2点で横方向の移動を規制されることで、組み付けられていた状態の上チャンバ11が傾いてしまうことなく、上チャンバ11の姿勢を維持できる。
【0157】
このように、ガイド部40は、上昇する上チャンバ11の位置状態をガイドする。
これにより、上チャンバ11が側部12cと側部12dとの対向する横方向に移動して、上チャンバ11がチャンバ10内部のカセット20等に当接することを防止できる。
【0158】
ここで、フランジ部13がフランジ部14から離間した際に、チャンバ10内のカセット20等に上チャンバ11が当接しないで、上チャンバ11をフランジ部13,14の傾斜方向に移動可能であれば、上チャンバ11を上昇させないことも可能である。
【0159】
次に、吊り下げ装置100を駆動して、吊り下げ装置100に接続した上チャンバ11を、図7に矢印fb1で示すように前方向に移動させる。
ここで、前方向fb1は、側部12eから側部11bに向かう方向、つまり、フランジ部13,14において、傾斜部13c~14dが傾斜して下降する向きと一致する。
【0160】
このとき、上チャンバ11が側部12eから側部11bに向かう前方向fb1に移動しても、上チャンバ11の移動方向の後側となる下端位置は、天井部11aと同じ高さとされているため、上チャンバ11がチャンバ10内部のカセット20等に当接することはない。
【0161】
ここで、上チャンバ11が前方向fb1に移動する際、フランジ部13の傾斜部13cが傾斜部14cに取り付けられた横位置規制部41aに対して摺動する。同時に、フランジ部13の傾斜部13dが傾斜部14dに取り付けられた横位置規制部41aに対して摺動する。
あるいは、上チャンバ11が前方向fb1に移動する際、フランジ部13の傾斜部13cが傾斜部14cに取り付けられた横位置規制部41aに当接する。同時に、フランジ部13の傾斜部13dが傾斜部14dに取り付けられた横位置規制部41aに当接する。
【0162】
同時に、上チャンバ11が前方向fb1に移動する際、フランジ部13の傾斜部13cが傾斜部14cに取り付けられた前後位置規制部41bに対して摺動する。同時に、フランジ部13の傾斜部13dが傾斜部14dに取り付けられた前後位置規制部41bに対して摺動する。
あるいは、上チャンバ11が前方向fb1に移動する際、フランジ部13の傾斜部13cが傾斜部14cに取り付けられた前後位置規制部41bに当接する。同時に、フランジ部13の傾斜部13dが傾斜部14dに取り付けられた前後位置規制部41bに当接する。
【0163】
これにより、上チャンバ11が前方向fb1に移動する際、上チャンバ11が傾斜部14cに取り付けられた下ガイド部材41と傾斜部14dに取り付けられた下ガイド部材41との間に位置していることを維持できる。このように、ガイド部40は、上昇する上チャンバ11の位置状態をガイドする。
【0164】
これにより、上チャンバ11が側部12cと側部12dとの対向する横方向に移動して、上チャンバ11がチャンバ10内部のカセット20等に当接することを防止できる。
【0165】
図8は、本実施形態の基板処理装置における上チャンバを取り外した状態を示す斜視図である。
上チャンバ11が、下チャンバ12から充分に離間し、下チャンバ12およびカセット20等と干渉しない位置に到達したら、上チャンバ11を所定の場所に載置し、図8に示すように、上チャンバ11の取り外しを終了する。
【0166】
以下、本実施形態の基板処理装置1における、カセット20の取り外しをおこなう方法について説明する。
【0167】
図9は、本実施形態の基板処理装置におけるカセットの取り外し工程を示す斜視図である。
本実施形態の基板処理装置1において、メンテナンスなどのために、カセット20を取り外す際には、まず、カセット20では、昇降軸23の下端において、シールフランジ26、および、コネクタ27を切断して、複数本のヒータ線25の接続を解除する。
【0168】
同時に、図8に示すように、上チャンバ11を取り外した状態で、クレーン、ホイスト等とされる吊り下げ装置100に対して、カセット20を吊り下げ可能となるようにチェ-ン等により接続する。
【0169】
この状態で、吊り下げ装置100を駆動して、吊り下げ装置100に接続したカセット20を、図9に矢印ub1で示すように上昇させる。
この際、カセット20を上昇させる高さは、昇降軸23の下端が貫通部12gから抜けた後、昇降軸23の下端が底部12aから離間する程度であればよい。
