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特許7192127極紫外線マスク吸収体、及びその製造のためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】極紫外線マスク吸収体、及びその製造のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/24 20120101AFI20221212BHJP
   G03F 1/54 20120101ALI20221212BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/54
C23C14/06 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021534964
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2019067751
(87)【国際公開番号】W WO2020132391
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】62/783,504
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/720,520
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シューウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ケー, チャン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ジンダル, ビブー
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-024920(JP,A)
【文献】特開2001-237174(JP,A)
【文献】特開平11-074224(JP,A)
【文献】特開2015-073013(JP,A)
【文献】特開昭63-076325(JP,A)
【文献】特開2004-006799(JP,A)
【文献】国際公開第2013/077430(WO,A1)
【文献】特開2013-120769(JP,A)
【文献】国際公開第99/053114(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1285975(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/20-1/86
C23C 14/00-14/58
G02B 5/00-5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法であって、
基板上に反射層の多層スタックを形成することであって、当該反射層の多層スタックが、複数の反射層ペアを含む、反射層の多層スタックを形成することと、
前記反射層の多層スタック上にキャッピング層を形成することと、
堆積チャンバ内において、前記キャッピング層上に、アモルファス窒化タンタル層である吸収層を形成すること
を含み、
前記吸収層を形成することが、
前記堆積チャンバ内に窒素を流さない、タンタルターゲットの非反応性スパッタリングによって、タンタルの薄膜を堆積することと、
前記タンタルの薄膜を堆積した後に、前記タンタルターゲットの前記非反応性スパッタリングを終了し、20℃から30℃の範囲の温度で前記堆積チャンバ内に窒素を流すことによって、前記タンタルの薄膜を窒化することと
を複数回繰り返すことを含む、方法。
【請求項2】
前記タンタルの薄膜が、1nmから3nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最終的に形成される前記吸収層の厚さが、10nmから83nmの範囲である、請求項に記載の方法。
【請求項4】
最終的に形成される前記吸収層の厚さが、30nmから70nm若しくは40nmから60nmの範囲であるか、又は56nmである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記タンタルの薄膜を堆積することと、次いで、前記タンタルの薄膜を窒化することとが、20から30回又は22から25回繰り返される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記タンタルの薄膜は、不活性ガスを用いた非反応性スパッタリングを使用して堆積される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記タンタルの薄膜を堆積することは、アルゴンプラズマを使用して前記タンタルターゲットをスパッタリングすることによって行われ前記タンタルの薄膜を窒化することは、プラズマが存在しない状態で前記堆積チャンバ内に窒素を流すことによって行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記吸収層が、56nmの厚さを有する層において13.5nmのUV光に曝露された場合、2%未満の反射率を示す、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記タンタルの薄膜を窒化することが、窒素を、2ミリトールから4ミリトールの範囲で、5から10秒間流すことによって行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、極紫外線リソグラフィに関し、より具体的には、吸収体を有する極紫外線マスクブランク、及びその製造の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]極紫外線(EUV)リソグラフィ(軟X線投影リソグラフィとしても知られる)は、0.0135ミクロン以下の最小フィーチャサイズの半導体デバイスの製造に使用される。しかしながら、概して、5から100ナノメートルの波長範囲の極紫外線は、ほとんどすべての物質によって強く吸収される。こうした理由から、極紫外線システムは、光の透過よりも反射によって機能する。非反射吸収マスクパターンでコーティングされた一連のミラー、又はレンズ素子、及び反射素子、又はマスクブランクの使用により、パターン化された活性光が、レジストでコーティングされた半導体基板上へと反射する。
