(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ジアミン化合物、及びそれを用いたポリイミド前駆体及びポリイミドフィルム
(51)【国際特許分類】
C07C 323/37 20060101AFI20221213BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C07C323/37 CSP
C08G73/10
(21)【出願番号】P 2021526505
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(86)【国際出願番号】 KR2020002138
(87)【国際公開番号】W WO2020175838
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0023818
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0006133
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュンファン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ホヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョル ジュン
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-117688(JP,A)
【文献】Materials Science and Applied Chemistry,2008年,Vol. 16,pp. 142-147
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,1984年,Vol. 27, No. 8,pp. 1083-1089
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C08G
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1のジアミン化合物:
[化学式1]
【化44】
前記化学式1において、
2個のアミノ基は、カルボニル基に対して、ベンゼン環のメタ位またはパラ位に置換し、
Zは、-NH-であり、
R
1からR
4は、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン原子、シアノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のハロアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルチオール基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールチオール基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、アミド基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキルオキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のシクロアルキルチオール基、エステル基、アジド基
、またはB、N、O、S、P(=O)、Si、及びPから選択された1種以上のヘテロ原子を含む置換または非置換の(3~30員)ヘテロアリール基であり、
a、b、c及びdは、それぞれ0~4の整数であり、a、b、c及びdが2~4の整数である場合、それぞれのa、b、c及びdは、同一または異なっていてもよい。
【請求項2】
R
1からR
4が、それぞれ独立して水素、ハロゲン原子、シアノ基、または非置換、またはハロゲン原子で置換された炭素数1~6のアルキル基であり、
a、b、c及びdが、それぞれ0~2の整数である、
請求項1に記載の化学式1のジアミン化合物。
【請求項3】
R
1からR
4が、それぞれ独立して水素、メチル、トリフルオロメチル、F、Clまたはシアノ基であり、
a、b、c及びdが、それぞれ0~2の整数である、
請求項1に記載の化学式1のジアミン化合物。
【請求項4】
下記構造式1から構造式16の化合物のうちから選択される
、
ジアミン化合物:
【化45】
【化46】
。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載
のジアミン化合物及び
1種以上の酸二無水物
に由来する構造単位を有する、ポリアミド酸。
【請求項6】
前記酸二無水物が、BPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)、PMDA(ピロメリト酸二無水物)またはこれらの混合物を含む、
請求項5に記載のポリ
アミド酸。
【請求項7】
請求項5または6に記載のポリ
アミド酸から製造された、
ポリイミドフィルム。
【請求項8】
請求項7に記載のポリイミドフィルムを基板として含む、
フレキシブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年2月28日付の大韓民国特許出願10-2019-0023818号及び2020年1月16日付の大韓民国特許出願10-2020-0006133に基づいた優先権の利益を主張し、該特許文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、新規なジアミン化合物、及びそれを用いたポリイミド前駆体及びポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
最近、ディスプレイ分野で製品の軽量化及び小型化が重要視されており、現在、使われているガラス基板の場合、重くてよく割れてしまい、連続工程が困難であるという限界があるために、ガラス基板を代替して、軽くて柔軟であり、連続工程が可能な長所を有するプラスチック基板を携帯電話、ノート型パソコン、PDA(personal digital assistant)などに適用するための研究が活発に進められている。
【0004】
ポリイミドは、耐熱性及び耐薬品性を有し、特に、芳香族ポリイミドは、剛直な(rigid)主鎖構造によって優れた機械的物性と電気絶縁性など優れた特徴を示す。また、ポリイミドは、合成が容易であり、薄膜フィルムを作ることができ、硬化のための架橋基が不要であるという長所を有しており、日常生活用品だけではなく、自動車及び宇宙航空素材、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)など半導体材料に集積化素材として多く適用されている。また、ポリイミドを軽くて柔軟な性質を有するフレキシブルディスプレイ基板(flexible plastic display board)に使用しようとする多くの研究が進められている。
【0005】
前記ポリイミドをフィルム化して製造したものが、ポリイミドフィルムであり、一般的に、ポリイミドフィルムは、芳香族二無水物(dianhydride)と芳香族ジアミンまたは芳香族ジイソシアネートとを溶液重合してポリアミド酸(polyamic acid)誘導体溶液を製造した後、それをシリコンウェーハやガラスなどにコーティングし、熱処理して硬化させる方法で製造される。
【0006】
高温工程を伴うフレキシブルデバイスは、高温での耐熱性が要求されるが、特に、LTPS(low temperature polysilicon)工程を使用するOLED(organic light emitting diode)デバイスの場合、工程温度が500℃に近接する。しかし、このような温度では、耐熱性に優れたポリイミドであっても、加水分解による熱分解が起こりやすい。したがって、フレキシブルデバイスの製造のためには、高温工程でも加水分解による熱分解が起こらない優れた熱的特性及び貯蔵安定性を示すことができるポリイミドフィルムの開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、改善された熱的及び機械的特性と向上した屈折率とを示すポリイミドを製造するための新規なジアミン化合物を提供するところにある。
【0008】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記新規なジアミン化合物を用いて製造されたポリイミド前駆体を提供するところにある。
【0009】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、前記ポリイミド前駆体を用いて製造されたポリイミドフィルム及びこのようなポリイミドフィルムを含むフレキシブルデバイスを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題を解決するために、本発明は、下記化学式1のジアミン化合物を提供する:
【0011】
[化学式1]
【0012】
【0013】
前記化学式1において、Zは、-NH-であり、R1からR4は、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン原子、シアノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のハロアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルチオール基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールチオール基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、アミド基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキルオキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のシクロアルキルチオール基、エステル基、アジド基、ニトロ基、またはB、N、O、S、P(=O)、Si、及びPから選択された1種以上のヘテロ原子を含む置換または非置換の(3~30員)ヘテロアリール基であり、a、b、c及びdは、それぞれ0~4の整数であり、a、b、c及びdが2~4の整数である場合、それぞれのa、b、c及びdは、同一または異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のジアミン化合物は、分子内のイミド環がアミン基で置換されたフェニル環にアミド結合を通じて結合された構造を含む新規な化合物であって、それを重合成分として含むポリイミドは、硬化後、改善された耐熱性及び機械的特性を有し、向上した屈折率を示すポリイミドフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、多様な変換を加え、さまざまな実施例を有することができるので、以下、本発明の特定実施例を詳細な説明で説明する。しかし、これは、本発明の範囲を特定の実施形態で限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる、あらゆる変換、均等物または代替物を含むものと理解しなければならない。本発明を説明するに当って、関連した公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0016】
芳香族ポリイミドは、熱酸化安定性、高い機械的強度のような優れた総合的特性によって、マイクロ電子、航空宇宙、絶縁材料及び耐火性材料のような先端産業で広範囲に使われる。しかし、紫外線から可視光線領域で高い吸光度を有する芳香族ポリイミドは、薄い黄色から濃い褐色で着色されるが、これは、透明性及び無色特性が基本要求事項である光電子領域(optoelectronics area)での広範囲な適用を制限する。芳香族ポリイミドで着色が表われる理由は、高分子主鎖で交代電子供与体(dianhydride)と電子受容体(diamine)との間、及び内部分子間の電荷移動錯体(CT-complexes)を形成するためである。
【0017】
このような問題を解決するために、特定の官能基、体積が大きなペンダント基、フッ化官能基などを高分子主鎖として導入するか、-S-、-O-、-CH2-などを導入する方法が試みられ、高いガラス転移温度(Tg)を有する光学的に透明なポリイミドフィルムが開発された。
【0018】
本発明の発明者は、従来技術に基づいて先行技術の問題点を解決するために鋭意研究し、特定の構造を有する新規なジアミン化合物が、優れた熱的及び機械的特性を提供するということを明らかにし、本発明を完成した。