【0170】
その後、吊り下げ装置100を駆動して、吊り下げ装置100に接続したカセット20を、図9に矢印ub1で示すように前方向に移動する。
ここで、前方向は、側部12eから側部11bに向かう方向、つまり、フランジ部13,14において、傾斜部13c~14dが傾斜して下降する向きと一致する。
【0171】
このとき、カセット20が側部12eから側部11bに向かう前方向fb1に移動しても、カセット20の下端位置は、昇降軸23の下端が底部12aから離間している。
さらに、下チャンバ12における前方向の上端は底部12aと同じ高さとされている。このため、カセット20をそれ以上の高さまで上昇させる必要がなく、昇降軸23がチャンバ10に当接しない状態を維持したまま、前方向に移動することができる。
【0172】
カセット20が、下チャンバ12から充分に離間し、下チャンバ12等と干渉しない位置に到達したら、カセット20を所定の場所に載置し、カセット20の取り外しを終了する。
【0173】
以下、本実施形態の基板処理装置1における、カセット20の取り付けをおこなう方法について説明する。
【0174】
本実施形態の基板処理装置1において、メンテナンス終了時など、カセット20を取り付ける際には、まず、図8に示すように、上チャンバ11を取り外した状態としておく。
次いで、下チャンバ12から充分に離間し、下チャンバ12等と干渉しない位置において、上チャンバ11を取り外した状態で、クレーン、ホイスト等とされる吊り下げ装置100に対して、カセット20を吊り下げ可能となるようにチェ-ン等により接続する。
さらに、支持部21がチャンバ10内に収納可能な向きとなるように吊り下げ姿勢を調整する。
【0175】
この状態で、吊り下げ装置100を駆動して、吊り下げ装置100に接続したカセット20を、後方向移動可能な高さ位置とする。
この際、カセット20の高さは、昇降軸23の下端が底部12aから離間する程度であればよい。
【0176】
その後、吊り下げ装置100を駆動して、吊り下げ装置100に接続したカセット20を、図9に矢印ub1で示した前方向と逆の後方向に移動する。
ここで、後方向は、側部11bから側部12eに向かう方向、つまり、フランジ部13,14において、傾斜部13c~14dが傾斜して上昇する向きと一致する。
【0177】
このとき、カセット20が側部11bから側部12eに向かう後方向に移動しても、カセット20の下端位置は、昇降軸23の下端が底部12aから離間している。
さらに、下チャンバ12における前方向の上端は底部12aと同じ高さとされている。このため、カセット20をそれ以上の高さまで上昇させる必要がなく、昇降軸23がチャンバ10に当接しない状態を維持したまま、後方向に移動することができる。
【0178】
次いで、昇降軸23の下端が、平面視して貫通部12gと一致する位置でカセットの後方向移動を停止する。
その後、図9に矢印ub1で示した方向と逆方向に下降させて、昇降軸23の下端を貫通部12gから挿入する。
所定の高さまでカセット20を下降させた後、カセット20においては、昇降軸23の下端において、シールフランジ26、および、コネクタ27を接続して、複数本のヒータ線25をそれぞれ接続する。
【0179】
これにより、カセット20の取り付けを終了する。
【0180】
以下、本実施形態の基板処理装置1における、チャンバ10の取り付けをおこなう方法について説明する。
【0181】
図10は、本実施形態の基板処理装置におけるチャンバの取り付け工程を示す斜視図である。図11は、本実施形態の基板処理装置におけるチャンバの取り付け工程を示す斜視図である。
本実施形態の基板処理装置1において、メンテナンスなどのために、チャンバ10を組み立てる際には、まず、図8に示すように、上チャンバ11を取り付ける前に、カセット20を下チャンバ12に取り付けた状態としておく。
【0182】
また、下チャンバ12から充分に離間して、下チャンバ12およびカセット20等と干渉しない位置において、クレーン、ホイスト等とされる吊り下げ装置100に対して、上チャンバ11を吊り下げ可能となるように、チェ-ン等により吊り下げ部11hと接続する。
具体的には、水平方向で、上チャンバ11が、下チャンバ12の傾斜部14c,14dが傾斜して下降する方向に離間した準備位置とする。
【0183】