【0003】
[0003]極紫外線リソグラフィシステムのレンズ素子及びマスクブランクは、モリブデン及びケイ素などの材料の反射多層コーティングでコーティングされる。極端に狭い紫外線バンドパス(例えば、13.5ナノメートルの紫外線に対して、12.5から14.5ナノメートルのバンドパス)内で光を強く反射する多層コーティングでコーティングされた基板を使用することにより、レンズ素子又はマスクブランク当たり約65%の反射率値が得られる。
【0004】
[0004]図1は、EUVマスクブランクから形成された従来のEUV反射マスク10を示す。EUV反射マスク10は、基板14上に反射多層スタック12を含み、これは、ブラッグ干渉(Bragg interference)によりマスキングされていない部分でEUV放射線を反射する。従来のEUV反射マスク10のマスキングされた(非反射)領域16は、エッチングバッファ層18及び吸収層20によって形成される。吸収層は、典型的に、51nmから77nmの範囲内の厚さを有する。キャッピング層22が、反射多層スタック12の上に形成され、エッチング処理中に反射多層スタック12を保護する。以下でさら説明されるように、EUVマスクブランクは、多層、キャッピング層、及び吸収層でコーティングされた低熱膨張性材料の基板上で作られており、その後、エッチングされて、マスキングされた(非反射)領域16及び反射領域24が設けられる。
【0005】
[0005]国際半導体技術ロードマップ(ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)は、ノードのオーバレイ要件が、当該技術の最小ハーフピッチフィーチャサイズの幾らかの割合であると特定している。すべての反射リソグラフィシステムに付いて回る画像配置への影響及びオーバレイエラーにより、EUV反射マスクの将来的な生産においては、より精密な平坦度仕様に固執する必要がある。さらに、EUVブランクは、ブランクの作業領域において欠陥に対する許容度が非常に低い。吸収体として使用される1つの材料は、窒化タンタル(TaN)である。堆積中の特性を制御するのが容易であり、既存の吸収層よりも吸収度が低い吸収体を有するEUVマスクブランクを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の1つ又は複数の実施形態は、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法であって、基板上に反射層の多層スタックを形成することであって、反射層の多層スタックが、複数の反射層ペアを含む、反射層の多層スタックを形成することと、反射層の多層スタック上にキャッピング層を形成することと、窒化タンタル(TaN)を含む吸収層を形成するために、最初に堆積チャンバ内でタンタルの薄膜を堆積し、タンタルの薄膜を堆積した後に、次いで、堆積チャンバ内に窒素を流すことによって、キャッピング層上に吸収層を形成することを含む方法を対象とする。
【0007】
[0007]本開示のさらなる実施形態は、基板、基板上の反射層の多層スタックであって、複数の反射層ペアを含む、反射層の多層スタック、反射層の多層スタック上のキャッピング層、及び非反応性スパッタリングによって形成されたアモルファスTaNを含む吸収層を含む、極紫外線(EUV)マスクブランクを対象とする。
【0008】
[0008]本開示のさらなる実施形態は、本明細書に記載されたマスクブランクを含む極端紫外線リソグラフィシステムを対象とする。
【0009】
[0009]本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって、得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面は、この開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】吸収体を採用する、背景技術のEUV反射マスクを概略的に示す。
図2】極紫外線リソグラフィシステムの実施形態を概略的に示す。
図3】極紫外線反射素子製造システムの実施形態を示す。
図4】EUVマスクブランクなどの極紫外線反射素子の実施形態を示す。
図5】マルチカソード物理的堆積チャンバの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015]本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の記載で提示される構成又は処理ステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0012】
[0016]本明細書で使用する「水平(horizontal)」という語は、その配向性と関係なく、マスクブランクの面又は表面に平行する面として定義される。「垂直(vertical)」という語は、以上で定義された水平に対して垂直の方向を指すものである。例えば「上方(above)」、「下方(below)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、(「側壁」等における)「側方(side)」、「より高い(higher)」、「より低い(lower)」、「上方(upper)」、「~の上(over)」、「~の下(under)」等の語は、図に示すように、水平面に対して定義される。
【0013】
[0017]「~上(on)」という語は、要素間に直接の接触があることを示す。「すぐ上、真上(directly on)」という語は、介在する要素がない要素間での直接の接触を示す。
【0014】
[0018]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「前駆体」、「反応物質」、「反応性ガス」などの用語は、交換可能に使用され、基板表面と反応し得る任意のガス種を指す。
