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特許7195218放射線画像撮影システム、医用撮影システム、制御方法、及び制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】放射線画像撮影システム、医用撮影システム、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20221216BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20221216BHJP
   A61B 8/08 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
A61B6/04 309B
A61B6/00 370
A61B6/00 350B
A61B6/00 360B
A61B8/08
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019100679
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020192181
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 毅久
(72)【発明者】
【氏名】中山 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】藤本 淑恵
(72)【発明者】
【氏名】小平 俊輔
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0310215(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0061521(US,A1)
【文献】特開2011-200655(JP,A)
【文献】特開2006-051198(JP,A)
【文献】特開2001-340327(JP,A)
【文献】特開2017-176509(JP,A)
【文献】特開2009-219656(JP,A)
【文献】特開2014-155207(JP,A)
【文献】特開2014-054398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14、8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、前記乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、
前記マンモグラフィ装置により撮影された前記放射線画像を表示装置に表示させる制御を行う第1表示制御部と、
前記圧迫部材の前記面内位置に対応する前記放射線画像上の位置を表す、前記第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報を、前記表示装置に表示された前記放射線画像に対して表示させる制御を行う第2表示制御部と、
前記圧迫部材の種類を検出する検出部と、
を備え
前記第1位置識別情報は前記圧迫部材の種類に応じて予め定められており、
前記第2表示制御部は、前記検出部が検出した前記圧迫部材の種類に応じた前記第2位置識別情報を表示させる制御を行う、
放射線画像撮影システム。
【請求項2】
圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、前記乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、
前記マンモグラフィ装置により撮影された前記放射線画像を表示装置に表示させる制御を行う第1表示制御部と、
前記圧迫部材の前記面内位置に対応する前記放射線画像上の位置を表す、前記第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報を、前記表示装置に表示された前記放射線画像に対して表示させる制御を行う第2表示制御部と、
前記撮影の種類を検出する検出部と、
を備え
前記第1位置識別情報は前記撮影の種類に応じて予め定められており、
前記第2表示制御部は、前記検出部が検出した前記撮影の種類に応じた前記第2位置識別情報を表示させる制御を行う、
放射線画像撮影システム。
【請求項3】
圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、前記乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、
前記マンモグラフィ装置により撮影された前記放射線画像を表示装置に表示させる制御を行う第1表示制御部と、
前記圧迫部材の前記面内位置に対応する前記放射線画像上の位置を表す、前記第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報を、前記表示装置に表示された前記放射線画像に対して表示させる制御を行う第2表示制御部と、
放射線を照射する照射野を表す情報を取得する取得部と、
を備え
前記第1位置識別情報は前記照射野に応じて予め定められており、
前記第2表示制御部は、前記取得が取得した前記照射野を表す情報によって表される照射野に応じた前記第2位置識別情報を表示させる制御を行う、
放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記圧迫面は、前記放射線源による放射線が照射される第1の面、前記第1の面の反対側である乳房に接する側の第2の面、及び前記第1の面と前記第2の面の間に位置し前記第1の面に平行な第3の面、のいずれかである、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記第2表示制御部は、前記放射線画像の撮影後、予め定められた時間以上、前記圧迫部材が前記圧迫状態を維持している場合、前記第2位置識別情報を表示させる制御を行う、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記第2表示制御部は、前記放射線画像の撮影後、前記圧迫状態のままで前記乳房の超音波画像を撮影する連続撮影を行う場合、前記第2位置識別情報を表示させる制御を行う、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記乳房の乳腺量を表す乳腺量情報を取得する取得部をさらに備え、
前記第2表示制御部は、前記乳腺量情報が表す乳腺量が予め定められた乳腺量以上の場合を、前記連続撮影を行う場合とする、
請求項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記放射線画像に基づいて、前記乳房の乳腺の領域を表す領域情報を取得する取得部をさらに備え、
前記第2表示制御部は、前記領域情報が表す乳腺の領域の大きさが予め定められた大きさ以上の場合を、前記連続撮影を行う場合とする、
請求項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記第2表示制御部は、前記連続撮影が行われ、かつ前記放射線画像が複数の乳腺領域を含む場合、前記超音波画像の撮影が終了した乳腺領域と、前記超音波画像の撮影が未終了の乳腺領域とで前記第2位置識別情報の表示形態を異ならせる、
請求項から請求項のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
前記第2表示制御部は、前記超音波画像の撮影が終了した場合、前記第2位置識別情報の表示を終了する、
請求項から請求項のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記第2表示制御部は、前記第2位置識別情報の表示後に、前記圧迫部材による前記乳房の圧迫が解除された場合、前記第2位置識別情報の表示を終了する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
前記放射線画像には、前記第1位置識別情報の画像は含まれない、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項13】
前記マンモグラフィ装置に、前記第1位置識別情報が付与された前記圧迫部材に代わり、前記第1位置識別情報が付与されていない圧迫部材が設けられ、前記第1位置識別情報が付与されていない圧迫部材により圧迫状態の前記乳房の放射線画像の撮影が行われた場合、
前記第2表示制御部は、前記第2位置識別情報を表示させる制御を行なわない、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項14】
前記第2表示制御部は、前記放射線画像に含まれる前記乳房の乳腺の領域に対して前記第2位置識別情報を表示させる制御を行う、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項15】
前記表示装置に表示された前記放射線画像上の位置の指定を受け付ける受付部をさらに備え、
前記第2表示制御部は、前記受付部が前記放射線画像上の位置の指定を受け付けた場合、前記第2位置識別情報を表示させる制御を行う、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項16】
前記表示装置に表示された前記放射線画像上の位置の指定を受け付ける受付部をさらに備え、
前記第2表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記放射線画像上の位置が前記乳房の乳腺の領域内の位置である場合、前記第2位置識別情報を表示させる制御を行う、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項17】
前記第2表示制御部は、前記放射線画像における前記乳房の乳腺の領域に対する前記第2位置識別情報と、前記乳腺の領域以外に対する前記第2位置識別情報とを異なる表示形態で表示させる制御を行う、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項18】
前記第2表示制御部は、前記放射線画像が前記乳腺の領域を複数含む場合、前記乳腺の領域毎に、前記第2位置識別情報の表示形態を異ならせる、
請求項17に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項19】
前記第2表示制御部は、前記第1表示制御部が、前記表示装置に表示させた前記放射線画像の大きさを変化させた場合、前記放射線画像の大きさの変化に追従して前記第2位置識別情報の表示を変化させる制御を行う、
請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項20】
前記第2表示制御部は、前記第2位置識別情報を可聴表示させる制御を行う、
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項21】
前記圧迫部材は、
前記乳房を圧迫する第1圧迫部材と、
前記第1圧迫部材に着脱が可能とされ、かつ前記第1位置識別情報が付与された第2圧迫部材と、を含む、
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムと、
圧迫部材により圧迫状態にされた乳房の超音波画像を撮影する超音波画像撮影装置と、
を備えた医用撮影システム。
【請求項23】
圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、前記乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、
前記圧迫部材の種類、前記撮影の種類、及び前記放射線源の照射野の少なくとも一つに応じて、前記第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報が対応付けられている画像目盛情報と、
前記少なくとも一つに関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記情報及び前記画像目盛情報に基づいて選択された前記第2位置識別情報を、前記マンモグラフィ装置により撮影された前記放射線画像に対して表示させる制御を行う表示制御部と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項24】
圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、前記乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、前記圧迫部材の種類、前記撮影の種類、及び前記放射線源の照射野の少なくとも一つに応じて、前記第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報が対応付けられている画像目盛情報と、を備えた放射線画像撮影システムの制御方法であって、
前記少なくとも一つに関する情報を取得し、
取得した前記情報及び前記画像目盛情報に基づいて選択された前記第2位置識別情報を、前記マンモグラフィ装置により撮影された前記放射線画像に対して表示させる制御を行う、
処理をコンピュータが実行する制御方法。
【請求項25】
圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、前記乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、前記圧迫部材の種類、前記撮影の種類、及び前記放射線源の照射野の少なくとも一つに応じて、前記第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報が対応付けられている画像目盛情報と、を備えた放射線画像撮影システムの制御を行うコンピュータに、
前記少なくとも一つに関する情報を取得し、
