(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221213BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20221213BHJP
B24B 1/00 20060101ALI20221213BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20221213BHJP
B23K 26/351 20140101ALI20221213BHJP
【FI】
H01L21/78 L
H01L21/78 F
H01L21/78 B
B24B27/06 M
B24B1/00 Z
B23K26/364
B23K26/351
(21)【出願番号】P 2019000837
(22)【出願日】2019-01-07
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田中 健太郎
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-026440(JP,A)
【文献】特開平05-326696(JP,A)
【文献】特開2008-004822(JP,A)
【文献】特開2018-006461(JP,A)
【文献】特開2017-092363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
B24B 1/00
B23K 26/364
B23K 26/351
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に積層体が積層され、所定の幅を有した複数のストリートを備えたウェーハの加工方法であって、
該積層体の表面を保護膜で被覆する保護膜被覆ステップと、
該保護膜被覆ステップを実施した後、ストリートの内側で該ストリートの幅方向の両端にレーザビームをそれぞれ集光させた状態で該ストリートに沿ってレーザビームを照射し、該ストリートに2条のレーザ加工溝を形成する第1レーザ加工ステップと、
該第1レーザ加工ステップを実施した後、該ストリートに沿ってレーザビームを照射することで該2条のレーザ加工溝の間の積層体を保護膜とともに除去して該基材を露出させる第2レーザ加工ステップと、
該第2レーザ加工ステップを実施した後、該ストリートの該基材が露出した領域を切削ブレードで切削する切削ステップと、を備え、
該保護膜被覆ステップを実施した後、該第1レーザ加工ステップを実施する前に、該2条のレーザ加工溝が形成される位置より該ストリートの内側で該ストリートの幅方向に並んだ2点にレーザビームを集光させた状態で該ストリートに沿ってレーザビームを照射して該2条のレーザ加工溝が形成される位置を含む領域の少なくとも該保護膜を除去する保護膜除去ステップと、を備えた、ウェーハの加工方法。
【請求項2】
該保護膜除去ステップと該第1レーザ加工ステップでは同じ条件で該レーザビームを照射する、請求項1に記載のウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に積層体が積層され、所定の幅を有した交差する複数のストリートを備えたウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交差する複数のストリートで区画された領域にそれぞれデバイスが形成されたウェーハを個々のデバイスに分割する方法として、レーザ加工によって生じるデブリの付着防止のために、レーザ加工を実施する前にウェーハの表面を保護膜で被覆し、レーザ加工によりウェーハを個々のデバイスに分割する加工方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示された加工方法は、デバイスが低誘電率絶縁膜(以下、Low-k膜という)を含んでおり、Low-k膜の剥離防止のために、ストリートの幅方向の両端にレーザ加工により2条のレーザ加工溝を形成した後、ストリートの幅方向の中央を切削ブレードで切削加工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された加工方法は、TEG(Test Elements Group)とLow-k膜とのうち少なくとも一方が積層されたストリートの幅方向の中央を切削する際に、TEGやLow-k膜による切削ブレードの目詰まりが発生してしまう。そこで、ウェーハを切削ブレードで切削する前に、2条のレーザ加工溝の間にレーザビームを照射してTEGやLow-k膜などの積層体を除去する加工方法が考えられる。
【0006】
