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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20221214BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20221214BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20221214BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01L21/302 104H
H01L21/316 M
H01L21/90 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019055096
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020155716
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】野沢 秀二
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-522049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0096593(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0068848(US,A1)
【文献】特表2011-503840(JP,A)
【文献】特開2016-004802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/316
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に有機膜が形成された凹部を表面に備える基板に、当該基板の表面を覆う被覆膜を形成する工程と、
前記基板を加熱して前記有機膜をガス化させ、当該ガスを前記被覆膜を透過させて前記凹部内から除去し、前記凹部と前記被覆膜とに囲まれる封止空間を形成する工程と、
前記封止空間に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記基板に光照射して前記封止空間の前記処理ガスを活性化し、当該封止空間における前記有機膜の残渣と活性化した処理ガスとの反応による生成物のガスを、前記被覆膜を透過させて除去する光照射工程と、
を備え
前記光照射工程は、前記基板の周囲における前記処理ガスの分圧を1.33×10 Pa~3.99×10 Paにする工程を含む基板処理方法。
【請求項2】
前記被覆膜は、無機酸化物である請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記無機酸化物は、シリコン酸化物である請求項2記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記処理ガスは、酸素を含むガスである請求項1ないしのいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記光は真空紫外光である請求項1ないしのいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記ガス供給工程に続いて前記光照射工程が行われ、
前記光照射工程は前記基板の周囲の圧力を第1の圧力とする工程を含み、
前記ガス供給工程は、前記基板の周囲の圧力を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力とする工程を含む請求項1ないしのいずれ一つに記載の基板処理方法。
【請求項7】
内部に有機膜が形成された凹部を表面に備える基板に、当該基板の表面を覆う被覆膜を形成する被覆膜形成部と、
前記有機膜をガス化させ、当該ガスを前記被覆膜を透過させて前記凹部内から除去し、前記凹部と前記被覆膜とに囲まれる封止空間を形成するために、前記基板を加熱する加熱部と、
前記封止空間に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記封止空間の前記処理ガスを活性化させて、当該封止空間における前記有機膜の残渣と活性化した当該処理ガスとの反応による生成物のガスを、前記被覆膜を透過させて除去するために、前記基板に光照射する光照射部と、
を備え
