(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】プログラム、コンピュータシステム、ゲームシステム及びオブジェクト付与処理実行制御方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/69 20140101AFI20221215BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20221215BHJP
【FI】
A63F13/69 510
A63F13/79
(21)【出願番号】P 2018112734
(22)【出願日】2018-06-13
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000134855
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】倉田 大光
【審査官】右田 純生
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-057713(JP,A)
【文献】特開2013-240567(JP,A)
【文献】特開2018-051267(JP,A)
【文献】特開2013-156743(JP,A)
【文献】特開2019-213712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムに、所定のランダム選択演算を行って選択したゲームオブジェクトをプレーヤに付与するオブジェクト付与処理を実行させるためのプログラムであって、
前記プレーヤに付与する付与オブジェクトと、前記プレーヤが獲得済みの獲得済オブジェクトとが所定の対応条件を満たすか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトに基づいて、特典を決定する特典決定手段、
前記判定手段により前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う特典付与制御手段、
として前記コンピュータシステムを機能させ、
前記特典決定手段は、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトを前記プレーヤが所有している所有時間に基づいて、決定する特典を変更する、
プログラム。
【請求項2】
前記特典決定手段は、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトの数、及び/又は、種類、に基づいて特典を決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記特典決定手段により決定され得る特典毎に、関連する前記付与オブジェクトとの関連づけがなされており、
前記特典決定手段は、前記プレーヤに付与する付与オブジェクトに関連付けられた特典を選択することで、特典を決定する
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記特典決定手段は、前記プレーヤが前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトを複数所有していた
場合、当該獲得済オブジェクトそれぞれの所有時間のうちの最長の所有時間に基づいて、決定する特典を変更する、
請求項1~3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記特典決定手段は、前記
所有時間が所定の長時間条件を満たす場合に、満たさない場合に比べて前記プレーヤにとって有利な特典に変更する、
請求項
1~4の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記特典決定手段は、前記対応条件を満たした前記獲得済オブジェクトの属性に基づいて特典を決定する、
請求項1~5の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記特典決定手段は、前記対応条件を満たした前記獲得済オブジェクトのレア度が所定の高レア条件を満たす場合に、満たさない場合に比べて前記プレーヤにとって有利な特典を決定する、
請求項1~6の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記特典付与制御手段は、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトの数、及び/又は、種類、に基づいて特典付与確率を決定し、当該特典付与確率に基づいて特典を付与するか否かを判定し、付与すると判定した場合に前記特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与する、
請求項1~7の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記特典付与制御手段は、前記プレーヤが前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトを複数所有していた時間に基づいて、前記特典付与確率を変更する、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記オブジェクト付与処理によってN個(N≧2)の付与オブジェクトが選択された場合に、当該N個中、前記対応条件を満たすM個(N≧M≧2)の付与オブジェクトがあるかを判定する第2の判定手段、
前記第2の判定手段により前記対応条件を満たすM個の付与オブジェクトがあると判定された場合に、当該M個の付与オブジェクトに基づいて、特典を決定する第2の特典決定手段、
前記第2の判定手段により前記対応条件を満たすM個の付与オブジェクトがあると判定された場合に、前記第2の特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う第2の特典付与制御手段、
として前記コンピュータシステムを更に機能させるための請求項1~9の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
所定のランダム選択演算を行って選択したゲームオブジェクトをプレーヤに付与するオブジェクト付与処理を実行するコンピュータシステムであって、
前記プレーヤに付与する付与オブジェクトと、前記プレーヤが獲得済みの獲得済オブジェクトとが所定の対応条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトに基づいて、特典を決定する特典決定手段と、
前記判定手段により前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う特典付与制御手段と、
を備え
、
前記特典決定手段は、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトを前記プレーヤが所有している所有時間に基づいて、決定する特典を変更する、
コンピュータシステム。
【請求項12】
前記コンピュータシステムは、各プレーヤのプレーヤ端末と通信接続されるサーバシステムである、
請求項
11に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
請求項
12に記載のコンピュータシステムである前記サーバシステムと、
各プレーヤのプレーヤ端末と、
を具備するゲームシステム。
【請求項14】
所定のランダム選択演算を行って選択したゲームオブジェクトをプレーヤに付与するオブジェクト付与処理をコンピュータシステムが実行するためのオブジェクト付与処理実行制御方法であって、
前記プレーヤに付与する付与オブジェクトと、前記プレーヤが獲得済みの獲得済オブジェクトとが所定の対応条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトに基づいて、特典を決定する特典決定ステップと、
前記判定ステップで前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記特典決定ステップで決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う特典付与制御ステップと、
を含み、
前記特典決定ステップは、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトを前記プレーヤが所有している所有時間に基づいて、決定する特典を変更すること、を含む、
オブジェクト付与処理実行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムに、所定のランダム選択演算を行って選択したゲームオブジェクトをプレーヤに付与する付与処理を実行させるためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのゲームでは、キャラクタやアイテムといったゲームで使用可能なゲームオブジェクトを、ランダム選択演算によって選択してプレーヤに付与するシステムを実装している。その代表例がガチャである。ガチャでは、ランダム選択演算によって付与オブジェクトが選択されるため、プレーヤが既に獲得済みのゲームオブジェクトが付与される可能性がある。
【0003】