しかし、特許文献1に示された加工方法は、2条のレーザ加工溝を形成する際に、レーザビームの衝撃でレーザ加工溝の幅方向の両端の保護膜の剥離が生じる、即ちストリートを越えてデバイスに至る保護膜の剥離が生じる。2条のレーザ加工溝間にレーザビームを照射する加工方法は、保護膜が剥離してデバイスの上面が露出したウェーハを加工すると、レーザビームの照射で生じたデブリが保護膜の剥離によって露出したデバイスの上面に固着してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、デバイスにデブリが付着することを抑制することができるウェーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウェーハの加工方法は、基材上に積層体が積層され、所定の幅を有した複数のストリートを備えたウェーハの加工方法であって、該積層体の表面を保護膜で被覆する保護膜被覆ステップと、該保護膜被覆ステップを実施した後、ストリートの内側で該ストリートの幅方向の両端にレーザビームをそれぞれ集光させた状態で該ストリートに沿ってレーザビームを照射し、該ストリートに2条のレーザ加工溝を形成する第1レーザ加工ステップと、該第1レーザ加工ステップを実施した後、該ストリートに沿ってレーザビームを照射することで該2条のレーザ加工溝の間の積層体を保護膜とともに除去して該基材を露出させる第2レーザ加工ステップと、該第2レーザ加工ステップを実施した後、該ストリートの該基材が露出した領域を切削ブレードで切削する切削ステップと、を備え、該保護膜被覆ステップを実施した後、該第1レーザ加工ステップを実施する前に、該2条のレーザ加工溝が形成される位置より該ストリートの内側で該ストリートの幅方向に並んだ2点にレーザビームを集光させた状態で該ストリートに沿ってレーザビームを照射して該2条のレーザ加工溝が形成される位置を含む領域の少なくとも該保護膜を除去する保護膜除去ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記ウェーハの加工方法において、該保護膜除去ステップと該第1レーザ加工ステップでは同じ条件で該レーザビームを照射しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のウェーハの加工方法は、デバイスにデブリが付着することを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたウェーハの要部の断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3に示されたウェーハの加工方法で用いられるレーザ加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜被覆ステップを示す側断面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜除去ステップを示す側断面図である。
【
図7】
図7は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜除去ステップのウェーハの要部を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜除去ステップ後のウェーハの要部を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜除去ステップ後のウェーハの要部を示す平面図である。
【
図10】
図10は、
図3に示されたウェーハの加工方法の第1レーザ加工ステップのウェーハの要部を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図3に示されたウェーハの加工方法の第1レーザ加工ステップ後のウェーハの要部を示す断面図である。
【
図12】
図12は、
図3に示されたウェーハの加工方法の第1レーザ加工ステップ後のウェーハの要部を示す平面図である。
【
図13】
図13は、
図3に示されたウェーハの加工方法の第2レーザ加工ステップのウェーハの要部を示す断面図である。
【
図14】
図14は、
図3に示されたウェーハの加工方法の切削ステップのウェーハの要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示されたウェーハの要部の断面図である。
図3は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【0014】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、
図1に示すウェーハ1の加工方法である。実施形態1では、ウェーハ1は、シリコン、サファイア、又はガリウムヒ素などを基材2とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハである。ウェーハ1は、
図1及び
図2に示すように、基材2を備え、基材2上に積層体3が積層されている。また、ウェーハ1は、所定の幅を有しかつ交差する複数のストリート4と、交差する複数のストリート4で区画された領域にそれぞれ形成されたデバイス5とを備える。実施形態1において、積層体3は、低誘電率絶縁膜(以下、Low-k膜という)を含む。なお、本発明において、積層体3は、Low-k膜のみでなく、Low-k膜に加え配線層を含んでも良い。
【0015】
