(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】一液水中硬化型接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 183/06 20060101AFI20221214BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20221214BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20221214BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20221214BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
C09J183/06
C09J11/04
C09J11/06
C09J11/08
C08L83/06
(21)【出願番号】P 2021188828
(22)【出願日】2021-11-19
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504329816
【氏名又は名称】株式会社ニッシリ
(73)【特許権者】
【識別番号】521509594
【氏名又は名称】一般財団法人沖縄県環境科学センター
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】磯部 憲一
(72)【発明者】
【氏名】岩村 俊平
(72)【発明者】
【氏名】麻生 史拓
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】峯村 正彦
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-119695(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0207008(US,A1)
【文献】再公表特許第2012/117822(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
C08L 83/00- 83/16
C09K 3/10- 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー100質量部と、
(B)親水性無機充填材200~800質量部と、
(C)硬化触媒0.1~10質量部と
を含む、一液水中硬化型接着剤であって、前記シリコーンポリマーのアルコキシ基含有量が20質量%~40質量%である、一液水中硬化型接着剤。
【請求項2】
(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー100質量部と、
(B)親水性無機充填材200~800質量部と、
(C)硬化触媒0.1~10質量部と、
(D)非極性有機高分子化合物40~1000質量部と
を含む、一液水中硬化型接着剤であって、前記シリコーンポリマーのアルコキシ基含有量が20質量%~50質量%である、一液水中硬化型接着剤。
【請求項3】
前記非極性有機高分子化合物が直鎖オルガノポリシロキサンを含む、請求項2に記載の一液水中硬化型接着剤。
【請求項4】
前記シリコーンポリマーが、式(1)
(SiO
4/2)
a(R
1SiO
3/2)
b(R
1
2SiO
2/2)
c(R
2O
1/2)
d (1)
(式(1)中、R
1はそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基を表し、R
2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、a、b、及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c<0.5であって、かつa+b+c=1を満たす数であり、dは0<d<4を満たす数である)。
で表される多官能アルコキシシランの部分加水分解縮合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の一液水中硬化型接着剤。
【請求項5】
前記親水性無機充填材が、表面疎水化処理が行われていない、溶融球状シリカ、爆燃法球状シリカ、及び炭酸カルシウム粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の一液水中硬化型接着剤。
【請求項6】
前記親水性無機充填材の平均粒径が0.1μm~50μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の一液水中硬化型接着剤。
【請求項7】
前記硬化触媒が、チタンアルコキシド化合物、及びチタンキレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか一項に記載の一液水中硬化型接着剤。
【請求項8】
(E)多官能アルコキシシランを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の一液水中硬化型接着剤。
【請求項9】
前記多官能アルコキシシシランが、テトラエトキシシラン及びビニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載の一液水中硬化型接着剤。
【請求項10】
前記多官能アルコキシシランを1~20質量部含む、請求項8又は9に記載の一液水中硬化型接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一液水中硬化型接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
