(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法及び発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20221214BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20221214BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20221214BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20221214BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/60
H01L33/54
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2019085159
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2018180882
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018208665
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018228563
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 啓
(72)【発明者】
【氏名】板東 洋一
(72)【発明者】
【氏名】池田 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】田村 元帥
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-220426(JP,A)
【文献】特開2015-023162(JP,A)
【文献】特開2003-324214(JP,A)
【文献】特開平05-218509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0240746(US,A1)
【文献】特開2018-018918(JP,A)
【文献】特開2018-093197(JP,A)
【文献】特開2015-228512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び前記上面の反対側に位置する第1下面を有する基材と、前記上面に配置される一対の第1配線と、を備える前駆体基板と、前記第1配線上に配置され、電極形成面に形成された一対の素子電極が半田により接続される発光素子と、を備える第1中間体を準備する工程と、
前記基材の第1下面側から前記前駆体基板を除去し、前記素子電極及び前記半田を含む第2下面を有する第2中間体を形成する工程と、
前記素子電極及び前記半田を被覆する一対の外部接続電極を前記第2下面に形成する工程と、を含む発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1中間体は、前記第2中間体を形成する工程の前に、前記発光素子の電極形成面及び前記半田の側面を被覆する第1反射部材を形成する工程を含む請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1中間体は、複数の前記発光素子が接続され、前記第2下面を形成する工程の前に、複数の前記発光素子の電極形成面及び前記半田の側面を一体的に被覆する第1反射部材を形成する工程を含む請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記外部接続電極は、前記第2下面から前記第1反射部材の側面の少なくとも一部に亘るように形成されている請求項2又は請求項3に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2下面を形成する工程において、研削により前記第1中間体の一部を除去する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記外部接続電極を前記第2下面に形成する工程において、前記外部接続電極をスパッタにより形成する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記一対の外部接続電極を前記第2下面に形成する工程において、前記一対の素子電極を連続して被覆する金属層を形成した後、前記金属層の一部を除去し前記一対の外部接続電極の一方と他方を形成する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記金属層の一部を除去する際に、レーザ光を照射して前記金属層の一部を除去する請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1配線は、発光素子の素子電極と対向する位置に凸部を備え、前記凸部の上面が窪みを備える請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2中間体は金属部材により形成されるアライメントマークを有し、前記一対の外部接続電極を前記第2下面に形成する工程の後に、前記アライメントマークを基準に前記発光装置ごとに個片化する工程を有する請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
光取出面と、前記光取出面の反対側に位置する電極形成面とを有する半導体積層体と、前記電極形成面に位置する一対の素子電極と、を備える発光素子と、
前記素子電極の側面を被覆する半田と、
前記電極形成面及び前記半田の側面を被覆する第1反射部材と、
前記素子電極、前記第1反射部材、及び、前記半田と接する外部接続電極と、を備える発光装置。
【請求項12】
前記一対の素子電極の下面と、前記半田の下面と、前記第1反射部材の下面とが同一平面となるように形成された請求項11の発光装置。
【請求項13】
前記発光素子の光取出面側に前記発光素子の光取出面よりも大きな下面を有する透光性部材を備える請求項11又は請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記透光性部材の下面と前記発光素子の光取出面との間に位置すると共に、前記発光素子の側面を被覆する導光部材を備える請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記導光部材を介して前記発光素子の側面を被覆する第2反射部材を備える請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記発光素子を複数備える請求項11乃至請求項15のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項17】
前記外部接続電極は、前記素子電極よりも面積が大きい請求項11乃至請求項16のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項18】
前記半田が前記素子電極を囲む請求項11乃至請求項17のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項19】
前記第1反射部材が前記発光素子の側面を被覆する請求項11乃至請求項18のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項20】
前記素子電極の側面の全てが前記半田に被覆される請求項11乃至請求項19のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項21】
前記外部接続電極は、前記第1反射部材の側面の少なくとも一部まで形成された請求項11乃至請求項20のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(LED素子)は、バックライト用光源や各種照明など様々な用途で広く利用されている。特許文献1には、凹部を有する発光素子収納用パッケージと、凹部に収容され搭載された発光素子と、を具備する小型の発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光装置を組み込んだ製品の小型化を図るために、発光装置は更なる薄型化の要求がある。そこで、本発明に係る実施形態は、薄型の発光装置の製造方法及び薄型の発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、上面及び前記上面の反対側に位置する第1下面を有する基材と、前記上面に配置される一対の第1配線と、を備える前駆体基板と、前記第1配線上に配置され、電極形成面に形成された一対の素子電極が半田により接続される発光素子と、を備える第1中間体を準備する工程と、前記基材の第1下面側から前記前駆体基板を除去し、前記素子電極及び前記半田を含む第2下面を有する第2中間体を形成する工程と、前記素子電極及び前記半田を被覆する一対の外部接続電極を前記第2下面に形成する工程と、を含む。
【0006】
本開示の実施形態に係る発光装置は、光取出面と、前記光取出面の反対側に位置する電極形成面とを有する半導体積層体と、前記電極形成面に位置する一対の素子電極と、を備える発光素子と、前記素子電極の側面を被覆する半田と、前記電極形成面及び前記半田の側面を被覆する第1反射部材と、前記素子電極、前記第1反射部材、及び、前記半田と接する外部接続電極と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る実施形態の発光装置の製造方法によれば、薄型の発光装置を提供することができる。また、本発明に係る実施形態の発光装置によれば、薄型に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】第1実施形態に係る発光装置の透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
【
図1B】第1実施形態に係る発光装置の外部接続電極側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
【
図2A】第1実施形態に係る発光装置の外部接続電極側を示す底面図である。
【
図2B】
図2AのIIB-IIB線における断面を示す断面図である。
【
図3A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図3B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法における第1中間体準備工程の一例を示すフローチャートである。
【
図4A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法において前駆体基板を一部省略して模式的に示す平面図である。
【
図5A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子と前駆体基板とを接続する状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図5B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子と前駆体基板とを半田を介して接続した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図5C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子を接続した前駆体基板に第1反射部材を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図5D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体を断面にして模式的に示す図である。
【
図5E】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、
図5DのEAで示す半田部分を拡大して模式的に示す図である。
【
図5F】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体の第2下面に外部接続電極を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図5G】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体に外部接続電極を形成した後に個片化して発光装置を断面にして模式的に示す図である。
【
図6A】第2実施形態に係る発光装置の第1透光性部材及び第2透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
【
図6B】第2実施形態に係る発光装置において
図6AのVIB-VIB線における断面図である。
【