【0019】
これにより、本発明は、下記化学式1のジアミン化合物を提供する:
【0020】
[化学式1]
【0021】
【0022】
前記化学式1において、Zは、-NH-であり、R1からR4は、それぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン原子、シアノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のハロアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルチオール基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールチオール基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、アミド基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキルオキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のシクロアルキルチオール基、エステル基、アジド基、ニトロ基、またはB、N、O、S、P(=O)、Si、及びPから選択された1種以上のヘテロ原子を含む置換または非置換の(3~30員)ヘテロアリール基であり、a、b、c及びdは、それぞれ0~4の整数であり、a、b、c及びdが2~4の整数である場合、それぞれのa、b、c及びdは、同一または異なっていてもよい。
【0023】
本明細書に記載されている「置換または非置換」という記載で「置換」は、ある官能基で水素原子が他の原子または他の官能基、すなわち、他の置換基で置き換えられたものを意味する。
【0024】
前記化学式1において、置換アルキル基、置換ハロアルキル基、置換アルキルシリル基、置換アリールシリル基、置換アルキルアミノ基、置換アリールアミノ基、置換アルコキシ基、置換アルキルチオール基、置換アリールチオール基、置換アリール基、置換アラルキル基、置換アリールオキシ基、置換シクロアルキル基、置換シクロアルキルオキシ基、置換シクロアルキルチオール基及び置換ヘテロアリール基の置換基は、重水素、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオール基、炭素数6~30のアリールチオール基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のシクロアルケニル基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数1~30のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数1~30のアリールカルボニル基、炭素数1~30のアルキルボルニル基、炭素数6~30のアリールカルボニル基、炭素数1~30のアルキルボルニル基、炭素数6~30のアリールボルニル基及び(3~7員)ヘテロシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1種以上のものである。
【0025】
本明細書において、「炭素数1~30のアルキル」は、炭素数が1~30個である直鎖または分枝鎖アルキルを意味し、炭素数が1~20個であることが望ましく、炭素数が1~10個であることがさらに望ましい。前記アルキルの具体例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル及び3級ブチルなどがある。
【0026】
本明細書において、「炭素数2~30のアルケニル」は、炭素数が2~30個である直鎖または分枝鎖アルケニルを意味し、炭素数が2~20個であることが望ましく、炭素数が2~10個であることがさらに望ましい。前記アルケニルの具体例として、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチルブタ-2-エニルなどがある。
【0027】
本明細書において、「炭素数2~30のアルキニル」は、炭素数が2~30個である直鎖または分枝鎖アルキニルを意味し、炭素数が2~20個であることが望ましく、炭素数が2~10個であることがさらに望ましい。前記アルキニルの例として、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチリル、2-ブチリル、3-ブチリル、1-メチルペント-2-イニルなどがある。
【0028】
本明細書において、「炭素数1~30のアルコキシ」は、炭素数が1~30個である直鎖または分枝鎖アルコキシを意味し、炭素数が1~20個であることが望ましく、炭素数が1~10個であることがさらに望ましい。前記アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、1-エチルプロポキシなどがある。
【0029】
本明細書において、「炭素数3~30のシクロアルキル」は、炭素数が3~30個である単環(monocycle)または多環(polycycle)炭化水素を意味し、炭素数が3~20個であることが望ましく、炭素数が3~7個であることがさらに望ましい。前記シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどがある。
【0030】
本明細書において、「炭素数6~30のアリー(レン)」は、炭素数が6~30個である芳香族炭化水素由来の単環式または複素環式ラジカルを意味し、環骨格炭素数が6~20個であることが望ましく、炭素数が6~15個であることがさらに望ましい。前記アリールの例として、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、フルオレニル、フェナントリル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クライセニル、ナフタセニル、フルオランテニルなどがある。
【0031】
本明細書において、「(3~30員)ヘテロアリー(レン)」は、環骨格原子数が3~30個であり、B、N、O、S、P(=O)、Si、及びPからなる群から選択された1種以上のヘテロ原子を含むアリール基を意味する。ここで、環骨格原子数が3~20個であることが望ましく、環骨格原子数が3~15個であることがさらに望ましい。ヘテロ原子数は、望ましくは、1~4個であり、単環式であるか、1個以上のベンゼン環と縮合された複素環式であり、部分的に飽和されても良い。また、本明細書において、前記ヘテロアリールは、1種以上のヘテロアリール基またはアリール基が単一結合によってヘテロアリール基と連結された形態も含む。前記ヘテロアリールの例として、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、プラジャイル、ピリジル、ピラジンイル、ピリミジンイル、ピリダジンイルなどの単環式ヘテロアリールと、ベンゾフランイル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフランイル、ジベンゾフランイル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェノキサジンイル、フェナントリジンイル、ベンゾジオキソリルなどの複素環式ヘテロアリールがある。
【0032】
本明細書において、「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びI原子を含む。
【0033】
本明細書において、「(3~7員)ヘテロシクロアルキル」は、環骨格原子数が3~7個であり、B、N、O、S、P(=O)、Si、及びPからなる群から選択された1種以上のヘテロ原子、望ましくは、O、S及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むシクロアルキルを意味し、例えば、ピロリジン、オキサチオラン(oxathiolane)、テトラヒドロピランなどがある。
【0034】
一実施例によれば、前記化学式1の化合物において、R1からR4は、それぞれ独立して水素、ハロゲン原子、シアノ基、または非置換、またはハロゲン原子で置換された炭素数1~6のアルキル基であり、a、b、c及びdは、それぞれ0~2の整数である。
【0035】
一実施例によれば、前記化学式1の化合物において、R1からR4は、それぞれ独立して水素、メチル、トリフルオロメチル、F、Clまたはシアノ基であり、a、b、c及びdは、それぞれ0~2の整数である。
【0036】
一実施例によれば、前記化学式1のジアミン化合物は、下記構造式の化合物から選択されうるが、これに限定されるものではない:
【0037】
【0038】
一実施例によれば、前記化学式1のジアミン化合物は、下記構造式1から構造式16の化合物のうちから選択されうるが、これに限定されるものではない:
【0039】
【0040】
【0041】
前記のように、本発明のジアミン化合物は、分子内の両側にアミン基で置換されたフェニル環が位置し、中心にジフェニルスルフィド(-S-導入)を有する構造を有することにより、ポリイミド前駆体の重合成分として使用時に、硬化後、改善された耐熱性及び機械的特性を有し、向上した屈折率を付与することができる。
【0042】
本発明による化学式1のジアミン化合物の製造方法は、特に限定されず、当業者に公知の合成方法で製造し、例えば、下記反応式1によって製造することができる。
【0043】
[反応式1]
【0044】
【0045】
前記反応式1において、R1、R2、R3、R4、a、b、c及びdは、化学式1での定義と同一であり、Halは、ハロゲン原子である。
【0046】
前記反応式1の段階1は、反応化合物をN-メチルピロリドン、テトラヒドロフランのような溶媒中で180~220℃の高温で6~10時間、例えば、8時間反応させることで行われる。
【0047】
前記反応式1の段階2及び段階4は、還元反応としてPd/C触媒の存在下に水素ガスを注入して行い、この際、溶媒としては、エタノールなどが使われる。
【0048】
前記反応式1の段階3は、トリエチルアミン(TEA)のような塩基の存在下に反応化合物を100~130℃の高温で約20時間反応させることで行われ、この際、溶媒としては、トルエンが使われる。
【0049】
本発明は、また1種以上のジアミン化合物及び1種以上の酸二無水物(acid dianhydride)を含む重合成分を重合させて製造されるポリイミド前駆体(ポリアミド酸)であって、前記ジアミン化合物が、前記化学式1のジアミン化合物を含むポリイミド前駆体を提供する。前記ポリイミド前駆体のイミド化反応を行って、所望のポリイミドが得られる。
【0050】
前記重合反応に使われる酸無水物としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物が使われる。前記テトラカルボン酸二無水物は、例えば、分子内芳香族、脂環族または脂肪族の4価の有機基、または、これらの結合基として、脂肪族、脂環族または芳香族の4価の有機基が架橋構造を通じて互いに連結されたものを含むものである。テトラカルボン酸二無水物は、望ましくは、単環式または多環式芳香族、単環式または多環式脂環族、または、これらのうち2つ以上が単一結合または官能基で連結された構造を有するもの、または芳香族、脂環族などの環構造が単独または融合された(fused)複素環構造、または、これらのうち2つ以上が単一結合で連結された構造のような剛直な構造を含むものである。
【0051】
例えば、テトラカルボン酸二無水物は、下記化学式2aから化学式2eから選択される4価の有機基を含むものである:
【0052】
[化学式2a]
【0053】
【0054】
[化学式2b]
【0055】
【0056】
[化学式2c]
【0057】
【0058】
[化学式2d]
【0059】
【0060】
[化学式2e]
【0061】
【0062】
