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特許7193990完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着の方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20221214BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221214BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20221214BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20221214BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20221214BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20221214BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 B
H01L21/88 B
H01L21/90 K
C23C16/04
C23C16/42
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018217623
(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公開番号】P2019096881
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】62/588,855
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/685,847
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】カンダバラ エヌ.タピリー
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-041038(JP,A)
【文献】特開2010-010686(JP,A)
【文献】特開平04-211121(JP,A)
【文献】特表2016-536452(JP,A)
【文献】特表2008-516428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0032064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
H01L 21/3205
H01L 21/768
C23C 16/04
C23C 16/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理方法であって、
(a) 処理チャンバ内の複数の基板支持体上に基板を配置するステップであって、該処理チャンバは、該処理チャンバ内で回転軸の周りに画定された処理空間を含み、各基板は第1の表面と第2の表面とを含む、ステップと、
(b) 前記回転軸の周りに前記複数の基板支持体を回転させるステップと、
(c) 金属含有触媒を含む反応ガスに前記基板を暴露するステップと、
(d) 酸化層を該酸化層上の前記金属含有触媒と共に前記第2の表面から除去する洗浄ガスに前記基板を暴露するステップと、
(e) ある期間にわたって、前記第1の表面上の前記金属含有触媒上に初期SiO膜を選択的に付着させるシラノールガスを含有する付着ガスに前記基板を暴露するステップであって、該初期SiO膜は前記第2の表面に隣接する隆起フィーチャを形成する、ステップと、
(f) 前記金属含有触媒を用いて、前記反応ガスに前記基板を暴露して、前記第2の表面ではなく前記初期SiO膜の隆起フィーチャを選択的に被覆するステップと、
(g) ある期間にわたって、前記初期SiO膜の隆起フィーチャ上の前記金属含有触媒上に追加SiO膜を選択的に付着させる前記シラノールガスを含有する付着ガスに前記基板を暴露するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の表面が誘電体材料を含み、前記第2の表面が金属層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(f)を実行する前に、ステップ(c)からステップ(e)までを少なくとも1回繰り返して、前記初期SiO膜の厚さを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(f)及びステップ(g)を少なくとも1回繰り返して、前記初期SiO膜上の前記追加SiO膜の厚さを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