(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】容器入り発酵乳製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23C 9/13 20060101AFI20221213BHJP
A23C 9/133 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A23C9/13
A23C9/133
(21)【出願番号】P 2019545027
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 JP2018034796
(87)【国際公開番号】W WO2019065445
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2017186255
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 良尚
(72)【発明者】
【氏名】阿部 朋美
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-112703(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102422884(CN,A)
【文献】特開2001-269113(JP,A)
【文献】特開2004-113019(JP,A)
【文献】タカナシ乳業新ブランド、味わい濃厚乳製品,日本経済新聞,2006年,地方経済面 神奈川,p.1
【文献】ヨーグルト・乳酸菌飲料特集:各社の動向=チチヤス,日本食料新聞,2007年09月17日,p.1
【文献】小岩井乳業、果実ソース豊富なデザート「ヨーグルトフルーツカクテル」など発売,日本食料新聞,1994年10月03日,p.1
【文献】私のぜいたくヨーグルト-原料や製法にこだわり(何でもランキング),日経プラスワン,2013年08月17日,p.1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 9/13
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA(STN)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵乳を上層とし、ソースを下層として含む、後発酵型の容器入り発酵乳製品であって、上記発酵乳中の乳脂肪の含有率が3.0重量%以上
であり、
発酵前の発酵乳ミックスの粘度が、8mPa・s以下であり、
上記ソースの粘度が、5,000mPa・s以上8,000mPa・s以下であり、
上記ソースの比重から上記発酵前の発酵乳ミックスの比重を差し引いた値が、0.05以上0.09以下であることを特徴とする容器入り発酵乳製品
(ただし、ソース中の乳化剤の含有量が0.1~1.0重量%であるソース分離タイプのヨーグルトを除く)。
【請求項2】
上記ソースが果肉を含む請求項
1に記載の容器入り発酵乳製品。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の容器入り発酵乳製品の製造方法であって、
上記容器に上記ソースを収容するソース収容工程と、
上記ソースを収容した容器に、発酵乳ミックスを収容する発酵乳ミックス収容工程と、
上記発酵乳ミックスを発酵させて、上記容器入り発酵乳製品を得る発酵工程、
を含む容器入り発酵乳製品の製造方法。
【請求項4】
上記発酵乳ミックス収容工程の前に、上記発酵乳ミックス収容工程で収容する発酵乳ミックスに乳酸菌スターターを加える工程を含む請求項3に記載の容器入り発酵乳製品の製造方法。
【請求項5】
上記発酵乳ミックス収容工程における上記発酵乳ミックスの供給速度が、上記ソースの上面の面積1mm
2当たり、1.5g/秒以下である請求項
