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特許7193267CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法
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  • 特許-CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法 図1
  • 特許-CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法 図2A
  • 特許-CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法 図2B
  • 特許-CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法 図2C
  • 特許-CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法 図2D
  • 特許-CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法 図3
  • 特許-CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】CZ半導体ボディを含む半導体装置およびCZ半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/739 20060101AFI20221213BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01L29/78 655B
H01L21/324 X
H01L29/78 658A
H01L29/78 657D
H01L29/91 C
H01L29/78 652H
H01L29/78 658Z
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018152796
(22)【出願日】2018-08-15
(65)【公開番号】P2019062189
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10 2017 118 975.0
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スシティー, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】エーフナー, ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ, ハンス-ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーベン, トーマス
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/151077(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/089256(WO,A1)
【文献】特開2011-054655(JP,A)
【文献】特開平06-168887(JP,A)
【文献】特開2016-111337(JP,A)
【文献】特開2008-177296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/868
H01L 29/861
H01L 21/329
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理によりCZ半導体ボディの第1の部分中の酸素の濃度を低減することであって、前記第1の部分は前記半導体ボディの第1の面に隣接する、酸素の濃度を低減することと、
前記第1の面において前記半導体ボディを処理することと、
前記第1の面に対向する第2の面において前記半導体ボディを薄くすることにより前記半導体ボディの厚さを低減することと、
その後、前記第2の面を介した陽子注入と前記半導体ボディのアニーリングとにより前記半導体ボディ内に電界停止区域を形成することであって、前記電界停止区域は前記CZ半導体ボディの前記第1の部分内に少なくとも部分的に形成される、電界停止区域を形成することと、を含み、
前記熱処理は前記第1の面における前記半導体ボディの前記処理の少なくとも一部である、半導体装置を製造する方法。
【請求項2】
熱処理によりCZ半導体ボディの第1の部分中の酸素の濃度を低減することであって、前記第1の部分は前記半導体ボディの第1の面に隣接する、酸素の濃度を低減することと、
前記第1の面において前記半導体ボディを処理することと、
前記第1の面に対向する第2の面において前記半導体ボディを薄くすることにより前記半導体ボディの厚さを低減することと、
その後、前記第2の面を介した陽子注入と前記半導体ボディのアニーリングとにより前記半導体ボディ内に電界停止区域を形成することであって、前記電界停止区域は前記CZ半導体ボディの前記第1の部分内に少なくとも部分的に形成される、電界停止区域を形成することと、を含み、
前記熱処理は1120℃未満の温度における熱酸化処理を含む、半導体装置を製造する方法。
【請求項3】
熱処理によりCZ半導体ボディの第1の部分中の酸素の濃度を低減することであって、前記第1の部分は前記半導体ボディの第1の面に隣接する、酸素の濃度を低減することと、
前記第1の面において前記半導体ボディを処理することと、
前記第1の面に対向する第2の面において前記半導体ボディを薄くすることにより前記半導体ボディの厚さを低減することと、
その後、前記第2の面を介した陽子注入と前記半導体ボディのアニーリングとにより前記半導体ボディ内に電界停止区域を形成することであって、前記電界停止区域は前記CZ半導体ボディの前記第1の部分内に少なくとも部分的に形成される、電界停止区域を形成することと、を含み、
前記電界停止区域は前記第2の面から様々な垂直方向距離にドーピングピークを含み
前記電界停止区域の前記ドーピングピークのうちの前記第2の面から最大垂直方向距離を有する前記ドーピングピークにおける酸素濃度は、前記電界停止区域の前記ドーピングピークのうちの前記第2の面から最小垂直方向距離を有する前記ドーピングピークにおける酸素濃度の98%より小さく設定される、半導体装置を製造する方法。
【請求項4】