(f)及びステップ(g)は、前記洗浄ガスに前記基板を暴露するステップを介在させることなく実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応ガスは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応ガスはトリメチルアルミニウム(AlMe)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シラノールガスを含む付着ガスに前記基板を暴露するステップは、いかなる酸化剤及び加水分解剤なしで、150℃以下の基板温度で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記暴露するステップ中、前記基板の温度は100℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記付着ガスは前記シラノールガスと不活性ガスとからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記シラノールガスは、トリス(tert-ペントキシ)シラノール、トリス(tert-ブトキシ)シラノール、及びビス(tert-ブトキシ)(イソプロポキシ)シラノールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記初期SiO膜及び前記追加SiO膜は、自己制限的処理で前記金属含有触媒上に付着される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記初期SiO膜の厚さは15nm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記初期SiO膜は、ステップ(c)からステップ(e)までを順次1回だけ実行することによって付着される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記追加SiO膜の厚さは50nmと100nmの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記洗浄ガスがアルコールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記アルコールは、イソプロピルアルコール、メタノール又はエタノールを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(c)からステップ(e)までが、
前記回転軸の周りに第1の狭角によって画定された第1の処理空間に前記反応ガスを注入するステップと、
各全回転中に、各基板の第1の表面及び第2の表面を前記第1の処理空間内の反応ガスに暴露するステップと、
前記回転軸の周りに第2の挟角によって画定され、前記第1の処理空間から分離されている第2の処理空間に前記洗浄ガスを注入するステップと、
各全回転中に、各基板の第1の表面及び第2の表面を前記洗浄ガスに暴露するステップと、
前記回転軸の周りに第3の狭角によって画定され、前記第1の処理空間及び前記第2の処理空間から分離されている第3の処理空間に、前記シラノールガスを含む前記付着ガスを注入するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
各基板上に前記初期SiO膜を増加的に付着させるために、前記第1の処理空間、前記第2の処理空間及び前記第3の処理空間を通して前記基板を繰り返し回転させることによって、各基板の第1の表面及び第2の表面を前記反応ガス、前記洗浄ガス、及び前記付着ガスに再暴露するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(f)からステップ(g)までが、
前記回転軸の周りに第1の狭角によって画定された第1の処理空間に前記反応ガスを注入するステップと、
各全回転中に、各基板の第1の表面を前記第1の処理空間内の反応ガスに暴露するステップと、
前記回転軸の周りに第2の狭角によって画定され、前記第1の処理空間から分離されている第2の処理空間に前記シラノールガスを含む前記付着ガスを注入するステップと、
各基板上に前記追加SiO膜を増加的に付着させるために、前記第1の処理空間及び前記第2の処理空間を通して前記基板を繰り返し回転させることによって、各基板の第1の表面及び第2の表面を前記反応ガス及び前記付着ガスに再暴露するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年11月20日付で出願された米国仮特許出願第62/588,855号に関連し、それに対する優先権を主張し、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。この出願は、2018年6月15日付で出願された米国仮特許出願第62/685,847号に関連し、それに対する優先権を主張し、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、半導体処理及び半導体デバイスに関連し、より詳細には、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