図7A】第3実施形態に係る発光装置の第1透光性部材及び第2透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
【
図7B】第3実施形態に係る発光装置において
図7AのVIIB-VIIB線における断面図である。
【
図8】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートにおいて第1中間体準備工程の一例を示すフローチャートである。
【
図9A】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子と前駆体基板とを接続する状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図9B】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子と前駆体基板とを半田を介して接続した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図9C】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子を接続した前駆体基板に第1反射部材を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図9D】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射部材の上に第2導光部材を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図9E】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2導光部材上に第1導光部材を形成すると共に透光性部材を形成する状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図9F】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、透光性部材に溝部を形成した後に、溝部内に第2反射部材を充填した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図9G】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体の第1下面を研削して第2下面を形成した第2中間体を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図9H】第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体の第2下面に外部接続電極を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図10】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図11A】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子と前駆体基板とを接続して第1光反射性部材を設けた状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図11B】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射性部材から透光性部材の上面を露出させて第1中間体を形成した状態を断面にして示す図である。
【
図11C】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射部材の上面から第1切溝を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図11D】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体を断面にして模式的に示す図である。
【
図11E】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体に外部接続電極を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図11F】第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体に第2切溝を形成して個片化した発光装置を断面にして模式的に示す図である。
【
図12】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図13A】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体を形成した状態を断面にして示す図である。
【
図13B】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射部材の上面から第1切溝を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図13C】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体を断面にして模式的に示す図である。
【
図13D】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、支持基板に第2中間体の上面を支持した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図13E】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射部材の下面に第2切溝を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図13F】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体の第2下面及び第2切溝内に金属膜を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図13G】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2切溝内に第3切溝を形成して金属膜を切断し側面電極部及び下面電極部を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図13H】第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、支持基板を除去して発光装置毎を個片化した状態を断面にして模式的に示す図である。
【
図14A】各実施形態において外部接続電極の第1変形例を模式的に示す底面図である。
【
図14B】各実施形態において外部接続電極の第2変形例を模式的に示す底面図である。
【
図14C】各実施形態において外部接続電極の第3変形例を模式的に示す底面図である。
【
図15A】各実施形態において前駆体基板の第1配線の第1変形例を模式的に示す平面図である。
【
図15C】各実施形態において前駆体基板の第1配線の第2変形例を模式的に示す平面図である。
【
図15D】各実施形態において前駆体基板の第1配線の第3変形例を模式的に示す平面図である。
【
図16A】各実施形態において発光装置の第1変形例を模式的に示す底面図である。
【
図16B】各実施形態において発光装置の第2変形例を模式的に示す底面図である。
【
図16C】各実施形態において発光装置の第3変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図16D】各実施形態において発光装置の第4変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図16E】各実施形態において発光装置の第5変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図17A】各実施形態において溝の形成方法の一例を模式的に示す説明図である。
【
図17C】各実施形態において第1中間体に溝を形成した状態を模式的に示す説明図である。
【
図17D】
図17Cの第1中間体の側面視において溝を形成した状態を模式的に示す説明図である。
【
図17E】各実施形態において溝を形成した発光装置を個片化した状態を模式的に示す平面図である。
【
図17F】各実施形態において溝を形成した発光装置を個片化した状態を模式的に示す側面図である。
【
図17G】各実施形態において溝を発光装置の底面側に形成した変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図18】各実施形態において発光装置の前駆体基板を模式的に示す平面図である。
【
図19】
図18の一点鎖線で囲む領域WMaを拡大して模式的に示す拡大平面図である。
【
図21】第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体を断面にして模式的に示す図である。
【
図22】第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体について
図18の一点鎖線で囲む領域MWaを拡大して第2下面側からみた底面図である。
【
図23】各実施形態において発光装置の前駆体基板における他の構成を模式的に示す平面図である。
【
図24】第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体について
図23の一点鎖線で囲む領域MWcを拡大して第2下面側からみた底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。さらに、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。なお、本開示では、はじめに発光装置の構成を説明し、その後、発光装置の製造方法について説明を行う。
【0010】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る発光装置について
図1Aから
図2Bを参照して説明する。
図1Aは、第1実施形態に係る発光装置の透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
図1Bは、第1実施形態に係る発光装置の外部接続電極側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
図2Aは、第1実施形態に係る発光装置の外部接続電極側を示す底面図である。
図2Bは、
図2AのIIB-IIB線における断面を示す断面図である。
発光装置100は、発光素子20と、発光素子20の素子電極21,22の側面を被覆する半田60と、発光素子20の電極形成面203及び半田60の側面を被覆する第1反射部材30と、素子電極21,22、第1反射部材30、及び、半田60と接する外部接続電極71,72と、を備えている。
以下、発光装置100の各構成について説明する。
【0011】
<発光素子>
発光素子20は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子である。この発光素子20は、窒化物半導体等から構成される既知の半導体素子を使用することができる。
発光素子20は、素子基板24及び素子基板24に積層される半導体積層体23と、半導体積層体23に設けられた一対の素子電極21,22とを備えている。発光素子20は、ここでは、素子基板24の上面を光取出面201とし、光取出面201の反対側に位置する半導体積層体23の下面を電極形成面203としている。
発光素子20としては、例えばLEDチップが挙げられる。発光素子20は、少なくとも半導体積層体23を備え、多くの場合に素子基板24をさらに備える。また、発光素子20は、素子電極21,22を有し、素子電極21,22が、金、銀、銅、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。半導体材料としては、窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。
【0012】
このほか、半導体材料としては、InAlGaAs系半導体、InAlGaP系半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、炭化珪素などを用いることもできる。発光素子20の素子基板24は、主として半導体積層体23を構成する半導体の結晶を成長可能な結晶成長用基板である。なお、素子基板24は、結晶成長用基板から分離した半導体素子構造に接合させる接合用基板であってもよい。
素子基板24が透光性を有することで、フリップチップ実装を採用しやすく、また光の取り出し効率を高めやすい。素子基板24の母材としては、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、シリコン、炭化珪素、ガリウム砒素、ガリウム燐、インジウム燐、硫化亜鉛、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、ダイヤモンドなどが挙げられる。なかでも、サファイアが好ましい。素子基板24の厚さは、適宜選択でき、例えば0.02mm以上1mm以下であり、素子基板24の強度及び/若しくは発光装置100の厚さの観点において、0.05mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