取得した前記情報及び前記画像目盛情報に基づいて選択された前記第2位置識別情報を、前記マンモグラフィ装置により撮影された前記放射線画像に対して表示させる制御を行う、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線画像撮影システム、医用撮影システム、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の乳房を圧迫部材により圧迫状態にして固定し、放射線源から圧迫状態の乳房に向けて放射線を照射させ、乳房を透過した放射線を放射線検出器により検出することにより放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧迫部材により圧迫状態とした乳房の放射線画像を撮影した後、撮影された放射線画像から病巣位置を特定し、圧迫状態が維持されている乳房に対して、特定した病巣位置を治療する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、圧迫部材にマーカが設けられており、圧迫部材に設けられたマーカが放射線画像に写り込むため、放射線画像におけるマーカの画像の位置により、治療すべき病巣位置を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-280444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被検者の乳房に沿って超音波プローブを走査することで、乳房の超音波画像を撮影する超音波画像撮影装置が知られており、圧迫部材による乳房の圧迫状態を維持したままで放射線画像及び超音波画像を連続して撮影することが可能な装置が開示されている。
【0006】
圧迫状態の乳房を撮影した放射線画像を参照して超音波画像の撮影を行う場合、放射線画像と、圧迫状態にある乳房とでは、見え方等が異なる場合がある。そのため、放射線画像上の位置と、圧迫部材上の位置との対応が分かり難い場合がある。このように放射線画像及び超音波画像を連続して撮影する場合に、引用文献1の技術を適用しても、放射線画像上の位置に対応する圧迫部材上の位置を把握するには十分とは言えない場合がある。
【0007】
本開示は、上記事情を考慮して成されたものであり、放射線画像上の位置と、圧迫部材上の位置との対応を分かり易くすることができる、放射線画像撮影システム、医用撮影システム、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の放射線画像撮影システムは、圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、マンモグラフィ装置により撮影された放射線画像を表示装置に表示させる制御を行う第1表示制御部と、圧迫部材の面内位置に対応する放射線画像上の位置を表す、第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報を、表示装置に表示された放射線画像に対して表示させる制御を行う第2表示制御部と、圧迫部材の種類を検出する検出部と、を備え、第1位置識別情報は圧迫部材の種類に応じて予め定められており、第2表示制御部は、検出部が検出した圧迫部材の種類に応じた第2位置識別情報を表示させる制御を行う
【0009】
また、上記目的を達成するために本開示の第2の態様の放射線画像撮影システムは、圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、マンモグラフィ装置により撮影された放射線画像を表示装置に表示させる制御を行う第1表示制御部と、圧迫部材の面内位置に対応する放射線画像上の位置を表す、第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報を、表示装置に表示された放射線画像に対して表示させる制御を行う第2表示制御部と、撮影の種類を検出する検出部と、を備え、第1位置識別情報は撮影の種類に応じて予め定められており、第2表示制御部は、検出部が検出した撮影の種類に応じた第2位置識別情報を表示させる制御を行う
また、上記目的を達成するために本開示の第3の態様の放射線画像撮影システムは、圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、マンモグラフィ装置により撮影された放射線画像を表示装置に表示させる制御を行う第1表示制御部と、圧迫部材の面内位置に対応する放射線画像上の位置を表す、第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報を、表示装置に表示された放射線画像に対して表示させる制御を行う第2表示制御部と、放射線を照射する照射野を表す情報を取得する取得部と、を備え、第1位置識別情報は照射野に応じて予め定められており、第2表示制御部は、取得が取得した照射野を表す情報によって表される照射野に応じた第2位置識別情報を表示させる制御を行う。
本開示の第4の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第3の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、圧迫面は、放射線源による放射線が照射される第1の面、第1の面の反対側である乳房に接する側の第2の面、及び第1の面と第2の面の間に位置し第1の面に平行な第3の面、のいずれかである。
【0010】
本開示の第の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第4の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、放射線画像の撮影後、予め定められた時間以上、圧迫部材が圧迫状態を維持している場合、第2位置識別情報を表示させる制御を行う。
【0011】
本開示の第の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第4の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、放射線画像の撮影後、圧迫状態のままで乳房の超音波画像を撮影する連続撮影を行う場合、第2位置識別情報を表示させる制御を行う。
【0012】
本開示の第の態様の放射線画像撮影システムは、第の態様の放射線画像撮影システムにおいて、乳房の乳腺量を表す乳腺量情報を取得する取得部をさらに備え、第2表示制御部は、乳腺量情報が表す乳腺量が予め定められた乳腺量以上の場合を、連続撮影を行う場合とする。
【0013】
本開示の第の態様の放射線画像撮影システムは、第の態様の放射線画像撮影システムにおいて、放射線画像に基づいて、乳房の乳腺の領域を表す領域情報を取得する取得部をさらに備え、第2表示制御部は、領域情報が表す乳腺の領域の大きさが予め定められた大きさ以上の場合を、連続撮影を行う場合とする。
【0014】
本開示の第の態様の放射線画像撮影システムは、第の態様から第の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、連続撮影が行われ、かつ放射線画像が複数の乳腺領域を含む場合、超音波画像の撮影が終了した乳腺領域と、超音波画像の撮影が未終了の乳腺領域とで第2位置識別情報の表示形態を異ならせる。
【0015】
本開示の第10の態様の放射線画像撮影システムは、第の態様から第の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、超音波画像の撮影が終了した場合、第2位置識別情報の表示を終了する。
【0016】
本開示の第11の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、第2位置識別情報の表示後に、圧迫部材による乳房の圧迫が解除された場合、第2位置識別情報の表示を終了する。
【0017】
本開示の第12の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第11の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、放射線画像には、第1位置識別情報の画像は含まれない。
【0019】
本開示の第13の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第12の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、マンモグラフィ装置に、第1位置識別情報が付与された圧迫部材に代わり、第1位置識別情報が付与されていない圧迫部材が設けられ、第1位置識別情報が付与されていない圧迫部材により圧迫状態の乳房の放射線画像の撮影が行われた場合、第2表示制御部は、第2位置識別情報を表示させる制御を行なわない。
【0020】
本開示の第14の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第13の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、放射線画像に含まれる乳房の乳腺の領域に対して第2位置識別情報を表示させる制御を行う。
【0021】
本開示の第15の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第14の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、表示装置に表示された放射線画像上の位置の指定を受け付ける受付部をさらに備え、第2表示制御部は、受付部が放射線画像上の位置の指定を受け付けた場合、第2位置識別情報を表示させる制御を行う。
【0022】
本開示の第16の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第14の態様のいずれか1態様に記載の放射線画像撮影システムにおいて、表示装置に表示された放射線画像上の位置の指定を受け付ける受付部をさらに備え、第2表示制御部は、受付部が受け付けた放射線画像上の位置が乳房の乳腺の領域内の位置である場合、第2位置識別情報を表示させる制御を行う。
【0023】
本開示の第17の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第13の態様のいずれか1態様に記載の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、放射線画像における乳房の乳腺の領域に対する第2位置識別情報と、乳腺の領域以外に対する第2位置識別情報とを異なる表示形態で表示させる制御を行う。
【0024】
本開示の第18の態様の放射線画像撮影システムは、第17の態様の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、放射線画像が乳腺の領域を複数含む場合、乳腺の領域毎に、第2位置識別情報の表示形態を異ならせる。
【0025】
本開示の第19の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第18の態様のいずれか1態様に記載の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、第1表示制御部が、表示装置に表示させた放射線画像の大きさを変化させた場合、放射線画像の大きさの変化に追従して第2位置識別情報の表示を変化させる制御を行う。
【0026】
本開示の第20の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第19の態様のいずれか1態様に記載の放射線画像撮影システムにおいて、第2表示制御部は、第2位置識別情報を可聴表示させる制御を行う。
【0027】
本開示の第21の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第20の態様のいずれか1態様に記載の放射線画像撮影システムにおいて、圧迫部材は、乳房を圧迫する第1圧迫部材と、第1圧迫部材に着脱が可能とされ、かつ第1位置識別情報が付与された第2圧迫部材と、を含む。
【0028】
また、上記目的を達成するために本開示の第22の態様の医用撮影システムは、第1の態様から第21の態様のいずれか1態様に記載の放射線画像撮影システムと、圧迫部材により圧迫状態にされた乳房の超音波画像を撮影する超音波画像撮影装置と、を備える。
【0029】
また、上記目的を達成するために本開示の第23の態様の放射線画像撮影システムは、圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、圧迫部材の種類、撮影の種類、及び放射線源の照射野の少なくとも一つに応じて、第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報が対応付けられている画像目盛情報と、少なくとも一つに関する情報を取得する取得部と、取得部が取得した情報及び画像目盛情報に基づいて選択された第2位置識別情報を、マンモグラフィ装置により撮影された放射線画像に対して表示させる制御を行う表示制御部と、を備える。
【0030】
また、上記目的を達成するために本開示の第24の態様の制御方法は、圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、圧迫部材の種類、撮影の種類、及び放射線源の照射野の少なくとも一つに応じて、第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報が対応付けられている画像目盛情報と、を備えた放射線画像撮影システムの制御方法であって、少なくとも一つに関する情報を取得し、取得した情報及び画像目盛情報に基づいて選択された第2位置識別情報を、マンモグラフィ装置により撮影された放射線画像に対して表示させる制御を行う、処理をコンピュータが実行する制御方法である。
【0031】