デバイスのサイズが小さくなるにつれて、半導体デバイス製造における複雑さが増している。半導体デバイスを製造するためのコストも増しており、費用対効果の高い解決及び革新が必要とされている。より小さいトランジスタが製造されるにつれて、パターニングされたフィーチャの限界寸法(CD)又は解像度は、製造するのがより困難になってきている。薄膜の選択的付着が、高度にスケーリングされた技術ノードにおいてはパターニングにおける重要なステップである。異なる材料表面上に選択的膜付着(deposition)を提供する新たな付着方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態により、基板処理方法を提供する。本方法は、(a) 処理チャンバ内の複数の基板支持体上に複数の基板を配置するステップであって、該処理チャンバは、該処理チャンバ内で回転軸の周りに画定された処理空間を含み、各基板は第1の表面と第2の表面とを含む、ステップと、(b) 前記回転軸の周りに前記複数の基板支持体を回転させるステップと、(c) 金属含有触媒を含む反応ガスに前記基板を暴露するステップと、(d) 酸化層を該酸化層上の金属含有触媒と共に前記第2の表面から除去する洗浄ガスに前記基板を暴露するステップと、(e) ある期間にわたって、前記第1の表面上の前記金属含有触媒層上に初期SiO膜を選択的に付着させるシラノールガスを含有する付着ガスに前記基板を暴露するステップであって、該初期SiO膜は前記第2の表面に隣接する隆起フィーチャを形成する、ステップと、(f) 前記金属含有触媒層を用いて、前記反応ガスに前記基板を暴露して、前記第2の表面ではなく前記初期SiO膜の隆起フィーチャを選択的に被覆するステップと、(g) ある期間にわたって、前記初期SiO膜の隆起フィーチャ上の前記金属含有触媒上に追加SiO膜を選択的に付着させる前記シラノールガスを含有する付着ガスに前記基板を暴露するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の実施形態及びそれに付随する多くの利点のより完全な理解は、特に添付の図面と併せて考慮されるときに、以下の詳細な説明を参照することにより容易に明らかになるであろう。
【0006】
図1A】本発明の一実施形態による、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を概略断面図で示す。
図1B】本発明の一実施形態による、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を概略断面図で示す。
図1C】本発明の一実施形態による、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を概略断面図で示す。
図1D】本発明の一実施形態による、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を概略断面図で示す。
図1E】本発明の一実施形態による、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を概略断面図で示す。
図1F】本発明の一実施形態による、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を概略断面図で示す。
図1G】本発明の一実施形態による、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を概略断面図で示す。
図2】本発明の一実施形態による、基板を処理するためのバッチ処理システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態は、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を提供する。本方法は、複数の基板を同時に処理することが可能なバッチ処理システムにおいて実行されてよい。バッチ処理システムの一例を図2に概略的に示す。
【0008】