前記ガス供給部は、前記光照射部による前記基板への光照射中に、前記基板の周囲における前記処理ガスの分圧が1.33×10 Pa~3.99×10 Paとなるように前記処理ガスを供給する基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)に各種の膜が形成され、各膜に配線パターンが形成される。また、半導体デバイスの配線間の電気特性を適切なものとするために、膜には空隙(エアギャップ)が形成される場合が有る。特許文献1では、アスペクト比について比較的高い溝が形成されたウエハの表面に、CVD(Chemical Vapor Deposition)により層間絶縁膜が形成される。溝の底に比べて溝の入口ではCVDによる成膜レートが高いことにより、成膜中に当該溝の入口で絶縁膜同士がつながることにより、上記のエアギャップが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-54307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、凹部と凹部上の膜とにより囲まれる封止空間を基板に形成するにあたり、当該封止空間に異物が残ることを防ぐことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の基板処理方法は、内部に有機膜が形成された凹部を表面に備える基板に、当該基板の表面を覆う被覆膜を形成する工程と、
前記基板を加熱して前記有機膜をガス化させ、当該ガスを前記被覆膜を透過させて前記凹部内から除去し、前記凹部と前記被覆膜とに囲まれる封止空間を形成する工程と、
前記封止空間に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記基板に光照射して前記封止空間の前記処理ガスを活性化し、当該封止空間における前記有機膜の残渣と活性化した処理ガスとの反応による生成物のガスを、前記被覆膜を透過させて除去する光照射工程と、
を備え
前記光照射工程は、前記基板の周囲における前記処理ガスの分圧を1.33×10 Pa~3.99×10 Paにする工程を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、凹部と凹部上の膜とにより囲まれる封止空間を基板に形成するにあたり、当該封止空間に異物が残ることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示の一実施形態である処理工程を示す基板の概略縦断側面図である。
図1B】前記処理工程を示す基板の概略縦断側面図である。
図1C】前記処理工程を示す基板の概略縦断側面図である。
図1D】前記処理工程を示す基板の概略縦断側面図である。
図2A】前記処理工程を示す基板の概略縦断側面図である。
図2B】前記処理工程を示す基板の概略縦断側面図である。
図3A】前記処理工程を示す基板の概略縦断側面図である。
図3B】前記処理工程を示す基板の概略縦断側面図である。
図4】前記処理工程を行う基板処理装置の一実施形態を示す平面図である。
図5】前記基板処理装置に設けられる成膜モジュールの縦断側面図である。
図6】前記基板処理装置に設けられる残渣除去モジュールの縦断側面図である。
図7】評価試験で取得されたウエハの画像に関する模式図である。
図8】評価試験で取得されたウエハの画像に関する模式図である。
図9】評価試験の結果を示すグラフ図である。
図10】評価試験の結果を示すグラフ図である。
図11】評価試験の結果を示すグラフ図である。
図12】評価試験の結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一実施形態であるウエハWの処理工程について、ウエハWの概略縦断側面図である図1A図1D図2A図2Bを参照しながら説明する。これらの各図は、ウエハWに一連の処理を行うことで当該ウエハWの表面が変化する様子を示している。その一連の処理をなす各処理については、ウエハWを処理容器内に格納し、処理容器内を排気することで、ウエハWの周囲を真空雰囲気とした状態で行われる。
【0009】
図1Aは処理開始前のウエハWを示している。当該ウエハWの表面には例えばSiO(酸化シリコン)により構成される層11が形成されており、層11には、ウエハWに配線を形成するためのパターンである凹部12が形成されている。そのようなウエハWに先ず、有機膜形成用の成膜ガスを供給し、有機膜として例えば、尿素結合を有する重合体であるポリ尿素膜13を凹部12内に埋め込むように形成する。
【0010】
その後、ウエハWを所定の温度に加熱することでポリ尿素膜13を解重合し、その表面部を限定的に除去する。この表面部の限定的な除去は、凹部12内にポリ尿素膜13が残留する一方で、凹部12の外側においてはポリ尿素膜13が全て除去されて層11の表面が露出するように行われる。例えば、このポリ尿素膜13の成膜と、ポリ尿素膜13の表面部の除去とからなるサイクルを繰り返し行うことで、凹部12内に繰り返しポリ尿素膜13を堆積し、その表面が所望の高さに至るように、当該ポリ尿素膜13の膜厚を上昇させる。図1Bでは、凹部12の外側の高さにその表面の高さが揃うように、ポリ尿素膜13を形成した例を示している。
【0011】