反応硬化型接着剤は溶剤を含まず接着力も強いことから広汎な用途に使われている。しかし、接着対象である被着体が水中に置かれてその表面が濡れている場合は、接着剤と被着体の間に水層が介在して離型剤として作用するため、被着体と接着剤の間で接着が確立されないことが多い。
【0003】
特許文献1(国際公開第2015/029615号)には、主鎖を形成する水溶性ポリマー単位と、この水溶性ポリマー単位に結合する親水性有機基と自己集合性基とから構成される有機重合体と、硬化剤とを含むことを特徴とする、水中又は湿潤環境下で硬化し、接着性を発揮する接着剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の接着剤については、その原料の入手が困難であり、また、親水性である有機重合体が水で膨潤することにより接着剤の強度が低下するおそれがある。
【0006】
反応硬化型接着剤として広く使用される2液型エポキシ接着剤の中には水中で使用できるものもあるが、硬化時間が長く、完全硬化させるためには一般に加熱が必要である。エポキシ系接着剤を常温で硬化するためには、エポキシ樹脂を含む主剤に対して使用直前に硬化剤を添加及び混合した後、混合物を可使時間内に施工する必要がある。そのため、エポキシ系接着剤を用いて水中で施工を行う場合、作業上の制約が生じる場合がある。
【0007】
一液常温硬化型シリコーン接着剤は、大気中では良好な接着性を示す。しかし、接着剤の撥水性が高いため、例えば水中にある被着体、例えば岩又はコンクリート構造物の接着に使用すると、接着剤と被着体の間に水の薄膜が残留しやすく、その水の薄膜が離型剤として作用するために接着を確立することが難しい。
【0008】
以上のように、水中で硬化し、十分な強度及び接着性を有し、作業が容易であり、入手が容易な原料を用いて調製することができる接着剤が望まれている。
【0009】
本開示は、水中で容易に施工でき、水中においても優れた硬化性と、水中の岩、構造物等の被着体に対して優れた接着性とを示し、作業性に優れたシリコーン接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ケイ素原子に直接結合した低級アルコキシ基を複数有するシリコーンポリマーに、親水性無機充填材と硬化触媒とを配合した組成物が、水中で良好に硬化し、水中に存在する岩及び構造物等の被着体に対して良好に接着することを見出した。
【0011】
本発明は以下の態様を包含する。
[態様1]
(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー100質量部と、
(B)親水性無機充填材200~800質量部と、
(C)硬化触媒0.1~10質量部と
を含む、一液水中硬化型接着剤であって、前記シリコーンポリマーのアルコキシ基含有量が20質量%~40質量%である、一液水中硬化型接着剤。
[態様2]
(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー100質量部と、
(B)親水性無機充填材200~800質量部と、
(C)硬化触媒0.1~10質量部と、
(D)非極性有機高分子化合物40~1000質量部と
を含む、一液水中硬化型接着剤であって、前記シリコーンポリマーのアルコキシ基含有量が20質量%~50質量%である、一液水中硬化型接着剤。
[態様3]
前記非極性有機高分子化合物が直鎖オルガノポリシロキサンを含む、態様2に記載の一液水中硬化型接着剤。
[態様4]
前記シリコーンポリマーが、式(1)
(SiO4/2)a(R1SiO3/2)b(R1
2SiO2/2)c(R2O1/2)d (1)
(式(1)中、R1はそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基を表し、R2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、a、b、及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c<0.5であって、かつa+b+c=1を満たす数であり、dは0<d<4を満たす数である)。
で表される多官能アルコキシシランの部分加水分解縮合物を含む、態様1~3のいずれかに記載の一液水中硬化型接着剤。
[態様5]
前記親水性無機充填材が、表面疎水化処理が行われていない、溶融球状シリカ、爆燃法球状シリカ、及び炭酸カルシウム粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、態様1~4のいずれかに記載の一液水中硬化型接着剤。
[態様6]
前記親水性無機充填材の平均粒径が0.1μm~50μmである、態様1~5のいずれかに記載の一液水中硬化型接着剤。
[態様7]
前記硬化触媒が、チタンアルコキシド化合物、及びチタンキレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、態様1~6のいずれかに記載の一液水中硬化型接着剤。
[態様8]
(E)多官能アルコキシシランを更に含む、態様1~7のいずれかに記載の一液水中硬化型接着剤。
[態様9]
前記多官能アルコキシシシランが、テトラエトキシシラン及びビニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種である、態様8に記載の一液水中硬化型接着剤。
[態様10]
前記多官能アルコキシシランを1~20質量部含む、態様8又は9に記載の一液水中硬化型接着剤。
【発明の効果】
【0012】