図1Aから図1Gは、本発明の一実施形態による、完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法を概略断面図で示す。図1Aでは、基板1はパターニング及び平坦化されており、誘電体材料100と、誘電体材料100にはめ込まれた金属層104と、金属層104を誘電体材料100から分離する光学拡散バリア層102と、を含む。誘電体材料100は第1の表面101を有し、金属層104は第2の表面103を有する。誘電体材料100は、例えば、low-k誘電体材料、SiO、SiCOH又は金属含有誘電体材料を含むことができる。いくつかの例では、誘電体材料100はSiCN又はSiOCを含んでよい。一例では、金属含有誘電体材料は、金属酸化物、金属窒化物、又は金属酸窒化物を含有することができる。いくつかの例では、光学拡散バリア層102は、TaN、TiN、TaSiN、又はTiSiNを含有することができる。金属層104は、例えば、Cu金属、W金属、Ru金属、又はCo金属を含有することができる。金属層104の上部は、酸化金属層107の形で酸化されてよい。酸化金属層107は、処理システムにおけるプロセスガス又はバックグラウンドガスからのO及びHOの暴露を含む、基板処理中の金属層104の酸素含有ガスへの暴露によって形成してよい。一例では、酸化金属層107は、CMP処理中又はその後に形成してよい。一例では、酸化金属層107は、金属層104を露出させる開口領域と不完全である(incomplete with)ことがある。
【0009】
一実施形態は、処理チャンバ内の複数の基板支持体上に複数の基板を配置するステップを含み、処理チャンバは、処理チャンバ内で回転軸の周りに画定された処理空間を含む。本方法はさらに、回転軸の周りに複数の基板支持体を回転させるステップと、処理チャンバ内の1つの処理空間内で金属含有触媒を含む反応ガスに基板を暴露するステップと、を含む。反応ガスへの暴露は、基板1上の全ての吸着部位を飽和してよい。金属含有触媒層105(図1Bの「X」)、又は部分的に分解された金属含有触媒は、図1Aに示すように基板1の第1の表面101及び第2の表面に103に吸着される。図1Bに概略的に示すように、第2の表面103上の金属含有触媒層105の面密度は、第1の表面101よりも低くてよい。酸化金属層107の存在は、付着選択性を低下させることによってその後の選択的SiO膜付着に影響を与える可能性がある。本発明のいくつかの実施形態によれば、金属含有触媒層105は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、又はそれらの組み合わせを含有してよい。一実施形態によれば、金属含有触媒層105は、Al、Al、AlN、AlON、Al含有前駆体、Al含有合金、CuAl、TiAlN、TaAlN、Ti、TiAlC、TiO、TiON、TiN、Ti含有前駆体、Ti含有合金、及びそれらの組み合わせからなる群から選択してよい。金属含有触媒層105は、基板1を金属含有前駆体蒸気、任意で酸素含有ガス、及び/又は窒素含有ガスに暴露することによって形成してよい。一実施形態によれば、暴露は、約1単分子層(monolayer)の厚さである金属含有触媒層105を吸着する金属を含有するガスパルスに基板1を暴露することによって進行してよい。一例では、金属含有触媒層105は、吸着金属含有前駆体、例えば、AlMeの層を含んでよい。
【0010】
本発明の実施形態は、多種多様なAl含有前駆体を利用してよい。例えば、多くのアルミニウム前駆体は次式を有する:
AlL
ここで、L、L、Lは個々のアニオン性配位子であり、Dは、xを0、1、又は2とすることができる中性ドナー配位子である。各L、L、L配位子は、アルコキシド、ハライド、アリールオキシド、アミド、シクロペンタジエニル、アルキル、シリル、アミジネート、β-ジケトネート、ケトイミネート、シラノエート、及びカルボキシレートの群から個別に選択してよい。D配位子は、エーテル、フラン、ピリジン、ピロール、ピロリジン、アミン、クラウンエーテル、グライム、及びニトリルの群から選択してよい。
【0011】
アルミニウム前駆体の他の例としては、AlMe、AlEt、AlMeH、[Al(OsBu)、Al(CHCOCHCOCH、AlCl、AlBr、AlI、Al(OiPr)、[Al(NMe、Al(iBu)Cl、Al(iBu)、Al(iBu)H、AlEtCl、EtAl(OsBu)、及びAl(THD)を含む。
【0012】
本発明の実施形態は、多種多様なTi含有前駆体を利用してよい。例としては、Ti(NEt(TDEAT)、Ti(NMeEt)(TEMAT)、Ti(NMe(TDMAT)を含む「Ti-N」分子内結合を有するTi含有前駆体を含む。他の例としては、Ti(COCH)(η-CCl、Ti(η-C)Cl、Ti(η-C)Cl、Ti(η-CCl、Ti(η-C(CH)Cl、Ti(CH)(η-CCl、Ti(η-CCl、Ti((η-C(CHCl、Ti((η-C(CHCl、Ti(η-C(μ-Cl)、Ti(η-C(CO)、Ti(CH(η-C)、Ti(CH(η-C、Ti(CH、Ti(η-C)(η-C)、Ti(η-C)(η-C)、Ti(C(η-C、Ti((C(η-H)、Ti(η-C(CH、Ti(η-C(CH(H)、及びTi(CH(η-C(CHを含む「Ti-C」分子内結合を含むTi含有前駆体を含む。TiClは、「Ti-ハロゲン」結合を含むハロゲン化チタン前駆体の一例である。
