(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】めっき装置
(51)【国際特許分類】
C25D 17/10 20060101AFI20221213BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C25D17/10 A
C25D21/12 A
(21)【出願番号】P 2019036719
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】平尾 智則
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 岳
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】横山 俊夫
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-087295(JP,A)
【文献】特開2009-155726(JP,A)
【文献】特開2017-052986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0195352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00- 9/12
C25D 13/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ホルダに保持された基板にめっき処理を行うためのめっき装置であって、
基板が保持された基板ホルダを受け入れ可能なめっき槽と、
基板ホルダの側面と前記めっき槽の内側の壁面との間の領域に電場が回り込むことを抑制するためのブロック機構と、を有し、
前記ブロック機構は、
前記めっき槽の内側側面に固定されているガイド部材と、
前記ガイド部材に支持されるシールブロックと、
前記シールブロックを、前記めっき槽内に配置された基板ホルダに向かって移動させるための移動機構と、を有する、
めっき装置。
【請求項2】
請求項1に記載のめっき装置であって、
前記移動機構は、前記
シールブロックを、前記めっき槽内に配置された基板ホルダの側面に向かって移動させるように構成される、
めっき装置。
【請求項3】
請求項1に記載のめっき装置であって、
前記移動機構は、前記
シールブロックを、前記めっき槽内に配置された基板ホルダの
表面に向かって移動させるように構成される、
めっき装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載のめっき装置であって、
前記
シールブロックは、前記めっき槽内に配置された基板ホルダに接触可能なシール部材を有する、
めっき装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載のめっき装置であって、
前記
シールブロックは、前記めっき槽の高さ方向に延びる、
めっき装置。
【請求項6】
請求項1から
4のいずれか一項に記載のめっき装置であって、
前記
シールブロックは、前記めっき槽の内側の側面および底面に沿って延びる、
めっき装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載のめっき装置であって、
前記移動機構は、流体バネを備える、
めっき装置。
【請求項8】
請求項1から
6のいずれか一項に記載のめっき装置であって、
前記移動機構は、カム要素を備える、
めっき装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のめっき装置であって、
前記ガイド部材は、前記めっき槽の内側側面の両側に配置されている、
めっき装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のめっき装置であって、
前記ガイド部材は、対向する2つの板状の部材を有し、
前記シールブロックは、前記対抗する2つの板状の部材の間に配置されている、
めっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや電子素子用基板の表面にCu等の金属めっき膜を形成することが行われている。たとえば、基板ホルダにめっき対象である基板を保持し、めっき液を収容しためっき槽中に基板ホルダごと基板を浸漬させて電気めっきを行うことがある。基板ホルダは、基板のめっき面を露出するように基板を保持する。めっき液中において、基板の露出面に対応するようにアノードが配置され、基板とアノードとの間に電圧を付与して基板の露出面に電気めっき膜を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の両方の面にめっきを施すため表裏の両面に開口部が設けられている基板ホルダが存在する。たとえば、1枚の基板の表面および裏面の両方が露出するように基板を保持する基板ホルダや、2枚の基板を保持でき、それぞれの基板の片方の面が露出するように2枚の基板を保持する基板ホルダがある。
【0005】
