(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】データ記録システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221213BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20221213BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20221213BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06T7/20 300A
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2018198277
(22)【出願日】2018-10-22
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信策
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-235504(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063884(WO,A1)
【文献】特開平09-101344(JP,A)
【文献】特開2001-59708(JP,A)
【文献】特開2003-150230(JP,A)
【文献】特開2013-134563(JP,A)
【文献】特開2015-155345(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175707(WO,A1)
【文献】特開2009-274832(JP,A)
【文献】特開2016-78034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06T 7/20
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに収納される複数の対象物に対する作業を行う作業者の動作を取得する動作取得手段と、
前記動作取得手段が取得した動作を解析して、少なくとも前記作業者が作業を行っている前記対象物の個体を識別する動作解析手段と、
前記動作解析手段が識別した前記対象物の個体について情報を記録する記録手段と、
を備え
、
前記記録手段は、予め、前記複数の対象物の前記パレット上の収容位置の情報と各対象物とを対応付けして記録しており、
作業者が前記パレット上の前記対象物を取り出して所定の作業をした場合、前記動作解析手段は、前記対象物が取り出された前記パレットの収容位置に基づいて、前記対象物の個体を識別し、
作業者が前記パレット上の前記対象物について所定の作業を終了して前記対象物を前記パレットにおける任意の収容位置に戻した場合、前記記録手段は、前記動作解析手段が識別した前記対象物の個体についての情報に当該対象物が戻された前記パレット上の収容位置の情報を含めて記録する、ことを特徴とするデータ記録システム。
【請求項2】
測定器から測定値を受け取る測定値取得手段をさらに備え、
前記記録手段は、前記測定値取得手段が測定値を取得したタイミングで、当該取得した測定値を、前記動作解析手段が識別した前記対象物の個体についての測定値として記録する、ことを特徴とする請求項1に記載のデータ記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ記録システムに関し、より詳しくは、測定結果等を対象物に紐付けて記録するデータ記録システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品の品質管理においては、製品に組み込まれる個々の部品についてトレーサビリティ(製造・検査の履歴を追跡可能にすること)が求められるようになってきている。例えば、特許文献1には、複数の要素品からなる機械要素商品について、各要素品の各製造過程で用いられるICタグの取扱が容易で、トレーサビリティの向上に貢献できる機械要素商品の品質管理方法が開示される。
【0003】
また、特許文献2には、製品の部品表を基幹情報とした生産情報システムが整備されていない場合でも、製作品のトレーサビリティ情報を収集できるようにしたトレーサビリティ情報収集方法が開示される。この方法では、購入部品の注文番号と部品型式識別情報とを取得し、その購入部品のトレーサビリティ情報(製造シリアル番号またはロット番号)を取得し、その取得した購入部品の注文番号と部品型式識別情報とトレーサビリティ情報とを関連付けてデータベースサーバに登録する。
【0004】
