(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】極端紫外線源(EUV源)
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20221213BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
(21)【出願番号】P 2019531630
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2018050278
(87)【国際公開番号】W WO2018127565
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-28
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラベッツスキ,ドズミトリ
(72)【発明者】
【氏名】ベレンドセン,クリスチアヌス,ウィルヘルムス,ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】デュアルテ ロドリゲス ヌネス,ルイ,ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】エルショフ,アレクサンダー,イーゴレヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】フェーンストラ,コルネリス,フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】フォメンコフ,イゴール,ウラジーミロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ハマー,クラウス,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンカダクシャム,アルン
(72)【発明者】
【氏名】クラウスハール,マサイアス
(72)【発明者】
【氏名】ラフォージ,アンドリュー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ラングロア,マーク,ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ロギノフ,マクシム
(72)【発明者】
【氏名】マ,ユエ
(72)【発明者】
【氏名】モジャブ,セイイェドモハンマド
(72)【発明者】
【氏名】ナディール,ケリム
(72)【発明者】
【氏名】シャタロフ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート,ジョン,トム,フォース
(72)【発明者】
【氏名】テゲンボス,ヘンリカス,ジェラルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】シャー,チュングアン
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0008335(US,A1)
【文献】特表2010-539700(JP,A)
【文献】特表2014-523640(JP,A)
【文献】特表2013-522866(JP,A)
【文献】特開2010-093249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H05G 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内壁と中間焦点(IF)領域とを有する容器と、
前記容器の内部に配設されたEUVコレクタであって、前記中間焦点領域へEUV放射を反射するために構成された反射面を備え、前記反射面は前記容器の前記IF領域を方向的に向くように構成された、EUVコレクタと、
前記容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設され、前記容器にガスを導入するように構成された複数のノズルを備えるシャワーヘッドと、
前記容器に導入されたガスを除去するように構成され、前記ガスを前記EUVコレクタから離れる方向に流すように前記容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設された1つ以上の排出部と、
を備え
、
前記シャワーヘッドが、それぞれが前記複数のノズルの少なくとも一部分を含み、それぞれに前記ガスが個別に供給されて前記容器に前記ガスを導入するための個別に制御可能なゾーンを実現する1つ以上のゾーンを含む、
極端紫外線(EUV)源。
【請求項2】
前記ガスを前記複数のノズルを介して前記容器に導入することによって、前記容器内壁を材料の堆積から保護することができる、請求項1に記載のEUV源。
【請求項3】
前記複数のノズルが、前記容器内壁の内面の少なくとも一部分に沿って、前記容器内壁の前記内面から離れる方向を向く方向に配向される、請求項1又は2に記載のEUV源。
【請求項4】
前記シャワーヘッドが、前記容器内壁の少なくとも一部分に沿って外周方向及び横方向に延在する、請求項1から3のいずれかに記載のEUV源。
【請求項5】
前記排出部が、前記容器内壁に沿って方位角的に非対称な位置に配設され、前記容器からガスを排出するように構成され
る、請求項1から
4のいずれかに記載のEUV源。
【請求項6】
前記容器にガスを導入するように構成され、前記EUVコレクタの前記反射面の近くに配設された第1の複数のインレットを備えた第1のガス源をさらに備え、
前記排出部がさらに、前記容器内壁の前記EUVコレクタより重力方向上方に位置する第2の領域と概ね対向する前記容器内壁の第1の領域の近くに配向され、前記排出部が、前記第1のガス源及び前記複数のノズルにより導入されたガスが前記EUV源の動作中に前記第2の領域から離れる方向に流れることを可能にする、請求項
5に記載のEUV源。
【請求項7】
前記複数のノズルが、前記容器内壁の前記EUVコレクタより重力方向上方に位置する領域に少なくとも部分的に沿って分布される、請求項
5又は
6に記載のEUV源。
【請求項8】
前記複数のノズルが、前記容器内壁の内面に沿って前記容器内壁の前記内面から離れる方向に配向され、前記複数のノズルの配向が、前記容器内壁の前記内面の少なくとも一部分から離れる方向に少なくとも部分的に方向付けられたガス流を可能にする、請求項
5から
7のいずれかに記載のEUV源。
【請求項9】
容器内壁と中間焦点(IF)領域とを有する容器と、
前記容器の内部に配設されたEUVコレクタであって、前記中間焦点領域へEUV放射を反射するために構成された反射面を備え、前記反射面は前記容器の前記IF領域を方向的に向くように構成された、EUVコレクタと、
前記容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設され、前記容器にガスを導入するように構成された複数のノズルを備えるシャワーヘッドと、
前記容器に導入されたガスを除去するように構成され、前記ガスを前記EUVコレクタから離れる方向に流すように前記容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設された1つ以上の排出部と、
を備え、
前記複数のノズルが、前記容器内壁の前記EUVコレクタより重力方向上方に位置する天井領域に少なくとも部分的に沿って配設され、前記複数のノズルが前記天井領域から離れる方向を向く方向に配向され、前記複数のノズルにより前記ガスを導入することによって、デブリを排除するための前記天井領域に隣接した拡散バリアを提供する、
極端紫外線(EUV)源。
【請求項10】
前記シャワーヘッドが、それぞれが前記複数のノズルの少なくとも一部分を含み、それぞれにガスが個別に供給されて前記容器にガスを導入するための個別に制御可能なゾーンを実現する1つ以上のゾーンを含む、請求項
9に記載のEUV源。
【請求項11】
前記容器内壁が、円錐形状、円筒形状、又は多面体形状を有する、請求項
1から
10のいずれかに記載のEUV源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2017年1月6日出願の米国出願第15/400,929号、2017年2月28日出願の欧州出願第17158280.2号、及び2017年12月8日出願の米国出願第62/596,629号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、ガス流誘導デバイスと、そのような誘導デバイスを含む放射源とに関する。本開示は、例えばリソグラフィシステムで使用する誘導デバイス及び放射源に関する。本開示はまた、容器内壁のガス供給部によってデブリから保護される容器内壁を有するEUV容器を含む放射源、並びにより具体的には、容器内壁のEUV容器のEUVコレクタより重力方向上方にある一部分などの容器内面を保護するためにEUV容器内にガス流を供給するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に用いることができる。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)から基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上へパターンを投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するためにリソグラフィ装置によって使用される放射の波長は、その基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を使用するリソグラフィ装置は、従来のリソグラフィ装置(例えば193nmの波長を有する電磁放射を使用し得る装置)より小さいフィーチャを基板上に形成するために使用することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィシステムは、1つ以上の放射源と、ビームデリバリシステムと、1つ以上のリソグラフィ装置とを備えてよい。ビームデリバリシステムは、放射源の1つ以上からリソグラフィ装置のそれぞれに放射を搬送するように構成されてよい。
【0006】
[0006] 極端紫外線(EUV)放射は、極端紫外線リソグラフィ(EUVL)などの用途に使用される。EUV源は、スズ(Sn)などのターゲット材料を高出力レーザ放射源からの放射で照明することによりEUV放射を生成することができる。ターゲット材料をレーザ放射で照明することでレーザ生成プラズマ(LPP)が生成され、結果としてEUV放射を放出することができる。
【発明の概要】
【0007】
[0007] スズなどのターゲット材料をレーザ放射で照明してプラズマを生成するとき、ターゲット材料のある部分はデブリになる。例えば、ターゲット材料デブリには、Sn蒸気、SnH4蒸気、Sn原子、Snイオン、Snクラスタ、Sn微粒子、Snナノ粒子、及びSn堆積物が含まれてよい。SnデブリがEUVコレクタ又はEUV容器の1つ以上の容器内壁に蓄積する場合、EUVコレクタの効率性、寿命、及び有用性は低減する可能性がある。
【0008】
[0008] EUV放射はプラズマを使用して生成することができる。プラズマは、例えばレーザビームを放射源の燃料に向けることによって生成することができる。結果として生じるプラズマはEUV放射を放出することができる。燃料の一部はデブリになり、デブリは放射源の1つ以上のコンポーネントに蓄積する可能性がある。
【0009】
[0009] これによって放射源の1つ以上のコンポーネントが汚染される可能性があり、この汚染を除去するのは困難な場合がある。デブリによる放射源の1つ以上のコンポーネントの汚染は、放射源の性能、例えば生成されるEUV放射の質の低下を引き起こし、ひいては関連するリソグラフィ装置の性能の低下を引き起こす可能性がある。これによって最終的に放射源のコンポーネントを洗浄又は交換する間のリソグラフィ装置の休止時間が長くなる可能性がある。本発明の実施形態が生じるのはこのような状況の中である。
【0010】
[00010] 本開示の実施形態は、容器内壁ガス供給部を備えたEUV容器に関連するシステム及び装置、より具体的には1つ以上の容器内壁上のデブリ汚染を低減可能なガス流の流動形状をEUV容器内に提供するためのシステム及び装置を提供する。一実施形態は、シャワーヘッド又はカーテンフローを介して容器にガスを導入すること、及び排出構成によって容器からガスを排出することを含む。一構成では、容器は非対称の排出構成を有するように設計される。別の構成では、容器は対称な排出構成を有するように設計される。本開示は、プロセス、装置、システム、デバイス又は方法を実行するように構成されたコンピュータ可読媒体上の命令などの様々な手段で実施できることを理解されたい。本開示のいくつかの発明の実施形態を以下で説明する。
【0011】
[00011] 一実施形態では、EUV源が、容器内壁と中間焦点(IF)領域とを有する容器を備える。この実施形態は、容器の内部に配設され、容器内壁と接続されたEUVコレクタを備える。EUVコレクタは、容器のIF領域を方向的に向くように構成された反射面を備える。この実施形態はまた、容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設されたシャワーヘッドを備える。シャワーヘッドは、容器にガスを導入する複数のノズルを備える。この実施形態には、容器に導入されたガスを除去するための1つ以上の排出部も含まれ、1つ以上の排出部は、容器に導入されたガスをEUVコレクタから離れる方向に流すようにIF領域の近くに配向される。
【0012】
[00012] 別の実施形態では、EUV源が、容器内壁と中間焦点(IF)領域とを有する容器を備える。この実施形態は、容器の内部に配設され、容器内壁と接続されたEUVコレクタであって、容器のIF領域を方向的に向くように構成された反射面を有するEUVコレクタを備える。この実施形態は、EUVコレクタの反射面の近くに配設され、容器にガスを導入するための複数のインレットを有する第1のガス源を備える。この実施形態はまた、容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設され、容器にガスを導入するための複数のノズルを有するシャワーヘッドを備える。容器内壁に沿って方位角的に非対称な位置に配設された排出部も容器からガスを排出するために備えられる。特定の実施形態では、非対称排出部は、例えば重力の方向に向かって下方傾斜角度で配向されてよい。これら及び他の実施形態では、非対称排出部は、容器内壁のEUVコレクタより重力方向上方にある天井エリアに近い領域と概ね対向するように配向されてよい。
【0013】
[00013] 別の実施形態では、EUV源が、容器内壁と中間焦点(IF)領域とを有する容器を備える。この実施形態は、容器の内部に配設され、容器内壁と接続されたEUVコレクタを備え、EUVコレクタは、容器のIF領域を方向的に向くように構成された反射面を有する。この実施形態は、容器内壁の一部分に少なくとも部分的に沿って横方向に配設された容器壁ガス源を備える。この実施形態によれば、容器壁ガス源は複数のノズルアセンブリを備える。ノズルアセンブリのそれぞれは、容器にガスを導入するための第1のアウトレットと第2のアウトレットとを備えてよく、第1のアウトレットは、第2のアウトレットがガスを導入するように構成された第2の方向から離れる第1の方向にガスを導入するように構成される。これらの実施形態では、どちらのアウトレットも容器内壁の周囲に沿ってガスを導入するように構成される。
【0014】
[00014] ある態様によれば、プラズマ形成領域を含むチャンバ(すなわち容器)と、チャンバ内に配置され、プラズマ形成領域から放出された放射を収集し、収集した放射を中間焦点領域に方向付けるように構成された放射コレクタと、第1のガス流を中間焦点領域からプラズマ形成領域に方向付けるように構成されたデブリ軽減システムと、第1のガス流が周囲に方向付けられるようにチャンバ内に配置された誘導デバイスと、を備えた放射源が提供される。
【0015】
[00015] 誘導デバイスは、第1のガス流が対称的に誘導デバイスの周囲に方向付けられる及び/又は誘導デバイスにより拡散されるように配置されてよい。
【0016】
[00016] デブリ軽減システムは、第2のガス流を放射コレクタからプラズマ形成領域に方向付けるように構成されてよい。
【0017】
[00017] 誘導デバイスは、第1のガス流と第2のガス流との相互作用を低減させるように構成されてよい。
【0018】
[00018] 誘導デバイスは、第1のガス流と第2のガス流との相互作用を妨げるように構成されてよい。
【0019】
[00019] 誘導デバイスは、第1のガス流の放射コレクタに向かうジェットの形成を妨げるように構成されてよい。
【0020】
[00020] 誘導デバイスは、放射コレクタの光軸に少なくとも部分的に沿って延在するようにチャンバ内に配置されてよい。
【0021】
[00021] 誘導デバイスは、中間焦点領域に又はその近くに配置されてよい。
【0022】
[00022] 誘導デバイスは、誘導デバイスの第1の端部から誘導デバイスの第2の端部に向かってテーパ状に配置されてよい。誘導デバイスの第1の端部は拡大部を含んでよい。誘導デバイスの第2の端部は尖頭部又は丸み部を含んでよい。
【0023】
[00023] 誘導デバイスは、誘導デバイスの第1の端部が中間焦点領域から遠位に配置されるようにチャンバ内に配置されてよい。誘導デバイスは、誘導デバイスの第2の端部が中間焦点領域に又はその近位に配置されるようにチャンバ内に配置されてよい。
【0024】
[00024] 誘導デバイスは、少なくとも1つの開口部又は複数の開口部を備えてよい。少なくとも1つの開口部、複数の開口部又は複数の開口部の各開口部は、第3のガス流を放射コレクタに方向付けるように構成されてよい。
【0025】
[00025] 少なくとも1つの開口部、複数の開口部の各開口部又は複数の開口部は、少なくとも1つの開口部、複数の開口部の各開口部又は複数の開口部からの第3のガス流が第1のガス流と相互作用して、例えば第1のガス流をチャンバの少なくとも一部分の近くに方向付ける又は押し込むように誘導デバイスに配置されてよい。
【0026】
[00026] 誘導デバイスは加熱要素を備えてよい。加熱要素は、誘導デバイスの温度を上昇させるように構成されてよい。
【0027】
[00027] 加熱要素は、誘導デバイスの温度を第1のガス流の増加した量が誘導デバイスの周囲に方向付けられる第1の温度に上昇させるように構成されてよい。加熱要素は、誘導デバイスの温度を誘導デバイス上に存在するデブリの拡散が高まる第2の温度未満に維持するように構成されてよい。
【0028】
[00028] 誘導デバイスは、冷却剤により冷却するように構成されてよい。冷却剤は、冷却剤源によって供給可能であっても供給されてもよい。
【0029】
[00029] 放射源はデブリ受取面を含んでよい。デブリ受取面は、デブリが中間焦点領域に到達するのを抑制する又は妨げるようにチャンバ内に配置されてよい。
【0030】
[00030] デブリ受取面は、放射コレクタの光軸と交差する又はこれを横切って延在するように配置されてよい。
【0031】
[00031] 誘導デバイスは、デブリ受取面と中間焦点領域の間に配置されてよい。
【0032】
[00032] デブリ受取面は、プラズマ形成領域で生成されたデブリがデブリ受取面に入射するように、誘導デバイスの少なくとも一部分又は全体にわたって延びる又はこれと重なるように配置されてよい。
【0033】
[00033] デブリ受取面は、誘導デバイスに含まれるか、誘導デバイスの一部であるか、又は誘導デバイスにより提供されてよい。
【0034】
[00034] ある態様によれば、放射源におけるデブリ堆積を低減する方法であって、第1のガス流を放射源の中間焦点領域から放射源のプラズマ生成領域に方向付けること、及び第1のガス流を放射源のチャンバ内に配置された誘導デバイスの周囲に方向付けることを含む方法が提供される。
【0035】
[00035] ある態様によれば、容器内壁と中間焦点(IF)領域とを有する容器と、容器の内部に配設され、容器内壁と接続されたEUVコレクタであって、容器のIF領域を方向的に向くように構成された反射面を備えたEUVコレクタと、容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設され、容器にガスを導入するための複数のノズルを備え、内部にガスを供給するための少なくとも1つのインレットを有するシャワーヘッドと、ガスをEUVコレクタから離れる方向に流すように容器内壁の少なくとも一部分に沿って配向され、容器に導入されたガスを除去するための1つ以上の排出部と、を備えた極端紫外線(EUV)源が提供される。
【0036】
[00036] EUV源はさらに、EUVコレクタの反射面により収集され、リソグラフィ装置の少なくとも一部への入射のためにIF領域に方向付けられるプラズマ放射を生成するための容器内に配設された材料ターゲット領域を含んでよい。ガスを複数のノズルを介して容器に導入することによって、容器内壁を材料の堆積から保護できる可能性がある。
【0037】
[00037] 複数のノズルは、容器内壁の内面の少なくとも一部分に沿って、容器内壁の内面から離れる方向を向く方向に配向されてよい。
【0038】
