(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/60 20100101AFI20221214BHJP
【FI】
H01L33/60
(21)【出願番号】P 2017249707
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 智宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 陽平
(72)【発明者】
【氏名】勝又 雅昭
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207757(JP,A)
【文献】特開2013-058695(JP,A)
【文献】特開2007-201171(JP,A)
【文献】特開2007-288067(JP,A)
【文献】特開2015-063448(JP,A)
【文献】特開2011-176270(JP,A)
【文献】特開2003-163379(JP,A)
【文献】特開2016-111179(JP,A)
【文献】特開2000-332305(JP,A)
【文献】特開2012-089539(JP,A)
【文献】特開2007-013107(JP,A)
【文献】特開2011-108688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0290328(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、前記実装基板の発光素子実装部に実装される発光素子と、を備えた発光装置であって、
底面と、前記底面から延びて発光素子を実装する複数の凸状の前記発光素子実装部と、を含む実装領域を有する金属板と、
前記実装領域において、少なくとも、前記底面と、前記凸状の発光素子実装部の側面の全面と、を覆う反射材料と、
前記実装領域を囲むように形成した開口に前記金属板の実装領域が露出するように前記金属板に積層される回路基板と、を備え、
前記反射材料の反射率は、前記金属板の反射率よりも高く、
前記発光素子実装部の上面と前記底面とが共に平行な平面で形成され、
前記発光素子実装部の上面の面積は、前記発光素子の
素子底面の面積の80%以下であり、
前記発光素子実装部は、
前記底面と
前記側面とのなす角度が90度よりも大きく形成された傾斜を有する側面を備え、
前記反射材料は、引けにより、前記側面から離れた位置で前記反射材料の高さを下げて形成されており、
前記発光素子と前記反射材料との間に隙間がある、発光装置。
【請求項2】
前記発光素子実装部が円錐台、角錐台もしくは柱状に形成される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子実装部の側面に形成された傾斜は、
前記底面と
前記側面とのなす角度が120度以下である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子実装部の上面の面積が前記発光素子の
素子底面の面積の70%以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記反射材料は、反射面からの可視光反射率が80%以上である材料を使用する請求項
1から請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記反射材料は、樹脂中、又は、樹脂上に無機材料が分散されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記金属板は、少なくとも前記凸状の発光素子実装部の上面に、前記金属板と異なる材料で鍍金されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子実装部の上面と前記底面上に形成された前記反射材料の反射面とが平行な平面で形成され、前記発光素子実装部の上面が前記反射材料の反射面より0.01mm以上高い位置である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記金属板は、厚みが0.5mmから5mmであり、
前記発光素子実装部は、前記底面から前記上面までの高さが0.01mm以上である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記実装領域は、平面視において円形又は矩形であって、前記発光素子実装部が、等間隔で複数形成される請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記反射材料は、熱伝導率が0.2W/m・K以上である、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記発光素子は、ワイヤを介して互いに接続されると共に前記回路基板のワイヤ接続部に接続される請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
底面と、前記底面から延びる発光素子を実装する複数の凸状の発光素子実装部と、を含む実装領域を有する金属板と、前記実装領域を囲むように形成した開口を持つ回路基板と、を準備する工程と、
前記発光素子実装部を形成した実装領域を露出するように前記回路基板を前記金属板に積層する工程と、
前記発光素子実装部の上面より下方に反射面の上面が位置するように前記実装領域の底面、及び、前記発光素子実装部の側面の全面に反射材料を設ける工程と、
前記発光素子実装部の上面のそれぞれに発光素子を実装する工程と、
前記発光素子と前記回路基板とをワイヤにより電気的な接続を行う工程と、を含み、
前記準備する工程において、前記発光素子実装部の上面と前記底面とが共に平行な平面で形成されており、前記発光素子実装部の上面の面積は、前記発光素子の
素子底面の面積の80%以下であり、前記発光素子実装部は、
前記底面と
前記側面とのなす角度が90度よりも大きく形成された傾斜を有する側面を備えており、