また、上記目的を達成するために本開示の第25の態様の制御プログラムは、圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、圧迫部材の種類、撮影の種類、及び放射線源の照射野の少なくとも一つに応じて、第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報が対応付けられている画像目盛情報と、を備えた放射線画像撮影システムの制御を行うコンピュータに、少なくとも一つに関する情報を取得し、取得した情報及び画像目盛情報に基づいて選択された第2位置識別情報を、マンモグラフィ装置により撮影された放射線画像に対して表示させる制御を行う、処理を実行させるためのものである。
【0034】
また、本開示の放射線画像撮影システムは、プロセッサを有する放射線画像撮影システムであって、プロセッサが、圧迫面の面内位置を識別するための第1位置識別情報が付与された圧迫部材により、放射線源と放射線検出器との間に配置された乳房を圧迫状態にして、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置と、圧迫部材の種類、撮影の種類、及び放射線源の照射野の少なくとも一つに応じて、第1位置識別情報に対応する第2位置識別情報が対応付けられている画像目盛情報と、を備えた放射線画像撮影システムに対して、少なくとも一つに関する情報を取得し、取得した情報及び画像目盛情報に基づいて選択された第2位置識別情報を、マンモグラフィ装置により撮影された放射線画像に対して表示させる制御を行う。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、放射線画像上の位置と、圧迫部材上の位置との対応を分かり易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態の医用撮影システムにおける全体の構成の一例を概略的に表した構成図である。
図2】第1実施形態のコンソール及びマンモグラフィ装置の構成の一例を表したブロック図である。
図3】第1実施形態のマンモグラフィ装置の外観の一例を表す側面図である。
図4A】第1実施形態の圧迫板を上面側からみた状態の一例を表す平面図である。
図4B】圧迫板目盛の一例を示す図である。
図5A】第1実施形態の画像目盛情報の一例を示す図である。
図5B】第1実施形態の画像目盛情報の他の例を示す図である。
図5C】第1実施形態の画像目盛情報の他の例を示す図である。
図6】第1実施形態のマンモグラフィ装置及びコンソールの機能の一例を表す機能ブロック図である。
図7】第1実施形態の超音波画像撮影装置の構成の一例を表したブロック図である。
図8】第1実施形態の画像保存システムの構成の一例を表したブロック図である。
図9】第1実施形態のコンソールにおける表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図10】第1実施形態の表示部に表示された放射線画像の一例を示す図である。
図11】第1実施形態の画像目盛の一例を示す図である。
図12】第1実施形態の表示部に表示された放射線画像に対して表示される画像目盛の一例を示す図である。
図13】変形例1及び2のマンモグラフィ装置及びコンソールの機能の一例を表す機能ブロック図である。
図14】変形例1のコンソールにおける表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図15】変形例2のコンソールにおける表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図16】変形例3のコンソールにおける表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図17】第2実施形態のコンソールにおける表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図18A】第2実施形態の表示部に表示された放射線画像に対して表示される画像目盛の一例を示す図である。
図18B】第2実施形態の表示部に表示された放射線画像に対して表示される画像目盛の他の例を示す図である。
図18C】第2実施形態の表示部に表示された放射線画像に対して表示される画像目盛の他の例を示す図である。
図19】第2実施形態の表示部に表示された放射線画像に対して表示される、乳腺領域が複数ある場合の画像目盛の一例を示す図である。
図20】第2実施形態の表示部に表示された放射線画像に対して表示される、乳腺領域が複数ある場合の画像目盛の他の例を示す図である。
図21A】超音波画像の撮影が終了した乳腺画像と撮影が未終了の乳腺画像とで、対応する乳腺領域識別情報の表示形態を異ならせる形態例を説明するための図である。
図21B】超音波画像の撮影が終了した乳腺画像と撮影が未終了の乳腺画像とで、対応する乳腺領域識別情報の表示形態を異ならせる形態例を説明するための図である。
図21C】超音波画像の撮影が終了した乳腺画像と撮影が未終了の乳腺画像とで、対応する乳腺領域識別情報の表示形態を異ならせる形態例を説明するための図である。
図21D】超音波画像の撮影が終了した乳腺画像と撮影が未終了の乳腺画像とで、対応する乳腺領域識別情報の表示形態を異ならせる形態例を説明するための図である。
図22】第2実施形態の表示部に表示された放射線画像に対して表示される画像目盛の他の例を示す図である。
図23】第3実施形態の医用撮影システムにおける全体の構成の一例を概略的に表した構成図である。
図24】第3実施形態のコンソール及び医用撮影装置の構成の一例を表したブロック図である。
図25A】圧迫板の他の例を示す斜視図である。
図25B】圧迫板の他の例を示す斜視図である。
図25C】圧迫板の他の例を示す側面図である。
図25D】圧迫板の他の例を示す側面図である。
図26A】圧迫板目盛の他の例を示す図である。
図26B】圧迫板目盛の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各実施形態は本発明を限定するものではない。
【0038】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の医用撮影システムにおける、全体の構成の一例について説明する。図1には、本実施形態の医用撮影システム1における、全体の構成の一例を表す構成図が示されている。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の医用撮影システム1は、放射線画像撮影システム2、超音波画像撮影装置16、及び画像保存システム18を備える。
【0040】
まず、放射線画像撮影システム2の構成について説明する。放射線画像撮影システム2は、マンモグラフィ装置10及びコンソール12を含む。図2には、マンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成の一例を表すブロック図が示されている。また、図3には、本実施形態のマンモグラフィ装置10の外観の一例を表す側面図が示されている。なお、図3は、被検者の右側からマンモグラフィ装置10を見た場合の外観の一例を示している。
【0041】
本実施形態のマンモグラフィ装置10は、被検者の乳房を被写体として、乳房に放射線R(例えば、X線)を照射して乳房の放射線画像を撮影する装置である。なお、マンモグラフィ装置10は、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子(車椅子を含む)等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房を撮影する装置であってもよい。
【0042】
図2に示すように、本実施形態のマンモグラフィ装置10は、制御部20、記憶部22、I/F(Interface)部24、操作部26、放射線検出器30、圧迫板駆動部32、圧迫板34、圧迫板検出センサ35、放射線照射部36、及び線源移動部37を備える。制御部20、記憶部22、I/F部24、操作部26、放射線検出器30、圧迫板駆動部32、圧迫板検出センサ35、放射線照射部36、及び線源移動部37は、システムバスやコントロールバス等のバス39を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0043】
本実施形態の制御部20は、コンソール12の制御に応じて、マンモグラフィ装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、及びRAM(Random Access Memory)20Cを備える。ROM20Bには、CPU20Aで実行される、放射線画像の撮影に関する制御を行うための撮影処理プログラム21を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM20Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0044】
放射線検出器30は、被写体である乳房を通過した放射線Rを検出する。図3に示すように、放射線検出器30は、撮影台40の内部に配置されている。本実施形態のマンモグラフィ装置10では、撮影を行う場合、撮影台40の撮影面40A上には、被検者の乳房が医師及び技師等のユーザによってポジショニングされる。被検者の乳房が接する撮影面40A等は、放射線Rの透過性や強度の観点から、例えば、カーボン等で形成されている。
【0045】
放射線検出器30は、被検体の乳房及び撮影台40を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。本実施形態の放射線検出器30の種類は、特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0046】
記憶部22には、放射線検出器30により撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部22の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。I/F部24は、無線通信または有線通信により、コンソール12との間で各種情報の通信を行う。マンモグラフィ装置10で放射線検出器30により撮影された放射線画像の画像データは、I/F部24を介してコンソール12に無線通信または有線通信によって送信される。
【0047】
操作部26は、例えば、マンモグラフィ装置10の撮影台40等に複数のスイッチとして設けられている。なお、操作部26は、タッチパネル式のスイッチとして設けられていてもよいし、ユーザが足で操作するフットスイッチとして設けられていてもよい。
【0048】
放射線照射部36は、放射線源36Rを備えている。図3に示すように放射線照射部36は、撮影台40及び圧迫ユニット46と共にアーム部42に設けられている。なお、図3に示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、アーム部42と、基台44と、軸部45と、を備えている。アーム部42は、基台44によって、上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持される。軸部45は、アーム部42を基台44に連結する。またアーム部42は、線源移動部37によって軸部45を回転軸として、基台44に対して相対的に回転可能となっている。
【0049】
本実施形態のマンモグラフィ装置10では、放射線画像の撮影について、少なくとも2種類の撮影を行うことができる。具体的には、マンモグラフィ装置10は、乳房に対して、撮影方向が頭尾方向である、CC(Cranio-Cauda)撮影、及び撮影方向が内外斜位方向であるMLO(Medio-Lateral Oblique)撮影の2種類の撮影を少なくとも行うことができる。以下の説明では、放射線画像の撮影において、放射線源36Rから撮影台40へ放射線Rを照射する場合における放射線源36Rの位置を「撮影位置」という。
【0050】
CC撮影を行う場合は、撮影面40Aがマンモグラフィ装置10の上側(被検者の頭側)を向いた状態に調整される。また、放射線源36Rの位置が、撮影台40の撮影面40Aと対向する撮影位置に調整される。これにより、被検者の頭側から足側に向かって、放射線源36Rから乳房へ放射線Rが照射されて、CC撮影が行われる。
【0051】
一方、MLO撮影を行う場合は、CC撮影を行う場合に対して撮影面40Aを、例えば45度以上90度未満の範囲内の予め定められた角度まで回転された状態に撮影台40の位置が調整される。具体的には、左の乳房を撮影する場合は、撮影面40Aを右側に傾斜させた状態とし、右の乳房を撮影する場合は、撮影面40Aを左側に傾斜させた状態とする。これにより、被検者の胴体の中心側から外側へ向かって(被検者の乳房同士の間から腕側に向けて)、放射線源36Rから乳房へ放射線Rが照射されて、MLO撮影が行われる。
【0052】
また、圧迫板駆動部32は圧迫ユニット46に設けられており、圧迫板34の支持部34Bは、圧迫板駆動部32に取り付けられる。圧迫板駆動部32に取り付けられる側の圧迫板34Bの面34Cには、圧迫板34の種類(詳細後述)を識別するための圧迫板識別子(図示省略)が設けられている。圧迫ユニット46には圧迫板検出センサ35が設けられており、圧迫板34の支持部34Bが圧迫板駆動部32に取り付けられると、圧迫板検出センサ35が面34Cに設けられた圧迫板識別子を読み取って、取り付けられた圧迫板34の種類を検出する。なお、本実施形態の圧迫板34が、本開示の圧迫部材の一例である。
【0053】
圧迫ユニット46と、アーム部42とは、軸部45を回転軸として、別々に、基台44に対して相対的に回転可能となっている。本実施形態では、軸部45、アーム部42、及び圧迫ユニット46にそれぞれギア(図示省略)が設けられ、このギア同士の噛合状態及び非噛合状態を切替えることにより、アーム部42及び圧迫ユニット46の各々が軸部45に連結される。軸部45に連結されたアーム部42及び圧迫ユニット46の一方または両方が、軸部45と一体に回転する。
【0054】
本実施形態の圧迫板34は、板状の圧迫部材であり、圧迫板駆動部32により上下方向(Z軸方向)に移動し、撮影台40との間で被検者の乳房を圧迫する。図3に示すように、圧迫板34の移動方向について、また、乳房を圧迫する方向、換言すると、撮影面40Aに近付く方向を「圧迫方向」といい、乳房への圧迫を解除する方向、換言すると、放射線照射部36に近付く方向を「圧迫解除方向」という。