上記のサイクルが所定の回数行われた後、ウエハW表面にキャップ膜形成用の成膜ガスを供給し、被覆膜であるキャップ膜14がウエハWの表面を被覆するように形成される。より具体的には、キャップ膜14は、層11における凹部12の外側及びポリ尿素膜13の表面に接すると共に、当該凹部12を塞ぐように形成される(図1C)。このキャップ膜14は例えばSiOにより構成されており、後述するようにガス化させたポリ尿素膜13及びポリ尿素膜13から生じた残渣を凹部12内から除去できるように、これらのガスに対する透過性を有する。このガスの透過性を有するように、キャップ膜14の膜厚H1は、例えば10nm以下とされる。さらにキャップ膜14は、上記の残渣の除去を行えるように、真空紫外光(VUV:Vacuum Ultra Violet)に対する透過性を有すると共に、このVUVによって生成する後述のラジカルに対して比較的高い耐性を有している。なお、例えば残渣の除去に用いる酸素ガスに対するキャップ膜14のガス透過度は、常温且つ常圧雰囲気において1g/mday以下である。
【0012】
キャップ膜14の形成後、ウエハWを所定の温度、例えば350℃以上の温度に加熱し、犠牲膜であるポリ尿素膜13を解重合させてガス化させる。生成したガスは、キャップ膜14を透過して凹部12内から除去される。このように凹部12内からポリ尿素膜13が除去されることで、凹部12及びキャップ膜14に囲まれる空孔として、封止空間15が形成される。この封止空間15は既述したエアギャップを構成する。このように封止空間15が形成される一方で、ポリ尿素膜13の一部は変質して有機物の残渣16を生じ、当該残渣16は例えば固体の異物として封止空間15に留まる(図1D)。
【0013】
続いて、ウエハWを例えば100℃~300℃に加熱した状態で、残渣16を除去するための処理ガスとして、例えばO(酸素)ガスをウエハWに供給すると共に、ウエハWの表面に、例えば波長172nmのVUVを照射する。Oガスは、キャップ膜14を透過して封止空間15にて拡散する。そして、VUVもキャップ膜14を透過して封止空間15に供給され、封止空間15に拡散したOガスが、当該VUVからエネルギーを受けて活性化される。具体的には、Oガスから、酸素ラジカルとオゾンガスとが発生し、オゾンガスはさらに分解して酸素ラジカルを生じる。なお、図2A中の矢印はVUV、21は活性化される前の酸素ガス、22は活性化後の酸素ガス、即ち酸素ラジカルを夫々示している。このように封止空間15で生成した酸素ラジカル22は残渣16と反応し、当該残渣16は分解して、水、二酸化炭素、一酸化炭素などの分子量が比較的小さいガスとなり、これらのガスはキャップ膜14を透過して封止空間15から除去される。
【0014】
上記のVUV照射時におけるウエハWの周囲のOガスの分圧が低すぎると、酸素ラジカルの生成量が少ないため、十分に残渣を除去することができないおそれが有る。一方で、当該Oガスの分圧が高すぎると、VUVが封止空間15に到達する前にウエハWの周囲のOガスに吸収されて封止空間15に供給される量が少なくなり、封止空間15におけるOガスの活性化作用が弱まるおそれが有る。そこで、後述の評価試験でも示すように、このVUV照射時におけるウエハWの周囲のOガスの分圧は、例えば1.33×10Pa(10Torr)~2.66×10Pa(20Torr)とすることが好ましい。残渣16が分解されて封止空間15から除去された後は、ウエハWへのOガスの供給とVUVの照射とが停止し、一連の処理が終了する(図2B)。
【0015】
ところで、上記の残渣16を除去するにあたり、図2Aで説明したVUV照射とOガスの供給とによる封止空間15でのラジカルの生成を行う代わりに、封止空間15の外側からラジカルを供給したとする。しかし、そのように封止空間15の外側で生成したラジカルは、キャップ膜14の透過中に失活し、残渣16に作用し難い。また、封止空間15へのOガスの供給を行わずにVUVを照射する、即ちラジカルの作用によらず、VUVの作用のみで有機物である残渣16を除去することが考えられるが、後述の評価試験でも示されるように、十分な分解速度を得ることができない。
【0016】
しかし、上記の実施形態で説明した処理によれば、キャップ膜14の形成後、加熱によりポリ尿素膜13をガス化させてキャップ膜14を介して凹部12から除去して、凹部12内(封止空間15)にOガスを供給可能な状態とする。そして、当該Oガスを封止空間15に供給された後、VUVを照射して封止空間15にてラジカルを生成させている。従って、残渣16に作用する前にラジカルが失活することが抑制され、残渣16を確実性高く、且つ速やかに除去することができる。
【0017】
また、上記のように残渣16が除去されることで、既述した一連の処理の後処理において、例えばウエハWが加熱された際に当該残渣16がガス化して影響を及ぼすことを防ぐことができる。さらに封止空間15において、残渣16が滞留したままの状態となることによって、ウエハWに形成される配線間の電気特性が影響されることを抑制することができる。従って、上記の実施形態によれば、残渣16を確実に除去することができるので、ウエハWから製造される半導体製品の歩留りを向上させることができる利点が有る。