[00038] 容器内壁は、円錐形状、円筒形状、又は多面体形状を有してよい。
【0039】
[00039] シャワーヘッドは、容器内壁の少なくとも一部分に沿って外周方向及び横方向に延在してよい。
【0040】
[00040] EUV源はさらに、容器を取り囲む、1つ以上の排気口を有する容器外壁を備えてよい。
【0041】
[00041] シャワーヘッドは、それぞれが複数のノズルの少なくとも一部分を含み、それぞれにガスが個別に供給されて容器にガスを導入するための個別に制御可能なゾーンを実現する1つ以上のゾーンを含んでよい。
【0042】
[00042] 容器内壁は、滑らかな表面、羽根面、又は滑らかな表面と羽根面の組み合わせによって画定されてよい。
【0043】
[00043] ある態様によれば、容器内壁と中間焦点(IF)領域とを有する容器と、容器の内部に配設され、容器内壁と接続されたEUVコレクタであって、容器のIF領域を方向的に向くように構成された反射面を備えたEUVコレクタと、容器にガスを導入するための、EUVコレクタの反射面の近くに配設された第1の複数のインレットを備えた第1のガス源と、容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設され、容器にガスを導入するための複数のノズルを備え、内部にガスを供給するための少なくとも1つのインレットを有するシャワーヘッドと、容器内壁に沿って方位角的に非対称な位置に配設され、容器からガスを排出するための排出部と、を備えた極端紫外線(EUV)源が提供される。
【0044】
[00044] 排出部はさらに、容器内壁の第1の領域の近くに配向されてよい。容器内壁の第1の領域は、容器内壁のEUVコレクタより重力方向上方に位置する第2の領域と概ね対向してよい。排出部は、第1のガス源及び複数のノズルにより導入されたガスがEUV源の動作中に第2の領域から離れる方向に流れることを可能にしてよい。
【0045】
[00045] 複数のノズルは、容器内壁のEUVコレクタより重力方向上方に位置する領域に少なくとも部分的に沿って分布されてよい。
【0046】
[00046] 複数のノズルは、容器内壁の内面に沿って容器内壁の内面から離れる方向に配向されてよい。複数のノズルの配向は、容器内壁の内面の少なくとも一部分から離れる方向に少なくとも部分的に方向付けられたガス流を可能にしてよい。
【0047】
[00047] 複数のノズルは、容器内壁のEUVコレクタより重力方向上方に位置する天井領域に少なくとも部分的に沿って配設されてよい。複数のノズルは、天井領域から離れる方向を向く方向に配向されてよい。複数のノズルによりガスを導入することによって、デブリを排除するための天井領域に隣接した拡散バリアが提供されてよい。
【0048】
[00048] シャワーヘッドは1つ以上のゾーンを含んでよい。1つ以上のゾーンのそれぞれは、複数のノズルの少なくとも一部分を含んでよい。1つ以上のゾーンのそれぞれは、容器にガスを導入するための個別に制御可能なゾーンを実現するためにガスが個別に供給されてよい。
【0049】
[00049] 容器内壁は、円錐形状、円筒形状、又は多面体形状を有してよい。
【0050】
[00050] 容器内壁と中間焦点(IF)領域とを有する容器と、容器の内部に配設され、容器内壁と接続されたEUVコレクタであって、容器のIF領域を方向的に向くように構成された反射面を備えたEUVコレクタと、容器内壁に少なくとも部分的に沿って横方向に配設され、それぞれが容器にガスを導入するための少なくとも第1のアウトレットと第2のアウトレットとを有する複数のノズルアセンブリを備え、第1のアウトレットが、第2のアウトレットがガスを導入するように構成された第2の方向から離れる第1の方向にガスを導入するように構成された容器壁ガス源と、容器に導入されたガスを排出するための、IF領域の近くにあり、容器壁ガス源により導入されたガスがEUVコレクタから離れる方向に流れることを可能にする排出部と、を備えた極端紫外線(EUV)源が提供される。
【0051】
[00051] 複数のノズルアセンブリのそれぞれの第1のアウトレット及び第2のアウトレットによりそれぞれガスが導入され得る第1の方向及び第2の方向は、容器内壁の周囲に沿ったガスのカーテンフローを可能にするために、容器内壁の周囲に少なくとも部分的に沿って配向されてよい。
【0052】
[00052] 複数のノズルアセンブリの少なくとも一部分はさらに、容器にガスを導入するための第3のアウトレットを備えてよい。第3のアウトレットは、容器内壁から離れる方向にガスを導入するように構成されてよい。
【0053】
[00053] 複数のノズルアセンブリは、EUV源の動作中に容器内壁のEUVコレクタより重力方向上方に位置する第1の領域に少なくとも部分的に沿って分布されてよい。排出部はさらに、容器に導入されたガスが容器内壁の第1の領域から離れる方向に流れることができるように、容器内壁の容器内壁の第1の領域に対向し得る第2の領域の近くに配向されてよい。
【0054】
[00054] 容器内壁は、円錐形状、円筒形状、又は多面体形状を有してよい。
【0055】
[00055] ある態様によれば、内壁と材料ターゲット領域とを含むチャンバと、チャンバ内に配置され、材料ターゲット領域から放出された放射を収集し、収集した放射を中間焦点領域に方向付けるように構成された放射コレクタと、第1のガス流を中間焦点領域から材料ターゲット領域に方向付けるように構成され、第2のガス流をチャンバの内壁の一部分からチャンバ内に方向付けるように構成されたデブリ軽減システムと、第1のガス流が周囲に方向付けられるようにチャンバ内に配置された誘導デバイスと、デブリ軽減システムにより供給されたガスをチャンバから除去するための排出部と、を備えた放射源が提供される。
【0056】
[00056] 排出部は、チャンバの内壁の一部分から延在するように方位角的に非対称な位置に配置されてよい。
【0057】
[00057] デブリ軽減システムはシャワーヘッドを備えてよい。シャワーヘッドは、チャンバの内壁の少なくとも一部分に沿って配置されてよい。シャワーヘッドは、第2のガス流をチャンバに導入するための複数のノズルを備えてよい。
【0058】
[00058] 誘導デバイスは、第1のガス流と第2のガス流との相互作用を低減させるように構成されてよい。
【0059】
[00059] デブリ軽減システムは、第3のガス流をチャンバ内の誘導デバイスの位置又はこれに近い位置から材料ターゲット領域に方向付けるように構成されてよい。
【0060】
[00060] 誘導デバイスは、第1のガス流と第3のガス流との相互作用を低減させるように構成されてよい。
【0061】
[00061] デブリ軽減システムは、第4のガス流を放射コレクタから材料ターゲット領域に方向付けるように構成されてよい。
【0062】
[00062] 誘導デバイスは、第1のガス流と第4のガス流との相互作用を低減させるように構成されてよい。
【0063】
[00063] 誘導デバイスは、誘導デバイスの第1の端部から誘導デバイスの第2の端部に向かってテーパ状に配置されてよい。誘導デバイスの第1の端部は拡大部を含んでよい。誘導デバイスの第2の端部は尖頭部又は丸み部を含んでよい。
【0064】
[00064] 誘導デバイスは、誘導デバイスの第1の端部が中間焦点領域から遠位に配置され、誘導デバイスの第2の端部が中間焦点領域に又はその近位に配置されるようにチャンバ内に配置されてよい。
【0065】
[00065] 誘導デバイスは、放射コレクタの光軸に少なくとも部分的に沿って延在するようにチャンバ内に配置されてよい。
【0066】
[00066] 誘導デバイスは、少なくとも1つの開口部又は複数の開口部を備えてよい。少なくとも1つの開口部、複数の開口部の各開口部、又は複数の開口部は、第5のガス流を放射コレクタに方向付けるように構成されてよい。
【0067】
[00067] 少なくとも1つの開口部、複数の開口部の各開口部又は複数の開口部は、少なくとも1つの開口部、複数の開口部の各開口部又は複数の開口部からの第5のガス流が第1のガス流と相互作用して、第1のガス流をチャンバの内壁の少なくとも一部分の近くに方向付ける又は押し込むように誘導デバイスに配置されてよい。
【0068】
[00068] 誘導デバイスは加熱要素を備えてよい。加熱要素は、誘導デバイスの温度を上昇させるように構成されてよい。
【0069】
[00069] 加熱要素は、誘導デバイスの温度を第1のガス流の増加した量が誘導デバイスの周囲に方向付けられる第1の温度に上昇させるように構成されてよい。加熱要素は、誘導デバイスの温度を誘導デバイス上に存在するデブリの拡散が高まる第2の温度未満に維持するように構成されてよい。
【0070】
[00070] 誘導デバイスは、冷却剤により冷却するように構成されてよい。冷却剤は、冷却剤源によって供給可能であっても供給されてもよい。
【0071】
[00071] 放射源はデブリ受取面を備えてよい。デブリ受取面は、デブリが中間焦点領域に到達するのを抑制する又は妨げるようにチャンバ内に配置されてよい。
【0072】
[00072] デブリ受取面は、誘導デバイスに含まれるか、誘導デバイスの一部であるか、又は誘導デバイスにより提供されてよい。
【0073】
[00073] ある態様によれば、放射源におけるデブリ堆積を低減する方法であって、第1のガス流を放射源の中間焦点領域から放射源の材料ターゲット領域に方向付けること、第2のガス流を放射源のチャンバの内壁の一部分からチャンバ内に方向付けること、第1のガス流を放射源のチャンバ内に配置された誘導デバイスの周囲に方向付けること、及びチャンバからガスを除去すること、を含む方法が提供される。
【0074】
[00074] ある態様によれば、レーザ、及び(i)本明細書に記載の放射源、又は(ii)本明細書に記載の極端紫外線(EUV)源を備えた放射システムが提供される。
【0075】
[00075] ある態様によれば、パターンをパターニングデバイスから基板上に投影するように構成されたリソグラフィ装置と、放射の少なくとも一部をリソグラフィ装置に提供するように構成された本明細書に記載の放射システムと、を備えたリソグラフィシステムが提供される。
【0076】
[00076] ある態様によれば、内壁と材料ターゲット領域とを含むチャンバと、チャンバ内に配置され、材料ターゲット領域から放出された放射を収集し、収集した放射を中間焦点領域に方向付けるように構成された放射コレクタと、第1のガス供給システムと第2のガス供給システムとを備えたデブリ軽減システムと、デブリ軽減システムにより供給されたガスをチャンバから除去するように構成された排出部と、を備え、第1のガス供給システムが、第1のガス流を中間焦点領域から材料ターゲット領域又はプラズマ形成領域に方向付けるように構成され、第1のガス流を放射ビームの伝搬方向と実質的に反対方向にチャンバ内に方向付けるように配置された1つ以上の開口部を備え、第2のガス供給システムが、第2のガス流を第1のガス流の伝搬方向に対して実質的に垂直な又はある角度で傾斜した方向に方向付けるように配置された1つ以上の開口部を備える、放射源が提供される。
【0077】
[00077] 1つ以上のガス流インレット及び非対称排出部により容器壁を保護してLPP EUV源のコレクタ寿命を改善する方法及び装置の他の態様は、方法及び装置の原理を例として示す、添付図面と併せて理解される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0078】
[00078] 当業者には容易に明らかであるが、以上及び以下に述べられる本発明の様々な態様及び特徴は、本発明の様々な他の態様及び特徴と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
[00079] 本発明の実施形態を、単なる例として添付の概略図を参照して以下に説明する。
【0080】
【
図1】[00080] ある実施形態によるリソグラフィ装置及び放射源を備えたリソグラフィシステムを示す。
【
図2】[00081]
図1のリソグラフィシステムのデブリ軽減システムを含む放射源を示す。
【
図3】[00082]
図2の放射源の第1のガス流及び第2のガス流のシミュレーションを示す。
【
図4A】[00083] 誘導デバイスを含む
図2の放射源の一部分を示す。
【
図4B】[00084]
図4Aの誘導デバイスの別の実施形態を示す。
【
図4C】[00085]
図4Aの誘導デバイスの別の実施形態を示す。
【
図4D】[00086]
図4Aの誘導デバイスの別の実施形態を示す。
【
図5】[00087] 誘導デバイスの別の実施形態を含む
図2の放射源の一部分を示す。
【
図6】[00088] デブリ受取面を含む
図4Aの放射源の一部分を示す。
【
図7A】[00089]
図6のデブリ受取面を含む
図2の放射源の一部分における第1のガス流のシミュレーションを示す。
【
図7B】[00090]
図7Aの放射源の一部分におけるデブリ堆積のシミュレーションを示す。
【
図8A】[00091]
図4Aの誘導デバイスを含む
図2の放射源の一部分における第1のガス流のシミュレーションを示す。
【
図8B】[00092]
図8Aの放射源の一部分におけるデブリ堆積のシミュレーションを示す。
【
図9A】[00093] EUV容器の容器内壁の少なくとも一部に沿って配設されたシャワーヘッドを有するEUV容器のある実施形態の簡略化された概略図である。
【
図9B】[00094] 第1の複数のノズル及び第2の複数のノズルを介して容器にガスを導入するシャワーヘッドを有するEUV容器のある実施形態の簡略化された概略図である。
【
図9C】[00095] 共通のガス供給システムにより制御される複数のノズルを備えたシャワーヘッドを有するEUV容器のある実施形態の簡略化された概略図である。
【
図9D】[00096] 各ゾーンが個別のガス供給システムにより別々に制御可能な複数のゾーンを含むシャワーヘッドを有するEUV容器のある実施形態の簡略化された概略図である。
【
図10】[00097] シャワーヘッド及び非対称排出部を有するEUV容器のある実施形態の簡略化された概略図である。
【
図11】[00098] 動作中にある上方傾斜角度で配向させたEUV容器のある実施形態の簡略化された概略図である。
【
図12A】[00099] ガスが異なる供給部から容器に導入され、対称排出構造により排出される複数の流路を示すEUV容器のある実施形態の断面図である。
【
図12B】[000100] ガスが様々な供給部から容器に導入され、非対称排出部により排出される複数の流路を示すEUV容器のある実施形態の断面図である。
【
図13】[000101] ガスを容器内部空間に導入するシャワーヘッドの横方向に分布させたノズルを有するEUV容器の断面図である。
【
図14】[000102] ガスをカーテンフローとして容器に導入するためのカーテンフローノズルアセンブリを有するEUV容器の断面図である。
【
図15A】[000103] 1つのシミュレートされた実施形態による、容器内部空間内のデブリ濃度を示すシャワーヘッド及び非対称排出部を有するEUV容器の断面図である。
【
図15B】[000104] 1つのシミュレートされた実施形態による、シミュレーションに基づいた容器内壁へのデブリ堆積速度を示すシャワーヘッド及び非対称排出部を有するEUV容器の断面図である。
【
図16A】[000105] 1つのシミュレートされた実施形態による、容器内部空間内のデブリ濃度を示すカーテンフロー供給部及び非対称排出部を有するEUV容器の断面図である。
【
図16B】[000106] 1つのシミュレートされた実施形態による、容器内壁へのデブリ堆積速度を示すカーテンフロー供給部及び非対称排出部を有するEUV容器の断面図である。
【
図17】[000107] 誘導デバイスを備えた
図10のEUV容器の断面図である。
【
図18A】[000108]
図17のEUV容器内のシミュレートされたガス流路を示す。
【
図18B】[000109]
図17のEUV容器内のシミュレートされたデブリ濃度を示す。
【
図19A】[000110]
図17の誘導デバイスのある実施形態の概略図である。
【
図19B】[000111]
図17の誘導デバイスのある実施形態の概略図である。
【
図19C】[000112]
図17の誘導デバイスの別の実施形態の概略図である。
【
図20】[000113] 誘導デバイスの別の実施形態を含む
図10のEUV容器の断面図である。
【
図21】[000114] デブリ受取面を備えた
図17のEUV容器の断面図である。
【
図22A】[000115] EUV容器内の動的ガス流(DGLフロー)のシミュレーションを示す。
【
図22B】[000116] EUV容器内の動的ガス流(DGLフロー)及び2つの側噴流のシミュレーションを示す。
【
図22C】[000117] ガスをEUV容器に導入する2つの側噴流インレット(ノズル)を有するEUV容器のある実施形態の簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
[000118]
図1は、ある実施形態による放射源を含むリソグラフィシステムを示している。このリソグラフィシステムは、放射源SOとリソグラフィ装置LAとを備える。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを生成するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成されたサポート構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。照明システムILは、パターニングデバイスMAに入射する前に放射ビームBを調節するように構成される。投影システムは、放射ビームB(ここではマスクMAによりパターン付与されている)を基板W上に投影するように構成される。基板Wは前に形成されたパターンを含むことができる。この場合、リソグラフィ装置はパターン付与された放射ビームBを基板W上に前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0082】
[000119] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSはいずれも、外部環境から隔離できるように構築し配置することができる。大気圧より低い圧力のガス(例えば水素)を放射源SO内に提供してよい。照明システムIL及び/又は投影システムPS内には真空を提供してよい。大気圧よりかなり低い圧力の少量のガス(例えば水素)を照明システムIL及び/又は投影システムPS内に提供してよい。
【0083】
[000120]
図1に示す放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれることがあるタイプのものである。レーザ1は、例えばCO2レーザであってよく、燃料放出器3から提供されるスズ(Sn)などの燃料にレーザビーム2を介してエネルギーを付与するように構成される。以下の説明ではスズについて言及するが、任意の適切な燃料を使用することができる。燃料は、例えば液状であってよく、例えば金属又は合金であってよい。燃料放出器3は、例えば液滴の形のスズを軌道に沿ってプラズマ形成領域4に方向付けるように構成されたノズルを備えてよい。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4でスズに入射する。スズにレーザエネルギーを付与することにより、プラズマ形成領域4にプラズマ7が生じる。EUV放射を含む放射は、プラズマのイオンの脱励起及び再結合中にプラズマ7から放出される。
【0084】
[000121] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ5(より一般的に法線入射放射コレクタと呼ばれることもある)によって集光及び合焦される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射するように構成された多層構造を有してよい。コレクタ5は、2つの楕円焦点を有する楕円構成を有してよい。第1焦点はプラズマ形成領域4にあってよい。第2焦点6aは、中間焦点領域6に又はその近くに位置してよい。
【0085】
[000122] レーザ1は放射源SOから離れていてよい。この場合、レーザビーム2は、レーザ1から放射源SOへ、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は他の光学系を含むビームデリバリシステム(図示せず)を用いて送られてよい。レーザ1及び放射源SOは、合わせて放射システムとみなすことができる。
【0086】
[000123] コレクタ5により反射された放射は、放射ビームBを形成する。放射ビームBは点6aで合焦され、プラズマ形成領域4の像を形成する。この像は、照明システムILの仮想放射源の役割を果たす。放射ビームBが合焦される点6aは、中間焦点6aと呼ばれることがある。放射源SOは、中間焦点6aが放射源の閉鎖構造9の開口部8に又はその近くに位置するように配置される。
【0087】