この様に表裏の両面に開口部が設けられている基板ホルダを使用してめっき処理を行う場合、基板ホルダとめっき槽との間に大きな隙間が存在することがある。基板ホルダとめっき槽との間に大きな隙間が存在すると、アノードから基板へ向かう電場に回り込みが発生し得る。たとえば、アノードから、該アノードに対向する基板ホルダに保持された基板の表面へ向かう電場の一部が、基板ホルダに保持された基板の裏面へ回り込むことがある。電場の回り込みが発生すると、基板に均一な厚さのめっき膜を形成することが困難になる。本開示は、電場の回り込みを防止または緩和するめっき装置を提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、基板ホルダに保持された基板にめっき処理を行うためのめっき装置が提供され、かかるめっき装置は、基板が保持された基板ホルダを受け入れ可能なめっき槽と、前記めっき槽の内側の壁面から前記めっき槽の内側に延び、且つ、前記めっき槽内で移動可能なブロック部材と、前記ブロック部材を、前記めっき槽内に配置された基板ホルダに向かって移動させるための移動機構と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】めっき装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図2】一実施形態に係るめっき装置で使用される基板ホルダの一例を概略的に示す斜視図である。
【
図3A】
図2に示される基板ホルダが分離された状態を示す図である。
【
図4】一実施形態による、基板が保持された基板ホルダをめっき槽に配置するときの様子を示す斜視図である。
【
図5A】一実施形態による、基板ホルダが配置された状態のめっき槽を示す図である。
【
図5B】
図5Aに示されるブロック機構付近を拡大して示す図である。
【
図5C】
図5A中の矢印5Cで示される方向から見た図である。
【
図6A】一実施形態による、基板ホルダが配置された状態のめっき槽を示す図である。
【
図6B】
図6Aに示されるブロック機構付近を拡大して示す図である。
【
図6C】
図6A中の矢印6Cで示される方向から見た図である。
【
図7A】一実施形態による、基板ホルダが配置された状態のめっき槽を示す図である。
【
図7B】
図7Aに示されるブロック機構付近を拡大して示す図である。
【
図7C】
図7A中の矢印7Cで示される方向から見た図である。
【
図7D】
図7B中の矢印7DEに沿って切り出した部分断面図であり、流体バネが膨張し、シールブロックが基板ホルダから離れた位置にある状態を示している。
【
図7E】
図7B中の矢印7DEに沿って切り出した部分断面図であり、流体バネが収縮し、シールブロックが基板ホルダに近づいた位置にある状態を示している。
【
図8】一実施形態による、基板ホルダが配置された状態のめっき槽を示す図である。
【
図9A】一実施形態による、基板ホルダが配置された状態のめっき槽を示す図である。
【
図9B】
図9Aに示されるブロック機構付近を拡大して示す図である。
【
図9C】
図9A中の矢印9Cで示される方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明に係るめっき装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。なお、本明細書において「基板」には、半導体基板、ガラス基板、プリント回路基板だけでなく、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子や微小機械素子、あるいは部分的に製作された集積回路を含む。
【0009】
図1は、めっき装置の一実施形態を示す模式図である。
図1に示すように、めっき装畳は、架台101と、めっき装置の運転を制御する制御部103と、基板W(
図2参照)をロードおよびアンロードするロード/アンロード部170Aと、基板ホルダ11(
図2参照)に基板Wをセットし、かつ基板ホルダ11から基板Wを取り外す基板セット部(メカ室)170Bと、基板Wをめっきするプロセス部(前処理室、めっき室)170Cと、基板ホルダ11を格納するホルダ格納部(ストッカ室)170Dと、めっきされた基板Wを洗浄および乾燥する洗浄部170Eとを備えている。本実施形態に係るめっき装置は、めっき液に電流を流すことで基板Wの表面および裏面の両面を金属でめっきする電解めっき装置である。また、本実施形態の処理対象となる基板Wは、たとえば半導体パッケージ基板等である。
【0010】
図1に示すように、架台101は、複数の架台部材101a~101hから構成されており、これら架台部材101a~101hは連結可能に構成されている。ロード/アンロード部170Aの構成要素は第1の架台部材101a上に配置されており、基板セット部170Bの構成要素は第2の架台部材101b上に配置されており、プロセス部170Cの構成要素は第3の架台部材101c~第6の架台部材101f上に配置されており、ホルダ格納部170Dの構成要素は第7の架台部材101gおよび第8の架台部材101h上に配置されている。
【0011】
ロード/アンロード部170Aには、めっき前の基板Wを収納したカセット(図示しない)が搭載されるロードステージ105と、プロセス部170Cでめっきされた基板Wを受け取るカセット(図示しない)が搭載されるアンロードステージ107とが設けられている。さらに、ロード/アンロード部170Aには、基板Wを搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置122が配置されている。
【0012】
基板搬送装置122はロードステージ105に搭載されたカセットにアクセスし、めっき前の基板Wをカセットから取り出し、基板Wを基板セット部170Bに渡すように構成されている。基板セット部170Bでは、めっき前の基板Wが基板ホルダ11にセットされ、めっき後の基板Wが基板ホルダ11から取り出される。
【0013】
プロセス部170Cには、プリウェット槽126と、プリソーク槽128と、第1リンス槽130aと、ブロー槽132と、第2リンス槽130bと、第1めっき槽10aと、第2めっき槽10bと、第3リンス槽130cと、第3めっき槽10cとが配置されている。これら槽126,128,130a,132,130b,10a,10b,130c,10cは、この順に配置されている。
【0014】