このような付与オブジェクトの重複に対するプレーヤの不満を和らげるため、例えば、特許文献1,2に開示されているように、未獲得のゲームオブジェクトの選択確率を高くする、獲得済みのゲームオブジェクトの選択確率を低くするといったように、選択確率を調整することで相対的に未獲得のゲームオブジェクトが付与され易くするようにする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-75140号公報
【文献】特開2014-217485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガチャによる付与オブジェクトの重複は、全てのプレーヤにとって不満であるとは限らず、獲得済みか否かに応じて選択確率を調整することは、獲得済みのゲームオブジェクトが付与され難くなり、例えば、特定のゲームオブジェクトを多数集めたいといったプレーヤにとっては逆に不満となり得る。なお、ガチャを代表例として説明したが、ランダム選択演算によって付与オブジェクトを選択する仕組みには、アイテムドロップや、ステージクリア時等の成功報酬等もあり、これらにおいても同様の不満が生じ得た。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガチャといったランダム選択演算によって選択したゲームオブジェクトをプレーヤに付与するオブジェクト付与処理において、付与オブジェクトの重複に対するプレーヤの不満を和らげるような新たな仕組みを提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、
コンピュータシステムに、所定のランダム選択演算を行って選択したゲームオブジェクトをプレーヤに付与するオブジェクト付与処理を実行させるためのプログラムであって、
前記プレーヤに付与する付与オブジェクトと、前記プレーヤが獲得済みの獲得済オブジェクトとが所定の対応条件を満たすか否かを判定する判定手段(例えば、
図3の対応条件判定部224)、
前記判定手段により前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトに基づいて、特典を決定する特典決定手段(例えば、
図3の特典決定部226)、
前記判定手段により前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う特典付与制御手段(例えば、
図3の特典付与制御部228)、
として前記コンピュータシステムを機能させるためのプログラムである。
【0008】
第1の発明によれば、オブジェクト付与処理による付与オブジェクトと、プレーヤの獲得済みオブジェクトとが対応条件を満たす場合、対応条件を満たす獲得済みオブジェクトに基づく特典が、更にプレーヤに付与される。これにより、例えば、付与オブジェクトと獲得済みオブジェクトとが同じ種類のゲームオブジェクトであることを対応条件とすることで、既に獲得済みの獲得済みオブジェクトと付与オブジェクトとが重複すると特典が付与されるので、付与オブジェクトの重複に対するプレーヤの不満を和らげるといった効果が得られる。また、オブジェクト付与処理の一例であるガチャでは、付与オブジェクトの重複によって付与される特典を目当てとした実施をプレーヤに促す効果も得られる。
【0009】
第2の発明として、第1の発明のプログラムであって、
前記特典決定手段は、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトの数、及び/又は、種類、に基づいて特典を決定する(例えば、
図10(a)の特典付与条件テーブル350a)、
プログラムを構成しても良い。
【0010】
第2の発明によれば、対応条件を満たす獲得済みオブジェクトの数及び/又は種類に基づいた特典が付与されるため、例えば、数が多いほどプレーヤに有利な特典とすることで、付与オブジェクトの重複に対するプレーヤの不満の度合いを考慮した特典とすることが可能となる。
【0011】
第3の発明として、第1又は第2の発明のプログラムであって、
前記特典決定手段により決定され得る特典毎に、関連する前記付与オブジェクトとの関連づけがなされており(例えば、
図9の特典設定データ340)、
前記特典決定手段は、前記プレーヤに付与する付与オブジェクトに関連付けられた特典を選択することで、特典を決定する
プログラムを構成しても良い。
【0012】
第3の発明によれば、付与オブジェクトに関連付けられた特典が付与されるので、付与オブジェクトの重複に対する不満を和らげるとともに、付与オブジェクトに関連する特典を目当てとしたオブジェクト付与処理(例えばガチャ)の実施をプレーヤに促すといった効果も得られる。
【0013】
第4の発明として、第1~第3の何れかの発明のプログラムであって、
前記特典決定手段は、前記プレーヤが前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトを複数所有していた時間に基づいて、決定する特典を変更する(例えば、
図10(b)の特典付与条件テーブル350b)、
プログラムを構成しても良い。
【0014】
第4の発明によれば、プレーヤが対応条件を満たす獲得済みオブジェクトを複数所有していた時間に基づいた特典が付与されるため、例えば、時間が長いほどプレーヤに有利な特典とすることで、付与オブジェクトの重複に対するプレーヤの不満の度合いを考慮した特典とすることが可能となる。
【0015】
第5の発明として、第4の発明のプログラムであって、
前記特典決定手段は、前記時間が所定の長時間条件を満たす場合に、満たさない場合に比べて前記プレーヤにとって有利な特典に変更する、
プログラムを構成しても良い。
【0016】
第5の発明によれば、プレーヤが対応条件を満たす獲得済みオブジェクトを複数所有していた時間が所定の長時間条件を満たす場合には、プレーヤにとって有利な特典とすることができる。
【0017】
第6の発明として、第1~第5の何れかの発明のプログラムであって、
前記特典決定手段は、前記対応条件を満たした前記獲得済オブジェクトの属性に基づいて特典を決定する、
プログラムを構成しても良い。
【0018】
第6の発明によれば、対応条件を満たした獲得済みオブジェクトの属性に基づく特典を付与することができる。
【0019】
第7の発明として、第1~第6の何れかの発明のプログラムであって、
前記特典決定手段は、前記対応条件を満たした前記獲得済オブジェクトのレア度が所定の高レア条件を満たす場合に、満たさない場合に比べて前記プレーヤにとって有利な特典を決定する、
プログラムを構成しても良い。
【0020】
第7の発明によれば、対応条件を満たした獲得済みオブジェクトのレア度が高レア条件を満たす場合にはプレーヤにとって有利な特典が付与されるため、プレーヤにその有利な特典を目当てとしたオブジェクト付与処理(例えばガチャ)の実施を促すといった効果が得られる。
【0021】
第8の発明として、第1~第7の何れかの発明のプログラムであって、
前記特典付与制御手段は、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトの数、及び/又は、種類、に基づいて特典付与確率を決定し、当該特典付与確率に基づいて特典を付与するか否かを判定し、付与すると判定した場合に前記特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与する(例えば、
図11の特典付与確率テーブル360)、
プログラムを構成しても良い。
【0022】
第8の発明によれば、対応条件を満たす獲得済みオブジェクトの数及び/又は種類に基づく付与確率に基づいて、特典を付与するかが判定される。つまり、特典が付与されない場合もあり得るが、例えば、対応条件を満たす獲得済みオブジェクトの数が多いほど付与確率を高くすることで、付与オブジェクトの重複に対するプレーヤの不満の度合いを考慮した特典とすることが可能となる。
【0023】
第9の発明として、第8の発明のプログラムであって、
前記特典付与制御手段は、前記プレーヤが前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトを複数所有していた時間に基づいて、前記特典付与確率を変更する(例えば、
図12(a)の付与確率変更テーブル370a)、
プログラムを構成しても良い。
【0024】
第9の発明によれば、プレーヤが対応条件を満たす獲得済みオブジェクトを複数所有していた時間に基づいた特典付与確率とされるため、例えば、時間が長いほど高い特典付与確率とすることで、付与オブジェクトの重複に対するプレーヤの不満の度合いを考慮した特典とすることが可能となる。
【0025】
第10の発明として、第1~第9の何れかの発明のプログラムであって、
前記オブジェクト付与処理によってN個(N≧2)の付与オブジェクトが選択された場合に、当該N個中、前記対応条件を満たすM個(N≧M≧2)の付与オブジェクトがあるかを判定する第2の判定手段、
前記第2の判定手段により前記対応条件を満たすM個の付与オブジェクトがあると判定された場合に、当該M個の付与オブジェクトに基づいて、特典を決定する第2の特典決定手段、
前記第2の判定手段により前記対応条件を満たすM個の付与オブジェクトがあると判定された場合に、前記第2の特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う第2の特典付与制御手段、
として前記コンピュータシステムを更に機能させるためのプログラムである。
