(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法および半導体ウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221213BHJP
B24B 37/34 20120101ALI20221213BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20221213BHJP
【FI】
H01L21/304 622L
B24B37/34
B24B41/06 A
(21)【出願番号】P 2019234575
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【氏名又は名称】川原 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】寺川 良也
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-019439(JP,A)
【文献】特開2002-231671(JP,A)
【文献】特開平11-188620(JP,A)
【文献】特開2017-092397(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083613(WO,A1)
【文献】特開2009-028862(JP,A)
【文献】特開平08-264626(JP,A)
【文献】特開2018-111146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/34
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨対象の半導体ウェーハを仮受台に載置した後、前記仮受台によって前記半導体ウェーハを片面研磨装置の研磨ヘッドに受け渡す方法において、
前記仮受台は、
前記半導体ウェーハの周縁部を保持する保持部と、
昇降可能に構成された受台であって、該受台の表面に複数の環状の凸部を有し、各凸部の内壁には該内壁に沿って液体を噴射する噴射口が設けられており、前記噴射口から液体を噴射することによって前記半導体ウェーハを非接触で吸着保持する、受台と、
前記半導体ウェーハの外周に配置され、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを上昇させる際に前記半導体ウェーハを位置決めするガイド部と、
を備えており、
前記噴射口から第1の流量で前記液体の噴射を開始し、次いで前記保持部に半導体ウェーハを載置して前記半導体ウェーハの研磨面を前記受台に非接触で吸着保持した後、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに貼り付ける際に、
前記半導体ウェーハを前記保持部に保持させてから前記半導体ウェーハの前記研磨ヘッドへの貼り付け終了までの時間を5秒以上とすることを特徴とする研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法。
【請求項2】
研磨対象の半導体ウェーハを仮受台に載置した後、前記仮受台によって前記半導体ウェーハを片面研磨装置の研磨ヘッドに受け渡す方法において、
前記仮受台は、
前記半導体ウェーハの周縁部を保持する保持部と、
昇降可能に構成された受台であって、該受台の表面に複数の環状の凸部を有し、各凸部の内壁には該内壁に沿って液体を噴射する噴射口が設けられており、前記噴射口から液体を噴射することによって前記半導体ウェーハを非接触で吸着保持する、受台と、
前記半導体ウェーハの外周に配置され、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを上昇させる際に前記半導体ウェーハを位置決めするガイド部と、
を備えており、
前記半導体ウェーハの面積に対する前記複数の環状の凸部の面積の割合が15%以上であり、
前記噴射口から第1の流量で前記液体の噴射を開始し、次いで前記保持部に半導体ウェーハを載置して前記半導体ウェーハの研磨面を前記受台に非接触で吸着保持させた後、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに貼り付けることを特徴とする研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法。
【請求項3】
前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに貼り付けるまでの前記液体の流量を前記第1の流量よりも多い第2の流量とする、請求項1または2に記載の研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法。
【請求項4】
前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに受け渡した後、前記片面研磨装置によって前記半導体ウェーハの研磨面を研磨し、次いで前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドから取り外した後、再度、前記噴射口から前記第1の流量で液体の噴射を開始し、次いで前記保持部に研磨後の前記半導体ウェーハを載置して前記半導体ウェーハの研磨面を前記受台に非接触で吸着保持させた後、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに貼り付ける、請求項1または2に記載の研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法。
【請求項5】
