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特許7195519水素貯蔵率推定システム及び水素貯蔵率推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】水素貯蔵率推定システム及び水素貯蔵率推定方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20221219BHJP
   F17C 11/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F17C13/02 301A
F17C11/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018071150
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2019183862
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】杉田 未来
(72)【発明者】
【氏名】下田 英介
(72)【発明者】
【氏名】野津 剛
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 成輝
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-241261(JP,A)
【文献】特開2007-309457(JP,A)
【文献】特開平02-140641(JP,A)
【文献】特開平08-157980(JP,A)
【文献】特開2002-228098(JP,A)
【文献】特開2006-177535(JP,A)
【文献】特表2005-500534(JP,A)
【文献】特開2005-083452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 1/00
F17C 1/00-13/12
G01N 7/04
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定する水素貯蔵率推定システムであって、
前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の金属温度を検出する温度センサと、
前記水素吸蔵合金タンクの水素圧力を検出する圧力センサと、
金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求める推定式が記憶される記憶部と、
前記温度センサからの金属温度の検出値と前記圧力センサからの水素圧力の検出値とから、前記推定式により水素濃度を算出し、当該算出された水素濃度から水素貯蔵率の推定値を出力する演算部と
解析装置と、
を備え、
前記推定式は、前記解析装置によって、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金との同一組成の試験体を用いて、PCT線図の作成による観測データが取得され、当該観測データから最小二乗法により近似線を温度毎に作成して算出され、前記記憶部に記憶されたものであり、
前記解析装置によって前記近似線が作成される際に、前回までに求められた近似線の傾きと連続する観測データの傾きとの偏差を判定され、前回までに求められた近似線の傾きと連続する観測データの傾きとの偏差が所定の閾値以上なら、新たな近似線が作成される
水素貯蔵率推定システム。
【請求項2】
前記記憶部には、水素吸蔵時の推定式と水素放出時の推定式とがそれぞれ記憶される
請求項1に記載の水素貯蔵率推定システム。
【請求項3】
前記演算部は、推定式が複数ある場合には、計算結果が最小となる水素濃度を選択して水素貯蔵率を推定する
請求項1に記載の水素貯蔵率推定システム。
【請求項4】
水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定する水素貯蔵率推定方法であって、
予め、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金と同一組成の試験体を用いて金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求める推定式を算出する工程と、
前記推定式を記憶する工程と、
前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の金属温度と、前記水素吸蔵合金タンクの水素圧力を検出する工程と、
前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の金属温度の検出値と、前記水素吸蔵合金タンクの水素圧力の検出値とから、前記推定式により水素濃度を算出し、当該算出された水素濃度から水素貯蔵率の推定値を出力する工程と
を含み、