【0026】
第10の発明によれば、オブジェクト付与処理として複数(N個)の付与オブジェクトを付与し、これらのうち、対応条件を満たす付与オブジェクトが複数(M個)ある場合には、その対応条件を満たすM個の付与オブジェクトに基づいた特典を付与することができる。
【0027】
第11の発明は、
コンピュータシステムに、所定のランダム選択演算を行って1以上のゲームオブジェクトを選択してプレーヤに付与するオブジェクト付与処理を実行させるためのプログラムであって、
前記オブジェクト付与処理によってN個(N≧2)の付与オブジェクトが選択された場合に、当該N個中、所定の対応条件を満たすM個(N≧M≧2)の付与オブジェクトがあるかを判定する第2の判定手段、
前記第2の判定手段により前記対応条件を満たすM個の付与オブジェクトがあると判定された場合に、当該M個の付与オブジェクトに基づいて、特典を決定する第2の特典決定手段、
前記第2の判定手段により前記対応条件を満たすM個の付与オブジェクトがあると判定された場合に、前記第2の特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う第2の特典付与制御手段、
として前記コンピュータシステムを機能させるためのプログラムである。
【0028】
第11の発明によれば、オブジェクト付与処理による複数(N個)の付与オブジェクトのうち、複数(M個)の付与オブジェクトが対応条件を満たす場合、対応条件を満たすM個の付与オブジェクトに基づく特典が、更にプレーヤに付与される。例えば、同じ種類のゲームオブジェクトであることを対応条件とすることで、付与オブジェクトが重複すると特典が付与されるので、付与オブジェクトの重複に対するプレーヤの不満を和らげるといった効果が得られる。また、付与される特典は、対応条件を満たす複数(M個)の付与オブジェクトに基づくものとなるため、付与オブジェクトによって特典が異なり得る。オブジェクト付与処理の一例であるガチャでは、特典を目当てとした実施をプレーヤに促す効果も得られる。
【0029】
第12の発明は、
所定のランダム選択演算を行って選択したゲームオブジェクトをプレーヤに付与するオブジェクト付与処理を実行するコンピュータシステムであって、
前記プレーヤに付与する付与オブジェクトと、前記プレーヤが獲得済みの獲得済オブジェクトとが所定の対応条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記対応条件を満たす前記獲得済オブジェクトに基づいて、特典を決定する特典決定手段と、
前記判定手段により前記対応条件を満たすと判定された場合に、前記特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う特典付与制御手段と、
を備えたコンピュータシステムである。
【0030】
第12の発明によれば、第1の発明の同様の効果を奏するコンピュータシステムを実現できる。
【0031】
第13の発明は、
所定のランダム選択演算を行って1以上のゲームオブジェクトを選択してプレーヤに付与するオブジェクト付与処理を実行するコンピュータシステムであって、
前記オブジェクト付与処理によってN個(N≧2)の付与オブジェクトが選択された場合に、当該N個中、所定の対応条件を満たすM個(N≧M≧2)の付与オブジェクトがあるかを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により前記対応条件を満たすM個の付与オブジェクトがあると判定された場合に、当該M個の付与オブジェクトに基づいて、特典を決定する第2の特典決定手段と、
前記第2の判定手段により前記対応条件を満たすM個の付与オブジェクトがあると判定された場合に、前記第2の特典決定手段により決定された特典を前記プレーヤに付与するための制御を行う第2の特典付与制御手段と、
を備えたコンピュータシステムである。
【0032】
第13の発明によれば、第11の発明と同様の効果を奏するコンピュータシステムを実現できる。
【0033】
第14の発明として、第12又は第13の発明のコンピュータシステムであって、
前記コンピュータシステムは、各プレーヤのプレーヤ端末と通信接続されるサーバシステムである、
コンピュータシステムを構成しても良い。
【0034】
更に、第15の発明として、
第14の発明のコンピュータシステムである前記サーバシステムと、
各プレーヤのプレーヤ端末と、
を具備するゲームシステムを構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を適用した実施形態の一例を説明するが、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限られないことは勿論である。
【0037】
[システム構成]
図1は、本実施形態のゲームシステム1の構成例を示す図である。
図1によれば、ゲームシステム1は、通信回線Nに接続可能なコンピュータシステムであるサーバシステム1000と、通信回線Nを介してサーバシステム1000にアクセスし、サーバシステム1000との間でデータ通信を行う複数のプレーヤ端末1500(1500a,1500b,…)とを備える。
【0038】
通信回線Nは、データ通信が可能な通信路を意味する。すなわち、通信回線Nとは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)の他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。
【0039】
サーバシステム1000は、本体装置1002と、キーボード1004と、ディスプレイ1006と、ストレージ1020とを有し、本体装置1002には制御基板1010を搭載する。
【0040】
制御基板1010には、CPU(Central Processing Unit)1012やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種プロセッサ、VRAMやRAM、ROM等の各種ICメモリ1014、通信装置1016が搭載されている。なお、制御基板1010の一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)により実現するとしてもよい。これらの演算回路もプロセッサということができる。そして、サーバシステム1000は、制御基板1010が所定のプログラム及びデータに基づいて演算処理することにより、本実施形態のゲームを運営するための各種サービスを実現する。例えば、1)プレーヤ登録等に係るプレーヤ管理機能と、2)プレーヤ3(3a,3b,…)がプレーヤ端末1500(1500a,1500b,…)でゲームプレイするのに必要なデータを提供してプレーヤ端末1500(1500a,1500b,…)でのゲームの実行制御を管理するゲーム管理機能と、3)ゲームで利用可能な様々なアイテムやキャラクタ等のゲームオブジェクトをオンラインでプレーヤに販売するオンラインショッピング機能と、を実現する。
【0041】
なお、サーバシステム1000は、
図1に示す単体の構成に限らず、各機能を分担する複数のブレードサーバを搭載して相互に内部バスを介してデータ通信可能に接続した構成であってもよい。或いは、離れた場所に設置された独立した複数のサーバを、通信回線を介してデータ通信させることで、全体としてサーバシステム1000として機能させる構成であってもよい。
【0042】
プレーヤ端末1500(1500a,1500b,…)は、プレーヤ3(3a,3b,…)がゲームプレイのために個別に使用する端末であって、通信回線Nを介してサーバシステム1000にアクセスしてオンラインゲームを実行できる携帯型の電子装置(電子機器)である。
【0043】
また、本実施形態のプレーヤ端末1500は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる装置であるが、携帯型ゲーム装置や、ゲームコントローラ、タブレット型コンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、パソコン、家庭用ゲーム装置、業務用ゲーム装置などでもよい。
【0044】
[概要]
プレーヤ端末1500を用いて実行する本実施形態のゲームでは、プレーヤ3は、任意のタイミングでガチャを実施することができる。ガチャは、ランダム選択演算を行って選択したゲームオブジェクトをプレーヤに付与するオブジェクト付与処理の一例である。
【0045】
ゲームオブジェクトの選択方式としては、ゲームオブジェクト別に設定された選択確率に従った確率演算によって選択される方式とするが、母集団であるボックス内のゲームオブジェクトの種類や総数などが予告されており、1つ選択されるとボックスの中身が1つ減ってゆく、いわゆるボックスガチャ方式としても良い。また、ガチャによって付与されるゲームオブジェクトは、キャラクタが装備又は使用可能なアイテムとするが、キャラクタとしても良い。
【0046】
図2は、本実施形態におけるガチャの概要を説明する図である。ガチャでは、景品として付与され得る複数のアイテムが用意されており、これらのアイテム別に定められた選択確率に従った確率演算によって1つのアイテムが選択され、景品としてプレーヤ3に付与される。各アイテムに定められる選択確率は、例えば、レア度に応じて定められ、レア度が高いほど選択確率が低く(小さく)なるように定められる。