この状態で、吊り下げ装置100を駆動して、吊り下げ装置100に接続した上チャンバ11を上昇させる。
この際、上チャンバ11を上昇させる高さは、上チャンバ11を下チャンバ12に取り付ける際の高さに設定される。
【0184】
さらに、上チャンバ11が下チャンバ12に取り付け可能な向きとなるように吊り下げ姿勢を調整する。
具体的には、上チャンバ11の傾斜部13cが、下チャンバ12の傾斜部14cと平面視して平行で、かつ、上チャンバ11の傾斜部13cが、平面視して傾斜部14cと同一直線上に位置する準備姿勢となるように設定する。
【0185】
同様に、上チャンバ11の傾斜部13dが、下チャンバ12の傾斜部14dと平面視して平行で、かつ、上チャンバ11の傾斜部13dが、平面視して傾斜部14dと同一直線上に位置するように設定する。
【0186】
次に、吊り下げ装置100を駆動して、吊り下げ装置100に接続した上チャンバ11を、図10に矢印fb2で示すように、後方向に移動させる。
ここで、後方向fb2は、側部11bから側部12eに向かう方向、つまり、フランジ部13,14において、傾斜部13c~14dが傾斜して上昇する向きと一致する。
【0187】
このとき、上チャンバ11が、準備位置から後方向fb2に移動しても、上チャンバ11の移動方向の前側となる下端位置は、天井部11aと同じ高さとされているため、上チャンバ11がチャンバ10内部のカセット20等に当接することはない。
【0188】
ここで、上チャンバ11が後方向fb2に移動すると、まず、図10に示すように、フランジ部13の傾斜部13cが、傾斜部14cに取り付けられた横位置規制部41aおよび前後位置規制部41bの接合部分に対して当接する。
同時に、図10に示すように、フランジ部13の傾斜部13dが、傾斜部14dに取り付けられた横位置規制部41aおよび前後位置規制部41bの接合部分に対して当接する。
【0189】
さらに、上チャンバ11が後方向fb2に移動すると、図11に示すように、フランジ部13の傾斜部13cが、傾斜部14cに取り付けられた横位置規制部41aおよび前後位置規制部41bに対して摺動する。
同時に、図11に示すように、フランジ部13の傾斜部13dが、傾斜部14dに取り付けられた横位置規制部41aおよび前後位置規制部41bに対して摺動する。
【0190】
これにより、上チャンバ11が後方向fb2に移動する際、上チャンバ11が傾斜部14cに取り付けられた下ガイド部材41と傾斜部14dに取り付けられた下ガイド部材41との間に位置していることを維持できる。
【0191】
同時に、傾斜部13c,13dの端部は、いずれも傾斜部14c,14dに取り付けられた横位置規制部41aおよび前後位置規制部41bによる2点で、横方向の移動が規制される。これにより、準備位置で設定された準備姿勢から上チャンバ11が傾いてしまうことなく、上チャンバ11の姿勢を維持できる。
【0192】
このように、ガイド部40は、後方向fb2に移動する上チャンバ11の位置および姿勢をガイドする。
これにより、上チャンバ11が側部12cと側部12dとの対向する横方向に移動して、上チャンバ11がチャンバ10内部のカセット20等に当接することを防止できる。
【0193】
位置および姿勢をガイドした状態で、さらに、上チャンバ11が後方向fb2に移動して、フランジ部13がフランジ部14に当接する状態とする。同時に、上ガイド部材42が前後位置規制部41bに当接した状態として、上チャンバ11の後方向fb2にける移動を停止する。
これにより、上チャンバ11が側部11bから側部12eに向かう後方向に移動して、上チャンバ11がチャンバ10内部のカセット20等に当接することを防止できる。
【0194】
この状態で、フランジ部13とフランジ部14とを締結して、チャンバ10を密閉可能とする。
最後に、吊り下げ装置100と吊り下げ部11hとの接続を解除する。
これにより、上チャンバ11の取り付けを終了する。
【0195】
なお、上チャンバ11の準備状態において、上チャンバ11を下チャンバ12に取り付ける高さとして設定したが、水平方向において、上チャンバ11を取り付け位置まで後方向fb2に移動した後、上チャンバ11を下降させることも可能である。この場合、上チャンバ11の準備状態において、上チャンバ11の取り付け高さよりも多少高い位置に設定することができる。
【0196】