デバイス5は、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等である。デバイス5は、金属等から構成された回路を形成する配線層と、配線層を支持するLow-k膜とを含む。Low-k膜は、デバイス5を構成し、層間絶縁膜として用いられる膜である。また、実施形態1では、ウェーハ1は、ストリート4の基材2上に積層体3が積層されている。
【0016】
また、本発明では、ウェーハ1は、積層体として、ストリート4に図示しないTEG(Test Elements Group)等の金属が部分的に形成されても良い。TEGは、デバイス5に発生する設計上や製造上の問題を見つけ出すための評価用の素子であり、表面に金属からなる電極パッドを有している。TEGは、ウェーハ1の種別等に応じて、任意に配置される。
【0017】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、ウェーハ1の各ストリート4の幅方向の両端にレーザ加工溝9を形成した後に、レーザ加工溝9間を切削して、ウェーハ1を個々のデバイス5に分割する方法である。本発明でいうレーザ加工溝9は、積層体3及び基材2に対して吸収性を有する波長のレーザビーム200が照射されて形成され、ストリート4の幅方向の端から所定の距離400離れた箇所の積層体3と基材2の一部とを除去したものである。なお、所定の距離400は、レーザ加工溝9間を切削する際の切削代を確保するために極力短く、かつデバイス5に対するレーザビーム200の熱の影響を極力抑制できる(デバイス5の所望の性能を確保できる程度)距離である。即ち、レーザ加工溝9は、レーザビーム200が照射されて、基材2の一部と積層体3とがアブレーション加工されて形成されるものであって、デバイス5の所望の性能を確保できる程度にデバイス5に対するレーザビーム200の熱の影響を抑制できる範囲で、ストリート4の幅方向の端寄りに形成されるものである。なお、実施形態1において、所定の距離400は、数μm以上でかつ10μm以下であり、例えば、7μmである。
【0018】
ウェーハの加工方法は、
図3に示すように、保護膜被覆ステップST1と、保護膜除去ステップST2と、第1レーザ加工ステップST3と、第2レーザ加工ステップST4と、切削ステップST5とを備える。ウェーハの加工方法は、保護膜被覆ステップST1と、保護膜除去ステップST2と、第1レーザ加工ステップST3と、第2レーザ加工ステップST4とにおいて、
図4に示されたレーザ加工装置20を用いる。次に、本明細書は、レーザ加工装置20を説明する。
【0019】
(レーザ加工装置)
図4は、
図3に示されたウェーハの加工方法で用いられるレーザ加工装置の構成例を示す斜視図である。レーザ加工装置20は、
図4に示すように、装置本体21と、チャックテーブル30と、レーザビーム照射ユニット40と、撮像ユニット50と、X軸移動ユニット60と、Y軸移動ユニット70と、保護膜被覆洗浄ユニット80と、搬送ユニット90と、制御ユニット100とを主に備えている。
【0020】
チャックテーブル30は、円盤形状であり、ウェーハ1を保持する保持面31がポーラスセラミック等から形成されている。また、チャックテーブル30は、X軸移動ユニット60によりX軸方向に移動自在で回転駆動源32により鉛直方向に沿ったZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。チャックテーブル30は、保持面31にウェーハ1の積層体3の裏側の裏面12側が載置される。チャックテーブル30は、保持面31が図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、ウェーハ1の裏面12側を吸引保持する。
【0021】
レーザビーム照射ユニット40は、チャックテーブル30に保持されたウェーハ1に対して対向して配置されている。レーザビーム照射ユニット40は、各ストリート4に沿ってウェーハ1に対して吸収性を有するレーザビーム200を照射して、ウェーハ1をアブレーション加工するものである。レーザビーム照射ユニット40は、装置本体21から立設した壁部22に連なった支持柱23の先端に取り付けられている。また、レーザビーム照射ユニット40は、レンズなどで構成され、かつレーザビーム200の集光点のZ軸方向の位置を調整可能な光学系を備える。
【0022】
撮像ユニット50は、チャックテーブル30に保持されたウェーハ1を撮像するものであり、実施形態1では、レーザビーム照射ユニット40とX軸方向に並列する位置に配設されている。実施形態1では、撮像ユニット50は、支持柱23の先端に取り付けられている。撮像ユニット50は、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子等を備える。撮像ユニット50は、撮像素子が撮像して得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0023】