【0055】
圧迫板34は、乳房の圧迫において位置合わせや圧迫状態の確認を行うために光学的に透明であることが好ましく、また、放射線Rの透過性に優れた材料によって形成される。さらに、圧迫板34は、超音波画像撮影装置16の超音波プローブ65(図7参照、詳細後述)から送信される超音波を伝播し易い材料により形成されていることが望ましい。圧迫板34の材料としては、例えば、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、アクリル、及びポリエチレンテレフタレート等の樹脂を用いることができる。特に、ポリメチルペンテンは、剛性が低く伸縮性及び可撓性に優れると共に、超音波の反射率に影響する音響インピーダンスと超音波の減衰に影響する減衰係数とにおいて適した値を有するので、圧迫板34の材料として適している。なお、圧迫板34を構成する部材は、本実施形態に限定されない。例えば、圧迫板34を構成する部材は、フィルム状の部材であってもよい。
【0056】
また、図4Aに示すように、本実施形態の圧迫板34の上面34Aには、放射線検出器30により撮影された放射線画像上の位置に対応する、上面34Aの面内位置を識別するための圧迫板目盛70が設けられている。換言すると、圧迫板34の上面34Aには、圧迫板34上の位置を識別するための圧迫板目盛70が設けられている。本実施形態の上面34Aが本開示の第1の面の一例であり、本実施形態の圧迫板目盛70が本開示の第1位置識別情報の一例である。このように、本開示の第1の面とは、圧迫板34において放射線が照射される面(本実施形態では上面34A)であり、換言すると、圧迫板34において、放射線源36Rに近い側の面である。
【0057】
コンソール12の表示部58等に表示された状態の放射線画像と、圧迫板34により圧迫状態にある乳房とでは、見え方等が異なる。例えば、表示されている放射線画像における乳房の画像の大きさは、圧迫状態にある実際の乳房と大きさが異なる場合がある。そのため、放射線画像上の位置と、圧迫板34上の位置との対応が分かり難い場合がある。例えば、超音波画像の撮影を行う場合、乳房全体の超音波画像を撮影するのではなく、乳腺領域を中心とした超音波画像を撮影する場合がある。この場合、放射線検出器30により撮影された放射線画像から乳腺領域を特定するが、放射線画像において乳腺領域として特定した領域が、圧迫板34上のどの位置に該当するか判別し難い場合がある。
【0058】
そこで一例として図4Aに示すように本実施形態の圧迫板34の上面34Aには、図4Bに一例を示した圧迫板目盛70が設けられている。図4A及び図4Bに示すように、本実施形態の圧迫板目盛70は、実線及び点線を含む格子状の複数の線と、複数の線の各々を識別する記号を含む。具体的には、圧迫板目盛70は、13本の縦線を含み、被検者の左側から順に、各縦線にA~Mまでのアルファベットが付与されている。また、圧迫板目盛70は、11本の横線を含み、被検者の胸壁側から順に、各横線に1~11までの番号が付与されている。本実施形態の放射線画像撮影システム2では、縦線を表すアルファベットと、横線を表す数字の組み合わせにより、圧迫板34の上面34Aでの位置を特定する。
【0059】
なお、圧迫板目盛70は、放射線検出器30により撮影される放射線画像には写らない。換言すると、撮影された放射線画像には圧迫板目盛70を表す画像が含まれない。圧迫板目盛70の材料としては、例えば、カーボン(C)等を用いることができる。また、圧迫板目盛70は、放射線画像に写らないという観点からは、上記の格子状の複数の線を細線とし、また記号を小さくすることが好ましい。
【0060】
また、本実施形態では、圧迫板目盛70が圧迫板34の上面34Aに設けられている形態について説明するが、圧迫板目盛70が設けられる位置は、上面34Aに限定されない。例えば、圧迫板34において撮影台40と対向する側の下面34D、換言すると乳房と接する側の面である下面34Dに設けられていてもよく、圧迫板34の上面34A、下面34D、上面34A及び下面34Dとの間で、上面34Aと平行な面のいずれかに設けられていればよい。なお、本実施形態の下面34Dが本開示の第2の面の一例であり、本実施形態の上面34Aと平行な面が本開示の第3の面の一例である。このように、本開示の第2の面とは、圧迫板34において乳房と接する側の面(本実施形態では下面34D)であり、換言すると、圧迫板34において、放射線源36Rに遠い側の面である。また、本開示の第3の面とは、圧迫板34における第1の面と平行な断面であり、圧迫板34内部に存在する面である。
【0061】
なお、本実施形態のマンモグラフィ装置10に設けられる圧迫板34は、図4Aに示したものに限定されず、複数種類の圧迫板34を設けることが可能である。例えば、圧迫板34は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するものであってもよい。換言すると、乳房よりも小さい圧迫板34でもよい。このような圧迫板34としては、例えば、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影に用いられる圧迫板34が知られている。
【0062】
またその他の種類の圧迫板34としては、例えば、乳房の大きさに応じた圧迫板、腋窩撮影用の圧迫板、及び拡大撮影用の圧迫板等が挙げられる。本実施形態の放射線画像撮影システム2では、これらの圧迫板34の種類に応じて、圧迫板目盛70が異なる場合がある。例えば、上述した圧迫板目盛70の格子の大きさが異なる場合、格子の形状が異なる場合、及び各線に対応する記号が異なる場合がある。
【0063】
一方、本実施形態のコンソール12は、無線通信LAN(Local Area Network)等を介してRIS(Radiology Information System)5等から取得した撮影オーダ及び各種情報と、操作部56等によりユーザにより行われた指示等とを用いて、マンモグラフィ装置10の制御を行う機能を有している。
【0064】
本実施形態のコンソール12は、一例として、サーバーコンピュータである。図2に示すように、コンソール12は、制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58を備えている。制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58はシステムバスやコントロールバス等のバス59を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。なお、本実施形態の表示部58が、本開示の表示装置の一例である。
【0065】
本実施形態の制御部50は、コンソール12の全体の動作を制御する。制御部50は、CPU50A、ROM50B、及びRAM50Cを備える。ROM50Bには、CPU50Aで実行される、後述する表示制御処理プログラム51を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM50Cは、各種データを一時的に記憶する。本実施形態の表示制御処理プログラム51が、本開示の制御プログラムの一例である。
【0066】
記憶部52には、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部52の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。また、本実施形態の記憶部52には、画像目盛情報53が記憶される。
【0067】
本実施形態のコンソール12では、表示部58に放射線画像を表示させる場合、撮影に用いた圧迫板34の圧迫板目盛70に応じた画像目盛72(図11参照)を放射線画像に対して表示させる制御を行う。本実施形態の画像目盛72は、本開示の第2位置識別情報の一例である。上述したように、圧迫板34には複数種類が有り、種類によって、圧迫板目盛70が異なる場合があるため、本実施形態では、圧迫板34の種類毎に、表示させるべき画像目盛72が予め対応付けられており、画像目盛情報53は、圧迫板34の種類と表示させるべき画像目盛72を表す情報との対応関係を表す。図5Aには、本実施形態の画像目盛情報53の一例を示す。図5Aに示した画像目盛情報53は、圧迫板の種類を表す圧迫板ID(Identification)と、画像目盛72を表す画像目盛IDとの対応関係が示されている。図5Aに示した画像目盛情報53によれば、例えば、圧迫板IDが「B0021」の圧迫板34には、画像目盛が「S0021」の画像目盛72が対応付けられている。なお、図5Aに示すように、圧迫板IDが「B0010」の圧迫板34には、画像目盛IDが対応付けられていない(図5A「無」参照)。これは、圧迫板IDが「B0010」で表される種類の圧迫板34には、圧迫板目盛70が付与されておらず、従って、対応する画像目盛72が存在しないことを表している。このように本実施形態のマンモグラフィ装置10には、圧迫板目盛70が付与されていない圧迫板34が設けられる場合もある。
【0068】
また、本実施形態のマンモグラフィ装置10では、CC撮影の場合とMLO撮影の場合とで、撮影台40に対する圧迫板34の位置が異なる。そのため、同一の種類の圧迫板34を用いても、CC撮影により撮影された放射線画像に対応する画像目盛72と、MLO撮影により撮影された放射線画像に対応する画像目盛72とが異なる場合がある。一例として、図5Aに示した画像目盛情報53では、このように撮影の種類が異なる場合も圧迫板34の種類が異なる撮影であるとみなしている。換言すると、本実施形態では、撮影の種類も含めて圧迫板34の種類と称している。例えば、図5Aにおいて圧迫板IDが「B0021」の圧迫板34は、CC撮影が行われる場合の圧迫板34を表し、圧迫板IDが「B0022」の圧迫板34は、圧迫板IDが「B0021」の圧迫板34を用いてMLO撮影により被検者の右乳房を撮影した場合の圧迫板34を表している。また、圧迫板IDが「B0023」の圧迫板34は、圧迫板IDが「B0021」の圧迫板34を用いてMLO撮影により被検者の左乳房を撮影した場合の圧迫板34を表している。なお、本実施形態では、撮影の種類としてCC撮影及びMLO撮影を例示したが、撮影の種類はこれらに限定されず、例えばトモシンセシス撮影等が撮影の種類として含まれていてもよい。
【0069】
なお、本実施形態の画像目盛情報53と異なり、圧迫板34の種類に、撮影の種類を含めなくてもよい。この場合の画像目盛情報53の一例を図5Bに示す。図5Bに示した画像目盛情報53には、圧迫板34そのものの種類を表す圧迫板IDと、撮影の種類と、画像目盛72を表す画像目盛IDとの対応関係が示されている。図5Bに示した画像目盛情報53によれば、例えば、圧迫板IDが「B0020」の圧迫板34であり、かつ撮影の種類が「CC」であるCC撮影には、画像目盛が「S0021」の画像目盛72が対応付けられている。また例えば、圧迫板IDが「B0020」の圧迫板34であり、かつ撮影の種類が「MLO(右)」である右乳房のMLO撮影には、画像目盛が「S0022」の画像目盛72が対応付けられている。
【0070】
また、画像目盛情報53は、上述した図5Aに示した画像目盛情報53及び図5Bに示した画像目盛情報53に限定されるものではない。一例として図5Cには、圧迫板IDと、照射野を表す情報と、画像目盛IDとの対応関係を示す画像目盛情報53を示す。本実施形態のマンモグラフィ装置10では、放射線源36Rから照射する放射線Rの照射野のサイズ及び位置は、図示を省略したコリメータによって定められる。照射野のサイズ及び位置に応じて、撮影される放射線画像が変化するため、放射線画像に対して表示させるべき画像目盛72も変化する。この場合、放射線画像に対して表示させるべき画像目盛72を特定するパラメータの一つとして照射野を表す情報を用いることが好ましい。図5Cに示した画像目盛情報53は、図5Aに示した画像目盛情報53において、画像目盛72を特定するパラメータとして照射野をさらに追加した対応関係を表す情報である。
【0071】
操作部56は、放射線Rの照射指示を含む放射線画像の撮影等に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。そのため、本実施形態の操作部56は、放射線Rの照射を指示する場合に、ユーザが押圧する照射指示ボタンが少なくとも含まれる。なお、操作部56は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。表示部58は、各種情報を表示する。なお、操作部56と表示部58とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0072】
I/F部54は、無線通信または有線通信により、マンモグラフィ装置10、RIS5、及び画像保存システム18との間で各種情報の通信を行う。本実施形態の放射線画像撮影システム2では、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データは、コンソール12が、I/F部54を介して無線通信または有線通信によりマンモグラフィ装置10から受信する。
【0073】
さらに、図6には、本実施形態のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成の一例の機能ブロック図を示す。図6に示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、検出部80を備える。一例として本実施形態のマンモグラフィ装置10は、制御部20のCPU20AがROM20Bに記憶されている撮影処理プログラム21を実行することにより、制御部20が、検出部80として機能する。
【0074】
マンモグラフィ装置10の検出部80は、圧迫板検出センサ35が読み取った圧迫板34の面34Cに設けられた圧迫板識別子に基づいてマンモグラフィ装置10に取り付けられた圧迫板34の種類を検出し、検出結果をコンソール12に出力する。
【0075】
