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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】放射システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221216BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20221216BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F9/00 H
G01B11/00 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021510190
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019072983
(87)【国際公開番号】W WO2020057924
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】18195886.9
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バセルマンズ,ヨハネス,ヤコブス,マシューズ
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-540996(JP,A)
【文献】特開2018-054303(JP,A)
【文献】特開2000-221138(JP,A)
【文献】特開2009-229414(JP,A)
【文献】特表2011-504782(JP,A)
【文献】国際公開第2017/060014(WO,A1)
【文献】特開2000-357644(JP,A)
【文献】特開2018-124557(JP,A)
【文献】国際公開第2009/075103(WO,A1)
【文献】特開平06-042918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 9/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射源及び放射調節装置を備えた放射システムであって、
前記放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、
前記放射調節装置が、前記放射ビームを少なくとも2つのビーム部分に分離するように構成され、前記少なくとも2つのビーム部分を、少なくとも2つの測定システムによって受け取られる前に、異なるように調節するようにさらに構成されており、
前記放射調節装置が、
第1のビーム部分を調節して、トポグラフィ測定システム又は燃料液滴メトロロジシステムを含む第1のタイプの測定システムによる使用のために調節された紫外線放射を提供する一方、
第2のビーム部分を調節して、アライメントシステム、位置測定システム、メトロロジシステム又はレチクル検査システムを含む第2のタイプの測定システムによる使用のために調節された赤外線放射を提供する
ように構成されている、放射システム。
【請求項2】
前記放射調節装置が、1つ以上の前記ビーム部分からコヒーレンスを除去する又は低減させるように構成されたコヒーレンス除去装置を備える、請求項1の放射システム。
【請求項3】
前記放射調節装置が、1つ以上の前記ビーム部分の不均一性を減らすように構成されたホモジナイザを備える、請求項1又は2の放射システム。
【請求項4】
前記放射調節装置が、前記放射ビーム又は放射ビーム部分を波長に基づいて少なくとも2つのビーム部分に分離するように構成された波長ベースのビーム分離装置を備える、請求項1からの何れか一項の放射システム。
【請求項5】
前記放射調節装置が、前記放射ビームの一部又は放射ビーム部分の一部と交差するように構成され、その一部を反射するが前記放射ビーム又は放射ビーム部分の残りの部分を反射しないビーム分離装置を備える、請求項1からの何れか一項の放射システム。
【請求項6】
前記放射調節装置が、前記放射ビームの一部又は放射ビーム部分と周期的に交差し、これを反射するように構成されたビーム分離装置を備える、請求項1からの何れか一項の放射システム。
【請求項7】
前記放射調節装置が、第1の偏光を有する前記放射ビームの一部又は放射ビーム部分を反射するように構成され、第2の偏光を有する前記放射ビームの一部又は放射ビーム部分を透過するように構成された偏光ビームスプリッタを備える、請求項1からの何れか一項の放射システム。
【請求項8】
前記放射調節装置が、前記放射ビーム又は放射ビーム部分を少なくとも2つの部分に分離するように構成された電気光学素子を備えた、請求項1からの何れか一項の放射システム。
【請求項9】
前記放射調節システムが、前記少なくとも2つのビーム部分の偏光を回転させることができるように構成された複数の波長板をさらに備えた、請求項1からの何れか一項の放射システム。
【請求項10】
パターンをパターニングデバイスから基板に転写するように構成されたリソグラフィ装置であって、
前記リソグラフィ装置が、トポグラフィ測定システム又は燃料液滴メトロロジシステムを含む第1のタイプの測定システムアライメントシステム、位置測定システム、メトロロジシステム又はレチクル検査システムを含む第2のタイプの測定システムと、を備え、
前記リソグラフィ装置が、放射源及び放射調節装置を備えた放射システムをさらに備え、
前記放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、
前記放射調節装置が、
前記放射ビームを第1のビーム部分及び第2のビーム部分に分離し、
前記第1のビーム部分を調節して、前記第1のタイプの測定システムに提供される調節された紫外線放射を提供する一方、
前記第2のビーム部分を調節して、前記第2のタイプの測定システムに提供される調節された赤外線放射を提供する
ように構成されている、リソグラフィ装置。
【請求項11】
基板の特性を測定するように構成されたリソグラフィツールであって、
前記リソグラフィツールが、トポグラフィ測定システム又は燃料液滴メトロロジシステムを含む第1のタイプの測定システムアライメントシステム、位置測定システム、メトロロジシステム又はレチクル検査システムを含む第2のタイプの測定システムと、を備え、
前記リソグラフィツールが、放射源及び放射調節装置を備えた放射システムをさらに備え、
前記放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、
前記放射調節装置が、
前記放射ビームを第1のビーム部分及び第2のビーム部分に分離し、
前記第1のビーム部分を調節して、前記第1のタイプの測定システムに提供される調節された紫外線放射を提供し、
前記第2のビーム部分を調節して、前記第2のタイプの測定システムに提供される調節された赤外線放射を提供する
ように構成されている、リソグラフィツール。
【請求項12】
紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供することと、
前記放射ビームを少なくとも2つのビーム部分に分離することと、
前記少なくとも2つのビーム部分を異なるように調節すること、を含み、
第1のビーム部分が、トポグラフィ測定システム又は燃料液滴メトロロジシステムを含む第1のタイプの測定システムによる使用のために、紫外線放射を提供するように調節され、
第2のビーム部分が、アライメントシステム、位置測定システム、メトロロジシステム又はレチクル検査システムを含む第2のタイプの測定システムによる使用のために、赤外線放射を提供するように調節される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2018年9月21日に出願された欧州出願18195886.9の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィ装置又はリソグラフィツールにおける様々なタイプの測定システムにより使用され得る放射を提供するように構成された放射システムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と称されることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進歩し続けるのとともに、回路素子の寸法は、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って絶えず縮小され、一方でデバイス当たりのトランジスタなどの機能素子の量は数十年にわたって着実に増加している。ムーアの法則に対応するために、半導体産業は、ますます小さなフィーチャを作製できるようにする技術を追求している。基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を用いることができる。露光放射と呼ばれることがあるこの放射の波長は、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている露光放射の典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。4nmから20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)露光放射を使用するリソグラフィ装置を使用して、例えば193nmの波長を有する露光放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
[0005] 基板上に設けられた放射感応性材料層上にパターニングデバイスからパターンが投影される前に、基板のトポグラフィが測定される。これを達成するために、リソグラフィ装置にトポグラフィ測定システムが設けられる。トポグラフィ測定システムは、基板上に放射を向け、反射された放射を測定することによって基板の表面にわたって基板の高さを測定する。この放射は測定放射と呼ばれることがある。高さ測定値を使用して、基板上へのパターンの正確な投影を支援する高さマップが形成される。
【0006】
[0006] リソグラフィプロセスを制御してデバイスフィーチャを正確に基板上に配置するために、一般に基板上にアライメントマークが設けられ、リソグラフィ装置は、基板上のアライメントマークの位置を正確に測定することができるアライメントシステムを備える。アライメントシステムは放射を基板上に向け、反射された放射を測定する。この放射は測定放射と呼ばれることがある。アライメントシステムは実質的に位置測定装置である。様々なタイプのアライメントマーク、及び様々なタイプのアライメントセンサを備えたアライメントシステムが知られており、例えば、異なる製造業者により提供されている。
【0007】
[0007] トポグラフィ測定システム及びアライメントシステムは、異なるタイプの測定システムと見なされることがある。異なるタイプの測定システムにより使用される測定放射を提供することは複雑で費用がかかる可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 例えば、本明細書で特定されるか他のどこかで特定されるかにかかわらず、従来技術の1つ以上の問題を防ぐ又は緩和するトポグラフィ測定システムを提供することが望ましいことがある。