所定の方法によって育成された単結晶インゴットをスライスし、得られた半導体ウェーハに対してラッピング処理、エッチング処理および両面研磨処理を施した後、請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法によって片面研磨装置に前記半導体ウェーハを受け渡し、前記片面研磨
装置によって前記半導体ウェーハの表面を研磨することを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。
【請求項6】
前記半導体ウェーハはシリコンウェーハである、請求項5に記載の半導体ウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法および半導体ウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの基板として、シリコンウェーハが広く用いられている。シリコンウェーハは、単結晶シリコンインゴットに対してスライス処理、ラッピング処理、エッチング処理、両面研磨処理、片面研磨処理、洗浄処理などを順次行うことによって製造される。
【0003】
上記処理のうち、片面研磨処理は、ウェーハ表面の凹凸やうねりを除去して平坦度を高める処理であり、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)法による鏡面処理を施す。
【0004】
上記片面研磨処理は、枚葉式の片面研磨装置を用いて行われる。この片面研磨装置は、研磨布が貼り付けられた回転定盤と、回転定盤上のシリコンウェーハを押圧しながら保持する研磨ヘッドとを備えており、スラリーを供給しながら回転定盤および研磨ヘッドをそれぞれ回転させることによりシリコンウェーハの研磨面を研磨する。
【0005】
ところで、一般に、両面研磨処理後のシリコンウェーハを片面研磨装置に搬送する際、搬送アームなどの搬送手段によって半導体ウェーハの周縁部を保持して仮受台に一旦載置した後、片面研磨装置の研磨ヘッドにシリコンウェーハを受け渡すことが行われている。
【0006】
上記仮受台として、例えば特許文献1には、ポリ塩化ビニル(PVC)製のスポンジからなる昇降可能に構成された受台を備え、受台を上昇させて半導体ウェーハの研磨面を接触保持して、片面研磨装置の研磨ヘッドに受け渡すものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された仮受台では、半導体ウェーハの表面(研磨面)にスポンジが接触するため、半導体ウェーハの表面に傷が形成される場合がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、半導体ウェーハの表面に傷を形成させずに半導体ウェーハを片面研磨装置へ受け渡すことができる方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
[1]研磨対象の半導体ウェーハを仮受台に載置した後、前記仮受台によって前記半導体ウェーハを片面研磨装置の研磨ヘッドに受け渡す方法において、
前記仮受台は、
前記半導体ウェーハの周縁部を保持する保持部と、
昇降可能に構成された受台であって、該受台の表面に複数の環状の凸部を有し、各凸部の内壁には該内壁に沿って液体を噴射する噴射口が設けられており、前記噴射口から液体を噴射することによって前記半導体ウェーハを非接触で吸着保持する、受台と、
前記半導体ウェーハの外周に配置され、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを上昇させる際に前記半導体ウェーハを位置決めするガイド部と、
を備えており、
前記噴射口から第1の流量で前記液体の噴射を開始し、次いで前記保持部に半導体ウェーハを載置して前記半導体ウェーハの研磨面を前記受台に非接触で吸着保持した後、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに貼り付ける際に、
前記半導体ウェーハを前記保持部に保持させてから前記半導体ウェーハの前記研磨ヘッドへの貼り付け終了までの時間を5秒以上とすることを特徴とする研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法。
【0011】
[2]研磨対象の半導体ウェーハを仮受台に載置した後、前記仮受台によって前記半導体ウェーハを片面研磨装置の研磨ヘッドに受け渡す方法において、
前記仮受台は、
前記半導体ウェーハの周縁部を保持する保持部と、
昇降可能に構成された受台であって、該受台の表面に複数の環状の凸部を有し、各凸部の内壁には該内壁に沿って液体を噴射する噴射口が設けられており、前記噴射口から液体を噴射することによって前記半導体ウェーハを非接触で吸着保持する、受台と、
前記半導体ウェーハの外周に配置され、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを上昇させる際に前記半導体ウェーハを位置決めするガイド部と、
を備えており、
前記半導体ウェーハの面積に対する前記複数の環状の凸部の面積の割合が15%以上であり、
前記噴射口から第1の流量で前記液体の噴射を開始し、次いで前記保持部に半導体ウェーハを載置して前記半導体ウェーハの研磨面を前記受台に非接触で吸着保持させた後、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに貼り付けることを特徴とする研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法。
【0012】
