(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】三次元メモリデバイス、三次元メモリデバイスを作製するための方法及びメモリセルストリング
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11582 20170101AFI20221215BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221215BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20221215BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20221215BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L21/302 105A
(21)【出願番号】P 2021512764
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 CN2018105442
(87)【国際公開番号】W WO2020051826
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ルオファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン・エンボ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ハオハオ
(72)【発明者】
【氏名】シュ・チャンビン
(72)【発明者】
【氏名】フ・ユシ
(72)【発明者】
【氏名】チャン・フシャン
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0112264(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0162342(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11582
H01L 21/336
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されている下部基板であって、前記下部基板は、前記基板の表面から垂直方向に延出している第1のチャネル構造、並びに複数の第1の層及び複数の第2の層を有する第1のメモリセルスタックを含み、前記第1のチャネル構造は、前記第1のメモリセルスタックを貫通し、かつ側壁及び底部を有し、前記第1の層及び前記第2の層は、前記第1のチャネル構造の前記側壁に沿って交互に積み重ねられている、下部基板と、
前記第1のメモリセルスタックの上面上に形成され、かつ前記第1のチャネル構造に結合されている基板間コンタクトと、
前記基板間コンタクト上に形成されている上部基板であって、前記上部基板は、第2のチャネル構造及び第2のメモリセルスタックを含み、前記第2のメモリセルスタックは、複数の第3の層及び複数の第4の層を有し、前記第3の層及び前記第4の層は、前記第2のチャネル構造の側壁に沿って交互に積み重ねられ、前記第2のチャネル構造は、前記第2のメモリセルスタックを貫通し、かつ側壁及び底部を有し、前記第2のチャネル構造は前記基板間コンタクトの凹部内へと垂直方向に延在し、さらに、前記基板間コンタクトと前記第2のメモリセルスタックとの界面において、前記第2のメモリセルスタック内へと横方向に延在しており、前記第2のチャネル構造は、前記基板間コンタクトの上面よりも上側にあるチャネル誘電体領域を有する、上部基板と、を備える、
三次元メモリデバイス。
【請求項2】
前記第2のチャネル構造は、
第2のチャネル層と、
前記第2のチャネル層上に形成され、かつ底面を有する第2のトンネル層と、
前記第2のトンネル層上に形成され、かつ底面を有する第2の電荷蓄積層と、
前記第2の電荷蓄積層上に形成され、かつ底面を有する第2のブロッキング層と、を含み、
前記
第2のチャネル層は、前記基板間コンタクトの上面、前記第2のメモリセルスタックの最下層、並びに前記第2のトンネル層、前記第2の電荷蓄積層、及び前記第2のブロッキング層の底面と直接接触している、請求項1に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項3】
前記基板間コンタクトの前記上面よりも下側にある前記第2のチャネル構造の前記側壁の低部は、前記基板間コンタクトの前記上面よりも上側にある前記第2のチャネル構造の前記側壁の上部よりも少ない数の層を含む、請求項1に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項4】
前記第2のチャネル構造の前記チャネル誘電体領域は、
前記第2のチャネル構造の前記側壁に沿って形成されている第2のブロッキング層であって、前記第2のブロッキング層の下端が、前記基板間コンタクトの前記上面よりも上側にある、第2のブロッキング層と、
前記第2のチャネル構造の前記側壁に沿って、前記第2のブロッキング層上に形成されている第2の電荷蓄積層であって、前記第2の
電荷蓄積層の下端が、前記基板間コンタクトの前記上面よりも上側にある、第2の電荷蓄積層と、
前記第2のチャネル構造の前記側壁に沿って、前記第2の電荷蓄積層上に形成されている第2のトンネル層であって、前記
第2のトンネル層の下端が、前記基板間コンタクトの前記上面よりも上側にある、第2のトンネル層と、をさらに含む、請求項1に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項5】
前記第2のチャネル構造は、
前記第2のチャネル構造の前記側壁に沿って、前記第2のトンネル層上に、かつ前記基板間コンタクト上に形成されている第2のチャネル層と、
前記第2のチャネル構造における前記第2のチャネル層上に形成され、前記基板間コンタクト内へと延在している第2の誘電体層と、
前記第2のチャネル層に結合されている上部チャネルコンタクトであって、前記上部チャネルコンタクトの上面の高さが、前記第2のメモリセルスタックの上面の高さと同じである、上部チャネルコンタクトと、をさらに含む、請求項4に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項6】
前記第1のチャネル構造及び前記第2のチャネル構造の形状は、円形の柱形状である、請求項1に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項7】
前記第1のチャネル構造において、
前記第1のチャネル構造の前記側壁に沿って、前記基板上に形成されている第1のブロッキング層であって、前記第1のブロッキング層は、前記第1のメモリセルスタックと直接接触している、第1のブロッキング層と、
前記第1のブロッキング層に沿って、前記基板上に形成されている第1の電荷蓄積層と、
前記第1の電荷蓄積層に沿って、前記基板上に形成されている第1のトンネル層と、
前記第1のトンネル層に沿って形成されている第1のチャネル層であって、前記第1のチャネル層は前記基板間コンタクトに結合されている、第1のチャネル層と、
前記第1のチャネル層に沿って形成されている第1の誘電体層であって、前記第1の誘電体層は前記第
1のチャネル構造を充填し、かつ前記基板間コンタクトと直接接触している、第1の誘電体層と、をさらに含む、請求項1に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項8】
前記第1の層は絶縁層であり、前記第2の層は導電体層であり、また、前記第1の層は前記基板と直接接触している、請求項1に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項9】
前記第2の層は第1のhigh K層及び第1の金属層を含み、ワード線を形成している、請求項8に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項10】
前記第3の層は絶縁層であり、前記第4の層は導電体層であり、また、前記第3の層は前記基板間コンタクトと直接接触している、請求項1に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項11】
前記第4の層は第2のhigh K層及び第2の金属層を含み、ワード線を形成している、請求項10に記載の
三次元メモリデバイス。
【請求項12】
基板上に下部メモリセルストリングを形成することであって、前記下部メモリセルストリングは、基板上に順次積み重ねられている複数の第1のワード線であって、前記複数の第1のワード線は、複数の第1の絶縁層によって互いから離隔している、第1のワード線、並びに前記複数の第1のワード線及び前記第1の絶縁層を貫通する第1のチャネル構造であって、前記第1のチャネル構造は、前記基板に垂直な方向に沿って形成され、かつ下部チャネルコンタクトを介して前記基板と結合される、第1のチャネル構造を含む、下部メモリセルストリングを形成することと、
前記下部メモリセルストリング上に相互接続構造を形成することであって、前記相互接続構造は、前記第1のチャネル構造に結合されている、相互接続構造を形成することと、
