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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】注出用スパウトおよび包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B65D33/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018187756
(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公開番号】P2020055601
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】小野 松太郎
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-118196(JP,A)
【文献】国際公開第2015/114755(WO,A1)
【文献】特開昭58-046952(JP,A)
【文献】特開平11-035069(JP,A)
【文献】特開2001-278361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体内の前記内容物を注出させるための注出用スパウトであって、
前記内容物を注出する流路が形成されたスパウト本体と、
前記スパウト本体に設けられ、前記流路を開閉可能に閉止する弁体と、を備え、
前記弁体は、弾性的に変形可能であって、少なくとも一部が弾性的に変形することにより前記スパウト本体との間に生じた隙間によって前記流路を開放し、
前記スパウト本体は、前記容器本体に取り付けられる基部と、前記基部の第1端面から突出する注出筒部と、を備え、
前記流路は、前記基部の第1端面とは反対の第2端面から、前記注出筒部の先端にかけて形成され、
前記弁体は、前記基部の第2端面に、前記第2端面から突出して設けられている、注出用スパウト。
【請求項2】
前記弁体は、前記流路に対面する基端部が開口された容器状に形成された弁体本体を有し、
前記弁体本体は、前記基端部が前記基部に当接して前記流路を閉止する閉止形態と、前記変形により前記基端部が前記基部から離れて前記隙間が形成された開放形態とを切り替え可能である、請求項に記載の注出用スパウト。
【請求項3】
前記弁体は、前記弁体本体を前記基部に取り付ける一対の取付け部を有し、
前記一対の取付け部は、前記弁体本体の軸周り方向の回転対称となる位置に設けられている、請求項記載の注出用スパウト。
【請求項4】
前記弁体本体は、前記基端部とは反対の端部が閉止された円筒状の筒部を有する、請求項またはに記載の注出用スパウト。
【請求項5】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の注出用スパウトと、前記容器本体とを備える包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出用スパウトおよび包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、注出用スパウトを有する包装容器は、内容物の注ぎ出しを容易にするため、広く用いられている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。この種の包装容器は、他の包装容器に内容物を補充するための詰め替え用の容器として用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-203421号公報
【文献】特開2018-095259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記包装容器では、内容物を他の容器に移し替える作業の途中で内容物がこぼれ出ることがあった。例えば、包装容器を傾けながら注出用スパウトを詰め替え対象の容器の口に合わせる際などに、内容物がこぼれ出ることがあった。
【0005】
本発明の一態様は、内容物を他の容器に注入する作業において内容物がこぼれ出るのを抑制できる注出用スパウトおよび包装容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、内容物を収容する容器本体内の前記内容物を注出させるための注出用スパウトであって、前記内容物を注出する流路が形成されたスパウト本体と、前記スパウト本体に設けられ、前記流路を開閉可能に閉止する弁体と、を備え、前記弁体は、弾性的に変形可能であって、少なくとも一部が弾性的に変形することにより前記スパウト本体との間に生じた隙間によって前記流路を開放する、注出用スパウトを提供する。
【0007】
前記スパウト本体は、前記容器本体に取り付けられる基部と、前記基部の第1端面から突出する注出筒部と、を備え、前記流路は、前記基部の第1端面とは反対の第2端面から、前記注出筒部の先端にかけて形成され、前記弁体は、前記基部の第2端面に、前記第2端面から突出して設けられていることが好ましい。
【0008】
