(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】電気メッキ中のフロー分離およびフォーカシングのための方法および装置
(51)【国際特許分類】
C25D 17/10 20060101AFI20221215BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20221215BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20221215BHJP
C25D 21/12 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
C25D17/10 A
C25D17/06 C
C25D7/12
C25D21/12 A
(21)【出願番号】P 2020508464
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(86)【国際出願番号】 US2018000362
(87)【国際公開番号】W WO2019040111
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-11
(32)【優先日】2017-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バニク・ステファン・ジェイ.・ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】バッカロー・ブライアン・エル.
(72)【発明者】
【氏名】バーク・アーロン
(72)【発明者】
【氏名】フォートナー・ジェームズ・アイザック
(72)【発明者】
【氏名】オバースト・ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー・スティーブン・ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ・ロバート
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0137242(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0138471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00-9/12
C25D 13/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中
にイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素の下方に配置されているアノードチャンバ膜フレームであって、アノードチャンバ膜と係合するよう構成されているアノードチャンバ膜フレームと、
(f)前記イオン抵抗性要素の下方、かつ、存在する時に前記アノードチャンバ膜の上方に位置するイオン抵抗性要素マニホルドであって、垂直に向けられたバッフルによって少なくとも部分的に互いから分離されている複数のバッフル領域を備えるイオン抵抗
性要素マニホルドと、各バッフルは、前記イオン抵抗性要素に近接した第1領域から前記アノードチャンバ膜に近接した第2領域まで伸びること
、を備
え、電気メッキ中、前記バッフルは、前記クロスフローマニホルドから前記イオン抵抗性要素を通って前記イオン抵抗性要素マニホルドに入る電解液の量を減らすように作用する、電気メッキ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気メッキ装置であって、前記バッフルは、側方流入口と側方流出口との間の方向と直交する方向に前記イオン抵抗性要素マニホルドにわたって直線的に伸び、前記側方流入口および側方流出口は、電気メッキ中に前記クロスフローマニホルド内でクロスフロー電解液を発生させるよう適合されている、電気メッキ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気メッキ装置であって、さらに、前記アノードチャンバ膜フレームと接触する前記アノードチャンバ膜を備え、前記アノードチャンバ膜は、電気メッキ中に前記アノードを前記基板から分離する、電気メッキ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電気メッキ装置であって、各バッフルの上側領域は、前記イオン抵抗性要素または前記イオン抵抗性要素に近接して配置されているフレームと物理的に接触する、電気メッキ装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれかに記載の電気メッキ装置であって、前記アノードチャンバ膜フレームは、前記バッフルを備える、電気メッキ装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の電気メッキ装置であって、さらに、前記イオン抵抗
性要素と前記アノードチャンバ膜フレームとの間に配置された背面インサートを備え、前記背面インサートは、前記バッフルと平行に配向された複数の突起を備え、前記バッフルと係合するよう構成されている、電気メッキ装置。
【請求項7】
請求項1から
4のいずれかに記載の電気メッキ装置であって、前記バッフルは、前記アノードチャンバ膜フレームに至るまでは延伸していない、電気メッキ装置。
【請求項8】
請求項1から
4または
7のいずれかに記載の電気メッキ装置であって、前記イオン抵抗性要素は、前記バッフルを備える、電気メッキ装置。
【請求項9】
請求項1から
4または
7のいずれかに記載の電気メッキ装置であって、さらに、前記イオン抵抗
性要素と前記アノードチャンバ膜フレームとの間に配置されている背面インサートを備え、前記背面インサートは、前記バッフルを備える、電気メッキ装置。
【請求項10】
請求項1から
4または
7のいずれかに記載の電気メッキ装置であって、前記バッフルは、前記イオン抵抗性要素、前記アノードチャンバ膜フレームおよ
び前記イオン抵抗性要素と前記アノードチャンバ膜フレームとの間に配置されている背面インサートのいずれとも一体化されていない着脱可能な部品であり、前記バッフルは、前記イオン抵抗性要素、前記アノードチャンバ膜フレーム、および、前記背面インサートの内の少なくとも1つにおける凹部内に嵌まる、電気メッキ装置。
【請求項11】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中
にイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素と物理的に接触する膜であって、電気メッキ中に前記膜を通してイオン輸送を提供するよう適合され、電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通る電解液の流れを減らすよう適合されている、膜と
、を備え
、前記膜は、前記膜が前記イオン抵抗性要素の前記複数の貫通孔の一部を覆うように、1または複数の切り欠き領域を備える、電気メッキ装置。
【請求項12】
請求項
11に記載の電気メッキ装置であって、前記膜は、平坦であり、前記イオン抵抗性要素と平行な平面内に配置されている、電気メッキ装置。
【請求項13】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素と物理的に接触する膜であって、電気メッキ中に前記膜を通してイオン輸送を提供するよう適合され、電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通る電解液の流れを減らすよう適合されている、膜と、を備え、前記膜は、前記イオン抵抗性要素の前記複数の貫通孔すべてを覆う、電気メッキ装置。
【請求項14】
請求項
11に記載の電気メッキ装置であって、前記膜は、前記イオン抵抗性要素の中央付近に配置されている第1切り欠き領域を備える、電気メッキ装置。
【請求項15】
請求項
14に記載の電気メッキ装置であって、前記膜は、前記クロスフローマニホルドへの側方流入口付近に配置されている第2切り欠き領域を備える、電気メッキ装置。
【請求項16】
請求項
11、14または1
5に記載の電気メッキ装置であって、前記切り欠き領域は、方位角的に不均一である、電気メッキ装置。
【請求項17】
請求項
11から
16のいずれかに記載の電気メッキ装置であって、前記膜は、前記イオン抵抗性要素の下方に配置されている、電気メッキ装置。
【請求項18】
請求項
11から
16のいずれかに記載の電気メッキ装置であって、前記膜は、前記イオン抵抗性要素の上方に配置されている、電気メッキ装置。
【請求項19】
請求項
11から
16のいずれかに記載の電気メッキ装置であって、さらに、前記イオン抵抗性要素と物理的に接触するように前記膜を配置するよう構成されている膜フレームを備える、電気メッキ装置。
【請求項20】
請求項
19に記載の電気メッキ装置であって、前記膜は前記イオン抵抗性要素の上方に配置され、前記膜フレームは前記膜の上方に配置され、前記膜フレームは第1セットのリブを備え、前記第1セットのリブは、線形で、互いに平行であり、前記クロスフローマニホルド内でクロスフロー電解液の方向と直交する方向に延伸する、電気メッキ装置。
【請求項21】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素の下方に配置されているアノードチャンバ膜フレームであって、アノードチャンバ膜と係合するよう構成されているアノードチャンバ膜フレームと、
(f)前記イオン抵抗性要素の下方、かつ、存在する時に前記アノードチャンバ膜の上方に位置するイオン抵抗性要素マニホルドであって、垂直に向けられたバッフルによって少なくとも部分的に互いから分離されている複数のバッフル領域を備えるイオン抵抗性要素マニホルドと、を備え、各バッフルは、前記イオン抵抗性要素に近接した第1領域から前記アノードチャンバ膜に近接した第2領域まで伸び、各バッフルの上側領域は、前記イオン抵抗性要素または前記イオン抵抗性要素に近接して配置されているフレームと物理的に接触する、電気メッキ装置。
【請求項22】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素の下方に配置されているアノードチャンバ膜フレームであって、アノードチャンバ膜と係合するよう構成されているアノードチャンバ膜フレームと、
(f)前記イオン抵抗性要素の下方、かつ、存在する時に前記アノードチャンバ膜の上方に位置するイオン抵抗性要素マニホルドであって、垂直に向けられたバッフルによって少なくとも部分的に互いから分離されている複数のバッフル領域を備えるイオン抵抗性要素マニホルドと、を備え、各バッフルは、前記イオン抵抗性要素に近接した第1領域から前記アノードチャンバ膜に近接した第2領域まで伸び、前記アノードチャンバ膜フレームは、前記バッフルを備える、電気メッキ装置。
【請求項23】
請求項22に記載の電気メッキ装置であって、さらに、前記イオン抵抗性要素と前記アノードチャンバ膜フレームとの間に配置された背面インサートを備え、前記背面インサートは、前記バッフルと平行に配向された複数の突起を備え、前記バッフルと係合するよう構成されている、電気メッキ装置。
【請求項24】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素の下方に配置されているアノードチャンバ膜フレームであって、アノードチャンバ膜と係合するよう構成されているアノードチャンバ膜フレームと、
(f)前記イオン抵抗性要素の下方、かつ、存在する時に前記アノードチャンバ膜の上方に位置するイオン抵抗性要素マニホルドであって、垂直に向けられたバッフルによって少なくとも部分的に互いから分離されている複数のバッフル領域を備えるイオン抵抗性要素マニホルドとを備え、各バッフルは、前記イオン抵抗性要素に近接した第1領域から前記アノードチャンバ膜に近接した第2領域まで伸び、前記イオン抵抗性要素は、前記バッフルを備える、電気メッキ装置。