【0015】
[0019]当業者であれば、処理領域について説明するための「第1(first)」や「第2(second)」などの序数の使用は、処理チャンバにおける具体的な場所、又は、処理チャンバ内での曝露の順序を示唆するものではないことを理解されよう。
【0016】
[0020]本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される「基板」という用語は、処理が作用する表面又は表面の一部分を表している。また、当業者であれば、基板に対して言及がなされるとき、文脈において他のことが明示されない限り、基板の一部分のみを指すことを理解されよう。さらに、基板上への堆積に対して言及がなされるとき、それは、ベア基板と、1つ又は複数の膜又はフィーチャが堆積又は形成された基板との両方のことを指す。
【0017】
[0021]図2を参照すると、極紫外線リソグラフィシステム100の例示的な実施形態が示されている。極紫外線リソグラフィシステム100は、極紫外線112を発生させるための極紫外線源102、一組の反射素子、及びターゲットウエハ110を含む。反射素子は、コンデンサ(集光器)104、EUV反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、ミラー、又はこれらの組み合わせを含む。
【0018】
[0022]極紫外線源102は、極紫外線112を発生させる。極紫外線112は、5から50ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する電磁放射線である。例えば、極紫外線源102は、レーザ、レーザ生成プラズマ、放電生成プラズマ、自由電子レーザ、シンクロトロン放射線、又はこれらの組み合わせを含む。
【0019】
[0023]極紫外線源102は、様々な特徴を有する極紫外線112を発生させる。極紫外線源102は、ある波長範囲にわたる広帯域の極紫外線放射線を発生させる。例えば、極紫外線源102は、5から50nmの範囲の波長を有する極紫外線112を発生させる。
【0020】
[0024]1つ又は複数の実施形態では、極紫外線源102は、狭い帯域幅を有する極紫外線112を発生させる。例えば、極紫外線源102は、13.5nmの極紫外線112を発生させる。波長ピークの中心は、13.5nmである。
【0021】
[0025]コンデンサ104は、極紫外線112を反射させ、極紫外線112の焦点を合わせるための光学ユニットである。コンデンサ104は、極紫外線源102からの極紫外線112を反射し集中させ、EUV反射マスク106を照らす。
【0022】
[0026]コンデンサ104は、単一の素子として示されているが、コンデンサ104は、極紫外線112を反射し集中させるための、凹面ミラー、凸面ミラー、平面ミラー、又はこれらの組み合わせのような1つ又は複数の反射素子を含み得ることを理解されよう。例えば、コンデンサ104は、幾つかの実施形態では、単一の凹面ミラー、又は凸面、凹面、及び平面の光学素子を有する光学アセンブリである。
【0023】
[0027]EUV反射マスク106は、マスクパターン114を有する極紫外線反射素子である。EUV反射マスク106は、リソグラフパターンを生成し、ターゲットウエハ110に形成されるべき回路レイアウトを形成する。EUV反射マスク106は、極紫外線112を反射させる。マスクパターン114は、回路レイアウトの一部を画定する。
【0024】
[0028]光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像を縮小するための光学ユニットである。EUV反射マスク106からの極紫外線112の反射は、光学縮小アセンブリ108によって縮小し、ターゲットウエハ110に反映される。光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像サイズを縮小するために、ミラー及び他の光学素子を含む。例えば、光学縮小アセンブリ108は、幾つかの実施形態では、極紫外線112を反射し、且つ極紫外線112の焦点を合わせるための凹面ミラーを含む。
【0025】
[0029]光学縮小アセンブリ108は、ターゲットウエハ110上のマスクパターン114の画像サイズを縮小する。例えば、光学縮小アセンブリ108によって、マスクパターン114が4:1の比率でターゲットウエハ110上に結像し、マスクパターン114によって表される回路がターゲットウエハ110上に形成される。極紫外線112は、ターゲットウエハ110と同期して反射マスク106を走査し、ターゲットウエハ110上にマスクパターン114を形成する。
【0026】
[0030]これより図3を参照すると、極紫外線反射素子製造システム200の実施形態が示される。極紫外線反射素子は、EUVマスクブランク204、極紫外線ミラー205、又はEUV反射マスク106などの他の反射素子を含む。
【0027】
[0031]極紫外線反射素子製造システム200は、マスクブランク、ミラー、又は図2の極紫外線112を反射させる他の素子を製造するように構成されている。極紫外線反射素子製造システム200は、ソース基板203に薄いコーティングを施すことによって反射素子を製作する。
【0028】
[0032]EUVマスクブランク204は、図2のEUV反射マスク106を形成するための多層構造体である。EUVマスクブランク204は、半導体製造技術を用いて形成される。幾つかの実施形態では、EUV反射マスク106は、エッチング及び他のプロセスによってEUVマスクブランク204上に形成された図2のマスクパターン114を有する。
【0029】
[0033]極紫外線ミラー205は、極紫外線の範囲内で反射する多層構造体である。極端紫外ミラー205は、半導体製造技術を用いて形成される。EUVマスクブランク204及び極紫外線ミラー205は、幾つかの実施形態では、各素子に形成される層に関連して似たような構造であるが、極紫外線ミラー205はマスクパターン114を有していない。
【0030】
[0034]反射素子は、極紫外線112の効率的なリフレクタである。一実施形態では、EUVマスクブランク204及び極紫外線ミラー205は、60%を超える極紫外線反射率を有する。反射素子が60%を超える極紫外線112を反射する場合、反射素子は効率的である。