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様によれば、放射源及び放射調節装置を備えた放射システムであって、放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、放射調節装置が、放射ビームを少なくとも2つのビーム部分に分離するように構成され、少なくとも2つのビーム部分を異なるように調節するようにさらに構成された放射システムが提供される。
【0010】
[00010] 放射システムは、有利には、異なるように調節され、したがって、異なる用途に使用され得る2つのビーム部分を提供する。これは、異なるように調節された放射ビームを提供するように構成された2つの別々の放射源を設けることよりも単純なこと及び/又は信頼できることがある。
【0011】
[00011] 放射調節装置は、第1のビーム部分を調節して第1のタイプの測定システムによる使用のために調節された放射を提供し、第2のビーム部分を調節して第2のタイプの測定システムによる使用のために調節された放射を提供するように構成されることがある。
【0012】
[00012] 放射調節装置は、1つ以上のビーム部分からコヒーレンスを除去する又は低減させるように構成されたコヒーレンス除去装置を備えることがある。
【0013】
[00013] 放射調節装置は、1つ以上のビーム部分のエタンデュを増加させるように構成されることがある。
【0014】
[00014] 放射調節装置は、1つ以上のビーム部分の不均一性を減らすように構成されたホモジナイザを備えることがある。
【0015】
[00015] 放射調節装置は、放射ビーム又は放射ビーム部分を波長に基づいて少なくとも2つのビーム部分に分離するように構成された波長ベースのビーム分離装置を備えることがある。
【0016】
[00016] 波長ベースのビーム分離装置は、異なる波長を有する3つ以上のビーム部分を提供するように構成されることがある。
【0017】
[00017] 波長ベースのビーム分離装置は、少なくとも1つのダイクロイックミラーを備えることがある。
【0018】
[00018] 放射調節装置は、放射ビームの一部又は放射ビーム部分の一部と交差するように構成されたビーム分離装置であって、その一部を反射するが、放射ビーム又は放射ビーム部分の残りの部分を反射しないビーム分離装置を備えることがある。
【0019】
[00019] 放射調節装置は、放射ビームの一部又は放射ビーム部分と周期的に交差し、これを反射するように構成されたビーム分離装置を備えることがある。
【0020】
[00020] 放射調節装置は、第1の偏光を有する放射ビームの一部又は放射ビーム部分を反射するように構成され、第2の偏光を有する放射ビームの一部又は放射ビーム部分を透過するように構成された偏光ビームスプリッタを備えることがある。
【0021】
[00021] 放射調節装置は、放射ビーム又は放射ビーム部分を少なくとも2つの部分に分離するように構成された電気光学素子を備えることがある。
【0022】
[00022] 放射調節システムは、少なくとも2つのビーム部分の偏光を回転させることができるように構成された複数の波長板をさらに備えることがある。
【0023】
[00023] 第1のタイプの測定システムは、トポグラフィ測定システム又は燃料液滴メトロロジシステムを含むことがある。
【0024】
[00024] 第2のタイプの測定システムは、アライメントシステム、位置測定システム、メトロロジシステム、又はレチクル検査システムを含むことがある。
【0025】
[00025] 本発明の第2の態様によれば、パターンをパターニングデバイスから基板に転写するように構成されたリソグラフィ装置であって、リソグラフィ装置が、第1のタイプの測定システム及び第2のタイプの測定システムを備え、リソグラフィ装置が、放射源及び放射調節装置を備えた放射システムをさらに備え、放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、放射調節装置が、放射ビームを第1のビーム部分及び第2のビーム部分に分離し、第1のビーム部分を調節して、第1のタイプの測定システムに提供される調節された放射を提供し、第2のビーム部分を調節して、第2のタイプの測定システムに提供される調節された放射を提供するように構成されたリソグラフィ装置が提供される。
【0026】
[00026] 本発明の第1の態様の特徴は、本発明の第2の態様と組み合わせられることがある。
【0027】
[00027] 本発明の第3の態様によれば、基板の特性を測定するように構成されたリソグラフィツールであって、リソグラフィツールが、第1のタイプの測定システム及び第2のタイプの測定システムを備え、リソグラフィツールが、放射源及び放射調節装置を備えた放射システムをさらに備え、放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、放射調節装置が、放射ビームを第1のビーム部分及び第2のビーム部分に分離し、第1のビーム部分を調節して第1のタイプの測定システムに提供される調節された放射を提供し、第2のビーム部分を調節して第2のタイプの測定システムに提供される調節された放射を提供するように構成されたリソグラフィツールが提供される。
【0028】
[00028] 本発明の第1の態様の特徴は、本発明の第3の態様と組み合わせられることがある。
【0029】
[00029] 本発明の第4の態様によれば、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供すること、放射ビームを少なくとも2つのビーム部分に分離すること、及び少なくとも2つのビーム部分を異なるように調節することを含む方法が提供される。
【0030】
[00030] 第1のビーム部分が第1のタイプの測定システムによる使用のために調節され、第2のビーム部分が第2のタイプの測定システムによる使用のために調節されることがある。
【0031】
[00031] ビーム部分の調節が、コヒーレンスを除去する又は低減させること、エタンデュを増加させること、不均一性を減らすこと、波長に依存した選択のうちの少なくとも1つを含むことがある。
【0032】
[00032] 本発明の第4の態様の方法は、本発明の第1の態様に係る放射システムの特徴を用いることがある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
[00033] 本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【0034】
図1】本発明の実施形態に係る放射システムを備えるリソグラフィ装置の図式的概観を示す。
図2】本発明の実施形態に係るトポグラフィ測定システム及び放射システムを概略的に示す。
図3】本発明の実施形態により使用され得るアライメントマークを概略的に示す。
図4】本発明の実施形態に係るアライメントシステム及び放射システムを概略的に示す。
図5】本発明の実施形態に係る代替的なアライメントシステム及び放射システムを概略的に示す。
図6】本発明の実施形態に係る放射システムを概略的に示す。
図7図6の放射システムの一部を構成し得るコヒーレンス除去装置及びホモジナイザを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[00034] 本明細書では、リソグラフィ装置によって使用される露光放射は、紫外線(例えば365nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する)を含む任意の適切な波長を有し得る。
【0036】
[00035] 「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いる場合、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、入来する放射ビームにパターン付き断面を与えるため使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルRCDアレイを含む。
【0037】
[00036] 図1は、本発明のある実施形態に係る放射システムRYを備えたリソグラフィ装置LAを概略的に示している。放射システムRYは、放射源RS及び放射調節装置RCを備える。放射システムRYは、測定放射と呼ばれることがある放射を、アライメントシステムASとトポグラフィ測定システムTMSとに提供するように構成される。
【0038】
[00037] リソグラフィ装置LAは、露光放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスクサポート(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)W2を保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板サポートを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPW2に接続された基板サポート(例えば、ウェーハテーブル)WT2と、基板(例えば、レジストコートウェーハ)W1を保持するように構築され、アライメントシステムAS及びトポグラフィ測定システムTMSに対して基板サポートを正確に位置決めするように構成された第3のポジショナPW3に接続された別の基板サポート(例えば、ウェーハテーブル)WT1と、パターニングデバイスMAにより露光放射ビームBに付与されたパターンを基板W2のターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを備える)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0039】
[00038] 本明細書で示すように、本装置は、(例えば透過型マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は、(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射型マスクを使用する)反射タイプでもよい。
【0040】
[00039] 動作中、照明システムILは、放射源SOから、例えばビームデリバリシステムBDを介して露光放射ビームを受け取る。照明システムILは、放射の誘導、整形、及び/又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気などの様々なタイプの光学コンポーネント、及び/又は他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせを備えることがある。イルミネータILを使用して、パターニングデバイスMAの平面において、露光放射ビームBをその断面に所望の空間及び角度強度分布を有するように調節することがある。
【0041】
[00040] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、及び/又は液浸液の使用や真空の使用のような他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈するべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、これは更に一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0042】