本実施形態の基板処理装置1においては、傾斜した傾斜部13c~14dを有するフランジ部13,14によって、チャンバ10を上チャンバ11と下チャンバ12とに分割したので、チャンバ10を密閉するシール面を平面状として、密閉性能を低下させないことができる。
【0197】
また、上チャンバ11と下チャンバ12とに分割したので、メンテナンス時やメンテナンス終了時において、上チャンバ11を下チャンバ12に対して移動することが容易に可能となる。
【0198】
特に、前方向fb1に移動する上チャンバ11における後側のフランジ部13が下端であるため、チャンバ10内部に収納されたカセット20等に当接することを防止できる。
同様に、後方向fb2に移動する上チャンバ11における前側のフランジ部13が下端であるため、チャンバ10内部に収納されたカセット20等に当接することを防止できる。
これにより、上チャンバ11を下チャンバ12に対してほとんど上昇させなくても、上チャンバ11を下チャンバ12に対して移動することが容易に可能となる。
したがって、吊り下げ装置100の揚程があまり取れない状態であっても、上チャンバ11を下チャンバ12に対して移動することが容易に可能となる。
【0199】
さらに、メンテナンス時など、上チャンバ11を外した下チャンバ12からカセット20を外す際に、カセット20の下端を、下チャンバ12の底部12aに対してほとんど上昇させなくても、カセット20を下チャンバ12に対して移動することが容易に可能となる。
【0200】
特に、傾斜部14c,14dが形成されているため、カセット20が乗り越えなければならない、下チャンバ12の前方向fb1には側部が形成されていない。これにより、カセット20を前方向fb1に移動する際には、カセット20における昇降軸23の下端が、下チャンバ12の底部12aに当接しない程度まで、カセット20を上昇させればよい。
したがって、カセット20を下チャンバ12から上方に移動させる距離を短縮することが可能となる。つまり、クレーンなどの吊り下げ装置100の揚程を短縮することが可能となる。
【0201】
図12は、本実施形態の基板処理装置1におけるカセット20の上昇位置を、従来装置と比較するための側断面である。
ここで、比較する従来装置は、図12に示すように、同じカセット20を有するものとされ、チャンバ110の底部112aは、本実施形態の基板処理装置1におけるチャンバ10の底部12aと同じ高さに位置している。
【0202】
この状態で、従来装置は、図12に示すように、天井部のみが分離される構成とされる。従来装置は、また、フランジ部114が略水平面内に位置する構成とされる。なお、従来装置では、フランジ部114の床からの高さが、本実施形態のフランジ部14における最上部の床からの高さよりも低い位置にある。
【0203】
このとき、本実施形態で、下チャンバ12の底部12aからカセット20における昇降軸23の下端を離間させる高さH1が必要だとする。同様に従来のチャンバ110でも、フランジ部114からカセット20における昇降軸23の下端を離間させる高さH1が必要だとする。
【0204】
すると、本実施形態では、カセット20の上端が床面から高さH2だけ上昇させれば、カセット20を前方向fb1に移動することが可能となる。
これに対して、従来のチャンバ110では、カセット20の上端が床面から高さH3だけ上昇させなければ、カセット20を前方向fb1に移動することが可能とならない。
この高さH3と高さH2との差ΔHだけ、本実施形態では、吊り下げ装置100の揚程を短縮することが可能である。
【0205】
またガイド部40を設けたので、外していた上チャンバ11を下チャンバ12に取り付ける場合に、吊り下げ装置100によって吊り下げて、後方向fb2または前方向fb1に移動する上チャンバ11を、ガイド部40によりガイドする。これにより、移動する上チャンバ11の位置および姿勢を規制することが容易となる。
したがって、前後方向に移動する上チャンバ11が、チャンバ10内部に収納されたカセット20等に当接することを防止できる。
【0206】
特に、本実施形態の基板処理装置1のように、多角形状のトランスファチャンバ2にチャンバ10が接続された場合、チャンバの側部12c、12dの方向と吊り下げ装置100の水平方向における移動方向とが直交していないことがある。この場合であっても、ガイド部40によって、傾斜部13c,13dが、傾斜部14c,14dと平面視して平行かつ重なる状態を維持して、上チャンバ11を、下チャンバ12に対して移動することが容易となる。