前記反射材料の反射率は、前記金属板の反射率よりも高く、
前記反射材料を設ける工程において、前記反射材料を乾燥させることで引けを生じさせ、隣り合う前記発光素子実装部の側面の間となる部分を凹ませ、
前記発光素子と前記反射材料との間に隙間を設ける、発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記発光素子実装部の上面の面積は、前記発光素子の
素子底面の面積の70%以下に形成され、
前記反射面からの可視光反射率が80%以上である請求項13に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記準備する工程で準備される金属板は、前記発光素子実装部が、円錐台、角錐台もしくは柱状に形成される請求項13又は請求項14に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記反射材料は、前記実装領域の底面及び発光素子実装部の上面を覆うように充填された後に、前記発光素子実装部の上面の前記反射材料を研磨又は研削することで除去し、前記実装領域の底面、及び、前記発光素子実装部の側面の全面に設ける請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実装基板、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高輝度、高出力の発光素子が開発され、例えば、放熱基板に直接LEDチップを実装するCOB(チップオンボード)タイプのLED装置(以下、発光装置という)が多数提案されている。この発光装置は、例えば、放熱基板にサブマウント構造によりLEDチップを実装することで光取出し効率を高める構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の例として、発光装置は、凸形状に形成した金属板のLED素子実装部にLED素子を実装し、LED素子実装部の周辺に形成した溝の内部に高反射性インクを充填した構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-111179号公報
【文献】特開2016-207757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の発光装置は、発光素子からの熱がサブマウント材料を介してアルミ板に伝導することになるため、放熱特性が損なわれるおそれがある。また、発光素子と同数のサブマウントを実装する必要があるため、実装に関わる工数が増加している。
さらに、特許文献2の発光装置は、凸形状に形成したLED素子実装部の周囲に溝を形成して高反射性インクを充填しているため、溝に充填した高反射性インクがLED素子実装部に付着し易く、LED素子の実装不良の原因となりやすい。また、LED素子の下面とLED素子実装部の上面との大きさの関係や、LED素子と高反射性インクとの距離との関係が特定されていないため、さらなる光取出し効率が望まれている。
【0006】
そこで、本開示に係る実施形態は、光取出し効率に優れる実装基板、発光装置及び発光装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る発光装置は、実装基板と、前記実装基板の発光素子実装部に実装される発光素子と、を備えた発光装置であって、底面と、前記底面から延びて発光素子を実装する複数の凸状の前記発光素子実装部と、を含む実装領域を有する金属板と、前記実装領域において、少なくとも、前記底面と、前記凸状の発光素子実装部の側面の全面と、を覆う反射材料と、前記実装領域を囲むように形成した開口に前記金属板の実装領域が露出するように前記金属板に積層される回路基板と、を備え、前記反射材料の反射率は、前記金属板の反射率よりも高く、前記発光素子実装部の上面と前記底面とが共に平行な平面で形成され、前記発光素子実装部の上面の面積は、前記発光素子の底面の面積の80%以下であり、前記発光素子実装部は、底面と側面とのなす角度が90度よりも大きく形成された傾斜を有する側面を備え、前記反射材料は、引けにより、前記側面から離れた位置で前記反射材料の高さを下げて形成されており、前記発光素子と前記反射材料との間に隙間があ
る。
【0008】
さらに、本実施形態に係る発光装置の製造方法は、底面と、前記底面から延びる発光素子を実装する複数の凸状の発光素子実装部と、を含む実装領域を有する金属板と、前記実装領域を囲むように形成した開口を持つ回路基板と、を準備する工程と、前記発光素子実装部を形成した実装領域を露出するように前記回路基板を前記金属板に積層する工程と、前記発光素子実装部の上面より下方に反射面の上面が位置するように前記実装領域の底面、及び、前記発光素子実装部の側面の全面に反射材料を設ける工程と、前記発光素子実装部の上面のそれぞれに発光素子を実装する工程と、前記発光素子と前記回路基板とをワイヤにより電気的な接続を行う工程と、を含み、前記発光素子実装部の上面の面積は、前記発光素子の底面の面積よりも小さく、前記反射材料の反射率は、前記金属板の反射率よりも高い。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態に係る実装基板及び発光装置は、光取出し効率を向上することができる。また、本実施形態に係る発光装置の製造方法は、光取出し効率を向上する発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る実装基板を模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る実装基板及び発光装置を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図3のV領域を拡大して模式的に示す拡大平面図である。
【
図7】
図5のVII-VII線における断面図である。
【