【0013】
発光素子20は、同一面側に正負一対の素子電極21,22を有するものが好ましい。これにより、発光素子20をフリップチップ実装することができる。発光素子20は、発光素子20の素子電極21,22が位置する面である電極形成面203と反対側の面を光取出面201とする。なお、発光素子20は、素子基板24を有するが、最終的な発光装置100の構成となったときに素子基板24を備えていなくてもよい。また、発光素子20の光取出面201には、ここでは、透光性部材50が設置され、第1反射部材30から露出するように形成されている。なお、素子電極の上面とは、素子電極において、電極形成面と対面する面のことである。素子電極21,22の下面とは、素子電極21,22の上面とは反対側に位置し、前駆体基板10の第1配線12,13と対面する面のことである。素子電極21,22の側面とは、素子電極21,22の上面と素子電極21,22の下面との間に位置する面のことである。
【0014】
<半田>
半田60は、発光素子20の素子電極21,22の側面を被覆するように形成されている。半田60は、発光素子20の素子電極21,22と共に外部接続電極71,72に電気的に接続する部材である。半田の材料としては、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの公知の材料を用いることができる。
また、半田60は、電極形成面203から外部接続電極71,72に向かって半田の下面の面積が大きくなるように素子電極21,22の側面に形成されている。そして、半田60は、素子電極21,22の側面の50%以上、或いは、素子電極21,22の側面の全てを覆うように形成されることが望ましい。素子電極21,22の側面に半田60が形成されていることで、外部接続電極71,72等の実装材料が、素子電極21,22と第1反射部材30との間から侵入することを抑制して半導体積層体23の劣化を防止することができる。また、上面視において、半田が素子電極を囲むように形成されることが望ましい。なお、上面視とは、基材の上面に対して実質的に垂直な方向から見た場合を指す。
【0015】
さらに、半田60は、素子電極21,22と第1反射部材30との間において、電極形成面203から外部接続電極71,72に向かって第1反射部材30側に半田60の側面が傾斜して下面の面積を大きく形成している。そのため、半田60が形成されない場合と比較した場合、素子電極21,22の下面及び半田60の下面を併せて放熱面積を大きくして放熱性を上げることが可能となる。半田60の下面とは、半田の外部接続電極71,72に対面する面のことである。半田の側面とは、半田の下面から電極形成面側に向かう傾斜面のことである。なお、半田が、電極形成面と対面する上面を有する場合には、半田60の側面とは、半田の上面と半田の下面との間に位置する面のことである。
また、半田60は、ここでは、最終的な装置の構成となったときには除去されている前駆体基板10の第1配線12,13(
図5A参照)に素子電極21,22が接続されるときに用いられる。そのため、最終的な発光装置100としての構成では、前駆体基板10が除去されて、半田60が素子電極21,22の側面(側周面)に形成されている状態となる。
なお、半田60の下面と、一対の素子電極21,22の下面と、後記する第1反射部材30の下面とは同一平面になるように形成されることが好ましい。これらの各下面が同一平面上になることで、後記する外部接続電極71,72が形成し易くなる。
【0016】
<透光性部材>
透光性部材50は、発光素子20の光取出面201を被覆し、発光素子20を保護する透光性の部材である。透光性部材50は、上面視において発光素子20の光取出面201よりも大きな面積で形成されている。透光性部材50は、その下面が第1導光部材40を介して発光素子20の光取出面201に接続されていていてもよい。第1導光部材40は発光素子20の光取出面201と、透光性部材50の間のみに位置して発光素子20と透光性部材50を固定してもよいし、発光素子20の光取出面201から発光素子20の素子側面202まで被覆して発光素子20と透光性部材50を固定してもよい。
【0017】
透光性部材50の材料として、例えば、樹脂を用いることができる。透光性部材50に用いることができる樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂が挙げられる。透光性部材50の材料として、エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より発光装置100の強度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので好ましい。透光性部材50は、波長変換粒子及び/又は拡散粒子を含有していてもよい。なお、波長変換粒子及び/又は拡散粒子は、公知のものを使用することができる。
透光性部材50は、波長変換粒子を含有しない透光層52と、波長変換粒子を含有する波長変換層51とを備えていてもよい。また、波長変換層51は、第1波長変換層51A1及び第2波長変換層51A2を有するようにしてもよい。透光性部材50の構成をこのようにすることで、発光装置100の色調整が容易になる。
【0018】
波長変換粒子は、発光素子20が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。透光性部材50に波長変換粒子を含有させることにより、発光素子20が発する一次光と、波長変換粒子が発する二次光とが混色された混色光を出力することができる。例えば、発光素子20に青色LEDを、波長変換粒子にYAG等の蛍光体を用いれば、青色LEDの青色光と、この青色光で励起されて蛍光体が発する黄色光とを混合させて得られる白色光を出力する発光装置100を構成することができる。また、発光素子20に青色LEDを、波長変換粒子に緑色蛍光体であるβサイアロン系蛍光体と、赤色蛍光体であるマンガン賦活フッ化物系蛍光体を用いて白色光を出力する発光装置100を構成してもよい。
【0019】
透光性部材50では、波長変換層51及び透光層52を備える場合、光の取出面501に向かう方向において、透光層52を波長変換層51よりも上側に位置する。このようにすることで、透光層52が保護層の機能を果たすので波長変換粒子の劣化を抑制できる。また、透光層52が波長変換層51の上に位置することで、水分に弱い波長変換粒子を使用することができる。例えば、波長変換粒子として、マンガン賦活フッ化物蛍光体も使用することができる。マンガン賦活フッ化物系蛍光体は、スペクトル線幅の比較的狭い発光が得られ色再現性の観点において好ましい部材である。
また、波長変換層51では、第1波長変換層51A1と、第1波長変換層51A1を被覆する第2波長変換層51A2の構成とする場合、第2波長変換層51A2が、第1波長変換層51A1を直接被覆してもよく、透光性の別の層を介して第1波長変換層51A1を被覆してもよい。第1波長変換層51A1に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、第2波長変換層51A2に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長よりも短いことが好ましい。このようにすることで、発光素子20に励起された第1波長変換層51A1からの光によって、第2波長変換層51A2の波長変換粒子を励起することができる。これにより、第2波長変換層51A2の波長変換粒子からの光を増加させることができる。
【0020】
第1波長変換層51A1に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、500nm以上570nm以下であり、第2波長変換層51A2に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、610nm以上750nm以下であることが好ましい。このようにすることで、色再現性の高い発光装置とすることができる。例えば、第1波長変換層51A1に含有される波長変換粒子としてβサイアロン系蛍光体が挙げられ、第2波長変換層51A2に含有される波長変換粒子としてマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体が挙げられる。第2波長変換層51A2に含有される波長変換粒子としてマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体を用いる場合には、特に、透光性部材50が、第1波長変換層51A1と、第2波長変換層51A2と、を備えることが好ましい。マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体は輝度飽和を起こしやすいが、第2波長変換層51A2と発光素子20との間に第1波長変換層51A1が位置することで発光素子20からの光が過度にマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体に照射されることを抑制することができる。これにより、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体の劣化を抑制することができる。
【0021】
<第1導光部材>
第1導光部材40は、発光素子20と透光性部材50を固定し、発光素子20からの光を透光性部材50に導光する部材である。第1導光部材40の母材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂が挙げられる。第1導光部材40の材料として、エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より発光装置100の硬度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので好ましい。第1導光部材40は、前記した透光性部材50の波長変換層51と同様の波長変換粒子及び/又は拡散粒子を含有していてもよい。
【0022】
第1導光部材40は、発光素子20の光取出面201と、透光性部材50の間のみに位置して発光素子20と透光性部材50を固定してもよいし、発光素子20の光取出面201から発光素子20の素子側面202まで被覆して発光素子20と透光性部材50を固定してもよい。なお、第1導光部材40は、透光性部材50と光取出面201の間のみに位置する場合には、発光素子20の側面が第1反射部材30により被覆されることになる。第1導光部材40は、第1反射部材30よりも発光素子20からの光の透過率が高い。このため、第1導光部材40が発光素子20の側面まで被覆することで、発光素子20の素子側面202から出射される光が第1導光部材40を通して発光装置100の外側に取り出しやすくなるので光取り出し効率を高めることができる。
【0023】
<第1反射部材>
第1反射部材30は、透光性部材50の光の取出面501側に光を反射し発光素子20からの光が、発光装置100を実装する実装基板に吸収されることを抑制する部材である。第1反射部材30は、発光素子20の素子側面202を直接又は第1導光部材40を介して被覆してもよい。また、第1反射部材30は、発光素子20の素子側面202、電極形成面203、半田60の側面及び透光性部材50の側面を被覆するように形成されてもよい。第1反射部材30は、発光素子20の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりいっそう好ましい。第1反射部材30の材料としては、例えば、母材中に白色顔料を含有させた部材を用いることができる。第1反射部材30の母材としては、樹脂を用いることが好ましく、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂、などを用いることが好ましい。特に、第1反射部材30の母材として、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より発光装置の硬度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので第1反射部材30の母材として用いることが好ましい。第1反射部材30は、発光素子20からの光が透過しない程度に所定の厚みにすることで発光素子20からの光が第1反射部材を透過することを抑制し、光取り出し効率を向上させることができる。なお、発光素子からの光が透過しないとは、発光素子からの光の50%以上が透過しないことが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがよりいっそう好ましい。
【0024】
<外部接続電極>