【請求項25】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素の下方に配置されているアノードチャンバ膜フレームであって、アノードチャンバ膜と係合するよう構成されているアノードチャンバ膜フレームと、
(f)前記イオン抵抗性要素の下方、かつ、存在する時に前記アノードチャンバ膜の上方に位置するイオン抵抗性要素マニホルドであって、垂直に向けられたバッフルによって少なくとも部分的に互いから分離されている複数のバッフル領域を備えるイオン抵抗性要素マニホルドと、各バッフルは、前記イオン抵抗性要素に近接した第1領域から前記アノードチャンバ膜に近接した第2領域まで伸び、
前記イオン抵抗性要素と前記アノードチャンバ膜フレームとの間に配置されている背面インサートとを備え、前記背面インサートは、前記バッフルを備える、電気メッキ装置。
【請求項26】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素の下方に配置されているアノードチャンバ膜フレームであって、アノードチャンバ膜と係合するよう構成されているアノードチャンバ膜フレームと、
(f)前記イオン抵抗性要素の下方、かつ、存在する時に前記アノードチャンバ膜の上方に位置するイオン抵抗性要素マニホルドであって、垂直に向けられたバッフルによって少なくとも部分的に互いから分離されている複数のバッフル領域を備えるイオン抵抗性要素マニホルドと、各バッフルは、前記イオン抵抗性要素に近接した第1領域から前記アノードチャンバ膜に近接した第2領域まで伸びること、を備え
前記バッフルは、前記イオン抵抗性要素、前記アノードチャンバ膜フレームおよび前記イオン抵抗性要素と前記アノードチャンバ膜フレームとの間に配置されている背面インサートのいずれとも一体化されていない着脱可能な部品であり、前記バッフルは、前記イオン抵抗性要素、前記アノードチャンバ膜フレーム、および、前記背面インサートの内の少なくとも1つにおける凹部内に嵌まる、電気メッキ装置。
【請求項27】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素と物理的に接触する膜であって、電気メッキ中に前記膜を通してイオン輸送を提供するよう適合され、電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通る電解液の流れを減らすよう適合されている、膜と、を備え、前記膜は、平坦であり、前記イオン抵抗性要素と平行な平面内に配置されている、電気メッキ装置。
【請求項28】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素と物理的に接触する膜であって、電気メッキ中に前記膜を通してイオン輸送を提供するよう適合され、電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通る電解液の流れを減らすよう適合されている、膜と、を備え、前記膜は、前記イオン抵抗性要素の下方に配置されている、電気メッキ装置。
【請求項29】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素と物理的に接触する膜であって、電気メッキ中に前記膜を通してイオン輸送を提供するよう適合され、電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通る電解液の流れを減らすよう適合されている、膜と、を備え、前記膜は、前記イオン抵抗性要素の上方に配置されている、電気メッキ装置。
【請求項30】
電気メッキ装置であって、
(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、
(b)メッキ中に、前記基板のメッキ面が、前記電解液中に浸漬され、前記アノードから隔てられるように、前記基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、
(c)電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、
(d)前記基板が前記基板ホルダ内にある時に、前記イオン抵抗性要素の上方かつ前記基板の前記メッキ面の下方に位置するクロスフローマニホルドと、
(e)前記イオン抵抗性要素と物理的に接触する膜であって、電気メッキ中に前記膜を通してイオン輸送を提供するよう適合され、電気メッキ中に前記イオン抵抗性要素を通る電解液の流れを減らすよう適合されている、膜と、前記イオン抵抗性要素と物理的に接触するように前記膜を配置するよう構成されている膜フレームとを備える、電気メッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2017年8月21日出願の名称を「METHODS AND APPARTUS FOR FLOW ISOLATION AND FOCUSING DURING ELECTROPLATING」とする米国仮特許出願第62/548,116号に基づく利益を主張し、また、2018年8月10日出願の名称を「METHODS AND APPARTUS FOR FLOW ISOLATION AND FOCUSING DURING ELECTROPLATING」とする米国特許出願第16/101,291号に基づく利益を主張し、各出願は参照によって本明細書にその全体が全ての目的で組み込まれる。
【0002】
本明細書の実施形態は、基板上に材料を電気メッキするための方法および装置に関する。基板は、通常、半導体基板であり、材料は、通常、金属である。
【背景技術】
【0003】
開示されている実施形態は、電気メッキ中に電解液の流体力学を制御するための方法および装置に関する。より具体的には、本明細書に記載の方法および装置は、例えば、約50μm未満の幅を有する小型のマイクロバンピングフィーチャ(例えば、銅、ニッケル、スズ、および、スズ合金のはんだ)のスルーレジストメッキ、および、銅のシリコン貫通ビア(TSV)フィーチャなど、半導体ウエハ基板上への金属のメッキに特に有用である。
【0004】
電気化学蒸着は、現在、ウエハレベルパッケージング(WLP)およびシリコン貫通ビア(TSV)電気接続技術と呼ばれる一般に知られた高度なパッケージングおよびマルチチップ相互接続技術に対する実需を満たそうとしている。これらの技術は、部分的には、一般にフィーチャサイズが(フロントエンド(FEOL)相互接続と比較して)大きく、高アスペクト比であることにより、非常に大きな課題を示す。
【0005】
パッケージングフィーチャ(例えば、スルーチップ接続TSV、相互接続再分配配線、もしくは、フリップチップピラーなどのチップ-ボードまたはチップ-チップボンディング)のタイプおよび用途に応じて、メッキされるフィーチャは、通常、現在の技術では、約2マイクロメートルより大きく、典型的には、主要寸法で約5~100マイクロメートルである(例えば、銅ピラーは、約50マイクロメートルでありうる)。一部のオンチップ構造(電力バスなど)については、メッキされるフィーチャは、100マイクロメートルを超えうる。WLPフィーチャのアスペクト比は、典型的に、約1:1(高さ対幅)以下であるが、おそらく約2:1程度の高アスペクト比に及ぶ場合があり、一方、TSV構造は、非常に高い高アスペクト比(例えば、約20:1近く)を有しうる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の特定の実施形態は、基板を電気メッキするための方法および装置に関する。基板は、実質的に平坦であり、半導体基板であってよい。
【0007】
本明細書の実施形態の一態様において、電気メッキ装置が提供される。電気メッキ装置は、(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、(b)メッキ中に、基板のメッキ面が、電解液中に浸漬され、アノードから隔てられるように、基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、(c)電気メッキ中にイオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、(d)基板が基板ホルダ内にある時に、イオン抵抗性要素の上かつ基板のメッキ面の下に位置するクロスフローマニホルドと、(e)イオン抵抗性要素と物理的に接触する膜であって、電気メッキ中に膜を通してイオン輸送を提供するよう適合され、電気メッキ中にイオン抵抗性要素を通る電解液の流れを減らすよう適合されている膜と、を備える。
【0008】
様々な実施形態において、膜は、平坦であり、イオン抵抗性要素と平行な平面内に配置されている。一部の例において、膜は、イオン抵抗性要素の複数の貫通孔すべてを覆う。一部の他の例において、膜は、膜がイオン抵抗性要素の複数の貫通孔の一部を覆うように、1または複数の切り欠き領域を備える。一例において、膜は、イオン抵抗性要素の中央付近に配置されている第1切り欠き領域を備える。これらの実施形態または別の実施形態において、膜は、クロスフローマニホルドへの側方流入口付近に配置されている第2切り欠き領域を備えてもよい。特定の実施例において、切り欠き領域は、方位角的に不均一である。一例において、切り欠き領域は、側方流入口とイオン抵抗性要素の中心との間に延伸する。
【0009】
いくつかの実施形態において、膜は、イオン抵抗性要素の下に配置されている。別の実施形態において、膜は、イオン抵抗性要素の上に配置されている。特定の実施形態において、膜は、イオン抵抗性要素の下に配置され、第2の膜が、イオン抵抗性要素と接触して、イオン抵抗性要素の上に配置されている。
【0010】
特定の実施例において、装置は、さらに、イオン抵抗性要素と物理的に接触するように膜を配置するよう構成された膜フレームを備える。特定の例において、膜は、イオン抵抗性要素の上に配置され、膜フレームは、膜の上に配置され、膜フレームは、第1セットのリブを備え、第1セットのリブは、線形で、互いに平行であり、クロスフローマニホルド内でクロスフロー電解液の方向と直交する方向に延伸する。いくつかのかかる例において、膜フレームは、さらに、第1セットのリブと直交する方向に伸びる第2セットのリブを備える。膜フレームは、複数の開口部を有するプレートである。開口部は、円形であってよい。開口部は、別の形状であってもよい(例えば、楕円形、多角形など)。いくつかの例において、膜フレームは、リング形状である。リング形状の膜フレームは、その外周(またはその一部)で膜を支持してよい。
【0011】
開示されている実施形態の別の態様において、電気メッキ装置が提供される。電気メッキ装置は、(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、(b)メッキ中に、基板のメッキ面が、電解液中に浸漬され、アノードから隔てられるように、基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、(c)電気メッキ中にイオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、(d)基板が基板ホルダ内にある時に、イオン抵抗性要素の上かつ基板のメッキ面の下に位置するクロスフローマニホルドと、(e)クロスフローマニホルドに電解液を導入するための側方流入口と、(f)クロスフローマニホルド内に流れる電解液を受けるための側方流出口と、側方流入口および側方流出口は、電気メッキ中に基板のメッキ面上の方位角的に反対側の外周位置に近接して配置され、側方流入口および側方流出口は、電気メッキ中にクロスフローマニホルド内でクロスフロー電解液を生み出すよう適合されており、(g)イオン抵抗性要素の下に配置されているアノードチャンバ膜フレームと、(h)イオン抵抗性要素の下かつアノードチャンバ膜フレームの上に位置するイオン抵抗性要素マニホルドであって、イオン抵抗性要素の下に配置された垂直向きのバッフルによって部分的に互いから分離されている複数のバッフル領域を備えるイオン抵抗要素マニホルドと、各バッフルは、イオン抵抗性要素に近接した第1領域からアノードチャンバ膜フレームに近接した第2領域まで伸び、バッフルは、アノードチャンバ膜フレームと物理的に接触しておらず、電気メッキ中に、電解液が、(i)複数の電解液ソース領域からイオン抵抗性要素を通ってクロスフローマニホルドに入り、側方流出口から出る、(ii)側方流入口からクロスフローマニホルドを通って、側方流出口から出る、および、(iii)バッフルの下で、あるバッフル領域から別のバッフル領域へ移動する、イオン抵抗性要素マニホルドと、を備える。