前記推定式を算出する工程は、水素貯蔵率推定システムの外部の解析装置によって、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金との同一組成の試験体を用いて、PCT線図の作成による観測データが取得され、当該観測データから最小二乗法により近似線を温度毎に作成して算出されることと、
前記解析装置によって前記近似線が作成される際に、前回までに求められた近似線の傾きと連続する観測データの傾きとの偏差を判定され、前回までに求められた近似線の傾きと連続する観測データの傾きとの偏差が所定の閾値以上なら、新たな近似線が作成されること
を含む水素貯蔵率推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定する水素貯蔵率推定システム及び水素貯蔵率推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、水素ステーションなどで用いられている圧縮水素ガスや液体水素による既存の水素貯蔵法には、エネルギー密度、所要エネルギー、安全性、取り扱いの点で、建物近傍での適用が難しいという問題が存在する。この解決策のひとつに水素吸蔵合金が存在する。水素吸蔵合金は、下式に示す気固相反応により金属水素化物を生成する合金の中で、水素吸蔵量が比較的多く、水素の吸蔵と放出が温和な温度と水素圧の下で可逆的に進むものの総称である。
【0003】
2M+xH2←→2MHx+Q
【0004】
ここでMは水素吸蔵合金、MHxは水素化物、Qは反応熱[kJ/mol]である。
【0005】
水素吸蔵合金は、水素の吸蔵と放出に伴う体積の膨張と収縮により、μmオーダー或いはそれ以下の粒径に微粉化し、粉粒体の形態を呈す。このため、実用化するためには、水素吸蔵合金はタンクに貯蔵した形で使用される。
【0006】
水素吸蔵合金の特性は、PCT(Pressure Composition Temperature)線図により示される。図11は、水素吸蔵合金のPCT線図の一例である。PCT線図は、一定温度において、水素の吸蔵に必要な及び放出可能な水素圧力と、水素吸蔵量との関係を示したものであり、Y軸は定温での水素圧力(対数平衡水素圧力)、X軸は定温での組成(水素濃度)を示す。図11に示すように、水素吸蔵合金のPCT線図には、水素を吸蔵する過程と水素を放出する過程とで挙動が異なるようなヒステリシス特性が示される。また、水素吸蔵合金のPCT線図には、略一定の水素圧力となるようなプラトー領域が存在する。プラトー領域は1段階とは限らず、金属種によっては、プラトー領域を多段階所有しているものもある。図12は、多段プラトー領域をもつ金属種のPCT線図の一例である。この例では、第1段目と第2段目との2つのプラトー領域を持つ。
【0007】
水素吸蔵合金は、気体と比較して極めて高い体積当たりの水素充填密度を実現することができ、気固相反応であるために長期貯蔵が可能である。また、金属種にも依るが、概ね1MPa以下の水素圧、100度以下の温度の条件で水素化と脱水素化が進むため、急激な水素漏れによる事故の発生も防止でき、高圧や断熱等の特別な仕様が要求される容器を必要としない。このため、水素吸蔵合金は、従来のボンベ方式や液体水素方式に比べて、安全かつ容易に水素を貯蔵できる特性を有していると言える。
【0008】
水素吸蔵合金を用いて水素を貯蔵する場合の課題としては、水素貯蔵量が分かり難いということがある。すなわち、水素吸蔵合金は、重量当たりの水素充填密度が低い以外に、固溶現象と化学的結合により充填を行うため、傍目からその時点での水素貯蔵量が分かり難い。
【0009】
水素吸蔵合金に関する貯蔵量、貯蔵率の推定に関する先行技術文献としては、以下の特許文献1、並びに、非特許文献1及び非特許文献2に記載されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2004-241261号公報
【非特許文献】
【0011】
【文献】丸岡智樹、門野純一郎、塩見昌平、菊内康正「水素吸蔵チタンを利用した水素定量分析に関する検討」、京都市産業技術研究所研究報告書, No.5, P7-11, 2015
【文献】廣▲瀬▼雄彦,「燃料電池自動車用低温吸着式水素貯蔵タンクシステムに関する研究」、[online]、2015.11.18、九州大学,[平成30年3月19日検索]、インターネット〈URL:https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/1500723/eng2458.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、水素吸蔵合金は、傍目からその時点での水素貯蔵量が分かり難いという課題がある。非特許文献1に記載されている技術は、グロー放電発光分析である。しかしながら、発光分光分析法ではタンク内のものを取り出して測ることになるため、水素貯蔵量を推定するには適していないと考えられる。