図8】実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図9A】実施形態に係る発光装置の製造方法において準備工程で用いられる回路基板集合体を一部省略して模式的に示す平面図である。
【
図9B】実施形態に係る発光装置の製造方法において準備工程で用いられる金属板集合体の一部を省略して模式的に示す平面図である。
【
図10A】実施形態に係る発光装置の製造方法において金属板集合体のうちの1つの金属板に対応する部分を示す断面図である。
【
図10B】実施形態に係る発光装置の製造方法において金属板集合体のうちの1つの金属板の部分についてエッチングして発光素子実装部を形成した状態を模式的に示す断面図である。
【
図10C】実施形態に係る発光装置の製造方法において金属板集合体及び回路基板集合体のうちの1つの金属板及び回路基板に対応する部分を積層した状態を模式的に示す断面図である。
【
図10D】実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの金属板の実装領域に反射材料を形成した状態を模式的に示す断面図である。
【
図10E】実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの金属板の実装領域に形成した発光素子実装部の上面の反射材料を除去した状態を模式的に示す断面図である。
【
図10F】実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの実装領域の発光素子実装部に発光素子を実装した状態を模式的に示す断面図である。
【
図10G】実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの金属板発光素子にワイヤを接続した状態を模式的に示す断面図である。
【
図10H】実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの実装領域に封止部材を形成した状態を模式的に示す断面図である。
【
図11】実施形態に係る発光装置において金属板の変形例について一部を模式的に示す断面図である。
【
図12】実施形態に係る実装基板及び発光装置の変形例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。さらに、図面によってはXYZ方向を図示して説明するが図面上で説明する方向は任意である。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係る実装基板を模式的に示す斜視図、
図2は、実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図、
図3は、実施形態に係る実装基板及び発光装置を模式的に示す平面図、
図4は、
図3のIV-IV線における断面図、
図5は、
図3のV領域を拡大して模式的に示す拡大平面図、
図6は、
図5のVI-VI線における断面図、
図7は、
図5のVII-VII線における断面図である。
【0013】
発光装置100は、底面2と、底面2から延びて発光素子30を実装する複数の凸状の発光素子実装部3と、を含む実装領域E1を有する金属板1と、実装領域E1において、少なくとも、底面2と発光素子実装部3の側面4の全面とを覆う反射材料10と、実装領域E1を囲むように形成した開口25に金属板1の実装領域E1が露出するように金属板1に積層される回路基板20と、を備えている。なお、発光装置100は、複数の発光素子30を設けることができるように、実装領域E1に複数の発光素子実装部3を形成している。
【0014】
金属板1は、底面2と、底面2より高い位置に形成された複数の発光素子実装部3と、を所定の領域範囲となる実装領域E1内に形成して備えている。金属板1は、一例として矩形の板の中央に円形の実装領域E1が設定されるように形成され、実装領域E1の周縁となる周縁部6に後記する回路基板20が設置される。金属板1は、例えば、銅あるいは銅合金、アルミニウム板、鋼板(例えばSUS板)等の加工がし易い金属で形成されていること好ましい。また、金属板1は、その周縁部6が発光素子実装部3の上面5よりも高くなるように形成されている。
【0015】
発光素子実装部3は、底面2よりも高い位置で発光素子30を設置する部分である。この発光素子実装部3は、所定の間隔を隔てて複数が実装領域E1内に形成されている。発光素子実装部3は、底面2から一体に形成されている。発光素子実装部3は、底面2から上方に延びた側面4と、側面4の上端部に形成された上面5とを有している。つまり、発光素子実装部3の上面5は、底面2から延びた高い位置に形成されている。発光素子実装部3は、後記する製造方法において、板厚方向にエッチングあるいは平板を折り曲げて底面2と一体に形成される。発光素子実装部3は、底面2から延びて高い位置に上面5を形成し底面2と上面5とが側面4を介して段差を有するように形成さている。なお、底面2から延びてとは、底面2と上面5とが高さを変えて形成されることを示しており、プレス加工やエッチングで形成することも含む。したがって、底面2から延びてとは、板を延ばして形成していることに限定されるものではない。発光素子実装部3は、底面2と一体に形成されることで放熱性が向上する。
【0016】
発光素子実装部3は、ここでは角錐台形状に形成した例として示しているが、その形状は、例えば、柱状、円錐台、直方体、立方体等であってもよい。また、発光素子実装部3は、側面4が傾斜を有する形状の場合には、反射性を向上することができる。なお、発光素子実装部3は、側面4が傾斜する角錐台等の形状である場合、底面2と側面4とのなす傾斜角度θ1が90度を超えて120度以下であることが好ましい。側面4の傾斜角度θ1が120度を超えて大きくなると発光素子実装部3の実装領域における間隔を大きく取る必要があり、多くの発光素子30を実装する必要がある構成では不向きとなる場合がある。また、側面4の傾斜角度θ1が90度未満(特に80度以下)であると、上面5の面積より側面4の下端で囲まれた領域の面積が小さくなり形成し難くなる場合がある。また、傾斜角度θ1が90度を超えて120度以下とすることで、反射材料10が発光素子実装部3の側面4を這い上がり易く、少量の反射材料10で発光素子実装部3の側面4の全面を覆うことができる。また、隣り合う発光素子30との間隔を狭くすることができ、高密度に発光素子30を実装することができる。また、発光素子30から金属板1への熱伝導性を高めることで、放熱性を高めることができる。さらに、発光素子実装部3の側面4、底面2と、反射材料10と、の接触面積を増やすことで剥離を低減することができる。