【0012】
開示されている実施形態の別の態様において、電気メッキ装置が提供される。電気メッキ装置は、(a)実質的に平坦な基板上に金属を電気メッキする際に、電解液およびアノードを含むよう構成されているメッキチャンバと、(b)メッキ中に、基板のメッキ面が、電解液中に浸漬され、アノードから隔てられるように、基板を支持するよう構成されている基板ホルダと、(c)電気メッキ中にイオン抵抗性要素を通してイオン輸送を提供するよう構成されているイオン抵抗性要素であって、複数の貫通孔を備えているプレートであるイオン抵抗性要素と、(d)基板が基板ホルダ内にある時に、イオン抵抗性要素の上かつ基板のメッキ面の下に位置するクロスフローマニホルドと、(e)イオン抵抗性要素の下に配置されているアノードチャンバ膜フレームであって、アノードチャンバ膜と係合するよう構成されているアノードチャンバ膜フレームと、(f)イオン抵抗性要素の下、かつ、存在する時にアノードチャンバ膜の上に位置するイオン抵抗性要素マニホルドであって、垂直に向けられたバッフルによって少なくとも部分的に互いから分離された複数のバッフル領域を備えているイオン抵抗要素マニホルドと、各バッフルは、イオン抵抗性要素に近接した第1領域からアノードチャンバ膜に近接した第2領域まで伸びること、を備える。
【0013】
いくつかの実施形態において、バッフルは、側方流入口と側方流出口との間の方向と直交する方向にイオン抵抗性要素マニホルドにわたって直線的に伸び、側方流入口および側方流出口は、電気メッキ中にクロスフローマニホルド内でクロスフロー電解液を発生させるよう適合されている。一部の例において、装置は、さらに、アノードチャンバ膜フレームと接触するアノードチャンバ膜を備え、アノードチャンバ膜は、電気メッキ中にアノードを基板から分離する。様々な実施形態において、各バッフルの上側領域は、イオン抵抗性要素またはイオン抵抗性要素に近接して配置されているフレームと物理的に接触してよい。これらの実施形態または別の実施形態において、電気メッキ中に、バッフルは、クロスフローマニホルドからイオン抵抗性要素を通ってイオン抵抗性要素マニホルドに入る電解液の量を減らすよう作用する。アノードチャンバ膜フレームは、一部の例において、バッフルを備えてもよい。特定の実施例において、装置は、さらに、イオン抵抗要素とアノードチャンバ膜フレームとの間に配置されている背面インサートを備え、背面インサートは、バッフルと平行に配向されている複数の突起を備え、バッフルと係合するよう構成されている。一部の例において、バッフルは、アノードチャンバ膜フレームに至るまでは延伸していない。いくつかの例において、イオン抵抗性要素は、バッフルを備える。これらの例または他の例において、装置は、さらに、イオン抵抗要素とアノードチャンバ膜フレームとの間に配置されている背面インサートを備え、背面インサートは、バッフルを備えてもよい。特定の他の例において、バッフルは、イオン抵抗性要素、アノードチャンバ膜フレーム、および背面インサートのいずれとも一体化されていない着脱可能な部品である。いくつかの例において、バッフルは、イオン抵抗性要素、アノードチャンバ膜フレーム、および、背面インサートの内の少なくとも1つにおける凹部内に嵌まる。
【0014】
開示されている実施形態のさらなる態様において、電気メッキ方法が提供されており、その方法は、本明細書に記載の電気メッキ装置のいずれかで基板を電気メッキすることを備える。
【0015】
これらの特徴および他の特徴については、関連する図面を参照しつつ以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】電気メッキ中に基板表面上にクロスフローおよび衝突流の組み合わせを利用する電気メッキ装置を示す図。
【0017】
【
図1B】
図1Aに示した電気メッキ装置を通る電解液の流れを示す図。
【0018】
【
図1C】
図1Aおよび
図1Bに示した装置を用いて電気メッキを行う時に一部の例で生じうる流れ迂回の問題を示す図。
【0019】
【
図2A】イオン抵抗性要素の真下に膜を備える電気メッキ装置を示す図。
【
図2B】イオン抵抗性要素の真上に膜を備える電気メッキ装置を示す図。
【
図2C】イオン抵抗性要素の2つの部分の間に挟まれた膜を備える電気メッキ装置を示す図。
【0020】
【
図3A】イオン抵抗性要素の真下に膜および膜フレームを備える電気メッキ装置を示す図。
【
図3B】イオン抵抗性要素の真上に膜および膜フレームを備える電気メッキ装置を示す図。
【0021】
【
図3C】一実施形態に従って、膜フレームを示す図。
【
図3D】一実施形態に従って、膜フレームを示す図。
【
図3E】一実施形態に従って、膜フレームを示す図。
【
図3F】一実施形態に従って、膜フレームを示す図。
【
図3G】一実施形態に従って、膜フレームを示す図。
【
図3H】一実施形態に従って、膜フレームを示す図。
【0022】
【
図3I】イオン抵抗性要素の真上に配置された膜および膜フレームを有する電気メッキ装置を示す図であって、膜フレームが、その上面に一連の線形リブを備えることを示す図。
【0023】
【
図3J】直交するように向けられた2セットのリブを上面に有する膜フレームを示す図。
【
図3K】直交するように向けられた2セットのリブを上面に有する膜フレームを示す図。
【0024】
【
図4A】イオン抵抗性要素の真下に配置された膜および膜フレームを有する電気メッキ装置を示す図であって、膜が、所望の通りに電解液をルーティングするよう設計された切り欠きを備えることを示す図。
【0025】
【
図4B】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【
図4C】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【
図4D】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【
図4E】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【
図4F】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【
図4G】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【
図4H】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【
図4I】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【
図4J】一実施形態に従って、切り欠きを有する膜を示す図。
【0026】
【
図4K】電解液が側方流入口に供給される時に流れうる流入口切り欠きを備えたイオン抵抗性要素上の膜を示す図。
【0027】
【
図4L】イオン抵抗性要素に形成された流入口マニホルドを示す拡大図。
【0028】
【
図5A】イオン抵抗性要素マニホルド内に一連のバッフルを備える電気メッキ装置を示す図。
【0029】
【
図5B】特定の実施例に従って、一連のバッフルを備えた背面インサートを示す図。
【0030】
【
図5C】イオン抵抗性要素の下、かつ、アノードチャンバを規定する膜フレームの上に設置された
図5Bの背面インサートを示す図。
【0031】
【
図5D】アノードチャンバを規定し、バッフルの縁部を収容するための凹部を備えた膜を示す図。
【0032】
【
図5E】特定の実施形態に従って、スタンドアロンの部品として実装される複数のバッフルを示す図。
【0033】
【
図5F】各バッフル領域に電解液を供給する溝付き流入口を追加した、
図5Aと同様の電気メッキ装置を示す図。
【0034】
【
図5G】電解液が、バッフルの下に移動して、アノードチャンバを規定する膜を灌流するように、バッフルが膜フレームに至るまで伸びていない、
図5Aと同様の電気メッキ装置を示す図。
【0035】
【
図5H】バッフルが、イオン抵抗性要素マニホルド内に提供され、フローフォーカシングとも呼ばれるアノードチャンバ膜フレームの一部として形成されている一実施形態を示す図。
【0036】
【
図5I】一実施形態に従って、バッフルを備えたアノードチャンバ膜フレームを示す図。
【0037】
【
図5J】特定の実施形態に従って、バッフルの縁部と係合するよう構成された突起を有する背面インサートを示す図。
【
図5K】特定の実施形態に従って、バッフルの縁部と係合するよう構成された突起を有する背面インサートを示す図。
【0038】
【
図5L】特定の実施形態に従って、アノードチャンバ膜フレームと係合した背面インサートを示す図。
【0039】
【
図6A】
図1Aに示したメッキ装置内でメッキされたフィーチャを示す図。
【
図6B】
図1Aに示したメッキ装置内でメッキされたフィーチャを示す図。
【0040】
【
図7A】本明細書に記載の電気メッキ装置内で処理された基板で得られたスタティックインプリント結果を示す図。
【
図7B】本明細書に記載の電気メッキ装置内で処理された基板で得られたスタティックインプリント結果を示す図。
【
図7C】本明細書に記載の電気メッキ装置内で処理された基板で得られたスタティックインプリント結果を示す図。
【
図7D】本明細書に記載の電気メッキ装置内で処理された基板で得られたスタティックインプリント結果を示す図。
【0041】
【
図8】本明細書に記載の様々な電気メッキ装置内で処理された基板のフィーチャ内不均一性を示す実験データを示す図。
【0042】
【
図9】複数の異なる電気メッキセルおよびモジュールを有する電気メッキ装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本明細書では、基板上に1または複数の金属を電気メッキするための装置および方法が記載されている。基板が半導体ウエハである実施形態について一般的に記載されているが、実施形態は、これに限定されない。
【0044】
図1Aおよび
図1Bは、電気メッキ装置の簡略な断面図を示す。
図1Bは、様々な実施形態における電気メッキ中の電解液の流れを示す矢印を含む。
図1Aは、電気メッキセル101を示しており、基板102が基板ホルダ103に配置されている。基板ホルダ103は、しばしば、カップと呼ばれ、基板102をその外周で支持しうる。アノード104が、電気メッキセル101の底部付近に配置されている。アノード104は、膜105によって基板102から隔てられており、膜105は、膜フレーム106によって支持されている。膜フレーム106は、アノードチャンバ膜フレームと呼ばれることもある。さらに、アノード104は、イオン抵抗性要素107によって基板102から隔てられている。イオン抵抗性要素107は、電解液がイオン抵抗性要素107を通って基板102に作用することを可能にする開口部を備える。前面インサート108が、基板102の周囲に近接して、イオン抵抗性要素107の上方に配置されている。前面インサート108は、リング形状であってよく、図に示すように、方位角的に不均一であってよい。前面インサート108は、クロスフロー閉じこめリングとも呼ばれることがある。アノードチャンバ112が、膜105の下方にあり、それは、アノード104が配置される場所である。イオン抵抗性要素マニホルド111が、膜105の上方、かつ、イオン抵抗性要素107の下方にある。クロスフローマニホルド110が、イオン抵抗性要素107の上方、かつ、基板102の下方にある。クロスフローマニホルドの高さは、基板102とイオン抵抗性要素107の平面との間の距離であると考えられる(存在する場合、イオン抵抗性要素107の上面の上のリブを除く)。一部の例において、直行流マニホルドは、約1mm~4mmの間、または、0.5mm~15mmの間の高さを有してよい。クロスフローマニホルド110は、その側部を前面インサート108によって規定されており、前面インサート108は、クロスフローする電解液をクロスフローマニホルド110内に閉じ込めるよう機能する、クロスフローマニホルド110への側方流入口113が、クロスフローマニホルド110への側方流出口114と方位角的に反対側に設けられている。側方流入口113および側方流出口114は、少なくとも部分的には、前面インサート108によって形成されてよい。