前記弁体は、前記流路に対面する基端部が開口された容器状に形成された弁体本体を有し、前記弁体本体は、前記基端部が前記基部に当接して前記流路を閉止する閉止形態と、前記変形により前記基端部が前記基部から離れて前記隙間が形成された開放形態とを切り替え可能であることが好ましい。
【0009】
前記弁体は、前記弁体本体を前記基部に取り付ける一対の取付け部を有し、前記一対の取付け部は、前記弁体本体の軸周り方向の回転対称となる位置に設けられていることが好ましい。
【0010】
前記弁体本体は、前記基端部とは反対の端部が閉止された円筒状の筒部を有することが好ましい。
【0011】
本発明の他の形態は、前記注出用スパウトと、前記容器本体とを備える包装容器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、内容物を他の容器に注入する作業において内容物がこぼれ出るのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の包装容器の一部断面図である。
図2図1に示す包装容器の拡大図である。
図3図1に示す包装容器の正面図である。
図4図1に示す包装容器の注出用スパウトの斜視図である。
図5図1に示す包装容器の弁体の斜視図である。
図6】詰め替え対象の包装容器の注出ユニットの斜視図である。
図7図1に示す包装容器の使用方法を説明する断面図である。
図8】前図に続く使用方法を説明する断面図である。
図9】前図に示すI-I断面を示す図である。
図10図1に示す包装容器の使用方法を説明する斜視図である。
図11図1に示す包装容器の使用方法を説明する斜視図である。
図12図1に示す包装容器の使用方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0015】
[実施形態の包装容器]
図1は、実施形態の包装容器1の一部断面図である。図2は、包装容器1の拡大図である。図3は、包装容器1の正面図である。図4は、注出用スパウト2の斜視図である。図5は、弁体4の斜視図である。
【0016】
図3に示すように、包装容器1は、注出用スパウト2と、容器本体50とを備える。容器本体50は、例えば、互いに平面形状が同一である2枚の胴部フィルム51,51と、底部フィルム52とから構成されたスタンディングパウチである。胴部フィルム51,51は、例えば、厚さ方向(Y方向)から見て長方形である。胴部フィルム51,51の長さ方向(Z方向)の一端を含む部分を第1端部51A(図3における上端部)といい、他端を含む部分を第2端部51B(図3における下端部)という。
【0017】
胴部フィルム51,51と底部フィルム52とは、周縁部がヒートシールされることで一体に形成されている。例えば、包装容器1は、側端シール部51a、51aと、第1端シール部51bと、底部シール部52aと、を有する。側端シール部51a、51aは、胴部フィルム51,51の両側の側端部がシールされることで形成される。第1端シール部51bは、胴部フィルム51,51の第1端部51Aがシールされることで形成される。底部シール部52aは、胴部フィルム51,51と底部フィルム52とがシールされることで形成される。底部フィルム52は、第2端部51Bにおいて胴部フィルム51,51の間に介装されている。内容物が充てんされた包装容器1は、底部フィルム52を下にした状態(正立状態)でスタンディング可能となる。内容物は、特に限定されないが、例えば液体である。
【0018】
胴部フィルム51および底部フィルム52として使用するフィルムとしては、例えば、基材フィルムとシーラント層とを有する積層体が用いられる。基材フィルムは、例えば、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等によって構成される。シーラント層は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂によって構成される。胴部フィルム51および底部フィルム52として使用するフィルムは、可撓性である。
【0019】
図1に示すように、注出用スパウト2は、スパウト本体3と、弁体4と、キャップ5とを備える。スパウト本体3は、基部6と、注出筒部7とを有する。X方向は基部6の長さ方向である。Y方向は基部6の幅方向である。Z方向は基部6の厚さ方向である。図1では、スパウト本体3は、胴部フィルム51,51の第1端部51Aの中央部に設けられている。なお、スパウト本体の位置は第1端部の中央部に限らない。
【0020】
基部6は、例えば、注出筒部7の基端7aに対して、外側方(X方向)に張り出して形成されている。基部6は、フランジ6Aと、本体部6Bとを備える。フランジ6Aは板状に形成されている。フランジ6Aの外面(図1における上面)を第1端面6aという。第1端面6aは、基部6の一方の端面である。
【0021】
本体部6Bは、フランジ6Aの容器本体50側の面(図1における下面)に設けられている。本体部6Bは、例えば、X方向に沿って中央部から離れるほど幅(Y方向の寸法)が狭くなる形状(いわゆる舟形状)であってよい(図9参照)。基部6は、胴部フィルム51,51に挟み込まれた状態で容器本体50に取り付けられている。基部6の一方および他方の側面は、それぞれ胴部フィルム51,51の内面に溶着されている。本体部6Bの外面(図1における下面)を第2端面6bという。第2端面6bは、基部6の他方の端面であり、第1端面6aとは反対の端面である。