【0031】
[0035]極紫外線反射素子製造システム200は、ウエハローディング及びキャリアハンドリングシステム202を含む。このシステム202の中にソース基板203がロード(搬入)され、このシステム202から反射素子がアンロード(搬出)される。大気ハンドリングシステム206は、ウエハハンドリング真空チャンバ208へのアクセスをもたらす。ウエハローディング及びキャリアハンドリングシステム202は、幾つかの実施形態では、基板を大気からシステムの内部の真空へ移送するための基板搬送ボックス、ロードロック、及び他の構成要素を含む。EUVマスクブランク204は、非常に小さい寸法のデバイスを形成するために使用されるので、ソース基板203及びEUVマスクブランク204は、汚染やその他の欠陥を防止するために、真空システム内で処理される。
【0032】
[0036]ウエハハンドリング真空チャンバ208は、幾つかの実施形態では、第1の真空チャンバ210及び第2の真空チャンバ212の2つの真空チャンバを含む。第1の真空チャンバ210は、第1のウエハハンドリングシステム214を含み、第2の真空チャンバ212は、第2のウエハハンドリングシステム216を含む。ウエハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバを有するように記載されているが、当該システムは、任意の数の真空チャンバを有し得ることを理解されたい。
【0033】
[0037]ウエハハンドリング真空チャンバ208は、様々な他のシステムを取り付けるために、周縁に複数のポートを有する。第1の真空チャンバ210は、ガス抜きシステム218、第1の物理的気相堆積システム220、第2の物理的気相堆積システム222、及び予洗浄システム224を有する。ガス抜きシステム218は、基板から水分を熱的に脱着させるためのものである。予洗浄システム224は、ウエハ、マスクブランク、ミラー、又は他の光学構成要素の表面を洗浄するためのものである。
【0034】
[0038]第1の物理的気相堆積システム220及び第2の物理的気相堆積システム222などの物理的気相堆積システムを使用して、ソース基板203上に導電性材料の薄膜が形成される。例えば、物理的気相堆積システムは、幾つかの実施形態では、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルス状レーザ堆積、カソードアーク堆積、又はこれらの組み合わせなどの真空堆積システムを含む。マグネトロンスパッタリングシステムなどの物理的気相堆積システムは、ケイ素、金属、合金、化合物、又はこれらの組み合わせの層を含む薄い層をソース基板203上に形成する。
【0035】
[0039]物理的気相堆積システムは、反射層、キャッピング層、及び吸収層を形成する。例えば、物理的気相堆積システムは、ケイ素、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、タンタル、窒化物、化合物、又はこれらの組み合わせの層を形成する。幾つかの化合物は、酸化物として説明されたが、化合物には、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、又はこれらの組み合わせが含まれることを理解されたい。
【0036】
[0040]第2の真空チャンバ212は、それに接続された第1のマルチカソードソース226、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232を有する。例えば、化学気相堆積システム228は、幾つかの実施形態では、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマ支援化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾル支援CVD、ホットフィラメントCVDシステム、又は同様のシステムを含む。別の実施例では、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232は、極紫外線反射素子製造システム200とは別のシステム内にある。
【0037】
[0041]化学気相堆積システム228は、ソース基板203上に材料の薄膜を形成する。例えば、化学気相堆積システム228を使用して、単結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、又はこれらの組み合わせを含む材料の層がソース基板203上に形成される。化学気相堆積システム228は、ケイ素、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、炭素、タングステン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、及び化学気相堆積に適切な他の材料の層を形成する。例えば、化学気相堆積システムは、平坦化層を形成する。
【0038】
[0042]第1のウエハハンドリングシステム214は、連続的な真空下で、大気ハンドリングシステム206と、第1の真空チャンバ210の周縁の様々なシステムとの間でソース基板203を移動させることができる。ソース基板203を連続的な真空下で維持している間、第2のウエハハンドリングシステム216は、ソース基板203を第2の真空チャンバ212の周りで移動させることができる。極紫外線反射素子製造システム200は、幾つかの実施形態では、連続的な真空下で、第1のウエハハンドリングシステム214と第2のウエハハンドリングシステム216との間でソース基板203及びEUVマスクブランク204を移送するように構成されている。
【0039】
[0043]これより図4を参照すると、極紫外線反射素子302の実施形態が示されている。1つ又は複数の実施形態では、極紫外線反射素子302は、図3のEUVマスクブランク204又は図3の極紫外線ミラー205である。EUVマスクブランク204及び極紫外線ミラー205は、図2の極紫外光112を反射させるための構造体である。幾つかの実施形態のEUVマスクブランク204を使用して、図2に示すEUV反射マスク106が形成される。