[00041] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を例えば水のような比較的高い屈折率を有する液体で覆うことができるタイプでもよい。これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技法に関する更なる情報は、参照により本願に含まれる米国特許6952253号に与えられている。
【0043】
[00042] 動作中、露光放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されるパターニングデバイス、例えばマスクMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン付与される。マスクMAを横断した後、露光放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上に露光ビームを合焦させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFの助けにより、基板サポートWT2は、例えば、合焦され位置合わせされた位置に露光放射ビームBの経路上の異なるターゲット部分Cを位置決めするために正確に移動することができる。同様に、第1のポジショナPM、及び場合により別の位置センサ(図1に明示的には示されていない)を使用して、露光放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることがある。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマーク(図示せず)及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせされることがある。図示したような基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占めるが、それらはターゲット部分間の空間に位置することがある。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に位置する場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0044】
[00043] 本発明を明確にするために、デカルト座標系が用いられる。デカルト座標系は、3つの軸、すなわちx軸、y軸、及びz軸を有する。3つの軸のそれぞれは、他の2つの軸と直交する。x軸を中心とする回転は、Rx回転と呼ばれる。y軸を中心とする回転は、Ry回転と呼ばれる。z軸を中心とする回転は、Rz回転と呼ばれる。x軸及びy軸は水平面を定義するのに対して、z軸は垂直方向にある。デカルト座標系は本発明を限定しているのではなく、明確化のためにのみ用いられる。代わりに、円筒座標系などの別の座標系を用いて本発明を明確にすることもある。デカルト座標系の向きは、例えばz軸が水平面に沿った成分を有するように異なることがある。
【0045】
[00044] 図に示すように、リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブルWT1、WT2を有するタイプであることがある。デュアルステージリソグラフィ装置では、1つの基板W2の露光(「基板の露光」とは、前述のように、パターン付与された露光放射の基板への投影を意味する)が行われている間に、別の基板W1の特性を測定できるようにするために、2つの基板テーブルWT1、WT2が設けられる。
【0046】
[00045] 図1に示したデュアルステージリソグラフィ装置では、アライメントシステムASが図の左側に設けられる。トポグラフィ測定システムTMSも図の左側に設けられる。投影システムPLは、図の右側に設けられる。アライメントシステムASは、第1の基板テーブルWT1上に保持される基板W1上に設けられたアライメントマークの位置(ボックスP1、P2で概略的に示される)を測定する。トポグラフィ測定システムTMSは基板W1のトポグラフィを測定する。同時に、投影システムPLによって、第2の基板テーブルWT2上に保持された基板W2上にパターンが投影される。第1の基板テーブルWT1により支持された基板W1の測定が完了し、第2の基板テーブルWT2により支持された基板W2の露光が完了したとき、基板テーブルの位置は取り換えられる。その後、第1の基板テーブルWT1により支持された基板W1は、投影システムPLにより投影されたパターン付与された露光放射を使用して露光される。第2の基板テーブルWT2により支持された既に露光されたウェーハW2は、後続の処理のために基板テーブルから除去される。その後、投影システムPLにより投影されたパターン付与された露光放射を使用する露光に先立って、アライメントシステムAS及びトポグラフィ測定システムTMSによる測定のために、別の基板が第2の基板テーブルWT2上に配置される。
【0047】
[00046] 干渉計(図示せず)及び/又は他の位置測定手段を使用して、アライメント測定及びトポグラフィ測定の間、基板テーブルWT1の位置を監視することがある。プロセッサPRは、アライメントシステムAS及びトポグラフィ測定システムTMSからデータを受信すること、さらにまた、基板テーブルWT1の位置情報を受信することがある。基板Wは基板テーブルWT1上に固定されているため、基板テーブルに関する位置情報は、基板に関する位置情報と見なされることがある。
【0048】
[00047] 図2は、トポグラフィ測定システムTMSの概略図である。トポグラフィ測定システムTMSにより使用される測定放射(ここでは簡潔に放射と呼ぶ)は放射システムRYによって提供される。トポグラフィ測定の間、放射システムRYの放射源RSは放射ビームを生成する。放射ビームは放射調節装置RCへ通過する。放射調節装置RCは、(以下で詳述するように)トポグラフィ測定システムに適した形に放射を調節する。調節された放射2は、放射調節装置RCから出力され、トポグラフィ測定システムの光学系6へ通過する。光学系6は、調節された放射を誘導して及び/又は合焦させて放射ビーム4を形成することがある。放射ビーム4は格子8に入射する。放射ビーム4は、格子を通過するとき格子8の像がパターン付与される。パターン付与された放射ビームは、測定ビーム9(すなわち測定放射ビーム)と呼ばれることがある。
【0049】
[00048] 測定ビーム9は、基板12上のターゲット位置に格子8の像を形成するように構成された光学系10を通過する。測定ビーム9は、入射角θで基板に入射する。格子像は、矢印13で示された位置に形成される。測定ビーム9は基板から反射され、検出光学系14を通過する。検出光学系14は、反射した測定ビーム11を受け取り、格子像13を形成するように構成される。格子像のこの像は、第2の格子16に形成される。検出器18が、第2の格子16を透過した放射を受け取るように構成される。検出器18は、入射する放射の強度を検出し、放射の強度を示す出力信号を生成する。検出器18は、例えばフォトダイオードであることがある。検出器18は、例えば、検出した放射強度をすべてのピクセルにわたって積分するCCDアレイ又はCMOSアレイであることがある。一般に、検出器に入射する放射の強度を示す出力信号を提供する任意の検出器が使用されることがある。
【0050】
[00049] 基板12が格子像13の下でスキャンされるため、基板の高さの変化は、結果として第2の格子16において格子像13の像を上下に移動させることになる。この格子像13の像位置のずれが、第2の格子16により透過される放射の量を変化させる。次に第2の格子16により透過される放射の量の変化が、検出器18に入射する放射の強度を変化させる。したがって、検出器18から出力された信号は基板12の高さを示す。検出器18から出力された信号をプロセッサPRによって解析して、基板12のトポグラフィのマップを生成することがある。
【0051】
[00050] 格子8、16は1次元格子構造を含むことがある。格子は、例えばチェッカーボードパターンなどの2次元格子構造を含むことがある。一般に、任意の格子構造が使用されることがある。しかしながら、基板の高さの変化から生じる格子像の像位置のずれが1次元でのみ発生するとき、1次元の空間分解能しか必要とされない。
【0052】
[00051] 代替的な構成では、第2の格子16はスプリッタであり、反射された測定ビームを、異なる検出器に入射する2つのビームに分割するように構成される。次に、基板の高さを決定するために、各検出器からの出力の比較が行われる。
【0053】
[00052] 一部の構成では、単一の格子8の代わりに複数の格子を基板12の上流側に設けることがある。同様に、単一の格子16の代わりに複数の格子を基板12の下流側に設けることがある。これにより基板上の複数の点の高さを同時に測定することが可能になる。この構成では、複数の測定点の全てについて同じ光学系を使用することがある。複数の点を測定することにより、より少ないストロークで基板をスキャンすることが可能になり、これにより基板のトポグラフィをより速いスピードで決定することが可能になる。
【0054】
[00053] 一部の構成では、放射調節装置RCは複数の調節された放射ビーム2を提供することがあり、複数の調節された放射ビーム2はその後、複数の照明光学系を通過し、基板12上の複数のターゲット位置を照明することがある。複数の調節された放射ビームを使用することにより、さらに少ないストロークで基板をスキャンできるようになることがあり、これにより基板のトポグラフィをさらに速いスピードで決定できるようになることがある。
【0055】
[00054] 図3は、X位置及びY位置をそれぞれ測定するために基板W上に設けられたアライメントマーク202、204の例を示している。この例における各アライメントマークは、基板に適用された又はエッチングされたプロダクトレイヤ又はその他のレイヤに形成された一連のバーを含む。バーは、アライメントマークが十分によく知られた空間的周期(ピッチ)を有する回折格子と見なされ得るように間隔が規則的で格子線の役割を果たす。X方向アライメントマーク202のバーはY軸に平行でX方向の周期性をもたらす一方、Y方向アライメントマーク204のバーはX軸に平行でY方向の周期性をもたらす。アライメントセンサAS(図1に示す)は、正弦波などの周期的に変化する信号を得るために各アライメントマークを放射のスポット206(X方向)、208(Y方向)で光学的にスキャンする。この信号の位相を解析して、アライメントシステムに対するアライメントマークの位置、したがって基板Wの位置を測定する。このアライメントシステムは、リソグラフィ装置のフレームMFに対して固定される。スキャン動作は幅広い矢印によって概略的に示されており、スポット206又は208の進行位置が点線による輪郭線で示されている。アライメントパターン内のバー(格子線)のピッチは、一般的に、基板上に形成されるプロダクトフィーチャのピッチよりかなり大きく、アライメントセンサASは、パターンを基板に適用するために使用される露光放射よりかなり長い放射の波長(又は、通常は複数の波長)を使用する。しかしながら、多数のバーが反復信号の位相の正確な測定を可能にするため、微細位置情報を得ることができる。