【0017】
また、底面2及びおよび発光素子実装部3の上面5は、互いに平行な平面となっていることが好ましい。底面2と発光素子実装部3の上面5が平行であることで、反射材料10を設けるときに、反射材料10が発光素子実装部3の側面4に対して均等な高さに形成し易くなる。
また、発光素子実装部3は、紙面に対して上下となる方向を、列(縦)方向としたときに、一定の間隔で配置されている。また、発光素子実装部3は、紙面に対して左右となる方向を行(横)方向としたときに、列方向よりも間隔を空けて配置されている。前記した配置を、異なる見方をしたときには、発光素子実装部3は、
図5で示すように、中心に位置するものに対して周囲に6つのものが均等に配置されるように整列している。あるいは、発光素子実装部3は、一定の間隔で右斜め下及び左斜め下に整列するように配置されている。発光素子実装部3の配列は、設置される数や間隔により設定されることとなる。
【0018】
さらに、発光素子実装部3は、上面5の面積が発光素子30の底面の面積の80%以下、さらに70%以下であることが好ましい。発光素子実装部3の上面5の面積が発光素子30の底面の面積よりも小さいことで、発光素子30からの光の一部が反射材料10側に向かって出射されても、反射材料10により反射して上方に送ることができる。また、上面5の面積が発光素子30の底面の面積よりも大幅に小さいと発光素子30を載置することに高い精度が要求される。そのため、上面5の面積は、発光素子30の底面の面積に対して40%以上、好ましくは50%以上である。
なお、発光素子30の中心は、発光素子実装部3の上面5の中心に相当するものであることが好ましいが、発光素子40の中心が、発光素子実装部3の上面5の中心からずれていてもよい。ただし、平面視において、発光素子実装部3の上面5が発光素子30に覆われて視認できない程度のズレであることが好ましい。
金属板1に形成された凸状の部分(上面5)には、発光素子を実装する代わりに、保護素子や半導体素子等を載置してもよく、何も載置しなくてもよい。
【0019】
発光素子実装部3は、底面2から上面5までの高さが0.01mm以上となるように形成されている。そして、発光素子実装部3の上面5までの高さが底面2から0.03mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることがより好ましい。また、発光素子実装部3の上面5は、底面2よりも0.08mm以上高い位置に形成されることであってもよく、0.2mm以上であっても構わない。なお、発光素子実装部3の上面5の高さが底面2よりも所定の範囲を超えて高い位置に形成される場合、一回のエッチングあるいは回のプレス加工等では形成できない場合は、複数回のエッチングやプレス加工等を行うことで形成することができる。金属板1の厚みは、特に限定されないが、0.5mm~5mmであることが好ましく、1mm~3mmであることが更に好ましい。ここでの金属板1の厚みとは、金属板1の背面から、凸状の発光素子実装部3の上面5までをいう。なお、発光素子実装部3の上面5と底面上に形成された反射材料10の反射面とが平行な平面で形成され、発光素子実装部3の上面5が反射材料10の反射面より0.01mm以上高い位置であることが好ましい。
【0020】
また、実装領域E1の広さは、形成される発光素子実装部3の数と間隔により予め設定される。実装領域E1は、ここでは、平面視において円形となるように形成されているが、その形状は矩形や楕円形等、特に限定されるものではない。なお、実装領域E1の周縁部6は、後記する配線22が形成されるために、発光素子実装部3の上面5の高さと同等あるいは同等以上の高さで平坦に形成されている。
【0021】
反射材料10は、実装領域E1内において底面2及び発光素子実装部3の側面4の全面を覆うように形成される。反射材料10は、発光素子30からの光を上方に反射して送るために設けられている。そして、反射材料10は、金属板1の反射率よりも高い反射率となるものが用いられている。反射材料10の反射率は、可視光反射率で80%以上であることが好ましい。発光素子30からの光を反射することができるもので、金属板1の可視光反射率よりも高い材料となる母材として、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂の1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等と、反射性物質とを用いて形成することができる。金属板1の可視光反射率よりも高い材料となる反射物質としては、酸化チタン、シリカ、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。なお、反射材料10では、前記した母材中に反射物質を分散させることや、母材上に反射物質を分散させることで形成することとしてもよい。そして、反射物質としては、無機材料であることがより好ましい。
【0022】
反射性物質等の含有量は、反射材料10の光の反射量及び透過量等を変動させることができるため、得ようとする発光装置100の特性等によって適宜調整することができる。反射材料10は、例えば、反射性物質の含有量を30wt%以上とすることが好ましい。