【0018】
なお、封止空間15を形成する他の方法として、凹部12を構成する層11よりもエッチングガスに対する選択性が高い犠牲膜を凹部12内に形成した後、上記のキャップ膜を成膜し、このキャップ膜に凹部12に重なるように微小な孔部を形成することが考えられる。孔部の形成後は、当該孔部を介してエッチングガスを凹部12内に供給、拡散させて犠牲膜を除去し、然る後、キャップ膜14の孔部が塞がれるように、CVDによって当該キャップ膜14上に積層膜を成膜する。しかし、この封止空間15の形成方法によれば、凹部12内にエッチングガスを十分に拡散させるために、凹部12内の大きさ、即ち封止空間15の大きさが比較的大きくなってしまうおそれが有る。従って、上記の実施形態によれば、封止空間15の大きさの自由度を高くすることができる利点が有る。
【0019】
ところで、封止空間15の形成後の残渣16の除去は、図2Aで示す工程で行うことに限られず、以下に説明する他の工程で行ってもよい。
図3A図3Bは、当該他の工程を示しており、具体的に説明すると、先ずウエハWにOガスを供給し、ウエハWの周囲の圧力(処理容器内の圧力)を比較的高い第2の圧力、具体的には例えば1.33×10Pa~1.33×10Paとする。そのような圧力とされることで、Oガスは効率良くキャップ膜14を透過して封止空間15に供給され、封止空間15におけるOガスの分圧が比較的高くなる(図3A)。ウエハWの周囲の圧力を上記の第2の圧力としている間は、VUVはウエハWの周囲のガスに吸収されてウエハWに到達し難いため、当該VUVの照射を行わない。
【0020】
然る後、ウエハWの周囲の圧力を第2の圧力よりも低い第1の圧力、具体的には例えば1.33×10Pa~1.33×10Paとする。この圧力の低下により、ウエハWの周囲のガスによるVUVの吸収が起こり難くなった状態で、ウエハWにVUVを照射する。このとき、上記のように封止空間15におけるOガスの分圧が高い状態となっているため、比較的多くの酸素ラジカル22が発生し、より確実に残渣16が除去される(図3B)。なお、第1の圧力と第2の圧力との差は、例えば10Torr以上である。
【0021】
続いて、図1A図1D図2A図2Bで説明した一連の処理を行う装置の一実施形態である基板処理装置3について、図4の平面図を参照して説明する。なお、基板処理装置3は、図2A図2Bの処理に代えて、上記の図3A図3Bで説明した処理を行うこともできる。基板処理装置3は、その内部雰囲気が例えば乾燥した窒素ガスにより常圧雰囲気とされる常圧搬送室31を備え、常圧搬送室31の手前には、ウエハWを格納するキャリアCを載置するための搬入出ポート32が左右方向に並べて設置されている。常圧搬送室31の正面壁には、前記キャリアCの蓋と一緒に開閉されるドア33が取り付けられている。常圧搬送室31内には、ウエハWを搬送するための関節アームで構成された第1の搬送機構34が設けられている。さらに、常圧搬送室31の搬入出ポート32側から見て左側壁には、ウエハWの向きや偏心の調整を行うアライメント室35が設けられている。
【0022】
常圧搬送室31における搬入出ポート32の反対側には、例えば2個のロードロック室36A、36Bが左右に並ぶように配置されている。ロードロック室36A、36Bと常圧搬送室31との間には、ゲートバルブ37が設けられている。ロードロック室36A、36Bの常圧搬送室31側から見て奥側には、真空搬送室38がゲートバルブ39を介して配置されている。
【0023】
真空搬送室38には、ゲートバルブ41を各々介して、ポリ尿素膜形成モジュール5A、アニールモジュール5B、キャップ膜形成モジュール5C、アニールモジュール5D、VUV照射モジュール5Eが接続されている。なお、アニールモジュール5Bは、ポリ尿素膜13を凹部12内に充填するにあたり、既述のようにウエハWを加熱することで不要なポリ尿素膜13の表面部を除去するモジュールである。アニールモジュール5Dは、キャップ膜14の形成後にウエハWを加熱し、ポリ尿素膜13を除去するモジュールである。また、真空搬送室38には、関節アームからなる2本の搬送アームを備えた第2の搬送機構42が設けられている。第2の搬送機構42により、ロードロック室36A、36B、ポリ尿素膜形成モジュール5A、アニールモジュール5B、5D、キャップ膜形成モジュール5C、VUV照射モジュール5E間でウエハWの受け渡しが行われる。
【0024】
図5は、ポリ尿素膜形成モジュール5Aを示している。例えばポリ尿素膜形成モジュール5Aは、ジアミンであるH6XDA(1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)を含む第1の成膜ガス、ジイソシアネートであるH6XDI(1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)を含む第2の成膜ガスをウエハWに各々供給する。これらのH6XDA及びH6XDIがウエハW表面において蒸着重合することで、ポリ尿素膜13が成膜される。