外部接続電極71,72は、発光装置100を外部の電極に接続するためのものである。外部接続電極71,72は、素子電極21,22及び半田60の下面に接するように形成されている。外部接続電極71,72のそれぞれは、素子電極21及び半田60の下面、或いは、素子電極22及び半田60の下面の面積と同等又は同等以上の大きさの面積になるように形成されている。外部接続電極71,72は、例えば、銀、白金、アルミニウム、ロジウム、金若しくはこれらの合金等を、互いに離間して層状に設けることで形成されている。なお、外部接続電極71,72は、発光装置の下面の周端まで形成されていてもよく、外部接続電極71,72が発光装置の下面の周端から離間して形成されていてもよい。外部接続電極71,72が発光装置の下面の周端まで形成されている場合には、発光装置の側面が実装基板の実装面に対向して実装される側面発光型の発光装置でも外部接続電極71,72から電気を供給しやすくなる。また、外部接続電極71,72が発光装置の下面の周端から離間して形成されている場合には、外部接続電極71,72にバリが発生することを抑制できる。
【0025】
発光装置100は、以上説明したような各構成により形成される。発光装置100は、発光素子を載置する基板を有していないので、発光装置の上面(光の取出面501)から下面(外部接続電極71,72)までの寸法を小さくすることができる。そのため、発光装置100では、液晶ディスプレイのバックライト装置、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、プロジェクタ装置、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置などに利用することができる。また、発光装置100では、素子電極21,22の側面を被覆する半田60と、外部接続電極71,72と、が接しているので、素子電極の側面を被覆する半田が形成されていない場合よりも、発光装置の放熱性が向上する。なお、発光装置の光の取出面501とは、発光装置において最上面に位置し、発光素子からの光を取り出す面のことである。このため、発光装置の最上面に透光性部材50の上面が位置する場合には、透光性部材50が発光装置の光の取出面501を有する。また、発光装置の最上面に発光素子20の上面が位置する場合には、発光素子20が発光装置の光の取出面501を有する。
【0026】
次に、発光装置の製造方法について、
図3A、
図3B、
図4A、
図4B、
図5A~
図5Gを参照して説明する。
図3Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図3Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における第1中間体準備工程の一例を示すフローチャートである。
図4Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において前駆体基板を一部省略して模式的に示す平面図である。
図4Bは、
図4AのIVB-IVB線における断面図である。
図5A~5
図Gは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、
図5Aは、発光素子と前駆体基板とを接続する状態を断面にして模式的に示す図、5
図Bは、発光素子と前駆体基板とを半田を介して接続した状態を断面にして模式的に示す図、
図5Cは、発光素子を接続した前駆体基板に第1反射部材を形成した状態を断面にして模式的に示す図、
図5Dは、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体を断面にして模式的に示す図、
図5Eは、
図5Dの半田部分を拡大して示す図、
図5Fは、第2中間体の第2下面に外部接続電極を形成した状態を断面にして模式的に示す図、
図5Gは、第2中間体に外部接続電極を形成した後に個片化して発光装置を断面にして模式的に示す図である。
【0027】
発光装置の製造方法は、以下の工程を少なくとも含むように行われている。
(1)上面の反対側に位置する第1下面を有する基材と、上面に配置される一対の第1配線と、を備える前駆体基板と、第1配線上に配置され、電極形成面に形成された一対の素子電極が半田により接続される発光素子と、を備える第1中間体を準備する第1中間体準備工程S11を行う。
(2)基材の第1下面側から前駆体基板を除去し、素子電極及び前記半田を含む第2下面を有する第2中間体を形成する第2中間体形成工程S12を行う。
(3)素子電極及び半田を被覆する一対の外部接続電極を前記第2下面に形成する外部接続電極形成工程S13を行う。
以下、各工程について説明する。
【0028】
(第1中間体を準備する工程)
第1中間体準備工程S11は、前駆体基板10に半田60を介して発光素子20を接続した第1中間体101を準備する工程である。ここでは、説明を簡単にするために、
図4AのIVB-IVB線おける断面図の構成部分を主に説明する。つまり、第1中間体101では、行列方向に複数の発光素子20が配置されるが、2つの発光素子20が配置される部分を主について説明することとする。
図5A及び
図5Bに示すように、第1中間体準備工程S11において、第1中間体101は、前駆体基板10に発光素子20を接続して形成される。発光素子20は、前駆体基板10の基材11の上面111に形成された一対の第1配線12,13に、半田60を介して、素子電極21,22を接続する。第1配線12,13の面積は、発光素子20の素子電極21,22よりも広い。これにより、素子電極の側面を被覆する半田を形成しやすくなる。第1配線12,13は、発光素子20の素子電極21,22と対向する位置に、凸部を備えていてもよい。第1配線12,13が、凸部を備えることで、素子電極21,22を半田60により接続する際にセルフアライメント効果により位置合せを容易に行うことができる。
第1配線12,13の面積は、発光素子20の素子電極21,22と同等でもよい。このようにすることで、第1配線12,13に対する発光素子20の位置精度を向上させることができる。
【0029】
上面視における凸部の大きさは、特に限定されないが、凸部と対向するそれぞれの素子電極21,22の大きさに対して±10%以内の大きさであることが好ましい。このようにすることで、セルフアライメント効果が高めることができる。また、凸部の厚みは特に限定されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0030】
第1配線の材料としては、公知の金属材料を用いて形成することができる。例えば、第1配線の材料として銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの合金等で形成することができる。特に、第1配線の材料として銅又は銅合金を用いることが好ましい。このようにすることで、第1配線の放熱性が向上する。また、第1配線の表層が公知の金属材料によりめっきされていてもよい。例えば、第1配線の表層が金めっきされていることが好ましい。このようにすることで、第1配線が酸化することを抑制することができる。
なお、前駆体基板は、基材11の上面に配線として形成した第1配線の他に、基材11の下面に形成された第2配線を備えていてもよい。また、一対の第1配線とそれぞれ電気的に接続される第2配線を備えていてもよい。第2配線の材料としては、第1配線と同様の材料を用いることができる。
【0031】
ここで用いられる前駆体基板10は、後記するように、発光装置100となる段階では、除去されることになるものである。
なお、基材11は、上面111から第1下面112までの最大厚みは、一例として、100μm以上500μm以下であることが好ましい。基材の強度は、上面111から第1下面112までの厚みを100μm以上にすることで向上する。また、後記するように前駆体基板10を除去する際には、第1下面112から第1配線12,13並びに素子電極21,22の一部までを除去することで、発光装置の厚みを薄くしている。
【0032】
基材11は、樹脂若しくは繊維強化樹脂、セラミックス、ガラスなどの絶縁性部材を用いて構成することができる。樹脂若しくは繊維強化樹脂としては、エポキシ、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミドなどが挙げられる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、若しくはこれらの混合物などが挙げられる。
【0033】
第1中間体101において、発光素子20は、光取出面201を被覆する透光性部材50を接続してもよい。発光素子20が透光性部材50に被覆されることで、発光素子20を外部応力から保護することができる。第1中間体101は、基材11の第1配線12,13に発光素子20の素子電極21,22を、半田60を介して接続したものをいう。また、発光装置100では、透光性部材50の上面が装置の光の取出面501である。
【0034】
なお、
図5Cに示すように、第1中間体101は、発光素子20を配置した後に第1反射部材形成工程により、第1反射部材30を備えていてもよい。第1反射部材30は、透光性部材50の側面、発光素子20の電極形成面203、半田60の側面を被覆してもよい。第1反射部材30は、発光素子20の側面を、第1導光部材40を介して被覆するように設けられている。第1反射部材30は、例えば、発光素子20が配置された前駆体基板10を上下の金型に設置して、硬化すると第1反射部材30となる溶融した部材を金型内に充填して形成される。そして、第1中間体101は、第1反射部材30が形成された状態として準備される。
【0035】
(第2中間体を形成する工程)
図5D及び
図5Eに示すように、第1反射部材が形成された第1中間体101が準備できると、次に、第1中間体101に第2下面113を形成した第2中間体102を形成する第2中間体形成工程S12を行う。第2中間体形成工程S12では、第1中間体101の第1下面112側から素子電極21,22の一部の範囲までを、例えば、研削機械を介して削って第2下面113を形成することで第2中間体102を形成している。
第2中間体形成工程S12では、基材11の第1下面112側から発光素子20の素子電極21,22の一部までの範囲を除去して、第1中間体101の厚みを薄くする。前駆体基板の第1下面112から素子電極21,22の一部までを除去して、第1中間体101を薄くして第2下面113を形成して第2中間体102とすることで、薄型の発光装置100を製造することができる。第2下面113を形成する際に、素子電極21,22の一部までの範囲を除去する方法としては、研削、エッチング、切削、ブラスト等の公知の方法を用いることができる。なお、ここでは、素子電極21,22の一部までを除去する方法として研削を用いることが好ましい。このようにすることで、第1反射部材30の下面、素子電極21,22の下面、及び、半田60の下面が同一平面上となり第2中間体102の下面である第2下面113が平坦になる。そのため、複数の発光装置100を製造する場合に、発光装置100のバラつきを抑制することができる。
なお、第2下面113を形成した後には、研削くずが第2中間体102の様々な部分に付着して残存しないように洗浄工程を施してもよい。洗浄工程は、エアを第2中間体102に吹き付けることや、或いは、洗浄用液体に浸漬或いは洗浄用液体(固体二酸化炭素を含む)を吹き付けることで行うことができる。
【0036】
(外部接続電極を形成する工程)
図5Fに示すように、続いて、外部接続電極形成工程S13を行う。外部接続電極形成工程S13は、素子電極21,22及び半田60を被覆する一対の外部接続電極71,72を第2下面113に形成する工程である。一対の外部接続電極71,72とは、正負電極として機能する2つの電極のことである。このため、第2中間体102は、正負一対の電極となるよう互いに離間した一対の外部接続電極71,72を備える。なお、個片化前の一対の外部接続電極71,72は隣り合う一対の外部接続電極71,72と、離間していてもよく、繋がっていてもよい。なお、外部接続電極71,72は、金属層、金属膜或いは金属板により形成され、電気的な接続ができるものであればよい。
【0037】
一対の外部接続電極71,72を形成する方法としては、スパッタ、蒸着、めっき等の公知の方法を用いることができる。ここでは、一対の外部接続電極71,72を形成する方法としてスパッタを用いることが好ましい。このようにスパッタを用いることで、第2下面113と外部接続電極71,72と接合強度が向上しやすくなり、これにより、第2下面から外部接続電極71,72が剥がれることを抑制できる。スパッタにより一対の外部接続電極71,72を形成する場合には、一対の外部接続電極71,72が繋がって短絡しないためにマスク等を用いてもよい。
なお、外部接続電極71,72を形成する場合、連続して被覆する金属層を形成してから、一対の外部接続電極71,72となるように第2下面113に形成してもよい。これは、素子電極21,22に連続して形成した金属層の少なくとも一部を除去することにより、素子電極21,22と電気的に接続される一対の外部接続電極71,72を形成する。金属層の一部を除去する方法としては、レーザ光の照射、エッチング、ブラスト等の公知の方法を用いることができる。
