(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】搬送ユニット及び搬送トレイの位置決め方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20221216BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20221216BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20221216BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 U
H01L21/68 G
B65G49/07 L
(21)【出願番号】P 2018229434
(22)【出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大河原 聡
(72)【発明者】
【氏名】大和 愛実
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163001(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115472(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/121635(WO,A1)
【文献】特開平11-168136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0082867(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/673
H01L 21/68
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物が収容された搬送トレイと、
該搬送トレイを加工装置に搬送する搬送アームと、を備える搬送ユニットであって、
該搬送トレイは、
底壁と、上壁と、該底壁と該上壁とをつなぐ一対の側壁と、から少なくとも構成される被加工物の収容箱と、
該収容箱の上部に該搬送アームが差し込まれる差し込み領域をあけて設置され、該上壁と対向する面に複数の四角形の凹みを有する上蓋と、
該収容箱と上蓋とを連結させる連結部と、を備え、
該搬送アームは、
該差し込み領域に差し込まれ該搬送トレイを保持する保持手段と、
該保持手段を上下方向及び収容箱に対して進退する方向に移動可能に保持する移動手段と、
該保持手段の該差し込み領域への差し込み方向をX方向、該X方向と平面上で直交する方向をY方向としたとき、
該保持手段の上面のうち該上蓋の該凹みに対応する領域に形成され、該凹みに収容されて該搬送トレイを位置決めするとともに、該X方向に高さが変化する凸の曲面が形成されたX方向の突起と、
該保持手段の上面のうち該上蓋の該凹みに対応する領域に形成され、該凹みに収容されて該搬送トレイを位置決めするとともに、該Y方向に高さが変化する凸の曲面が形成されたY方向の突起と、
を備えることを特徴とする搬送ユニット。
【請求項2】
該搬送トレイは、
該X方向に高さが変化する凸の曲面が形成された第2のX方向の突起と、
該Y方向に高さが変化する凸の曲面が形成された第2のY方向の突起と、が形成された加工装置の載置部に搬送され、
該底壁の該載置部と対向する面には該第2のX方向の突起及び該第2のY方向の突起が収容される四角形の第2の凹みが複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送トレイを位置決めする搬送トレイの位置決め方法であって、
該搬送トレイの該差し込み領域に該保持手段を差し込む差し込みステップと、
該搬送アームを該上蓋方向に持ち上げるとともに、該凹みの内壁を該曲面に接触させて該搬送トレイを滑り動かし、
該凹みを該X方向の突起及び該Y方向の突起に嵌めて該搬送トレイを位置決めする位置決めステップと、
を備えることを特徴とする搬送トレイの位置決め方法。
【請求項4】
請求項2に記載の搬送トレイを位置決めする搬送トレイの位置決め方法であって、
該搬送アームで該搬送トレイを保持する保持ステップと、
該底壁に形成された該第2の凹みの内壁を該曲面に接触させて該搬送トレイを滑り動かし、
該第2の凹みを該第2のX方向の突起及び該第2のY方向の突起に嵌めて該搬送トレイを位置決めする第2の位置決めステップと、
を備えることを特徴とする搬送トレイの位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ユニット及び搬送トレイの位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AGV(Automated Guided Vehicle:自動搬送車)やOHT(Overhead Hoist Transfer:天井走行式無人搬送車)といった自動搬送システムが導入されている工場では、搬送トレイに入った被加工物をAGVが各加工装置との受け渡しスポットへと搬送し、受け渡しスポットに設置されるOHTの搬送アームが搬送トレイを加工装置に搬送するという技術が使用されている。そこで、本発明の出願人は、被加工物を収容する搬送トレイを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した自動搬送システムが導入されている工場では、例えば、受け渡しスポットに到着したAGVに載置された搬送トレイの上蓋と収容箱の間にOHTの搬送アームがさしこまれ、搬送アームがAGVから各種の加工装置の搬送開始位置に運ぶといった動作が行われる。