【0025】
図中51は処理容器であり、図中52は処理容器51内を排気して、真空雰囲気を形成するための排気機構である。図中53はウエハWを載置する載置台であり、載置されたウエハWを加熱して成膜時に適切な温度とするためのヒーターを備えている。図中54は、載置台53に対向するように設けられたシャワーヘッドである。図中55はシャワーヘッド54に接続されたガス供給機構55であり、後述の制御部30から出力される制御信号に基づいて、シャワーヘッド54への各種のガスの給断を行う。シャワーヘッド54の下面には多数の吐出孔が形成されており、ガス供給機構55から当該シャワーヘッド54に供給される各ガスが、各吐出孔から載置台53上のウエハWに吐出される。
【0026】
載置台53に載置されたウエハWが所定の温度に加熱された状態で、ガス供給機構55は、例えば第1の成膜ガス、N(窒素)ガス、第2の成膜ガス、Nガスをこの順でウエハWに供給するサイクル動作を行うことで、ウエハWにポリ尿素膜13が形成される。なお、このサイクル動作において供給されるNガスは、処理容器51内における不要な第1の成膜ガス、第2の成膜ガスを除去するパージガスである。
【0027】
アニールモジュール5B、5D及びキャップ膜形成モジュール5Cについては図示を省略するが、これらのモジュールは、例えばポリ尿素膜形成モジュール5Aと略同様に構成されている。アニールモジュール5B、5Dにおいては、シャワーヘッド54からNガスが供給されて処理容器51内がNガス雰囲気とされた状態で、載置台53に載置されたウエハWが加熱され、アニール処理される。キャップ膜形成モジュール5Cにおいては、シャワーヘッド54から既述した第1の成膜ガス及び第2の成膜ガスの代わりにキャップ膜形成用の成膜ガスが吐出されることで、CVDによりウエハWにキャップ膜14が形成される。なお、キャップ膜形成モジュールは被覆膜形成部を構成し、アニールモジュール5Dは加熱部を構成する。
【0028】
図6は、ガス供給部及び光照射部を構成するVUV照射モジュール5Eを示している。このVUV照射モジュール5Eは、ポリ尿素膜形成モジュール5Aと同様に、処理容器51、排気機構52、載置台53を備えている。なお、排気機構52は、例えば開度が変更自在なバルブと、当該バルブを介して処理容器51内を排気するポンプとを含む。排気機構52を構成するバルブの開度は、後述の制御部30から出力される制御信号に応じて変更され、このバルブの開度の変化に応じて処理容器51内の排気量が変化し、当該処理容器51内の圧力が調整される。また、処理容器51内には載置台53に対向するようにVUVの光源61が設けられており、窓部62を介して載置台53上のウエハWにVUVを照射することができる。
【0029】
そしてVUV照射モジュール5Eには、処理容器51内にガスを吐出するノズル63が設けられている。ノズル63には配管64の一端が接続されており、配管64の他端は分岐し、Nガス供給機構65と、Oガス供給機構66とに夫々接続されている。制御部30から出力される制御信号に基づいて、Nガス供給機構65、Oガス供給機構66は、ノズル63へのNガス、Oガスの給断を夫々行う。
【0030】
載置台53に載置されたウエハWが所定の温度に加熱されると共にNガス及びOガスが処理容器51内に供給された状態で、光源61からウエハWにVUVが照射され、図2Aで説明した酸素ラジカルによる残渣16の除去が行われる。このように光照射が行われる際に、処理容器51内におけるOガスの分圧が既述した範囲内の値となるように、ノズル63からNガス及びOガスが供給される。
【0031】
このVUV照射モジュール5Eでは、図3A図3Bで説明した処理を行うこともできる。そのように図3A図3Bの処理を行う場合は、排気機構52により処理容器51内の圧力が、上記の比較的高い第2の圧力とされた状態で、ノズル63からNガス及びOガスが処理容器51内に供給される。そして、排気機構52により処理容器51内の圧力が低下して第1の圧力になると、所定の温度に加熱されたウエハWに対してVUVの照射が行われて残渣16が除去される。
【0032】
図4に戻って説明すると、基板処理装置3は、コンピュータである制御部30を備えており、この制御部30は、プログラム、メモリ、CPUを備えている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、メモリーカード、DVD等に収納され、制御部30にインストールされる。制御部30は当該プログラムにより、基板処理装置3の各部に制御信号を出力し、各部の動作を制御する。具体的に、このプログラムは、基板処理装置3における各搬送機構の動作、ゲートバルブ37、39、41及びドア33の開閉、各モジュールの動作などを制御し、ウエハWに対して既述した一連の処理が実施されるようにステップ群が組まれている。
【0033】
