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特許7192353ウレタン樹脂組成物、皮膜、及び合成皮革
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂組成物、皮膜、及び合成皮革
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/44 20060101AFI20221213BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20221213BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20221213BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20221213BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20221213BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C08G18/44
C08G18/65 023
C08G18/32 025
C08G18/42 002
C08G18/73
D06N3/14 102
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018180232
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2019081883
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2017209204
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】千々和 宏之
(72)【発明者】
【氏名】片上 保之
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-008234(JP,A)
【文献】国際公開第2014/104134(WO,A1)
【文献】特開2008-106415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
D06N 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素原子数が8~11のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール(A)を1~50質量%含むポリオール(X)、アミノ基を有する鎖伸長剤(Y)、及び、ポリイソシアネート(Z)を必須原料としたウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物であって、
前記ポリカーボネートポリオール(A)におけるグリコールが、直鎖状のグリコール、及び、分岐構造を有するグリコールを含むものであり、
前記ポリオール(X)が、炭素原子数が4~6のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール(B)を更に含有するものであることを特徴とするウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記直鎖状のグリコールと前記分岐構造を有するグリコールとのモル比[(C8-11直鎖)/(C8-11分岐)]が、10/90~90/10の範囲である請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリカーボネートポリオール(A)の数平均分子量が、1,500~3,500の範囲である請求項1又は2記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート(Z)が、脂肪族ポリイソシアネートを10質量%以上含有するものである請求項1~のいずれか1項記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項記載のウレタン樹脂組成物により形成されたことを特徴とする皮膜。
【請求項6】
請求項記載の皮膜を有することを特徴とする合成皮革。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂は、合成皮革、成型加工用シート等様々な分野で広く利用されている。が、特に、車輛内装材用の合成皮革等長期間使用される部材に使用される場合においては、より高い耐久性が要求される。
【0003】
前記耐久性の評価項目は多岐に渡っており、耐熱性、耐湿熱性、耐光性、耐薬品性、耐摩耗性等が挙げられるが、特に、近年では、人体と頻繁に接触する合成皮革部材には耐オレイン酸性や耐サンオイル性などの耐薬品性が求められている。前記耐オレイン酸性等に優れる材料としては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びアクリル樹脂からなる樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
しかしながら、合成皮革用の材料としては、前記耐オレイン酸性等だけでなく、寒冷地域での使用を想定し低温での屈曲性の要求レベルも上がっており、更に、優れた耐摩耗性を得るための優れた機械的強度も必要となってきている。しかしながら、これらの特性を全て兼ね備える材料は未だ見出されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-1693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度に優れるウレタン樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、炭素原子数が8~11のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール(A)を1~50質量%含むポリオール(X)、アミノ基を有する鎖伸長剤(Y)、及び、ポリイソシアネート(Z)を必須原料としたウレタン樹脂を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記ウレタン樹脂組成物により形成されたことを特徴とする皮膜、及び、その皮膜を有することを特徴とする合成皮革を提供することである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のウレタン樹脂組成物は、耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度に優れるものである。