【0040】
[0044]極紫外線反射素子302は、基板304、反射層の多層スタック306、及びキャッピング層308を含む。1つ又は複数の実施形態では、極紫外線ミラー205を使用して、図2のコンデンサ104又は図2の光学縮小アセンブリ108における使用のための反射構造体が形成される。
【0041】
[0045]幾つかの実施形態ではEUVマスクブランク204である極紫外線反射素子302は、基板304、反射層の多層スタック306、キャッピング層308、及び吸収層310を含む。幾つかの実施形態ではEUVマスクブランク204である極紫外線反射素子302を使用して、必要とされる回路のレイアウトを用いて吸収層310をパターニングし、図2の反射マスク106が形成される。
【0042】
[0046]以下のセクションでは、EUVマスクブランク204という用語は、簡略化のため、極紫外線ミラー205という用語と交換可能に使用される。1つ又は複数の実施形態では、EUVマスクブランク204は、図2のマスクパターン114を形成するために、さらに吸収層310が追加された状態で極紫外線ミラー205の構成要素を含む。
【0043】
[0047]EUVマスクブランク204は、マスクパターン114を有するEUV反射マスク106を形成するために使用される光学的に平坦な構造体である。1つ又は複数の実施形態では、EUVマスクブランク204の反射面は、図2の極紫外線112のような入射光を反射するための平坦な焦点面を形成する。
【0044】
[0048]基板304は、極紫外線反射素子302に構造的支持を与える要素である。1つ又は複数の実施形態では、基板304は、熱膨張係数(CTE)が低い材料から作られ、温度変化の間の安定性をもたらす。1つ又は複数の実施形態では、基板304は、機械的循環、熱循環、結晶形成、又はこれらの組み合わせに対する安定性などの特性を有する。1つ又は複数の実施形態に係る基板304は、ケイ素、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、又はこれらの組み合わせなどの材料から形成される。
【0045】
[0049]多層スタック306は、極紫外線112に対して反射性のある構造体である。多層スタック306は、第1の反射層312と第2の反射層314が交互する反射層を含む。
【0046】
[0050]第1の反射層312と第2の反射層314は、図4の反射ペア316を形成する。非限定的な実施形態では、多層スタック306は、合計で最大120個の反射層に対して、20から60個の範囲の反射ペア316を含む。
【0047】
[0051]第1の反射層312及び第2の反射層314は、様々な材料から形成され得る。一実施形態では、第1の反射層312及び第2の反射層314は、それぞれ、ケイ素及びモリブデンから形成される。ケイ素及びモリブデンの層を図示したが、交互層は、他の材料から形成されてもよく、又は、他の内部構造を有することを理解されたい。
【0048】
[0052]1つ又は複数の実施形態によれば、第1の反射層312及び第2の反射層314は、様々な構造を有する。一実施形態では、第1の反射層312と第2の反射層314の両方が、単一層、多層、分割層構造、非均一構造、又はこれらの組み合わせで形成される。
【0049】
[0053]ほとんどの材料が極紫外線波長で光を吸収するため、使用される光学素子は、他のリソグラフィシステムにおいて使用されるような透過性でなく、反射性である。多層スタック306は、種々の光学特性を有する材料の薄い交互層を有することで、反射性構造を形成し、ブラッグリフレクタ(Bragg reflector)又はミラーを作製する。
【0050】
[0054]一実施形態では、交互層はそれぞれ極紫外線112に対して異なる光学定数を有する。交互層の厚さの周期が極紫外線112の波長の半分であるとき、交互層は共鳴反射性(resonant reflectivity)をもたらす。一実施形態では、波長13nmの極紫外線112に対し、交互層は約6.5nmの厚さである。提示されるサイズ及び寸法は、典型的な要素の通常の工学的許容誤差内であることを理解されたい。
【0051】
[0055]多層スタック306は、様々な方法で形成される。一実施形態では、第1の反射層312及び第2の反射層314は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、パルス状レーザ堆積、カソードアーク堆積、又はこれらの組み合わせで形成される。
【0052】
[0056]例示的な実施例では、多層スタック306は、マグネトロンスパッタリングなどの物理的気相堆積技法を使用して形成される。一実施形態では、多層スタック306の第1の反射層312及び第2の反射層314は、マグネトロンスパッタリング技法によって形成される特徴を有しており、それには、精密な厚さ、低粗度、及び層間の清浄な界面が含まれる。一実施形態では、多層スタック306の第1の反射層312及び第2の反射層314は、物理的気相堆積によって形成される特徴を有しており、それには、精密な厚さ、低粗度、及び層間の清浄な界面が含まれる。
【0053】
[0057]物理的気相堆積技法を使用して形成される多層スタック306の層の物理的寸法を精密に制御して、反射率を上げる。一実施形態では、ケイ素の層などの第1の反射層312は、4.1nmの厚さを有する。モリブデンの層などの第2の反射層314は、2.8nmの厚さを有する。層の厚さにより、極紫外線反射素子のピーク反射波長が決まる。層の厚さが精密でない場合、所望の波長13.5nmにおける反射率が低下する恐れがある。
【0054】
[0058]一実施形態では、多層スタック306は、60%を超える反射率を有する。一実施形態では、物理的気相堆積を使用して形成された多層スタック306は、66%から67%の範囲内の反射率を有する。1つ又は複数の実施形態では、より硬い材料で形成された多層スタック306の上にキャッピング層308を形成することで、反射率が改善される。幾つかの実施形態では、低粗度層、層間の清浄な界面、改良された層材料、又はこれらの組み合わせを使用して、70%を超える反射率が達成される。