一方、本実施形態のコンソール12は、第1表示制御部82、第2表示制御部84、及び受付部86を備える。一例として本実施形態のコンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている表示制御処理プログラム51を実行することにより、制御部50が、第1表示制御部82、第2表示制御部84、及び受付部86として機能する。
【0076】
第1表示制御部82には、マンモグラフィ装置10により撮影された放射線画像90の画像データが入力される。第1表示制御部82は、入力された画像データが表す放射線画像90を表示部58に表示させる制御を行う。
【0077】
第2表示制御部84には、マンモグラフィ装置10の検出部80から検出結果が入力される。第2表示制御部84は、画像目盛情報53を参照し、検出結果が示す圧迫板34の種類に対応する画像目盛72を特定する。また、第2表示制御部84は、特定した画像目盛72を、第1表示制御部82が表示部58に表示させた放射線画像90に対して表示させる制御を行う。
【0078】
受付部86は、表示部58に表示された放射線画像90に対してユーザが行った各種の指定を受け付ける。一例として本実施形態では、表示部58に表示されている放射線画像90に対して画像目盛72を表示及び非表示のいずれとするかを受け付ける。なお、本実施形態では、表示部58に画像目盛72を表示させることを画像目盛72を「オン」にするともいい、画像目盛72を非表示させることを画像目盛72を「オフ」にするともいう。
【0079】
次に、超音波画像撮影装置16の構成について説明する。図7には、超音波画像撮影装置16の構成の一例を表すブロック図が示されている。超音波画像撮影装置16は、ユーザによって、被検者の乳房を被写体とした超音波画像を撮影する装置であり、いわゆる、ハンドヘルドタイプの超音波画像撮影装置である。
【0080】
図7に示すように、超音波画像撮影装置16は、制御部60、記憶部62、I/F部64、超音波プローブ65、操作部66、及び表示部68を備えている。制御部60、記憶部62、I/F部64、超音波プローブ65、操作部66、及び表示部68はシステムバスやコントロールバス等のバス69を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0081】
本実施形態の制御部60は、超音波画像撮影装置16の全体の動作を制御する。制御部60は、CPU60A、ROM60B、及びRAM60Cを備える。ROM60Bには、CPU60Aで実行される、各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM60Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0082】
記憶部62には、撮影された超音波画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部62の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。
【0083】
超音波プローブ65は、ユーザによって、圧迫板34の上面34A(図3参照、被検者の乳房に接する側と反対側の面)に沿って移動され、乳房を超音波で走査することにより乳房の超音波画像を取得する。具体的には、超音波撮影が行われる場合には、超音波プローブ65は、圧迫板34の上面34Aにエコーゼリー等の音響マッチング部材(図示省略)が塗布された状態で、ユーザにより、圧迫板34の上面34Aに沿って移動される。本実施形態では、上述したように圧迫板34の上面34Aには圧迫板目盛70が付与されているため、ユーザは、圧迫板目盛70により乳腺領域の位置を確認しながら、超音波プローブ65を移動させることができる。
【0084】
超音波プローブ65は、1次元状、又は、2次元状に配列された複数の超音波トランスデューサ(図示省略)を備える。各々の超音波トランスデューサは、印加される駆動信号に基づいて超音波を送信すると共に、超音波エコーを受信することにより受信信号を出力する。
【0085】
複数の超音波トランスデューサの各々は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電性を有する材料(圧電体)の両端に電極を形成した振動子により構成される。振動子の電極に、パルス状又は連続波の駆動信号を送って電圧を印加すると、圧電体が伸縮する。この伸縮によって、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生し、それらの超音波の合成によって超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力され、ケーブル(図示省略)を介して、超音波画像撮影装置16の本体(図示省略)に入力される。
【0086】
操作部66は、超音波画像の撮影等に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。操作部66は、特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。表示部68は、各種情報や、超音波プローブ65から受信した受信信号に応じた超音波画像等を表示する。なお、操作部66と表示部68とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0087】
I/F部64は、無線通信または有線通信により、RIS5、及び画像保存システム18との間で各種情報の通信を行う。超音波画像撮影装置16により撮影された超音波画像の画像データは、I/F部64を介して画像保存システム18に無線通信または有線通信によって送信される。
【0088】
次に、画像保存システム18の構成について説明する。図8には、画像保存システム18の構成の一例を表すブロック図が示されている。画像保存システム18は、放射線画像撮影システム2により撮影された放射線画像の画像データ、及び超音波画像撮影装置16により撮影された超音波画像の画像データを保存するシステムである。画像保存システム18は、保存している放射線画像及び超音波画像から、コンソール12、超音波画像撮影装置16、及びその他の読影装置(図示省略)等からの要求に応じた画像を取り出して、要求元の装置に送信する。画像保存システム18の具体例としては、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)が挙げられる。
【0089】
図8に示すように、画像保存システム18は、制御部76、記憶部77、及びI/F部78を備えている。制御部76、記憶部77、及びI/F部78はシステムバスやコントロールバス等のバス79を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0090】
本実施形態の制御部76は、超音波画像撮影装置16の全体の動作を制御する。制御部76は、CPU76A、ROM76B、及びRAM76Cを備える。ROM76Bには、CPU76Aで実行される、各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM76Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0091】
記憶部77は、放射線画像の画像データ及び超音波画像の画像データの各々を、撮影オーダや被検者に関する情報等と関連付けて記憶する、いわゆるデータベースである。
【0092】
I/F部78は、無線通信または有線通信により、コンソール12及び超音波画像撮影装置16との間で各種情報の通信を行う機能を有している。
【0093】
次に、本実施形態のコンソール12の作用について図面を参照して説明する。
本実施形態のコンソール12は、一例として、ユーザが操作部56により指示した、撮影オーダに応じた撮影開始の指示を受け付けた場合、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている表示制御処理プログラム51を実行することにより、図9に一例を示した表示制御処理を実行する。図9には、本実施形態のコンソール12における表示制御動作の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0094】
本実施形態のマンモグラフィ装置10において放射線画像の撮影を行う場合、マンモグラフィ装置10の制御部20は、放射線画像の撮影の種類に応じた撮影位置に放射線源36R及び撮影台40を配置させる。具体的には、制御部20は、撮影メニューに応じて、CC撮影、被検者の左胸のMLO撮影、及び被検者の右胸のMLO撮影のいずれかにおける撮影位置に放射線源36R及び撮影台40を配置させる。
【0095】
マンモグラフィ装置10の撮影台40及び放射線源36Rが、撮影位置となると、ユーザは、撮影台40の撮影面40A上に、被検者の乳房をポジショニングする。ポジショニングが完了すると、ユーザは、操作部26により圧迫を指示する。圧迫の指示に応じて、圧迫板駆動部32によって圧迫方向へ圧迫板34が移動されて、圧迫板34により撮影台40の撮影面40Aとの間で乳房が圧迫される。
【0096】
圧迫板34により乳房を圧迫することにより、乳腺組織の重なりを展開し、良性病変及び悪性病変のいずれであるかの判断等を行いやすくすることができる。また、圧迫板34により圧迫することで乳房を撮影台40に固定することにより、被検者の体動を抑制するため、体動により生じる放射線画像のボケを抑制することができる。さらに、圧迫板34により乳房を圧迫することで乳房の厚みが薄くなるため、乳房の被曝を低減することができる。
【0097】
圧迫板34により乳房が固定されると、ユーザは、コンソール12の操作部56に含まれる照射指示ボタンを押圧し、放射線Rの照射指示を行う。照射指示が行われると、コンソール12の制御に応じてマンモグラフィ装置10の制御部20は、放射線源36Rから放射線Rを、圧迫板34により圧迫された状態の乳房に向けて照射させる。そして、放射線検出器30により乳房を透過した放射線Rに応じて放射線画像を生成する。撮影された放射線画像の画像データは、コンソール12に送信される。
【0098】
図9に示した表示制御処理では、まず、ステップS100で第1表示制御部82は、マンモグラフィ装置10から放射線画像90の画像データを受信したか否か判定する。マンモグラフィ装置10から放射線画像90の画像データを受診するまで、ステップS100の判定が否定判定となる。一方、マンモグラフィ装置10から放射線画像90の画像データを受信するとステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0099】
ステップS102で第1表示制御部82は、受信した画像データが表す放射線画像90を表示部58に表示させる制御を行う。図10には、表示部58に表示された放射線画像90の一例を示す。図10に示した放射線画像90は、被検者の乳房に対応する乳房画像90Wが含まれ、乳房画像90Wには、乳腺に対応する乳腺画像90Gが含まれる。
【0100】
また、図10に示すように本実施形態の第1表示制御部82は、オンボタン91、オフボタン92、及び終了ボタン93をさらに表示部58に表示させる。オンボタン91は、画像目盛72を表示させる場合にユーザによって操作されるボタンである。オフボタン92は、表示されている画像目盛72を非表示にさせる場合にユーザによって操作されるボタンである。終了ボタン93は、放射線画像90の表示を終了させる場合にユーザによって操作されるボタンである。なお、本実施形態では、放射線画像90等の「表示」について、表示状態から非表示状態に切り替わることを「終了」といい、例えば、表示部58に表示されている放射線画像90を表示部58から消すことをいう。
【0101】
次のステップS104で第2表示制御部84は、超音波画像の撮影を行うか否かを判定する。換言すると、第2表示制御部84は、放射線画像の撮影後に、圧迫板34による乳房の圧迫状態を維持したままで超音波画像の撮影を続けて行う、連続撮影を行うか否かを判定する。一例として、本実施形態の第2表示制御部84は、撮影オーダに、放射線画像及び超音波画像の両方の撮影が指示されていた場合、または、操作部56によりユーザが超音波画像の撮影を行う旨を指示した場合に、超音波画像の撮影を行うと判定する。
【0102】
超音波画像の撮影を行わない場合、ステップS104の判定が否定判定となり、ステップS126へ移行する。一方、超音波画像の撮影を行う場合、ステップS104の判定が肯定判定となり、ステップS106へ移行する。
【0103】
ステップS106で第2表示制御部84は、マンモグラフィ装置10の検出部80から、圧迫板34の種類の検出結果を取得する。
【0104】
次のステップS108で第2表示制御部84は、記憶部52に記憶されている画像目盛情報53(図5A参照)を参照し、上記ステップS106で取得した検出結果が表す圧迫板34の種類に対応する圧迫板IDに対応付けられている画像目盛72を特定する。図11には、第2表示制御部84が特定した画像目盛72の一例を示す。図11に示した画像目盛72は、圧迫板目盛70(図4B参照)と同様に、実線及び点線を含む格子状の複数の線と、複数の線の各々を識別する記号を含む。具体的には、画像目盛72は、13本の横線を含み、各横線にA~Mまでのアルファベットが付与されている。また、画像目盛72は、11本の縦線を含み、各縦線に1~11までの番号が付与されている。本実施形態の放射線画像撮影システム2では、横線を表すアルファベットと、縦線を表す数字の組み合わせにより、放射線画像90上の位置を特定する。
【0105】
なお、上述したように圧迫板目盛70が付与されていない種類の圧迫板34の場合、画像目盛情報53の圧迫板IDには、画像目盛IDが対応付けられていない。例えば、図5Aに示した画像目盛情報53によれば圧迫板IDが「B0010」の場合、画像目盛IDが対応付けられていない。この場合、第2表示制御部84は、画像目盛72を非表示とすることを特定する。
【0106】