3又は4に記載の容器入り発酵乳製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器入り発酵乳製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発酵乳を上層とし、フルーツソース等のソースを下層として含む容器入り発酵乳製品は、通常、発酵乳ミックスを容器内に収容した後、この発酵乳ミックスの上に、発酵乳ミックスよりも大きな比重を有するソースを収容し、次いで、発酵乳ミックスとソースとの比重の差を利用して、ソースを発酵乳ミックスの下方に沈下させ、その後、容器内の発酵乳ミックスを発酵させる方法(後発酵)によって、製造される(特許文献1の背景技術の欄を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の発酵乳層及びソース層を含む後発酵型の発酵乳製品を製造する場合、発酵乳ミックスとフルーツソースとの比重の差が非常に大きくなるようにしないと、ソースの沈下を効率的に行うことができないという問題がある。
また、仮に、ソースを先に容器内に収容し、その後に発酵乳ミックスを容器内に収容するという手順を採用した場合、発酵乳ミックスの収容時に、ソースの巻き上げ(上層の発酵乳の中に下層のソースの一部が入り込んでしまうこと)が生じるという問題がある。
さらに、仮に、後発酵でなく、前発酵の発酵方法を採用した場合、後発酵の利点である固形の形態の発酵乳を得ることができないという問題がある。
本発明の目的は、発酵乳を上層とし、フルーツソース等のソースを下層として含む、後発酵型の容器入り発酵乳製品であって、ソースの巻き上げ(上層の発酵乳の中に下層のソースの一部が入り込んでしまうこと)が生じず、また、発酵後および保存中に離水が生じない容器入り発酵乳製品、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、発酵乳を上層とし、ソースを下層として含む、後発酵型の容器入り発酵乳製品であっても、発酵乳中の乳脂肪の含有率が3.0重量%以上であれば、ソースの巻き上げが生じず、また、発酵後および保存中に離水が生じないことを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、以下の[1]~[6]を提供するものである。
[1] 発酵乳を上層とし、ソースを下層として含む、後発酵型の容器入り発酵乳製品であって、上記発酵乳中の乳脂肪の含有率が3.0重量%以上であることを特徴とする容器入り発酵乳製品。
[2] 上記ソースの比重が、上記発酵乳の比重に比べて、0.02以上大きい、上記[1]に記載の容器入り発酵乳製品。
[3] 上記ソースが果肉を含む、上記[1]又は[2]に記載の容器入り発酵乳製品。
[4] 上記[1]~[3]のいずれかに記載の容器入り発酵乳製品の製造方法であって、上記容器に上記ソースを収容するソース収容工程と、上記ソースを収容した容器に、発酵乳ミックスを収容する発酵乳ミックス収容工程と、上記発酵乳ミックスを発酵させて、上記容器入り発酵乳製品を得る発酵工程、を含む容器入り発酵乳製品の製造方法。
[5] 上記ソース収容工程における上記ソースの粘度が、3,000mPa・s以上であり、かつ、上記発酵乳ミックス収容工程における上記発酵乳ミックスの粘度が、10mPa・s以下である、上記[4]に記載の容器入り発酵乳製品の製造方法。
[6] 上記発酵乳ミックス収容工程における上記発酵乳ミックスの供給速度が、上記ソースの上面の面積1mm2当たり、1.5g/秒以下である、上記[4]又は[5]に記載の容器入り発酵乳製品の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の容器入り発酵乳製品は、発酵乳を上層とし、ソースを下層として含む、後発酵型の容器入り発酵乳製品であるものの、ソースの巻き上げ(上層の発酵乳の中に下層のソースの一部が入り込んでしまうこと)が生じず、製品としての外観に優れている。
また、本発明の容器入り発酵乳製品は、後発酵の発酵乳からなる上層を含むものの、発酵後および保存中に離水が生じず、製品としての外観に優れている。