【0013】
また、非特許文献2に記載されている技術は、圧力と重量による定量、推定である。重量による推測は稼働中において、加速度により正確な値が計測しにくいこと、水素吸蔵合金に対する水素濃度は現状多くとも3wt%であり、誤差の範疇であることから、水素貯蔵量を推定するには適していないと考えられる。また、マスフロ―メーター等による実測についても、実測誤差が大きく正確な値が計測しにくい。
【0014】
また、水素吸蔵合金の有効水素吸蔵量は、金属種の他に、圧力と温度に依存することが知られている。これを用いた特許文献1の手法においては、PCT線図の傾きが定数であるため、傾きが温度依存する金属種について適していない。また、図12に示したような、使用範囲において多段プラトー領域を持つ金属種についても、想定されていない。
【0015】
上述の課題を鑑み、本発明は、金属種や金属温度を問わず、水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の水素貯蔵量を高い精度で容易に計測できる水素貯蔵率推定システム及び水素貯蔵率推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するために、水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定する水素貯蔵率推定システムであって、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の金属温度を検出する温度センサと、前記水素吸蔵合金タンクの水素圧力を検出する圧力センサと、金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求める推定式が記憶される記憶部と、前記温度センサからの金属温度の検出値と前記圧力センサからの水素圧力の検出値とから、前記推定式により水素濃度を算出し、当該算出された水素濃度から水素貯蔵率の推定値を出力する演算部と、解析装置と、を備え、前記推定式は、前記解析装置によって、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金との同一組成の試験体を用いて、PCT線図の作成による観測データが取得され、当該観測データから最小二乗法により近似線を温度毎に作成して算出され、前記記憶部に記憶されたものであり、前記解析装置によって前記近似線が作成される際に、前回までに求められた近似線の傾きと連続する観測データの傾きとの偏差を判定され、前回までに求められた近似線の傾きと連続する観測データの傾きとの偏差が所定の閾値以上なら、新たな近似線が作成される水素貯蔵率推定システムである。
【0017】
本発明の一態様に係る水素貯蔵率推定方法は、水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定する水素貯蔵率推定方法であって、予め、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金と同一組成の試験体を用いて金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求める推定式を算出する工程と、前記推定式を記憶する工程と、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の金属温度と、前記水素吸蔵合金タンクの水素圧力を検出する工程と、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金の金属温度の検出値と、前記水素吸蔵合金タンクの水素圧力の検出値とから、前記推定式により水素濃度を算出し、当該算出された水素濃度から水素貯蔵率の推定値を出力する工程とを含み、前記推定式を算出する工程は、水素貯蔵率推定システムの外部の解析装置によって、前記水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金との同一組成の試験体を用いて、PCT線図の作成による観測データが取得され、当該観測データから最小二乗法により近似線を温度毎に作成して算出されることと、前記解析装置によって前記近似線が作成される際に、前回までに求められた近似線の傾きと連続する観測データの傾きとの偏差を判定され、前回までに求められた近似線の傾きと連続する観測データの傾きとの偏差が所定の閾値以上なら、新たな近似線が作成されることを含む水素貯蔵率推定方法である
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求める推定式を用いて、水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定することで、容易に、精度良く、水素貯蔵量を推定できる。また、本発明によれば、温度依存する金属種や、多段プラトー領域を持つ金属種等であっても水素貯蔵率を推定でき、金属種を問わず、水素貯蔵率の推定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る水素貯蔵率推定システムの構成を示すブロック図である。