【0010】
よって、本発明のウレタン樹脂組成物は、合成皮革、衣料、支持パッド、研磨パッド等の製造に使用される材料として好適に使用することができ、合成皮革の材料として特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のウレタン樹脂組成物は、炭素原子数が8~11のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール(A)を1~50質量%含むポリオール(X)、アミノ基を有する鎖伸長剤(Y)、及び、ポリイソシアネート(Z)を必須原料としたウレタン樹脂を含有するものである。
【0012】
前記ポリカーボネートポリオール(A)は、特に優れた低温屈曲性を得るうえで必須の成分である。また、前記ポリカーボネートポリオール(A)の使用量は、ポリオール(X)中1~50質量%であることが必須である。前記ポリカーボネートポリオール(A)の使用量が前記ポリオール(X)中1質量%未満であると、所望の低温屈曲性が得られず、また50質量%を超えると充分な低温屈曲性が得られる一方で、耐オレイン酸性を得ることができない。前記ポリカーボネートポリオール(A)の使用量としては、より一層優れた低温屈曲性と耐オレイン酸を充分に得られる点から、ポリオール(X)中3~40質量%の範囲がより好ましい。
【0013】
前記ポリカーボネートポリオール(A)の原料である炭素原子数が8~11のグリコールとしては、例えば、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール、1,7-ノナンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,7-ノナンジオール、3-メチル-1,7-ノナンジオール、4-メチル-1,7-ノナンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等の炭素原子数が8~9のグリコール;2-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,8-オクタンジオール、4-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、2-メチル-1,10-デカンジオール、3-メチル-1,10-デカンジオール、4-メチル-1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール等の炭素原子数が10~11のグリコールなどが挙げられる。これらのグリコールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記ポリカーボネートポリオール(A)の原料としては、前記した中でも、より一層優れた耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度が得られる点から直鎖状のグリコールと分岐構造を有するグリコールとを併用することが好ましい。
【0015】
前記直鎖状のグリコールと分岐構造を有するグリコールとを併用する場合における両者のモル比[(C8-11直鎖)/(C8-11分岐)]としては、より一層優れた耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度が得られる点から、10/90~90/10の範囲であることが好ましく、10/90~70/30の範囲がより好ましい。
【0016】
前記ポリカーボネートジオール(A)は、具体的には、前記炭素原子数が8~11のグリコールと、炭酸エステル及び/又はホスゲンとを公知の方法により反応させたものを用いることができる。また、前記グリコールには、必要に応じて炭素原子数が2~7のグリコールを併用してもよい。炭素原子数が8~11のグリコールの使用割合としては、全てのグリコール中80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましい。
【0017】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記ポリカーボネートジオール(A)の数平均分子量としては、より一層優れた機械的強度、及び低温屈曲性が得られる点から、1,500~3,500の範囲であることが好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオール(A)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0019】
前記ポリオール(X)は、前記ポリカーボネートポリオール(A)を必須成分として含有するが、必要に応じて、その他ポリオールを更に含有してもよい。
【0020】
前記その他のポリオールとしては、例えば、前記(A)以外のポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリカーボネートポリオール(A)と併用することにより、より一層優れた耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度が得られる点から、前記(A)以外のポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
【0021】
前記(A)以外のポリカーボネートポリオールとしては、カーボネート構造をもっていれば特に制限はないが、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の炭素原子数4~6のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオールを用いることが、より一層優れた耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度が得られる点から好ましい。前記ポリカーボネートポリオールは、グリコール成分として、その他のグリコールを併用しても良いが、前記炭素原子数4~6のグリコールの使用割合が、グリコール中80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましい。