上記の基板処理装置3における動作及びウエハWの搬送経路について説明する。図1Aで説明したようにその表面が形成されるウエハWを収容したキャリアCが搬入出ポート32上に載置されると、第1の搬送機構34によって当該ウエハWはキャリアCから取り出される。そして、当該ウエハWは、常圧搬送室31、アライメント室35、ロードロック室36Aの順で搬送される。その後、ウエハWは第2の搬送機構42により、ポリ尿素膜形成モジュール5Aとアニールモジュール5Bとの間で繰り返し搬送され、既述したポリ尿素膜13の成膜と、膜の表面部の除去とからなるサイクルが繰り返し行われる。それにより、図2Bに示したように凹部12内にポリ尿素膜13が成膜される。
【0034】
その後、第2の搬送機構42により、ウエハWはキャップ膜形成モジュール5Cに搬送されて図1Cに示したようにキャップ膜14が形成された後、アニールモジュール5Dに搬送されて、図1Dで説明したようにポリ尿素膜13が除去されて封止空間15が形成される。続いて、ウエハWは、第2の搬送機構42によりVUV照射モジュール5Eに搬送され、図2A図2Bで説明したように残渣16の除去が行われる。なお、既述したように図3A図3Bで説明したように残渣16の除去を行ってもよい。残渣16が除去されたウエハWは第2の搬送機構42により、真空搬送室38、ロードロック室36Bの順で搬送され、第1の搬送機構34によってキャリアCに戻される。
【0035】
ところで凹部12を形成する層11としては、SiOによって構成されることに限られず、例えばSiN(窒化シリコン)によって構成されていてもよい。また、キャップ膜14としては、既述のように残渣16の除去が行えるように光透過性及びガス透過性を有し、且つ残渣16の除去のために生成されるラジカルに対して比較的高い耐性を有するものであればよい。つまり、キャップ膜14については、シリコン酸化物(SiO)以外の無機酸化物により構成することができる。具体的には例えばAl(酸化アルミニウム)やTiO(酸化チタン)などにより、キャップ膜14を構成してもよい。
【0036】
また、残渣16の除去のために封止空間15に供給する処理ガスとしては、上記のように有機物を分解するラジカルを生成することができればよいため、酸素ガスであることには限られない。例えば水やオゾンなど、構成元素として酸素を含み、酸素ガスと同様に酸素ラジカルを生成する化合物のガスであってもよい。また、有機物を分解するラジカルとしてはハロゲンラジカルが有る。そこで、処理ガスとしては、ハロゲンによって構成される化合物を含むガスとしてもよい。具体的には例えば、フッ素ガスや塩素ガスを用いてもよい。
【0037】
さらに、ウエハWに照射する光としては、真空雰囲気を伝搬してキャップ膜14を透過し、封止空間15にてラジカルを発生させることができればよいので、VUVを用いることには限られない。ただし、波長が10nm~200nmであるVUVは、キャップ膜14に対する高い透過性を有すると共に、処理ガスに高エネルギーを与えて活性化させやすいため、好ましく用いることができる。
【0038】
なお、本願に開示された技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形、省略及び置換が可能である。例えば上記した実施形態では犠牲膜を形成する材料としてポリ尿素が用いられたが、熱分解可能な有機材料であれば、他の有機材料が用いられてもよい。熱分解可能な有機材料としては、ポリ尿素以外には、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、または熱気化可能な低分子材料などが考えられる。また、熱分解可能な有機材料は、当該有機材料を含む処理液を塗布することによって、被処理体(基板)の夫々の凹部内に埋め込まれてもよい。なお、キャップ膜14についても同様に処理液の塗布により成膜してもよい。
【0039】
また、ポリ尿素膜13を成膜する材料の一例としてH6XDA、H6XDIを示したが、これらの材料を用いることには限られず、例えば他の公知の材料を用いてポリ尿素膜13を成膜することができる。さらに、上記の基板処理装置3の構成についても一例であり、既述した構成に限られるものではない。例えば、アニールモジュール5B、5Dについて、VUV照射モジュール5Eと同様に光源61を備え、光源61からはVUVの代わりに例えば赤外線を照射することでウエハWを加熱する構成としてもよい。また、ポリ尿素膜を成膜する成膜モジュール5Aについて、第1の成膜ガス及び第2の成膜ガスを別々にウエハWに供給して成膜を行うように述べたが、これらのガスを同時にウエハWに供給して成膜を行ってもよい。
【0040】
(評価試験)
続いて、既述の本開示の実施の形態に関連して行われた評価試験について説明する。
(評価試験1)