前記CZ半導体ボディは磁気CZ(MCZ)半導体ボディである、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体ボディの厚さは20μm~300μmの範囲内の目標厚さまで低減される、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理は1000℃~1300℃の温度範囲内の熱処理温度を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱処理は5時間~300時間の間実行される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理の少なくとも一部は、前記第1の面において前記半導体ボディを処理する過程のいかなるイオン注入処理よりも前に実行される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記熱処理の少なくとも一部期間中の周囲気体は不活性である、または10%未満の酸素レベルを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理前に前記半導体ボディの前記第1の面上に酸化層を蒸着することをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱処理の前記過程の熱予算は、前記第1の部分内の前記酸素濃度の前記第1の面に向かう低下を最大値の1%~95%の範囲内の最大値と最小値間に調整するように設定される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記熱処理によりCZ半導体ボディの前記第1の部分中の炭素の濃度を低減することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の面から最大垂直方向距離を有する前記ドーピングピークのドーピング濃度は2×1013cm-3~2×1015cm-3の範囲に設定される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記半導体装置は垂直電力半導体装置である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ボディの前記第1の面へ電気的に接続された第1の負荷端子コンタクトを形成することと、
前記半導体ボディの前記第2の面へ電気的に接続された第2の負荷端子コンタクトを形成することと、をさらに含む方法。
【請求項15】
前記熱処理前にまたは前記熱処理中に前記半導体ボディ内に水素を導入することをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
対向する第1および第2の面を有するCZ半導体ボディと、
前記CZ半導体ボディ内の電界停止区域であって、前記第2の面から様々な垂直方向距離に複数のドーピングピークを含む電界停止区域と、を含む半導体装置であって、
前記第2の面から最大垂直方向距離に位置する前記複数のドーピングピークの第1のドーピングピークにおける酸素濃度は、前記第2の面から最短垂直方向距離に位置する前記複数のドーピングピークの第2のドーピングピークにおける酸素濃度の98%未満である、半導体装置。
【請求項17】
前記電界停止区域は水素関連ドナーでドープされる、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1のドーピングピークのドーピング濃度は2×1013cm-3~2×1015cm-3の範囲に設定される、請求項16または17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記CZ半導体ボディは磁気CZ(MCZ)半導体ボディである、請求項1618のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記半導体装置は、前記半導体ボディの前記第1の面へ電気的に接続された第1の負荷端子コンタクトと前記半導体ボディの前記第2の面へ電気的に接続された第2の負荷端子コンタクトとを含む垂直電力半導体装置である、請求項1619のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記電界停止区域の垂直方向広がりに沿った酸素ベースドナー錯体の平均濃度は前記第1の面から前記電界停止区域への垂直方向広がりに沿った前記酸素ベースドナー錯体の平均濃度より大きい、請求項1620のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第1の面まで1μmの第1の垂直方向距離における前記半導体ボディ内の第1の燐濃度は前記第1の面まで10μmの第2の垂直方向距離における前記半導体ボディ内の第2の燐濃度の10%~50%の範囲内である、請求項1621のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記第1の面まで1μmの第1の垂直方向距離における前記半導体ボディ内の第1の燐濃度は前記第1の面まで10μmの第2の垂直方向距離における前記半導体ボディ内の第2の燐濃度の95%~100%の範囲である、請求項1621のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記CZ半導体ボディの少なくとも一部分中の炭素濃度は5×1015cm-3未満である、請求項1623のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体装置(例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated gate bipolar transistor)、絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET:insulated gate field effect transistor)、またはダイオード)では、低ドーピング濃度の基板材料(例えばMCZ(磁気チョクラルスキー:magnetic-Czochralski)シリコンウェハ)が半導体装置の所望DC電圧阻止要件を実現するために役立つ。基板材料中の初期ドーピング濃度を決定するドーパントとは別に、例えばシリコンインゴットの磁気チョクラルスキー成長など基板材料の成長処理により生じる追加不純物が存在し得る。フロントエンド(FEOL:front-end-of-line)処理は、追加不純物を含む望ましくない錯体の形成の原因となり得る。望ましくない錯体の一例は電気的活性錯体(例えばドナーとして働き得、電界停止区域など機能的半導体領域のドーピング濃度の精密設定を相殺し得る例えば炭素-酸素-水素錯体)である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、熱処理によりCZ半導体ボディの第1の部分中の酸素の濃度を低減する工程を含む半導体装置製造方法に関する。第1の部分はCZ半導体ボディの第1の面に隣接する。CZ半導体ボディは第1の面において処理される。CZ半導体ボディの厚さは、第1の面に対向する第2の面においてCZ半導体ボディを薄くすることにより低減される。その後、電界停止区域が、半導体ボディの第2の面を介した陽子注入とCZ半導体ボディのアニーリングとにより形成される。電界停止区域は、CZ半導体ボディの第1の部分内に少なくとも部分的に形成される。
【0003】
本開示はまた、対向する第1および第2の面を有するCZ半導体ボディを含む半導体装置に関する。半導体装置はさらに、CZ半導体ボディ内に電界停止区域を含む。電界停止区域は、第2の面から様々な垂直方向距離における複数のドーピングピークを含む。第2の面から最大垂直方向距離に位置する複数のドーピングピークの第1のドーピングピークにおける酸素濃度は、第2の面から最短垂直方向距離に位置する複数のドーピングピークの第2のドーピングピークにおける酸素濃度の98%未満、または95%未満、または90%未満、または80%未満、または70%未満、またはさらには50%未満である。
【0004】
当業者は、以下の詳細な明細書を読み添付図面を見ると追加の特徴および利点を認識することになる。
【0005】
添付図面は本発明をさらに理解するために含まれており、本明細書に援用されその一部を構成する。添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を示し、本明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。本発明の他の実施形態および意図する利点は、以下の詳細明細書を参照することにより良く理解されるので、容易に理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、半導体装置を製造する例を示すフローチャートである。