本開示のシリコーン系接着剤は一液水中硬化型であることから、二液硬化型接着剤とは異なり、使用時に主剤と硬化剤の計量及び混合を必要とせずに、水中で容易に施工することができる。また、本開示のシリコーン系接着剤は、水中においても優れた硬化性と、水中の岩、構造物等の表面が濡れている被着体に対して優れた接着性とを示す。そのため、潜水作業によって、川底又は海中にある岩、構造物等の被着体に対して、金属、セラミック等の無機材料を容易に接着施工することができる。
【0013】
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0015】
[第1実施態様の一液水中硬化型接着剤]
第1実施態様の一液水中硬化型接着剤は、(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー100質量部と、(B)親水性無機充填材200~800質量部と、(C)硬化触媒0.1~10質量部とを含み、シリコーンポリマーのアルコキシ基含有量が20質量%~40質量%である。
【0016】
第1実施態様の一液水中硬化型接着剤は、任意成分として、(D)非極性有機高分子化合物を更に含んでもよく、(E)多官能アルコキシシランを更に含んでもよい。
【0017】
[第2実施態様の一液水中硬化型接着剤]
第2実施態様の一液水中硬化型接着剤は、(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー100質量部と、(B)親水性無機充填材200~800質量部と、(C)硬化触媒0.1~10質量部と、(D)非極性有機高分子化合物40~1000質量部とを含み、シリコーンポリマーのアルコキシ基含有量が20質量%~50質量%である。
【0018】
第2実施態様の一液水中硬化型接着剤は、任意成分として、(E)多官能アルコキシシランを更に含んでもよい。
【0019】
一般に、シリコーンポリマーと混合して使用される無機充填材としては、その表面をヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、高級アルキルトリアルコキシシラン又は高級脂肪酸を疎水化処理剤として用いて疎水化処理したものが知られている。表面疎水化処理は、シリコーンポリマーと疎水化処理剤とを混合し、混合物に無処理の無機充填材を添加することにより、系内(in-situ)で行われる場合もある。表面疎水化処理を行わずに無機充填材を一般的なシリコーンポリマーに添加すると、組成物の粘度が過度に高くなる場合があることがよく知られている。一方、表面疎水化処理した無機充填材をシリコーンポリマーと混合して得られる組成物は一般に撥水性を有する。そのような撥水性を有する組成物を、水中にある被着体、例えば岩又はコンクリート構造物の接着剤として使用すると、接着剤と被着体の間に水の薄膜が残留しやすく、その水の薄膜が離型剤として作用するために接着を確立することが難しい。
【0020】
本開示によれば、親水性無機充填材を、アルコキシ基を複数有する比較的極性の高いシリコーンポリマーと組み合わせることにより、予想外にも、組成物の増粘を抑制しつつ、水中においても優れた硬化性と、水中の岩、構造物等の被着体に対して優れた接着性を得ることができる。
【0021】
〈(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー〉
(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー(以下、単に「シリコーンポリマー」という。)としては、例えば、室温硬化型シリコーンゴム組成物の成分として汎用されている、両末端に炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有する直鎖ジメチルポリシロキサン、及び湿分硬化型硬質コーティング剤の成分として汎用されている、炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシラン化合物の部分加水分解縮合物が挙げられる。炭素原子数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、及びn-ヘキサノキシ基が挙げられる。硬化性及び接着性の観点から、炭素原子数1~6のアルコキシ基は、メトキシ基又はエトキシ基であることが好ましい。シリコーンポリマーは、単独で、又は組成の異なる2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
シリコーンポリマーは、炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシラン化合物の部分加水分解縮合物を含むことが好ましく、式(1)
(SiO4/2)a(R1SiO3/2)b(R1
2SiO2/2)c(R2O1/2)d (1)
(式(1)中、R1はそれぞれ独立してメチル基又はフェニル基を表し、R2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、a、b、及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c<0.5であって、かつa+b+c=1を満たす数であり、dは0<d<4を満たす数である)
で表される多官能アルコキシシランの部分加水分解縮合物(以下、「アルコキシオリゴマー」ともいう。)を含むことがより好ましい。
【0023】
アルコキシ基含有量すなわち反応活性の観点から、式(1)のR1の全数のうち、フェニル基の占める割合は、0%~10%であることが好ましい。
【0024】
反応性の観点から、式(1)のR2の全数のうち、メチル基及びエチル基の占める合計割合は、80%~100%であることが好ましい。
【0025】