前記相互接続構造上に上部メモリセルストリングを形成することであって、前記上部メモリセルストリングは、前記相互接続構造上に順次積み重ねられている、複数の第2のワード線であって、前記複数の第2のワード線は、複数の第2の絶縁層によって互いから離隔している、複数の第2のワード線、並びに、前記複数の第2のワード線及び前記第2の絶縁層を貫通する第2のチャネル構造であって、前記第2のチャネル構造は、前記基板に垂直な方向に沿って形成され、前記第2のチャネル構造は、側壁及び底部を有し、前記第2のチャネル構造は前記相互接続構造内へと垂直方向に延在し、かつ前記
相互接続構造と最下部の第2の絶縁層との界面において、前記最下部の第2の絶縁層内へと
横方向に延在しており、前記第2のチャネル構造のチャネル誘電体領域が、前記相互接続構造の上面よりも上側にある、第2のチャネル構造を含む、上部メモリセルストリングを形成することと、を含む、
三次元メモリデバイスを作製するための方法。
【請求項13】
前記上部メモリセルストリングを形成することは、
前記相互接続構造上にメモリセルスタックを形成することであって、前記メモリセルスタックは、前記複数の第2の絶縁層及び前記複数の第2のワード
線を含み、前記第2の絶縁層及び前記第2のワード
線は交互に積み重ねられ、前記メモリ
セルスタックの最上層と最下層とが前記第2の絶縁層となる、メモリセルスタックを形成することと、
前記メモリセルスタックを貫通するチャネル開口部を形成することであって、前記チャネル開口部は側壁、底部、上部を有し、前記底部は前記相互接続構造内へと延在して、前記相互接続構造と前記チャネル開口部との間の重畳領域を形成し、また、前記底部は前記上部よりも小さい、チャネル開口部を形成することと、
前記チャネル開口部の前記側壁に沿って、前記相互接続構造上にブロッキング層を形成することであって、前記ブロッキング層は、前記メモリセルスタックの前記上面を覆う、ブロッキング層を形成することと、
前記チャネル開口部の前記ブロッキング層上に電荷蓄積層を形成することと、
前記チャネル開口部の前記電荷蓄積層上にトンネル層を形成することと、
前記チャネル開口部の前記トンネル層上にチャネル層を形成することであって、前記チャネル層は、側壁、底部、及び上部を前記メモリセルスタックの上面上に有する、チャネル層を形成することと、
前記チャネル開口部の前記チャネル層上に保護層を形成することであって、前記保護層は、側壁及び底部を有する、保護層を形成することと、
前記チャネル開口部の前記保護層の前記底部を除去して、前記チャネル層の前記底部を露出させ、続いて前記チャネル層の前記底部に凹部を形成することと、
前記チャネル層の下端が前記相互接続構造の前記上面よりも上側になるように、前記重畳領域における前記チャネル層の前記底部、前記上部、及び前記側壁の一部を除去することと、
前記ブロッキング層、前記電荷蓄積層、及び前記トンネル層の下端が前記相互接続構造の前記上面よりも上側になるように、前記保護層、並びに前記重畳領域における前記ブロッキング層、前記電荷蓄積層、及び前記トンネル層の一部を除去することと、
前記チャネル層を除去して、その後前記チャネル開口部の前記側壁に沿って、前記相互接続構造上に新しいチャネル層を形成することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のチャネル構造の前記チャネル誘電体領域は、前記ブロッキング層と、前記電荷蓄積層と、前記トンネル層と、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のチャネル構造は、前記チャネル誘電体領域及び前記新しいチャネル層を含み、
前記チャネル層を除去して、前記チャネル開口部の前記側壁に沿って、前記相互接続構造上に
前記新しいチャネル層を形成することの後に、前記相互接続構造内へと垂直方向に延在し、前記最下部の第2の絶縁層内へと横方向に延在する前記第2のチャネル構造を形成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記チャネル開口部の前記側壁に沿って、前記相互接続構造上に前記新しいチャネル層を形成することの後、
前記チャネル開口部を誘電体層で充填することであって、前記誘電体層は、前記チャネル開口部の前記新しいチャネル層上に形成される、前記チャネル開口部を誘電体層で充填することと、
前記新しいチャネル層に沿った前記誘電体層の上部に凹部を形成することと、
前記誘電体層の前記凹部の上部をコンタクト層で充填することであって、前記コンタクト層は、前記メモリセルスタックの前記上面を覆う、前記誘電体層の前記凹部の上部をコンタクト層で充填することと、
表面平坦化プロセスを実行して、前記メモリセルスタックの前記上面から、前記コンタクト層の一部を除去することと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
基板上に形成されている下部メモリセルストリングであって、前記下部メモリセルストリングは、基板上に順次積み重ねられている複数の第1のワード線であって、前記複数の第1のワード線は、複数の第1の絶縁層によって互いから離隔している、複数の第1のワード線、並びに前記複数の第1のワード線及び前記第1の絶縁層を貫通する第1のチャネル構造であって、前記第1のチャネル構造は、前記基板に垂直な方向に沿って形成され、かつ下部チャネルコンタクトを介して前記基板と結合される、第1のチャネル構造を含む、下部メモリセルストリングと、
前記下部メモリセルストリング上に形成されている相互接続構造であって、前記相互接続構造は、前記第1のチャネル構造に結合されている、相互接続構造と、
前記相互接続構造上に形成されている上部メモリセルストリングであって、前記上部メモリセルストリングは、前記相互接続構造上に順次積み重ねられている、複数の第2のワード線であって、前記複数の第2のワード線は、複数の第2の絶縁層によって互いから離隔している、複数の第2のワード線、並びに、前記複数の第2のワード線及び前記第2の絶縁層を貫通する第2のチャネル構造であって、前記第2のチャネル構造は、前記基板に垂直な方向に沿って形成され、前記第2のチャネル構造は、側壁及び底部を有し、前記第2のチャネル構造は前記相互接続構造内へと垂直方向に延在し、かつ前記相互接続構造と最下部の第2の絶縁層との界面において、前記最下部の第2の絶縁層内へと
横方向に延在しており、前記第2のチャネル構造のチャネル誘電体領域が、前記相互接続構造の上面よりも上側にある、第2のチャネル構造を含む、上部メモリセルストリングと、を含む、
メモリセルストリング。
【請求項18】
前記相互接続構造の前記上面よりも下側にある前記第2のチャネル構造の前記側壁の低部は、前記相互接続構造の前記上面よりも上側にある前記第2のチャネル構造の前記側壁の上部よりも少ない数の層を含む、請求項17に記載のメモリセルストリング。
【請求項19】
前記第2のチャネル構造の前記チャネル誘電体領域は、
前記第2のチャネル構造の前記側壁に沿って形成されている第2のブロッキング層であって、前記第2のブロッキング層の下端が、前記相互接続構造の前記上面よりも上側にある、第2のブロッキング層と、
前記第2のチャネル構造の前記側壁に沿って、前記第2のブロッキング層上に形成されている第2の電荷蓄積層であって、前記第2の
電荷蓄積層の下端が、前記相互接続構造の前記上面よりも上側にある、第2の電荷蓄積層と、
前記第2のチャネル構造の前記側壁に沿って、前記第2の電荷蓄積層上に形成されている第2のトンネル層であって、前記
第2のトンネル層の下端が、前記相互接続構造の前記上面よりも上側にある、第2のトンネル層と、をさらに含む、請求項17に記載のメモリセルストリング。
【請求項20】
前記第2のチャネル構造は、
前記第2のチャネル構造の前記側壁に沿って、前記第2のトンネル層上に、かつ前記相互接続構造上に形成されている第2のチャネル層と、
前記第2のチャネル構造における前記第2のチャネル層上に形成されている第2の絶縁層であって、前記第2の絶縁層は前記第2のチャネル構造を充填し、かつ前記相互接続構造内へと延在している、第2の絶縁層と、
前記第2のチャネル層に結合されている上部チャネルコンタクトと、をさらに含む、請求項19に記載のメモリセルストリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
集積回路内のデバイスの限界寸法が一般のメモリセル技術の限界にまで縮小するにつれて、設計者は、複数のメモリセル平面を積み重ねて、記憶容量を増大させ、かつビット当たりのコストをさらに削減する手法を模索してきた。
【0002】
本発明の概念は、不揮発性メモリデバイスに関し、より詳細には、チャネル構造が垂直方向に延在している垂直型3D NANDメモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電子製品のサイズは徐々に縮小されている可能性があるが、それでも、これらの製品でより大容量でデータ処理を実行することが求められる場合がある。これに応じて、電子製品に使用される半導体メモリデバイスの集積度を高めることができる。半導体メモリデバイスの集積度を高める1つの方法は、平面トランジスタ構造の代わりに、垂直構造を有する不揮発性メモリデバイスの使用を含み得る。
【0004】
平面トランジスタ構造と比較して、3D NANDメモリデバイスの垂直構造は、より究極的で複雑な作製方法を要するものである。3D NANDメモリデバイスがより多くのメモリセル層を有する構成に移行して、ビット当たりのコストを抑えて高密度を実現するにつれて、同じものを作製するための構造及び方法を改良することがますます困難になっている。