前記化学式2aから化学式2eにおいて、R11からR17は、それぞれ独立してF、Cl、Br及びIから選択されるハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基(-SH)、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲノアルコキシ基、炭素数1~10のハロゲノアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択されるものであり、a1は、0~2の整数、a2は、0~4の整数、a3は、0~8の整数、a4、a5、a6、a7、a8及びa9は、それぞれ独立して0~3の整数であり、A11及びA12は、それぞれ独立して単一結合、-O-、-CR'R''-(この際、R'及びR''は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基など)、及び炭素数1~10のハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基など)からなる群から選択されるものである)、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NH-、-S-、-SO-、-SO2-、-O[CH2CH2O]y-(yは、1~44の整数である)、-NH(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、炭素数6~18の単環式または多環式のシクロアルキレン基(例えば、シクロへキシレン基など)、炭素数6~18の単環式または多環式アリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基、フルオレニレン基など)、及びこれらの組合わせからなる群から選択されうる。
【0063】
前記テトラカルボン酸二無水物は、また下記化学式3aから化学式3nから選択される4価の有機基を含むものである:
【0064】
【0065】
前記化学式3aから化学式3nの4価の有機基内の1個以上の水素原子は、F、Cl、Br及びIから選択されるハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲノアルコキシ基、炭素数1~10のハロゲノアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される置換基で置換される。例えば、前記ハロゲン原子は、Fであり、ハロゲノアルキル基は、Fを含む炭素数1~10のフルオロアルキル基であって、フルオロメチル基、パーフルオロエチル基、トリフルオロメチル基などから選択されるものであり、前記アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基から選択されるものであり、前記アリール基は、フェニル基及びナフタレニル基から選択されるものであり、より望ましくは、F及びフルオロアルキル基などのFを含む置換基である。
【0066】
一実施例によれば、ポリイミド前駆体重合時に、前記化学式1のジアミン化合物の以外に、1種以上の追加のジアミン化合物がさらに使われるが、例えば、炭素数6~24の単環式または多環式芳香族の2価の有機基、炭素数6~18の単環式または多環式脂環族の2価の有機基、または、これらのうち2つ以上が単一結合や官能基で連結された構造を含むジアミン化合物を使用することができる。または、芳香族、脂環族などの環構造が単独または融合された複素環構造、または、これらのうち2つ以上が単一結合で連結された構造のような剛直な構造を含むジアミン化合物を使用することができる。
【0067】
例えば、前記追加のジアミン化合物は、下記化学式4aから化学式4eから選択される2価の有機基を含むものである:
【0068】
[化学式4a]
【0069】
【0070】
[化学式4b]
【0071】
【0072】
[化学式4c]
【0073】
【0074】
[化学式4d]
【0075】
【0076】
[化学式4e]
【0077】
【0078】
前記化学式4aから化学式4eにおいて、R21からR27は、それぞれ独立してF、Cl、Br及びIから選択されるハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲノアルコキシ基、炭素数1~10のハロゲノアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基からなる群から選択され、A21及びA22は、それぞれ独立して単一結合、-O-、-CR'R''-(この際、R'及びR''は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基など)、及び炭素数1~10のハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基など)からなる群から選択されるものである)、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NH-、-S-、-SO-、-SO2-、-O[CH2CH2O]y-(yは、1~44の整数である)、-NH(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、炭素数6~18の単環式または多環式のシクロアルキレン基(例えば、シクロへキシレン基など)、炭素数6~18の単環式または多環式のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基、フルオレニレン基など)、及びこれらの組合わせからなる群から選択され、b1は、0~4の整数であり、b2は、0~6の整数であり、b3は、0~3の整数であり、b4及びb5は、それぞれ独立して0~4の整数であり、b7及びb8は、それぞれ独立して0~4の整数であり、b6及びb9は、それぞれ独立して0~3の整数である。
【0079】
例えば、前記追加のジアミン化合物は、下記化学式5aから化学式5pから選択される2価の有機基を含むものである:
【化18】
。
【0080】
または、前記追加のジアミン化合物は、芳香族環または脂肪族構造が剛直な鎖構造を形成する2価の有機基を含むのであり、例えば、単環構造、それぞれの環が単一結合で結合された構造またはそれぞれの環が直接に融合された複素環構造を含む2価の有機基の構造を含みうる。
【0081】
本発明の一実施例によれば、テトラカルボン酸二無水物の総含量とジアミン化合物の含量は、1:1.1~1.1:1のmol比で反応し、望ましくは、反応性の向上及び工程性の向上のために、テトラカルボン酸二無水物の総含量がジアミン化合物に比べて過量で反応するか、またはジアミン化合物の含量がテトラカルボン酸二無水物の総含量に比べて過量で反応することが望ましい。
【0082】
本発明の一実施例によれば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物は、1:0.98~0.98:1、望ましくは、1:0.99~0.99:1のmol比で反応することが望ましい。
【0083】
前記重合反応は、溶液重合など通常のポリイミドまたはその前駆体の重合方法によって実施することができる。
【0084】
前記重合反応に使われる有機溶媒としては、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類(セロソルブ);酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルプロピオンアミド(dimethylpropionamide、DMPA)、ジエチルプロピオンアミド(diethylpropionamide、DEPA)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン(NEP)、N,N-ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチルウレア、N-メチルカプロラクタム、テトラヒドロフラン、m-ジオキサン、P-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス[2-(2-メトキシエトキシ)]エーテル、エクアミド(Equamide)M100(3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、Idemitsu Kosan Co.,Ltd.)、エクアミドB100(3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、Idemitsu Kosan Co.,Ltd.)などがあり、これらのうち、1種を単独で使用するか、2種以上の混合物で使用することができる。
【0085】
一実施例によれば、前記有機溶媒は、25℃で分配係数Log Pが正数であり、沸点が300℃以下であるもの、より具体的に、分配係数Log Pが0.01~3、または0.01~2、または0.01~1であるものである。前記分配係数は、例えば、ACD/Labs社のACD/Percepta platformのACD/Log P moduleを使用して計算することができ、ACD/Log P moduleは、分子の2D構造を用いてQSPR(Quantitative Structure-Property Relationship)方法論の基盤のアルゴリズムを利用する。
【0086】
前記分配係数Log Pが正数である溶媒は、疎水性の溶媒であることを意味するが、本発明者の研究によれば、分配係数Log Pが正数である特定溶媒を使用してポリイミド前駆体組成物を製造すれば、エッジバック(edge back)現象が改善されることが分かった。また、本発明は、前記のように分配係数Log Pが正数である溶媒を使用することにより、素材の表面張力及び塗膜の平滑性を調節する添加剤、例えば、レベリング剤(leveling agent)を使用せずとも、エッジバック現象を制御することができ、付加的な添加剤を使用しないので、最終生成物に低分子物質が含有されるなどの品質及び工程上の問題を回避するだけではなく、より効率的に均一な特性を有するポリイミドフィルムを形成しうる効果がある。
【0087】
例えば、ポリイミド前駆体組成物をガラス基板にコーティングする工程において、硬化時または湿度条件下にコーティング液を放置する場合、コーティング層の収縮によるエッジバック現象が発生する恐れがある。このようなエッジバック現象は、フィルムの厚さの偏差をもたらして、これによるフィルムの耐屈曲性の不足でフィルムが切られるか、カッティング時に、エッジが割れる現象が表われて、工程上の作業性が悪く、収率が低下する問題が発生する恐れがある。
【0088】
また、基板に塗布されたポリイミド前駆体組成物に極性を有する微細異物が流入される場合、分配係数Log Pが負数である極性溶媒を含むポリイミド前駆体組成物では、前記極性異物によって異物の位置を基準に散発的なコーティングの亀裂または厚さ変化が起こりうるが、分配係数Log Pが正数である疎水性の溶媒を使用する場合には、極性を有する微細異物が流入される場合にも、コーティングの亀裂による厚さ変化などの発生が減少または抑制される。
【0089】
具体的に、Log Pが正数である溶媒を含むポリイミド前駆体組成物は、下記式1で定義されるエッジバック率(edge back ratio)が0~0.1%以下である。
【0090】
[式1]
【0091】
エッジバック率(%)=[(A-B)/A]Х100
【0092】
前記式1において、Aは、基板(100mmХ100mm)上にポリイミド前駆体組成物が完全にコーティングされた状態での面積であり、Bは、ポリイミド前駆体組成物またはポリイミドフィルムがコーティングされた基板の縁部の先端からエッジバック現象が発生した後の面積である。
【0093】
このようなポリイミド前駆体組成物及びポリイミドフィルムのエッジバック現像は、ポリイミド前駆体組成物溶液をコーティングした後、30分以内に発生し、特に、縁部から巻き込まれ始めることにより、縁部の厚さを厚くする。
【0094】
ポリイミド前駆体組成物を基板にコーティングした後、例えば、10分以上、例えば、40分以上の間に、20~30℃の温度及び40%以上の湿度条件、より具体的には、40~80%の湿度条件、すなわち、40%、50%、60%、70%及び80%のそれぞれの湿度条件に放置された以後にも、0.1%以下の非常に小さなエッジバック率を示し、望ましくは、0.05%、より望ましくは、ほぼ0%に近いエッジバック率を示すことができる。
【0095】
前記のようなエッジバック率は、熱処理による硬化以後にも保持されるものであって、具体的には、0.05%、より望ましくは、ほぼ0%に近いエッジバック率を示すことができる。
【0096】
本発明によるポリイミド前駆体組成物は、このようなエッジバック現象を解決することにより、より均一な特性を有するポリイミドフィルムを収得することができて、製造工程の収率を向上させうる。
【0097】
また、前記重合反応に使われる溶媒は、ASTM D1475の標準測定方法で測定した密度が1g/cm3以下であり、密度が1g/cm3以上である場合には、相対粘度が高くなって、工程上の効率性が減少する。
【0098】
前記重合反応は、不活性ガスまたは窒素気流下に実施することができ、無水条件で実行することができる。
【0099】