[000124] 放射ビームBは、放射源SOから照明システムIL内に入る。照明システムILは、放射ビームを調節するように構成される。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10とファセット瞳ミラーデバイス11とを備えてよい。ファセットフィールドミラーデバイス10とファセット瞳ミラーデバイス11は、連携して放射ビームBに所望の断面形状及び所望の角度強度分布を与える。放射ビームBは照明システムILから、サポート構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、放射ビームBを反射し、これにパターン付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又は代わりに他のミラー又はデバイスを備えてよい。
【0088】
[000125] パターニングデバイスMAから反射した後、パターン付与された放射ビームBは投影システムPSに入射する。投影システムは、基板テーブルWTに保持された基板W上に放射ビームBを投影するように構成された複数のミラー13、14を備える。投影システムPSは、放射ビームに縮小係数を適用し、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャより小さいフィーチャを有する像を形成することができる。例えば縮小係数4を適用することができる。
図1では投影システムPSは2つのミラー13、14を有しているが、投影システムは、任意の数のミラー(例えば6個のミラー)を備えてよい。
【0089】
[000126]
図1に示した放射源SOは、図示されていないコンポーネントを備えてよい。例えば、放射源にスペクトルフィルタを設けてよい。スペクトルフィルタは、EUV放射に対しては実質的に透過的であるが、赤外線放射などの他の放射波長を実質的にブロックするものであってよい。
【0090】
[000127]
図2は、デブリ軽減システム15を含む例示的な放射源SOを概略的に示している。明瞭にするために、
図2ではレーザビーム2及び放射ビームBは破線で示されている。デブリ軽減システム15は、第1のガス流16を中間焦点領域6からプラズマ形成領域4に方向付けるように構成される。例えばデブリ軽減システム15は第1のガス供給システム17を備えてよい。第1のガス供給システム17は、第1のガス流16をプラズマ形成領域4に向けて供給するように構成されてよい。第1のガス供給システム17は、1つ以上の開口部18、例えば1つ以上のノズル又はスリットを備えてよく、1つ以上の開口部18は中間焦点領域6、例えば中間焦点6に又はその近くに設けられる。1つ以上の開口部18は、コレクタ5に向かう第1のガス流16を生成できるように配置されてよい。例えば1つ以上の開口部18は、放射ビームBの伝搬方向と反対(例えば実質的に反対)方向に第1のガス流16を方向付けるように配置されてよい。第1のガス流16は、デブリが中間焦点6aに向かって移動することを抑制する又は妨げるのに十分な流量を有してよい。第1のガス供給システム17は、動的ガスロック(DGL)システムと見なす又はこれに含めることができる。燃料をレーザビーム2で照明してプラズマ7を生成するとき、燃料の一部がデブリになる可能性がある。デブリには、例えばSnクラスタ、Sn微粒子、Snナノ粒子、及び/又はSn堆積物などの微粒子デブリや、例えばSn蒸気、SnH
x蒸気、Sn原子、Snイオンなどの分子及び/又は原子デブリが含まれる可能性がある。
【0091】
[000128] デブリ軽減システム15は、第2のガス流19をコレクタ5からプラズマ形成領域4に方向付けるように構成されてよい。例えばデブリ軽減システム15は、第2のガス供給システム20を備えてよい。第2のガス供給システム20は、第2のガス流19をコレクタ5からプラズマ形成領域4に向けて供給するように構成されてよい。第2のガス流19は、プラズマ形成領域4に方向付けられ、プラズマ7により生成されたデブリがコレクタ5に到達することを抑制する又は妨げることができる。例えば第2のガス供給システム20は、コレクタ5の中心開口5aから第2のガス流19を供給するように配置されてよい。他の実施形態では、第2のガス供給システム又はその一部をコレクタに設けてよいことが理解されるであろう。例えば第2のガス供給システムは、1つ以上のアウトレットを備えてよく、1つ以上のアウトレットはコレクタ内に配置されてよい。付加的又は代替的に、第2のガス供給システムは、第2のガス流をコレクタの周縁部から供給するように構成されてよい。
【0092】
[000129] 第2のガス流19は、デブリがコレクタ5に堆積するのを妨げるのに十分な流量を有してよい。例えば第2のガス流19は、約30~200slm(標準リットル毎分)、望ましくは約50~150slmの範囲の流量を有してよい。第2のガス流19の流量は、第2のガス供給システム20の配置又は形状に応じて選択されてよい。
【0093】
[000130] 第1のガス流16は、デブリが照明システムILに入るのを妨げるように選択されてよい。第1のガス流16の流量は、第1のガス流16に使用されるガス、第1のガス流16に使用されるガスの速度、第1のガス流16に使用されるガスの密度又は圧力、デブリ、例えば微粒子デブリのサイズ、デブリの速度、及び/又は放射源SOにおけるデブリ拡散の方向に応じて選択されてよい。付加的又は代替的に、第1のガス流16の流量は、第1のガス供給システム17の配置又は形状に応じて選択されてよい。例えば第1のガス流16の流量は、開口部18の数、第1のガス供給システム17の各開口部18の幅(例えば直径)及び/又は中間焦点領域6の幅(例えば直径)、外周又は寸法に応じて選択されてよい。例えば第1のガス流16に使用されるガスの最高速度は、約1000~3000m/秒の範囲内にあってよい。
【0094】
[000131] 第1のガス流16は、約5~30slmの範囲内の流量を有してよい。放射源SOで生成された分子及び/又は原子デブリが照明システムILに入るのを妨げるには約7slmの流量で足り得る。微粒子デブリが照明システムILに到達するのを抑制するために、7slmより大きい第1のガス流の流量が必要となる可能性がある。例えば微粒子デブリが照明システムに到達するのを抑制するために、15slmより大きい第1のガス流16の流量が必要となる可能性がある。15slmより大きい流量において、第1のガス流16の非対称流が観察される可能性がある。換言すれば、第1のガス流16は、以下で説明されるように、放射源SOの内壁に向けて押される可能性がある。
【0095】
[000132]
図3は、例えば第1のガス流16の流量が15slm以上の場合の、放射源SO内のシミュレートされた第1及び第2のガス流16、19を示している。
図3から、第1のガス流16は放射源SOの(例えばチャンバ23の)内壁21に押し付けられていることが分かる。これは第1のガス流16と第2のガス流19との相互作用に起因するとみられる。第1のガス流16と第2のガス流19との相互作用によって、コレクタ5の一部に向かう第1のガス流16のジェットの形成がもたらされる可能性がある。第1のガス流16のジェットが形成される結果、デブリ、例えば微粒子デブリがコレクタ5に堆積する可能性がある。これによってコレクタ5及び/又は放射源SOの汚染が増大する可能性がある。
【0096】
[000133]
図4Aは、ある実施形態による放射源SOを概略的に示している。
図4Aに示す放射源SOは、誘導デバイスをさらに備えている以外は
図2に示したものと同様である。誘導デバイスは、流れスプリッタ22の形で設けられてよい。明瞭にするために、第1及び第2のガス供給システム17、20、1つ以上の開口部18、レーザ1、レーザビーム2及び放射ビームBは
図4Aでは省略されている。しかしながら、
図4Aに示す例示的な放射源SOが、
図1から
図3に関連して以上で説明した放射源SOの特徴を備え得ることが理解されるであろう。放射源はチャンバ23を備えてよい。流れスプリッタ22は、第1のガス流16が流れスプリッタ22の周囲に方向付けられるようにチャンバ23内に配置される。例えば流れスプリッタ22は、第1のガス流が流れスプリッタ22の周囲に対称的に方向付けられるように配置されてよい。流れスプリッタ22は、第1のガス流16を拡散又は分散させる、例えば対称的に拡散又は分散させるように構成されてよい。チャンバ23内に流れスプリッタ22を配置することによって、チャンバ23内で第1のガス流16の少なくとも一部が再循環することを抑制することができる。これによって、放射源SOの内壁21に堆積するデブリが減少する可能性がある。付加的又は代替的に、第1のガス流16を流れスプリッタ22の周囲に方向付けるようにチャンバ23内に流れスプリッタ22を配置することによって、例えばデブリによる流れスプリッタ22の汚染を抑制する又は妨げることができる。
【0097】
[000134] 流れスプリッタ22は、放射源SOのチャンバ23内に配置され、放射源SOの第1の位置における第1のガス流16に使用されるガスの最高速度を維持することができる。第1の位置において、第1のガス流16に使用されるガスの速度は、例えば放射源SOのチャンバ23内に流れスプリッタが配置されていない場合の、第1のガス流16に使用されるガスの最高速度に一致する(又は実質的に一致する)可能性がある。流れスプリッタ22は、放射源SO内に配置され、第1のガス流16を拡散又は分散させて、例えば中間焦点6aに向かう方向への第1のガス流16の一部の再循環を妨げる又は抑制することができる。流れスプリッタ22は、放射源SOのチャンバ23内に配置され、第2の位置において第1のガス流16を拡散又は分散させることができ、第2の位置は中間焦点6aから離間されて又は離れていてよい。流れスプリッタ22は、第1のガス流16に使用されるガスの最高速度が第2の位置で低下する、及び/又は中間焦点6aから離れる方向に方向付けられ得る第1のガス流16のガスの最低速度が上昇するように放射源のチャンバ23内に配置されてよい。
【0098】
[000135] 流れスプリッタ22は、第1のガス流16と第2のガス流19との相互作用を抑制する又は妨げるように構成されてよい。流れスプリッタ22は、例えばコレクタ5の一部に向かう第1のガス流16のジェットの形成を妨げるように構成されてよい。これによって、7slmより大きい第1のガス流16の流量の使用が可能になる可能性がある。
【0099】
[000136]
図4Aを参照すると、流れスプリッタ22はチャンバ23内に配置されてチャンバ23の一部分に延在する。例えば流れスプリッタ22は、コレクタ5の光軸OAに少なくとも部分的に沿って延びるように配置されてよい。換言すれば、流れスプリッタ22は、流れスプリッタ22の中心軸すなわち縦軸Aがコレクタ5の光軸OAの少なくとも一部と一致するようにチャンバ23内に配置されてよい。放射源SOは円錐部23aを含んでよく、円錐部23aはチャンバ23の一部であってよい。円錐部23aは、中間焦点6aからコレクタ5に向かって又はその近くに延びるように配置されてよい。流れスプリッタ22は、円錐部23aに配置され、例えば円錐部23aの中心軸すなわち縦軸に少なくとも部分的に沿って延びてよい。中心軸すなわち縦軸は、この例ではコレクタ5の光軸OAの少なくとも一部に一致する。これによって、チャンバ23、例えば円錐部23aに流れスプリッタ22の対称配置がもたらされる可能性がある。本明細書に記載の例示的なチャンバが円錐部を含むものに限定されないことが理解されるであろう。例えばチャンバ又はその一部分は、例えば放射ビームを遮ることなくチャンバ又はその一部分の容積を小さくする任意の適切な形状を有してよい。
【0100】
[000137]
図4Aを参照すると、流れスプリッタ22は中間焦点領域6に又はその近くに配置されている。例えば流れスプリッタ22は中間焦点領域6に又はその近くに配置され、流れスプリッタ22が第1のガス流16に作用できるようになる。流れスプリッタ22は、中間焦点6aから距離を置いて配置されてよい。流れスプリッタ22の中間焦点6aからの距離は、5から15cmの範囲内であってよい。しかしながら、流れスプリッタ22の放射源SO内での配置はこのような距離に限定されず、他の距離の値が選択されてよいことを理解されたい。例えば距離は、中間焦点領域で又はその近くで利用可能な空間、及び/又は、例えば中間焦点領域での放射に起因して流れスプリッタ22に作用し得る熱負荷に応じて選択されてよい。換言すれば、距離は、例えば流れスプリッタ22の溶融など、流れスプリッタ22に対する熱的効果が最小限に抑えられる又は妨げられるように選択されてよい。以上で考察したように、流れスプリッタ22は、円錐部23aの中心軸すなわち縦軸に少なくとも部分的に沿って延在するように配置されてよく、中心軸すなわち縦軸は、この例ではコレクタ5の光軸OAの少なくとも一部に一致する。この配置によって、流れスプリッタ22は、例えば第1及び第2のガス流16、19間の相互作用を抑制する又は妨げるために、第1のガス流16を流れスプリッタ22の周囲に対称的に方向付けできる可能性がある、及び/又は第1のガス流16のジェットの形成を妨げることができる。
【0101】
[000138]
図4Bに示す例示的な流れスプリッタ22は、第1の端部22aから第2の端部22bに向かってテーパ状になるように配置されている。流れスプリッタ22の第1の端部22aは拡大部を含む又は画定することができる。流れスプリッタ22は、チャンバ23、例えばその円錐部23a内に、流れスプリッタの第1の端部22a、例えば拡大部が中間焦点領域6から遠位に位置するように配置されてよい。流れスプリッタ22の第2の端部22bは、尖頭部を画定する又は含むことができる。流れスプリッタ22は、チャンバ23、例えばその円錐部23a内に、流れスプリッタ22の第2の端部22b、例えば尖頭部が中間焦点領域6に又はその近位に位置するように配置されてよい。
図4Bに示す例示的な流れスプリッタ22は円錐形状を有する。
【0102】
[000139]
図4Cは、流れスプリッタ22の別の例示的な構成を示している。
図4Cに示す流れスプリッタ22は、
図4Bに示したものと同様である。流れスプリッタ22の第1の端部22aは、拡大部を画定する又は含む。流れスプリッタ22の第2の端部22bは、丸み部を含む又は画定する。
図4Cに示す例示的な流れスプリッタは、略円錐台形状を有すると考えられてよい。本明細書に開示される流れスプリッタが円錐又は円錐台形状に限定されないことを理解されたい。他の例では、流れスプリッタは1つ以上の平坦部を有する円錐又は円錐台形状を有してよい。代替的に、流れスプリッタは渦巻き又はらせん形状を有してよい。
【0103】
[000140]
図4B及び4Cを参照すると、例えば流れスプリッタ22の縦軸すなわち中心軸Aに沿った流れスプリッタ22の長さすなわち寸法は、放射源SOのチャンバ23の寸法、容積及び/又は形状に応じて選択されてよい。流れスプリッタ22の長さすなわち寸法は、例えば流れスプリッタ22が放射源SOのチャンバ23内に配置される場合に、流れスプリッタ22が第1のガス流16と相互作用する、及び/又は流れスプリッタが流れスプリッタ22の周囲に第1のガス流を方向付けるように選択されてよい。流れスプリッタ22の縦軸すなわち中心軸Aに沿った流れスプリッタ22の例示的な長さすなわち寸法は、約3~30cm、例えば10~20cmを含んでよい。ただし、本明細書に開示されている例示的な流れスプリッタがこのような長さすなわち寸法に限定されないことを理解されたい。
【0104】
[000141] 放射源SOは加熱要素24を備えてよく、加熱要素24は流れスプリッタ22の一部である又はこれに含むことができる。加熱要素24は、例えば流れスプリッタ22の周囲に方向付けられる第1のガス流16の量を増加させるために、流れスプリッタ22の温度を上昇させるように構成されてよい。
【0105】
[000142] 加熱要素24は、流れスプリッタ22の温度を、増加した第1のガス流の量が流れスプリッタ22の周囲に方向付けられる第1の温度以上に上昇させるように構成されてよい。例えば、流れスプリッタ22の温度が第1の温度以上に上昇する結果、例えば第1のガス流16の少なくとも一部分が流れスプリッタ22に接触するとき、第1のガス流16の原子の少なくとも一部の速度が上昇する可能性がある。流れスプリッタ22の温度が第1の温度以上に上昇することによって、流れスプリッタ22と接触する第1のガス流16の一部分に熱が伝導する可能性がある。第1のガス流16の一部分に熱が伝導することによって、第1のガス流の一部分のガスが膨張する、及び/又は第1のガス流の一部分のガスの粘度が上昇する可能性がある。換言すれば、流れスプリッタ22と接触する第1のガス流の一部分のガスは上昇した粘度を有する可能性がある。上昇した粘度を有する第1のガス流16の一部分のガスは、流れスプリッタ22に入射する第1のガス流の別の部分に作用する、及び/又は第1のガス流16の別の部分を流れスプリッタ22の周囲に方向付ける可能性がある。換言すれば、第1のガス流16の一部分のガスの粘度が上昇することによって、流れスプリッタ22の有効寸法は、流れスプリッタ22の実寸法に対して大きくなると見なすことができる。
【0106】
[000143] 第1の温度は、プラズマ7を生成するのに使用される燃料の溶融温度以上であってよい。換言すれば、第1の温度はプラズマ7を生成するのに使用される燃料に応じて選択されてよい。例えばスズが燃料に使用されている場合、加熱要素24は、流れスプリッタの温度を(スズの溶融温度にほぼ一致する)約230℃以上の温度に上昇させるように構成されてよい。200℃未満の温度では、流れスプリッタ22に堆積する燃料、例えばスズは固体である可能性がある。固体燃料は、中間焦点6aに向けて方向付けられた放射ビームBの少なくとも一部分を回折又は遮断する可能性がある。
【0107】
[000144] 加熱要素24は、流れスプリッタ22の温度を第2の温度未満に維持するように構成されてよい。第2の温度以上では、流れスプリッタ上に存在し得るデブリの拡散が生じる又は高まる。第2の温度以上では、流れスプリッタ22上に存在し得るデブリの拡散が高まる可能性がある。例えば水素雰囲気中のスズ蒸気の拡散係数は温度上昇ともに上昇する可能性がある。流れスプリッタ22の温度を第2の温度未満に維持することによって、チャンバ23内でのデブリの拡散を抑制することができる。流れスプリッタ22上に存在し得るデブリの量は、以上で説明したように、例えば流れスプリッタ22がチャンバ23内に配置されて第1のガス流16を流れスプリッタ22の周囲に方向付けるため、及び/又は7slmより大きい第1のガス流16の流量を使用するため小さいと考えられる。
【0108】
[000145] 加熱要素24は、流れスプリッタ22内に埋め込まれてよい。他の実施形態では、加熱要素は別体に設けられてよいことが理解されるであろう。そのような実施形態では、加熱要素は、流れスプリッタの温度を上昇させるように配置されてよい。加熱要素24は、抵抗加熱要素の形で設けられてよい。他の実施形態では、流れスプリッタ22は誘導加熱されてよいこと、及び/又は加熱要素は、例えばコイルなどの電磁要素の形で設けられてよいことが理解されるであろう。電磁要素に電流を生成するために電子振動子、例えば高周波発生器が設けられてよく、結果として電磁要素に熱が発生する可能性がある。
【0109】
[000146]
図4A及び
図4Dを参照すると、一部の実施形態では、流れスプリッタ22は冷却剤により冷却するように構成されてよい。例えば流れスプリッタ22は、例えば中間焦点領域6での放射に起因する、流れスプリッタ22に作用し得る熱負荷を低減するために冷却されてよい。流れスプリッタ22は、流れスプリッタ22の温度を、プラズマ7を生成するのに使用される燃料の溶融温度未満に維持するために冷却されてよい。これによって、流れスプリッタ22上に存在し得る液体燃料の放射源SOの内壁21又は任意の他のコンポーネント上への分散/拡散を妨げることができる。以上で説明したように、流れスプリッタ22上に存在し得るデブリの量は、以上で説明したように、例えば流れスプリッタ22がチャンバ23内に配置されて第1のガス流16を流れスプリッタ22の周囲に方向付けるため、及び/又は7slmより大きい第1のガス流16の流量を使用するため小さいと考えられる。
【0110】
[000147] 冷却剤は冷却剤源25によって供給されてよい。例えば流れスプリッタ22は、冷却剤源25から冷却剤を受け取るための、及び/又は流れスプリッタ22に冷却剤を流すためのチャネル26を備えてよい。流れスプリッタ22は、冷却剤源25に接続するように構成されてよい。冷却剤源25は、流れスプリッタ22に冷却剤を供給するように構成されてよい。例えば冷却剤源25は、流れスプリッタ22に冷却剤を供給して、以上で説明したように、流れスプリッタ22の温度を、例えばプラズマ7を生成するのに使用される燃料の溶融温度及び/又は第2の温度未満に低下させるように構成されてよい。冷却剤は、冷却剤流体、例えば冷却剤液体や冷却剤/冷却ガスなどの形で提供されてよい。流れスプリッタは、加熱要素24を備えることの代わりに、又はこれに加えて冷却剤により冷却されるように構成されてよいことが理解されるであろう。
【0111】
[000148]
図5は、放射源SOの別の実施形態を概略的に示している。
図5に示す放射源SOは、
図4Aに示したものと同様である。明瞭にするために、第1及び第2のガス供給システム17、20、1つ以上の開口部18、レーザ1、レーザビーム2、及び放射ビームBは
図5では省略されている。しかしながら、
図5に示す例示的な放射源SOが、
図1から
図4に関連して以上で説明した放射源SOの特徴を備えてよいことが理解されるであろう。
【0112】
[000149]