【発明の概要】
【0005】
3D NANDメモリデバイスは、複数のメモリセルストリングを備え得る。メモリセルストリングはそれぞれ、複数の絶縁層によって互いから分離されている複数のメモリセル層を有し得る。これら複数のメモリセル層をそれぞれ、下部選択ゲート、上部選択ゲート、及び複数のワード線とすることができる。メモリセルストリングはそれぞれ、メモリセル層及び絶縁層を垂直方向に貫通するように形成されている個々のチャネル構造をさらに有し得る。これらのメモリセル層と絶縁層とは、チャネル構造の側壁に沿って交互に積み重ねられている。3D NANDメモリデバイスがメモリセル層数を増加させる構成に移行して、ビット当たりのコストを抑えて高密度を実現するにつれて、より多くの作製上の課題に直面している。一例では、従来の乾式エッチングプロセスに基づいて、増加したメモリセル層を貫通してエッチングすることが困難となっている。下部基板と、上部基板と、これら下部基板と上部基板とを結合するように構成されている複数の基板間コンタクトと、を含む新規な3D NAND構造を実装することができる。下部基板は、基板上に形成されている複数の下部メモリセルストリングを含む。これら下部メモリセルストリングのそれぞれは、複数の下部メモリセル層及び下部絶縁層を含む。下部メモリセルストリングはそれぞれ、基板の表面から垂直方向に延出して、下部メモリセル層及び下部絶縁層を貫通する個々の下部チャネル構造をさらに含む。複数の基板間コンタクトが下部基板上に形成されている。複数の基板間コンタクトのそれぞれは、個々の下部チャネル構造に結合されている。上部基板は、基板間コンタクト上に形成されている複数の上部メモリセルストリングを含む。上部メモリセルストリングのそれぞれは、複数の上部メモリセル層及び上部絶縁層を含む。上部メモリセルストリングはそれぞれ、上部メモリセル層及び上部絶縁層を垂直方向に貫通する個々の上部チャネル構造をさらに含む。上部チャネル構造はそれぞれ、個々の基板間コンタクト内へとさらに延在している。その結果、下部メモリセルストリングと、上部メモリセルストリングと、これら下部メモリセルストリングと上部メモリセルストリングとを結合するための基板間コンタクトと、を含む完全なメモリセルストリングが形成される。
【0006】
上部チャネル構造の形状は、側壁及び底部を有する円形の柱形状とすることができる。この上部チャネル構造は、チャネル構造の側壁に沿って、基板間コンタクト上に形成されている上部ブロッキング層を含み得る。この上部ブロッキング層は、上部メモリセル層及び上部絶縁層と直接接触している。上部チャネル構造は、上部ブロッキング層上に形成されている上部電荷蓄積層と、この上部電荷蓄積層上に形成されている上部トンネル層と、この上部トンネル層上に形成されている上部チャネル層と、をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、上部チャネル構造は、基板間コンタクトの一部に凹部を形成することにより、基板間コンタクト内へとさらに延在している。基板間コンタクトの凹部は、側壁及び底部を有し得る。上部チャネル構造は、基板間コンタクトの凹部の側壁及び底部と直接接触している。基板間コンタクトと上部チャネル構造との間の重畳領域が、基板間コンタクトの凹部に形成され得る。この重畳領域はL脚形状であり、また上部ブロッキング層は、基板間コンタクトの凹部の側壁と直接接触している。
【0007】
本3D NANDメモリデバイスの動作中、基板間コンタクトに隣接する最下部の上部メモリセル層に、正の電圧が印加される。容量結合効果に基づいて、印加電圧の一部が、最下部の上部メモリ層と重畳する上部電荷蓄積層の一部に渡される。この印加電圧の一部は、最下部の上部メモリ層と重畳する上部チャネル層の一部において、ホールをはじき、かつ電子を引き込むことができる。この印加電圧の一部が十分に高い場合、最下部の上部メモリ層と重畳する上部チャネル層の一部が反転する可能性があり、ここでは上部チャネル層と上部トンネル層との界面に反転層が形成され得る。この反転層では、本3D NANDメモリデバイスの動作中にホールが枯渇し、抵抗が低下することになる。その一方で、重畳領域の側壁に沿って隣り合う上部ブロッキング層、上部電荷蓄積層、及び上部トンネル層が存在するために、重畳領域における上部チャネル層の一部が反転しない可能性がある。基板間コンタクト、上部ブロッキング層、上部電荷蓄積層、上部トンネル層、及び上部チャネル層が重畳領域の側壁に沿って存在することにより、重畳領域の近傍に別の寄生コンデンサが形成され得る。最下部のメモリセル層における印加電圧では、それに応じて、重畳する界面における上部電荷蓄積層の一部に渡す電圧が低下する。上部電荷蓄積層に結合される電圧量が低下すると、重畳領域における上部チャネル層の一部を反転させることができなくなる可能性がある。
【0008】
本開示では、新規な3D NANDメモリデバイス及びその形成方法を提供する。上部チャネル構造と基板間コンタクトとの間の重畳領域における上部ブロッキング層、上部電荷蓄積層、及び上部トンネル層が除去されて、別の寄生コンデンサの形成が防止される。その結果、より多くの電圧が電荷蓄積層に結合され得、これによって重畳領域で隣り合うチャネル層を反転させて、動作中のチャネル抵抗を低減することができる。
【0009】
本開示の一態様によれば、三次元(3D)メモリデバイスが提供される。本三次元メモリデバイスは、基板と、この基板上に形成されている下部基板と、を有する。この下部基板は、基板の表面から垂直方向に延出している第1のチャネル構造、並びに複数の第1の層及び複数の第2の層を有する第1のメモリセルスタックを含む。第1のチャネル構造は、第1のメモリセルスタックを貫通し、かつ側壁及び底部を有する。第1の層及び第2の層は、第1のチャネル構造の側壁に沿って交互に積み重ねられ、また第1のメモリセルスタックの上面の高さは、好ましくは第1のチャネル構造の上面と同じ高さである。
【0010】
本三次元メモリデバイスは、第1のメモリセルスタックの上面上に形成され、かつ第1のチャネル構造に結合されている基板間コンタクトをさらに備える。本三次元メモリデバイスは、この基板間コンタクト上に形成されている上部基板をさらに備える。この上部基板は、第2のチャネル構造及び第2のメモリセルスタックを含む。第2のチャネル構造は、第2のメモリセルスタックを貫通し、かつ側壁及び底部を有する。第2のチャネル構造は基板間コンタクト内へと垂直方向に延在し、さらに、基板間コンタクトと第2のメモリセルスタックとの界面において、第2のメモリセルスタック内へと横方向に延在している。第2のチャネル構造における第2のチャネル誘電体領域が、基板間コンタクトの上面よりも上側にある。第2のチャネル誘電体領域は、ブロッキング層と、電荷蓄積層と、トンネル層と、を含む。第2のメモリセルスタックは、複数の第3の層及び複数の第4の層を有し、これら第3の層及び第4の層は、第2のチャネル構造の側壁に沿って交互に積み重ねられている。第2のメモリセルスタックの上面の高さは、好ましくは第2のチャネル構造の上面と同じ高さである。
【0011】
本開示の別の態様によれば、三次元メモリデバイスを作製するための方法が提供される。開示している方法では、基板上に下部メモリセルストリングが形成される。この下部メモリセルストリングは、基板上に順次積み重ねられている、複数の第1のワード線を含む。これら複数の第1のワード線は、複数の第1の絶縁層によって互いから離隔している。下部メモリセルストリングは、これら複数の第1のワード線及び第1の絶縁層を貫通する、第1のチャネル構造をさらに有する。第1のチャネル構造は基板に垂直な方向に沿って形成され、かつ下部チャネルコンタクトを介して基板と結合される。続いて、下部メモリセルストリング上に相互接続構造が形成され、また、この相互接続構造は第1のチャネル構造に結合される。この相互接続構造上に、上部メモリセルストリングが形成される。この上部メモリセルストリングは、相互接続構造上に順次積み重ねられている、複数の第2のワード線を含む。これら複数の第2のワード線は、複数の第2の絶縁層によって互いから離隔している。上部メモリセルストリングは、これら複数の第2のワード線及び第2の絶縁層を貫通する、第2のチャネル構造をさらに含む。第2のチャネル構造は、基板に垂直な方向に沿って形成されている。第2のチャネル構造は、側壁及び底部を有する。さらに、第2のチャネル構造は相互接続構造内へと垂直方向に延在し、かつ第2の絶縁層の最下層内へと延在している。第2のチャネル構造におけるチャネル誘電体領域が、相互接続構造の上面よりも上側にある。
【0012】