前記重合反応は、-20~80℃、望ましくは、0~80℃で実施することができる。重合反応温度が過度に高い場合、反応性が高くなって、分子量が大きくなり、前駆体組成物の粘度が上昇することにより、工程上不利である。
【0100】
ポリアミド酸を含むポリイミド前駆体組成物は、有機溶媒に溶解された溶液の形態であり、このような形態を有する場合、例えば、ポリイミド前駆体を有機溶媒中で合成した場合には、溶液は、得られる反応溶液自体でも良く、または、この反応溶液を他の溶媒で希釈したものであっても良い。また、ポリイミド前駆体を固形粉末として得た場合には、それを有機溶媒に溶解させて溶液にしたものであっても良い。
【0101】
一実施例によれば、全体ポリイミド前駆体の含量が8~25重量%になるように、有機溶媒を添加して組成物の含量を調節し、望ましくは、10~25重量%、より望ましくは、10~20重量%以下に調節することができる。または、前記ポリイミド前駆体組成物が3,000cP以上10,000cP以下の粘度を有するように調節し、望ましくは、4,000cP以上9,000cP以下、より望ましくは、4,000cP以上8,000cP以下の粘度を有するように調節することが望ましい。ポリイミド前駆体組成物の粘度が10,000cPを超過する場合、ポリイミドフィルム加工時に、脱泡の効率性が低下することにより、工程上の効率が不良であるだけではなく、製造されたフィルムは、気泡発生で表面粗度が不良であって、電気的、光学的及び機械的特性が低下する。
【0102】
本発明は、また、前記ポリイミド前駆体組成物を化学的または熱的イミド化の方法を用いてイミド化させることにより、製造された透明ポリイミドフィルムを提供する。
【0103】
前記ポリイミドフィルムは、一実施例として、前記ポリイミド前駆体組成物をキャリア基板上に塗布する段階;及び塗布されたポリイミド前駆体組成物を加熱及び硬化する段階;を含む方法で製造することができる。
【0104】
この際、前記キャリア基板としては、ガラス、金属基板またはプラスチック基板などが特に制限なしに使われ、そのうちでも、ポリイミド前駆体に対するイミド化及び硬化工程中の熱及び化学的安定性に優れ、別途の離型剤処理なしでも、硬化後、形成されたポリイミド系フィルムに対して損傷なしに容易に分離されるガラス基板が望ましい。
【0105】
また、前記塗布工程は、通常の塗布方法によって実施し、具体的には、スピンコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法、エアナイフ法、グラビア法、リバースロール法、キスロール法、ドクターブレード法、スプレー法、浸漬法またはブラシ法などが用いられうる。そのうちでも、連続工程が可能であり、ポリイミドのイミド化率を増加させることができるキャスティング法によって実施されることがより望ましい。
【0106】
また、前記ポリイミド前駆体組成物は、最終的に製造されるポリイミドフィルムがディスプレイ基板用として適した厚さを有させる量で、例えば、10~30μmの厚さにする量で基板に塗布されうる。
【0107】
前記ポリイミド前駆体組成物の塗布後、硬化工程に先立って、ポリイミド前駆体組成物内に存在する溶媒を除去するための乾燥工程が選択的にさらに実施することができる。
【0108】
前記乾燥工程は、通常の方法によって実施し、140℃以下の温度、例えば、80~140℃で実施することができる。乾燥工程の実施温度が80℃未満であれば、乾燥工程が長くなり、140℃を超過する場合、イミド化が急激に進行して、均一な厚さのポリイミドフィルムの形成が困難である。
【0109】
前記基板に塗布されたポリイミド前駆体組成物は、IRオーブンや熱風オーブン内で、またはホットプレート上で熱処理され、この際、前記熱処理は、280~500℃、望ましくは、300~450℃で行い、前記温度範囲内で多段階加熱処理で進行することもできる。前記熱処理工程は、20~70分間進行し、望ましくは、20~60分間進行しうる。
【0110】
前記のように製造されたポリイミドフィルムの硬化直後、残留応力は、40MPa以下であり、前記ポリイミドフィルムを25℃及び50%の湿度条件で3時間放置した後の残留応力変化値が5MPa以下である。
【0111】
前記ポリイミドフィルムの黄色度は、15以下であり、望ましくは、13以下である。また、前記ポリイミドフィルムのヘイズ(Haze)は、2%以下であり、望ましくは、1%以下である。
【0112】
また、前記ポリイミドフィルムの450nmでの透過率は、75%以上であり、550nmでの透過率は、85%以上であり、630nmでの透過率は、90%以上である。
【0113】
前記ポリイミドフィルムは、耐熱性が高く、例えば、質量減少が1%起こる熱分解温度(Td_1%)が、500℃以上である。
【0114】
前記のように製造されたポリイミドフィルムは、モジュラス(弾性率)が0.1~4GPaである。前記モジュラスが0.1GPa未満であれば、フィルムの剛性が低くて、外部衝撃に容易に壊れやすく、前記モジュラスが4GPaを超過すれば、カバーレイフィルムの剛性は優れているが、十分な柔軟性を確保することができない問題が発生する恐れがある。
【0115】
また、前記ポリイミドフィルムの延伸率は、20%以上、望ましくは、50%以上であり、引張強度は、130MPa以上、望ましくは、140MPa以上である。
【0116】
また、本発明によるポリイミドフィルムは、温度変化による熱安定性に優れ、例えば、100~350℃の温度範囲で加熱及び冷却工程をn+1回経た後の熱膨張係数が、-10~100ppm/℃、望ましくは、-7~90ppm/℃、より望ましくは、80ppm/℃以下である(この際、nは、0以上の整数)。
【0117】
また、本発明によるポリイミドフィルムは、厚さ方向位相差(Rth)が-150~+150nmの値、望ましくは、-130~+130nmの値を有することにより、光学的等方性を示して、視感性が向上する。
【0118】
一実施例によれば、前記ポリイミドフィルムは、キャリア基板との接着力が5gf/in以上であり、望ましくは、10gf/in以上である。
【0119】
本発明は、さらに前記ポリイミドフィルムを基板として含むフレキシブルデバイスを提供する。
【0120】
前記フレキシブルデバイスは、一実施例として、前記ポリイミド前駆体組成物をキャリア基板に塗布した後、加熱して製造されたポリイミドフィルム上に素子を形成する段階;及び前記素子が形成されたポリイミドフィルムを前記キャリア基板から剥離する段階;を含む方法で製造することができる。
【0121】
前記フレキシブルデバイスは、例えば、薄膜トランジスタ、液晶ディスプレイ(LCD)、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、ICカードなどである。
【0122】
以下、当業者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明する。しかし、本発明は、さまざまな異なる形態として具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0123】
<合成例1>化合物1の製造
【0124】
【0125】
化合物1-1の製造
【0126】
4-フルオロニトロベンゼン(60g、425mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(16g、212mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(300mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(600mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(400mL)に溶解させ、水(400mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(450mL)を使用して再結晶化して、化合物1-1を49g(収率85%)得た。
【0127】
化合物1-2の製造
【0128】
化合物1-1(49g、177mmol)と3重量%(化合物1-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(300mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(86mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(590mL)を入れ、セライト(Celite)で濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物1-2を24g(収率65%)得た。
【0129】
化合物1-3の製造
【0130】
化合物1-2(24g、111mmol)と4-ニトロベンゾイルクロリド(43g、233mmol)とをトルエン溶媒(300mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(44g、444mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(400mL)を使用して再結晶化して、化合物1-3を42g(収率75%)得た。
【0131】
化合物1の製造
【0132】
化合物1-3(42g、81mmol)と3重量%(化合物1-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(300mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(39mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(350mL)を使用して再結晶化して、化合物1を25g(収率70%)得た。
【0133】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C26H22N4O2S(M+):454.1463;found:454.1461
【0134】
<合成例2>化合物2の製造
【0135】
【0136】
化合物2-1の製造
【0137】
2-クロロ-5-ニトロトルエン(60g、350mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(13g、175mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(300mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(600mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(550mL)に溶解させ、水(550mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(480mL)を使用して再結晶化して、化合物2-1を43g(収率82%)得た。
【0138】
化合物2-2の製造
【0139】
化合物2-1(43g、141mmol)と3重量%(化合物2-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(440mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(68mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(500mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(330mL)を使用して再結晶化して、化合物2-2を23g(収率68%)得た。
【0140】
化合物2-3の製造
【0141】
化合物2-2(23g、94mmol)と4-ニトロベンゾイルクロリド(36g、197mmol)とをトルエン溶媒(350mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(38g、376mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(420mL)を使用して再結晶化して、化合物2-3を40g(収率80%)得た。
【0142】
化合物2の製造
【0143】