図2A図2Aは、熱処理によりCZ半導体ボディの第1の部分中の酸素の濃度を低減する処理を説明する図を示す。
図2B図2Bは、第1の面において半導体ボディを処理した後の図2Aに描写された半導体ボディの概略断面図である。
図2C図2Cは、第1の面に対向する第2の面から半導体ボディを薄くすることにより半導体ボディの厚さを低減した後の図2Bに描写された半導体ボディの概略断面図である。
図2D図2Dは、半導体ボディの第2の面を介した陽子注入と半導体ボディのアニーリングとにより半導体ボディ内に電界停止区域を形成した後の図2Cに描写された半導体ボディの概略断面図である。
図3図3は、図1に描写する方法により製作された電界停止区域を含む半導体装置の例を説明するための半導体ボディの概略断面図である。
図4図4は、ドリフト区域および電界停止区域を通る垂直方向に沿ったドーピング濃度プロファイルを説明する概略グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明では添付図面を参照する。添付図面は実施形態の一部をなし、ここでは、本開示が実施され得る特定実施態様が例示として示される。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用され得るということと構造的または論理的変更がなされ得るということとを理解すべきである。例えば、一実施形態について例示または説明される特徴は、さらに別の実施形態をもたらすために他の実施形態においてまたは他の実施形態と共に使用され得る。本開示はこのような修正および変形を含むように意図されている。これらの例は特定言語を使用して説明されるが、特定言語は添付の特許請求範囲を限定するものと解釈されてはならない。図面はスケーリングされていなく、例示目的のためだけである。明確のために、同じ要素は、別途記載のない限り、様々な図面内の当該参照符号により示された。
【0008】
用語「有する」、「含む」などは、開放型であり、述べられた構造、要素または特徴の存在を示すが、追加要素または特徴の存在を排除するものではない。
【0009】
用語「電気的に接続された」は、電気的に接続された要素間の恒久的低オーム性接続、例えば、当該要素間の直接接触、または金属および/または高ドープ半導体を介した低オーム性接続を指す。添付図面は、ドーピングタイプ「n」または「p」の隣に「-」または「+」を示すことにより相対的ドーピング濃度を示す。例えば、「n」は「n」ドーピング領域のドーピング濃度より低いドーピング濃度を意味し、一方「n」ドーピング領域は「n」ドーピング領域より高いドーピング濃度を有する。同じ相対的ドーピング濃度のドーピング領域は同じ絶対的ドーピング濃度を必ずしも有しない。例えば、2つの異なる「n」ドーピング領域が同じまたは異なる絶対的ドーピング濃度を有し得る。
【0010】
本明細書で使用される用語「水平」は、半導体基板またはボディの第1または主面にほぼ平行な配向を記述するように意図されている。これは、例えば半導体ウェハまたはダイの面であり得る。
【0011】
本明細書で使用される用語「垂直」は、第1の面にほぼ垂直(すなわち、半導体基板またはボディの第1の面の法線方向に平行)に配置された配向を記述するように意図されている。
【0012】
本明細書では、第1の面は半導体基板の上側、前または主面により形成される一方で半導体基板または半導体ボディの第2の面は下側または後側面により形成されると考えられる。したがって、本明細書で使用される用語「上」と「下」は、構造特徴間の互いの相対的位置を記述する。
【0013】
本明細書では、nドープは第1の導電型と呼ばれ、pドープは第2の導電型と呼ばれる。代替的に、半導体装置は、第1の導電型がpドープであり第2の導電型がnドープとなるように反対のドーピング関係で形成され得る。
【0014】
図1は、半導体装置(例えば電力絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(電力IGBT)または電力ダイオードなどの電力半導体装置)を製造する方法1000を説明するための概略フローチャートである。
【0015】
方法1000は一連の工程または事象として以下に示され説明されるが、このような工程または事象の示された順序は限定的意味で解釈されてはならないということが理解される。例えば、いくつかの工程は、本明細書で示されおよび/または説明されたものとは別の異なる順序でおよび/または他の工程または事象と同時に発生し得る。加えて、本明細書の開示の実施形態の1つまたは複数の態様を実施するためにすべての工程が必要とされるということではない。また、本明細書で描写された工程のうちの1つまたは複数の工程は、1つまたは複数の別個の副工程および/または段階に分割され得る。
【0016】
図1を参照すると、処理特徴S100は、熱処理によりCZ半導体ボディの第1の部分中の酸素の濃度を低減する工程であって、第1の部分は半導体ボディの第1の面に隣接する工程を含む。1つまたは複数の実施形態では、半導体ボディは、CZシリコン(Si)半導体ボディ(例えばシリコン半導体ウェハなどのシリコン半導体基板)である。半導体ウェハは、任意のサイズのウェハ(例えばチョクラルスキー(CZ)ウェハ)であり得る。標準的CZウェハが使用され得るが、本開示は磁気CZ(MCZ)ウェハに特に有利である。ウェハの直径は8インチ(200mm)、12インチ(300mm)または18インチ(450mm)であり得る。熱処理は、とりわけ例えば1つまたは複数のガス供給ユニット、1つまたは複数の加熱ユニット、1つまたは複数のチャンバを含む炉を含む熱処理装置において行われ得る。熱処理は酸素を半導体ボディから拡散させ得、これにより例えばCZ半導体ボディの少なくとも第1の部分中の酸素濃度を低下させる。熱処理はまた、酸素を第1の面へ拡散させ、第1の面において成長する酸化層の一部とならせ得、これによりまた、例えばCZ半導体ボディの少なくとも第1の部分中の酸素濃度を低下させる。
【0017】
図1を参照すると、処理特徴S110は第1の面において半導体ボディを処理する工程を含む。第1の面において半導体ボディを処理する工程は、ドープ半導体領域を形成する処理(例えばマスクまたは非マスクドープ処理)を含み得、例えば、IGBTなどのトランジスタのボディ領域、ソース領域、高ドープボディコンタクト領域、チャネルインプラント領域、ダイオードのアノードまたはカソード領域、横方向ドーピング変化(VLD:variation of lateral doping)領域または接合終端拡張(JTE:junction termination extension)領域の変形などのエッジ終端構造、ガードリング、チャネルストッパを形成するためのイオン注入および/または拡散処理を含み得る。第1の面において半導体ボディを処理する工程はさらに、絶縁領域を形成するための処理、例えば熱酸化処理、熱窒化処理、化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、低圧化学気相蒸着(LPCVD:low-pressure chemical vapor deposition)、プラズマ化学気相蒸着(PEPCVD:plasma enhanced chemical vapor deposition)、大気圧化学気相蒸着(APCVD:atmospheric pressure chemical vapor deposition)、サブ大気圧化学気相蒸着(SACVD:sub- atmospheric pressure chemical vapor deposition)および高密度プラズマ化学気相蒸着(HDP CVD:high density plasma chemical vapor deposition)などの誘電体層蒸着処理を含み得る。