【0013】
本方法は、第2の表面103から酸化金属層107及び酸化金属層107上の金属含有触媒層105を除去する洗浄ガスに基板を暴露するステップをさらに含む。これを図1Cに概略的に示し、金属含有触媒層105は第1の表面101上に残る。洗浄ガスは、金属層104を再酸化することなく酸化金属層107を効果的にリフトオフし、さらに、そのリフトオフ処理において金属含有触媒層105を除去する。これは、金属含有触媒層105が、除去される酸化金属層107と結合されているためである。洗浄ガスは、化学式R-OHを有する一種以上のアルコールを含有してよい。一つのクラスのアルコールは第一級アルコールであり、そのうちメタノール及びエタノールが最も単純なメンバである。他のクラスのアルコールは第二級アルコール、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0014】
この方法はさらに、ある期間にわたって、第2の表面103ではなく、第1の表面101上の金属含有触媒層105上に自己制限的に初期SiO膜106を選択的に付着させるシラノールガスを含有する付着ガスに基板を暴露するステップを含み、初期SiO膜106は第2の表面103に隣接する隆起フィーチャを形成する。これを図1Dに概略的に示す。
【0015】
金属含有触媒層105は、シラノールガスからの初期SiO膜106の選択的付着を触媒し、この触媒効果は、処理条件に応じて、付着したSiO膜106が約15nm以下の厚さになるまで観察され、次いで、SiO付着は自動的に停止する。付着ガスへの暴露は、金属層104の第2の表面103上に実質的なSiO付着をもたらさない期間にわたって実行されてよい。本発明の実施形態によれば、基板1は、いかなる酸化剤及び加水分解剤なしでシラノールガスを含有する付着ガスに暴露される。一例では、シラノールガスは、トリス(tert-ペントキシ)シラノール(TPSOL)、トリス(tert-ブトキシ)シラノール、及びビス(tert-ブトキシ)(イソプロポキシ)シラノールからなる群から選択してよい。一例では、付着ガスはシラノールガスとアルゴンのような不活性ガスとからなる。さらに、一実施形態によれば、暴露ステップ中、基板温度は約150℃以下としてよい。別の実施形態では、基板温度は約120℃以下としてよい。さらに別の実施形態では、基板温度は約100℃以下としてよい。
【0016】
一実施形態によれば、金属含有触媒を含有する反応ガスに基板を暴露するステップ、洗浄ガスに基板を暴露するステップ、及びシラノールガスを含む付着ガスに基板を暴露するステップの順次ステップは、少なくとも1回繰り返して、基板1上の初期SiO膜106の厚さを増加させてよい。処理条件は、付着ガスへの1回の(single)暴露中、約15nmまでの初期SiO膜106が付着され得るように選択されてよく、次いでSiO付着は自動的に停止する。いくつかの例では、約15nm未満、約10nm未満、又は約5nm未満の初期SiO膜106が、シラノールガスを含有する付着ガスへの1回の暴露中に付着されてよい。一例では、基板支持体は、金属含有触媒を含む反応ガスに基板を暴露するステップ、洗浄ガスに基板を暴露するステップ、及びシラノールガスを含有する付着ガスに基板を暴露するステップの順次ステップ中、処理チャンバ内で回転軸の周りに約100rpm以下で回転させてよい。
【0017】
本方法はさらに、金属含有触媒層105を用いて、反応ガスに基板を暴露して、第2の表面103ではなく、初期SiO膜106の隆起フィーチャを金属含有触媒層105で選択的に被覆するステップを含む。これを図1Eに概略的に示す。処理チャンバ内の複数の基板支持体の回転速度及び露光パラメータは、金属含有触媒を含む反応ガスが、第2の表面103ではなく、初期SiO膜106の上面に優先的に暴露されるように選択してよい。選択的被覆は、少なくとも部分的には、第2の表面103の上方に隆起フィーチャを形成する初期SiO膜106及び隆起フィーチャ間の空間に拡散せず第2の表面103を被覆しない反応ガスに起因する。さらに、金属層104が酸化されないため、第2の表面103への金属含有触媒の吸着が低減又は防止される。
【0018】
その後、本方法はさらに、ある期間にわたって、初期SiO膜106の隆起フィーチャ上の金属含有触媒層105上に追加SiO膜108を選択的に付着させるシラノールガスを含む付着ガスに基板を暴露するステップを含む。これを図1Fに概略的に示す。第2の表面103上の金属含有触媒の吸着が低減又は防止されるため、初期SiO膜106上に追加のSiO膜108を付着させるときに、基板を洗浄ガスに暴露するステップを一連のステップから省略することができる。
【0019】