化合物2-3(40g、73mmol)と3重量%(化合物2-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(340mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(35mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(500mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物2を26g(収率75%)得た。
【0144】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C28H26N4O2S(M+):482.1776;found:482.1779
【0145】
<合成例3>化合物3の製造
【0146】
【0147】
化合物3-1の製造
【0148】
2-クロロ-5-ニトロベンゾトリフルオリド(60g、266mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(10g、133mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(460mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(920mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(550mL)に溶解させ、水(550mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(460mL)を使用して再結晶化して、化合物3-1を45g(収率83%)得た。
【0149】
化合物3-2の製造
【0150】
化合物3-1(45g、109mmol)と3重量%(化合物3-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(360mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(53mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(410mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(320mL)を使用して再結晶化して、化合物3-2を26g(収率69%)得た。
【0151】
化合物3-3の製造
【0152】
化合物3-2(26g、73mmol)と4-ニトロベンゾイルクロリド(28g、155mmol)とをトルエン溶媒(370mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(29g、295mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(430mL)を使用して再結晶化して、化合物3-3を39g(収率83%)得た。
【0153】
化合物3の製造
【0154】
化合物3-3(39g、59mmol)と3重量%(化合物3-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(29mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(380mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物3を27g(収率77%)得た。
【0155】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C28H20F6N4O2S(M+):590.1211;found:590.1210
【0156】
<合成例4>化合物4の製造
【0157】
【0158】
化合物4-1の製造
【0159】
4-ニトロベンゼンチオール(30g、193mmol)、2-クロロ-5-ニトロトルエン(33g、193mmol)と炭酸カルシウム(32g)とをジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒(400mL)で190℃で6時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(800mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(460mL)に溶解させ、水(460mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(500mL)を使用して再結晶化して、化合物4-1を53g(収率95%)得た。
【0160】
化合物4-2の製造
【0161】
化合物4-1(53g、182mmol)と3重量%(化合物4-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(420mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(88mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(340mL)を使用して再結晶化して、化合物4-2を27g(収率66%)得た。
【0162】
化合物4-3の製造
【0163】
化合物4-2(27g、117mmol)と4-ニトロベンゾイルクロリド(45g、246mmol)とをトルエン溶媒(400mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(47g、469mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(480mL)を使用して再結晶化して、化合物4-3を47g(収率76%)得た。
【0164】
化合物4の製造
【0165】
化合物4-3(47g、88mmol)と3重量%(化合物4-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(43mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物4を30g(収率74%)得た。
【0166】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C27H24N4O2S(M+):468.1620;found:468.1622
【0167】
<合成例5>化合物5の製造
【0168】
【0169】
化合物5-1の製造
【0170】
4-ニトロベンゼンチオール(25g、161mmol)、2-クロロ-5-ニトロベンゾトリフルオリド(36g、161mmol)と炭酸カルシウム(26g)とをジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒(350mL)で190℃で6時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(700mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(600mL)に溶解させ、水(600mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(550mL)を使用して再結晶化して、化合物5-1を54g(収率98%)得た。
【0171】
化合物5-2の製造
【0172】
化合物5-1(54g、156mmol)と3重量%(化合物5-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(490mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(76mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(500mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物5-2を29g(収率67%)得た。
【0173】
化合物5-3の製造
【0174】
化合物5-2(29g、102mmol)と4-ニトロベンゾイルクロリド(39g、214mmol)とをトルエン溶媒(400mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(41g、408mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(450mL)を使用して再結晶化して、化合物5-3を48g(収率82%)得た。
【0175】
化合物5の製造
【0176】
化合物5-3(48g、82mmol)と3重量%(化合物5-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(500mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(40mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(500mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(360mL)を使用して再結晶化して、化合物5を34g(収率80%)得た。
【0177】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C27H21F3N4O2S(M+):522.1337;found:522.1334
【0178】
<合成例6>化合物6の製造
【0179】
【0180】
化合物6-1の製造
【0181】
4-ニトロベンゼンチオール(30g、193mmol)、2-クロロ-5-ニトロベンゾニトリル(35g、193mmol)と炭酸カルシウム(32g)とをジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒(400mL)で190℃で6時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(800mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(600mL)に溶解させ、水(600mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(500mL)を使用して再結晶化して、化合物6-1を51g(収率89%)得た。
【0182】
化合物6-2の製造
【0183】
化合物6-1(51g、169mmol)と3重量%(化合物6-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(500mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(82mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(500mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物6-2を26g(収率65%)得た。
【0184】
化合物6-3の製造
【0185】
化合物6-2(26g、107mmol)と4-ニトロベンゾイルクロリド(41g、226mmol)とをトルエン溶媒(400mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(43g、431mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(400mL)を使用して再結晶化して、化合物6-3を44g(収率76%)得た。
【0186】
化合物6の製造
【0187】
化合物6-3(44g、81mmol)と3重量%(化合物6-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(39mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(500mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物6を25g(収率65%)得た。
【0188】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C27H21N5O2S(M+):479.1416;found:479.1420
【0189】
<合成例7>化合物7の製造
【0190】
【0191】
化合物7-1の製造
【0192】