【0047】
プレーヤ3がガチャの実施を繰り返すことで、同一のアイテムが複数回付与されることがあり得る。本実施形態の特徴として、ガチャの実施によってプレーヤ3に付与されたアイテム(以下、このアイテムを適宜「付与アイテム」という)と、プレーヤ3の過去のガチャの実施による獲得済みアイテムとが所定の対応条件を満たす場合に、何らかの特典がプレーヤ3に付与される。具体的には、本実施形態では同じ種類のアイテムであることを対応条件とする。つまり、プレーヤ3の獲得済みアイテムに付与アイテムと同じ種類のアイテムが含まれる場合が、対応条件を満たす場合となる。そして、対応条件を満たすならば、特典リストとして予め定められた特典の中から選択された特典が、プレーヤ3に付与される。
【0048】
特典は、付与アイテムに対応付けて用意されており、付与アイテムに関連する内容となっている。本実施形態では、特典をアイテムとするが、キャラクタであっても良いし、或いは、スキルや魔法等の無形物であっても良い。例えば、付与アイテムに対して使用することで当該アイテムの能力を向上させる効果を持つアイテムや、付与アイテムの装備品といったアイテムを、特典とすることができる。
【0049】
また、特典として、第1特典及び第2特典の2種類が用意されている。第1特典としては、1つの付与アイテムに複数種類の特典が対応付けて用意されている。付与アイテムに第1特典として対応付けられている複数の特典の中から、対応条件を満たす獲得済みアイテムの種類や数、所有時間等に応じて1つが選択されて、第1特典としてプレーヤ3に付与される。
【0050】
第2特典としては、1つの付与アイテムに1つの特典が対応付けて用意されている。対応条件を満たす獲得済みアイテムの種類や数、レア度、所有時間等に応じて付与確率が設定され、設定された付与確率に従って第2特典を付与するか否かが決定され、付与すると決定された場合に、その決定された第2特典がプレーヤ3に付与される。付与確率に従って付与しないと決定された場合には、プレーヤ3には第2特典が付与されない。
【0051】
[機能構成]
(A)サーバシステム1000
図3は、サーバシステム1000の機能構成を示すブロック図である。
図3によれば、サーバシステム1000は、操作入力部102と、表示部104と、音出力部106と、通信部108と、サーバ処理部200と、サーバ記憶部300とを備える。
【0052】
操作入力部102は、サーバシステム1000の管理のための各種の操作入力に応じて操作入力信号をサーバ処理部200に出力する。
図1のキーボード1004がこれに該当する。
【0053】
サーバ処理部200は、例えば、CPUやGPU等のプロセッサや、ASIC、ICメモリ等の電子部品によって実現され、操作入力部102やサーバ記憶部300を含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部102からの操作入力信号、プレーヤ端末1500からの受信データ等に基づいて各種の演算処理を実行して、サーバシステム1000の動作を統合的に制御する。
図1の制御基板1010がこれに該当する。また、サーバ処理部200は、プレーヤ管理部202と、課金管理部204と、ゲーム管理部210と、計時部230と、画像生成部234と、音生成部236と、通信制御部238と、を有する。勿論、これら以外の機能も適宜含めることができる。
【0054】
プレーヤ管理部202は、プレーヤ登録手続きに係る処理、及び、プレーヤカウントに紐付けられる各プレーヤ3のデータの管理を行う。本実施形態では、プレーヤ管理部202は、1)登録プレーヤへの固有のプレーヤアカウントの付与、2)プレーヤアカウント別に個人情報を登録管理する登録情報管理、3)ゲームに係る課金要素(本実施形態では、オンラインショッピング)の支払いで消費される電子決済媒体の帳簿管理、4)ゲームデータの管理、の各機能を有する。勿論、これら以外のアカウントに紐付けられるデータの管理機能も適宜含めることができる。
【0055】
プレーヤ管理部202は、プレーヤ登録手続きを経たプレーヤ3に固有のアカウント(プレーヤID)を割り当ててプレーヤ管理データ320を生成することで、各プレーヤ3に関するデータの管理を行う。
【0056】
図4は、プレーヤ管理データ320のデータ構成の一例を示す図である。プレーヤ管理データ320は、登録プレーヤ毎に生成され、当該プレーヤに割り当てられた固有のプレーヤアカウント321と、課金履歴データ322と、プレイ履歴データ323と、ゲームセーブデータ324と、ガチャ実施履歴データ328と、アイテム所有履歴データ329と、を格納している。
【0057】
プレーヤアカウント321は、固有のプレーヤIDやプレーヤ名、認証用のパスワード等を含む。プレイ履歴データ323は、プレーヤがこれまでに行ったゲームプレイの内容を時系列に格納したログデータである。ゲームセーブデータ324は、プレーヤの前回のゲームプレイの終了時点や、ゲームプレイ中の所与のタイミングの時点、ガチャを実施した時点、キャラクタやアイテムの管理操作を行った時点、或いはプレーヤがセーブを指示した時点、といったデータの更新を伴うタイミングで適宜更新されるデータであり、例えば、プレーヤレベルや所有キャラクタデータ、所有アイテムデータ等を含む。
【0058】
ガチャ実施履歴データ328は、プレーヤが実施したガチャに関する履歴データであり、
図5に示すように、1回のガチャの実施毎に、実施日時と、ガチャの種類と、獲得アイテムデータと、獲得第1特典データと、獲得第2特典データと、を対応付けて格納している。獲得アイテムデータは、ガチャによって獲得したアイテムに関するデータであり、獲得したアイテムの種類や、所有アイテムとして当該アイテムに割り振られたアイテムID等を含む。獲得第1特典データは、ガチャによって獲得した第1特典に関するデータであり、特典の種類や、当該特典であるアイテムに割り振られたアイテムID等を含む。獲得第2特典データは、ガチャによって獲得した第2特典に関するデータであり、特典の種類や、当該特典であるアイテムに割り振られたアイテムID等を含む。第2特典が獲得されない場合には、獲得第2特典データはデータ無しとなる。
【0059】
アイテム所有履歴データ329は、現時点での所有有無に関わらずプレーヤが所有したことのあるアイテムに関する履歴データであり、
図6に示すように、1つのアイテム毎に、アイテムIDと、獲得日時と、獲得事由と、喪失日時と、喪失事由と、を対応付けて格納している。当該アイテムを所有している(喪失していない)場合には、喪失日時及び喪失事由はデータ無しとなる。喪失事由は、例えば、捨てた、消費或いは使用して無くなった、合成の素材とした、他のプレーヤに譲渡した、等が挙げられる。
【0060】
図3に戻り、課金管理部204は、プレーヤ3毎に課金履歴を管理し、該当するプレーヤ管理データ320の課金履歴データ322を更新する。
【0061】
ゲーム管理部210は、ゲームの実行管理に係る各種処理を行う。本実施形態のゲームは、ネットワークゲームとして実現されるため、プレーヤ端末1500と通信を行いながらゲームプレイに必要なデータを提供する制御を行う。また、ゲーム管理部210は、ゲーム進行制御部212と、ガチャ管理部220とを有する。
【0062】
ゲーム進行制御部212は、ゲームの進行制御に関する処理を実行する。例えば、1)仮想三次元空間に背景等のオブジェクトを配置してゲーム空間を形成する処理、2)ゲーム空間にプレーヤキャラクタや敵キャラクタ、仮想カメラを配置する処理、3)仮想カメラの制御処理、4)プレーヤ端末1500における操作入力に応じたプレーヤキャラクタの制御処理、5)敵キャラクタの制御処理、6)ゲーム成績の算出処理、7)仮想カメラに基づくゲーム空間の画像の生成処理、等を行う。
【0063】
ゲームの進行制御に関する処理は、ゲームデータ310を用いて行うことができる。また、ゲームの進行制御に応じて、該当するプレーヤ管理データ320のプレイ履歴データ323及びゲームセーブデータ324を更新する。
【0064】
ゲームデータ310は、ステージ設定データ312と、キャラクタ初期設定データ314と、アイテム初期設定データ316とを含む。
【0065】
ステージ設定データ312は、ゲームステージを構成するためのデータであり、ゲームステージ毎に、背景等のオブジェクトデータや、出現させる敵キャラクタに関するデータ、効果音等のデータ、ステージクリア時に付与される経験値やキャラクタ等のデータを含む。
【0066】
キャラクタ初期設定データ314は、プレーヤキャラクタや敵キャラクタを含むゲームに登場するキャラクタについての初期設定データである。
【0067】
アイテム初期設定データ316は、ガチャの実施によってプレーヤに付与されるアイテムや、ガチャの特典(第1特典及び第2特典)として付与されるアイテムを含む、ゲームに登場・使用可能なアイテムについての初期設定データである。
図7に示すように、アイテムの種類毎に、表示体データと、パラメータ初期値とを対応付けて格納している。パラメータ初期値は、当該種類のアイテムのレア度や属性、レベル、当該アイテムを使用することによってキャラクタに生じる作用や効用(例えば、武器であれば装備することで増加する攻撃力、回復アイテムであれば使用することで増加する体力値といった内容)といったパラメータの初期値である。
【0068】
アイテムをプレーヤ3に付与する際には、該当する種類のアイテム初期設定データ316で定義されるパラメータ初期値を有する新たなアイテムが生成され、固有のアイテムIDが割り振られて付与されることになる。