これにより、前後方向に移動する上チャンバ11が、チャンバ10内部に収納されたカセット20等に当接することを容易に防止できる。
【0207】
これにより、数t(トン)程度の重量を有する上チャンバ11を、下チャンバ12に対して移動する際に、作業の簡易化と、作業時間の短縮を図ることが可能となる。
【0208】
本実施形態における基板処理装置1のチャンバ10では、搬出入口15,16が二箇所とされている。これにより、搬出入口が一箇所設けられた場合に比べて、チャンバ内でカセットを移動させる高さ方向の距離を小さくすることができる。
【0209】
図13は、本実施形態の基板処理装置1におけるカセット20の上昇位置を、従来装置と比較するための側断面である。
ここで、比較する従来装置は、図13に示すように、同じ段数の支持部21を有するカセット220を昇降するものとされ、多段の支持部21における上下寸法は、本実施形態と同じに設定されている。
【0210】
この状態で、従来装置は、図13に示すように、チャンバ200に搬出入口215が一箇所のみ設けられている。
このため、従来装置では、カセット220の昇降軸223が、本実施形態の昇降軸23に比べて、鉛直方向の長さT223だけ大きくする必要がある。これにともなって、昇降軸223の昇降範囲を確保するために、チャンバ200の下側に余裕が必要となるため、チャンバ200の底部は、本実施形態の底部12aよりも高い位置となる。
【0211】
また、従来装置は、一箇所の搬出入口215から全ての支持部211に基板を載置する必要があるため、カセット220が最上側位置に上昇した際に、最下部の支持部21が搬出入口215と同じ高さT215になる必要がある。
このため、最上側位置に上昇したカセット220における上端高さT221は、本実施形態の最上側位置に上昇したカセット20における上端高さT21よりも高い位置となる。
【0212】
したがって、チャンバ200内でのカセット220昇降位置を確保するために、チャンバ200の上端となる天井部211aの高さT211aは、本実施形態のチャンバ10の上端となる天井部11aの高さT11aに比べて、ΔTだけ高くなってしまう。
【0213】
この高さT211aと高さT11aとの差ΔTだけ、本実施形態では、吊り下げ装置100の揚程を短縮することが可能である。
【0214】
なお、上述した実施形態においては、フランジ部13,14が、底部12aと側部11bとの境界となるように傾斜して配置とされたが、フランジ部13,14が、底部12aと側部11bとの境界位置の一部のみとなるように傾斜して配置されることもできる。
さらに、上述した実施形態においては、フランジ部13,14が、天井部11aと側部12eとの境界となるように傾斜して配置とされたが、フランジ部13,14が、天井部11aと側部12ebとの境界位置の一部のみとなるように傾斜して配置されることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0215】
本発明の活用例として、加熱処理装置、成膜装置を挙げることができる。
【符号の説明】
【0216】
1…基板処理装置
2…トランスファチャンバ
2a…搬送ロボット
10~10E…チャンバ
11…上チャンバ
11a…天井部
11b~11d…側部
11h…吊り下げ部
12…下チャンバ
12a…底部
12c~12e…側部
12g…貫通部
13,14…フランジ部
13c,13d,14c,14d…傾斜部
15,16…搬出入口
15a,16a…シャッタ
15b、16b…シャッタ駆動部
20…カセット
21…支持部
21a…ヒータ
22…支持柱
23…昇降軸(昇降機構)
24…ヒータ
25…ヒータ線
26…シールフランジ
27…コネクタ
30…昇降駆動部(昇降機構)
31…昇降支持部
31a…貫通孔
32…ボールネジ
33…昇降回転部
40…ガイド部
41…下ガイド部材
41a…横位置規制部
41b…前後位置規制部
42…上ガイド部材
図1
図2
図3
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図10
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図12
図13