図2】推定式を作成するための事前準備システムの構成を示すブロック図である。
図3】推定式を作成するための事前処理を示すフローチャートである。
図4】観測データの処理の説明図である。
図5】近似線の作成処理を示すフローチャートである。
図6】近似線の作成処理の説明図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る水素貯蔵率推定システムにおける水素貯蔵率の推定処理のフローチャートである。
図8】複数の推定式となる場合の処理の説明図である。
図9】水素吸蔵の場合の観測データと近似線とを示すグラフである。
図10】水素放出の場合の観測データと近似線とを示すグラフである。
図11】水素吸蔵合金のPCT線図の一例でのグラフである。
図12】多段プラトー領域を持つ金属種のPCT線図の一例のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る水素貯蔵率推定システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る水素貯蔵率推定システム1は、水素吸蔵合金タンク11と、水素発生/供給装置12と、水素消費装置13と、温度センサ14と、圧力センサ15と、演算部16と、記憶部17と、表示部18とから構成される。
【0021】
水素吸蔵合金タンク11には、水素吸蔵合金が収納されている。水素吸蔵合金としては、アルカリ土類系、希土類系、チタン系、固溶体等、各種のものがある。本実施形態では、どのような水素吸蔵合金でも用いることができる。
【0022】
水素発生/供給装置12は、水素吸蔵合金タンク11内に水素を供給する。水素発生/供給装置12での水素は、どのような方法で発生させても良い。例えば、水素発生/供給装置12は、余剰電力を用いて水を電気分解して、水素を生成する。また、例えば、水素発生/供給装置12は、メタンやメタノール等を改質して、水素を生成する。
【0023】
水素消費装置13は、水素吸蔵合金タンク11の水素吸蔵合金から取り出した水素を消費する。水素吸蔵合金タンク11の水素吸蔵合金から取り出した水素は、水素消費装置13でどのように消費しても良い。例えば、水素消費装置13は、水素吸蔵合金タンク11の水素吸蔵合金から取り出した水素から、燃料電池を用いて電力を生成する。
【0024】
温度センサ14は、水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金の金属温度を検出する。温度センサ14で検出された金属温度は、演算部16に送られる。
【0025】
圧力センサ15は、水素吸蔵合金タンク11の水素圧力を検出する。圧力センサ15で検出された水素圧力は、演算部16に送られる。
【0026】
演算部16は、水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定するための各種の演算を行う。演算部16としては、PC(Personal Computer)を用いることができる。記憶部17は、水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定するための各種のデータを記憶する。記憶部17は、演算部16を構成するPC内のものを用いても良いし、外部のデータベースに設けても良い。本実施形態では、記憶部17には、予め、金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求める推定式が記憶されている。演算部16は、温度センサ14からの金属温度の検出値と、圧力センサ15からの水素圧力の検出値とから、この推定式により水素濃度を算出し、算出された水素濃度から水素貯蔵率の推定値を出力する処理を行う。
【0027】
表示部18は、演算部16により推定された水素貯蔵率を表示して、ユーザに知らせる。
【0028】
次に、本発明の第1の実施形態に係る水素貯蔵率推定システム1における水素貯蔵率の推定方法について説明する。
【0029】
水素吸蔵合金の特性は、PCT線図により表される。PCT線図の測定では、一定温度での水素圧力と水素濃度とを示す観測データが取得される。この観測データから、各温度における水素圧力と水素濃度との関係を示す近似線が作成できる。
【0030】
各温度における水素圧力と水素濃度との関係を示す近似線が作成できれば、各温度における近似線の近似式から、金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求めるための推定式が算出できる。この推定式を予め作成して記憶しておけば、金属温度の検出値と水素圧力の検出値とから、水素濃度を求めることができる。