【0069】
ガチャ管理部220は、付与アイテム選択部222と、対応条件判定部224と、特典決定部226と、特典付与制御部228とを有し、ゲームにおけるガチャの実施を管理する。本実施形態のゲームでは、複数種類のガチャを提供可能である。具体的には、プレーヤキャラクタとして選択され得るキャラクタ毎に、当該キャラクタを関連主体とするガチャが用意されている。各ガチャには、関連主体のキャラクタに関連するアイテムが景品として用意されている。関連するアイテムとは、関連主体のキャラクタが装備或いは使用可能なアイテムのことである。勿論、特定のキャラクタとの関連を無くしたガチャを提供することとしてもよいが、本実施形態では説明を分かり易くするため、ガチャ毎に関連主体のキャラクタが定められていることとする。特定のキャラクタとの関連を無くしたガチャとする場合には、関連主体キャラクタに複数(例えば全て)のキャラクタを対応付けて設定すればよい。
【0070】
提供されるガチャの内容は、ガチャ設定データ330にて定められている。
図8は、ガチャ設定データ330の一例を示すである。
図8によれば、ガチャ設定データ330は、ガチャ毎に生成され、固有のガチャID331と、ガチャの種類332と、提供期間333と、付与アイテムリスト334と、を対応付けて格納している。ガチャの種類332は、対象キャラクタの種類である。付与アイテムリスト334は、ガチャの景品として付与され得るアイテムの種類と、選択確率とを対応付けて格納している。選択確率の総和は100%となり、ガチャの1回の実施によって、何れかの種類のアイテムが付与されるようになっている。
【0071】
付与アイテム選択部222は、ガチャの実施によってプレーヤ3に付与するアイテム(付与アイテム)を選択する。具体的には、該当するガチャ設定データ330の付与アイテムリスト334を参照し、アイテムの種類別に定められた選択確率に従った確率演算を行って、景品として付与する1つのアイテムを選択する。
【0072】
対応条件判定部224は、プレーヤ3に付与する付与アイテムと、プレーヤ3が獲得済みの獲得済アイテムとが所定の対応条件を満たすか否かを判定する。具体的には、同じ種類のアイテムである、ことを対応条件として、付与アイテム選択部222によって選択されたアイテム(付与アイテム)が、プレーヤ3の獲得済みアイテムに含まれるかを判定する。獲得済みアイテムは、該当するプレーヤ管理データ320のアイテム所有履歴データ329を参照して、過去のガチャの実施によって獲得したアイテムとする。なお、獲得済みであるとは、獲得したことがあれば良く、現時点での所有有無を問わない。
【0073】
特典決定部226は、対応条件判定部224によって対応条件を満たすと判定された場合に、対応条件を満たす獲得済みアイテムに基づいて、プレーヤ3に付与する特典を決定する。
【0074】
付与され得る特典の内容は、特典設定データ340にて定められている。
図9は、特典設定データ340の一例を示す図である。
図9によれば、特典設定データ340は、ガチャにて付与され得るアイテム毎に、特典として、第1特典、及び、第2特典を対応付けて格納している。第1特典として、特典ランク別に複数の特典が対応付けられており、第2特典として、1つの特典が対応付けられている。
図9の例では、レア度が高い付与アイテムほど、第1特典ではレア度が高いアイテムの割合が多く、第2特典ではレア度が高いアイテムとなるように対応付けられている。また、同じ付与アイテムに対応付けられている第1特典には、特典ランクが高いほどレア度が高いアイテムが対応付けられている。
【0075】
特典決定部226は、特典設定データ340を参照して、付与アイテムに第1特典として対応付けられている複数の特典を判断し、これらの複数の特典の中から、特典付与条件テーブル350を参照して、対応条件を満たす獲得済みアイテムに応じた特典ランクに対応する特典を、プレーヤ3に付与する第1特典として決定する。
【0076】
図10は、特典付与条件テーブル350の一例を示す図である。特典付与条件テーブル350は、獲得済みアイテムに係る条件項目が異なる2種類のデータテーブル350a,350bを含んでいる。状況に応じて何れかのデータテーブルを使用する。例えば、ランダムに一方を選択して使用することにしても良いし、ガチャの種類毎に使用するデータテーブルを定めてガチャ設定データ330に格納しておき、プレーヤが実施を指示したガチャに対応付けられている方のデータテーブルを使用するようにしても良い。或いは、ガチャの種類毎に、2種類のデータテーブルそれぞれの使用確率を定めてガチャ設定データ330に格納しておき、プレーヤが実施を指示したガチャに対応付けられている使用確率に従って使用するデータテーブルを選択するようにしても良い。或いは、2種類のデータテーブルそれぞれを使用して特典ランクを判定し、判定した特典ランクのうち、高い方の特典ランクに対応する特典を第1特典として付与するようにしても良い。
【0077】
図10(a)は、対応条件を満たす獲得済みオブジェクトの種類及び数(重複数)に基づいて特典を決定するための特典付与条件テーブル350aである。具体的には、対応条件を満たす獲得済みアイテムの種類は付与アイテムと同じであるので、獲得済みアイテムの数(重複数)を条件項目として、重複数と特典ランクとを対応付けて設定しており、重複数が多いほど、付与する特典の特典ランクが高くなるように定められている。
【0078】
この特典条件テーブル350aを使用する場合、特典決定部226は、対応条件判定部224によって対応条件を満たすと判定された獲得済みアイテムの数(重複数)を判断し、特典付与条件テーブル350aにおいて、この重複数に対応付けられている特典ランクを判断する。そして、特典設定データ340において、付与アイテム選択部222によって選択された付与アイテムに第1特典として対応付けられている複数の特典のうち、判断した特典ランクに対応する特典を、第1特典として決定する。例えば、付与アイテムが“アイテムβ”であり、対応条件を満たす獲得済みアイテムの数(重複数)が“12”ならば、これに対応する特典ランクは“ランクD”であるから、“アイテムb4”が第1特典となる。
【0079】
図10(b)は、プレーヤが対応条件を満たす獲得済みアイテムを複数所有していた時間(所有時間)に基づいて特典を決定するための特典付与条件テーブル350bである。具体的には、重複所有数と所有時間とを条件項目としており、重複所有数と、最長所有時間との組み合わせ毎に、付与する特典の特典ランクを対応付けて設定している。重複所有数は、対応条件を満たす獲得済みアイテムの所有数である。プレーヤ3は、ガチャの実施によって獲得したアイテムを、そのまま所有することもできるし、任意のタイミングで合成に使用したり捨てたり他のプレーヤに譲渡したりすることができるため、アイテムの所有数は時間経過とともに増減する。このため、ある種類のアイテムについて所有数が同じである状態を継続した時間を当該所有数の所有時間とし、そのうちの最大時間を当該所有数の最大所有時間とする。
【0080】
この特典付与条件テーブル350bを使用する場合、特典決定部226は、該当するプレーヤ管理データ320のアイテム所有履歴データ329を参照して、対応条件を満たす獲得済みアイテムそれぞれの所有期間を判断する。つまり、現時点で所有しているアイテムについては、獲得日時から現在日時までの期間を所有期間とし、所有していない(喪失した)アイテムについては、獲得日時から喪失日時までの期間を所有期間とする。次いで、当該アイテム別の所有期間の分布から、プレーヤ登録時点から現時点までの期間における当該アイテムの所有数(重複所有数)の時系列変化を求め、更に、重複所有数毎の最大所有時間を求める。続いて、特典付与条件テーブル350bにおいて、各重複所有数と最長所有時間との組み合わせに対応する特典ランクを抽出し、これらのうちから最高(プレーヤにとって最良)の特典ランクを判断する。そして、特典設定データ340において、付与アイテム選択部222によって選択された付与アイテムに第1特典として対応付けられている複数の特典のうち、判断した特典ランクに対応する特典を、第1特典として決定する。
【0081】
例えば、付与アイテムが“アイテムβ”であり、対応条件を満たす獲得済みアイテムを“1つ”所有していた時間が“8日”であり、“2つ”所有していた時間が“5日”であり、“6つ”所有していた時間が“3日”であり、“25個”所有していた時間が“10時間”であるとする。特典付与条件テーブル350bにて定められる、それぞれの重複所有数と最小所有時間との組み合わせに対応する特典ランクは、“ランクD”,“ランクE”,“ランクD”,“ランクC”であるから、最も高い特典ランクは“ランクC”である。そして、特典設定データ340において、“アイテムβ”に第1特典として対応付けられている特典のうち、“ランクC”の“アイテムb3”が第1特典となる。
【0082】
また、特典決定部226は、特典設定データ340を参照して、付与アイテムに対応付けられている第2特典を判断する。また、対応条件を満たす獲得済みアイテムに基づいて、付与確率を設定する。すなわち、特典付与確率テーブル360を参照して付与確率を設定し、次いで、付与確率変更テーブル370を参照して、設定した付与確率を変更する。そして、設定・変更した付与確率に従った確率演算によって、第2特典をプレーヤ3に付与するか否かを決定する。付与すると決定したならば、判断した第2特典をプレーヤ3に付与すると決定する。