本開示のさらに別の態様によれば、メモリセルストリングが提供される。本メモリセルストリングは、基板上に形成されている下部メモリセルストリングを含む。この下部メモリセルストリングは、基板上に順次積み重ねられている、複数の第1のワード線を含む。これら複数の第1のワード線は、複数の第1の絶縁層によって互いから離隔している。本メモリセルストリングは、これら複数の第1のワード線及び第1の絶縁層を貫通する、第1のチャネル構造をさらに含む。第1のチャネル構造は基板に垂直な方向に沿って形成され、かつ下部チャネルコンタクトを介して基板と結合される。本メモリセルストリングは、下部メモリセルストリング上に形成されている相互接続構造をさらに含み、また、この相互接続構造は、第1のチャネル構造に結合されている。開示しているメモリセルストリングでは、この相互接続構造上に上部メモリセルストリングが形成されている。この上部メモリセルストリングは、相互接続構造上に順次積み重ねられている、複数の第2のワード線を含む。これら複数の第2のワード線は、複数の第2の絶縁層によって互いから離隔している。本メモリセルストリングは、これら複数の第2のワード線及び第2の絶縁層を貫通する、第2のチャネル構造をさらに含む。第2のチャネル構造は、基板に垂直な方向に沿って形成されている。第2のチャネル構造は、側壁及び底部を有する。第2のチャネル構造は相互接続構造内へと垂直方向に延在し、かつ相互接続構造と第2の絶縁層との界面において、第2の絶縁層内へと横方向に延在している。第2のチャネル構造における第2のチャネル誘電体領域が、相互接続構造の上面よりも上側にある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の態様は、添付の図面と共に読解すると、以下の詳細な説明から最良に理解される。なお、当業界の標準的手法に従って、様々な特徴が縮尺通りに描画されていない。実際には、説明を明確にするために、様々な特徴の寸法が任意に拡大又は縮小されている場合がある。
【
図1】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスの断面図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、関連3D NANDメモリデバイスの断面図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図12】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図13】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図14】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図15】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
【
図16】いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の開示は、与えられた主題の個々の特徴を実施するための、多くの異なる実施形態又は例を提供する。本開示を簡略化するために、構成要素及び配置の特定の例を以下に記載する。当然ながら、これらは単なる例示であり、限定することを意図するものではない。たとえば、以下の説明における第2の特徴の上方又は上への第1の特徴の形成は、第1及び第2の特徴が直接接触して形成される実施形態を含んでいてもよく、また第1及び第2の特徴を直接接触させないように、追加の特徴が第1及び第2の特徴間に形成され得る実施形態をさらに含んでいてもよい。さらに、本開示は、様々な例において参照番号及び/又は参照文字を繰り返すことがある。この繰り返しは単純かつ明瞭に示すことを目的としており、それ自体が、述べている様々な実施形態及び/又は構成間の関係を決定づけるものではない。
【0015】
さらに、「下(beneath)」、「下側(below)」、「下部(lower)」、「上側(above)」、及び「上部(upper)」などの空間的な相対語を、図面に示しているある要素又は特徴と他の要素(複数可)又は特徴(複数可)との関係を表す際、説明を簡単にするために本明細書で用いてもよい。これらの空間的な相対語は、図面に示している向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの種々の向きをも包含することが意図されている。本装置を他の方向に向けてもよく(90度又は他の方位に回転させて)、また本明細書で使用している空間的な相対記述子を、それに応じて同様に解釈してもよい。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイス100の断面図である。メモリデバイス100は、複数のメモリセルストリングを有し得る。たとえば、
図1に示すように、2つのメモリセルストリング100A及び100Bがメモリデバイス100に含まれている。いくつかの実施形態では、メモリセルストリング100Aはメモリセルストリング100Bと同一である。いくつかの実施形態では、メモリセルストリング100Aは、メモリセルストリング100Bと比較して異なる寸法を有し得る。
図1の実施形態では、メモリセルストリング100Aはメモリセルストリング100Bと同一である。メモリセルストリング100Aは、基板102上に形成されている下部メモリセルストリングを有し得る。基板102は、シリコン(Si)基板、ゲルマニウム(Ge)基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、及び/又はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板を含んでいてもよい。基板102は、半導体材料、たとえば、IV族半導体、III-V族化合物半導体、又はII-VI族酸化物半導体を含んでいてもよい。
図1の実施形態では、基板102は、Si、Ge、又はSiGeを含み得るIV族半導体である。基板102は、バルクウェハ又はエピタキシャル層であってもよい。下部メモリセルストリングは、基板102上に順次積み重ねられている、複数の第1のワード線120a~120eを含み得る。一例として5本のワード線を示しているが、本発明はこの数に限定されない。これら複数の第1のワード線120は、複数の第1の絶縁層122a~122fによって互いから離隔している。いくつかの実施形態では、第1の絶縁層122eの厚さを、設計要件に従って、他の第1の絶縁層の厚さよりも厚くすることができる。いくつかの実施形態では、
図1に示す第1のワード線120は、SiNから作られている犠牲層を使用して形成される。これらの犠牲層を除去して、high K層と金属層とに置き換えることができる。たとえば、このhigh K層は酸化アルミニウムから作られ得、また、金属層はタングステン(W)から作られ得る。
【0017】
メモリセルストリング100Aの下部メモリセルストリングは、複数の第1のワード線120及び第1の絶縁層122を貫通する、第1のチャネル構造をさらに含む。この第1のチャネル構造の形状を、側壁及び底部領域を有する、円形の柱形状とすることができる。他の形状とすることもできる。第1のチャネル構造は基板102に垂直な方向に沿って形成され、かつ下部チャネルコンタクト104を介して基板102と結合される。第1のチャネル構造は、第1のチャネル誘電体領域と、チャネル層112と、を含む。第1のチャネル誘電体領域は、第1のブロッキング層110と、第1の電荷蓄積層108と、第1のトンネル層106と、をさらに含む。第1のブロッキング層110は、第1のチャネル構造の側壁に沿って、下部チャネルコンタクト104上に形成されている。第1のブロッキング層110は、第1のワード線120及び第1の絶縁層122と直接接触している。
図1の実施形態では、第1のブロッキング層110はSiOから作られている。第1の電荷蓄積層108は、第1のブロッキング層110に沿って、下部チャネルコンタクト104上に形成されている。
図1の実施形態では、第1の電荷蓄積層108はSiNから作られている。いくつかの実施形態では、第1の電荷蓄積層108は、SiN/SiON/SiNによる多層構成などの多層構成を含み得る。第1のトンネル層106は、第1の電荷蓄積層108に沿って、下部チャネルコンタクト104上に形成されている。
図1の実施形態では、第1のトンネル層106はSiOから作られている。いくつかの実施形態では、第1のトンネル層106は、SiO/SiON/SiOによる多層構成などの多層構成を含み得る。第1のチャネル構造は、第1のトンネル層106に沿って、下部チャネルコンタクト104上に形成されている第1のチャネル層112をさらに含む。
図1の実施形態では、第1のチャネル層112は、炉での低圧化学蒸着(low pressure chemical vapor deposition:CVD)プロセスによって、ポリシリコンから作られている。第1のチャネル層112上に、第1のチャネル構造を充填するように第1の誘電体層114が形成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、最下部のワード線120eは、下部選択ゲート(bottom select gate:BSG)である。下部チャネルコンタクト104は、最下部のワード線120eと直接接触している。下部チャネルコンタクト104は、基板102内へとさらに延在している。いくつかの実施形態では、下部チャネルコンタクト104は、選択的エピタキシャル成長技術によって、ポリシリコンから作られている。いくつかの実施形態では、下部チャネルコンタクト104の上面は、最下部のワード線120eの上面よりも上側にあり、かつワード線120dの底面よりも下側にある。たとえば、下部チャネルコンタクト104の上面の高さを、ワード線120eの上面とワード線120dの底面との間のほぼ中間の位置と同じ高さにすることができる。
【0019】
メモリセルストリング100Aは、下部メモリセルストリング上に形成されている基板間コンタクト118をさらに有し、この基板間コンタクト118は、第1のチャネル層112を介して第1のチャネル構造と電気的に結合されている。