【0055】
[0059]1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、極紫外線112の透過を可能にする保護層である。一実施形態では、キャッピング層308は、多層スタック306上に直接形成される。1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、多層スタック306を汚染及び機械的損傷から保護する。一実施形態では、多層スタック306は、酸素、炭素、炭化水素、又はこれらの組み合わせによる汚染に敏感である。一実施形態に係るキャッピング層308は、汚染物質と相互作用し、これらを中和する。
【0056】
[0060]1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、極紫外線112に対して透過的な、光学的に均一な構造体である。極紫外線112は、キャッピング層308を通過して、多層スタック306で反射される。1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、1%から2%の総反射率損失を有する。1つ又は複数の実施形態では、種々の材料は、それぞれ厚さに応じて異なる反射率損失を有するが、それらは全て1%から2%の範囲内になるであろう。
【0057】
[0061]1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、滑らかな表面を有する。例えば、キャッピング層308の表面は、0.2nmRMS(root mean square measure:二乗平均平方根測定値)未満の粗度を有する。別の実施例では、キャッピング層308の表面は、1/100nmと1/1μmの範囲内の長さに対して、0.08nmRMSの粗度を有する。RMS粗度は、測定範囲によって変動する。100Nmから1ミクロンの特定範囲に対しては、粗度は0.08nm以下である。より広い範囲では、粗度も上がる。
【0058】
[0062]キャッピング層308は、様々な方法のうちの1つを用いて形成される。一実施形態では、キャッピング層308は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、イオンビーム堆積、エレクトロンビーム蒸発、高周波(RF)スパッタリング、原子層堆積(ALD)、パルス状レーザ堆積、カソードアーク堆積、又はこれらの組み合わせを用いて、多層スタック306上に、又は多層スタック306上に直接形成される。1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、マグネトロンスパッタリング技法によって形成される物理的特徴を有しており、それには、精密な厚さ、低粗度、及び層間の清浄な界面が含まれる。一実施形態では、キャッピング層308は、物理的気相堆積によって形成される物理的特徴を有しており、それには、精密な厚さ、低粗度、及び層間の清浄な界面が含まれる。
【0059】
[0063]1つ又は複数の実施形態では、キャッピング層308は、洗浄中に十分な耐浸食性のある硬度を有する様々な材料から形成される。一実施形態では、ルテニウムは、良好なエッチングストップであり、動作条件下では比較的不活性であるため、キャッピング層の材料として使用される。しかしながら、キャッピング層308を形成するために他の材料を使用してもよいことを理解されたい。特定の実施形態では、キャッピング層308は、2.5から5.0nmの範囲内の厚さを有する。
【0060】
[0064]1つ又は複数の実施形態では、吸収層310は、極紫外線112を吸収する層である。一実施形態では、吸収層310は、極紫外線112を反射させない領域が設けられることにより、EUV反射マスク106にパターンを形成するよう使用される。1つ又は複数の実施形態に係る吸収層310は、極紫外線112の特定の周波数(約13.5nm等)に対して高吸収係数を有する材料を含む。一実施形態では、吸収層310は、キャッピング層308上に直接形成され、そして、吸収層310は、フォトリソグラフィプロセスを用いてエッチングされ、EUV反射マスク106のパターンが形成される。
【0061】
[0065]1つ又は複数の実施形態によれば、極紫外線ミラー205などの極紫外線反射素子302は、基板304、多層スタック306、及びキャッピング層308で形成される。極紫外線ミラー205は、光学的に平坦な表面を有しており、極紫外線112を効率的且つ均一に反射させる。
【0062】
[0066]1つ又は複数の実施形態によれば、EUVマスクブランク204などの極紫外線反射素子302は、基板304、多層スタック306、キャッピング層308、及び吸収層310で形成される。マスクブランク204は、光学的に平坦な表面を有しており、極紫外線112を効率的に且つ均一に反射させるように構成される。一実施形態では、マスクパターン114は、EUVマスクブランク204の吸収層310で形成される。
【0063】
[0067]1つ又は複数の実施形態によれば、キャッピング層308の上に吸収層310を形成することで、EUV反射マスク106の信頼性が高まる。キャッピング層308は、吸収層310のエッチングストップ層として機能する。図2のマスクパターン114が吸収層310内にエッチングされると、吸収層310の下方のキャッピング層308がエッチング作用を停止し、多層スタック306を保護する。1つ又は複数の実施形態では、吸収層310は、キャッピング層308に対してエッチング選択性である。幾つかの実施形態では、キャッピング層308はルテニウムを含み、吸収層310はルテニウムに対してエッチング選択性である。
【0064】