4-フルオロニトロベンゼン(60g、425mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(16g、212mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(400mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(800mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(500mL)を使用して再結晶化して、化合物7-1を49g(収率85%)得た。
【0193】
化合物7-2の製造
【0194】
化合物7-1(49g、177mmol)と3重量%(化合物7-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(450mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(86mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物7-2を24g(収率65%)得た。
【0195】
化合物7-3の製造
【0196】
化合物7-2(24g、111mmol)と2-メチル-4-ニトロベンゾイルクロリド(46g、233mmol)とをトルエン溶媒(300mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(44g、444mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(450mL)を使用して再結晶化して、化合物7-3を46g(収率78%)得た。
【0197】
化合物7の製造
【0198】
化合物7-3(46g、84mmol)と3重量%(化合物7-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(500mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(41mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物7を29g(収率73%)得た。
【0199】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C28H26N4O2S(M+):482.1776;found:482.1777
【0200】
<合成例8>化合物8の製造
【0201】
【0202】
化合物8-1の製造
【0203】
4-フルオロニトロベンゼン(40g、283mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(11g、141mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(400mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(800mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(400mL)を使用して再結晶化して、化合物8-1を33g(収率85%)得た。
【0204】
化合物8-2の製造
【0205】
化合物8-1(33g、119mmol)と3重量%(化合物8-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(380mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(58mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(250mL)を使用して再結晶化して、化合物8-2を16g(収率65%)得た。
【0206】
化合物8-3の製造
【0207】
化合物8-2(16g、74mmol)と4-ニトロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(39g、155mmol)とをトルエン溶媒(400mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(29g、296mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(400mL)を使用して再結晶化して、化合物8-3を39g(収率82%)得た。
【0208】
化合物8の製造
【0209】
化合物8-3(39g、59mmol)と3重量%(化合物8-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(29mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(250mL)を使用して再結晶化して、化合物8を28g(収率80%)得た。
【0210】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C28H20F6N4O2S(M+):590.1211;found:590.1210
【0211】
<合成例9>化合物9の製造
【0212】
【0213】
化合物9-1の製造
【0214】
4-フルオロニトロベンゼン(50g、354mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(13g、177mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(300mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(600mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(400mL)を使用して再結晶化して、化合物9-1を41g(収率85%)得た。
【0215】
化合物9-2の製造
【0216】
化合物9-1(41g、148mmol)と3重量%(化合物9-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(72mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(260mL)を使用して再結晶化して、化合物9-2を20g(収率65%)得た。
【0217】
化合物9-3の製造
【0218】
化合物9-2(20g、92mmol)と3-フルオロ-4-ニトロベンゾイルクロリド(39g、194mmol)とをトルエン溶媒(400mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(37g、370mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(400mL)を使用して再結晶化して、化合物9-3を40g(収率80%)得た。
【0219】
化合物9の製造
【0220】
化合物9-3(40g、72mmol)と3重量%(化合物9-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(35mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物9を27g(収率77%)得た。
【0221】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C26H20F2N4O2S(M+):490.1275;found:490.1271
【0222】
<合成例10>化合物10の製造
【0223】
【0224】
化合物10-1の製造
【0225】
4-フルオロニトロベンゼン(40g、283mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(14g、141mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(400mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(800mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(350mL)を使用して再結晶化して、化合物10-1を33g(収率85%)得た。
【0226】
化合物10-2の製造
【0227】
化合物10-1(33g、119mmol)と3重量%(化合物10-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(370mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(58mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(230mL)を使用して再結晶化して、化合物10-2を16g(収率65%)得た。
【0228】
化合物10-3の製造
【0229】
化合物10-2(16g、74mmol)と2-クロロ-4-ニトロベンゾイルクロリド(34g、155mmol)とをトルエン溶媒(350mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(29g、296mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物10-3を31g(収率74%)得た。
【0230】
化合物10の製造
【0231】
化合物10-3(31g、53mmol)と3重量%(化合物10-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(320mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(25mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(300mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(260mL)を使用して再結晶化して、化合物10を20g(収率72%)得た。
【0232】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C26H20Cl2N6O2S(M+):522.0684;found:522.0685
【0233】
<合成例11>化合物11の製造
【0234】
【0235】
化合物11-1の製造
【0236】
4-フルオロニトロベンゼン(40g、283mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(11g、141mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(370mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(740mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(450mL)に溶解させ、水(450mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物11-1を33g(収率85%)得た。
【0237】
化合物11-2の製造
【0238】
化合物11-1(33g、119mmol)と3重量%(化合物11-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(350mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(58mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(300mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(240mL)を使用して再結晶化して、化合物11-2を16g(収率65%)得た。
【0239】
化合物11-3の製造
【0240】
化合物11-2(16g、74mmol)と3,5-ジメチル-4-ニトロベンゾイルクロリド(33g、155mmol)とをトルエン溶媒(350mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(29g、296mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(360mL)を使用して再結晶化して、化合物11-3を33g(収率80%)得た。
【0241】
化合物11の製造
【0242】