図1A図1Dで説明した、ウエハWの凹部12内へのポリ尿素膜13の形成、SiOであるキャップ膜14の形成、ポリ尿素膜13を除去するアニール処理を行った。この一連の処理におけるキャップ膜14の形成後でアニール処理前、アニール処理後の各々で、電子顕微鏡(SEM)を用いてウエハWの縦断側面の画像を取得した。さらに、このアニール処理前のウエハWの表面及びアニール処理後のウエハWの表面について、FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)による分析と、XPS(X線光電分光法)による分析とを行った。なお、上記の一連の処理において、ポリ尿素膜13については、凹部12の外側の高さよりも当該ポリ尿素膜13の表面が低くなるように凹部12内に形成し、キャップ膜14については膜厚が2nmとなるように成膜した。
【0041】
図7図8は、上記のアニール処理前のウエハW、アニール処理後のウエハWから夫々取得された画像を模式図として表したものである。これらの模式図に示すように、アニール処理を行うことでポリ尿素膜13が除去されて封止空間15が形成されることが確認された。そして画像からは、この封止空間15に残渣16は確認されなかった。なお、図7図8に示すように、アニール処理前とアニール処理後とで、キャップ膜14の断面形状は異なっていた。
【0042】
また、FT-IRによってアニール処理前のウエハW、アニール処理後のウエハWから各々取得された赤外線吸収スペクトル(図示は省略している)を比較すると、吸光度のピークは互いに同じ波長に出現していた。つまり、FT-IRからは、アニール処理後の残渣16の存在は確認されなかった。
【0043】
しかし、XPSによる分析結果からは残渣16の存在が示唆された。このXPSの分析手法を詳しく述べると、ウエハWの表面を構成するSiOを10nm、100秒間エッチングした。従ってエッチングレートとしては、0.1nm/秒である。このエッチング中の5秒を1サイクルとして各サイクルにて測定を行った。図9のグラフでは、波形の重なりによる煩雑化を防ぐために、最初に行われたサイクルのスペクトルのみを表示している。グラフの縦軸は光電子放出強度を、グラフの横軸は結合エネルギー(単位:eV)を夫々示している。グラフの波形を見ると、285eV付近にC1sに関する、残渣16に対応する比較的小さいピークが出現している。なお、後の方のサイクルほど、このC1sのピークが小さくなった。
【0044】
(評価試験2)
評価試験2として、評価試験1と同様にウエハWの凹部12内へのポリ尿素膜13の形成、キャップ膜14の形成、ポリ尿素膜13を除去するアニール処理を順に行った。その後は評価試験1とは異なり、そのようにアニール処理されたウエハWを処理容器内に格納して150℃に加熱し、処理容器内にエア及びNガスを供給すると共に、処理容器内の圧力を200Torr(2.66×10Pa)とした。そのような状態でVUVをウエハWに5分間照射し、評価試験1と同様にXPSによる分析を行った。なお、処理容器内へ供給するNガスの流量、エアの流量は各々1slmとした。
【0045】
図10のグラフは評価試験2の結果を示しており、図9のグラフと同様、その縦軸、横軸は夫々光電子放出強度、結合エネルギーを示している。この図10のグラフでは、285eV付近におけるC1sのピークが観察されない。なお、図10のグラフは図9のグラフと同様に、最初のサイクルのスペクトルのみを表示しているが、他のサイクルのスペクトルについてもこの最初のサイクルのスペクトルと同様に、C1sのピークは見られなかった。
【0046】
評価試験1、2の結果から、アニール処理によるポリ尿素膜13の除去後、ウエハWには僅かにポリ尿素膜13から生じた残渣16が滞留していることが分かる。そしてこの残渣16は、ウエハWの周囲への酸素の供給と、VUVの照射とを共に行うことで除去されることが確認された。従って、評価試験1、2により、上記の実施形態の効果が確認された。
【0047】
(評価試験3)
評価試験3(3-1~3-8)として、表面にポリ尿素膜が形成されたウエハWを処理容器内にて150℃で加熱すると共に当該ウエハWの表面にVUVを照射する処理を行った。この処理は複数のウエハWについて行った。そして各ウエハWを処理するにあたり、処理容器内にはNガスのみか、あるいはNガス及びエアの供給を行った。またウエハW毎に、処理容器内へ供給するガスの流量、処理容器内の全圧、酸素の分圧及び処理時間についての組み合わせを変更して処理を行った。そして、処理後の各ウエハWについて、ポリ尿素膜の膜厚維持率(処理後の膜厚/処理前の膜厚)×100を算出した。各評価試験3-1~3-8の処理条件を以下に示す。なお、各評価試験3-1~3-8は、ウエハWの処理時間を1分、3分、5分に夫々設定して行っている。
【0048】
評価試験3-1として、Nガスの流量を0.1slm、処理容器内の全圧を0.4Torr(53.3Pa)とした。評価試験3-2として、Nガスの流量を0.1slm、処理容器内の全圧を10Torr(1.33×10Pa)とした。評価試験3-3として、Nガスの流量を0.1slm、処理容器内の全圧を600Torr(8.00×10Pa)とした。これらの評価試験3-1~3-3では、処理容器内へのエアの供給は行っていない。評価試験3-4として、Nガスの流量を0.1slm、処理容器内の全圧を10Torrとした。また、処理容器内の酸素分圧が2Torr(2.66×10Pa)となるように、エアの供給を行った。