図1Bにおいて矢印で示すように、電解液は、側方流入口113を通して、クロスフローマニホルド110へ入り、側方流出口114から出るように進む。さらに、電解液は、イオン抵抗性要素マニホルド111への1または複数の流入口116を通して、イオン抵抗性要素マニホルド111へ入り、イオン抵抗性要素107の開口部を通して、クロスフローマニホルド110へ入り、側方流出口114から出るように流れうる。流入口116は、イオン抵抗性要素マニホルド111および側方流入口113/クロスフローマニホルド110の両方に供給する導管と流体接続されているように図示されているが、一部の例において、これらの領域への流れは、分離されて、独立的に制御可能であってもよい。側方流出口114を通った後、電解液は、堰壁109を越えて溢れる。電解液は、回収および再利用されてもよい。
【0045】
特定の実施形態において、イオン抵抗性要素107は、基板(カソード)の近くでほぼ一定かつ均一の電流源を近似し、したがって、一部の文脈では、高抵抗仮想アノード(HRVA)またはチャネル付きイオン抵抗性要素(CIRP)と呼ばれうる。通常、イオン抵抗性要素107は、ウエハに対して近接して配置される。対照的に、同じく基板に近接したアノードは、ウエハへほぼ一定の電流を著しく供給しにくいが、アノード金属面に定電位の平面を単に支持するだけであり、それにより、アノード平面から終端まで(例えば、ウエハ上の周囲の接点まで)の正味抵抗がより小さい場合に電流が最大になることを可能にする。したがって、イオン抵抗性要素107を高抵抗仮想アノード(HRVA)と呼んだが、これは、電気化学的にそれら2つが交換可能であることを意味するものではない。特定の動作条件の下、イオン抵抗性要素107は、仮想均一電流源より厳密に近似し、おそらく、仮想均一電流源としてより良く記述され、ほぼ一定の電流が、イオン抵抗性要素107の上面全体から供給される。
【0046】
イオン抵抗性要素107は、互いに空間的およびイオン的に分離されたマイクロサイズ(通常、0.04インチ未満)の貫通孔を含む。いくつかのケースにおいて、貫通孔は、イオン抵抗性要素の本体内に相互接続チャネルを形成しない。かかる貫通孔は、しばしば、非連絡または一次元貫通孔と呼ばれる。それらは、典型的には、しばしば、ウエハのメッキ表面に垂直に(ただし、必ずしもそうではない)一次元的に伸びる(いくつかの実施形態において、非連絡孔は、イオン抵抗性要素の前面と略平行であるウエハに関して或る角度をなす)。しばしば、非連絡貫通孔は、互いに平行である。しばしば、非連絡貫通孔は、正方配列で配置される。別の例において、レイアウトは、オフセットスパイラルパターンである。これらの非連絡貫通孔は、その中の表面に平行なイオン電流および(特定の例では)流体流の両方を再構築し、ウエハ表面に向かう電流および流体流の両方の経路を真っ直ぐにするので、チャネルが三次元的に伸びて相互接続細孔構造を形成する3-D多孔質ネットワークとは異なる。しかしながら、特定の実施形態において、細孔の相互接続したネットワークを有するかかる多孔質プレートは、イオン抵抗性要素として利用されうる。本明細書で用いる用語「貫通孔」は、特に明記しない限りは、非連絡貫通孔と、細孔の相互接続ネットワークとの両方を網羅するよう意図される。プレートの上面からウエハまでの距離が短い場合(例えば、ウエハ半径のサイズの約1/10のギャップ(例えば、約5mm未満))、電流および流体流の両方の発散が、局所的に制限され、付与され、イオン抵抗性要素のチャネルと整列される。
【0047】
イオン抵抗性要素107の一例は、イオン抵抗性および電気抵抗性である固体の非多孔質誘電材料で形成されたディスクである。また、材料は、利用するメッキ溶液中で化学的に安定である。特定の例において、イオン抵抗性要素107は、約6,000~12,000の非連絡貫通孔を有するセラミック材料(例えば、酸化アルミニウム、酸化第二スズ、酸化チタン、または、金属酸化物の混合物)もしくはプラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、など)で形成される。イオン抵抗性要素107は、多くの実施形態において、ウエハと実質的に同じ広がりを有しており(例えば、イオン抵抗性要素107は、300mmウエハで用いられる場合には、約300mmの直径を有する)、ウエハと近接している(例えば、ウエが下向きになる電気メッキ装置内では、ウエハの直下にある)。ウエハのメッキ表面は、最も近いイオン抵抗性要素の表面から約10mm以内にあることが好ましく、約5mm以内にあることがより好ましい。このために、イオン抵抗性要素107の上面は、平坦または実質的に平坦であってよい。しばしば、イオン抵抗性要素107の上面および底面の両方が、平坦または実質的に平坦である。ただし、多くの実施形態において、イオン抵抗性要素107の上面は、後に詳述するように、一連の線形リブを備える。
【0048】
上述のように、プレート107のイオンおよび流れの抵抗全体は、プレートの厚さ、ならびに、全体の多孔度(プレートを通る流れに利用可能な領域の割合)および孔のサイズ/直径の両方、に依存する。多孔度の低いプレートは、より高い衝突流速およびイオン抵抗性を有する。同じ多孔度のプレートを比較すると、直径が小さい1-D孔(したがって、多数の1-D孔)を有するプレートは、個別の電流源(同じギャップにわたって広がりうる点電流源として機能する)が多く存在するので、ウエハ上の電流分布がマイクロレベルでより均一であり、また、より高い全圧低下を有する(高い粘性流れ抵抗)。また、イオン抵抗性要素107を通る電解液の流れは、後に詳述するように、イオン抵抗性要素107と平行かつ物理的に接触して設けられた膜の存在によって影響を受けうる。
【0049】
一部の例において、イオン抵抗性要素107の約1~10%は、イオン電流が通過しうる(そして、開口部を遮断する他の要素がない場合に電解液が通過しうる)開口領域である。特定の実施形態において、イオン抵抗性要素107の約2~5%が、開口領域である。具体的な例において、イオン抵抗性要素107の開口領域は、約3.2%であり、有効総開口断面積は、約23cm2である。いくつかの実施形態において、イオン抵抗性要素107に形成された非連絡孔は、約0.01~0.08インチ(0.254~2.032mm)の直径を有する。一部の例において、孔は、約0.02~0.03インチ(0.508~0.762mm)、または、約0.03~0.06インチ(0.762~1.524mm)の直径を有する。様々な実施形態において、孔は、イオン抵抗性要素107とウエハとの間のギャップ距離の最大でも約0.2倍の直径を有する。孔は、断面が略円形であるが、そうである必要はない。さらに、構造を簡単にするために、イオン抵抗性要素107のすべての孔が、同じ直径を有してよい。しかしながら、必ずしもそうである必要はなく、孔の個々のサイズおよび局所的密度の両方が、具体的な要件が定めうるように、イオン抵抗性要素の表面にわたって様々であってもよい。
【0050】
図1Aおよび
図1Bに示すイオン抵抗性要素107は、紙面に垂直な方向に伸びる一連の線形リブ115を備える。リブ115は、突出部とも呼ぶ。リブ115は、イオン抵抗性要素107の上面に配置され、それらの長さ(例えば、最長寸法)がクロスフローする電解液の方向と垂直になるように向けられる。リブ115は、クロスフローマニホルド110内の流体流および電流分布に影響する。例えば、電解液のクロスフローは、リブ115の上面の上方の領域に大部分が閉じこめられ、高速の電解液クロスフローを生み出す。隣接するリブ115の間の領域において、イオン抵抗性要素107を通して上向きに伝達される電流が、基板表面に伝達される前に、再分配され、より均一になる。
【0051】
図1Aおよび
図1Bにおいて、クロスフローする電解液の方向は、左から右(例えば、側方流入口113から側方流出口114への方向)であり、リブ115は、それらの長さが紙面に垂直に伸びるように向けられている。特定の実施形態において、リブ115は、約0.5mm~1.5mmの間の(
図1Aにおいて左右方向に測定した)幅を有してよく、一部の例においては、約0.25mm~10mmの間を有してもよい。リブ115は、約1.5mm~3.0mmの間の(
図1Aにおいて上下方向に測定した)高さを有してよく、一部の例においては、約0.25mm~7.0mmの間の高さを有してもよい。リブ115は、約5/1~2/1の間の幅に対する高さ対幅のアスペクト比(高さ/幅)を有してよく、一部の例においては、約7/1~1/7の間のアスペクト比を有してもよい。リブ115は、約10mm~30mmの間のピッチを有してよく、一部の例においては、約5mm~150mmのピッチを有してもよい。リブ115は、イオン抵抗性要素107の面にわたって伸びる(
図1Aにおいて紙面に垂直に測定した)可変長を有してよい。リブ115の上面と基板102の表面との間の距離は、約1mm~4mmの間、または、約0.5mm~15mmの間であってよい。リブ115は、
図1Aおよび
図1Bに示すように、基板とおよそ同じ広がりを有する領域上に提供されてよい。イオン抵抗性要素107のチャネル/開口部は、隣接するリブ115の間に配置されてもよいし、リブ115を通して伸びてもよい(換言すると、リブ115に、チャネルが設けられても、設けられなくてもよい)。いくつかの他の実施形態において、イオン抵抗性要素107は、平坦である上面を有してもよい(例えば、リブ115を備えない)。
図1Aおよび
図1Bに示した電気メッキ装置は、リブを上に備えたイオン抵抗性要素を含め、名称を「ENHANCEMENT OF ELECTROLYTE HYDRODYNAMICS FOR EFFICIENT MASS TRANSFER DURING ELECTROPLATING」とする米国特許第9,523,155号でさらに論じられており、その特許は、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。
【0052】
装置は、特定の用途に必要な様々なさらなる要素を備えてもよい。一部の例において、エッジ流要素が、クロスフローマニホルド内で、基板の周囲に近接して提供されてもよい。エッジ流要素は、基板のエッジ付近で高い程度の電解液流(例えば、クロスフロー)を促進するような形状および位置であってよい。エッジ流要素は、特定の実施形態においてリング形状または円弧形状であってよく、方位角的に均一または不均一であってよい。エッジ流要素は、2015年10月27日出願の名称を「EDGE FLOW ELEMENT FOR ELECTROPLATING APPARATUS」とする米国特許出願第14/924,124号にさらに記載されており、その出願は、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。
【0053】
一部の例において、装置は、クロスフローマニホルドを一時的に密閉するための密閉部材を備えてもよい。密閉部材は、リング形状または円弧形状であってよく、クロスフローマニホルドの縁部に近接して配置されてよい。リング形状の密閉部材は、クロスフローマニホルド全体を密閉しうるが、円弧形状の密閉部材は、クロスフローマニホルドの一部を密閉しうる(一部の例においては、側方流出口を開けておく)。電気メッキ中、密閉部材は、クロスフローマニホルドを密閉および密閉解除するために、繰り返し係合および係合解除されてよい。密閉部材は、基板ホルダ、イオン抵抗性要素、前面インサート、または、密閉部材と係合する装置のその他の部分、を移動させることによって、係合および係合解除されてよい。密閉部材およびクロスフロー調節方法については、以下の米国特許出願でさらに記載されており、特許出願の各々は、参照によって本明細書に全体が組み込まれる。2016年8月1日出願の名称を「DYNAMIC MODULATION OF CROSS FLOW MANIFOLD DURING ELECTROPLATING」とする米国特許出願第15/225,716号、および、2016年5月20日出願の名称を「DYNAMIC MODULATION OF CROSS FLOW MANIFOLD DURING ELECTROPLATING」とする米国特許出願第15/161,081号。