図5に示す放射源SOの例示的な流れスプリッタ22は、ノズル又はスリットの形で設けられ得る複数の別の開口部27を備える。複数の別の開口部27(又は複数の別の開口部27の各別の開口部)は、第3のガス流28をコレクタ5に方向付けるように構成されてよい。第3のガス流は、約1~50slmの範囲内の流量を有してよい。複数の別の開口部27は、複数の別の開口部27からの第3のガス流28が、第1のガス流16と相互作用するように流れスプリッタ22に配置されてよい。第1のガス流16と第3のガス流28との相互作用は、第1のガス流16を、チャンバ23、例えば円錐部23aの内壁21の近くに方向付ける又は押し込むことができる。第3のガス流28をコレクタ5に方向付けるために複数の別の開口部27を設けることによって、第1のガス流16の分散を高めることができる。第1のガス流16の分散が高まる結果、第1及び第2のガス流16、19間の相互作用が低下する又は抑制される可能性がある。
【0113】
[000150] 複数の別の開口部27は、円周方向に、周状に及び/又は軸方向に流れスプリッタ22に配置されてよい。換言すれば、複数の別の開口部27は、流れスプリッタ22の周囲に及び/又は流れスプリッタ22の中心軸すなわち縦軸Aの方向に延在するように配置されてよい。複数の別の開口部27は、例えば第1のガス流16及び/又は第3のガス流28が流れスプリッタ22の周囲を対称的に流れるように、流れスプリッタ22に対称的に配置されてよい。
【0114】
[000151]
図2に示した例示的な第1のガス供給システム17は、第3のガス流28を流れスプリッタ22に供給するように構成されてよい。例えば流れスプリッタ22は、例えば第3のガス流28の流れスプリッタ22への供給を可能にするために、第1のガス供給システム17に接続する又は接続可能にすることができる。別の例において、デブリ軽減システムが、第3のガス流を流れスプリッタに供給するように構成され得る別のガス供給システムを備えてよいことが理解されるであろう。流れスプリッタは、例えば第3のガス流の流れスプリッタへの供給を可能にするために、別のガス供給システムに接続する又は接続可能にすることができる。
図5に示す流れスプリッタ22は複数の別の開口部27を備えているが、他の実施形態では、流れスプリッタが第3のガス流をコレクタに方向付けるように構成され得る1つの別の開口部を備えてよいことが理解されるであろう。
【0115】
[000152]
図6は、放射源SOの別の実施形態を概略的に示している。
図6に示す放射源SOは、
図4Aに示したものと同様である。明瞭にするために、第1及び第2のガス供給システム17、20、1つ以上の開口部18、レーザ1、レーザビーム2、及び放射ビームBは
図4Aでは省略されている。しかしながら、
図6に示す例示的な放射源SOが、
図1から
図5に関連して以上で説明した放射源の特徴を備えてよいことが理解されるであろう。
【0116】
[000153]
図6に示す例示的な放射源SOは、バーすなわちオブスキュレーションバー29の一部であってよい又はこれによって提供されてよいデブリ受取面29aを備える。バー29は、チャンバ23、例えば円錐部23a内に配置され、デブリが中間焦点領域6に到達するのを妨げることができる。バー29は、コレクタ5の光軸OAと交差する又はこれを横切って延在するように配置されてよい。この配置では、バー29は、弾道微粒子デブリを含み得るデブリの、及び/又はレーザビーム2の一部分、例えばレーザビーム2のプラズマ形成領域4を通過する部分の直接通視線を遮ると考えることができる。換言すれば、バー29は、レーザビーム2の一部分を放射源SOの中間焦点領域6から離れる方向に反射するように構成されてよい。
【0117】
[000154]
図6に示す例示的な放射源では、流れスプリッタ22は、バー29と中間焦点領域6との間に配置される。この配置では、バー29は、流れスプリッタ22の少なくとも一部分又は全てにわたって延びる又はこれと重なるように配置される。例えばバー29は、プラズマ7により生成されたデブリがバー29のデブリ受取面29aに入射するように、流れスプリッタ22の第1の端部22aの拡大部にわたって延びる又はこれと重なるように配置されてよい。換言すれば、流れスプリッタ22はバー29の陰に配置されてよい。
【0118】
[000155]
図6に示す例示的な放射源SOでは、デブリ受取面29aはバー29の一部であるものとして説明されたが、例えば
図4A、
図4B、
図4C、及び
図5に関連して説明した放射源の他の実施形態では、デブリ受取面29aが流れスプリッタ22によって提供されてよい又は流れスプリッタ22の一部であってよいことが理解されるであろう。このような実施形態では、流れスプリッタ22は、本明細書で説明されるバー29の特徴のいずれかを含んでよい。さらに、流れスプリッタ22は、プラズマ7により生成された熱若しくは熱負荷又は中間焦点領域6における放射の熱若しくは熱負荷に流れスプリッタ22が耐えられるように構成されてよい。流れスプリッタ22は、プラズマ形成領域4を通過するレーザビーム2の一部分を、中間焦点領域6から離れる方向に反射するように構成されてよい。例えばデブリ受取面29aが流れスプリッタ22により提供される場合、例えば流れスプリッタ22の中心軸すなわち縦軸Aと垂直な及び/又は平行な方向の流れスプリッタ22の長さすなわち寸法は、例えばバー29と組み合わせて使用される流れスプリッタ22の中心軸すなわち縦軸Aと垂直な及び/又は平行な方向の長さすなわち寸法に対して大きくなる可能性がある。
【0119】
[000156]
図7Aは、流れスプリッタがない場合の放射源SOにおける第1のガス流16のシミュレーションを示している。
図7Aに示す放射源SOは、
図6に関して以上で説明した、チャンバ23、例えば円錐部23aに配置されたバーすなわちオブスキュレーションバー29を備える。第1のガス流16は、放射源SOにおいて実質的に層流であると見なされてよい。ただし、第1のガス流16の一部が再循環することが
図7Aから分かる。第1のガス流16の一部の再循環は、隣接したガスと相互作用して、例えば隣接したガスを同じ速度又は速さで引っ張り得るジェットが、第1のガス流16のガスの一部から形成されることに起因する可能性がある。第1のガス流16のフレッシュガスは、内壁21に沿って低い速度又は速さで流れ、ガスの空乏化や負圧の形成を防ぐことができる。第1のガス流16の一部が再循環する結果、放射源SO、例えばチャンバ23の内壁21にデブリが堆積する可能性がある。
【0120】
[000157]
図7Bは、流れスプリッタがない場合の放射源におけるデブリ、例えば原子スズデブリの表面堆積のシミュレーションを示している。デブリがチャンバ23、例えば円錐部23aに分布し、中間焦点領域6に向かう方向に延在することが分かる。
【0121】
[000158]
図8Aは、以上で説明した流れスプリッタ22を備えた放射源SOにおける第1のガス流16のシミュレーションを示している。
図8Bから、チャンバ23、例えば円錐部23a内に流れスプリッタ22を配置することによって、第1のガス流16の再循環が抑制されることが分かる。この結果、流れスプリッタ22を備えた放射源におけるデブリ、例えば原子スズデブリの表面堆積のシミュレーションを示す
図8Bに示すように、チャンバ23、例えば円錐部23a内のデブリ堆積が抑制される。換言すれば、チャンバ23、例えば円錐部23a内に流れスプリッタ22を配置することによって、中間焦点領域6方向のデブリの広がりが抑制される。
【0122】
[000159] 第1、第2及び/又は第3のガス流は水素ガスを含んでよい。他の実施形態では、別のガス又はガスの混合物が使用されてよいことが理解されるであろう。例えば、他の実施形態では、第1、第2及び/又は第3のガス流はアルゴンガス又はヘリウムガスを含んでよい。
【0123】
[000160] 流れスプリッタ22の材料は、腐食に耐性を示す、例えば、放射源SO内の環境、例えば放射源SO内の水素環境における燃料による腐食に対する耐性を示すように選択されてよい。流れスプリッタ22の材料は、以上で説明したように、例えば放射源SOにおける放射、プラズマ7、及び/又は第1の温度以上への流れスプリッタ22の温度の上昇に起因して流れスプリッタに作用する熱負荷に耐性を示すように選択されてよい。例示的な流れスプリッタ22は、金属若しくは金属合金を含んでよい又は金属若しくは金属合金で作られてよい。例えば流れスプリッタの材料は、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス鋼、銅又はこれらの合金であってよい、又はこれらを含んでよい。流れスプリッタ22は金属表面又は金属合金表面を備えてよい。流れスプリッタの金属表面又は金属合金表面によって、放射源SO内に存在し得る水素ラジカルの再結合の改善がもたらされる可能性がある。例えば水素(H2)分子は、熱吸収及び/又は放射吸収、又はイオン衝突によって水素ラジカルに分裂する可能性がある。水素ラジカルは、放射源の内壁21から、デブリ、例えばスズを除去するのに有用な可能性がある。水素ラジカルが存在することによって、例えば水素ラジカルがチャンバ23内の液体の燃料層に拡散する場合の燃料のスピッティング(spitting)など、チャンバ23内に汚染が生じる可能性がある。金属表面又は金属合金表面を有する流れスプリッタを設けることによって、水素ラジカルの再結合を改善することができる、及び/又は、例えば燃料のスピッティングなどのチャンバ23内の汚染を抑制することができる。他の実施形態では、流れスプリッタが別の材料、例えばセラミック材料などを含んでよいことが理解されるであろう。セラミック材料は、二酸化ケイ素材料、窒化ジルコニウム材料、又は酸化ジルコニウム材料を含んでよい。
【0124】
[000161] 以上で説明したように、デブリ軽減システムは、第1のガス流を中間焦点領域からプラズマ形成領域に方向付けるように構成される。例えばデブリ軽減システムは,第1のガス供給システムを備えてよい。第1のガス供給システムは、第1のガス流をプラズマ形成領域に向けて供給するように構成されてよい。第1のガス供給システムは、中間焦点領域、例えば中間焦点に又はその近くに設けられた1つ以上の開口部、例えば1つ以上のノズル又はスリットを備えてよい。1つ以上の開口部は、第1のガスがコレクタに向かって流れるように配置されてよい。例えば1つ以上の開口部は、第1のガス流をEUV放射ビームの伝搬方向と反対(例えば実質的に反対)の方向に方向付けるように配置されてよい。第1のガス流は、デブリが中間焦点127aに向かって移動することを抑制する又は妨げるのに十分な流量を有してよい。第1のガス供給システムは、動的ガスロック(DGL)システムである又はこれに含まれると見なすことができる。
【0125】
[000162]
図22Aに示すように、EUVリソグラフィ装置の少なくとも一部をEUV源による燃料汚染から保護するために、第1のガス流を中間焦点(IF)領域127で導入し、プラズマ形成で生成されたデブリ粒子を源容器に押し戻す(
図22Aに示す第1のガス流は
図7Aの第1のガス流16と同様である)。第1のガス流は、本明細書において動的ガス流又は動的ガスロック(DGL)流と呼ばれ、1つ以上の収束ガスインレットによって生成することができる。(例えば
図9及び
図10に示すような)例えばEUVコレクタの光軸に向かって収束するいくつかのガスインレットの2つのアレイから高速ガスジェットが提供されてよく、EUV容器100内に1つの高速の第1のガス流が形成される。高速の第1のガス流は、デブリ粒子をIF領域127から引き離す抗力を生み出し、これと同時に、燃料蒸気及び/又は燃料の派生物(例えば水素化スズ)からのリソグラフィ装置の少なくとも一部に対するペクレ(Peclet)型の保護を行う。しかしながら、実験結果は、10slm未満のガス流量を有する動的ガス流(例えば第1のガス流)を使用すると、IF点127aを通過するデブリ粒子の量がEUV源に要求される清浄度仕様より1桁大きい可能性があることを示す。
【0126】
[000163] この問題を解決するため、より高速の第1のガス流を使用して、リソグラフィ装置の少なくとも一部を燃料汚染から保護することが考えられる。しかしながら、第1のガス流が高速になると、コレクタ汚染及び(燃料発生器により放出されたときの)燃料液滴の安定性が悪化する可能性がある。高速で細い動的ガス流は、反対方向から提供されるコレクタのコーン流れと相互作用することによって依然としてコレクタに到達し、燃料液滴の不安定性及び/又はさらなるコレクタ汚染をもたらすことが想定される。高速の第1のガス流は再循環を引き起こし、さらにデブリ粒子をIF領域127に近づける結果、デブリ粒子が中間焦点127aを通ってリソグラフィ装置に入り、これによって動的(第1の)ガス流のデブリ軽減機能を少なくとも部分的に打ち消す可能性がある。ガスの再循環は特に容器上部で生じる可能性があり、これによりIF領域127に向かうデブリの「搬送ベルト」の役割を果たす。
【0127】
[000164] ある実施形態では、第1のガス流の再循環をEUV容器100の上部の中間焦点領域127に閉じ込める第2のガス流を提供するように配置された第2のガス供給システムを使用することが提案される。第2のガス供給システムは、好ましくは第1のガス流の伝搬方向に実質的に垂直な(すなわちEUVコレクタの光軸に実質的に垂直な)方向に第2のガス流を方向付けるように配置された1つ以上の開口部を備える。
図22Bに示す実施形態では、2つの対向するガス流ジェット(すなわち第2のガス流)を提供するための1対のインレット624a、624bを、第1のガス流の下流の中間焦点領域127の近くに配置する。好ましくは1インレット当たり少なくとも2slm(すなわち1対当たり少なくとも4slm)、さらに好ましくは1ジェット当たり少なくとも5slmのガス流量で第2のガス流が供給される。第2のガス流は、第1のガス流と実質的に同じかさらに高い速度を有してよい。
【0128】
[000165] 絞りジェットは、真っすぐなDGL流(すなわちEUV容器の光軸と一直線)と最もよく協働する。ガスジェットインレット624a、624bは、(
図22Bに示すように)中心流を提供するように位置合わせされてよい。ガスジェットインレットはまた、少しオフセットされてよい。絞りジェット間のオフセットは、DGL流が依然として実質的に真っすぐである限り、(ガス流の遮断時により大きな相互作用領域を形成する)傾斜に対するロバスト性を向上させることができる。代替的に、ガスジェットインレット624a、624bは、第1のガス流の方向とある角度を成す傾斜した第2のガス流(図示せず)を提供するように配置される。
【0129】
[000166] 1対の対向するガスジェットインレット624a、624bは、機械的な設計制約がない場合、性能を向上させるために(
図22Cに示すように)IF点127aにある第1のガスインレットに近いIF領域127に配置されてよい。1対の対向するガスジェット624a、624bの機能は、運動量交換によって動的ガス流を絞って拡散させることである。同様の原理が、2つの高速の側方ガスジェットが液体流を微液滴に砕く液体噴霧器で使用される。サイドガスジェット624a、624bは、細い高速の動的ガス流ジェットを減速させ、拡散させる。これによって容器壁近くの大規模な再循環が取り除かれる又は抑制され、代わりに実質的に一方向のガス流場が排出部に向けて確立されることによって、EUV容器100の燃料汚染からの保護に役立つ。
【0130】
[000167] 絞りジェットインレット624a、624bは、ガスジェット流が動的ガス流の主方向に実質的に直交するように配置されるのに対し、動的ガス流ノズルは、結果として生じる動的ガス流ジェットと実質的に整列配置される。絞りジェットの速度は、遮断点166近くでの動的ガス流ジェットの速度と実質的に同じになるように調整されてよい。理論に縛られることなく、絞りジェットの運動量は、好ましくはその値が遮断点166における動的ガス流ジェットの運動量と実質的に同等であることが期待される。インレット及びノズルのサイズ、形状(円、レーストラック、四角など)、及び絞りジェットインレット624a、624bのIF点127aまでの間隔を変化させてEUV容器100のデブリ軽減を強化することができる。
【0131】
[000168] サイドジェットを導入する1つ以上の利点は、リソグラフィ装置の少なくとも一部を保護するための高いDGL流量を可能にすること、排出部から下部コーンへの再循環を抑制する、さらには取り除くことができること、IFコーンにおける積極的なペクレ保護を行えること、動的ガス流の機能を犠牲にすることなく、動的ガス流速度を大幅に低下させて、コレクタ及び燃料液滴の安定性に対する悪影響を取り除くことができることである。
【0132】
[000169]
図22B及び
図22Cは1対の絞りジェットを示しているが、単一の絞りジェット又は複数の絞りジェット(すなわち2つ以上の絞りジェット)を使用することも可能である。シミュレーションは、2つの絞りジェット又は複数対のガス流絞りジェットが有利な結果をもたらすことを示しているが、EUV容器内の全ガス流の特定の条件に応じて、非対称の第2のガス流構成も役立つ可能性がある。非対称流設計においても、絞りジェットの運動量はその値が遮断点における動的ガス流の運動量と実質的に同等である。
【0133】
[000170] 本発明のある態様によれば、上記の実施形態を他のガス流供給部と組み合わせることも可能である。例えばEUV容器は、容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設されたシャワーヘッドの形の第3のガス流も(すなわち第1及び第2のガス流に加えて)備えてよい。シャワーヘッドは、ガスを容器に導入するように構成された1つ又は複数のノズルを備える。シャワーヘッドは、ガスをシャワーヘッド内に供給するように構成された少なくとも1つのインレットを有する。1つ以上の排出部が、容器に導入されたガスを除去するように構成されてよく、1つ以上の排出部は、ガスをEUVコレクタから離れる方向に流すように容器内壁の少なくとも一部分に沿って配向される。少なくとも1つの排出部が、容器内壁に沿って方位角的に非対称な位置に配設され、容器からガスを排出するように構成されてよい。絞りジェット又は誘導デバイスはまた、カーテンフロー(例えば
図18Aに示すようなカーテンフロー122)と共に上手く動作することができる。DGL流に第2のガス流(絞りジェット)、カーテンフロー及びEUV容器の下部にあるシャワーヘッド流を組み合わせることも可能である。別の実施形態は、(例えば
図20に示すような)誘導デバイスにより提供される第1のガス流に実質的に垂直なカーテンフローである。これを絞りジェットと組み合わせて又は単独(ジェットなし)で使用することが可能である。
【0134】
[000171] さらに、第1のガス流が周囲に方向付けられるように誘導デバイスがEUVチャンバ内に加えられてよい。誘導デバイスは、第2のガス流による遮断点の前又は後の第1のガス流の流路に導入されてよい。
【0135】
[000172] リソグラフィシステムに使用される放射源を、レーザ生成プラズマ(LPP)源(又は単に「源」)の形で設けてよい。放射源は、プラズマ容器内でスズ(Sn)などの燃料からプラズマを生成することによって極端紫外線(EUV)放射を生成する。放射源はEUV容器を含んでよい。一部の例では、液体燃料の液滴を高エネルギーレーザ放射で照明することによってスズプラズマを生成する。以下の説明はスズについて言及したものであるが、任意の適切な燃料が使用されてよい。プラズマから放出されたEUV光子は、容器内にEUVコレクタの形で設けられ得る近法線入射放射コレクタ(より一般的に法線入射放射コレクタと呼ばれることもある)によって収集され、リソグラフィ装置の少なくとも一部に入る中間焦点に送られる。多くの例では、スズ物質をレーザ放射で照明した結果としてスズデブリが生成され、容器内に残ることになる。
【0136】
[000173] スズデブリには、レーザ放射による照明が行われた又は照明が意図された後に容器内に残っているスズ物質又はスズ生成物が含まれてよい。スズデブリは、例えばイオン性スズ、スズ蒸気、スズ微粒子、スズ生成物(SnH4ガス)、又はスズ堆積物を含むことができる。多くの例では、スズデブリはEUVコレクタだけではなくEUV容器の容器内壁にも堆積する。一旦堆積すると、スズデブリは容器内の他の表面上に吐出、滴下、及び落下する可能性がある。結果として、スズデブリは、EUVコレクタの反射性を低減する、あるいはEUV光路を遮断する程度に蓄積する可能性がある。最終的には、これによってコレクタの寿命が縮まり、放射源の利用可能性が低下する。
【0137】
[000174] 一部の例では、いくつかの表面(例えば容器壁、羽根、及びスクラバ)が放射源の動作中冷たく保たれる。これにより、スズデブリを固体の状態に保つことによってスズ滴下及び吐出の一部を解消することができる。しかしながら、ある特定の状況では、スズが依然として重力及びEUV容器の動作中にEUVコレクタにかかるガス圧力に起因して落下する程度に蓄積する可能性がある。さらに、これらの冷たい表面にSnが蓄積することによって、放射源動作のためのガス流の撹乱だけではなくEUV経路の遮断が引き起こされる可能性がある。
【0138】
[000175] 他の例では、いくつかの表面がSnの溶融点より高い温度に保たれる。これによってスズデブリを液体の状態に維持する結果、Snの蓄積及びEUV経路の遮断を抑制することができる一方、液体状態のスズは先に述べたように吐出及び滴下を起こしやすい。
【0139】