化合物11-3(33g、57mmol)と3重量%(化合物11-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(410mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(28mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(310mL)を使用して再結晶化して、化合物11を22g(収率77%)得た。
【0243】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C30H30N4O2S(M+):510.2089 found:510.2090
【0244】
<合成例12>化合物12の製造
【0245】
【0246】
化合物12-1の製造
【0247】
2-クロロ-5-ニトロトルエン(60g、350mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(13g、175mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(460mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(920mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(470mL)を使用して再結晶化して、化合物12-1を43g(収率81%)得た。
【0248】
化合物12-2の製造
【0249】
化合物12-1(43g、141mmol)と3重量%(化合物12-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(430mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(68mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(260mL)を使用して再結晶化して、化合物12-2を23g(収率68%)得た。
【0250】
化合物12-3の製造
【0251】
化合物12-2(23g、94mmol)と2-メチル-4-ニトロベンゾイルクロリド(39g、197mmol)とをトルエン溶媒(380mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(38g、376mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(420mL)を使用して再結晶化して、化合物12-3を43g(収率81%)得た。
【0252】
化合物12の製造
【0253】
化合物12-3(43g、75mmol)と3重量%(化合物12-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(390mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(36mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物12を29g(収率77%)得た。
【0254】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C30H30N4O2S(M+):510.2089;found:510.2093
【0255】
<合成例13>化合物13の製造
【0256】
【0257】
化合物13-1の製造
【0258】
2-クロロ-5-ニトロトルエン(50g、292mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(11g、146mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(370mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(740mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(330mL)を使用して再結晶化して、化合物13-1を36g(収率81%)得た。
【0259】
化合物13-2の製造
【0260】
化合物13-1(36g、118mmol)と3重量%(化合物13-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(350mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(57mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(220mL)を使用して再結晶化して、化合物13-2を19g(収率68%)得た。
【0261】
化合物13-3の製造
【0262】
化合物13-2(19g、77mmol)と4-ニトロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(41g、163mmol)とをトルエン溶媒(380mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(31g、311mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(400mL)を使用して再結晶化して、化合物13-3を43g(収率83%)得た。
【0263】
化合物13の製造
【0264】
化合物13-3(43g、63mmol)と3重量%(化合物13-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(30mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物13を31g(収率81%)得た。
【0265】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C30H24F6N4O2S(M+):618.1524;found:618.1521
【0266】
<合成例14>化合物14の製造
【0267】
【0268】
化合物14-1の製造
【0269】
2-クロロ-5-ニトロベンゾトリフルオリド(50g、222mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(8g、111mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(460mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(920mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(380mL)を使用して再結晶化して、化合物14-1を37g(収率83%)得た。
【0270】
化合物14-2の製造
【0271】
化合物14-1(37g、89mmol)と3重量%(化合物14-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(43mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(220mL)を使用して再結晶化して、化合物14-2を21g(収率69%)得た。
【0272】
化合物14-3の製造
【0273】
化合物14-2(21g、59mmol)と4-ニトロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(31g、125mmol)とをトルエン溶媒(300mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(24g、238mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(350mL)を使用して再結晶化して、化合物14-3を38g(収率83%)得た。
【0274】
化合物14の製造
【0275】
化合物14-3(38g、48mmol)と3重量%(化合物14-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(23mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(350mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(260mL)を使用して再結晶化して、化合物14を28g(収率82%)得た。
【0276】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C30H18F12N4O2S(M+):726.0959;found:726.0960
【0277】
<合成例15>化合物15の製造
【0278】
【0279】
化合物15-1の製造
【0280】
3-ニトロベンゼンチオール(25g、161mmol)、1-クロロ-3-ニトロベンゼン(25g、161mmol)と炭酸カルシウム(26g)とをジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒(300mL)で190℃で6時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(600mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(380mL)を使用して再結晶化して、化合物15-1を40g(収率90%)得た。
【0281】
化合物15-2の製造
【0282】
化合物15-1(40g、144mmol)と3重量%(化合物15-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(300mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(70mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(200mL)を使用して再結晶化して、化合物15-2を20g(収率66%)得た。
【0283】
化合物15-3の製造
【0284】
化合物15-2(20g、95mmol)と4-ニトロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(49g、194mmol)とをトルエン溶媒(450mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(37g、370mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(460mL)を使用して再結晶化して、化合物15-3を47g(収率79%)得た。
【0285】
化合物15の製造
【0286】
化合物15-3(47g、72mmol)と3重量%(化合物15-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(440mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(35mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物15を31g(収率75%)得た。
【0287】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C28H20F6N4O2S(M+):590.1211;found:590.1212
【0288】
<合成例16>化合物16の製造
【0289】
【0290】
化合物16-1の製造
【0291】
4-フルオロニトロベンゼン(50g、354mmol)と硫化ナトリウム(Na2S)(13g、177mmol)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒(400mL)で200℃で8時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水(800mL)を注ぎ、生成された固体を濾過した。該濾過された固体を酢酸エチル(500mL)に溶解させ、水(500mL)を使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(380mL)を使用して再結晶化して、化合物16-1を41g(収率85%)得た。
【0292】
化合物16-2の製造
【0293】