【0054】
様々な実施形態において、1または複数の電解液ジェットが、イオン抵抗性要素の上方にさらなる電解液を供給するために提供されてよい。電解液ジェットは、基板の周囲の近傍、または、基板の中心に近い位置、もしくは、それら両方に電解液を供給してよい。電解液ジェットは、任意の位置に向けられてよく、クロスフロー電解液、衝突電解液、または、それらの組み合わせ、を供給してよい。電解液ジェットについては、2017年3月9日出願の名称を「ELECTROPLATING APPARATUS AND METHODS UTILIZING INDEPENDENT CONTROL OF IMPINGING ELECTROLYTE」とする米国特許出願第15/455,011号でさらに記載されており、その出願は、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。
【0055】
図1Cは、
図1Aおよび
図1Bに示した装置を用いて電気メッキする時に生じうる問題を示している。特定の実施例において、(側方流入口113を通る相当量の電解液流によって比較的高圧である)クロスフローマニホルド110と、(比較的低圧である)イオン抵抗性要素マニホルド111との間には、圧力差がある。一部の例において、圧力差は、少なくとも約3000Pa、または、少なくとも約1200Paであってよい。これらの領域は、イオン抵抗性要素107によって隔てられている。圧力差のために、側方流入口113を通して供給された電解液は、イオン抵抗性要素107の開口部を通して、イオン抵抗性要素マニホルド111内に、下向き/逆向きに移動する。電解液は、側方流出口114の付近にある時、イオン抵抗性要素107を通して上に戻る。換言すると、クロスフローマニホルド内において基板上でせん断するよう意図された電解液が、代わりにイオン抵抗性要素マニホルドを通して流れることによって、クロスフローマニホルドを迂回する。この望ましくない電解液の流れは、
図1Cに点線矢印で示されている。側方流入口113を通して供給される電解液は、クロスフローマニホルド110内で基板102のメッキ面上でせん断するよう意図されているため、イオン抵抗性要素107を通る下向きの電解液の流れは望ましくない。イオン抵抗性要素107を通して下向きに流れる任意の電解液はもはや、所望の通りに基板102のメッキ面上でせん断することはない。結果として、基板のメッキ面での全体的な対流が所望よりも低くなり、基板の異なる部分において対流が不均一になる。この問題は、一部の例では、実質的なメッキの不均一性を引き起こしうる。
【0056】
本明細書の様々な実施形態は、クロスフローマニホルドに供給された電解液が、
図1Cに関連して記載したように、クロスフローマニホルドを迂回しうる程度を低減および/または制御するための方法および装置に関する。いくつかの実施例において、膜が、イオン抵抗性要素に近接して提供される。膜は、電解液がイオン抵抗性要素を通して流れうる程度を低減する。一部の例において、膜は、均一であってよく、イオン抵抗性要素のすべてまたは実質的にすべての開口部を覆ってよい。いくつかの別の例において、膜は、所望の通りに電解液をルーティングするよう設計された1または複数の切り欠きを備えてもよい。いくつかの別の実施例において、1または複数のバッフルが、イオン抵抗性要素マニホルド内に提供されてもよく、ここで、バッフルは、電解液が、イオン抵抗性要素マニホルド内で(例えば、クロスフロー電解液の方向に)電気メッキセルにわたって移動しうる程度を低減するよう動作する。これらの実施形態の各々について、順に論じる。
【0057】
イオン抵抗性要素に近接した膜
多くの例において、1または複数の膜が、イオン抵抗性要素に近接して提供されてよい。膜は、イオン抵抗性要素に平行な平面内に、この要素と物理的に接触して提供されてよい。膜は、電解液が、クロスフローマニホルドからイオン抵抗性要素を通してイオン抵抗性要素マニホルド内へ下向きに逆流しうる程度を低減するために提供されてよい。膜は、電解液が、イオン抵抗性要素マニホルドからイオン抵抗性要素を通してクロスフローマニホルド内へ上向きに反対方向に流れうる程度を同様に低減しうる。かかる膜は、基板からアノードを分離する膜(例えば、
図1A~
図1Cの膜105)に加えて提供されてよく、異なる目的で提供されてよい。例えば、
図1Aを参照すると、膜105の機能は、(a)アノード104/アノードチャンバ112と(b)基板102/イオン抵抗性要素マニホルド111との間の分離および陽イオン交換を提供することである。対照的に、イオン抵抗性要素107に近接して提供される膜は、本明細書に記載するように、主に、電解液の短絡を防ぐために提供される。
【0058】
かかる膜は、(例えば、イオン抵抗性要素の孔を通した噴射後に)電解液が基板の表面に衝突する程度を低減しうるが、この効果よりも、クロスフローマニホルド内の高いクロスフロー(特に、基板の中央付近)、メッキ結果の不均一性の改善、一部の例において基板表面の特定の部分に電解液を意図的にルーティングすること、に関する利点の方が上回りうる。
【0059】
膜の配置
膜は、イオン抵抗性要素の上方、イオン抵抗性要素の下方、または、イオン抵抗性要素の中、のいずれかに配置されてよい。
図2Aは、膜120がイオン抵抗性要素107の下方に設けられた例を示し、
図2Bは、膜120がイオン抵抗性要素107の上方に設けられた例を示し、
図2Cは、膜120がイオン抵抗性要素107a/107bの中に設けられた例を示す。
図2Aの実施形態において、イオン抵抗性要素107は、その上面の上に一連の線形リブ115を備えており、膜120は、イオン抵抗性要素107の底面に接触して配置されている。
図2Bの実施形態において、線形リブ115は省略されており、イオン抵抗性要素107は、膜120と係合する平坦な上面を備える。
図2Cの実施形態において、イオン抵抗性要素は、膜120を挟む上側部分107aおよび下側部分107bから形成される。上側部分107aは、一連の線形リブ115を備えるが、特定の例では省略されてもよい。
【0060】
図2A~
図2Cの各々において、膜120は、基板102に平行に配置されており、また、基板は、イオン抵抗性要素107(例えば、任意のリブ115を除く)に平行である。膜120は、イオン抵抗性要素107の少なくとも1つの表面と接触する。この接触により、膜120は、イオン抵抗性要素107の開口部を遮断し、電解液がイオン抵抗性要素107を通して移動することをより困難にする。結果として、側方流入口113からクロスフローマニホルド110へ供給された電解液のより多くの部分が、イオン抵抗性要素107を通って下向きに流れイオン抵抗性要素マニホルド111へ入ることによってクロスフローマニホルド110を迂回するのではなく、クロスフローマニホルド110内に維持される。換言すると、膜120は、クロスフローマニホルド110とイオン抵抗性要素マニホルド111との間の圧力差にも関わらず、クロスフローマニホルド110内にクロスフローを高い程度で維持するよう動作する。
【0061】
膜の材料および厚さ
膜は、様々な材料で形成されてよい。一般に、膜105に利用される任意の材料は、膜120にも利用されてよい。膜105については、以下の米国特許でさらに記載されており、特許の各々は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。「MEMBRANE DESIGN FOR REDUCING DEFECTS IN ELECTROPLATING SYSTEMS」と題する米国特許第9,677,190号、「COPPER ELECTROPLATING METHOD AND APPARATUS」と題する米国特許第6,527,920号、「ANODE AND ANODE CHAMBER FOR COPPER ELECTROPLATING」と題する米国特許第6,821,407号、および、「PLATING METHOD AND APPARATUS WITH MULTIPLE INTERNALLY IRRIGATED CHAMBERS」と題する米国特許第8,262,871号。
【0062】
膜材料は、電流が容易に膜を通ることを可能にしつつ、流体が膜を通りうる程度を低減する。様々な例において、膜材料は、比較的高い流れ抵抗係数を有する。一例として、膜は、約25℃で約1~2.5GFD/PSIの純水透過流束を示しうる。
【0063】
膜の材料の例は、以下を含むが、これらに限定されない。サブミクロンフィルタ材料、ナノ多孔質フィルタ材料、イオン交換材料(例えば、陽イオン交換材料)など。これらの市販の例は、Dupont社のNafion N324、Ion Power社のVanadion 20-L、および、Koch Membranes社のHFK-328(PE/PES)を含む。これらの材料は、十分な流れ抵抗を提供しつつ、起電力の影響下にある時にイオンが膜を通して移動することを可能にする。
【0064】
膜は、機械的に安定であると共に比較的高い流れ抵抗を提供するのに十分な厚さであることが好ましい。膜は、イオン電流が容易に通過することを可能にするのに十分薄いことが好ましい。いくつかの実施形態において、膜は、約0.1mm~0.5mmの間の(
図2A~
図2Cにおいて上下方向に測定した)厚さを有してよい。
【0065】
膜フレーム
多くの実施形態において、膜フレームが、イオン抵抗性要素に膜を固定するために提供されてよい。膜フレームは、膜105を支持するアノードチャンバ膜フレーム106を形成するために用いられるのと同じ材料のいずれで形成されてもよい。膜フレームを製造するのに用いられる材料は、電気メッキ中に利用される化学物質に耐性があることが好ましい。材料の例は、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレン・スルファイドなどを含むが、これらに限定されない。一部の例において、膜フレームは、3D印刷技術を用いて製造されてよい。
【0066】
膜フレームは、電流が膜を通過することを実質的に可能にしつつイオン抵抗性要素に対して膜を支持するような形状であることが好ましい。多くの異なる設計が可能であり、
図3C~
図3Hに関連して後に詳述する。
【0067】
図3Aは、(膜120がイオン抵抗性要素107の下に配置された)
図2Aに示した装置と同様の電気メッキ装置を示しており、膜120の下に膜フレーム121が追加されている。
図3Bは、(膜120がイオン抵抗性要素107の上に配置された)
図2Bに示した装置と同様の電気メッキ装置を示しており、膜120の上に膜フレーム121が追加されている。
図3Aおよび
図3Bは、材料の固体片として膜フレームを図示しているが、膜は、イオン電流が通過できる開口部を含むことが理解される。
【0068】
図3C~
図3Hは、様々な実施形態に利用できる膜フレーム121の上面図を示している。
図3Cにおいて、膜フレーム121は、プレートに形成された円形開口部150のパターンを備える。十分な電流が開口部を通過できる限りは、任意の数、サイズ、形状、および、レイアウトの開口部150が利用されてよい。
図3Dにおいて、膜フレーム121は、互いに重なる3つの線形リブ115を備えた外周リングを備える。リブ115は各々、膜フレーム121の中心を横切り、電流が通過できる大きい略三角形の開口部150を形成する。任意の数、サイズ、形状、および、レイアウトのリブ115/開口部150が利用されてよい。
図3Eにおいて、膜フレーム121は、互いに平行に配置された7つの線形リブ115を備えた外周リングを備える。開口部150は、隣接するリブ115の間に形成されている。任意の数、サイズ、形状、および、レイアウト/向きのリブ115/開口部150が利用されてよい。