アルコキシオリゴマーの入手容易性の観点から、a=0又はa=1であることが好ましい。
【0026】
a=1の場合、b=0、c=0であり、本開示ではこのようなアルコキシオリゴマーを「Qオリゴマー」ともいう。
【0027】
a=0の場合、アルコキシ基含有量すなわち反応活性の観点から、0.5≦b≦1であることが好ましく、0≦c≦0.5であることが好ましく、0.7<d≦3.0であることが好ましい。
【0028】
アルコキシオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)における標準ポリスチレン換算で200~3,000であることが好ましい。
【0029】
アルコキシオリゴマーの特性は、式(1)の各因子、すなわち、a、b、c、及びdの値、R1のメチル基とフェニル基の比率などにより決定される。アルコキシオリゴマーは、一般に、粘度、比重、屈折率、及びアルコキシ基含有量からその構造が推定される。例えば、粘度はアルコキシオリゴマーの分子量と相関する。屈折率からR1のメチル基とフェニル基の比率を推定することができ、高屈折率であるほどフェニル基の比率が高い。アルコキシ基含有量は、bとcの比率、粘度及びフェニル基含有量と関係している。
【0030】
アルコキシオリゴマーの動粘度は、2~200mm2/sであることが好ましい。動粘度は、JIS Z 8803:2011に準拠したキャノン-フェンスケ粘度計を用いた25℃での測定値である。
【0031】
アルコキシオリゴマーの比重は、25℃で1.04~1.20であることが好ましい。
【0032】
アルコキシオリゴマーの屈折率は、25℃で1.392~1.512であることが好ましい。
【0033】
第1実施態様において、アルコキシオリゴマーのアルコキシ基含有量は、22質量%~36質量%であることが好ましく、24質量%~34質量%であることがより好ましい。
【0034】
第2実施態様において、アルコキシオリゴマーのアルコキシ基含有量は、30質量%~55質量%であることが好ましく、35質量%~50質量%であることがより好ましい。
【0035】
アルコキシオリゴマーは、公知のオルガノポリシロキサンの製造方法に従って製造することができ、例えば、加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解縮合させて得ることができる。加水分解性基を有するシラン化合物は、加水分解性基である塩素原子又はアルコキシ基をケイ素原子上に1~4個有し、式(1)で表されるアルコキシオリゴマーを構成するシラン化合物であれば特に限定されない。
【0036】
シラン化合物としては、例えば、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン;メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン;フェニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;及びこれらの部分加水分解物が挙げられる。反応性、操作性、副生物の留去のしやすさ、及び原料の入手の容易さの観点から、メトキシシラン及びエトキシシランが好適に使用される。シラン化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
加水分解縮合は、加水分解触媒を使用して行うことができる。加水分解触媒としては、例えば、フッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、乳酸等の有機酸;及び表面にスルホ基又はカルボキシ基を有するカチオン交換樹脂が挙げられる。加水分解触媒の使用量は、特に限定されないが、シラン化合物1モルを基準として0.0002モル~0.5モルであることが好ましい。加水分解触媒の使用量を上記範囲とすることにより、加水分解縮合の反応を効果的に促進し、反応後の触媒を容易に除去することができる。
【0038】
加水分解縮合に使用する水の量は、特に限定されないが、シラン化合物1モルを基準として0.1~10モルであることが好ましい。水の使用量を上記範囲とすることにより、触媒の失活を防いで加水分解縮合の反応を促進し、反応後に水を容易に除去することができる。
【0039】
加水分解縮合の反応温度は、特に限定されないが、-10~150℃であることが好ましい。反応温度を上記範囲とすることにより、反応率を向上させつつ、生成するアルコキシオリゴマーの有するアルコキシ基の分解を抑制することができる。
【0040】
加水分解縮合の際に、有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、及びキシレンが挙げられる。
【0041】
〈(B)親水性無機充填材〉
(B)親水性無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、及び酸化チタンが挙げられる。親水性無機充填材は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
親水性無機充填材は球状であることが好ましい。親水性無機充填材の平均粒径は、0.1μm~50μmであることが好ましく、0.2μm~10μmであることがより好ましい。親水性無機充填材の平均粒径を0.1μm以上とすることにより、一液水中硬化型接着剤の過度の増粘を抑制することができる。親水性無機充填材の平均粒径を10μm以下とすることにより、被着体への接着性を高めることができる。本開示において、親水性無機充填材の平均粒径は、レーザ回折散乱法により測定される体積累積粒径D50である。
【0043】