反射材料10は、反射性に加え、放熱性を有する材料を用いてもよい。反射材料10の熱伝導率は0.2W/m・K以上が好ましく、1W/m・K以上がより好ましい。熱伝導率を高く設定することにより放熱性を向上させることができる。熱伝導率を上げる材料としては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素が挙げられる。
【0023】
なお、反射材料10は、例えば、射出成形、ポッティング成形、樹脂印刷法、トランスファーモールド法、圧縮成形、グラビア印刷、インクジェット印刷、ディッピング、ディスペンス、スプレーコートなどで成形することができる。反射材料10は、一例として、実装領域E1に柔らかい状態で発光素子実装部3の上面5と同等の高さになるまで充填し、乾燥で生じる、引け、により側面4から離れた位置では反射材料10の高さを下げて形成することができる。あるいは、反射材料10は、発光素子実装部3の側面4の全面と上面5の位置まで覆うようにして乾燥させ、上面5の反射材料10を除去することで設けるようにしてもよい。このように反射材料10の高さを発光素子実装部3の上面5よりも低くすることで、仮にダイボンド樹脂40が発光素子実装部3の上面5からはみ出しとしても、発光素子30の側面にダイボンド樹脂が付着することなく、発光素子30の実装不良を低減することができる。また、反射材料10が引けることにより、発光素子10と反射材料10との間に隙間ができ、発光素子10の底面から出射された光を反射材料10で効率良く反射させることができる。
【0024】
回路基板20は、発光素子30と電気的な接続をする共に、外部との電気的な接続を行うためのものである。回路基板20は、ここでは接着材を介して金属板1の周縁部6の上面に積層されている。回路基板20は、外形が矩形に形成された絶縁性の基材21と、基材21上に形成される配線22と、実装領域E1を囲むように形成した開口25とを備えている。
回路基板20の基材21は、絶縁性を有している。基材21は、例えば、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックスなどの絶縁性部材、絶縁部材を形成した金属部材等が挙げられる。なかでも、基材21の材料は、安価であるBTレジン、ガラスエポキシ、エポキシ系樹脂、ポリイミド等の絶縁性材料を用いることが好ましい。但し、耐熱性及び耐候性の高いセラミックスを利用することもできる。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどが挙げられる。
【0025】
配線22は、基材21上に形成され、発光素子30からのワイヤ50との接続を行うワイヤ接続部23a,24aと、外部との接続を行う外部接続端子23,24とを備えている。配線22の材料は、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、プラチナ、チタン、タングステン、パラジウム、鉄、ニッケル等の金属またはこれらを含む合金等によって形成することができる。また、配線22は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等によって形成できる。
ワイヤ接続部23a,24aは、開口25から離間して、開口25の周縁に沿って半円弧の帯状にそれぞれ形成されている。そして、ワイヤ接続部23a,24aは、端部同士を対向させて離間した状態で外部接続端子23,24のそれぞれに接続線を介して連続して形成されている。ワイヤ接続部23a,24aは、所定の幅に形成され、ワイヤ50が接続し易いように形成されている。
外部接続端子23,24は、平面視において4つの角部のうちの2つの角部にそれぞれ矩形に形成されている。この外部接続端子23,24は、一方がアノードあるいはカソードであることが分かるように、隣り合う位置において印をつけるようにしてもよい。外部接続端子23,24の形状は、矩形等、特に限定されるものではない。
【0026】
回路基板20と金属板1とは接着材15により接合されている。
接着材15は、金属板1の周縁部6あるいは回路基板20の下面のいずれか一方又は両方に設けられることで回路基板20と金属板1とを接合する。接着材15は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂のような周知の接着材、熱可塑性又は熱硬化性樹脂の接着材、有機接着材、低融点ガラスの接着材などを用いることができる。なお、接着材15は、無機系接着材であることがより好ましい。接着材15は、無機系接着材であると、熱及び光で劣化し難いため、特に高輝度の光を照射する発光素子30の近くで用いる場合に都合がよい。
また、回路基板20の上面は、配線22の部分を除き絶縁性の樹脂26で被覆されていることが好ましい。また、被覆する樹脂26は、光反射性に優れていることがさらに好ましい。被覆する樹脂26は、例えば、反射材料10で説明したもので絶縁性を有するものであれば用いることができる。回路基板20の配線22を除く周縁部6の部分に樹脂26を設けることで、絶縁性の確保ができる。
【0027】
金属板1と回路基板20とが接合され反射材料10が形成されることで実装基板11が形成される。そして、実装基板11は、発光素子30及びワイヤ50が設けられることで発光装置100となる。なお、実装基板11は、発光素子実装部3を互いに等間隔となるように実装領域E1に複数形成している。発光装置100では、金属板1の実装領域E1に発光素子30等を保護するための封止部材60が形成される。
【0028】
(発光素子)
発光素子30は、例えばLEDチップを用いることができる。また、発光素子30は、同一の構成のものを複数設けることや、複数の種類の構成のものを設けるようにしてもよい。さらに、発光素子30は、互いに異なる色の光を発光するものであってもよい。発光素子30は、実装領域E1内の発光素子実装部3の上面5に1つずつ実装される。発光素子30は、実装領域E1内に略均等な間隔で配置されていることで、発光装置100の出射光の輝度ムラを抑えることができる。
【0029】