X軸移動ユニット60は、チャックテーブル30をX軸方向に移動するものである。Y軸移動ユニット70は、チャックテーブル30をY軸方向に移動するものである。X軸移動ユニット60、及びY軸移動ユニット70は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ61,71、ボールねじ61,71を軸心回りに回転させる周知のパルスモータ62,72及びチャックテーブル30をX軸方向、又はY軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール63,73を備える。
【0024】
保護膜被覆洗浄ユニット80は、ウェーハ1の積層体3の表面に保護膜6(
図6等に示す)を被覆するとともに、ウェーハ1の表面を洗浄して、保護膜6を除去するものである。保護膜被覆洗浄ユニット80は、ウェーハ1の裏面12側を吸引保持して、Z軸方向と平行な軸心回りに回転するスピンナテーブル81と、スピンナテーブル81に保持されたウェーハ1の積層体3の表面に水溶性の保護膜溶液7(
図5に示す)を供給する保護膜溶液供給ノズル82と、スピンナテーブル81に保持されたウェーハ1の表面に純水等の洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル83とを備える。
【0025】
搬送ユニット90は、チャックテーブル30と保護膜被覆洗浄ユニット80のスピンナテーブル81との間でウェーハ1を搬送するものである。搬送ユニット90は、装置本体21の壁部22に固定されかつX軸方向と平行なボールねじ91と、ボールねじ91と平行に配設されたガイドレール92と、ボールねじ91の一端に連結されボールねじ91を回動させるパルスモータ93と、一端部がガイドレール92に摺接するとともにボールねじ91に螺合するナット(図示せず)を内部に備えたスライド板94とを備える。搬送ユニット90は、ボールねじ91の回動にともないスライド板94がガイドレール92にガイドされてX軸方向に移動する。スライド板94の下端部には、ウェーハ1を吸着して保持する保持部95が昇降自在に設けられている。
【0026】
制御ユニット100は、レーザ加工装置20の上述した構成要素をそれぞれ制御して、ウェーハ1に対する加工動作をレーザ加工装置20に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、コンピュータである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。
【0027】
制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、レーザ加工装置20を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してレーザ加工装置20の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する表示ユニット及びオペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットが接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0028】
本明細書は、次に、実施形態1に係るウェーハの加工方法の各ステップを説明する。実施形態1において、保護膜被覆ステップST1、保護膜除去ステップST2、第1レーザ加工ステップST3、第2レーザ加工ステップST4は、制御ユニット100がオペレータからの加工内容情報を受け付け、保護膜被覆洗浄ユニット80のスピンナテーブル81にウェーハ1が載置され、オペレータからの加工動作開始指示を受け付けると、レーザ加工装置20により順に実施される。
【0029】
(保護膜被覆ステップ)
図5は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜被覆ステップを示す側断面図である。保護膜被覆ステップST1は、ウェーハ1の積層体3の表面を保護膜6で被覆するステップである。
【0030】
実施形態1において、保護膜被覆ステップST1では、
図5に示すように、レーザ加工装置20は、ウェーハ1の裏面12側を保護膜被覆洗浄ユニット80のスピンナテーブル81に吸引保持する。なお、実施形態1では、ウェーハ1は、基材2の裏面12に外周縁が環状フレーム11に貼着された粘着テープ10が貼着されて、環状フレーム11により支持されている。このために、保護膜被覆ステップST1では、レーザ加工装置20は、粘着テープ10を介してスピンナテーブル81にウェーハ1を吸引保持し、スピンナテーブル81の周囲のクランプ部84で環状フレーム11をクランプする。
【0031】
保護膜被覆ステップST1では、レーザ加工装置20は、スピンナテーブル81を軸心回りに回転させながら、ウェーハ1の表面に保護膜溶液供給ノズル82から水溶性の保護膜溶液7を塗布する。水溶性の保護膜溶液7は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)又はポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)等の水溶性の液状の樹脂からなり、好ましくはレーザビームの吸収効率を向上させるための二酸化チタン等からなる金属酸化物の微粒子を含む。