【0022】
図2に示すように、基部6の第2端面6bには、弁体4を取り付けるための一対の取付穴11,11が形成されている。取付穴11,11は、流路8の基端開口8aに近い位置に形成されている。一対の取付穴11,11は、例えば、流路8の中心軸に対して回転対称となる位置に形成されている。取付穴11の内周面には、係止段部12a,12aを有する係止凹部12,12が形成されている。
【0023】
注出筒部7は、円筒状とされている。注出筒部7は、基部6の第1端面6a(図1における上面)から、Z方向(図1における上方)に突出している。図1におけるC1は注出筒部7および流路8の中心軸である。
【0024】
図4に示すように、基部6および注出筒部7には、Z方向に沿って流路8が形成されている。流路8は、基部6の第2端面6b(図1参照)から注出筒部7の先端にかけてスパウト本体3を貫通して形成されている。Z方向から見た流路8の形状は、例えば円形状である。流路8の、基部6の第2端面6b(図1における下面)の開口を基端開口8aという。流路8は、容器本体50の内容物を、注出筒部7の先端開口である注出口7bから外部に注出させることができる。基端開口8aおよび注出口7bは円形状である。
【0025】
流路8の内面には、ガイド9が形成されている。ガイド9は、包装容器30の注出ユニット40を構成するノズル43(図6参照)を案内する。ガイド9は、流路8の内面から中心に向けて突出しており、注出筒部7と同じ方向(Z方向)に延在している。ガイド9の形状は、例えば、流路8の内面から中心側に延出する一対の平板状の側板と、一対の側板を連結する円弧状の先端板とを備える形状(断面U字状)である。図1に示すように、注出筒部7の外周面には、ネジ部13が形成されている。
【0026】
キャップ5は、主板部14と、筒状部15とを備える。主板部14は円板状に形成されている。筒状部15は主板部14の周縁部から延出する円筒状に形成されている。筒状部15の内周面には、ネジ部13に螺合するネジ部(図示略)が形成されている。キャップ5は、主板部14の内面が注出筒部7の先端に当接することによって注出口7bを閉止する。
【0027】
スパウト本体3およびキャップ5は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂により成形される。樹脂としては、石油由来の樹脂、植物由来の樹脂などを用いることができる。スパウト本体3およびキャップ5の構成材料は、成形可能な材質であれば樹脂に限定されない。
【0028】
図1図2および図5に示すように、弁体4は、弁体本体17と、一対の取付け部18,18とを備える。弁体本体17は、有底筒状であり、筒部21と底部22とを備える。筒部21は、中心軸がZ方向に沿う円筒状とされている。筒部21の中心軸は流路8の中心軸C1と一致する。底部22は、筒部21の先端に設けられている。底部22は、例えば、スパウト本体3から離れる方向に膨出する半球状に形成されている。底部22は、筒部21と一体に形成されている。底部22は筒部21の先端部を閉止している。弁体本体17は、流路8に対面する基端部21aが開口され、先端部が気密に閉止された容器状に形成されている。弁体本体17は中空の構造体である。
図1に示すように、弁体本体17は、基部6の第2端面6bから図1の下方に突出している。そのため、弁体本体17は容器本体50内に設けられている。
【0029】
図2および図8に示すように、筒部21の基端部21aは、流路8の基端開口8aの周縁部に全周にわたって当接し、流路8を開閉可能に閉止する。この弁体本体17の形態を「閉止形態」という。
【0030】
筒部21の内径は、流路8の内径とほぼ同じであってよい。筒部21の内径は、流路8の内径より小さくてもよいし、流路8の内径より大きくてもよい。筒部21は、流路8を開閉可能に閉止できればよく、閉止構造については特に限定されない。例えば、筒部21は、基端部21aを含む部分が流路8に挿入されて流路8の内周面に当接することで流路8を閉止可能であってもよい。弁体本体17は、基部6の第2端面6bに、基端部21aが基端開口8aを囲んで当接することで流路8を閉止する構造であってもよい。
【0031】
弁体本体17は、弾性的に変形可能であり、この変形によって基端開口8aを開放する。例えば、筒部21は中心軸に向けて押圧力を加えることによって、径方向の内方(中心軸に近づく方向)に弾性的に曲げ変形可能である。この変形によって、筒部21の少なくとも一部は、径方向の内方に変位する。そのため、基端部21aの一部は基端開口8aの周縁部から離れ、この周縁部と筒部21との間に隙間が生じる。これによって、流路8は開放される(図11および図12参照)。この弁体4の形態を「開放形態」という。
筒部21に対する押圧を解除すると、筒部21は自らの弾性力によって外方に変位し、再び基端部21aは基端開口8aの周縁部に当接し、流路8を閉止する。
【0032】
図2および図5に示すように、取付け部18,18は、筒部21の外周面に設けられている。取付け部18,18は筒部21の周方向の一部に形成されている。一対の取付け部18,18は、筒部21の周方向に離れた位置に設けられている。取付け部18,18は、例えば、筒部21の中心軸に対して、軸周り方向の回転対称となる位置に形成されている。取付け部18,18は、弁体本体17を基部6に取り付ける。