図1の実施形態では、基板間コンタクト118はポリシリコンから作られている。メモリセルストリング100Aの上部メモリセルストリング(又は上部基板)は、基板間コンタクト118及びSiOから作られている誘電体間層116上に形成される。上部メモリセルストリングは、基板間コンタクト118及び誘電体間層116上に順次積み重ねられた、金属層から作られている複数の第2のワード線126a~126bを含む。これら複数の第2のワード線126は、複数の第2の絶縁層124a~124cによって互いから離隔している。第2のワード線126の数を、設計要件に基づいて、第1のワード線120の数に等しくするか、これよりも少なくするか、又はこれよりも多くすることができる。いくつかの実施形態では、
図1に示すワード線126は、SiNから作られている犠牲層を使用して形成され得る。これらの犠牲層126を除去して、high K層と金属層とに置き換えることができる。たとえば、このhigh K層は酸化アルミニウムから作られ得、また、金属層はWから作られ得る。
【0020】
メモリセルストリング100Aの上部メモリセルストリングは、複数の第2のワード線126、及びSiOから作られている第2の絶縁層124を貫通する、第2のチャネル構造を含む。第2のチャネル構造は、基板に垂直な方向に沿って形成されている。この第2のチャネル構造の形状は、側壁及び底部を有する円形の柱形状である。他の形状とすることもできる。第2のチャネル構造は基板間コンタクト内へと垂直方向に延在し、さらに、基板間コンタクトと第2の絶縁層124との界面において、第2の絶縁層124内へと横方向に延在している。第2のチャネル構造における第2のチャネル誘電体領域が、基板間コンタクト118の上面よりも上側にある。第2のチャネル構造における第2のチャネル誘電体領域は、第2のチャネル構造の側壁に沿って形成されている第2のブロッキング層130を含む。第2のブロッキング層130の下端が、基板間コンタクト118の上面よりも上側にある。
図1の実施形態では、第2のブロッキング層130はSiOから作られている。第2のチャネル誘電体領域は、第2のチャネル構造の側壁に沿って、第2のブロッキング層130上に形成されている第2の電荷蓄積層132をさらに含む。第2の電荷蓄積層132の下端が、基板間コンタクト118の上面よりも上側にある。
図1の実施形態では、第2の電荷蓄積層132はSiNから作られている。いくつかの実施形態では、第2の電荷蓄積層132は、SiN/SiON/SiNによる多層構成などの多層構成を含み得る。第2のチャネル誘電体領域では、第2のチャネル構造の側壁に沿って、第2の電荷蓄積層132上に第2のトンネル層134が形成され、また、トンネル層134の下端が基板間コンタクト118の上面よりも上側にある。
図1の実施形態では、第2のトンネル層134はSiOから作られている。いくつかの実施形態では、第2のトンネル層134は、SiO/SiON/SiOによる多層構成などの多層構成を含み得る。
【0021】
第2のチャネル構造は、第2のチャネル構造の側壁に沿って、第2のトンネル層134上に、かつ基板間コンタクト118上に形成されている第2のチャネル層136をさらに含む。
図1の実施形態では、第2のチャネル層136は、炉での低圧化学蒸着(CVD)プロセスによって、ポリシリコンから作られている。第2のチャネル構造は、第2のチャネル層136上に、第2のチャネル構造を充填するように形成されている第2の誘電体層146をさらに含む。第2の誘電体層146は基板間コンタクト118内へと延在し、SiO、SiN、SiON、SiOCN、又は他の適切な材料を含み得る。第2の誘電体層146上に上部チャネルコンタクト128が形成され、かつ第2のチャネル層136に結合される。上部チャネルコンタクト128の上面の高さは、好ましくは第2のチャネル層136の上面の高さと同じである。
図1の実施形態では、上部チャネルコンタクト128はポリシリコンから作られている。
【0022】
いくつかの実施形態では、設計要件に基づいて、第1のワード線120eを下部選択ゲートとすることができ、また第2のワード線126aを上部選択ゲートとすることができる。
【0023】
図2は、いくつかの実施形態による、関連3D NANDメモリデバイス200の断面図である。関連3D NANDメモリデバイス200の動作中、基板間コンタクト218に隣接する最下部のワード線(又は最下部の上部メモリセル層)226bに、正の電圧が印加される。容量結合効果に基づいて、印加電圧の一部が、最下部のワード線226bと重畳する第2の電荷蓄積層232aの一部に渡される。この印加電圧の一部は、最下部のワード線226bと重畳する第2のチャネル層236aの一部において、ホールをはじき、かつ電子を引き込むことができる。この印加電圧の一部が十分に高い場合、最下部のワード線226bと重畳する第2のチャネル層236aの一部が反転する可能性があり、ここでは第2のチャネル層236aと第2のトンネル層234aとの界面に反転層が形成され得る。この反転層では、本3D NANDメモリデバイスの動作中にホールが枯渇し、抵抗が低下することになる。最下部のワード線226bと、最下部のワード線226bと重畳する第2のブロッキング層230aの一部と、第2の電荷蓄積層232aの一部とが第1のコンデンサを形成できる場所に、2つの寄生コンデンサが形成され得る。第1のコンデンサは、第2の電荷蓄積層232aの一部、第2のトンネル層234aの一部、及び第2のチャネル層236aの一部をベースに形成されている第2のコンデンサと直列結合され得る。
【0024】
その一方で、最下部のワード線226b、最下部の絶縁層224c、及び基板間コンタクト218に基づいて形成されている第3の寄生コンデンサが存在するために、第2のチャネル構造と基板間コンタクト218との間の重畳領域における第2のチャネル層236bの一部が反転しない可能性がある。第3のコンデンサは、基板間コンタクト218、重畳領域における第2のブロッキング層230bの一部、重畳領域における第2の電荷蓄積層232bの一部をベースに形成されている第1のコンデンサ、並びに重畳領域における第2の電荷蓄積層232bの一部、重畳領域における第2のトンネル層234bの一部、及び重畳領域における第2のチャネル層236bの一部をベースに形成されている第2のコンデンサと直列結合されている。最下部のワード線226bにおける印加電圧では、それに応じて、重畳領域における第2の電荷蓄積層232bの一部に渡す電圧が低下する。第2の電荷蓄積層232bに渡される電圧量が低下すると、重畳領域における第2のチャネル層236bの一部を反転させることができなくなる可能性がある。
【0025】
図1に示す、開示中の3D NANDメモリデバイス100において、第2のチャネル構造と基板間コンタクトとによる重畳領域における第2のブロッキング層130、第2の電荷蓄積層132、及び第2のトンネル層134の一部が除去され、重畳領域におけるチャネル層136の一部が反転して反転層が形成され得、この反転層により、動作中のチャネル抵抗が低減することになる。
【0026】
図3~
図15は、いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製する際の、様々な中間ステップを示す断面図である。
図3に示すように、フォトリソグラフィ、化学蒸着(chemical vapor deposition:CVD)、物理蒸着(physical vapor deposition:PVD)、乾式エッチング、湿式エッチング、湿式洗浄、拡散、原子層蒸着(atomic layer deposition:ALD)、化学機械平坦化(chemical mechanical planarization:CMP)、イオン注入、メトロロジー、又は他の適切な技法などの様々な半導体処理技術によって、半導体構造300が作製される。半導体構造300は基板102を有する。基板102は、シリコン(Si)基板、ゲルマニウム(Ge)基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、及び/又はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板を含んでいてもよい。基板102は、半導体材料、たとえば、IV族半導体、III-V族化合物半導体、又はII-VI族酸化物半導体を含んでいてもよい。基板102は、バルクウェハ又はエピタキシャル層であってもよい。
図3の実施形態では、基板102は、Si、Ge、又はSiGeを含み得るIV族半導体である。
【0027】
半導体構造300は、複数の下部メモリセルストリングを含む。たとえば、
図3に示すように、2つの下部メモリセルストリング300A及び300Bが半導体構造300に含まれている。いくつかの実施形態では、下部メモリセルストリング300Aは下部メモリセルストリング300Bと同一である。いくつかの実施形態では、下部メモリセルストリング300Aは、下部メモリセルストリング300Bと比較して異なる寸法を有し得る。
図3の実施形態では、下部メモリセルストリング300Aは下部メモリセルストリング300Bと同一である。下部メモリセルストリング300Aは、基板102上に順次積み重ねられている、複数の第1のワード線120a~120eを含む。これら複数の第1のワード線120は、複数の第1の絶縁層122a~122fによって互いから離隔している。いくつかの実施形態では、
図3に示すワード線120を、SiNから作られている犠牲層とすることができる。これらの犠牲層を除去して、high K層と金属層とに置き換えることができる。たとえば、このhigh K層は酸化アルミニウムから作られ得、また、金属層はWから作られ得る。