【0005】
このとき、加工装置の搬送開始位置に正確に搬送トレイを運ぶ必要があるが、AGVの停止位置に毎回微小な誤差が生じるため、搬送アームが差し込まれても搬送トレイをうまく持ち上げることが出来ない問題や、搬送アームに対する搬送トレイの位置に誤差が生じたまま加工装置に搬送トレイが搬送され加工装置側の搬送開始位置に正確に搬送できなくなるという問題が生じた。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送トレイの搬送時の位置の誤差を抑制することができる搬送ユニット及び搬送トレイの位置決め方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の搬送ユニットは、被加工物が収容された搬送トレイと、該搬送トレイを加工装置に搬送する搬送アームと、を備える搬送ユニットであって、該搬送トレイは、底壁と、上壁と、該底壁と該上壁とをつなぐ一対の側壁と、から少なくとも構成される被加工物の収容箱と、該収容箱の上部に該搬送アームが差し込まれる差し込み領域をあけて設置され、該上壁と対向する面に複数の四角形の凹みを有する上蓋と、該収容箱と上蓋とを連結させる連結部と、を備え、該搬送アームは、該差し込み領域に差し込まれ該搬送トレイを保持する保持手段と、該保持手段を上下方向及び収容箱に対して進退する方向に移動可能に保持する移動手段と、該保持手段の該差し込み領域への差し込み方向をX方向、該X方向と平面上で直交する方向をY方向としたとき、該保持手段の上面のうち該上蓋の該凹みに対応する領域に形成され、該凹みに収容されて該搬送トレイを位置決めするとともに、該X方向に高さが変化する凸の曲面が形成されたX方向の突起と、該保持手段の上面のうち該上蓋の該凹みに対応する領域に形成され、該凹みに収容されて該搬送トレイを位置決めするとともに、該Y方向に高さが変化する凸の曲面が形成されたY方向の突起と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記搬送ユニットにおいて、該搬送トレイは、該X方向に高さが変化する凸の曲面が形成された第2のX方向の突起と、該Y方向に高さが変化する凸の曲面が形成された第2のY方向の突起と、が形成された加工装置の載置部に搬送され、該底壁の該載置部と対向する面には該第2のX方向の突起及び該第2のY方向の突起が収容される四角形の第2の凹みが複数形成されても良い。
【0009】
前記搬送トレイを位置決めする搬送トレイの位置決め方法は、該搬送トレイの該差し込み領域に該保持手段を差し込む差し込みステップと、該搬送アームを該上蓋方向に持ち上げるとともに、該凹みの内壁を該曲面に接触させて該搬送トレイを滑り動かし、該凹みを該X方向の突起及び該Y方向の突起に嵌めて該搬送トレイを位置決めする位置決めステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記搬送トレイを位置決めする搬送トレイの位置決め方法は、該搬送アームで該搬送トレイを保持する保持ステップと、該底壁に形成された該第2の凹みの内壁を該曲面に接触させて該搬送トレイを滑り動かし、該第2の凹みを該第2のX方向の突起及び該第2のY方向の突起に嵌めて該搬送トレイを位置決めする第2の位置決めステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、搬送トレイの搬送時の位置の誤差を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る搬送ユニットが用いられる工場設備の概略の構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る搬送ユニットの搬送トレイの構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された搬送トレイの貫通孔を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る搬送ユニットの搬送アームの構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示された搬送アームのX方向の突起及びY方向の突起の側面を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る搬送ユニットの搬送トレイと搬送アームとが位置決めされた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る搬送ユニットの搬送トレイと搬送アームとが位置決めされた状態を示す他の斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る搬送トレイの位置決め方法の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図8に示された搬送トレイの位置決め方法の差し込みステップの収容箱と搬送アームとを模式的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、