発光素子30は、シリコーン樹脂などの絶縁性のダイボンド樹脂40を用いて、素子電極が設けられる面と反対側の面が発光素子実装部3の上面5に対向して設置される。また、発光素子30は、発光素子実装部3に実装されたもの同士がワイヤ50を用いて、直列あるいは並列に電気的に接続されている。発光素子30の発光強度は、配線22の電流又は電圧を制御することで変えることができる。なお、発光素子30を2種類用いるときの発光強度は、配線間の電流又は電圧を制御することで変えることができるように構成される。発光素子30の個数は、1個以上あればよい。発光素子30の配置間隔は、略均等であることが好ましい。また、発光素子30の電気的な接続方法は特に限定されず、複数個を1組以上に分けてそれぞれ直列接続されてもよく、並列接続又は並列接続と直列接続とを組み合わせて電気的に接続されてもよい。
【0030】
発光素子30は、サファイアなどの基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaNなどの半導体を発光層として形成させたものが用いられる。この内、紫外領域から可視光の短波長領域(360nm~550nm)に発光ピーク波長を有する窒化物系化合物半導体素子を用いることができる。なお、可視光の長波長領域(551nm~780nm)に発光ピーク波長を有する発光素子も用いることもできる。
【0031】
発光素子30を発光素子実装部3の上面5に設置するダイボンド樹脂40としては、発光素子30が発する光や熱によって変色や劣化が起き難い樹脂材料が好ましい。ダイボンド樹脂40は、さらに、良好な透光性を有し、後記する封止部材60の屈折率と同等以下が好ましい。ダイボンド樹脂40の屈折率を封止部材60の屈折率と同等以下にすることで、発光素子30からダイボンド樹脂40を介して出射される光が、ダイボンド樹脂40と封止部材60との界面で全反射されずに、効率的に外部に取出すことができる。このような樹脂材料としては、シロキサン骨格を有するシリコーン系のダイボンド樹脂が好ましい。シリコーン系のダイボンド樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂、シリコーン変性樹脂が挙げられる。
【0032】
ワイヤ50は、発光素子30のn側電極の外部接続部とp側電極の外部接続部との接続、あるいは、発光素子30の外部接続部とワイヤ接続部23a,24aとを電気的に接続するものである。また、ワイヤ50は、保護素子を設ける場合にはその保護素子の電極とも電気的に接続するためにも用いられる。
ワイヤ50としては、Au,Cu,Al,Ag又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を好適に用いることができる
なお、保護素子は、発光素子30を静電放電から保護するために設けることが好ましい。保護素子としては、ツェナーダイオードを発光素子30と並列に、かつ、逆極性に接続して用いることができる。また、保護素子として、バリスタ、抵抗、キャパシタなどを用いることもできる。
【0033】
また、反射材料10が設けられた実装領域E1には、封止部材60が設けられることが好ましい(
図4参照)。なお、封止部材60は、周縁部6のワイヤ接続部23a,24a及びそのワイヤ接続部23a,24aに接続しているワイヤ50を覆うように封止部材60を設けるようにすることがさらに好ましい。
封止部材60は、発光素子30やワイヤ50などを覆う部材である。封止部材60は設けなくともよいが、設けることで前記の封止した部材を水分やガスによる劣化や機械的な接触による損傷から保護することができる。封止部材60は、例えば、発光素子30が発する光の波長に対して良好な透光性を有することが好ましく、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。
封止部材60として用いることができる材料は、特に限定されないが、良好な透光性を有することが好ましい。このような材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂材料、ガラスなどの無機材料を挙げることができる。
また、封止部材60には、発光素子30からの光を波長変換させる蛍光物質や、発光素子30からの光を散乱させる光反射性物質を含有してもよい。
【0034】
光反射性物質としては、絶縁性を有することが好ましく、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの粒子を用いることができる。
また、蛍光物質としては、発光素子30からの光を吸収して異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、アルミニウムガーネット系蛍光体等、蛍光物質として一般に使用されるものであればよい。
また、個々の発光素子30上に蛍光物質を配置し、それを異なる蛍光物質入り封止部材60で被覆してもよい。発光素子30上への蛍光物質の配置は、蛍光物質の粒子を塗布したり、蛍光物質が含有された層やシートを貼り付けたり、することができる。これにより、種々の色味の発光装置を提供することができる。
【0035】
以上のような構成を備える発光装置100は、発光素子実装部3の側面4を覆うように反射材料10が設けられていることと、反射材料10の反射率が金属板1の反射率よりも高くなるように形成されている。そのため、発光装置100は、発光素子30からの一部の光が反射材料10側に向かった場合でも効率的に反射して光を取出すことが可能となる。特に、発光素子実装部3の側面が斜面である場合に、より効率的に光を取出すことができる。また、発光装置100では、発光素子実装部3の上面5の面積が発光素子30の底面の面積の70%以下である場合で、発光素子実装部3の側面4が傾斜面のときに、発光素子からの一部の光を反射材料10から反射し易くなり、光取出し効率を向上させることが可能となる。
【0036】
次に、発光装置100の製造方法において以下に、図面を参照して説明する。
図8は、実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