また、特許文献3には、不具合の可能性がある製品の現在の在処を直ちに特定でき、それ以上の流通を停止することができるトレーサビリティシステムが開示される。このシステムでは、コントローラと入出荷管理装置とコントロールセンタとを通信ネットワークによって接続し、コントロールセンタに、製造ロット番号と製造時間とパレット番号と工場出荷時間とロケーション情報などを関連づけて記憶するマスターデータベースと、通信手段と、コントローラと入出荷管理装置から製造時間と入出荷時間を受信してマスターデータベースに記録する製品ロケーション情報収集手段と、不良品情報を受信しマスターデータベースを参照して製造ロット番号から派生したパレット番号とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-018797号公報
【文献】特開2007-193525号公報
【文献】特開2009-122926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような品質管理において、自動化されたラインであれば、各部品の個体に対して様々な測定等の結果を紐づけて記録することは容易に可能である。しかし、人手を介するマニュアルでの測定等が含まれるラインでは、各部品の個体と測定等の結果とを正確に紐づけて記録するには非常に大きな労力を要する。
【0007】
本発明は、複数の対象物について作業者が測定等の作業を行う際に、対象物の個体の情報と作業結果とを紐付けて簡単に記録できるデータ記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、複数の対象物に対する作業を行う作業者の動作を取得する動作取得手段と、動作取得手段が取得した動作を解析して、少なくとも作業者が作業を行っている対象物の個体を識別する動作解析手段と、動作解析手段が識別した対象物の個体について情報を記録する記録手段と、を備えるデータ記録システムである。
【0009】
このような構成によれば、作業者の動作に基づき作業者がどの対象物について作業を行っているかを解析し、作業を行っている対象物の個体についての情報を自動的に記録することができる。
【0010】
上記データ記録システムにおいて、測定器から測定値を受け取る測定値取得手段をさらに備え、記録手段は、測定値取得手段が測定値を取得したタイミングで、当該取得した測定値を、動作解析手段が識別した対象物の個体についての測定値として記録するようにしてもよい。これにより、作業者の動作に基づき解析した対象物の個体の情報と、その対象物の測定値とを紐付けして記録できるようになる。
【0011】
上記データ記録システムにおいて、動作解析手段は、複数の対象物のそれぞれの位置を特定し、記録手段は、動作解析手段が特定した複数の対象物のそれぞれの位置を記録するようにしてもよい。これにより、複数の対象物のそれぞれの位置と個体の情報とを紐付けして記録できるようになる。
【0012】
上記データ記録システムにおいて、複数の対象物がパレットに収納されている場合、動作解析手段は、作業者が作業を行っている対象物と、当該対象物のパレット上の位置とを対応付けした認識を行い、記録手段は、動作解析手段が認識した対象物の個体についての情報に当該対象物のパレット上の位置の情報を含めて記録するようにしてもよい。これにより、作業者が作業を行っている対象物のパレット上の位置と、その対象物の個体の情報とを紐付けして記録できるようになる。
【0013】
上記データ記録システムにおいて、記録手段は、作業者によって対象物が戻されたパレット上の位置の情報を記録するようにしてもよい。これにより、作業者による作業によってパレット上の対象物の位置が変わったとしても、パレット上の位置の情報とともに対象物の個体の情報を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)~(c)は、本実施形態に係るデータ記録システムの概略構成を例示する模式図である。
【
図2】本実施形態に係るデータ記録システムの構成を例示するブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るデータ記録システムの動作を例示するフローチャートである。
【
図4】記憶手段に記憶された情報の例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るデータ記録システムの他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0016】
〔データ記録システムの構成〕
図1(a)~(c)は、本実施形態に係るデータ記録システムの概略構成を例示する模式図である。
図2は、本実施形態に係るデータ記録システムの構成を例示するブロック図である。