【0083】
図11は、特典付与確率テーブル360の一例を示す図である。特典付与確率テーブル360は、対応条件を満たす獲得済みアイテムの数及び種類に基づいて付与確率を決定するためのデータテーブルである。対応条件を満たす獲得済みアイテムの種類は付与アイテムと同じであるので、
図11に示すように、特典付与確率テーブル360は、対応条件を満たす獲得済みアイテムの数である重複数と、付与確率とを対応付けて格納している。重複数が多いほど、付与確率が高くなるように定められている。
【0084】
図12は、付与確率変更テーブル370の一例を示す図である。付与確率変更テーブル370は、獲得済みアイテムに係る条件項目が異なる2種類のデータテーブルを含んでいる。状況に応じて何れかのデータテーブルを使用する。例えば、ランダムに一方を選択して使用することにしても良いし、ガチャの種類毎に使用するデータテーブルを定めてガチャ設定データ330に格納しておき、実施したガチャに対応付けられている方のデータテーブルを使用するようにしても良い。或いは、ガチャの種類毎に、2種類のデータテーブルそれぞれの使用確率を定めてガチャ設定データ330に格納しておき、実施したガチャに対応付けられている使用確率に従って使用するデータテーブルを選択するようにしても良い。或いは、2種類のデータテーブルそれぞれを使用して特典ランクを判定し、判定した特典ランクのうち、高い方の特典ランクに対応する特典を第1特典として付与するようにしても良い。
【0085】
図12(a)は、プレーヤが対応条件を満たす獲得済みオブジェクトを複数所有していた時間(所有時間)に基づいて付与確率を変更するための付与確率変更テーブル370aであり、重複所有数と、最長所有時間との組み合わせ毎に、付与確率変更量を対応付けて格納している。
図12(a)の例では、重複所有数が多いほど、或いは、最長所有時間が長いほど、付与確率変更量が大きくなるように定められている。
【0086】
この付与確率変更テーブル370aを使用する場合、特典決定部226は、対応条件判定部224によって対応条件を満たすと判定された獲得済みアイテムの数(重複数)を判断し、特典付与確率テーブル360において、この重複数に対応付けられている付与確率を判断する。次いで、上述の特典付与条件テーブル350b(
図10(b)参照)を使用する場合と同様に、該当するプレーヤ管理データ320のアイテム所有履歴データ329を参照して、対応条件を満たす獲得済みアイテムについて、重複所有数毎の最大所有時間を求める。続いて、付与確率変更テーブル370aにおいて、各重複所有数と最長所有時間との組み合わせに対応する付与確率変更量を抽出し、これらのうちから最大の付与確率変更量を判断する。そして、判断した付与確率を、この付与確率変更量だけ変更する、
【0087】
例えば、付与アイテムが“アイテムβ”であり、対応条件を満たす獲得済みアイテムの数(重複数)が“12”ならば、特典付与確率テーブル360で定められる付与確率は“3.0[%]”である。また、獲得済みアイテムを“1つ”所有していた時間が“8日”であり、“2つ”所有していた時間が“5日”であり、“16個”所有していた時間が“3日”であり、“35個”所有していた時間が“10時間”であるとする。付与確率変更テーブル370aにて定められる、それぞれの重複所有数と最長所有時間との組み合わせに対応する付与確率変更量は、“+0.1[%]”,“-(無し)”,“+0.3[%]”,“+0.5[%]”であるから、最も大きい付与確率変更量は“+0.5[%]”である。従って、最終的な第2特典の付与確率は“3.5[%]”となる。
【0088】
図12(b)は、対応条件を満たす獲得済みオブジェクトのレア度に基づいて付与確率を変更するための付与確率変更テーブル370bであり、レア度と、付与確率変更量とを対応付けて格納している。
図12(b)の例では、レア度が高いほど、付与確率変更量が高くなるように定められている、
【0089】
この付与確率変更テーブル370bを使用する場合、特典決定部226は、対応条件判定部224によって対応条件を満たすと判定された獲得済みアイテムの数(重複数)を判断し、特典付与確率テーブル360において、この重複数に対応付けられている付与確率を判断する。次いで、付与確率変更テーブル370bにおいて、対応条件を満たす獲得済みオブジェクトのレア度に対応付けられている付与確率変更量を判断し、この付与確率変更量だけ、判断した付与確率を変更する。
【0090】
例えば、付与アイテムが“アイテムβ”であり、対応条件を満たす獲得済みアイテムの数(重複数)が“12”ならば、特典付与確率テーブル360で定められる付与確率は“3.0[%]”である。また、“アイテムβ”のレア度は“レア(=R)”であるから、付与確率変更テーブル370bで定められる付与確率変更量は“+0.3[%]”である。従って、最終的な第2特典の付与確率は“3.3[%]”となる。
【0091】
特典付与制御部228は、対応条件判定部224により対応条件を“満たす”と判定された場合に、特典決定部226により決定された特典を、プレーヤ3に付与するための制御を行う。つまり、第1特典、及び、第2特典であるアイテムに固有のアイテムIDを割り当てて、該当するプレーヤ3の所有アイテムに追加する、
【0092】
計時部230は、システムクロックを利用して現在日時等の計時を行う。
【0093】
画像生成部234は、サーバシステム1000のシステム管理に関する画像や、ゲーム画像(又は、ゲーム画像をプレーヤ端末1500で表示させるためのデータ)等を生成する。そして、システム管理に関する画像は、表示部104へ出力する。表示部104は、画像生成部234から入力される画像信号に基づいてシステム管理のための各種画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。
図1のディスプレイ1006がこれに該当する。
【0094】
音生成部236は、音声データの生成やデコードをするICやソフトウェアの実行により実現され、サーバシステム1000のシステム管理やゲームプレイに係る操作音やBGM等の音声データを生成或いはデコードする。そして、音声信号を音出力部106へ出力する。音出力部106は、音声信号に基づく音声を放音する。
図1の本体装置1002やディスプレイ1006が備えるスピーカ(不図示)がこれに該当する。
【0095】
通信制御部238は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部108を介して外部装置とのデータのやり取りを実現する。通信部108は、通信回線Nと接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される。
図1の通信装置1016がこれに該当する。
【0096】
サーバ記憶部300は、サーバ処理部200にサーバシステム1000を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのプログラムや各種データ等を記憶する。また、サーバ処理部200の作業領域として用いられ、サーバ処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVD等の光学ディスク、オンラインストレージ等によって実現される。
【0097】
サーバ記憶部300には、サーバシステム1000の各種の機能部を実現するためのサーバプログラム302と、配信用ゲームプログラム304と、ゲームデータ310と、プレーヤ管理データ320と、ガチャ設定データ330と、特典設定データ340と、特典付与条件テーブル350と、特典付与確率テーブル360と、付与確率変更テーブル370と、が記憶される。
【0098】
配信用ゲームプログラム304は、プレーヤ端末1500へ提供されるゲームクライアントプログラムのオリジナルである。
【0099】
(B)プレーヤ端末
図13は、プレーヤ端末1500の機能構成の一例を示すブロック図である。
図13によれば、プレーヤ端末1500は、操作入力部502と、画像表示部504と、音出力部506と、通信部508と、端末処理部600と、端末記憶部700とを備える。
【0100】
操作入力部502は、プレーヤによる各種の操作入力に応じて操作入力信号を端末処理部600に出力する。例えば、プッシュスイッチやジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、加速度センサ、ジャイロ、CCDモジュール等によって実現できる。
【0101】
端末処理部600は、例えば、プロセッサや、ICメモリ等の電子部品によって実現され、操作入力部502や端末記憶部700を含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。プロセッサは、例えば、CPUやGPUなどの集中演算装置の他、ASICやFPGA等の演算回路も含む。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部502からの操作信号、サーバシステム1000からの受信データ等に基づいて各種の演算処理を実行して、プレーヤ端末1500の動作を制御する。また、端末処理部600は、プレーヤ端末演算部610と、計時部620と、通信制御部626とを有する。
【0102】
プレーヤ端末演算部610は、操作信号送信制御部612と、ゲーム画面表示制御部614と、音声再生制御部616とを含む。