一実施形態によれば、金属含有触媒を含有する反応ガスに基板を暴露するステップ、及びシラノールガスを含む付着ガスに基板を暴露して、追加SiO膜108を選択的に付着させるステップの順次ステップは、少なくとも1回繰り返してよく、初期SiO膜106上の追加SiO膜108の厚さを増加させる。これを図1Gに概略的に示す。一例では、追加SiO膜108の厚さは、約50nmと約100nmの間とすることができる。一例では、金属含有触媒を含む反応ガスに基板を暴露するステップと、シラノールガスを含む付着ガスに基板を暴露するステップとの順次ステップ中、基板支持体を回転軸の周りに100rpm超で回転させてよい。処理条件は、最大約15nmまでの追加のSiO膜108が付着ガスへの1回の暴露中に付着されるように選択されてよく、次いで、SiO付着が自動的に停止する。いくつかの例では、約15nm未満、約10nm未満、又は約5nm未満の追加SiO膜108が、シラノールガスを含有する付着ガスへの1回の暴露中に付着されてよい。
【0020】
図1Gに示すように、初期SiO膜106及び追加SiO膜108は、金属層104の上方に完全自己整合性ビア110を形成する。完全自己整合性ビア110は、ホール又はトレンチとも呼ばれることがある。本方法は、高度にスケールされた技術ノードにおいて完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着を提供する。ビアは、例えば、約50nm未満、約20nm未満、約10nm未満、又は約5nm未満の幅を有することができる。これらのビアは、従来のリソグラフィ方法を使用して製造するのが困難である。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態による、基板を処理するためのバッチ処理システムを概略的に示す。バッチ処理システム10は、複数の基板200を処理するように構成されており、入力/出力ステーション12と、ロード/ロックステーション14と、処理チャンバ16と、ロード/ロックステーション14と処理チャンバ16との間に介在する搬送チャンバ18と、を含む。簡略化して示されているバッチ処理システム10は、当業者によって理解されるように、ロード/ロックステーション14を搬送チャンバ18に結合し、処理チャンバ16を搬送チャンバ18に結合する追加の真空遮断壁などの追加の構造を含んでよい。入力/出力ステーション12は、大気圧又はそれに近い圧力(例えば、760Torr)であり、フロントオープンユニファイドポッド(FOUP)などのウェハカセット20を受けるようになっている。ウェハカセット20は、例えば、200又は300ミリメートルの直径を有する半導体ウェハのような複数の基板200を保持するような大きさ及び形状になっている。
【0022】
ロード/ロックステーション14は、大気圧から真空圧力まで排気され、真空圧力から大気圧までベントされるようになっているが、処理チャンバ16及び搬送チャンバ18は連続的に真空圧力下で隔離、維持されている。ロード/ロックステーション14は、入力/出力ステーション12の大気圧環境から導入された複数のウェハカセット20を保持する。ロード/ロックステーション14は、各々が複数のウェハカセット20のうちの1つを支持し、処理チャンバ16とのウェハ搬送を促進するために垂直方向にインデックス付けされ得るプラットフォーム21、23を含む。
【0023】
ウェハ搬送機構22は、ロード/ロックステーション14内のウェハカセット20のうちの1つから搬送チャンバ18を通って処理チャンバ16内に基板200を真空下で搬送する。別のウェハ搬送機構24は、処理チャンバ16から搬送チャンバ18を通ってウェハカセット20に、処理チャンバ16内で処理された基板200を真空下で搬送する。バッチ処理システム10のスループットを向上させるために互いに独立して動作するウェハ搬送機構22、24は、ピックアンドプレース作業に一般的に使用されている、SCARA(Selective compliant articulated/assembly robot arm)ロボットとしてよい。ウェハ搬送機構22、24は、搬送中に基板200を固定するように構成されているエンドエフェクタを含む。処理チャンバ16は、処理チャンバ16内の処理空間にアクセスするために、ウェハ搬送機構22、24によってそれぞれ使用される別個の第1及び第2の密封可能ポート(図示せず)を含んでよい。アクセスポートは、基板処理が処理チャンバ16内で起こるときに密封される。ウェハ搬送機構22は、未処理の基板200をロード/ロックステーション14のプラットフォーム21上のウェハカセット20から処理チャンバ16へ搬送するものとして図2に示されている。ウェハ搬送機構24は、処理チャンバ16からロード/ロックステーション14のプラットフォーム23上のウェハカセット20に処理済みの基板200を搬送するものとして図2に示されている。