図8に示された搬送トレイの位置決め方法の位置決めステップ中のX方向の突起及びY方向の突起と貫通孔との相対的な位置の一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図8に示された搬送トレイの位置決め方法の位置決めステップで位置決めされたX方向の突起及びY方向の突起と貫通孔との相対的な位置の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1に係る搬送ユニットが搬送トレイを上昇させる状態を模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係る搬送ユニットの搬送トレイの構成例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る搬送ユニットの搬送トレイが搬送される加工装置の載置部を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態2に係る搬送トレイの位置決め方法の流れを示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、
図15に示された搬送トレイの位置決め方法の第2の位置決めステップを模式的に示す側面図である。
【
図17】
図17は、
図15に示された搬送トレイの位置決め方法の第2の位置決めステップ中の第2のX方向の突起及び第2のY方向の突起と第2の貫通孔との相対的な位置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る搬送ユニットを図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る搬送ユニットが用いられる工場設備の概略の構成を示す説明図である。
図2は、実施形態1に係る搬送ユニットの搬送トレイの構成例を示す斜視図である。
図3は、
図2に示された搬送トレイの貫通孔を示す平面図である。
図4は、実施形態1に係る搬送ユニットの搬送アームの構成例を示す斜視図である。
図5は、
図4に示された搬送アームのX方向の突起及びY方向の突起の側面を示す断面図である。
図6は、実施形態1に係る搬送ユニットの搬送トレイと搬送アームとが位置決めされた状態を示す斜視図である。
図7は、実施形態1に係る搬送ユニットの搬送トレイと搬送アームとが位置決めされた状態を示す他の斜視図である。
【0015】
(搬送ユニット)
実施形態1に係る搬送ユニット1は、
図1に示す工場設備100で用いられる。工場設備100は、
図1に示すように、被加工物200を加工する加工装置101と、加工装置101間等で被加工物を搬送する自動搬送システム102とを備えている。加工装置101は、被加工物200に各種の加工を施す装置であって、例えば、被加工物200を切削加工する切削装置、被加工物200をレーザー加工するレーザー加工装置、被加工物200を研削加工する研削装置などであるが、本発明では、これらに限定されない。なお、
図1は、加工装置101を一つのみ示し、他を省略している。
【0016】
また、実施形態1では、被加工物200は、シリコン、サファイア、又はガリウムヒ素などを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハであるが、本発明では、無機材料基板、延性樹脂材料基板、セラミックス基板もしくはガラス基板等でも良い。実施形態1において、被加工物200は、交差する複数の分割予定ラインで区画された基板の表面の複数の領域それぞれにデバイスが形成されたデバイス領域と、デバイス領域を囲繞しかつデバイスが形成されていない外周余剰領域とを備えている。また、本発明では、被加工物200は、デバイス領域の裏面側が薄化されて円形凹部が形成され、外周余剰領域に環状凸部が形成されたいわゆるTAIKO(登録商標)ウェーハでも良い。
【0017】
自動搬送システム102は、
図1に示すように、AGV(Automated Guided Vehicle:自動搬送車)103と、OHT(Overhead Hoist Transfer:天井走行式無人搬送車)104と、制御ユニット105を備えている。AGV103は、工場設備100内を無人で自動するものであって、上面に搬送ユニット1の被加工物200を収容した搬送トレイ10を載置することで、工場設備100内で予め設定された受け渡しスポット間で被加工物200を搬送する。
【0018】
OHT104は、工場設備100の天井等に設置されたレール106に沿って移動自在であり、実施形態1では、受け渡しスポットで停車したAGV103と加工装置101の載置部107との間で被加工物200を収容した搬送トレイ10を搬送する。
【0019】
実施形態1において、搬送ユニット1は、
図1に示すように、被加工物200が収容された搬送トレイ10と、搬送トレイ10を受け渡しスポットで停車したAGV103から加工装置101の載置部107に搬送する搬送アーム30とを備えている。
【0020】
搬送トレイ10は、
図2に示すように、被加工物200を収容する収容箱11と、上蓋20と、連結部24とを備えている。収容箱11は、平板状の底壁12と、底壁12と間隔をあけて対面した平板状の上壁13と、底壁12と上壁13とをつなぐ一対の側壁14とから少なくとも構成される。底壁12と上壁13とは、平面形状が四角形に形成されている。一対の側壁14は、互いの間隔をあけて対向し、かつ底壁12と上壁13のX方向の両端同士を連結している。なお、X方向は、底壁12及び上壁13と平行である。実施形態1において、搬送トレイ10は、
図2中の手前側に位置し、底壁12、上壁13及び一対の側壁14で囲まれる開口15を通して被加工物200が出し入れされる。また、実施形態では、一対の側壁14それぞれに、被加工物200を底壁12から間隔をあけて支持する段部16が形成されている。実施形態1では、底壁12と上壁13とは、平面形状が四角形に形成されているが、本発明では、底壁12と上壁13との構成は、円形や多角形でもよく、実施形態1のものに限定されない。