【0031】
そこで、本発明の第1の実施形態に係る水素貯蔵率推定システム1では、予め、水素吸蔵合金タンク11に充填する水素吸蔵合金と同一組成の試験体を用いて、各温度における水素圧力と水素濃度との関係を示す近似線を作成し、各温度における近似線の近似式から、金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求めるための推定式を算出している。
【0032】
すなわち、図2は、推定式を作成するための事前準備システムの構成を示し、図3は、推定式を作成するための事前処理を示すフローチャートである。図2に示すように、事前準備システムとして、PCT計測装置51と解析装置52が用意される。PCT計測装置51は、試験体53のPCT計測を行う。解析装置52は、PCT計測装置51からのPCT計測による観測データを用いて、金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求めるための推定式を算出する。解析装置52としては、例えばPC(Personal Computer)を用いることができる。また、解析装置52を水素貯蔵率推定システム1の演算部16と共用しても良い。
【0033】
(ステップS101)PCT計測装置51は、使用領域において、水素吸蔵合金タンク11に充填する水素吸蔵合金と同一組成の試験体53を用いて、PCT線図の作成による観測データを取得する。PCT線図の作成方法としては、(JIS H 7201:2007)に記載されている方法が用いられる。この作成方法に従って、PCT計測装置51は、所定の一定温度で、水素圧力と水素濃度とを示す観測データを取得する。
【0034】
(ステップS102)解析装置52は、X軸を水素圧力の対数とし、Y軸を水素濃度とした座標上に、得られた観測データをプロットする。図4は、観測データの処理の説明図である。図4に示すように、X軸は水素圧力の対数値であり、Y軸は水素濃度である。これは、水素濃度をX軸とし、水素圧力をY軸とするPCT線図に対して、X軸とY軸とを入れ替えた逆関数の関係にある。ここでX軸を水素圧力とした逆関数とするのは、後述するステップS103~S106に示す処理において、水素濃度に対する水素圧力と金属温度の関係を示す推定式を作成するためである。ステップS102の処理では、図4(A)に示すように、このXY平面上に、観測データd1、d2、…がプロットされていく。
【0035】
(ステップS103)観測データがプロットされたら、解析装置52は、最小二乗法を用いて、近似線を作成する。すなわち、解析装置52は、図4(B)に示すように、観測データd1、d2、…と近似線との残差の二乗和が最小となるように、近似線N1を作成する。ここで、観測データd1、d2、…を1本の近似線で近似することが難しい場合がある。この場合には、図4(C)に示すように、2本の近似線N1、N2で近似を行う。
【0036】
(ステップS104)1つの温度について、近似線が作成できたら、全ての温度について計測されたか否かを判定する。全ての温度について計測されていなければ(ステップS104:No)、処理をステップS105に進める。全ての温度について計測されたら(ステップS104:Yes)、処理をステップS106に進める。
【0037】
(ステップS105)解析装置52は、次の温度に設定して、処理をステップS101に戻す。そして、ステップS101からステップS104の処理を行うことで、次の温度での観測データから、最小二乗法により、近似線が作成される。
【0038】
(ステップS106)各温度についての計測が終了し、各温度毎に、PCT線図の観測データの近似線が作成できたら(ステップS104:Yes)、解析装置52は、各温度毎の近似線の近似式から、関数F(T)及びG(T)を求めて、金属温度と水素圧力をパラメータとして水素濃度を求める推定式を算出する。すなわち、金属温度と水素圧力をパラメータとする推定式は、(1)式に示すような形態となる。
【0039】
x=F(T)×logP+G(T) (1)
【0040】
ここで、Pは水素圧力を示す絶対圧力(atm)、Tは金属温度を示す絶対温度(K)、xは水素濃度(wt%)、F(T)及びG(T)はそれぞれ金属温度Tの任意の関数である。ステップS106では、解析装置52は、求められた各温度毎の近似線の近似式から関数F(T)及びG(T)を求めて、(1)式に示すような推定式を算出する。
【0041】
(ステップS107)解析装置52は、使用領域から、水素貯蔵率(y=0)のときの水素圧力を基準水素濃度x1とし、水素貯蔵率(y=100)のときの水素濃度を基準水素濃度x2(x1<x2)として設定する。この基準水素濃度x1、x2は、水素濃度xから水素貯蔵率y(但し、x1<x<x2)への換算に使用される。水素濃度xから水素貯蔵率yへの換算は、以下の式により行える。
【0042】