例示的絶縁領域は、ゲート絶縁層(例えば熱酸化物または窒化物、または高kおよび低k誘電体)、フィールド絶縁層(例えばフィールド酸化物層)、絶縁中間層(例えばテトラエチルオルト珪酸塩ガラス(TEOS:tetraethyl orthosilicate glass)などの蒸着酸化物、ホウ燐珪酸塩ガラス(BPSG:borophosphosilicate glass)、ホウ珪酸塩ガラス(BSG:borosilicate glass)、燐珪酸塩ガラス(PSG:phosphosilicate glass)、装置絶縁層(例えばシリコン選択酸化(LOCOS:local oxidation of silicon)またはトレンチ絶縁)である。第1の面において半導体ボディを処理する工程はさらに、導電性領域を形成する処理(例えば金属および金属化合物などの材料の物理的気相成長法(PVD:physical vapor deposition)、ドープ多結晶シリコンまたはタングステンなどの材料の化学気相蒸着(CVD)、および銅などの材料の電気化学的蒸着(ECD:electro-chemical deposition))を含み得る。例示的導電性領域は、ゲート電極、配線レベルの導電路、接着パッド、ビアおよびコンタクトである。第1の面において半導体ボディを処理する工程はさらに、第1の面から材料を除去する処理(例えばエッチング処理、研削または研磨などの砥粒加工、および化学機械研磨(CMP:chemical-mechanical polishing))を含み得る。材料除去から生じる例示的構造は、トレンチ(例えばゲートトレンチ、またはトレンチ絶縁のフィールドトレンチまたはトレンチ群)、またはコンタクト穴である。第1の面において半導体ボディを処理する処理はさらに、例えば半導体ボディを半導体ダイにスライスする工程を含み得る
【0018】
図1を参照すると、処理特徴S120は第1の面に対向する第2の面において半導体ボディを薄くすることにより半導体ボディの厚さを低減する工程を含む。半導体ボディを薄くする工程は、例えば半導体ボディの第1の部分に到達する前に、第1の部分において、または第1の部分に到達後終了され得る。1つまたは複数の実施形態では、半導体ボディは第1の面へ取り付けられたキャリアにより機械的に支持される。半導体ボディの材料は、化学処理により(例えば乾式または湿式エッチングなどのエッチングにより)、機械的処理(例えば研削または研磨などの砥粒加工)により、および化学機械研磨(CMP)などの化学機械処理により除去され得る。1つまたは複数の実施形態では、半導体ボディの材料を除去するための2つ以上の処理の組み合わせ(例えば第1の処理に続き第2の処理より大きな除去率を有する第1の処理)が使用され得る。これは、例えば目標ウェハ厚さの微調整を可能にし得る。第2の面から半導体基板の材料を除去する処理はまた、所謂TAIKO処理を含み得る。TAIKO処理は、ウェハのエッジに沿った外側支持リングが薄層化処理中に薄くされないウエファ薄層化処理である。外側支持リングは、後続の処理中の改善された薄いウエハハンドリングを提供し得る。例えば、TAIKO処理を使用して薄くされたウェハは通常、追加キャリアに取り付けられることなくその剛性を維持し得る。
【0019】
図1を参照すると、処理特徴S130は、半導体ボディの第2の面を介した陽子注入と半導体ボディのアニーリングとにより電界停止区域を半導体ボディ内に形成する工程を含み、電界停止区域は、CZ半導体ボディの第1の部分内に少なくとも部分的にまたはさらには完全に形成される。第1の部分では、酸素濃度は、例えば酸素濃度が2×1017cm-3~5×1017cm-3または2.2×1017cm-3~3.5×1017cm-3の範囲内であり得る半導体ボディの中央部と比較して低減される。1つまたは複数の実施形態では、アニール温度は、300℃~500℃の範囲、350℃~450℃の範囲、360℃~440℃の範囲、またはさらには380℃~420℃の範囲内に設定され得る。1つまたは複数の実施形態では、アニーリングは、10分~10時間の間、または20分~5時間の間、または30分~2時間の間行われ得る。アニール処理中、錯体形成(例えば陽子による水素関連ドナーの形成および陽子照射により生じる空孔などの結晶欠陥の形成)が発生する。水素関連ドナープロファイルの典型的プロファイル形状は、放射線誘発格子欠陥の初期ダメージプロファイルに密接に関連付けられる。したがって、このプロファイルは通常、ピーク(すなわち陽子のエンドオブレンジ(end-of-range)近傍のエンドオブレンジピーク)の発現が後に続くほぼ一定の濃度を有する拡張された侵入範囲(extended penetrated range)呈示する。様々なインプラントエネルギーにおける陽子注入のドーピングプロファイルは重ね合わせられ、複数のドーピングピークを呈示するドーピングプロファイルを生じ得る。1つまたは複数の実施形態では、電界停止区域内のドーピングピークの数/様々なイオン注入エネルギーにおける陽子注入の回数は例えば2~10または3~8の範囲内であり得る。ドーピングピークのドーピング濃度は例えばイオン注入エネルギーの増加と共に低下し得る。換言すれば、ドーピングピークのドーピング濃度は第2の面からのピークドーピングの距離の増加と共に低下し得る。1つまたは複数の実施形態では、陽子注入のドーズ量は陽子注入エネルギーの増加と共に低下し得、したがってドーピングピークの深さの増加に伴うドーピング濃度の低下に繋がる。1つまたは複数の実施形態では、陽子注入量I (E,Φ),i=1...n,10>n>1、Eは第i番目の陽子注入エネルギーであり、Φは第i番目の陽子注入ドーズ量であり、例えばE>E+1,Φ<Φ+1を満足する。
【0020】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、CZ半導体ボディはMCZシリコンウェハなどの磁気CZ(MCZ)シリコン半導体ボディである。
【0021】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、半導体ボディの厚さは、20μm~300μm、30μm~200μm、または50μm~150μmの範囲内の目標厚さまで低減される。目標厚さは、例えば垂直半導体電力装置の目標電圧クラスに依存して選択され得る。1つまたは複数の実施形態では、目標厚さは、1Aより大きい定格最大負荷電流および300Vより大きい、または400Vより大きい、または600Vより大きい、または650Vより大きい、または900Vより大きい、または1000Vより大きい、または1200Vより大きい、または1600Vより大きい、または1700Vより大きい定格負荷端子間降伏電圧の垂直電力IGBTまたは垂直電力ダイオードのドリフト区域および電界停止区域を実現するように構成される。