【0038】
金属層の一部を除去する方法としてレーザ光の照射を用いることが好ましい。レーザ光の照射することでマスクなどを用いることがなく、金属層のパターニングをすることができる。金属層にレーザ光を照射すると、レーザアブレーションを生じさせることができる。これにより、金属層の一部が除去される。レーザ光を照射することにより、金属層がパターニングされることになり、金属層を外部接続電極とすることができる。なお、レーザアブレーションとは、固体の表面に照射されるレーザ光の照射強度がある大きさ(閾値)以上になると、固体の表面が除去される現象のことである。
金属層の一部を除去する方法としてレーザ光の照射を用いる場合には、レーザ光の波長は、金属層に対する反射率が低い波長、例えば反射率が90%以下である波長を選択することが好ましい。例えば、金属層の最表面がAuである場合には、赤色領域(たとえば640nm)のレーザよりも、緑色領域(例えば550nm)より短い発光波長のレーザを用いることが好ましい。これにより、アブレーションを効率よく発生させ、量産性を高めることができる。
【0039】
(個片化工程)
図5Gに示すように、個片化工程S14は、発光装置100ごとに個片化する工程である。この工程S14では、ブレードダイシング法やレーザダイシング法などによって、第2中間体102において隣接する発光素子20の側面との間に沿って、第1反射部材30を切断することで発光装置100毎に個片化される。このようにすることで、複数の発光装置100を製造することができる。
【0040】
<第2実施形態>
図6A及び
図6Bを参照して第2実施形態に係る発光装置100Aについて説明する。
図6Aは、第2実施形態に係る発光装置の第1透光性部材及び第2透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
図6Bは、第2実施形態に係る発光装置において
図6AのVIB-VIB線における断面図である。なお、発光装置100Aは、既に説明した発光装置100を2つ連続している構成と同等である。
発光装置100Aは、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2を備えると共に、第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2をそれぞれ第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2に対向して形成するような構成としている。
【0041】
第1発光素子20A1と第2発光素子20A2とが直線上に沿って、互いに離間して配置されている。第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2は、同じ色の光を発光するものを並列して用いることや、異なる色を発光するものを並列して用いることであってもよい。なお、第1発光素子20A1と第2発光素子20A2の発光ピーク波長が同じ場合は、第1発光素子20A1と第2発光素子20A2の発光のピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲(青色領域の波長範囲)であってもよい。また、第1発光素子20A1と、第2発光素子20A2の発光ピーク波長が異なる場合は、発光のピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲(青色領域の波長範囲)にある第1発光素子20A1と、発光のピーク波長が490nm以上570nm以下の範囲(緑色領域の波長範囲)にある第2発光素子20A2と、であってもよい。このようにすることで発光装置100Aの色再現性を向上させることができる。なお、発光ピーク波長が同じとは±10nm程度の変動は許容されるものとする。
【0042】
第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2は、既に説明した透光性部材50と同じ構成であり、それぞれが第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2のそれぞれに対向して形成されている。第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2は、同じ構成として形成されることや、異なる構成として形成されることであってもよい。第1透光性部材50A1と、第2透光性部材50A2との構成が異なる場合には、例えば、含まれている波長変換粒子を変えることができる。また、第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2の一方に波長変換粒子を備え、他方に波長変換粒子を備えない構成とすることができる。なお、第1反射部材30は、第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2の上面を露出させ、かつ、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2の側面を、第1導光部材40を介して一体的に被覆するように形成されている。
【0043】
外部接続電極71A,72A,73Aは、素子電極21,22の下面及び半田60の下面に対面して電気的に接続されるように、第1反射部材30の下面に3カ所に亘って形成されている。そして、第1の外部接続電極71Aは、第1発光素子20A1の一方の素子電極21及び半田60と接続するように形成されている。また、第3の外部接続電極73Aは、第2発光素子20A2の他方の素子電極22及び半田60と接続するように形成されている。さらに、第2の外部接続電極72Aは、第1発光素子20A1の他方の素子電極22及び半田60、並びに、第2発光素子20A2の一方の素子電極21及び半田60に接続するように、第1の外部接続電極71Aと第3の外部接続電極73Aの間に形成されている。第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2は、正負の素子電極21,22の位置を変えることで、直列でも並列でも接続できるように構成されている。
【0044】
次に、第2実施形態に係る発光装置100Aの製造方法について説明する。
発光装置100Aは、既に説明した発光装置の製造方法と基本的には同等である。そして、第1反射部材30を形成する工程では、第1透光性部材50A1及び第2透光性部材50A2の上面を露出させるように形成される。そして、第1反射部材30は、半田60の側面と、電極形成面と、第1導光部材40を介して第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2の側面とを、一体的に被覆するように形成されている。
個片化工程を行う場合に、発光素子20(第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2)を複数(2つ)含むように個片化することで発光装置100Aを製造することができる。
発光装置100Aでは、半田60及び素子電極21,22を介して外部接続電極71A,72A,73Aに接続されているので、発光装置の放熱性が向上する。さらに、発光装置100Aでは、複数の発光素子(図面では2つ)を使用することができるので、色再現性を向上させることができる。
【0045】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る発光装置100Bについて
図7A及び
図7Bを参照して説明する。
図7Aは、第3実施形態に係る発光装置の第1透光性部材及び第2透光性部材側から装置全体を模式的に示す斜視図である。
図7Bは、第3実施形態に係る発光装置において
図7AのVIIB-VIIB線における断面図である。なお、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2を、発光素子20として説明する場合もある。
発光装置100Bとして、前記した100Aの構成と異なる点は、第1反射部材30Bと、第2反射部材90と、第1導光部材40Bと、第2導光部材41Bとを備え、1つの透光性部材50Bが第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2に対向して形成されていることである。なお、既に説明した構成については同じ符号を付して適宜説明を省略する場合がある。
【0046】
透光性部材50Bは、第1発光素子20A1の光取出面201A1及び第2発光素子20A2の光取出面201A2の複数に対して1つが対向して配置されている。この透光性部材50Bは、第1導光部材40Bを介して第1発光素子20A1の光取出面201A1及び第2発光素子20A2の光取出面201A2に設けられている。透光性部材50Bは、透光層52Bと、波長変換層51Bとを備えている。また、波長変換層51Bは、第1波長変換層510B1と第2波長変換層510B2とを備えている。なお、透光性部材50Bは、大きさは異なるが、既に説明した透光性部材50と同じ構成である。
【0047】
第1導光部材40Bは、第1発光素子20A1の光取出面201A及び第2発光素子20A2の光取出面201A2のそれぞれに対面するように形成されている。そして、第1導光部材40Bは、第2導光部材41B上にも形成されている。第1導光部材40Bは、第2導光部材41B上の部分が、光取出面201A及び光取出面201A2に対面する部分より厚みが厚くなるように形成されている。
そして、第2導光部材41Bは、発光素子20の素子基板24の側面の全部又は一部を覆うように、第1導光部材40Bの下方に連続して形成されている。第1導光部材40B及び第2導光部材41Bは、両者が既に説明した第1導光部材40と同じ部材を使うことや、両者が前記した部材の中から異なる材料となるように形成されてもよい。
【0048】
第1反射部材30Bは、素子基板24の一部の側面と、半導体積層体23の全部の側面とを覆い、かつ、発光素子20の電極形成面203と、半田60の側面とを覆うように、第2導光部材41Bの下方に形成されている。また、第1反射部材30Bの下面は、素子電極21,22の下面と、半田60の下面と、第2反射部材90の下面と、同一平面になるように形成されている。
第2反射部材90は、透光性部材50Bの側面、第1導光部材40Bの側面、第2導光部材41Bの側面、及び、第1反射部材30Bの側面を覆うように枠状に形成されている。第2反射部材90は、発光装置100Bの外側面を形成している。
第1反射部材30B及び第2反射部材90は、既に説明した第1反射部材30と同じ材料で形成できる。また、第1反射部材30Bと第2反射部材90とを既に説明した中の異なる材料で形成することもできる。第1反射部材30Bが母材中に白色顔料を含む場合には、白色顔料が外部接続電極側にとなる下面側に偏在することが好ましい。このようにすることで発光素子20の光が白色顔料によって遮られにくくなり発光装置100Bの光取出効率が向上する。
【0049】
外部接続電極71B,72B,73Bは、素子電極21,22の下面及び半田60の下面に対面して電気的に接続されるように形成されている。そして、第1の外部接続電極71Bは、第1発光素子20A1の一方の素子電極21、その側面の半田60に接続するように形成されている。また、第3の外部接続電極73Bは、第2発光素子20A2の他方の素子電極22、その側面の半田60に接続するように形成されている。さらに、第2の外部接続電極72Bは、第1発光素子20A1の他方の素子電極22、その側面の半田60及び第2発光素子20A2の一方の素子電極21、その側面の半田60に接続するように、第1の外部接続電極71Bと第3の外部接続電極73Bとの間に形成されている。第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2は、正負の素子電極21,22の位置を変えることで、直列でも並列でも接続できるように構成されている。
【0050】
次に、第3実施形態に係る発光装置の製造方法について
図8乃至
図9Hを参照して説明する。
図8は、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートにおいて第1中間体準備工程の一例を示すフローチャートである。
図9Aは、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子と前駆体基板とを接続する状態を断面にして模式的に示す図である。
図9Bは、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子と前駆体基板とを半田を介して接続した状態を断面にして模式的に示す図である。
図9Cは、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子を接続した前駆体基板に第1反射部材を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