さらに、本発明の容器入り発酵乳製品は、後発酵の発酵乳からなる上層を含むため、固形状の形態(換言すると、セット・タイプとしての発酵乳の形態)を有し、輸送や陳列等の過程で形状が崩れることがない。特に、固形状の発酵乳からなる上層の下方に、下層としてソースが含まれているため、上層としてソースが含まれている場合と異なり、ソースの形状を一定に保つことができる。また、ソースに果肉等が含まれている場合に、前発酵の発酵乳が含まれている場合と異なり、果肉が発酵乳の中に入り込んで、外観が悪くなるなどの問題も、生じない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の容器入り発酵乳製品の一例を鉛直方向に切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の容器入り発酵乳製品は、発酵乳を上層とし、ソースを下層として含む、後発酵型の容器入り発酵乳製品であって、発酵乳中の乳脂肪の含有率が3.0重量%以上のものである。
換言すると、容器入り発酵乳製品は、容器、および、上記容器内に収容された発酵乳およびソースを含む、容器入り発酵乳製品であって、上記容器内に、上記ソースが下層として収容されかつ上記発酵乳が上記ソースの上方に位置する上層として収容されており、上記発酵乳中の乳脂肪の含有率が3.0重量%以上であり、上記発酵乳が後発酵型(「セット・タイプ」とも称される。)の形態(具体的には、固形状の形態)を有するものである。
本明細書中、発酵乳とは、発酵乳ミックス(原料乳を含む、発酵乳の原料)を発酵させてなるものをいう。
発酵乳ミックスは、原料乳および他の成分を含む混合物であり、例えば、原料乳、水、および他の任意成分(例えば、砂糖、糖類、香料等)からなる、発酵乳の製造に使用される原料を加温して溶解し、混合することによって得ることができる。
発酵乳ミックスの原料の一つである原料乳の例としては、牛乳等の獣乳や、その加工品(例えば、脱脂乳、脱脂粉乳、脱脂濃縮乳、乳のろ過濃縮物又は透過物、れん乳、乳清(ホエイ)、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、バターミルク、生クリーム等)や、大豆由来の豆乳等の植物性乳等が挙げられる。
発酵乳ミックスは、加熱殺菌し、次いで冷却した後に、スターター(例えば、乳酸菌スターター)を添加し、スターターの種類等に応じて定められる発酵温度および発酵時間で発酵を行うことによって、発酵乳となる。
【0010】
発酵乳(または発酵乳ミックス)中の乳脂肪の含有率は、ソースの巻き上げの抑制及び発酵乳の離水の抑制の観点から、3.0重量%以上、好ましくは3.5重量%以上、より好ましくは3.9重量%以上、さらに好ましくは4.3重量%以上、さらに好ましくは4.7重量%以上、特に好ましくは5.0重量%以上である。
発酵乳(または発酵乳ミックス)中の乳脂肪の含有率の上限値は、特に限定されないが、製造の容易性の観点から、好ましくは9.0重量%、より好ましくは8.0重量%、特に好ましくは7.0重量%である。
発酵乳(または発酵乳ミックス)の比重は、ソースとの比重の差を大きくする観点から、好ましくは1.08以下、より好ましくは1.07以下、特に好ましくは1.06以下である。
発酵乳(または発酵乳ミックス)の比重の下限値は、特に限定されないが、製造の容易性の観点から、好ましくは1.01、より好ましくは1.02、特に好ましくは1.03である。
【0011】
本明細書中、ソースとは、甘味料、増粘剤、及び他の材料からなるものをいう。
甘味料としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、異性化糖等の糖類や、トレハロース等の糖アルコールや、アルパルテーム、ステビア等の人工甘味料や、蜂蜜や、メープルシロップ等が挙げられる。
増粘剤としては、ペクチン、グアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、加工デンプン等が挙げられる。
他の材料としては、果汁、果肉、ナッツ、pH調整剤、香料、色素等が挙げられる。
果汁の例としては、桃、メロン、キウイ、ぶどう、オレンジ、バナナ、ブルーベリー、いちご等が挙げられる。
果肉の例としては、桃、メロン、キウイ、ぶどう、オレンジ、バナナ、ブルーベリー、いちご等が挙げられる。また、果実以外の植物性の材料またはそれに由来するものであっても、その形状や食感等から、果肉と同様に扱ってよいもの(例えば、アロエ、ナタデココ等)は、本発明で用いられる「果肉」に包含されるものとする。
果肉の大きさは、外観を良好にする観点から、好ましくは10~1,000mm3、より好ましくは50~700mm3、特に好ましくは100~400mm3である。