親水性無機充填材の比表面積は、0.5m2/g~15m2/gであることが好ましく、0.7m2/g~10m2/gであることがより好ましい。本開示において、親水性無機充填材の比表面積は、BET法による値である。
【0044】
親水性無機充填材は、表面疎水化処理が行われていないことが好ましい。表面疎水化処理としては、例えば、シリカの場合、ヘキサメチルジシラザン又はジメチルジクロロシラン、高級アルキルトリアルコキシシラン、高級脂肪酸等を用いた表面疎水化処理が挙げられる。
【0045】
親水性無機充填材は、表面疎水化処理が行われていない、溶融球状シリカ、爆燃法球状シリカ、及び炭酸カルシウム粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0046】
溶融球状シリカとしては、例えば、FB-5D(平均粒径4.7μm、比表面積2.4m2/g)(デンカ株式会社)が挙げられる。爆燃法球状シリカとしては、例えば、アドマファインシリカSO-C2(平均粒径0.4~0.6μm、比表面積4~7m2/g)、SO-C4(平均粒径0.9~1.2μm、比表面積3~6m2/g)、及びSO-C6(平均粒径1.8~2.3μm、比表面積1.5~2.5m2/g)(いずれも株式会社アドマテックス)が挙げられる。炭酸カルシウム粒子としては、例えば、重質無処理炭酸カルシウムである、スーパーS(平均粒径6.3μm、比表面積0.8m2/g)、スーパー#1500(平均粒径2.2μm、比表面積1.5m2/g)、及びナノックス#25(平均粒径1.3μm、比表面積2.5m2/g)(いずれも丸尾カルシウム株式会社)が挙げられる。
【0047】
親水性無機充填材の含有量は、シリコーンポリマー100質量部を基準として、250~700質量部であることが好ましく、300~600質量部であることがより好ましい。
【0048】
〈(C)硬化触媒〉
(C)硬化触媒としては、アルコキシ基の加水分解及びアルコキシオリゴマーの硬化を促進する触媒であれば特に限定されないが、例えば、Al、Ti、Zr、Sn等の金属を含む、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、及び金属エステル化合物が挙げられる。硬化触媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
金属アルコキシド化合物としては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ-n-プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ-n-ブトキシド、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリ-s-ブトキシド、アルミニウムトリ-t-ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラ-n-ヘキシルチタネート、テトライソオクチルチタネート、テトラ-n-ラウリルチタネート等のチタンアルコキシド;テトラエチルジルコネート、テトラ-n-プロピルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラ-n-ブチルジルコネート、テトラ-s-ブチルジルコネート、テトラ-t-ブチルジルコネート、テトラ-n-ペンチルジルコネート、テトラ-t-ペンチルジルコネート、テトラ-t-ヘキシルジルコネート、テトラ-n-ヘプチルジルコネート、テトラ-n-オクチルジルコネート、テトラ-n-ステアリルジルコネート等のジルコニウムアルコキシド;及びジブチルスズジブトキシド等のスズアルコキシドが挙げられる。
【0050】
金属キレート化合物及び金属エステル化合物としては、例えば、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n-プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(イソプロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n-ブチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシプロピオニルアセトナトアルミニウム、アセチルアセトナト・ビス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、モノエチルアセトアセテート・ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム、アセチルアセトナトアルミニウム・ジ-s-ブチレート、メチルアセトアセテートアルミニウム・ジ-s-ブチレート、ジ(メチルアセトアセテート)アルミニウム・モノ-t-ブチレート、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、モノアセチルアセトナト・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタネート、ジ-n-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタネート等のチタンキレート化合物;テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(n-プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;及びジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジ(2-エチルヘキシレート)、ジベンジルスズジ(2-エチルヘキシレート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジイソオクチルマレエート、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)等のスズエステル化合物が挙げられる。