【0022】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、熱処理は、熱処理装置内の温度を1000℃~1300℃、または1100℃~1200℃の温度範囲内に設定する工程を含む。熱処理は、5時間~300時間、15時間~150時間、または25時間~100時間の間行われ得る。例えば、熱処理の熱予算は熱処理の温度と継続期間とに依存し、第1の面と最も深いドーピングピーク(例えば電界停止区域のエンドオブレンジピーク)との間の垂直方向距離に依存して設定され得る。最も深いドーピングピークは、例えば半導体ボディの第2の面から最大垂直方向距離を有するドーピングピークであり得る。
【0023】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、熱処理は、第1の面において半導体ボディを処理する過程の1つのイオン注入処理または任意のイオン注入処理に先立って少なくとも部分的に行われる。したがって、第1の部分中の酸素濃度の最小低下は、半導体ボディの後続の処理中に(例えば半導体ボディの格子内のインプラントダメージのアニーリング中に)従い得る熱予算にかかわらず設定され得る。
【0024】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、熱処理の少なくとも一部期間中の周囲気体は、不活性である、または10%未満またはさらには5%未満の酸素レベルを含む。熱処理中の環境の組成は、例えば炉のチャンバのガス供給ユニットを介し設定され制御され得る。不活性なまたはほぼ不活性な環境内の熱処理は、例えば第1の面において半導体ボディの処理の初めに行われ得る。1つまたは複数の他の実施形態では、熱処理の少なくとも一部期間中の環境は水素を含む(例えば2%(vol%)~20%(vol%)または3%~10%のHを含むN環境)。水素はまた、例えば10keV~10MeVまたは100keV~5MeVまたは200keV~4MeV範囲内の注入エネルギーを使用する陽子注入により半導体ボディ内に導入され得る。水素の導入は、例えば酸素の外方拡散を支援し得る。
【0025】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、方法1000はさらに、熱処理前に半導体ボディの第1の面上に酸化層を蒸着する工程を含む。酸化層は例えば化学気相蒸着(CVD)処理により蒸着され得る。酸化層の蒸着中の最高温度は、例えば1120℃未満、またはさらには1050℃未満、またはさらには1000℃未満である。酸化層は、熱処理中に燐の外方拡散を抑制または相殺することを可能にし得、これにより、例えばエッジ終端領域内の目標燐ドーピングの電気的性能を維持する。第1の面において酸化層形成を省略すると、燐濃度は第1の面方向に低下し、これにより、第1の面上に形成されることになる装置の電気的パラメータ(例えばトランジスタの閾値電圧またはエッジ終端構造のブレイクスルー電圧)に影響を及ぼす。第1の面方向に低下するこのようなドーピングプロファイルによる降伏電圧の強化は、例えば改善された宇宙線耐久性または必要とされる装置厚さの低減を可能にし得る。シリコン中の酸素の拡散定数は燐と比較して1200℃において約300倍高いので、かなりの燐外方拡散が発生する領域は、例えば120マイクロメートルの垂直方向広がりを有する酸素外方拡散区域の約8マイクロメートルの深さ内に延伸する。これは装置の改善された遮断能力を得るのに十分である。
【0026】
酸化層は、例えば第1の面における半導体ボディの処理前にまたは処理中に完全にまたは部分的に除去され得る。
【0027】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、熱処理は、第1の面における半導体ボディの処理の少なくとも一部である。
【0028】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、熱処理は、1120℃未満の温度におけるCZ半導体ボディの第1の面における熱酸化処理を含む。これは、例えば2.2×1017cm-3より小さなシリコン半導体ボディ内の酸素固溶限度を維持することを可能にする。
【0029】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、熱処理過程の熱予算は、CZ半導体ボディの第1の部分中の酸素濃度の低下を最大値の1%~95%の範囲内の最大値と最小値間に調整するように設定される。最大値は、例えば半導体ボディの中心部分における最大酸素濃度に対応してもよいし、それより小さくてもよい。同様に、熱処理過程の熱予算は、CZ半導体ボディの第1の部分中の炭素濃度の低下を最大値の20%~95%の範囲内の最小値と最大値間に調整するように設定され得る。半導体ボディの少なくとも一部分では(例えば第1の部分では)、炭素の濃度は5×1015cm-3未満に設定され得る。これは、酸素錯体に基づく望ましくないドーピング(例えば機能的半導体領域が位置する第1の部分(例えば陽子注入およびアニーリングにより設定される複数のドーピングピークを含む電界停止区域)内のC錯体によるドーピングの外乱)を抑制または低減することを可能にする。1つまたは複数の実施形態では、電界停止区域の垂直方向広がりに沿った酸素ベースドナー錯体の平均濃度は、第1の面から電界停止区域への垂直方向広がりに沿った酸素ベースドナー錯体の平均濃度より大きく、電界停止が実施される側への方向の電界停止区域内で増加する。これは、酸素錯体に基づく望ましくないドーピング(例えば機能的半導体領域(例えばボディ領域または第1の面に近い閾値電圧調整領域などのドリフト区域領域またはドープウェル)内のCiO錯体によるドーピングの外乱)を低減する一方で、電界停止区域のドーピング濃度プロファイルのうねりを滑らかにすることを可能にする(特に、電界停止区域内の最小ドーピングの領域内のドーピングレベルの増加により、そしてこれにより、この相対的増加はウェハの裏面の方向に増加する)。
【0030】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態では、電界停止区域は第2の面から様々な垂直方向距離に複数のドーピングピークを含む。電界停止区域の複数のドーピングピークの中でも第2の面から最大垂直方向距離における第1のドーピングピークにおける酸素濃度は、電界停止区域の複数のドーピングピークの中でも第2の面から最短垂直方向距離における第2のドーピングピークの酸素濃度より少なくとも2%、または少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも25%小さく設定され得る(または第2の面方向の電界停止区域)。換言すれば、電界停止区域のドーピングピークのうちの第2の面から最大垂直方向距離を有するドーピングピークにおける酸素濃度は、電界停止区域のドーピングピークのうちの第2の面から最小垂直方向距離を有するドーピングピークにおける酸素濃度の98%より小さい、または95%より小さい、または90%より小さい、または75%より小さい。再び、酸素錯体に基づく望ましくないドーピングは、電界停止区域のドーピングピークのうちの第2の面から最大垂直方向距離を有するドーピングピークのドーピングゆらぎに関し(例えば電界停止区域内のドーピング濃度プロファイルの最大値および最小値のうちの最小ドーピング濃度を呈示する例えばドーピングピークおよび隣接最小ドーピングのドーピングゆらぎに関し)許容可能レベルまで低減され得る。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、第2の面から最大垂直方向距離を有するドーピングピークのドーピング濃度は、2×1013cm-3~1×1015cm-3の範囲、または5×1013cm-3~5×1014cm-3の範囲内に設定される。