図3Fにおいて、膜フレーム121は、プレートに形成された正方形開口部150のパターンを備える。この実施形態は、開口部150の形状を除けば、
図3Cに示したものと同様である。
図3Gにおいて、膜フレーム121は、外周で膜を支持する単純なリングである。任意のサイズのリングが用いられてよい。
図3Hにおいて、膜フレーム121は、互いに平行に配置された第1セットのリブ115aと、互いに平行に配置された第2セットのリブ115bと、を備えており、ここで、第1セットおよび第2セットのリブ115aおよび115bは、互いに直交するように配置される。様々な実施形態において、膜フレーム121は、約10~40%の間または約5~75%の間の開口領域を有してよい。
【0069】
図3C~
図3Hに関連して図示または記載した膜フレーム121はいずれも、本明細書の実施形態を実施する際に利用されてよい。一例において、
図3Aの装置は、
図3C~
図3Hに関連して図示または記載された膜フレーム121の1つを備える。別の例において、
図3Bの装置は、
図3C~
図3Hに関連して図示または記載された膜フレーム121の1つを備える。
【0070】
膜フレームがイオン抵抗性要素の上方に設けられる場合に、膜フレームは、クロスフローマニホルド内で所望の流れパターンを促進するように設計されてよい。例えば、
図3Aを参照すると、イオン抵抗性要素107の上面は、著交流マニホルド110内で高率のクロスフローを促進する線形リブ115を備える。
図3Bの装置において、これらのリブ115は、膜120がイオン抵抗性要素107に対して平坦に置かれるように、省略される。線形リブ115は、その代わりに、
図3I~
図3Kに示すように、膜フレーム121の一部として提供されてもよい。
図3Iは、電気メッキ装置の断面図を示し、
図3Jは、(符号を付していない膜120の上にある)膜フレーム121の上に配置されたクロスフロー閉じこめリング108の図を示し、
図3Kは、膜120上の膜フレーム121の拡大図を示す。
図3I~
図3Kに示す膜フレーム121は、
図3Hに示したものと同様である。この例において、膜フレーム121は、(i)長さがクロスフローマニホルド内のクロスフロー電解液の方向と垂直になるように向けられた第1セットの線形リブ115と、(ii)長さがクロスフローマニホルド内のクロスフロー電解液の方向と平行になるように向けられた第2セットの線形リブ115bと、を含む2セットの線形リブを備える。第1セットの線形リブ115aは、様々な実施形態において、第2セットの線形リブ115bの上方、下方、または、同一平面上にあってよい。一部の例において、
図3Iおよび
図3Kに見られるように、(クロスフロー電解液と垂直に向けられた)第1セットのリブ115aが、全体的または部分的に、(クロスフロー電解液と平行に向けられた)第2セットのリブ115bの上に配置されることが有利である。第1セットの線形リブ115aは、直交マニホルド110内で所望のパターンの流れを促進しうるが、一方、第2セットのリブ115bは、第1セットのリブ115aに構造剛性を提供するために利用されうる。第1セットおよび第2セットのリブ115aおよび115bは、同じまたは異なる寸法を有してよく(例えば、一方のセットのリブが、幅広い、高い、などであってよい)、それらの間に同じまたは異なる間隔を有してよい(例えば、一方のセットのリブが、より広く離間されてよい)。
【0071】
膜の切り欠き
いくつかの実施形態において、膜は、所望の通りにクロスフローマニホルドおよびイオン抵抗性要素マニホルドを通して電解液をルーティングするように設計された1または複数の切り欠きを備える。一部の例において、これは、より均一な電気メッキの結果を与えるために実行されてよい。例えば、基板の或る領域のメッキが所望よりも少なくなる場合、より高い程度のメッキを促進するために、この領域に電解液を送ることで、結果として、全体的により均一なメッキ速度を生み出すことができる。所望よりも低い局所的メッキ速度が、一部の例において、局所的に厚いフォトレジストの結果を生む場合がある。これらの例またはその他の例において、局所的メッキ速度は、電気メッキ中の電解液の流れパターンにより、所望よりも低くなりうる。例えば、一部の例において、基板の中央付近のフィーチャは、基板のエッジ付近のフィーチャと比べて少ない対流を経験し、結果として、基板の中央付近では湾曲した/ドーム型のフィーチャが生じ、基板のエッジ付近では平坦な/鋭いフィーチャが生じる。この不均一性(例えば、一般に、ウエハ内不均一性と呼ばれる)は、望ましくない。原因に関係なく、不均一性は、イオン抵抗性要素の近くの膜に1または複数の切り欠きを備えることによって軽減することができ、ここで、切り欠きは、所望の通りに電解液をルーティングする。
【0072】
図4Aは、第1切り欠き125および第2切り欠き126を備えた膜120を有する電気メッキ装置を示す。第1および第2切り欠き125および126は、いくつかの実施形態において、
図4Hおよび
図4Iに示すように実装されてよい。第1切り欠き125は、側方流入口に近接して配置され、第2切り欠き126は、基板の中心付近に配置されている。電気メッキ中、側方流入口113を通して供給された電解液は、イオン抵抗性要素107、膜120の第1切り欠き125、膜フレーム125を通して、イオン抵抗性要素マニホルド111内へ、下向きに移動する。次いで、電解液は、膜フレーム125、膜120の第2切り欠き126、イオン抵抗性要素107を上向きに通過して、クロスフローマニホルド110へ戻る。結果として、(例えば、膜120が省略された場合に)側方流出口114付近でイオン抵抗性要素107を通過する電解液が、その代わりに基板の中心付近でイオン抵抗性要素107を通して上に戻されることで、基板中心付近の基板のメッキ面にさらなる対流が提供される。この技術は、電気メッキ中に基板の中央での対流が基板のエッジよりも比較的少ない実施形態において、特に有利である。また、この技術は、局所的に厚いフォトレジストに対処するために有利である。例えば、切り欠きは、フォトレジストが局所的に厚い基板上の領域(例えば、基板上の他の位置よりも厚い領域)の近くの位置で膜120/イオン抵抗性要素107を通して電解液を上向きに送るように、設計されてよい。局所的対流の増加は、不均一なフォトレジスト蒸着に起因するメッキ不均一性に有効である。
【0073】
図4B~
図4Jは、様々な実施形態において利用できる膜の上面図を示しており、ここで、各膜は、1または複数の切り欠きを備える。切り欠きは、クロスフローマニホルドからイオン抵抗性要素に、および、その逆に、所望の通りに電解液をルーティングするための形状および配置を有する。膜は、ドットの網掛けで示され、切り欠きは、白で示されている。
図4B~
図4Jにおいて、側方流入口に近い膜の部分は、「i」で示され、側方流出口に近い膜の部分は、「o」で示されている。単一の切り欠きが利用される例では、(例えば、側方流入口付近の)切り欠きの一領域が、クロスフローマニホルドからイオン抵抗性要素マニホルドへ下向きに電解液をルーティングするために用いられてよく、一方で、(例えば、側方流入口から離れた)切り欠きの第2領域が、イオン抵抗性要素マニホルドからクロスフローマニホルドへ上向きに電解液をルーティングするために用いられてよい。複数の切り欠きが利用される例において、(例えば、側方流入口付近の)1または複数の切り欠きが、クロスフローマニホルドからイオン抵抗性要素マニホルドへ下向きに電解液をルーティングするために用いられてよく、(例えば、側方流入口から離れて、一部の例では、膜の中心付近または側方流出口付近にある)1または複数の他の切り欠きが、イオン抵抗性要素マニホルドからクロスフローマニホルドへ上向きに電解液をルーティングするために用いられてよい。膜を通した上下の流れは、電解液の流れおよび圧力差により、自然に生じうる。
【0074】
図4Bにおいて、膜は、側方流入口付近の領域から基板/膜の中央またはその近くの領域まで伸びる単一の切り欠きを備える。
図4Cにおいて、膜は、側方流入口に近接/整列する半円形の切り欠きを備えており、
図4Dにおいて、膜は、側方流出口に近接/整列する半円形の切り欠きを備える。
図4Eおよび
図4Fにおいて、膜は、三日月形であり、側方流出口に近接/整列するか(
図4E)、または、側方流入口に近接/整列する(
図4F)。
図4Gにおいて、膜は、基板/膜の中心に近い単一の円形切り欠きを備える。
図4Hおよび
図4Iにおいて、膜は、側方流入口に近い第1切り欠きと、基板/膜の中心に近い第2切り欠きと、を備える。
図4Jにおいて、膜は、側方流入口付近の複数の円形切り欠きと、基板/膜の中心に近い単一の円形切り欠きと、を備える。様々な膜切り欠き設計が、所望の通りに、基板表面の所望の部分に電解液をルーティングするために用いられてよい。
【0075】
(例えば、
図4A~
図4Jに関連して記載したように)クロスフローマニホルドとイオン抵抗性要素マニホルドとの間で電解液をルーティングするために提供された切り欠きに加えて、本明細書に記載の膜、膜フレーム、および、イオン抵抗性要素のいずれかが、側方流出口と整列された流入口開口部を備えることで、電解液が側方流入口へ入る/通過するのをこれらの構成要素が阻止しないことを保証してもよい。
図4Kおよび
図4Lは、流入口切り欠き127を有する膜120の異なる図を示す。流入口切り欠き127は、側方流入口113と整列するような形状および配置を有する。この実施形態において、イオン抵抗性要素107、膜フレーム121、および、膜120は各々、側方流入口113に供給された時に電解液が流れることができる開口部/通路を備える。同様の開口部/通路が、他の図で示されており、例えば、電解液が、側方流入口113に向かう時に流れる垂直シャフト/開口部が示されている(例えば、
図1Bを参照)。
図4Lに戻ると、側方流入口マニホルド128が、イオン抵抗性要素107内の空洞として主に形成されている。側方流入口マニホルド128の上面は、電解液が流れる複数の孔を有するシャワーヘッド129を備える。膜フレーム121は、膜120の上かつシャワーヘッド129の上にある。シャワーヘッド129は、膜120内の流入口切り欠き127に配置される。
【0076】
後述の実験結果は、本明細書に記載の膜が、電気メッキの結果を改善する(例えば、より望ましい電解液の流れを生み出し、より高品質かつ均一なメッキ結果を生み出す)ことに非常に有効であることを示している。
【0077】
バッフル
いくつかの実施形態において、電解液が上述のようにクロスフローマニホルドを望ましくなく迂回する程度を低減するために、1または複数のバッフルが、イオン抵抗性要素マニホルドに提供されてよい。バッフルは、イオン抵抗性要素、イオン抵抗性要素の近傍の膜フレーム、アノードチャンバの近傍の膜フレーム、背面インサート、または、別個のハードウェア、の一部として形成されてよい。複数のバッフルは、単一ユニットとして提供されてもよいし、個別に提供されてもよい。通常、バッフルは、クロスフローマニホルド内のクロスフロー電解液の方向と直交するように向けられる。イオン抵抗性要素または膜フレームが一連の線形リブを備える例において、線形リブおよびバッフルは、それらの長さが互いに平行になるように向けられてよい。バッフルは、壁と呼ぶ場合もある。
【0078】
図5Aは、イオン抵抗性要素マニホルド111内に一連のバッフル130を備える電気メッキ装置を示す。バッフル130は、イオン抵抗性要素マニホルド111をいくつかのバッフル領域139に分割する。この例において、バッフル130は、イオン抵抗性要素107によって形成される。バッフル130は、イオン抵抗性要素107の本体から垂直下向きに伸び、さらに、紙面と垂直な方向に広がっている。
図5Aにおいて、バッフル130は、イオン抵抗性要素107の上面の上のリブ150と対応するような形状および間隔を有するが、必ずしも、そうでなくてもよい。バッフル130は、アノードチャンバ膜フレーム106と係合してよい。電気メッキ中、バッフル130は、電解液が、イオン抵抗性要素マニホルド111内で電気メッキセルにわたって(例えば、