次のステップS110で第2表示制御部84は、画像目盛72を表示させるか否かを判定する。具体的には、第2表示制御部84は、上記ステップS108において、画像目盛72を非表示とすることを特定したか否かを判定する。画像目盛72を表示させない場合、ステップS110の判定が否定判定となり、ステップS126へ移行する。一方、画像目盛72を表示させる場合、ステップS110の判定が肯定判定となり、ステップS112へ移行する。
【0107】
ステップS112で第2表示制御部84は、上記ステップS108で特定した画像目盛72を表示部58に表示されている放射線画像90に対して表示させる制御を行う。図12には、図11に示した画像目盛72を、表示部58に表示された放射線画像90に対して表示させた状態の一例を示す。
【0108】
次のステップS114で第2表示制御部84は、画像目盛72の表示をオフにさせる指示を受付部86が受け付けたか否かを判定する。本実施形態では、表示部58に表示されているオフボタン92がユーザによって操作されていない場合、ステップS114の判定が否定判定となり、ステップS118へ移行する。一方、オフボタン92がユーザによって操作された場合、ステップS114の判定が肯定判定となり、ステップS116へ移行する。
【0109】
ステップS116で第2表示制御部84は、表示部58に表示されている画像目盛72を非表示とさせる制御を行う。本制御により、表示部58における放射線画像90及び画像目盛72の表示状態が、図12に示した状態から図10に示した状態へと変化する。
【0110】
次のステップS118で第2表示制御部84は、画像目盛72の表示をオンにさせる指示を受付部86が受け付けたか否かを判定する。本実施形態では、表示部58に表示されているオンボタン91がユーザによって操作されていない場合、ステップS118の判定が否定判定となり、ステップS122へ移行する。一方、オンボタン91がユーザによって操作された場合、ステップS118の判定が肯定判定となり、ステップS120へ移行する。
【0111】
ステップS120で第2表示制御部84は、表示部58に表示されている放射線画像90に対して画像目盛72を表示させる制御を行う。本制御により、表示部58における放射線画像90及び画像目盛72の表示状態が、図10に示した状態から図12に示した状態へと変化する。
【0112】
表示部58に表示されている放射線画像90に対して、画像目盛72が表示されることにより、ユーザは乳腺画像90Gの位置を画像目盛72により識別することができる。例えば、図12に示した例では、乳腺画像90Gの位置は、画像目盛72の線Fと線4とが交差する「F4」の位置であると識別することができる。なお、乳腺画像90Gの位置の特定方法は、画像目盛72の横線(線A~線M)及び縦線(線1~線11)が交差する位置により特定する方法に限定されない。例えば、乳腺画像90Gを囲む画像目盛72の線によって特定する方法を用いてもよい。例えば、図12に示した乳腺画像90Gの場合、画像目盛72の線E、線G、線3、及び線5で囲まれる領域内であるとの位置を乳腺画像90Gの位置として特定してもよい。この場合、例えば、乳腺画像90Gが小さく、画像目盛72における位置を特定するための線の交差部分に乳腺画像90Gが架からない場合であっても乳腺画像90Gの位置を適切に特定することができる。
【0113】
また、複数の線の各々によって形成される複数の格子のうち、乳腺画像90Gが含まれる格子の位置を乳腺画像90Gの位置として特定する方法を用いてもよい。例えば、図12に示した乳腺画像90Gの場合、4つの格子、具体的には、線E、線F、線3、及び線4による格子と、線E、線F、線4、及び線5による格子と、線F、線G、線3、及び線4による格子と、線F、線G、線4、及び線5による格子との位置を放射線画像90の位置として特定してもよい。なお、この場合、各格子の面積に対する、各格子に含まれる乳腺画像90Gの大きさ(面積)が、予め定められた割合以上の格子を乳腺画像90Gが含まれる格子とみなしてもよい。
【0114】
ユーザは、超音波画像撮影装置16により、画像目盛72によって特定された乳腺画像90Gの位置に基づき、圧迫板34により圧迫状態とされている乳房の超音波画像を撮影する。具体的には、ユーザは、圧迫板34の上面34Aに、エコーゼリー等の音響マッチング部材(図示省略)を塗布する。さらに、ユーザは、音響マッチング部材により覆われた、圧迫板34の上面34Aを超音波プローブ65により超音波で走査することで超音波画像を撮影する。撮影された超音波画像は、超音波画像撮影装置16の表示部68に表示される。
【0115】
なお連続撮影を行う場合、放射線画像の撮影を行う状態と、超音波画像の撮影を行う状態とで、乳房の圧迫状態が完全に同一ではなくてもよく、例えば、圧迫板34により乳房を圧迫する圧迫力または圧迫圧力を変化させてもよい。上述したように、圧迫板34により乳房を圧迫することによって乳腺組織の重なりを展開する。そのため、乳腺組織の重なり具合、換言すると乳腺組織の展開具合が変化しない程度、または変化してもその変化量が許容範囲内である程度ならば、圧迫力または圧迫圧力を変化させることが可能である。一例として、放射線画像の撮影の開始から超音波画像の撮影が終了するまで乳房の圧迫状態として、撮影台40の撮影面40Aに接する乳房の面積が変化しない程度に乳房を圧迫し続ければよい。従って、マンモグラフィ装置10では、撮影面40Aに接する乳房の面積に応じて、放射線画像の撮影後、超音波画像の撮影を行う前に乳房の圧迫を弱めてもよい。
【0116】
次のステップS122で第2表示制御部84は、超音波画像の撮影が終了したか否かを判定する。一例として本実施形態では、超音波画像の撮影が終了すると、ユーザがマンモグラフィ装置10の操作部26により圧迫の解除を指示する。そこで、本実施形態の第2表示制御部84は、操作部26により、圧迫の解除が指示された場合、超音波画像の撮影を終了すると判定する。
【0117】
超音波画像の撮影が終了していない場合、換言すると、圧迫の解除が指示されていない場合、ステップS122の判定が否定判定となり、ステップS114に戻り、ステップS116~S120の処理を繰り返す。一方、超音波画像の撮影が終了した場合、換言すると、圧迫の解除が指示された場合、ステップS122の判定が肯定判定となり、ステップS124へ移行する。
【0118】
ステップS124で第2表示制御部84は、表示部58に表示されている放射線画像90に対する画像目盛72の表示を終了する。本処理により、表示部58における放射線画像90及び画像目盛72の表示状態が、図12に示した状態から図10に示した状態へと変化する。
【0119】
次のステップS126で第1表示制御部82は、放射線画像90の表示を終了するか否かを判定する。本実施形態では、表示部58に表示されている終了ボタン93がユーザによって操作されていない場合、ステップS126の判定が否定判定となる。一方、終了ボタン93がユーザによって操作された場合、ステップS126の判定が肯定判定となり、ステップS128へ移行する。
【0120】
ステップS128で第1表示制御部82が、放射線画像90の表示を終了させると、本表示制御処理が終了する。
【0121】
なお、表示制御処理のステップS104で第2表示制御部84が超音波画像を撮影するか否かを判定する方法は、上述した方法に限定されず、例えば、下記変形例1~変形例3の方法を適用してもよい。
【0122】
(変形例1)
被写体である乳房の乳腺量に応じて、第2表示制御部84が、超音波画像を撮影するか否かを判定する形態としてもよい。超音波画像の撮影は、乳腺組織が重なり易い乳腺領域に対して行うことが多い、そのため、乳腺量が比較的多い場合を、超音波画像の撮影を行う場合とすることができる。
【0123】
図13には、この場合の本変形例のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成の一例の機能ブロック図を示す。図13に示したコンソール12は、取得部87をさらに備える点で、上記図6に示したコンソール12の形態と異なる。一例として本変形例のコンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている表示制御処理プログラム51を実行することにより、制御部50が、取得部87として機能する。
【0124】
取得部87は、放射線検出器30が撮影した放射線画像から乳腺量を表す乳腺量情報を取得し、取得した乳腺量情報を第2表示制御部84に出力する。なお、放射線画像から乳腺量の導出を行うのは、例えば、取得部87が行ってもよいし、マンモグラフィ装置10が行ってもよい。乳房の乳腺量を導出する方法は特に限定されない。放射線画像から乳腺量を導出する方法としては、例えば、特開2010-253245号公報に記載の、放射線画像と、放射線画像から推定された脂肪画像とに基づいて、乳腺含有率を推定する技術等の公知の方法を用いてもよい。
【0125】
第2表示制御部84には、取得部87から乳腺量情報が入力される。第2表示制御部84は、入力された乳腺量情報に基づいて、超音波画像の撮影を行うか否かを判定する。一例として本変形例では、乳腺量情報が表す乳腺量が乳腺量閾値以上の場合、乳腺量が多いため超音波画像の撮影を行う。なお、第2表示制御部84が判定に用いる乳腺量閾値は、例えば、実験的に予め得ておいてもよい。また例えば、乳腺量閾値は、乳房の厚み等に応じて異なる値としてもよい。
【0126】
図14には、本変形例のコンソール12における表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートの一部が示されている。図14に示すように、本変形例の表示制御処理は、ステップS104に代わり、ステップS104A及びステップS104Bの各処理を含む点で、本実施形態の表示制御処理(図9参照)と異なっている。
【0127】
図14のステップS104Aで取得部87は、上述したように、乳腺量情報を取得し、取得した乳腺量情報を第2表示制御部84に出力する。
【0128】
次のステップS104Bで第2表示制御部84は、乳腺量情報が表す乳腺量が乳腺量閾値以上であるか否かを判定する。乳腺量が乳腺量閾値以上の場合、ステップS104Bの判定が肯定判定となり、超音波画像を撮影する場合に該当するため、上述のステップS106(図9参照)へ移行する。一方、乳腺量が乳腺量閾値以上ではない場合、換言すると乳腺量が乳腺量閾値未満の場合、ステップS104Bの判定が否定判定となり、超音波画像を撮影しない場合に該当するため、上述のステップS126(図9参照)へ移行する。
【0129】
(変形例2)
被写体である乳房の乳腺領域に応じて、第2表示制御部84が、超音波画像を撮影するか否かを判定する形態としてもよい。乳腺量が多いほど、乳腺領域の大きさが大きくなる傾向がある。変形例1で上述したように、超音波画像の撮影は、乳腺組織が重なり易い乳腺領域に対して行うことが多い、そのため、乳腺量が比較的多い場合を、超音波画像の撮影を行う場合とすることができる。
【0130】
本変形例のコンソール12の構成も、変形例1のコンソール12(図13参照)と同様に、取得部87をさらに備える。
【0131】
取得部87は、放射線検出器30が撮影した放射線画像から乳房における乳腺の領域を表す領域情報を取得し、取得した領域情報を第2表示制御部84に出力する。なお、放射線画像から乳腺領域の導出を行うのは、例えば、取得部87が行ってもよいし、マンモグラフィ装置10が行ってもよい。乳腺の領域を導出する方法は特に限定されない。例えば、乳腺組織に対応する乳腺組織画素を放射線画像から検出し、検出した乳腺領域画素が予め定められた数以上、固まっている領域を、乳腺領域として導出することができる。なお、乳腺組織画素の検出方法も特に限定されず、例えば、特開2010-253245号公報等に記載された技術を適用することができる。この公報に記載された技術を適用する場合、まず、放射線画像を、乳房画像と直接領域とに分割し、次いで、乳房画像内における、大胸筋領域を抽出して、乳房画像から大胸筋領域を除く。そして、大胸筋領域が除かれた乳房画像内で放射線Rの透過量が閾値以下の画素を、乳腺組織領域画素として検出する。
【0132】
第2表示制御部84には、取得部87から領域情報が入力される。第2表示制御部84は、入力された領域情報に基づいて、超音波画像の撮影を行うか否かを判定する。一例として本変形例では、領域情報が表す乳腺領域の大きさが領域閾値以上の場合、乳腺量が多いため超音波画像の撮影を行う。なお、第2表示制御部84が判定に用いる領域閾値は、例えば、実験的に予め得ておいてもよい。また例えば、領域閾値は、乳房の厚み等に応じて異なる値としてもよい。
【0133】
図15には、本変形例のコンソール12における表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートの一部が示されている。図15に示すように、本変形例の表示制御処理は、ステップS104に代わり、ステップS104C及びステップS104Dの各処理を含む点で、本実施形態の表示制御処理プログラム(図9参照)と異なっている。
【0134】
図15のステップS104Cで取得部87は、上述したように、領域情報を取得し、取得した領域情報を第2表示制御部84に出力する。
【0135】
次のステップS104Dで第2表示制御部84は、領域情報が表す乳腺領域の大きさが領域閾値以上であるか否かを判定する。乳腺領域の大きさが領域閾値以上の場合、ステップS104Dの判定が肯定判定となり、超音波画像を撮影する場合に該当するため、上述のステップS106(図9参照)へ移行する。一方、乳腺領域の大きさが領域閾値以上ではない場合、換言すると乳腺領域の大きさが領域閾値未満の場合、ステップS104Dの判定が否定判定となり、超音波画像を撮影しない場合に該当するため、上述のステップS126(図9参照)へ移行する。
【0136】
(変形例3)
放射線画像の撮影後に、圧迫板34により乳房の圧迫状態を維持している時間に応じて、第2表示制御部84が、超音波画像を撮影するか否かを判定する形態としてもよい。放射線画像90の撮影後、超音波画像の撮影を行わない場合、撮影された放射線画像90の写損等の確認後、被検者の負担を軽減するために速やかに圧迫板34による圧迫を解除する場合が多い。一方、放射線画像90の撮影後、超音波画像の撮影を行う場合、上記のように放射線画像90の確認後に、超音波画像の撮影に移行するため、超音波画像の撮影を行わない場合に比べて長時間、乳房の圧迫状態が維持される。そのため、放射線画像90の撮影後に乳房を所定時間以上、圧迫し続けている場合を、超音波画像の撮影を行う場合とすることができる。