【0051】
硬化触媒は、水中での硬化性の観点から、チタンアルコキシド化合物及びチタンキレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0052】
硬化触媒としては、例えば、オルガチックスTC-750(ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネート、マツモトファインケミカル株式会社)、及びD-25(チタン系、信越化学工業株式会社)が挙げられる。
【0053】
硬化触媒として、アミン系シランカップリング剤を使用することもできる。アミン系シランカップリング剤としては、例えば、KBE-903(信越化学工業株式会社)が挙げられる。
【0054】
硬化触媒の含有量は、シリコーンポリマー100質量部を基準として、0.2~8質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
【0055】
〈(D)非極性有機高分子化合物〉
(D)非極性有機高分子化合物は、第1実施態様の一液水中硬化型接着剤においては任意成分であり、第2実施態様の一液水中硬化型接着剤においては必須成分である。非極性有機高分子化合物は、比較的極性の高い上記のシリコーンポリマーとは溶け合わないため、接着剤にチキソ性を付与することができる。これにより、水中での接着剤の溶解及び低温保存時の接着剤中の液状成分又は低分子量成分の分離を抑制することができる。また、非極性有機高分子化合物は、接着剤をパテ状とするために有利に使用することができる。パテ状の接着剤は、静止状態で変形又は流動しにくいため、施工直後の接着安定性を向上させることができる。第2実施態様では、シリコーンポリマーのアルコキシ基含有量が比較的高い、すなわちシリコーンポリマーが低分子量となる傾向がある。そのため、非極性有機高分子化合物を必須成分とすることにより接着剤の粘性を高めて、接着剤の水中での作業安定性及び低温保存安定性を確保することができる。
【0056】
非極性有機高分子化合物としては、例えば、高粘度シリコーンオイル、シリコーン生ゴム等の直鎖オルガノポリシロキサン、及びポリブテンが挙げられる。高粘度シリコーンオイル、及びシリコーン生ゴムは、それぞれ高粘度ジメチルシリコーンオイル、及びジメチルシリコーン生ゴムであることが好ましい。高粘度シリコーンオイルの動粘度は、100,000mm2/s~1,000,000mm2/sであることが好ましい。非極性有機高分子化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
第1実施態様において、任意成分である非極性有機高分子化合物の含有量は、シリコーンポリマー100質量部を基準として、1000質量部以下であることが好ましく、10~500質量部であることがより好ましい。非極性有機高分子化合物の含有量を100質量部以下とすることにより、接着性の低下を抑制することができる。
【0058】
第2実施態様において、非極性有機高分子化合物の含有量は、シリコーンポリマー100質量部を基準として、50~800質量部であることが好ましく、60~500質量部であることがより好ましい。
【0059】
〈(E)多官能アルコキシシラン〉
(E)多官能アルコキシシランは、シリコーンポリマーが、接着剤の製造中又は保管中に混入した水分、あるいは無機充填材に含まれていた水分と反応して、接着剤の保管中に接着剤が架橋及び硬化することを抑制又は防止して、接着剤の保存安定性を高めることができる。
【0060】
多官能アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;及びメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシランが挙げられる。多官能アルコキシシランは、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
多官能アルコキシシランは、テトラエトキシシラン及びビニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0062】
多官能アルコキシシランの含有量は、シリコーンポリマー100質量部を基準として、1~20質量部であることが好ましく、5~15質量部であることがより好ましい。
【0063】
〈任意成分〉
接着剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意成分として添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、溶剤、シランカップリング剤、レオロジー調整剤、分散剤、老化防止剤、酸化防止剤、染料、及び顔料が挙げられる。添加剤は、単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0064】
〈一液水中硬化型接着剤の製造〉
一液水中硬化型接着剤は、上記成分を混合することにより製造することができる。混合装置としては、例えば、プラネタリーミキサー、ニーダーなどを用いることができる。上記成分の混合の順序は、特に限定されないが、シリコーンポリマーと相溶する成分を先に混合し、その後、得られた混合物に親水性無機充填材を添加混合することが好ましい。
【0065】
〈一液水中硬化型接着剤の形態〉