【0103】
操作信号送信制御部612は、操作入力部502になされた操作に応じて、各種データやリクエストをサーバシステム1000へ送信するための処理を実行する。
【0104】
ゲーム画面表示制御部614は、サーバシステム1000から受信した各種画像データに基づいてゲーム画面を表示するための制御を行う。例えば、CPU、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等のプロセッサ、ビデオ信号IC、ビデオコーディック等のプログラム、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等によって実現され、サーバシステム1000から受信した各種データに基づいて、1フレーム時間(例えば、1/60秒)で1枚のゲーム画面の画像を生成し、生成したゲーム画面の画像信号を画像表示部504に出力する。本実施形態では、ゲーム画面の画像をサーバシステム1000にて生成する構成とするが、当該画像をプレーヤ端末1500にて生成する構成も可能である。
【0105】
画像表示部504は、ゲーム画面表示制御部614から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。
【0106】
音声再生制御部616は、サーバシステム1000から受信した各種音声データに基づいてゲーム音声(例えば、効果音、BGM、声優による台詞読み上げ等)を放音させるための制御を行う。例えば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、音声合成IC等のプロセッサ、音声ファイルを再生するためのオーディコーディック等によって実現され、ゲームに係る効果音やBGM、各種操作音、台詞読み上げ音声等の各種音声の音信号を生成し、音出力部506に出力する。
【0107】
音出力部506は、音声再生制御部616から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を出力する。
【0108】
通信制御部626は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部508を介して外部装置とのデータのやり取りを実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される。
【0109】
端末記憶部700は、端末処理部600にプレーヤ端末1500を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームプレイに必要なプログラム、各種データ等を記憶する。また、端末処理部600の作業領域として用いられ、端末処理部600が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作入力部502からの入力データ等を一時的に記憶する。例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVD等の光学ディスク等によって実現される。図
本実施形態では、端末記憶部700は、ゲームクライアントプログラム704を記憶する。
【0110】
ゲームクライアントプログラム704は、端末処理部600が読み出して実行することによってプレーヤ端末演算部610としての機能を実現させるためのアプリケーションソフトウェアである。本実施形態では、サーバシステム1000から提供される配信用ゲームプログラム304(
図3参照)のコピーとする。なお、ゲームクライアントプログラム704は、ゲームを実現する技術手法に応じて専用のクライアントプログラムであってもよいし、ウェブブラウザプログラム及びインタラクティブな画像表示を実現するプラグイン等により構成するとしてもよい。
【0111】
[処理の流れ]
図14は、ガチャの実施に関する処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、ガチャ管理部220が、対象プレーヤのプレーヤ端末1500と通信を行いながら実行する処理である。
【0112】
ガチャ管理部220は、先ず、対象プレーヤの指示に従って、用意されている複数種類のガチャのうちから実施するガチャの種類を選択する(ステップS1)。そして、対象プレーヤのプレーヤ管理データ320や、選択したガチャの種類に該当するガチャ設定データ330等を参照して、ガチャを実施する。すなわち、付与アイテム選択部222が、該当するガチャ設定データ330の付与アイテムリスト334を参照し、各アイテムに定められた選択確率に従って、景品として付与するアイテム(付与アイテム)を決定する(ステップS3)。次いで、対応条件判定部224が、該当するプレーヤ管理データ320のアイテム所有履歴データ329を参照して、決定した付与アイテムと、対象プレーヤの獲得済みアイテムとが、対応条件を満たすかを判定する(ステップS5)。対応条件を満たさないならば(ステップS7:NO)、特典付与制御部228が、付与アイテムを対象プレーヤに付与する(ステップS21)。
【0113】
対応条件を満たすならば(ステップS7:YES)、特典決定部226が、対応条件を満たす獲得済みアイテムに基づいて、第1特典を決定する(ステップS9)。すなわち、特典付与条件テーブル350を参照して、対応条件を満たす獲得済みアイテムの種類や数、所要時間等に基づいて、第1特典として付与する特典の特典ランクを判断する。本実施形態では、特典付与条件テーブル350として2種類の特典付与条件テーブル350a,350bが用意されており(
図10参照)、これらのうちから、例えば、実施するガチャの種類に応じて、或いは、ランダム演算によって、使用するデータテーブルを選択する。特典付与条件テーブル350aを使用するならば、該当するプレーヤ管理データ320のアイテム所有履歴データ329を参照して、対応条件を満たす獲得済みアイテムの数(重複数)を判断し、判断した重複数に対応する特典ランクを判断する。また、特典付与条件テーブル350bを使用するならば、該当するプレーヤ管理データ320のアイテム所有履歴データ329を参照して、対応条件を満たす獲得済みアイテムについて重複所有数毎に最長所有時間を求め、重複所有数と最長所有時間との組み合わせそれぞれに対応する特典ランクのうち、最も高い特典ランクを判断する。そして、特典設定データ340を参照して、付与アイテムに第1特典と対応付けられている特典を判断し、これらの特典のうち、判断した特典ランクの特典を、第1特典として決定する。
【0114】
また、特典決定部226は、対応条件を満たす獲得済みアイテムに基づいて、第2特典の付与確率を設定する(ステップS11)。すなわち、特典設定データ340を参照して、付与アイテムに対応付けられている第2特典を判断する。また、特典付与確率テーブル360を参照し、対応条件を満たす獲得済みアイテムの数(重複数)に基づいて付与確率を設定する。次いで、付与確率変更テーブル370を参照し、対応条件を満たす獲得済みアイテムの所有時間やレア度に基づいて、付与確率を変更する。本実施形態では、付与確率変更テーブル370として2種類の付与確率変更テーブル370a,370bが用意されており(
図12参照)、これらのうちから、例えば、実施するガチャの種類に応じて、或いは、ランダム演算によって、使用するデータテーブルを選択する。付与確率変更テーブル370aを使用するならば、該当するプレーヤ管理データ320のアイテム所有履歴データ329を参照して、対応条件を満たす獲得済みアイテムについて重複所有数毎に最長所有時間を求め、重複所有数と最長所有時間との組み合わせそれぞれに対応する付与確率変更量のうち、最も大きい付与確率変更量を判断する。そして、設定した付与確率を、この付与確率変更量によって変更する。また、付与確率変更テーブル370bを使用するならば、対応条件を満たす獲得済みアイテムのレア度に対応する付与確率変更量を判断する。そして、設定した付与確率を、この付与確率変更量によって変更する。その後、設定した付与確率に従って、第2特典を付与するか否かを決定する(ステップS13)。
【0115】
付与すると決定したならば(ステップS15:YES)、特典付与制御部228が、付与アイテムを第1特典及び第2特典とともに対象プレーヤに付与する(ステップS17)。一方、第2特典を付与しないと決定したならば(ステップS15:NO)、特典付与制御部228が、付与アイテムを第1特典とともに対象プレーヤに付与する(ステップS19)。以上の処理を行うと、本処理は終了となる。
【0116】
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、ガチャの実施による付与アイテムと、プレーヤ3の獲得済みアイテムとが対応条件を満たす場合、対応条件を満たす獲得済みアイテムに基づく特典が、更にプレーヤに付与される。同じ種類のアイテムであることを対応条件とした場合、付与アイテムが重複すると特典が付与されるので、付与アイテムの重複に対するプレーヤ3の不満を和らげるといった効果が得られる。
【0117】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0118】
(A)対応条件