図9Dは、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射部材の上に第2導光部材を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
図9Eは、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2導光部材上に第1導光部材を形成すると共に透光性部材を形成する状態を断面にして模式的に示す図である。
図9Fは、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、透光性部材に溝部を形成した後に、溝部内に第2反射部材を充填した状態を断面にして模式的に示す図である。
図9Gは、第3実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体の第1下面を研削して第2下面を形成した第2中間体を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
【0051】
発光装置の製造方法は、既に説明した製造方法のフローチャートと同じ工程で製造されるが、各工程の内容が異なる場合がある。特に、第1中間体を準備する第1中間体準備工程は、以下の点で異なる。つまり、第1中間体準備工程では、発光素子基材接続工程S111と、第1反射部材形成工程S112と、第2導光部材形成工程S113と、第1導光部材形成工程S114と、透光性部材形成工程S115と、溝部形成工程S116と、第2反射部材溝部充填工程S117とが行われる。
図9A及び
図9Bに示すように、第1中間体準備工程S11において、発光素子基材接続工程S111を行う。発光素子基材接続工程S111では、前駆体基板10の一対の第1配線12,13に半田60を介して発光素子20の一対の素子電極21,22が接続される。つまり、前駆体基板10において、一方の一対の第1配線12,13に半田60を介して第1発光素子20A1の一対の素子電極21,22が接続される。そして、前駆体基板10において、他方の一対の第1配線12,13に第2発光素子20A2の一対の素子電極21,22が接続される。前駆体基板10の基材11に形成された全ての第1配線12,13に、前記したと同様に、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2が半田60を介して接続される。
【0052】
次に、
図9C及び
図9Dに示すように、第1中間体準備工程において、第1反射部材形成工程S112及び第2導光部材形成工程S113を行う。第1反射部材形成工程S112では、発光素子20の半導体積層体23を超えて素子基板24の一部の高さまでの範囲となるように第1反射部材30Bが形成される。さらに、第2導光部材形成工程S113では、第1反射部材30Bの上に素子基板24の上面の高さまで素子基板24の側面を覆うように第2導光部材41Bが形成される。第1反射部材形成工程S112及び第2導光部材形成工程S113は、それぞれ別々の工程として行うようにすることや、同一の工程で行うようにしてもよい。同一の工程として行う場合には、第1反射部材30Bを第2導光部材41Bの高さまで形成し、第1反射部材30Bに含有されている反射部材、例えば、白色顔料を沈殿させることで、上層側を第2導光部材とし下層側を第1反射部材として形成する。
【0053】
次に、
図9Eに示すように、第1中間体準備工程において、第1導光部材形成工程S114及び透光性部材形成工程S115を行う。第1導光部材形成工程S114は、発光素子20の光取出面及び第2導光部材41Bの上に第1導光部材40Bを形成する。第1導光部材40Bは、透光性部材50Bと発光素子20とを接合させることができる部材である。続いて、透光性部材形成工程S115を行う。透光性部材形成工程S115は、第1導光部材40Bが硬化する前に、前駆体基板10に接続されている発光素子20を覆うように透光性部材50Bが設置される。なお、第1導光部材形成工程S114及び透光性部材形成工程S115は、透光性部材50Bに第1導光部材40Bを塗布した状態で、発光素子20の光取出面201及び第2導光部材41Bの上に設けることで行ってもよい。
【0054】
次に、
図9Fに示すように、第1中間体準備工程において、溝部形成工程S116及び第2反射部材溝部充填工程S117が行われる。溝部形成工程S116は、発光装置100Bの単位となる範囲毎に、第2反射部材90を形成するための溝部3Bが形成される。溝部3Bは、透光性部材50B側から基材11に到達する溝深さで、平面視において透光性部材50Bに格子状に形成される。溝部3Bの溝深さは、例えば、前駆体基板10の基材11を貫通しない位置まで形成される。また、溝部3Bの溝幅は、溝部の半分の厚みで形成される第2反射部材90が発光素子20からの光を反射することができる厚みとなる範囲である。そして、溝部3Bは、格子の大きさとして、後記するように、溝中央の位置で個片化したときに、格子の1つが第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2を有する発光装置100Bの単位となるように形成されている。
次に、第1中間体準備工程において、第2反射部材溝部充填工程S117が行われる。第2反射部材溝部充填工程S117では、形成した溝部3Bに第2反射部材90が充填される。そして、溝部3B内に第2反射部材90を充填することで、第1中間体101Bが形成される。第1中間体101Bは、その下面が基材11の下面である第1下面112Bを形成している。
【0055】
次に、
図9Gに示すように、第2中間体形成工程において、第1中間体101Bの第1下面112B側から素子電極21,22の一部までの範囲を切削等により除去する。第1中間体101Bの第1下面112Bから所定範囲まで切削することで、基材11及び第1配線12,13を除去して第2下面113Bとし、この第2下面113Bを有する第2中間体102Bを形成する。第2中間体102Bの第2下面113Bは、第1反射部材30Bの下面と、半田60の下面と、素子電極21,22の下面とが同一平面となるように形成されている。
次に、
図9Hに示すように、外部接続電極形成工程において、第2中間体102Bの第2下面113Bに外部接続電極71B,72B,73Bを形成する。外部接続電極71B,72B,73Bは、ここでは、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2のそれぞれに電気的に接続されるようにスパッタ等の手段により形成される。
第2下面113Bは、発光装置の側面及び/又は透光性部材の上面よりも表面粗さが大きいことが好ましい。このようにすることで、第2下面113Bと外部接続電極71B,72B,73Bとの接合強度を向上させることができる。
【0056】
次に、個片化工程において、第2中間体102Bを発光装置100Bの単位となるようにブレードダイシング法やレーザダイシング法などによって個片化する。ここでは、2つの第1発光素子20A1,第2発光素子20A2が1つの発光装置100Bとなるように形成される。第2中間体102Bを個片化する場合には、第2反射部材90の中央(溝部3Bの中央)で切断することで、発光装置100Bを直方体状となるように個片化して形成することができる。個片化された発光装置100Bは、透光性部材50Bが装置の光取出面として中央に配置され、その透光性部材50Bの周囲を枠状に第2反射部材90が外側面として囲んだ外観の状態となる。
発光装置100Bでは、半田60及び素子電極21,22を介して外部接続電極71B,72B,73Bに接続されているので、発光装置の放熱性が向上する。さらに、発光装置100Bでは、複数の発光素子を使用することができるので、色再現性を向上させることができる。
発光装置100Bでは、発光素子20の電極形成面203を覆うように第1反射部材30Bが位置することにより、発光素子20からの光を透光性部材50B側に反射して光取出効率を向上させることができる。
【0057】
発光装置100Bでは、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2の発光ピーク波長が同じ場合には、第1発光素子20A1からの光と、第2発光素子20A2からの光が第2導光部材41Bに導光されることで、第1発光素子20A1と第2発光素子20A2の間の輝度ムラを抑制することができる。また、第1発光素子20A1及び第2発光素子20A2の発光ピーク波長が異なる場合には、第1発光素子20A1からの光と、第2発光素子20A2からの光が第2導光部材41Bに導光されることで、発光装置100Bの混色性を向上させることができる。また、発光装置100Bは、第2下面113Bの中央に位置する外部接続電極72Bが放熱部としての役割を果たすことから放熱性が向上する。
【0058】
<第4実施形態>
また、
図10、
図11A~
図11Fに示すような製造方法により発光装置100Cを製造することとしてもよい。
図10は、第4実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図11Aは、第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、発光素子と前駆体基板とを接続して第1光反射性部材を設けた状態を断面にして模式的に示す図である。
図11Bは、第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1光反射性部材から透光性部材の上面を露出させて第1中間体を形成した状態を断面にして示す図である。
図11Cは、第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射部材の上面から第1切溝を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
図11Dは、第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体を断面にして模式的に示す図である。
図11Eは、第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体に外部接続電極を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
図11Fは、第4実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体に第2切溝を形成して個片化した発光装置を断面にして模式的に示す図である。
【0059】
発光装置の製造方法は、第1中間体準備工程S11と、第1切溝形成工程S118と、第2中間体形成工程S12と、外部接続電極形成工程S13と、個片化工程(第2切溝形成工程)S14と、を含む手順で行われる。なお、第1中間体準備工程S11では、例えば、
図11Aに示すように、第1反射部材30を透光性部材50の上面を覆うように供給して硬化させる。そして、
図11Bに示すように、透光性部材50の上面が露出するように第1反射部材30を研削して第1反射部材30の上面と透光性部材50の上面とが同一平面になるようにすることで、第1中間体101を準備する。
続いて、第1切溝形成工程S118は、第1反射部材30を後記する個片化するときの間隔で第1切溝3C1を形成する工程である。第1切溝形成工程S118は、
図11Cに示すように、第1反射部材30の上面側からブレード等の切削工具を介して第1切溝3C1が所定の幅で所定の深さに形成される。第1切溝3C1は、後記する第2切溝3C2と併せてその溝内面の一部が、個片化されたときに発光装置100Cの側面となる第1反射部材30の側面を形成することとなる。なお、ここでは、第1切溝3C1は、次工程において、第1反射部材30で隣り合う発光装置同士が分離することなくハンドラ等により扱うことができる溝深さ或いは溝幅で形成されていることが望ましい。
基材の上面に発光素子20及び/又は透光性部材50の位置決めの基準にする目印がある場合には、この目印を基準に第1切溝3C1を形成してもよい。このようにすることで、発光素子20及び/又は透光性部材50に対する第1切溝3C1の位置精度を向上させることができる。
【0060】
第2中間体形成工程S12、外部接続電極形成工程S13は、第1切溝3C1が第2中間体102Cに形成されていることを除けば、既に説明した工程と同じ工程である。個片化工程S14は、
図11Fに示すように、第1切溝3C1の位置で切断することで、発光装置100C毎になるように個片化している。個片化工程S14では、第1反射部材30の下面側から第1切溝3C1に対向する第2切溝3C2をブレード等の切削工具により形成することで、発光装置100C毎に個片化している。個片化工程S14で形成される第2切溝3C2は、一例として、第1切溝3C1の溝幅よりも広くすると共に、第1切溝3C1の溝深さよりも浅くなるように形成している。個片化工程S14では、予め形成した第1切溝3C1と第2切溝3C2を形成することで、第1反射部材30の部分を切断して各発光装置100Cとなるように個片化している。なお、個片化工程S14では、第2切溝3C2を形成することで個片できるので、第1反射部材30の厚み方向の全部を切断することと比較して切断時間及び切屑の量が少なくて済む。