【0024】
ウェハ搬送機構24はまた、処理チャンバ16から取り出された処理済みの基板200を検査のために計測ステーション26又は基板200の低圧冷却の後処理のために使用される冷却ステーション28に搬送してよい。計測ステーション26において実行される処理は、偏光解析法のような膜厚及び/又は膜組成を測定するために使用される従来の技術、及び汚染制御のための粒子測定技術を含むことができるが、これらに限定されない。
【0025】
バッチ処理システム10は、バッチ処理システム10の動作を制御し調整する(orchestrate)ようにプログラムされているシステムコントローラ36を備えている。システムコントローラ36は、代表的には、様々なシステム機能、チャンバプロセス及びサポートハードウェア(例えば、検出器、ロボット、モータ、ガス源ハードウェアなど)を制御し、システム及びチャンバプロセス(チャンバ温度、プロセスシーケンススループット、チャンバプロセス時間、入力/出力信号など)を監視するための中央処理装置(CPU)を含む。ソフトウェア命令及びデータは、CPUに命令するためにコード化され、メモリ内に記憶され得る。システムコントローラ36によって実行可能なソフトウェアプログラムは、処理シーケンスタスク及び様々なチャンバプロセスレシピステップの監視及び実行に関するタスクを含む、タスクのどれが基板200に実行されるかを決定する。
【0026】
サセプタ48は処理チャンバ16の内部に配置されている。サセプタ48は、サセプタ48の上面に画定された複数の円形の基板支持体52を含む。各基板支持体52は、処理チャンバ16の周囲側壁40内の径方向位置で基板200の少なくとも1つを保持するように構成されている。個々の基板支持体52の数は、例えば、2から8の範囲としてよい。しかし、当業者であれば、サセプタ48は基板200の寸法及びサセプタ48の寸法に応じて、任意の所望の数の基板支持体52で構成され得ると理解するものである。本発明のこの実施形態は、円又は円形の幾何学形状の基板支持体52を有するものとして示しているが、当業者であれば、基板支持体52は適切に成形された基板を収容するために任意の所望の形状のものとしてよいと理解するものである。
【0027】
バッチ処理システム10は、200mm基板、300mm基板、又はより大きなサイズの円形基板を処理するように構成されてよく、その寸法は基板支持体52の寸法に反映されるものである。事実、バッチ処理システム10は、当業者には理解されるように、それらのサイズに関係なく、基板、ウェハ、又は液晶ディスプレイを処理するように構成され得ると考えられる。したがって、本発明の態様は、半導体基板である基板200の処理に関連して説明されるが、本発明はそのように限定されない。
【0028】
基板支持体52は、回転軸54を中心とする均一な半径の周りでサセプタ48上に円周方向に分布している。基板支持体52は、実質的に方位軸と同一線又同軸で回転軸54の周りにほぼ等角の間隔を有するが、本発明はそのように限定されない。
【0029】
基板200が処理チャンバ16内で処理されるとき、サセプタ48の回転は連続的であってよく、回転軸54の周りに一定の角速度で発生してもよい。代替的には、角速度は、任意の基準点に対するサセプタ48の角度方向に付随して変動してよい。
【0030】
仕切り68、70、72、74は、サセプタ48及び基板支持体52が回転軸54の周りに自由に回転できるようにしながら、処理チャンバ16を複数の処理空間76、78、80、82に区画する。仕切り68、70、72、74は、回転軸54に対して周囲側壁40に向かって半径方向に延びる。4つの仕切り68、70、72、74を代表的に示しているが、当業者であれば、処理チャンバ16は、任意の適切な複数の仕切りで細分化されて、4つの処理空間とは異なる数の空間を形成してよいと理解するものである。別の実施形態によれば、仕切り68、70、72、74を省略してよく、パージガスを複数の処理空間76、78、80、82のうちの1つ以上の間で処理チャンバ16内に流してよい。一実施形態によれば、複数の処理空間76、78、80、82のうちの1つ以上をガスパージのために使用してよい。
【0031】
バッチ処理システム10は、周囲側壁40を貫通するガスインジェクタ30、34にガスラインによって結合されているパージガス供給システム84をさらに含む。パージガス供給システム84は、パージガスの流れを処理空間76及び80に導入するように構成されている。処理空間76及び80に導入されるパージガスは、希ガス(すなわち、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン)、窒素、水素などの不活性ガスを含むことができる。基板処理中、パージガスを処理空間76、80に連続的に導入して、処理空間78、82間での第1及び第2の処理材料の搬送を防止する、又は少なくとも実質的に制限するガスカーテン又はバリアを提供してよい。パージガスはまた、基板200によって運ばれる任意の処理材料層が処理空間76、80を通ってサセプタ48上を搬送するときに実質的に変化しないように、処理空間76、80内に不活性雰囲気を提供する。処理空間76、80が処理空間78、82を分離して第1及び第2の処理材料を相互に隔離するように、処理空間78は処理空間76、80の間に並置され、処理空間82は処理空間76、80の間に並置される。