一実施態様では、一液水中硬化型接着剤は、パテタイプの接着剤の形態で提供される。パテタイプの接着剤は水中での作業性に特に優れている。
【0066】
〈一液水中硬化型接着剤の用途〉
本開示の一液水中硬化型接着剤は、川底又は海中にある岩、構造物等の被着体に対して、金属、セラミック等の無機材料を接着する用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0068】
〈原料〉
実施例において、一液水中硬化型接着剤に使用したアルコキシオリゴマーを表1に示す。
【0069】
【0070】
メチル系オリゴマーは、式(1)で表されるアルコキシオリゴマーにおいて、R1がメチル基であるアルコキシオリゴマーである。メチルフェニル系オリゴマーは、式(1)で表されるアルコキシオリゴマーにおいて、R1がメチル基又はフェニル基であるアルコキシオリゴマーである。Qオリゴマーは、式(1)で表されるアルコキシオリゴマーにおいて、a=1、b=0、c=0であるアルコキシオリゴマーである。
【0071】
親水性無機充填材として、溶融球状シリカであるFB-5D(平均粒径4.7μm、比表面積2.4m2/g)(デンカ株式会社)、及び重質無処理炭酸カルシウム粒子であるスーパーS(平均粒径6.3μm、比表面積0.8m2/g)(丸尾カルシウム株式会社)を使用した。
【0072】
硬化触媒として、オルガチックスTC-750(ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネート、マツモトファインケミカル株式会社)、及びD-25(チタン系、信越化学工業株式会社)を使用した。
【0073】
非極性有機高分子化合物として、シリコーン生ゴム(重合度8000の直鎖ジメチルポリシロキサン)を使用した。
【0074】
多官能アルコキシシランとして、テトラエトキシシラン(TEOS)、及びビニルトリメトキシシラン(VTMOS)を使用した。
【0075】
〈一液水中硬化型接着剤の調製〉
一液水中硬化型接着剤は以下の手順で調製した。90mLのPET製蓋付円形容器に、アルコキシオリゴマー、シリコーン生ゴム(使用する場合)、テトラエトキシシラン(使用する場合)、硬化触媒、親水性無機充填材の順に計量して入れ、これらを木製丸箸で撹拌した。親水性無機充填材は、親水性無機充填材がすべて液相に取り込まれて、均一なパテ状になり、撹拌が困難になる量まで入れた
【0076】
〈接着性〉
接着性は以下の手順で評価した。市販の人工海水用ミネラルソルトを水道水に溶解した人工海水中に試験用小石を置いた。直径数cmの球状に手で丸めた一液水中硬化型接着剤を人工海水中の小石の上に軽く押し付けて設置した後、その上に同種の石を載せて軽く押し付けて、室温にて放置した。所定時間経過後に小石を取り出し、2つの小石を手で引っ張ることにより、剥離に要する力を手に伝わる感触で評価した。接着性の評価をA+、A、B、C、C-の5段階で表し、A+及びAは種々の用途において実用的な接着強度であり、Bは用途によっては使用可能な接着強度であり、C及びC-は使用不可な程度に低い接着強度であったことを示す。
【0077】
〈水中作業安定性〉
水中での作業中の一液水中硬化型接着剤の状態を観察して記録した。
【0078】
〈冷凍保存安定性〉
一液水中硬化型接着剤を調製に使用した蓋付円形容器内に入れたまま蓋をし、蓋付円形容器をファスナー付きPE袋に入れて、家庭用冷蔵庫の冷凍室(-15℃)内で保存した。定期的に接着剤の状態を観察して、冷凍保存安定性として記録した。
【0079】
〈常温保存安定性〉
一液水中硬化型接着剤を調製に使用した蓋付円形容器内に入れたまま蓋をし、蓋付円形容器をファスナー付きPE袋に入れて、常温で保存した。接着剤が容器内で硬化するまでの時間又は日数を記録した。
【0080】
〈実施例1-1~1-4、比較例1-1~1-5〉
各種アルコキシオリゴマーを用いて、表2に記載の組成で一液水中型接着剤を調製した。組成及び評価結果を表2に示す。実施例1-1~1-4及び比較例1-1~1-5では、一液水中硬化型接着剤を空気中で球状に手で丸めた後、小石の上に設置した。
【0081】
【0082】
〈実施例2-1~2-4、比較例2-1~2-2〉
多官能アルコキシシランの添加により保存安定性を改良することを目的として、表3に記載の組成で一液水中型接着剤を調製した。組成及び評価結果を表3に示す。実施例2-1~2-4及び比較例2-1~2-2では、一液水中硬化型接着剤を空気中で球状に手で丸めた後、小石の上に設置した。
【0083】
【0084】
〈実施例3-1~3-6、比較例3-1~3-2〉
非極性有機高分子化合物の添加により水中作業安定性を改良することを目的として、表4に記載の組成で一液水中型接着剤を調製した。組成及び評価結果を表4に示す。実施例3-1~3-6及び比較例3-1~3-2では、一液水中硬化型接着剤を水中で球状に手で丸めた後、小石の上に設置した。
【0085】
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示の一液水中硬化型接着剤は、川底又は海中にある岩、構造物等の被着体に対して、金属、セラミック等の無機材料を接着する用途に好適に使用することができる。
【要約】
【課題】水中で容易に施工でき、水中においても優れた硬化性と、水中の岩、構造物等の被着体に対して優れた接着性とを示し、作業性に優れたシリコーン接着剤を提供すること。
【解決手段】(A)ケイ素原子に直接結合した炭素原子数1~6のアルコキシ基を複数有するシリコーンポリマー100質量部と、(B)親水性無機充填材200~800質量部と、(C)硬化触媒0.1~10質量部とを含む、一液水中硬化型接着剤であって、シリコーンポリマーのアルコキシ基含有量が20質量%~40質量%である、一液水中硬化型接着剤。
【選択図】なし