【0021】
上蓋20は、底壁12及び上壁13よりも平面形状が小さい平板状に形成され、収容箱11の上部即ち上方に搬送アーム30が差し込まれる差し込み領域21をあけて設置され、少なくとも上壁13と対向する下面22に複数の四角形の凹みである貫通孔23を有する。上蓋20は、上壁13と平行に配置され、底壁12及び上壁13と同様に平面形状が四角形に形成されている。貫通孔23は、上蓋20を貫通しているが、本発明では、上蓋20を貫通することなく下面22から凹の凹みでも良い。また、貫通孔23は、
図3に示すように、X方向と平行な2辺と、X方向に直交するY方向と平行な2辺とにより平面形状が四角形に形成されている。なお、Y方向は、底壁12及び上壁13と平行である。また、実施形態1において、貫通孔23は、上蓋20のY方向の両端部にX方向に間隔をあけて3つずつ設けられている。実施形態1では、上蓋20は底壁12と上壁13よりも平面形状が小さい平板状に形成されているが、本発明では、上蓋20の構成は、底壁12や上壁13と略同形でもよく、実施形態1のものに限定されない。
【0022】
連結部24は、収容箱11の上壁13と上蓋20とを連結させるものであって、実施形態1では、一端が収容箱11の上壁13に取り付けられ、かつ他端が上蓋20に取り付けられた複数の円柱状の部材で構成されているが、本発明では、連結部24の構成は、実施形態1のものに限定されない。
【0023】
搬送アーム30は、
図4に示すように、保持手段である保持部材31と、移動手段である移動ユニット40とを備えている。保持部材31は、差し込み領域21即ち収容箱11の上壁13と上蓋20との間に差し込まれて、搬送トレイ10を保持するものである。実施形態1では、保持部材31は、差し込み領域21に差し込まれた際に、連結部24との干渉を抑制するために、X方向と平行でかつ互いに間隔をあけて配置された一対の平行部32と、平行部32同士のX方向の後ろ側の一端同士を連結した連結部33とを備えて、平面形状がU字状に形成されている。実施形態1では、搬送アーム30は、一対の平行部32と連結部33とを備えているが、本発明において、搬送アーム30は一対の平行部32と連結部33とを備えなくてもよく、実施形態1のものに限定されない。
【0024】
移動ユニット40は、保持部材31を上下方向、収容箱11に対して進退する方向であるX方向に移動可能に保持するものである。移動ユニット40は、保持部材31の連結部24の中央から上方に延びた上方延在部41と、上方延在部41を上下方向に移動自在に支持するとともに、OHT104に取り付けられた昇降ユニット42(
図1に示す)とを備えている。移動ユニット40は、昇降ユニット42が保持部材31を上下方向に移動可能に保持し、OHT104がレール106上を移動することで保持部材31を収容箱11に対してX方向に移動可能に保持する。なお、実施形態1では、X方向は、保持部材31の差し込み領域21への差し込み方向である。また、Y方向は、X方向と水平な平面上で直交する方向である。
【0025】
また、搬送アーム30は、
図4に示すように、X方向の突起51と、Y方向の突起61とを備えている。X方向の突起51及びY方向の突起61は、それぞれ、保持部材31の上面34に取り付けられて、保持部材31の上面34から凸に形成されている。X方向の突起51とY方向の突起61は、保持部材31の上面34の貫通孔23に対応する領域、即ち、差し込み領域21に保持部材31が位置付けられると上面34の貫通孔23に重なる領域に形成されている。X方向の突起51とY方向の突起61は、貫通孔23と対応し、差し込み領域21に保持部材31が位置付けられると対応する貫通孔23と重なる。なお、実施形態1において、X方向の突起51とY方向の突起61は、それぞれ2つずつ設けられている。
【0026】
X方向の突起51は、保持部材31の平面視において、X方向に沿って直線状に延びており、
図5に示すように、X方向に上面34からの高さが変化する凸の曲面52が形成されている。X方向の突起51の曲面52は、X方向の中央の上面34からの高さが最も高く、X方向の端に向かうにしたがって上面34からの高さが徐々に低くなっている。なお、実施形態1では、曲面52は、断面半円状に形成されているが、本発明では、曲面52は、断面半円状に限定されない。2つのX方向の突起51は、互いにY方向に間隔をあけて配置され、実施形態1では、各平行部32のX方向の中央に配置されている。
【0027】
Y方向の突起61は、保持部材31の平面視において、Y方向に沿って直線状に延びており、Y方向に上面34からの高さが変化する凸の曲面62が形成されている。Y方向の突起61の曲面62は、Y方向の中央の上面34からの高さが最も高く、Y方向の端に向かうにしたがって上面34からの高さが徐々に低くなっている。なお、実施形態1では、曲面62は、断面半円状に形成されているが、本発明では、曲面62は、断面半円状に限定されない。2つのY方向の突起61は、互いにX方向に間隔をあけて配置され、実施形態1では、一方の平行部32のX方向の両端部に配置されている。
【0028】
また、X方向の突起51のX方向の長さ51-1(
図5に示す)は、対応する貫通孔23のX方向の長さ23-1(
図3に示す)よりも短く、X方向の突起51のY方向の幅は、対応する貫通孔23のY方向の長さ23-2(
図3に示す)よりも短い。このために、X方向の突起51は、差し込み領域21に保持部材31が位置付けられて上昇されると対応する貫通孔23内に収容されて、搬送トレイ10を保持部材31に対して位置決めする。