【0049】
以下の評価試験3-5~3-8については、処理容器内へNガス及びエアの供給を行った。評価試験3-5として、Nガスの流量、エアの流量を各々1slmとし、処理容器内の全圧を100Torr(1.33×10Pa)、処理容器内の酸素分圧を10Torrとした。評価試験3-6として、Nガスの流量、エアの流量を各々1slmとし、処理容器内の全圧を100Torr、処理容器内の酸素分圧を20Torr(2.66×10Pa)とした。評価試験3-7として、Nガスの流量、エアの流量を各々1slmとし、処理容器内の全圧を200Torr(2.66×10Pa)、処理容器内の酸素分圧を20Torrとした。評価試験3-8として、Nガスの流量、エアの流量を各々1slmとし、処理容器内の全圧を600Torr、処理容器内の酸素分圧を60Torr(7.98×10Pa)とした。
【0050】
ガスの流量が0.1slmである評価試験3-1~3-4の結果を図11の棒グラフに示し、Nガス及びエアの流量が各々1slmである評価試験3-5~3-8の結果を図12の棒グラフに示している。これらの図11図12のグラフの縦軸は、上記の膜厚維持率(単位:%)を示している。また、グラフ中、模様の無い棒、斜線を付した棒、ドットを付した棒は、夫々処理時間が1分、3分、5分の試験結果である。
【0051】
グラフに示すように、評価試験3-1~3-8において、いずれも処理時間が長いほど膜厚維持率が減少している。即ち、処理時間が長くなるにつれてポリ尿素膜の除去が進行することが分かる。しかし、エアの供給が行われていない評価試験3-1~3-3については、各処理時間における膜厚維持率が85%以上と高い値を示し、ポリ尿素膜の除去が進行し難かった。そして評価試験3-1~3-3と、エアの供給が行われた評価試験3-4とを比較すると、処理時間が同じ場合には評価試験3-4の方が、膜厚維持率が低い。また、エアの供給が行われた評価試験3-5~3-8の結果と、評価試験3-1~3-3の結果とを比べると、処理時間が同じ場合には評価試験3-5~3-8の方が、膜厚維持率が低い。
【0052】
このような結果から、VUVを照射してウエハWに形成されたポリ尿素膜を除去するにあたり、ウエハWの周囲にエアが無いと膜厚維持率が高い、即ち膜の除去効率が低いことが分かる。また、エアを供給した場合にはエア中のOガスがVUVにより活性化されて、ポリ尿素膜に作用したことが考えられる。
【0053】
実施の形態で説明した残渣16についてもポリ尿素膜と同様に有機物であるため、VUVの照射時に酸素が供給されていないと除去効率が悪くなると考えられる。従って、この評価試験3の結果からは、上記の実施の形態においてVUVの照射のみで残渣16を完全に除去することは難しく、既述のようにウエハWに供給したOガスを活性化させて残渣16を除去することが有効であることが分かる。
【0054】
また、処理容器にエアを供給した評価試験3-4~3-8の結果について見ると、酸素ガスの分圧が比較的低い評価試験3-4及び酸素分圧が比較的高い評価試験3-8については、評価試験3-5~3-7に比べると、膜厚維持率が高かった。評価試験3-4、3-8で夫々膜厚維持率が比較的高かったのは、実施形態で説明したように十分な酸素ラジカルが発生しなかったこと、酸素ガスの分圧が高いために当該酸素ガスにVUVが吸収されてしまったことによると考えられる。一方、評価試験3-5~3-7の膜厚維持率は十分に低く、当該評価試験3-5~3-7においては、評価試験3-7が最も膜厚維持率が低く、良好な結果となった。この評価試験3-7における詳細な結果を示しておくと、処理時間が1分、3分、5分であるときのポリ尿素膜の除去率(除去された膜厚/処理時間)は、夫々45nm/分、28/nm/分、21nm/分であった。
【0055】
評価試験3-4~3-8の結果から、光照射時におけるウエハWの周囲の酸素分圧としては適切な範囲が有ることが分かる。そして、評価試験3-5~3-7が良好な結果であったことから、当該酸素分圧については、10Torr(1.33×10Pa)~20Torr(2.66×10Pa)とすることが好ましいことが分かる。ところで上記のように酸素分圧を20Torrとした評価試験3-7がより好ましい膜厚維持率となったが、それよりも10Torrだけ酸素分圧が低い評価試験3-6でも好ましい結果となっている。従って、20Torrよりも10Torrだけ高い30Torr(3.99×10Pa)としても、高い除去率を得ることができると考えられる。従って酸素分圧としては10Torr~30Torrとすることが好ましいと考えられる。
【符号の説明】
【0056】
W ウエハ
12 凹部
13 ポリ尿素膜
14 被覆膜
15 封止空間
16 残渣
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12