プリウェット槽126では、前処理準備として、基板Wが純水に浸漬される。プリソーク槽128では、基板Wの表面に形成されたシード層などの導電層の表面の酸化膜が薬液によってエッチング除去される。第1リンス槽130aでは、プリソーク後の基板Wが洗浄液(例えば、純水)で洗浄される。
【0015】
第1めっき槽10a、第2めっき槽10b、および第3めっき槽10cの少なくとも1つのめっき槽10では、基板Wの両面がめっきされる。なお、
図1に示される実施形態においては、めっき槽10は、3つであるが、他の実施形態として任意の数のめっき槽10を備えるようにしてもよい。
【0016】
第2リンス槽130bでは、第1めっき槽10aまたは第2めっき槽10bでめっきされた基板Wが基板ホルダ11とともに洗浄液(例えば、純水)で洗浄される。第3リンス槽130cでは、第3めっき槽10cでめっきされた基板Wが基板ホルダ11とともに洗浄液(例えば、純水)で洗浄される。ブロー槽132では、洗浄後の基板Wの液切りが行われる。
【0017】
プリウェット槽126、プリソーク槽128、リンス槽130a~130c、およびめっき槽10a~10cは、それらの内部に処理液(液体)を貯留できる処理槽である。これら処理槽は、処理液を貯留する複数の処理セルを備えているが、この実施形態に限定されず、これら処理槽は単一の処理セルを備えてもよい。また、これら処理槽の少なくとも一部が単一の処理セルを備えており、他の処理槽は複数の処理セルを備えてもよい。
【0018】
めっき装置は、基板ホルダ11を搬送する搬送機140をさらに備えている。搬送機140はめっき装置の構成要素の間を移動可能に構成されている。搬送機140は、基板セット部170Bからプロセス部170Cまで水平方向に延びる固定ベース142と、固定ベース142に沿って移動可能に構成された複数のトランスポータ141とを備えている。
【0019】
これらトランスポータ141は、基板ホルダ11を保持するための可動部(図示しない)をそれぞれ有しており、基板ホルダ11を保持するように構成されている。トランスポータ141は、基板セット部170B、ホルダ格納部170D、およびプロセス部170Cとの間で基板ホルダ11を搬送し、さらに基板ホルダ11を基板Wとともに上下動させるように構成されている。トランスポータ141の移動機構として、例えばモータとラッ
クアンドピニオンとの組み合わせが挙げられる。なお、
図1に示される実施形態では、3つのトランスポータが設けられているが、他の実施形態として任意の数のトランスポータを採用してもよい。
【0020】
基板ホルダ11の構成について、
図2および
図3を参照して説明する。
図2は、一実施形態に係るめっき装置で使用される基板ホルダの一例を概略的に示す斜視図である。
図3Aは、
図2に示される基板ホルダが分離された状態を示す図である。
図3Bは、
図3A中の領域3Bの部分を拡大して示す図である。
図2に示すように、基板ホルダ11は、基板Wが保持される本体部110と、本体部110の上端に設けられたアーム部112とを備えている。本体部110は第1部材110aと第2部材110bとから構成されている。基板ホルダ11は、第1部材110aおよび第2部材110bによって基板Wを挟持することにより基板Wを保持する。第1部材110aおよび第2部材110bはそれぞれ開口部を画定し、基板Wの表面および裏面のそれぞれの被めっき面が露出するように保持される。換言すれば、第1部材110aおよび第2部材110bは、基板Wの外周部だけを両側から挟むことで基板Wを保持する。基板ホルダ11は、アーム部112がトランスポータ141に保持された状態で搬送される。図示される基板ホルダ11は、円形の基板Wを保持するためのものであるが、これに限定されるものではなく、四角形の基板を保持するものとしてもよい。その場合、第1部材110aおよび第2部材110bに形成される開口部も基板Wの形状に応じて四角形となる。あるいは、基板Wを六角形等の多角形やその他の形状を備える基板とすることもできる。この場合、第1部材110aおよび第2部材110bに形成される開口部も基板Wの形状に応じて多角形等となる。
【0021】
図3A、3Bに示されるように、本体部110は、基板Wの周縁部に接触するように構成された電気接点116を備えている。電気接点116は、基板Wの周縁部の全体に接触するように構成されている。たとえば、図示のように円形の基板Wを保持する基板ホルダ11の場合は、電気接点116は、円形の基板Wの周縁部に接触するように、円形のリング形状である。他の実施形態として、四角形の基板Wを保持する基板ホルダ11の場合は、電気接点116は、四角形の基板Wの周縁部に接触するように四角のリング形状である。なお、
図3A、3Bにおいては第2部材110bに設けられた電気接点116bが示されているが、第1部材110aにも同様に電気接点116aが設けられている。
【0022】
図3A、3Bに示されるように、本体部110において、電気接点116の内側には、内側シールリング118が配置されている。また、電気接点116の外側には、外側シールリング120が配置されている。なお、
図3A、3Bにおいては第2部材110bに設けられた内側シールリング118bおよび外側シールリング120bが示されているが、第1部材110aにも同様に内側シールリング118aおよび外側シールリング120aが設けられている。
【0023】
基板Wを基板ホルダ11に保持すると、電気接点116が基板Wの周縁部に接触し、また、内側シールリング118が電気接点116の内側で基板Wに接触する。また、基板Wを基板ホルダ11に保持すると、外側シールリング120は、基板Wまたは基板ホルダ11の構造物に接触する。そのため、基板ホルダ11の電気接点116の部分は、シールされ、めっき処理中にめっき液が浸入することがない。
【0024】