【0029】
X方向の突起51と同様に、Y方向の突起61のY方向の長さ61-1(
図5に示す)は、対応する貫通孔23のY方向の長さ23-2(
図3に示す)よりも短く、Y方向の突起61のX方向の幅は、対応する貫通孔23のX方向の長さ23-1(
図3に示す)よりも短い。このために、Y方向の突起61は、差し込み領域21に保持部材31が位置付けられて上昇されると対応する貫通孔23内に収容されて、搬送トレイ10を保持部材31に対して位置決めする。
【0030】
なお、実施形態1では、X方向の突起51のX方向の長さ51-1とY方向の突起61のY方向の長さ61-1とが等しいが、本発明では、これに限定されない。また、実施形態1では、貫通孔23のX方向の長さ23-1と貫通孔23のY方向の長さ23-2とが等しいが、本発明では、これに限定されない。また、実施形態1では、X方向の突起51とY方向の突起61とをそれぞれ2つずつ備えているが、本発明では、X方向の突起51とY方向の突起61とをそれぞれ1つずつと、X方向の突起51とY方向の突起61とのうちの一方とを備えていれば、各突起51,61を幾つ備えても良い。
【0031】
また、実施形態1において、各突起51,61は、断面半円形であるので、円柱状の部材を切断するなどして製造される。
【0032】
このような構成により搬送ユニット1は、搬送アーム30の保持部材31が差し込み領域21に位置付けられて上昇すると、
図6及び
図7に示すように、X方向の突起51及びY方向の突起61が対応する貫通孔23内に収容されて、搬送トレイ10を搬送アーム30の保持部材31に対して位置決めする。このとき、X方向の突起51が、X方向に直線状に延びているので、保持部材31に対して搬送トレイ10の上蓋20のX方向の位置を位置決めし、Y方向の突起61が、Y方向に直線状に延びているので、保持部材31に対して搬送トレイ10の上蓋20のY方向の位置を位置決めする。また、搬送ユニット1は、X方向の突起51をY方向に間隔あけて配置し、Y方向の突起61をX方向に間隔をあけて配置しているので、突起51,61が搬送アーム30の保持部材31に対する搬送トレイ10の上蓋20の上下方向と平行な軸心回りの向きを位置決めする。
【0033】
制御ユニット105は、工場設備100及び搬送ユニット1の上述した構成要素をそれぞれ制御して、搬送トレイ10の搬送動作を工場設備100及び搬送ユニット1に実施させるものである。なお、制御ユニット105は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット105の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、工場設備100及び搬送ユニット1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して工場設備100及び搬送ユニット1の上述した構成要素に出力する。制御ユニット105は、搬送動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが各種の情報などを登録する際に用いる図示しない入力ユニットとが接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0034】
次に、本明細書は、実施形態1に係る搬送トレイの位置決め方法を図面に基づいて説明する。
図8は、実施形態1に係る搬送トレイの位置決め方法の流れを示すフローチャートである。搬送トレイの位置決め方法は、搬送ユニット1が、搬送アーム30の保持部材31に対して搬送トレイ10を予め定められた所定の位置に位置決めする方法であって、実施形態1では、受け渡しスポットに停止されたAGV103から搬送トレイ10を持ち上げる際に実施される。搬送トレイの位置決め方法は、
図8に示すように、差し込みステップST1と、位置決めステップST2とを備える。
【0035】
(差し込みステップ)
図9は、
図8に示された搬送トレイの位置決め方法の差し込みステップの収容箱と搬送アームとを模式的に示す側面図である。差し込みステップST1は、搬送トレイ10の差し込み領域21に保持部材31を差し込むステップである。差し込みステップST1では、制御ユニット105は、AGV103が受け渡しスポットに停車すると、搬送アーム30の保持部材31をAGV103に支持された搬送トレイ10よりもX方向の後ろ側に位置付けて、移動ユニット40に搬送アーム30の保持部材31を下降させる。差し込みステップST1は、保持部材31が差し込み領域21と同一平面上に位置すると、移動ユニット40による保持部材31の下降を停止させる。このとき、制御ユニット105は、
図9に示すように、保持部材31の平行部32の連結部33から離れた側の端を搬送トレイ10にX方向に沿って対向させる。なお、
図9は、各突起51,61を省略している。
【0036】
差し込みステップST1では、制御ユニット105は、移動ユニット40に搬送アーム30の保持部材31をX方向に移動させて、保持部材31を差し込み領域21に向けて移動させる。差し込みステップST1では、制御ユニット105は、保持部材31が差し込み領域21に位置付けられると、移動ユニット40に搬送アーム30のX方向の移動を停止させて、位置決めステップST2に進む。
【0037】
(位置決めステップ)
図10は、
図8に示された搬送トレイの位置決め方法の位置決めステップ中のX方向の突起及びY方向の突起と貫通孔との相対的な位置の一例を示す断面図である。
図11は、