y=((x-x1)/(x2-x1))×100 (2)
【0043】
(ステップS108)解析装置52は、ステップS106で求めた推定式と、ステップS107で設定した基準水素濃度x1、x2を、水素貯蔵率推定システム1の記憶部17に保存しておく。
【0044】
なお、上述のステップS101~S108の処理により、水素吸蔵時又は水素放出時での推定式が生成される。PCT曲線にはヒステリシス特性があるため、上述のステップS101~S108の処理は、水素吸蔵時と水素放出時とで行われ、記憶部17には、水素吸蔵時の推定式と水素放出時の推定式とが記憶される。
【0045】
図4(C)に示したように、本実施形態では、観測データの分散によっては、近似線を複数作成している。このため、推定式が複数になる場合がある。これにより、使用範囲において多段プラトー領域を持つ金属種についても対応できる。つまり、図5は、ステップS103での近似線の作成処理を示すフローチャートであり、図6は、その説明図である。
【0046】
(ステップS201)まず、解析装置52は、近似線を識別する変数Nを1に初期化する。
【0047】
(ステップS202)解析装置52は、先頭の観測データから3点の観測データを取得する。例えば、観測データが図6に示すように取得される場合、解析装置52は、まず、最初の観測データd1、d2、d3を取得する。
【0048】
(ステップS203)解析装置52は、近似線と観測データd1、d2、d3との偏差の二乗和が最小となるように、近似線N1を推定する。
【0049】
(ステップS204)解析装置52は、次の観測点があるか否かを判定する。次の観測点がなければ(ステップS204:No)、処理をステップS205に進め、次の観測点があれば(ステップS204:Yes)、処理をステップS206に進める。
【0050】
(ステップS205)解析装置52は、求められた近似線を表す近似式を記憶部17に保存して、処理を終了する。
【0051】
(ステップS206)解析装置52は、今回の観測点と次の観測点との傾きと、近似線の傾きとの偏差が閾値を越えているか否かを判定する。すなわち、図6における観測データdnが今回の観測点であるとし、観測データdn+1が次の観測点であるとすると、今回の観測点と次の観測点との傾きはbとなる。これに対して、近似線N1の傾きがaであるとする。解析装置52は、今回の観測点と次の観測点との傾きbと、近似線N1の傾きaとの残差が所定の閾値を越えているか否かを判定する。今回の観測点と次の観測点との傾きと、近似式の傾きとの偏差が閾値を越えていなければ(ステップS206:No)、処理をステップS207に進め、今回の観測点と次の観測点との傾きと、近似式の傾きとの偏差が閾値を越えていたら(ステップS206:Yes)、処理をステップS208に進める。
【0052】
PCT線図がプラトー領域内だけであれば、近似線の傾きは略一定になる。したがって、ステップS206で、今回の観測点と次の観測点とのデータの傾きと、近似線の傾きとの偏差が閾値を越えないと判定される。今回の観測点と次の観測点とのデータの傾きと、近似線の傾きとの偏差が閾値を越えない場合(ステップS206:No)、処理はステップS207に進められる。
【0053】
(ステップS207)解析装置52は、次の観測点の観測データを取得して、処理をステップS203に戻す。
【0054】
ステップS203、S204、S206、S207を繰り返すことで、各観測データと近似線との偏差の二乗和が最小となる1本の近似線N1が求められていく。
【0055】
全ての観測点データについて処理が終了する前に、PCT線図のプラトー領域が終了すると、近似線の傾きは大きく変化する。したがって、ステップS206で、今回の観測点と次の観測点とのデータの傾きと近似線の傾きとの偏差が閾値を越えると判定される。今回の観測点と次の観測点とのデータの傾きと近似線の傾きとの偏差が閾値を越える場合(ステップS206:Yes)、ステップS208に処理が進められる。
【0056】
(ステップS208)解析装置52は、今回までに求められた近似線N1の近似式を記憶部17に保存して、処理をステップS209に進める。
【0057】
(ステップS209)解析装置52は、今回の観測データを先頭の観測データとして、処理をステップS210に進める。
【0058】
(ステップS210)解析装置52は、近似線を識別する変数Nをインクリメントして、処理をステップS202に戻す。
【0059】
その後、ステップS203、S204、S206、S207を繰り返すことで、各観測データと近似線との偏差の二乗和が最小となる近似線N2が求められる。これにより、2本目の近似線N2が作成される。全ての観測点データについて処理が終了すると、ステップS204で、次の観測点データはないと判定される。ステップS204で、次の観測点データはないと判定されると(ステップS204:No)、解析装置52は、近似線N2を記憶部17に保存して、処理を終了する。