[3]前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに貼り付けるまでの前記液体の流量を前記第1の流量よりも多い第2の流量とする、前記[1]または[2]に記載の研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法。
【0013】
[4]前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに受け渡した後、前記片面研磨装置によって前記半導体ウェーハの研磨面を研磨し、次いで前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドから取り外した後、再度、前記噴射口から前記第1の流量で液体の噴射を開始し、次いで前記保持部に研磨後の前記半導体ウェーハを載置して前記半導体ウェーハの研磨面を前記受台に非接触で吸着保持させた後、前記受台を上昇させて前記半導体ウェーハを前記研磨ヘッドに貼り付ける、前記[1]または[2]に記載の研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法。
【0014】
[5]所定の方法によって育成された単結晶インゴットをスライスし、得られた半導体ウェーハに対してラッピング処理、エッチング処理および両面研磨処理を施した後、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法によって片面研磨装置に前記半導体ウェーハを受け渡し、前記片面研磨処理によって前記半導体ウェーハの表面を研磨することを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。
【0015】
[6]前記半導体ウェーハはシリコンウェーハである、前記[5]に記載の半導体ウェーハの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体ウェーハの表面に傷を形成させずに半導体ウェーハを片面研磨装置へ受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】特許文献1に記載された仮受台を示す図である。
【
図2】本発明において用いることができる仮受台の一例を示す図である。
【
図3】複数の環状の凸部が設けられた受皿の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、特許文献1に記載された仮受台を示している。
図1に示した仮受台100は、半導体ウェーハWの周縁部を保持する保持部11と、PVC製のスポンジからなり、昇降可能に構成された受台12と、半導体ウェーハWの外周に配置され、受台12を上昇させて半導体ウェーハWを上昇させる際に半導体ウェーハWを位置決めするガイド部13とを備える。
【0019】
このような仮受台100において、半導体ウェーハWを保持部11に載置し、昇降機構(図示せず)によって受台12を上昇させると、受台12は半導体ウェーハWの研磨面を接触保持して半導体ウェーハWを上昇させ、半導体ウェーハWを片面研磨装置の研磨ヘッドに受け渡す。そのため、半導体ウェーハWの表面(研磨面)に傷が形成される場合がある。
【0020】
本発明者は、半導体ウェーハWの表面を傷つけることなく、半導体ウェーハWを研磨ヘッドに受け渡すためには、
図1に示した仮受台100のような接触方式のものではなく、非接触方式のものを用いることが最適と考え、ベルヌーイ方式の仮受台を用いることに想到した。
【0021】
図2は、ベルヌーイ方式の仮受台の一例を示している。なお、
図1に示した構成と同じ構成には、同じ符号が付されている。
図2に示した仮受台1においては、
図3に示すように、受台22が、その表面に複数の環状の凸部23を有している。そして、各凸部23の内壁23aには内壁23aに沿って液体Lを噴射する噴射口23bが設けられており、噴射口23bは、受台22の内部に配された液体供給配管24に接続されている。こうした噴射口23bから純水などの液体Lを噴射すると、凸部23の内部で旋回流が生じ、半導体ウェーハWを非接触で吸着保持することが可能となる。
【0022】
このような仮受台1において、受台22の環状凸部23に設けられた噴射口23bから液体Lの噴射を開始し、半導体ウェーハWを保持部11に載置すると、昇降機構(図示せず)によって受台22が半導体ウェーハWの研磨面を非接触で吸着保持して上昇し、片面研磨装置の研磨ヘッドに受け渡される。こうして、半導体ウェーハWを研磨ヘッドに受け渡す際に、半導体ウェーハWの表面に傷が付くのを防止することができる。
【0023】
ところで、本発明者が、
図2に示した仮受台1を用いて半導体ウェーハWを研磨ヘッドに受け渡す条件について検討する過程で、所定の条件の下で研磨ヘッドに受け渡した半導体ウェーハWの表面を片面研磨装置を用いて研磨し、洗浄後の検査工程において、表面検査装置により半導体ウェーハWの表面の品質を評価したところ、輝点欠陥(Light Point Defect、LPD)の個数が他の条件で受け渡した半導体ウェーハWに比べて少ないことが判明した。
【0024】
具体的には、後述する実施例に示すように、仮受台1において半導体ウェーハWを保持する時間(以下、「保持時間」とも言う。)が5秒以上である場合、または受台22の表面に設けられた環状の凸部23の占有率が15%以上である場合に、検査工程において計測されたLPDの個数が少ないことが分かった。
【0025】
上記LPDの個数が少なかった理由は、ベルヌーイ方式の仮受台1においては、噴射口23bから噴射された液体Lの旋回流によって半導体ウェーハWの研磨面が洗浄されたためと考えられる。このように、本発明者は、
図2に示したベルヌーイ方式の仮受台1を用いることによって、半導体ウェーハWの表面に傷を形成させずに研磨ヘッドに受け渡すだけでなく、半導体ウェーハWの表面を洗浄してLPDの個数も低減できることを見出し、本発明を完成させたのである。