【0056】
[00055] アライメントシステムが周期信号の異なる周期を区別するとともに周期内の正確な位置(位相)を識別できるように、粗いマークと微細なマークとが設けられることがある。異なるピッチのアライメントマークもこの目的のために使用されることがある。これらの技術もまた当業者に周知であり、本明細書中に詳細に記載されることはない。そのようなセンサの設計及び動作は本技術分野では周知であり、各リソグラフィ装置は、独自のセンサの設計を有することがある。アライメントシステムASは、通常、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6961116号に記載された形態であることがある。
【0057】
[00056] 図4は、アライメントシステムASの概略的ブロック図である。放射システムRYは、アライメントシステムASにより使用される放射を提供する。放射システムRYの放射源RSは放射ビームを生成する。放射ビームは放射調節装置RCへ通過する。放射調節装置RCは、放射を調節して放射の調節されたビーム222、又は(以下で詳述されるように)異なる波長を有する複数の調節されたビームを形成する。放射の調節されたビーム222は、スポットミラー223によって対物レンズ224を経由して、基板W上に位置するアライメントマーク202などのアライメントマーク上に誘導される。図3に概略的に示されているように、前述の米国特許第6961116号に基づく本発明のアライメントシステムの例では、アライメントマーク202を照明する照明スポット206は、直径がアライメントマークそれ自体の幅よりやや小さいことがある。
【0058】
[00057] アライメントマーク202により回折された放射は、対物レンズ224によって捕捉され、情報保持ビーム226にコリメートされる。自己参照干渉計228は、前述の米国特許第6961116号に開示されたタイプのものであり、ビーム226を処理し、異なる波長に対する個別のビームをセンサアレイ230上に出力する。スポットミラー223がこのポイントで好都合にゼロ次ストップとしての機能を果たすことにより、情報保持ビーム226はアライメントマーク202からの高次回折放射のみを含む(これは測定に必要不可欠ではないが、信号対雑音比を向上させる)。センサグリッド230内の個々のセンサからの強度信号232がプロセッサPRに提供される。ブロック228における光学処理及びプロセッサPRにおける計算処理の組み合わせによって、フレームMFに対する基板上のX及びY位置の値が出力される。
【0059】
[00058] 既に述べたように、図示したタイプの単一測定は、アライメントマークの位置をアライメントマークの1ピッチに対応する一定の範囲内に固定するだけである。より粗い測定技術をこれと併用して、正弦波のどの周期がマーク位置を含むものであるかを特定する。異なる波長で、より粗い及び/又はより細かいレベルで同じプロセスを実行して精度を向上させ、アライメントマークの製造材料に関わらず、及び/又はアライメントマークが着座する材料に関わらず、アライメントマークのロバストな検出が可能になる。波長は光学的に多重化及び多重分離されて同時に処理されることがある、及び/又は波長は時分割又は周波数分割によって多重化されることがある。いくつかの波長での測定を用いて、アライメントマークの非対称性への感度が低い堅牢なアライメントシステムを提供することがある。放射システムRYは、アライメントシステムASにより使用されるいくつかの波長の放射を提供することがある。
【0060】
[00059] 図5は、前述の先行公開米国特許第6961116号に記載されたものの修正版であるアライメントシステムASの光学システムを示している。この光学システムにより、別個のスキャトロメータ機器でなくアライメントシステムを用いてスキャトロメトリタイプの測定を実行できるようになることがある。
【0061】
[00060] いくつかの分岐を有する光軸Oが、図5に示された光学システム全体に延出する破線で示されている。図4の概略図との比較を容易にするために、図5に示された光学システムの一部の部品は、図4で用いられたものと同様の参照符号で標示するが、接頭文字は「2」でなく「4」を用いる。したがって、調節された放射ビーム422、対物レンズ424、情報保持ビーム426、自己参照干渉計428及び検出器装置430が見られる。検出器装置からの信号はプロセッサPRによって処理され、プロセッサPRは、下記の新規な特徴を実施するとともに各アライメントマークの(改善された)位置測定値を出力するように修正されている。
【0062】
[00061] 放射調節装置RCは、4つの異なる波長の調節された放射を出力する。これらの波長は、緑G、赤R、近赤外N及び遠赤外Fであることがある。他の実施形態では、異なる波長及び/又は異なる波長数を有する調節された放射が提供されることがある。図示された実施形態では、緑G及び近赤外線放射Nは第1の直線偏光を有し、赤R及び遠赤外線放射Fは第2の直交直線偏光を有する。他の実施形態では、異なる偏光の組み合わせが使用されることがある。
【0063】
[00062] 放射システムRYから出力された調節された放射は、光ファイバ442によってマルチプレクサ502を介して照明成形光学系446に伝送される。入力されたビーム422が、ビームスプリッタ454を経て瞳面Pを有する対物レンズ424に伝搬する。対物レンズ424は、ウェーハW上のアライメントマーク202上にスポット406を形成する。アライメントマークにより回折された情報保持ビーム426は、ビームスプリッタ454を通って干渉計428へ通過する。干渉計428は、情報保持ビームを直交偏光を有する2つの部分に分割し、これらの部分を光軸回りに互いに対して180°回転させ、出射ビーム482に統合する。出射ビーム482は、より詳細に後述されるように検出器装置430に入射する。
【0064】
[00063] 本例には非対称性測定装置460が含まれる。装置460は、干渉計の前に位置する第2のビームスプリッタ462から情報保持ビーム426の一部464を受け取る。別の特許出願であるUS20125227061(参照により本明細書に組み込まれる)には、検出器430により得た位置情報を用いて非対称性を測定する技術が記載されている。非対称性測定装置460は任意であるため、他の実施形態では省略されることがあることが理解されるであろう。
【0065】
[00064] 照明成形光学系446は様々な形態をとることができ、その一部は参照により本明細書に組み込まれる先行特許出願US2015109624により詳細に開示されている。
【0066】
[00065] アライメントシステムASにより用いられる調節された放射は、干渉計428が所望の信号を生成する横(空間的)コヒーレンスを有することがある。所望の横(空間的)コヒーレンスを提供するために、アライメントシステムAS(及びその他のアライメントシステム)により用いられる調節された放射は、1.2より小さいM(ビーム品質因子としても知られている)を有することがある。調節された放射は単一モードビームを含むことがある。調節された放射は、ガウシアンビーム、又は実質的にガウシアンビームであるビームを含むことがある。調節された放射は、アライメントシステム内における二重反射ビームの干渉を避けるために時間的にインコヒーレントであることがある。時間的インコヒーレンスとは、例えば時間的コヒーレンスが0.5mm未満であることを意味することがある。これは、例えば633nmの波長に対する少なくとも0.8nmの帯域幅に対応することがある。所与の波長に対する適切な最小帯域幅が、式
【数1】
を用いて決定されることがある。式中、dLは帯域幅であり、λは波長であり、Lはコヒーレンス長である。式
【数2】
は、帯域幅をどのように定めるか(例えば半値全幅、1/e、1/eなど)によって、値がいくらか変化することがあることを示すことを意図している。帯域幅をどのように定めるかにより、最小帯域幅値は、例えばπ、√2などが乗じられることがある。
【0067】
[00066] これより、放射の複数の波長を用いた測定、及び偏光効果の管理に関するアライメントシステムASの態様を説明する。照明サブシステム440は、放射システムRYから、緑(Gと標示)、赤(R)、近赤外(N)及び遠赤外(F)であり得る4つの波長の放射を受け取る。以下の考察では、便宜上、これら4つの異なる波長での放射を4色光と呼び、それらが電磁スペクトルの可視部分又は不可視部分のどちらにあるかは、本目的にとって重要ではない。放射は直線偏光され、G及びN放射は互いに同様に配向され、R及びF放射は、G及びN放射の偏光に対して直交に偏光される。
【0068】
[00067] 4色は偏光維持ファイバ442によってマルチプレクサ502に搬送され、ここで単一の4色ビームに結合される。マルチプレクサは矢印504で示されるように、直線偏光を維持する。矢印504及び同様の矢印は、緑成分及び赤成分の偏光を示すために、図面全体を通じてG及びRと標示される。N成分及びF成分は、それぞれ、G成分及びR成分と同様に配向される。
【0069】
[00068] この結合されたビームは、好適なデリバリ光学系506を介してビームスプリッタ454に進入する。既に説明したように、このビームは、ビームスプリッタ内部にある、部分反射表面又は全反射表面(例えば、0.5mm直径スポットミラー)から反射する。対物レンズ424はビームを狭ビーム406に合焦させ、狭ビーム406はウェーハW上のアライメントマーク202により形成された格子によって反射及び回折される。放射は、例えば開口数NA=0.6の対物レンズ424によって集められる。このNA値により、各色について、16μmピッチの格子から少なくとも10次の回折を集めることができる。
【0070】
[00069] 情報保持ビーム426を形成する反射及び回折放射は、次いで自己参照干渉計428に搬送される。この例では、既に説明したように、ビームは、情報保持ビームの一部分464を、提供されている場合は非対称性測定装置460へと供給するために、ビームスプリッタ462によって分割される。非対称性測定情報を伝達する信号466を、装置460からプロセッサPRへ通過させる。干渉計の直前で、偏光を半波長板510によって45°回転させる。以後、偏光矢印は、明確にするために1色のみについて表示する。以上及び米国特許第6961116号で既に説明したように、干渉計は偏光ビームスプリッタから構成され、ここで各色の半分が透過され、各色の半分が反射される。次いで、各半分は干渉計内部で3回反射され、放射場を+90°及び-90°回転させ、180°の相対回転を与える。次いで、2つの場は互いの頂部上で重畳され、干渉可能となる。-90°及び90°イメージの経路差を補償するために、位相補償器512が存在する。次いで偏光は別の半波長板514によって45°回転される。したがって、主軸がX又はY軸に対して22.5°に設定される。半波長板510、514は波長非感受性であるため、4つの波長の全ての偏光は45°回転される。
【0071】
[00070] 別のビームスプリッタ516が、光信号をA及びBと指定された2つの経路に分割する。一方の経路は2つの回転された場の和を含み、他方は差を含む。初期の偏光方向に応じて、和は経路A又は経路B内で終わる。したがって、この例では、緑及び近赤外信号についての和信号は一方の経路内で終わり、赤及び遠赤外信号については他方の経路内で終わる。各色について、対応する差信号は他方の経路内で終わる。