【0060】
このように、本実施形態では、プラトー領域の境界から特性が大きく変化す場合には、新たな近似線が作成されていく。更に、多段のプラトー領域を含む場合にも、領域の境界から、同様の処理が繰り返され、更に新たな近似線が作成されていく。各温度における水素圧力と水素濃度との関係を示す近似線が複数になる場合には、各温度における水素圧力と水素濃度との関係を示す近似線から算出される推定式も複数になる。
【0061】
以上のように、本実施形態では、事前処理により、(1)式で示したような、金属温度と水素圧力をパラメータとする推定式が水素吸蔵時と水素放出時とで作成される。また、前述したように、本実施形態では、推定式は、複数個になる場合がある。
【0062】
次に、水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定する処理について説明する。
【0063】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る水素貯蔵率推定システム1における水素貯蔵率の推定処理のフローチャートである。前述したように、事前処理により、水素吸蔵時と水素放出時とのそれぞれにおいて、金属温度と水素圧力をパラメータとする推定式が作成され、この推定式が記憶部17に記憶されている。また、基準水素濃度x1、x2が記憶部17に記憶されている。また、図8は、複数の推定式となる場合の処理の説明図である。図8の例では所定の温度のときの水素圧力と水素濃度との関係を示す近似線として2つの近似線N1及びN2がある。この場合、2つの近似線N1及びN2により2つの推定式が算出され、記憶部17には2つの推定式が記憶されている。
【0064】
(ステップS301)演算部16は、温度センサ14の検出値と圧力センサ15の検出値とから、金属温度Tと水素圧力Pとを取得する。
【0065】
(ステップS302)演算部16は、記憶部17から、金属温度と水素圧力をパラメータとする推定式と、基準水素濃度x1及びx2を呼び出す。
【0066】
(ステップS303)演算部16は、金属温度と水素圧力をパラメータとする推定式が複数あるか否かを判定する。推定式が複数でない場合には(ステップS303:No)、処理をステップS304に進める。推定式が複数ある場合には(ステップS303:Yes)、処理をステップS305に進める。
【0067】
(ステップS304)演算部16は、金属温度と水素圧力をパラメータとする推定式に金属温度Tと水素圧力Pを代入して、水素濃度xを算出して、処理をステップS307に進める。
【0068】
(ステップS305)演算部16は、金属温度と水素圧力をパラメータとするN個の推定式に金属温度Tと水素圧力Pを代入して、N個の水素濃度xnを算出して、処理をステップS306に進める。
【0069】
(ステップS306)演算部16は、求められたN個の水素濃度xnの中で、最小の水素濃度xminを決定し、最小の水素濃度xminを水素濃度xとする。すなわち、図8に示すように、2つの近似線N1とN2とがある場合、水素圧力がp1より小さいときは、近似線N1で求められる水素濃度の方が近似線N2で求められる水素濃度より小さくなる。したがって、水素圧力がp1より小さいときには、最小の水素濃度xminを決定して水素濃度を選択すると、近似線N1により求められた水素濃度が選択されることになる。水素圧力がp1を越えると、近似線N2により求められた水素濃度の方が近似線N1で求められる水素濃度より小さくなる。したがって、水素圧力がp1を越えると、最小の水素濃度xminを決定して水素濃度を選択すると、近似線N2で求められた水素濃度が選択されることになる。
【0070】
(ステップS307)演算部16は、基準水素濃度x1、x2を用いて、算出された水素濃度xを水素貯蔵率yに換算する。水素濃度xから水素貯蔵率yへの換算は、前述の(2)式により行える。
【0071】
(ステップS308)演算部16は、求められた水素貯蔵率を表示部18に表示する。
【0072】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る水素貯蔵率推定システム1では、水素吸蔵合金について、水素圧力と金属温度から精度よく、水素吸蔵合金の水素貯蔵率を推定できる。また、本実施形態では、水素吸蔵時の推定式と水素放出時の推定式とをそれぞれ作成しているので、PCT線図にヒステリシス特性がある場合にも、推定が可能である。本実施形態では、温度依存する金属種や、多段プラトー領域を持つ金属種等であっても水素貯蔵率を推定でき、金属種を問わず、推定が可能である。
【実施例1】
【0073】
実施例として、水素吸蔵合金としてTi系合金を用いた例を示す。このTi系合金の物性は、以下の通りである。モル熱容量以下は組成よりNeumann-Kopp 則を用いて推算したものである。なお、この合金は2段のプラトー領域が存在するものである。