【0061】
<第5実施形態>
さらに、
図12、
図13A~
図13Hに示すような製造方法により発光装置100Dを製造することとしてもよい。
図12は、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図13Aは、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体を形成した状態を断面にして示す図である。
図13Bは、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射部材の上面から第1切溝を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
図13Cは、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体を断面にして模式的に示す図である。
図13Dは、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、支持基板に第2中間体の上面を支持した状態を断面にして模式的に示す図である。
図13Eは、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第1反射部材の下面に第2切溝を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
図13Fは、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2中間体の第2下面及び第2切溝内に金属膜を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
図13Gは、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、第2切溝内に第3切溝を形成して金属膜を切断し側面電極部及び下面電極部を形成した状態を断面にして模式的に示す図である。
図13Hは、第5実施形態に係る発光装置の製造方法を示す説明図であり、支持基板を除去して発光装置毎を個片化した状態を断面にして模式的に示す図である。
【0062】
発光装置の製造方法は、第1中間体準備工程S11と、第1切溝形成工程S118と、第2中間体形成工程S12と、支持基板接続工程S121と、第2切溝形成工程S122と、外部接続電極形成工程S13と、個片化工程S14とを含む手順で行われる。なお、個片化工程S14では、第3切溝形成工程S141と、支持基板除去工程S142とを行っている。そして、外部接続電極171,172は、第2下面113から第1反射部材30の側面の少なくとも一部に亘るように形成されてもよい。なお、外部接続電極171,172は、既に説明した外部接続電極71,72に対して、側面電極部171a、172aを備えるように形成されるものである。
発光装置の製造方法では、
図12、
図13A乃至
図13Cに示すように、第1中間体準備工程S11、第1切溝形成工程S118及び第2中間体形成工程S12は、既に説明した工程と同等の工程を行っている。また、第2中間体形成工程S12では、前記したよりも第1切溝3D1の溝深さが浅くなるように形成されている。第1切溝3D1は、後記する第3切溝3D3により個片化されるときに用いることから、溝深さが浅くても、個片化の際の切屑の抑制及び加工速度の向上の役割を助けることができる。
支持基板接続工程S121は、第1切溝3D1が形成されている第1反射部材30の上面を支持基板11Dに向けて第2中間体102Dを支持する工程である。この支持基板接続工程S121は、例えば、紫外線硬化樹脂等の仮止めようの接着剤G1を介して支持基板11Dに第2中間体102Dが支持される。つまり、第2中間体102Dは、第2下面113を上方に向けた状態で支持基板11Dに接着剤G1を介して仮止めされた状態で支持される。
【0063】
図13Eに示すように、第2切溝形成工程S122は、支持基板11Dに支持されている第2中間体の第2下面113から第1切溝3D1に対向するように第2切溝3D2を形成する工程である。第2切溝形成工程S122では、第1切溝3D1よりも溝幅が大きく、溝深さも同等以上となるように第2切溝3D2が形成される。第2切溝3D2は、第1切溝3D1と溝中心が略一致するように形成され、第1切溝3D1の溝底から離間するように形成される。なお、第2切溝3D2は、前記した第1切溝3D1及び後記する第3切溝3D3と併せて、その溝内面の一部が、個片化されたときに発光装置100Dの側面(第1反射部材30の側面)を形成することとなる。第2切溝3D2は、発光装置の側面の少なくとも1つに形成していればよい。例えば、下面視において個片化後の発光装置が長方形の場合には、第2切溝3D2が発光装置の外縁の短辺のみに位置していてもよく、長辺のみに位置していてもよく、短辺及び長辺に位置していてもよい。
【0064】
図13F及び
図13Gに示すように、外部接続電極形成工程S13は、第2下面113及び第2切溝3D2内に外部接続電極171,172を形成する工程である。外部接続電極形成工程S13は、例えば、素子電極21,22に沿ってそれぞれに外部接続電極171,172が離間して形成されるようにスパッタリングにより設けられる。ここでは、素子電極21,22に連続する金属層170を形成した後、金属層170の少なくとも一部を除去することにより素子電極21に連続する金属層170と、素子電極22に連続する金属層170と、を離間させる。また、第2切溝3D2内の溝内にも金属層170をスパッタリングにより設けている。そして、一方の外部接続電極171は、後記する個片化の際に第3切溝3D3により切断されることで、第1反射部材30の側面側に形成される側面電極部171aと、この側面電極部171aに連続して一方の素子電極21に形成される下面電極部171bとを備えるように形成される。同様に、他方の外部接続電極172は、後記する個片化の際に第3切溝3D3により切断されることで、第1反射部材30の側面側に形成される側面電極部172aと、この側面電極部172aに連続して他方の素子電極22に形成される下面電極部172bとを備えるように形成される。
下面視において個片化後の発光装置が長方形の場合には、側面電極部172aを発光装置の外縁の短辺のみに位置していてもよく、長辺のみに位置していてもよく、短辺及び長辺に位置していてもよい。なお、側面電極部172aと下面電極部172bとは接していてもよく、離間していてもよい。
【0065】
個片化工程S14は、発光装置100D毎に個片化する工程である。この個片化工程S14は、ここでは、第3切溝形成工程S141と、支持基板除去工程S142とを行っている。
図13Gに示すように、第3切溝形成工程S141は、第2切溝3D2内に設けた金属層170の一部を切断するように第2切溝3D2の溝幅よりも小さく、かつ、第1切溝3D1の溝幅よりも大きな溝幅の第3切溝3D3をブレード等の切削工具により形成している。個片化工程S14で第1反射部材30に第3切溝3D3が形成されることで、第2切溝3D2及び第3切溝3D3により形成される第1反射部材30の側面よりも内側に側面電極部172aを形成することができる。
図13Hに示すように、支持基板除去工程S142は、第3切溝3D3を形成した第1反射部材30の支持基板11Dを除去する工程である。支持基板除去工程S142では、一例として、紫外線硬化樹脂を接着剤G1として使用していることから、紫外線を照射することで、接着剤G1から各発光装置100Dを分離させ、支持基板11Dを除去して、発光装置100D毎に個片化している。
前記した製造方法により形成された発光装置100Dは、第2下面113に形成される下面電極部171b,172bと、第1反射部材30の側面に形成される側面電極部171a,172aとを外部接続電極171,172とすることができる。そのため、発光装置100Dでは、外部接続電極171,172で接続する外部機器の種類の範囲を広げることができる。
【0066】
なお、前記した各実施形態において、外部接続電極は、第2下面113側では、
図14A~
図14Cで示すように形成されていてもよい。
すなわち、
図14Aに示すように、外部接続電極71C,72Cは、第2下面113の一方と他方に離間して、長手方向の両端、及び、短手方向の両端において第2下面の端まで連続して形成されることとしてもよい。
また、
図14Bに示すように、外部接続電極71D,72Dは、長手方向の両端では、一部を除いて第2下面113の端まで連続して形成され、短手方向の両端では、第2下面の端から離間した状態で形成されていてもよい。なお、外部接続電極71D,72Dは、長手方向の両端では、一部を除いて第2下面の端まで連続して形成され、短手方向の一方の端では、第2下面113の端までは連続して形成され、短手方向の他方の端では、第2下面113の端から離間した状態で形成されていてもよい。
さらに、
図14Cに示すように、外部接続電極71E,72Eは、短手方向の両端では、第2下面113の端まで連続して形成され、長手方向の両端では、端から離間した状態で形成されていてもよい。
なお、
図14A、
図14B、
図14Cで説明した外部接続電極は、第1反射部材30の側面に既に説明した側面電極部を併せて形成されることとしてもよい。例えば、下面視において発光装置が長方形の場合には、側面電極部を発光装置の外縁の短辺のみに位置していてもよく、長辺のみに位置していてもよく、短辺及び長辺に位置していてもよい。なお、側面電極部と下面電極部とは接していてもよく、離間していてもよい。
【0067】
また、第1配線は、
図15A~
図15Dで示す構成としてもよい。
すなわち、
図15A及び
図15Bに示すように、第1配線12A1,13A1が、凸部を備えており、凸部の上面が窪み12a,13aを備えていてもよい。第1配線12A1,13A1の凸部に窪み12a,13aが形成されることで、発光素子20の素子電極21,22と接合するための半田60の塗布量が多かった場合、窪み12a,13aに余計な半田60が入り込むことで調整することができる。
さらに、窪みの形状及び数は、
図15Cに示すように、第1配線12B1,13B1において、略円形の複数の窪み12b,13bを形成してもよい。
そして、窪みの形状は、
図15Dに示すように、第1配線12C1、13C1の中央に一端から他端まで連続する窪み12c,13cであってもよい。
窪み12a~12c,13a~13cは、余計な半田60を内部に入り込ませて調整することができるものである。上面視における窪みの形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形等であってもよい。
【0068】
なお、前記した各実施形態において、前駆体基板10は、第1配線12,13が、発光素子20の素子電極21,22と対向する位置に、凸部を形成することなく平面状であってもよい。平面状の第1配線12,13とする場合には、素子電極21,22よりも大きな面積となるように形成されることが好ましい。
また、第3実施形態において、第1反射部材30Bの白色顔料等の反射部材を沈降させることで、第2導光部材41Bと第1反射部材30Bとを形成するようにした場合には、製造方法において、手順を減らすことができ、また、第2導光部材41Bを単独で準備する必要がなくなり、設備の簡略化を図ることができる。
【0069】
さらに、発光装置100は外観から極性判別が可能な構造を有することが好ましい。これにより、キャリアテープ内に発光装置100を所望の向きで収納して搬送したい場合や、実装基板に発光装置100を所望の向きで実装する場合に、発光装置の配置の向きを容易に区別することができる。
極性判別が可能な構造の例を、
図16A~
図16Eに示す。
図16A及び
図16Bは、各実施形態において発光装置の第1及び第2変形例を模式的に示す底面図である。
図16C~
図16Eは、各実施形態において発光装置の第3乃至第5変形例を模式的に示す斜視図である。
【0070】
図16A及び
図16Bに示すように、外部接続電極171,172は、それぞれの平面形状を異ならせることで極性を判別できるようにしている。例えば、
図16Aでは、矩形状の外部接続電極171,172のうち一方の外部接続電極172の角部Cに電極非形成領域5を設けることで、外部接続電極171,172のそれぞれの平面形状を異ならせている。電極非形成領域5が設けられた領域では、第1反射部材30が露出している。
図16Aでは角部Cに電極非形成領域5がある形状になっているが、その他の角部に電極非形成領域5が設けられてもよく、2つ以上の角部に電極非形成領域5があってもよい。
【0071】
また、
図16Bでは、下面視において、外部接続電極172の対向する一対の辺の双方に達するように外部接続電極172の端面に、一例として矩形の電極非形成領域5を設けることで、外部接続電極171,172のそれぞれの平面形状や大きさを異ならせている。電極非形成領域5では、第1反射部材30が露出している。そのため、電極非形成領域5が形成されていることで、色彩的にも素材的にも異なり、視覚的及び質感的にも違いがわかるため、発光装置の向きを簡単に判断することができる。