図5Aの左から右へ)流れるのを防ぐ。結果として、側方流入口113に供給された電解液の大部分が、(バッフルがなかった場合に起こるように)イオン抵抗性要素107を通してイオン抵抗性要素マニホルド111へ漏れるのではなく、クロスフローマニホルド110内に維持される。
【0079】
一部の例では、単一のバッフルのみが利用される。バッフルは、側方流入口付近、基板の中央付近、または、側方流出口付近に配置されてよい。別の例において、2、3、4、5、6、または、7以上のバッフルが利用されてもよい。バッフルは、均一または不均一に離間されてよい。一部の例において、隣接するバッフルの間の距離は、約10mm~30mmの間または約5mm~150mmの間である。(
図5Aにおいて左右方向に測定した)各バッフルの幅は、約0.5mm~1.5mmの間または約0.25mm~3mmの間であってよい。複数のバッフルは、異なる寸法(例えば、各バッフルが、自身の配置された位置でイオン抵抗性要素マニホルドの形状に一致するような寸法)を有してよい。一部の例において、バッフルは、イオン抵抗性要素(もしくは、イオン抵抗性要素の直下に存在する場合に、膜または膜フレーム)の縁部までずっと、アノードチャンバを規定する膜フレームの縁部までずっと、および、電気メッキセル全体にわたってずっと伸びている。かかるバッフルは、電解液がバッフルの周りに押し入る空間がないので、流れに対して非常に高い抵抗を提供する。
【0080】
別の例において、バッフルは、それほど広範囲でなくてもよい。例えば、アノードチャンバを規定する膜フレームまで下向きに伸びなくてもよい、および/または、電気メッキチャンバの縁部まで外向きに伸びなくてもよい。これらの例において、バッフルは、電解液の流れへの抵抗を提供するが、以前の例ほど大きくはない。いくつかの実施形態において、アノードチャンバ付近の膜の上で対流/灌流を増大させることが望ましい。
図5Gは、バッフル130がアノードチャンバ膜フレーム106に達しないことを除いて、
図5Aに示した装置と同様の電気メッキ装置を示す。各バッフル130の縁部とアノードチャンバ膜フレーム106との間にギャップが設けられている場合、曲げ矢印で示すように、電解液は、ギャップを通って、或るバッフル領域139から別のバッフル領域139へ移動する。各ギャップは、膜105の近くに配置されているので、各ギャップを通る電解液は、或るバッフル領域139から別のバッフル領域へ移動する時に膜105を灌流するよう機能する。この技術は、電気メッキの結果を改善すると共に、各膜105の利用寿命を延ばしうる。
【0081】
図5Bおよび
図5Cは、一連のバッフル130を備えた背面インサート135を示す。
図5Bは、下から見た背面インサート135を示し、
図5Cは、上方から見た背面インサート135を示し、ここで、背面インサート135は、イオン抵抗性要素107の下かつアノードチャンバ膜フレーム106の上に設置される。背面インサートという用語は、イオン抵抗性要素の背面(例えば、上側/下側)に近接して設置されたハードウェアを指す。背面インサートは、アノードチャンバ膜フレーム106とイオン抵抗性要素107との間にクランプされてよい。
【0082】
特定の実施形態において、アノードチャンバを規定する膜を支持する膜フレームは、バッフルと係合するよう変形されてもよい。
図5Dは、一連の凹部137を形成されたアノードチャンバ膜フレーム106を示している。凹部137は各々、バッフル130の縁部を受け止める形状およびサイズを有する。
図5Eは、個々のスタンドアロンの部品として実装されるバッフル130の例を示している。これらのバッフル130(または他のバッフル)は、アノードチャンバ膜フレーム106内の凹部137によって支持されうる。同様の凹部137が、バッフル130の上縁を支持するために、イオン抵抗性要素の下面、または、膜フレーム(例えば、
図3Aまたは
図4Aに示したような膜フレーム121)の下面に提供されてもよい。
【0083】
図5Fは、各バッフル領域139に電解液を供給する流入口116に接続された溝付き流入口140を追加した、
図5Aと同様の電気メッキ装置を示している。溝付き流入口140は、イオン抵抗性要素107に向かって上向きに、膜105に向かって下向きに、バッフル130に向かって斜めに、または、それらのいくつかの組みあわせで、電解液を供給してよい。一部の例において、溝付き流入口140を通して供給された電解液は、アノードチャンバ112付近の膜105を灌流するよう機能する。また、溝付き流入口140は、イオン抵抗性要素マニホルド111の様々なバッフル領域139において対流/循環を増大させるよう機能する。
【0084】
いくつかの実施形態において、イオン抵抗性要素マニホルド内のバッフルは、アノードチャンバ膜フレームの一部として提供されてもよい。かかる例において、アノードチャンバ膜フレームは、フローフォーカシング膜フレームと呼ばれてもよい。
【0085】
図5Hは、フローフォーカシング膜フレーム145がバッフル130を備えるよう適合された電気メッキ装置101の一部を示している。バッフル130は、イオン抵抗性要素マニホルド111内で、イオン抵抗性要素107と、フローフォーカシング膜フレーム145の直下に配置された膜105との間に、垂直に伸びている。上述のように、バッフル130は、通常、長さがクロスフローマニホルド内のクロスフロー電解液の方向と直交するように向けられる。わかりやすくするために、
図5Hでは特に符号を付していないが、クロスフローマニホルドは、基板102の下かつイオン抵抗性要素107の上に位置することがわかる。
【0086】
図5Hの例において、隣接するバッフル130は、支持部材で互いに接続されている。この例において、支持部材は、下向きに膜105まで伸びているが、上向きにイオン抵抗性要素107までは伸びていない。他の例において、支持部材は、上向きにイオン抵抗性要素107に至るまで伸びてもよい、および/または、下向きに膜105まで伸びなくてもよい。
図5Hにおいて、膜105は、円錐形に配置されており、円錐形の先端は、膜105の中心で下を向いている。バッフル130および支持部材の底面は、膜105の形状に合わせて傾斜されている。
【0087】
開口部141が、フローフォーカシング膜フレーム145内で、隣接するバッフル130および支持部材の間に規定されている。開口部141は、特定の用途に望ましいように、様々な形状およびサイズを有してよい。
図5Hの実施形態において、開口部141は、上から見ると長方形である。
【0088】
図5Hは、アノードチャンバ112内に配置されたアノード104、および、基板ホルダ103上に配置された基板102も示している。基板ホルダ103は、メッキ位置に図示されているが、基板をロード/アンロードするために上方に持ち上げることができる。図に示すように、メッキ位置にある時、基板ホルダ103は、前面インサート108の近くにある。前面インサート108は、図に示すように、少なくとも部分的に基板ホルダ103の半径方向外側に配置されてよい。この例において、背面インサート135は、リング形状であり、基板ホルダ103とおよそ同じ広がりを有しており、その直径は、イオン抵抗性要素マニホルド111の直径とおよそ等しい。背面インサート135は、イオン抵抗性要素107の下方で、フローフォーカシング膜フレーム145の上側部分の半径方向内側に配置されている。背面インサート135は、電流遮断に用いられてよい。
【0089】
図5Iは、
図5Hに示したのと同様のフローフォーカシング膜フレーム145を示す。この例において、フローフォーカシング膜フレーム145の開口部141は、円形であり、ハニカムパターンで配置されている。バッフル130は、
図5Hに示したように、イオン抵抗性要素107から膜105まで垂直に伸びるような形状である。
図5Iは、フローフォーカシング膜フレーム145の外周領域にある2つの円弧形状の開口部142も示している。円弧形状の開口部142は、一部の例において、電解液をルーティングするために用いられてよい。
【0090】
特定の例において、フローフォーカシング膜フレームのバッフルは、イオン抵抗性要素マニホルドの幅全体にわたって伸びていない。この構成の1つの利点は、単一のフローフォーカシング膜フレームを用いて、異なる背面インサートで異なる基板を電気メッキすることができる点である。例えば、背面インサートは、特定の用途に対して特定の形状(例えば、内径)を有するよう設計されてよい。異なる用途で、異なるサイズの背面インサートを利用してよい。フローフォーカシング膜フレームは、フローフォーカシング膜フレームの有用性を最大化するために、様々な背面インサートと交換可能に係合するよう設計されてよい。
【0091】
図5Jおよび
図5Kは、特定の実施例に従って、背側インサート135の異なる図を提示する。背面インサート135は、一連の突起143を備える。突起143は、
図5Lに示すように、フローフォーカシング膜フレーム145のバッフル130の縁部と係合するよう配置される。突起143の長さは、異なるサイズの背面インサート135によって異なっていてよく、それにより、柔軟性を高め装置のコストを削減するために、各背面インサート135が、単一のフローフォーカシング膜フレーム145と適合することを可能にする。異なる背面インサート135が交換可能にフローフォーカシング膜フレーム145と係合できることを保証するために、バッフル130の上縁は、
図5Lに示すように、イオン抵抗性要素マニホルドの全幅よりも短くなるよう伸びてよい。背面インサート135上の突起143は、バッフル130の上縁に近接して配置されてよく、それにより、バッフル130がイオン抵抗性要素マニホルドの全幅にわたって効果的に伸ばされることを保証する。
【0092】
特定の実施形態(図示せず)において、装置は、(i)(例えば、
図2A~
図4Lのいずれかに関連して記載した)イオン抵抗性要素と物理的に接触する膜、および、(ii)(例えば、
図5A~
図5Gに関連して記載した)1または複数のバッフル、の両方を備えてよい。
【0093】
電気メッキシステム
本明細書に記載の方法は、任意の適切なシステム/装置によって実行されうる。適切な装置は、本実施形態に従って、処理工程を完了するためのハードウェアと、処理工程を制御するための命令を有するシステムコントローラとを備える。例えば、いくつかの実施形態において、ハードウェアは、処理ツールに含まれる1または複数の処理ステーションを備えてよい。
【0094】
電着装置900の一実施形態を、
図9に概略的に示す。この実施形態において、電着装置900は、ペア構成または複数「デュエット」構成の1セットの電気メッキセル907を有しており、各セルは、電気メッキ浴を含む。電気メッキ自体に加えて、電着装置900は、例えば、スピンリンス、スピン乾燥、金属およびシリコンの湿式エッチング、無電解析出、予湿および事前化学処理、還元、アニーリング、電解エッチングおよび/または電解研磨、フォトレジスト剥離、ならびに、表面事前活性化など、様々なその他の電気メッキ関連処理およびサブ工程を実行しうる。電着装置900は、
図9では上から見た形で概略的に示されており、図では1つのレベルすなわち「フロア」のみが示されているが、かかる装置(例えば、Lam Sabre(商標)3Dツール)は、同一または異なるタイプの処理ステーションを潜在的に有する互いに「積層された」2以上のレベルを有しうることを当業者であれば容易に理解できる。
【0095】
再び