データ記録システム1は、作業者Pによる対象物Wの検査に関する情報を効率良く記録するシステムである。対象物Wの検査には、対象物Wの寸法測定、形状測定、重量測定など各種の測定を伴う検査や、外観検査などの測定を伴わない検査が含まれる。
【0017】
データ記録システム1は、少なくとも動作取得手段10と、動作解析手段20と、記憶手段30とを備える。動作取得手段10は、複数の対象物Wに対する作業を行う作業者Pの動作を取得する。動作取得手段10は、
図1に示すカメラ101を含む。カメラ101によって作業者Pの動作の画像を取得する。また、動作取得手段10は、三次元センサを含んでいてもよい。三次元センサによって作業者Pの動作をトラッキングして解析したり、対象物Wまでの距離(深度)を検知して、対象物Wの表面の三次元点群データを取得したりすることができる。三次元センサはカメラ101とともに設けられていてもよいし、カメラ101に代えて設けられていてもよい。
【0018】
動作解析手段20は、動作取得手段10が取得した動作を解析して、少なくとも作業者Pが作業を行っている対象物Wの個体を識別する。対象物Wの個体の識別は、対象物Wに付与された固有の識別情報である。動作解析手段20は、カメラ101によって取得した画像に基づき、作業者Pが作業を行おうとしている対象物Wの個体を識別する。例えば、作業者Pが手に取った対象物Wに付された文字、記号、図形、バーコードなどを認識して、その対象物Wの個体の情報を得る処理を行う。また、対象物Wの個体の情報には、対象物Wの識別情報と、これに紐付けされた作業者Pによる作業の情報(測定結果、検査結果など)が含まれる。
【0019】
記憶手段30は、動作解析手段20が識別した対象物Wの個体について情報を記録する手段である。記憶手段30はハードディスクドライブや不揮発性メモリであってもよいし、ネットワークを介して接続されたサーバであってもよい。
【0020】
データ記録システム1は、システム本体100を含む。システム本体100は、例えばコンピュータによって構成される。動作解析手段20はコンピュータによるプログラム処理によって実現されてもよい。
【0021】
システム本体100であるコンピュータは、動作取得手段10の少なくとも一部、動作解析手段20、記憶手段30、制御手段50、通信手段60および表示手段70を備える。なお、上記のシステム本体100の構成は一例である。
【0022】
制御手段50は動作取得手段10、動作解析手段20、記憶手段30、通信手段60および表示手段70など各部を制御する。通信手段60は、作業者Pが使用する測定器2とコンピュータとの間の通信を行うインタフェースである。
【0023】
表示手段70は、記憶手段30に記憶された対象物Wの個体の情報、その他の情報を表示する手段である。作業者Pは表示手段70によって表示された情報を参照しながら作業を行うことができる。
【0024】
このようなデータ記録システム1によれば、作業者Pの動作に基づき作業者Pがどの対象物Wについて作業を行っているかを解析し、作業を行っている対象物Wの個体についての情報を自動的に記録することができる。したがって、作業者Pは、どの対象物Wについて作業をしているのかについて意識する必要はない。また、作業の結果が自動的に対象物Wと紐付けされ、記憶手段30に記録される。したがって、作業者Pによる結果入力の手間を省くことができるとともに、作業結果と対象物Wとの対応関係の記録ミスを抑制することができる。
【0025】
〔データ記録システムの動作〕
次に、本実施形態に係るデータ記録システム1の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係るデータ記録システムの動作を例示するフローチャートである。
なお、動作の説明にあたり、
図3のフローチャートに示されない構成および符号は、
図1および
図2を参照するものとする。
先ず、ステップS101に示すように、作業者Pの動作を取得する。作業者Pの画像は、動作取得手段10に含まれるカメラ101によって取り込まれる。カメラ101では、作業者Pの画像とともに対象物Wの画像も取り込まれる。複数の対象物Wがパレット200に収納されている場合には、パレット200の画像も取り込まれる。
【0026】
次に、ステップS102に示すように、作業者Pの動作を解析する。この解析は、動作解析手段20によって行われる。動作解析手段20は、作業者Pの身体の動きを解析し、作業者Pがどのような動作をしているのかを判断する。例えば、作業者Pの手がパレットに伸びた場合、検査を行う対象物Wをパレット200から取り出す動作をしているものと判断する。また、作業者Pの手に対象物Wが持たれている場合、その対象物Wの画像から個体の情報を抽出する。パレット200の画像からは、対象物Wが取り出される前後の画像の変化から、パレット200のどの位置の対象物Wが取り出されたのかを判断する。