[0068]1つ又は複数の実施形態では、吸収材料は、窒化タンタル(TaN)を含む。TaN吸収層を形成するための現在のプロセスには、物理的気相堆積(PVD)チャンバ内でのタンタルターゲットの反応性スパッタリングが関わる。反応性スパッタリングは、反応性ガス(典型的には酸素又は窒素)を、典型的にはアルゴン、キセノン、又はクリプトンなどの不活性ガスによって形成されるプラズマ中に導入することによって、化合物の堆積を可能にするプロセスである。このプロセスでは、反応性ガスは、プラズマによって「活性化」し、ターゲット材料と化学的に反応する。その後、このターゲット材料が基板に堆積される。不活性ガス及び反応性ガスの相対量を制御することによって、得られた膜の組成制御を達成することが可能である。窒化タンタルの反応性スパッタリングには、スパッタリングプロセス中にアルゴン及び窒素ガスを流し、窒化タンタル膜を形成することが関わる。アモルファスTaN膜を形成するためには、スパッタリング中の窒素ガスの流量及びプロセス温度を慎重に制御しなければならないと判断された。
【0065】
[0069]タンタル金属がターゲットからスパッタリングされている間に窒素が共に流される反応性スパッタリングプロセスを利用する代わりに、アモルファスTaNを形成するために、Taターゲットの非反応性スパッタリングとそれに続く気相窒化を利用できると判断された。気相窒化による窒化タンタル膜の形成は、反応性スパッタリングよりも用いるエネルギー低いため、TaN膜はアモルファスになる。本開示の実施形態は、TaN反応性スパッタリングプロセスによって形成されるTaNの結晶化度の問題を解決する。さらに、本開示の1つ又は複数の実施形態に係るプロセスは、反応性スパッタリングプロセスと比べて制御が容易であり、1つ又は複数の実施形態に係る、早速開示されたプロセスは、より反復可能で安定したTaN吸収体形成を可能にする。
【0066】
[0070]したがって、1つ又は複数の実施形態によれば、基板は、物理的気相堆積チャンバ内に配置され、非反応性スパッタリングプロセスによって形成されたタンタル金属の薄膜でコーティングされる。希ガスであるアルゴンは、タンタルターゲット材料と反応しないので、タンタル金属のスパッタリング堆積はアルゴンプラズマを使用する。次いで、タンタル薄膜は、窒化プロセスにおいて窒素ガスに曝露され、窒化タンタルが形成される。
【0067】
[0071]1つ又は複数の実施形態では、EUVマスクブランクは、タンタル吸収材料を含む第1のカソードを有する物理的堆積チャンバ内で作製される。幾つかの実施形態では、第2の吸収材料を含む第2のカソード、第3の吸収材料を含む第3のカソード、第4の吸収材料を含む第4のカソード、及び第5の吸収材料を含む第5のカソードがあってもよく、第1の吸収材料、第2の吸収材料、第3の吸収材料、第4の吸収材料、及び第5の吸収材料は、互いに異なり、それぞれの吸収材料は、他の材料とは異なる吸光係数を有し、それぞれの吸収材料は、他の吸収材料とは異なる屈折率を有する。
【0068】
[0072]本開示の別の態様は、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法に関し、当該方法は、基板上に反射層の多層スタックを形成することであって、反射層の多層スタックが、複数の反射層ペアを含む、反射層の多層スタックを形成することと、反射層の多層スタック上にキャッピング層を形成することと、キャッピング層上に吸収層を形成することであって、吸収層が、非反応性スパッタリングプロセスによって形成されたアモルファスTaNを含む、吸収層を形成することを含む。
【0069】
[0073]別の特定の方法の実施形態では、種々の吸収層が、第1の吸収材料を含む第1のカソードと、第2の吸収材料を含む第2のカソードとを有する物理的堆積チャンバ内で形成される。これより図5を参照すると、一実施形態に係るマルチカソードソースチャンバ500の上部が示されている。マルチカソードソースチャンバ500は、上部アダプタ504によって覆われている円筒形本体部502を有する基礎構造体501を含む。上部アダプタ504は、上部アダプタ504の周りに配置されたカソードソース506、508、510、512、及び514のような、幾つかのカソードソースを提供する。
【0070】
[0074]1つ又は複数の実施形態では、当該方法は、5nmから83nmの範囲、又は10nmから83nmの範囲、又は30nmから70nmの範囲の厚さを有する吸収層を形成する。1つ又は複数の実施形態では、吸収層は、51nmから57nmの範囲内(例えば、56nm)の厚さを有する。
【0071】
[0075]幾つかの実施形態のマルチカソードソースチャンバ500は、図3に示すシステムの一部である。一実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランク製造システムは、真空を生成するための基板ハンドリング真空チャンバ、基板ハンドリング真空チャンバ内にロードされた基板を搬送するための、真空内の基板ハンドリングプラットフォーム、及びEUVマスクブランクを形成するために、基板ハンドリングプラットフォームによってアクセスされる複数のサブチャンバを備えており、EUVマスクブランクは、基板上の反射層の多層スタックであって、多層スタックが、複数の反射層ペアを含む、反射層の多層スタック、多層スタック反射層上のキャッピング層、及び本明細書に記載され窒化タンタルから作製された、キャッピング層上の吸収層を含む。当該システムは、図4に関連して示されたEUVマスクブランクを作製するために使用され、図4に関連して上述されたEUVマスクブランクに関連して説明された任意の特性を有する。
【0072】
[0076]第1の実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランクの製造方法は、基板上に反射層の多層スタックを形成することであって、反射層の多層スタックが、複数の反射層ペアを含む、反射層の多層スタックを形成することと、反射層の多層スタック上にキャッピング層を形成することと、窒化タンタル(TaN)を含む吸収層を形成するために、最初に堆積チャンバ内でタンタルの薄膜を堆積し、タンタルの薄膜を堆積した後に、次いで、堆積チャンバ内に窒素を流すことによって、キャッピング層上に吸収層を形成することを含む。
【0073】
[0077]第2の実施形態では、タンタルの薄膜は、約1nmから3nmの範囲の厚さを有する。第3の実施形態では、堆積チャンバ内に窒素を流すことが、20℃から30℃の範囲の温度(例えば、25℃)で実行されるように、第1又は第2の実施形態が修正される。