図8に示された搬送トレイの位置決め方法の位置決めステップで位置決めされたX方向の突起及びY方向の突起と貫通孔との相対的な位置の一例を示す断面図である。
【0038】
位置決めステップST2は、搬送アーム30を上蓋20方向に持ち上げるとともに、貫通孔23の内壁23-3を各突起51,61の曲面52,62に接触させて搬送トレイ10を滑り動かし、貫通孔23を各突起51,61に嵌めて、搬送トレイ10を搬送アーム30の保持部材31に対して位置決めするステップである。位置決めステップST2では、制御ユニット105は、移動ユニット40に搬送アーム30を上昇させる。すると、正規の受け渡しスポットに対するAGV103の位置の誤差などによって、各突起51,61が、
図10に示すように、対応する貫通孔23の内壁23-3に接触することがある。
【0039】
位置決めステップST2では、制御ユニット105が搬送アーム30の上昇を継続し、対応する突起51,61の曲面52,62に接触した貫通孔23の内壁23-3が、曲面52,62に沿って滑り動いて、上蓋20が保持部材31に近付こうとする。例えば、
図10に示された例では、曲面52,62に接触した貫通孔23の内壁23-3は、
図10中の矢印300に沿って保持部材31に近付く。位置決めステップST2では、制御ユニット105が搬送アーム30の上昇を継続し、各突起51,61が、
図11に示すように、対応する貫通孔23内に侵入し、搬送アーム30の保持部材31上に搬送トレイ10の上蓋20を重ねて、搬送アーム30に対して搬送トレイ10をX方向、Y方向及び前述した軸心回りに位置決めし、実施形態1に係る搬送トレイの位置決め方法が終了される。
【0040】
なお、制御ユニット105は、搬送トレイの位置決め方法の終了後も、
図12に示すように、搬送トレイ10を上昇させた後、OHT104をレール106に沿って移動させ、搬送アーム30で保持した搬送トレイ10を加工装置101の載置部107の上方に位置付け、搬送アーム30を下降させるなどして、搬送トレイ10を加工装置101の載置部107まで搬送する。なお、
図12は、実施形態1に係る搬送ユニットが搬送トレイを上昇させる状態を模式的に示す側面図である。
【0041】
実施形態1に係る搬送ユニット1は、差し込み領域21に差し込まれた搬送アーム30の保持部材31を上昇させる際に、搬送アーム30の保持部材31に形成されている各突起51,61の曲面52,62が上蓋20との接点になる。このため、受け渡しポイントにおいて、AGV103の位置に誤差が生じても、差し込み領域21に差し込まれた搬送アーム30の保持部材31を上昇させる際に、曲面52,62に沿って上蓋20が移動して、上蓋20の貫通孔23内に各突起51,61が侵入して、搬送アーム30の保持部材31に対して、搬送トレイ10の上蓋20がX方向及びY方向に位置決めされる。その結果、実施形態1に係る搬送ユニット1は、搬送トレイ10を搬送アーム30の予め定められた正規の位置に位置決めでき、搬送トレイ10の搬送時の位置の誤差を抑制することができるという効果を奏する。
【0042】
また、実施形態1に係る搬送ユニット1は、X方向の突起51をY方向に間隔をあけて2つ備え、Y方向の突起61をX方向に間隔をあけて2つ備えているので、搬送アーム30の保持部材31に対する搬送トレイ10の上蓋20の前述した軸心回りの向きも位置決めできる。
【0043】
また、実施形態1に係る搬送ユニット1は、各突起51,61が断面半円形であるので、円柱状の部材を切断するなどして各突起51,61を製造でき、突起51,61が半球状である場合よりも各突起51,61の低コスト化を図ることができる。
【0044】
また、実施形態1に係る搬送トレイの位置決め方法は、位置決めステップST2において、搬送アーム30を持ち上げて、貫通孔23の内壁23-3に曲面52,62を接触させて、貫通孔23の内壁23-3を曲面52,62上で滑り動かす。このため、受け渡しポイントにおいて、AGV103の位置に誤差が生じても、差し込み領域21に差し込まれた搬送アーム30の保持部材31を上昇させる際に、曲面52,62に沿って上蓋20が移動して、上蓋20の貫通孔23内に各突起51,61が侵入して、搬送アーム30の保持部材31に対して、搬送トレイ10の上蓋20がX方向及びY方向に位置決めされる。その結果、実施形態1に係る搬送トレイの位置決め方法は、搬送トレイ10を搬送アーム30の予め定められた正規の位置に位置決めでき、搬送トレイ10の搬送時の位置の誤差を抑制することができるという効果を奏する。
【0045】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る搬送ユニット及び搬送トレイの位置決め方法を図面に基づいて説明する。
図13は、実施形態2に係る搬送ユニットの搬送トレイの構成例を示す斜視図である。
図14は、実施形態2に係る搬送ユニットの搬送トレイが搬送される加工装置の載置部を示す斜視図である。
図15は、実施形態2に係る搬送トレイの位置決め方法の流れを示すフローチャートである。
図16は、
図15に示された搬送トレイの位置決め方法の第2の位置決めステップを模式的に示す側面図である。
図17は、
図15に示された搬送トレイの位置決め方法の第2の位置決めステップ中の第2のX方向の突起及び第2のY方向の突起と第2の貫通孔との相対的な位置の一例を示す断面図である。なお、
図13、
図14、
図15、
図16及び
図17は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
実施形態2に係る搬送ユニットは、実施形態1と同様に、