果肉の形状は、特に限定されず、略立方体状(ダイス状)、略球状、略円柱状等が挙げられる。
果汁の種類と果肉の種類は、同じでも異なってもよいが、発酵乳製品としての風味の観点からは、同じであることが望ましい。
【0012】
本発明において、ソースの好ましい一例として、糖類(甘味料)、増粘剤及び果汁を含むソースベース、及び、果肉からなる果肉入りフルーツソースが挙げられる。
この場合、ソース中の糖類の含有率は、風味の観点から、好ましくは5~70重量%、より好ましくは10~65重量%、特に好ましくは15~60重量%である。
ソース中の増粘剤の含有率は、ソースの巻き上げの抑制及び発酵乳の離水の抑制の観点から、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは1~3重量%である。
ソース中の果肉の含有率は、果肉を入れることによる商品価値の観点から、好ましくは10~90重量%、より好ましくは20~80重量%、特に好ましくは30~70重量%である。
【0013】
ソースの比重は、発酵乳との比重の差を大きくする観点から、好ましくは1.08以上、より好ましくは1.09以上、特に好ましくは1.10以上である。
ソースの比重の上限値は、特に限定されないが、製造の容易性の観点から、好ましくは1.14、より好ましくは1.13、特に好ましくは1.12である。
ソースの比重から発酵乳の比重を差し引いた値は、ソースの巻き上げの抑制及び発酵乳の離水の抑制の観点から、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.04以上、特に好ましくは0.05以上である。
ソースの比重から発酵乳の比重を差し引いた値の上限値は、特に限定されないが、製造の容易性の観点から、好ましくは0.09、より好ましくは0.08、特に好ましくは0.07である。
【0014】
本発明において、乳酸菌スターターの好ましい一例として、ブルガリア菌(ラクトバチルス・ブルガリクス;L. bulgaricus)が挙げられる。
この場合、乳酸菌スターターは、ブルガリア菌に加えて、サーモフィルス菌(ストレプトコッカス・サーモフィルス;S.thermophilus)を含むことが好ましい。
さらに、本発明の好ましい実施形態において、乳酸菌には、ブルガリア菌とサーモフィルス菌の他に、公知の乳酸菌が含まれていてもよい。公知の乳酸菌の例としては、ガセリ菌(ラクトバチルス・ガッセリ;L. gasseri)、ラクティス菌(ラクトコッカス・ラクティス;L. lactis)、クレモリス菌(ラクトコッカス・クレモリス;L. cremoris)、ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム;Bifidobacterium))等が挙げられる。
【0015】
本発明の容器入り発酵乳製品の一例を、
図1に示す。
図1中、容器入り発酵乳製品1は、容器本体2a及び蓋2bからなる容器2の中に、上層として、発酵乳3が収容され、かつ、下層として、フルーツソース4が収容されてなるものである。
フルーツソース4は、果汁(例えば、桃果汁)等を含むソースベース4a、及び、果肉(例えば、桃果肉)4bを含む。
フルーツソース4は、発酵乳3との境界面が明瞭なものであり、発酵乳3の中に巻き上げられて入り込むことがない。発酵乳3は、発酵後および保存中に、その上面の上方に離水が生じることがない。
【0016】
次に、本発明の容器入り発酵乳製品の製造方法の一例について、
図1を参照しつつ説明する。
本発明の容器入り発酵乳製品1の製造方法の一例は、容器本体2aにソース4を収容するソース収容工程と、ソース4を収容した容器(容器本体2a)に、発酵乳ミックスを収容する発酵乳ミックス収容工程と、発酵乳ミックスを発酵させて、容器本体2a内に発酵乳3及びフルーツソース4が収容されてなる容器入り発酵乳製品1を得る発酵工程、を含む。
ソース収容工程におけるソース4の粘度は、ソースの巻き上げの抑制及び発酵乳の離水の抑制の観点から、好ましくは3,000mPa・s以上、より好ましくは4,000mPa・s以上、特に好ましくは5,000mPa・s以上である。
該粘度の上限値は、特に限定されないが、良好な食感を得る観点から、好ましくは10,000mPa・s、より好ましくは9,000mPa・s、特に好ましくは8,000mPa・sである。