【0032】
保護膜被覆ステップST1では、ウェーハ1の積層体3の表面に水溶性の保護膜溶液7を塗布した後、保護膜溶液7を乾燥や加熱し硬化させて、
図6に示すように、ウェーハ1の積層体3の表面全体に保護膜溶液7が硬化して構成された保護膜6を被覆する。ウェーハの加工方法は、ウェーハ1の表面全体に保護膜6を被覆すると、スピンナテーブル81のウェーハ1の吸引保持及びクランプ部84の環状フレーム11のクランプを解除して、搬送ユニット90でウェーハ1をスピンナテーブル81からチャックテーブル30に搬送して、保護膜除去ステップST2に進む。
【0033】
(保護膜除去ステップ)
図6は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜除去ステップを示す側断面図である。
図7は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜除去ステップのウェーハの要部を示す断面図である。
図8は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜除去ステップ後のウェーハの要部を示す断面図である。
図9は、
図3に示されたウェーハの加工方法の保護膜除去ステップ後のウェーハの要部を示す平面図である。
【0034】
保護膜除去ステップST2は、保護膜被覆ステップST1を実施した後、第1レーザ加工ステップST3を実施する前に、各ストリート4の幅方向の両端部の少なくとも保護膜6を除去するステップである。保護膜除去ステップST2では、レーザ加工装置20は、保護膜6により表面が被覆されたウェーハ1の裏面12側を粘着テープ10を介してチャックテーブル30に吸引保持するとともに、クランプ部33で環状フレーム11をクランプする。保護膜除去ステップST2では、レーザ加工装置20は、撮像ユニット50でチャックテーブル30に保持されたウェーハ1を撮像して、ウェーハ1とレーザビーム照射ユニット40との位置合わせを行うアライメントを遂行する。
【0035】
保護膜除去ステップST2では、レーザ加工装置20は、X軸移動ユニット60、Y軸移動ユニット70及び回転駆動源32に各ストリート4の幅方向の端部とレーザビーム照射ユニット40とをストリート4に沿って相対的移動させながら、
図6に示すように、レーザビーム照射ユニット40から保護膜6及びウェーハ1に対して吸収性を有する波長のレーザビーム200を各ストリート4の幅方向の端部に照射する。
【0036】
保護膜除去ステップST2では、レーザ加工装置20は、
図7に示すように、レーザビーム200の集光点201を保護膜6の内部に設定して、全てのストリート4の幅方向の両端部にレーザビーム200を順に照射して、全てのストリート4の幅方向の両端部にアブレーション加工を施す。保護膜除去ステップST2では、レーザ加工装置20は、
図8及び
図9に示すように、ストリート4の幅方向の両端部の少なくとも保護膜6を除去して、全てのストリート4の両端の積層体3を露出させる積層体露出溝8を形成する。即ち、保護膜除去ステップST2では、レーザ加工装置20が、各ストリート4に2条の積層体露出溝8を形成する。なお、実施形態1では、保護膜除去ステップST2では、レーザ加工装置20が、各ストリート4に保護膜6、積層体3及び基材2の一部を除去して、積層体露出溝8を形成している。しかしながら、本発明では、積層体露出溝8は、保護膜6がレーザビーム200に対して充分吸収性を有する場合には保護膜6だけ除去して形成されても良く、保護膜6がレーザビーム200に対して吸収性があまりなく、積層体3が吸収性がある場合には、積層体3にレーザビーム200を照射して積層体3をアブレーションすることで保護膜6も除去して形成されても良い。積層体露出溝8は、保護膜6も積層体3も吸収性がない場合は、基材2にレーザビーム200を照射して基材2をアブレーションすることで基材2の一部と積層体3と保護膜6を除去して形成される。また、保護膜除去ステップST2において、レーザ加工装置20がレーザビーム200を照射する位置は、ストリート4の両端から所定の距離400よりも離れた位置であり、レーザビーム200の照射により保護膜6が剥がれても、保護膜6の剥がれる箇所がストリート4の外側、即ちデバイス5に到達しない位置である。
【0037】
なお、
図8及び
図9では、保護膜除去ステップST2において、ストリート4の幅方向の両端部の保護膜6に加えて、積層体3及び基材2の一部を除去している。要するに、保護膜除去ステップST2において、本発明は、ストリート4の幅方向の両端の保護膜6を除去でき、ストリート4の外側で保護膜6が剥がれないのであれば、保護膜6のみを除去しても良いし、保護膜6と積層体3の一部を除去しても良いし、保護膜6と積層体3と基材2の一部を除去しても良い。また、保護膜除去ステップST2において、レーザ加工装置20が積層体露出溝8を形成する位置は、ストリート4の両端から所定の距離400よりも離れた位置である。
【0038】