【0022】
前記(A)以外のポリカーボネートポリオールを用いる場合の使用量としては、より一層優れた耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度が得られる点から、ポリオール(X)中30~95質量%の範囲が好ましく、55~90質量%の範囲がより好ましい。
【0023】
前記その他のポリオールの数平均分子量としては、皮膜の良好な機械的強度が得られる点から、600~50,000の範囲であることが好ましく、前記その他のポリオールとして前記(A)以外のポリカーボネートポリオールを用いる場合には、その数平均分子量は、1,500~3,500の範囲であることが、より一層優れた耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度が得られる点から好ましい。なお、前記その他のポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0024】
前記アミノ基を有する鎖伸長剤(Y)は、優れた機械的強度、及び、耐オレイン酸性が得られる点から必須の成分である。
【0025】
前記アミノ基を有する鎖伸長剤(Y)は、数平均分子量が50~550のものであり、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、ヒドラジン等を用いることがきできる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた機械的強度、及び耐オレイン酸性が得られる点から、脂環構造を有する鎖伸長剤を用いることが好ましい。
【0026】
前記鎖伸長剤(Y)の使用量としては、優れた機械的強度、及び、耐オレイン酸性が得られる点から、ポリオール(X)と鎖伸長剤(Y)とポリイソシアネート(Z)との合計質量中1~15質量%の範囲であることが好ましく、3~10質量%の範囲がより好ましい。
【0027】
前記ポリイソシアネート(Z)としては、例えば、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,6-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,5-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,6-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-3,5-フェニレンジイソシアネート、1-エチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1-イソプロピル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-ジメチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-ジメチル-4,6-フェニレンジイソシアネート、1,4-ジメチル-2,5-フェニレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート、1-メチル-3,5-ジエチルベンゼンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ジエチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、1,3,5-トリエチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1-メチル-ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート、ナフタレン-2,7-ジイソシアネート、1,1-ジナフチル-2,2’-ジイソシアネート、ビフェニル-2,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3-3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4-ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロペンチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記ポリイソシアネート(Z)としては、優れた低温屈曲性と、ウレタン樹脂組成物の塗工性とを両立できる点から、脂肪族ポリイソシアネートを10質量%以上含有することが好ましく、10~50質量%の範囲がより好ましく、13~40質量%の範囲で含有することが更に好ましい。また、前記ポリイソシアネート(Z)としては、より一層優れた低温屈曲性とウレタン樹脂組成物の塗工性とを両立できる点から、脂肪族ポリイソシアネートと脂環式ポリイソシアネートとを併用することが好ましい。
【0029】
前記ポリイソシアネート(Z)の使用量としては、優れた機械的強度、反応性が得られる点から、ポリオール(X)と鎖伸長剤(Y)とポリイソシアネート(Z)との合計質量中7~60質量%の範囲であることが好ましく、10~45質量%の範囲がより好ましい。
【0030】
前記ウレタン樹脂の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(X)と前記鎖伸長剤(Y)と前記ポリイソシアネート(Z)とを一括で仕込み、反応させることによって製造する方法が挙げられ、反応は、例えば、30~100℃の温度で、3~10時間行うことが好ましい。また、前記反応は、後述する溶剤中で行ってもよい。
【0031】
前記ポリオール(X)が有する水酸基及び前記鎖伸長剤(Y)が有するアミノ基と、前記ポリイソシアネート(Z)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]としては、0.6~2の範囲であることが好ましく、0.8~1.2の範囲であることがより好ましい。
【0032】