基板ホルダ11に保持された基板Wを各処理槽内の処理液に浸漬するとき、アーム部112は各処理槽のアーム受け部材(図示しない)の上に配置される。本実施形態では、めっき槽10a~10cは電解めっき槽であるため、アーム部112に設けられた給電接点(コネクタ部)114がめっき槽10のアーム受け部材に設けられた電気接点に接触すると、外部電源から基板Wの表面および裏面に電流が供給される。
図2に示される基板ホルダ11において、給電接点114はアーム部112に2つ設けられており、一方の給電接
点114aは基板Wの表面に電流を供給するためのものであり、他方の給電接点114bは、基板Wの裏面に電流を供給するためのものである。図示の実施形態による基板ホルダ11においては、基板Wの表面および裏面のそれぞれに独立して電流を供給することができる。そのため、基板Wの表面および裏面に異なる大きさの電流を供給することができる。基板Wの表面および裏面に同一の大きさの電流を供給してもよい。
【0025】
めっきされた基板Wは、基板ホルダ11とともにトランスポータ141によって基板セット部170Bに搬送され、基板セット部170Bにおいて基板ホルダ11から取り出される。この基板Wは、基板搬送装置122によって洗浄部170Eまで搬送され、洗浄部170Eで洗浄および乾燥される。その後、基板Wは、基板搬送装置122によってアンロードステージ107に搭載されたカセットに戻される。
【0026】
図4は一実施形態による、基板Wが保持された基板ホルダ11をめっき槽10に配置するときの様子を示す斜視図である。
図4に示されるように、めっき槽10内には、2つのアノード31a、31bが配置されている。アノード31a、31bは、めっき対象である基板Wと同様の形状とすることができ、基板Wが円形であればアノード31a、31bも円形とし、基板Wが四角形であればアノード31a、31bも四角形とすることができる。また、アノード31a、31bは、それぞれアノードホルダ30a、30bに保持されている。アノード31a、31bおよびアノードホルダ30a、30bは任意の構造とすることができ、例えば公知の任意のものとすることができる。
【0027】
図4に示されるように、基板Wが保持された基板ホルダ11は、めっき槽10中の2つのアノード31a、31bの間に配置される。基板ホルダ11が、めっき槽10に配置されると、基板Wの表面がアノード31aの方を向き、基板Wの裏面がアノード31bの方を向く。なお、
図4には示されないが、一実施形態において、基板ホルダ11とアノードホルダ30a、30bとの間には、基板Wとアノード31a、31bとの間に形成される電場を制限または調整するための電場遮蔽プレートや、めっき槽10中のめっき液を撹拌するためのパドルが配置されてもよい。
【0028】
一実施形態において、
図4に示されるように、めっき槽10は、めっき槽10から溢れためっき液を受け入れるための外槽16を備える。なお、
図4において、図示の明瞭化のために、めっき槽10、外槽16、およびアノードホルダ31aの一部は透明であるように示している。
【0029】
図5Aは、一実施形態による、基板ホルダ11が配置された状態のめっき槽10を示す図である。
図5Aに示されるように、めっき槽10の内側側面に、めっき槽10内の電場の回り込みを防止するためのブロック機構150を備える。
図5Bは、
図5Aに示されるブロック機構150付近を拡大して示す図である。
図5Cは、
図5A中の矢印5Cで示される方向から見た図である。
【0030】
図示のように、ブロック機構150は、めっき槽10の内側側面に配置されるガイド部材152を備える。
図5A、
図5Bに示されるように、一実施形態によるガイド部材152は、めっき槽10の側面において、開口している上端からめっき槽10の底面がある下端まで延びる2つの対向する板状の部材とすることができる。図示のように、ブロック機構150は、ガイド部材152に支持されるシールブロック154を備える。一実施形態によるシールブロック154は、図示のようにガイド部材152の間に配置される板状の部材とすることができる。シールブロック154は、ガイド部材152に支持された状態において、めっき槽10の内側に向かって移動可能に構成される。シールブロック154が、めっき槽10の内側に向かって移動すると、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離が小さくなる。
【0031】
一実施形態において、
図5Bに示されるように、シールブロック154の端部に流体バネ157が配置されている。流体バネ157は、2つのガイド部材152の間において、シールブロック154の高さ全体に渡って延びている。流体バネ157には、図示しない流体流路および流体源に接続されている。流体バネ157に流体が供給されると流体バネ157が膨張し、シールブロック154を基板ホルダ11の側面の方に移動させる。また、流体バネ157から流体が排出されると流体バネ157が収縮し、シールブロック154を基板ホルダ11の側面から引き離す方向に移動させる。たとえば、
図5Bに示される実施形態において、流体バネ157の一端をシールブロック154の端部に接続することで、流体バネ157の膨張および収縮によりシールブロック154を上述のように移動させることができる。なお、「基板ホルダの側面」とは、基板ホルダに保持された基板の被めっき面に垂直な基板ホルダの面である。一実施形態において、流体バネ157は空気バネとすることができる。また、一実施形態において、流体バネ157に代えてカム機構などによりシールブロック154を移動させてもよい。なお、流体バネ157は、シールブロック154を上述のように移動させることができるように配置されていればよく、必ずしもシールブロック154の高さ全体に渡って延びている必要はない。たとえば、複数の流体バネ157を所定の間隔でシールブロック154の高さ方向に配置してもよい。
【0032】
一実施形態において、