【0074】
重量当たりの水素充填率:2wt%
モル熱容量:25.18J/molK
比熱:0.48J/gK
熱伝導率:42.52W/mK
【0075】
図9は、水素吸蔵の場合の観測データと近似線とを示している。金属温度Tは、20°C(293°K)、30°C(303°K)、60°C(333°K)であり、20°Cの観測データをひし形で表し、30°Cの観測データを正方形で表し、60°Cの観測データを三角形で表している。推定式は、前述したように、(1)式で示される。水素吸蔵の場合には、以下の(3)式を推定式として用いた。
【0076】
x= (3.7368 - 0.0035×T) × logP + (12.646 - 0.0428×T) (3)
F(T) = 3.7368 - 0.0035×T
G(T) = 12.646 - 0.0428×T
【0077】
水素吸蔵の場合には、T=20°C、30°C、60°Cでの観測データは、図9に示すように分散している。
【0078】
T=20°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はA1で示される。
【0079】
x = 2.7108×logP + 0.0992
【0080】
T=30°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はA2で示される。
【0081】
x = 2.6758×logP - 0.3288
【0082】
T=60°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はA3で示される。
【0083】
x = 2.5708×logP - 1.6128
【0084】
図10は、水素放出の場合の観測データと近似線とを示している。金属温度は、20°C、30°C、60°Cであり、20°Cの観測データをひし形で表し、30°Cの観測データを正方形で表し、60°Cの観測データを三角形で表している。水素放出の場合には、PCT線図は多段プラトーとなり、推定式は1段目と2段目とで2つになる。1段目は、以下の(4)式を推定式として用いた。
【0085】
x= (6.2058 - 0.0106×T) × logP + (14.526 - 0.0466×T) (4)
F(T) = 6.2058 - 0.0106×T
G(T) = 14.526 - 0.0466×T
【0086】
2段目は、以下の(5)式を推定式として用いた。
【0087】
x= (2.1673 - 0.0018×T) × logP + (9.4414 - 0.0291×T) (5)
F(T) = 2.1673 - 0.0018×T
G(T) = 9.4414 - 0.0291×T
【0088】
水素放出の場合、T=20°C、30°C、60°Cでの観測データは、図10に示すように分散している。
【0089】
1段目では、T=20°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はB1で示される。
【0090】
x = 3.0984×logP + 0.8652
【0091】
T=30°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はB2で示される。
【0092】
x = 2.9924×logP + 0.3992
【0093】
T=60°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はB3で示される。
【0094】
x = 2.6744×logP - 0.9988
【0095】
2段目では、T=20°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はC1で示される。
【0096】
x = 1.6395×logP + 0.9107
【0097】
T=30°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はC2で示される。
【0098】
x = 1.6216×logP + 0.6197
【0099】
T=60°Cの場合、近似線を表す式は以下の通りとなり、その近似線はC3で示される。
【0100】
x=1.5676×logP - 0.2533
【0101】
上述した実施形態における水素貯蔵率推定システム1の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0102】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0103】
11:水素吸蔵合金タンク、12:水素発生/供給装置、13:水素消費装置、14:温度センサ、15:圧力センサ、16:演算部、17:記憶部、18:表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12