以上の方法により得られるウレタン樹脂の数平均分子量としては、皮膜の機械的強度及び柔軟性をより一層向上できる点から、5,000~1,000、000の範囲であることが好ましく、10,000~500,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン樹脂の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0033】
前記ウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
【0034】
前記その他の成分としては、例えば、溶剤、顔料、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等を用いることができる。これらの成分は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記溶剤としては、例えば、水、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソブチル、酢酸第2ブチル等のエステル溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等アルコール溶剤などを用いることができる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記溶剤の含有量としては、作業性及び粘度の点から、ウレタン樹脂組成物中30~90質量%の範囲であることが好ましい。
【0037】
本発明のウレタン樹脂組成物は基材に塗布し乾燥させることにより皮膜が得られる。
【0038】
前記基材としては、例えば、不織布、織布、編み物等からなる繊維状基材;樹脂フィルムなどを用いることができる。前記繊維状基材を構成するものとしては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維等の化学繊維;綿、麻、絹、羊毛、これらの混紡繊維などを用いることができる。
【0039】
前記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム等を用いることができる。
【0040】
前記基材の表面には、必要に応じて、制電加工、離型処理加工、撥水加工、吸水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮断加工等の処理が施されていてもよい。
【0041】
前記基材に本発明のウレタン樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、アプリケーター、バーコーター、ナイフコーター、T-ダイコーター、ロールコーター等による塗布方法が挙げられる。
【0042】
前記塗布されたウレタン樹脂組成物を乾燥させる方法としては、例えば、50~140℃の温度で、30秒~10分間乾燥させる方法が挙げられる。
【0043】
得られる皮膜の厚さとしては、使用される用途に応じて適宜決定されるが、例えば、0.001~10mmの範囲である。
【0044】
前記皮膜としては、皮革様シートに使用される場合には、より一層優れた耐摩耗性が得られる点から、クロスヘッドスピード10mm/秒の条件での引張試験で得られる100%モジュラスが、9MPa以上であることが好ましく、11~20MPaの範囲がより好ましい。なお、前記皮膜の前記100%モジュラス値の測定方法は、実施例にて記載する。
【0045】
前記皮膜を用いて合成皮革を得るうえでは、前記皮膜を合成皮革の表皮層又はトップコート層とすることが好ましい。
【0046】
前記合成皮革の製造方法としては、例えば、離型紙上に形成した表面処理層と、前記皮膜とを公知の方法で貼りあわせる方法が挙げられる。前記表面処理層を形成する材料としては、例えば、溶剤系ウレタン樹脂、水系ウレタン樹脂、水系アクリル樹脂等を用いることができる。また、前記貼りあわせには、必要に応じて、公知の接着剤を用いてもよい。
【0047】
以上、本発明のウレタン樹脂組成物は、耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度に優れるものである。よって、本発明のウレタン樹脂組成物は、合成皮革、衣料、支持パッド、研磨パッド等の製造に使用される材料として好適に使用することができ、合成皮革の材料として特に好適に使用することができる。
【実施例
【0048】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0049】
[実施例1]
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(1,9-ノナンジオール(C9直鎖)及び2-メチル-1,8-オクタンジオール(C9分岐)を原料とするもの、[C9直鎖/C9分岐](以下、モル比)=65/35、数平均分子量;2,000、以下「PC1」と略記する。)を10質量部、ポリカーボネートジオール(1,4-ブタンジオール(C4)及び1,6-ヘキサンジオール(C6)を原料とするもの、[C4/C6](以下、モル比)=90/10、数平均分子量;2,000、以下「他PC1」と略記する。)を180質量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;2,000、以下「PTMG」と略記する。)を10質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記する。)を130質量部加え、十分に撹拌した。撹拌後、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、「H12MDI」と略記する。)33質量部とヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略記する。)9質量部とオクチル酸第一錫0.1質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、前記ウレタンプレプレポリマーの有機溶剤溶液に、DMFを328質量部、酢酸エチル153質量部を加え、35℃に冷却し、イソホロンジアミン(以下、「IPDA」と略記する。)12質量部を加え、撹拌混合することによって、ポリウレタン樹脂を伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン1質量部、イソプロピルアルコール153質量部を加え、混合することによって、ウレタン樹脂組成物を得た。