図5Bに示されるように、シールブロック154は、めっき槽10の内側方向の端面に、高さ方向に延びるシール156を備える。一実施形態において、シール156は、シールブロック154のめっき槽10の内側方向の端面に高さ方向に形成された凹部に配置することができる。
図5に示される実施形態においては、シールブロック154がめっき槽10の内側方向に移動すると、シール156が基板ホルダ11の側面に接触する。そのため、基板ホルダ11の側面と、めっき槽10の側面との間の隙間を無くすことができる。基板ホルダ11の側面とめっき槽10の側面との間の隙間が無くなると、基板Wの一方の面と対応するアノード31a、31bとの間の電場が、基板Wの反対側に回り込むことを防止することができる。なお、一実施形態として、基板ホルダ11の側面に接触するシール156は無くてもよい。また、一実施形態として、シールブロック154は基板ホルダ11の側面に接触しなくてもよい。シールブロック154の移動により、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離が小さくなれば、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離をゼロにしなくても電場の回り込みが小さくなるので、めっき膜を均一に形成することができる。本実施形態においては、シールブロック154は移動可能なので、基板ホルダ11をめっき槽10に配置するときはシールブロック154を退避させておくことができる。そのため、基板ホルダ11をめっき槽10に配置するときにシールブロック154が基板ホルダ11の配置を邪魔することがない。一方で、基板ホルダ11をめっき槽10に配置した後に、シールブロック154を基板ホルダ11に近づけて電場の回り込みを防止または緩和することができる。
【0033】
一実施形態において、めっき槽10は、底面に底シール部160を備える。底シール部160は、基板ホルダ11がめっき槽10に配置された状態で、基板ホルダ11の底面が底シール部160に接触または近接するように構成される。底シール部160は、一例として、めっき槽10の底面に形成された凹部または凸部とすることができる。底シール部160が凹部として形成される場合、基板ホルダ11がめっき槽10に配置されたときに、基板ホルダ11の底面が底シール部160の凹部に嵌るように構成される。底シール部160が凸部として形成される場合、基板ホルダ11がめっき槽10に配置されたときに、基板ホルダ11の底面が底シール部160の凸部に接触するように構成される。また、一実施形態として、底シール部160と基板ホルダ11の底面とは、接触しなくてもよい。なお、一実施形態において、底シール部160は無くてもよい。基板ホルダ11に配置された基板と基板ホルダ11の底面との間の距離が大きい場合、基板ホルダ11の下側を通って電場が基板ホルダ11の反対側に回り込み反対側の基板のめっき処理に与える影響
は小さくなる。
【0034】
図6Aは、一実施形態による、基板ホルダ11が配置された状態のめっき槽10を示す図である。
図6Aに示されるように、めっき槽10の内側側面に、めっき槽10内の電場の回り込みを防止するためのブロック機構150を備える。
図6Bは、
図6Aに示されるブロック機構150付近を拡大して示す図である。
図6Cは、
図6A中の矢印6Cで示される方向から見た図である。
【0035】
図6に示される実施形態において、ブロック機構150は、めっき槽10の内側側面に配置されるガイド部材152を備える。
図6A、
図6Bに示されるように、一実施形態によるガイド部材152は、めっき槽10の側面において、開口している上端からめっき槽10の底面がある下端まで延びる2つの対向する板状の部材とすることができる。図示のように、ブロック機構150は、ガイド部材152に支持されるシールブロック154を備える。一実施形態によるシールブロック154は、図示のようにガイド部材152の間に配置される板状の部材とすることができる。シールブロック154は、ガイド部材152に支持された状態において、めっき槽10の内側に向かって移動可能に構成される。一実施形態において、
図6Cに示されるように、めっき槽10は、底面に底シール部160を備える。底シール部160は、基板ホルダ11がめっき槽10に配置された状態で、基板ホルダ11の底面が底シール部160に接触するように構成される。底シール部160は、一例として、めっき槽10の底面に形成された凹部または凸部とすることができる。
図6Cに示されるように、ガイド部材152は、底シール部160からのヒンジ162またはピンにより支持されている。あるいは、ガイド部材152は、底シール部160でなく、めっき槽10の底面付近の構造物にヒンジ162により支持するように構成してもよい。ガイド部材152は、ガイド部材152に支持されながら、ヒンジ162を中心に回転移動することが可能である。
図6Cに示されるように、ヒンジ162は、シールブロック154の下端付近に配置されており、また、シールブロック154が基板ホルダ11に保持された基板Wの平面に平行な方向に回転移動可能である。そのため、ヒンジ162を中心にシールブロック154が回転移動すると、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離が小さくなる。
【0036】
一実施形態において、
図6Bに示されように、シールブロック154の端部に流体バネ157が配置されている。
図6に示される実施形態において、流体バネ157は2つのガイド部材152の間において、シールブロック154の上端付近に設けられている。流体バネ157には、図示しない流体流路および流体源に接続されている。流体バネ157に流体が供給されると流体バネ157が膨張し、ヒンジ162を中心にシールブロック154を基板ホルダ11の側面の方に回転移動させる。また、流体バネ157から流体が排出されると流体バネ157が収縮し、ヒンジ162を中心にシールブロック154を基板ホルダ11の側面から引き離す方向に回転移動させる。一実施形態において、流体バネ157は空気バネとすることができる。また、一実施形態において、流体バネ157に代えてカム機構などによりシールブロック154を移動させてもよい。