図1に示す工場設備100で用いられ、搬送トレイ10が、
図13に示すように底壁12の下面17に四角形の第2の凹みである第2の貫通孔25が複数形成され、
図14に示すように上面108に第2のX方向の突起71と第2のY方向の突起81とが形成された加工装置101の載置部107に搬送されること以外、実施形態1と構成が同じである。
【0047】
第2の貫通孔25は、底壁12の載置部107と対向する下面17に複数設けられ、実施形態2では、底壁12を貫通しているが、本発明では、底壁12を貫通することなく下面17から凹の凹みでも良い。また、実施形態2において、第2の貫通孔25は、貫通孔23と構成が等しいので、説明を省略する。また、実施形態2において、第2の貫通孔25は、底壁12のY方向の両端部にX方向に間隔をあけて3つずつ設けられている。
【0048】
第2のX方向の突起71と、第2のY方向の突起81は、それぞれ、
図14に示すように、加工装置101の載置部107に取り付けられて、載置部107の上面108から凸に形成されている。第2のX方向の突起71と第2のY方向の突起81は、載置部107に載置される搬送トレイ10の底壁12の第2の貫通孔25に対応する領域、即ち、載置部107に搬送トレイ10が載置されると載置部107の上面108の第2の貫通孔25に重なる領域に形成されている。X方向の突起51とY方向の突起61は、第2の貫通孔25と対応し、載置部107に搬送トレイ10が載置されると対応する第2の貫通孔25と重なる。なお、実施形態1において、第2のX方向の突起71と第2のY方向の突起81は、それぞれ2つずつ設けられている。
【0049】
第2のX方向の突起71は、載置部107の上面108の平面視において、X方向に沿って直線状に延びており、X方向に上面108からの高さが変化する凸の曲面72が形成されている。第2のX方向の突起71の曲面72は、X方向の中央の上面108からの高さが最も高く、X方向の端に向かうにしたがって上面108からの高さが徐々に低くなっている。なお、実施形態2では、曲面72は、断面半円状に形成されているが、本発明では、曲面72は、断面半円状に限定されない。2つの第2のX方向の突起71は、互いにY方向に間隔をあけて配置されている。
【0050】
第2のY方向の突起81は、載置部107の上面108の平面視において、Y方向に沿って直線状に延びており、Y方向に上面108からの高さが変化する凸の曲面82が形成されている。第2のY方向の突起81の曲面82は、Y方向の中央の上面108からの高さが最も高く、Y方向の端に向かうにしたがって上面108からの高さが徐々に低くなっている。なお、実施形態2では、曲面82は、断面半円状に形成されているが、本発明では、曲面82は、断面半円状に限定されない。2つの第2のY方向の突起81は、互いにX方向に間隔をあけて配置され、実施形態1では、2つの第2のY方向の突起81は、互いの間に一方の第2のX方向の突起71を配置されている。
【0051】
また、第2のX方向の突起71のX方向の長さは、対応する第2の貫通孔25のX方向の長さよりも短く、第2のX方向の突起71のY方向の幅は、対応する第2の貫通孔25のY方向の長さよりも短い。このために、第2のX方向の突起71は、載置部107に搬送トレイ10が載置されると、対応する第2の貫通孔25内に収容されて、搬送トレイ10を載置部107に対して位置決めする。
【0052】
第2のX方向の突起71と同様に、第2のY方向の突起81のY方向の長さは、対応する第2の貫通孔25のY方向の長さよりも短く、第2のY方向の突起81のX方向の幅は、対応する第2の貫通孔25のX方向の長さよりも短い。このために、第2のY方向の突起81は、載置部107に搬送トレイ10が載置されると、対応する第2の貫通孔25内に収容されて、搬送トレイ10を載置部107に対して位置決めする。
【0053】
なお、実施形態2では、第2のX方向の突起71のX方向の長さと第2のY方向の突起81のY方向の長さとが等しいが、本発明では、これに限定されない。また、実施形態2では、第2の貫通孔25のX方向の長さと第2の貫通孔25のY方向の長さが等しいが、本発明では、これに限定されない。また、実施形態2では、第2のX方向の突起71と第2のY方向の突起81とをそれぞれ2つずつ備えているが、本発明では、第2のX方向の突起71と第2のY方向の突起81とをそれぞれ1つずつと、第2のX方向の突起71と第2のY方向の突起81とのうちの一方とを備えていれば、各突起71,81を幾つ備えても良い。
【0054】
また、実施形態2において、各突起71,81は、断面半円形であるので、円柱状の部材を切断するなどして製造される。
【0055】
このような構成により搬送ユニット1は、搬送トレイ10が加工装置101の載置部107に載置されると、第2のX方向の突起71及び第2のY方向の突起81が対応する第2の貫通孔25内に収容されて、搬送トレイ10が加工装置101の載置部107に対して位置決めされる。このとき、第2のX方向の突起71が、X方向に直線状に延びているので、載置部107に対して搬送トレイ10のX方向の位置を位置決めし、第2のY方向の突起81が、Y方向に直線状に延びているので、載置部107に対して搬送トレイ10のY方向の位置を位置決めする。また、搬送ユニット1は、載置部107の上面108に第2のX方向の突起71がY方向に間隔あけて配置され、第2のY方向の突起81がX方向に間隔をあけて配置されているので、突起71,81が載置部107に対する搬送トレイ10の上下方向と平行な軸心回りの向きを位置決めする。
【0056】