【0026】
なお、上記「保持時間」は、受皿22の表面に設けられた環状の凸部23の噴射口23bから液体Lを所定の流量(第1の流量)で噴射した状態で、半導体ウェーハWを保持部11に載置した時点から、受皿22により半導体ウェーハWを非接触で吸着保持した状態で研磨ヘッドに受け渡し、受皿を下降または流体Lの噴射を停止するまでの時間を意味している。
【0027】
また、「環状の凸部の占有率」とは、半導体ウェーハWの面積に対する複数の環状の凸部23の合計面積の割合(パーセント)を意味しており、環状の凸部23の面積は、凸部23の内径部分の面積である。
【0028】
なお、受台22を上昇させて半導体ウェーハWを研磨ヘッドに貼り付けるまでの液体Lの流量(第2の流量)を第1の流量よりも多くすることが好ましい。これにより、後述する実施例に示すように、半導体ウェーハWの表面の洗浄効果を高めることができる。
【0029】
また、半導体ウェーハWの研磨面の洗浄効果を高めるために、仮受台1によって半導体ウェーハWを研磨ヘッドに受け渡し、受台22を下降させた後、片面研磨装置によって半導体ウェーハWの表面を研磨し、次いで半導体ウェーハWを研磨ヘッドから取り外した後、再度、噴射口23bから第1の流量で液体Lの噴射を開始し、次いで保持部11に研磨後の半導体ウェーハWを載置して半導体ウェーハWの研磨面を受台22に非接触で吸着保持させた後、受台22を上昇させて半導体ウェーハWを研磨ヘッドに貼り付けてもよい。
【0030】
こうして、本発明により、半導体ウェーハWの研磨面に傷を付けるのを防止するとともに半導体ウェーハWの研磨面を洗浄しながら、半導体ウェーハWを研磨ヘッドに受け渡すことができる。
【0031】
(半導体ウェーハの製造方法)
本発明による半導体ウェーハの製造方法は、所定の方法によって育成された単結晶シリコンインゴットをスライスし、得られた半導体ウェーハに対してラッピング処理、エッチング処理および両面研磨処理を施した後、上述した本発明による研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法によって片面研磨装置に半導体ウェーハを受け渡し、片面研磨処理によって半導体ウェーハの表面を研磨することを特徴とする。
【0032】
上述のように、本発明による研磨装置への半導体ウェーハの受け渡し方法によって、半導体ウェーハWの研磨面に傷を付けるのを防止するとともに半導体ウェーハWの研磨面を洗浄しながら、半導体ウェーハWを研磨ヘッドに受け渡すことができる。これにより、LPDの個数が少ないシリコンウェーハを製造することができる。
【0033】
上記半導体ウェーハは、特に限定されないが、LPDの個数が少ないシリコンウェーハを好適に製造することができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0035】
(発明例1)
表面に内径が30mmの環状の凸部が5個設けられた受台(占有率5%)を用意し、
図2に示した仮受台1に配置した。次いで、環状の凸部23の内壁23aに設けられた噴射口23bから純水を流量1L/分で供給し、直径300mmのシリコンウェーハを保持部11に載置した。続いて、受台22によってシリコンウェーハの表面を非接触で吸着保持した状態で受台22を上昇させ、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。その際、シリコンウェーハの保持時間は2秒とした。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0036】
【0037】
(発明例2)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の個数を15個とした(占有率15%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0038】
(発明例3)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の個数を28個とした(占有率28%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0039】
(発明例4)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の個数を65個とした(占有率65%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0040】
(発明例5)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、シリコンウェーハの保持時間を5秒とした。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0041】
(発明例6)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、シリコンウェーハの保持時間を10秒とした。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0042】
(発明例7)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、シリコンウェーハの保持時間を60秒とした。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0043】
(発明例8)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22の上昇を開始してからシリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡すまでの間、純水の流量を2L/分に変更した。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0044】