【0037】
一実施形態において、
図6Bに示されるように、シールブロック154は、めっき槽10の内側方向の端面に、高さ方向に延びるシール156を備える。一実施形態において、シール156は、シールブロック154のめっき槽10の内側方向の端面に高さ方向に形成された凹部に配置することができる。
図6に示される実施形態においては、シールブロック154がめっき槽10の内側方向に移動すると、シール156が基板ホルダ11の側面に接触する。そのため、基板ホルダ11の側面と、めっき槽10の側面との間の隙間を無くすことができる。基板ホルダ11の側面とめっき槽10の側面との間の隙間が無くなると、基板Wの一方の面と対応するアノード31a、31bとの間の電場が、基板Wの反対側に回り込むことを防止することができる。なお、一実施形態として、基板ホルダ11
の側面に接触するシール156は無くてもよい。また、一実施形態として、シールブロック154は基板ホルダ11の側面に接触しなくてもよい。シールブロック154の移動により、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離が小さくなれば、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離をゼロにしなくても電場の回り込みが小さくなるので、めっき膜を均一に形成することができる。
【0038】
図7Aは、一実施形態による、基板ホルダ11が配置された状態のめっき槽10を示す図である。
図7Aに示されるように、めっき槽10の内側側面に、めっき槽10内の電場の回り込みを防止するためのブロック機構150を備える。
図7Bは、
図7Aに示されるブロック機構150付近を拡大して示す図である。
図7Cは、
図7A中の矢印7Cで示される方向から見た図である。
【0039】
図7に示される実施形態において、ブロック機構150は、めっき槽10の内側側面に配置されるガイド部材152を備える。
図7に示されるように、一実施形態によるガイド部材152は、めっき槽10の側面において、開口している上端からめっき槽10の底面がある下端まで延びる板状の部材とすることができる。図示のように、ブロック機構150は、ガイド部材152に支持されるシールブロック154を備える。一実施形態によるシールブロック154は、図示のようにガイド部材152の一方の面に配置される板状の部材とすることができる。シールブロック154は、ガイド部材152に支持された状態において、めっき槽10内で基板ホルダ11に配置された基板Wの表面に垂直な方向に移動可能に構成される。一実施形態において、
図7Cに示されるように、めっき槽10は、底面に底シール部160を備える。底シール部160は、
図5、6とともに説明した底シール部160と同様のものとすることができる。
【0040】
一実施形態において、
図7Bに示されるように、ガイド部材152のシールブロック154側の面に流体バネ157が配置されている。流体バネ157は、ガイド部材152の高さ全体に渡って延びている。また、流体バネ157は、
図7Bに示されるように、ガイド部材152のシールブロック154側の面に形成された凹部内に配置されている。流体バネ157には、図示しない流体流路および流体源に接続されている。流体バネ157に流体が供給されると流体バネ157が膨張し、シールブロック154を基板ホルダ11の表面から離れる方に移動させる。また、流体バネ157から流体が排出されると流体バネ157が収縮し、シールブロック154を基板ホルダ11の表面に向かって移動させる。なお、「基板ホルダの表面」とは、基板ホルダに保持された基板の被めっき面に平行な基板ホルダの面である。一実施形態において、流体バネ157は空気バネとすることができる。また、一実施形態において、流体バネ157に代えてカム機構などによりシールブロック154を移動させてもよい。なお、流体バネ157は、シールブロック154を上述のように移動させることができるように配置されていればよく、必ずしもシールブロック154の高さ全体に渡って延びている必要はない。たとえば、複数の流体バネ157を所定の間隔でシールブロック154の高さ方向に配置してもよい。
【0041】
また、一実施形態において、
図7Bに示されるように、ガイド部材152およびシールブロック154は、連結ピン155により連結されている。
図7に示される実施形態において、連結ピン155は、ガイド部材152の高さ方向に複数配置されている。
図7Dおよび
図7Eは、
図7B中の矢印7DEに沿って切り出した部分断面図である。
図7D、7Eに示されるように、連結ピン155は、軸部155a、および軸部155aの両端部に位置する頭部155b、155cを備える。軸部155aは円柱形状の部材である。頭部155b、155cは、軸部155aよりも半径が大きな円板形状または円柱形状の部材である。
図7D,7Eに示されるように、一方の頭部155bは、シールブロック154の基板ホルダ11の反対側の面に配置され、軸部155aは、シールブロック154を貫通して、ガイド部材152に形成された凹部153に延びる。反対側の頭部155cは、
ガイド部材152に形成された凹部153に配置されている。
図7D、7Eに示されるように、ガイド部材152の凹部153内において、軸部155aを囲うようにバネ159、たとえばコイルバネが配置されている。バネ159は、連結ピン155を、凹部153の内側に引き込む方向に付勢するように配置されている。
【0042】