【0032】
バッチ処理システム10はさらに、周囲側壁40を貫通するガスインジェクタ32に結合されている第1の処理材料供給システム90と、周囲側壁40を貫通するガスインジェクタ38に結合されている第2の処理材料供給システム92と、を含む。第1の処理材料供給システム90は処理空間78に第1の処理材料を導入するように構成され、第2の処理材料供給システム92は処理空間82に第2の処理材料を導入するように構成されている。第1及び第2の処理材料供給システム90、92は各々、従来からこのような処理材料供給システムに見られたように、1つ以上の材料供給源、1つ以上のヒータ、1つ以上の圧力制御デバイス、1つ以上の流量制御デバイス、1つ以上のフィルタ、1つ以上のバルブ、又は1つ以上の流量センサを含んでよい。
【0033】
第1の処理材料は、例えば、金属含有触媒を含有する反応ガスを含むことができる。例えば、反応体ガスは、キャリアガスの補助有り又は無しのいずれかで、気相で処理空間78に供給されてよい。第2の処理材料は、例えば、シラノールガスを含む付着ガスを含むことができる。例えば、付着ガスは、キャリアガスの補助有り又は無しのいずれかで、気相で処理空間82に供給されてよい。
【0034】
一実施形態によれば、第1の処理材料供給システム90、第2の処理材料供給システム92、及びパージガス供給システム84のうちの1つ以上は、洗浄ガスを処理空間76、78、80、82の1つ以上に洗浄ガスを注入するようにさらに構成されてよい。一実施形態によれば、洗浄ガスは1種以上のアルコールを含んでよい。
【0035】
サセプタ48が回転軸54の周りを回転するとき、サセプタ48の円周(circumference)まわりの基板支持体52の配置により、各基板200が各処理空間76、78、80、82の内部の異なる環境に順次さらされることができる。一例として、2πラジアン(360°)の閉パスを通じたサセプタ48の回転時に、基板200の各々は、第1の処理空間78内の環境において第1の処理材料に、次いで、第2の処理空間80内の環境を含むパージガスに、次いで、第3の処理空間82内の環境において第2の処理材料に、最後に、第4の処理空間76内の環境を含むパージガスに順次さらされる。各基板200は、各基板上に付着される膜の特性によって要求されるように、膜を形成するのに十分な、それぞれの処理空間76、78、80、82の各々において所望の滞留時間を有する。
【0036】
付着処理は、基板200上への薄膜の各原子層、又はその一部の付着が、薄膜を増加的に形成又は構築するために自己制限的に反応する適切な気相前駆体の交互の逐次導入によって制御される堆積技術である。第1の処理空間78内では、第1の処理材料の分子が、各基板200の上面に(化学的に、吸収によって、吸着によって等)結合し、第1の処理材料の単分子層又は単分子層の一部を形成する。第3の処理空間82内では、第2の処理材料が、連続する各基板200上の第1の処理材料の分子と反応する。基板200は第1の処理空間78及び第3の処理空間82を通って回転するため、これらのステップは第1の処理材料及び第2の処理材料への順次連続した暴露で繰り返される。第1の処理空間78及び第3の処理空間82内の第1の処理材料及び第2の処理材料の環境は、それぞれ、第2の処理空間80及び第4の処理空間76内の化学的に非反応性のパージガス環境によって互いに隔離される。基板200は、付着処理を促進するために処理温度まで加熱してよい。
【0037】
完全自己整合性ビアを形成するための選択的膜付着のための方法が、様々な実施形態において開示されている。本発明の実施形態の前述の説明は、例示及び説明を目的として提示されている。網羅的であること、又は発明を開示された正確な形態に限定することを意図していない。この説明及び以下の特許請求の範囲は、説明目的のためだけに使用され、限定として解釈されるべきではない用語を含む。当業者は、上記の教示に照らして多くの修正及び変形が可能であると理解することができる。当業者であれば、図に示した様々な構成要素に対する様々な等価の組合せ及び置換を理解するものである。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろこれに添付された特許請求の範囲によって限定されるべきことを意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2