【0033】
取付け部18は、基部19と、基部19から突出する一対のラッチアーム20,20とを備える。基部19は、X方向に沿って筒部21から突出している。一対のラッチアーム20,20は、基部19の長さ方向に異なる位置に形成されている。例えば、ラッチアーム20,20は、それぞれ基部19の先端部と、基部19の長さ方向の中間位置とに形成されている。ラッチアーム20,20は、概略、Z方向に延出している。ラッチアーム20,20の外面には、それぞれ係止爪23,23が形成されている。ラッチアーム20,20は、先端が互いに接近および離間する方向に曲げ変形可能である。
【0034】
図2に示すように、ラッチアーム20,20の先端部は、基部6の取付穴11,11に挿入される。係止爪23,23は、ラッチアーム20,20が互いに近づく方向に弾性的に曲げ変形した状態で取付穴11,11に挿入され、ラッチアーム20,20の復元力によって係止爪23,23が係止凹部12,12に入り込む。係止爪23,23が係止段部12a,12aに係止することにより、弁体4は基部6に取り付けられる。
【0035】
ラッチアーム20,20を互いに近づく方向に変形させることにより係止爪23,23を係止段部12a,12aから外せば、弁体4は基部6から取り外しできる。すなわち、弁体4は基部6に着脱自在に取り付けられている。
【0036】
弁体4は、弾性材料で構成されている。弾性材料としては、例えば、ゴム、エラストマーなどが使用できる。ゴムとしては、シリコンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ネオプレンゴム、エチレン・プロピレングム、ハイパロン、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。
【0037】
[他の包装容器]
図6は、詰め替え対象の包装容器30の注出ユニット40の斜視図である。図6に示すように、包装容器30は、包装容器1(図1参照)に収容された内容物が補充されて使用される容器である。包装容器30は、容器本体31と、容器本体31に収容された内容物を注出するための注出ユニット40とを備える。
【0038】
注出ユニット40は、底板部41(図7参照)と、周壁部42と、ノズル43とを備える。周壁部42は底板部41の周縁部から、概略、Z方向(図7における上方)に突出している。周壁部42は、円筒状に形成され、ノズル43を囲んでいる。ノズル43は、底板部41の一方の面41aからZ方向(図7における上方)に突出している。ノズル43は、概略、円筒状に形成されている。底板部41の中央には、ノズル43の内部空間に通じる流通口44(図7参照)が形成されている。ノズル43の内部空間は、内容物を容器本体31内に導く流路である。
【0039】
ノズル43には、周方向の一部に、ノズル43の長さ方向に沿ってスリット45が形成されている。スリット45は、包装容器1のガイド9(図4参照)を案内する。底板部41に形成された開口46(図7参照)は、内容物を容器本体31内に導くことができる。開口46は、内容物が包装容器1から包装容器30に移し替えられるときにエア抜き穴としても機能する。
【0040】
[実施形態の包装容器の使用方法]
図7および図8は、包装容器1の使用方法を説明する断面図である。図9は、図8に示すI-I断面を示す図である。図10および図11は、包装容器1の使用方法を説明する斜視図である。図12は、包装容器1の使用方法を説明する断面図である。図7図12を参照して、包装容器1の使用方法の一例を説明する。詳しくは、包装容器1に収容されている内容物を包装容器30に補充する方法(すなわち、包装容器30の内容物を詰め替える方法)について説明する。
【0041】
図7に示すように、注出用スパウト2からキャップ5(図1参照)を取り外し、包装容器1を倒立状態(スパウト本体3を容器本体50の下部に位置させた状態)とする。この状態では、弁体4は変形しておらず、流路8を閉止しているため、包装容器1に収容されている内容物は注出されない。なお、図7では、包装容器1は倒立状態となっているが、包装容器1は、正立状態(スパウト本体3を容器本体50の上部に位置させた状態)と倒立状態との間の傾斜状態であってもよい。
【0042】
次いで、図8に示すように、包装容器1のスパウト本体3を、包装容器30の注出ユニット40に合わせ、ノズル43を流路8に挿入させる。その際、図9に示すように、ガイド9はノズル43のスリット45にはめ込まれる。注出筒部7は、スリット45に案内されつつ注出ユニット40に挿入される。
【0043】
図10に示すように、弁体4が流路8を閉止しているときには包装容器1に収容されている内容物は注出されないが、次の操作によって注出用スパウト2の流路8を開放すれば、包装容器1の内容物は流路8を通して注出される。
【0044】
図11および図12を参照して、流路8を開放する操作について説明する。図11および図12に示すように、使用者は、手指Fによって弁体4の筒部21に、中心軸に向けて押圧力を加える。この際、使用者は、容器本体50を介して弁体4を押圧すればよい。押圧箇所24は、筒部21のうち取付け部18,18が形成されていない周方向範囲にある箇所である。