【0027】
図1(a)には、作業者Pがパレット200から対象物Wを取り出し、手に持っている状態で示される。カメラ101はこの作業者Pの動作を画像で捉えるとともに、対象物Wやパレット200の画像も取得している。
【0028】
次に、ステップS103に示すように、対象物Wの個体を識別できたか否かの判断を行う。動作解析手段20は、作業者Pが手に持った対象物Wの画像から、対象物Wの個体の識別を行う。例えば、対象物Wのパッケージに印字された文字、記号、バーコードなどを読み取り、対象物Wの識別情報を取得する。また、予めパレット200の収納位置と対象物Wとの対応付けが成されている場合、パレット200の画像から取り出された対象物Wの収納位置を求め、その収納位置から対象物Wの識別情報を取得してもよい。
【0029】
動作解析手段20によって対象物Wの個体を識別できなかった場合にはステップS102へ戻り、動作の解析をやり直す。一方、対象物Wの個体を識別できた場合には、ステップS104に示すように、対象物Wの個体の情報を取得する。例えば、作業者Pが測定器2を使用して対象物Wの大きさを測定する場合、測定結果である測定値を対象物Wの個体の情報として取得する。また、予め対象物Wの情報が記憶手段30に記憶されている場合には、対象物Wの識別情報に対応付けされた情報を記憶手段30から読み出すようにしてもよい。
【0030】
図1(b)には、作業者Pが測定器2を使用して対象物Wの大きさを測定している状態が示される。作業者Pが使用する測定器2に通信機能が設けられている場合、測定器2による測定結果をデータ記録システム1に送信する。測定器2から送信された測定結果は通信手段60で受信され、データ記録システム1に取り込まれる。また、カメラ101によって測定器2の画像を取り込み、測定器2のディスプレイ21や目盛の画像から測定結果を読み取るようにしてもよい。
【0031】
次に、ステップS105に示すように、取得した対象物Wの個体の情報を登録する。対象物Wの個体の情報は記憶手段30に記憶される。この際、対象物Wの識別情報に紐付けして測定結果などの作業情報を記憶手段30に記憶する。
【0032】
そして、ステップS106に示すように処理を終了するか否かの判断を行い、終了する場合には一連の処理を終了し、終了しない場合にはステップS101へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0033】
このステップS101~ステップS106の処理において、作業者Pが対象物Wをパレット200に戻した場合、カメラ101で取得した画像から動作解析手段20によってパレット200のどの収納位置に対象物Wが戻されたのかを解析する。
【0034】
図1(c)には、作業者Pが対象物Wをパレット200に戻した状態が示される。対象物Wがパレット200に戻された場合、対象物Wの個体の情報として、パレット200の収納位置の情報を更新する。これにより、対象物Wを取り出したときと異なる収納位置に戻された場合でも、対象物Wの個体と紐付けして最新の収納位置を記憶することができる。
【0035】
図4は、記憶手段に記憶された情報の例を示す図である。
記憶手段30は、対象物Wの識別情報(ID)と。その対象物Wのパレット200の識別情報(パレットID)、収納位置および測定結果を紐付けして記憶している。作業工程によって異なる測定を行う場合には、各作業工程での測定結果が順次追加される。また、パレット位置は、各作業工程で測定を行った後に戻された最新の収納位置が記憶される。
【0036】
このような対象物Wの個体に対応した情報は、必要において表示手段70に表示させることができる。作業者Pは、パレット200から所望の対象物Wを取り出し、測定器2によって検査や測定を行い、測定後に対象物Wをパレット200に戻す、という動作を行うだけで、対象物Wの個体と測定結果とが紐付けされた情報が自動的に記憶手段30に記憶されることになる。したがって、作業者Pは、対象物Wの検査や測定とともに間違いなく結果を記録するといった煩わしい作業を強いられることなく、効率良く作業を行うことが可能となる。
【0037】
なお、
図4に示す対象物Wの個体の情報は、予め対象物Wの識別情報(ID)が登録されたリストを外部から受け取ってもよいし、対象物Wの個体を識別した際に新たにその識別情報(ID)を登録してリストを自動生成するようにしてもよい。また、対象物Wの個体を識別した際、その識別情報(ID)が外部から受け取ったリストに登録されていなかった場合、そのリストに新たな識別情報(ID)を自動的に追加登録するようにしてもよい。