なお、実施形態1において、保護膜除去ステップST2の加工条件であるレーザビーム200の波長は、355nmであり、レーザビーム200の出力は、1Wであり、レーザビーム200の繰り返し周波数は、200kHzであり、レーザビーム200の集光点201のスポット径は、10μm程度であり、レーザビーム照射ユニット40とウェーハ1との相対的な移動速度は、400mm/secである。このように、実施形態1に係るウェーハの加工方法の保護膜除去ステップST2の加工条件は、各ストリート4の幅方向の両端の保護膜6と積層体3とを除去して基材2を露出させる従来の加工方法において、レーザ加工溝9を形成する加工条件よりもレーザビームの出力が弱い。ウェーハの加工方法は、全てのストリート4に2条の積層体露出溝8を形成すると、第1レーザ加工ステップST3に進む。なお、
図9は、左右方向と平行なストリート4に形成された積層体露出溝8を示し、上下方向と平行なストリート4に形成された積層体露出溝8を省略している。
【0039】
(第1レーザ加工ステップ)
図10は、
図3に示されたウェーハの加工方法の第1レーザ加工ステップのウェーハの要部を示す断面図である。
図11は、
図3に示されたウェーハの加工方法の第1レーザ加工ステップ後のウェーハの要部を示す断面図である。
図12は、
図3に示されたウェーハの加工方法の第1レーザ加工ステップ後のウェーハの要部を示す平面図である。
【0040】
第1レーザ加工ステップST3は、保護膜被覆ステップST1及び保護膜除去ステップST2を実施した後、ストリート4の内側でストリート4の幅方向の両端部にレーザビーム200をそれぞれ集光させた状態でストリート4に沿ってレーザビーム200を照射し、ストリート4に2条のレーザ加工溝9を形成するステップである。第1レーザ加工ステップST3では、レーザ加工装置20は、X軸移動ユニット60、Y軸移動ユニット70及び回転駆動源32に各ストリート4の幅方向の端とレーザビーム照射ユニット40とをストリート4に沿って相対的移動させながらレーザビーム照射ユニット40から保護膜6及びウェーハ1に対して吸収性を有する波長のレーザビーム200を各ストリート4の幅方向の端部に照射する。
【0041】
第1レーザ加工ステップST3では、レーザ加工装置20は、
図10に示すように、レーザビーム200の集光点201を積層体3の上面に設定して、レーザビーム200を積層体露出溝8内でかつ保護膜除去ステップST2よりも幅方向の端寄りの位置に照射する。第1レーザ加工ステップST3では、レーザ加工装置20は、全てのストリート4の幅方向の両端の積層体露出溝8内で露出する積層体3にアブレーション加工を施す。第1レーザ加工ステップST3では、レーザ加工装置20は、
図11及び
図12に示すように、ストリート4の幅方向の両端の積層体露出溝8内で露出する少なくとも積層体3を除去して、全てのストリート4の両端の積層体露出溝8内に基材2を露出させるレーザ加工溝9を形成する。即ち、第1レーザ加工ステップST3では、レーザ加工装置20が、各ストリート4に2条のレーザ加工溝9を形成する。
【0042】
なお、
図11及び
図12では、第1レーザ加工ステップST3において、ストリート4の幅方向の両端の積層体露出溝8内の積層体3と基材2の一部を除去した例を示しているが、本発明は、ストリート4の幅方向の両端の積層体露出溝8内の積層体3のみを除去しても良い。要するに、第1レーザ加工ステップST3において、本発明は、ストリート4の幅方向の両端の積層体露出溝8内の積層体3を除去できるのであれば、積層体3のみを除去しても良いし、積層体3と基材2の一部を除去しても良い。また、実施形態1では、
図11及び
図12は、保護膜6が積層体3よりも剥離し易いために、積層体露出溝8の幅をレーザ加工溝9の幅よりも広く示している。
【0043】
また、第1レーザ加工ステップST3において、レーザ加工装置20がレーザビーム200を積層体露出溝8内でかつ保護膜除去ステップST2よりも幅方向の端寄りであるとともにストリート4の両端から所定の距離400よりも離れた位置に照射する。これにより、保護膜除去ステップST2は、2条のレーザ加工溝9が形成される位置よりストリート4の幅方向の内側でストリート4の幅方向に並んだ2点にレーザビーム200を集光させた状態でストリート4に沿ってレーザビーム200を照射することとなる。また、保護膜除去ステップST2は、2条のレーザ加工溝9が形成される位置を含む領域の少なくとも保護膜6を除去することとなる。また、実施形態1では、第1レーザ加工ステップST3において、レーザ加工装置20は、ストリート4の両端から所定の距離400離れた位置にレーザ加工溝9を形成している。
【0044】
また、実施形態1において、第1レーザ加工ステップST3の加工条件であるレーザビーム200の波長は、355nmであり、レーザビーム200の出力は、1.3Wであり、レーザビーム200の繰り返し周波数は、200kHzであり、レーザビーム200の集光点201のスポット径は、10μm程度であり、レーザビーム照射ユニット40とウェーハ1との相対的な移動速度は、400mm/secである。このように、実施形態1に係るウェーハの加工方法の保護膜除去ステップST2と第1レーザ加工ステップST3では、同程度の条件で、レーザビーム200を照射する。ウェーハの加工方法は、全てのストリート4に2条のレーザ加工溝9を形成すると、第2レーザ加工ステップST4に進む。