[000176] いくつかの放射源が、容器内の複数の場所にガス供給部を設けて容器からスズデブリを追い出すことによって、容器表面のSnデブリ及び堆積物に対処する。これらのうちの1つは、ガスを容器に導入するEUVコレクタの中心近くの中心供給部である。また、いくつかの放射源は、ガスを容器に導入するEUVコレクタの周辺に近い場所にある周辺供給部を有してよい。中心供給部及び周辺供給部は、EUVコレクタから離れるエネルギー的に有利な流れ方向だけではなく、Snデブリの拡散に対するバリアを与えることによってEUVコレクタをSnデブリからある程度保護するのに役立つガス流路を提供する。
【0140】
[000177] 中心供給部及び周辺供給部を有する実施形態は、EUVコレクタのある水準の保護を可能にするが、Snデブリは、依然としてEUV光路を遮断する程度に容器内壁に蓄積する可能性がある。また、Snデブリが容器内壁のEUVコレクタより重力方向上方にある領域に蓄積する場合、SnデブリはEUVコレクタ上に落ちる可能性がある。結果として、中心供給部及び周辺供給部に加えて、ガスを容器に導入するためのガス源を備えて、1つ以上の容器内壁の保護を可能にすることが有利と考えられる。
【0141】
[000178] 特定の実施形態では、EUV容器が、ガスを容器に導入するための容器壁供給部を備えてよい。一部の実施形態によれば、容器壁供給部は、ガスを容器に導入するための複数のノズルを有する、容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設されたシャワーヘッドを備えてよい。これらの実施形態によれば、シャワーヘッドは容器内壁と同様の形状であってよい。したがって、例えば容器内壁が円錐形状を有する場合、シャワーヘッドも同様に円錐形状であってよい。同様に、容器内壁がたまたま円筒形状、矩形、又はその他の多面形状を有する場合、EUV容器に含まれるシャワーヘッドは、同様にそれぞれ円筒形状、矩形、又はその他の多面形状を有してよい。別の実施形態によれば、シャワーヘッドは、容器内壁と異なる形状を有してよい。一部の実施形態では、容器壁供給部、周辺供給部、又は中心供給部を介して容器内に供給されるガスは水素ガスを含んでよい。
【0142】
[000179]
図9Aは、EUV容器100の容器内壁104の少なくとも一部分に沿って配設されたシャワーヘッド101を有するEUV容器100のある実施形態の簡略化された概略図である。この実施形態によれば、レーザ放射パルス105が、ターゲット材料111を材料ターゲット領域(図示せず)内で照明することが示されている。プラズマ107が生じ、例えばEUV放射115を生成し得ることが示されている。EUV放射115は、EUVコレクタ102によって中間焦点(IF)領域157に向けて反射されることが示されている。
【0143】
[000180]
図9Aの実施形態によれば、シャワーヘッド101は、容器内壁104の少なくとも一部分に沿って配設された複数のノズル120を備えることが示されている。複数のノズル120のそれぞれは、配設された容器内壁104から離れる方向に容器へのガス流140の流入を可能にすることが示されている。図示されていないが、ノズル120は容器内壁104の最も右の部分にも含まれてよいことを理解されたい。つまり、シャワーヘッド101は、容器内壁104のIF領域157に近い部分を含む、容器内壁104の右側に沿って延在してよい。
【0144】
[000181]
図9Aは、容器内壁104が矩形断面151によって画定できることを示している。容器内壁104は、例えば円形、楕円形、非矩形多角形断面であってよい他の断面形状、又は容器内壁104の長さに沿った異なる距離で異なる断面形状を有してよい。様々な容器内壁104の形状を、本明細書に記載の実施形態の範囲及び趣旨を逸脱することなく実現できることを理解されたい。したがって、例として円錐状の容器内壁104の様々な非限定的な例が以下で説明される。
【0145】
[000182]
図9Bは、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bを介して容器100にガスを導入するシャワーヘッド101を有するEUV容器100(又は単に「容器」)のある実施形態の簡略化された概略図である。示されている実施形態では、EUV容器100は、円錐形状を有する容器内壁104を備えることが示されている。シャワーヘッド101は、容器内壁104の少なくとも一部分に沿って配設された結果として同様の形状を取ることが示されている。EUV容器100は、中心領域109を通って容器に入るレーザ放射パルス105を受光できることがさらに示されている。レーザ放射パルス105は、ターゲット材料領域(図示せず)内のターゲット材料111に入射することが示されている。プラズマ107が生じ、プラズマ発光113を放つことが示されている。EUV放射115を含むプラズマ発光の一部は、EUVコレクタ102に反射し、容器100内を移動し、リソグラフィ装置117の少なくとも一部に入ることが示されている。
【0146】
[000183]
図9Bには、共にEUVコレクタ102に近い場所で容器100にガスを導入する中心供給部106及び周辺供給部108も示されている。中心供給部106及び周辺供給部108は共に、それぞれ容器100にガスを導入するための複数のガスインレットを備えてよい。中心供給部106及び周辺供給部108は、SnデブリのEUVコレクタ102との接触事例を少なくするようにガスを導入する。例えば中心供給部106及び周辺供給部108は、Sn蒸気又は微粒子に対する拡散バリア、及び同じようにEUVコレクタ102から離れる方向のエネルギー的に有利な流路を提供する。結果として、EUVコレクタ102には、Snデブリからのある程度の保護が与えられる。
【0147】
[000184]
図9Bは、容器内壁104から離れる方向にガスを容器100に導入するシャワーヘッド101も示す。示されている実施形態では、シャワーヘッド101は、第1の供給部103a及び第2の供給部103bを備える。第1の供給部103aは、第1の複数の流れ140aとしてガスを容器100に導入する第1の複数のノズル120aを供給することが示されている。第2の供給部103bは、第2の複数の流れ140bとしてガスを容器100に導入する第2の複数のノズル120bを供給することが示されている。シャワーヘッド101の第1の供給部103a及び第2の供給部103bは、第1の複数のノズル120a及び第2の複数のノズル120bへのガスの供給をそれぞれ別々に制御できることが示されている。また、第2の複数のノズル120bは、EUVコレクタ102のより近位にあることが示されているのに対し、第1の複数のノズル120aは、リソグラフィ装置117の少なくとも一部に近い容器のIF領域157のより近位にあることが示されている。
【0148】
[000185] 特定の実施形態では、第1の複数のノズル120a及び第2の複数のノズル120bは、別々に制御されるガス供給システム(図示せず)が別々に供給されてよい。これらの実施形態では、第1の複数のノズル120a及び第2の複数のノズル120bのための別々に制御されるガス供給システムを有することによって、容器100内に生じ、シャワーヘッド101を介した容器100へのガスの導入に起因する流動形状又は流路の制御を可能にしてよい。容器100内の流動形状を制御することについての詳細は本明細書で考察される。特定の実施形態では、第1の複数のノズル120a及び第2の複数のノズル120bは、ガスを容器100に導入するための個別のゾーンと見なされてよい。
【0149】
[000186] 第1の複数の流れ140a及び第2の複数の流れ140bは、容器内壁104から離れる方向であることが示されている。第1及び第2の複数の流れ140a及び140bの方向性の結果、容器内壁104の表面へのSnデブリの堆積を妨げる流動形状を容器100内に生成することができる。例えば、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bを介して導入されるガスが、容器内壁104上のSn蒸気フラックス、SnH4フラックス、及び他のSnデブリフラックスを抑制し得る拡散バリアを提供することができる。
【0150】
[000187] 特定の実施形態では、容器内壁104上に水素ラジカルフラックスが存在する可能性がある。一般的に言えば、水素ラジカルは、水素ガスによるEUV放射115の吸収だけでなく、プラズマ107の結果として容器100内に存在する可能性がある。水素ラジカルは、例えばSnH4ガスを形成することにより容器内壁104から固体のSn堆積物を除去し得る、「冷たい」壁(容器内壁104のSnの溶融点未満に調節された部分)を含む特定の状況では有利な可能性がある。このような状況下における特定の実施形態によれば、例えば水素ラジカルをシャワーヘッド101、中心供給部106、周辺供給部108、又は動的ガスロック(DGL)供給部110から供給することにより、水素ラジカルをさらに供給して、容器内壁104からの固体のSn堆積物の除去を促進することができる。容器内壁104の液体のSnを含み得る温かい領域を含む他の実施形態では、温かい領域上の水素ラジカルフラックスを低減することができる。
【0151】
[000188] 様々な実施形態において、容器内壁104は、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bがガス流をEUV容器100内に方向付けることを可能にする独立の壁界面によって画定されてよい。これらの構成では、シャワーヘッド101は主に容器内壁104の後方にある。他の実施形態では、シャワーヘッド101自体が容器内壁104を画定することになる内面を有する。特定の他の実施形態では、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bの各ノズルは、ガスを容器100に導入するための個別のガスラインを備えてよい。さらに別の実施形態では、シャワーヘッド101は容器内壁104に組み込まれてよく、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bのノズルのそれぞれを供給するラインが、後に第2の片と嵌合される第1の片であって、第2の片とのいずれかが容器内壁104を画定する第1の片から切り出される(hogged out)。
【0152】
[000189] 第1及び第2の複数の流れ140a及び140bは、容器内壁104に直交する方向にガスを導入することが示されているが、容器内壁104に直交せずとも実施形態の趣旨及び範囲内に含まれる、ガスを容器100に導入する多くの方法があることを理解されたい。さらに、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bのそれぞれは同じ方向性を有することが示されているが、説明される実施形態の本質及び範囲から逸脱することなく実現され得る、個々のノズルの個々の方向性に対する様々な変形が存在し得る。例えばある実施形態は、容器内壁104に対して同じ方向又は角度の複数のノズルを実装してよい一方、他の実施形態は、EUV源又はEUV容器の異なる実施形態のニーズに合う、容器内壁104に対して互いに異なる角度を有するノズルを実装してよい。
【0153】
[000190]
図9Bのシャワーヘッド101が、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bが容器内壁104の全周に沿ってガスを容器100に導入するように構成され得るように、容器内壁104の周囲(例えば円周)に沿って延在することも理解されたい。他の実施形態では、シャワーヘッド101は必ずしも容器内壁104の全周に沿って延在しない可能性がある、すなわち容器内壁104に沿って横方向にある長さだけしか延在しない可能性がある。換言すれば、実施形態は、異なる実施形態のニーズに合う、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bを容器100の容器内壁104に沿って分布させるための複数のパターンのうちのいずれか1つを有してよい。例えば特定の実施形態では、第1又は第2の複数のノズル120a又は120bをEUVコレクタ102より重力方向上方にある領域に配置し、Snデブリがこの領域の容器壁に堆積し、その後EUV源の動作中にEUVコレクタ102上に落ちることを妨げることができる。
【0154】
[000191] 容器内壁104は滑らかな表面を備えることが示されているが、容器内壁104が羽根付き面(例えば羽根を備えた表面又は羽根により画定された表面)を備えてよいことを理解されたい。例えば、羽根を備えた1つ以上の容器内壁104を有する特定の実施形態では、ガスが羽根の後部を介して導入され、羽根のプラズマ対向面の開口部から容器100内に放出されてよい。したがって、羽根の内側の適切なチャネル(図示せず)を使用して、所望のパターンで羽根に組み込まれたノズルにガスを供給してよい。結果として、シャワーヘッド101は、1つ以上の容器内壁104の汚染を削減するガスの流動形状を得るために、容器100の羽根付き面に組み込まれてよい。羽根を備えた1つ以上の容器内壁104を有する他の実施形態では、ガスは隣接した羽根の間の谷間から導入されてよい。
【0155】
[000192]
図9Bには、容器100からガスを排出する対称排出部112も示されている。対称排出部112は、容器内壁の周囲の周りに対称的に又は非対称的に配置されてよい。一実施形態では、対称排出部112は、容器内壁104の全周囲の周りに延在する1つの排出部を含んでよい。別の実施形態では、対称排出部112は、容器内壁104の周りに対称的に配置された複数の個別の排出ラインを備えてよい。
図9Bにはさらに、IF領域157に近い場所からガスを容器に導入する動的ガスロック(DGL)供給部110が示されている。
【0156】
[000193]
図9Cは、ガス供給部103により供給される複数のノズル120を備えたシャワーヘッド101を有するEUV容器100のある実施形態の簡略化された概略図である。ガス供給部103は、共通のガス供給システム(図示せず)によって制御されてよい。示されている実施形態では、複数のノズル120は、複数のガス流140が容器内壁104から離れる方向にガスを容器100に導入できることが示されている。
図9Cには、中心供給部106、周辺供給部108、及びDGL供給部110だけでなく、材料ターゲット領域123に入射するレーザ放射パルス105も示されている。
【0157】
[000194]
図9Dに示す別の実施形態では、シャワーヘッド101は、複数の別々に供給された複数のノズル120a~120nを備えることが示されている。第1の複数のノズル120aは第1の供給部103aによって供給されることが示されており、第1の複数のガス流140aとしてガスを容器100に導入することが示されている。第1の複数のノズル120は、一部の実施形態によれば容器内壁104の周囲に沿って延在することが理解される。
【0158】
[000195] 第2の複数のノズル120b及び第3の複数のノズル120cは、IF領域157に対して容器内壁104上に同じ横方向距離に沿って存在するように構成されることが示されている。ただし、第2及び第3の複数のノズル120b及び120cは、容器内壁104に沿って異なる周囲及び/又は方位角位置を有することが示されている。さらに、第2の複数のノズル120bは、第2の供給部103bによって供給されることが示されているのに対し、第3の複数のノズル120cは、第3の供給部103cによって供給されることが示されている。結果として、第2及び第3の複数のノズル120b及び120cは、容器100内のガスの流動形状の制御を可能にしてよい。
【0159】
[000196] 一部の実施形態によれば、複数のノズル120a~120nのそれぞれは、別々に制御されるガス供給システム(図示せず)によって供給されてよい。結果として、容器100内の流動形状の精密な制御は、複数のノズル120a~120nの個別制御を介して達成することができる。第2、第3、及び第nの複数のノズル120b、120c、及び120nは、第2、第3及び第nの流れ140b、140c、及び140nをそれぞれ可能にすることが示されている。流れ140a~140nのそれぞれは、概ね流れ140a~140nが導入される容器内壁140から離れる方向であることが示されている。
【0160】
[000197] 例及び限定として、容器内壁104の保護を可能にするために、50~500slmの範囲内のガス流が供給部103への供給に使用されてよい。2つ以上の供給部を有する実施形態、例えば
図9Dに示す実施形態では、上記範囲の流れは供給部103a~103nに分配されてよい。一実施形態では、供給部103は約200slmのガスが供給されてよい。様々な実施形態のニーズに合わせて、ガスを容器100に導入するための他の質量流量の範囲が使用されてよいことは勿論であり、与えられた例は限定することを意図していない。
【0161】
[000198] すでに考察したように、容器内壁104又はシャワーヘッド101の他の露出面の保護は、1つ以上の容器内壁104上のSn蒸気フラックス、SnH4蒸気フラックス、及び他のSnデブリフラックスを抑制するためのガスの流動形状を容器内に提供することを含む。一例として、一部の実施形態によれば、中心供給部106、周辺供給部108、及びシャワーヘッド101のそれぞれにより生成された流動形状の結果として、容器内壁104上のSn蒸気及びSnH4デブリが数百倍も低減する可能性がある。他の実施形態では、例えばEUVコレクタ102より上のエリアでポンピングを行わない非対称の羽根/ライナー構造を使用することによって、Snデブリフラックスのさらなる低減を達成することができる。
【0162】
[000199] 一部の実施形態によれば、直径約1~10mmの10~1000個の範囲のノズルが使用されてよい。特定の実施形態によれば、ノズルの数及びサイズに応じて、ノズルのそれぞれが約1~10cm離間されてよい。複数のノズルを通る均一かつ安定的な質量流束を提供するガス供給部(図示せず)及びシャワーヘッド本体若しくはマニホールド又は複数のガスライン(図示せず)が上記の実施形態で使用されてよい。異なる断面幅(例えば直径)及び間隔を有する、多い又は少ない数のノズルを備えた実施形態が本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく使用されてよいことは勿論である。
【0163】
[000200] また、一部の実施形態によれば、複数のノズル120は、ノズル120の開口部が容器内壁104のプラズマ対向面と同一平面になるように容器内壁104と接合してよい。他の実施形態では、ノズル120は、容器内壁104から容器100内に、例えば数ミリメートル突出する(図示せず)。容器内壁104又はライナー内に突出するノズル120は、放射源動作中又は周期的な液体流出中のSnデブリの結果としての目詰まりからのある程度の保護を与えることができる。
【0164】
[000201] ノズルの流出エリアが確実に汚染されないようにするために、特定の実施形態は、セラミック(例えばZrN)材料を使用したノズルチップを備えてよい。これら及び他の実施形態では、洗浄のためにノズル開口部及び/又はノズルチップの近くに水素ラジカルが供給されてよい。さらに、これらの実施形態はEUV誘起自己洗浄を使用してよい。これら及び他の実施形態では、ノズル120はまた、容器内壁104のより大きい開口部に配置される異なる材料から作られた中空栓を備えてよい。
【0165】
[000202] Snデブリが複数のノズル120に入ることを妨げる又は抑制するために、特定の実施形態は、多孔質媒体で作られたノズル120を備えてよい。結果として、ガスの流出は、ノズル開口部(図示せず)に堆積した粒子に対する感受性が低下する可能性がある。他の実施形態では、ノズル開口部の近くに配置される網状格子が、Snデブリがノズル120に入るのを防ぐために各ノズルに備えられてよい。特定の実施形態では、網状格子は、水素ラジカルの局所生成のために加熱される可能性がある。さらに別の実施形態では、ノズル120は、ガスを容器内壁104の周囲に沿って横から導入するキャップ付きのシャワーヘッド孔を備えてよい。これらの実施形態では、キャップの上部に漏洩流を導入して、Snデブリがキャップ自体に堆積するのを防ぐことができる。
【0166】
[000203]
図10は、第1のシャワーヘッド101a、第2のシャワーヘッド101b及び非対称排出部132を有するEUV容器100のある実施形態の簡略化された概略図である。容器内壁104は、容器内壁104のEUVコレクタ102より重力方向上方にある部分(すなわち容器内壁104の各部分を画定する第1のシャワーヘッド101aの部分)として画定された天井領域104aを有することが示されている。天井領域104aは、容器内壁104のEUVコレクタ102より重力方向上方にある部分と、そうでない部分とを画定する境界134を含むことが示されている。境界134の形状が容器内壁104の形状に依存するであろうことを理解されたい。境界134は例示であり、限定的でないことが意図されている。例えば境界134は、容器内壁104の形状、EUV源が動作している間のEUV容器100の向きに依存して、IF領域157又はEUVコレクタ102のより近位に位置してよい。
【0167】