【0072】
[00071] この構成は、各色での照明のために1つの偏光を用いることを選択することに留意されたい。1色について2つの偏光を用いる測定は、読取り間で偏光を変更することによって、又は読取り内での時分割多重化(time division multiplexing)によって実行可能である。しかしながら、色及び偏光における何らかのダイバーシティから恩恵を受けながら、高スループットを維持するために、各色が直線偏光され、色の1つのサブセットが1つの偏光方向を有し、色の別のサブセットが異なる偏光方向を有する異なる色の1セットは、ダイバーシティと測定スループットとの間に良好な妥協点を示す。スループットに影響を与えずにダイバーシティを増加させるために、本明細書で提示される4色方式と同様であるが、混合偏光とともに、放射システムがより多くの色、例えば8又は16色を使用する実装形態を想定することが可能である。
【0073】
[00072] 各経路A及びBについての放射は、それぞれの集光レンズアセンブリ484A及び484Bによって集められる。次いで、この放射は、基板上のスポット外からの放射の大部分を取り除く開口518A又は518Bを通過する。2つのマルチモードファイバ520A及び520Bは、各経路の集められた放射をそれぞれのデマルチプレクサ522A及び522Bに搬送する。デマルチプレクサ522A、522Bは、各経路を元の4色に分割するため、合計8つの光信号が検出器装置430内の検出器430A及び430Bに伝送されることになる。実用的な一実施形態において、ファイバは、デマルチプレクサと、検出器回路基板上の8つの検出器要素との間に配置される。この例における検出器は、空間分解能を提供しないが、装置が基板W上のアライメントマーク202をスキャンする際に、各色について時変強度信号I及びIを伝送する。信号は実際には位置依存信号であるが、装置とアライメントマークとの間の物理的スキャン移動(図4を想起されたい)と同期された時変信号(波形)として受信される。
【0074】
[00073] プロセッサPRは、8つの検出器から強度波形を受け取り、これらを処理して位置測定POSを行う。異なる波長及び入射偏光に基づいて選択する信号が8つあるため、装置は、多様な状況において使用可能な測定値を取得することができる。ここで、アライメントマーク202は、異なる材料及び構造の多数の層の下に埋め込まれることがあることに留意されたい。一部の波長は、異なる材料及び構造に他よりも良好に浸透する。プロセッサPRは、通常、波形を処理し、最も強い位置信号を提供している波形に基づいて位置測定を行う。残りの波形は無視されることがある。単純な実装形態では、各測定タスクについての「レシピ」は、ターゲット構造の予備知識及び実験的調査に基づいて、どの信号を使用するかを特定することがある。より高度なシステムでは、事前の知識なしに最良の信号を識別するために、「色彩管理」又は「平滑色彩管理」アルゴリズムを用いた自動選択が実行可能である。これは、Huijbregtseらによる「Overlay Performance with Advanced ATHENATM Alignment Strategies」,Metrology, Inspection, and Process Control for Microlithography XVII, Daniel J. Herr, Editor, Proceedings of SPIE Vol. 5038(2003)に記載されている。
【0075】
[00074] 各レンズ484A、484Bは、場全体を各検出器430A、430Bの各要素上に集束させ、これは、図4の既知のアライメントシステムと同様の構成である。検出器は、実質的に単一フォトダイオードであり、既に説明したスキャン動作による以外は、いかなる空間情報も提供しない。必要に応じて、共役瞳面内に空間分解能を有する検出器を追加することができる。これにより、例えば、アライメントシステムハードウェアを使用して、角度分解スキャトロメトリ法が実行できるようになることがある。
【0076】
[00075] 図6は、放射源RS及び放射調節装置RCを備えた、本発明のある実施形態に係る放射システムRYを概略的に示している。放射源RSは、ある波長範囲にわたる放射を提供するように構成される。放射源RSは、例えば紫外線から赤外線の範囲又は可視光から赤外線の範囲の放射を提供するように構成されることがある。例えば、放射源RSは、500nmと短い波長の放射を提供することもあるし、220nm(以下)という短い波長の放射を提供することもある。放射源RSは、例えば最大900nmの波長の放射を提供することがある。放射源は最大2ミクロンの波長の放射を提供することがある。
【0077】
[00076] 放射源RSは、例えば、いわゆる白色光レーザであることがある。この名称は、ある波長範囲にわたる放射が放出されることを意味するものと解釈されることがあり、放出された放射が可視放射に限定されることを意味することを意図していない。一実施例では、放射源RSは、光ファイバ22とともにポンプレーザ20を備えることがあり、ファイバは、ポンプレーザから出力された放射をある波長範囲を超えて広がる放射に変換するように構成される。これはスーパーコンティニウム発生(super continuum generation)と呼ばれることがある。ポンプレーザ20は、パルスレーザビームを提供するように構成されることがある。例えば、レーザパルスは、例えば約1565nmの赤外パルスであることがある。レーザは、例えば約20Wの出力を有することがある。パルスは、1ns未満、例えば数十fsから数十psの間の持続時間を有することがある。ある実施形態では、ポンプレーザ20はパルス圧縮システムを含むことがあり、パルス圧縮システムはレーザの発振器の外側に配置されることがあり、レーザにより出力されたレーザパルスの持続時間を短縮するのに使用される。
【0078】
[00077] レーザパルスは光ファイバ22に結合される。光ファイバ22は、レーザパルスを比較的狭い波長範囲からより広い波長範囲に変換する役割を果たす。上記のように、これはスーパーコンティニウム発生と呼ばれることがある。一実施形態では、光ファイバ22は石英コアを含むことがある。別の実施形態では、光ファイバ22は中空コアを含むことがあり、中空コアには、例えば希ガスが充填されることがある。レーザパルスは、例えば反共振反射によって光ファイバ内に閉じ込められ、その結果、光ファイバのコアは、光ファイバの他の部分よりも高い放射強度を受ける。レーザパルスが短い(例えば、持続時間が1ns未満である)ため、放射強度は光ファイバのコアにおいて非常に高い。光ファイバのコアにおける放射強度が高いため、ファイバコアで非線形効果が生じる。これらの非線形効果は放射のスペクトルを広げる役割を果たす。
【0079】
[00078] 中空コア光ファイバは、中実コア光ファイバよりも短いレーザパルスを使用することがある。例えば、中空コア光ファイバは、持続時間が約300fs(例えば、およそ100fs)のレーザパルスを用いて励起されることがある。例えば、中実コア光ファイバは、持続時間が約30ps(例えば、およそ10ps)のレーザパルスを用いて励起されることがある。
【0080】
[00079] 中空コア光ファイバは中実コア光ファイバより好まれることがある。これは、例えば石英であることがある中実コアの材料が、広げられた放射のスペクトルが紫外線放射を含む場合に損傷を受ける可能性があるためである。これは、高フルエンスの紫外線放射が石英に損傷を与え、黒くするためである。仮にこうした事態が発生した場合は、ファイバの有効性が低下し、交換が必要になる。希ガスが充填された中空コアファイバが使用される場合、希ガスと紫外線放射との相互作用は(仮にあったとしても)はるかに小さい。したがって、希ガスへの損傷は回避されるか、又は中実コアファイバの石英への損傷よりも小さい。希ガスが損傷を受けた(又は経年劣化した)場合は、中空コアからパージされ、交換されることがある。
【0081】
[00080] 放射源RSにより出力された放射は直線偏光されることがある(励起レーザは直線偏光されることがあり、この偏光は保存されることがある)。放射源RSにより出力された放射は、TEM00と呼ばれることがあるTE(transverse electric)モードであることがある。
【0082】
[00081] 本発明の実施形態は、トポグラフィ測定システムTMSにおいて紫外線放射を用いることがある。これは、紫外線放射が(例えば赤外線放射と比べて)基板上に設けられた材料層への吸収が少なく、したがって、基板の表面トポグラフィをより正確に測定するためである。これに対して、アライメントシステムASは赤外線放射を用いることが望ましいことがある。これは、基板上に設けられたアライメントマークが材料層下に埋設されることがあり、赤外線放射は、アライメントマークが赤外線放射によって照明されるようにこれらの層を貫通できることがあるためである。アライメントシステムが(例えば、赤外線放射を用いることに加えて)可視放射を用いることが望ましいこともある。これによって、一部の実施形態では、トポグラフィ測定システムTMSにより使用される波長は、アライメントシステムASにより使用される波長より短いことがある。換言すれば、一部の実施形態では、トポグラフィ測定システムTMSとアライメントシステムASとにより使用される波長には重複がない。他の実施形態では、トポグラフィ測定システムTMSとアライメントシステムASとにより使用される波長に重複があることがある。例えば、トポグラフィ測定システムによって可視放射波長が使用されることがある。トポグラフィ測定システムから出力される信号の波長の関数としての変化は、基板上に存在する材料層についての情報を提供することがある。
【0083】
[00082] 再度図6を参照すると、放射調節装置RCは、放射源RSから出力された放射をトポグラフィ測定システムTMSによる使用に適した放射及びアライメントシステムASによる使用に適した放射に変換する。ダイクロイックミラー30が放射源RSから出力された放射を2つのビームに分離する。ダイクロイックミラー30は、約390nm以上の波長を有する放射、すなわち可視及び赤外線放射を反射するように構成されることがあり、また、約390nm未満の波長を有する放射、すなわちUV放射を透過するように構成されることがある。他の実施形態では、ダイクロイックミラーは他の波長を反射及び透過するように構成されることがある。他の光学素子を用いて波長に基づいてビームを分離することがある。別記のように、アライメントシステムASにより使用される波長とトポグラフィ測定システムTMSにより使用される波長とに重複があることがある。
【0084】