上述の実施形態では、付与アイテムと獲得済みアイテムとの対応条件を、同じ種類のアイテムであるとしたが、これに限らない。例えば、付与アイテムの種類と獲得済みアイテムの種類とを1対1や1対多、多対1、多対多、で予め対応付けた異なる種類の対応関係としても良い。例えば、付与アイテム「ただの剣」に対して、対応関係とする獲得アイテムを「ただの剣」として1対1としてもよいし、「剣」に関するアイテム全てとして1対多としてもよい。また、付与アイテムが複数であった場合には、この反対の対応関係とすることができる。
【0119】
また、属性が同じであること(同属性条件)を対応条件に含めるようにしても良い。具体的には、上述の実施形態では、同じ種類であること、を対応条件としたが、これに替えて、属性が同じであること(同属性条件)を、対応条件とする。この場合、特典設定データ340(
図9参照)に替えて、
図15に示す特典設定データ340Aを使用する。この特典設定データ340Aは、特典設定データ340において、“付与アイテム”の項目を“付与アイテムの属性”と置き換えたデータテーブルであり、属性別に特典を関連付けて定めている。そして、対応条件である同属性条件を満たした属性に対応付けられている特典を、プレーヤに付与する。
【0120】
或いは、対応条件に、属性が同じであること(同属性条件)を追加し、同属性条件を含む複数の条件によって対応条件が構成されるようにしても良い。この場合、対応条件を構成する全ての条件を満たしたときに対応条件を満たすこととするAND判定としても良いし、対応条件を構成する少なくとも1つを満たせば対応条件を満たすこととするOR判定としても良い。
【0121】
(B)N連ガチャ
1回の実施で複数(N個:N≧2)のアイテムが纏めて付与される、いわゆるN連ガチャ(連発ガチャ、ともいう)にも本実施形態を適用可能である。N連ガチャでは、アイテム別に定められた選択確率に従ったランダム選択演算がN回連続して行われ、各回毎に1つの付与アイテムが選択されることで、合計N個の付与アイテムが選択される。
【0122】
この場合、1回のN連ガチャの実施によって付与される複数(N個)の付与アイテムそれぞれについて、プレーヤの獲得済みアイテムと対応条件を満たすかを判定する。対応条件を満たす付与アイテムが1つの場合、それに対応する獲得済みアイテムに基づく特典をプレーヤ3に付与する。対応条件を満たす付与アイテムが複数ある場合には、対応条件を満たす付与アイテムそれぞれに対応する獲得済みアイテムに基づく特典のうち、全ての特典を付与するようにしても良いし、プレーヤ3に有利な特典を選択して付与するようにしても良い。プレーヤ3に“有利”な特典とは、例えば、レア度が高いこと、当該プレーヤが未獲得であること、等が該当する。
【0123】
或いは、複数(N個)の付与アイテム同士が対応条件を満たすかを判定するようにしても良い。すなわち、複数の付与アイテム中に含まれる、対応条件を満たす付与アイテムの組み合わせ(グループ)を判定することになり、判定した組み合わせ(グループ)を構成する付与オブジェクトに基づいて、特典を決定するようにすれば良い。
【0124】
例えば、上述の実施形態のように、同じ種類であること、を対応条件としたならば、複数(N個)の付与アイテムのうち、同じ種類の付与アイテム同士が対応条件を満たす組み合わせ(グループ)となる。たとえば、100連ガチャ(N=100)を実施した場合に付与アイテムとなったアイテムのうち、70個(M=90)のアイテムが同じ種類の第1グループとなり、第1グループとは別の種類のグループとして20個(M=20)のアイテムが同じ種類の第2グループとなるような場合である。このように、1回のN連ガチャの実施によって付与される付与アイテムの数(N)が多いほど、対応条件を満たすM個(N≧M)の付与オブジェクトの組み合わせ(グループ)が出来やすく、しかもある1つのグループでM個の数が多くなり易くなる。このため、対応条件を満たした付与アイテム同士の数(M:重複数)が最も多いグループ、或いは、対応条件を満たした付与アイテム同士のレア度が最も高いグループ、といった条件を満たす1つのグループを選択し、選択したグループを構成する付与アイテムに基づいて、特典を付与する。具体的には、特典設定データ340(
図9参照)にて、選択した組み合わせ(グループ)を構成する付与アイテムに対応付けて定められている特典を付与する。第1特典として何れの特典を付与するか、及び、第2特典を付与するか否かは、上述の実施形態における“対応条件を満たす獲得済みアイテム”を“当該組み合わせ(グループ)を構成する付与アイテム”と読み替えることで、同様に実現できる。
【0125】
(C)
また、複数のプレーヤで構成されるチーム単位でプレイするようなゲームの場合には、ガチャを実施したプレーヤ3の獲得済みアイテムに加えて、当該プレーヤ3が所属するチームの他のプレーヤの獲得済みアイテムにも基づいて、付与する特典を決定するようにしても良い。具体的には、プレーヤ3への付与アイテムと、当該プレーヤ3、及び、当該プレーヤ3の所属チームの他の各プレーヤの獲得済みアイテムとか対応条件を満たすかを判定し、対応条件を満たす獲得済みアイテムに基づいて、プレーヤ3に付与する特典を決定する。
【0126】
或いは、獲得済みアイテムが対応条件を満たすと判定された他のプレーヤの人数(以下、「重複人数」という)や、所属チームのプレーヤ総数に対する当該人数の割合(以下、「重複割合」という)に応じて、特典を決定するようにしても良い。すなわち、特典付与条件テーブル350として、重複人数や重複割合と、特典ランクとを対応付けて定めたデータテーブルを予め用意しておき、これに従って特典ランクを決定して、プレーヤ3に付与する第1特典を決定する。勿論、特典付与条件テーブル350a,350b(
図10参照)の両方或いは一方も使用して特典ランクを判定し、判定した特典ランクのうち、最も高い特典ランクに対応する特典を第1特典として付与するようにしても良い。
【0127】
また、第2特典についても同様に、特典付与確率テーブル360として、重複人数や重複割合と、付与確率とを対応付けて定めたデータテーブルを予め用意しておき、これに従って付与確率を設定して、第2特典を付与するか否かを決定する。或いは、付与確率変更テーブル370として、重複人数や重複割合と、付与確率変更量とを対応付けて定めたデータテーブルを予め用意しておき、これに従って付与確率を変更するようにしても良い。勿論、付与確率変更テーブル370a,370b(
図12参照)の両方或いは一方も使用して付与確率変更量を判定し、判定した付与確率変更量のうち、最も大きい付与確率変更量だけ、付与確率を変更するようにしても良い。
【0128】
更に、プレーヤ3に付与する特典に加えて、当該プレーヤの所属チーム或いは所属チームの他のプレーヤにも特典(以下、「チーム特典」という)を付与するようにしても良い。チーム特典は、プレーヤ3と同じ特典としても良いし、異なる特典としても良い。異なる特典とする場合には、例えば、特典設定データ340(
図9参照)において、付与アイテム毎に、チーム特典を更に対応付けて定めておけば良い。
【0129】
(D)付与処理の他の例
上述の実施形態では、オブジェクト付与処理の一例であるガチャについて説明したが、他の付与処理にも同様に本発明の適用可能である。例えば、他プレーヤや敵キャラクタと対戦する対戦ゲームであれば、その対戦後の勝利報酬を付与する処理や、敵キャラクタを撃破した後のドロップに係る処理、所定イベントへの参加報酬を付与する処理、特定ステージのクリアボーナスを付与する処理など、ゲームオブジェクト毎に定められた選択確率に従って付与オブジェクトが決定される処理であれば、何れにも適用可能である。
【0130】
(E)コンピュータシステム
また、上述の実施形態では、サーバシステム1000をコンピュータシステムの一例として説明したが、プレーヤ端末1500をコンピュータシステムとしても良い。具体的には、
図16に示すように、プレーヤ端末1500の端末処理部600は、サーバシステム1000が有していたプレーヤ管理部202及びゲーム管理部210の機能を有し、端末記憶部700は、ゲームデータ310と、プレーヤ管理データ320と、ガチャ設定データ330と、特典設定データ340と、特典付与条件テーブル350と、特典付与確率テーブル360と、付与確率変更テーブル370と、を記憶する。プレーヤ管理データ320については、当該プレーヤに関するデータのみを格納する。
【0131】
(F)ゲームシステム
また、上述した実施形態では、クライアント・サーバ型のゲームシステムによる構成で実現する例を挙げたが、複数のプレーヤ端末1500をピア・ツー・ピア接続したゲームシステムにおいて実現するとしてもよい。その場合、何れかのプレーヤ端末1500がサーバシステム1000の機能を担うことになる。或いは、複数のプレーヤ端末1500がサーバシステム1000の機能を分担して担うことにしてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1…ゲームシステム
1000…サーバシステム
200…サーバ処理部
202…プレーヤ管理部、204…課金管理部
210…ゲーム管理部
212…ゲーム進行制御部
220…ガチャ管理部
222…付与アイテム選択部、224…対応条件判定部
226…特典決定部、228…特典付与制御部
300…サーバ記憶部
302…サーバプログラム、304…配信用ゲームプログラム
310…ゲームデータ、320…プレーヤ管理データ
330…ガチャ設定データ、340…特典設定データ、
350…特典付与条件テーブル、360…特典付与確率テーブル
370…付与確率変更テーブル
1500…プレーヤ端末
3…プレーヤ