【0038】
〔データ記録システムの他の例〕
図5は、本実施形態に係るデータ記録システムの他の例を示す模式図である。
図5に示すデータ記録システム1では、ヘッドマウントディスプレイ80が用いられる。ヘッドマウントディスプレイ80にはカメラ101と表示手段70とが組み込まれている。ヘッドマウントディスプレイ80の表示手段70は、透過型のディスプレイであってもよい。ヘッドマウントディスプレイ80にカメラ101と表示手段70が組み込まれているため、
図5に示す構成ではシステム本体100に表示手段70は含まれない。ヘッドマウントディスプレイ80とシステム本体100とは無線通信または有線通信によって情報の入出力が行われる。
【0039】
作業者Pはヘッドマウントディスプレイ80を装着して作業を行う。ヘッドマウントディスプレイ80には加速度センサなどが設けられており、作業者Pの頭の動きや位置を検知することができる。ヘッドマウントディスプレイ80にはマイクやスピーカが設けられていてもよい。
【0040】
ヘッドマウントディスプレイ80のカメラ101は作業者Pの手などの身体の動きや、対象物W、パレット200などの画像を取り込む。カメラ101で取り込んだ画像に基づき動作解析手段20によって解析を行い、対象物Wの個体の識別や検査および測定結果の認識、記憶手段30への記憶を行う。
【0041】
ヘッドマウントディスプレイ80の表示手段70には、所望の表示が行われる。例えば、透過型のディスプレイの場合、実際の像に所望の画像を重畳するように表示させることができる。例えば、作業者Pが手に持った対象物Wの個体を認識すると、表示手段70にその対象物Wに関する情報が表示される。透過型のディスプレイを参照する作業者Pには、例えば作業場の空間上に対象物Wに関する情報が浮き上がって表示されているように見える。
【0042】
また、ヘッドマウントディスプレイ80のカメラ101によって作業者Pの手の特定の動作を読み取り、データ記録システム1をコントロールするようにしてもよい(ハンドジェスチャコントロール)。例えば、測定結果が表示されている状態で、指のジェスチャにより「登録」のアイコンをクリックすると、その測定結果が記憶手段30に記憶される。
【0043】
本実施形態に係るデータ記録システム1では、作業者Pが作業をする対象物Wの個体を識別できるため、対象物Wに応じた作業上の注意やガイダンスを表示手段70に表示させることもできる。例えば、測定を完了した対象物Wを誤って再び取り出した場合、表示手段70に既に測定済みの対象物Wであることを表示するようにしてもよい。また、次に測定を行う対象物Wのパレット200上の収納位置を表示手段70に表示してもよいし、透過型のディスプレイによって実際のパレット200および対象物Wの像に重ねるように取り出し対象であることを示す画像(例えば、矢印画像)を表示してもよい。さらに、測定方法や測定手順を表示手段70に表示するようにしてもよい。
【0044】
〔データ記録プログラム〕
図3に示すデータ記録システムの動作のフローチャートの各ステップは、コンピュータに実行させるプログラム(データ記録プログラム)として構成してもよい。すなわち、データ記録プログラムは、複数の対象物Wに対する作業を行う作業者Pの動作を取得する動作取得工程(ステップS101)と、動作取得工程で取得した動作を解析して、少なくとも作業者Pが作業を行っている対象物Wの個体を識別する動作解析工程(ステップS102)と、動作解析工程で識別した対象物Wの個体について情報を記録する記録工程(ステップS105)と、を備える。
【0045】
以上説明したように、実施形態によれば、複数の対象物Wについて作業を行う際に、対象物Wの個体の情報と作業結果とを紐付けて簡単に記録できるデータ記録システム1を提供することが可能となる。これにより、作業者Pの動作を認識して、自動的にどの対象物Wを検査しているのかを把握し、個々の対象物Wに測定結果を紐付けして記録することができ、トレース可能な測定結果の記録を容易に行うことが可能となる。
【0046】
〔実施形態の変形〕
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、作業者Pの動作を機械学習させて認識精度を高めるようにしてもよい。また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0047】
1…データ記録システム
2…測定器
10…動作取得手段
20…動作解析手段
21…ディスプレイ
30…記憶手段
50…制御手段
60…通信手段
70…表示手段
80…ヘッドマウントディスプレイ
100…システム本体
101…カメラ
200…パレット
P…作業者
W…対象物