【0045】
(第2レーザ加工ステップ)
図13は、
図3に示されたウェーハの加工方法の第2レーザ加工ステップのウェーハの要部を示す断面図である。第2レーザ加工ステップST4は、第1レーザ加工ステップST3を実施した後、ストリート4に沿って、レーザビーム210を照射することで、2条のレーザ加工溝9間の積層体3を保護膜6とともに除去して2条のレーザ加工溝9間の基材2を露出させるステップである。
【0046】
第2レーザ加工ステップST4では、レーザ加工装置20は、X軸移動ユニット60、Y軸移動ユニット70及び回転駆動源32に各ストリート4の幅方向の中央とレーザビーム照射ユニット40とをストリート4に沿って相対的移動させながらレーザビーム照射ユニット40から保護膜6及びウェーハ1に対して吸収性を有する波長のレーザビーム210を各ストリート4の幅方向の中央に照射する。
【0047】
第2レーザ加工ステップST4では、レーザ加工装置20は、
図13に示すように、レーザビーム210の積層体3上での幅211を2条のレーザ加工溝9の内縁同士の距離9-1よりも大きくかつ2条のレーザ加工溝9の外縁同士の距離9-2よりも小さく成形して、レーザビーム210をストリート4の幅方向の中央に照射する。第2レーザ加工ステップST4では、レーザ加工装置20は、レーザビーム210をストリート4の幅方向の中央に照射することで、ストリート4の2条のレーザ加工溝9間の保護膜6、積層体3及び基材2にアブレーション加工を施す。第2レーザ加工ステップST4では、レーザ加工装置20は、ストリート4の幅方向の中央の2条のレーザ加工溝9間の保護膜6、積層体3及び基材2の一部を除去する。
【0048】
なお、第2レーザ加工ステップST4では、レーザ加工装置20は、マスクでストリート4の幅方向に伸長して幅211を有するレーザビーム210に成形して照射するが、本発明では、除去したい幅よりも成形されたレーザビーム210のストリート4の幅方向の長さが短い場合には、必ずしも1度のみではなく、レーザビーム210を幅方向に移動させながら複数回加工しても良く、通常のレーザビーム200で複数ライン(通常の加工をストリート4の幅方向で複数回繰り返す)照射して加工しても良く、レーザビーム200を分岐して複数点に集光させて加工しても良い。
【0049】
なお、実施形態1では、第2レーザ加工ステップST4において、ストリート4の幅方向の中央の2条のレーザ加工溝9間の保護膜6及び積層体3のみを除去しているが、本発明は、ストリート4の幅方向の中央の2条のレーザ加工溝9間の基材2の一部を除去しても良い。要するに、第2レーザ加工ステップST4において、本発明は、ストリート4の幅方向の中央の2条のレーザ加工溝9間の保護膜6及び積層体3を除去できるのであれば、保護膜6及び積層体3のみを除去しても良いし、保護膜6及び積層体3に加え基材2の一部を除去しても良い。
【0050】
また、実施形態1において、第2レーザ加工ステップST4の加工条件であるレーザビーム210の波長は、355nmであり、レーザビーム210の出力は、3W~5Wであり、レーザビーム210の繰り返し周波数は、40kHzであり、集光スポットのサイズは、ストリート4の幅方向の長さが211μmで、ストリート4の伸長方向の長さが約10μm程度であり、レーザビーム照射ユニット40とウェーハ1との相対的な移動速度は、600mm/secである。このように、実施形態1に係るウェーハの加工方法の第2レーザ加工ステップST4の加工条件は、保護膜除去ステップST2及び第1レーザ加工ステップST3の加工条件よりもレーザビーム210の出力が強い。第2レーザ加工ステップST4において、レーザ加工装置20は、全てのストリート4の2条のレーザ加工溝9間の保護膜6及び積層体3を除去すると、ウェーハ1を保護膜被覆洗浄ユニット80により洗浄して、保護膜6を除去して、切削ステップST5に進む。
【0051】
(切削ステップ)
図14は、
図3に示されたウェーハの加工方法の切削ステップのウェーハの要部を示す断面図である。切削ステップST5は、第2レーザ加工ステップST4を実施した後、ストリート4の基材2が露出した領域4-1を切削ブレード300で切削するステップである。
【0052】
実施形態1において、切削ステップST5では、切削装置301が、
図14に示すように、ウェーハ1の裏面12側を粘着テープ10を介してチャックテーブルに吸引保持するとともに、クランプ部で環状フレーム11をクランプする。切削ステップST5では、切削装置301が撮像ユニットでチャックテーブル保持されたウェーハ1を撮像して、ウェーハ1と切削ブレード300との位置合わせを行うアライメントを遂行する。なお、実施形態1において、切削ブレード300の厚み300-1は、各ストリート4の基材2が露出した領域4-1の幅4-2よりも薄い。
【0053】