【0028】
下部メモリセルストリング300Aは、
図1を参照して上述した下部メモリセルストリングと実質的に同様である。たとえば、下部メモリセルストリング300Aの第1のチャネル構造は、複数の第1のワード線120及び複数の第1の絶縁層122を貫通している。第1のチャネル構造は、下部チャネルコンタクト104を介して基板102と電気的に結合されている。第1のチャネル構造は、第1のチャネル層112と、第1のトンネル層106と、第1の電荷蓄積層108と、第1のブロッキング層110と、第1の誘電体層114と、を有し得る。半導体構造300は、複数の基板間コンタクトをさらに有する。これら複数の基板間コンタクトのそれぞれは、個々の下部メモリセルストリング上に形成され、かつ個々の下部メモリセルストリングにおける第1のチャネル構造と電気的に結合される。
図3に示すように、下部メモリセルストリング300A上に基板間コンタクト118が形成され、第1のチャネル層112を介して下部メモリセルストリング300Aと電気的に結合される。
図3の実施形態では、基板間コンタクト118は低圧CVDプロセスによって、ポリシリコンから作られている。この基板間コンタクト118は、下部メモリセルストリング300A上に誘電体間層116を導入することにより、形成され得る。基板間コンタクト開口部(図示せず)が、誘電体間層116にパターン化され得る。この基板間コンタクト開口部は、側壁及び底部を有し、ここで、第1のチャネル構造を露出させることができる。低圧CVDプロセスによって、基板間コンタクト開口部の側壁に沿って、第1のチャネル構造上にポリシリコン層が蒸着されている。このポリシリコン層は、誘電体間層116の上面を覆っている。化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)などの後続の表面平坦化プロセスを実行して、誘電体間層116の上面から過剰なポリシリコン層を除去している。
【0029】
図4では、基板間コンタクト118及び誘電体間層116上に、複数の第2のワード線126a~126bと、複数の第2の絶縁層124a~124cとが形成され得る。最下部の第2の絶縁層124cが、基板間コンタクト118及び誘電体間層116と直接接触している場合に、これら複数の第2のワード線126a~126bは、基板間コンタクト118上に順次積み重ねられ、かつ複数の第2の絶縁層124a~124cによって互いから離隔している。第2のワード線126の数を、設計要件に基づいて、第1のワード線120の数に等しくするか、これよりも少なくするか、又はこれよりも多くすることができる。いくつかの実施形態では、
図4に示すワード線126は、SiNから作られている犠牲層を使用して形成される。これらの犠牲層126を除去して、high K層と金属層とに置き換えることができる。たとえば、このhigh K層は酸化アルミニウムから作られ得、また、金属層はWから作られ得る。第2のワード線126は、ポリシリコン、WSix、SiC、SiON、SiOC、SiCN、SiCOCN、AlON、又は他の適切な材料をさらに含み得る。第2のワード線126の厚さを、20 nm~50 nmの範囲内とすることができる。化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、又はそれらの任意の組み合わせなどの任意の適切な蒸着プロセスを適用して、ワード線126を形成することができる。第2の絶縁層124は、厚さが20 nm~40 nmのSiO、AlO、ZrO、又は他の適切な材料を含み得る。第2の絶縁層124は、蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、若しくはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を実行することによって形成され得る。
【0030】
図5では、複数のチャネル開口部が形成され得る。たとえば、2つのチャネル開口部138及び140が
図5に含まれている。これらのチャネル開口部は、第2のワード線126及び第2の絶縁層124を貫通し、かつ基板間コンタクトの一部に凹部を形成することにより、基板間コンタクト116及び118内へと延在している。いくつかの実施形態では、基板間コンタクトの凹部の深さを、tとすることができる。この深さtを、技術要件に基づいて20 nm~60 nmの範囲内とすることができる。チャネル開口部の上部限界寸法(critical dimension:CD)を、60 nm~100 nmの範囲内とすることができ、また底部限界寸法(CD)を50 nm~70 nmの範囲内とすることができる。
図5に示すように、これらのチャネル開口部は、底部CDが上部CDよりも小さいテーパプロファイルを有し得る。テーパプロファイルにより、後続の蒸着ステップが促進されて、側壁被覆性が向上し得る。このテーパプロファイルは、プラズマ・エッチング・プロセス中に、マスクプロファイルをテーピングするか、又はエッチングレシピを調整する(たとえば、側壁蒸着を導入する)ことによって取得され得る。これらのチャネル開口部を形成するために、パターン化マスクスタックが最上部の絶縁層124a上に形成され得る。このマスクスタックは、1つ又は複数のハードマスク層及びフォトレジスト層を含み得る。このマスクスタックは、リソグラフィプロセスなど(たとえば、フォトリソグラフィ又は電子ビームリソグラフィ)の任意の適切な技法に従ってパターン化され得るが、このリソグラフィプロセスは、フォトレジストコーティング(たとえば、スピンオンコーティング)、ソフトベーキング、マスク位置合わせ、露光、露光後ベーキング、フォトレジスト現像、洗浄、及び乾燥(たとえば、スピン乾燥及び/又はハードベーキング)などをさらに含み得る。パターン化マスクスタックが形成されると、湿式エッチング又は乾式エッチングなどのエッチングプロセスが適用され得る。このエッチングプロセスにより、マスクスタックのパターンが第2のワード線126及び第2の絶縁層124に転写され得る。このエッチングプロセスにより、第2のワード線126及び第2の絶縁層124を貫通エッチングしている。このエッチングプロセスは、基板間コンタクトの一部に凹部を形成して、チャネル開口部138及び140を形成することにより、基板間コンタクト内へとさらに及ぶ。後続のプラズマ灰化と湿式洗浄とを適用して、残りのマスクスタックを除去することができる。開口部138及び140の形状を、側壁及び底部を有し、基板間コンタクトを露出させる円形の柱形状とすることができる。しかしながら、本開示はそれに限定されるものではなく、これらのチャネル開口部は、正方形の柱形状、楕円形の柱形状、又は他の適切な形状で形成されてもよい。
【0031】
開示全体を明確かつ簡潔にするために、これ以降の説明をチャネル開口部138に基づいて行う。この説明は、チャネル開口部140にも適用可能である。
【0032】
図6では、第2のチャネル誘電体領域が形成されている。この第2のチャネル誘電体領域は、第2のブロッキング層130と、第2の電荷蓄積層132と、第2のトンネル層134と、を含む。第2のブロッキング層130は、チャネル開口部138の側壁に沿って、基板間コンタクト118上に形成されている。第2のブロッキング層130は、最上部の第2の絶縁層124aの上面をさらに覆っている。第2のブロッキング層130は、厚さが1 nm~10 nmのSiOから作られ得る。第2のブロッキング層130は、蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、若しくはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を実行することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、第2のブロッキング層130は、厚さが1 nm~10 nmのあらかじめ形成されているSiN層を、インサイチュ蒸気生成(in situ steam generation:ISSG)プロセスによって酸化させることにより、作られ得る。第2の絶縁層130上に、第2の電荷蓄積層132が形成されている。第2の電荷蓄積層132は、SiNから作られ得る。いくつかの実施形態では、第2の電荷蓄積層132は、単層構成又は多層構成を有し得る。第2の電荷蓄積層132の厚さを、技術要件に基づいて3 nm~10 nmの範囲内とすることができる。化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、又はそれらの任意の組み合わせなどの任意の適切な蒸着プロセスを適用して、第2の電荷蓄積層132を形成することができる。続いて、チャネル開口部138内の第2の電荷蓄積層132上に、第2のトンネル層134が形成される。この第2のトンネル層134は、SiOから作られ得る。第2のトンネル層134はまた、単層構成、又はSiO/SiON/SiOによる多層構成などの多層構成を有し得る。第2のトンネル層134の厚さを、設計要件に基づいて1 nm~5 nmとすることができる。第2のトンネル層134は、蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、若しくはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を実行することによって形成され得る。