図9を参照すると、電気メッキされる基板906が、一般に、フロントエンドローディングFOUP901を通して電着装置900に送られ、この例では、多次元的にスピンドル903によって駆動される基板906を、アクセス可能なステーション(2つのフロントエンドアクセス可能ステーション904)の内の1つのステーションから別のステーションに移動させることができる伸縮可能なフロントエンドロボット902によって、FOUPから電着装置900の主要基板処理領域に移動され、また、この例では、2つのフロントエンドアクセス可能ステーション908も示されている。フロントエンドアクセス可能ステーション904および908は、例えば、前処理ステーションおよびスピン・リンス・ドライ(SRD)ステーションを含みうる。フロントエンドロボット902の左右への側方移動は、ロボット軌道902aを用いて実現される。基板906の各々は、モータ(図示せず)に結合されたスピンドル903によって駆動されるカップ/コーンアセンブリ(図示せず)によって保持されてよく、モータは、取り付けブラケット909に取り付けられてよい。また、この例では、合計8つの電気メッキセル907が、4つの「デュエット」の電気メッキセル907として図示されている。システムコントローラ(図示せず)が、電着装置900の特性の一部または全部を制御するために、電着装置900に接続されてよい。システムコントローラは、本明細書で上述した処理に従って命令を実行するようプログラムまたはそれ以外の方法で構成されてよい。
【0096】
システムコントローラ
いくつかの実施例において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0097】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0098】
コントローラは、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。一部の例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0099】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0100】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
【0101】
さらなる実施形態
上述の様々なハードウェアおよび方法の実施形態は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電力パネルなどの加工または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたは処理と共に用いられてもよい。通常、必ずしもそうとは限らないが、かかるツール/処理は、共通の製造施設で一緒に利用または実行されている。
【0102】
薄膜のリソグラフィパターニングは、通常、以下の工程の一部または全部を含み、各工程は、複数の可能なツールで実現される。(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを用いて、ワークピース(窒化シリコン薄膜を上に形成された基板など)上にフォトレジストを塗布する工程、(2)ホットプレートまたは炉またはその他の適切な硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させる工程、(3)ウエハステッパなどのツールで可視光またはUVまたはx線にフォトレジストを暴露させる工程、(4)ウェットベンチまたはスプレー現像装置などのツールを用いて、選択的にレジストを除去することによってパターニングするためにレジストを現像する工程、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写する工程、ならびに、(6)RFプラズマまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを用いて、レジストを除去する工程。いくつかの実施形態において、アッシング可能なハードマスク層(アモルファス炭素層など)および別の適切なハードマスク(反射防止層など)が、フォトレジストの塗布前に蒸着されてよい。
【0103】
本願では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および、「製造途中の集積回路」という用語が、交換可能に用いられている。当業者であれば、「製造途中の集積回路」という用語は、集積回路加工の多くの段階の内のいずれかの途中のシリコンウエハを指しうることがわかる。半導体デバイス産業で用いられるウエハまたは基板は、通常、200mm、または、300mm、または、450mmの直径を有する。さらに、「電解液」、「メッキ浴」、「浴」、および、「メッキ溶液」という用語は、交換可能に用いられる。詳細な説明では、実施形態がウエハに実施されることを仮定している。ただし、実施形態はそれらに限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および、材料を有してよい。半導体ウエハに加えて、開示された実施形態を利用しうるその他のワークピースは、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、鏡、光学素子、微小機械素子など、様々な物品を含む。
【0104】
上記の説明では、提示した実施形態の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能である。また、開示した実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。開示した実施形態は、具体的な実施形態に関連して説明されているが、開示した実施形態を限定する意図はないことを理解されたい。
【0105】
特定のパラメータに対して特に規定されない限りは、本明細書で用いる「約」および「およそ」という用語は、関連する値に関して±10%を意味するよう意図されている。
【0106】
本明細書に記載の構成および/またはアプローチは、本質的に例示であり、多くの変形が可能であるので、これらの具体的な実施形態または例は、限定であると見なされないことを理解されたい。本明細書に記載の具体的なルーチンまたは方法は、任意の数の処理戦略の内の1または複数を表しうる。したがって、例示された様々な動作は、例示された順番で、他の順番で、または、並行して実行されてよく、一部の例では省略されてもよい。同様に、上述の処理の順番は変更されてもよい。いくつかの引例が、参照によって本明細書に組み込まれている。かかる引例においてなされた任意の放棄または否認は、本明細書に記載の実施形態には必ずしも適用されないことを理解されたい。同様に、かかる引例において必要に応じて記載された任意の特徴は、本明細書の実施形態では省略されてもよい。
【0107】
本開示の主題は、様々な処理、システム、および、構成のすべての新規かつ非自明な組み合わせおよび部分的組み合わせ、ならびに、本明細書に開示された他の特徴、機能、動作、および/または、特性と、それらのすべての等価物とを含む。
【0108】
実験
図6Aおよび
図6Bは、
図1A~
図1Cに示した装置内でメッキされたフィーチャを示す。具体的には、
図6Aは、基板のエッジ付近でメッキされたフィーチャを示しており、一方、
図6Bは、基板の中央付近でメッキされたフィーチャを示している。
図6Aのフィーチャは、よりドーム型である
図6Bのフィーチャよりも大幅に平坦である/鋭い。作用の理論にもメカニズムにも縛られることは望まないが、
図6Bの中央に位置するフィーチャは、
図6Aのエッジに位置するフィーチャに比べると、電気メッキ中に比較的低い対流を経験するのでドーム型になると考えられる。
【0109】
銅シード層を上に有する非パターニング基板にスタティックインプリントを実行することによって、本明細書に記載の複数の実施形態を試験した。スタティックインプリントを実行するために、基板が、酸性の酸素リッチ溶液で満たされた電気メッキ装置にロードされる。この溶液は、電解液が電気メッキ中に装置を流れるのと同じ方法で、装置に流される。溶液は、或る程度まで銅シード層を溶解し、より高い対流を受ける領域が、より高い程度のエッチングを示す。スタティックインプリント中には、電流も電位も基板に印加されない。基板は、スタティックインプリント中に回転されない。
【0110】
図7Aは、
図1A~
図1Cに示した電気メッキ装置で得られたスタティックインプリントを示す。楕円形で示す基板の領域は、基板の残り部分と比較して著しく多くエッチングされている。これらの結果は、側方流入口113を通して供給される溶液の一部が、イオン抵抗性要素を通してイオン抵抗性要素マニホルド111へ流れることにより、クロスフローマニホルド110の大部分を迂回していることを示唆する。溶液は、
図1Cに示したように、側方流出口114付近の領域で、イオン抵抗性要素107を通して上向きにクロスフローマニホルド110へ戻る。イオン抵抗性要素107を通して上向きに戻る溶液は、基板表面に衝突して、基板の他の領域と比べて楕円形領域において、より実質的なエッチングを引き起こす。
【0111】
図7Bは、
図3Aに示した電気メッキ装置で得られたスタティックインプリントを示す。装置は、イオン抵抗性要素107の直下で物理的に接触して配置された膜120と、リング形状でありその外周囲で膜120を支持する膜フレーム121と、を備える。この例において、溶液が側方流出口114付近でイオン抵抗性要素107を通して上向きに噴出する証拠はなかった。その代わり、基板の中央(円で示す)は、基板のエッジによりも比較的多いエッチングを示しており、基板の中央でクロスフローが改善していることを示唆する。この結果は、イオン抵抗性要素の近傍で膜を利用すれば、本明細書に記載の流れ迂回の問題を実質的に防ぐことができ、基板の中央付近のクロスフローを実質的に改善できることを示唆する。
【0112】
図7Cは、
図4Hに示した膜120(この膜は、側方流入口113付近の第1開口部および基板/膜120の中央付近の第2開口部を備える)を用いて、
図4Aに示した電気メッキ装置で得られたスタティックインプリントを示す。この例において、溶液が側方流出口114付近でイオン抵抗性要素107を通して上向きに噴出する証拠はない。結果は、溶液が膜120の第1開口部(側方流入口113付近の開口部)を通して下向きにルーティングされ、その後、膜120の第2開口部(基板/膜120の中央付近の開口部)を通して上向きに戻ることにより、基板102の中央付近(円で示す)で溶液の実質的な噴出が起きることを示している。これらの結果は、本明細書に記載の膜の切り欠きが、基板の所望の領域(例えば、対流が比較的低い基板の中央付近)に、電解液をルーティングするために利用できることを示唆する。
【0113】
図7Dは、
図4Bに示した膜120(この膜は、側方流入口113付近から基板/膜120の中央付近まで伸びる単一の開口部を備える)を用いて、
図4Aに示した電気メッキ装置で得られたスタティックインプリントを示す。溶液が側方流出口114付近でイオン抵抗性要素107を通して上向きに噴出する証拠はない。基板/膜120の中央付近(円で示す)でイオン抵抗性要素107を通して上向きに流体が噴出する証拠がある。噴出は、
図7Cほど実質的ではない。これらの結果は、所望の通りに電解液をルーティングするために、単一開口部を有する膜を利用することで、基板の中央付近のクロスフローを改善できることを示唆する。
【0114】
図8は、本明細書に記載の様々な装置でメッキされた基板のフィーチャ内不均一性を示す実験結果である。具体的には、ケースAは、
図1A~
図1Cに示した装置に関連する(例えば、バッフルも、イオン抵抗性要素107と接触する膜も備えない装置)。ケースBは、
図4Bに示した膜120を有する
図4Aに示した装置に関する。ケースCは、イオン抵抗性要素マニホルド111内に一連のバッフル130を有する
図5Aに示した装置に関する。ケースAでは、バッフルも、イオン抵抗性要素に近接する膜も設けられておらず、フィーチャ内不均一性は、かなり高く(例えば、最大60μm)、変動的である。ケースBでは、膜がイオン抵抗性要素と接触して設けられており、フィーチャ内不均一性は、はるかに低く(例えば、約13μm未満)、変動性が非常に低い。同様に、ケースCでは、バッフルがイオン抵抗性要素マニホルド内に設けられており、フィーチャ内不均一性は、かなり低く(例えば、約15μm未満)、変動性が非常に低い。ケースBは、最良の結果(最少の変動性で不均一性が最も低い)であるが、ケースCの結果も非常に良好であった。これらの結果は、電気メッキの結果(特に、フィーチャ内不均一性)を改善するために、本明細書に記載の技術を成功裏に実施できることを示す。