[00083] トポグラフィ測定システムにより用いられる放射は、概ね均一であることが望ましいことがある。これは、放射の不均一性がトポグラフィ測定システムTMSの第2の格子16に形成される格子像の歪みを生じさせるためである。次いで、歪められた格子像は、例えば格子像の重心をシフトすることによって、測定された基板の高さにエラーを引き起こすことになる。不均一性は、視野不均一性及び瞳不均一性から構成されることがある。視野不均一性は、格子8の平面などの視野面における放射ビームにわたる強度変化である。瞳不均一性は、視野面における放射ビームにわたる放射の角度分布の変化、すなわち瞳面における放射ビームにわたる強度変化である。放射は空間的にインコヒーレントにされることがあり、また所望の均一性を提供するために均質化されることがある。空間的にインコヒーレントという用語は、空間的コヒーレンスがトポグラフィ測定システムを使用して行われる測定の精度に大きな影響を与えないほど十分に低いことを意味すると解釈されることがある。不均一性は、平均放射強度に対する百分率変化として測定されることがある。放射は約20%以下の視野不均一性を有することがある。放射は約30%以下の瞳不均一性を有することがある。
【0085】
[00084] (第1のビーム部分32と呼ばれることがある)透過された放射は、第1のビーム部分32から空間的(横)コヒーレンスを除去する又は低減させるように構成されたコヒーレンス除去装置34へ向けられる。トポグラフィ測定システムTMSにより使用される放射はスペックルを含まないことが好ましいことがある。なぜなら、スペックルはトポグラフィ測定システムにより実行されるトポグラフィ測定にエラーを引き起こす可能性があるからである。コヒーレンス除去装置の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8164740号に開示されている。
【0086】
[00085] 一実施例では、コヒーレンス除去装置34は、長さが異なる複数のロッドを備えることがある。ロッドは放射に異なる経路長を与え、経路長間の差は、異なる経路に沿って進んだ放射の異なる部分間の時間的コヒーレンスが除去されるように、放射のコヒーレンス長よりも長い。ロッドから出力された放射はレンズによって集められることがある。ビームの異なる部分がレンズによって結合されるとき、結合されたビームの異なる部分は互いに対してコヒーレントでなく、まとまって空間的にインコヒーレントである、又はトポグラフィ測定システムにとって十分に低い空間コヒーレンスを有するビームを提供する。別の実施例では、コヒーレンス除去装置は、互いに間隔を置いて配置され、放射の異なる部分を反射するように構成された一連の反射面を備えることがある。反射面の間の間隔は、異なる反射面から反射された放射からコヒーレンスを除去できるだけ十分に大きいことがある。
【0087】
[00086] 第1のビーム部分32はホモジナイザ36を通過することもある。ホモジナイザ36は、放射ビーム全体の空間強度変動を除去する又は低下させるように構成されることがある。ホモジナイザは、第1のビーム部分の放射に所望のプロファイルを適用することがある。一部の実施形態では、ホモジナイザはトポグラフィ測定システムTMSの光学系6の一部を構成することがある。一部の実施形態では、ホモジナイザ及びコヒーレンス除去装置は単一モジュールとして設けられることがある。
【0088】
[00087] 図7には、コヒーレンス除去装置及びホモジナイザの一例が示されている。これらは単一モジュールとして設けられることがある。コヒーレンス除去装置34は、集光レンズ401の前に置かれた一組の透過素子400、例えば透過ロッドを備える。ホモジナイザ36は、平坦な反射する上面と下面とを備えた石英ロッド402を備える。第1のビーム部分32は一組の透過素子400に向けられる。一組の透過素子400は、集光レンズ401に向けられ、その後ホモジナイザ36に向けられる複数の放射ビームを提供する。一組の透過素子400の各素子は、隣接する素子の光路長とは異なる光路長を有しており、放射のコヒーレンスを除去する又は低減させる。例えば、この差は、放射源RSにより提供された放射の時間的コヒーレンス長より大きくてもよい。
【0089】
[00088] コヒーレンス除去装置34及びホモジナイザ36は、どちらも第1のビーム部分32のエタンデュを増加させる効果を有する。例えば図7を参照すると、もし透過素子400がなかったら、ビーム部分32の焦点には回折限界があるだろう。透過素子400があることにより、有効口径が1/4に減少するため、焦点は広くなる、すなわち5倍広くなる。これによって、エタンデュは増加した。石英ロッド402を参照すると、ロッドの入口は部分的に満たされているが、出口は均一に満たされている。ビーム部分32の発散度は変化していないため、エタンデュは増加した。したがって、全体としてこのモジュールはエタンデュ増加を引き起こす。一般に、ビーム部分32を横方向にインコヒーレントにすることは、(一定の場分布で)発散度を増加させることによって、もしくは(一定の発散度で)場分布を増加させることによって、又はその両方によってエタンデュを増加させることを意味する。
【0090】
[00089] コヒーレント光からインコヒーレント光を得るために(図7)、10~20メートルの範囲の長さを有するマルチモードファイバが使用されることがある。コヒーレントにマルチモードファイバに入射する光が、インコヒーレントにファイバから出射することがある。
【0091】
[00090] 一般に、コヒーレンス除去装置34及びホモジナイザ36は、第1のビーム部分32のエタンデュを増加させることになる。エタンデュを増加させることは、トポグラフィ測定システムTMSが比較的大きい放射場を用いることがあるため望ましいことがあり、このような放射場に比較的低いエタンデュを有する放射、例えば、放射源RSから出力されたTEM00放射ビームを提供することは困難なことがある。約1E-7mSr以上のエタンデュを有する放射が使用されることがある。
【0092】
[00091] 第1のビーム部分がコヒーレンス除去装置及びホモジナイザを通過すると、調節された放射ビーム39が出力される。調節された放射ビーム39は、トポグラフィ測定システムTMSによる使用に適している。
【0093】
[00092] ダイクロイックミラー30により反射された放射の一部分は、第2のビーム部分40と呼ばれることがある。第2のビーム部分40は直線偏光されることがある。第2のビーム部分40は、波長選択装置42に向けられる。波長選択装置42は、アライメントシステムASにより使用されることになる放射の1つ以上の波長を第2のビーム部分40から選択するように構成される。以上に詳しく記述したように、放射ビーム、したがって第2のビーム部分40は単一モードビームであることがある。2つ以上のモードが存在するとアライメントシステムにエラーを発生させる可能性があるため、アライメントシステムASにおいて単一モードを有する放射を使用することが望まれることがある。第2のビーム部分の全ての部分は、互いに干渉し合える必要がある。第2のビーム部分40は単一モードTEM00ビームであることがある。このモードは最も小さいエタンデュを有し、小さいスポットサイズ及び小さい発散度を提供することになる。単一モードTEM00ビームは、例えば図4に示したタイプのアライメントシステム又は図5に示したタイプのアライメントシステムによって使用されることがある。例えば、約1E-13mSrの比較的小さいエタンデュを有するビームを使用することが望ましいことがある。一般に、アライメントシステムにより使用される放射のエタンデュは、トポグラフィ測定システムにより使用される放射のエタンデュより桁違いに小さく、例えば少なくとも5桁小さいことがある。示された実施形態では、波長選択装置42は、それぞれが異なる波長を上回る放射を反射し、その波長を下回る放射を透過するように構成された一組のダイクロイックミラーを備える。示された実施例では、第2のビーム部分40は、390nm~遠赤外(例えば2000nm)の範囲の波長を有する放射から構成されることがある。波長選択装置42の第1のダイクロイックミラー44が、700nmより長い波長を有する全ての放射、すなわち全ての赤外線放射を反射する。次いで、反射された放射は、1500nm以上の波長を有する全ての放射、すなわち遠赤外線放射を反射する第2のダイクロイックミラー46へ通過する。これにより遠赤外線放射ビーム47がもたらされる。遠赤外ビーム47は直線偏光される。放射源RSから出力された放射の偏光は保存されている。遠赤外ビーム47の偏光を回転させるのに波長板60が使用されることがある。調節された放射ビームと呼ばれることがある遠赤外ビーム47は、アライメントシステムに入力されることがある。もし遠赤外ビーム47が偏光されていなければ、ポラライザを使用して遠赤外ビームに所望の偏光を与えることができる。
【0094】
[00093] 波長選択装置の第2のダイクロイックミラー46により透過される放射は、近赤外線放射、すなわち700~1500nmの範囲の放射から構成される。この放射は、従来の(すなわちダイクロイックでない)ミラー48により反射されることがあり、近赤外線放射ビーム49をもたらす。近赤外ビーム49の偏光を回転させるのに波長板62が使用されることがある。調節された放射ビームと呼ばれることがある近赤外ビーム49は、アライメントシステムASに入力されることがある。もし近赤外ビーム49が偏光されていなければ、ポラライザを使用して遠赤外ビームに所望の偏光を与えることができる。
【0095】
[00094] 波長選択装置42の第1のダイクロイックミラー44により透過される放射は、可視波長範囲(すなわち390~700nm)内にある。この放射を反射するのに、従来の(すなわちダイクロイックでない)ミラー50が使用されることがある。この放射は波長選択装置42の第3のダイクロイックミラー52に入射することがあり、第3のダイクロイックミラー52は570nmより長い波長を有する放射を反射するように構成される。これにより、570nmから700nmの範囲の放射がもたらされる。この放射は、ここでは長波長可視放射ビーム53と呼ばれる。長波長可視放射ビーム53の偏光を回転させるのに波長板64が使用されることがある。調節された放射ビームと呼ばれることがある長波長可視放射ビーム53は、アライメントシステムASに入力されることがある。もし長波長可視放射ビーム53が偏光されていなければ、ポラライザを使用して長波長可視放射ビームに所望の偏光を与えることができる。
【0096】
[00095] 第3のダイクロイックミラー52により透過される放射は、390~570nmの範囲内にあり、短波長可視放射と呼ばれることがある。短波長可視放射55は従来のミラー54によって反射されることがある。この放射は、ここでは短波長可視放射ビーム55と呼ばれる。短波長可視放射ビーム55の偏光を回転させるのに波長板66が使用されることがある。調節された放射ビームと呼ばれることがある短波長可視放射ビーム55は、アライメントシステムASに入力されることがある。もし短波長可視放射ビーム55が偏光されていなければ、ポラライザを使用して短波長可視放射ビームに所望の偏光を与えることができる。
【0097】
[00096] したがって、波長選択装置42は、それぞれが異なる波長範囲を有する4つの放射ビーム47、49、53、55を出力として提供する。これらの放射ビームはTEM00ビームであることがある。放射ビームは、以上で詳述されたようにアライメントシステムASによって使用されることがある。
【0098】
[00097] 波長選択装置42は、異なる波長のより多い又はより少ない放射ビームを提供するように修正されることがある。これは、使用するダイクロイックミラーの数を増減させることによって達成されることがある。ダイクロイックミラー以外の波長選択素子が使用されることもある。
【0099】