本明細書中、粘度は、回転式B型粘度計(例えば、東機産業社製の「TVB10形粘度計」)を用いて、測定温度30℃で、No.4ローター(コードM23)を測定対象物中に侵入及び回転(30rpm、30秒間)させた後の測定値である。
【0017】
発酵乳ミックス収容工程における発酵乳ミックスの粘度は、ソースの巻き上げの抑制の観点から、好ましくは10mPa・s以下、より好ましくは9mPa・s以下、特に好ましくは8mPa・s以下である。
発酵乳ミックス収容工程における発酵乳ミックスの供給速度は、ソースの巻き上げの抑制の観点から、ソースの上面の面積1mm2当たり、好ましくは1.5g/秒以下、より好ましくは1.4g/秒以下、さらに好ましくは1.3g/秒以下、さらに好ましくは1.2g/秒以下、特に好ましくは1.1g/秒以下である。
該供給速度の下限値は、製造の効率の観点から、好ましくは0.5g/秒、より好ましくは0.6g/秒、特に好ましくは0.7g/秒である。
発酵乳ミックスの供給手段の例としては、シャワーノズル等が挙げられる。
スターター(例えば、乳酸菌スターター)は、発酵乳ミックス収容工程の前に、発酵乳ミックス(加熱殺菌済のもの)に添加される。
発酵温度、発酵時間等の条件は、発酵乳の製造における通常の条件を採用すればよい。
【実施例】
【0018】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
また、以下の実施例および比較例において、特に断らない限り、「%」は、重量%を意味する。
【0019】
[実施例1]
(1)発酵乳ミックスの調製
脱脂濃縮乳300g、生クリーム100g、砂糖60g、及び、水540gを混合して、発酵乳ミックス(乳脂肪の含有率:5.0%)を調製した。
発酵乳ミックスの比重及び粘度を測定したところ、比重は1.05、粘度は5mPa・sであった。
(2)フルーツソースの調製
桃果肉(一辺の寸法が6.4mmの略立方体状のもの;体積は約250mm3である。)40g、桃果汁10g、砂糖20g、増粘剤(ペクチン等)1g、pH調整剤、香料、及び、色素(以上のpH調整剤、香料、色素の合計量:1g以下)を混合して、フルーツソースを調製した。
フルーツソースの比重及び粘度を測定したところ、比重は1.10、粘度は6,000mPa・sであった。
【0020】
(3)容器入り発酵乳製品の調製
容器本体(合成樹脂製、白色、無地、容量85g)2a(
図1参照)に、1次充填としてフルーツソース17gを充填した後、2次充填として、フルーツソースの上に、シャワーノズル(供給口の内径:3mm)を用いて、フルーツソースの上面の面積1mm
2当たり、1.0g/秒の供給速度で、発酵乳ミックス68gを供給した。
この発酵乳ミックスは、原料乳等を含む混合物(100%)に対して、乳酸菌スターター(明治社製の「明治ブルガリアヨーグルトLB81」から分離したもの;ブルガリア菌及びサーモフィルス菌からなるもの)を2%の量で添加したものである。
次いで、43℃、3~4時間の条件で発酵を行い、容器入り発酵乳製品(ただし、蓋2bを有しないもの)を得た。得られた容器入り発酵乳製品を5℃まで冷却し、5℃で30日間、冷蔵保存した。
(4)容器入り発酵乳製品の評価
(a)発酵乳ミックスの供給直後、(b)発酵終了直後、(c)30日間の冷蔵保存直後、の各時点において、容器本体2a内の発酵乳及びフルーツソースの状態を目視で観察した。
その結果、これら3つのいずれの時点でも、ソースの巻き上げは、認められなかった。
また、冷蔵保存直後において、発酵乳の離水は、認められなかった。
【0021】
[比較例1]
発酵乳ミックスの原料として生クリームを用いない以外は、実施例1と同様にして実験した。
発酵乳ミックス中の乳脂肪の含有率は、0.2%であった。発酵乳ミックスの比重及び粘度を測定したところ、比重は1.05、粘度は5mPa・sであった。
容器入り発酵乳製品の評価の結果、発酵終了直後において、発酵乳の離水が、やや認められた。また、冷蔵保存直後において、発酵乳の離水が、多く認められた。
【符号の説明】
【0022】
1 容器入り発酵乳製品
2 容器
2a 容器本体
2b 蓋
3 上層(発酵乳)
4 下層(フルーツソース)
4a 桃果汁入りソースベース
4b 桃果肉