【0074】
[0078]第4の実施形態では、第1から第3の実施形態の方法は、10nmから83nmの範囲、又は30nmから70nmの範囲、又は40nmから60nmの範囲(例えば、約56nm)の厚さを有する窒化タンタル層を形成するために、最初に堆積チャンバ内でタンタルの薄膜を堆積し、タンタルの薄膜を堆積した後に、次いで、堆積チャンバ内に窒素を流すことを繰り返すことを含む。
【0075】
[0079]第5の実施形態では、第1から第4の実施形態の、窒化タンタル層を形成するために、最初に堆積チャンバ内でタンタルの薄膜を堆積し、タンタルの薄膜を堆積した後に、次いで、堆積チャンバ内に窒素を流すことが、20から30回(例えば、22から25回)繰り返される。
【0076】
[0080]第6の実施形態では、タンタル金属の薄膜を堆積させることが関わる第1から第5の実施形態のいずれかが、堆積チャンバ内に窒素を流すことなく行われる。
【0077】
[0081]第7の実施形態では、第1から第6の実施形態のいずれかは、吸収層が物理的気相堆積チャンバ内で堆積されるようなものである。第8の実施形態では、第1から第7の実施形態のいずれかは、不活性ガスを用いた非反応性スパッタリングプロセスを使用してタンタル層が堆積されるようなものである。
【0078】
[0082]第9の実施形態では、第1から第8の実施形態のいずれかは、アルゴンプラズマを使用してタンタルターゲットをスパッタリングすることによって、1nmから2nmの範囲の厚さを有するタンタルの層を連続的に形成することと、タンタルターゲットのスパッタリングを終了し、プラズマが存在しない状態で物理的気相堆積チャンバ内に窒素ガスを流すことを含む。プロセスシーケンスの具体的な実施形態は、スパッタリング中に、2ミリトールの圧力と1kWの電力で、PVDチャンバにおいてアルゴン中でタンタルターゲットをスパッタリングして、1から2nmのタンタル層を形成することを含む。次に、窒素が、2ミリトールから4ミリトールの範囲で、5から10秒間流され、タンタルが窒化され、TaNが形成される。所望の厚さを有する層を形成するために、このプロセスを任意の回数繰り返すことができる。タンタルの窒化の間、プラズマは形成されない。
【0079】
[0083]第10の実施形態では、窒化タンタル層は、56nmの厚さを有する層において13.5nmのUV光に曝露された場合、2%未満、1.9%未満、1.8%未満、1.7%未満、又は1.6%未満の反射率を示す。第11の実施形態では、窒化タンタル層はアモルファスである。タンタルターゲットのスパッタリング中に窒素が流れる反応性スパッタリングによって膜形成されたTaNと比較して、厚さ62nmのターゲットは、13.5nmのUV光に曝露された場合に2.7%の反射率を有していた。本開示のプロセスによって形成されたTaNのXRDによって、TaNがアモルファスであり、結晶質ではないことを確認した。XPSによって、均一なTaNを確認した。
【0080】
[0084]第12の実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランクは、基板、基板上の反射層の多層スタックであって、反射層ペアを含む複数の反射層を含む、反射層の多層スタック、反射層の多層スタック上のキャッピング層、及び非反応性スパッタリングによって形成されたアモルファスTaNを含む吸収層を含む。
【0081】
[0085]幾つかの実施形態では、吸収層は、56nmの厚さを有する吸収層において13.5nmのUV光に曝露された場合、2%未満、1.9%未満、1.8%未満、1.7%未満、又は1.6%未満の反射率を示す。
【0082】
[0086]マスクブランクを形成するためのプロセスは、概して、ソフトウェアルーチンとしてメモリ内に記憶される。このソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、処理チャンバに本開示の処理を実行させる。当該ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第2のプロセッサ(図示せず)によって記憶且つ/又は実行されてもよい。本開示の方法の一部又はすべてをハードウェアで実行することもできる。したがって、プロセスは、ソフトウェア内に実装され、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路又は他の種類のハードウェア実装形態)又はソフトウェアとハードウェアとの組合せにおいて、コンピュータシステムにより実行され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、処理が実行されるようにチャンバの動作を制御する特定用途コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0083】
[0087]本明細書全体を通じて、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」、又は「実施形態」に対する言及は、その実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所で登場する「1つ又は複数の実施形態で」、「特定の実施形態で」、「一実施形態で」、又は「実施形態で」など文言は、必ずしも、本開示の同一の実施形態に言及するものではない。さらに、1つ又は複数の実施形態において特定の特徴、構造、材料、又は特性を任意の適切な態様で組み合わせてもよい。
【0084】
[0088]本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示に過ぎないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱せずに、様々な改変及び変形を本開示の方法及び装置に対して行うことができることが明らかであろう。ゆえに、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物に含まれる改変及び変形を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5