[00098] 波長選択装置は、入射放射ビームを複数のビーム部分に分離するため、波長ベースのビーム分離装置であると考えられることがある。波長ベースのビーム分離装置は、入射放射ビーム(又はビーム部分)を2つ、又は3つ以上のビーム部分に分離することがある。
【0100】
[00099] 波長選択装置はまた、トポグラフィ測定システムTMSのための第1のビーム部分32を調節するのに使用されることがある。例えば、(以上で詳述したように)基板上に存在する材料層についての情報を得るために、トポグラフィ測定システムTMSによって放射の異なる波長が使用されることがある。トポグラフィ測定システムTMSによる使用のために選択される波長は、アライメントシステムASによる使用のために選択される波長と異なることがある。
【0101】
[000100] 上記の波長選択装置では、比較的大きい波長範囲を有する放射ビームがアライメントシステムASに提供される。より狭い波長帯域を有する放射を用いてアライメントシステムASからアライメント信号を取得することが望ましいことがある。この場合には、所望の波長を有する放射を透過するフィルタを使用することがある。例えば、短波長可視放射55から緑色放射を選択するためにフィルタが使用されることがある。このフィルタは、例えば、図5に示したアライメントシステムASの検出器430A、Bなどの検出器の前に置かれることがある。長波長可視放射53から赤色放射を選択するために別のフィルタが使用されることもある。ここでもまた、フィルタは、例えば図5に示したアライメントシステムASの検出器430A、Bなどの検出器の前に置かれることがある。例えば検出器の前に位置する他のフィルタが使用されて、所望の近赤外波長及び所望の遠赤外波長を選択することがある。
【0102】
[000101] フィルタは、例えばある波長帯域を選択することがある。フィルタは、例えば5~20nmの帯域幅(例えば約10nmの帯域幅)を有する放射を選択することがある。
【0103】
[000102] 一般に、放射が基板Wに向けられる前か、放射が基板Wから反射された後のいずれかにフィルタが使用されて、アライメントシステムASにより使用される放射の所望の波長を選択することがある。放射が基板W上に向けられる前にフィルタを使用することの利点は、基板Wに入射する放射の強度が低下することである。これは、基板W上のレジストが放射によって露光及び/又はアブレートされるリスクがある場合に望ましいことがある。
【0104】
[000103] 代替的な構成(図示せず)では、波長選択装置42は、アライメントシステムASにより使用される放射の特定の波長を選択するように構成されたミラーを備えることがある。これらは、例えば異なる屈折率を有する材料の交互層が設けられた、いわゆる多層ミラーであることがある。ミラーの層間の間隔は、各ミラーが特定の波長の放射を反射し、残りの波長が透過されるように選択されることがある。例えばミラーは、波長の帯域、例えば5~20nmの帯域幅(例えば約10nmの帯域幅)を有する放射を反射することがある。
【0105】
[000104] ある実施形態では、放射調節装置RCにより提供される波長は調整可能であってよい。調整機能は、例えば所望の波長の放射を回折する格子を生成する1つ以上の音響光学変調器を使用することによって与えられることがある。
【0106】
[000105] 図6に示した実施形態では、放射源RSから放出された放射は、紫外波長がトポグラフィ測定システムTMSへ通過され、可視波長及び赤外波長がアライメントシステムASへ通過されるように分割される。他の実施形態では、トポグラフィ測定システムTMS及びアライメントシステムASへ通過される波長の分割は異なることがある。一部の実施形態では、一部の放射の波長は、トポグラフィ測定システムTMSとアライメントシステムASの両方によって使用されることがある。例えば、可視放射波長は、トポグラフィ測定システムTMSとアライメントシステムASの両方によって使用されることがある。
【0107】
[000106] 図6に示した実施形態では、放射システムRYは、2つのタイプの測定システム、すなわちトポグラフィ測定システムTMS及びアライメントシステムASにより使用される放射を提供するために使用される。他の実施形態では、放射システムRYにより提供される放射は、(例えば、トポグラフィ測定システムTMS及び/又はアライメントシステムASに加えて又はこの代わりに)他のタイプの測定システムによって使用されることがある。一般に、放射調節装置RCは、放射ビームを少なくとも2つのビーム部分に分離し、少なくとも2つのビーム部分を異なるように調節するように構成されることがある。少なくとも2つのビーム部分の調節は、少なくとも2つの測定システムへ提供され、受け取られる前に行われることがある。したがって、放射ビームは、ターゲットとの相互作用の前に分割及び調節される。
【0108】
[000107] 少なくとも2つのビーム部分の一部分を受け取るように構成された測定システムは、異なるシステムタイプであっても、同じようなシステムタイプであってもよい。
【0109】
[000108] 放射システムRYから出力された放射は、放射ビームを基板テーブル上に位置する回折格子上に向け、結果として生じる回折縞の位相を測定する基板テーブル位置測定システムによって使用されることがある。この測定はモアレ検出原理に基づくことがあるため、時間的コヒーレンスではなく、横(空間的)コヒーレンスを有する放射を使用することがある。例えば、放射は、例えば780nm(+/-50nm)の赤外波長を有することがある。放射は直線偏光されることがある。格子は格子スケールと呼ばれることがある。
【0110】
[000109] より詳細には、位置測定システムは、ダブルパス干渉格子エンコーダを備えることがある。コリメートされた直線偏光ビームが、放射システムRYから偏光維持単一モードファイバを介して伝送され、基板テーブル上の格子に向けられることがある。この格子は、溝の深さがλ/4の反射型位相格子であり、1次回折ビームの強度を増加させつつ0次回折次数を抑制することがある。放射ビームはこの格子によって正の回折角及び負の回折角に回折され、それぞれが干渉計のアームを形成する。干渉計の各アームでは、放射が静的格子によって回折され、そしてλ/4板を介してポロプリズムへ通過する。λ/4板は、干渉計の各アームで反対の符号を有する。ポロプリズムは、測定方向に対して横方向の放射へのシフトを適用する。放射は、ポロプリズムからλ/4板及び静的格子を経由して基板テーブル上の格子に戻る。λ/4板の累積効果は、干渉計の2つのアームの放射ビームに互いに逆回りの円偏光を適用することである。干渉計アームからの放射は再結合されて、基板テーブル上の格子により回折されると追加の位相シフトを受ける。ここで干渉計アーム間の位相差は8πΔx/pに等しく、Δxは基板テーブル上の格子の変位であり、pはその格子のピッチである。干渉計アームから戻される放射の偏光状態は互いに逆回りの円偏光であるため、各干渉計アームから戻される放射を区別するのにホモダイン位相アナライザを使用することがある。
【0111】
[000110] 放射システムRYから出力された放射は、EUVリソグラフィ装置の一部を構成し得るEUV露光放射源の燃料液滴メトロロジシステムによって使用されることがある。EUV露光放射源は、レーザ放射のパルスが向けられるスズなどの燃料の液滴を提供するように構成された液滴生成器を備えることがある。レーザ放射は燃料をEUV放出プラズマに変換する。燃料液滴メトロロジシステムは液滴の位置を監視し、レーザ放射が確実に燃料液滴に入射するように、レーザ放射ビーム及び/又は液滴生成器の調整を可能にする。燃料液滴メトロロジシステムは、液滴が通過するエリアを照明し、カメラを使用して液滴の像を捉える。放射システムRYは、液滴が通過する1つ以上のエリアを照明するのに使用される放射を提供することがある。この放射は、燃料液滴が通過する1つ以上の放射のカーテンとして提供されることがある。放射のカーテンは均一であることが望ましいことがある。その結果、放射のカーテンを形成するために使用される放射は、コヒーレンス除去装置及びホモジナイザを使用して調節されることがある。異なる放射のカーテンが提供されることもある。これらは同じ波長を有することも、異なる波長を有することもある。放射は、例えば1つ以上の赤外波長を備えることがある。例示的な波長は800nm(+/-50nm)及び1150nm(+/-50nm)である。燃料液滴を照明する放射のコーンが提供されることもある。この場合もまた、放射はコヒーレンス除去装置及びホモジナイザを使用して調節されることがある。放射のコーンは、例えば赤外波長を有することがある。例示的な波長は900nm(+/-50nm)である。
【0112】
[000111] 放射システムRYから出力された放射は、レチクル検査システムによって使用されることがある。レチクル検査システムはリソグラフィ装置の一部を構成することがある。レチクル検査システムは、レチクルから反射した放射を検出する検出器とともに、レチクルの表面にレーザビームをスキャンするスキャンレーザシステムを備えることがある。検出は暗視野照明に基づくことがある。レチクル検査システムにより使用される放射ビームは単一モードビーム(例えばTEM00)であることがある。放射ビームは、例えば赤外波長(例えば、800nm+/-50nm)を有することがある。レチクル検査システムは、パルス放射ではなく、連続波(CW)放射とともに使用するように設計されることがある。別記のように、放射システムRYから出力された放射はパルス化されていることがある。しかしながら、このことは、レチクル検査システムの検出器の取得時間が放射システムRYから出力された放射パルスの間の間隔より長い場合には、レチクル検査システムの使用に悪影響を及ぼすことはない。例えば、放射システムRYから出力された放射のパルス繰り返し率が、検出器の応答周波数より3倍以上速いことがある。
【0113】
[000112] 本発明の実施形態は、透過型光学系を備えたリソグラフィ装置との関連で説明してきた。しかしながら、他の実施形態は反射型光学系を備えたリソグラフィ装置の一部を構成することがある。
【0114】
[000113] 図1では、放射システムRYはリソグラフィ装置LA内に位置するように示されている。リソグラフィ装置は、例えばリソグラフィ装置がEUVリソグラフィ装置である場合に、真空などの制御された環境を備えることがある。この場合、放射システムRYの放射源RS及び放射調節装置RCの一方又は両方は、制御された環境の外側に位置し、放射が制御された環境内の測定システムに(例えば光ファイバを介して)結合されることがある。一般に、放射システムRYは、任意の所望の場所に設けられることがあり、放射は、放射システムから測定システムに(例えば光ファイバを介して)結合されることがある。
【0115】
[000114] ある実施形態では、放射システムRYは、アライメントシステムASとトポグラフィ測定システムTMSの両方により同時に使用される放射を提供することがある。
【0116】
[000115] ある実施形態では、放射システムRYは、2つ以上のタイプの測定システムにより同時に使用される放射を提供することがある。例えば、2つ以上のタイプの測定システムが同じ放射システムRYを使用する。放射源RSは、例えば、アライメントシステムAS、トポグラフィ測定システムTMS、位置測定システム、燃料液滴メトロロジシステム、レチクル検査システムのうちの2つ以上により同時に使用される放射を提供することがある。