流体バネ157に流体が供給されると流体バネ157が膨張し、バネ159の付勢力を克服してシールブロック154を基板ホルダ11から離れる方に移動させる。一方、流体バネ157から流体が排出されると流体バネ157が収縮し、バネ159の付勢力によりシールブロック154を基板ホルダ11の側面に向かって移動させる。
図7Dは、流体バネ157が膨張し、シールブロック154が基板ホルダ11から離れた位置にある状態を示している。
図7Eは、流体バネ157が収縮し、シールブロック154が基板ホルダ11に近づいた位置にある状態を示している。なお、一実施形態において、上述のガイド部材152、流体バネ157、連結ピン155、およびバネ159をシールブロック154の反対側の面に配置することで、流体バネ157が膨張したときに、シールブロック154を基板ホルダ11の方に近づけるように構成してもよい。また、
図7に示される実施形態において、連結ピン155、およびバネ159を用いずに、流体バネ157の膨張および収縮によりシールブロック154を上述のように移動させるように構成してもよい。さらに、
図7に示される実施形態において、流体バネ157の膨張および収縮による作用に加えて、連結ピン155およびバネ159の作用によりシールブロック154を上述のように移動させるように構成してもよい。また、上述の連結ピン155およびバネ159と同様の構成を
図5、6の実施形態に適用してもよい。
【0043】
一実施形態において、
図7Bに示されるように、シールブロック154は、めっき槽10の内側方向の端部において基板ホルダ11の方に向くシール156を備える。シール156は、シールブロック154の上端から下端まで高さ方向に延びる。一実施形態において、シール156は、シールブロック154の高さ方向に形成された凹部に配置することができる。
図7に示される実施形態においては、シールブロック154が基板ホルダ11の方向に移動すると、シール156が基板ホルダ11の端部付近の表面に接触する。そのため、基板ホルダ11の表面とめっき槽10の側面との間の隙間を無くすことができる。基板ホルダ11の端部付近の表面とめっき槽10の側面との間の隙間が無くなると、基板Wの一方の面と対応するアノード31a、31bとの間の電場が、基板Wの反対側に回り込むことを防止することができる。なお、一実施形態として、基板ホルダ11の表面に接触するシール156は無くてもよい。また、一実施形態として、シールブロック154は基板ホルダ11の表面に接触しなくてもよい。シールブロック154の移動により、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離が小さくなれば、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離をゼロにしなくても電場の回り込みが小さくなるので、めっき膜を均一に形成することができる。
【0044】
図8は、一実施形態による、基板ホルダ11が配置された状態のめっき槽10を示す図である。
図8は、
図6Cおよび
図7Cと同様の方向から見た図である。
図8に示される実施形態において、シールブロック154は、
図7に示される実施形態と同様にガイド部材152に支持される。ただし、
図8に示される実施形態においては、シールブロック154は、略U字状の板状の部材であり、めっき槽10の両方の側部および底部に沿って延びる。また、
図8に示される実施形態において、シールブロック154は、基板ホルダ11の方に向くシール156を備える。シール156は、U字状のシールブロック154に沿って設けられる。
図8に示される実施形態においては、シールブロック154の形状以外は、
図7の実施形態と同様の構成とすることができる。
図8に示される実施形態においては、シールブロック154が基板ホルダ11の方向に移動すると、シール156が基板ホルダ11の側面端部付近の表面および底部付近の表面に接触する。そのため、基板ホルダ11の表面とめっき槽10の側面および底面との間の隙間を無くすことができる。基板ホ
ルダ11の端部付近の表面および底部付近の表面とめっき槽10の側面および底面との間の隙間が無くなると、基板Wの一方の面と対応するアノード31a、31bとの間の電場が、基板Wの反対側に回り込むことを防止することができる。なお、一実施形態として、基板ホルダ11の表面に接触するシール156は無くてもよい。また、一実施形態として、シールブロック154は基板ホルダ11の表面に接触しなくてもよい。シールブロック154の移動により、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離が小さくなれば、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離をゼロにしなくても電場の回り込みが小さくなるので、めっき膜を均一に形成することができる。
【0045】
図9Aは、一実施形態による、基板ホルダ11が配置された状態のめっき槽10を示す図である。
図9Aに示されるように、めっき槽10の内側側面に、めっき槽10内の電場の回り込みを防止するためのブロック機構150を備える。
図9Bは、
図9Aに示されるブロック機構150付近を拡大して示す図である。
図9Cは、
図9A中の矢印9Cで示される方向から見た図である。
【0046】
図9に示される実施形態において、ブロック機構150は、めっき槽10の内側側面に配置されるガイド部材152を備える。
図9に示されるように、一実施形態によるガイド部材152は、めっき槽10の側面において、開口している上端からめっき槽10の底面がある下端まで延びる板状の部材とすることができる。図示のように、ブロック機構150は、ガイド部材152に支持されるシールブロック154を備える。
図9に示される実施形態においては、