切削ステップST5では、切削装置301が、各ストリート4に沿ってウェーハ1と切削ブレード300とを相対的に移動させながら切削ブレード300を粘着テープ10に到達するまでウェーハ1に切り込ませて、ウェーハ1を各デバイス5に分割する。ウェーハの加工方法は、全てのストリート4に切削ブレード300を切り込ませると、終了する。なお、個々のデバイス5に分割されたウェーハ1は、洗浄ユニット等により洗浄されて、切削屑が除去された後、個々のデバイス5が粘着テープ10からピックアップされる。なお、実施形態1では、第2レーザ加工ステップST4において、レーザ加工装置20がウェーハ1を保護膜被覆洗浄ユニット80により洗浄して保護膜6を除去しているが、本発明は、第2レーザ加工ステップST4においてレーザ加工装置20がウェーハ1を保護膜被覆洗浄ユニット80により洗浄せずに、切削ステップST5後に、ウェーハ1を洗浄ユニット等により洗浄して、保護膜6を除去しても良い。
【0054】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、第1レーザ加工ステップST3において2条のレーザ加工溝を形成する前に、あらかじめ保護膜除去ステップST2においてストリート4にレーザビーム200を照射して、保護膜6を除去した2条の積層体露出溝8をストリート4の幅方向の両端部に形成する。実施形態1に係るウェーハの加工方法は、第1レーザ加工ステップST3において、積層体露出溝8にレーザビーム200を照射して積層体3を除去して、レーザ加工溝9を形成する。即ち、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、全てのストリート4に対して、必ず、端から所定の距離400よりも離れた積層体露出溝8をストリート4の幅方向の両端部に形成し、その後に、積層体露出溝8よりも端寄りにレーザ加工溝9を形成する。このために、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、第1レーザ加工ステップST3において、レーザビーム200を保護膜6に照射しないので、保護膜6の剥離が生じない。即ち、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、ストリート4の幅を超えて保護膜6が剥離することを抑制する。
【0055】
その後、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、第2レーザ加工ステップST4において、積層体3を除去した2条のレーザ加工溝9間にレーザビーム200を照射する。実施形態1に係るウェーハの加工方法は、第2レーザ加工ステップST4の時に生じたデブリが、ストリート4外にも飛散するが、ストリート4外には保護膜6が被覆されているため、デバイス5の上面に固着することがない。その結果、ウェーハの加工方法は、基材2に積層体3が積層されて、レーザ加工前に保護膜6が被覆されるウェーハ1であっても、デバイス5にデブリが付着することを抑制することができる。
【0056】
また、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、保護膜除去ステップST2の加工条件が、最初にレーザ加工溝9を形成する従来の加工方法の加工条件よりもレーザビーム200の出力が弱いので、保護膜除去ステップST2後の保護膜6の剥離を抑制することができる。また、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、保護膜除去ステップST2において、第1レーザ加工ステップST3よりもストリート4の幅方向の内側にレーザビーム200を照射するので、仮に保護膜除去ステップST2において保護膜6が剥がれても、保護膜6の剥がれた箇所がストリート4の外側即ちデバイス5に到達することを抑制できる。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。実施形態1は、全てのストリート4に対して、必ず、端から所定の距離400よりも離れた積層体露出溝8をストリート4の幅方向の両端部に形成し、その後に、積層体露出溝8よりも端寄りにレーザ加工溝9を形成している。しかしながら、本発明は、少なくとも一つのストリート4に対して、端から所定の距離400よりも離れた積層体露出溝8をストリート4の幅方向の両端部に形成し、その後に、積層体露出溝8よりも端寄りにレーザ加工溝9を形成しても良い。また、前述した実施形態1では、保護膜除去ステップST2でレーザビーム200を照射する条件と、第1レーザ加工ステップST3でレーザビーム200を照射する条件とが異なっているが、本発明は、保護膜除去ステップST2と第1レーザ加工ステップST3では同じ条件でレーザビーム200を照射しても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 ウェーハ
2 基材
3 積層体
4 ストリート
4-1 領域
5 デバイス
6 保護膜
9 レーザ加工溝
200 レーザビーム
210 レーザビーム
300 切削ブレード
ST1 保護膜被覆ステップ
ST2 保護膜除去ステップ
ST3 第1レーザ加工ステップ
ST4 第2レーザ加工ステップ
ST5 切削ステップ