図6の実施形態では、第2のブロッキング層130、第2の電荷蓄積層132、及び第2のトンネル層134の合計厚さを、設計要件に従って15 nm~25 nmの範囲内とすることができる。
【0033】
第2のトンネル層134上に、チャネル層142がさらに形成されている。このチャネル層142は、炉での低圧CVDプロセスによって、5 nm~15 nmのポリシリコンから作られ得る。チャネル層142は、関連する例と比較して、後続のエッチングプロセスが促進されるように、より厚く形成されている。物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、又はそれらの任意の組み合わせなどの他の適切な蒸着プロセスを適用して、チャネル層142を形成することができる。チャネル層142の形状を、チャネル開口部138に側壁及び底部を有する、環状形状とすることができる。チャネル層142は、最上部の絶縁層124aの上面を覆っている上部をさらに有し得る。チャネル層142上に、保護層144が形成され得る。保護層144は、厚さが3 nm~10 nmのSiOから作られ得る。この保護層144は、関連する例と比較して、後続のエッチングプロセスが促進されるように、より厚く形成されている。化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、又はそれらの任意の組み合わせなどの任意の適切な蒸着プロセスを適用して、保護層144を形成することができる。保護層144の形状を、チャネル開口部138に側壁及び底部を有する、環状形状とすることができる。保護層144は、最上部の絶縁層124aの上面を覆っている上部をさらに有し得る。
【0034】
図7では、プラズマ穿孔(又はプラズマエッチング)が導入され得、ここでは、チャネル開口部138内の保護層144の底部が除去されて、チャネル層142の底部が露出する。このプラズマ穿孔により、チャネル層142の底部に凹部が形成される。プラズマ穿孔が完了すると、保護層144の上部が除去され得、かつチャネル層142の上部が縮小し得る。上述したように、より厚みのあるチャネル層142が本開示で導入されている。より厚みのあるチャネル層142では、プラズマ穿孔によってチャネル層142が貫通して、チャネル開口部138の底部にある第2のトンネル層の下に損傷が及ぶのを防止している。さらに、チャネル層142の上部は、上部ハードマスク層の消耗を低減するための、追加のマスク層として機能することができる。上述したより厚みのある保護層144では、プラズマ穿孔中に、プラズマがチャネル層142及び第2のトンネル層134の側壁を浸食するのを防止している。
【0035】
図8では、湿式エッチングプロセスを導入して、チャネル層142の上部及び底部を除去することができる。たとえば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethyl ammonium hydroxide:TMAH)の湿式溶液を適用して、チャネル層142の上部及び底部を除去することができる。保護層144により、湿式溶液がチャネル層142と反応するのが防止されるので、湿式エッチングの間、チャネル層142の側壁は引き続き残存することになる。上述したように、保護層144の厚さは、チャネル層142と湿式溶液との隔離を改良するために増大される。水酸化アンモニウムなどの他の適切な化学物質を適用して、チャネル層142を除去することもできる。チャネル層142の下端142aが基板間コンタクト118の上面118aよりも上側にある所望のプロファイルを得るために、湿式エッチングプロセスが正確に制御され得る。
【0036】
図9では、プラズマ・エッチング・プロセスが導入され得る。このプラズマ・エッチング・プロセスを、誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma:ICP)エッチングプロセス、反応性イオン・エッチング・プロセス、又は他の適切なプラズマ・エッチング・プロセスとすることができる。プラズマ・エッチング・プロセスでは、CF
4、NF
3、CHF
3などのフッ素系のエッチングガス、又は他の適切なエッチングガスを適用することができる。プラズマエッチングでは、チャネル層142への浸食をごくわずかなものにしながら、第2のブロッキング層130、第2の電荷蓄積層132、及び第2のトンネル層134の一部を選択的に除去することができる。プラズマエッチング中に、保護層144が完全に除去され得る。最上部の第2の絶縁層124a上にある第2のブロッキング層130、第2の電荷蓄積層132、及び第2のトンネル層134の上部が完全に除去され得る。さらに、プラズマ・エッチング・プロセスにより、第2のブロッキング層130、第2の電荷蓄積層132、及び第2のトンネル層134の底部が除去される。このプラズマ・エッチング・プロセスでは、チャネル開口部と基板間コンタクトとによる重畳領域における第2のブロッキング層、第2の電荷蓄積層、及び第2のトンネル層の側壁の一部をさらに除去している。このプラズマ・エッチング・プロセスの適用は、基板間コンタクト118と第2の絶縁層124cとの界面において、第2の絶縁層124c内へとさらに延在し得る。プラズマ・エッチング・プロセスが完了すると、第2のブロッキング層130、第2の電荷蓄積層132、及び第2のトンネル層134の下端が基板間コンタクトの上面118aよりも上側になる。さらに、層130、132、134及び124aの上面が同一平面上にあり得、またチャネル層142の上面が、プラズマ・エッチング・プロセス後の層130、132、134及び124aの上面よりも上側にある。
【0037】
図10では、湿式エッチングプロセスによって残りのチャネル層142が除去される。たとえば、水酸化アンモニウムの湿式溶液を導入して、隣接する層への浸食をごくわずかなものにしながら、チャネル層142を選択的に除去することができる。
【0038】
図11では、第2のチャネル層136が形成されている。第2のチャネル層136は、炉での低圧CVDプロセスによって、ポリシリコンから作られ得る。化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、又はそれらの任意の組み合わせなどの他の適切な蒸着プロセスを適用して、第2のチャネル層136を形成できることは言うまでもない。第2のチャネル層136の厚さを、2 nm~8 nmとすることができる。第2のチャネル層136は、チャネル開口部138の側壁に沿って、第2のトンネル層134上に形成され得る。第2のチャネル層136は、最上部の第2の絶縁層124aの上面及び基板間コンタクト118をさらに覆っている。第2のチャネル層136を形成すると、基板間コンタクト118の凹部は第2のチャネル層136で覆われ得、また、最下部の絶縁層124c内へと延在しているチャネル開口部138の側壁の一部も同様に、第2のチャネル層136で覆われ得る。
【0039】
図12では、第2のチャネル層136上に第2の誘電体層146が形成され得る。この第2の誘電体層146は、最上部の第2の絶縁層124aの上面をさらに覆っている。第2の誘電体層146はチャネル開口部138を充填し、かつ基板間コンタクト118内へと延在し得る。第2の誘電体層146は、SiO、SiN、SiON、SiOCN、又は他の適切な材料を含み得る。第2の誘電体層146は、蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、若しくはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を実行することによって形成され得る。後続の表面平坦化プロセスを実行して、最上部の第2の絶縁層124aの上面から、任意の過剰な第2のチャネル層136及び任意の過剰な第2の誘電体層146を除去することができる。
図12に最終プロファイルを示すことができ、ここで、第2の誘電体層146、第2のチャネル層136、第2のトンネル層134、第2の電荷蓄積層132、第2のブロッキング層130、及び最上部の第2の絶縁層124aの上面が同一平面上にある。
【0040】
図13では、フォトリソグラフィパターン化プロセス及び後続のエッチングプロセスによって、第2の誘電体層146の上部に凹部が形成され得る。続いて、第2の誘電体層146の当該凹部を充填するようにチャネルコンタクト層148が形成される。このチャネルコンタクト層148は、最上部の第2の絶縁層124aの上面をさらに覆うことができる。チャネルコンタクト層148は、ポリシリコン、W、TiN、Ti、又は他の適切な材料を含み得る。チャネルコンタクト層148は、蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、拡散、若しくはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を実行することによって形成され得る。このコンタクト層148の厚さを、設計要件に基づいて20 nm~100 nmとすることができる。
【0041】
図14では、表面平坦化プロセス(たとえば、CMP)を適用して、最上部の第2の絶縁層124aの上面から、任意の過剰なチャネルコンタクト層148を除去することができる。この表面平坦化プロセスが完了すると、第2の誘電体層146の凹部に残存しているチャネルコンタクト層148から、厚さが20 nm~100 nmの上部チャネルコンタクト128が形成される。この上部チャネルコンタクト128は、その後、ビット線に電気的に結合され得る。