実施形態2に係る搬送トレイの位置決め方法は、実施形態1に係る搬送トレイの位置決め方法に加えて実施される。実施形態2に係る搬送トレイの位置決め方法は、搬送トレイ10を加工装置101の載置部107に対して予め定められた所定の位置に位置決めする方法であって、搬送アーム30に保持された搬送トレイ10が載置部107に載置される際に実施される。実施形態2に係る搬送トレイの位置決め方法は、
図15に示すように、保持ステップST3と、第2の位置決めステップST4とを備える。
【0057】
(保持ステップ)
保持ステップST3は、搬送アーム30で搬送トレイ10を保持するステップであって、実施形態2では、差し込みステップST1および位置決めステップST2が相当する。保持ステップST3では、制御ユニット105が差し込みステップST1と位置決めステップST2とを実施して、搬送アーム30で搬送トレイ10を保持すると、第2の位置決めステップST4に進む。
【0058】
(第2の位置決めステップ)
第2の位置決めステップST4は、搬送トレイ10の底壁12に形成された第2の貫通孔25の内壁を曲面72,82に接触させて搬送トレイ10を滑り動かし、第2の貫通孔25を各突起71,81に嵌めて、搬送トレイ10を加工装置101の載置部107に対して位置決めするステップである。位置決めステップST2では、制御ユニット105は、搬送アーム30で保持した搬送トレイ10を加工装置101の載置部107の上方に位置付けた後、搬送アーム30を下降させて、
図16に示すように、搬送トレイ10を載置部107の上面108に近付ける。このとき、各突起71,81が、
図17に示すように、対応する第2の貫通孔25の内壁25-3に接触することがある。
【0059】
第2の位置決めステップST4では、制御ユニット105が搬送アーム30の下降を継続し、対応する突起71,81の曲面72,82に接触した第2の貫通孔25の内壁25-3が、曲面72,82に沿う
図17中の矢印301に沿って滑り動いて、搬送トレイ10が載置部107の上面108に近付こうとする。第2の位置決めステップST4では、制御ユニット105が搬送アーム30の下降を継続し、各突起71,81が、対応する第2の貫通孔25内に侵入し、載置部107の上面108に搬送トレイ10の底壁12を重ねて、載置部107に対して搬送トレイ10をX方向、Y方向及び前述した軸心回りに位置決めし、実施形態2に係る搬送トレイの位置決め方法が終了される。
【0060】
実施形態2に係る搬送ユニット1は、実施形態1に効果に加え、搬送アーム30に保持した搬送トレイ10を下降させる際に、載置部107の上面108に形成されている各突起71,81の曲面72,82が搬送トレイ10との接点になる。このため、搬送アーム30に保持した搬送トレイ10を下降させる際に、曲面72,82に沿って搬送トレイ10が移動して、搬送トレイ10の底壁12の第2の貫通孔25内に各突起71,81が侵入して、載置部107の上面108に対して、搬送トレイ10がX方向及びY方向に位置決めされる。その結果、実施形態2に係る搬送ユニット1は、搬送トレイ10を加工装置101の載置部107の正規の位置に位置決めでき、搬送トレイ10の搬送時の位置の誤差を抑制することができるという効果を奏する。
【0061】
また、実施形態2に係る搬送ユニット1は、第2のX方向の突起71をY方向に間隔をあけて2つ備え、第2のY方向の突起81をX方向に間隔をあけて2つ備えているので、載置部107の上面108に対する搬送トレイ10の前述した軸心回りの向きも位置決めできる。
【0062】
また、実施形態2に係る搬送ユニット1は、各突起71,81が断面半円形であるので、円柱状の部材を切断するなどして各突起71,81を製造でき、突起71,81が半球状である場合よりも各突起71,81の低コスト化を図ることができる。
【0063】
また、実施形態2に係る搬送トレイの位置決め方法は、実施形態1の効果に加え、第2の位置決めステップST4において、搬送アーム30に保持した搬送トレイ10を下降させる際に、第2の貫通孔25の内壁25-3に曲面72,82を接触させて、第2の貫通孔25の内壁12-1を曲面72,82上で滑り動かす。このため、搬送アーム30に保持した搬送トレイ10を下降させる際に、曲面72,82に沿って搬送トレイ10が移動して、搬送トレイ10の第2の貫通孔25内に各突起71,81が侵入して、載置部107の上面108に対して、搬送トレイ10がX方向及びY方向に位置決めされる。その結果、実施形態2に係る搬送トレイの位置決め方法は、搬送トレイ10を加工装置101の載置部107の正規の位置に位置決めでき、搬送トレイ10の搬送時の位置の誤差を抑制することができるという効果を奏する。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 搬送ユニット
10 搬送トレイ
11 収容箱
12 底壁
13 上壁
14 側壁
17 下面(載置部と対向する面)
20 上蓋
21 差し込み領域
22 下面(上壁と対向する面)
23 貫通孔(凹み)
23-3 内壁
24 連結部
25 第2の貫通孔(第2の凹み)
25-3 内壁
30 搬送アーム
31 保持部材(保持手段)
34 上面
40 移動ユニット(移動手段)
51 X方向の突起
52 曲面
61 Y方向の突起
62 曲面
71 第2のX方向の突起
72 曲面
81 第2のY方向の突起
82 曲面
101 加工装置
107 載置部
200 被加工物
X 方向(進退する方向、差し込み方向)
Y 方向
ST1 差し込みステップ
ST2 位置決めステップ
ST3 保持ステップ
ST4 第2の位置決めステップ