図8に示されるシールブロック154が、ガイド部材152の両方の面に配置されている。シールブロック154のそれぞれは、ガイド部材152に支持された状態において、めっき槽10内で基板ホルダ11に配置された基板Wの表面に垂直な方向に移動可能に構成される。シールブロック154の移動機構は、たとえば上述した流体バネ157やカム機構とすることができる。また、
図9には図示しないが、
図9に示される実施形態は、
図7とともに説明した連結ピン155およびバネ159を備えてもよい。
【0047】
図9に示される実施形態においては、シールブロック154は、略U字状の板状の部材であり、めっき槽10の両方の側部および底部に沿って延びる。また、
図9Bに示されるように、シールブロック154は、基板ホルダ11の方に向くシール156を備える。シール156は、U字状のシールブロック154に沿って設けられる。
図9に示される実施形態においては、シールブロック154が基板ホルダ11の方向に移動すると、シール156が基板ホルダ11の側面端部付近の表面および底部付近の表面に接触する。そのため、基板ホルダ11の表面とめっき槽10の側面および底面との間の隙間を無くすことができる。基板ホルダ11の端部付近の表面および底部付近の表面とめっき槽10の側面および底面との間の隙間が無くなると、基板Wの一方の面と対応するアノード31a、31bとの間の電場が、基板Wの反対側に回り込むことを防止することができる。
図9の実施形態においては、シールブロック154は、基板ホルダ11の両方の面に配置されている。そのため、電場の回り込みをさらに防止することができる。また、基板ホルダ11に対してシールブロック154が両側に配置されるので、めっき処理を行うときの電場や液の流れの対称性が増すので、有利である。なお、一実施形態として、基板ホルダ11の表面に接触するシール156は無くてもよい。また、一実施形態として、シールブロック154は基板ホルダ11の表面に接触しなくてもよい。シールブロック154の移動により、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離が小さくなれば、基板ホルダ11とシールブロック154との間の距離をゼロにしなくても電場の回り込みが小さくなるので、めっき膜を均一に形成することができる。なお、
図9に示される実施形態においては、シールブロック154は、略U字状の部材であるが、他の実施形態として、たとえば
図7とともに説明した板状のシールブロック154を基板ホルダ11の両側に配置してもよい。この場合、めっき槽10は底シール部160を備えてもよい。
【0048】
本開示によるめっき装置の特徴は、円形の基板Wだけでなく、四角形の基板に対するめっき装置にも適用可能である。四角形の基板のめっきの場合、大きく分けて基板の4辺に給電する場合と、2辺に給電する場合がある。例えば2辺に給電する場合には、給電しない辺の近傍に関しては、めっきの均一性に対する電場の回り込みの影響がさほど大きくない場合もある。本開示の実施形態としては、基板Wの周囲のめっき液が存在する領域の全てにシールブロック154を設けてもよいし、電場の回り込みの影響が大きい領域に局所的にシールブロック154を設けてもよい。
【0049】
以上、いくつかの例に基づいて本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0050】
上述の実施形態から少なくとも以下の技術的思想が把握される。
[形態1]形態1によれば、基板ホルダに保持された基板にめっき処理を行うためのめっき装置であって、基板が保持された基板ホルダを受け入れ可能なめっき槽と、前記めっき槽の内側の壁面から前記めっき槽の内側に延び、且つ、前記めっき槽内で移動可能なブロック部材と、前記ブロック部材を、前記めっき槽内に配置された基板ホルダに向かって移動させるための移動機構と、を有する。
【0051】
[形態2]形態2によれば、形態1によるめっき装置において、前記移動機構は、前記ブロック部材を、前記めっき槽内に配置された基板ホルダの側面に向かって移動させるように構成される。
【0052】
[形態3]形態3によれば、形態1によるめっき装置において、前記移動機構は、前記ブロック部材を、前記めっき槽内に配置された基板ホルダの前面に向かって移動させるように構成される。
【0053】
[形態4]形態4によれば、形態1によるめっき装置において、前記移動機構は、前記ブロック部材を、前記めっき槽内に配置された基板ホルダの裏面に向かって移動させるように構成される。
【0054】
[形態5]形態5によれば、形態1から形態4のいずれか1つの形態のめっき装置において、前記ブロック部材は、前記めっき槽内に配置された基板ホルダに接触可能なシール部材を有する。
【0055】
[形態6]形態6によれば、形態1から形態5のいずれか1つの形態のめっき装置において、前記ブロック部材は、前記めっき槽の高さ方向に延びる。
【0056】
[形態7]形態7によれば、形態1から形態5のいずれか1つの形態のめっき装置において、前記ブロック部材は、前記めっき槽の内側の側面および底面に沿って延びる。
【0057】
[形態8]形態8によれば、形態1から形態7のいずれか1つの形態のめっき装置において、前記移動機構は、流体バネを備える。
【0058】
[形態9]形態9によれば、形態1から形態7のいずれか1つの形態のめっき装置において、前記移動機構は、カム要素を備える。
【符号の説明】
【0059】
10…めっき槽
11…基板ホルダ
16…外槽
110…本体部
112…アーム部
114…給電接点
116…電気接点
118…内側シールリング
120…外側シールリング
150…ブロック機構
152…ガイド部材
153…凹部
154…シールブロック
155…連結ピン
156…シール
157…流体バネ
159…バネ
160…底シール部
162…ヒンジ
W…基板