【0050】
[実施例2]
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(1,9-ノナンジオール(C9直鎖)及び2-メチル-1,8-オクタンジオール(C9分岐)を原料とするもの、[C9直鎖/C9分岐](以下、モル比)=15/85、数平均分子量;2,000、以下「PC2」と略記する。)を39質量部、他PC1を156質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、DMFを128質量部加え、十分に撹拌した。撹拌後、H12MDIを37質量部、及び、HDIを6質量部とオクチル酸第一錫0.1質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、前記ウレタンプレプレポリマーの有機溶剤溶液に、DMFを324質量部、酢酸エチル151質量部を加え、35℃に冷却し、IPDA12質量部を加え、撹拌混合することによって、ポリウレタン樹脂を伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン1質量部、イソプロピルアルコール151質量部を加え、混合することによって、ウレタン樹脂組成物を得た。
【0051】
[実施例3]
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、PC2を167質量部、他PC1を124質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、DMFを124質量部加え、十分に撹拌した。撹拌後、イソホロンジジイソシアネート(以下、「IPDI」と略記する。)34質量部、及び、HDIを6質量部とオクチル酸第一錫0.1質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、前記ウレタンプレプレポリマーの有機溶剤溶液に、DMFを325質量部、酢酸エチル150質量部を加え、35℃に冷却し、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン(以下、「H12MDA」と略記する。)18質量部を加え、撹拌混合することによって、ポリウレタン樹脂を伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン1質量部、イソプロピルアルコール150質量部を加え、混合することによって、ウレタン樹脂組成物を得た。
【0052】
[実施例4]
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、PC1を30質量部、(1,6-ヘキサンジオール(C6)を原料とするもの、[C6]=100、数平均分子量;2,000、以下「他PC2」と略記する。)を170質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、DMFを131質量部を加え、十分に撹拌した。撹拌後、H12MDI32質量部、及び、HDIを13質量部とオクチル酸第一錫0.1質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、前記ウレタンプレプレポリマーの有機溶剤溶液に、DMFを331質量部、酢酸エチル154質量部を加え、35℃に冷却し、IPDA13質量部を加え、撹拌混合することによって、ポリウレタン樹脂を伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン1質量部、イソプロピルアルコール154質量部を加え、混合することによって、ウレタン樹脂組成物を得た。
【0053】
[実施例5]
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、PC1を29質量部、ポリカーボネートジオール(1,4-ブタンジオール(C4)及び1,6-ヘキサンジオール(C6)を原料とするもの、[C4/C6](以下、モル比)=70/30、数平均分子量;2,000、以下「他PC3」と略記する。)を164質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、DMFを125質量部を加え、十分に撹拌した。撹拌後、IPDIを30質量部、及び、HDIを10質量部とオクチル酸第一錫0.1質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、前記ウレタンプレプレポリマーの有機溶剤溶液に、DMFを330質量部、酢酸エチル152質量部を加え、35℃に冷却し、H12MDA19質量部を加え、撹拌混合することによって、ポリウレタン樹脂を伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン1質量部、イソプロピルアルコール152質量部を加え、混合することによって、ウレタン樹脂組成物を得た。
【0054】
[実施例6]
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、PC2を28質量部、他PC3を159質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、DMFを122質量部加え、十分に撹拌した。撹拌後、IPDIを31質量部、及び、HDIを8質量部とオクチル酸第一錫0.1質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、前記ウレタンプレプレポリマーの有機溶剤溶液に、DMFを320質量部、酢酸エチル147質量部を加え、35℃に冷却し、H12MDA18質量部を加え、撹拌混合することによって、ポリウレタン樹脂を伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン1質量部、イソプロピルアルコール147質量部を加え、混合することによって、ウレタン樹脂組成物を得た。
【0055】
[比較例1]