(発明例9)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した後に、片面研磨装置によってシリコンウェーハの研磨面を研磨し、次いでシリコンウェーハを研磨ヘッドから取り外した後、再度、噴射口23bから流量1L/分で純水の噴射を開始し、次いで保持部11に研磨後のシリコンウェーハを載置してシリコンウェーハの研磨面を受台に非接触で吸着保持させた後、受台22を上昇させてシリコンウェーハを研磨ヘッドに貼り付けた。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0045】
(発明例10)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の内径を80mmとし、個数を1個とした(占有率7.1%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0046】
(発明例11)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の内径を80mmとし、個数を2個とした(占有率14.2%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0047】
(発明例12)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の内径を80mmとし、個数を4個とした(占有率28.4%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0048】
(発明例13)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の内径を80mmとし、個数を5個とした(占有率35.6%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0049】
(発明例14)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の内径を80mmとし、個数を9個とした(占有率64%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0050】
(発明例15)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の内径を120mmとし、個数を1個とした(占有率16%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0051】
(発明例16)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の内径を120mmとし、個数を2個とした(占有率32%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0052】
(発明例17)
発明例1と同様に、シリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡した。ただし、受台22に設けた環状凸部23の内径を120mmとし、個数を4個とした(占有率64%)。その他の条件は、発明例1と全て同じである。シリコンウェーハの受け渡し条件を表1に示す。
【0053】
上記発明例1~17について、研磨ヘッドに受け渡したシリコンウェーハについて、片面研磨装置により片面研磨処理を施し、次いでシリコンウェーハを洗浄した後、表面検査装置(KLA Tencor社製、Surfscan SP5)を用いて、LPDの個数を計測した。その際、測定モードはDCO(Darkfield Composite Oblique)モードとし、19nm以上のLPDの個数を計測した。得られた結果を表1に示す。なお、表1において、LPDの個数が25個以下の場合には、LPDの個数がほぼ収束しており、良品と判定することができ、25個を超える場合には、付着物が存在すると判断して不良品と判定することができる。
【0054】
発明例1~4を比較すると、環状凹部23の個数が増えて占有率が増えると、LPDの個数が低減されることが分かる。ただし、占有率が15%以上であれば、LPDの個数はほぼ同じであることも分かる。これらの結果は、環状凸部23の内径を変更した発明例10~14、発明例15~17についても同様であった。
【0055】
また、発明例1、発明例5~7を比較すると、シリコンウェーハの保持時間が増加すると、LPDの個数が低減されることが分かる。ただし、保持時間が5秒以上であれば、LPDの個数はほぼ同じであることも分かる。
【0056】
さらに、発明例1と発明例8とを比較すると、受台22を上昇させてシリコンウェーハを研磨ヘッドに受け渡すまでの間に純水の流量を増加させることにより、LPDの個数が低減されることが分かる。また、発明例1と発明例9とを比較すると、シリコンウェーハの研磨ヘッドへの受け渡しを繰り返すことによっても、LPDの個数が低減されることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、半導体ウェーハの表面に傷を形成させずに半導体ウェーハを片面研磨装置へ受け渡すことができるため、半導体ウェーハ製造業に有用である。
【符号の説明】
【0058】
1,100 仮受台
11 保持部
12,22 受台
13 ガイド部
23 環状の凸部
23a 内壁
23b 噴射口
24 液体供給配管
L 液体
W 半導体ウェーハ