[000204] 非対称排出部132は、EUVコレクタ102から離れ、かつ天井領域104aから離れるガスの流動形状を容器104内で促進させるために、概して天井領域104aと反対の場所で容器内壁104に沿って配向されることが示されている。特定の実施形態では、非対称排出部132は下方傾斜方向に構成されてよい。非対称排出部の多くの異なる配向は、実施形態の趣旨及び範囲を逸脱することなく実現できることは勿論である。
図10に示す非対称排出部132の構成は、例示であり、限定的でないことが意図されている。
【0168】
[000205] 例えば、非対称排出部132の方向は、天井領域104aから離れ、かつEUVコレクタ102から離れる流動形状を容器100内で促進可能に保ちながら上方傾斜角度であってよい。さらに、特定の他の実施形態では、非対称排出部132は、示されている実施形態よりもEUVコレクタ120のより近位に又は遠位にあるように構成されてよい。また、容器内壁104内部でのスピッティングを避けるために、ポンプに向かって下流に遠隔配置されたスクラバが特定の実施形態(図示せず)に含められてよい。
【0169】
[000206] 第1のシャワーヘッド101aは、シャワーヘッド101bの第2の複数のノズル120bより離れてガスが供給され得る第1の複数のノズル120aを備えることが示されている。例えば、第1の複数のノズル120aは第1の供給部103aによって供給されることが示されているのに対し、第2の複数のノズル102bは第2の供給部103bによって供給されることが示されている。第1の複数のノズル120aはまた、第2の複数のノズル120bより長い容器内壁104の横方向長さに沿って延在することが示されている。しかしながら、他の実施形態においてこの逆の場合もある。さらに、第1の複数のノズル120aは、第2の複数のノズル120bにより提供される第2の複数の流れ140bより数が多い第1の複数の流れ140aを提供することが示されている。これも他の実施形態において、この逆の場合がある。特定の他の実施形態では、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bは、共通のガス供給部によって供給されてよい。
【0170】
[000207] 図示されていないが、第1の複数のノズル120a及び第2の複数のノズル120bは、容器内壁104に沿って円周方向又は外周方向に一定距離延在してよい。特定の実施形態では、第1の複数のノズル120aが周縁に沿って第2の複数のノズル120bより遠くに延在してよいのに対し、他の実施形態では、第2の複数のノズル120bが周縁に沿って第1の複数のノズル120aより遠くに延在してよい。他の実施形態では、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bは、周縁に沿って同様の距離延在してよい、又は第1又は第2の複数のノズル120a及び120bの横の位置に応じて所与の周縁に沿って他方より多く又は少なく延在してよい。
【0171】
[000208] 特定の実施形態では、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bは、共通のガス供給システムによって供給されてよい。さらに他の実施形態では、第1及び第2の複数のノズル120a及び120bのノズルのそれぞれは、個別にガスが供給され、容器100内の流動形状の精密な制御を可能にするように制御されてよい。
【0172】
[000209] ここでもまた、
図10の容器内壁104は概ね円錐形状を有しているが、容器内壁104(又は容器内壁104の少なくとも一部分を画定するシャワーヘッド101)が有し得る、実施形態の範囲及び趣旨を逸脱しない様々な形状があることを理解されたい。例えば特定の実施形態は、楕円形、矩形、又は多角形の断面を有する容器内壁を有してよい。さらに、これら及び他の実施形態は、前述のタイプの断面を有する容器内壁形状に対応する異なるタイプの表面(例えば滑らかな表面、又は羽根によって画定された表面)の組み合わせを含んでよい。さらにまた容器内壁は、滑らかな表面、又は羽根によって画定された表面を有してよい、又は両方の組み合わせを有してよい。結果として、様々な容器内壁104の形状を、非対称排出部132の構成及び1つ以上のシャワーヘッド101を有する実施形態に従って実現することができる。
【0173】
[000210]
図11は、動作のために角度119で配向させたEUV容器100のある実施形態の簡略化された概略図である。放射源からのレーザ放射パルス105が、EUV放射115が生成される材料ターゲット領域123に入ることが示されている。図に示す仮想レーザ放射路105aは、レーザ放射パルス105が重力の方向に対してとり得る光路であることが示されている。非限定的な例として、特定の実施形態は、設計された構造に依存して、仮想レーザ放射路105aが約45°から約80°の間の角度119を有するように配向されたEUV容器100を有してよい。ただし、角度119は各用途の詳細に依存して0°と90°の間のいずれかに変化し得ることが理解されるであろう。
【0174】
[000211]
図11には、EUVコレクタ102に接続された容器内壁104も示されている。容器内壁104はEUVコレクタ102からIF領域157まで延在することが示されており、上部領域153が容器内壁104のEUVコレクタ102の近位にある部分を含むとともに、中間領域155が容器内壁のIF領域157と上部領域153との間に配置された部分を含む。容器外壁121が容器内壁104を取り囲むことが示されている。
【0175】
[000212]
図12Aは、ガスが異なる供給部から容器100に導入され、容器内壁104の周囲の周りに延在する対称排出部112により排出される複数の流路を示すEUV容器100のある実施形態の断面図である。示されている実施形態では、EUV容器100は、中心供給部106と、周辺供給部108と、DGL供給部110とを備えることが示されている。中心供給部106は、材料ターゲット領域(図示せず)の周りを対称排出部112に向かって進むことが示されている中心供給流路114をたどるガスを導入する。
【0176】
[000213]
図12Aには、周辺供給流路116をたどるガスをEUVコレクタ102の周縁に隣接して導入する周辺供給部108も示されている。周辺供給流路116は、対称排出部112に向かって進む前に概ね容器100の軸すなわち中心に向かって内側に進むことが示されている。いくつかの周辺供給流路116aが、容器100内でより遠回りの経路をとり、例えば容器内壁104との接触事例を増加させることが示されている。特に、周辺供給流路116aは、容器内壁104の天井領域104aに近い経路に沿って周辺供給部108に向かって戻ることが示されている。これによってSnデブリの容器内壁104との接触が増加する可能性がある。
【0177】
[000214]
図12Aに示されている第3のガス供給部は、IF領域157付近の領域から容器にガスを導入するDGL供給部110である。DGL供給部110により導入されたガスはDGL供給流路118をたどる。
図12Aに示すように、DGL供給流路118は、容器内壁104に沿って横方向に少し離れたループ流路を含む遠回りの経路をたどる可能性がある。結果として、DGL供給流路118は、Snデブリの容器内壁104への接触事例又は流れを増加させる可能性がある。例えば、
図12Aに示すガス供給部(例えば中心供給部106、周辺供給部108、及びDGL供給部110)は、レーザ生成プラズマにより生成された副産物の拡散バリア及びキャリア媒体の役割を果たし得るガスを導入するため、代表する各流路は常にSnデブリを含む可能性がある。結果として、EUVコレクタ102は、中心供給部106及び周辺供給部108がEUVコレクタ102から概ね離れる方向の流路114及び116をそれぞれ有するためにSnデブリからある程度保護されることが示されているが、容器内壁104の全ての領域で同じことが言えない可能性がある。
【0178】
[000215]
図12Bは、ガスが様々な供給部から容器に導入され、非対称排出部132により排出される複数の流路114、116、118、及び136を示すEUV容器100のある実施形態の断面図である。流路114、116、118、及び136は、プラズマガス相互作用(PGI)を考慮に入れた計算流体力学(CFD)シミュレーションに基づいている。この実施形態は、複数のノズル120を有するシャワーヘッド101を備えることが示されている。
図12Bに示すシミュレーションではシャワーヘッド101の複数のノズル120から発する流れが存在するが、明確にするために図では省略されている。
【0179】
[000216]
図12Bに示すように、EUV容器100は、中心供給部106、周辺供給部108、カーテン供給部122、及びDGL供給部110を備える。
図12Bには、容器内壁104のEUVコレクタ102より重力方向上方にある天井領域104aと概ね反対の場所で容器100に沿って配向された非対称排出部132も示されている。一般に、非対称排出部132は、様々な供給部を介して導入されたガスを、EUVコレクタ102と容器内壁104の天井領域104aの両方から離れる方向に排出することが示されている。
【0180】
[000217] 例えば、中心供給流路114及び周辺供給流路116のそれぞれは、近接してEUVコレクタ102から発し、その後非対称排出部132に入ることが示されている。
図12Aに示す実施形態と異なり、
図12Bに示す実施形態の非対称排出部132は、実質的に後方に循環したり、容器内壁104に沿ってループバックしたりしない流動形状を可能にする。結果として、周辺供給流路116は、ガスにより運ばれるSnデブリの容器内壁104との接触事例を減らすことができる。
【0181】
[000218]
図12Bには、ガスがDGL供給部110を介して容器100に導入されているDGL供給流路118も示されている。DGL供給流路118のそれぞれは、ループバックや後方循環する事例を少なくして容器100に出入りする。ここでもループバックや後方循環する事例が少なくなる結果として、DGL供給部110により導入されたガス及びこのガスが運び得る副産物の容器内壁104との接触事例が減少する。
【0182】
[000219]
図12Bに示す実施形態では、カーテン供給部122が容器100のIF領域157に近い場所で容器100にガスを導入することも示されている。カーテン供給部122を介して導入されたガスは、IF領域157から離れる横方向にカーテンフローとして容器100に入るカーテン供給流路136をたどることが示されている。カーテン供給部122を介して導入されたガスは、その後非対称排出部132を介して容器100を出ることも示されている。
図12Bに示す実施形態の他の流路とほぼ同様に、カーテン供給流路136のそれぞれは、容器内壁104との接触事例を少なくするように容器に出入りする。特定の実施形態では、カーテン供給部122は、容器内壁104と実質的に平行なガス流を導入するスリットノズル又はノズルアレイから構成されてよい。図示されていないが、ガスがシャワーヘッド101の複数のノズル120により導入されていることから生じる流路はまた、容器内壁104に向かって実質的にループバックや後方循環することなく容器に出入りする。
【0183】
[000220] いくつかの供給部の代表的な流路が示されているが、容器内壁104の天井領域104aから離れる方向に流れるだけでなくEUVコレクタ102から離れる方向に流れるガスの全体的な方向性及び流動形状を依然として保持しながら、いくつかの供給部が
図12Bに示す実施形態から除外されてよいことを理解されたい。例えばカーテン供給部122が
図12Bに示す実施形態から除外されたならば、残りの中心供給流路114、周辺供給流路116、及びDGL供給流路118は、非対称排出部132に向かい、EUVコレクタ102及び容器内壁104から離れる方向の同様の全体的形状を保持するであろう。ただし、非対称排出部132がシャワーヘッド101により提供されるような容器内壁104から発するガス流で実現される場合、ループバックや後方循環する流路の大幅な削減が達成可能となることが留意される。
【0184】
[000221] 個別の流路114、116、118、及び136のそれぞれは代表的なものであり、中心供給部106、周辺供給部108、DGL供給部110、又はカーテン供給部122のそれぞれに使用されるインレットの数を限定するものと解釈すべきでないことに留意されたい。例えば供給部のそれぞれは、ガスをそれらの各場所で導入するための任意の数のインレットを備えてよい。
【0185】
[000222]
図13は、1つのシミュレートされた実施形態による、容器内壁104に沿って横方向に分布し、ガス流140を容器100に導入する(例えばシャワーヘッドの)複数のノズル120を有するEUV容器100のCFDシミュレーションに基づいて計算されたSn濃度勾配の断面図である。シャワーヘッドノズル120のそれぞれは、容器内壁104から離れる方向にガス流140を導入することが示されている。結果として、容器内部空間100aの中にさらに延びる第2の領域144のSn濃度より約1桁小さいSn濃度を有する、容器内部空間100aの容器内壁104に直接隣接する第1の領域142が存在する。勾配目盛に示されていないが、第3の領域146などの容器内壁104からさらに離れた領域は、第1の領域142のSn濃度レベルより少なくとも1桁大きいSn濃度レベルを有することが分かっている。したがって、ガス流140を容器内壁104から離れる方向に導入するノズル140を有する特定の実施形態では、Snデブリからのあるレベルの保護を得ることができる。
【0186】
[000223]
図14は、1つのシミュレートされた実施形態による、カーテンフローとしてガスを容器100に導入するためのカーテンフローノズルアセンブリ200を有するEUV容器100の断面図である。EUV容器100は、容器内壁104の内(プラズマ対向)壁に隣接配置されたカーテンフローノズルアセンブリ200を有することが示されている。カーテンフローノズルアセンブリ200は、それぞれがガスを容器に導入するための第1のアウトレット202と、第2のアウトレット204と、第3のアウトレット206とを備えることが示されている。第1のアウトレット202は、この図では容器内壁104の周囲(例えばこの例では円周)に沿った反時計回りの方向にガスを導入することが示されている一方、第2のアウトレット204は、この図では同じ周囲に沿った時計回り方向にガスを導入することが示されている。第3のアウトレット206は、概ね容器内壁104から離れる方向にガスを導入することが示されている。
【0187】
[000224] カーテンフローノズルアセンブリ200の第1のアウトレット202により導入されたガスは、第1のアウトレット202から延びる第1のカーテンフロー212をもたらすことが示されている。第2のアウトレット204により導入されたガスは、第2のアウトレット204から延びる第2のカーテンフロー214をもたらすことが示されている。
図14に示す実施形態などの特定の実施形態では、非対称排出部132が容器100のカーテンフローノズルアセンブリ200を配置し得る領域と反対の容器100の領域に沿って配向されてよい。
【0188】
[000225]
図14に示す実施形態によれば、第1の領域208などの、容器内部空間100a内の容器内壁104に隣接する領域は、第2の領域210などの、容器内部空間100aの容器内壁104からさらに離れた領域のSn濃度勾配より何桁も小さいSn濃度勾配を示す。特定の実施形態によれば、第1及び第2のカーテンフロー212及び214は、容器内部空間100a内にSnデブリ汚染から容器内壁104を保護する流動形状を提供する。これらの実施形態では、第1及び第2のカーテンフロー212及び214は、これらが移動する各壁部に沿った拡散バリアの役割を果たす。容器内壁104の近くのSn濃度勾配が減少する結果として、Snデブリの容器内壁104との接触事例が減少する。
【0189】
[000226] 特定の実施形態では、容器内部空間100a内にカーテンフローノズルアセンブリ200自体から離れるガスの流動形状を提供するために、カーテンフローノズルアセンブリ200内に第3のアウトレット206も備えられる。結果として、カーテンフローノズルアセンブリ200はSnデブリ汚染から保護される。特定の他の実施形態では、第3のアウトレット206は、カーテンフローノズルアセンブリ200から除外されてよい。
【0190】
[000227] 一部の実施形態では、EUV容器100は、容器内壁104の少なくとも一部分に沿って横方向に配置された複数のカーテンフローノズルアセンブリ200を備えてよい。例えば特定の実施形態では、複数のカーテンフローノズルアセンブリ200は、容器内壁のEUVコレクタ(図示せず)より重力方向上方に位置する天井領域内に横方向に配置されてよい。これらの実施形態では、複数のカーテンフローノズルアセンブリは、EUVコレクタの近くの領域からIF領域までの線分(例えば容器が円錐形である場合は母線)に沿って配置されてよい。
【0191】
[000228] カーテンフローノズルアセンブリ200は、容器内部空間100a内に位置する(例えば容器内壁104を超えて突出する)ことが示されているが、他の実施形態は、第1、第2、及び第3のアウトレット202、204、及び206の開口部が容器内壁104とより同一な平面になるように構成されたカーテンフローノズルアセンブリ200を有してよい。また、示されている実施形態は非対称排出部132を備えているが、他の実施形態は、非対称排出部132を備えずに実現されるカーテンフローノズルアセンブリ200を有してよいことを理解されたい。さらに、示されている実施形態は容器内壁104として滑らかな表面を備えているが、特定の他の実施形態は、羽根、又は羽根により画定された表面を備えた容器内壁104を備えてよい。例えば羽根は、容器内壁104の内側を覆い、容器内部空間100aにより画定された容積に突き出る別構造であってよい。これらの実施形態では、カーテンフローノズルアセンブリ200は、羽根構造に組み込まれても、羽根構造から分離していてもよい。
【0192】
[000229]
図15Aは、1つのシミュレートされた実施形態による、容器内部空間内のSn濃度を示す、シャワーヘッド101及び非対称排出部132を有するEUV容器100の断面図である。シャワーヘッド101は、容器内壁104の一部分をその構造の一部として共有するように容器内壁104に組み込まれていることが示されている。シャワーヘッド101は、容器100の周囲の周りに延在する複数のノズル120を備えることが示されている。複数のノズル120のそれぞれは、容器内壁104から離れる方向のガス流140を導入することが示されている。
【0193】
[000230] 容器100はまた、中心供給部106と、周辺供給部108と、DGL供給部110と、カーテン供給部122とを備えることが示されている。容器内部空間の容器内壁104に隣接する領域のSn濃度は、容器内壁104からさらに離れ、容器内部空間100aの中心領域に向かう領域のSn濃度より低いことが示されている。例えば容器内壁104に隣接する第1の領域218は、容器内壁104からさらに離れた第2の領域216のSn濃度より数桁低いSn濃度を有することが示されている。
【0194】
[000231]
図15Bは、一実施形態による、そしてシミュレーションに基づいた容器内壁104へのデブリ堆積速度を示す、シャワーヘッド101及び非対称排出部132を有するEUV容器100の断面図である。示されている実施形態によれば、容器内壁104のシャワーヘッド101により保護される領域は、非対称排出部132が備える1つ以上の壁の堆積速度より数桁低い堆積速度を有することが示されている。例えば、EUVコレクタ102より重力方向上方にあり、Snデブリの堆積速度が最小であることが示されている容器内壁104の天井領域104aの領域220がある。これに対して、EUVコレクタ102より重力方向上方に位置せず、約200~1000nm/時間以上の堆積速度を有することが示されている(カラーバーは1000nm/時間で終了している)非対称排出部132の壁の領域222がある。
【0195】
[000232] 容器内壁104の周囲を取り囲むように配置されたノズル140を有するシャワーヘッド101を備えた実施形態が示されているが、容器内壁の全周を覆わないノズル120を有するシャワーヘッド101を実施形態の範囲及び趣旨を逸脱することなく実現可能な他の実施形態があることに留意されたい。例えば特定の実施形態は、容器内壁104の全周を覆わないノズル配置と、容器内壁104に沿って一定の横方向距離しか全周を覆わない可能性がある他のものとを備えてよい。さらにノズル120の1つの配置パターンが例示を目的として示されているが、容器内壁104を保護する様々なノズル120の配置が使用されてよいことを理解されたい。例えば、示されているよりも多い又は少ないノズル120が使用されてよい。さらに、ノズル120を配置するパターンは、様々な実施形態のニーズを満たすために、間隔、均一性、ノズル直径などの点で変更可能である。
【0196】
[000233]