1つまたは複数の実施形態では、第2の面までの最大距離を有する電界停止区域のピークのうちのドーピングピークを形成するための陽子注入エネルギーおよび陽子注入ドーズ量は、例えば1600KeV~400KeV、2×1012cm-2~2×1014cm-2、または5×1012cm-2~5×1013cm-2の範囲内であり得る。1つまたは複数の実施形態では、第2の面から最大垂直方向距離を有する電界停止区域のドーピングピークのうちのドーピングピークと第2の面から最小垂直方向距離を有する電界停止区域のドーピングピークのうちのドーピングピークとの間の垂直方向距離は、例えば3μm~45μm、または5μm~25μmの範囲内であり得る。したがって、電界停止区域内の円滑なドーピング濃度プロファイルが、酸素ベースドーピング錯体による目標ドーピングプロファイルの許容され得る望ましくない外乱の理由で設定され得、これにより、例えば半導体電力装置のより円滑なターンオフ過程を可能にする。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、半導体装置は垂直電力半導体装置であり、本方法はさらに、半導体ボディの第1の面へ電気的に接続された第1の負荷端子コンタクトを形成する工程と、半導体ボディの第2の面へ電気的に接続された第2の負荷端子コンタクトを形成する工程とを含む。第1の負荷端子コンタクトは、例えばコンタクトプラグまたはコンタクト線、金属配線線、および接触領域または接触パッドを含み得る。第1の負荷端子コンタクトは、半導体ボディの第1の面に隣接する配線領域の一部であり得る。配線領域は1、2、3、またはさらには4以上の配線または金属レベルを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、最も外側の配線レベルは、電力メタライゼーション、例えば5μmより大きい、または10μmより大きい、またはさらには15μmより大きい厚さを有する銅層である。第1の負荷端子コンタクトは、例えば電力ダイオードのアノード領域へ電気的に接続されたアノードコンタクト、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタセル(IGBTセル)または絶縁ゲート電界効果トランジスタセル(IGFETセル)のソース/ボディ領域へ電気的に接続されたソースコンタクトであり得る。第2の負荷端子コンタクトは、例えばコンタクトプラグまたはコンタクト線、金属配線、および接触領域または接触パッドを含み得る。第2の負荷端子コンタクトは半導体ボディの第2の面に隣接する配線領域の一部であり得る。配線領域は1、2、3またはさらには4以上の配線または金属レベルを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、最も外側の配線レベルは、電力メタライゼーション、例えば5μmより大きい、または10μmより大きい、またはさらには15μmより大きい厚さを有する銅層である。第2の負荷端子コンタクトは、例えば電力ダイオードのカソード領域へ電気的に接続されたカソードコンタクト、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタセル(IGBTセル)の裏側エミッタ領域へ電気的に接続された裏側エミッタコンタクト、または電力酸化金属半導体電界効果トランジスタ(電力MOSFET)などの絶縁ゲート電界効果トランジスタセル(IGFETセル)のドレイン領域へ電気的に接続されたドレインコンタクトであり得る。
【0033】
上述の方法1000は、望ましくないドーパント(例えば半導体ボディからの酸素および/または炭素不純物の外方拡散による半導体ボディからのCなどの錯体のようなドナー)を除去することを可能にする。これは、半導体ボディ内の電界停止区域など機能的半導体領域のドーピング濃度をより精密に設定することを可能にする。
【0034】
図2A~2Eは、半導体装置を製作するための処理特徴の例を示すための半導体ボディ100の図である。
【0035】
図2Aの図は、熱処理によりCZ半導体ボディの第1の部分中の酸素の濃度を低減する処理特徴であって、第1の部分はCZ半導体ボディの第1の面に隣接する、処理特徴の例を示す。図2Aに示す左側図を参照すると、半導体ボディ100は熱処理装置101(例えば炉)内で熱処理を受ける。図1に示す処理特徴S100を参照して与えられるさらなる詳細を準用する。熱処理は、半導体ボディ100の第1の面103に隣接する半導体ボディ100の第1の部分102中の酸素濃度cの低下を生じる。酸素濃度は、半導体ボディ100からの酸素の外方拡散(例えば半導体ボディ100の第1および/または第2の面を介した外方拡散)により低減され得る。熱処理中の様々な熱予算は、例示的酸素濃度プロファイルc1、c2により概略的に示されるように半導体ボディ100の第1の面103に垂直な垂直方向に沿った様々な酸素濃度を生じ得る。酸素濃度プロファイルc2に関連する熱予算は、酸素濃度プロファイルc1に関連する熱予算より大きい場合がある。第1の面103に隣接する第1の部分102内の酸素濃度の低下とは別に、酸素濃度の同様な低下が、半導体ボディ100の第2の面105に隣接する半導体ボディの第2の部分104内に設定され得る。外方拡散への影響を有する層(例えば第1および/または第2の面103、105上の酸化層)の存在に依存して、第1および第2の面103、105を介した様々な外方拡散振る舞いが、例えば第1および第2の面それぞれの方向の酸素濃度プロファイルの様々な低下を生じ得る。1つまたは複数の実施形態では、第1および第2の部分102、104はマージし得、半導体ボディの中心部分における酸素濃度の低下に繋がる。熱処理による炭素外方拡散は、例えば、図2Aに示されたc1、c2と同様なプロファイルを生じ得る。
【0036】
熱処理中の第1の面上の酸化層の有無が、第1の面方向の燐濃度プロファイルを設定することを可能にする。酸化層を省略する場合、第1の面まで1μmの第1の垂直方向距離d1における半導体ボディ内の第1の燐濃度cp1は、第1の面まで10μmの第2の垂直方向距離d2における半導体ボディ内の第2の燐濃度cp2の10%~50%の第1の範囲R1内に設定され得る。酸化層は燐外方拡散を妨げ得、第1の面まで1μmの第1の垂直方向距離d1における半導体ボディ内の第1の燐濃度cp1’は、第1の面まで10μmの第2の垂直方向距離d2における半導体ボディ内の第2の燐濃度cp2の95%~100%の第2の範囲R2内に設定され得る。
【0037】
図2Bの断面図は第1の面103において半導体ボディ100を処理する処理特徴の例を示す。処理された部分107は、第1の面103に隣接する配線領域だけでなく第1の面103に隣接する半導体ボディ100の一部を含み得る。図1に示す処理特徴S110を参照して与えられるさらなる詳細を準用する。
【0038】
図2Cの断面図は、第1の面に対向する第2の面から半導体ボディを薄くすることにより半導体ボディの厚さを低減する例を示す。例えば、半導体ボディ100の材料は、機械的処理(例えばラッピングおよび/または研磨および/または研削)により、化学処理(例えばエッチング)により、またはレーザ切断により第2の面105から除去され得る。1つまたは複数の実施形態では、目標厚さは、例えば20μm~300μmまたは30μm~150μmの範囲内に設定され得る。例えば、半導体ボディ100を薄くする工程は、半導体ボディの第1の部分102に到達する前に、第1の部分102において、または第1の部分102に到達後に終了され得る。図1の処理特徴S120を参照して与えられるさらなる詳細を準用する。
【0039】