【0045】
押圧箇所24を含む部分は径方向の内方(中心軸に近づく方向)に弾性的に曲げ変形する。この部分は径方向の内方に変位するため、基端部21aの一部は基端開口8aの周縁部から離れ、この周縁部と筒部21との間に隙間25が生じる。これによって、流路8は開放される。包装容器1の内容物は隙間25を通して流路8に流入し、流路8を通って注出口7bから流出し、注出ユニット40を通して包装容器30の容器本体31に流入する。これによって、包装容器1の内容物を包装容器30に移し替えることができる。
【0046】
筒部21に対する押圧を解除すると、筒部21は弾性力によって外方に変位し、流路8を閉止する。そのため、包装容器1から包装容器30への内容物の流入は停止する。このように、包装容器1から包装容器30への内容物の供給を任意のタイミングで停止させることができるため、包装容器30における内容物の充てん量を適正化することができる。
【0047】
包装容器1は、弁体4を変形させることにより内容物が注出される構造を有する。そのため、スパウト本体3を包装容器30の注出ユニット40に合わせ終わるまで弁体4を非変形とすれば、内容物を他の包装容器30に注入する作業において内容物がこぼれ出るのを抑制できる。
【0048】
弁体4は、基部6の第2端面6bから突出して形成されているため、可撓性のフィルムで構成された容器本体50内に位置する。そのため、容器本体50を介して弁体4を容易に押圧操作できる。
弁体4は、容器状(すなわち中空構造)の弁体本体17を備えているため、小さな押圧力でも変形する。そのため、閉止形態(図9および図10参照)と開放形態(図11および図12参照)との切り替えが容易である。
【0049】
弁体4は、弁体本体17を基部6に取り付ける取付け部18,18を有する。取付け部18,18は、弁体本体17の中心軸に対して回転対称となる位置に形成されているため、弁体本体17が押圧により変形しやすい領域を広く確保できる。弁体本体17は、円筒状の筒部21を押圧することで変形させることができるため、弁体4の操作が容易となる。
【0050】
包装容器1は、弁体4の弾性変形によって流路8を繰り返し開閉できるため、内容物がこぼれ出るのを抑制しつつ、包装容器30への内容物の詰め替えを複数回行うことができる。そのため、実施形態の包装容器1は、詰め替え対象となる包装容器の複数倍(例えば2~5倍)の容量を有する詰め替え用の包装容器として用いることができる。
【0051】
包装容器1は、弁体4を変形させないように容器本体50を保持して持ち上げれば、流路8が閉止された状態が維持される。そのため、包装容器1は、持ち上げる際に内容物が漏出するのを抑制できる。包装容器1は、弁体4が変形しなければ流路8が閉止された状態が維持されるため、スタンディング状態から倒れた場合、内圧が上昇した場合などに、内容物の漏出が起こりにくい。
【0052】
包装容器1は、弁体本体17の基端部21aが流路8の基端開口8aを開閉するため、内容物を注出する際に、容器本体50の内容物を最後まで流路8に導くことができる。そのため、容器本体50の内容物をほとんど残さず包装容器30に移すことができる。
【0053】
本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、図1等に示す弁体本体17は容器状(すなわち中空状)に形成されているが、弁体は、例えば、弁体本体17と同じ外形を有する中実の構造体であってもよい。中実構造の弁体は、中空構造の弁体本体17(図1等を参照)と同様に、押圧により弾性的に圧縮変形し、この弾性変形によりスパウト本体との間に生じた隙間を通して流路を開放する。
【0054】
図1等に示す弁体4は、弁体本体17と、これをスパウト本体3に取り付ける取付け部18とを備えるが、弁体は、取付け部をもたない構造であってもよい。この場合、弾性変形可能な弁体は、接着等により直接、スパウト本体に取り付けられる。
図1等に示す弁体4は、弁体本体17が径方向の内方に曲げ変形することで流路8が開放される構造を有するが、弁体の変形の形態は特に限定されない。例えば、弁体は、圧縮変形、伸び変形などによりスパウト本体の基部との間に隙間が生じることによって流路を開放してもよい。
図1等に示す弁体本体17は、円筒状の筒部21と半球状の底部22とを有する形状であるが、筒部21および底部22の形状は特に限定されない。例えば、筒部は楕円筒状、角筒状などであってよい。底部は平板状、円錐状などであってもよい。
弁体は、全体が弾性変形可能でなくてもよく、流路を開放し得る部分のみが弾性変形可能であってもよい。例えば、図1等に示す弁体4では、少なくとも基端部21aの一部が弾性変形可能であればよい。
【符号の説明】
【0055】
1…包装容器、2…注出用スパウト、3…スパウト本体、4…弁体、6…基部、6a…第1端面、6b…第2端面、7…注出筒部、8…流路、17…弁体本体、18…取付け部、21…筒部、21a…基端部、50…容器本体。
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