【0137】
本変形例のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成は、本実施形態のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の構成(図6参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0138】
図16には、本変形例のコンソール12における表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートの一部が示されている。図16に示すように、本変形例の表示制御処理は、ステップS104に代わり、ステップS104E及びステップS104Fの各処理を含む点で、本実施形態の表示制御処理(図9参照)と異なっている。
【0139】
図16のステップS104Eで第2表示制御部84は、マンモグラフィ装置10において乳房の圧迫が解除されたか否かを判定する。具体的には本実施形態の第2表示制御部84は、マンモグラフィ装置10において、ユーザにより乳房の圧迫の解除が指示されたか否かを判定する。圧迫の解除が指示されていない場合、ステップS104Eの判定が否定判定となり、ステップS104Fへ移行する。
【0140】
ステップS104Fで第2表示制御部84は、マンモグラフィ装置10から放射線画像90の画像データを受信してから、所定時間が経過したか否かを判定する。放射線画像90の画像データを受信してから所定時間が経過していない場合、換言すると、放射線画像90の画像データを受信してからの経過時間が所定時間未満の場合、ステップS104Fの判定が否定判定となり、ステップS104Eに移行する。一方、放射線画像90の画像データを受信してから所定時間が経過した場合、放射線画像90の撮影後から所定時間以上が経過したことになり、超音波画像を撮影する場合に該当するため、上述のステップS106(図9参照)へ移行する。
【0141】
一方、圧迫の解除が指示された場合、上記ステップS104Eの判定が肯定判定となり、超音波画像を撮影しない場合に該当するため、上述のステップS126(図9参照)へ移行する。
【0142】
なお、本変形例において超音波画像の撮影を行うか否かの判定に用いる上記ステップS104Fの所定時間は、例えば、実験的に予め得ておいてもよい。また例えば、ユーザによる設定が可能であってもよい。
【0143】
また、本実施形態では、表示部58に表示されたオンボタン91及びオフボタン92により、画像目盛72の表示及び非表示の切り替えが可能な形態としたが、画像目盛72の表示及び非表示の切り替えを可能とする形態は本形態に限定されない。
【0144】
例えば、受付部86が、ユーザが操作部56によって指定した、表示部58に表示された放射線画像90上の位置を受け付けた場合、放射線画像90に対して画像目盛72を表示させ、放射線画像90の位置の指定を受け付けていない場合、画像目盛72を非表示とすることで画像目盛72の表示及び非表示を切り替える形態としてもよい。具体例としては、表示部58に表示されたポインタ(図示省略)が、ユーザの操作により放射線画像90上に位置する場合、画像目盛72を表示させ、放射線画像90上以外に位置する場合、画像目盛72を非表示とさせる形態としてもよい。さらにこの場合、乳房画像90W上の位置が指定されているか否か、または乳腺画像90G上の位置が指定されているか否かにより、画像目盛72の表示及び非表示を切り替える形態としてもよい。
【0145】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について詳細に説明する。
【0146】
本実施形態の医用撮影システム1の構成(図1参照)、及び放射線画像撮影システム2の構成(図2参照)は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。また、本実施形態のマンモグラフィ装置10及びコンソール12の機能的な構成の一例は、第1実施形態の変形例2におけるマンモグラフィ装置10及びコンソール12の機能的な構成(図13参照)と同様であるため説明を省略する。
【0147】
一方、本実施形態の表示制御処理は、第1実施形態の表示制御処理(図9参照)と一部の処理が異なっているため、本実施形態の表示制御処理について説明する。図17には、本実施形態のコンソール12における表示制御処理の流れの一例を表したフローチャートの一部が示されている。図17に示すように、本実施形態の表示制御処理は、ステップS110とステップS112との間に、ステップS111の処理を含む点で、第1実施形態の表示制御処理(図11参照)と異なっている。
【0148】
図17に示すように、本実施形態ではステップS110で肯定判定となるとステップS111へ移行する。ステップS111で第2表示制御部84は、放射線画像90から撮影対象の流線領域を特定する。具体的には、第2表示制御部84は、取得部87から入力された領域情報に基づいて、領域情報によって表される乳腺領域の大きさが領域閾値以上である領域を、撮影対象の乳腺領域として特定する。
【0149】
次のステップS112で第2表示制御部84は、上述したように、上記ステップS108で特定した画像目盛72を表示部58に表示されている放射線画像90に対して表示させる制御を行う。本実施形態の第2表示制御部84は、乳腺領域の位置が分かり易い表示形態とされている画像目盛72を表示部58に表示させる制御を行う。以下では、画像目盛72のうち乳腺画像90Gの位置を表す目盛(情報)を、乳腺領域識別情報72Gといい、画像目盛72のうち乳腺画像90G以外の位置を表す目盛(情報)を他領域識別情報72Eという。
【0150】
図18Aには、放射線画像90に本実施形態の画像目盛72の一例を表示させた状態の一例を示す。図18Aに示した画像目盛72は、第1実施形態の画像目盛72(図11参照)と同様に、複数の線と、複数の線の各々を識別する記号とを含む。画像目盛72に含まれる複数の線のうち、乳腺画像90Gに対応する部分の線は、他の部分の線と表示形態が異なっている。一例として図18Aでは、乳腺領域識別情報72Gである目盛の線は、他領域識別情報72Eである目盛の線に比べて太い点で、乳腺領域識別情報72Gと他領域識別情報72Eとの表示形態が異なっている。なお、図18Aでは、乳腺領域識別情報72Gと他領域識別情報72Eとの表示形態を異ならせる例として、各々に対応する目盛の線の太さを異ならせる形態について示したが、表示形態の異ならせ方は、図18Aに例示した形態に限定されない。例えば、乳腺領域識別情報72G及び他領域識別情報72E各々の目盛を表す線の色を異ならせることで表示形態を異ならせてもよいし、各々の目盛を表す線の表示を点滅させる、または非点滅させることにより表示形態を異ならせてもよい。
【0151】
また例えば、図18Bに示した画像目盛72のように、乳腺画像90Gに対応する目盛の線を乳腺領域識別情報72Gとし、各目盛の線を識別する記号を他領域識別情報72Eとしてもよい。
【0152】
なお、ユーザが操作部56を操作して指示を行うことにより、表示部58に表示されている放射線画像90の大きさを拡大または縮小する場合がある、この場合、第2表示制御部84は、拡大または縮小された放射線画像90の大きさの変化に追従して、画像目盛72も変化させる。図18Cには、第1表示制御部82が、ユーザの指示に応じて図18Aに示した放射線画像90の大きさを縮小した放射線画像90を表示部58に表示させた形態の一例を示している。図18Cに示すように、第2表示制御部84は、第1表示制御部82により縮小された放射線画像90に追従して、目盛を表す線の間隔等を変化させた画像目盛72を放射線画像90に対して表示させる。
【0153】
なお、上記表示制御処理のステップS111において特定した撮影対象の乳腺領域が複数有る場合、複数の乳腺領域の各々毎に、乳腺領域識別情報72Gの表示形態を異ならせてもよい。図19及び図20には、撮影対象として3つの乳腺領域が特定された場合に、第2表示制御部84が、表示部58に表示されている放射線画像90に対して表示させる画像目盛72の一例を示す。図19及び図20に示した放射線画像90の乳房画像90Wには、3つの乳腺領域に対応する乳腺画像90G1、90G2、及び90G3が含まれている。図19及び図20に示した画像目盛72では、乳腺画像90G1に対応する乳腺領域識別情報72G1である目盛の線、乳腺画像90G2に対応する乳腺領域識別情報72G2である目盛の線、及び乳腺画像90G3に対応する乳腺領域識別情報72G3である目盛の線、各々の種類が異なる。
【0154】
また、図20に示した画像目盛72のように、乳腺画像90G1~90G3の各々を識別するための識別子72G1n~72G3nを付与してもよい。具体的には、識別子72G1nである「I」は、乳腺画像90G1に対応し、識別子72G2nである「II」は、乳腺画像90G2に対応し、識別子72G3nである「III」は、乳腺画像90G3に対応する。なお、これらの識別子により表される数字(図20ではローマ数字)は、超音波画像を撮影する撮影順を表していてもよい。識別子72G1n~72G3nとして数字等、順番を表す識別子である場合、第2表示制御部84が撮影対象として特定した順等、任意の順に付与してもよいが、操作部56によってユーザにより指定された順に付与してもよい。
【0155】
なお、図19及び図20に示したように、放射線画像90に複数の乳腺画像90G(90G1~90G3)が含まれ、乳腺画像90G毎に、超音波画像の撮影が順次行われる場合、超音波画像の撮影が終了した乳腺画像90Gと、超音波画像の撮影が未だ終了していない乳腺画像90Gとで、対応する乳腺領域識別情報72Gの表示形態を異ならせる形態としてもよい。図20に示した画像目盛72に対して、本形態を適用する場合について、図21A図21Dを参照して説明する。本形態では、乳腺画像90G1、乳腺画像90G2、及び乳腺画像90G3の順で、順次、ユーザにより超音波画像の撮影が行われるものとする。乳腺画像90G1に対応する乳腺領域の超音波画像の撮影が終了するまで、表示部58に表示されている画像目盛72は、図21Aに示したように、乳腺領域識別情報72G1、72G2、及び72G3を含む。乳腺画像90G1に対応する乳腺領域の超音波画像の撮影が終了すると、第2表示制御部84は、図21Bに示すように、乳腺領域識別情報72G1及び識別子72G1nを非表示とする。また、乳腺画像90G2に対応する乳腺領域の超音波画像の撮影が終了すると、第2表示制御部84は、図21Cに示すように、乳腺領域識別情報72G2及び識別子72G2nをさらに非表示とする。さらに、乳腺画像90G3に対応する乳腺領域の超音波画像の撮影が終了すると、第2表示制御部84は、図21Dに示すように、乳腺領域識別情報72G3及び識別子72G3nをさらに非表示とする。
【0156】
このように、撮影対象となる乳腺領域が複数ある場合、超音波画像の撮影が終了した乳腺画像90Gと、撮影が未だ終了していない乳腺画像90Gとで、対応する乳腺領域識別情報72Gの表示形態を異ならせることにより、撮影済みであるか否かについてユーザが判別し易くなる。
【0157】
なお、図21A~21Dに示した例では、超音波画像の撮影が終了した乳腺領域に応じた乳腺画像90Gに対応する乳腺領域識別情報72Gを非表示とすることで表示形態を異ならせる形態について説明したが、表示形態の異ならせ方は本形態に限定されるものではない。
【0158】
また、各乳腺領域の撮影が終了したか否かを第2表示制御部84が認識する方法は特に限定されない。ユーザがコンソール12の表示部58や、超音波画像撮影装置16の操作部66により、終了した旨の指示を行い、ユーザが行った指示を受信した場合、第2表示制御部84が撮影の終了を認識する形態であってもよい。また例えば、マンモグラフィ装置10等に撮像装置を備え、ユーザが超音波画像を撮影する様子を撮像装置により撮影する場合、撮像装置により撮影された画像を第2表示制御部84が解析した解析結果に基づいて、超音波画像の撮影を認識する形態であってもよい。
【0159】
このように本実施形態によれば、乳腺領域識別情報72Gと他領域識別情報72Eとで表示形態を異ならせることにより、乳腺画像90Gの位置を判別し易くなる。
【0160】
なお、乳腺領域の位置を分かり易い表示形態とした画像目盛72は上記図18A図21Dのように、画像目盛72が他領域識別情報72E及び乳腺領域識別情報72Gを含む形態に限定されない。例えば、画像目盛72が、乳腺領域、具体的には乳腺画像90Gの放射線画像90上の位置を表す情報のみを含む形態であってもよい。図22には、放射線画像90に、乳腺画像90Gの位置を表す情報のみの画像目盛72の一例を表示させた状態の一例を示す。図22にでは、画像目盛72として、乳腺画像90Gの近傍に乳腺画像90Gの位置を識別する情報である、「F4」が表示された状態を示している。図22に示した例では、「F4」と表示された画像目盛72により、ユーザは、圧迫板34の圧迫板目盛70における「F4」の位置が乳腺領域に対応していることを識別することができる。
【0161】
また、表示部58がスピーカ等の音声を出力する機器を含む場合、乳腺画像90Gの位置を、音声により可聴表示する形態としてもよい。例えば、ユーザが超音波画像の撮影を行う位置から、コンソール12の表示部58が見え難い場合、乳腺画像90Gの位置が可聴表示されることにより、表示部58により乳腺画像90Gの位置を確認しなくともよくなり、超音波画像の撮影が行い易くなるため好ましい。
【0162】
また、本実施形態では、コンソール12の第2表示制御部84が乳腺領域を特定する形態としたが、乳腺領域の特定方法は本実施形態に限定されない。例えば、ユーザが操作部56を操作することにより、放射線画像90上で乳腺画像90Gの位置を指定し、ユーザによって指定された位置を取得部87が取得し、指定された位置に基づいて乳腺領域を特定する形態であってもよい。