図2Dの断面図は、半導体ボディの第2の面を介した陽子注入により半導体ボディ内に電界停止区域を形成する例を示す。電界停止区域は、低減された酸素濃度が存在するCZ半導体ボディ100の第1の部分内に延伸する。したがって、陽子の少なくとも最も深いエンドオブレンジピークが第1の部分102内に設定される。図2Dの概略断面図をさらに参照すると、半導体ボディ100は、例えば熱処理によりアニールされ、これにより、第1および第2の面103、105に垂直な垂直方向に沿った半導体ボディ100内のドーピングプロファイルを示す図2Dの右側部分に示すように水素関連ドナーを活性化する。さらなる詳細が図1に示す処理特徴S130を参照して本明細書に提供され、例えば、様々な陽子注入の回数n、エネルギーE、ドーズΦ、エネルギーEとドーズΦとの関係に関して適用される。図2Dに示す例では、4回の陽子注入が、電界停止区域1121、1122をドリフト区域1131、1132と第2の面105間に製作するために使用される。電界停止区域1121、1122に関連するドーピングプロファイルp1、p2は、隣接ドーピングピーク間の垂直方向距離が異なる。プロファイルp1の隣接ドーピングピーク間の垂直方向距離はプロファイルp2の隣接ドーピングピーク間の垂直方向距離より大きい。隣接ドーピングピークは、隣接ドーピングピークを製作するために使用されるイオン注入エネルギーの差を低減することにより互いに近くなり得る。隣接ドーピングピーク間の距離を低減することにより、隣接ドーピングピークのドーピングプロファイルの重なりは増加し、これにより、例えば第2の面105方向の電界停止区域のドーピング濃度のより一様な増加を生じる。1つまたは複数の実施形態では、ドリフト区域1131、1132の垂直方向広がりは、20μm~300μm、30μm~200μm、または50μm~150μmの範囲内であり、ドリフト区域1131、1132内のドーピング濃度は5×1012cm-3~2×1014cm-3の範囲、または1×1013cm-3~1×1014cm-3の範囲内である。これは、数百ボルトから数千ボルトの範囲内の電圧を阻止するように構成された半導体電力装置を製作することを可能にする。
【0040】
図3は、例えば上述の方法1000の処理特徴を含む処理により製作され得る半導体装置の例を示す概略断面図である。
【0041】
処理された部分107の左側囲み部分では、電力ダイオードの第1の負荷コンタクトL1(例えばアノード電極コンタクト)がpドープアノード領域125へ電気的に接続される。pドープアノード領域125は、例えば処理特徴S110を行う際に形成され得る。
【0042】
処理された部分107の右側囲み部分では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタの第1の負荷コンタクトL1(例えばソース電極コンタクト)がpドープボディ領域126およびnドープソース領域127へ電気的に接続される。さらに、制御電極コンタクトC(例えばゲート電極コンタクト)がゲート電極128へ電気的に接続される。ゲート誘電体129がゲート電極128とドリフト区域113間に配置される。第1の負荷コンタクトL1、pドープボディ領域126、nドープソース領域127、ゲート電極128およびゲート誘電体129は、例えば図1の処理特徴S110を行う際に形成され得る。
【0043】
半導体ボディ100の底における左側囲み部分では、第2の負荷コンタクトL2(例えば陰極電極コンタクト)がnドープカソード領域130へ電気的に接続される。nドープカソード領域130は、半導体ボディ100を薄くした後にドーピング処理により形成され得、例えば図1に示す処理特徴S130または図2Dを参照して説明した処理により製造される電界停止区域112に隣接し得る。
【0044】
半導体ボディ100の底における右側囲み部分では、第2の負荷コンタクトL2(例えば裏側エミッタ電極コンタクト)がpドープ裏側エミッタ領域131へ電気的に接続される。pドープ裏側エミッタ領域131は、例えば半導体ボディ100を薄くした後にドーピング処理によりまたはその前に層蒸着およびドーピングにより形成され得る。
【0045】
図4は、垂直方向(例えば図2Dに示す第半導体ボディ100の第1の面103から第2の面105へ垂直に延伸する方向)に沿ったドーピング濃度のプロファイルの例を示す概略グラフである。第1の曲線ciにより描写されたドリフト区域のドーピング濃度を含む装置は、電界停止区域112を製作するための陽子注入を含む方法1000の処理特徴を行うことにより製作され得る。比較プロファイルce1、ce2、ce3、ce4、ce5、ce6は、図1に描写する処理特徴S100を行うことなくCZ半導体ボディ内の陽子注入およびアニーリングにより製作される電界停止区域を指す。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、電界停止区域のドーピング濃度プロファイルは、電界停止区域のドーピングピークのうちの第2の面から最大垂直方向距離を有するドーピングピークから、第1の面から第2の面への垂直方向に沿って減少し、例えば図4に描写するドーピングピークDP1から隣の最小ドーピング(例えば図4に描写する最小ドーピングDM1)へ、第2の面から最大垂直方向距離を有するドーピングピークにおけるドーピング濃度値の50%超だけ減少する。図4に描写する例示的例では、ドーピングピークcDP1における濃度cDP1と最小ドーピングDM1における濃度cDM1との間の次の関係式が成り立つ:cDM1<0.5×cDP1。
【0047】
1つまたは複数の実施形態では、第2の面から最大垂直方向距離を有するドーピングピークのドーピング濃度、例えばドーピングピーク濃度cDP1は8×1013cm-3~2×1015cm-3の範囲に設定される。
【0048】
基材中の不純物により生じる望ましくないドーピングによる精密ドーピング濃度設定の外乱、例えばCZシリコン中の酸素錯体は図1に描写する方法1000により低減され得る。図4に示すように、最小ドーピングDM1におけるドーピング濃度cDM1は、実質的に基準プロファイルce1、...ce6のそれぞれの最小値未満であり、これにより、基準プロファイルce1、...ce6のドーピングプロファイルと比較してドリフト区域のドーピングプロファイルのより精密な設定を可能にする。
【0049】
ここでは特定実施形態が示され説明されたが、様々な代替および/または等価実施形態が本発明の範囲から逸脱することなく、示され説明された特定実施形態を置換し得るということが、当業者により理解されることになる。本出願は、本明細書に論述された特定実施形態への任意の適合化またはその変形もカバーするように意図されている。したがって、本発明は特許請求の範囲とその等価物だけにより限定されることが意図されている。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
熱処理によりCZ半導体ボディの第1の部分中の酸素の濃度を低減することであって、前記第1の部分は前記半導体ボディの第1の面に隣接する、酸素の濃度を低減することと、
前記第1の面において前記半導体ボディを処理することと、
前記第1の面に対向する第2の面において前記半導体ボディを薄くすることにより前記半導体ボディの厚さを低減することと、
その後、前記第2の面を介した陽子注入と前記半導体ボディのアニーリングとにより前記半導体ボディ内に電界停止区域を形成することであって、前記電界停止区域は前記CZ半導体ボディの前記第1の部分内に少なくとも部分的に形成される、電界停止区域を形成することと、を含む半導体装置を製造する方法。
(態様2)