図14に示すように、完全な上部メモリセルストリングが形成され、これは
図1に示すメモリセルストリング100Aの上部メモリセルストリングと同一である。この上部メモリセルストリングは、基板間コンタクト118上に形成されている。上部メモリセルストリングは、複数の第2のワード線126及び複数の第2の絶縁層124を有し得る。第2のワード線126及び第2の絶縁124内に、第2のチャネル構造が形成されている。この第2のチャネル構造は基板間コンタクト内へと垂直方向に延在し、さらに第2の絶縁層内へと横方向に延在している。第2のチャネル構造における第2のチャネル誘電体領域は、基板間コンタクト118の上面よりも上側にある。
【0042】
図15は、本開示のいくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイス100の上面図である。
図15に示すように、本3D NANDメモリデバイスは、複数の第2のチャネル構造を有し得る。これら複数の第2のチャネル構造はそれぞれ、個々の基板間コンタクト上に形成され得る。第2のチャネル構造の形状を円形の柱形状とすることができ、また、基板間コンタクトの形状を立方体形状とすることができる。ただし、本開示はそれに限定されるものではなく、このチャネル構造は、正方形の柱形状、楕円形の柱形状、又は他の適切な形状を有してもよい。基板間コンタクトは直方体形状、円筒形形状、又は他の適切な形状を有してもよい。複数の第2のチャネル構造はそれぞれ、個々の第2のチャネル構造の側壁に沿って形成されている第2のブロッキング層(たとえば、層130)と、この第2のブロッキング層に沿って形成されている第2の電荷蓄積層(たとえば、132)と、この第2の電荷蓄積層に沿って形成されている第2のトンネル層(たとえば、134)と、この第2のトンネル層に沿って形成されている第2のチャネル層(たとえば、136)と、第2のトンネル層と直接接触している上部チャネルコンタクト(たとえば、128)と、を有し得る。
図15に開示している3D NANDメモリデバイスでは、第2のチャネル層(たとえば、136)、第2のトンネル層(たとえば、134)、第2の電荷蓄積層(たとえば、132)、第2のブロッキング層(たとえば、130)、上部チャネルコンタクト(たとえば、128)、及び最上部の第2の絶縁層(たとえば、124a)の上面が同一平面上にある。
【0043】
図16は、いくつかの実施形態による、3D NANDメモリデバイスを作製するための方法400のフローチャートである。方法400はステップ404から開始され、ここで、下部メモリセルストリングが基板上に形成される。この下部メモリセルストリングは、複数の第1のワード線及び複数の第1の絶縁層を含む、第1のメモリセルスタックを有し得る。これら第1のワード線及び第1の絶縁層を第1のチャネル構造が貫通し、かつ基板の表面から垂直方向に延出する。第1のワード線層及び第1の絶縁層は、第1のチャネル構造の側壁に沿って交互に積み重ねられる。次に、方法400はステップ406に進み、ここで、基板間コンタクトが下部メモリセルストリングの上面上に形成され、また、この基板間コンタクトは第1のチャネル構造に結合される。本半導体構造は、
図3を参照して上述した半導体構造300と実質的に同様であってもよい。
【0044】
次に、方法400はステップ408に進み、ここで、第2のメモリセルスタックが基板間コンタクト上に積み重なる。この第2のメモリセルスタックは、複数の第2の絶縁層及び複数の第2のワード線を含む。これら第2の絶縁層及び第2のワード線は交互に積み重ねられ、第2のメモリスタックの最上層と最下層とが第2の絶縁層となる。いくつかの実施形態では、ステップ408は、
図4を参照して例示しているように実行され得る。
【0045】
方法400はステップ410に進み、ここで、チャネル開口部が第2のメモリスタック内に形成される。このチャネル開口部は、第2のメモリセルスタックを貫通する。このチャネル開口部は側壁及び底部を有し、ここで基板間コンタクトを露出させ、かつ基板間コンタクトの一部に凹部を形成することにより、基板間コンタクト内へと延在する。いくつかの実施形態では、ステップ410は、
図5を参照して例示しているように実行され得る。
【0046】
方法400のステップ412では、第2のチャネル構造がチャネル開口部内に形成される。まず、チャネル開口部の側壁に沿って、基板間コンタクト上にブロッキング層が形成され、このブロッキング層は、第2のメモリセルスタックの上面を覆う。このチャネル開口部のブロッキング層上に電荷蓄積層が形成され、また、このチャネル開口部の電荷蓄積層上に、トンネル層が形成される。続いて、チャネル開口部のトンネル層上にチャネル層が形成され、このチャネル層は、側壁及び底部を有する。チャネル開口部のチャネル層上に保護層が形成され、この保護層は、側壁及び底部を有する。いくつかの実施形態では、ステップ412は、
図6を参照して例示しているように実行され得る。
【0047】
次に、方法400はステップ414に進む。ステップ414では、まずチャネル開口部の保護層の底部が除去されて、チャネル層の底部が露出し、続いてチャネル層の底部に凹部が形成される。底部、及びこの底部に隣接するチャネル層の側壁の一部が、チャネル開口部内で除去される。除去が完了すると、チャネル層の下端が基板間コンタクトの上面よりも上側になる。保護層と、チャネル開口部と基板間コンタクトとによる重畳領域におけるブロッキング層、電荷蓄積層、並びにトンネル層の底部及び側壁の一部とが、さらに除去される。除去が完了すると、ブロッキング層、電荷蓄積層、及びトンネル層の下端が基板間コンタクトの上面よりも上側になる。いくつかの実施形態では、ステップ414は、
図7~
図9を参照して例示しているように実行され得る。
【0048】
次に、方法400はステップ416に進み、ここで、チャネル層が完全に除去され、その後新しいチャネル層が形成される。この新しいチャネル層は、チャネル開口部の側壁に沿って、基板間コンタクト上に形成される。いくつかの実施形態では、ステップ416は、
図10~
図11を参照して例示しているように実行され得る。
【0049】
方法400はステップ418に進み、ここで、誘電体層が形成され、第2のチャネル構造内に上部チャネルコンタクトが形成される。ステップ418では、新しいチャネル層上に、チャネル開口部を充填するようにまずこの誘電体層が形成される。続いて、新しいチャネル層に沿った誘電体層の上部に凹部が形成される。この誘電体層の凹部の上部はチャネルコンタクト層で充填され、このチャネルコンタクト層は第2のメモリセルスタックの上面を覆う。次に、表面平坦化プロセスを実行して、第2のメモリセルスタックの上面から、任意の過剰なチャネルコンタクト層を除去して、上部チャネルコンタクトが形成される。この上部チャネルコンタクトは新しいチャネル層と直接接触しており、また、上部チャネルコンタクトの上面と、第2のメモリセルスタックの上面とは同一平面上にある。いくつかの実施形態では、ステップ418は、
図12~
図14を参照して例示しているように実行され得る。
【0050】
なお、方法400の前、最中、及び後に追加のステップを設けることができ、記載しているステップのいくつかは、方法400の別の実施形態のために異なる順序で置き換えられ、削除され、又は実行され得る。後続の方法ステップでは、様々な追加の相互接続構造(たとえば、導電線及び/又はヴィアを有するメタライゼーション層)が、半導体デバイス100上に形成されてもよい。そのような相互接続構造により、半導体デバイス100が他のコンタクト構造及び/又はアクティブデバイスに電気的に結合されて、機能回路を形成する。パッシベーション層、及び入出力構造などの追加のデバイス特徴がさらに形成されてもよい。
【0051】
本明細書に記載の様々な実施形態は、関連する例に勝るいくつかの利点を提供する。たとえば、関連する例では、チャネル構造と基板間コンタクトとの間の重畳領域に別の寄生コンデンサが形成される。別の寄生コンデンサが存在するために、重畳領域における電荷蓄積層の一部に結合される電圧が低下する。電荷蓄積層に結合される電圧量が低下すると、重畳領域におけるチャネル層の一部を反転させて、反転層を形成することができなくなる可能性がある。チャネル層内に反転層を形成できなくなる結果、チャネル抵抗が高くなる。本開示では、新規な3D NANDメモリデバイス及びその形成方法を提供する。開示している3D NANDメモリデバイスでは、チャネル構造と基板間コンタクトとの間の重畳領域におけるブロッキング層、電荷蓄積層、及びトンネル層が除去されて、別の寄生コンデンサの形成が防止される。その結果、より多くの電圧が電荷蓄積層に結合され得、これによって重畳領域で隣り合うチャネル層を反転させて、動作中のチャネル抵抗を低減することができる。
【0052】
上記の記載では、当業者が本開示の態様をより良好に理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。本明細書で紹介している実施形態の同じ目的を遂行するため、かつ/又は同じ利点を達成するために、他の方法及び構造を設計又は修正するための基礎として、本開示を容易に使用できることを、当業者は理解すべきである。そのような同等の構造が本開示の趣旨及び範囲から逸脱することはないこと、及び本明細書において様々な変更、置換、及び代替が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であることを、当業者はさらに認識すべきである。