化合物16-1(41g、148mmol)と3重量%(化合物16-1の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(390mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(72mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(200mL)を使用して再結晶化して、化合物16-2を20g(収率65%)得た。
【0294】
化合物16-3の製造
【0295】
化合物16-2(20g、95mmol)と3-ニトロベンゾイルクロリド(35g、194mmol)とをトルエン溶媒(360mL)で撹拌させながら、常温で前記反応物にトリエチルアミン(TEA)(37g、370mmol)を滴加した後、120℃で20時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物を常温に冷やし、水と酢酸エチル(1:1)とを使用して抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸留装置を通じて溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(300mL)を使用して再結晶化して、化合物16-3を36g(収率76%)得た。
【0296】
化合物16の製造
【0297】
化合物16-3(36g、70mmol)と3重量%(化合物16-3の重量基準)のPd/C触媒とをエタノール溶媒(400mL)で撹拌させた後、この撹拌液に常温で80%ヒドラジン溶液(34mL)を徐々に滴加した後、100℃で12時間加熱撹拌させた。撹拌後、反応物にテトラヒドロフラン溶媒(400mL)を入れ、セライトで濾過して触媒を除去した。減圧蒸留装置を通じて濾過液中の溶媒を乾燥させた。乾燥後、エタノール溶媒(200mL)を使用して再結晶化して、化合物16を22g(収率72%)得た。
【0298】
HR LC/MS/MS m/z calcd for C26H22N4O2S(M+):454.1463;found:454.1460
【0299】
<実施例1>
【0300】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(N,N-ジエチルアセトアミド)(225mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例1から製造されたジアミン化合物1 45g(0.055mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物1が添加された溶液に酸無水物としてBPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)16g(0.055mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0301】
【0302】
<実施例2>
【0303】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(130mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例2から製造されたジアミン化合物2 26g(0.054mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物2が添加された溶液に酸無水物としてBPDA 15g(0.054mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0304】
【0305】
<実施例3>
【0306】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(150mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例3から製造されたジアミン化合物3 27g(0.046mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物3が添加された溶液に酸無水物としてBPDA 13g(0.046mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0307】
【0308】
<実施例4>
【0309】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(140 mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例8から製造されたジアミン化合物8 28g(0.047mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物8が添加された溶液に酸無水物としてBPDA 13g(0.047mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0310】
<実施例5>
【0311】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(100mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例10から製造されたジアミン化合物10 20g(0.038mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物10が添加された溶液に酸無水物としてBPDA 11g(0.038mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0312】
<実施例6>
【0313】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(140mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例14から製造されたジアミン化合物14 28g(0.038mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物14が添加された溶液に酸無水物としてBPDA 11g(0.038mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0314】
<実施例7>
【0315】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(130mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例2から製造されたジアミン化合物2 26g(0.053mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物2が添加された溶液に酸無水物としてPMDA(ピロメリト酸二無水物)11g(0.053mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0316】
【0317】
<実施例8>
【0318】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(140mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例8から製造されたジアミン化合物8 28g(0.047mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物8が添加された溶液に酸無水物としてPMDA 10g(0.047mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0319】
【0320】
<実施例9>
【0321】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(100mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態で前記合成例10から製造されたジアミン化合物10 20g(0.034mol)を同じ温度で添加して溶解させた。前記化合物10が添加された溶液に酸無水物としてPMDA 7g(0.034mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0322】
【0323】
<比較例1>
【0324】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(30mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態でジアミン化合物としてPDA(p-フェニレンジアミン)6g(0.063mol)を同じ温度で添加して溶解させた。PDAが添加された溶液に酸無水物としてBPDA 18g(0.063mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0325】
【0326】
<比較例2>
【0327】
窒素気流が流れる撹拌機内に有機溶媒DEAc(110mL)を満たした後、反応器の温度を25℃に保持した状態でジアミン化合物としてTFMB(2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)22g(0.071mol)を同じ温度で添加して溶解させた。TFMBが添加された溶液に酸無水物としてPMDA 15g(0.071mol)を同じ温度で添加して24時間撹拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0328】
【0329】
<比較例3>
【0330】
実施例1と同じ工程を行うが、ジアミン化合物1の代わりに分子の両側に-NH-(C=O)-が置換されたフェニル環が結合されていない下記の対照化合物Cを使用して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0331】
【0332】
<実験例1>
【0333】
実施例1から実施例9及び比較例1から比較例3から製造されたそれぞれのポリイミド前駆体組成物(溶液)をガラス基板上にスピンコーティングした。それぞれのポリイミド前駆体溶液が塗布されたガラス基板をオーブンに入れ、5℃/mnの速度で加熱し、80℃で30分、300℃で30分を保持して硬化工程を進行して、それぞれのポリイミドフィルムを製造した。
【0334】
<ポリイミドフィルムの性能評価>
【0335】
1.黄色度(YI)
【0336】
黄色度(YI)は、Color Eye 7000Aで測定した。
【0337】
2.透過度
【0338】
透過度は、JIS K 7105に基づいて透過率計(モデル名:HR-100、Murakami Color Research Laboratory製造)で550nmの波長に対する透過度を測定した。
【0339】
3.屈折率
【0340】
前記実験例1から製造されたそれぞれのポリイミドフィルムを剥離して、プリズムカプラー測定装備を用いて532nmの波長で屈折率を測定した。
【0341】
4.ガラス転移温度(Tg)
【0342】
前記実験例1から得たそれぞれのポリイミドフィルムを5x20mmのサイズの試験片として準備した後、TMA(thermomechanical analyzer)(TA Instruments社のQ400)のアクセサリーを用いてローディングした。100~350℃の温度範囲で5℃/minの昇温速度で1次昇温工程を進行した後、350~100℃の温度範囲で4℃/minの冷却速度で冷却(cooling)工程を進行し、2次昇温工程で昇温区間から見られる変曲点をTgとした。
【0343】
ポリイミドフィルムの黄色度、透過度、屈折率及びTg値を下記表1に示した。
【0344】
【0345】
前記表1から分かるように、本発明による新規なジアミン化合物を含むポリイミド前駆体組成物を使用して製造されたポリイミドフィルム(実施例1から実施例9)は、同じ酸無水物を使用するが、本発明のジアミン化合物とは異なる構造のジアミン化合物を使用して製造された比較例1から比較例3のポリイミドフィルムに比べて、全般的に光透過度及び黄色度に優れ、屈折率が向上したということが分かる。
【0346】
以上、本発明の内容の特定の部分を多様な実施形態を通じて詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的記述は、単に望ましい実施形態に過ぎず、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。