図16Aは、ある実施形態による、容器内部空間内のSn濃度を示すカーテンフロー供給部201及び非対称排出部132を有するEUV容器100の断面図である。容器100は容器内壁104に沿って横方向に配置された複数のカーテンフローノズルアセンブリ200を備えることが示されている。各カーテンフローノズルアセンブリ200は、第1のガスアウトレット202と、第2のガスアウトレット204と、第3のガスアウトレット206とを備えることが示されている。第1のガスアウトレット202は容器内壁104の周囲に沿って移動するカーテンフローであることが示されている。第2のガスアウトレット204も容器内壁104の周囲に沿って第1のガスアウトレット202と反対方向に移動するカーテンフローであることが示されている。カーテンフローノズルアセンブリ200はまた、容器内壁104から離れる方向に容器100にガスを導入する第3のガスアウトレット206を備えることが示されている。また、容器100は中心供給部106と、周辺供給部108と、DGL供給部110と、カーテン供給部122とを備えることが示されている。
【0197】
[000234] カーテンフロー供給部201があることにより、容器内部空間100aの容器内壁104に隣接する領域におけるSn濃度は、容器内壁104からさらに離れ、容器内部空間100aの中心領域に向かう領域のSn濃度より低いことが示されている。例えば容器内壁104に隣接する第1の領域224は、容器内壁104からさらに離れた第2の領域226のSn濃度より数桁低いSn濃度を有することが示されている。
【0198】
[000235]
図16Bは、一実施形態による、そしてシミュレーションに基づいた容器内壁104へのSn堆積速度を示す、カーテンフロー供給部及び非対称排出部132を有するEUV容器100の断面図である。示されている実施形態によれば、容器内壁104のカーテンフロー供給部201により保護される領域は、非対称排出部132が備える1つ以上の壁の堆積速度より数桁低い堆積速度を有することが示されている。例えば、EUVコレクタ102より重力方向上方にあり、Snデブリの堆積速度が最小であることが示されている容器内壁104の天井領域104aの領域228がある。これに対して、EUVコレクタ102より重力方向上方に位置せず、領域228のSn堆積速度より数桁高いSn堆積速度を有することが示されている非対称排出部132の壁の領域230がある。
【0199】
[000236] 円錐形のシャワーヘッドを備えたEUV容器の特定の実施形態を説明してきたが、これらの実施形態の範囲及び趣旨に含まれるシャワーヘッドをEUV容器とともに実装する多くの方法があることを理解されたい。例えば特定の実施形態は、別体若しくはマニホールド又は複数のガスラインを有し、複数のノズルのそれぞれを供給するシャワーヘッドを有してよい。シャワーヘッドを供給する別体若しくはマニホールド又は複数のガスラインは、容器内壁の後方(例えば容器内壁の非プラズマ対向面)に配置されてよい。特定の他の実施形態では、シャワーヘッドの別体又はマニホールドは、シャワーヘッドの別体又はマニホールドそれ自体が容器内壁のプラズマ及びSnデブリに露出される少なくとも一部分を画定し得るようにプラズマ対向面に配置されてよい。さらに他の実施形態では、別体又はマニホールドは、容器内壁がシャワーヘッドの一部分を構成するような容器内壁を備えたものでよい。これら及び他の実施形態では、容器内壁は、シャワーヘッドを供給する別体若しくはマニホールド又は複数のガスラインを含む埋め込まれた経路又はチャネルを備えてよい。さらに、これらの実施形態では、シャワーヘッドは容器内壁に組み込まれてよい。特定の他の実施形態では、シャワーヘッドは、分布された本体又はマニホールドを有しても、本体又はマニホールドを有さなくてもよい。先に述べたように、例えばシャワーヘッドの複数のノズルは、ノズルのそれぞれと接合するガスラインによって供給されてよい。このように、シャワーヘッドは単にシャワーヘッドと同様に構成された複数のノズルと定義されてよい。
【0200】
[000237] 概ね円錐形を有する一実施形態では、EUV源が、上部円錐領域と、焦点円錐領域と、上部円錐領域及び焦点円錐領域の間に配設された中間円錐領域とを有する容器を備え、上部円錐領域と焦点円錐領域は容器の両端に配設される。この実施形態は、反射面を有し、容器の内側に配設されたEUVコレクタを備え、反射面は方向的に容器の焦点円錐領域を向くように構成される。この実施形態はまた、容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設された円錐形のシャワーヘッドを備える。円錐形のシャワーヘッドは、容器にガスを導入する複数のノズルを備える。この実施形態には、容器に導入されたガスをEUVコレクタから離れる方向に流すように、容器に導入されたガスを除去するために焦点円錐領域の近くに配向された複数の排出部も含まれる。
【0201】
[000238] 概ね円錐形を有する別の実施形態では、EUV源が、上部円錐領域と、焦点円錐領域と、上部円錐領域及び焦点円錐領域の間に配設された中間円錐領域とを有する容器を備え、上部円錐領域と焦点円錐領域は容器の両端に配設される。この実施形態は、反射面を有し、容器の内側に配設されたEUVコレクタを備え、反射面は方向的に容器の焦点円錐領域を向くように構成される。この実施形態は、容器にガスを導入するための複数のインレットを有し、EUVコレクタの反射面の近くに配設された第1のガス源を備える。この実施形態はまた、容器内壁の少なくとも一部分に沿って配設され、容器にガスを導入するための複数のノズルを有する円錐形のシャワーヘッドを備える。この実施形態は、容器からガスを排出するための、上部円錐領域と焦点円錐領域の間の非対称位置に配向された排出部も備える。特定の実施形態では、非対称排出部は、例えば重力の方向に向かって下方傾斜角度で配向されてよい。これら及び他の実施形態では、非対称排出部は、容器内壁のEUVコレクタより重力方向上方にある天井エリアに近い領域と対向するように配向されてよい。
【0202】
[000239] 概ね円錐形を有する別の実施形態では、EUV源が、上部円錐領域と、焦点円錐領域と、上部円錐領域及び焦点円錐領域の間に配設された中間円錐領域とを有する容器を備え、上部円錐領域と焦点円錐領域は容器の両端に配設される。この実施形態は、反射面を有し、容器の内側に配設されたEUVコレクタを備え、反射面は方向的に容器の焦点円錐領域を向くように構成される。この実施形態は、容器にガスを導入するための複数のインレットを有し、EUVコレクタの反射面の近くに配設された第1のガス源を備える。この実施形態には、容器内壁の一部分に少なくとも部分的に沿って横方向に配設され、複数のノズルアセンブリを有する第2のガス源も含まれる。この実施形態によれば、ノズルアセンブリのそれぞれは、容器にガスを導入するための第1のアウトレットと第2のアウトレットとを備え、第1のアウトレットは、第2のアウトレットがガスを導入するように構成された第2の方向から離れる第1の方向にガスを導入するように構成される。
【0203】
[000240]
図17は、EUV源SOの形で提供され得る放射源の別の実施形態を示している。EUV源SOは、EUV容器100の形で提供され得るチャンバを備える。EUV容器100は、内壁104と材料ターゲット領域111とを備える。EUV源SOは、EUV容器100内に配置された、EUVコレクタ102の形で提供され得る放射コレクタを備える。EUVコレクタ102は、放射、例えば材料ターゲット領域111から放出されたEUV放射115を収集し、収集したEUV放射115を中間焦点(IF)領域157に方向付けるように構成される。EUVコレクタの焦点157a(中間焦点157aと呼ぶ場合もある)は、本明細書で説明したように中間焦点領域157に又はその近くに位置する。EUV源SO、例えばEUV容器100は、デブリ軽減システムを備える。デブリ軽減システムは、以上で説明したように、中心供給部106、周辺供給部108、及び/又はDGL供給部110を備えてよい、又はこれらの形で提供されてよい。デブリ軽減システム、例えばDGL供給部は、第1のガス流を中間焦点領域157から材料ターゲット領域111に方向付けるように構成される。第1のガス流は、DGL供給部110により供給されたガスであってよい、又はこれを含んでよい。「第1のガス流」及び「DGL供給部により供給されたガス」という用語は同じ意味で使用されてよいことが理解されるであろう。
【0204】
[000241] デブリ軽減システムは、第2のガス流を容器内壁104の一部分からEUV容器100内に方向付けるように構成される。例えばデブリ軽減システムは、第2のガス流又はガスをEUV容器100に導入するための複数のノズル120を備えたシャワーヘッド101を備える。第2のガス流は、シャワーヘッド101により供給されたガスであってよい、又はこれを含んでよい。「第2のガス流」及び「シャワーヘッドにより供給されたガス」という用語は同じ意味で使用されてよいことが理解されるであろう。
【0205】
[000242]
図17に示す例では、シャワーヘッド101は、以上で説明したように、第1のシャワーヘッド101a及び第2のシャワーヘッド101bの形で提供される。第1のシャワーヘッド101aは第1の複数のノズル120aを備え、第2のシャワーヘッド101bは第2の複数のノズル120bを備える。第1及び第2の複数のノズル120a、120bは、シャワーヘッド101、例えば第1及び第2のシャワーヘッド101a、101bにより供給されたガスをEUV容器100内に方向付けるために設けられてよい。他の実施形態では、以上で説明したように、第2のガス流はカーテンフロー供給部によって供給されてよいことが理解されるであろう。
【0206】
[000243] EUV容器100は、流れスプリッタ150の形で提供され得る誘導デバイスを備える。流れスプリッタ150は、DGL供給部110により供給されたガスが流れスプリッタ150の周囲に方向付けられるようにEUV容器100内に配置される。EUV容器100は、デブリ軽減システムにより供給されたガスをEUV容器から除去するための排出部132を備える。排出部132は、ガスにより運ばれたデブリをEUV容器100から除去するように構成されてよい。排出部132は、以上で説明したように、例えば方位角的に非対称な位置でEUV容器100の内壁104の一部分から延在するように配置される。
図17に示すEUV容器100は、
図10、
図12B、
図15A及び
図15Bに示したものと同様であり、
図10、
図12B、
図15A及び
図15Bとの関連で以上で説明した特徴のいずれかを含んでよい。
【0207】
[000244]
図18Aは、DGL供給部110、シャワーヘッド101、中心供給部106及び/又は周辺供給部108により供給されたガスのシミュレートされた流路を示す。以上で説明したように、中心供給部106は、中心供給流路114をたどるガスを導入する。周辺供給部108は、周辺供給流路116(
図18Aでは中心供給流路114と共に示されている)をたどるガスを導入する。DGL供給部110により導入されたガスはDGL供給流路118をたどる。シャワーヘッドノズル120のそれぞれ(例えば第1及び第2の複数のノズル120a、120bのそれぞれ)は、
図18Aに示すように、流路140をたどるガスを導入する。
【0208】
[000245] デブリ軽減システムは、第3のガス流又はガスをEUV容器内の流れスプリッタ150(又は中間焦点領域157)の位置又はこれに近い位置から材料ターゲット領域111に方向付けるように構成されてよい。デブリ軽減システムは、第3のガス流を内壁104上のある位置から材料ターゲット領域111に方向付けるように構成されてよい。デブリ軽減システムは、以上で説明したように、カーテン供給部122を備えてよい。カーテン供給部122を介して導入されたガスはカーテン供給流路136をたどる。「第3のガス流」及び「カーテン供給部により供給されたガス」という用語は同じ意味で使用されてよいことが理解されるであろう。
【0209】
[000246] 中心供給部106及び/又は周辺供給部108により供給されたガスは、第4のガス流であってよい、又はこれに含まれてよい。「第4のガス流」及び「中心供給部106及び/又は周辺供給部108により供給されたガス」という用語は同じ意味で使用されてよいことが理解されるであろう。デブリ軽減システム、例えば中心供給部106、周辺供給部108は、第4のガス流をEUVコレクタ102から材料ターゲット領域111に方向付けるように構成されてよい。流れスプリッタ150は、DGL供給部110により供給されたガスと、中心供給部106及び/又は周辺供給部108により供給されたガスとの相互作用を抑制する又は妨げるように構成されてよい。流れスプリッタ150は、DGL供給部110により供給されたガスの、例えばEUVコレクタ102に向かうジェットの形成を妨げるように構成されてよい。
【0210】
[000247] DGL供給部110により供給されるガスの流量は、デブリが中間焦点領域157に入るのを防ぐように選択されてよい。DGL供給部110により供給されるガスの流量は、DGL供給部110により供給されるガス、DGL供給部110により供給されるガスの密度又は圧力、デブリ、例えば微粒子デブリのサイズ、又はデブリの速度及び/又は放射源SOのEUV容器内におけるデブリの拡散方向に応じて選択されてよい。付加的又は代替的に、DGL供給部110により供給されるガスの流量は、DGL供給部の構成又は形状に応じて選択されてよい。例えば、DGL供給部110により供給されるガスの流量は、DGL供給部110の開口部の数、DGL供給部110の各開口部の断面幅(例えば直径)、及び/又は中間焦点領域157の断面幅(例えば直径)、外周又は寸法に応じて選択されてよい。例えば、DGL供給部110により供給されるガスの最高速度は、約1000~3000m/秒の範囲内であってよい。
【0211】
[000248] DGL供給部110により供給されるガスは、約5~30slmの範囲内の流量を有してよい。デブリには、以上で説明したように、例えばSnクラスタ、Sn微粒子、Snナノ粒子、及び/又はSn堆積物などの微粒子デブリ、例えばSn蒸気、SnHx蒸気、Sn原子、Snイオンなどの分子及び/又は原子デブリが含まれてよい。EUV容器100で生成された分子及び/又は原子デブリが中間焦点領域157に入るのを妨げるには約7slmの流量で足り得る。微粒子デブリが中間焦点領域157に到達するのを抑制するために、DGL供給部110により供給されるガスの流量を7slmより大きくすることが必要となる可能性がある。例えば微粒子デブリが中間焦点領域157に到達するのを抑制するために、DGL供給部110により供給されるガスの流量を15slmより大きくすることが必要となる可能性がある。例えば20slmなど、15slmより大きい流量において、シャワーヘッド101及び/又はカーテン供給部122により供給されたガスの間の相互作用が観察される可能性がある。この相互作用によって、EUV容器100内のデブリが、一部のガスを使用して排出部132によりEUV容器100から除去される前に分散する可能性がある、及び/又はEUV容器100の内壁104の汚染が生じる可能性がある。
【0212】
[000249] 流れスプリッタ150は、DGL供給部110により供給されたガスとシャワーヘッド101により供給されたガスの相互作用、及び/又はDGL供給部110により供給されたガスとカーテン供給部122により供給されたガスの相互作用を抑制するように構成される。DGL供給部110により供給されたガスとシャワーヘッド101により供給されたガスの相互作用、及び/又はDGL供給部110により供給されたガスとカーテン供給部122により供給されたガスの相互作用を抑制することによって、デブリが排出部132によりEUV容器から除去される前に分散することを抑制することができる。これはさらに、EUV容器、例えばEUV容器の内壁の汚染を軽減することができる。デブリ軽減システム、例えばシャワーヘッド101及び/又はカーテン供給部122は、シャワーヘッド101及び/又はカーテン供給部122により供給されたガスがデブリを排出部132に方向付けるように構成又は配置されてよい。
【0213】
[000250]
図18Bは、EUV容器100内のシミュレートされたデブリ濃度を示している。流れスプリッタ150、シャワーヘッド101及び/又はカーテン供給部122を設けることによって、EUV容器100、例えばEUV容器の内壁104の汚染を軽減しながら、デブリを排出部132に方向付けできることが
図18Bから分かる。
【0214】
[000251]
図17を参照すると、流れスプリッタ150は、DGL供給部110により供給されたガスが流れスプリッタ150の周囲に対称的に方向付けられるように配置される。流れスプリッタ150は、DGL供給部110により供給されたガスを拡散又は分散させる、例えば対称的に拡散又は分散させるように構成されてよい。流れスプリッタ150をEUV容器100内に配置することによって、例えば、DGL供給部110により供給されたガスと、シャワーヘッド101、カーテン供給部122、中心供給部106及び/又は周辺供給部108により供給されたガスのEUV容器100内の相互作用に起因する、DGL供給部110により供給されたガスの少なくとも一部の再循環を抑制することができる。これによって放射源SOの内壁104に堆積するデブリを低減することができる。付加的又は代替的に、DGL供給部110により供給されたガスが流れスプリッタ150の周囲に方向付けられるように流れスプリッタ150をEUV容器100内に配置することによって、流れスプリッタ150の、例えばデブリによる汚染を軽減する又は防ぐことができる。
【0215】
[000252] 流れスプリッタ150は、放射源SO内の第1の場所におけるDGL供給部110により供給されたガスの最高速度を維持するために、放射源SOのEUV容器100内に配置されてよい。第1の場所において、DGL供給部110により供給されたガスの速度は、例えば放射源SOのEUV容器100内に流れスプリッタが配置されない場合のDGL供給部110により供給されたガスの最高速度に一致する(又は実質的に一致する)可能性がある。流れスプリッタ150は、DGL供給部110により供給されたガスを拡散又は分散させ、DGL供給部110により供給されたガスの少なくとも一部の、例えば中間焦点157aに向かう方向への再循環を防ぐ又は抑制するために、放射源SOのEUV容器100内に配置されてよい。流れスプリッタ150は、中間焦点157aから離間している又は離れている可能性がある第2の場所において、DGL供給部110により供給されたガスを拡散又は分散させるために、放射源SO内に配置されてよい。流れスプリッタ150は、DGL供給部110により供給されたガスの最高速度が第2の場所で減少する、及び/又は中間焦点157aから離れる方向に方向付けられ得る、DGL供給部110により供給されたガスの最低速度が上昇するように、放射源SOのEUV容器100内に配置されてよい。
【0216】
[000253]
図17を参照すると、流れスプリッタ150は、EUV容器100の一部分に延在するようにEUV容器100内に配置される。例えば流れスプリッタ150は、EUVコレクタ102の光軸OAに少なくとも部分的に沿って延在するように配置されてよい。換言すれば、流れスプリッタ150は、(
図19Aに示す)流れスプリッタ150の中心軸すなわち縦軸AがEUVコレクタ102の光軸OAの少なくとも一部と一致するようにEUV容器100内に配置されてよい。EUV容器100は、中間焦点領域157からEUVコレクタ102に向かって又はその近くに延びる円錐形状を有してよい。EUV容器100の円錐形状は、流れスプリッタ150のEUV容器100内での対称配置を可能にする可能性がある。本明細書で説明される例示的なEUV容器は円錐部を含むものに限定されないことが理解されるであろう。例えばEUV容器又はその一部分は、例えばEUV放射115を遮ることなくEUV容器の容積を減少させる任意の適切な形状を有してよい。
【0217】
[000254] 流れスプリッタ150は、中間焦点領域157に又はその近くに配置される。例えば流れスプリッタ150を中間焦点領域157に又はその近くに配置して、流れスプリッタ150がDGL供給部110により供給されたガスに作用できるようにする。
【0218】
[000255] 流れスプリッタ150は、中間焦点157aから距離を置いて配置されてよい。流れスプリッタ150の中間焦点157aからの距離は、5~15cmの範囲内にあってよい。ただし、流れスプリッタ150の放射源SO内の配置はこのような距離に限定されず、他の距離の値が選択されてよいことを理解されたい。例えば距離は、中間焦点領域で又はその近くで利用可能な空間、及び/又は、例えば中間焦点領域における放射に起因して流れスプリッタ150に作用し得る熱負荷に応じて選択されてよい。換言すれば、距離は、例えば流れスプリッタ150の溶融など、流れスプリッタ150に対する何らかの熱的効果を最小限に抑える又は阻止するように選択されてよい。
【0219】
[000256] 流れスプリッタ150は、この例ではEUVコレクタ102の光軸OAの少なくとも一部に一致する、EUV容器100の中心軸すなわち縦軸に少なくとも部分的に沿って延在するように配置されてよい。この配置によって、流れスプリッタ150がDGL供給部110により供給されたガスを流れスプリッタ150の周囲に対称的に方向付けることが可能になり、例えばDGL供給部110により供給されたガスとシャワーヘッド101により供給されたガスの相互作用、及び/又はDGL供給部110により供給されたガスとカーテン供給部122により供給されたガスの相互作用を抑制する又は妨げることができる。また、この配置によって、流れスプリッタ150がDGL供給部110により供給されたガスを流れスプリッタ150の周囲に対称的に方向付けることが可能になり、例えばDGL供給部110により供給されたガスと中心供給部106及び/又は周辺供給部108により供給されたガスの相互作用を抑制する又は妨げることができる、及び/又はDGL供給部110により供給されたガスの、例えばEUVコレクタ102に向かうジェットの形成を妨げることができる。