前記CZ半導体ボディは磁気CZ(MCZ)半導体ボディである、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記半導体ボディの厚さは20μm~300μmの範囲内の目標厚さまで低減される、態様1または2に記載の方法。
(態様4)
前記熱処理は1000℃~1300℃の温度範囲内の熱処理温度を含む、態様1~3のいずれか一項に記載の方法。
(態様5)
前記熱処理は5時間~300時間の間実行される、態様1~4のいずれか一項に記載の方法。
(態様6)
前記熱処理の少なくとも一部は、前記第1の面において前記半導体ボディを処理する過程のいかなるイオン注入処理よりも前に実行される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
(態様7)
前記熱処理の少なくとも一部期間中の周囲気体は不活性である、または10%未満の酸素レベルを含む、態様1~6のいずれか一項に記載の方法。
(態様8)
前記熱処理前に前記半導体ボディの前記第1の面上に酸化層を蒸着することをさらに含む、態様1~7のいずれか一項に記載の方法。
(態様9)
前記熱処理は前記第1の面における前記半導体ボディの前記処理の少なくとも一部である、態様1~8のいずれか一項に記載の方法。
(態様10)
前記熱処理は1120℃未満の温度における熱酸化処理を含む、態様1~9のいずれか一項に記載の方法。
(態様11)
前記熱処理の前記過程の熱予算は、前記第1の部分内の前記酸素の濃度の前記第1の面に向かう低下を最大値の1%~95%の範囲内の最大値と最小値間に調整するように設定される、態様1~10のいずれか一項に記載の方法。
(態様12)
前記熱処理によりCZ半導体ボディの前記第1の部分中の炭素の濃度を低減することをさらに含む、態様1~11のいずれか一項に記載の方法。
(態様13)
前記電界停止区域は前記第2の面から様々な垂直方向距離にドーピングピークを含み
前記電界停止区域の前記ドーピングピークのうちの前記第2の面から最大垂直方向距離を有する前記ドーピングピークにおける酸素の濃度は、前記電界停止区域の前記ドーピングピークのうちの前記第2の面から最小垂直方向距離を有する前記ドーピングピークにおける酸素の濃度の98%より小さく設定される、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
(態様14)
前記第2の面から最大垂直方向距離を有する前記ドーピングピークのドーピング濃度は2×10 13 cm -3 ~2×10 15 cm -3 の範囲に設定される、態様13に記載の方法。
(態様15)
前記半導体装置は垂直電力半導体装置である、態様1~14のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体ボディの前記第1の面へ電気的に接続された第1の負荷端子コンタクトを形成することと、
前記半導体ボディの前記第2の面へ電気的に接続された第2の負荷端子コンタクトを形成することと、をさらに含む方法。
(態様16)
前記熱処理前にまたは前記熱処理中に前記半導体ボディ内に水素を導入することをさらに含む、態様1~15のいずれか一項に記載の方法。
(態様17)
対向する第1および第2の面を有するCZ半導体ボディと、
前記CZ半導体ボディ内の電界停止区域であって、前記第2の面から様々な垂直方向距離に複数のドーピングピークを含む電界停止区域と、を含む半導体装置であって、
前記第2の面から最大垂直方向距離に位置する前記複数のドーピングピークの第1のドーピングピークにおける酸素の濃度は、前記第2の面から最短垂直方向距離に位置する前記複数のドーピングピークの第2のドーピングピークにおける酸素の濃度の98%未満である、半導体装置。
(態様18)
前記電界停止区域は水素関連ドナーでドープされる、態様17に記載の半導体装置。
(態様19)
前記第1のドーピングピークのドーピング濃度は2×10 13 cm -3 ~2×10 15 cm -3 の範囲に設定される、態様17または18に記載の半導体装置。
(態様20)
前記CZ半導体ボディは磁気CZ(MCZ)半導体ボディである、態様17~19のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様21)
前記半導体装置は、前記半導体ボディの前記第1の面へ電気的に接続された第1の負荷端子コンタクトと前記半導体ボディの前記第2の面へ電気的に接続された第2の負荷端子コンタクトとを含む垂直電力半導体装置である、態様17~20のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様22)
前記電界停止区域の垂直方向広がりに沿った酸素ベースドナー錯体の平均濃度は前記第1の面から前記電界停止区域への垂直方向広がりに沿った前記酸素ベースドナー錯体の平均濃度より大きい、態様17~21のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様23)
前記第1の面まで1μmの第1の垂直方向距離における前記半導体ボディ内の第1の燐濃度は前記第1の面まで10μmの第2の垂直方向距離における前記半導体ボディ内の第2の燐濃度の10%~50%の範囲内である、態様17~22のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様24)
前記第1の面まで1μmの第1の垂直方向距離における前記半導体ボディ内の第1の燐濃度は前記第1の面まで10μmの第2の垂直方向距離における前記半導体ボディ内の第2の燐濃度の95%~100%の範囲である、態様17~22のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様25)
前記CZ半導体ボディの少なくとも一部分中の炭素濃度は5×10 15 cm -3 未満である、態様17~24のいずれか一項に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0050】
100 半導体ボディ
101 熱処理装置
102 第1の部分
103 第1の面
104 第2の部分
105 第2の面
107 処理された部分
112 電界停止区域
113 ドリフト区域
125 pドープアノード領域
126 pドープボディ領域
127 Nドープソース領域
128 ゲート電極
129 ゲート誘電体
130 nドープカソード領域
131 pドープ裏側エミッタ領域
1000 方法
1121 電界停止区域
1122 電界停止区域
1131 ドリフト区域
1132 ドリフト区域
c 酸素濃度
酸素濃度プロファイル
酸素濃度プロファイル
ci 第1の曲線
cDP1 ドーピングピーク
cDM1 最小ドーピングにおける濃度
ce1 比較プロファイル
ce2 比較プロファイル
ce3 比較プロファイル
ce4 比較プロファイル
ce5 比較プロファイル
ce6 比較プロファイル
cp1 第1の燐濃度
cp1’ 第1の燐濃度
cp2 第2の燐濃度
C 制御電極コンタクト
d1 第1の垂直方向距離
d2 第2の垂直方向距離
DM1 最小ドーピング
DP1 ドーピングピーク
E エネルギー
Φ 陽子注入エネルギー
I 注入量
L1 第1の負荷コンタクト
L2 第2の負荷コンタクト
n 陽子注入の回数
ドーズプロファイル
ドーズプロファイル
S100 処理特徴
S110 処理特徴
S120 処理特徴
S130 処理特徴
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4