【0072】
また、電極非形成領域5は、例えば、前述したレーザ光の照射により形成することができる。具体的には、外部接続電極形成工程S13において、第2下面113に位置する素子電極21,22及び第1反射部材30を連続して被覆するように第2下面113の全面に金属層を形成した後、金属層にレーザ光を照射し、外部接続電極171,172を形成するとともに、電極非形成領域5に位置する金属層の一部を除去する。レーザ光の照射を用いることで、マスクなどを用いることがなく工程の簡略化を図ることができる。なお、電極非形成領域5は、レーザ光の照射以外にエッチングやブラスト等の公知の方法により形成することができる。
【0073】
図16A及び
図16Bで示すように、外部接続電極の電極非形成領域5は、発光素子20の素子電極21,22が外部に露出しないように設けられることが好ましい。これは、例えば、レーザ光の照射を用いて外部接続電極171,172及び電極非形成領域5を形成する場合、素子電極21,22上に位置する金属層がレーザアブレーションされない条件で行うことにより容易に実現することができる。これにより、例えば、発光素子20の素子電極21,22が銅等の酸化しやすい部材であったとしても、素子電極21,22が外部に露出しないため素子電極21,22が酸化等することを抑制することができる。
【0074】
なお、
図16A及び
図16Bでは、外部接続電極172にのみ電極非形成領域5が設けられているが、外部接続電極171,172の双方に電極非形成領域5を設けてそれぞれの平面形状を異ならせてもよい。
【0075】
また、
図16C及び
図16Dに示すように、発光装置100は、発光面側に位置する第1反射部材30に非貫通の溝6を設けることで発光装置100の極性を判別するようにしている。
図16Cで示す溝6は、発光装置100の外側面30A1から離間し、対向する一対の外側面30B1,30C1の双方に達するように形成されている。
図16Cでは、溝6があることで発光装置100の極性判別が簡単にできる。また、溝6が発光装置100の外側面30A1から離間していることで、発光面9と外側面30A1との間に位置する第1反射部材30の厚みが薄くなることを抑制することができ、発光素子20からの光が該領域に位置する第1反射部材30から外側に漏れ出ることを抑制することができる。なお、
図16Cで示す溝6は、個片化した発光装置100では、段差として形成されているともいえる。
【0076】
また、
図16Dに示す溝6は、対向する一対の外側面30B1,30C1に加えて、外側面30A1にも達するように形成している点で
図16Cに示す溝6と異なる。溝6が、対向する一対の外側面30B1,30C1に加えて、外側面30A1にも達していることで、外側面30A1側からの発光装置100の極性判別が可能になる。
【0077】
なお、
図16C及び
図16Dに示す溝6は、対向する一対の外側面30B1,30C1の双方に達しているが、これに限られない。溝6は、一対の外側面30B1,30C1のうち一方の側面のみに達していてもよく、一対の外側面30B1,30C1の双方から離間していてもよい。また、溝6は、例えば、レーザやダイシングによって形成することができる。
【0078】
さらに、
図16Eでは、発光装置100の発光面側に位置する第1反射部材30に着色材7を設けることで発光装置100の極性を判別している。発光装置100の発光面側に着色材7を設けることで、発光装置100の発光面側からの極性判別が容易になる。また、第1反射部材30に溝6等を設けないことで、発光装置100の強度の低下を抑制することができる。
【0079】
次に、
図17A~
図17Gを参照して
図16Dで示す溝6を形成する方法の一例を説明する。
図17Aは、各実施形態において溝の形成方法の一例を模式的に示す説明図である。
図17Bは、
図17Aの側面状態を模式的に示す説明図である。
図17Cは、各実施形態において第1中間体に溝を形成した状態を模式的に示す説明図である。
図17Dは、
図17Cの第1中間体の側面視において溝を形成した状態を模式的に示す説明図である。
図17Eは、各実施形態において溝を形成した発光装置を個片化した状態を模式的に示す平面図である。
図17Fは、各実施形態において溝を形成した発光装置を個片化した状態を模式的に示す側面図である。
図17Gは、各実施形態において溝を発光装置の底面側に形成した変形例を模式的に示す斜視図である。
【0080】
まず、
図17Aで示すように、個片化後に発光装置100となる領域P(以下、単に発光装置形成領域P)が行列状に配置された構造体200を準備する。
図17A及び
図17Cでは、発光装置形成領域Pを破線で示し、
図17A乃至
図17Eでは、発光装置形成領域Pが4つである場合を一例として図示している。
図17A及び
図17Bに示すように、第1中間体である構造体200は、下面側に前駆体基板10を有し、上面側に発光装置形成領域Pを有している。構造体200の発光面側では、発光装置形成領域Pに位置する発光面9は第1反射部材30から露出している。構造体200の発光面9は、略平坦な面になっており、各発光面9と第1反射部材30の上面は略同一平面上に位置する。
【0081】
次に、
図17C及び
図17Dで示すように、発光面9と長手方向に隣接する発光面9との間に位置する第1反射部材30に溝6Aを形成する。
図17Cでは、溝6Aが形成された領域にハッチングを施している。溝6Aの一部は、個片化後の発光装置100に残り、発光装置100の極性判別を可能にする溝6となる。溝6Aは、例えば、上面視において、溝6Aが延びる方向における第1辺61が発光装置形成領域Pの内側に配置され、第2辺62が隣接する発光装置形成領域Pの外側に配置されるように、形成される。これにより、個片化後の発光装置100において、発光装置100の対向する外側面のうち一方の外側面側にのみ溝6が形成され、溝6により発光装置100の極性判別が容易になる。溝6Aは、例えば、レーザやダイシングにより形成することができる。
【0082】
図17E及び
図17Fに示すように、構造体200は、前駆体基板10が除去された後に、個片化されて各発光装置100となる。各発光装置100は、発光面側に溝6を有し、溝6により発光装置100の極性判別を可能としている。これにより、キャリアテープ内に発光装置100を所望の向きで収納して搬送したい場合や、実装基板に発光装置100を所望の向きで実装する場合に、発光装置の配置の向きを容易に区別することができる。
【0083】
なお、
図17Fで示す溝6は、発光装置100の上面側に位置する第1反射部材30に設けられているが、本開示の発光装置はこれに限られない。例えば、
図17Gで示すように、発光装置100の下面側に位置する第1反射部材30に溝16が設けられてもよい。
【0084】
また、
図18乃至
図24に示すように、全ての実施形態において、個片化工程で、位置決めの基準とする目印であるアライメントマークAmが前駆体基板に形成されていることが好ましい。アライメントマークAmの少なくとも一部は、第2中間体を形成する工程において、除去されずに第2中間体に含まれる。これにより、個片化工程時にアライメントマークAmを基準にして発光装置ごとに個片化できるので発光装置の外形のばらつきを抑制しやすくなる。
図18は、各実施形態において発光装置の前駆体基板を模式的に示す平面図である。
図19は、
図18の一点鎖線で囲む領域MWaを拡大して模式的に示す拡大平面図である。
図20は、
図19のXX-XX線における断面図である。
図21は、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体を断面にして模式的に示す図である。
図22は、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体について
図18の一点鎖線で囲む領域MWaを拡大して第2下面側からみた底面図である。
図23は、各実施形態において発光装置の前駆体基板における他の構成を模式的に示す平面図である。
図24は、第1中間体の第1下面を切削して第2下面を形成した第2中間体について
図23の一点鎖線で囲む領域MWcを拡大して第2下面側からみた底面図である。
【0085】
アライメントマークAmは基材の一部により形成してもよく、配線の一部により形成してもよい。また、アライメントマークAmは基材および配線とは別の部材により形成してもよい。アライメントマークAmは、第1配線と同じ金属材料により形成されることが好ましい。このようにすることで、アライメントマークAmと第1配線とを同一の工程により形成することができるので、アライメントマークAmと第1配線の位置がずれることを抑制しやすくなる。
【0086】
図18に示すように、金属部材4Jにより形成される開口部5JをアライメントマークAmとしてもよい。
図18に示すように、前駆体基板10Jは、矩形状の基材11Jの外縁に沿って設けられた複数の金属部材4Jを有している。複数の金属部材4Jは、それぞれ1つ以上の開口部5Jを有している。金属部材4Jの開口部5J内において基材11Jが金属部材4Jから露出しており、基材11Jと金属部材4Jの界面である金属部材4Jの開口部5JをアライメントマークAmとすることができる。金属部材4Jは第1配線と同じ金属材料により形成されることが好ましい。
【0087】
図18に示すように、基材の表面において金属部材4Jの周囲に金属材料を含む補強部材14Jが位置することが好ましい。前駆体基板10Jが補強部材14Jを備えることにより、前駆体基板10Jが歪むことを抑制することができる。第1中間体準備工程時の前駆体基板10Jは、基材11J上に金属部材4J及び補強部材14Jを、第1配線と共に備えることが好ましい。そして、
図5B乃至
図5Fで説明したように、半田60を介して前駆体基板10Jと発光素子20を接続し、第1反射部材30を設け、その後、第1下面側から研削して第2下面113Jを形成する。
【0088】
金属部材4Jの最大厚みは特に限定されないが、第1配線の最大厚みよりも厚いことが好ましい。このようにすることで、金属部材4Jにより形成されるアライメントマークAmが第2中間体に含まれやすくなる。また、金属部材4Jの最大厚みは発光素子20の素子電極21,22の最大厚みよりも厚いことが好ましい。このようにすることで、金属部材4Jにより形成されるアライメントマークAmが第2中間体に含まれやすくなる。
【0089】
図21及び
図22に示すように、第2中間体102Jは、前駆体基板10Jの一部を除去した後でも金属部材4Jの開口部5Jが残存しているので、開口部5JがアライメントマークAmとして役割を果たすことができる。そのため、個片化工程において、アライメントマークAmを基準にして作業をすることができる。
図18乃至
図22では、金属部材4Jは、発光素子20の集合部分に対して断続的に周りを囲むように設けられていたが、
図23及び
図24に示すように、金属部材4Kが発光素子20の集合部分を囲むようにしてもよい。金属部材4Kが発光素子20の集合部分に対して連続的に周りを囲むことにより第2中間体の強度を向上させることができる。
【0090】
図23及び
図24で示すように、前駆体基板10Kでは、金属部材4Kを矩形の基材11Kの外縁に沿って設けられる枠形状になるように形成している。そして、金属部材4Kの所定位置に、所定の形状となる開口部5Kを形成してアライメントマークAmとしている。金属部材4Kは、前駆体基板10Jの一部を除去した後でも第2中間体に残存できるように、前記した金属部材4J同様、所定の厚みに形成されている。前駆体基板10Kでは、第2下面113Kが形成された状態で、金属部材4K及び開口部5Kが残存しているので、開口部5KをアライメントマークAmとして使用することができる。また、金属部材4Kにより基材11Kの歪みの発生を抑制することができる。なお、アライメントマークAmは、ここでは、長丸形状として示したが、三角形、長方形、菱形等、位置決めを行うことができる形状であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示の各実施形態に係る発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト装置、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、プロジェクタ装置、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
100,100A,100B 発光装置
101,101A,101B 第1中間体
102,102A,102B 第2中間体
10,10A,10E,10J,10K 前駆体基板
11 基材
12,13 第1配線
20 発光素子
21,22 素子電極
23 半導体積層体
24 素子基板
30,30A,30B 第1反射部材
40 第1導光部材
41 第2導光部材
50,50A,50B 透光性部材
50A1,50A2 透光性部材
90 第2反射部材
70 金属層
71,72 外部接続電極