【0220】
[000257]
図19Aに示す例示的な流れスプリッタ150は、第1の端部150aから第2の端部150bに向かってテーパ状になるように構成される。流れスプリッタ150の第1の端部150aは拡大部を含む又は画定してよい。流れスプリッタ150は、流れスプリッタ150の第1の端部150a、例えば拡大部が中間焦点領域157から遠位に位置するようにEUV容器100内に配置されてよい。流れスプリッタ150の第2の端部150bは尖頭部150aを画定する又は含んでよい。流れスプリッタ150は、流れスプリッタの第2の端部150b、例えば尖頭部が中間焦点領域157に又はその近位に位置するようにEUV容器100内に配置されてよい。
図19Aに示す例示的な流れスプリッタ150は円錐形状を有する。
【0221】
[000258]
図19Bは、流れスプリッタ150の別の例示的な構成を示している。
図19Bに示す流れスプリッタ150は、
図19Aに示したものと同様である。流れスプリッタ150の第1の端部150aは拡大部を画定する又は含む。流れスプリッタ150の第2の端部150bは丸み部を含む又は画定する。
図19Bに示す例示的な流れスプリッタは、略円錐台形状を有すると見なされてよい。本明細書に開示されている流れスプリッタは円錐又は円錐台形状に限定されないことを理解されたい。他の例では、流れスプリッタは1つ以上の平坦部を有する円錐又は円錐台形状を有してよい。代替的に、流れスプリッタは渦巻き又はらせん形状を有してよい。
【0222】
[000259]
図19A及び19Bを参照すると、例えば流れスプリッタ150の縦軸すなわち中心軸Aに沿った流れスプリッタ150の長さすなわち寸法は、EUV容器100の寸法、容積及び/又は形状に応じて選択されてよい。流れスプリッタ150の長さすなわち寸法は、以上で説明したように、例えば流れスプリッタ150がEUV容器100内に配置されている場合に、流れスプリッタ150がDGL供給部110により供給されたガスと相互作用する、及び/又は流れスプリッタが流れスプリッタ150の周囲にDGL供給部110により供給されたガスを方向付けるように選択されてよい。流れスプリッタ150の縦軸すなわち中心軸Aに沿った流れスプリッタ150の例示的な長さすなわち寸法は、約3~30cm、例えば10~20cmを含んでよい。ただし、本明細書に開示されている例示的な流れスプリッタはこのような長さすなわち寸法に限定さないことを理解されたい。
【0223】
[000260] EUV源SOは、流れスプリッタ150の一部であるか又はこれに含まれてよい加熱要素152を備えてよい。加熱要素152は、流れスプリッタ150の温度を上昇させる、例えば流れスプリッタ150の周囲に方向付けられるDGL供給部110により供給されるガスの量を増加させるように構成されてよい。
【0224】
[000261] 加熱要素152は、流れスプリッタ150の温度を、増加したDGL供給部110により供給されたガスの量を流れスプリッタ150の周囲に方向付ける第1の温度以上に上昇させるように構成されてよい。例えば、流れスプリッタ150の温度が第1の温度以上に上昇する結果、例えばDGL供給部110により供給されたガスの少なくとも一部分が流れスプリッタ150に接触するとき、DGL供給部110により供給されたガスの原子の少なくとも一部の速度が上昇する可能性がある。流れスプリッタ150の温度が第1の温度以上に上昇することによって、流れスプリッタ150と接触するDGL供給部110により供給されたガスの一部分に熱が伝導する可能性がある。DGL供給部により供給されたガスの一部分に熱が伝導することによって、一部分のガスが膨張する、及び/又は一部分のガスの粘度が上昇する可能性がある。換言すれば、流れスプリッタ150と接触するDGL供給部110により供給されたガスの一部分のガスは上昇した粘度を有する可能性がある。上昇した粘度を有するDGL供給部110により供給されたガスの一部分のガスは、流れスプリッタ150に入射するDGL供給部110により供給されたガスの別の部分に作用することができる、及び/又はDGL供給部110により供給されたガスの別の部分を流れスプリッタ150の周囲に方向付けることができる。換言すれば、DGL供給部110により供給されたガスの一部分のガスの粘度が上昇することによって、流れスプリッタ150の有効寸法は、流れスプリッタ150の実寸法に対して大きくなると見なすことができる。
【0225】
[000262] 第1の温度は、プラズマ107を生成するのに使用される燃料の溶融温度以上であってよい。換言すれば、第1の温度はプラズマ107を生成するのに使用される燃料に応じて選択されてよい。例えばスズが燃料に使用されている場合、加熱要素152は、流れスプリッタ150の温度を(スズの溶融温度にほぼ一致する)約230℃以上の温度に上昇させるように構成されてよい。200℃未満の温度では、流れスプリッタ150に堆積する燃料、例えばスズは固体である可能性がある。固体燃料は、中間焦点157aに方向付けられたEUV放射115の少なくとも一部分を回折又は遮断する可能性がある。
【0226】
[000263] 加熱要素152は、流れスプリッタ150の温度を第2の温度未満に維持するように構成されてよい。第2の温度以上では、流れスプリッタ上に存在し得るデブリの拡散が生じる又は高まる。例えば第2の温度以上では、流れスプリッタ150上に存在し得るデブリの拡散が高まる可能性がある。例えば水素雰囲気中のスズ蒸気の拡散係数は、温度上昇ともに上昇する可能性がある。流れスプリッタ150の温度を第2の温度未満に維持することによって、EUV容器100内のデブリの拡散を抑制することができる。流れスプリッタ150上のデブリの量は、例えば流れスプリッタ150をEUV容器100内に配置してDGL供給部110により供給されたガスを流れスプリッタ150の周囲に方向付けるために小さいと考えられ得る。
【0227】
[000264] 加熱要素152は、流れスプリッタ150内に埋め込まれてよい。他の実施形態では、加熱要素が別体に設けられてよいことが理解されるであろう。そのような実施形態では、加熱要素は流れスプリッタの温度を上昇させるように配置されてよい。加熱要素152は、抵抗加熱要素の形で設けられてよい。他の実施形態では、流れスプリッタは誘導加熱されてよいこと、及び/又は加熱要素は、例えばコイルなどの電磁要素の形で設けられてよいことが理解されるであろう。電磁要素に電流を生成するために電子振動子、例えば高周波発生器が設けられてよく、結果として電磁要素に熱が発生する可能性がある。
【0228】
[000265]
図17及び
図19Cを参照すると、一部の実施形態では、流れスプリッタ150は冷却剤によって冷却するように構成されてよい。例えば流れスプリッタ150は、例えば中間焦点領域157でのEUV放射に起因する、流れスプリッタ150に作用し得る熱負荷を低減するために冷却されてよい。流れスプリッタ150は、流れスプリッタ150の温度を、プラズマ107を生成するのに使用される燃料の溶融温度未満に維持するために冷却されてよい。これによって、流れスプリッタ150上に存在し得る液体燃料の放射源SOの内壁104又は任意の他のコンポーネントへの分散/拡散を妨げることができる。以上で説明したように、流れスプリッタ150上に存在し得るデブリの量は、例えば流れスプリッタ150をEUV容器100内に配置してDGL供給部110により供給されたガスを流れスプリッタ150の周囲に方向付けるため小さいと考えられる。
【0229】
[000266] 冷却剤は冷却剤源154によって供給されてよい。例えば流れスプリッタ150は、冷却剤源154から冷却剤を受け取るための、及び/又は流れスプリッタ150に冷却剤を流すためのチャネル156を備えてよい。流れスプリッタ150は、冷却剤源154に接続するように構成されてよい。冷却剤源154は、流れスプリッタ150に冷却剤を供給するように構成されてよい。例えば冷却剤源154は、流れスプリッタ150に冷却剤を供給して、以上で説明したように、流れスプリッタ150の温度を、例えばプラズマ107を生成するのに使用される燃料の溶融温度及び/又は第2の温度未満に低下させるように構成されてよい。冷却剤は、冷却剤流体、例えば冷却剤液体や冷却剤/冷却ガスなどの形で提供されてよい。流れスプリッタは加熱要素152を備えることの代わりに、又はこれに加えて冷却剤により冷却されるように構成されてよいことが理解されるであろう。
【0230】
[000267]
図20は、EUV源SOの別の実施形態を概略的に示している。
図20に示すEUV源SOは、
図17に示したものと同様である。
図20に示す放射源SOの例示的な流れスプリッタ150は、ノズル又はスリットの形で設けられ得る複数の別の開口部158を備える。複数の別の開口部158(又は複数の別の開口部158の各別の開口部)は、第5のガス流160をEUVコレクタ102に方向付けるように構成されてよい。第5のガス流は、約1~50slmの範囲内の流量を有してよい。複数の別の開口部158は、複数の別の開口部158からの第5のガス流160が、DGL供給部110により供給されたガスと相互作用するように流れスプリッタ150に配置されてよい。DGL供給部110により供給されたガスと第5のガス流160との相互作用は、DGL供給部110により供給されたガスを、EUV容器100の内壁104の近くに方向付ける又は押し込むことができる。第5のガス流160をEUVコレクタ102に方向付けるために複数の別の開口部158を設けることによって、DGL供給部110により供給されたガスの分散を高めることができる。DGL供給部110により供給されたガスの分散が高まる結果、DGL供給部110により供給されたガスとシャワーヘッド101により供給されたガスの相互作用、及び/又はDGL供給部110により供給されたガスとカーテン供給部122により供給されたガスの相互作用が低下する又は抑制される可能性がある。
【0231】
[000268] 複数の別の開口部158は、円周方向に、周状に及び/又は軸方向に流れスプリッタ150に配置されてよい。換言すれば、複数の別の開口部158は、流れスプリッタ150の周囲に及び/又は流れスプリッタ150の中心軸すなわち縦軸Aの方向に延在するように配置されてよい。複数の別の開口部158は、例えばDGL供給部110により供給されたガス及び/又は第5のガス流160が流れスプリッタ150の周囲を対称的に流れるように、流れスプリッタ150に対称的に配置されてよい。
【0232】
[000269] DGL供給部110は、第5のガス流160を流れスプリッタ150に供給するように構成されてよい。例えば流れスプリッタ150は、例えば第5のガス流160の流れスプリッタ150への供給を可能にするために、DGL供給部110に接続する又は接続可能にすることができる。別の例において、デブリ軽減システムが、ガス流を流れスプリッタに供給するように構成され得る別のガス供給システムを備えてよいことが理解されるであろう。流れスプリッタは、例えばガス流の流れスプリッタへの供給を可能にするために、別のガス供給システムに接続する又は接続可能にすることができる。
図20に示す流れスプリッタ150は複数の別の開口部158を備えているが、他の実施形態では、流れスプリッタは第5のガス流をEUVコレクタに方向付けるように構成され得る1つの別の開口部を備えてよいことが理解されるであろう。
【0233】
[000270]
図21は、EUV源SOの別の実施形態を概略的に示している。
図21に示すEUV源SOは、
図17に示したものと同様である。
図21に示す例示的なEUV源SOは、バーすなわちオブスキュレーションバー162の一部であり得る又はこれによって提供され得るデブリ受取面162aを備える。バー162は、デブリが中間焦点領域157に到達するのを抑制する又は妨げるようにEUV容器100内に配置されてよい。バー162は、EUVコレクタ102の光軸OAと交差する又はこれを横切って延びるように配置されてよい。この配置では、バー162は、弾道微粒子デブリを含み得るデブリの、及び/又はレーザ放射105の一部分、例えばレーザ放射105の材料ターゲット領域111を通過する部分の直接通視線を遮ると考えることができる。換言すれば、バー162は、レーザ放射105の一部分をEUV源SOの中間焦点領域157から離れる方向に反射するように構成されてよい。
【0234】
[000271]
図21に示す例示的なEUV源では、流れスプリッタ150は、バー162と中間焦点領域157との間に配置される。この配置では、バー162は、流れスプリッタ150の少なくとも一部分又は全てにわたって延びる又はこれと重なるように配置される。例えばバー162は、プラズマ107により生成されたデブリがバー162のデブリ受取面162aに入射するように、流れスプリッタ150の第1の端部150bの拡大部にわたって延びる又はこれと重なるように配置されてよい。換言すれば、流れスプリッタ150はバー162の陰に配置されてよい。
【0235】
[000272]
図21に示す例示的なEUV源SOでは、デブリ受取面162aはバー162の一部であるものとして説明されたが、例えば
図17及び
図20に関連して説明したようなEUV源の他の実施形態では、デブリ受取面162aは流れスプリッタ150によって提供されてよい又は流れスプリッタ150の一部であってよいことが理解されるであろう。このような例では、流れスプリッタ150は、以上で説明されたバー162の特徴のいずれかを含んでよい。さらに、流れスプリッタ150は、プラズマ107により生成された熱若しくは熱負荷又は中間焦点領域157におけるEUV放射115の熱若しくは熱負荷に流れスプリッタ150が耐えられるように構成されてよい。流れスプリッタ150は、材料ターゲット領域111を通過するレーザ放射105の一部分を中間焦点領域157から離れる方向に反射するように構成されてよい。例えばデブリ受取面162aが流れスプリッタ150により提供される場合、例えば流れスプリッタ150の中心軸すなわち縦軸Aと垂直な及び/又は平行な方向の流れスプリッタ150の長さすなわち寸法は、例えばバー162と組み合わせて使用される流れスプリッタ150の中心軸すなわち縦軸Aと垂直な及び/又は平行な方向の長さすなわち寸法に対して大きくなる可能性がある。
【0236】
[000273] 第1、第2、第3、第4及び/又は第5のガス流は水素ガスを含んでよい。他の実施形態では、別のガス又はガスの混合物が使用されてよいことが理解されるであろう。例えば他の実施形態では、第1、第2、第3、第4及び/又は第5のガス流はアルゴンガス又はヘリウムガスを含んでよい。
【0237】
[000274] 流れスプリッタ150の材料は、腐食に耐性を示す、例えばEUV源SO内の環境、例えばEUV源SO内の水素環境における燃料による腐食に対する耐性を示すように選択されてよい。流れスプリッタ150の材料は、以上で説明したように、例えば放射源SOにおけるEUV放射115、プラズマ107、及び/又は第1の温度以上への流れスプリッタ150の温度の上昇に起因して流れスプリッタに作用する熱負荷に耐性を示すように選択されてよい。例示的な流れスプリッタ150は、金属若しくは金属合金を含んでよい。例えば流れスプリッタの材料は、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス鋼、銅又はこれらの合金であってよい又はこれらを含んでよい。流れスプリッタ150は、金属表面又は金属合金表面を備えてよい。流れスプリッタの金属表面又は金属合金表面によって、放射源SO内に存在し得る水素ラジカルの再結合の改善がもたらされる可能性がある。例えば水素(H2)分子は、熱吸収及び/又は放射吸収、又はイオン衝突によって水素ラジカルに分裂する可能性がある。水素ラジカルは、放射源の内壁104から、デブリ、例えばスズを除去するのに有用な場合がある。水素ラジカルが存在することによって、例えば水素ラジカルがEUV容器100内の液体の燃料層に拡散する場合の燃料のスピッティングなど、EUV容器100内に汚染が生じる可能性がある。金属表面又は金属合金表面を有する流れスプリッタを設けることによって、水素ラジカルの再結合を改善することができる、及び/又は、例えば燃料のスピッティングなどのEUV容器内の汚染を低減することができる。
【0238】
[000275] 他の実施形態では、流れスプリッタは別の材料、例えばセラミック材料などを含んでよいことが理解されるであろう。セラミック材料は、二酸化ケイ素材料、窒化ジルコニウム材料、又は酸化ジルコニウム材料を含んでよい。本明細書では、リソグラフィ装置との関連で実施形態への具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は1つ以上の他の装置で使用されてよい。実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(又は他の基板)若しくはマスク(又は他のパターニングデバイス)などの物体を測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ぶことがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用してよい。
【0239】
[000276] 「リソグラフィ装置の少なくとも一部」という用語は、照明システムIL、パターニングデバイスMA、及び/又は投影システムPSを包含すると見なされてよい。
【0240】
[000277] 「放射源」という用語は、レーザ162を包含すると見なされてよい。
【0241】
[000278] 「妨げる」という用語は、実質的に妨げることを包含すると見なされてよい。
【0242】
[000279] 「中間焦点領域」という用語は、中間焦点の及び/又は中間焦点近くの領域を包含すると見なされてよい。
【0243】
[000280] 「EUV放射」という用語は、4~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含すると見なされてよい。EUV放射は、10nm未満の、例えば6.7nm又は6.8nmといった4~10nmの範囲内の波長を有してよい。
【0244】
[000281]
図1は放射源SOをレーザ生成プラズマLPP源として示しているが、EUV放射を生成する任意の適切な放射源が使用されてよい。例えば、放電を使用して燃料(例えばスズ)をプラズマ状態に変換することによってEUV放出プラズマが生成されてよい。このタイプの放射源は、放電生成プラズマ(DPP)源と呼ぶことがある。放電は、放射源の一部を形成し得る、又は電気接続を介してEUV放射源SOに接続された別個のエンティティであり得る電源によって生成されてよい。
【0245】
[000282] 流れスプリッタ150が非対称排出部132を備えたEUV容器内に配置されることが記載されたが、他の実施形態では流れスプリッタは、例えば
図9B~9C、
図12Aに示すような対称排出部を備えたEUV容器で使用されてよいことが理解されるであろう。付加的又は代替的に、流れスプリッタは、例えば
図16A及び
図16Bに示すようなカーテンフロー供給部を備えたEUV容器で使用されてよい。流れスプリッタはまた、
図9A及び
図11に示すEUV容器で使用されてよい。
【0246】
[000283] また、前述の実施形態のそれぞれが、EUV容器100に含まれる他のコンポーネントと同様に容器内壁104を調節して特定の温度を実現する温度制御システムで実施されてよいことが理解されるであろう。例えば容器内壁104のある部分がSnの溶融点未満の温度に維持される場合がある一方、他の部分がSnの溶融点より高い温度に維持される場合がある。これら及び他の実施形態では、容器内壁104の各領域の温度はまた変化させる、すなわちSnの溶融点より高い温度と低い温度の間で循環させてよい。
【0247】
[000284] 本明細書では、IC製造におけるリソグラフ装置の使用について特に言及したが、本明細書に記載のリソグラフ装置は他の用途を有する可能性があることを理解されたい。考えられる他の用途には、集積光学系、磁区メモリの誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0248】
[000285] 光リソグラフィの分野での実施形態の使用について特に言及してきたが、本発明の実施形態は文脈によってはその他の用途、例えばインプリントリソグラフィでも使用されてよく、光リソグラフィに限定されないことが理解されるであろう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると内部にパターンが残される。
【0249】
[000286] 理解されるように、本明細書の1つ以上の実施形態の態様は、例えば置換形態又は変更形態として本明細書の1つ以上の他の実施形態に組み込まれてよい。
【0250】
[000287] 以上、本発明の特定の実施形態を説明してきたが、説明とは異なる方法でも本発明を実施できることが理解されるであろう。上記の説明は例示であり、限定を意図したものではない。従って、以下に示す請求項の範囲及び均等物から逸脱することなく、記載されたように本発明を変更できることが当業者には明白であろう。