発光装置の製造方法は、ここでは、金属板1と回路基板20とを準備する準備工程S11と、金属板1と回路基板20とを積層する積層工程S12と、金属板1の実装領域E1に反射材料10を設ける反射材料形成工程S13と、発光素子実装部に発光素子を実装する発光素子実装工程S14と、発光素子30にワイヤ50を設けるワイヤ接続工程S15と、を主として行う。なお、発光装置の実装方法では、ワイヤ接続工程S15の後に封止部材を実装領域E1に形成する封止部材形成工程S16及び発光装置の集合体を個片化する個片化工程S17を行う。なお、
図10A~
図10Hでは、金属板集合体A1及び回路基板集合体B1において、1つの金属板1の部分と1つの回路基板20の部分との状態を、一部を省略して模式的に示している。
【0037】
(準備工程)
準備工程について、
図9A乃至
図10Bを用いて説明する。
図9Aは、実施形態に係る発光装置の製造方法において準備工程で用いられる回路基板集合体を一部省略して模式的に示す平面図、
図9Bは、実施形態に係る発光装置の製造方法において準備工程で用いられる金属板集合体の一部を省略して模式的に示す平面図である。また、
図10Aは、実施形態に係る発光装置の製造方法において金属板集合体のうちの1つの金属板に対応する部分を示す断面図、
図10Bは、実施形態に係る発光装置の製造方法において金属板集合体のうちの1つの金属板の部分についてエッチングして発光素子実装部を形成した状態を模式的に示す断面図である。
準備工程S11では、実質的には、金属板1を複数形成した金属板集合体A1と、回路基板20を複数形成した回路基板集合体B1とをそれぞれ準備する。金属板1の金属板集合体A1を準備する場合、ここでは、一定の厚みの金属の板、例えば銅合金板にマスクを設けてエッチングする。金属板集合体A1は、複数の実装領域E1及び周縁部6に対応する部分がエッチングにより形成された状態となる。また、回路基板集合体B1は、基材21上に配線22が形成された1つの回路基板20となる領域を複数備えている。回路基板20の回路基板集合体B1を準備する場合、基材21となる領域を複数形成できる基材板C1に、その領域ごとに配線22を形成する。基材板C1は、配線22が形成された後に配線以外の周縁部6の上面を被覆する樹脂26が設けられる。そして、基材板C1は、金属板1の実装領域E1に対応する位置を切断して開口25をそれぞれ形成することで回路基板集合体B1が準備される。
【0038】
(積層工程)
積層工程について、
図10Cを用いて説明する。
図10Cは、実施形態に係る発光装置の製造方法において金属板集合体及び回路基板集合体のうちの1つの金属板及び回路基板に対応する部分を積層した状態を模式的に示す断面図である。
次に、積層工程S12では、準備工程S11において準備した金属板1を複数有する金属板集合体A1と回路基板20を複数有する回路基板集合体B1とを接着材15を介して接着する。なお、積層工程S12において接着材15を介して接着した後に、接着材15の種類により加熱工程あるいは紫外線照射工程を行って接着材15を硬化させる工程を行ってもよい。
【0039】
(反射材料形成工程)
反射材料形成工程について、
図10Dを用いて説明する。
図10Dは、実施形態に係る発光装置の製造方法において金属板集合体のうちの1つの金属板の実装領域に反射材料を形成した状態を模式的に示す断面図である。
反射材料形成工程S13では、金属板集合体A1と回路基板集合体B1とが積層された後に、それぞれの金属板1の実装領域E1に反射材料10を設ける。反射材料形成工程S13では、反射材料10を、例えば、スプレーコートあるいは印刷方法等により実装領域E1の底面2及び発光素子実装部3の側面4の全面を覆うように形成する。反射材料10は、乾燥させることで部材に、引け、を生じさせ、隣り合う発光素子実装部3の側面4の間となる部分を凹ませている。このような凹みが形成されることで反射材料10は、光取出し面側に光を反射し易くなる。
【0040】
なお、反射材料10を設ける場合に、底面2、発光素子実装部3の側面4及び上面5まで被覆するように設けた後に、発光素子実装部3の上面5の反射材料を除去することとしてもよい。
図10Eは、実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの金属板の実装領域に形成した発光素子実装部の上面の反射材料を除去した状態を模式的に示す断面図である。上面5の反射材料を除去する場合には、研磨加工又は切削加工を行う。そして、研磨加工又は切削加工を行った後には、研磨くず又は切削くずを洗浄作業等で除去する作業を行うことが好ましい。
反射材料10は、金属板1の可視光反射率よりも高いので、底面2及び発光素子実装部3の側面4の全面に設けることにより、発光素子30からの光を反射して取出す効率を高めることができる。反射材料10が実装領域E1に形成されることで、実装基板11の実装基板集合体が形成される。反射材料10が形成されることで、実装基板11を多数う有する実装基板集合体が形成される。
【0041】
(発光素子実装工程)
発光素子実装工程について、
図10Fを用いて説明する。
図10Fは、実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの実装領域の発光素子実装部に発光素子を実装した状態を模式的に示す断面図である。
発光素子実装工程S14では、発光素子実装部3の上面5にダイボンド樹脂40を介して発光素子30を実装する。発光素子実装工程S14では、発光素子実装部3の上面5の面積が発光素子30の下面の面積より小さく(例えば40%以上)形成されている。ここでは、発光素子30は、その中心が上面5の中心と一致し、発光素子30の下面の周縁が上面5から外側にはみ出した状態で発光素子実装部3の上面5に設置される。
【0042】
(ワイヤ接続工程)
ワイヤ接続工程について、
図10Gを用いて説明する。
図10Gは、実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの金属板発光素子にワイヤを接続した状態を模式的に示す断面図である。