【0163】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について詳細に説明する。
図23には、本実施形態の医用撮影システム1における、全体の構成の一例を表す構成図が示されている。図23に示すように、本実施形態の医用撮影システム1は、第1実施形態の医用撮影システム1(図1参照)が備えていたマンモグラフィ装置10及び超音波画像撮影装置16に代わり、医用撮影装置11を備えている点で第1実施形態と異なる。
【0164】
医用撮影装置11は、第1実施形態のマンモグラフィ装置10と超音波画像撮影装置16とを組み合わせた装置であり、換言すると、乳房の放射線画像と超音波画像との撮影が可能な装置である。一例として本実施形態の医用撮影装置11は、超音波画像の撮影が可能なマンモグラフィ装置である。本実施形態の医用撮影装置11が、本開示のマンモグラフィ装置の一例に対応する。
【0165】
図24には、本実施形態の医用撮影装置11及びコンソール12の構成の一例を表すブロック図が示されている。図24に示すように、本実施形態の医用撮影装置11は、第1実施形態のマンモグラフィ装置10が備えていた構成に加えて、超音波プローブ65をさらに備えている点が異なっている。医用撮影装置11が備える超音波プローブ65は、上記各実施形態の超音波プローブ65と同様に、いわゆるハンドヘルドタイプであり、超音波プローブ65をユーザが操作することにより、超音波画像の撮影が可能とされている。なお、一例として本実施形態の医用撮影装置11では、超音波プローブ65がマンモグラフィ装置10に着脱可能に設けられており、例えば、超音波プローブ65は、アーム部42に着脱が可能とされている。
【0166】
なお、医用撮影装置11の機能的な構成は、第1実施形態のマンモグラフィ装置10の機能的な構成(図6参照)と同一であるため、説明を省略する。また、本実施形態のコンソール12が行う表示制御処理も、第1実施形態のコンソール12が行う表示制御処理(図9参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0167】
上述したように、本実施形態の医用撮影装置11が備える超音波プローブ65は、いわゆるハンドヘルドタイプである。そのため、連続撮影において放射線画像の撮影の後に、超音波画像の撮影を行う場合、上記各実施形態の放射線画像撮影システム2と同様に、ユーザは、先に撮影された放射線画像90を参照して、超音波画像の撮影を行う。
【0168】
そこで、本実施形態の医用撮影装置11では、上記第1実施形態と同様にコンソール12が、表示制御処理を行うことにより、放射線画像90上の位置と、圧迫板34上の位置との対応を分かり易くすることができるため、超音波画像の撮影を行い易くすることができる。
【0169】
また、本実施形態では、医用撮影装置11自身が超音波画像の撮影を行う機能を有するため、マンモグラフィ装置10と超音波画像撮影装置16とを別体の装置として備える場合に比べて、装置全体を小型化することができる。
【0170】
以上説明したように、上記各実施形態の放射線画像撮影システム2は、マンモグラフィ装置10または医用撮影装置11と、コンソール12とを備える。マンモグラフィ装置10または医用撮影装置11に設けられる圧迫板34は、放射線源36Rと放射線検出器30との間に配置された乳房を圧迫状態にする。また、圧迫板34は、放射線源36Rによる放射線Rが照射される上面34A、上面34Aの反対側である乳房に接する側の下面34D、及び上面34Aと下面34Dとの間で上面34Aに平行な面のいずれかに、上面34A、下面34Dまたは上記平行な面の面内位置を識別するための圧迫板目盛70が付与されている。コンソール12は、第1表示制御部82と、第2表示制御部84とを備える。第1表示制御部82は、マンモグラフィ装置10または医用撮影装置11により撮影された放射線画像90を表示部58に表示させる制御を行う。第2表示制御部84は、圧迫板34の面内位置に対応する放射線画像90上の位置を表す、画像目盛72を、表示部58に表示された放射線画像90に対して表示させる制御を行う。
【0171】
圧迫板34の種類に応じて、圧迫板34に設けられた圧迫板目盛70が異なる場合があるが、上記各実施形態の放射線画像撮影システム2によれば、第2表示制御部84が圧迫板34に設けられた圧迫板目盛70に対応する適切な画像目盛72を放射線画像90に対して表示することができる。
【0172】
従って、上記構成を有することにより上記実施形態の放射線画像撮影システム2では、連続撮影において先に撮影された放射線画像90を参照して超音波画像の撮影を行う場合、放射線画像90上の位置と、圧迫板34上の位置との対応を分かり易くすることができる。
【0173】
放射線画像90上の位置と、圧迫板34上の位置との対応を分かり易くすることができるため、例えば、ユーザは圧迫板34上において、乳腺領域の位置を容易に把握することができ、超音波画像の撮影が行い易くなり、また、適切な領域を撮影することができる。超音波画像の撮影が行い難いと、超音波画像の撮影に要する時間が長くなり、被検者の乳房を圧迫し続けている時間が長くなってしまうため、被検者の負担が増加する場合がある。上記各実施形態の放射線画像撮影システム2によれば、超音波画像の撮影に要する時間が長くなるのを抑制することができるため、被検者の負担が増加するのを抑制することができる。
【0174】
また、上記各実施形態のマンモグラフィ装置10に取り付けられる圧迫板34に設けられた圧迫板目盛70は、放射線画像90に写らない。従って、圧迫板34に設けられた、位置合わせ用の目盛やマーカ等が放射線画像90に写り込む場合と異なり、放射線画像90を読影するユーザの邪魔になることがなく、放射線画像90の読影を行い易くすることができる。
【0175】
また、上記各実施形態の放射線画像撮影システム2では、超音波画像の撮影を行う場合に放射線画像90に対して画像目盛72を表示させ、超音波画像の撮影を行わない場合、放射線画像90に対して画像目盛72を表示させない。また、上記各実施形態の放射線画像撮影システム2では、放射線画像90に対する画像目盛72の表示及び非表示を切り替えることができる。従って、画像目盛72が放射線画像90を読影するユーザの邪魔になるのを抑制することができる。
【0176】
なお、マンモグラフィ装置10または医用撮影装置11に設けられる圧迫板34は、上記各実施形態において示した圧迫板34の形態に限定されない。例えば、図25Aに示す圧迫板34のように、上面34Aの周囲に、放射線源36R側に延びる壁面34Wが設けられていてもよい。また、例えば、図25Bに示す圧迫板34のように、乳房の形状に合わせて湾曲していてもよく、少なくとも乳房に接する下面34Dが乳房の形状にあわせて、放射線源36R側に膨らむ凸状に湾曲している形態であってもよい。
【0177】
また例えば、圧迫板34が、乳房の硬さ及び形状等に応じて、胸壁-乳頭の方向に傾いたり変形したりする形態や、被検者の左右方向に傾いたり変形したりする形態等であってもよい。
【0178】
また、例えば、図25Cに示す圧迫板34のように、圧迫板34が複数の圧迫部材を含んでいてもよい。図25Cに示した圧迫板34では、圧迫板目盛70が上面34Aに付与された圧迫部材34が、圧迫部材34の上面34Aに設けられた状態を示しており、圧迫部材34は、圧迫部材34に着脱可能とされている。図25Cに示した圧迫板34における圧迫部材34面が本開示の第1圧迫部材の一例であり、圧迫部材34が本開示の第2圧迫部材の一例である。なお、このように複数の圧迫部材を圧迫板34が含む場合に、圧迫板目盛70が設けられる位置は、図25Cに示した圧迫板34における位置に限定されない。例えば、圧迫部材34の上面34A、下面34D、及び圧迫部材34の上面34A、下面34Dのいずれであってもよい。また例えば、圧迫部材34の上面34Aと下面34Dとの間で上面34Aに平行な面、及び圧迫部材34の上面34Aと下面34Dとの間で上面34Aに平行な面に圧迫板目盛70が設けられていてもよい。一例として図25Dには、圧迫部材34の上面34Aと下面34Dとの間で上面34Aに平行な面に圧迫板目盛70が設けられている圧迫板34の一例の側面図を示す。なお、図25Dに示した圧迫板34が、本開示の第3の面に圧迫板目盛70が設けられた圧迫板の形態の一例であり、圧迫板目盛70が設けられている面が、本開示の第3の面の一例である。このように、圧迫板34内部に、圧迫板目盛70を設ける方法としては、例えば、レーザ加工により圧迫板34内部に圧迫板目盛70を刻む方法や、圧迫板目盛70を圧迫板34の内部に埋め込む方法等が挙げられる。
【0179】
また、圧迫板目盛70及び画像目盛72の各々は、上記各実施形態において示した圧迫板目盛70及び画像目盛72の形態に限定されない。例えば、図26Aに示す圧迫板目盛70のように、目盛(位置)を表す記号のみを含む形態であってもよい。また、例えば、図26Bに示す圧迫板目盛70のように、目盛を表す線が傾いている形態であってもよいし、格子の形状も限定されない。このように、圧迫板目盛70及び画像目盛72、各々圧迫板34上の位置及び放射線画像90上の位置を識別可能な情報であればその形態は限定されず、さらには目盛の形態でなくてもよい。また、圧迫板34の上面34Aにおける位置と、放射線画像90上における位置との対応関係が識別可能であれば、圧迫板目盛70の形態と画像目盛72の形態とが同一でなくてもよい。例えば、圧迫板目盛70を図26Aに示した形態とし、画像目盛72を図11に示した形態としてもよい。
【0180】
また、上記各実施形態では、コンソール12が、本開示の第1表示制御部82及び第2表示制御部84として機能する形態について説明したが、第1表示制御部82及び第2表示制御部84として機能する装置は、上記各実施形態に限定されない。例えば、超音波画像撮影装置16等、医用撮影システム1内の他の装置が第1表示制御部82及び第2表示制御部84の少なくとも一方として機能する形態であってもよい。また、第1表示制御部82として機能する装置と、第2表示制御部84として機能する装置が異なっていてもよい。また、上記各実施形態では、コンソール12の表示部58に放射線画像90を表示させる形態について説明したが、放射線画像90を表示させる表示装置は、表示部58に限定されない。例えば、超音波画像撮影装置16の表示部68や、医用撮影システム1が携帯端末装置を備える場合、医用撮影システム1が備える携帯端末装置に放射線画像90を表示させる形態であってもよい。
【0181】
上記各実施形態において、例えば検出部80、第1表示制御部82、第2表示制御部84、及び受付部86といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0182】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0183】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態が挙げられる。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態が挙げられる。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0184】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0185】
また、上記各実施形態では、表示制御処理プログラム51がROM50Bに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。表示制御処理プログラム51は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、表示制御処理プログラム51は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0186】
その他、上記各実施形態で説明した医用撮影システム1、放射線画像撮影システム2、及びマンモグラフィ装置10等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。また、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよいこともいうまでもない。
【符号の説明】
【0187】
1 医用撮影システム
2 放射線画像撮影システム
5 RIS
10 マンモグラフィ装置
11 医用撮影装置
12 コンソール
16 超音波画像撮影装置
18 画像保存システム
20、50、60、76 制御部
20A、50A、60A、76A CPU
20B、50B、60B、76B ROM
20C、50C、60C、76C RAM
21 撮影処理プログラム
22、52、62、77 記憶部
24、54、64、78 I/F部
26、56、66 操作部
30 放射線検出器
32 圧迫板駆動部
34 圧迫板、34、34 圧迫部材、34A、34A、34A 上面、34B 支持部、34C 面、34D、34D、34D 下面、34W 壁面
35 圧迫板検出センサ
36 放射線照射部、36R 放射線源
37 線源移動部
39、59、69、79 バス
40 撮影台、40A 撮影面
42 アーム部
44 基台
45 軸部
46 圧迫ユニット
58、68 表示部
51 表示制御処理プログラム
53 画像目盛情報
65 超音波プローブ
70 圧迫板目盛
72 画像目盛、72E 他領域識別情報、72G、72G1~72G3 乳腺領域識別情報、72G1n~72G3n 識別子
80 検出部
82 第1表示制御部
84 第2表示制御部
86 受付部
87 取得部
90 放射線画像、90G、90G1~90G3 乳腺画像、90W 乳房画像
91 オンボタン
92 オフボタン
93 終了ボタン
R 放射線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図21D
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B