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、PC1を118質量部、他PC3を78質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、DMFを127質量部加え、十分に撹拌した。撹拌後、IPDIを31質量部、及び、HDIを8質量部とオクチル酸第一錫0.1質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、前記ウレタンプレプレポリマーの有機溶剤溶液に、DMFを329質量部、酢酸エチル152質量部を加え、35℃に冷却し、H12MDA17質量部を加え、撹拌混合することによって、ポリウレタン樹脂を伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン1質量部、イソプロピルアルコール152質量部を加え、混合することによって、ウレタン樹脂組成物を得た。
【0056】
[比較例2]
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、他PC2を190質量部入れ、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、DMFを127質量部を加え、十分に撹拌した。撹拌後、H12MDIを40質量部、及び、HDIを6質量部とオクチル酸第一錫0.1質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、前記ウレタンプレプレポリマーの有機溶剤溶液に、DMFを325質量部、酢酸エチル151質量部を加え、35℃に冷却し、IPDA14質量部を加え、撹拌混合することによって、ポリウレタン樹脂を伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン1質量部、イソプロピルアルコール151質量部を加え、混合することによって、ウレタン樹脂組成物を得た。
【0057】
[比較例3]
実施例1において、IPDAを用いなかった以外は同様にしてウレタン樹脂組成物を得た。
【0058】
[数平均分子量の測定方法]
実施例及び比較例で用いたポリオール等の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0059】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0060】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0061】
[機械的強度の測定方法]
実施例及び比較例で得られたウレタン樹脂組成物100質量部に、DMF40質量部を配合した配合液を、フラット離型紙(リンテック株式会社製「EK-100D」)上に乾燥後の膜厚が30ミクロンとなるように塗布し、90℃で2分間、更に120℃で2分間乾燥させて皮膜を作製した。次いで、得られた皮膜を幅5mm、長さ50mmの短冊状に裁断し、引張試験機「オートグラフAG-I」(株式会社島津製作所製)を用いて、温度23℃の雰囲気下で、クロスヘッドスピード10mm/秒の条件で引張り、試験片の100%モジュラス(MPa)を測定した。この時のチャック間距離は40mmとした。得られた100%モジュラス値から、機械的強度を以下のように評価した。
「A」:5MPa以上
「B」:5MPa未満
【0062】
[耐オレイン酸性の測定方法]
前記[機械的強度の測定方法]と同様の方法にて皮膜を作製した。次いで、この皮膜を幅5mm、長さ50mmの短冊状に試験片を裁断し、常温でオレイン酸に24時間浸漬した後取り出し、表面に付着したオレイン酸を紙ウエスで軽く拭き取った。その後、引張試験機「オートグラフAG-I」(株式会社島津製作所製)を用いて、温度23℃の雰囲気下で、クロスヘッドスピード10mm/秒、チャック間距離40mmの条件で引張り、試験片が100%伸張した際の応力を測定した。この応力を前記[機械的強度の測定方法]にて測定した100%モジュラス値で除した値を100%モジュラス値の保持率として、耐オレイン酸性を以下のように評価した。
「A」:保持率が40%以上
「B」:保持率が30%以上40%未満
「C」:保持率が30%未満
【0063】
[低温屈曲性の測定方法]
実施例及び比較例で得られたウレタン樹脂組成物100質量部に、DMFを40質量部、メチルエチルケトンを30質量部及びDIC株式会社製着色剤「ダイラックL-1770S」を20質量部からなる配合液を離型紙上に乾燥後の膜厚が30ミクロンとなるように塗布し、90℃で2分間、更に120℃で2分間乾燥させ、離型紙上に皮膜を作製した。次いで、この皮膜上に、DIC株式会社製ウレタン樹脂「クリスボンTA-205FT」を100質量部、DMFを60質量部、及びDIC株式会社製ポリイソシアネート架橋剤「バーノックDN-950」を12質量部、DIC株式会社製錫触媒「アクセルT-81E」を1質量部からなる配合液を乾燥後の膜厚が60ミクロンとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させた。次いで、ポリエステル基布を載せ、120℃のラミネーターで圧着させたのち、40℃で3日間熟成し、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
この合成皮革をフレキソメーター(株式会社安田精機製作所製「低温槽付フレキシオメーター」)での屈曲性試験(-30℃、100回/毎分)を行い、合成皮革の表面に割れが生じるまでの回数を測定し、以下のように評価した。
「A」:20,000回以上
「B」:10,000回以上20,000回未満
「C」:10,000回未満
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
表1~2中における略語について説明する。
「Mn」;数平均分子量
「NCO」;ポリイソシアネート
【0067】
本発明のウレタン樹脂組成物である実施例1~6は、耐オレイン酸性、低温屈曲性、及び機械的強度に優れることが分かった。特に、前記低温屈曲性は、-30℃における非常に厳しい試験であるが、本発明のウレタン樹脂組成物の皮膜を有する合成皮革は、割れが生じにくいものであった。
【0068】
一方、比較例1は、ポリカーボネートポリオール(A)の使用量が、本発明で規定する範囲を超える態様であるが、機械的強度、及び耐オレイン酸性が不良であった。
【0069】
比較例2は、ポリカーボネートポリオール(A)を使用しない態様であるが、耐オレイン性、及び低温屈曲性が不十分であった。
【0070】
比較例3は、アミノ基を有する鎖伸長剤(Y)を使用しない態様であるが、機械的強度、及び耐オレイン酸性が不良であった。