【0117】
[000116] 図6に示した実施形態では、放射源RSから出力された放射ビームは、ダイクロイックミラー30によって2つのビーム部分32、40に分離される。ダイクロイックミラーは、波長ベースのビーム分離装置の一例である。
【0118】
[000117] 他の実施形態では、ビーム分離装置は、放射ビームの一部と交差するように構成されたリフレクタであって、その一部を反射し、放射ビームの残りの部分を反射しないリフレクタであることがある。3つ以上の放射ビーム部分を生成するために、このような部分的に交差するリフレクタを2つ以上使用することがある。リフレクタの上流の放射ビームの断面サイズを大きくするために、ビームエキスパンダを使用することがある。部分的に交差するリフレクタの上流側にフォーカスレンズが配置され、部分的に交差するリフレクタはこのレンズの焦点にあることがある。このような構成が用いられるとき、部分的に交差するリフレクタにより反射される放射ビームの一部は、部分的に交差するリフレクタの上流の放射ビームの角度分布によって決定されることがある。
【0119】
[000118] 他の実施形態では、ビーム分離装置は、放射ビームの一部又は放射ビーム部分と周期的に交差し、これを反射するように構成されることがある。例えば、放射ビームを周期的に遮断するのに使用され得る、いわゆるチョッパ(chopper)と類似した、半径方向に分布した開口を有する回転反射ディスクが使用されることがある。
【0120】
[000119] 他の実施形態では、ビーム分離装置は、第1の偏光を有する放射ビームの一部を反射するように構成され、第2の偏光を有する放射ビームの一部を透過するように構成された偏光ビームスプリッタを備えることがある。
【0121】
[000120] 他の実施形態では、ビーム分離装置は、放射ビーム又は放射ビーム部分を少なくとも2つの部分に分離するように構成された電気光学素子を備えることがある。電気光学装置は、例えばポッケルスセルや音響光学可変波長フィルタであることがある。
【0122】
[000121] ビーム分離装置の上記の例は、放射ビームを分離することとの関連で説明されている。しかしながら、それらは放射ビーム部分を分離するために代替的に(又は付加的に)使用されることがある。
【0123】
[000122] 上記のビーム分離装置はそれぞれが単数で説明されている。しかしながら、例えば3つ以上の放射ビーム部分を形成するために、複数のビーム分離装置が設けられることがある。
【0124】
[000123] 本文では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされていることがあるが、本明細書で説明されたリソグラフィ装置は他の用途を有することもあることが理解されるべきである。考えられる他の用途には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(RCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0125】
[000124] 本文では、リソグラフィ装置との関連で本発明の実施形態について具体的な言及がなされていることがあるが、本発明の実施形態は他の装置において使用されることもある。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(もしくは他の基板)又はマスク(もしくは他のパターニングデバイス)などの物体を測定又は処理する任意の装置の一部を構成することがある。例えば、本発明の実施形態は、リソグラフィ装置によりパターンが投影された基板の特性を測定するのに使用されるメトロロジ装置の一部を構成することがある。メトロロジ装置は、アライメントシステムを含むことがあり、トポグラフィ測定システムTMSを含むことがある。メトロロジ装置は、位置センシング干渉計などの上述の他のシステムを含むこともある。ある実施形態では、メトロロジシステムは、スキャトロメトリシステム(Yieldstar(登録商標)と呼ばれることがある)を含むことがある。スキャトロメトリシステムは、重ねて配置される(例えば基板上の異なる材料層に設けられる)2つの格子により形成された1次回折次数間の放射強度の不均衡を測定するように構成されることがある。この不均衡は格子間の相対アライメントを示す。スキャトロメトリシステムは、異なる波長を有する放射を使用して同じ位置で(例えば同時に)多重測定を行うことがある。スキャトロメトリシステムは、異なる位置で同時に多重測定を行うこともある。スキャトロメトリシステムにより使用される放射は偏光されることがある。スキャトロメトリシステムにより使用される放射は、400~900nmの範囲の1つ以上の波長を有することがある。放射は0.5mm未満のコヒーレンス長を有することがある。放射は約1E-9m2Sr以上のエタンデュを有することがある。放射はコヒーレンス除去装置及びホモジナイザによって調節されていることがある。
【0126】
[000125] マスク検査装置、メトロロジ装置、及びその他の測定又は処理装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することがある。
【0127】
[000126] 本発明は、以下の条項に従って記載され得る。
1.放射源及び放射調節装置を備えた放射システムであって、
放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、
放射調節装置が、放射ビームを少なくとも2つのビーム部分に分離するように構成され、
少なくとも2つのビーム部分を、少なくとも2つの測定システムによって受け取られる前に、異なるように調節するようにさらに構成されている、放射システム。
2.放射調節装置が、第1のビーム部分を調節して第1のタイプの測定システムによる使用のために調節された放射を提供し、第2のビーム部分を調節して第2のタイプの測定システムによる使用のために調節された放射を提供するように構成されている、条項1の放射システム。
3.放射調節装置が、1つ以上のビーム部分からコヒーレンスを除去する又は低減させるように構成されたコヒーレンス除去装置を備える、条項1又は2の放射システム。
4.放射調節装置が、1つ以上のビーム部分のエタンデュを増加させるように構成されている、条項1から3の何れか一項の放射システム。
5.放射調節装置が、1つ以上のビーム部分の不均一性を減らすように構成されたホモジナイザを備える、条項1から4の何れか一項の放射システム。
6.放射調節装置が、放射ビーム又は放射ビーム部分を波長に基づいて少なくとも2つのビーム部分に分離するように構成された波長ベースのビーム分離装置を備える、条項1から5の何れか一項の放射システム。
7.波長ベースのビーム分離装置が、異なる波長を有する3つ以上のビーム部分を提供するように構成されている、条項6の放射システム。
8.波長ベースのビーム分離装置が、少なくとも1つのダイクロイックミラーを備える、条項6又は7の放射システム。
9.放射調節装置が、放射ビームの一部又は放射ビーム部分の一部と交差するように構成され、その一部を反射するが放射ビーム又は放射ビーム部分の残りの部分を反射しない、ビーム分離装置を備える、条項1から8の何れか一項の放射システム。
10.放射調節装置が、放射ビームの一部又は放射ビーム部分と周期的に交差し、これを反射するように構成されたビーム分離装置を備える、条項1から9の何れか一項の放射システム。
11.放射調節装置が、第1の偏光を有する放射ビームの一部又は放射ビーム部分を反射するように構成され、第2の偏光を有する放射ビームの一部又は放射ビーム部分を透過するように構成された偏光ビームスプリッタを備える、条項1から10の何れか一項の放射システム。
12.放射調節装置が、放射ビーム又は放射ビーム部分を少なくとも2つの部分に分離するように構成された電気光学素子を備える、条項1から11の何れか一項の放射システム。
13.放射調節システムが、少なくとも2つのビーム部分の偏光を回転させることができるように構成された複数の波長板をさらに備える、条項1から12の何れか一項の放射システム。
14.第1のタイプの測定システムが、トポグラフィ測定システム又は燃料液滴メトロロジシステムを含む、条項2の放射システム。
15.第2のタイプの測定システムが、アライメントシステム、位置測定システム、メトロロジシステム、又はレチクル検査システムを含む、条項2の放射システム。
16.パターンをパターニングデバイスから基板に転写するように構成されたリソグラフィ装置であって、
リソグラフィ装置が、第1のタイプの測定システム及び第2のタイプの測定システムを備え、
リソグラフィ装置が、放射源及び放射調節装置を備えた放射システムをさらに備え、
放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、
放射調節装置が、
放射ビームを第1のビーム部分及び第2のビーム部分に分離し、
第1のビーム部分を調節して、第1のタイプの測定システムに提供される調節された放射を提供し、
第2のビーム部分を調節して、第2のタイプの測定システムに提供される調節された放射を提供する
ように構成されている、リソグラフィ装置。
17.基板の特性を測定するように構成されたリソグラフィツールであって、
リソグラフィツールが、第1のタイプの測定システム及び第2のタイプの測定システムを備え、
リソグラフィツールが、放射源及び放射調節装置を備えた放射システムをさらに備え、
放射源が、紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供するように構成され、
放射調節装置が、
放射ビームを第1のビーム部分及び第2のビーム部分に分離し、
第1のビーム部分を調節して、第1のタイプの測定システムに提供される調節された放射を提供し、
第2のビーム部分を調節して、第2のタイプの測定システムに提供される調節された放射を提供する
ように構成されている、リソグラフィツール。
18.紫外線から赤外線に及ぶ波長を有する放射ビームを提供することと、
放射ビームを少なくとも2つのビーム部分に分離することと、
少なくとも2つのビーム部分を異なるように調節することと、
を含む、方法。
19.第1のビーム部分が、第1のタイプの測定システムによる使用のために調節され、
第2のビーム部分が、第2のタイプの測定システムによる使用のために調節される、条項18の方法。
20.ビーム部分の調節が、コヒーレンスを除去する又は低減させること、エタンデュを増加させること、不均一性を減らすこと、波長に依存した選択、のうちの少なくとも1つを含む、条項18又は19の方法。
【0128】
[000127] 以上、光リソグラフィとの関連において、本発明の実施形態を用いることについて具体的に言及してきたが、本発明は、インプリントリソグラフィ及び/又は適応型製造などのその他の用途に使用されてもよく、文脈が許す限り、光リソグラフィに限定されないことが理解されるであろう。
【0129】
[00128] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0130】
[00129] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7