ワイヤ接続工程S15では、発光素子実装部3の上面5に設けられた発光素子30にワイヤ50を接続する。ワイヤ50は、ここでは、予め設定された発光素子30のグループがワイヤ接続部23a,24aに直列に接続され、各グループが互いに並列となるように接続されている。なお、ワイヤ50を発光素子30に設ける場合に、並列接続とは、隣り合う発光素子30におけるp電極同士又はn電極同士がワイヤ50によって電気的に接続された状態を意味している。
【0043】
(封止部材形成工程)
封止部材形成工程について、
図10Hを用いて説明する。
図10Hは、実施形態に係る発光装置の製造方法において実装基板集合体のうちの1つの実装領域に封止部材を形成した状態を模式的に示す断面図である。
封止部材形成工程S16は、金属板1上に枠体27を形成した後、金属板1の実装領域E1内に封止部材60を形成することで、実装領域E1内に配置されている発光素子30やワイヤ50等を封止する工程である。枠体27は、光反射性物質を含有した樹脂を用いることが好ましい。枠体27は、反射材料10と同様の材料を用いてもよく、例えば、酸化チタンやシリカなどの光反射性物質を高濃度に分散させたシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。枠体27は、回路基板20上に樹脂を環状となるよう滴下し硬化することで形成することができる。また、枠体27はワイヤを覆っていないため、環状の成形体を形成した後、接着材で枠体27を回路基板20に貼り付けることもできる。封止部材形成工程S16では、溶融状態の封止部材60が、例えば、ポッティングにより、実装領域E1内に充填される。また、封止部材60は、実装領域E1において中央を周縁よりも高く形成することでレンズの役割ができるようにも形成することができる。
【0044】
(個片化工程)
封止部材形成工程S16の後に個片化工程S17が行われる。
個片化工程S17は、発光装置100ごとに、金属板集合体A1において予め設定されている接続線に沿って切断作業が行われることで、個々の発光装置100を形成する工程である。個片化工程S17では、予め設定されている切断部分を、切断装置を使用して切断することで、発光装置100ごとに個片化している。
【0045】
以上説明したように、準備工程S11~反射材料形成工程S13を行うことで実装基板11を複数有する実装基板集合体が形成される。また、準備工程S11~ワイヤ接続工程S15を含み、個片化工程S17を行うことで発光装置100を製造することができる。
【0046】
なお、以上説明した実装基板11あるいは発光装置100では、前記した各構成に限定されるものではなく、例えば、以下に示す構成であってもよい。
図11は、実施形態に係る発光装置において金属板の変形例について一部を模式的に示す断面図である。
例えば、金属板1の底面2から一体に形成される発光素子実装部3は、エッチングにより形成される例として説明したが、
図11に示すように、プレス加工等により金属板1Aをプレスして底面2Aから延びた高い位置に発光素子実装部3Aを突出させて形成してもよい。金属板1Aは、金属の薄板を加工することで形成する以外は、前記した実装基板11及び発光装置100と変わらない構成となる。
【0047】
また、発光素子実装部3,3Aは、上面5,5Aが、金属板1,1Aとは異なる材料で鍍金されていてもよい。鍍金する金属は、例えば、金属板1,1Aよりも可視光反射率が高い材料が使用されることが望ましい。具体的には、金属板1,1Aに加工性が高い銅あるいは銅合金等の金属材料を使用し、鍍金する金属材料として反射率が銅合金等よりも高いアルミニウムあるいはアルミニウム合金や、銀あるいは銀合金等を使用することとしてもよい。金属板1,1Aの金属の材質と鍍金する金属の材質を変えることで、設計の幅を広げることができる。
【0048】
また、実装領域E1は、発光素子実装部3を等間隔で形成するとして説明したが、発光装置100が使用される用途等により発光素子実装部3の配置を適宜変えて形成する構成としてもよい。そして、実装領域E1の平面視形状は、円形に限定されるものではなく、例えば、矩形、矩形の角を曲線に形成した形状、楕円形等であってもよい。
なお、発光素子30を複数の種類、例えば、2つの種類、3つの種類、あるいは、4つの種類を使用してもよく、各発光素子30の種類ごとに実装する領域を決めて発光素子実装部3に実装する構成としてもよい。また、発光素子30を複数使用してその種類ごとに制御するには、種類ごとに配線22を独立して有することとすればよい。
【0049】
さらに、異なる実施形態として、
図12を用いて説明する。
図12は、実施形態に係る実装基板及び発光装置の変形例を模式的に示す断面図である。この変形例は、枠体の形状が異なる以外は上述とほぼ同じである。
上述の封止部材形成工程において、ワイヤ接続部23a,24a及びワイヤ50の一部を覆うように、光反射性物質を含有した樹脂を用いて滴下又は射出にて枠体27aを形成する。ワイヤ接続部23a、24aを枠体27aで覆っており、かつ、枠体27aを所定の厚み及び高さにすることができるため、発光素子30からの光取り出し効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1,1A 金属板
2,2A 底面
3,3A 発光素子実装部
4 側面
5 上面
6 周縁部
10 反射材料
11 実装基板
15 接着材
20 回路基板
21 基材
22 配線
23 外部接続端子
23a ワイヤ接続部
25 開口
26 樹脂
27,27a 枠体
29 凹部
30 発光素子
40 ダイボンド樹脂
50 ワイヤ
60 封止部材
100 発光装置
A1 金属板集合体
B1 回路基板集合体
C1 基材板
E1 実装領域
S11 準備工程
S12 積層工程
S13 反射部材形成工程
S14 発光素子実装工程
S15 ワイヤ接続工程
S16 封止部材形成工程
S17 個片化工程